JP2020132858A - エチレン−ビニルアルコール系共重合体樹脂組成物、多層構造体および包装体 - Google Patents

エチレン−ビニルアルコール系共重合体樹脂組成物、多層構造体および包装体 Download PDF

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Abstract

【課題】耐衝撃性および耐屈曲性に優れ、かつ色調安定性にも優れたエチレン−ビニルアルコール系共重合体樹脂組成物を提供する。【解決手段】エチレン−ビニルアルコール系共重合体(A)、酢酸および/またはその塩(B)、脂肪族カルボン酸(C)、上記脂肪族カルボン酸(C)の金属塩である脂肪族カルボン酸金属塩(D)、極性基を含有しないスチレン系熱可塑性エラストマー(E)、極性基を含有するスチレン系熱可塑性エラストマー(F)を含有する樹脂組成物であって、上記脂肪族カルボン酸金属塩(D)の金属種が、長周期型周期表第4周期dブロックに属する元素から選ばれる少なくとも1種であり、上記酢酸および/またはその塩(B)、上記脂肪族カルボン酸(C)、上記脂肪族カルボン酸金属塩(D)、上記極性基を含有するスチレン系熱可塑性エラストマー(F)の各種含有量が、重量基準で下記式(1)〜(3)を満たすエチレン−ビニルアルコール系共重合体樹脂組成物。[式]0.001≦((D)金属イオン換算含有量/(B)酢酸イオン換算含有量)≦1.30・・・(1)[式]0.11≦((D)金属イオン換算含有量/(C)カルボン酸イオン換算含有量)≦100・・・(2)[式]30≦((F)含有量/(D)金属イオン換算含有量)≦2900・・・(3)【選択図】なし

Description

本発明は、エチレン−ビニルアルコール系共重合体(以下、「EVOH」と称する場合がある。)樹脂組成物に関し、さらに詳しくは、耐衝撃性に優れ、かつ耐屈曲性にも優れるEVOH樹脂組成物に関するものである。
EVOHは、分子鎖に豊富に含まれる水酸基が強固に水素結合して結晶部を形成し、かかる結晶部が外部からの酸素の侵入を防止するため、酸素バリア性をはじめとして、優れたガスバリア性を示すものである。このEVOHは、一般的に樹脂を積層した積層体の中間層に用いられ、各種包装体として使用されている。
上述のようにEVOHは、ガスバリア性に優れる反面、分子鎖に水酸基を豊富に有し結晶化度が高いため、脆い傾向にあり、衝撃等により包装体中のEVOH層が割れたりピンホールが発生したりして、破壊される場合がある。
そのため、EVOHの耐衝撃性改善を目的として、例えば、特許文献1および2には、EVOHとエチレン−酢酸ビニル共重合体からなる樹脂組成物層を有する積層包装体が開示されている。また、特許文献3および4には、EVOHとエチレン−酢酸ビニル共重合体の部分ケン化物からなる樹脂組成物層を有する積層体が開示されている。
また、EVOHの柔軟性(耐屈曲性)改善を目的として、例えば、特許文献5では、スチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体(SIBS)等に代表されるような、芳香族ビニルモノマー単位からなるポリマーブロックとイソブチレン単位からなるポリマーブロックとのブロック共重合体をブレンドした樹脂組成物が提案されている。ここでは、EVOH樹脂相とブロック共重合体相とが独立して連続相を構成するように、具体的には、EVOH樹脂:ブロック共重合体=15:85〜85:15、好ましくは80:20〜20:80、より好ましくは65:35〜35:65程度で混合している(段落番号0043)。特許文献5においては、EVOH樹脂からなる相とブロック共重合体からなる相とが相互侵入網目構造をなして分布しているため、網目構造をなすEVOH相に基づいて優れたガスバリア性等の遮断性を発揮し、網目に侵入しているブロック共重合体相に基づき柔軟性(耐屈曲性)を発揮できると説明されている(段落番号0042)。
一方、EVOH樹脂におけるエチレン含有率や溶融粘度、トリブロック共重合体の分子量やブロック成分構成等により、EVOH樹脂とトリブロック共重合体のブレンド比率が上記範囲内であっても、ガスバリア性が劣ったり、JIS D硬度が高くなったりする場合があることも開示されている(表2の参考例1、参考例2)。
また、特許文献6では、EVOH樹脂等のポリビニルアルコール系樹脂と、スチレン−ブタジエンブロック共重合体やスチレン−イソプレンブロック共重合体等のブロック共重合体とは相溶性が悪く、混合性の悪さに起因した不均一性から、所望の特性改善を図ることが困難であるとして、ブロック共重合体に代えて、不飽和カルボン酸で変性した変性ブロック共重合体を用いることが提案されている。変性ブロック共重合体は、未変性ブロック共重合体と比べてポリビニルアルコール系樹脂のような極性熱可塑性樹脂との相溶性に優れることから、これらをブレンドした樹脂組成物では、透明性が改善されることが開示されている。
ここでは、変性ブロック共重合体:極性熱可塑性重合体=98:2〜50:50の樹脂組成物は、変性ブロック共重合体の改質された組成物として有用であり、変性ブロック共重合体:極性熱可塑性重合体=2:98〜50:50の樹脂組成物は、極性熱可塑性重合体の耐衝撃性等が改善されると説明されている。具体的には、EVOH樹脂:変性ブロック共重合体=90:10〜75:25の割合で混合した樹脂組成物は、EVOH樹脂と比べて、アイゾット衝撃強度が大幅に改善されることが示されている(表5)。
さらに特許文献7には、ガスバリア性と内容物の非吸着性を維持しつつ、かつ低温での熱封緘性(ヒートシール性)が改善されたEVOH樹脂組成物として、EVOH樹脂99.5〜90重量%と、テルペン系樹脂、ロジン系樹脂およびC5〜C10の石油炭化水素樹脂からなる群より選ばれた1種または2種以上の樹脂0.5〜10重量%の樹脂組成物が開示されている。
また、かかる樹脂組成物において、フィルムの熱封緘性および耐屈曲性を向上させる目的で、ハードセグメントにポリスチレン、ソフトセグメントにポリブタジエンまたはポリイソプレンを使用したブロックポリマーであるスチレン系熱可塑性エラストマーを配合することが記載されている(段落番号0016および0017)。
特開昭61−220839号公報 特開昭62−152847号公報 特開平1−279949号公報 特開平3−192140号公報 特開平10−87923号公報 特開昭63−304043号公報 特開平7−173348号公報
しかし、上記特許文献1〜7では、ある程度の耐屈曲性に改善はみられるものの、耐衝撃性が不充分となる傾向がある。
また、近年、インターネットショッピングの普及、発展途上国の経済成長等に伴い、物品流通のボーダーレス化が急速に進み、食品や薬品等の輸送期間が長期化する傾向があり、長期輸送時や取扱中における落下や衝突に対する高い耐衝撃性と、さらに優れたガスバリア性と優れた耐屈曲性を兼ね備えたEVOH樹脂組成物からなる層を有する多層構造体(包装材)が求められている。
そこで、本発明ではこのような背景下において、耐衝撃性に優れ、かつ耐屈曲性にも優れたEVOH樹脂組成物を提供する。
しかるに本発明者は、かかる事情に鑑み鋭意研究を重ねた結果、EVOHに酢酸および/またはその塩と、酢酸以外の脂肪族カルボン酸と、長周期型周期表第4周期dブロックに属する元素から選ばれる少なくとも1種の金属種を有する上記脂肪族カルボン酸の金属塩と、極性基を含有しないスチレン系熱可塑性エラストマーと、極性基を含有するスチレン系熱可塑性エラストマーとを併用することにより、耐衝撃性に優れ、かつ耐屈曲性や色調安定性にも優れたEVOH樹脂組成物が得られることを見出した。
