次に本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。まず、図1を参照して、本実施の形態の部品装着装置が配置された実装基板製造システム1の構成について説明する。図1において、実装基板製造システム1は、実装基板製造ライン1aを構成する各装置を通信ネットワーク2を介してホストコンピュータである情報処理装置3に接続した構成となっている。
実装基板製造ライン1aは、基板供給装置M1、スクリーン印刷装置M2、印刷はんだ検査装置M3、部品装着装置M4、M5、M6、部品装着状態検査装置M7、リフロー装置M8、実装基板検査装置M9、実装基板回収装置M10を直列に配置して構成されている。これらの各装置は基板搬送コンベアによって連結されており、上流側の基板供給装置M1から下流側の実装基板回収装置M10まで、作業対象の基板13(図2参照)を各装置に順次搬送できるようになっている。
基板供給装置M1は、部品装着前の基板13を下流側装置に供給する。スクリーン印刷装置M2は、供給された基板13に部品接合用のはんだをスクリーン印刷する。印刷はんだ検査装置M3は、印刷されたはんだの印刷状態の良否を光学的に検査する。部品装着装置M4、M5、M6は、はんだが印刷された基板13に部品を装着する。部品装着状態検査装置M7は部品が装着された基板13における部品装着状態の良否を検査する。リフロー装置M8は、部品が装着された基板13をリフロー炉によって加熱することにより、はんだを溶融固化させて部品を基板13にはんだ接合する。実装基板検査装置M9は、はんだ接合後の基板13の部品実装状態を光学的に検査する。実装基板回収装置M10は、部品が実装された実装基板を回収する。
次に図2、図3を参照して、部品装着装置M4、M5、M6の構成を説明する。図2において、基台11の上面には、基板搬送コンベア12がX方向(基板搬送方向)に配列されている。基板搬送コンベア12は上流側から受け渡された基板13を搬送して、基板搬送コンベア12における装着作業位置に設けられた基板支持部12a(図3参照)に位置決めして保持する。基板搬送コンベア12の前方側(F側:図2において下側)および後方側(R側:図2において上側)には、それぞれ部品供給部(F)14F、部品供給部(R)14Rが配置されている。なお、以下の記載において、上述の前方側(F側)および後方側(R側)に配置されている同一機能の構成要素については、名称にそれぞれ(F)、(R)を付して区別している。
図3に示すように、部品供給部(F)14F、部品供給部(R)14Rには、リールストック部21aが装備されたフィーダカート21がセットされている。リールストック部21aには、装着対象の部品を収納したキャリアテープ23を卷回状態で収納する供給リール22が保持されている。さらにフィーダカート21の上部に設けられたフィーダベース14aには、複数の部品供給ユニット15(テープフィーダ)が並列に装着されている。
供給リール22から引き出されたキャリアテープ23は、部品供給ユニット15に取り込まれる。キャリアテープ23は、部品供給ユニット15においてスプロケット25(図5参照)を有するテープ送り機構によってピッチ送りされる。これにより、キャリアテープ23に収納された部品は、以下に説明する装着ヘッド(F)18F、装着ヘッド(R)18Rによる部品取出し位置である開口部19(図2参照)に送られる。
図2に示すように、基台11の上面においてX方向の両端部近傍には、それぞれY軸テーブル16がY方向に配列されている。2つのY軸テーブル16には、1対のX軸テーブル(F)17F、X軸テーブル(R)17RがY方向に移動自在に架設されている。X軸テーブル(F)17F、X軸テーブル(R)17Rには、それぞれ下端部に部品保持ノズル18aを有する装着ヘッド(F)18F、装着ヘッド(R)18RがX方向に移動自在に装着されている。
Y軸テーブル16、X軸テーブル(F)17Fを駆動することにより、装着ヘッド(F)18FはX方向、Y方向に移動する。同様にY軸テーブル16、X軸テーブル(R)17Rを駆動することにより、装着ヘッド(R)18RはX方向、Y方向に移動する。すなわち、Y軸テーブル16、X軸テーブル(F)17Fの組み合わせ、Y軸テーブル16、X軸テーブル(R)17Rの組み合わせは、それぞれ部品保持ノズル18aを有する装着ヘッド(F)18F、装着ヘッド(R)18Rを移動させる装着ヘッド移動機構となっている。
図3に示すように、装着ヘッド(F)18F、装着ヘッド(R)18Rは下端部に複数の部品保持ノズル18aを備えている。部品保持ノズル18aは装着対象の部品を真空吸着により保持する。また装着ヘッド(F)18F、装着ヘッド(R)18Rには、一体的に移動する基板認識カメラ18bが設けられている。装着ヘッド(F)18F、装着ヘッド(R)18Rを装着ヘッド移動機構によって基板13の上方に移動させることにより、基板認識カメラ18bは基板13の位置認識マークや部品の装着位置を撮像する。これらの基板認識カメラ18bによって取得された画像を画像認識部35(図8)によって認識処理することにより、被装着物である基板13や基板13における部品の装着位置の位置認識が行われる。
Y軸テーブル16、X軸テーブル(F)17Fを駆動することにより、装着ヘッド(F)18FはX方向、Y方向に移動する。これにより、装着ヘッド(F)18Fは部品供給部(F)14Fの開口部19から部品保持ノズル18aにより部品を吸着保持して取出し、基板搬送コンベア12の基板支持部12aに位置決め保持された基板13に移送して所定の装着位置に装着する。同様にY軸テーブル16、X軸テーブル(R)17Rを駆動することにより、装着ヘッド(R)18RはX方向、Y方向に移動する。
