以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明を具体化した一例にすぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
[駅務システム100]
図1は、本発明の実施形態に係る駅務システム100(本発明の機器操作システムの一例)を示すネットワーク図である。駅務システム100は、鉄道事業者が運営管理する鉄道の駅8の券売所6に設けられた複数の券売機1、改札口7に設けられた複数の自動改札機3などの駅務機器に適用される。券売機1及び自動改札機3は、本発明の機器の一例である。図1に示すように、駅務システム100は、券売機1、自動改札機3、操作端末2、駅サーバ4、及び、センタ装置5などを含んで構成されている。
駅8には複数の駅務機器が属しており、具体的には、券売機1、操作端末2、自動改札機3、駅サーバ4、精算機(不図示)などの駅務機器が駅8の改札口7の周辺に設置されている。これらの駅務機器は、LAN等のネットワークN1を介して互いに通信可能に接続されている。また、駅8の駅サーバ4は、専用回線や公衆回線等のネットワークN2を介して、鉄道事業者(鉄道会社)が管理するサーバ装置であるセンタ装置5に通信可能に接続されている。センタ装置5は、駅8を含む鉄道事業を運営する鉄道事業者が管理する中央監視装置であり、鉄道事業者が運営する全ての駅8の駅サーバ4、券売機1、自動改札機3などの駅務機器を管理する。図1に示すように、センタ装置5は、無線によりネットワークN2に接続し、所定の通信プロトコルに従って、ネットワークN2を介して駅サーバ4、他の駅務機器との間でデータ通信を実行する。
なお、本発明の機器操作システムは、駅8の駅務機器に適用されるものに限られず、例えば、空港に設置される発券機、通行セキュリティゲートなどの機器や、有料道路の料金所に定められた複数のETCゲートに設けられた自動ゲート装置にも適用可能である。
ここで、複数の駅務機器において異常、故障、メンテナンス通知などのイベントが発生した場合に、駅係員、保守員などの作業員は、操作端末2を用いて、イベントが発生した駅務機器の修理、点検、復帰などの作業を行う。操作端末2は、各作業員が所持する携帯端末装置である。操作端末2は、本発明の操作端末の一例である。以下では、駅務機器の一例として、券売機1を挙げて説明する。
例えば、複数の券売機1のうち特定の券売機1において異常が発生した場合に、券売機1は異常を外部に報知する。例えば、券売機1は、駅サーバ4に異常信号を送信してもよいし、異常音をスピーカーから出力してもよいし、警告灯を点灯させてもよい。作業員は、券売機1の異常を認識すると、自身の操作端末2を持って券売所6に向かう。
なお、券売所6は、乗車券などを購入するために券売機1を利用する利用者がアクセスするエリア(フロントヤード)と、作業員が券売機1の保守作業を行うためにアクセスするエリア(バックヤード、券売機室)とが含まれる。作業員は、主に券売機室に進入して券売機1の背面側(図3のA方向)から保守作業を行う。
作業員が操作端末2を持って複数の券売機1に近づくと、操作端末2は、操作端末2から所定の通信エリアに属する1又は複数の券売機1と接続する。操作端末2に接続された1又は複数の券売機1の中に異常が発生している券売機1が存在する場合、操作端末2は、自身の表示部(後述の操作表示部23)に当該券売機1を操作するための操作画面(図10等参照)を表示する。作業員は、前記操作画面を見ながら前記券売機1の保守作業を行う。
この構成によれば、作業員の操作端末2と券売機1とが通信可能な状態になると、券売機1にイベントが発生している場合に、当該券売機1を操作可能な操作画面が操作端末2に表示される。このため、作業員は、操作端末2において、複数の券売機1の中からイベントが発生している券売機1を選択したり、当該券売機1用の操作画面を選択したりする必要がない。よって、簡易な構成により操作端末2をイベントが発生している券売機1に操作可能に接続することが可能となる。
以下、駅務システム100が適用される券売機1及び操作端末2の構成について説明する。
[券売機1]
図2は、券売機1の構成を示すブロック図であり、図3は、券売機1の外観を示す斜視図である。
券売機1は、駅8の券売所6に設置されるものであり、利用者に対して発券処理などを行う。また券売機1は、複数台が並んで配置される。
券売機1は、制御部11、記憶部12、操作表示部13、発券部14、貨幣処理部15、カード処理部16、通信部17、無線通信部18、LED19などを備える。複数の券売機1のそれぞれは、互いに同一の構成を備える。
通信部17は、券売機1を有線又は無線でネットワークN1に接続し、所定の通信プロトコルに従って、ネットワークN1を介して自動改札機3、駅サーバ4などの駅務機器との間でデータ通信を実行するための通信インターフェースである。
