以下に、本発明の実施の形態にかかる通信システムを図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1にかかる通信システムの構成例を示す図である。図1に示す通信システム100は、電気鉄道の電力系統を制御するために用いられる。例えば、通信システム100は、電気鉄道の沿線に設けられた開閉器などの機器の監視制御を電気鉄道の変電所から行うために用いられる。以下、通信システム100が電気鉄道の電力系統を制御するために用いられるものとして説明するが、通信システム100は、電気鉄道の電力系統以外の制御に用いられてもよい。
図1に示すように、実施の形態1にかかる通信システム100は、親局1と、複数の子局2a,2b,2c,2d,2eとを備える。親局1は、電気鉄道の変電所に配置され、監視制御装置4に接続される。かかる親局1は、監視制御装置4からの制御に基づいて複数の子局2a,2b,2c,2d,2eとの間でペア線などからなる通信線3を介して情報の送受信を行う。
子局2a,2b,2c,2d,2eは、監視制御対象機器5a,5b,5c,5d,5eのうち対応する監視制御対象機器の設置場所に配置され、対応する監視制御対象機器に各々接続される。監視制御対象機器5a,5b,5c,5d,5eは、電気鉄道の沿線に沿って設けられた開閉器などの機器である。以下、子局2a,2b,2c,2d,2eの各々を区別せずに示す場合、子局2と記載する場合がある。また、監視制御対象機器5a,5b,5c,5d,5eの各々を区別せずに示す場合、監視制御対象機器5と記載する場合がある。なお、子局2の数は、図1に示す例に限定されず、4以下であってもよく、6以上であってもよい。
電気鉄道の変電所から沿線の開閉器などの監視制御を行う場合、変電所に設置された親局1から開閉器などに接続された子局2までの伝送距離が20km以上になり、親局1と子局2との間の通信距離が通信限界距離を超える場合がある。また、通信線3は、他の複数の通信線と共にケーブル内に配置されており、かかるケーブルは通信経路途中で複数の配線室などを経由し、かかるケーブル内の他の複数の通信線が様々な通信機器に接続されることから、干渉などの影響によって通信限界距離は想定より短くなる場合がある。
そのため、親局1と子局2との間の通信状態を実測し、親局1からの距離が通信限界距離を超える子局2がある場合、親局1と通信可能な子局2を中継子局に手動で設定することが考えられるが、通信限界距離の実地調査には時間も費用もかかる。
そこで、実施の形態1にかかる通信システム100では、自動的に中継子局を設定することで、親局1からの距離が通信限界距離を超える子局2がある場合であっても、親局1と子局2との通信を可能としている。以下、通信システム100の構成および動作について具体的に説明する。
図2は、実施の形態1にかかる親局および子局の構成例を示す図である。図2に示すように、親局1は、モデム11と、入出力部12と、記憶部13と、制御部14とを備える。モデム11は、デジタル信号である通信データをアナログ変調し、アナログ変調した通信信号を通信線3経由で子局2へ送信する。また、モデム11は、子局2からアナログ変調された通信信号を通信線3経由で受信し、受信した通信信号を復調して得られる通信データを出力する。
モデム11は、音声周波数帯域を用いるアナログモデムであってもよく、また、高周波数帯域を用いるモデムであってもよい。高周波数帯域を用いるモデムは、例えば、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)、SDSL(Symmetric Digital Subscriber Line)、またはOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)などの通信方式を用いるモデムである。
入出力部12は、監視制御装置4に接続され、監視制御装置4との間でデータの入出力を行う。入出力部12は、例えば、LAN(Local Area Network)インタフェイスなどの汎用の入出力インタフェイス、または専用の入出力インタフェイスなどである。
記憶部13は、通信システム100の構成情報であるシステム構成情報15を記憶する。システム構成情報15は、例えば、親局1の識別情報および各子局2の識別情報を含む。かかるシステム構成情報15は、例えば、監視制御装置4から入出力部12を介して制御部14が取得し、制御部14によって記憶部13に記憶される。
制御部14は、監視制御装置4の制御などに基づいて、モデム11および通信線3を介して子局2との間で電文などの通信信号の送受信を行う。また、制御部14は、各子局2が通信限界距離内か否かを調査し、必要に応じて通信信号を中継する子局2である中継子局を決定する。制御部14は、データ送受信部16と、第1中継子局決定部17と、第1中継子局設定部18とを備える。
データ送受信部16は、入出力部12を介して監視制御装置4から子局2への制御情報を取得し、取得した制御情報に基づいて、子局2への通信データを生成する。かかる通信データには、例えば、親局1の識別情報と、子局2の識別情報と、子局2への制御情報とが含まれる。親局1の識別情報は、例えば、通信信号の送信元情報として用いられる。子局2の識別情報は、例えば、通信信号の宛先情報として用いられる。子局2への制御情報は、例えば、監視制御対象機器5が開閉器である場合、かかる開閉器を閉状態から開状態または開状態から閉状態にするための制御指令の情報を含む。