これにより、装着ヘッド(R)18Rは部品供給部(R)14Rの開口部19から部品保持ノズル18aにより部品を吸着保持して取出し、基板搬送コンベア12の基板支持部12aに位置決め保持された基板13に移送して所定の装着位置に装着する。すなわち、本実施の形態に示す部品装着装置M4、M5、M6は、部品供給ユニット15によって開口部19に送られたキャリアテープ23に収納された部品Pを、部品保持ノズル18aによって取出して基板13に装着する機能を有している。
図2、図3に示すように、部品供給部(F)14F、部品供給部(R)14Rと基板搬送コンベア12との間には、それぞれ部品認識カメラ(F)20F、部品認識カメラ(R)20Rが配置されている。開口部19から部品Pを取出した装着ヘッド(F)18F、装着ヘッド(R)18Rを、それぞれ部品認識カメラ(F)20F、部品認識カメラ(R)20Rの上方に位置させて撮像することにより、装着ヘッド(F)18F、装着ヘッド(R)18Rに保持された状態の部品Pの画像を取得することができる。
取得された画像を画像認識部35(図8参照)によって認識処理することにより、装着ヘッド(F)18F、装着ヘッド(R)18Rにおける部品Pの部品保持ノズル18aに対する位置ずれを検出することができる。本実施の形態においては、このようにして検出された位置ずれを示す部品位置ずれ量に基づいて、基板13への部品装着時の装着動作の補正を行う。
さらに本実施の形態においては、この装着動作の補正とともにこれらの部品位置ずれ量を複数集約した部品位置ずれ情報32(図8参照)から、部品供給ユニット15で開口部19に送られたキャリアテープ23の停止位置の周期的な変動を推定するようにしている。そしてこのようにして推定されたキャリアテープ23の停止位置の周期的な変動を利用して、後述する制限部38(図8参照)により、部品保持ノズル18aを部品取出し位置である開口部19に位置させる際の補正値を求めるとともに、一回の実装ターンにおいて取出し対象とする部品数を適正数に制限する部品数制限処理を実行するようにしている。
図4は、部品装着装置M4、M5、M6における装着ヘッド(ここでは装着ヘッド(F)18F)の、部品取出しから部品装着に至る動作を示している。すなわち、装着ヘッド(F)18Fは、まず部品供給部(F)14Fにアクセスして、生産プログラムにより部品取出し対象として指定された部品供給ユニット15の開口部19から部品保持ノズル18aによって部品Pを取出す(矢印a)。
次いで装着ヘッド(F)18Fを移動させて、部品Pを保持した部品保持ノズル18aを部品認識カメラ(F)20Fの上方に移動させ(矢印b)、部品認識カメラ(F)20Fによって部品Pを撮像する(矢印c)。そしてこの撮像によって取得された画像を画像認識部35(図8参照)によって認識処理することにより、部品保持ノズル18aに保持された部品Pの部品保持ノズル18aに対する位置ずれを示す部品位置ずれ量(図7に示すΔPx、ΔPy参照)を検出することができる。
次いで部品保持ノズル18aによって部品Pを保持した装着ヘッド(F)18Fを基板13の上方に移動させ(矢印d)、ここで部品装着動作を行わせる。すなわち、部品保持ノズル18aを下降させて(矢印f)、保持した部品Pを生産プログラムによって指定された装着位置に装着する。このとき、上述の部品位置ずれ量を考慮した装着動作の補正、すなわち装着ヘッド(F)18Fや装着ヘッド(R)18Rの停止位置の補正が行われる。上述の装着ヘッド(F)18F、装着ヘッド(R)18Rによる部品装着動作や、基板認識カメラ18b、部品認識カメラ(F)20F、部品認識カメラ(R)20Rによって取得された画像の認識処理などの制御処理は、基台11に内蔵された部品装着装置制御部10(図8参照)によって実行される。
次に上述の部品装着動作における部品Pの部品供給ユニット15からの取出しについて、図5を参照して説明する。図5に示すように、部品供給ユニット15は、部品Pを収納するキャリアテープ23に形成された送り孔23c(図6(a)参照)に係合して回転するスプロケット25を有している。スプロケット25は、複数段の減速ギアよりなるギア機構25aを介してキャリアテープ送りモータ26によって回転駆動される。
スプロケット25の上方にはキャリアテープ23がスプロケット25から外れないようにするためのテープ押さえ15aが配置されている。テープ押さえ15aの部品取出し位置に対応する部分には、開口部19が形成されている。ユニット制御部27によってキャリアテープ送りモータ26を制御することにより、部品供給ユニット15に取り込まれたキャリアテープ23は、テープフィーダ15に形成されたテープ搬送経路を通って部品取出し位置である開口部19に送られる。そしてここでカバーテープ23aが剥離されて開放された部品ポケット23bから、部品Pが部品保持ノズル18aによって取出される。
開口部19にてキャリアテープ23から剥離された(矢印g)カバーテープ23aは、テンション付与機構28を介してカバーテープ巻き取り機構29によって巻き取られ、カバーテープ回収部(図示省略)に回収される(矢印h)。カバーテープ巻き取り機構29は、カバーテープ23aを挟み込んだ1対の巻き取りローラ29aを巻き取りモータ29bによって駆動する構成となっている。またテンション付与機構28は、ガイドローラ28aと巻き取りローラ29aとの間において、テンション付与弾性体28dの引張り力を、レバー部材28cの端部に設けられたテンションローラ28bを介して、カバーテープ23aを押し下げる方向に作用させる構成となっている。
