JP2020141336A - フィルタおよびマルチプレクサ - Google Patents

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Abstract

【課題】温度特性を向上させること。【解決手段】入力端子と、出力端子と、前記入力端子と前記出力端子との間に接続され、第1減衰極を形成するLC共振回路と、前記入力端子と前記出力端子との間に接続され、通過帯域と前記第1減衰極の間に、温度変化に伴う減衰極の周波数の移動方向が前記第1減衰極の移動方向と同じである第2減衰極を形成する弾性波共振器と、を備えるフィルタ。【選択図】図1

Description

本発明は、フィルタおよびマルチプレクサに関し、共振回路と弾性波共振器を有するフィルタおよびマルチプレクサに関する。
キャパシタおよびインダクタにより形成された共振回路に、弾性波共振器を設けるフィルタが知られている(例えば特許文献1、2)。
特開2018−129680号公報 特開2018−129683号公報
共振回路に弾性波共振器を設けることで、通過帯域と阻止帯域との間の急峻性を高めることができる。しかしながら、温度特性が劣化することがある。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、温度特性を向上させることを目的とする。
本発明は、入力端子と、出力端子と、前記入力端子と前記出力端子との間に接続され、第1減衰極を形成するLC共振回路と、前記入力端子と前記出力端子との間に接続され、通過帯域と前記第1減衰極の間に、温度変化に伴う減衰極の周波数の移動方向が前記第1減衰極の移動方向と同じである第2減衰極を形成する弾性波共振器と、を備えるフィルタである。
上記構成において、前記LC共振回路は、前記入力端子と前記出力端子との間で互いに並列接続されたキャパシタとインダクタとを備え、前記弾性波共振器の一端は、前記キャパシタまたは前記インダクタの一端に接続され、前記弾性波共振器の他端は接地され、前記LC共振回路の共振周波数の温度係数の符号と前記弾性波共振器の温度係数の符号は同じである構成とすることができる。
上記構成において、前記弾性波共振器の共振周波数の温度係数は負であり、前記第1減衰極の周波数は前記通過帯域より低い構成とすることができる。
上記構成において、前記キャパシタは、誘電体層と前記誘電体層を挟む一対の電極を有し、前記誘電体層の誘電率の温度係数は正である構成とすることができる。
上記構成において、前記キャパシタは、前記インダクタに並列接続された2つのキャパシタであり、前記弾性波共振器の一端は前記2つのキャパシタの間のノードに接続される構成とすることができる。
上記構成において、前記LC共振回路は、前記誘電体層を含む積層された複数の誘電体層と前記複数の誘電体層の少なくとも1つの誘電体層に設けられた複数の配線パターンとを含み、前記複数の配線パターンは、前記一対の電極および前記インダクタを含む構成とすることができる。
本発明は、上記フィルタを含むマルチプレクサである。
本発明によれば、温度特性を向上させることができる。
図1は、実施例1に係るフィルタの回路図である。 図2(a)は、実施例1における弾性波共振器の平面図であり、図2(b)は、実施例1における別の弾性波共振器の断面図である。 図3は、実施例1に係るLC部品の断面図である。 図4は、実験に用いたマルチプレクサを示す回路図である。 図5は、実験に用いたフィルタ22の回路図である。 図6(a)および図6(b)は、比較例1におけるフィルタ22の通過特性を示す図である。 図7は、比較例1のマルチプレクサにおけるフィルタ42および44の通過特性を示す図である。 図8は、比較例1のマルチプレクサにおけるフィルタ44の通過特性の温度依存性を示す図である。 図9(a)は、比較例1における部品24の通過特性の温度依存性を示す図、図9(b)は、図9(a)の範囲Aの拡大図である。 図10(a)は、比較例1における弾性波共振器R31の通過特性の温度依存性を示す図、図10(b)は、図10(a)の範囲Aの拡大図である。 図11(a)は、実施例1のシミュレーションにおける部品24の通過特性の温度依存性を示す図、図11(b)は、図11(a)の範囲Aの拡大図である。 図12(a)は、比較例1の実験における部品24の通過特性の温度依存性を示す図、図12(b)は、図12(a)の範囲Aの拡大図である。 図13(a)は、実施例1のシミュレーションにおける部品24の通過特性の温度依存性を示す図、図13(b)は、図13(a)の範囲Aの拡大図である。
