JP2020138922A - 脱水溶媒の調製方法 - Google Patents

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吉明 村上
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源 坪内
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敦紀 森
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【課題】取扱いが容易で温和な条件の下、簡便な操作で短時間に、経済的かつ効率的に、脱水対象溶媒から水分を除去することができる脱水溶媒の調製方法を提供する。【解決手段】脱水溶媒の調製方法は、アルカリ金属を分散溶媒に分散させた分散体を脱水対象溶媒に接触させ、脱水対象溶媒中に含まれる水分を除去して脱水溶媒を調製する工程を含んでいる。【選択図】なし

Description

本発明は、脱水溶媒の調製方法に関する。
有機化学反応においては、水分の存在は微量であったとしても反応に影響を与える。例えば、潮解性の化合物は水分の存在により物性が変化したり、有機金属試薬等を用いる禁水性反応等においては水分の存在により反応の進行が妨害されたりする等の問題が生じる。また、厳密な禁水性環境を要求しない反応であっても、水分の存在により目的化合物の収率が低下する等、反応への影響が認められることがある。このような状態を避けるべく、反応の直前や後処理において反応溶媒として用いる溶媒から水分を除去し脱水することが必要となる。特に、有機化学反応の多くは、反応基質に対して大量の反応溶媒中で行われるため、反応溶媒が水分を含む場合、たとえ低濃度であっても総量としては大きくなり、反応に影響を与える。そのため、反応溶媒として用いる溶媒から水分を極力除去する必要がある。
そこで、従来において多種多様な溶媒の脱水方法の構築が進められ、例えば、アルカリ金属を用いる方法、モレキュラーシーブを用いる方法、Grubbsカラムを用いる方法、蒸留による方法等が報告されている。
ここで、アルカリ金属を用いる方法は、脱水対象溶媒に、金属ナトリウムや金属カリウム等のアルカリ金属の金属塊やワイヤーを添加することで、アルカリ金属が溶媒中に含まれる水分と反応し、溶媒中に含まれる水分を除去するものである(例えば、非特許文献1を参照)。当該方法では、脱水対象溶媒が水分を含まないことを目視確認するためにベンゾフェノンを添加することができる。これにより、溶媒が水分を含まない場合にはアルカリ金属からベンゾフェノンが一電子還元を受けアルカリ金属−ベンゾフェノンケチルを生成する。かかるアルカリ金属−ベンゾフェノンケチルは濃青色を呈するため、外観から溶媒の脱水状態を目視にて確認することができる。
モレキュラーシーブを用いる方法は、多孔質粒状物質であるモレキュラーシーブを、脱水対象溶媒の種類に応じて選択し添加して、溶媒中に含まれる水分子を吸着させることにより、溶媒中の水分を除去するものである(例えば、非特許文献1を参照)。水分子を吸着したモレキュラーシーブは、真空、減圧、又は、マイクロ波加熱等により水分を除去することで再利用することができる。
Grubbsカラムを用いる方法は、窒素やアルゴン等の不活性ガスを導入することにより、密閉容器に封入された脱水対象溶媒を配管側へ移動させ、モレキュラーシーブやアルミナ等の脱水材を充填したカラム内に導入し、溶媒中の水分子を脱水材に吸着させるように構成したシステムを構築し、これにより溶媒中の水分を除去するものである(例えば、非特許文献2を参照)。
蒸留による方法は、脱水対象溶媒と水の沸点の違いを利用して分離する分留により、溶媒中の水分を除去するものである。したがって、水との沸点が大きく異なる等、蒸留操作のみで水との分離が可能な溶媒であれば、当該方法を用いることで溶媒中の水分を除去することができる。
また、市販の脱水溶媒をそのまま利用することができ、ガラス瓶等に封入された脱水溶媒は開封直後であれば、そのまま問題なく禁水性反応等にも利用することができる。