この構成では、剥離されたカバーテープ23aが弛んで張力が低下するとテンションローラ28bが下方に変位するとともに、レバー部材28cの下端部が横方向に変位する。この変位を光学センサを用いた弛み検出センサ28eによって検知することにより、カバーテープ23aの弛み状態が検知される。そしてこの検知結果を受けたユニット制御部27が巻き取りモータ29bを制御することにより、剥離されたカバーテープ23aの張力を所定範囲に維持して弛み状態を調整しながら、カバーテープ23aのキャリアテープ23からの引き取りを制御することが可能となっている。
次に図6を参照して、部品供給ユニット15におけるキャリアテープ23のテープ送りおよび開口部19におけるキャリアテープ23の停止位置について説明する。図6(a)に示すように、部品供給ユニット15では、キャリアテープ23の送り孔23cに送りピンを係合させたスプロケット25を間欠回転させることにより、キャリアテープ23をテープ送り方向(矢印i)にピッチ送りする。これにより、キャリアテープ23に定ピッチで形成された部品ポケット23bは、内部に収納した部品Pとともに、部品供給ユニット15に設けられた部品取出し位置である開口部19に順次送られる。
このテープ送りにおいては、部品ポケット23bの中心に位置する部品Pの中心Pcが、予めティーチングにより設定された部品取出し目標位置19aに到達して停止するように、部品供給ユニット15におけるキャリアテープ23のテープ送りパラメータが設定されている。ここに示す例では、部品取出し目標位置19aは開口部19の中心位置に設定されている。
図6(b)は、キャリアテープ23のテープ送りにおいて、テープ送りされたキャリアテープ23が実際に停止した状態を示している。ここで破線で示す部品ポケット23bは、位置ずれした状態で停止した部品ポケット23bを示している。部品供給ユニット15におけるテープ送りでは、部品ポケット23bの中心23dは予め設定された部品取出し目標位置19aとは必ずしも一致せず、X方向、Y方向に位置ずれしている場合が多い。ここに示す例では、部品ポケット23bの中心23dはそれぞれテープ停止位置ずれ量ΔX、ΔYだけ位置ずれしている。このため、開口部19からの部品取出しにおいて、部品保持ノズル18aを部品取出し目標位置19aに対してそのまま位置合わせしたのでは、部品ポケット23bに収納された部品Pを部品保持ノズル18aによって正しく保持して取出すことができない。
ここに示すテープ停止位置ずれ量ΔX、ΔYのような位置ずれは、図5に示す部品供給ユニット15のテープ送り機構の構成要素、例えばスプロケット25の送りピンのピッチ誤差や、ギア機構25aなどの機構誤差に起因して発生する。このため、開口部19に順次送られるキャリアテープ23におけるテープ停止位置ずれ量ΔX、ΔYの大きさは、個別のピッチ送り動作毎に異なっている。
したがって部品保持ノズル18aによって開口部19から部品Pを精度よく取出すには、個別の部品取出しステップにおいて部品保持ノズル18aを移動させる目標位置である部品取出し目標位置19aを位置ずれに応じて補正する必要がある。すなわち、部品保持ノズル18aを開口部19に移動させる際に、上述のテープ停止位置ずれ量ΔX、ΔYに相当する補正量を加味して部品保持ノズル18aを移動させることにより、位置ずれした状態で停止した部品ポケット23bの中心23dに部品保持ノズル18aを位置合わせすることができる。
上述の部品取出しにおける部品保持ノズル18aの位置補正では、テープ停止位置ずれ量ΔX、ΔYを精度よく且つ簡便な方法で取得することが求められる。このため、本実施の形態に示す部品装着装置および部品装着方法においては、以下に説明するように、部品供給ユニット15から装着ヘッド(F)18F,装着ヘッド(R)18Rによって取出された状態の部品Pの位置ずれを示す部品位置ずれ量に基づいて、テープ停止位置ずれ量ΔX、ΔYを求めるようにしている。
部品装着動作では部品保持ノズル18aによって部品Pを吸着して取出す部品取出しステップの後に、部品保持ノズル18aに保持された状態における部品Pの部品保持ノズル18aに対する位置ずれを示す部品位置ずれ量を画像認識により検出する部品認識が従来より行われている。本実施の形態においては、この部品認識によって得られた部品位置ずれ量を利用して、テープ停止位置ずれ量ΔX、ΔYの推定値を求めるようにしている。そしてこのようにして推定されたテープ停止位置ずれ量ΔX、ΔYが、部品取出しステップにおいて部品保持ノズル18aを開口部19に移動させる際の補正値として用いられる。
図7に示す画像20aは、部品Pを部品保持ノズル18aによって保持した装着ヘッド(F)18F、装着ヘッド(R)18Rを、部品認識カメラ(F)20F、部品認識カメラ(R)20Rによって下方から撮像した画像を示している。この画像20aを画像認識部35(図8参照)によって認識処理することにより、部品Pの部品保持ノズル18aに対する位置ずれを示す部品位置ずれ量が検出される。部品位置ずれ量は、部品保持ノズル18aの中心と部品Pの部品中心Pcとの、X方向、Y方向のそれぞれの隔たりを示す部品位置ずれ量ΔPx、ΔPyによって表される。部品認識カメラ(F)20F、部品認識カメラ(R)20Rおよび画像認識部35は、部品保持ノズル18aに保持された部品Pの部品保持ノズル18aに対する位置ずれを示す部品位置ずれ量ΔPx、ΔPyを検出する部品位置ずれ検出部を構成している。
部品位置ずれ量ΔPx、ΔPyの発生要因について考察する。これらの部品位置ずれ量は、部品Pを保持する際の装着ヘッド(F)18F、装着ヘッド(R)18Rの機械的な誤差要因による部品保持ノズル18aの位置ずれと、部品ポケット23b内における部品Pの位置ずれに加えて、キャリアテープ23の停止位置の位置ずれが加味されたものと考えることができる。ここで、キャリアテープ23の停止位置の位置ずれは、部品供給ユニット15が備えたテープ送り機構の特性に応じて周期的に変動する性質を有している。すなわち、キャリアテープ23の停止位置の位置ずれであるテープ停止位置ずれ量ΔX、ΔYは、部品位置ずれ量ΔPx、ΔPyに周期的な変動成分として含まれている。