データ送受信部16は、生成した通信データをモデム11へ出力し、通信データをアナログ変調した通信信号をモデム11から通信線3へ出力させる。また、データ送受信部16は、モデム11から出力される通信データを受信し、受信した通信データを入出力部12経由で監視制御装置4へ出力する。
第1中継子局決定部17は、各子局2へ個別に問い合わせを行い、かかる問い合わせに対して応答した子局2のうち予め設定された条件を満たす子局2を第1中継子局に決定する。予め設定された条件は、例えば、問い合わせに対する応答を行った子局2のうち受信レベルが最も低いという条件である。問い合わせに対する応答には、親局1からの信号を子局2で受信したときの信号レベルである受信レベルの情報が含まれており、第1中継子局決定部17は、問い合わせに対する応答に含まれる受信レベルの情報に基づいて、予め設定された条件を満たす子局2を判定することができる。
第1中継子局設定部18は、第1中継子局決定部17によって決定された第1中継子局に、上述した問い合わせに対して応答しない子局2である第1子局の識別情報を含む第1中継設定要求を行う。これにより、後述するように、第1中継子局に決定された子局2が親局1と第1子局との間の通信を中継することが可能になる。
次に、子局2の構成について説明する。図2に示すように、子局2は、モデム21と、入出力部22と、記憶部23と、制御部24とを備える。モデム21は、デジタル信号である通信データをアナログ変調した通信信号を通信線3経由で親局1へ送信する。また、モデム21は、親局1または子局2から通信線3経由で通信信号を受信し、受信した通信信号を通信データであるデジタル信号に復調する。モデム21は、モデム11と同様に、音声周波数帯域を用いるアナログモデムであってもよく、また、高周波数帯域を用いるモデムであってもよい。
入出力部22は、監視制御対象機器5に接続され、監視制御対象機器5との間でデータの入出力を行う。入出力部22は、例えば、LANインタフェイスなどの汎用の入出力インタフェイス、または専用の入出力インタフェイスなどである。
記憶部23は、中継対象情報25を記憶することができる。かかる中継対象情報25は、制御部24による中継対象となる子局2の識別情報を含み、制御部24によって記憶部23に記憶される。例えば、中継対象情報25は、制御部24による中継対象となる第1子局である子局2の識別情報を含む。
制御部24は、モデム21および通信線3を介して親局1との間でデータの送受信を行う。また、制御部24は、親局1からの第1中継設定要求に識別情報が含まれる第1子局宛ての通信信号を中継する。また、制御部24は、第1子局が通信限界距離内か否かを調査し、通信限界距離外の第1子局への通信信号を中継する子局2である第2中継子局を決定する。制御部24は、データ送受信部26と、中継処理部27と、第2中継子局決定部28と、第2中継子局設定部29とを備える。
データ送受信部26は、モデム21から出力される通信データを受信し、受信した通信データを入出力部22経由で監視制御対象機器5へ出力する。また、データ送受信部26は、監視制御対象機器5から入出力部22を介して取得した情報に基づいて、親局1への通信データを生成する。かかる通信データには、子局2の識別情報、親局1の識別情報、および監視制御対象機器5からの情報などが含まれる。子局2の識別情報は、例えば、通信信号の送信元情報として用いられる。親局1の識別情報は、例えば、通信信号の宛先情報として用いられる。データ送受信部26は、生成した通信データをモデム21へ出力し、通信データをアナログ変調した通信信号をモデム21から通信線3へ出力させる。
モデム21は、親局1または他の子局2からの通信信号の受信レベルを定常的または定期的に測定しており、データ送受信部26は、モデム21によって測定された受信レベルの数値データをモデム21から取得する。データ送受信部26は、親局1からの問い合わせを示す通信信号がモデム21で受信された場合、モデム21から取得した受信レベルの数値データを含む応答信号を問い合わせに対応する応答を示す通信信号としてモデム21から通信線3を介して親局1へ送信させる。
また、データ送受信部26は、他の子局2からの問い合わせを示す通信信号がモデム21で受信された場合、他の子局2からの通信信号をモデム21で受信したときの信号レベルである受信レベルの情報をモデム21から取得する。データ送受信部26は、モデム21から取得した受信レベルの情報を含む応答信号を問い合わせに対応する応答を示す通信信号としてモデム21から通信線3を介して他の子局2へ送信させる。
中継処理部27は、記憶部23に記憶された第1子局の識別情報に基づいて、親局1と第1子局との間の通信を中継することができる。例えば、中継処理部27は、通信線3に第1子局宛の通信信号が伝送されていると判定した場合、第1子局宛の通信信号を中継する。具体的には、中継処理部27は、記憶部23から第1子局の識別情報を取得する。また、中継処理部27は、通信線3に伝送される通信信号を受信したモデム21から出力される宛先の識別情報が、記憶部23から取得した第1子局の識別情報と一致するか否かを判定する。中継処理部27は、宛先の識別情報が記憶部23から取得した第1子局の識別情報と一致すると判定した場合、モデム21で受信された第1子局宛の通信信号をモデム21から通信線3へ送信させる。このように、中継子局として機能する子局2は、中継先の子局2の情報を記憶しているため、親局1は、中継子局の識別情報を中継アドレスなどの情報として指定することなく、第1子局宛の通信信号を中継子局に中継させることができ、中継アドレスなどを指定する場合に比べ、親局1の処理負荷を軽減することができる。なお、中継処理部27は、中継対象局がないことを示す通信信号がモデム21によって受信された場合、上述した中継処理を行わない。