すなわち、一般的に脂肪酸金属塩は、EVOHの熱分解を促進し、EVOH樹脂組成物の耐衝撃性や色調を低下させることが知られており、EVOHの機械的特性(耐衝撃性)および色調改善を目的とした場合に、EVOHに脂肪酸金属塩を配合することは当業者であれば避けるものである。しかし、本発明者が、EVOHに酢酸および/またはその塩と、脂肪族カルボン酸とその特定の金属塩と、極性基を含有するスチレン系熱可塑性エラストマーとを、特定の関係を満たすように併用したところ、その機械的特性(耐衝撃性および耐屈曲性)および色調が、従来の予想に反して改善されることを見出した。
このように、本発明は、EVOH(A)、酢酸および/またはその塩(B)、酢酸以外の脂肪族カルボン酸(C)、上記脂肪族カルボン酸(C)の金属塩である脂肪族カルボン酸金属塩(D)、極性基を含有しないスチレン系熱可塑性エラストマー(E)、極性基を含有するスチレン系熱可塑性エラストマー(F)を含有する樹脂組成物であって、上記脂肪族カルボン酸金属塩(D)の金属種が、長周期型周期表第4周期dブロックに属する元素から選ばれる少なくとも1種であり、上記酢酸および/またはその塩(B)、上記酢酸以外の脂肪族カルボン酸(C)、上記脂肪族カルボン酸(C)の金属塩である脂肪族カルボン酸金属塩(D)、上記極性基を含有するスチレン系熱可塑性エラストマー(F)の各種含有量が、重量基準で下記式(1)〜(3)を満たすEVOH樹脂組成物を第1の要旨とする。
[式]0.001≦((D)金属イオン換算含有量/(B)酢酸イオン換算含有量)≦1.30・・・(1)
[式]0.11≦((D)金属イオン換算含有量/(C)カルボン酸イオン換算含有量)≦100・・・(2)
[式]30≦((F)含有量/(D)金属イオン換算含有量)≦2900・・・(3)
また、上記第1の要旨のEVOH樹脂組成物からなる層を有する多層構造体を第2の要旨とし、上記第2の要旨の多層構造体からなる包装体を第3の要旨とするものである。
本発明のEVOH樹脂組成物は、エチレン−ビニルアルコール系共重合体、すなわちEVOH(A)、酢酸および/またはその塩(B)、酢酸以外の脂肪族カルボン酸(C)、上記脂肪族カルボン酸(C)の金属塩である脂肪族カルボン酸金属塩(D)、極性基を含有しないスチレン系熱可塑性エラストマー(E)、極性基を含有するスチレン系熱可塑性エラストマー(F)を含有する樹脂組成物であって、上記脂肪族カルボン酸金属塩(D)の金属種が、長周期型周期表第4周期dブロックに属する元素から選ばれる少なくとも1種であり、上記酢酸および/またはその塩(B)、上記酢酸以外の脂肪族カルボン酸(C)、上記脂肪族カルボン酸(C)の金属塩である脂肪族カルボン酸金属塩(D)、上記極性基を含有するスチレン系熱可塑性エラストマー(F)の各種含有量が、重量基準で下記式(1)〜(3)を満たすものであるため、製膜した際の耐衝撃性および耐屈曲性に優れ、かつ色調安定性にも優れている。
[式]0.001≦((D)金属イオン換算含有量/(B)酢酸イオン換算含有量)≦1.30・・・(1)
[式]0.11≦((D)金属イオン換算含有量/(C)カルボン酸イオン換算含有量)≦100・・・(2)
[式]30≦((F)含有量/(D)金属イオン換算含有量)≦2900・・・(3)
また、上記極性基を含有しないスチレン系熱可塑性エラストマー(E)が、芳香族ビニルモノマー単位からなるポリマーブロック(e1)と、不飽和炭化水素化合物を重合してなるポリマーブロックおよび/またはその水素添加ブロック(e2)とを有するブロック共重合体であり、極性基を含有するスチレン系熱可塑性エラストマー(F)が、芳香族ビニルモノマー単位からなるポリマーブロック(f1)と、不飽和炭化水素化合物を重合してなるポリマーブロックおよび/またはその水素添加ブロック(f2)とを有するブロック共重合体で、且つ極性基を含有する変性ブロック共重合体であると、より一層、耐屈曲性に優れている。
また、上記エチレン−ビニルアルコール系共重合体(A)、上記極性基を含有しないスチレン系熱可塑性エラストマー(E)、上記極性基を含有するスチレン系熱可塑性エラストマー(F)の各種含有量が、重量基準で下記式(4)を満たすものであると、より一層、製膜した際の耐衝撃性および耐屈曲性に優れ、かつ色調安定性にも優れている。
[式]0.001≦((F)含有量/(A+E+F)含有量)≦0.2・・・(4)
また、上記エチレン−ビニルアルコール系共重合体(A)、上記極性基を含有しないスチレン系熱可塑性エラストマー(E)、上記極性基を含有するスチレン系熱可塑性エラストマー(F)の各種含有量が、重量基準で下記式(5)を満たすものであると、より一層、耐屈曲性や色調安定性に優れている。
[式]1≦((A)含有量/(E+F)含有量)≦99・・・(5)
また、上記極性基を含有しないスチレン系熱可塑性エラストマー(E)、上記極性基を含有するスチレン系熱可塑性エラストマー(F)の各種含有量が、重量基準で下記式(6)を満たすものであると、より一層、耐屈曲性や色調安定性に優れている。
[式]0.01≦((F)含有量/(E)含有量)≦10・・・(6)
また、上記(E)成分における芳香族ビニル含有率は5〜50重量%であると、より一層、耐屈曲性や色調安定性に優れている。
また、上記(F)成分の極性基の含有量は、1.0×10-3〜1ミリモル/gであると、より一層、耐屈曲性や色調安定性に優れている。
また、上記(F)成分の極性基がカルボキシ基であると、より一層、耐屈曲性に優れている。
また、上記(F)成分のカルボキシ基の含有量は、20mgCH3ONa/g以下であると、より一層、耐屈曲性や色調安定性に優れている。
また、上記脂肪族カルボン酸金属塩(D)の金属イオン換算での含有量が、上記エチレン−ビニルアルコール系共重合体(A)、上記酢酸および/またはその塩(B)、上記脂肪族カルボン酸(C)、上記脂肪族カルボン酸金属塩(D)、上記極性基を含有しないスチレン系熱可塑性エラストマー(E)、上記極性基を含有するスチレン系熱可塑性エラストマー(F)の含有量の総和に対して、0.0001〜0.05重量%であると、より一層、耐衝撃性、色調安定性に優れている。
また、上記脂肪族カルボン酸(C)のカルボン酸イオン換算での含有量が、上記エチレン−ビニルアルコール系共重合体(A)、上記酢酸および/またはその塩(B)、上記脂肪族カルボン酸(C)、上記脂肪族カルボン酸金属塩(D)、上記極性基を含有しないスチレン系熱可塑性エラストマー(E)、上記極性基を含有するスチレン系熱可塑性エラストマー(F)の含有量の総和に対して、0.0000001〜0.095重量%であると、より一層、耐衝撃性、色調安定性に優れたものとなる。
また、上記酢酸および/またはその塩(B)の酢酸イオン換算での含有量が、上記エチレン−ビニルアルコール系共重合体(A)、上記酢酸および/またはその塩(B)、上記脂肪族カルボン酸(C)、上記脂肪族カルボン酸金属塩(D)、上記極性基を含有しないスチレン系熱可塑性エラストマー(E)、上記極性基を含有するスチレン系熱可塑性エラストマー(F)の含有量の総和に対して、0.001〜0.2重量%であると、より一層、製膜した際の耐衝撃性および耐屈曲性に優れ、かつ色調安定性にも優れている。
また、上記脂肪族カルボン酸(C)のカルボン酸イオン換算での含有量に対する上記酢酸および/またはその塩(B)の酢酸イオン換算での含有量比(酢酸および/またはその塩(B)の酢酸イオン換算含有量/脂肪族カルボン酸(C)のカルボン酸イオン換算含有量)が、重量基準で0.0001〜10000であると、より一層、製膜した際の耐衝撃性および耐屈曲性に優れ、かつ色調安定性にも優れている。
