JP2020141784A - クッション部材およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】蒸れにくく、複雑な装置を必要とせず、骨突出部位等の特定の部位において褥瘡の発生を抑えることができるクッション部材が容易に製造可能となる製造方法を提供する。【解決手段】熱可塑性樹脂または熱可塑性エラストマーを原料とする複数のフィラメントが部分的に融着した略板状のフィラメント3次元結合体を用いて、使用者を厚み方向に支持するクッション部材を製造する方法であって、前記フィラメント3次元結合体の上面を加圧部材で押して塑性変形させ、前記使用者の一または複数の特定部位に対応する位置に滑らかな窪みを設ける加圧処理と、前記塑性変形が生じ易くなるように前記フィラメント3次元結合体を加熱する加熱処理と、を含む製造方法とする。【選択図】図3A

Description

本発明は、マットレス、枕、或いは椅子等に利用可能である褥瘡予防に有利なクッション部材、およびその製造方法に関する。
一般的に床ずれとして知られている褥瘡は、長時間、体重により皮膚の毛細血管が圧迫されることによって、毛細血管内の血流が止まり、皮膚の細胞に充分な酸素や栄養が行き渡らなくなることにより発症する。健康な人であれば就寝中に寝返りを打てるため、一時的に皮膚の毛細血管が圧迫されて血流が止まっても、寝返りにより圧迫は解消されるので褥瘡になるリスクは低い。
ところが、筋力の衰えなどにより就寝中に自由に寝返りができなくなると、皮膚への圧迫が長時間続き、褥瘡を発症しやすくなる。また、長時間に亘って椅子等に座ったままでいる場合にも、同様に褥瘡を発症しやすくなる。
ここで図19は、従来の一般的なマットレス用クッション部材101と枕用クッション部材102を用いて、使用者が仰臥位の寝姿勢で就寝している様子を示している。図20は、従来の一般的な椅子用クッション部材103を用いて、使用者が椅子の上に座っている様子を示している。また図21は、褥瘡が発生し易い人体の部位を示している。
仰臥位での寝姿勢をとる状況では、肩甲骨部、仙骨部、踵部、あるいは、後頭部のような骨突出部位(骨ばった隆起部)において、使用者の体重によるクッション部材からの反発力によって局所的に大きな圧力が生じ、褥瘡が発症し易くなる。また着座姿勢をとる状況では、尾骨部のような骨突出部位において、褥瘡が発症し易くなる。
褥瘡を予防する方法として、例えば特許文献1には、人体の三次元データを取得し、その体形に適合する窪みを設けたウレタンマットレスが開示されている。これにより優れた体圧分散性が得られるものの、マットレスの素材として使用するウレタンフォームは通気性が低いため蒸れやすく、また水洗いできないため、不衛生になりやすいといった欠点があった。
また、特許文献2には、内部圧力の調整可能な複数のエアセルからなるエアマットが開示されている。これにより優れた体圧分散性が得られるものの、各エアセルの圧力を制御するための複雑な装置が必要であるためコストが高くなることから、多くの人に普及するには至っていない。
一方、特許文献3や特許文献4には、風通しが良く、体圧分散性と通気性に優れたフィラメント3次元結合体(三次元網目状構造体)を用いたマットレスが開示されている。フィラメント3次元結合体を用いたマットレスは、反発力を個々の使用者の体型に応じて調整が容易であり、通気性と体圧分散性に優れているため、褥瘡にとって大敵となる圧迫(局所的圧力)や蒸れ(湿度)を低減する効果が得られる。
特開2017−074333号公報 WO2011/096114号公報 特開2010−154965号公報 WO2017/122370号公報
しかしながら、体圧分散性に優れたフィラメント3次元結合体を用いたクッション部材を使用しても、当該クッション部材は沈み込み量に応じて反発力が大きくなる弾性体としての特性を有している。そのため、局所的に沈み込み量が極大となる骨突出部位(下向きの凸部)付近においてマットレスの反発力が高くなり、このような部位で毛細血管内の血液の流れが阻害され、褥瘡が発生し易くなるといった課題があった。
本発明は上記課題に鑑み、蒸れにくく、複雑な装置を必要とせず、骨突出部位等の特定の部位において褥瘡の発生を抑えることができるクッション部材、およびこのようなクッション部材を容易に製造可能とする製造方法の提供を目的とする。
本発明に係る製造方法は、熱可塑性樹脂または熱可塑性エラストマーを原料とする複数のフィラメントが部分的に融着した略板状のフィラメント3次元結合体を用いて、使用者を厚み方向に支持するクッション部材を製造する方法であって、前記フィラメント3次元結合体の上面を加圧部材で押して塑性変形させ、前記使用者の一または複数の特定部位に対応する位置に滑らかな窪みを設ける加圧処理と、前記塑性変形が生じ易くなるように前記フィラメント3次元結合体を加熱する加熱処理と、を含む製造方法とする。
本製造方法によれば、蒸れにくく、複雑な装置を必要とせず、骨突出部位等の特定の部位において褥瘡の発生を抑えることができるクッション部材が容易に製造可能となる。なお本願における「滑らかな窪み」は、表面が略曲面状に形成され、実質的に段差などの角張った箇所が生じないように形成された窪みのことである。
また上記製造方法としてより具体的には、前記加熱処理は、所定温度へ近づくように前記フィラメント3次元結合体を加熱する処理であり、前記所定温度は、前記原料の融点より30℃低い温度から当該融点より5℃低い温度までの範囲内にある製造方法としてもよい。また上記製造方法としてより具体的には、前記加熱処理は、前記所定温度の温水を前記フィラメント3次元結合体に接触させる処理である製造方法としてもよい。