以下、図面を参照し本発明の実施例について説明する。
図1は、実施例1に係るフィルタの回路図である。図1に示すように、実施例1に係るフィルタでは、入力端子Tinと出力端子Toutとの間に共振回路20が接続されている。共振回路20は、キャパシタC1、C2およびインダクタL1を備えている。キャパシタC1およびC2は、入力端子Tinと出力端子Toutとの間に直列接続されている。インダクタL1は、入力端子TinとキャパシタC1との間のノードN1と、出力端子ToutとキャパシタC2との間のノードN2と、の間に、キャパシタC1およびC2と並列接続されている。弾性波共振器R1の一端は、キャパシタC1とC2との間のノードN3に接続され、他端はグランド端子に接続されている。
共振回路20は、入力端子Tinと出力端子Toutとの間の通過特性に減衰極を形成する。弾性波共振器R1は、共振回路20が形成する減衰極と通過帯域との間に減衰極を形成する。これにより、通過帯域と阻止帯域との間の急峻性を高めることができる。
図2(a)は、実施例1における弾性波共振器の平面図であり、図2(b)は、実施例1における別の弾性波共振器の断面図である。図2(a)の例では、弾性波共振器R1は弾性表面波共振器である。基板10の上面にIDT(Interdigital Transducer)12と反射器13が設けられている。IDT12は、互いに対向する1対の櫛型電極12aを有する。櫛型電極12aは、複数の電極指12bと複数の電極指12bを接続するバスバー12cとを有する。反射器13は、IDT12の両側に設けられている。IDT12が基板10に弾性表面波を励振する。基板10は、例えば、タンタル酸リチウム基板、ニオブ酸リチウム基板または水晶基板等の圧電基板である。基板10は、例えばサファイア基板、スピネル基板、アルミナ基板、水晶基板またはシリコン基板等の支持基板上に圧電基板が接合された複合基板でもよい。支持基板と圧電基板との間に酸化シリコン膜または窒化アルミニウム膜等の絶縁膜が設けられていてもよい。IDT12および反射器13は例えばアルミニウム膜または銅膜により形成される。基板10上にIDT12および反射器13を覆うように保護膜または温度補償膜が設けられていてもよい。
図2(b)の例では、弾性波共振器R1は圧電薄膜共振器である。基板10上に圧電膜16が設けられている。圧電膜16を挟むように下部電極14および上部電極18が設けられている。下部電極14と基板10との間に空隙15が形成されている。空隙15の代わりに弾性波を反射する音響反射膜が設けられていてもよい。圧電膜16の少なくとも一部を挟み下部電極14と上部電極18とが対向する領域が共振領域17である。共振領域17内の下部電極14および上部電極18は圧電膜16内に、厚み縦振動モードの弾性波を励振する。基板10は、例えばサファイア基板、スピネル基板、アルミナ基板、ガラス基板、水晶基板またはシリコン基板である。下部電極14および上部電極18は例えばルテニウム膜等の金属膜である。圧電膜16は例えば窒化アルミニウム膜である。
弾性波共振器R1として、弾性表面波共振器または圧電薄膜共振器を用いた場合、共振周波数および反共振周波数の温度係数は負である。これにより、弾性波共振器R1により形成される減衰極の温度係数は負となる。例えば、基板10を42°YカットX伝搬タンタル酸リチウム基板を用いた弾性表面波共振器の共振周波数の温度係数は約−40ppm/℃である。
図3は、実施例1に係るLC部品の断面図である。図3に示すように、LC部品30は、複数の誘電体層31aから31eが積層された積層体31を備えている。誘電体層31aから31dの表面にはそれぞれ金属層32aから32dが設けられている。積層体31の下面には端子36が設けられている。誘電体層31aから31dを貫通するビア(図3ではビア34aおよび34dを図示)が設けられている。誘電体層31bを挟む金属層32aおよび32bによりキャパシタC1およびC2が形成される。金属層32cおよび32dによりインダクタL1が形成される。