無線通信部18は、券売機1を無線でネットワークに接続し、所定の通信プロトコルに従って、ネットワークを介して操作端末2との間でデータ通信を実行するための通信インターフェースである。すなわち、無線通信部18は、操作端末2との間における無線通信を行う。例えば、無線通信部18は、無線LAN、Wi−Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)などを利用した無線通信を行う。無線通信部18が通信可能な通信エリアは、通信方式に応じて適宜設定される。
記憶部12は、各種の情報を記憶するHDD又はSSDなどを含む不揮発性の記憶媒体である。記憶部12には、券売機1で実行される各種演算処理を制御部11に実行させるための制御プログラム、前記各種演算処理に用いられる各種のデータなどが記憶されている。また、記憶部12には、乗車券などの券を発券するための各種情報、例えば、区間、料金、日時、時刻表などの情報が記憶されている。
操作表示部13は、各種の情報を表示する液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイのような表示部と、操作を受け付けるマウス、キーボード、又はタッチパネルなどの操作部とを備えるユーザインターフェースである。図3に示すように、操作表示部13は、券売機1の本体正面に設けられ、利用者が乗車券を購入したり、ICカードに金額をチャージしたりするための操作画面などを表示する。また図3に示すように、操作表示部13の下には、テンキーを有するキー操作部13a等の入力デバイスが設けられている。なお、券売機1は、作業員が作業を行うための作業専用の操作表示部は備えていない。このため、例えば操作表示部13は、作業者が作業を行うための操作画面を表示可能であってもよい。
発券部14は、乗車券を発券する。図3に示すように、発券部14は、券売機1の本体正面に設けており、利用者が購入した乗車券を外部に放出する。
貨幣処理部15は、硬貨及び紙幣を処理する。具体的には、貨幣処理部15は、乗車券の発券等にかかる取引金額の精算に用いる硬貨を受け付けるとともに、利用者に対して釣銭硬貨の放出を行う硬貨処理部と、乗車券の発券等にかかる取引金額の精算に用いる紙幣を受け付けるとともに、利用者に対して釣銭紙幣の放出を行う紙幣処理部と、を備える。図3に示すように、貨幣処理部15は、紙幣投入口15a、硬貨投入口15b、紙幣放出口15c、釣銭硬貨受皿15dなどを備える。また貨幣処理部15は、利用者が投入した硬貨及び紙幣、釣銭として放出する釣銭硬貨及び釣銭紙幣について、金種、真偽を識別する貨幣識別部を備えている。
カード処理部16は、乗車券として利用できる非接触式ICカード、クレジットカード等の決済カードを処理する。カード処理部16は、券売機1の本体正面に設けられている。カード処理部16は、カード挿入口に挿入された非接触式ICカードのICに対してカードデータの読み取り及びカードデータの書き込みを行う機能を備えている。また、カード処理部16は、カード挿入口に挿入されたクレジットカードのカードデータの読み取りを行う機能を備えている。さらに、カード処理部16は、カード挿入口に挿入された磁気カードの磁気ストライプに対してカードデータの読み取り及びカードデータの書き込みを行う機能を備えている。これらの機能を実現する構成については、公知であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
LED19は、外部に光を発する発光部である。LED19は、本発明の報知部の一例である。LED19は、制御部11の命令に従って所定の色を発光する。例えば、LED19は、券売機1に異常又は故障が発生した場合に発光する。また、LED19は、券売機1のメンテナンス時期が来ると発光する。すなわち、LED19は、券売機1にイベントが発生した場合に当該イベントの発生を外部に報知する。
また、LED19は、操作端末2から取得する通知(後述)に基づいて、所定の色(本発明の識別情報の一例)を発光する。
制御部11は、CPU、ROM、及びRAMなどの制御機器を有する。前記CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。前記ROMは、前記CPUに各種の演算処理を実行させるためのBIOS及びOSなどの制御プログラムが予め記憶される不揮発性の記憶部である。前記RAMは、各種の情報を記憶する揮発性又は不揮発性の記憶部であり、前記CPUが実行する各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として使用される。そして、制御部11は、前記ROM又は記憶部12に予め記憶された各種の制御プログラムを前記CPUで実行することにより券売機1を制御する。
図2に示すように、制御部11は、受付処理部111、接続処理部112、状態通知処理部113、点灯処理部114などの各種の処理部を含む。