ここでテープ停止位置ずれ量ΔX、ΔYと部品位置ずれ量ΔPx、ΔPyとの関係について経験則に基づき簡略化して考察すると、部品位置ずれ量ΔPx、ΔPyの大きさを規定する主成分はテープ停止位置ずれ量ΔX、ΔYであるとみなして差し支えない。換言すればテープ停止位置ずれ量ΔX、ΔYと部品位置ずれ量ΔPx、ΔPyとは略比例関係にあり、実用的には部品位置ずれ量ΔPx、ΔPyに経験値によって規定される係数を乗じることにより、テープ停止位置ずれ量ΔX、ΔYを妥当な精度範囲で推定することができる。なお、部品保持ノズル18aで開口部19から部品を保持する際に補正値算出部36で算出した補正値を加味して装着ヘッド(F)18F、装着ヘッド(R)18Rの停止位置を補正した場合は、部品位置ずれ量ΔPx、ΔPyにその補正値を加えてテープ停止位置ずれ量ΔX、ΔYを推定する。
次に図8を参照して、部品装着装置M4、M5、M6の制御系の構成について説明する。図8において、部品装着装置制御部10は、記憶部30および内部処理機能である部品装着処理部34、画像認識部35、補正値算出部36および周期変動分析部37、制限部38を備えている。また部品装着装置制御部10には、装着ヘッド(F)18F、装着ヘッド(R)18Rおよびこれらに付属して設けられた基板認識カメラ18b、X軸テーブル(F)17F、X軸テーブル(R)17R、Y軸テーブル16、基板搬送コンベア12、部品供給ユニット15、部品認識カメラ(F)20F、部品認識カメラ(R)20Rが接続されている。
部品装着装置制御部10に内蔵された記憶部30には、生産プログラム31、部品位置ずれ情報32、周期変動分析情報33が記憶されている。生産プログラム31は、基板13に部品Pを装着する部品装着作業において実行される作業動作の動作プログラムや、作業動作において参照される生産データを含む。図9に示すように、生産プログラム31には「装着点番号」31a、「部品」31b、「供給位置」31cおよび「装着位置」31dが含まれている。
「装着点番号」31aは、基板13において部品Pが装着される装着点を特定する1連番号である。「部品」31bは、部品名や部品IDなど各「装着点番号」31aに装着される部品Pを特定する識別情報である。「供給位置」31cは、当該「装着点番号」31aに装着される部品Pを供給する部品供給ユニット15の部品供給部(F)14F、部品供給部(R)14Rにおける位置を示す情報である。「装着位置」31dは、当該部品Pが装着される装着点の基板13における位置座標(X、Y、Θ)を示す装着座標情報である。
部品装着処理部34は、生産プログラム31にしたがって部品装着機構を制御して部品装着動作を実行させる処理を行う。本実施の形態では、部品装着処理部34は、複数の部品保持ノズル18aを有する装着ヘッド(F)18F、装着ヘッド(R)18Rを、前述の装着ヘッド移動機構によって部品供給ユニット15と基板13との間を一往復させる実装ターンを繰り返し実行する。この実装ターンでは、装着ヘッド(F)18F、装着ヘッド(R)18Rが有する複数の部品保持ノズル18aのそれぞれに部品Pを保持して基板13に装着する。
画像認識部35は、装着ヘッド(F)18F、装着ヘッド(R)18Rに付属して設けられた基板認識カメラ18b、部品認識カメラ(F)20F、部品認識カメラ(R)20Rによって撮像された画像を認識処理する。前述のように、部品認識カメラ(F)20F、部品認識カメラ(R)20Rおよび画像認識部35は、部品保持ノズル18aに保持された部品Pの部品保持ノズル18aに対する位置ずれを示す部品位置ずれ量を検出する部品位置ずれ検出部を構成する。この部品位置ずれ検出部で複数の部品Pについて順次検出された複数の部品位置ずれ量ΔPx、ΔPy(図7参照)は、記憶部30に部品位置ずれ情報32として記憶される。したがって記憶部30は、部品位置ずれ検出部で検出した複数の部品位置ずれ量ΔPx、ΔPyを記憶する部品位置ずれ情報記憶部となっている。
ここでは、この部品位置ずれ情報記憶部は、装着対象となって部品供給ユニット15から取出される全ての部品Pについての部品位置ずれ量ΔPx、ΔPyを、各部品供給ユニット15毎に取出される順番で記憶する。すなわち部品位置ずれ情報記憶部は、複数の部品位置ずれ量ΔPx、ΔPyを、少なくともその部品Pが取出された部品供給ユニット15に関連付けるとともに、時系列的に記憶するようになっている。そして以下に説明する周期変動分析部37による処理では、部品供給ユニット15別に部品取出し位置におけるキャリアテープ23の周期的な変動を推定する。
補正値算出部36は、部品位置ずれ情報記憶部である記憶部30に記憶された複数の部品位置ずれ量である部品位置ずれ情報32、もしくは部品位置ずれ情報32から推定されたキャリアテープ23の停止位置の周期的な変動から、部品供給ユニット15において部品保持ノズル18aを部品取出し位置である開口部19に位置させる際の補正値を求める処理を行う。ここで云う補正値は、部品保持ノズル18aを移動させる目標位置を補正する補正値である(図13に示す補正値Cx、Cy参照)。
部品装着処理部34による制御処理では、開口部19から部品を取出す部品取出しステップにおいて開口部19に部品保持ノズル18aを移動させる場合は、補正値算出部36で算出した補正値を利用して装着ヘッド移動機構を制御する。なお、この補正値の算出に際しては、部品位置ずれ情報32、もしくは部品位置ずれ情報32から推定されたキャリアテープ23の停止位置の周期的な変動のいずれを用いてもよい。