誘電体層31aから31eは、例えばセラミック材料等の無機絶縁体からなる。誘電体層31aから31eは、例えば主成分としてシリコン(Si)、カルシウム(Ca)およびマグネシウム(Mg)の酸化物(例えばディオブサイドCaMgSi)を主成分とし、例えばチタン酸ストロンチウム(SiTiO)が添加されている。金属層32a、32b、ビア34aおよび34dおよび端子36は、例えば銀(Ag)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、金(Au)、金−パラジウム合金または銀−白金合金を主成分とする金属層である。
誘電体層31aから31eの誘電率が温度により変化すると、並列共振回路の共振周波数が変化する。例えば、インダクタL1のインダクタンスをL、キャパシタC1およびC2の合成キャパシタンスをCとすると、並列共振回路の共振周波数は1/√LCに比例する。よって、誘電体層31aから31eの誘電率の温度係数を所望の値とすることで、共振回路20の共振周波数の温度係数を所望の値にできる。
表1は、誘電体材料の比誘電率の温度係数τf[ppm/℃]、比誘電率εrおよびτf/εrを示す表である。
Figure 2020141336
表1に示すように、MgTiOおよびCaMgSiの比誘電率の温度係数τfは負である。TiO、CaTiO、SrTiO、CaZrOおよびBaZrOの比誘電率の温度係数τfは正である。比誘電率の温度係数が負の誘電体材料と比誘電率の温度係数が正の誘電体材料を適宜混合することで、任意の温度係数τfを実現できる。
発明者らの経験則によると、複数の誘電体材料を混合した場合の比誘電率の温度係数τfおよび比誘電率εrは、混合する各誘電体材料の体積をVi、温度係数をτfiおよび比誘電率をεriとすると、τf=Σ(Vi×τfi)およびεr=Σ(Vi×log(εri))である。例えばCaMgSiにτfが正の誘電体材料を添加してτfを調整するときには、τf/εrが大きい誘電体材料を選択すれば、比誘電率をあまり変えずに、τfを調整できる。そこで、τf/εrが最も大きいSrTiOを添加する場合を考えた。
表2は、CaMgSiとSrTiOとの体積比に対するτfを示す表である。
Figure 2020141336
表2に示すように、CaMgSiとSrTiOとの体積比が0.960と0.040のときτfは0ppm/℃である。SrTiOを減らすとτfは負となり、増やすと正となる。このように、CaMgSiに添加するSrTiOの量を選択することにより、誘電体層31aから31eの比誘電率の温度係数τfを所望の値とすることができる。これにより、共振回路20の共振周波数の温度係数を所望の値にすることができる。
[実験]
図4は、実験に用いたマルチプレクサを示す回路図である。図4に示すように、マルチプレクサは端子Taと端子T1との間に接続されたフィルタ40、端子TaとT2との間に接続されたフィルタ42、および端子TaとT3との間に接続されたフィルタ44を備えている。
フィルタ40はキャパシタC11からC13並びにインダクタL11およびL12を備えている。インダクタL11およびL12は端子TaとT1との間に直列接続されている。キャパシタC11はインダクタL12に並列接続されている。キャパシタC12およびC13は端子TaとT1との間にシャント接続されている。
フィルタ42は、キャパシタC21からC23、インダクタL21およびL22並びに弾性波共振器R21を備えている。キャパシタC21からC23は端子TaとT2との間に直列接続されている。インダクタL21はキャパシタC22およびC23に並列接続されている。インダクタL22および弾性波共振器R21は端子TaとT2との間にシャント接続されている。
フィルタ44は、キャパシタC31からC33、インダクタL31からL33並びに弾性波共振器R31を備えている。キャパシタC31からC33は端子TaとT3との間に直列接続されている。インダクタL31はキャパシタC31およびC32に並列接続され、インダクタL32はキャパシタC33に並列接続されている。インダクタL33および弾性波共振器R31は端子TaとT3との間にシャント接続されている。
フィルタ40、42および44は、ノードN1において共通に接続されている。フィルタ42および44は、ノードN1とN2との間に共通回路として、キャパシタC01およびインダクタL01を有する。キャパシタC01およびインダクタL01は、ノードN1とN2との間に直列接続されている。フィルタ40はローパスフィルタとして機能し、フィルタ42および44はバンドパスフィルタとして機能する。