制御部11は、前記CPUが前記制御プログラムに従った各種の演算処理を実行することによって前記各種の処理部として機能する。言い換えると、前記CPUは、前記制御プログラムを実行することにより、受付処理部111、接続処理部112、状態通知処理部113、点灯処理部114などの処理部として機能する。また、制御部11に含まれる一部又は全部の処理部が電子回路で構成されていてもよい。また、前記制御プログラムは、複数のプロセッサーを前記各種の処理部として機能させるためのプログラムであってもよい。なお、制御部11又は前記CPUが、前記制御プログラムを実行するコンピュータの一例である。
受付処理部111は、利用者の操作を受け付ける。具体的には、受付処理部111は、操作表示部13において入力される操作、例えば乗車券を購入する操作、ICカードに金額をチャージする操作などを受け付ける。なお、受付処理部111は、操作表示部13において入力される作業員の操作を受け付けてもよい。
制御部11は、受付処理部111により受け付けられた操作に応じて各種の処理を行う。例えば、制御部11は、乗車券を発券する処理を発券部14に実行させたり、決済カードに対するカード処理をカード処理部16に実行させたりする。
接続処理部112は、無線通信部18の無線通信により券売機1を操作端末2に接続させる。具体的な接続方法については後述する。
状態通知処理部113は、無線通信により接続された操作端末2に券売機1の状態を通知する。具体的には、状態通知処理部113は、券売機1の現在の状態が、券詰まりなどの異常が発生している状態であるか、センサなどの部品が故障している状態であるか、乗車券となる紙及びカードなどの媒体が不足している状態であるか、メンテナンス時期が到来している状態であるか、正常な状態であるか、などを操作端末2に通知する。状態通知処理部113は、操作端末2から要求を受信した場合に現在の券売機1の状態を操作端末2に通知する。なお、状態通知処理部113は、券売機1の現在の状態を定期的に操作端末2に通知してもよいし、当該状態が変化する度に操作端末2に通知してもよい。状態通知処理部113は、さらに前記券売機1の状態を駅サーバ4に通知してもよい。
点灯処理部114は、LED19を所定の色で点灯させる。具体的には、点灯処理部114は、券売機1にイベントが発生した場合にLED19を発光させる。点灯処理部114は、LED19を特定の色(例えば赤色)で点灯させてもよいし、券売機1ごとに異なる色で点灯させてもよい。また、複数の券売機1において同時にイベントが発生している場合には、点灯処理部114は、前記イベントが発生している全ての券売機1において異なる色で点灯させてもよい。
また、点灯処理部114は、操作端末2から取得する通知(後述)に基づいて、LED19を所定の色(本発明の識別情報の一例)で点灯させる。例えば、特定の券売機1においてイベントが発生した場合に、当該券売機1の点灯処理部114は、操作端末2に表示される色と同じ色をLED19に発光させる。これにより、操作端末2の表示色と操作対象の券売機1の表示色とが一致するため、作業員は、操作端末2で操作しようとする操作対象の券売機1を一見して認識することが可能となる。
[操作端末2]
図4は、操作端末2の構成を示すブロック図である。操作端末2は、鉄道において駅務作業を行う駅係員、保守点検作業を行う保守員などの作業員が利用する端末装置であり、例えば、作業員が携帯して所持可能なスマートフォン、携帯電話、又はタブレット端末などの携帯端末である。
作業員は、操作端末2を操作することにより、操作端末2が受信した各種情報を閲覧、確認することができ、また、複数の券売機1の操作を行うことができる。例えば、作業員は、操作端末2を用いて、券売機1の現在の状態を確認したり、点検及び修理を行ったり、メンテナンスを行ったりする。また、作業員は、操作端末2を操作して券売機1の設定を行ったり、設定内容を変更したりする。
図4では、駅8の券売所6に設置された複数の券売機1に対して1台の操作端末2を示している。図4に示すように、操作端末2は、制御部21、記憶部22、操作表示部23、通信部24、無線通信部25などを備える。各操作端末2は、互いに同一の構成を備える。
通信部24は、操作端末2を有線又は無線でネットワークN1に接続し、所定の通信プロトコルに従って、ネットワークN1を介して駅サーバ4などの駅務機器との間でデータ通信を実行するための通信インターフェースである。
無線通信部25は、操作端末2を無線でネットワークに接続し、所定の通信プロトコルに従って、ネットワークを介して券売機1との間でデータ通信を実行するための通信インターフェースである。すなわち、無線通信部25は、券売機1との間における無線通信を行う。例えば、無線通信部25は、無線LAN、Wi−Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)などを利用した無線通信を行う。無線通信部25が通信可能な通信エリアは、通信方式に応じて適宜設定される。
