JP2020134269A - 金属組織の結晶粒の混粒率評価方法 - Google Patents
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Abstract
Description
従来、混粒の評価は、JIS G 0551に規定されているように、被評価材を切断し、その切断面の金属組織を顕微鏡で撮像した断面画像に基づき行われていた。
なお、「混粒」とは、1視野内において、最大頻度をもつ粒度番号の粒からおおむね3以上異なった粒度番号の粒が偏在し、これらの粒が約20%以上の面積を占める状態にあるものをいうのが一般的である。ただし、本明細書では、最大頻度をもつ粒度番号の粒からおおむね3以上異なった粒度番号(3以上小さな粒度番号)の粒(粗粒)が8%以上の面積を占める状態にあるものを「混粒」と定義している。
また、本明細書における「混粒率」とは、最大頻度をもつ粒度番号の粒からおおむね3以上異なった粒度番号(3以上小さな粒度番号)の粒(粗粒)が占める面積率を意味する。
しかしながら、特許文献1に記載の方法は、平均結晶粒径を測定する方法であるため、混粒率を適切に評価できないという問題がある。
一般的に、被評価材の金属組織の結晶粒の粒径が大きくなると、被評価材中を伝搬する超音波の減衰が大きくなることが知られている。具体的には、被評価材が混粒材(混粒が生じている被評価材)である場合、超音波の伝搬経路中に存在する粗粒での散乱減衰により、底面エコー(超音波の入射面と反対側の面で反射したエコー)の強度が低下することが知られている。
一方、図6(b)に示すように、被評価材が細粒材である場合、被評価材の表面が滑らかであれば、混粒材の場合に比べて、底面エコー信号の強度低下は少ない(図6(b)の実線で示す周波数スペクトル参照)。
したがい、被評価材の表面が滑らかであれば、底面エコー信号の強度の大小や、底面エコー信号の周波数スペクトルにおける高周波成分と低周波成分との比率の大小等によって、混粒材を細粒材と区別することができ、ひいては混粒率を評価できる可能性がある。
このため、図6(b)に示すように、被評価材が細粒材である場合にも、被評価材の表面に凹凸があれば、混粒材の場合と同様の周波数スペクトル(図6(b)の破線で示す周波数スペクトル)になる可能性がある。
したがい、底面エコー信号の周波数スペクトルのピーク強度の大小や、底面エコー信号の周波数スペクトルにおける高周波成分と低周波成分との比率の大小等によっては、混粒材を細粒材と精度良く識別したり、混粒率を評価できない場合がある。
なお、超音波の入射面での伝達損失は、被評価材の表面状態のみならず、被評価材が管である場合には、管の偏芯や偏肉によっても生じ得る。
すなわち、前記課題を解決するため、本発明は、超音波を用いて金属材料から形成された被評価材の金属組織の結晶粒の混粒率を評価する方法であって、以下の各工程を含むことを特徴とする金属組織の結晶粒の混粒率評価方法を提供する。
(1)底面エコー検出工程:超音波探触子から前記被評価材に超音波を入射させ、前記超音波探触子で第1底面エコー及び第2底面エコーを検出して、第1底面エコー信号及び第2底面エコー信号を取得する。
(2)周波数スペクトル算出工程:前記第1底面エコー信号を周波数解析することで第1底面エコー信号の周波数スペクトルを算出すると共に、前記第2底面エコー信号を周波数解析することで第2底面エコー信号の周波数スペクトルを算出する。
(3)周波数スペクトル比算出工程:前記第1底面エコー信号の周波数スペクトルと、前記第2底面エコー信号の周波数スペクトルとの比である周波数スペクトル比を算出する。
(4)特徴量算出工程:前記周波数スペクトル比における所定の周波数帯域の特徴量を算出する。
(5)混粒率評価工程:前記特徴量の大きさに基づき、前記被評価材の金属組織の結晶粒の混粒率を評価する。
また、本発明に係る混粒率評価方法によれば、底面エコー検出工程、周波数スペクトル算出工程、周波数スペクトル比算出工程及び特徴量算出工程を実行することで、第1底面エコー信号の周波数スペクトルと第2底面エコー信号の周波数スペクトルとの比である周波数スペクトル比における所定の周波数帯域の特徴量が算出される。前述のように、周波数スペクトル比における所定の周波数帯域の特徴量と、被評価材の金属組織の結晶粒の混粒率とは、比較的良好な相関関係を有し、超音波の入射面での伝達損失の影響を低減できるため、混粒率評価工程において、特徴量の大きさに基づき、被評価材の金属組織の結晶粒の混粒率を評価することが可能である。