周期変動分析部37は、記憶部30に記憶された複数の部品位置ずれ量である部品位置ずれ情報32より、部品供給ユニット15におけるキャリアテープ23の停止位置の周期的な変動を推定する処理を行う。周期変動分析部37により推定された停止位置の周期的な変動のデータは、記憶部30に周期変動分析情報33として記憶される。周期変動分析部37による停止位置の周期的な変動の推定は以下のように行われる。
前述のように、本実施の形態では、図7に示す部品位置ずれ量ΔPx、ΔPyに経験値によって求められた所定の係数を乗じて、キャリアテープ23の停止位置の位置ずれを推定し、テープ停止位置ずれ量ΔX、ΔYとして求めるようにしている。そして求められたテープ停止位置ずれ量ΔX、ΔYを時系列的に配列した位置ずれ変動パターンに基づいて、停止位置の周期的な変動を推定する。すなわち推定した複数のテープ停止位置ずれ量ΔX、ΔYより、周期的な変動を推定する。
図12は、このようにして作成された周期変動分析情報33の例を示している。図12において、部品送り番号Nは上述の周期的な変動を示す位置ずれ変動パターンにおける部品送りの順番であり、ここでは変動の周期が24である場合の例を示している。すなわち部品送りを24回反復する度に、キャリアテープ23の停止位置の変動が同様のパターンで発生する。
周期変動分析情報33の作成において、周期変動分析部37は記憶部30に記憶された部品位置ずれ情報32から、各部品送り番号N毎に複数の部品位置ずれ量ΔPx、ΔPyを読み出す。そしてこれらの部品位置ずれ量ΔPx、ΔPyに所定の係数を乗じて、テープ停止位置ずれ量ΔX、ΔYを求め、対応する部品送り番号N毎にプロットする。これにより、各部品送り番号Nについて、それぞれに異なる分布幅Ax、Ayで分布する複数のテープ停止位置ずれ量ΔX、ΔYのデータ点がプロットされたグラフが得られる。図12では、プロットされた複数のデータ点を、簡略化して太線で図示している。そしてこれらの複数のデータ点から、各部品送り番号Nにおけるデータ点の代表値(例えば平均値)を、周期変動分析の対象となるテープ停止位置ずれ量ΔX、ΔYとして求める。
制限部38は、周期変動分析部37で推定された停止位置の周期的な変動に基づいて、一回の実装ターンで同一の部品供給ユニット15から取出し可能な部品の数を制限する部品数制限処理を行う。この部品数制限処理は、生産プログラム31に規定された数の部品Pを一回の実装ターンにて取出し対象とすれば、部品保持ノズル18aと部品Pとの位置ずれが予め規定された許容振れ幅を超えてしまう事態が予想されるような、テープ送り精度が良好ではない部品供給ユニット15を使用する場合に適用される。そして部品装着処理部34は、実装ターンで同一の部品供給ユニット15から取出し可能な部品Pの数が制限された場合には、制限された数以下の部品Pを部品供給ユニット15から取出して基板13に装着する。
図13は、図12に示す周期変動分析情報33に基づいて実行される部品数制限処理を示している。図13において、各部品送り番号Nに対応した縦線には、各部品送り番号Nに対応して実行される部品送りにおけるX方向、Y方向のテープ停止位置ずれ量ΔX、ΔYが、使用される部品供給ユニット15のテープ送り特性に対応した位置ずれ変動パターンで示されている。これらの位置ずれ変動パターン上に設定された破線枠(MT)は、部品数制限の対象となる実装ターン(MT)にて実行予定の部品取出しステップの範囲(ここでは、部品送り番号Nが8〜17の部品取出しステップ)を示している。またテープ停止位置ずれ量ΔX、ΔYのそれぞれについて設定された許容振れ幅Tx、Tyは、部品保持ノズル18aによって部品Pを保持する際に許容される振れ幅(部品保持ノズル18aと部品Pとのずれ量)を示している。
部品数制限処理では、これら実行予定の部品取出しステップを、部品保持ノズル18aと部品Pとの位置ずれが過大となることなく実行可能か否かが判定される。すなわち周期変動分析情報33を参照することにより、当該実装ターン(MT)において予想されるX方向、Y方向の停止位置の変動幅Vx、Vyを求めることができる。そしてこれら変動幅Vx、Vyを予め記憶部30に記憶された許容振れ幅Tx、Tyと比較し、変動幅Vx、Vyが許容振れ幅Tx、Tyの範囲内に収まるような部品取出し動作が可能であれば、複数回のテープ送りで部品取出し位置に送られる複数の部品Pを、一回の実装ターンにおいて取出すことが可能であると判定する。
図13に示す例では、X方向については変動幅Vxは許容振れ幅Txの範囲内に収まるものの、Y方向については変動幅Vyは許容振れ幅Tyからはみ出している。したがって、実装ターン(MT)においては実行予定の部品取出しステップ全てを同一の実装ターンで実行することはできないと判定される。そしてこの場合には、許容振れ幅Tyからはみ出して実行することはできないと判定された部品取出しステップ(破線枠ST*で示す2つの部品取出しステップ)については実行をスキップして、取出し回数を当初予定の複数回から減らした回数に制限する。
この部品取出し動作においては、部品保持ノズル18aを部品取出し位置に位置させる際の補正値Cx、Cyが適用される。補正値Cx、Cyの設定においては、変動幅Vx、Vyが極力許容振れ幅Tx、Tyの範囲内に収まるようにする。図13に示す例では、X方向の補正値Cxは、変動幅Vxの中心が許容振れ幅Txの中心と一致するように設定されている。またY方向の補正値Cyは、当初の変動幅Vyから実行をスキップした部品取出しステップに相当する変動範囲を除外した変動幅、すなわち許容振れ幅Tyの中心と一致するように設定されている。これらの補正値Cx、Cyは、部品位置ずれ情報記憶部である記憶部30に記憶された複数の部品位置ずれ量である部品位置ずれ情報32、もしくは部品位置ずれ情報32から推定されたキャリアテープ23の停止位置の周期的な変動から、補正値算出部36により算出される。