記憶部22は、各種の情報を記憶するHDD又はSSDなどを含む不揮発性の記憶媒体である。記憶部22には、操作端末2で実行される後述の機器操作処理(図15参照)に用いられる機器操作プログラムが記憶されている。例えば、前記機器操作プログラムは、USB、CD又はDVDなどのコンピュータ読取可能な記録媒体に非一時的に記録されており、操作端末2に電気的に接続されるUSBドライブ、CDドライブ又はDVDドライブなどの読取装置(不図示)で読み取られて記憶部22に記憶される。また、前記機器操作プログラムは、操作端末2からアクセス可能なサーバからダウンロードされて、記憶部22に記憶されてもよい。
なお、本実施形態では、記憶部22が操作端末2に設けられた構成を例示するが、例えば、記憶部22内の各種情報の一部又は全部が、ネットワークN1,N2などを通じて操作端末2とデータ通信可能な他のサーバ装置やネットワーク接続可能な記憶装置などの外部装置に記憶されていてもよい。
また、記憶部22には、優先度情報D1及び表示色情報D2などのデータが記憶される。図5は優先度情報D1の一例を示す図であり、図6は表示色情報D2の一例を示す図である。
図5に示すように、優先度情報D1には、操作端末2を操作するユーザーの種別と、券売機1の状態とが含まれる。「ユーザー種別」には、作業員の種別、例えば駅係員又は保守員が登録される。「券売機状態」には、券売機1で発生し得るイベントなどの状態が登録される。優先度情報D1において、「処理異常」は、券詰まり、紙幣詰まりなど異物の詰まりに関する異常を示す。「媒体切れ/満杯」は、券媒体の不足、満杯(受容限度)に関する異常を示す。「媒体切れ/満杯の予告」は、券媒体の不足、満杯(受容限度)の予告に関する通知を示す。「機器異常」は、センサなどの部品の故障に関する異常を示す。「メンテナンス」は、予め設定されたメンテナンス時期の到来に関する通知を示す。「正常」は、異常などイベントが発生していない状態を示す。
ここで、上述の各状態は、異常の重大性が異なる。例えば、「処理異常」が発生した場合、利用者は券売機1を使用できなくなるため、「媒体切れ/満杯の予告」が発生した場合よりも重大性が高い。このため、これらのイベントが同時に複数台の券売機1で発生した場合には、重大性が高い券売機1を優先して修理などの作業を行う必要がある。そこで、優先度情報D1には、券売機1の状態ごとに優先度(優先順位)が登録される。例えば、券売機1の各状態に対して優先順位が設定され、設定された優先順位に従って各状態が登録される。
また、前記異常の重大性は操作端末2を操作するユーザー(作業員)ごとに異なる場合がある。例えば、駅係員にとっては「機器異常」よりも「処理異常」の方が重大性は高いが、保守員にとっては「処理異常」よりも「機器異常」の方が重大性は高い。そこで、優先度情報D1において、ユーザー種別に応じて、券売機1の各状態に対して優先順位が設定され、設定された優先順位に従って各状態が登録される。優先度情報D1は、駅係員、保守員などの作業員、管理者により予め登録される。
図6に示すように、表示色情報D2には、イベントが発生した券売機1ごとに設定された表示色の情報が含まれる。表示色情報D2において、「券売機」は、イベントが発生している券売機1を示す情報(名称など)である。「表示色」は、イベントが発生している券売機1を識別するための色情報(本発明の識別情報の一例)である。図6に示す例では、3台の券売機1(券売機B,C,D)のそれぞれにおいてイベントが発生し、それぞれに異なる色(赤色、青色、緑色)が対応付けられていることを示している。表示色情報D2は、制御部21が券売機1におけるイベント発生に関する情報を取得する度に、制御部21の処理により登録される。
操作表示部23は、各種の情報を表示する液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイのような表示部と、操作を受け付けるマウス、キーボード、又はタッチパネルなどの操作部とを備えるユーザインターフェースである。操作表示部23は、駅係員又は保守員がログイン操作を行うためのログイン画面、操作対象機器(例えば、「券売機」又は「自動改札機」)を選択するための機器選択画面(図7参照)、券売機1を点検、修理、メンテナンス、設定などの操作を行うための操作画面(図10等参照)などを表示する。また、操作表示部23は、制御部21の命令に従って、所定の券売機1を操作するための操作画面、当該券売機1に対応する色情報などを表示する。
制御部21は、CPU、ROM、及びRAMなどの制御機器を有する。前記CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。前記ROMは、前記CPUに各種の演算処理を実行させるためのBIOS及びOSなどの制御プログラムが予め記憶される不揮発性の記憶部である。前記RAMは、各種の情報を記憶する揮発性又は不揮発性の記憶部であり、前記CPUが実行する各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として使用される。そして、制御部21は、前記ROM又は記憶部22に予め記憶された各種の制御プログラムを前記CPUで実行することにより操作端末2を制御する。