また上記製造方法としてより具体的には、前記加熱処理は、前記フィラメント3次元結合体の下面から所定高さまでの部分を前記温水に浸ける処理であり、当該所定高さは、前記フィラメント3次元結合体の厚みの20%以上60%以下である製造方法としてもよい。また上記製造方法としてより具体的には、前記加熱処理は、前記所定温度の温風を前記フィラメント3次元結合体に当てる処理である製造方法としてもよい。
また上記製造方法としてより具体的には、前記加熱処理は、前記加圧処理と並行して行われる処理であって、前記フィラメント3次元結合体の下面に冷風を当てながら、当該フィラメント3次元結合体の上面に温風を当てる処理である製造方法としてもよい。なお本願における「冷風」は、少なくとも温風より温度の低い風のことであり、通常、常温(例えば25℃)或いはそれ以下の温度の風であることが好ましい。
また上記製造方法としてより具体的には、前記加熱処理および前記加圧処理の実行後に行われる状態調整処理を含み、前記状態調整処理は、前記フィラメント3次元結合体の上面に冷風を当てながら、当該フィラメント3次元結合体の下面に温風を当てる処理である製造方法としてもよい。
また本発明に係るクッション部材は、使用者を厚み方向に支持するクッション部材であって、熱可塑性樹脂または熱可塑性エラストマーを原料とする複数のフィラメントが部分的に融着した略板状のフィラメント3次元結合体により構成され、上面における前記使用者の一または複数の特定部位に対応する位置に、滑らかな窪みが形成された構成とする。
また本発明に係るクッション部材は、上記クッション部材と、熱可塑性樹脂または熱可塑性エラストマーを原料とする複数のフィラメントが部分的に融着した略板状のフィラメント3次元結合体により構成され、前記クッション部材の上側を覆うように配置されたクッション体と、を有するクッション部材としてもよい。
本発明に係るクッション部材によれば、蒸れにくく、複雑な装置を必要とせず、骨突出部位等の特定の部位において褥瘡の発生を抑えることが可能となる。また本発明に係るクッション部材によれば、このようなクッション部材が容易に製造可能となる。
本実施形態に係るクッション部材1の平面図である。 クッション部材1の右方視点による断面図である。 第1実施形態に係るクッション部材の製造方法のフローチャートである。 第1実施形態の窪み形成工程に関する説明図である。 第1加圧部材11aの正面図である。 第1加圧部材11aの一部品である垂直突起部15の構成図である。 第1加圧部材11aの一部品である水平板16の構成図である。 2層構造のクッション部材1Wの断面図である。 本実施形態に係る枕用のクッション部材1Xの断面図である。 クッション部材1Xの平面図である。 本実施形態に係る椅子用のクッション部材1Yの断面図である。 クッション部材1Yの平面図である。 第2実施形態の窪み形成工程に関する説明図である。 当該窪み形成工程における密度変化に関する説明図である。 第3実施形態の窪み形成工程に関する説明図である。 当該窪み形成工程における温風供給に関する説明図である。 第3実施形態に係る第1加圧部材11aの正面図である。 当該加圧部材11aの斜め上方視点による斜視図である。 当該加圧部材11aの斜め下方視点による斜視図である。 第4実施形態の窪み形成工程に関する説明図である。 第5実施形態に係るクッション部材の製造方法のフローチャートである。 第5実施形態に係る加圧処理に関する説明図である。 第5実施形態に係る反転処理に関する説明図である。 第5実施形態に係る状態調整処理に関する説明図である。 当該状態調整処理による低密度領域の形成に関する説明図である。 使用者が仰臥位の寝姿勢で就寝している様子に関する説明図である。 使用者が椅子の上に座っている様子に関する説明図である。 褥瘡が発生し易い人体の部位に関する説明図である。
本発明の各実施形態について、各図面を参照しながら以下に説明する。なお以下の説明における上下、左右、および前後の各方向(互いに直交する方向)は、各図に示すとおりである。これらの各方向は、説明のため便宜的に定めたものに過ぎない。
1.第1実施形態
まず本発明の第1実施形態について説明する。図1Aは、本実施形態に係るクッション部材1の平面図(上方視による外観図)である。図1Bは、クッション部材1の右方視点による断面図(図1Aに一点鎖線Xで示す面で切断した場合の断面図)である。
クッション部材1は寝具として利用可能であり、クッション部材1の上側には、図1Aおよび図1Bに破線で示すように使用者が横たわることが想定される。クッション部材1の上面には、滑らかな窪みとして、使用者の左右の肩甲骨部に対応する2箇所に肩甲骨部窪み1aが、使用者の仙骨部に対応する1箇所に仙骨部窪み1bが、使用者の両足の踵部に対応する2箇所に踵部窪み1cが、それぞれ形成されている。
図2は、クッション部材1の製造方法(ステップS1〜S3の各工程)のフローチャートである。以下、これらの工程の概要について説明する。
ステップS1の工程は、クッション部材1の形成に用いる板状体1pを準備する工程(準備工程)である。板状体1pは、加工前のクッション部材1に相当する。板状体1pは、熱可塑性樹脂または熱可塑性エラストマーを原料とする複数のフィラメントが部分的に融着した板状のフィラメント3次元結合体である。