したがい、本発明に係る混粒率評価方法によれば、金属材料から形成された被評価材の金属組織の結晶粒の混粒率を、被評価材の全長・全数について評価可能である。
なお、本発明に係る混粒率評価方法において、「混粒率を評価する」とは、特徴量と一対一対応の混粒率の値を算出する場合に限らず、混粒率が所定値以上の値であると算出する場合も含む概念である。また、混粒率の値を直接算出することなく、特徴量が大きいため(したがって、混粒率も大きくなると考えられるため)、混粒率に関して被評価材が不良であると判定する場合も含む概念である。
また、本発明に係る混粒率評価方法の周波数スペクトル算出工程では、例えば、第1底面エコー信号及び第2底面エコー信号の信号波形に高速フーリエ変換(FFT)を施すことで、横軸が周波数についての同じ数のサンプリング点で、縦軸が各サンプリング点の強度(スペクトル強度)で表される第1底面エコー信号及び第2底面エコー信号の周波数スペクトルが算出されることになる。
また、本発明に係る混粒率評価方法の周波数スペクトル比算出工程では、例えば、第1底面エコー信号の周波数スペクトルを構成する各サンプリング点の強度を、第2底面エコー信号の周波数スペクトルを構成し、第1底面エコー信号の周波数スペクトルを構成する各サンプリング点に対応する各サンプリング点の強度で除算することで、横軸が周波数についてのサンプリング点で、縦軸が各サンプリング点の強度の比(第1底面エコー信号のスペクトル強度/第2底面エコー信号のスペクトル強度)で表される周波数スペクトル比が算出されることになる。
さらに、本発明に係る混粒率評価方法の特徴量算出工程では、例えば、周波数スペクトル比の横軸に表された全周波数帯域のうち、被評価材の金属組織の結晶粒の混粒率と比較的良好な相関関係を有し、超音波の入射面での伝達損失の影響を低減できる一部の周波数帯域の特徴量が算出されることになる。
なお、上記の好ましい方法において、「混粒材」とは、混粒が生じている材を意味し、「細粒材」とは、混粒が生じていない材を意味する。また、「表面に凹凸がある」とは、
凹凸が無い部位の表面粗さよりも大きな高低差を有して視認可能な部位(凹凸)が表面に存在することを意味する。より具体的には、20μm程度以上の高低差を有する凹凸が表面に存在することを意味する。「表面が滑らかである」とは、表面に上記の部位(凹凸)が存在しないことを意味する。
また、上記の好ましい方法において、「表面が滑らかである混粒材」、「表面に凹凸がある細粒材」及び「表面が滑らかである細粒材」とは、以下の(a)〜(c)の何れの場合をも含む概念である。
(a)実際に上記3種類の材がある場合。
(b)材は1個であるが、この1個の材中に、表面が滑らかで混粒が生じている領域、表面に凹凸があり混粒が生じていない領域、及び表面が滑らかで混粒が生じていない領域が存在する場合。
(c)上記(a)の場合と上記(b)の場合とが組み合わさっている場合(例えば、混粒材と細粒材とが別個に存在するが、1個の細粒材中に、表面に凹凸がある領域と、表面が滑らかである領域とが存在する場合)。
なお、上記の好ましい方法において、「混粒率が異なる複数のサンプル材」とは、以下の(a)〜(c)の何れの場合をも含む概念である。
(a)実際にサンプル材が複数個あって、各サンプル材の混粒率が異なる場合。
(b)サンプル材は1個であるが、この1個のサンプル材中に混粒率の異なる領域が複数存在する場合。
(c)上記(a)の場合と上記(b)の場合とが組み合わさっている場合。
また、上記の好ましい方法の第2準備工程において、「断面画像に基づき、・・・(中略)・・・混粒率を算出する」とは、従来(JIS G 0551等)と同様に、断面画像を検査員が目視して算出する場合の他、断面画像に2値化等の画像処理を施すことで、混粒率を自動的に算出する場合を含む概念である。
すなわち、本発明に係る混粒率評価方法において、好ましくは、前記被評価材は管であり、前記底面エコー検出工程において、前記超音波探触子を前記被評価材の周方向及び長手方向に沿って相対的に移動させながら、前記被評価材に超音波を入射させる。
図1に示すように、本実施形態に係る混粒率評価方法を実施するための評価装置100は、超音波探触子1と、超音波探触子1に接続された制御・信号処理手段2とを備えている。また、評価装置100は、超音波探触子1を被評価材である鋼管Pの周方向及び長手方向に沿って相対的に移動させるための機構部(図示せず)も備えている。