具体的に、制御部21は、図4に示されるように、受付処理部211、接続処理部212、状態取得処理部213、判定処理部214、決定処理部215、表示処理部216、通知処理部217などの各種の処理部を含む。なお、制御部21は、前記CPUで前記機器操作プログラムに従った各種の処理を実行することによって、受付処理部211、接続処理部212、状態取得処理部213、判定処理部214、決定処理部215、表示処理部216、通知処理部217として機能する。また、制御部21に含まれる一部又は全部の処理部が電子回路で構成されていてもよい。なお、前記機器操作プログラムは、複数のプロセッサーを前記各種の処理部として機能させるためのプログラムであってもよい。
受付処理部211は、作業員の操作を受け付ける。具体的には、受付処理部111は、操作表示部23において入力される操作、例えば作業員によるログイン操作、操作対象機器を選択する操作、券売機1を点検、修理、メンテナンス、設定する操作などを受け付ける。例えば、操作端末2にログインした作業員(駅係員)が、図7に示す機器選択画面において、「券売機」を選択した場合、受付処理部211は、当該操作情報を取得する。以下では、駅係員が券売機1を操作する例を挙げて説明する。
接続処理部212は、無線通信部25の無線通信により操作端末2を券売機1に接続させる。接続処理部212は、本発明の接続処理部の一例である。例えば、複数の券売機1のそれぞれの無線通信部18が、予め設定された強度の電波を繰り返し発信する。操作端末2の無線通信部25は、各券売機1が発信している電波を受信し、接続処理部212は、前記電波の受信強度を検出する。接続処理部212は、前記受信強度が閾値を超える券売機1との間で無線通信の接続を確立する。これにより、操作端末2と券売機1とがデータ通信可能となる。すなわち、前記受信強度が閾値を超えるエリアが前記通信エリアとなる。よって、券売所6に設置された全ての券売機1が前記通信エリアに属する場合は、操作端末2は全ての券売機1と接続してデータ通信を行い、全ての券売機1のうち1又は複数の券売機1が前記通信エリアに属する場合は、操作端末2は1又は複数の券売機1と接続してデータ通信を行う。このため、操作端末2がデータ通信を行う対象の券売機1は、操作端末2の位置、すなわち操作端末2を所持する駅係員の位置に応じて変化する。
図8は、操作端末2と、券売所6に設置された全ての券売機1とを示す図である。一般的に作業員は券売機室において券売機1の保守操作を行うため、操作端末2は、券売機1の背面側に配置される。図8では、操作端末2と各券売機1とが未接続の状態を示している。また図8において、1台の券売機1のLED19が点灯しており、当該券売機1にイベントが発生していることを示している。図9は、図8に示す複数の券売機1のうち5台の券売機1A〜1Eと、操作端末2とが接続された状態を示している。ここでは、券売機1Bにおいてイベントが発生していることを示している。操作端末2は、券売機1A〜1Eのそれぞれとデータ通信を行う。
状態取得処理部213は、接続処理部212により操作端末2に接続された複数の券売機1のそれぞれの状態を取得する。状態取得処理部213は、本発明の状態取得処理部の一例である。例えば、状態取得処理部213は、複数の券売機1のそれぞれから、券詰まり、紙幣詰まりなど異物の詰まりに関する異常を示す「処理異常」の状態、券媒体の不足、満杯(受容限度)に関する異常を示す「媒体切れ/満杯」の状態、券媒体の不足、満杯(受容限度)の予告に関する通知を示す「媒体切れ/満杯の予告」の状態、センサなどの部品の故障に関する異常を示す「機器異常」の状態、予め設定されたメンテナンス時期の到来に関する通知を示す「メンテナンス」の状態、異常などイベントが発生していない「正常」の状態、のいずれかを取得する。例えば、図9に示す通信状態である場合、状態取得処理部213は、券売機1A〜1Eのそれぞれの状態を取得する。
判定処理部214は、状態取得処理部213により取得される複数の券売機1のそれぞれの状態に基づいて、複数の券売機1の少なくともいずれか一つにおいて所定のイベントが発生しているか否かを判定する。判定処理部214は、本発明の判定処理部の一例である。前記所定のイベントは、例えば、上述の各状態のうち、異常の発生、予告、メンテナンス通知である。よって、券売機1が正常な状態である場合、判定処理部214は、当該券売機1については所定のイベントが発生していないと判定する。