フィルタ40はローバンドの信号を通過させ、ミドルバンドおよびハイバンドの信号を抑圧する。フィルタ42はミドルバンドの信号を通過させ、ローバンドおよびハイバンドの信号を抑圧する。フィルタ44はハイバンドの信号を通過させ、ローバンドおよびミドルバンドの信号を抑圧する。
ローバンド、ミドルバンドおよびハイバンドは、それぞれ700MHzから960MHz、1710MHzから2200MHzおよび2300MHzから2690MHzである。ローバンド、ミドルバンドおよびハイバンドは、各々LTE(LTE規格(E−UTRA Operating Band))に対応する周波数帯規格(E−UTRA Operating Band)に対応する複数のバンドを含む。
フィルタ42および44の通過帯域はそれぞれミドルバンドおよびハイバンドより広く設けられる。ミドルバンドおよびハイバンドは通過帯域幅が300MHz以上である。このように広帯域のフィルタ42および44はLC回路により形成される。しかし、ミドルバンドとハイバンドとの通過帯域の間隔は100MHzである。このため、フィルタ42および44には通過帯域と阻止帯域との間の急峻性が求められる。しかし、インダクタおよびキャパシタでフィルタを形成すると、急峻性が十分でない。そこで、弾性波共振器R21およびR31を接続する。これにより、フィルタ42および44における急峻性を高めることができる。
[比較例1]
比較例1として、図4の回路のマルチプレクサを作製した。作製条件は以下である。誘電体層の比誘電率の温度係数τfがほぼ0となるように、CaMgSiにSrTiOを添加した。各キャパシタのキャパシタンスおよび各インダクタのインダクタンスを表3とした。
Figure 2020141336
弾性波共振器R21およびR31は、42°回転YカットX伝搬タンタル酸リチウム基板を用いた弾性表面波共振器とし、共振周波数および反共振周波数を以下とした。
R21の共振周波数:2.251GHz、反共振周波数:2.332GHz
R31の共振周波数:2.261GHz、反共振周波数:2.331GHz
図5は、実験に用いたフィルタ22の回路図である。図5に示すように、ハイバンド用のフィルタ44のうちノードN2と端子T3との間をフィルタ22とする。キャパシタC31、32およびインダクタL31は共振回路20を形成する。キャパシタC33とインダクタL32は共振回路21を形成する。共振回路20および21は、図3のような誘電体層を積層した部品24により形成される。キャパシタC31、C32およびインダクタL31はそれぞれ図1のキャパシタC1、C2およびインダクタL1に相当し、弾性波共振器R31は弾性波共振器R1に相当する。
図6(a)および図6(b)は、比較例1におけるフィルタ22の通過特性を示す図である。図6(a)のうちR31は、弾性波共振器R31をシャント接続したときの通過特性であり、24は、部品24(すなわち弾性波共振器R31およびインダクタL33を除いた共振回路20および21)の通過特性である。
図6(a)に示すように、弾性波共振器R31の通過特性では、共振周波数frにより減衰極が形成され、反共振周波数faにおいて減衰量が小さくなっている。部品24では、共振回路20の共振周波数による減衰極A1´および共振回路21の共振周波数によるA3´が形成される。減衰極A1´およびA3´のボトム周波数は、それぞれ共振回路20および21のほぼ共振周波数である。共振周波数frは、減衰極A1´およびA3´の間であって減衰極A1´の高周波側のすそ野に重なるように位置している。
図6(b)に示すように、フィルタ22のノードN2と端子T3との間の通過特性では、主に共振回路20に由来する減衰極A1、主に弾性波共振器R3の共振周波数frに由来する減衰極A2および主に共振回路21に由来する減衰極A3が形成される。減衰極A2とA3との間が通過帯域である通過帯域はハイバンドの帯域HBを含む。減衰極A2により、通過帯域の低周波数側において通過帯域と阻止帯域との減衰量が急峻に変化する。