また、上記EVOH樹脂組成物の210℃、100S-1での伸長粘度が、下記式(7)を満たすものであると、より一層、製膜した際の耐衝撃性および耐屈曲性に優れている。
[式]500≦伸長粘度[Pa・s]≦47000・・・(7)
また、さらに、数平均分子量が100〜3000であり且つ60℃以上170℃未満の軟化点を有している炭化水素系樹脂(G)を含有するEVOH樹脂組成物であって、上記炭化水素系樹脂(G)の含有量が、上記エチレン−ビニルアルコール系共重合体(A)、上記酢酸および/またはその塩(B)、上記脂肪族カルボン酸(C)、上記脂肪族カルボン酸金属塩(D)、上記極性基を含有しないスチレン系熱可塑性エラストマー(E)、上記極性基を含有するスチレン系熱可塑性エラストマー(F)、上記炭化水素系樹脂(G)の含有量の総和に対して、0.5〜30重量%であると、より一層、耐屈曲性に優れている。
また、さらに、ホウ酸および/またはその塩(H)を含有するEVOH樹脂組成物であって、上記ホウ酸および/またはその塩(H)のホウ素換算での含有量が、上記エチレン−ビニルアルコール系共重合体(A)、上記酢酸および/またはその塩(B)、上記脂肪族カルボン酸(C)、上記脂肪族カルボン酸金属塩(D)、上記極性基を含有しないスチレン系熱可塑性エラストマー(E)、上記極性基を含有するスチレン系熱可塑性エラストマー(F)、上記ホウ酸および/またはその塩(H)の含有量の総和に対して、ホウ素換算で0.0000001〜0.05重量%であると、より一層、製膜した際の耐衝撃性に優れている。
また、上記EVOH樹脂組成物を用いて得られる多層構造体は、機械的物性(耐衝撃性および耐屈曲性)に優れ、かつ溶融成形時の色調低下が改善された優れた多層構造体である。
さらに、本発明の包装体は、上記多層構造体からなることから、得られる包装体もまた、耐衝撃性および耐屈曲性に優れ、かつ色調安定性にも優れている。
以下、本発明を詳細に説明するが、これらは望ましい実施態様の一例を示すものである。
本発明のEVOH樹脂組成物は、EVOH(A)を主成分とし、酢酸および/またはその塩(B)、酢酸以外の脂肪族カルボン酸(C)、上記脂肪族カルボン酸(C)の金属塩である脂肪族カルボン酸金属塩(D)、極性基を含有しないスチレン系熱可塑性エラストマー(E)、極性基を含有するスチレン系熱可塑性エラストマー(F)を含むものである。本発明のEVOH樹脂組成物は、ベース樹脂がEVOH(A)であり、EVOH樹脂組成物におけるEVOH(A)の含有量は、通常60重量%以上であり、好ましくは70重量%以上であり、より好ましくは80重量%以上であり、特に好ましくは90重量%以上である。以下、各構成成分について説明する。
なお、本明細書において「および/または」とは、少なくとも一方を意味し、例えば、「Xおよび/またはY」の場合、Xのみ、Yのみ、XおよびYの三通りを意味するものである。
<EVOH(A)>
本発明で用いるEVOH(A)は、通常、エチレンとビニルエステル系モノマーとを共重合させた後にケン化させることにより得られる樹脂であり、エチレン−ビニルアルコール系共重合体またはエチレン−酢酸ビニル系共重合体ケン化物として知られる非水溶性の熱可塑性樹脂である。重合法も公知の任意の重合法、例えば、溶液重合、懸濁重合、エマルジョン重合等を用いることができるが、一般的にはメタノールを溶媒とする溶液重合が用いられる。得られたエチレン−ビニルエステル系共重合体のケン化も公知の方法で行ない得る。
すなわち、本発明で用いるEVOH(A)は、エチレン構造単位とビニルアルコール構造単位とを主とし、ケン化されずに残存した若干量のビニルエステル構造単位を含むものである。なお、EVOHは、一般的に「エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物」とも称される。
上記ビニルエステル系モノマーとしては、市場からの入手のしやすさや製造時の不純物の処理効率がよい点から、代表的には酢酸ビニルが用いられる。この他、ビニルエステル系モノマーとしては、例えば、ギ酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等の脂肪族ビニルエステル、安息香酸ビニル等の芳香族ビニルエステル等が挙げられる。なかでも、好ましくは炭素数3〜20、より好ましくは炭素数4〜10、特に好ましくは炭素数4〜7の脂肪族ビニルエステルである。これらは通常単独で用いるが、必要に応じて複数種を同時に用いてもよい。
上記EVOH(A)におけるエチレン構造単位の含有量は、ISO14663に基づいて測定される値で、通常20〜60モル%、好ましくは21〜55モル%、より好ましくは22〜50モル%、特に好ましくは23〜45モル%である。かかる含有量が少なすぎると、高湿時のガスバリア性、溶融成形性が低下する傾向があり、逆に多すぎると、ガスバリア性が低下する傾向がある。
上記EVOH(A)におけるビニルエステル成分のケン化度は、JIS K6726(ただし、EVOHは水/メタノール溶媒に均一に溶解した溶液にて)に基づいて測定される値で、通常90〜100モル%、好ましくは95〜100モル%、特に好ましくは99〜100モル%である。かかるケン化度が低すぎる場合にはガスバリア性、熱安定性、耐湿性等が低下する傾向がある。
また、上記EVOH(A)のメルトフローレート(MFR)(210℃、荷重2160g)は、通常0.5〜100g/10分であり、好ましくは1〜50g/10分、特に好ましくは3〜35g/10分である。かかるMFRが高すぎると、製膜性が低下する傾向がある。また、MFRが低すぎると溶融押出が困難となる傾向がある。
本発明に用いられるEVOH(A)には、エチレン構造単位、ビニルアルコール構造単位(未ケン化のビニルエステル構造単位を含む)の他、以下に示すコモノマーに由来する構造単位が、さらに含まれていてもよい。前記コモノマーとしては、例えば、プロピレン、イソブテン、α−オクテン、α−ドデセン、α−オクタデセン等のα−オレフィン;3−ブテン−1−オール、4−ペンテン−1−オール、3−ブテン−1,2−ジオール等のヒドロキシ基含有α−オレフィン類やそのエステル化物、アシル化物等のヒドロキシ基含有α−オレフィン誘導体;1,3−ジアセトキシ−2−メチレンプロパン、1,3−ジプロピオニルオキシ−2−メチレンプロパン、1,3−ジブチロニルオキシ−2−メチレンプロパン等のヒドロキシメチルビニリデンジアセテート類;不飽和カルボン酸またはその塩、部分アルキルエステル、完全アルキルエステル、ニトリル、アミド若しくは無水物;不飽和スルホン酸またはその塩;ビニルシラン化合物;塩化ビニル;スチレン等が挙げられる。
さらに、上記EVOH(A)としては、ウレタン化、アセタール化、シアノエチル化、オキシアルキレン化等の「後変性」されたEVOHを用いることもできる。
そして、上記のような変性されたEVOH(A)のなかでも、共重合によって一級水酸基が側鎖に導入されたEVOH(A)は、延伸処理や真空・圧空成形等の二次成形性が良好になる点で好ましく、とりわけ、1,2−ジオール構造を側鎖に有するEVOH(A)が好ましい。
また、本発明で使用されるEVOH(A)は、異なる他のEVOHとの混合物であってもよく、かかる他のEVOHとしては、エチレン構造単位の含有量が異なるもの、ケン化度が異なるもの、メルトフローレート(MFR)(210℃、荷重2160g)が異なるもの、他の共重合成分が異なるもの、変性量が異なるもの(例えば、側鎖に一級水酸基を含有する構造単位の含有量が異なるもの)等を挙げることができる。