D. Bradley他著, The Journal of Organic Chemistry, 2010, 75 (24), p 8351-8354 Amy B. Pangborn他著, Organometallics, 1996, 15 (5), p 1518-1520
しかしながら、上記した従来法は、何れも解決すべき課題がある。アルカリ金属を用いる方法の場合には、例えば、THFのような溶媒に適用すると、アルカリ金属が溶媒からプロトンを引き抜くことでラジカルが形成する。このときに、フラスコ等の容器内に酸素の流入が起こると、爆発の危険性がある過酸化物が副生成するおそれがある。また、アルカリ金属を金属塊として用いる場合には、金属塊は比表面積が小さいことから、十分な脱水効果を得るためにアルカリ金属を過剰に添加することが一般的である。脱水後に、残留したアルカリ金属を水やメタノール等のプロトン性溶媒を添加して失活させるが、金属塊を用いた場合、ヘドロ状になったアルカリ金属を失活させる必要が生じ、このような大量のアルカリ金属の失活処理は危険を伴う。また、脱水対象溶媒が、上記したTHF等であった場合には、アルカリ金属を除去する際に、酸素に接触したTHFから過酸化物が副生成するおそれがある。
モレキュラーシーブを用いる方法は、穏やかな条件下で安全かつ簡便に溶媒から水分を除去できるが、繰返し使用するために、例えば、ロータリーエバポレーター等を用いての減圧乾燥を行うとモレキュラーシーブが微粉砕されるおそれがある。微粉砕されたモレキュラーシーブを溶媒中に戻すと、水分を吸湿したモレキュラーシーブが溶媒中で浮遊し、溶媒中の水分を充分に除去できないという問題が生じるおそれがある。また、溶媒が充分に脱水されているかどうかを確認するためには、カールフィッシャー水分測定装置を用いた分析を行う必要があり煩雑であるという問題もある。
Grubbsカラムを用いる方法は、安全かつ継続的に脱水対象溶媒に含まれる水分の除去を行うことができるが、1種類の溶媒に対して1のカラムシステムを要し、また、当該カラムシステムは非常に高価である。そのため、当該カラムシステムの設置には、経済的及び空間的な制約が大きい。特に、有機合成研究においては、合成条件の検討に際して多種多様な溶媒を用いるものであるが、溶媒毎に当該カラムシステムを導入することは非現実的であるという問題がある。
蒸留による方法は簡便な方法ではあるが、利用できる溶媒に制限がある。例えば、水と沸点が近い溶媒や水と共沸混合物を形成する溶媒等は、蒸留によっては効果的に水分を除去することができない。
また、市販の脱水溶媒の利用は、脱水溶媒を取得する方法としては最も簡便であるが、一旦使用した後は、脱水された状態を長期間保つことができない。そのため、使用に際してその都度、脱水溶媒を購入する必要が生じ、極めて不経済であり、また、環境負荷も高くなる。
そこで、取扱いが容易で温和な条件の下、簡便な操作で短時間に、経済的かつ効率的に、脱水対象溶媒から水分を除去することができる脱水溶媒の調製方法が求められている。
本発明者らは、上記課題を解決すべく研究を重ねた結果、取り扱いが容易なアルカリ金属を分散溶媒に分散させた分散体を用いることにより、安全かつ簡便に、脱水対象溶媒から水分を除去できることを見出した。また、アルカリ金属を分散溶媒に分散させた分散体は、比表面積が大きいことから、反応性が高く、効率良く溶媒から水分を除去することができる。更に、煩雑で高コストな設備や装置等を必要とするものでもなく、経済的にも有利である。本発明者らは、これらの知見に基づき本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、脱水溶媒の調製方法に関するものであり、その特徴構成は、アルカリ金属を分散溶媒に分散させた分散体を脱水対象溶媒に接触させ、前記脱水対象溶媒中に含まれる水分を除去して脱水溶媒を調製する工程を含む、点にある。