図7は、比較例1のマルチプレクサにおけるフィルタ42および44の通過特性を示す図である。フィルタ42の端子TaとT2との間の通過特性では、ミドルバンドの帯域MBが通過帯域となり、ハイバンドの帯域HBが阻止帯域となる。フィルタ44の端子TaとT3との間の通過特性では、ハイバンドの帯域HBが通過帯域となり、ミドルバンドの帯域MBが阻止帯域となる。フィルタ42および44とも帯域MBとHBとの間の減衰量の変化が急峻である。これは、弾性波共振器R21およびR31を設けたためである。
環境温度を85℃、25℃および−20℃として、端子TaとT3との間のフィルタ44の通過特性を測定した。図8は、比較例1のマルチプレクサにおけるフィルタ44の通過特性の温度依存性を示す図である。図8に示すように、温度が高くなると、矢印51のように減衰極A1の周波数は高くなり、矢印52のように減衰極A2の周波数は低くなる。
85℃と25℃との間の減衰極A1のボトム周波数の温度係数は+28.3ppm/℃であり、25℃と−20℃との間の減衰極A1のボトム周波数の温度係数は+62.0ppm/℃である。平均すると周波数の温度係数は+42.7ppm/℃である。85℃と25℃との間の減衰極A2のボトム周波数の温度係数は−27.4ppm/℃であり、25℃と−20℃との間の減衰極A2のボトム周波数の温度係数は−29.1ppm/℃である。平均すると周波数の温度係数は−28.1ppm/℃である。
温度が高くなると減衰極A1とA2が近づくため、減衰極A1とA2との間の減衰量のピーク54の大きさが矢印53のように低くなる(減衰量としては大きくなる)。減衰量のピーク54が阻止帯域で最も減衰量が小さいため、ピーク54の大きさの温度変化を抑制することが求められる。
85℃、25℃および−20℃において、ノードN2と端子T3との間の部品24(すなわち共振回路20および21)の通過特性を測定した。図9(a)は、比較例1における部品24の通過特性の温度依存性を示す図、図9(b)は、図9(a)の範囲Aの拡大図である。図9(a)および図9(b)に示すように、温度が変化しても減衰極A1´の周波数はほとんど変化していない。減衰極A1´の減衰量は温度が高くなると大きくなる。このように、部品24では減衰極A1´の周波数の温度変化は小さいが減衰量の大きさが変化する。温度が高くなると、図3の金属層32aから32dおよびビア等の金属部材の電気抵抗が高くなる。金属部材の電気抵抗が高くなると損失が大きくなり、減衰量が大きくなると考えられる。
85℃、25℃および−20℃において、シャント接続した弾性波共振器R31の通過特性を測定した。図10(a)は、比較例1における弾性波共振器R31の通過特性の温度依存性を示す図、図10(b)は、図10(a)の範囲Aの拡大図である。図10(a)および図10(b)に示すように、温度が高くなると共振周波数frは低くなる。共振周波数の温度係数は約−40ppm/℃である。
図8における減衰極A2の温度変化は弾性波共振器R31の共振周波数frの温度変化に起因すると考えられる。減衰極A1のボトム周波数の温度変化は、図9(b)の減衰極A1´の大きさの温度変化と弾性波共振器R31の通過特性の温度変化とが合成されて生じると考えられる。
[実施例1のシミュレーション]
図9(a)および図9(b)の測定結果に基づき、減衰極A1の周波数の温度変化を部品24の誘電体材料の比誘電率の温度変化で補償することを考えた。例えば、部品24の誘電体材料内のSrTiOの添加量を多くし比誘電率の温度係数τfを正とする。これにより、共振回路20の共振周波数の温度係数は負となる。
図8の減衰極A1のボトムの周波数の温度係数+42.7ppm/℃を補償し、さらに、減衰極A1のボトム周波数の温度係数−28.1ppm/℃と同じ温度係数を有するように、部品24の減衰極A1´のボトム周波数の温度係数が−42.7ppm/℃、−28.1ppm/℃、−70.8ppm/℃となるようにした。すなわち、共振回路20の共振周波数の温度係数の絶対値は弾性波共振器R31の共振周波数の温度係数の約1.7〜1.8倍である。
図11(a)は、実施例1のシミュレーションにおける部品24の通過特性の温度依存性を示す図、図11(b)は、図11(a)の範囲Aの拡大図である。シミュレーションにおいて、温度が高くなると減衰極A1´の周波数は低くなる。