すなわち制限部38は、一回の実装ターンで同一の部品供給ユニット15から部品Pの取出しが複数回予定されている場合、周期変動分析部37によって推定された部品供給ユニット15のキャリアテープ23の停止位置の周期的な変動より、予定されている複数回の部品Pの取出しが可能であるかを判断する。そして、取出しが可能でない場合には、部品Pの取出し回数を予定されている複数回から減らした回数に制限するようにしている。
これにより、使用される部品供給ユニット15のテープ送り精度が良好でなく、キャリアテープ23の停止位置が許容振れ幅Tx、Tyを超えて変動している場合にあっても、許容振れ幅Tx、Tyの範囲内に収まる部品Pのみを取出し対象とすることができる。したがって停止位置が許容振れ幅Tx、Tyを超えて変動している状態で、部品Pを部品保持ノズル18aによって保持して取出すことに起因する不具合、例えば隣接する部品の間隔が狭い狭隣接実装において隣接する部品が相互に干渉する不具合などを防止することができる。
さらに本実施の形態においては、記憶部30に記憶された部品位置ずれ情報32もしくは周期変動分析部37で推定された周期的な変動から部品保持ノズル18aを部品取出し位置に位置させる際の補正値Cx、Cyを求める補正値算出部36を備えている。ここでは制限部38は、補正値Cx、Cyを適用した一回の実装ターンで同一の部品供給ユニット15から部品の取出しが複数回予定されている場合、周期変動分析部37によって推定された部品供給ユニット15の周期的な変動より求めた複数回のキャリアテープ23の停止位置の変動幅より、予定された複数回の部品Pの取出しが可能かを判断し、可能でない場合は部品Pの取出し回数を複数回から減らした回数に制限する。
そして部品装着処理部34は、補正値Cx、Cyに基づいて装着ヘッド移動機構による装着ヘッド(F)18F、装着ヘッド(R)18Rの停止位置を補正する。補正値Cx、Cyは、変動幅Vx、Vyが極力許容振れ幅Tx、Tyの範囲内に収まるように設定されることから、制限される部品Pの取出し回数を極力少なくすることが可能となっている。これにより、テープ送り精度が良好でない部品供給ユニット15を用いる場合において、作業効率の低下を最小限に抑制することができる。
なお、周期変動分析部37による停止位置の周期的な変動の推定においては、対象となる部品供給ユニット15が備えたテープ送り機構の構成によってテープ送りにおける変動の周期が定まる。すなわち、キャリアテープ23に係合して回転するスプロケット25の送りピンの数や、スプロケット25を回転駆動する複数の歯車の歯数が与えられれば、テープ送り動作における停止位置の変動の全体周期が定まる。
この全体周期には、停止位置の変動において位置ずれによる影響の度合いが大きい主変動が反復される主変動周期が含まれている。実際のテープ送りにおける停止位置の変動を対象とする場合には、この主変動周期を対象とすればよい。この主変動周期は、対象となる部品供給ユニット15が有するスプロケット25若しくはスプロケット25を回転させるための少なくとも1つの歯車が、n周(nは1以上の整数)する周期に相当する。
すなわち周期変動分析部37は、対象となる部品供給ユニット15が有するスプロケット25若しくはスプロケット25を回転させるための少なくとも1つの歯車が、n周(nは1以上の整数)する間に、開口部19に送られる部品Pの数によって定まる周期(主変動周期)に基づいて、キャリアテープ23の停止位置の周期的な変動を推定する。なお、上述の主変動周期は、使用する部品供給ユニット15の種類と対象となるキャリアテープ23との組み合わせが特定されれば一意的に定まる場合が多い。すなわちこのような場合には、周期変動分析部37は部品供給ユニット15の種類と部品供給ユニット15にセットされるキャリアテープ23の種類によって定まる周期に基づいて、キャリアテープ23の停止位置の周期的な変動を推定する。
上述のように、本実施の形態に示す部品装着装置M4、M5、M6は、まず部品供給ユニット15によって開口部19に送られたキャリアテープ23に収納された部品Pを装着ヘッド(F)18F、装着ヘッド(R)18Rの部品保持ノズル18aで取出す。そして装着ヘッド(F)18F、装着ヘッド(R)18Rを部品供給ユニット15と基板13との間で一往復させる実装ターンを繰り返し実行することにより、基板13に部品Pを装着する機能を有している。
次に図10のフローを参照して、部品装着装置M4、M5、M6の上述機能により実行される部品装着方法について説明する。この部品装着方法による生産作業では、図1に示す実装基板製造ライン1aにおいて、スクリーン印刷装置M2によってはんだが印刷され、次いで印刷はんだ検査装置M3によって印刷はんだ検査が実行された基板13を対象として部品装着動作が実行される。
図10において、まず基板搬入が実行される(ST1)。すなわち印刷はんだ検査が実行された後の基板13は、上流側から基板搬送コンベア12に搬入される。次いで基板保持が行われる(ST2)。ここでは基板13を基板搬送コンベア12によって装着作業位置に搬送し、基板支持部12a(図3参照)によって保持する。
次にこの状態で基板認識を行う(ST3)。すなわち、装着ヘッド(F)18Fまたは装着ヘッド(R)18Rを移動させて、基板認識カメラ18bを基板13の上方に位置させる。次いで基板13の基板認識マークや基板13に設定された部品装着点を基板認識カメラ18bによって撮像する。そしてこの撮像で取得された画像を画像認識部35によって認識処理することにより、基板13の位置または部品装着点の位置を認識する。
次にこの基板認識結果に基づき、部品装着作業を実行する。ここでは、装着作業対象の複数の部品Pを装着ヘッド(F)18Fまたは装着ヘッド(R)18Rに保持させ、これらの装着ヘッド(F)18Fまたは装着ヘッド(R)18Rを部品供給部(F)14F、部品供給部(R)14Rと基板13との間で往復させる実装ターンを複数回実行する。すなわち1つの実装ターンを実行し(ST4)、次いで次の実装ターンの有無を判断する(ST5)。ここで次の実装ターンが有る場合には、(ST4)に戻って再度実行ターンを実行する。