本構成によれば、脱水対象溶媒から水分を除去することにより脱水溶媒を得る脱水溶媒の調製方法を提供することができる。本構成の脱水溶媒の調製方法は、取り扱いが容易なアルカリ金属を分散溶媒に分散させた分散体を用いることから、安全に脱水対象溶媒から水分を除去でき、また、煩雑な化学的手法を必要とせず、簡便に脱水溶媒を調製することができる。したがって、使用に際して危険を伴う試薬類を用いることもない。更に、アルカリ金属を分散溶媒に分散させた分散体は、比表面積が大きいことから、反応性が高く、安定的かつ効率的に脱水対象溶媒から水分を短時間に除去することができる。更に、煩雑で高コストな設備や装置等を必要とするものでもなく経済的に有利である。したがって、本構成の脱水溶媒の調製方法は、有機合成反応において目的とする化合物の収率の向上を図る場合や、有機金属化合物を用いる反応等の反応溶媒を充分に脱水させる必要がある場合等に好適に利用でき、医農薬及び電子材料等の機能性材料の合成等の様々な技術分野において利用することができる。
他の特徴構成は、前記アルカリ金属を分散溶媒に分散させた分散体のアルカリ金属含有量が、5重量%以上35重量%以下である、点にある。
本構成によれば、アルカリ金属を分散溶媒に分散させた分散体におけるアルカリ金属含有量の好適化により、更に効率よく脱水対象溶媒中に含まれる水分を除去することができる。
他の特徴構成は、前記脱水対象溶媒を、前記脱水対象溶媒の沸点以上に加熱して蒸留する工程を含む、点にある。
本構成によれば、脱水対象溶媒を蒸留することにより、更に、高純度な脱水溶媒を調製することができる。また、分散溶媒として、鉱物油のような高沸点な溶媒を使用すると、蒸留の際に共沸されにくく、脱水溶媒への分散溶媒の混入が起こりにくくなる。
他の特徴構成は、前記脱水対象溶媒にベンゾフェノン又はナフタレンを添加する工程を含む、点にある。
本構成によれば、水分の指示薬として機能することができるベンゾフェノン又はナフタレンを添加することにより、脱水対象溶媒の脱水状況を目視で容易に確認することができる。
以下、本発明の実施形態に係る脱水溶媒の調製方法について詳細に説明する。ただし、本発明は、後述する実施形態に限定されるものではない。
本実施形態に係る脱水溶媒の調製方法は、アルカリ金属を分散溶媒に分散させた分散体を脱水対象溶媒に接触させ、前記脱水対象溶媒中に含まれる水分を除去して脱水溶媒を調製する工程を含むものである。
本実施形態に係る脱水溶媒の調製方法において、脱水対象溶媒は、当該技術分野で公知の有機溶媒の何れであってもよい。例えば、非プロトン性極性溶媒であるテトラヒドロフラン(以下「THF」と略する場合がある)、ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒、極性溶媒であるジオキサン、ノルマルデカン、ノルマルヘキサン、ノルマルへプタン、ノルマルペンタン等のノルマルパラフィン系、ジエチルエーテル、ジメチルエーテル等のエーテル系溶媒、キシレン、トルエン等の芳香族系溶媒等を対象とすることができる。
特に、本実施形態の脱水溶媒の調製方法は、水と混和する性質を有する溶媒を好適に脱水対象溶媒とすることができ、当該溶媒中に混和した水分を効率的に除去することができる。このような溶媒としては極性溶媒の他、非極性溶媒であってもジオキサン等のように水と混和するものが例示される。
また、本実施形態の脱水溶媒の調製方法は、水と沸点が近く、また、水と共沸する性質を有する溶媒をも好適に脱水対象溶媒とすることができる。このような溶媒は、蒸留のみでは、溶媒中に混和した水分を充分に除去することが困難であったが、本実施形態の脱水溶媒の調製方法によれば、当該溶媒中に混和した水分を効率的に除去することができる。このような溶媒としては、THF(沸点66℃)、ノルマルヘキサン(沸点69℃)、1,2-ジメトキシエタン(沸点)、1,4-ジオキサン(沸点101℃)、等のように、水の沸点(100℃)と(+/-)40℃以下の相違しかない溶媒が例示され、特に、(+/-)10℃以下の相違しかない溶媒に対して、本実施形態に係る脱水溶媒の調製方法を適用することができる。なお、本明細書において、沸点は、一気圧(760mm Hg)下で測定されたものである。
本実施形態に係る脱水溶媒の調製方法で用いるアルカリ金属を分散溶媒に分散させた分散体は、アルカリ金属を微粒子として不溶性の分散溶媒に分散させたものである。アルカリ金属としては、ナトリウム、カリウム、リチウムやこれらの金属を含む合金等が挙げられる。微粒子の平均粒子径として、好ましくは、10μm未満であり、特に好ましくは、5μm未満のものを用いることができる。平均粒子径は、顕微鏡写真の画像解析によって得られた投影面積と同等の投影面積を有する球の径で表した。