ただし、本発明で用いることのできる超音波探触子1はこれに限るものではない。例えば、最大頻度をもつ粒(細粒)の粒径が30μm程度であり、混粒を評価したい粒(粗粒)の粒径が100〜200μm程度である場合には、発振周波数が10〜15MHz(送信波の中心周波数が10〜15MHz)の超音波探触子を用いることが好ましい。
具体的には、制御・信号処理手段2は、例えば、超音波の送受信を制御する機能を果たす部分として、超音波探傷や超音波検査で用いられる従来公知の探傷器を用い、各種の信号処理を実行する機能を果たす部分として、探傷器に電気的に接続され、信号処理を実行するための所定のプログラムがインストールされたコンピュータを用いた構成とされている。
図2は、本実施形態に係る混粒率評価方法に含まれる各工程を示すフロー図である。
図2に示すように、本実施形態に係る混粒率評価方法は、底面エコー検出工程S1、周波数スペクトル算出工程S2、周波数スペクトル比算出工程S3、特徴量算出工程S4及び混粒率評価工程S5を含んでいる。また、本実施形態に係る混粒率評価方法は、好ましい方法として、準備工程S0を含んでいる。以下、底面エコー検出工程S1から順に、各工程について説明する。
底面エコー検出工程S1では、超音波探触子1から鋼管Pに超音波を入射させ、超音波探触子1で鋼管Pからのエコーを検出して、超音波探触子1が制御・信号処理手段2に対して検出したエコーの大きさに応じた電気信号であるエコー信号を出力する。制御・信号処理手段2には、第1底面エコー(鋼管Pの内面で反射した底面エコーのうち超音波探触子1が最初に受信する底面エコー)の伝搬距離に応じた第1ゲートと、第2底面エコー(鋼管Pの内面で反射した底面エコーのうち超音波探触子1が2回目に受信する底面エコー)の伝搬距離に応じた第2ゲートとが設定されている。第1ゲート及び第2ゲートは、時間幅が互いに同一に設定されている。これら各ゲートによって第1底面エコー信号B1及び第2底面エコー信号B2が取得される。取得された第1底面エコー信号B1及び第2底面エコー信号B2を制御・信号処理手段2が備えるA/D変換器でA/D変換することで、横軸が時間(伝搬距離)についての同じ数のサンプリング点で、縦軸が各サンプリグ点の信号強度で表わされる第1底面エコー信号B1及び第2底面エコー信号B2の信号波形(デジタル信号波形)が得られる。
底面エコー検出工程S1の後に実行する周波数スペクトル算出工程S2、周波数スペクトル比算出工程S3、特徴量算出工程S4及び混粒率評価工程S5は、鋼管Pの全周・全長について底面エコー検出工程S1を先に実行し終えた後(すなわち、鋼管Pの全周・全長についての第1底面エコー信号B1及び第2底面エコー信号B2を先に取得した後)に纏めて実行してもよい。或いは、鋼管Pの一箇所の部位について底面エコー検出工程S1、周波数スペクトル算出工程S2、周波数スペクトル比算出工程S3、特徴量算出工程S4及び混粒率評価工程S5を実行した後、超音波探触子1の相対的な移動に伴う鋼管Pの次の箇所の部位について底面エコー検出工程S1、周波数スペクトル算出工程S2、周波数スペクトル比算出工程S3、特徴量算出工程S4及び混粒率評価工程S5を実行するという動作を、鋼管Pの全周・全長について繰り返すことも可能である。
周波数スペクトル算出工程S2では、制御・信号処理手段2が、第1底面エコー信号B1を周波数解析することで第1底面エコー信号の周波数スペクトルSB1を算出すると共に、第2底面エコー信号B2を周波数解析することで第2底面エコー信号B2の周波数スペクトルSB2を算出する。
具体的には、制御・信号処理手段2は、第1底面エコー信号B1及び第2底面エコー信号B2の信号波形に高速フーリエ変換(FFT)を施すことで、横軸が周波数についての同じ数のサンプリング点で、縦軸が各サンプリング点の強度(スペクトル強度)で表される第1底面エコー信号B1及び第2底面エコー信号B2の周波数スペクトルSB1、SB2を算出する(周波数スペクトルSB1、SB2の波形を得る)。
周波数スペクトル比算出工程S3では、制御・信号処理手段2が、第1底面エコー信号B1の周波数スペクトルSB1と、第2底面エコー信号B2の周波数スペクトルSB2との比である周波数スペクトル比SB1/SB2を算出する。