板状体1pとしては、例えば、ポリエチレン樹脂からなる直径が1mmの複数のフィラメントを部分的に融着させて得られる板状のフィラメント3次元結合体が使用できる。板状体1pの具体例としては、空隙率が95%であり、長さ(前後方向寸法)が2mであり、幅(左右方向寸法)が0.6mまたは1mであり、厚み(上下方向寸法)が5cmである板状のフィラメント3次元結合体などが挙げられる。なお本実施形態の板状体1pの形状は、上方視長方形であって厚みが均一である板状に形成されているが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、様々な略板状の形状が採用され得る。
板状体1p(フィラメント3次元結合体)の原料は特に限定されないが、例えば、ポリエチレン系エラストマー、ポリプロピレン系エラストマー、ポリエステルポリエーテル系エラストマー、或いはポリスチレン系エラストマーなどが採用可能である。フィラメント3次元結合体(立体網状構造体)の製造方法としては、各種の公知の方法が適用可能であり、例えば、特許文献3(特開2010−154965号公報)あるいは特許文献4(WO2017/122370号公報)に開示された方法が採用され得る。
これらの公報に開示された方法で製造することにより、得られる板状体1pの表面に滑らかな高密度表面層が形成される。但し板状体1pは、フィラメントに起因する突起を感じない程度(フィラメントが身体に当たってチクチクしない程度)に表面が滑らかであればよく、必ずしも表面層が高密度ではなくてもよい。
ステップS2の工程は、ステップS1の工程で準備された板状体1pに対して、先述した窪み1a〜1cを形成する工程(窪み形成工程)である。窪み形成工程においては、加熱処理S2aおよび加圧処理S2bが実施される。本実施形態における加熱処理S2aは、所定の温度に調整された温水(加熱手段)を板状体1pへ供給することにより、板状体1pの温度を調整する処理である。
一方で加圧処理S2bは、上記温水を用いて加熱しながら、板状体1pの上面の所定位置を突起状の加圧部材を用いて加圧する処理である。加圧する位置は、使用者の一または複数の特定部位(褥瘡が発生しやすい骨突起部)に対応するように設定される。本実施形態ではその一例として、当該位置は、図1Aに示す合計5箇所の窪み(1a〜1c)の位置に設定される。
板状体1pを、その原料(熱可塑性樹脂または熱可塑性エラストマー)の融点以下の所定の温度に維持しながら加圧部材で加圧することにより、板状体1pの加圧された部分が塑性変形して窪みが形成される。加圧方法としては、例えば、予め決められた時間だけ連続的に加圧する方法や、塑性変形により形成される窪みの深さを測定しながら断続的に加圧する方法などが採用され得るが、他の方法が採用されてもよい。
ステップS3の工程は、窪み形成工程(ステップS2)で加熱されていた板状体1pを冷却する工程(冷却工程)である。この冷却工程では、板状体1pへの温水の供給を停止して温水を除去した後、不図示の送風装置を用いて板状体1pに向けた送風を行うことにより、板状体1pを塑性変形が起こらない温度(例えば25℃)にまで冷却させる。以上の各工程を経て、上側表面に滑らかな各窪み1a〜1cを設けたクッション部材1が形成される。
図3Aは、水槽10内に収容された板状体1pに対する窪み形成工程(ステップS2)の様子を示している。なお図3A(後述する図6、図9、図10〜図12、図16、および図18A〜図18Dについても同様)は、図1Bと同等の視点による断面図として表されている。また図3Bは、第1加圧部材11aの正面図(右方視点による構成図)である。
図3Aに示すように、板状体1pは水槽10内に貯留された温水HW内で加熱されながら、各加圧部材11a〜11cを用いて加圧される。なお本実施形態における温水HWの水位は、板状体1pの全体が温水HWに浸かるように十分に高く設定されており、板状体1pの全体が加熱されるようになっている。
第1加圧部材11aは、2箇所の肩甲骨部窪み1aそれぞれに対応するように二つ設けられ、第2加圧部材11bは、仙骨部窪み1bに対応するように一つ設けられ、第3加圧部材11cは、2箇所の踵部窪み1cそれぞれに対応するように二つ設けられている。これらの加圧部材11a〜11cを用いた加圧により、先述した各窪み1a〜1cを設けたクッション部材1を形成することができる。また本実施形態のように、切削加工等によらず、加圧部材を用いた加圧によって板状体1pを塑性変形させて各窪み1a〜1cを形成する手法を採用したことにより、これらを滑らかな窪みとすることが容易である。
なお本実施形態では、褥瘡を予防しようとする特定部位を肩甲骨部、仙骨部、および踵部とし、これらの各部位に対応する位置に滑らかな窪みを設けたものをマットレス用のクッション部材1としている。但し、本発明に係るクッション部材はこの例に限定されるものではなく、例えば、肩甲骨部、仙骨部、および踵部のうちの一部のみを特定部位としたり、他の部位を特定部位として追加することも可能である。
次に第1加圧部材11aの構成について、より詳細に説明する。なお、第2加圧部材11bおよび第3加圧部材11cの構成は、基本的に第1加圧部材11aの構成と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。図4は第1加圧部材11aの一部品である垂直突起部15の構成図であり、図5は第1加圧部材11aの一部品である水平板16の構成図である。なお図4および図5においては、上側に上方視点による構成図が示され、下側に側方視点による構成図が示されている。