<酢酸および/またはその塩(B)>
本発明のEVOH樹脂組成物は、酢酸および/またはその塩(B)を含有するものである。すなわち、本発明のEVOH樹脂組成物は、酢酸および酢酸塩からなる群より選ばれる少なくとも一種を含有するものである。
上記酢酸および/またはその塩(B)としては、具体的には、酢酸、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウム、酢酸マグネシウム、酢酸マンガン、酢酸銅、酢酸コバルト、酢酸亜鉛等を挙げることができ、これらは単独でもしくは2種類以上併せて用いることができる。なかでも、好ましくは酢酸、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウム、酢酸マグネシウム、特に好ましくは酢酸、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、さらに好ましくは酢酸、酢酸ナトリウムである。殊に好ましくは、酢酸ナトリウムである。
上記酢酸および/またはその塩(B)の酢酸イオン換算での含有量は、EVOH(A)、酢酸および/またはその塩(B)、脂肪族カルボン酸(C)、脂肪族カルボン酸金属塩(D)の含有量の総和に対して、通常0.001〜0.2重量%であり、好ましくは0.0015〜0.15重量%、より好ましくは0.002〜0.1重量%、特に好ましくは、0.0025〜0.07重量%、殊に好ましくは0.0025〜0.065重量%である。
かかる含有量が少なすぎると、上記脂肪族カルボン酸金属塩(D)の熱分解物によって接着強度が低下したり、本発明の効果が充分に得られない傾向があり、含有量が多すぎると、溶融成形時の色調安定性が低下しやすくなったり、本発明の効果が充分に得られない傾向がある。
上記酢酸および/またはその塩(B)の酢酸イオン換算での含有量は、公知の分析方法にて測定することができる。例えば、液体クロマトグラフィー質量分析法(LC/MS)やガスクロマトグラフィー質量分析法(GC/MS)等を用いて測定することができる。
<酢酸以外の脂肪族カルボン酸(C)>
本発明のEVOH樹脂組成物は、酢酸以外の脂肪族カルボン酸(C)を含有するものであり、上記脂肪族カルボン酸(C)の炭素数としては、通常3〜30、好ましくは4〜22、特に好ましくは5〜14である。上記脂肪族カルボン酸(C)の炭素数が上記範囲内であると、本発明の効果がより効果的に得られる傾向がある。
上記脂肪族カルボン酸(C)としては、具体的には、脂肪族モノカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、脂肪族トリカルボン酸等が挙げられる。より具体的には、例えば、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ヘンイコシル酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、モンタン酸、メリシン酸、タルトロン酸、グリセリン酸、ヒドロキシ酪酸、リンゴ酸、酒石酸、グルコン酸、メバロン酸、パントイン酸等の飽和脂肪族モノカルボン酸;リノール酸、リノレン酸、ピノレン酸、エレオステアリン酸、イソステアリン酸、イソノナン酸、2−エチルヘキサン酸、2−ヘプチルウンデカン酸、2−オクチルドデカン酸、パルミトレイン酸、サピエン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、ガドレイン酸、エイコセン酸、エルカ酸、ネルボン酸、リシノール酸等の不飽和脂肪族モノカルボン酸;コハク酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸等の飽和脂肪族ジカルボン酸、エイコサジエン酸、ドコサジエン酸等の不飽和脂肪族ジカルボン酸;クエン酸、イソクエン酸、アコニット酸等の飽和脂肪族トリカルボン酸等が挙げられる。これらの脂肪族カルボン酸(C)は、単独で、もしくは2種以上併せて用いることができる。なかでも熱安定性(溶融成形時の粘度増加およびフィッシュアイ発生の防止)の観点から、好ましくはカルボキシ基を1個含有する脂肪族モノカルボン酸であり、より好ましくは飽和脂肪族モノカルボン酸であり、さらにより好ましくは炭素数6〜22の飽和脂肪族モノカルボン酸であり、特に好ましくは、ステアリン酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、ベヘン酸であり、殊に好ましくは、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸である。
上記脂肪族カルボン酸(C)のカルボン酸イオン換算での含有量は、EVOH(A)、酢酸および/またはその塩(B)、脂肪族カルボン酸(C)、脂肪族カルボン酸金属塩(D)、極性基を含有しないスチレン系熱可塑性エラストマー(E)、極性基を含有するスチレン系熱可塑性エラストマー(F)の含有量の総和に対して、通常0.0000001〜0.095重量%であり、好ましくは0.000001〜0.045重量%であり、特に好ましくは0.00001〜0.025重量%、殊に好ましくは0.00005〜0.02重量%である。
かかる含有量が少なすぎると、上記脂肪族カルボン酸金属塩(D)の熱安定性が不充分となり、結果として本発明の効果が充分に得られない傾向があり、含有量が多すぎると溶融成形時の色調安定性が低下しやすくなったり、上記脂肪族カルボン酸(C)自体が可塑剤として作用し、本発明の効果が充分に得られない傾向がある。
上記脂肪族カルボン酸(C)のカルボン酸イオン換算での含有量に対する上記酢酸および/またはその塩(B)の酢酸イオン換算での含有量比(酢酸および/またはその塩(B)の酢酸イオン換算含有量/脂肪族カルボン酸(C)のカルボン酸イオン換算含有量)が、重量基準で通常0.0001〜10000であり、好ましくは0.001〜5000であり、特に好ましくは0.1〜1000であり、殊に好ましくは1〜600である。
かかる含有量比が上記範囲内にあると、本発明の効果がより顕著に得られる傾向があり、上記範囲より小さいと、溶融成形時の色調安定性が不充分だったり、接着強度が不充分となる傾向があり、上記範囲より大きいと、本発明の効果が充分に得られない傾向がある。
<脂肪族カルボン酸金属塩(D)>
本発明のEVOH樹脂組成物は、上記脂肪族カルボン酸(C)の金属塩である脂肪族カルボン酸金属塩(D)を含有するものである。
上記脂肪族カルボン酸金属塩(D)の金属種としては、長周期型周期表における第4周期dブロックに属する元素であることが必須である。なかでも、クロム、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛が好ましく、特に好ましくは、とりわけ優れた効果が得られ、かつ安価で入手しやすい亜鉛である。
上記脂肪族カルボン酸金属塩(D)を用いることによって優れた効果が得られる理由は明らかではないが、脂肪族カルボン酸金属塩(D)の金属種が長周期型周期表第4周期dブロックに属する元素から選ばれる少なくとも1種であることにより、機械的特性(耐衝撃性)低下を招く過度の熱分解を適度に抑制し、かつEVOH樹脂組成物を多層共押出成形した際に形成される、分子配向や結晶構造等の高次構造が高度に均一化されるため、結果として耐衝撃性が改善されると推測される。