以下、アルカリ金属を分散溶媒に分散させた分散体につき、「SD」と略する場合がある。SDは、Sodium Dispersionの略号であり、下記で説明する実施例ではアルカリ金属としてナトリウムを用いた分散体を用いることからSDの符号を付している。しかしながら、SDの符号がナトリウム以外のアルカリ金属を除外するものではない。
分散溶媒としては、アルカリ金属を微粒子として分散、又はアルカリ金属を液体の状態で不溶性溶媒に分散できる限り、当該技術分野で公知の溶媒を用いることができる。例えば、ノルマルデカン、ノルマルヘキサン、ノルマルへプタン、ノルマルペンタン等のノルマルパラフィン系溶媒等の鉱物油、キシレン、トルエン等の芳香族系溶媒や、テトラヒドロチオフェン等の複素環化合物溶媒等が挙げられる。また、脱水溶媒の調製において、蒸留操作を行わない場合は、上記候補の溶媒を混合させて混合溶媒として使用しても良い。
SDのアルカリ金属の含有量に特に制限はないが、好ましくは、アルカリ金属を5重量%以上35重量%以下で含むものを用いることできる。アルカリ金属含有量を当該範囲内とすることにより、特に効率よく脱水対象溶媒中に含まれる水分を除去することができる。
本実施形態に係る脱水溶媒の調製方法において、SDと脱水対象溶媒との接触は、当該技術分野で公知の手法により行うことができる。例えば、脱水対象溶媒にSDを添加し、必要に応じて、撹拌又は振とう等を行うことができる。撹拌は、例えば、撹拌翼やマグネティックスターラー等を利用して行うことができ、振とうは、例えば、振とう機等を利用して行うことができる。また、SDと脱水対象溶媒の接触は、大気中に含まれる水分の混和を防ぐ等の観点から、アルゴンガスや窒素ガス等を充填した不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
本実施形態に係る脱水溶媒の調製方法において、SDを脱水対象溶媒と接触させることにより、SDが脱水対象溶媒中に含まれる水分と反応する。かかる反応により、アルカリ金属の水酸化物と水素が生成し、脱水対象溶媒中に含まれる水分を除去することができ、これにより、脱水溶媒を調製するものである。本実施形態に係る脱水溶媒の調製方法により調製された脱水溶媒には、SDに由来するアルカリ金属の水酸化物や鉱物油等の分散溶媒等は含まれず、高純度な脱水溶媒を調製することができる。
また、本実施形態に係る脱水溶媒の調製方法は、SDを用いることからアルカリ金属の比表面積が大きくなり、効率的に脱水対象溶媒中の水分と反応して水分を除去することができる。アルカリ金属の金属塊等を用いる場合と比較して、少量のSDで効果的に脱水対象溶媒中に含まれる水分を除去することができる。したがって、安全かつ効率的に脱水溶媒を調製することができる。
したがって、本実施形態に係る脱水溶媒の調製方法によれば、簡便かつ安全に脱水溶媒を調製でき、かかる脱水溶媒は、有機金属化合物を用いる反応等の反応溶媒を充分に脱水させる必要がある禁水性反応等に好適に利用することができる。また、厳密な禁水性環境を要求しない有機化学合成反応においても、水分を充分に除去することにより、目的とする化合物の収率の向上を図ることができ、このような反応にも本実施形態に係る脱水溶媒の調製方法は好適に利用することができる。医農薬及び電子材料等の機能性材料の合成等の様々な技術分野において利用することができ、特には、多種多様な溶媒を少量ずつ使用する有機化学研究において好適に利用することができる。
(別実施形態1)
別実施形態1の脱水溶媒の調製方法においては、上述した実施形態に係る脱水溶媒の調製方法に加えて、脱水対象溶媒を、当該脱水対象溶媒の沸点以上に加熱して蒸留する工程を含めることができる。蒸留は、当該技術分野で公知の手法により行うことができる。例えば、蒸留装置を用いる方法により行うことができ、常圧蒸留であっても、減圧蒸留であってもよい。加熱は、例えば、脱水対象溶媒の沸点よりも高い温度に設定したオイルバス等を用いて行うことができる。
(別実施形態2)