第1加圧部材11aは、垂直突起部15と水平板16を用いて構成されている。垂直突起部15は、半球状先端部15aと円柱状胴部15bを有する金属部材(例えばステンレスの部材)である。水平板16は、中央に円形の貫通孔16aを有する正方形板状の金属部材(例えばステンレスの部材)である。垂直突起部15を貫通孔16aに差し込んで水平板16に固定することによって、水平板16の下面から半球状先端部15aが所定の突出量で突き出た形態の第1加圧部材11aを得ることができる。
垂直突起部15を水平板16に固定する手段としては、例えば、溶接や接着剤による接着が挙げられる。またその他、当該手段として、円柱状胴部15bと貫通孔16aの各々に螺旋状の溝を設けることによるねじ込み式の固定手段(垂直突起部15をおねじとし水平板16をめねじとして、これらを螺合させて固定する手段)等を採用してもよい。
半球状先端部15aの水平板16からの突出量、および半球状先端部15aのサイズや曲面の曲率等については、使用者の褥瘡を予防しようとする特定部位(褥瘡を予防したい骨突起部)の形状に応じて設定すればよく、各加圧部材11a〜11cの全部または一部において異なるように設定しても構わない。またその他、使用者の骨の形状等に基づいて、褥瘡を効果的に予防できるように垂直突起部15を成形してもよい。
第1加圧部材11aは、垂直突起部15の上部が不図示の駆動装置に連結され、板状体1pを適切に加圧するように上下方向へ動かされる。水平板16の下面が板状体1pの上面へ近接或いは接触するまで水平板16を移動させると、半球状先端部15aが水平板16から突出している分、板状体1pが加圧される。なお、滑らかな曲面状の半球状先端部15aが板状体1pを押すことにより、滑らかな窪みが容易に形成されることになる。
水槽10内に貯留される温水HWの温度は、例えば、図示しない加熱装置、循環装置、および温度センサを用いて所定の温度に調整される。温水HWの温度が低すぎると、塑性変形が起こりにくくなり窪みが適切に形成されず、逆に温水HWの温度が高すぎると、加圧されていない場所において不要な塑性変形が生じ易くなる。
そのため温水HWの温度は、板状体1pの原料(熱可塑性樹脂または熱可塑性エラストマー)の融点より30℃低い温度から当該融点より5℃低い温度までの範囲(以下、便宜的に「適正温度範囲」と称することがある)内の所定温度に調整されることが好ましい。これにより、適正温度範囲内の当該所定温度へ近づくように、板状体1p(フィラメント3次元結合体)を加熱することが可能である。
上述した製造方法により製造されるクッション部材1は、圧迫や蒸れを低減することのできるフィラメント3次元結合体により形成されるとともに、上面における肩甲骨部、仙骨部、および踵部のような骨突出部位に対応する位置に滑らかな各窪み1a〜1cが形成される。これにより、使用者の骨突出部位が受けるクッション部材1からの反発力を局所的に下げることができる。そのためクッション部材1は簡単な構成でありながら、骨突出部位近傍の皮膚への過度な圧迫を抑え、褥瘡を予防できるものとなっている。なお各窪み1a〜1cは滑らかであるため、骨突出部位近傍の皮膚が窪み内の角張った箇所に当たることは未然に防がれ、更に使用者が凹凸感を感じることも無く、滑らかなフィット感を得ることができる。クッション部材1は、そのままでもマットレスとして使用可能であるが、別途用意したマットレスカバー等で覆った状態として使用しても良い。
またクッション部材1は、更に別のクッション体と組合わせて利用することも可能である。図6は、クッション部材1の上にクッション体CSを積層して得られる2層構造のクッション部材1Wの断面図である。クッション体CSは、熱可塑性樹脂または熱可塑性エラストマーからなる複数のフィラメントが部分的に融着した略板状のフィラメント3次元結合体である。クッション体CSは、板状体1pと同じものを更に薄くしたものであっても良い。
図6に示すように、クッション部材1Wは、各窪み1a〜1cを形成したクッション部材1の上面を覆うようにクッション体CSが配置されており、そのクッション体CSの上に使用者が横たわることになる。これにより、使用者の褥瘡を予防したい部位(特定部位)と各窪み1a〜1cとの間にクッション体CSが介在し、特定部位の骨突出部において局所的に極大化する圧力(クッション部材1Wから受ける圧力)の分散性をより高めることが可能である。なおクッション体CSの厚み等は、使用者の体型等に応じて適宜調整すれば良い。またクッション部材1Wによれば、使用者の特定部位の形状と窪みの形状との差が比較的大きくても、クッション体CSが変形することによって、使用者の特定部位近傍に加わる圧力の差を小さくすることができる。
以上、本実施形態に係るクッション部材としてマットレス用のものを例に挙げて説明したが、当該クッション部材およびその製造方法はこれに限られず、枕用のクッション部材や椅子用のクッション部材など、様々な用途のクッション部材およびその製造方法に適用可能である。
図7Aは、本実施形態に係る枕用のクッション部材1Xの断面図(クッション部材1Xを左右に2等分する平面で切断した場合の断面図)である。また図7Bは、クッション部材1Xの平面図(上方視点による外観図)である。クッション部材1Xの上面には、使用者の後頭部と接する位置において滑らかな後頭部窪み1Xaが形成されている。これにより、後頭部の骨突出部における褥瘡を極力防ぐことが可能となる。なおこの形態では、後頭部が使用者の褥瘡を予防したい部位(特定部位)に相当する。