上記脂肪族カルボン酸金属塩(D)のアニオン種としては、上記脂肪族カルボン酸(C)として例示したものを用いることができるが、本発明においては、脂肪族カルボン酸金属塩(D)のアニオン種と脂肪族カルボン酸(C)とが同一種であることが重要である。脂肪族カルボン酸金属塩(D)のアニオン種と脂肪族カルボン酸(C)とが同一種であることにより、耐衝撃性に優れ、溶融成形した際にも、より色調安定性が高いEVOH樹脂組成物とすることができる。
なお、本発明のEVOH樹脂組成物が複数の脂肪族カルボン酸(C)あるいは複数の脂肪族カルボン酸金属塩(D)を含有する場合は、少なくとも1種類の脂肪族カルボン酸(C)と脂肪族カルボン酸金属塩(D)のアニオン種が同一種であればよい。
上記脂肪族カルボン酸(C)と脂肪族カルボン酸金属塩(D)のアニオン種が同一種であることにより優れた効果が得られる理由は明らかではないが、特定量の上記脂肪族カルボン酸(C)と上記脂肪族カルボン酸金属塩(D)とを併用することで、上記脂肪族カルボン酸金属塩(D)の分散性が顕著に向上し、より優れた本発明の効果が得られるものと推測される。また、脂肪族カルボン酸(C)は脂肪族カルボン酸金属塩(D)の金属種と相互作用し、金属錯体のような状態で存在すると考えられ、かかる脂肪族カルボン酸金属塩(D)のアニオン種が脂肪族カルボン酸(C)と同一種であることにより、よりエネルギー的に安定な状態で存在することが可能となり、溶融成形した際にも熱安定性に優れ、結果としてEVOH樹脂組成物の耐衝撃性が改善されると推測される。
また、上記脂肪族カルボン酸(C)および上記脂肪族カルボン酸金属塩(D)の炭素数が、通常3〜30、好ましくは4〜22、特に好ましくは5〜14であると、より顕著に耐衝撃性が改善される傾向がある。かかる理由は明らかではないが、上記脂肪族カルボン酸(C)および上記脂肪族カルボン酸金属塩(D)の炭素数が上記範囲内にあると、上記脂肪族カルボン酸(C)および脂肪族カルボン酸金属塩(D)がEVOH樹脂組成物中により均一に分散しやすくなったため、結果としてEVOH樹脂組成物の耐衝撃性がより顕著に改善されると推測される。
上記脂肪族カルボン酸金属塩(D)の金属イオン換算での含有量は、EVOH(A)、酢酸および/またはその塩(B)、脂肪族カルボン酸(C)、脂肪族カルボン酸金属塩(D)、極性基を含有しないスチレン系熱可塑性エラストマー(E)、極性基を含有するスチレン系熱可塑性エラストマー(F)の含有量の総和に対して、通常0.0001〜0.05重量%であり、好ましくは0.0005〜0.04重量%であり、特に好ましくは0.001〜0.03重量%であり、殊に好ましくは0.003〜0.025重量%である。脂肪族カルボン酸金属塩(D)の含有量が少なすぎると本発明の効果が充分に得られない傾向があり、含有量が多すぎると溶融成形時の色調安定性が低下しやすくなる傾向がある。
上記脂肪族カルボン酸(C)のカルボン酸イオン換算での含有量、および上記脂肪族カルボン酸金属塩(D)の金属イオン換算での含有量は、公知の分析方法にて測定することができる。例えば下記のような方法単独またはそれらを組み合わせる事で求めることができる。
(i)脂肪族カルボン酸金属塩(D)の金属イオン換算での含有量:乾燥した試料を精秤して、恒量化した白金蒸発皿に入れ、電熱器で炭化し、次いでガスバーナーで加熱し、煙が出なくなるまで焼き、さらに電気炉内に上記の白金蒸発皿を入れ、昇温して、完全に灰化させる。これを冷却後、灰化物に塩酸および純水を入れ、電熱器で加熱して溶解し、メスフラスコに流し込み、純水で容量を一定にして原子吸光分析用の試料とする。この原子吸光分析用試料中の金属量を原子吸光度法で定量分析することにより、脂肪族カルボン酸金属塩(D)の金属イオン換算での含有量を求めることができる。
(ii)脂肪族カルボン酸(C)のカルボン酸イオン換算での含有量:まず、液体クロマトグラフィー質量分析法(LC/MS)やガスクロマトグラフィー質量分析法(GC/MS)等を用いて、EVOH樹脂組成物中の脂肪族カルボン酸(C)とその金属塩(D)のカルボン酸イオン換算での含有量の(Cx)を定量する。その後、前述の脂肪族カルボン酸金属塩(D)の金属イオン換算での含有量から、脂肪族カルボン酸金属塩(D)のカルボン酸イオン換算での含有量(Cy)を算出する。そして、脂肪族カルボン酸(C)とその金属塩(D)のカルボン酸イオン換算での含有量の総和(Cx)と脂肪族カルボン酸金属塩(D)のカルボン酸イオン換算での含有量(Cy)の差((Cx)−(Cy))から、脂肪族カルボン酸(C)のカルボン酸イオン換算での含有量を求めることができる。
<極性基を含有しないスチレン系熱可塑性エラストマー(E)>
本発明で用いられる、極性基を含有しないスチレン系熱可塑性エラストマー(E)は、通常ハードセグメントとなる芳香族ビニルモノマーのポリマーブロック(e1)と、通常ソフトセグメントとなるゴム成分たる不飽和炭化水素化合物のポリマーブロックおよび/またはその水添ブロック(e2)とを有するもので、一般にスチレン系熱可塑性エラストマーとして知られているものを用いることができる(本発明においては、かかる極性基を含有しないスチレン系熱可塑性エラストマー(E)を「ブロック共重合体(E)」と称することがある。)。
本発明で用いる極性基を含有しないスチレン系熱可塑性エラストマー(E)は、芳香族ビニルモノマー重合体ブロック(e1)と不飽和炭化水素化合物のポリマーブロックおよび/またはその水添ブロック(e2)とを含有していればよく、e1−e2で表されるジブロック構造、e1−e2−e1またはe2−e1−e2で表されるトリブロック構造、e1−e2−e1−e2で表されるテトラブロック構造、あるいはe1とe2が5個以上直鎖状に結合しているポリブロック構造であってもよい。これらのうち、e1−e2で表されるジブロック構造、またはe1−e2−e1で表されるトリブロック構造、e1−e2−e1−e2で表わされるテトラブロック構造が、耐屈曲性および力学特性の点から好ましい。
上記芳香族ビニルのポリマーブロック(e1)を構成するモノマーとしては、例えば、具体的には、スチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、モノフルオロスチレン、ジフルオロスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、メトキシスチレン等のスチレン誘導体;ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、インデン、アセトナフチレン等の芳香族ビニル化合物が挙げられる。さらに、必要に応じて、これらの芳香族ビニルモノマーとともに、1−ブテン、ペンテン、ヘキセン、ブタジエン、イソプレン、メチルビニルエーテル等の他の共重合性モノマーを用いてもよい。
このようなポリマーブロック(e1)を構成するモノマーのうち、好ましくはスチレンおよびスチレン誘導体であり、特に好ましくはスチレンである。
芳香族ビニルモノマーのポリマーブロック(e1)は、上記芳香族ビニルモノマーのホモポリマーブロックであってもよいし、2種以上の芳香族ビニルモノマーのコポリマーブロックであってもよい。
上記不飽和炭化水素化合物のポリマーブロックおよび/またはその水添ブロック(e2)を構成する不飽和炭化水素化合物としては、通常、炭素数2〜10の不飽和脂肪族炭化水素化合物であり、具体的には、炭素数2〜6のアルケン、炭素数4〜6のジエン、共役ジエンが挙げられ、これらのうち、炭素数4〜6の共役ジエンが好ましく用いられる。