第2中継子局決定部28は、親局1から第1中継設定要求を受信した場合、第1中継設定要求に含まれる第1子局の識別情報に基づいて、第1子局に問い合わせを行い、問い合わせに対して応答した第1子局を第2子局に決定する。そして、第2中継子局決定部28は、決定した第2子局のうち予め設定された条件を満たす第2子局を第2中継子局に決定する。予め設定された条件は、例えば、問い合わせに対する応答を行った第2子局のうち受信レベルが最も低いという条件である。
第2中継子局設定部29は、第2中継子局決定部28によって決定された第2中継子局に、問い合わせに対して応答しない第1子局である第3子局の情報を含む第2中継設定要求を行う。
ここで、親局1からの問い合わせに対して子局2a,2b,2cが応答し且つ子局2d,2eが応答しない場合の通信システム100の動作について具体的に説明する。図3は、実施の形態1にかかる親局の統括制御対象の調査結果と中継子局の選択結果の一例を示す図である。
図3に示すように、親局1の統括制御対象は、全ての子局2a,2b,2c,2d,2eである。親局1の統括制御対象とは、親局1が通信対象とする子局2であり、親局1は、全ての子局2a,2b,2c,2d,2eとの間で情報の送受信を行う。
親局1の第1中継子局決定部17は、統括制御対象である子局2a,2b,2c,2d,2eへ個別に問い合わせを行う。図3に示すように、親局1からの問い合わせに対して子局2a,2b,2cが応答有りであり、子局2d,2eが応答無しである。したがって、親局1と子局2a,2b,2cとは直接通信を行うことができる状態であり、親局1と子局2d,2eとは直接通信を行うことができない状態である。
また、親局1からの通信信号に対する子局2a,2b,2cの受信レベルは、−8dBm,−17dBm,−20dBmであり、受信レベルが最も小さい子局2は、子局2cである。そのため、第1中継子局決定部17は、問い合わせに対して応答した子局2a,2b,2cのうち受信レベルが最も低い子局2cを第1中継子局に決定する。また、第1中継子局設定部18は、中継対象局がないことを示す通信信号をモデム11および通信線3を介して子局2a,2bへ送信する。以降、子局2a,2b,2cは、親局1と直接通信を行う。
また、親局1の第1中継子局設定部18は、応答しない子局2d,2eを第1中継子局である子局2cの中継対象局として決定する。中継対象局は、第1中継子局の統括制御対象の子局2、すなわち第1中継子局が中継の対象とする子局2である。そして、第1中継子局設定部18は、第1中継子局決定部17によって決定された第1中継子局である子局2cに、子局2cの中継対象局である子局2d,2eの識別情報を含む第1中継設定要求を行う。
次に、親局1から第1中継設定要求が行われた子局2cの動作について説明する。図4は、実施の形態1にかかる第1中継子局の統括制御対象の調査結果と中継子局の選択結果の一例を示す図である。
図4に示すように、子局2cの制御部24は、親局1から第1中継設定要求を受信した場合、第1中継設定要求に含まれる子局2d,2eの識別情報を記憶し、識別情報が含まれる子局2d,2eを統括制御対象とする。子局2cの統括制御対象は、子局2cが中継対象とする子局2である。
また、子局2cの制御部24は、統括制御対象である子局2d,2eが通信限界距離内か否かを調査し、必要に応じて通信信号を中継する子局2である中継子局を決定する。具体的には、子局2cの第2中継子局決定部28は、統括制御対象である子局2d,2eへ個別に問い合わせを行う。図4に示す例では、子局2cからの問い合わせに対して子局2d,2eが応答有りである。
子局2cの第2中継子局決定部28は、問い合わせを行った子局2d,2eはいずれも応答したため、子局2d,2eが通信限界距離内であると判定し、統括制御対象である子局2d,2eへの通信信号を中継する中継子局を設ける必要が無いと判定する。この場合、子局2cの第2中継子局決定部28は、中継対象局がないことを示す通信信号をモデム21および通信線3を介して子局2d,2eへ送信する。以降、子局2d,2eは、中継を行わず、子局2cと直接通信を行う。
次に、第1中継子局として機能する子局2cが作業による停止、故障、または電源停止などで動作を停止した場合について説明する。図5は、実施の形態1にかかる第1中継子局が動作を停止した場合の親局の統括制御対象の調査結果と中継子局の選択結果の一例を示す図である。親局1の制御部14は、上述した第1中継子局の決定および設定動作を定常的または定期的に実施しており、子局2cの動作が停止した状態においても、子局2a,2b,2c,2d,2eへ問い合わせを行う。
子局2cの動作が停止した状態では、図5に示すように、子局2cから問い合わせに対する応答がない。また、子局2d,2eは、親局1からの距離が通信限界距離外であることから、図3に示す場合と同様に、問い合わせに対する応答がない。図5に示す例では、問い合わせに対する応答を行った子局2は、子局2a,2bである。また、子局2aの受信レベルは、−8dBmであり、子局2bの受信レベルは、−17dBmであり、受信レベルが最も小さい子局2は、子局2bである。