具体的には、制御・信号処理手段2は、第1底面エコー信号B1の周波数スペクトルSB1を構成する各サンプリング点の強度を、第2底面エコー信号B2の周波数スペクトルSB2を構成し、第1底面エコー信号B1の周波数スペクトルSB1を構成する各サンプリング点に対応する各サンプリング点の強度で除算することで、横軸が周波数についてのサンプリング点で、縦軸が各サンプリング点の強度の比(第1底面エコー信号B1のスペクトル強度/第2底面エコー信号B2のスペクトル強度)で表される周波数スペクトル比SB1/SB2を算出する(周波数スペクトル比SB1/SB2の波形を得る)。
特徴量算出工程S4では、制御・信号処理手段2が、周波数スペクトル比SB1/SB2における所定の周波数帯域の特徴量を算出する。本実施形態では、特徴量として、周波数スペクトル比SB1/SB2における所定の周波数帯域の強度積分値を算出する。
図3は、本実施形態の特徴量算出工程S4を説明する図である。図3(a)は、鋼管Pが混粒材であり且つ鋼管Pの表面(超音波探触子1から鋼管Pへの超音波の入射面)が滑らかである場合の周波数スペクトルSB1及びSB2、周波数スペクトル比SB1/SB2及び強度積分値Sを示す。図3(b)は、鋼管Pが細粒材(混粒が生じていない鋼管)であり且つ鋼管Pの表面に凹凸がある場合の周波数スペクトルSB1及びSB2、周波数スペクトル比SB1/SB2及び強度積分値Sを示す。図3(c)は、鋼管Pが細粒材であり且つ鋼管Pの表面が滑らかである場合の周波数スペクトルSB1及びSB2、周波数スペクトル比SB1/SB2及び強度積分値Sを示す。
なお、所定の周波数帯域は、鋼管Pと同種の金属材料から形成され、超音波探触子1から超音波を入射させる表面が滑らかである混粒材についての周波数スペクトル比SB1/SB2と、鋼管Pと同種の金属材料から形成され、超音波探触子1から超音波を入射させる表面に凹凸がある細粒材についての周波数スペクトル比SB1/SB2と、鋼管Pと同種の金属材料から形成され、超音波探触子1から超音波を入射させる表面が滑らかである細粒材についての周波数スペクトル比SB1/SB2とを算出し、これらの周波数スペクトル比SB1/SB2を用いて、前記混粒材と前記細粒材とを識別可能な強度積分値Sが得られるように予め決定し、制御・信号処理手段2に記憶しておけばよい。
混粒率評価工程S5では、制御・信号処理手段2が、特徴量(本実施形態では、強度積分値S)の大きさに基づき、鋼管Pの金属組織の結晶粒の混粒率を評価する。混粒率評価工程S5における具体的な評価内容については後述する。
以下、好ましい方法として、本実施形態に係る混粒率評価方法が含んでいる準備工程S0について説明する。
図2に示すように、準備工程S0には、第1準備工程S01、第2準備工程S02及び第3準備工程S03が含まれている。以下、これら各工程S01〜S03について順に説明する。
第1準備工程S01では、被評価材である鋼管Pと同種の金属材料から形成され、金属組織の結晶粒の混粒率が異なる複数のサンプル材(鋼管)を用意する。この複数のサンプル材には、混粒材(本実施形態では、粗粒が8%以上の面積を占める状態にあるもの)と、細粒材(本実施形態では、粗粒が8%未満の面積を占める状態にあるもの)との双方を含めることが好ましい。そして、複数のサンプル材に対して、底面エコー検出工程S1、周波数スペクトル算出工程S2、周波数スペクトル比算出工程S3及び特徴量算出工程S4を実行する。これにより、複数のサンプル材についての強度積分値Sを算出する。複数のサンプル材について実行する底面エコー検出工程S1〜特徴量算出工程S4の内容については、被評価材である鋼管Pについて前述したものと同様であるため、ここでは説明を省略する。
第2準備工程S02では、複数のサンプル材において、超音波探触子1から入射した超音波が伝搬する部位の断面画像を撮像する。そして、この断面画像に基づき、複数のサンプル材の金属組織の結晶粒の混粒率を算出する。
混粒率は、図4に示すような断面画像を拡大して検査員が目視して算出してもよい。或いは、断面画像におけるサンプル材に相当する画素領域に2値化等の画像処理を施し、所定のしきい値以下の濃度を有する画素領域を粗粒に対応する画素領域として検出することで、混粒率を自動的に算出することも可能である。なお、粗粒に対応する画素領域を検出するための2値化のしきい値は、検査員の目視判定結果と合致するように調整して設定しておけばよい。
第3準備工程S03では、第1準備工程S01で算出した複数のサンプル材についての強度積分値Sと、第2準備工程S02で算出した複数のサンプル材の金属組織の結晶粒の混粒率とに基づき、強度積分値Sと混粒率との対応関係を算出する。