(ST5)にて次の実装ターンが無いことが確認されたならば、当該基板13についての部品装着作業が完了したと判断して、当該基板13を下流側へ搬出する(ST6)。次いで生産予定の予定数の基板13について上述の生産作業が完了したか否かを確認する。ここで予定数についての生産が未完了であれば、(ST1)に戻って以降の作業処理を反復実行する。そして(ST7)にて予定数の生産が終了したことを確認して、生産を終了する。
次に上述のフローにおける(ST4)の実装ターンで実行される処理の詳細について、図11を参照して説明する。まず、1つの実装ターンの開始に際して、対象となる1実装ターン分のデータを取得する(ST20)。ここでは、当該実装ターンにおいて対象となる部品Pの装着作業を実行する際に参照されるデータを、部品装着装置制御部10の記憶部30から読み取って取得する。これらのデータには、部品種類や装着動作パラメータ、装着位置座標などが含まれる。
次いで部品取出しステップにおける補正値を計算する(ST21)。ここでは、過去の部品位置ずれ量とキャリアテープ23の停止位置の周期的な変動より部品取出しステップにおける補正値(図13に示す補正値Cx、Cy参照)を、補正値算出部36の処理機能により計算する。次に、同一の部品供給ユニット15からの部品取出し数の制限についての判定を行う(ST22)。この判定では、制限部38による取出す部品Pの数の制限の有無を判断する(ST23)。ここで制限有りの場合には、部品取出しをスキップする部品保持ノズル18aを設定する(ST24)。
そしてこの後、部品取出しステップが、装着ヘッド(F)18F、装着ヘッド(R)18Rが備えた複数の部品保持ノズル18a毎に実行される。はじめに各部品保持ノズル18aに対応するカウント値Kを、K=1とする(ST25)。これにより、(1)番部品保持ノズル18aを対象とした部品取出しステップが開始され、この後(K)番部品保持ノズル18aを対象とした部品取出しステップが、カウント値Kを順次歩進させながら実行される。
部品取出しステップの開始に際しては、当該部品保持ノズル18aが部品取出しをスキップするノズルに該当するか否かを判断する(ST26)。ここでスキップしない場合には、(K)番部品保持ノズル18aを生産プログラム31により指定された部品供給ユニット15の部品取出し位置である開口部19へ移動させ(ST27)、部品保持ノズル18aを部品取出し目標位置19aに位置決めする。
次いで(K)番部品保持ノズル18aで部品Pを吸着保持して開口部19から取出す(ST28)。これらの部品取出しステップにおいて開口部19に部品保持ノズル18aを移動させる場合は、(ST21)の補正値算出ステップで算出した補正値Cx、Cyを利用して、装着ヘッド(F)18F、装着ヘッド(R)18Rを位置決めする。
次に(ST28)の後、または(ST26)にてスキップに指定されている場合には、全ステップ完了か否か、すなわち実行予定の全ての部品取出しステップが実行済みか否かを確認する(ST29)。ここで未完了であればカウント値を歩進させて、K=K+1と置き換え(ST30)、(ST26)に戻って以降のステップを反復実行する。そして(ST29)にて全ての部品取出しステップ完了が確認されたならば、取出した部品Pについての部品位置ずれ検出ステップが実行される。
すなわち複数の部品保持ノズル18aのそれぞれに部品Pを保持した装着ヘッド(F)18F、装着ヘッド(R)18Rを移動させて、部品認識カメラ(F)20F、部品認識カメラ(R)20Rの上方を通過させる(ST31)。これにより、部品認識カメラ(F)20F、部品認識カメラ(R)20Rによって複数の部品保持ノズル18aに保持された部品Pを撮像する。この撮像によって取得された画像を画像認識部35によって認識処理することにより、図7に示す部品位置ずれ量ΔPx、ΔPyが検出される(ST32)。
検出された部品位置ずれ量ΔPx、ΔPyは、その部品Pが取出された部品供給ユニット15毎に、取出された順番に関連付けたデータ様式で、部品位置ずれ情報記憶部である記憶部30に部品位置ずれ情報32として記憶される(ST33)。(ST32)および(ST33)は、部品保持ノズル18aに保持された部品Pの部品保持ノズル18aに対する位置ずれを示す部品位置ずれ量ΔPx、ΔPyを検出して部品位置ずれ情報記憶部に記憶する部品位置ずれ情報記憶ステップに該当する。この部品位置ずれ情報記憶ステップにおいては、部品位置ずれ量ΔPx、ΔPyに少なくともその部品Pが取出された部品供給ユニット15を関連付けるとともに、これらの部品位置ずれ量ΔPx、ΔPyを時系列的に記憶する。
そして上述の部品位置ずれ情報記憶部に記憶された複数の部品位置ずれ量ΔPx、ΔPyより、周期変動分析部37の処理機能によって部品供給ユニット15におけるキャリアテープ23の停止位置の周期的な変動を推定する(周期変動分析ステップ)。この周期変動分析ステップにおいては、部品供給ユニット15別に、キャリアテープ23の停止位置の周期的な変動を推定する。(ST21)における補正値の計算は、このようにして求められて記憶部30に記憶された周期変動分析情報33に基づいて行われる。
さらに制限部38は、周期変動分析情報33に示される周期的な変動に基づいて、一回の実装ターンで同一の部品供給ユニット15から取出し可能な部品の数を制限する(制限ステップ)。この制限ステップにおいて、一回の実装ターンで同一の部品供給ユニット15から部品Pの取出しが複数回予定されている場合、部品供給ユニット15の周期的な変動より求めた複数回のキャリアテープ23の停止位置の変動幅より、複数回の部品Pの取出しが可能かを判断する。ここで可能でない場合は、部品Pの取出し回数を複数回から減らした回数に制限する。