別実施形態2の脱水溶媒の調製方法においては、上述した実施形態に係る脱水溶媒の調製方法に加えて、脱水対象溶媒にベンゾフェノンを添加する工程を含めることができる。ベンゾフェノンは、溶媒中で、SDにより一電子還元を受けて濃青色のベンゾフェノンケチル(ラジカル)を生成する。しかしながら、生成したアルカリ金属−ベンゾフェノンケチルは非常に不安定な錯体であるため、溶媒中に水分が存在すると水分と反応し濃青色は消失する。したがって、ベンゾフェノンは水分の指示薬として機能することができ、溶媒の脱水状態を目視で確認することができる。なお、別実施形態2の脱水溶媒の調製方法は、ベンゾフェノンケチルが水分だけではなく、大気中の酸素とも反応することから、アルゴンガスや窒素ガス等を充填した不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
また、脱水対象溶媒にナフタレンを添加する工程を含めても良い。ナフタレンは、溶媒中で、SDにより一電子還元を受けて濃緑色のナフタレニド(ラジカル)を生成する。しかしながら、生成したアルカリ金属−ナフタレニドは非常に不安定な錯体であるため、溶媒中に水分が存在すると水分と反応し濃緑色は消失する。したがって、ナフタレンは水分の指示薬として機能することができ、溶媒の脱水状態を目視で確認することができる。なお、別実施形態2の脱水溶媒の調製方法は、ナフタレニドが水分だけではなく、大気中の酸素とも反応することから、アルゴンガスや窒素ガス等を充填した不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。また、ベンゾフェノンとナフタレン以外の物質を指示薬として使用しても良い。
(別実施形態3)
別実施形態3の脱水溶媒の調製方法においては、上述した本実施形態に係る脱水溶媒の調製方法に加えて、脱水溶媒の調製後に未反応で残留したSDを失活させる工程を含めることができる。失活は、例えば、水やメタノール等のプロトン性溶媒を添加することにより行うことができ、かかる失活は安全に行うことができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例におけるSDとしては、金属ナトリウムを微粒子として鉱物油に分散させた分散体を使用した。
実施例1.SDを用いる脱水溶媒の調製検討
本実施例では、SDを用いて各種溶媒から水分を除去し、脱水溶媒を調製することを検討した。
(実験番号1)THF
マグネチックスターラーバー、蒸留ヘッド、及び、窒素導入口を備えた200 mlの二口丸底フラスコに、水分含有量が31.80 ppmであるTHF 50 mlを導入し、フラスコを85℃のオイルバスに浸した。ベンゾフェノン(50 mg:終濃度1 mg/ml)をTHF中に添加した。このとき、THFは、無色透明であった。続いて、THFに、鉱物油中に25重量%のナトリウムを含むSDを(70 mg)を滴下すると、直ちにTHFが濃青色に変化した。THFを2時間還流した後、蒸留ヘッドに捕集した。得られた脱水されたTHFをシリンジで分取し、カールフィッシャー滴定を行った(カールフィッシャー水分測定装置(CA-21、三菱ケミカル株式会社))。その結果を表1に示す。結果より、7.23 ppmにまで水分が除去されたことが確認された。
(実験番号2)THF
SDとして、鉱物油中に40重量%のナトリウムを含むものを用いた以外は、実験番号1と同様にして、THFの脱水について検討した。その結果を表1に示す。結果より、実験番号1より除去率は劣るが17.34 ppmにまで水分が除去されたことが確認された。
(実験番号3)ジエチルエーテル
実験番号1と同様にして、水分含有量が123.0 ppmであるジエチルエーテルの脱水について検討した。なお、オイルバスの温度は、ジエチルエーテルの沸点が35℃であることから40℃に設定した。その結果を表1に示す。結果より、6.84 ppmにまで水分が除去されたことが確認された。
(実験番号4)ヘキサン
実験番号1と同様にして、水分含有量が33.06 ppmであるヘキサンの脱水について検討した。なお、オイルバスの温度は、ヘキサンの沸点が69℃であることから90℃に設定した。その結果を表1に示す。結果より、3.80 ppmにまで水分が除去されたことが確認された。
(実験番号5)1,2-ジメトキシエタン