決定処理部215は、判定処理部214により複数の券売機1において前記所定のイベントが発生していると判定された場合に、状態取得処理部213により取得された複数の券売機1のそれぞれの状態に基づいて、複数の券売機1のそれぞれに対して優先順位を決定する。前記優先順位は、例えば駅係員が優先的に対応(点検、修理など)すべき券売機1の順番である。さらに、決定処理部215は、操作端末2を操作するユーザー種別(駅係員又は保守員)に基づいて、前記優先順位を決定してもよい。例えば、決定処理部215は、図5に示す優先度情報D1を参照して、ユーザー種別と、複数の券売機1のそれぞれの状態とに対応する優先順位を決定する。なお、操作端末2に接続された複数の券売機1のうち1台の券売機1においてイベントが発生している場合には(図9参照)、決定処理部215は、前記決定処理を省略する。決定処理部215は、本発明の決定処理部の一例である。
表示処理部216は、判定処理部214により複数の券売機1の少なくともいずれか一つにおいて所定のイベントが発生していると判定された場合に、複数の券売機1のうち所定のイベントが発生している一つの券売機1を操作する操作画面を操作表示部23に表示させる。例えば、図9に示す通信状態である場合、表示処理部216は、図10に示すように、券売機1B(「券売機B」)を操作するための操作画面を操作表示部23に表示させる。駅係員は、例えば前記操作画面(図10参照)において、「異常内容」を選択して券売機1Bの異常の状態、対処方法などを確認したり、「ログ」を選択して券売機1Bの過去の異常内容、修理履歴などを確認したりする。このように、イベントが発生した券売機1Bを操作するための操作画面が操作端末2に表示されるため、駅係員は自ら操作対象の券売機1Bを選択したり、操作画面を呼び出したりする必要がない。
ここで、判定処理部214により複数の券売機1において前記所定のイベントが発生していると判定された場合には、表示処理部216は、複数の券売機1のうち決定処理部215により決定された優先順位が最上位の券売機1(本発明の第1機器の一例)を操作する操作画面を操作表示部23に表示させる。例えば図11に示すように、券売機1A〜1Eのうち3台の券売機1B,1C,1Dにおいてイベントが発生している場合において、券売機1Cのイベントに対応する優先順位が1位に決定され、券売機1Bのイベントに対応する優先順位が2位に決定され、券売機1Bのイベントに対応する優先順位が3位に決定されたと仮定する。この場合、表示処理部216は、図11に示すように、優先順位が1位の券売機1Cを操作する操作画面を操作表示部23に表示させる。
また、図11に示す状態において、駅係員が券売機1C(「券売機C」)を操作するための操作画面を操作して、券売機1Cのイベント(異常など)が解消されて正常復帰した場合に、表示処理部216は、図12に示すように、券売機1Cの次に優先順位が上位の券売機1D(本発明の第2機器の一例)を操作する操作画面を操作表示部23に表示させる。なお、決定処理部215は、依然としてイベントが発生している券売機1D,1Bの優先順位を繰り上げてもよい(図12参照)。
ところで、券売機1は、イベントが発生した場合に当該イベントの発生を外部に報知するために、例えばLED19を点灯させる。これにより、駅係員は、複数の券売機1のうちイベントが発生している券売機1を視認することができる。駅係員による保守作業によりイベントが解消された場合には、LED19は消灯する(図12の券売機1C参照)。
ここで、駅係員が操作端末2で操作しようとする操作対象の券売機1を一見して認識し易いように、表示処理部216は、さらに、所定のイベントが発生している一つの券売機1を識別する識別情報を前記操作画面に表示させてもよい。前記識別情報は、例えば、表示色、文字、図形、記号など、操作画面と操作対象の券売機1とを1対1で対応付け可能な情報であればよい。ここでは、一例として、表示色を挙げる。
例えば、券売機1A〜1Eのうち1台の券売機1Bにおいてイベントが発生した場合に、表示処理部216は、券売機1Bに対応する表示色を決定して表示色情報D2に登録する。表示処理部216は、図13に示すように、券売機1B(「券売機B」)を操作するための操作画面に決定した表示色(例えば「青色」)の表示色画像232を表示させる。そして、通知処理部217は、前記識別情報である表示色(「青色」)の色情報をイベントが発生している券売機1Bに通知する。券売機1Bは、操作端末2から前記色情報(「青色」)を取得すると、LED19を前記色情報に応じた色(「青色」)で発光させる。
他の例として、例えば、券売機1A〜1Eのうち3台の券売機1B,1C,1Dにおいてイベントが発生している場合に、表示処理部216は、券売機1B,1C,1Dそれぞれに対応する表示色を決定して表示色情報D2に登録する。図6は、この例で登録された表示色情報D2の一例を示している。表示処理部216は、図14に示すように、券売機1C(「券売機C」)を操作するための操作画面に色情報(例えば「青色」)を含む表示色画像232を表示させる。そして、通知処理部217は、表示色(「青色」)の色情報を券売機1Cに通知し、表示色(「緑色」)の色情報を券売機1Dに通知し、表示色(「赤色」)の色情報を券売機1Bに通知する。券売機1Cは、操作端末2から前記色情報(「青色」)を取得すると、LED19を前記色情報に応じた色(「青色」)で発光させる。また券売機1Dは、操作端末2から前記色情報(「緑色」)を取得すると、LED19を前記色情報に応じた色(「緑色」)で発光させ、券売機1Bは、操作端末2から前記色情報(「赤色」)を取得すると、LED19を前記色情報に応じた色(「青赤」)で発光させる。