図12(a)は、比較例1の実験における部品24の通過特性の温度依存性を示す図、図12(b)は、図12(a)の範囲Aの拡大図である。図12(a)および図12(b)に示すように、比較例1では、減衰極A1とA2との間の減衰量のピーク54の大きさの温度変化が大きい。
図13(a)は、実施例1のシミュレーションにおける部品24の通過特性の温度依存性を示す図、図13(b)は、図13(a)の範囲Aの拡大図である。図13(a)および図13(b)に示すように、実施例1では、減衰量のピーク54の大きさの温度変化が小さい。このように、実施例1では、比較例1に比べ阻止帯域における減衰量の温度変化を小さくできる。
弾性表面波共振器または圧電薄膜共振器等の弾性波共振器R1の共振周波数および反共振周波数の周波数の温度係数を0とすることは難しく、一般的に負である。一方、キャパシタおよびインダクタを有する共振回路20の共振周波数および反共振周波数の温度係数は、表1および表2のように調整可能である。そこで、一般的には共振回路20の共振周波数の温度係数がほぼ0となるように共振回路20を形成する。
しかし、共振回路20は温度により損失が変わり共振回路20が形成する減衰極の減衰量が変化する。このため、弾性波共振器R1と共振回路20との通過特性が合成されると、図8のように減衰極A1のボトムの周波数が温度により変わってしまう。減衰極A1とA2との周波数の温度係数が逆符号の場合、図12(b)のように減衰極A1とA2の間のピーク54の大きさが温度により変化してしまう。
実施例1によれば、主にLC共振回路20により形成される減衰極A1(第1減衰極)の周波数の温度係数の符号と主に弾性波共振器R31が形成する減衰極A2(第2減衰極)の周波数の温度係数の符号を同じとする。すなわち、温度変化に伴う減衰極A2の周波数の移動方向が減衰極A1の移動方向と同じである。これにより、図13(b)のように減衰極A1とA2の間のピーク54の大きさの温度変化を小さくできる。よって、フィルタの温度特性が向上できる。
実施例1では、弾性波共振器R1が入力端子Tinと出力端子Toutとの間にシャント接続されている場合について説明したが、弾性波共振器R1は入力端子Tinと出力端子Toutとの間に直列接続されていてもよい。また、共振回路20が並列共振回路の例を説明したが直列共振回路でもよい。さらに、共振回路20を誘電体層を積層した部品で形成する例を説明したが、共振回路20の少なくとも一部は、LTCC(Low Temperature Co-fired Ceramic)のように部品を搭載する基板内に形成してもよい。共振回路20の少なくとも一部はチップコンデンサまたはチップインダクタでもよい。これらの場合においても、ピーク54の大きさの温度変化を小さくできる。
減衰極A1の周波数の温度係数の絶対値と減衰極A2の周波数の温度係数の絶対値との平均に対する、減衰極A1の周波数の温度係数の絶対値と減衰極A2の周波数の温度係数の絶対値との差の比は、0.9以下が好ましく、0.5以下がより好ましく、0.2以下がさらに好ましい。これにより、ピーク54の大きさの温度変化をより小さくできる。
共振回路20が入力端子Tinと出力端子Toutとの間に並列接続されたキャパシタとインダクタとを備える並列共振回路のとき、共振回路20の共振周波数に主に由来する減衰極A1が形成される。弾性波共振器R1の一端がキャパシタまたはインダクタの一端に接続され、弾性波共振器R1の他端は接地されるとき、弾性波共振器R1の共振周波数に主に由来する減衰極A2が形成される。このとき、共振回路20の共振周波数の温度係数の符号と弾性波共振器R1の共振周波数の温度係数の符号とを同じとする。これにより、減衰極A1の周波数の温度係数の符号と減衰極A2の周波数の温度係数の符号とを同じにできる。
弾性波共振器R1の共振周波数の温度係数の絶対値に対する、共振回路20の共振周波数の温度係数の絶対値の比は、0.2以上かつ3.2以下が好ましく、0.5以上かつ2.9以下がより好ましく、1.0以上かつ2.2以下がさらに好ましい。これにより、ピーク54の大きさの温度変化をより小さくできる。