図5に示すように、強度積分値Sと混粒率とは、比較的良好な相関関係(正の相関関係)を有することが分かる。
2・・・制御・信号処理手段
100・・・評価装置
B1・・・第1底面エコー信号
B2・・・第2底面エコー信号
SB1、SB2・・・周波数スペクトル
SB1/SB2・・・周波数スペクトル比
S・・・強度積分値(特徴量)
P・・・鋼管(被評価材)
Claims (6)
- 超音波を用いて金属材料から形成された被評価材の金属組織の結晶粒の混粒率を評価する方法であって、
超音波探触子から前記被評価材に超音波を入射させ、前記超音波探触子で第1底面エコー及び第2底面エコーを検出して、第1底面エコー信号及び第2底面エコー信号を取得する底面エコー検出工程と、
前記第1底面エコー信号を周波数解析することで第1底面エコー信号の周波数スペクトルを算出すると共に、前記第2底面エコー信号を周波数解析することで第2底面エコー信号の周波数スペクトルを算出する周波数スペクトル算出工程と、
前記第1底面エコー信号の周波数スペクトルと、前記第2底面エコー信号の周波数スペクトルとの比である周波数スペクトル比を算出する周波数スペクトル比算出工程と、
前記周波数スペクトル比における所定の周波数帯域の特徴量を算出する特徴量算出工程と、
前記特徴量の大きさに基づき、前記被評価材の金属組織の結晶粒の混粒率を評価する混粒率評価工程と、
を含むことを特徴とする金属組織の結晶粒の混粒率評価方法。 - 前記所定の周波数帯域は、前記被評価材と同種の金属材料から形成され、前記超音波探触子から超音波を入射させる表面が滑らかである混粒材についての前記周波数スペクトル比と、前記被評価材と同種の金属材料から形成され、前記超音波探触子から超音波を入射させる表面に凹凸がある細粒材についての前記周波数スペクトル比と、前記被評価材と同種の金属材料から形成され、前記超音波探触子から超音波を入射させる表面が滑らかである細粒材についての前記周波数スペクトル比とを算出し、これらの前記周波数スペクトル比を用いて、前記混粒材と前記細粒材とを識別可能な前記特徴量が得られるように予め決定される、
ことを特徴とする請求項1に記載の金属組織の結晶粒の混粒率評価方法。 - 前記特徴量は、前記周波数スペクトル比における前記所定の周波数帯域の強度積分値、又は、前記周波数スペクトル比における前記所定の周波数帯域のピーク強度である、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の金属組織の結晶粒の混粒率評価方法。 - 前記被評価材と同種の金属材料から形成され、金属組織の結晶粒の混粒率が異なる複数のサンプル材に対して、前記底面エコー検出工程、前記周波数スペクトル算出工程、前記周波数スペクトル比算出工程及び前記特徴量算出工程を実行することで、前記複数のサンプル材についての前記特徴量を算出する第1準備工程と、
前記複数のサンプル材において、前記超音波探触子から入射した超音波が伝搬する部位の断面画像を撮像し、該断面画像に基づき、前記複数のサンプル材の金属組織の結晶粒の混粒率を算出する第2準備工程と、
前記第1準備工程で算出した前記複数のサンプル材についての前記特徴量と、前記第2準備工程で算出した前記複数のサンプル材の金属組織の結晶粒の混粒率とに基づき、前記特徴量と前記混粒率との対応関係を算出する第3準備工程と、を更に含み、
前記被評価材について実行する前記混粒率評価工程において、前記被評価材について前記特徴量算出工程で算出した前記特徴量と、前記第3準備工程で算出した前記対応関係とに基づき、前記被評価材の金属組織の結晶粒の混粒率を算出する、
ことを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の金属組織の結晶粒の混粒率評価方法。 - 前記超音波探触子の発振周波数が10〜15MHzであり、前記所定の周波数帯域が8〜12MHzである、
ことを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の金属組織の結晶粒の混粒率評価方法。 - 前記被評価材は管であり、
前記底面エコー検出工程において、前記超音波探触子を前記被評価材の周方向及び長手方向に沿って相対的に移動させながら、前記被評価材に超音波を入射させる、
ことを特徴とする請求項1から5の何れかに記載の金属組織の結晶粒の混粒率評価方法。
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