このように、通知処理部217は、所定のイベントが発生している全ての券売機1のそれぞれに個別の前記識別情報を通知し、個別の前記識別情報をそれぞれの券売機1のLED19(本発明の報知部の一例)に表示させる。通知処理部217は、本発明の通知処理部の一例である。この構成によれば、操作端末2の操作画面の表示色と操作対象の券売機1のLED19の表示色とが一致するため、駅係員は、操作端末2で操作しようとする操作対象の券売機1を一見して認識することが可能となる。
なお、通知処理部217は、作業員に通知する各種メッセージを出力して操作表示部23に表示してもよい。表示処理部216は、本発明の表示処理部の一例であり、通知処理部217は、本発明の通知処理部の一例である。
[機器操作処理]
以下、図15を参照して、駅務システム100の操作端末2の制御部21によって実行される機器操作処理の一例について説明する。制御部21は、操作端末2に対するユーザーの操作、例えばユーザーが操作端末2の操作表示部23に表示されるログイン画面においてログイン操作を行うことにより前記機器操作プログラムの実行を開始することによって、前記機器操作処理の実行を開始する。なお、前記機器操作処理は、操作端末2における所定の操作に応じて途中で終了されることがある。
なお、本発明は、前記機器操作処理に含まれる一又は複数のステップを実行する機器操作方法の発明として捉えることができる。
また、ここで説明する前記機器操作処理に含まれる一又は複数のステップが適宜省略されてもよい。また、前記機器操作処理における各ステップは、同様の作用効果を生じる範囲で実行順序が異なってもよい。さらに、ここでは制御部21によって前記機器操作処理における各ステップが実行される場合を例に挙げて説明するが、他の実施形態では、複数のプロセッサーによって前記機器操作処理における各ステップが分散して実行されてもよい。
先ず、ステップS11において、制御部21は、ログイン操作により入力された情報に基づいてユーザー種別(「駅係員」、「保守員」など)を取得する。ここでは、制御部21が、ユーザー種別として「駅係員」を取得したものとする。
次にステップS12において、制御部21は、駅係員により選択された操作対象機器の種別を取得する。例えば、駅係員が図7に示す機器選択画面において、「券売機」を選択した場合、制御部21は、操作対象機器として「券売機」を取得する。
次にステップS13において、制御部21は、無線通信により操作端末2を1又は複数の券売機1に接続させる(図9参照)。ステップS13は、本発明の接続ステップの一例である。
次にステップS14において、制御部21は、操作端末2に接続された複数の券売機1のそれぞれの状態を取得する。具体的には、制御部21は、複数の券売機1のそれぞれから、「処理異常」の状態、「媒体切れ/満杯」の状態、「媒体切れ/満杯の予告」の状態、「機器異常」の状態、「メンテナンス」の状態、「正常」の状態のいずれかを取得する。ステップS14は、本発明の状態取得ステップの一例である。
次にステップS15において、制御部21は、複数の券売機1のそれぞれの状態に基づいて、複数の券売機1の少なくともいずれか一つにおいて所定のイベント(例えば異常)が発生しているか否かを判定する。いずれかの券売機1に前記イベントが発生している場合(S15:YES)、処理はステップS16に移行する。一方、いずれの券売機1にも前記イベントが発生していない場合(S15:NO)、処理はステップS13に戻る。ステップS15は、本発明の判定ステップの一例である。
ステップS16において、制御部21は、前記イベントが発生している券売機1は複数台であるか否かを判定する。前記イベントが発生している券売機1が複数台である場合(S16:YES)、処理はステップS17に移行する。一方、前記イベントが発生している券売機1が1台である場合(S16:NO)、処理はステップS18に移行する。
ステップS17において、制御部21は、複数の券売機1のそれぞれの状態に基づいて、複数の券売機1の操作順に対応する優先順位を決定する。
次にステップS18において、複数の券売機1のうち所定のイベントが発生している一つの券売機1を操作する操作画面を操作表示部23に表示させる。前記イベントが発生している券売機1が複数台である場合は、ステップS17において決定された優先順位が最上位の券売機1を操作する操作画面を操作表示部23に表示させる(図11参照)。一方、前記イベントが発生している券売機1が1台である場合は、当該券売機1を操作する操作画面を操作表示部23に表示させる(図10参照)。ステップS18は、本発明の表示ステップの一例である。
次にステップS19において、制御部21は、イベントが発生している券売機1に対応する表示色を決定して、当該券売機1を操作するための操作画面に当該表示色の表示色画像232を表示させる。また、制御部21は、前記表示色の色情報をイベントが発生している券売機1Bに通知する。