図8Aは、本実施形態に係る椅子用のクッション部材1Yの断面図(クッション部材1Yを左右に2等分する平面で切断した場合の断面図)である。また図8Bは、クッション部材1Yの平面図(上方視点による外観図)である。クッション部材1Yの上面には、使用者の尾骨部と接する位置において滑らかな尾骨部窪み1Yaが形成されている。これにより、尾骨部の骨突出部における褥瘡を極力防ぐことが可能となる。なおこの形態では、尾骨部が使用者の褥瘡を予防したい部位(特定部位)に相当する。
2.第2実施形態
次に本発明の第2実施形態について説明する。なお第2実施形態は、クッション部材1の製造方法において温水HWの水位を低くした点を除き、基本的に第1実施形態と同様である。以下の説明では、第1実施形態と異なる事項の説明に重点をおき、第1実施形態と共通する事項については説明を省略することがある。
図9は、第2実施形態に係るクッション部材の製造方法における窪み形成工程(ステップS2)の様子を示している。また図10は、当該窪み形成工程において、第1加圧部材11aの近傍で板状体1pに生じる密度変化(塑性変形)の様子を示している。なお、他の加圧部材11b、11cの近傍の様子については、第1加圧部材11aの場合と基本的に同様である。
本実施形態では図10に示すように、温水HWの水位を板状体1pの厚みの半分程度に設定し、直接的には板状体1pの下半分のみを加熱することにしている。これにより、第1加圧部材11aを用いた加圧によって生じる応力による板状体1pの塑性変形を、板状体1pの下半分の部分で優先的に発生させることができ、板状体1pの下半分に高密度領域HDを形成させて、上面近傍の板状体1pの密度が高くなる(すなわち硬くなる)ことを抑えることができる。
その結果、使用者の褥瘡を予防したい部位と接するクッション部材1の上面の反発力が、過度に高まることを抑えることができる。なお、このような効果を十分に得るためには、温水HWの水位を、板状体1pの厚みの20%以上60%以下とすることが好ましい。
3.第3実施形態
次に本発明の第3実施形態について説明する。なお第3実施形態は、板状体1pの加熱手段と加圧部材の形態およびこれに関する点を除き、基本的に第1実施形態と同様である。以下の説明では、第1実施形態と異なる事項の説明に重点をおき、第1実施形態と共通する事項については説明を省略することがある。
図11は、第3実施形態に係るクッション部材の製造方法における窪み形成工程(ステップS2)の様子を示している。また図12は、本実施形態に係る窪み形成工程において、第1加圧部材22aの近傍で板状体1pに温風HAが供給される様子を示している。なお、他の加圧部材11b、11cの近傍の様子、および、他の加圧部材11b、11cの構成等については、第1加圧部材11aの場合と基本的に同様である。
第3実施形態に係るクッション部材の製造方法は、全体的なフローとしては第1実施形態の場合と概ね同様であるが、板状体1pの加熱手段(加熱処理を行う手段)として温風HAを用いる点が第1実施形態の場合とは異なる。第3実施形態に係る窪み形成工程においては、板状体1pは、通風性支持台20の上に載置された後、通風性支持台20の下側に配置された温風供給部材21a〜21cから供給される温風HAによって加熱される。なお通風性支持台20は、温風供給部材21a〜21cから排出された温風HAを上側へ通過させるように、多数の通気孔20a(上下に貫通した孔)が設けられている。
第1温風供給部材21aは、第1加圧部材12aと上下に対向する位置(使用者の左右の肩甲骨部に対応する2箇所)それぞれに配置されており、上方へ温風HAを供給することにより、第1温風供給部材21aのほぼ真上に位置する板状体1pの部分を加熱する。第2温風供給部材21bは、第2加圧部材12bと上下に対向する位置(使用者の仙骨部に対応する1箇所)に配置されており、上方へ温風HAを供給することにより、第2温風供給部材21bのほぼ真上に位置する板状体1pの部分を加熱する。第3温風供給部材21cは、第3加圧部材12cと上下に対向する位置(使用者の両足の踵部に対応する2箇所)それぞれに配置されており、上方へ温風HAを供給することにより、第3温風供給部材21cのほぼ真上に位置する板状体1pの部分を加熱する。
また窪み形成工程においては、上述のようにして板状体1pを温風HAで加熱しながら、板状体1pの上面を各加圧部材11a〜11cを用いて加圧する。これにより、その位置において板状体1pが塑性変形して窪みが形成される。上記のとおり、本実施形態における加熱処理S2aは、温風HAを板状体1pへ供給することにより、板状体1pの温度を調整する処理である。一方で加圧処理S2bは、上記温風HAを用いて加熱しながら、板状体1pの上面の所定位置を突起状の加圧部材を用いて加圧する処理である。なお加熱処理S2aは、加圧処理S2bと並行して行われるだけでなく、加圧処理S2bが開始される前にも行われるようにし、板状体1pの温度が予め調整されるようにしても良い。
図13は、本実施形態に係る第1加圧部材11aの正面図である。また、図14は加圧部材11aの斜め上方視点による斜視図であり、図15は加圧部材11aの斜め下方視点による斜視図である。これらの図に示すように、第1加圧部材11aは、垂直突起部25と水平板26を用いて構成されている。