実験番号1と同様にして、水分含有量が156.8 ppmである1,2-ジメトキシエタンの脱水について検討した。なお、オイルバスの温度は、1,2-ジメトキシエタンの沸点が82℃であることから110℃に設定した。結果を表1に示す。その結果、6.82 ppmにまで水分が除去されたことが確認された。
(実験番号6)1,4-ジオキサン
実験番号1と同様にして、水分含有量が60.47 ppmである1,4-ジオキサンの脱水について検討した。なお、オイルバスの温度は、1,4-ジオキサンの沸点が101℃であることから140℃に設定した。その結果を表1に示す。結果より、5.74 ppmにまで水分が除去されたことが確認された。
Figure 2020138922
(実験番号7)
上記実験番号1〜6においては25重量%のSDを用いて検討を行ったが、実験番号7では、5重量%のSDを用いて検討を行った。溶媒としては、水分含有量が22.49 ppmのTHFの脱水について検討を行った。詳細には、マグネチックスターラーバー、蒸留ヘッド、及び、窒素導入口を備えた200 mlの二口丸底フラスコに、水分含有量が22.49 ppmであるTHF 30 mlを導入し、フラスコを85℃のオイルバスに浸した。ベンゾフェノン(50 mg)をTHF中に添加した。このとき、THFは、無色透明であった。続いて、THFに、鉱物油中に5重量%のナトリウムを含むSDを添加しところ、1158 mg添加した時点でTHFに色の変化はなく、脱水されたことを示す青色には変化しなかった(正味のNa量は57.9 mg)。そのままTHFを90℃のオイルバスで還流を続けたところ、THFは濃青色に変化した。THFを蒸留ヘッドに捕集し、得られた脱水されたTHFをシリンジで分取し、カールフィッシャー滴定を行った(カールフィッシャー水分測定装置(CA-21、三菱ケミカル株式会社))。滴定結果より、10.03 ppmにまで水分が除去されたことが確認された。
実験番号1〜7で得られた脱水溶媒を、1H HMRスペクトル、及び、ガスクロマトグラフィー(GC)で分析した。1H HMR(400 MHz)スペクトルは、JEOL ECZ spectrometer / CDCl3にて測定し、GC分析は、ヘリウム(キャリアガス)、流速2〜4 mL/分、カラム温度35〜320℃、水素炎イオン化型検出器を用いて、HP-5 ms (0.32 mm × 30 m)キャピラリーカラムを備えるAgilent 7890A(日鉄住金テクノロジー株式会社)により行った。その結果、脱水溶媒にはSD由来の鉱物油によるコンタミネーションはほとんど確認されなかった。
比較例1.金属塊を用いる脱水溶媒の調製検討
比較例では、アルカリ金属の金属塊を用いて溶媒から水分を除去し、脱水溶媒を調製することを検討した。
上記実施例1の実験番号1等で用いたSDに含まれるナトリウムの重量比で10倍のナトリウムの金属塊とベンゾフェノンを用いて、THFの脱水について検討した。しかしながら、ナトリウム−ベンゾフェノンケチルの形成が認められず、金属塊を用いる場合には、SDに比べて大量の金属塊とベンゾフェノンが必要であることが判明した。
本発明は、溶媒を利用する有機合成分野等をはじめとする全ての技術分野、特には、有機金属化合物を用いる反応等の反応溶媒を充分に脱水させる必要がある反応等に特に好適利用でき、医農薬や電子材料等の機能性材料の製造分野において特に有用である。

Claims (4)

  1. アルカリ金属を分散溶媒に分散させた分散体を脱水対象溶媒に接触させ、前記脱水対象溶媒中に含まれる水分を除去して脱水溶媒を調製する工程を含む、脱水溶媒の調製方法。
  2. 前記アルカリ金属を分散溶媒に分散させた分散体のアルカリ金属含有量が、5重量%以上35重量%以下である請求項1に記載の脱水溶媒の調製方法。
  3. 前記脱水対象溶媒を、前記脱水対象溶媒の沸点以上に加熱して蒸留する工程を含む、請求項1又は2に記載の脱水溶媒の調製方法。
  4. 前記脱水対象溶媒にベンゾフェノン又はナフタレンを添加する工程を含む、請求項1〜3の何れか一項に記載の脱水溶媒の調製方法。
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