次にステップS20において、制御部21は、操作画面に表示された操作対象の券売機1に発生したイベントが解消(正常復帰)されたか否かを判定する。前記イベントが解消された場合(S20:YES)、処理はステップS21に移行する。
ステップS21において、制御部21は、イベントが発生している券売機1が他に存在するか否かを判定する。イベントが発生している券売機1が他に存在する場合(S21:YES)、処理はステップS16に戻る。イベントが発生している券売機1が他に存在しない場合(S21:NO)、処理は終了する。
駅係員が操作端末2を所持して移動することにより通信エリアが変化した場合には、操作端末2に接続される券売機1が変更されて、前記機器操作処理が繰り返される。なお、通信エリアに全ての券売機1が含まれ、操作端末2が全ての券売機1と接続される場合には、制御部21は、全ての券売機1の状態を一度に取得して前記機器操作処理を実行する。
なお、本実施形態に係る機器操作処理は、ステップS11〜S21の処理のうちステップS16,S17の処理が省略されてもよい。また、本実施形態に係る機器操作処理は、ステップS11〜S21の処理のうちステップS19の処理が省略されてもよい。
以上のように、本実施形態に係る駅務システム100では、複数の駅務機器の少なくともいずれか一つにおいて所定のイベントが発生している場合に、前記複数の駅務機器のうち所定のイベントが発生している一つの駅務機器を操作する操作画面を操作端末2に表示させる。これにより、作業員は、イベントが発生している操作対象の駅務機器を無線通信を介して操作端末2により容易に操作することが可能となる。
また、複数のイベントが同時に複数台で発生している場合に、優先順位に基づいて操作対象の駅務機器が決定されて、優先度の高い駅務機器から順に操作画面が表示される。このため、作業員は、保守作業の順番を迷うことなく、効率的に作業を行うことができる。
さらに、操作対象の駅務機器に表示される識別情報(表示色)と、操作端末2の操作画面に表示される表示色とが一致するため、作業員は、操作端末2で操作しようとする操作対象の券売機1を一見して認識することが可能となる。すなわち、作業員が作業を行う際に、操作端末2に表示された駅務機器と、操作対象として意図している目の前の駅務機器とが合致していることを確実かつ直感的に認識することができる。
上述した実施形態では、操作端末2は、発信電波の受信強度が閾値を超えるそれぞれの券売機1と無線通信の接続を確立して、各券売機1の状態を判定して優先順位を決定したり表示色を決定したりする構成である。本発明は前記実施形態に限定されず、以下の実施形態であってもよい。例えば、駅8(図1参照)において第1券売所のバックヤードである第1券売機室と、第2券売所のバックヤードである第2券売機室とのそれぞれにビーコンを設置する。前記ビーコンは、BLE(Bluetooth Low Energy)信号、非可聴信号(超音波)などを発信する発信機である。操作端末2又は駅サーバ4には、各ビーコンの情報(識別情報)と、各券売機室に設置されている複数の券売機1それぞれの情報(識別情報)とが関連付けられて記憶されている。この構成において、例えば操作端末2が任意のビーコンの発信信号を受信した場合、操作端末2は、当該ビーコンに関連付けられた券売機1の識別情報を取得する。例えば操作端末2が第1券売所のビーコンの発信信号を受信した場合、操作端末2は、第1券売所に設置された複数の券売機1の識別情報を取得する。これにより、操作端末2は、データ通信可能な券売機1を把握する。そして、操作端末2は、例えばWi−Fiなどの無線通信を利用してインターネットに接続し、インターネット経由で第1券売所に設置された複数の券売機1と接続する。これにより、操作端末2は、インターネット経由で、第1券売所に設置された各券売機1の状態を判定して優先順位を決定したり表示色を決定したりすることが可能となる。
このように、駅務システム100では、操作端末2は、直接的に券売機1とデータ通信を行って券売機1の動作を制御してもよいし、インターネット等を経由して間接的に券売機1とデータ通信を行って券売機1の動作を制御してもよい。
本実施形態では、券売機1、自動改札機3、及び操作端末2が本発明に係る機器操作システムに相当するが、本発明に係る機器操作システムは、操作端末2単体で実現されてもよいし、券売機1、自動改札機3、操作端末2、駅サーバ4、及びセンタ装置5のうち一又は複数の構成要素を含むものであってもよい。例えば、券売機1、自動改札機3、及び操作端末2のうち複数の構成要素が協働して前記機器操作処理(図15参照)を分担して実行する場合には、その処理を実行する複数の構成要素を含むシステムを本発明に係る機器操作システムとして捉えることが可能である。また例えば、操作端末2及び駅サーバ4が本発明に係る機器操作システムを構成することが考えられる。