垂直突起部25は、半球状先端部25aと円筒状胴部25bを有する金属部材(例えばステンレスの部材)であり、半球状先端部25aには複数の通風孔25hが形成されている。各通風孔25hは、円筒状胴部25bの内部空間25cに連通しており、内部空間25cの上側は開口されている。これにより、温風供給部材21a〜21cから供給された温風HAは、板状体1pを通った後、各通風孔25hおよび内部空間25cを介して、円筒状胴部25bの上方へ排出される。
水平板26は、中央に円形の貫通孔26aを有する正方形板状の金属部材(ステンレス)であり、垂直突起部25を貫通孔26aに差し込んで水平板26に固定することによって、水平板26の下面から半球状先端部25aが所定の突出量で突き出た形態の第1加圧部材11aを得ることができる。
垂直突起部25を水平板26に固定する手段としては、例えば、溶接や接着剤による接着が挙げられる。またその他、当該手段として、円筒状胴部25bと貫通孔26aの各々に螺旋状の溝を設けることによるねじ込み式の固定手段(垂直突起部25をおねじとし水平板26をめねじとして、これらを螺合させて固定する手段)等を採用してもよい。
半球状先端部25aの水平板26からの突出量、および半球状先端部25aのサイズや曲面の曲率等については、使用者の褥瘡を予防しようとする特定部位(褥瘡を予防したい骨突起部)の形状に応じて設定すればよく、各加圧部材11a〜11cの全部または一部において異なるように設定しても構わない。またその他、使用者の骨の形状等に基づいて、褥瘡を効果的に予防できるように垂直突起部25を成形してもよい。
温風HAの温度は、例えば、図示しない加熱装置、循環装置、および温度センサを用いて所定の温度に調整される。温風HAの温度が低すぎると、塑性変形が起こりにくくなり窪みが適切に形成されず、逆に温風HAの温度が高すぎると、塑性変形により型崩れが起こり易くなる。
そのため温風HAの温度は、板状体1pの原料(熱可塑性樹脂または熱可塑性エラストマー)の融点より30℃低い温度から当該融点より5℃低い温度までの範囲(適正温度範囲)内の所定温度に調整されることが好ましい。これにより、適正温度範囲内の当該所定温度へ近づくように、板状体1p(フィラメント3次元結合体)を加熱することが可能である。
なお本実施形態では加熱手段として温水を用いていないため、窪み形成工程(ステップS2)を終えて温風HAの供給も停止された後、温水の除去等を行うことなく冷却工程(ステップS3)に進むことが可能である。また本実施形態における冷却工程では、各加圧部材11a〜11cおよび各温風供給部材21a〜21cの両方または一方から板状体1pに向けて冷風を供給可能としておき、当該冷風により板状体1pを冷却するようにしても構わない。冷却工程により板状体1pを塑性変形が起こらない温度(例えば25℃)にまで冷却して、クッション部材1を得ることができる。
4.第4実施形態
次に本発明の第4実施形態について説明する。なお第4実施形態は、加圧部材から板状体1pへ冷風を供給する点を除き、基本的に第3実施形態と同様である。以下の説明では、第3実施形態と異なる事項の説明に重点をおき、第3実施形態と共通する事項については説明を省略することがある。
図16は、本実施形態に係る窪み形成工程(ステップS2)において、第1加圧部材11aの近傍で板状体1pに温風HAおよび冷風CAが供給される様子を示している。なお、他の加圧部材11b、11cの近傍の様子については、第1加圧部材11aの場合と基本的に同様である。
本実施形態では図16に示すように、板状体1pへの温風HAの供給と並行して外部から第1加圧部材11aの内部へ冷風CAが送り込まれ、この冷風CAが各通風孔25hを介して下方へ排出される。これにより、板状体1pの下半分の部分を重点的に加熱することが可能となる。すなわち第1加圧部材22aの近傍において、板状体1pの下側寄りの部分は、第1温風供給部材21aから供給される温風HAの影響が強く受けて適度に加熱される一方、板状体1pの上側寄りの部分は、第1加圧部材22aから冷風CAが供給される分、加熱が抑えられる。
これにより、第1加圧部材11aを用いた加圧によって生じる応力による板状体1pの塑性変形を、板状体1pの下半分の部分で優先的に発生させることができ、板状体1pの下半分に高密度領域HDを形成させて、上面近傍の板状体1pの密度が高くなる(すなわち硬くなる)ことを抑えることができる。その結果、使用者の褥瘡を予防したい部位と接するクッション部材1の上面の反発力が、過度に高まることを抑えることができる。
5.第5実施形態
次に本発明の第5実施形態について説明する。なお第5実施形態は、窪み形成工程に関する点を除き、基本的に第4実施形態と同様である。以下の説明では、第4実施形態と異なる事項の説明に重点をおき、第4実施形態と共通する事項については説明を省略することがある。
図17は、第5実施形態に係るクッション部材の製造方法(ステップS1〜S3の各工程)のフローチャートである。ステップS1の工程は、クッション部材1の形成に用いる板状体1pを準備する工程(準備工程)である。この準備工程は、他の実施形態の準備工程と同様であるため、ここではその詳細な説明を省略する。
ステップS2の工程は、ステップS1の工程で準備された板状体1pに対して、窪み1a〜1cを形成する工程(窪み形成工程)である。本実施形態における窪み形成工程(ステップS2)では、温度調整処理S2c、加圧処理S2d、反転処理S2e、および状態調整処理S2fが行われる。