そのため、第1中継子局決定部17は、問い合わせに対して応答した子局2a,2bのうち受信レベルが最も低い子局2bを第1中継子局に決定する。また、第1中継子局設定部18は、応答しない子局2c,2d,2eを第1中継子局である子局2bの中継対象局として決定する。そして、第1中継子局設定部18は、第1中継子局決定部17によって決定された第1中継子局である子局2bに、子局2bの中継対象局である子局2c,2d,2eの識別情報を含む第1中継設定要求を行う。
次に、親局1から第1中継設定要求が行われた子局2bの動作について説明する。図6は、実施の形態1にかかる第1中継子局の統括制御対象の調査結果と中継子局の選択結果の他の例を示す図である。
図6に示すように、子局2bの制御部24は、親局1から第1中継設定要求を受信した場合、第1中継設定要求に含まれる子局2c,2d,2eの識別情報を記憶し、子局2c,2d,2eを統括制御対象とする。
また、子局2bの制御部24は、統括制御対象である子局2c,2d,2eが通信限界距離内か否かを調査し、必要に応じて通信信号を中継する子局2である中継子局を決定する。具体的には、子局2bの第2中継子局決定部28は、統括制御対象である子局2c,2d,2eへ個別に問い合わせを行う。図6に示す例では、子局2bからの問い合わせに対して子局2d,2eが応答有りであり、子局2cが応答無しである。また、子局2dの受信レベルは、−10dBmであり、子局2eの受信レベルは、−12dBmであり、受信レベルが最も小さい子局2は、子局2eである。
そのため、子局2bの第2中継子局決定部28は、問い合わせに対して応答した子局2d,2eのうち受信レベルが最も低い子局2eを第2中継子局に決定する。また、子局2bの第2中継子局設定部29は、問い合わせに応答しない子局2cを第2中継子局である子局2eの中継対象局として決定する。そして、子局2bの第2中継子局設定部29は、第2中継子局決定部28によって決定された第2中継子局である子局2eに、子局2eの中継対象局である子局2cの識別情報を含む第2中継設定要求を行う。これにより、子局2eの中継処理部27は、子局2c宛の通信信号がある場合に、かかる子局2c宛の通信信号を中継する。
このように、通信システム100は、中継子局の選択の動作を定常的または定期的に実施するため、中継子局が作業による停止、故障、または電源停止などで中継機能を喪失した時であっても、自動的に中継子局を再選択して通信を継続することができる。
次に、子局2bから第2中継設定要求が行われた子局2eの動作について説明する。図7は、実施の形態1にかかる第2中継子局の統括制御対象の調査結果と中継子局の選択結果の一例を示す図である。
図7に示すように、子局2eの制御部24は、子局2bから第2中継設定要求を受信した場合、第2中継設定要求に含まれる子局2cの識別情報を記憶し、子局2cを統括制御対象とする。
また、子局2eの制御部24は、子局2bから第2中継設定要求を受信した場合、統括制御対象である子局2cが通信限界距離内か否かを調査し、必要に応じて通信信号を中継する子局2である中継子局を決定する。第2中継設定要求を受信した場合の処理は、第1中継設定要求を受信した場合の処理と同様である。具体的には、子局2eの第2中継子局決定部28は、統括制御対象である子局2cに問い合わせを行う。図7に示す例では、問い合わせに対して子局2cからの応答が無い。子局2eの第2中継子局決定部28は、問い合わせに対して子局2cからの応答が無いため、第3中継子局を決定せず、第3中継子局の決定動作を終了する。
なお、子局2eの第2中継子局決定部28が受信した第2中継設定要求に子局2cの識別情報とは別に1以上の子局2の識別情報が含まれており、且つ子局2cの動作の停止が解除されたとする。また、第2中継設定要求に識別情報が含まれる子局2を第3子局とする。この場合、子局2eの第2中継子局決定部28は、第2中継設定要求に含まれる第3子局の識別情報に基づいて第3子局に問い合わせを行い、問い合わせに対して応答した第3子局のうち予め設定された条件を満たす第3子局を第3中継子局に決定することができる。
子局2eの第2中継子局設定部29は、第2中継子局決定部28によって決定された第3中継子局に、問い合わせに対して応答しない第3子局の情報を含む第3中継設定要求を行う。子局2の制御部24は、第3中継設定要求を受信した場合、第1中継設定要求または第2中継設定要求を受信した場合と同様に中継子局の決定および設定などを行うことができる。
つづいて、親局1の動作を、フローチャートを用いて説明する。図8は、実施の形態1にかかる親局の処理の一例を示すフローチャートである。図8に示す処理は、親局1の制御部14によって繰り返し実行される。
図8に示すように、親局1の制御部14は、中継設定タイミングであるか否かを判定する(ステップS10)。中継設定タイミングは、例えば、定期的に発生するタイミングであるが、監視制御装置4からの制御に基づく通信信号を親局1が通信線3に送信する直前のタイミング毎に発生するタイミングであってもよい。
制御部14は、中継設定タイミングであると判定した場合(ステップS10:Yes)、統括制御対象の子局2を選択する(ステップS11)。そして、制御部14は、選択した子局2に問い合わせを行い(ステップS12)、かかる問い合わせに対する応答の有無を確認する(ステップS13)。
次に、制御部14は、全ての子局2を選択したか否かを判定する(ステップS14)。制御部14は、全ての子局2を選択していないと判定した場合(ステップS14:No)、処理をステップS11に移行する。また、制御部14は、全ての子局2を選択したと判定した場合(ステップS14:Yes)、問い合わせに対して応答がない子局2が有るか否かを判定する(ステップS15)。