上記共役ジエン化合物としては、例えば、イソプレン、ブタジエン、ヘキサジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン等が挙げられる。上記ジエンとしては、ヘキサジエン等が挙げられる。なお、ジエン化合物からなる上記脂肪族炭化水素ポリマーブロック(b2)は、上記共役ジエン化合物からなるポリマーブロックの水素添加の結果、得られたものであってもよい。上記アルケンとしては、エチレン、プロピレン、n−ブチレン、イソブチレン等が挙げられる。これらのアルケンからなる上記不飽和炭化水素化合物のポリマーブロックおよび/またはその水添ブロック(e2)は、上記共役ジエンまたはジエンからなるポリマーブロックの水素添加の結果、得られたものであってもよい。
不飽和炭化水素化合物のポリマーブロックおよび/またはその水添ブロック(e2)は、上記不飽和脂肪族炭化水素モノマーの1種からなるホモポリマーブロックであってもよいし、2種以上の不飽和脂肪族炭化水素モノマーからなるランダムコポリマーブロックであってもよい。ソフトセグメントとしては、共役ジエンのポリマーブロックまたはその水素添加ブロックが好ましい。
不飽和炭化水素化合物のポリマーブロックおよび/またはその水添ブロック(e2)の水添ブロックとは、ジエンおよび/または共役ジエンのポリマーブロック中の不飽和結合の一部または全部が水素添加されることにより形成されるものである。例えば、ポリブタジエンブロックは水素添加により、エチレン・ブチレンポリマーブロックやブタジエン・ブチレンポリマーブロック等になる。また、ポリイソプレンブロックは、水素添加により、エチレン・プロピレンポリマーブロック等になる。水素添加は公知の方法で行うことができ、特定のビニル結合部分を選択的に水素添加したものであってもよい。
本発明で用いられるブロック共重合体(E)は、上記芳香族ビニルモノマーのポリマーブロック(e1)と不飽和炭化水素化合物のポリマーブロック(e2)とが結合したもので、ブロック構造は特に限定せず、例えば、ラジアルテレブロックコポリマー、マルチブロックコポリマー、バイモダルコポリマー、テーパーブロックコポリマー等が挙げられる。
ブロック共重合体(E)における芳香族ビニル構成単位(ポリマーブロックe1)の含有率は、通常5〜50重量%であり、好ましくは10〜40重量%、より好ましくは10〜35重量%である。芳香族ビニル構成単位の含有率が適度に大きい場合、EVOH(A)との屈折率の差が小さくなり、透明性が向上する傾向がある。しかし、芳香族ビニル構成単位の含有率が大きすぎる場合、ブロック共重合体(E)自体の柔軟性が低下し、樹脂組成物の耐屈曲性改善効果が得られにくくなるという傾向がある。芳香族ビニル構成単位の含有率が小さい方が耐屈曲性に優れる傾向にあるが、逆に小さくなりすぎると、フィルムの透明性が低下し、またEVOH樹脂(A)との相溶性が低下して、ひいては耐屈曲性改善効果が得られにくくなる。
また、ブロック共重合体(E)における、不飽和炭化水素化合物重合体ブロックおよび/またはその水添ブロック(ポリマーブロックe2)の含有率は、通常50〜95重量%であり、好ましくは60〜90重量%、より好ましくは65〜90重量%である。
また、上記ポリマーブロック(e1)および(e2)は、それぞれ必要に応じて他の共重合性モノマーを共重合したランダムコポリマーブロックであってもよい。他の共重合モノマーとは、例えばエチレンやプロピレン等の炭素数2〜3の不飽和炭化水素等である。
ただし、他の共重合性モノマーを含む場合、各ポリマーブロックにおける他の共重合性モノマーの含有率は、各ポリマーブロック重量の10重量%以下とすることが好ましく、5重量%以下とすることがより好ましい。
以上のような構成を有するブロック共重合体(E)の具体例としては、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、SBSの水素添加ブロック共重合体(SEBS)、SISの水素添加ブロック共重合体(SEPS)、SBSのブタジエンブロックのビニル結合部分を水素添加したブロック共重合体(SBBS)、スチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体(SIBS)、スチレン−エチレン−ブチレン−結晶ポリオレフィンブロック共重合体(SEBC)等が挙げられる。これらのうち、熱安定性、耐候性で優れているSEBSが好ましく用いられる。SEBSは、ポリブタジエンブロックが水素添加によりエチレン・ブチレンのコポリマーブロックとなっている。
また、ブロック共重合体(E)のメルトフローレート(MFR)は、230℃、荷重2160g条件下で、通常0.01〜200g/10分であり、好ましくは0.1〜100g/10分であり、好ましくは1〜50g/10分であり、特に好ましくは3〜15g/10分である。
EVOH(A)の溶融粘度とブロック共重合体(E)との溶融粘度が近い程、溶融混練が容易になり、ブロック共重合体(E)がEVOH樹脂中に均一に分散した樹脂組成物が得られやすく、ひいては耐屈曲性、透明性に優れた樹脂組成物が得られやすい。具体的には、230℃、荷重2160g条件下で測定したMFR比(EVOH(A)/ブロック共重合体(E))が、通常0.1〜10、好ましくは0.5〜4、より好ましくは0.7〜3である。
このようなブロック共重合体(E)としては、市販品を使用してもよい。市販品としては、例えば、JSR社製の「ダイナロン」、「JSR−TR」、「JSR−SIS」;クラレ社製の「セプトン」、「ハイプラー」;日本ゼオン社製の「クインタック」、旭化成社製の「タフテック」「タフプレン」;クレイトンポリマー社製の「KratonG」「KratonD」「Cariflex TR」;電気化学社製の「電化STR」;日本エラストマー社製の「アサプレンT」等が挙げられる。
<極性基を含有するスチレン系熱可塑性エラストマー(F)>
本発明で用いられる極性基を含有するスチレン系熱可塑性エラストマー(F)は、芳香族ビニルモノマー単位からなるポリマーブロック(f1)と、不飽和炭化水素化合物を重合してなるポリマーブロックまたはその水素添加ブロック(f2)とを有するブロック共重合体であり、さらに極性基を有するブロック共重合体である。
かかる極性基とは、例えば具体的には、カルボキシ基、アミノ基、アルコキシル基、水酸基、アミド基、エポキシ基等が挙げられる。前記カルボキシ基には、カルボキシ基の誘導体である酸無水物基も含まれる(本発明においては、かかる極性基を含有するスチレン系熱可塑性エラストマー(F)を、「変性ブロック共重合体(F)」と称することがある。)。
変性ブロック共重合体(F)は、EVOH(A)と適度な反応性を有することが好ましく、この点から、カルボキシ基およびアミノ基からなる群より選ばれる少なくとも1種の極性基を有する変性ブロック共重合体(F)が好ましく、より好ましくはカルボキシ基を有する変性ブロック共重合体である。
変性ブロック共重合体(F)のブロック共重合体を構成する芳香族ビニルのポリマーブロックに用いられる芳香族ビニル、不飽和炭化水素化合物のポリマーブロックに用いられる不飽和炭化水素化合物としては、上記ブロック共重合体(E)で用いたものを使用することができる。
変性ブロック共重合体(F)のブロック共重合体と、ブロック共重合体(E)の各ポリマーブロックのモノマー構成(すなわちe1とf1、e2とf2)やブロック構造は同じであってもよいし、異なっていてもよい。