温度調整処理S2cは、各加圧部材11a〜11cに対応した位置において、各温風供給部材21a〜21cから板状体1pに向けて温風HAを供給するとともに、各加圧部材11a〜11cから板状体1pに向けて冷風CAを供給する処理である。この温度調整処理により、各加圧部材11a〜11cに対応した位置において、板状体1pの下側寄り部分の温度は温風HAによって調整され、板状体1pの上側寄り部分の温度は冷風CAによって調整される。
加圧処理S2dは、図18Aに示すように、温風HAと冷風CAによる板状体1pの温度調整を継続しながら、各加圧部材11a〜11cを用いて板状体1pの上面の所定位置を加圧する処理である。この加圧処理工程により、板状体1pを塑性変形させて窪みを形成することができる。なお、加圧する位置や加圧方法については、第4実施形態の加圧処理S2bと同様であるため、ここではその説明を省略する。温度調整処理S2cおよび加圧処理S2dにおいて板状体1pへ温風HAを当てる(供給する)処理は、本発明に係る加熱処理に相当する。
反転処理S2eは、通風性支持台20の上で板状体1pを上下反転させる処理である。図18Bは、この反転処理が行われることによって、通風性支持台20の上で板状体1pが上下反転した様子を示している。
状態調整処理S2fは、上下反転させた板状体1pにおける塑性変形による窪みが生じた箇所(板状体1pの上面)に温風供給部材21a〜21cから供給される温風HAを当てるとともに、これに並行して、各加圧部材11a〜11cから供給される冷風CAを板状体1pの下面に当てる処理である。図18Cは、状態調整処理S2fが行われている様子を示している。状態調整処理S2fを行うことにより窪み近傍のみを塑性変形させ、図18Dに示すように低密度領域LD(柔らかい層)を形成することができ、使用者の特定部位と接する上面の反発力をより抑えたクッション部材1を得ることが可能となる。
すなわち、状態調整処理S2fが行われる直前の段階では、加圧処理S2dが行われたことによって、板状体1pの窪み近傍が比較的高密度となっている可能性が高く、残留応力が生じていることも考えられる。そこで状態調整処理S2fを行うことにより、板状体1pの下面側を極力変形させないようにしつつ、板状体1pの上面側の窪み近傍を塑性変形させて低密度化し、残留応力を開放させることも可能である。このようにして板状体1pの状態が調整され、上面の窪み近傍における反発力をより抑えたクッション部材1を得ることができる。
なお本実施形態では、反転処理S2eを行って板状体1pの向きを変えることにより、板状体1pにおける温風の当たる位置と冷風の当たる位置を逆転させている。但しこのようにする代わりに、状態調整処理S2fの実行時においては、温風供給部材21a〜21cから冷風が供給され、各加圧部材11a〜11cから温風が供給されるようにしても構わない。また上述した温風HAの温度は、板状体1pの原料の融点から当該融点より20℃高い温度までの範囲内であることが好ましく、熱がこもらないように温風を断続的に供給してもよい。
ステップS3の工程は、ステップS3の工程は、窪み形成工程(ステップS2)で加熱されていた板状体1pを冷却する工程(冷却工程)である。この冷却工程は、第4実施形態の冷却工程と同様であるため、ここではその詳細な説明を省略する。
6.その他
以上に説明したとおり各実施形態に係るクッション部材の製造方法は、板状体1p(フィラメント3次元結合体)の上面を加圧部材で押して塑性変形させ、使用者の一または複数の特定部位に対応する位置に滑らかな窪みを設ける加圧処理と、当該塑性変形が生じ易くなるように板状体1pを加熱する加熱処理とを含む。
これにより、板状体1pの表面を加熱しながら加圧部材によって塑性変形させることができるので、複雑な金型等を使用する必要もなく、骨突出部位等の特定部位に対応する位置に滑らかな窪みを形成することができる。その結果、蒸れにくく、骨突出部位等における局所的に大きな圧迫を低減できるクッション部材を容易に製造することが可能である。
また上記の加熱処理は、所定温度へ近づくように板状体1pを加熱する処理であり、当該所定温度は、板状体1pの原料の融点より30℃低い温度から当該融点より5℃低い温度までの範囲内にある。これにより、効率良く塑性変形させることが可能な温度に板状体1pの温度を制御し、滑らかな窪みを効率良く形成することが可能である。
なお第1および第2実施形態において、加熱処理は、前記所定温度の温水HWを板状体1pに接触させる処理となっている。これにより、型崩れが極力生じないようにしつつ、板状体1pの温度を適切に制御することが可能である。特に第2実施形態における加熱処理は、板状体1pの下面から所定高さまでの部分を温水HWに浸ける処理であり、当該所定高さは、板状体1pの厚みの20%以上60%以下とされている。
これにより、加圧部材で圧縮することによって生じる板状体1pの塑性変形が、フィラメントが温水HWと接しない上面近傍において生じ難く、フィラメントが温水HWと接する底部近傍において生じやすくなる。そのため、クッション部材上面のフィラメント密度が高まることを抑え、骨突出部位等が接する側となるクッション部材上面が硬くなる(反発力が高くなる)ことを極力防ぐことが可能である。