弾性波共振器R1の共振周波数frの温度係数は一般的に負である。このとき、減衰極A1を通過帯域より低くする。共振回路20のキャパシタの比誘電率の温度係数がほぼ0の場合を考える。共振回路20に起因する減衰極A1´は温度が高くなると減衰量が大きくなる。一方、弾性波共振器R1の共振周波数frは、減衰極A1の高周波側に形成されかつ温度が高くなると低周波側に移動する。このため、減衰極A1´と共振周波数frが合成されると、減衰極A1の高周波側の減衰量が大きくなり、減衰極A1のボトムの周波数が図8の矢印51のように高くなる。よって、減衰極A1とA2との間のピーク54の大きさの温度変化が大きくなる。このように、共振回路20の共振周波数の温度係数をほぼ0とすると、ピーク54の大きさの温度変化が大きくなる。そこで、減衰極A1とA2の周波数の温度係数の符号を同じとする。これにより、ピーク54の大きさの温度変化を小さくできる。
図3のように、キャパシタC1およびC2は、誘電体層31bと誘電体層31bを挟む一対の金属層32aおよび32b(電極)を有している。このとき、誘電体層31bの誘電率の温度係数を正とする。並列共振回路のインダクタのインダクタンスをL、キャパシタのキャパシタンスをCとすると、並列共振回路の共振周波数は1/√LCである。よって、減衰極A1の周波数の温度係数は負となる。これにより、減衰極A1とA2の温度係数の符号がともに負となり、ピーク54の温度変化を小さくできる。
共振回路20は、インダクタL1に並列接続された2つのキャパシタC1およびC2を備えている。弾性波共振器R1の一端は2つのキャパシタC1およびC2の間のノードN3に接続される。これにより、通過帯域と阻止帯域との間の減衰量の変化を急峻にできる。
図3のように、共振回路20は、LC部品30のように積層された複数の誘電体層31aから31eと複数の誘電体層31aから31eの少なくとも1つの誘電体層に設けられた金属層32aから32d(配線パターン)とを含む。金属層32aから32dは、キャパシタC1およびC2の電極およびインダクタL1を含む。このように、積層部品の場合、誘電体層31aから31eの組成を変えることで、誘電体層の誘電率の温度係数を任意に設定することができる。
実施例1のフィルタを適用するマルチプレクサの例として3つのフィルタ40、42および44を有するトリプレクサを例に説明したが、マルチプレクサはダイプレクサ、デュプレクサまたはクワッドプレクサでもよい。
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
20、21 共振回路
22、40、42、44 フィルタ
24、30 部品
31a−31e 誘電体層
32a−32d 金属層

Claims (7)

  1. 入力端子と、
    出力端子と、
    前記入力端子と前記出力端子との間に接続され、第1減衰極を形成するLC共振回路と、
    前記入力端子と前記出力端子との間に接続され、通過帯域と前記第1減衰極の間に、温度変化に伴う減衰極の周波数の移動方向が前記第1減衰極の移動方向と同じである第2減衰極を形成する弾性波共振器と、
    を備えるフィルタ。
  2. 前記LC共振回路は、前記入力端子と前記出力端子との間で互いに並列接続されたキャパシタとインダクタとを備え、
    前記弾性波共振器の一端は、前記キャパシタまたは前記インダクタの一端に接続され、前記弾性波共振器の他端は接地され、
    前記LC共振回路の共振周波数の温度係数の符号と前記弾性波共振器の温度係数の符号は同じである請求項1に記載のフィルタ。
  3. 前記弾性波共振器の共振周波数の温度係数は負であり、
    前記第1減衰極の周波数は前記通過帯域より低い請求項2に記載のフィルタ。
  4. 前記キャパシタは、誘電体層と前記誘電体層を挟む一対の電極を有し、
    前記誘電体層の誘電率の温度係数は正である請求項3に記載のフィルタ。
  5. 前記キャパシタは、前記インダクタに並列接続された2つのキャパシタであり、
    前記弾性波共振器の一端は前記2つのキャパシタの間のノードに接続される請求項2から4のいずれか一項に記載のフィルタ。
  6. 前記LC共振回路は、前記誘電体層を含む積層された複数の誘電体層と前記複数の誘電体層の少なくとも1つの誘電体層に設けられた複数の配線パターンとを含み、
    前記複数の配線パターンは、前記一対の電極および前記インダクタを含む請求項4に記載のフィルタ。
  7. 請求項1から6のいずれか一項に記載のフィルタを含むマルチプレクサ。
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