制御部14は、問い合わせに対して応答がない子局2が有ると判定した場合(ステップS15:Yes)、問い合わせに対して応答がある子局2のうち予め設定された条件を満たす子局2を第1中継子局に決定する(ステップS16)。そして、制御部14は、問い合わせに対して応答がない子局2の識別情報を含む第1中継設定要求を第1中継子局にモデム11を介して送信する(ステップS17)。
制御部14は、中継設定タイミングでないと判定した場合(ステップS10:No)、問い合わせに対して応答がない子局2が無いと判定した場合(ステップS15:No)、またはステップS17の処理が終了した場合、監視制御装置4から制御情報などを含む送信要求が有るか否かを判定する(ステップS18)。制御部14は、送信要求が有ると判定した場合(ステップS18:Yes)、監視制御装置4から送信要求に応じた通信信号をモデム11から通信線3へ送信させる(ステップS19)。
制御部14は、送信要求が無いと判定した場合(ステップS18:No)、またはステップS19の処理が終了した場合、通信線3からモデム11によって通信信号を受信したか否かを判定する(ステップS20)。制御部14は、通信信号を受信したと判定した場合(ステップS20:Yes)、モデム11から出力される受信データを監視制御装置4に出力する(ステップS21)。
制御部14は、ステップS21の処理が終了した場合、または通信信号を受信していないと判定した場合(ステップS20:No)、図8に示す処理を終了する。
つづいて、子局2の動作を、フローチャートを用いて説明する。図9は、実施の形態1にかかる子局の処理の一例を示すフローチャートである。図9に示す処理は、子局2の制御部24によって繰り返し実行される。
図9に示すように、子局2の制御部24は、親局1または他の子局2から中継設定要求を受信したか否かを判定する(ステップS30)。かかる中継設定要求は、例えば、上述した第1中継設定要求、第2中継設定要求、または第3中継設定要求である。制御部24は、中継設定要求を受信したと判定した場合(ステップS30:Yes)、統括制御対象の子局2を設定する(ステップS31)。
次に、制御部24は、統括制御対象の子局2を選択する(ステップS32)。そして、制御部24は、選択した子局2に問い合わせを行い(ステップS33)、かかる問い合わせに対する応答の有無を確認する(ステップS34)。
次に、制御部24は、統括制御対象の全ての子局2を選択したか否かを判定する(ステップS35)。制御部24は、全ての子局2を選択していないと判定した場合(ステップS35:No)、処理をステップS32に移行する。また、制御部24は、全ての子局2を選択したと判定した場合(ステップS35:Yes)、問い合わせに対して応答がない子局2が有るか否かを判定する(ステップS36)。
制御部24は、問い合わせに対して応答がない子局2が有ると判定した場合(ステップS36:Yes)、問い合わせに対して応答がある子局2のうち予め設定された条件を満たす子局2を中継子局に決定する(ステップS37)。そして、制御部24は、問い合わせに対して応答がない子局2の識別情報を含む中継設定要求を中継子局にモデム21を介して送信する(ステップS38)。かかる中継設定要求は、例えば、第2中継設定要求または第3中継設定要求である。
制御部24は、中継設定要求を受信していないと判定した場合(ステップS30:No)、問い合わせに対して応答がない子局2が無いと判定した場合(ステップS36:No)、またはステップS38の処理が終了した場合、統括制御対象の子局2宛の通信信号が有るか否かを判定する(ステップS39)。制御部24は、統括制御対象の子局2宛の通信信号が有ると判定した場合(ステップS39:Yes)、統括制御対象の子局2宛の通信信号を中継する(ステップS40)。
制御部24は、統括制御対象の子局2宛の通信信号が無いと判定した場合(ステップS39:No)、またはステップS40の処理が終了した場合、図9に示す処理を終了する。なお、図9に示していないが、制御部24は、親局1から自局宛の通信信号がある場合、モデム21から出力される受信データを監視制御対象機器5に出力し、監視制御対象機器5から送信要求が有る場合、監視制御対象機器5からの送信要求に応じた通信信号をモデム21から通信線3へ送信させることができる。
また、上述した例では、親局1から子局2宛の通信信号の中継について主に説明したが、子局2から親局1宛の通信信号も中継子局によって同様に中継される。子局2の中継処理部27は、通信線3に伝送される親局1宛の通信信号を受信したモデム21から出力される送信元の識別情報が、記憶部23から取得した統括制御対象の子局2の識別情報と一致するか否かを判定する。中継処理部27は、通信信号の送信元の識別情報が記憶部23から取得した統括制御対象の子局2の識別情報と一致すると判定した場合、モデム21で受信された通信信号であって送信元が統括制御対象の子局2である親局1宛の通信信号をモデム21から通信線3へ送信させる。このように、中継処理部27は、親局1と他の子局2との間の通信の中継を行うことができる。
図10は、実施の形態1にかかる親局のハードウェア構成の一例を示す図である。図10に示すように、親局1は、プロセッサ101と、メモリ102と、入出力回路103と、通信装置104とを備えるコンピュータを含む。