また本実施の形態では、記憶部30に記憶された部品位置ずれ情報32もしくは周期変動分析部37で推定された周期的な変動から部品保持ノズル18aを部品取出し位置に位置させる際の補正値Cx、Cyを求めるようにしている(補正値算出ステップ)。ここで上述の制限ステップにおいて、補正値Cx、Cyを適用した一回の実装ターンで同一の部品供給ユニット15から部品Pの取出しが複数回予定されている場合、部品供給ユニット15の周期的な変動より求めた複数回のキャリアテープ23の停止位置の変動幅より、複数回の部品Pの取出しが可能かを判断する。そして可能でない場合は、部品Pの取出し回数を予定された複数回から減らした回数に制限する。
前述の部品位置ずれ情報記憶ステップは連続して実行される実装ターンについて順次実行され、その都度新たに部品位置ずれ量ΔPx、ΔPyのデータが部品位置ずれ情報32に追加される。そして周期変動分析部37は、新たに追加されたデータを含む部品位置ずれ情報32に基づいて、周期変動分析情報33を更新または新規作成する周期変動分析ステップが反復実行される。この周期変動分析ステップでは、記憶部30に部品位置ずれ情報32として記憶された複数の部品位置ずれ量ΔPx、ΔPyより、部品供給ユニット15におけるキャリアテープ23の停止位置の周期的な変動を推定する。
さらに周期変動分析ステップでは、対象となる部品供給ユニット15が有するスプロケット25若しくはスプロケット25を回転させるための少なくとも1つの歯車が、n周(nは1以上の整数)する間に、開口部19に送られる部品Pの数によって定まる周期(主変動周期)に基づいてキャリアテープ23の停止位置の周期的な変動を推定する。そして補正値算出ステップにおいて、この主変動周期で繰返される部品取出しステップ毎の補正値、すなわち部品保持ノズル18aを移動させる目標位置を補正する補正値を算出するようにしている。
なお、上述の主変動周期は、使用する部品供給ユニット15の種類と対象となるキャリアテープ23との組み合わせが特定されれば一意的に定まる場合が多い。すなわちこのような場合には、周期変動分析ステップにおいて、部品供給ユニット15の種類と部品供給ユニット15にセットされるキャリアテープ23の種類によって定まる周期に基づいて、キャリアテープ23の停止位置の周期的な変動を推定する。
(ST33)の部品位置ずれ情報記憶ステップの後には、各部品保持ノズル18aに保持された複数の部品Pを基板13の所定の装着位置に装着する部品装着ステップが順次実行される。はじめに各部品保持ノズル18aに対応するカウント値Kを、K=1とする(ST34)。これにより、(1)番部品保持ノズル18aを対象とした部品装着ステップが開始され、この後(K)番部品保持ノズル18aを対象とした部品装着ステップが、カウント値Kを順次歩進させながら実行される。
部品装着ステップの開始に際しては、当該部品保持ノズル18aが部品装着をスキップするノズルに該当するか否かを判断する(ST35)。ここでスキップしない場合には、(K)番部品保持ノズル18aを生産プログラム31により指定された基板13の装着点へ移動させ(ST36)、次いで(K)番部品保持ノズル18aで保持した部品Pを基板13の装着点に装着する(ST37)。
次に(ST37)の後、または(ST35)にてスキップに指定されている場合には、全ステップ完了か否か、すなわち実行予定の全ての部品装着ステップが実行済みか否かを確認する(ST38)。ここで未完了であればカウント値を歩進させて、K=K+1と置き換え(ST39)、(ST35)に戻って以降のステップを反復実行する。そして(ST38)にて全ての部品装着ステップ完了が確認されることにより、当該実装ターンの作業を終了し、図10のメインフローに戻る。
上述の実装ターンにおける部品取出しステップおよび部品装着ステップでは、制限ステップにおける部品数制限によりスキップされた部品取出しおよび部品装着については作業対象から除外され、それ以外の部品Pのみが作業対象となる。すなわち本実施の形態では、制限ステップにおいて制限された数以下の部品Pを部品供給ユニット15から取出して基板13に装着するようになっている。
上記説明したように、本実施の形態に示す部品装着装置および部品装着方法では、部品供給ユニット15によって部品取出し位置である開口部19に送られたキャリアテープ23に収納された部品Pを装着ヘッド(F)18F、装着ヘッド(R)18Rの部品保持ノズル18aで取出し、装着ヘッド(F)18F、装着ヘッド(R)18Rを部品供給ユニット15と基板13との間で一往復させる実装ターンを繰り返し実行することにより基板13に部品Pを装着する部品装着において、部品保持ノズル18aに保持された部品Pの部品保持ノズル18aに対する位置ずれを示す部品位置ずれ量ΔPx、ΔPyを検出して部品位置ずれ情報記憶部に記憶し、記憶された複数の部品位置ずれ量ΔPx、ΔPyより部品供給ユニット15におけるキャリアテープ23の停止位置の周期的な変動を推定し、推定された周期的な変動に基づいて一回の実装ターンで同一の部品供給ユニット15から取出し可能な部品Pの数を制限し、制限された数以下の部品を部品供給ユニット15から取出して基板13に装着するようにしている。
これにより、テープ送り精度に難があってキャリアテープ23の停止位置が良好でない部品供給ユニット15であっても、部品取出し精度が確保できる範囲で使用することが可能となっている。すなわち本実施の形態においては、キャリアテープ23の停止位置が良好でない部品供給ユニット15の使用を許容しつつ、部品の装着位置の精度を確保することができる。