極性基を有する変性ブロック共重合体(F)は、極性基である水酸基を有するEVOH(A)との親和性を有する。一方、変性ブロック共重合体(F)のブロック共重合体部分がブロック共重合体(E)と親和性を有することから、変性ブロック共重合体(F)は、EVOH(A)とブロック共重合体(E)の相溶化剤としての役割を果たすことができる。
カルボキシ基変性の場合、変性に用いられる化合物としては、不飽和カルボン酸またはその誘導体が挙げられ、例えば具体的には、α,β−不飽和カルボン酸やα,β−不飽和カルボン酸無水物が好ましく、例えば具体的には、アクリル酸、メタクリル酸等のα,β−不飽和モノカルボン酸;マレイン酸、コハク酸、イタコン酸、フタル酸等のα,β−不飽和ジカルボン酸;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシメチルメタクリレート等のα,β−不飽和モノカルボン酸エステル;無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸等のα,β−不飽和ジカルボン酸無水物等を挙げることができる。
アミノ基変性の場合、変性に用いられる化合物としては、3−リチオ−1−〔N,N−ビス(トリメチルシリル)〕アミノプロパン、2−リチオ−1−〔N,N−ビス(トリメチルシリル)〕アミノエタン、3−リチオ−2,2−ジメチル−1−〔N,N−ビス(トリメチルシリル)〕アミノプロパン等が挙げられ、例えば不飽和アミンまたはその誘導体としては、ビニルアミン等が挙げられる。
アルコキシル基変性の場合、変性に用いられる化合物としては、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジフェノキシシラン等のアルコキシシランが挙げられ、例えば不飽和アルコキシドまたはその誘導体としては、具体的にはメチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、ペンチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル等が挙げられる。
水酸基変性の場合、変性に用いられる化合物としては、例えば不飽和アルコールまたはその誘導体が挙げられ、例えば、具体的には3−ブテン−1−オール、4−ペンテン−1−オール、5−ヘキセン−1−オール等が挙げられる。
アミド基変性の場合、変性に用いられる化合物としては、例えば不飽和アミドまたはその誘導体が挙げられ、例えば、具体的にはN−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−メチル−N−ビニルホルムアミド、N−メチル−N−ビニルアセトアミド、ジアセトンアクリルアミド、アクリルアミド、メタクリルアミド、ポリオキシエチレン(メタ)アクリルアミド、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリルアミド等のポリオキシアルキレン(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
エポキシ基変性の場合、変性に用いられる化合物としては、例えば不飽和エポキシドまたはその誘導体が挙げられ、例えばビニルエポキシド等が挙げられる。
以上のような極性基含有化合物を用いる変性は、例えば、上記ブロック共重合体の構成モノマーの一部を極性基含有化合物に代えて共重合する方法、側鎖の一部に極性基含有化合物をラジカル付加等で導入する方法、あるいは上記ブロック共重合体を後変性する方法等により行われる。
変性ブロック共重合体(F)における上記極性基の含有量は、通常1.0×10-3〜1ミリモル/g、好ましくは5.0×10-3〜0.5ミリモル/g、より好ましくは1.0×10-2〜0.2ミリモル/g、さらに好ましくは1.0×10-2〜0.1ミリモル/gである。極性基含有量が多くなりすぎると、EVOH樹脂との親和性が高くなりすぎて、高重合度化物が発生しやすくなり、樹脂組成物のMFRが低下して成形加工性が不足しやすい傾向にある。また、樹脂組成物内で粘度の偏りが発生し、樹脂組成物をフィルムとしたときにスジが発生しやすくなり、耐屈曲性が低下する傾向にある。
特に変性ブロック共重合体(F)がカルボキシ基を有するものである場合、該カルボキシ基の含有量は、滴定法で測定した酸価が通常20mgCH3ONa/g以下であり、好ましくは1〜15mgCH3ONa/g、さらに好ましくは1〜5mgCH3ONa/gである。
かかる酸価が高すぎると、EVOH(A)との反応点が多くなるため、高重合度化物が発生しやすくなり、樹脂組成物のMFRが低下して成形加工性が不足しやすい傾向にある。また、高重合度化物が発生することで、樹脂組成物内で粘度の偏りが発生し、樹脂組成物をフィルムとしたときにスジが発生しやすくなり、耐屈曲性が低下する傾向がある。
また、変性ブロック共重合体(F)のメルトフローレート(MFR)においては、230℃、荷重2160g条件下で、通常0.01〜200g/10分であり、好ましくは0.1〜100g/10分であり、好ましくは1〜50g/10分であり、より好ましくは2〜15g/10分である。
EVOH(A)の溶融粘度と変性ブロック共重合体(F)との溶融粘度が近いほど、溶融混練が容易になり、耐屈曲性、透明性に優れた樹脂組成物が得られやすい。具体的には、230℃、荷重2160g条件下で測定したMFR比(EVOH(A)/変性ブロック共重合体(F))が、通常0.1〜10、好ましくは0.5〜4.0、より好ましくは0.7〜3.0である。
また、ブロック共重合体(E)の溶融粘度と変性ブロック共重合体(F)との溶融粘度比は、例えば、具体的には、230℃、荷重2160g条件下で測定したMFR比(ブロック共重合体(E)/変性ブロック共重合体(F))が、通常0.1〜10、好ましくは0.5〜4.0、より好ましくは0.7〜3.0である。
かかる変性ブロック共重合体(F)としては市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば旭化成社製の「タフテック」Mシリーズ、クレイトンポリマー社の「Kraton」FGシリーズ、JSR社製の「f−ダイナロン」シリーズが挙げられる。
上記極性基を含有しないスチレン系熱可塑性エラストマー(E)と上記極性基を含有するスチレン系熱可塑性エラストマー(F)を用いることにより優れた効果が得られる理由は明らかではないが、特定量の上記極性基を含有しないスチレン系熱可塑性エラストマー(E)と上記極性基を含有するスチレン系熱可塑性エラストマー(F)とを併用することで、EVOH(A)中に存在する上記極性基を含有しないスチレン系熱可塑性エラストマー(E)の分散サイズが微細化するため、EVOH樹脂組成物が外部変形(屈曲変形)を受けた際のエネルギーを吸収しやすくなり、結果として耐屈曲性が改善されると推測される。
本発明のEVOH樹脂組成物は、上記酢酸および/またはその塩(B)の酢酸イオン換算での含有量に対する脂肪族カルボン酸金属塩(D)の金属イオン換算含有量比((D)/(B))は、重量基準で、下記の式(1)を満たすものである。
[式]0.001≦((D)金属イオン換算含有量/(B)酢酸イオン換算含有量)≦1.30・・・(1)
好ましくは0.005≦((D)/(B))≦1.1、より好ましくは0.005≦((D)/(B))≦1.0、さらにより好ましくは0.01≦((D)/(B))≦0.8、特に好ましくは0.04≦((D)/(B))≦0.7、殊に好ましくは0.05≦((D)/(B))≦0.65である。かかる値が上記範囲内にあると、本発明の効果がより顕著に得られる傾向があり、上記範囲より小さいと、本発明の効果が充分に得られない傾向があり、上記範囲より大きいと、溶融成形時の色調安定性が不充分だったり、接着強度が不充分となる傾向がある。