プロセッサ101、メモリ102、入出力回路103、および通信装置104は、例えば、バス105によって互いにデータの送受信が可能である。モデム11は、通信装置104で実現される。入出力部12は、入出力回路103で実現される。記憶部13は、メモリ102によって実現される。プロセッサ101は、メモリ102に記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、データ送受信部16、第1中継子局決定部17、および第1中継子局設定部18の機能を実行する。プロセッサ101は、処理回路の一例であり、例えば、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processer)、およびシステムLSI(Large Scale Integration)のうち一つ以上を含む。
メモリ102は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、およびEEPROM(登録商標)(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)のうち一つ以上を含む。また、メモリ102は、コンピュータが読み取り可能なプログラムが記録された記録媒体を含む。かかる記録媒体は、不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルメモリ、光ディスク、コンパクトディスク、およびDVD(Digital Versatile Disc)のうち一つ以上を含む。なお、親局1および子局2は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)およびFPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積回路を含んでいてもよい。
また、子局2は、親局1と同様に、プロセッサ101と、メモリ102と、入出力回路103と、通信装置104とを備えるコンピュータを含む構成とすることができる。モデム21は、通信装置104で実現される。入出力部22は、入出力回路103で実現される。記憶部23は、メモリ102によって実現される。プロセッサ101は、メモリ102に記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、データ送受信部26、中継処理部27、第2中継子局決定部28、および第2中継子局設定部29の機能を実行する。
以上のように、実施の形態1にかかる通信システム100は、親局1と、親局1と通信線3でマルチドロップ接続される複数の子局2とを備える。親局1は、第1中継子局決定部17と、第1中継子局設定部18とを備える。第1中継子局決定部17は、複数の子局2の各々へ個別に問い合わせを行い、問い合わせに対して応答した子局2のうち予め設定された条件を満たす子局2を第1中継子局に決定する。第1中継子局設定部18は、問い合わせに対して応答しない子局2である第1子局の情報を含む第1中継設定要求を、第1中継子局決定部17によって決定された第1中継子局に対して行う。子局2は、記憶部23と、中継処理部27とを備える。記憶部23は、第1中継設定要求に含まれる第1子局の情報を記憶する。中継処理部27は、記憶部23に記憶された情報に基づいて、親局1と第1子局との間の通信を中継する。これにより、中継子局を設定しつつも通信処理の負荷を軽減することができる。すなわち、子局2は、親局1から予め送信される第1中継設定要求に含まれる第1子局の情報に基づいて、中継すべき通信信号を判定することができるため、親局1は、第1中継子局の情報を第1子局宛の通信信号に含める必要が無く、これにより、親局1の通信処理の負荷を軽減することができる。
また、子局2は、第2中継子局決定部28と、第2中継子局設定部29とを備える。第2中継子局決定部28は、第1中継設定要求を受信した場合、第1中継設定要求に含まれる第1子局の情報に基づいて、第1子局に問い合わせを行い、問い合わせに対して応答した第1子局を第2子局に決定し、決定した第2子局のうち予め設定された条件を満たす第2子局を第2中継子局に決定する。第2中継子局設定部29は、第2中継子局決定部28によって決定された第2中継子局に、問い合わせに対して応答しない第1子局である第3子局の情報を含む第2中継設定要求を行う。これにより、子局2は、親局1と同様に、統括制御対象の子局2の中から第2中継子局を設定することができ、中継子局を設定しつつも通信処理の負荷を軽減することができる。また、通信システム100は、中継子局の選択の動作を再帰的に実施するため、中継子局と最遠端の子局2との伝送距離が通信限界距離以上であっても、自動的に複数階層の中継機能を構築して通信を継続することができる。
また、記憶部23は、第2中継設定要求に含まれる第3子局の情報を記憶する。中継処理部27は、記憶部23に記憶された情報に基づいて、第1中継子局と第3子局との間の通信を中継する。これにより、第1中継子局である子局2は、第2中継子局の情報を第3子局宛の通信信号に含める必要が無く、中継子局である子局2の通信処理の負荷を軽減することができる。
また、上述した予め設定された条件は、問い合わせに対する応答を行った子局2のうち受信レベルが最も低い子局2であることを条件とする。これにより、例えば、親局1からの問い合わせに対して応答した子局2のうち親局1からの距離が遠い子局2を中継子局として設定することができ、中継子局を適切に設定することができる。また、モデム11,21の送受信レベルまたは通信ケーブルの減衰特性とケーブル長から通信限界距離を推定して、かかる通信限界距離内で中継子局を事前に選択する作業が不要となる。
実施の形態2.