一方、第3〜第5実施形態において、加熱処理は、前記所定温度の温風HAを板状体1pに当てる処理となっている。これにより、温風供給装置と加圧部材を用いるだけで板状体1pの表面を加熱しながら塑性変形させることができるため、水槽等の大きな設備を用いることなく滑らかな窪みを形成することが可能である。
特に第4実施形態の加熱処理は、加圧処理と並行して行われる処理であって、板状体1pの下面に冷風CAを当てながら、板状体1pの上面に温風HAを当てる処理となっている。これにより、加圧部材で圧縮することによって生じる板状体1pの塑性変形が、フィラメントが冷風CAの影響を受け易い上面近傍において生じ難く、フィラメントが温風HAの影響を受け易い底部近傍において生じやすくなる。そのため、クッション部材上面のフィラメント密度が高まることを抑え、骨突出部位等が接する側となるクッション部材上面が硬くなる(反発力が高くなる)ことを極力防ぐことが可能である。
なお第5実施形態におけるクッション部材の製造方法は、加熱処理および加圧処理の実行後に行われる状態調整処理を含む。この状態調整処理は、板状体1pの上面に冷風を当てながら、板状体1pの下面に温風を当てる処理となっている。これにより板状体1pの状態を調整し、上面の窪み近傍における反発力をより抑えたクッション部材を得ることができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の構成は上記実施形態に限られず、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。すなわち上記実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の技術的範囲は、上記実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。
本発明は、クッション部材およびその製造方法に利用可能である。
1、1W、1X、1Y クッション部材
1a 肩甲骨部窪み
1b 仙骨部窪み
1c 踵部窪み
1Xa 後頭部窪み
1Ya 尾骨部窪み
1p 板状体
10 水槽
11a 第1加圧部材
11b 第2加圧部材
11c 第3加圧部材
15 垂直突起部
15a 半球状先端部
15b 円柱状胴部
16 水平板
16a 貫通孔
20 通風性支持台
20a 通気孔
21a 第1温風供給部材
21b 第2温風供給部材
21c 第3温風供給部材
25 垂直突起部
25a 半球状先端部
25b 円筒状胴部
25c 内部空間
25h 通風孔
26 水平板
26a 貫通孔

Claims (9)

  1. 熱可塑性樹脂または熱可塑性エラストマーを原料とする複数のフィラメントが部分的に融着した略板状のフィラメント3次元結合体を用いて、使用者を厚み方向に支持するクッション部材を製造する方法であって、
    前記フィラメント3次元結合体の上面を加圧部材で押して塑性変形させ、前記使用者の一または複数の特定部位に対応する位置に滑らかな窪みを設ける加圧処理と、
    前記塑性変形が生じ易くなるように前記フィラメント3次元結合体を加熱する加熱処理と、を含むことを特徴とする製造方法。
  2. 前記加熱処理は、
    所定温度へ近づくように前記フィラメント3次元結合体を加熱する処理であり、
    前記所定温度は、前記原料の融点より30℃低い温度から当該融点より5℃低い温度までの範囲内にあることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記加熱処理は、前記所定温度の温水を前記フィラメント3次元結合体に接触させる処理であることを特徴とする請求項2に記載の製造方法。
  4. 前記加熱処理は、前記フィラメント3次元結合体の下面から所定高さまでの部分を前記温水に浸ける処理であり、
    当該所定高さは、前記フィラメント3次元結合体の厚みの20%以上60%以下であることを特徴とする請求項3に記載の製造方法。
  5. 前記加熱処理は、前記所定温度の温風を前記フィラメント3次元結合体に当てる処理であることを特徴とする請求項2に記載の製造方法。
  6. 前記加熱処理は、
    前記加圧処理と並行して行われる処理であって、
    前記フィラメント3次元結合体の下面に冷風を当てながら、当該フィラメント3次元結合体の上面に温風を当てる処理であることを特徴とする請求項2に記載の製造方法。
  7. 前記加熱処理および前記加圧処理の実行後に行われる状態調整処理を含み、
    前記状態調整処理は、
    前記フィラメント3次元結合体の上面に冷風を当てながら、当該フィラメント3次元結合体の下面に温風を当てる処理であることを特徴とする請求項6に記載の製造方法。
  8. 使用者を厚み方向に支持するクッション部材であって、
    熱可塑性樹脂または熱可塑性エラストマーを原料とする複数のフィラメントが部分的に融着した略板状のフィラメント3次元結合体により構成され、
    上面における前記使用者の一または複数の特定部位に対応する位置に、滑らかな窪みが形成されたことを特徴とするクッション部材。
  9. 請求項8に記載のクッション部材と、
    熱可塑性樹脂または熱可塑性エラストマーを原料とする複数のフィラメントが部分的に融着した略板状のフィラメント3次元結合体により構成され、前記クッション部材の上側を覆うように配置されたクッション体と、を有することを特徴とするクッション部材。
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