実施の形態2の通信システムは、中継子局の選択条件が実施の形態1の通信システムと異なり、また、中継子局の選択条件の情報である条件情報が親局から子局へ通知される点で、条件情報が予め親局および子局に各々設定されている実施の形態1の通信システムと異なる。以下においては、実施の形態1にかかる通信システム100と同様の構成については同一符号を付して説明を省略し、実施の形態1にかかる通信システム100と異なる構成について主に説明するものとする。
図11は、本発明の実施の形態2にかかる通信システムの構成例を示す図である。図11に示す通信システム100Aは、親局1Aおよび複数の子局2Aa,2Ab,2Ac,2Ad,2Aeを備える。以下、子局2Aa,2Ab,2Ac,2Ad,2Aeの各々を区別せずに示す場合、子局2Aと記載する場合がある。
図12は、実施の形態2にかかる親局および子局の構成例を示す図である。図12に示すように、実施の形態2にかかる親局1Aは、制御部14に代えて制御部14Aを有する点で、親局1と異なる。制御部14Aは、データ送受信部16と、第1中継子局決定部17Aと、第1中継子局設定部18Aとを備える。
第1中継子局決定部17Aは、中継子局の選択条件が第1中継子局決定部17と異なる。中継子局の選択条件は、問い合わせに応答し且つ受信レベルが予め設定された閾値TH以上である子局2Aのうち受信レベルが最も低い子局2Aが中継子局として決定されるという条件である。第1中継子局決定部17Aは、問い合わせに応答し且つ受信レベルが予め設定された閾値TH以上である子局2Aのうち受信レベルが最も低い子局2Aを第1中継子局に決定する点で、問い合わせに応答した子局2のうち受信レベルが最も低い子局2を第1中継子局に決定する第1中継子局決定部17と異なる。
また、第1中継子局設定部18Aは、第1中継子局決定部17Aによって決定された第1中継子局に対し、問い合わせに応答したが受信レベルが予め設定された閾値TH未満である子局2Aおよび問い合わせに対して応答しない子局2Aである第1子局の識別情報と中継子局の選択条件の情報である条件情報とを含む第1中継設定要求を行う。条件情報は、受信レベルの閾値THである。このように、条件情報は、親局1Aから子局2Aに通知される。また、第1子局の識別情報には、問い合わせに応答したが受信レベルが予め設定された閾値TH未満である子局2Aの識別情報も含まれる。
次に、子局2Aの構成について説明する。図12に示すように、実施の形態2にかかる子局2Aは、制御部24に代えて制御部24Aを有する点で、子局2と異なる。制御部24Aは、データ送受信部26と、中継処理部27と、第2中継子局決定部28Aと、第2中継子局設定部29Aとを備える。
第2中継子局決定部28Aは、親局1Aまたは他の子局2Aから通知される中継子局の選択条件の情報である条件情報に基づいて、中継子局を決定する点で、条件情報が予め設定される第2中継子局決定部28と異なる。また、第2中継子局決定部28Aは、問い合わせに応答し且つ受信レベルが予め設定された閾値TH以上である子局2Aのうち受信レベルが最も低い子局2Aを第2中継子局または第3中継子局に決定する点で、問い合わせに応答した子局2のうち受信レベルが最も低い子局2を第2中継子局または第3中継子局に決定する第2中継子局決定部28と異なる。
また、第2中継子局設定部29Aは、第2中継子局決定部28Aによって決定された第2中継子局または第3中継子局に、問い合わせに応答したが受信レベルが予め設定された閾値TH未満である子局2Aの識別情報および問い合わせに対して応答しない子局2Aの識別情報と条件情報とを含む第2中継設定要求または第3中継設定要求を行う。このように、条件情報は、子局2Aから他の子局2Aに通知される。すなわち、実施の形態2にかかる通信システム100Aは、親局1Aに予め設定した中継子局の選択条件を中継子局でも継承して用いるように構成される。そのため、システム導入後に何らかの影響で通信線3の品質が悪化した場合など、受信レベルの閾値THを微調整したい場合には、親局1Aに対してのみ設定変更すればよく、全ての子局2Aの設定変更を行う作業は不要となる。
ここで、親局1Aからの問い合わせに対して子局2Aa,2Ab,2Acが応答し且つ子局2Ad,2Aeが応答しない場合の通信システムの動作について具体的に説明する。なお、受信レベルの閾値THは、−19dBmであるとする。図13は、実施の形態2にかかる親局の統括制御対象の調査結果と中継子局の選択結果の一例を示す図である。
図13に示すように、親局1Aの統括制御対象は、全ての子局2Aa,2Ab,2Ac,2Ad,2Aeである。親局1Aの第1中継子局決定部17Aは、統括制御対象である子局2Aa,2Ab,2Ac,2Ad,2Aeへ個別に問い合わせを行う。
図13に示すように、親局1Aからの問い合わせに対して子局2Aa,2Ab,2Acが応答有りであり、子局2Ad,2Aeが応答無しである。また、親局1Aからの通信信号に対する子局2Aa,2Ab,2Acの受信レベルは、−8dBm,−17dBm,−20dBmである。受信レベルの閾値THは、−19dBmであるため、第1中継子局決定部17Aは、問い合わせに応答し且つ受信レベルが閾値TH以上である子局2Aa,2Abのうち受信レベルが最も低い子局2Abを第1中継子局に決定する。
親局1Aの第1中継子局設定部18Aは、受信レベルが閾値TH未満である子局2Acおよび問い合わせに対して応答しない子局2Ad,2Aeを第1中継子局である子局2Abの中継対象局として決定する。中継対象局は、第1中継子局が中継の対象とする子局2Aである。そして、第1中継子局設定部18Aは、第1中継子局決定部17Aによって決定された第1中継子局である子局2Abに、子局2Abの中継対象局である子局2Ac,2Ad,2Aeの識別情報を含む第1中継設定要求を行う。
次に、親局1Aから第1中継設定要求が行われた子局2Abの動作について説明する。図14は、実施の形態2にかかる第1中継子局の統括制御対象の調査結果と中継子局の選択結果の一例を示す図である。
図14に示すように、子局2Abの制御部24Aは、親局1Aから第1中継設定要求を受信した場合、第1中継設定要求に含まれる子局2Ac,2Ad,2Aeの識別情報を記憶し、識別情報が含まれる子局2Ac,2Ad,2Aeを統括制御対象とする。子局2Abの統括制御対象は、子局2Abが中継対象とする子局2Aである。
また、子局2Abの制御部24Aは、統括制御対象である子局2Ac,2Ad,2Aeが問い合わせに応答し且つ受信レベルが予め設定された閾値TH以上であるか否かを調査し、必要に応じて通信信号を中継する子局2Aである中継子局を決定する。具体的には、子局2Abの第2中継子局決定部28Aは、統括制御対象である子局2Ac,2Ad,2Aeへ個別に問い合わせを行う。図14に示す例では、子局2Abからの問い合わせに対して子局2Ac,2Ad,2Aeが応答有りであり且つ受信レベルが予め設定された閾値TH以上である。
第2中継子局決定部28Aは、問い合わせを行った子局2Ac,2Ad,2Aeはいずれも応答し且つ受信レベルが予め設定された閾値TH以上であるため、統括制御対象である子局2Ac,2Ad,2Aeへの通信信号を中継する中継子局を設ける必要が無いと判定する。この場合、第2中継子局決定部28Aは、中継対象局がないことを示す通信信号をモデム21および通信線3を介して子局2Ac,2Ad,2Aeへ送信する。以降、子局2Ac,2Ad,2Aeは、中継を行わず、子局2Abと直接通信を行う。
このように、親局1Aおよび子局2Aは、応答が無い子局2Aと予め設定していた受信レベルの閾値THを満たさない子局2Aとを中継対象局に選択し、受信レベルの閾値THを満たす子局2Aのうち受信レベルが最も低い子局2Aを中継子局として選択する。これにより、例えば、モデム11,21の最低受信レベルに対して余裕を持たせた受信レベルの閾値THを設定しておくことで、通信限界距離のぎりぎりに位置する子局2Aを中継子局として選択してしまうことを回避することができる。そのため、例えば、通信システム100Aにおける親局1Aと子局2Aとの送受信レベルを実測して十分にマージンがあることを確認する作業が不要となる。
なお、実施の形態2にかかる親局1Aおよび子局2Aのハードウェア構成例は、図10に示す親局1と同じである。プロセッサ101は、記憶部13として機能するメモリ102に記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、データ送受信部16、第1中継子局決定部17A、および第1中継子局設定部18Aの機能を実行することができる。また、プロセッサ101は、記憶部23として機能するメモリ102に記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、データ送受信部26、中継処理部27、第2中継子局決定部28A、および第2中継子局設定部29Aの機能を実行することができる。
以上のように、実施の形態2にかかる通信システム100Aの親局1Aは、受信レベルの条件を示す条件情報を子局2Aに通知する。第2中継子局決定部28Aは、親局1Aから通知された条件情報に基づいて、予め設定された条件を満たすか否かを判定する。これにより、例えば、システム導入後に何らかの影響で通信線3の品質が悪化した場合など、受信レベルの閾値THを微調整したい場合には、親局1Aに対してのみ設定変更すればよく、全ての子局2Aの設定変更を行う作業は不要となる。
また、第1中継子局決定部17Aおよび第2中継子局決定部28Aは、問い合わせに対して応答した子局2Aのうち受信レベルが予め設定された閾値TH以上である子局2Aを中継子局に決定する。これにより、例えば、モデム11,21の最低受信レベルに対して余裕を持たせた受信レベルの閾値THを設定しておくことで、通信限界距離のぎりぎりに位置する子局2Aを中継子局として選択してしまうことを回避することができる。
なお、上述した実施の形態1,2の通信システム100,100Aでは、子局2,2Aの受信レベルに基づいて中継子局を選択するが、中継子局を選択する親局1,1Aまたは中継子局を選択する子局2,2Aにおける受信レベルに基づいて、中継子局を選択することもできる。例えば、第1中継子局決定部17,17Aおよび第2中継子局決定部28,28Aは、問い合わせに対して応答した子局2,2Aから送信される通信信号の受信レベルに基づいて、中継子局を選択することができる。また、第1中継子局決定部17,17Aおよび第2中継子局決定部28,28Aは、問い合わせに対して応答した子局2の受信レベルに加え、問い合わせに対して応答した子局2,2Aから送信される通信信号の受信レベルに基づいて、中継子局を選択することができる。この場合も、第1中継子局決定部17,17Aおよび第2中継子局決定部28,28Aは、閾値THを用いることができ、また、子局2Aは、親局1Aから受信される条件情報に基づいて、中継子局を選択することもできる。
以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。