本発明のEVOH樹脂組成物は、上記脂肪族カルボン酸(C)のカルボン酸イオン換算での含有量に対する脂肪族カルボン酸金属塩(D)の金属イオン換算含有量比((D)/(C))は、重量基準で、下記の式(2)を満たすものである。
[式]0.11≦((D)金属イオン換算含有量/(C)カルボン酸イオン換算含有量)≦100・・・(2)
好ましくは0.13≦((D)/(C))≦90、さらに好ましくは0.15≦((D)/(C))≦80、特に好ましくは0.2≦((D)/(C))≦70である。かかる値が上記範囲内にあると、本発明の効果がより顕著に得られる傾向があり、上記範囲より小さいと、溶融成形時の色調安定性が不充分だったり、本発明の効果が充分に得られない傾向があり、上記範囲より大きいと、溶融成形時の色調安定性が不充分だったり、成形性が不充分となる傾向がある。
本発明のEVOH樹脂組成物は、上記脂肪族カルボン酸金属塩(D)の含有量に対する上記極性基を含有するスチレン系熱可塑性エラストマー(F)の含有量比((F)/(D))は、重量基準で、下記の式(3)を満たすものである。
[式]30≦((F)含有量/(D)金属イオン換算含有量)≦2900・・・(3)
好ましくは70≦((F)/(D))≦2500、特に好ましくは80≦((F)/(D))≦2000、殊に好ましくは90≦((F)/(D))≦1500である。かかる値が上記範囲内にあると、本発明の効果がより顕著に得られる傾向があり、上記範囲より小さいと耐衝撃性または耐屈曲性または色調安定性が不充分となる傾向があり、上記範囲より大きいと耐衝撃性または色調安定性が不充分となるとなる傾向がある。
本発明のEVOH樹脂組成物は、上記EVOH(A)、上記極性基を含有しないスチレン系熱可塑性エラストマー(E)、上記極性基を含有するスチレン系熱可塑性エラストマー(F)の各種含有量が、重量基準で下記の式(4)を満たすものであることが好ましい。
[式]0.001≦((F)含有量/(A+E+F)含有量)≦0.2・・・(4)
より好ましくは0.005≦((F)含有量/(A+E+F)含有量)≦0.18、特に好ましくは0.01≦((F)含有量/(A+E+F)含有量)≦0.15、殊に好ましくは0.015≦((F)含有量/(A+E+F)含有量)≦0.1である。かかる値が上記範囲内にあると、本発明の効果がより顕著に得られる傾向があり、上記範囲より小さいと耐屈曲性が不充分となる傾向があり、上記範囲より大きいと耐衝撃性および色調安定性が不充分となる傾向がある。
また、本発明のEVOH樹脂組成物は、上記極性基を含有しないスチレン系熱可塑性エラストマー(E)と上記極性基を含有するスチレン系熱可塑性エラストマー(F)の含有量の総和に対する上記EVOH(A)の含有量比((A)/(E+F))は、重量基準で、下記の式(5)を満たすことが好ましい。
[式]1≦((A)含有量/(E+F)含有量)≦99・・・(5)
好ましくは1.5≦((A)含有量/(E+F)含有量)≦20、特に好ましくは2≦((A)含有量/(E+F)含有量)≦15である。かかる値が上記範囲内にあると、本発明の効果がより顕著に得られる傾向があり、上記範囲より小さいとガスバリア性が不充分となる傾向があり、上記範囲より大きいと耐屈曲性が不充分となる傾向がある。
本発明のEVOH樹脂組成物は、上記極性基を含有しないスチレン系熱可塑性エラストマー(E)の含有量に対する上記極性基を含有するスチレン系熱可塑性エラストマー(F)の含有量比((F)/(E))は、重量基準で、下記の式(6)を満たすことが好ましい。
[式]0.01≦((F)含有量/(E)含有量)≦10・・・(6)
好ましくは0.03≦((F)含有量/(E)含有量)≦3、より好ましくは0.05≦((F)含有量/(E)含有量)≦2、特に好ましくは0.08≦((F)含有量/(E)含有量)≦1、殊に好ましくは0.1≦((F)含有量/(E)含有量)≦0.5である。かかる値が上記範囲内にあると、本発明の効果がより顕著に得られる傾向があり、上記範囲より小さいと耐屈曲性や色調安定性が不充分となる傾向があり、上記範囲より大きいと耐屈曲性や色調安定性が不充分となる傾向がある。
また、本発明のEVOH樹脂組成物は、210℃、100S-1での伸長粘度が、下記式(7)を満たすものであることが好ましい。
500≦伸長粘度[Pa・s]≦47000・・・(7)
より好ましくは700≦伸長粘度[Pa・s]≦30000、特に好ましくは800≦伸長粘度[Pa・s]≦20000である。かかる値が上記範囲内にあると、本発明の効果がより顕著に得られる傾向があり、上記範囲より小さいと、本発明の効果が充分に得られない傾向があり、上記範囲より大きいと溶融成形時の成形性が不充分となる傾向がある。
本発明のEVOH樹脂組成物の210℃、100S-1での伸長粘度が、式(7)を満たすことにより優れた効果が得られる理由は明らかではないが、本発明のEVOH樹脂組成物の210℃、100S-1での伸長粘度が式(7)を満たすことにより、EVOH樹脂組成物中に適度に形成されたEVOH分子鎖同士の絡み合い構造が、EVOH樹脂組成物を多層共押出成形した際に、EVOH樹脂組成物の分子配向や結晶構造等の高次構造の形成をより顕著に促進させるため、結果として機械的特性(耐衝撃性)が著しく改善されると推測される。
<EVOH樹脂組成物の伸長粘度(Pa・s)評価方法>
本発明のEVOH樹脂組成物の210℃、100S-1での伸長粘度(Pa・s)は、キャピラリー型レオメーターを用い、Cogswellの式[Polymer Engineering Science、12巻、64−73頁(1972)]に基づいて、下記の条件で測定を行なうことにより求めることができる。
すなわち、伸長粘度(ηe)および伸長歪み速度(dε/dt)は、Cogswell(Polymer Engineering Science、12巻、64−73頁(1972))によって提唱されている以下の式(8)〜(10)を用いて算出することができる。
ηe=[9(n+1)20 2]/[32ηs(dγ/dt)2]・・・式(8)
dε/dt=4σs(dγ/dt)/[3(n+1)P0]・・・式(9)
σs=k(dγ/dt)n・・・式(10)
ここで、ηeは伸長粘度、ηsは剪断粘度、dγ/dtは剪断歪み速度、dε/dtは伸長歪み速度、σsは剪断応力、kは定数、指数nは、メルトフラクチャーやスリップスティックの発生しない剪断速度領域(100≦dγ/dt≦1000)における、剪断応力と剪断歪み速度がべき乗則に従うと仮定し、二次関数でフィッティングを行うことにより求められる。P0はキャピラリー長0のダイで生じる圧力損失であり、2つ以上の長さの異なるキャピラリーを用いた測定結果のBaglay補正により求められる。
測定装置:Gottfert社製RHEOGRAPH 20
測定温度:210℃
ロングダイ:長さ10mm、直径1mm、流入角180°
ショートダイ:長さ0.2mm、直径1mm、流入角180°
<炭化水素系樹脂(G)>
本発明のEVOH樹脂組成物は、上記炭化水素系樹脂(G)を含有することが好ましい。
上記炭化水素系樹脂(G)は、分散助剤として添加されるもので、炭化水素系樹脂(G)の数平均分子量が100から3000で且つ軟化点が60℃以上170℃未満の炭化水素系樹脂である。このような炭化水素系樹脂は、通常、常温(25℃)で液体または固体の熱可塑性樹脂に属する。
上記炭化水素系樹脂(G)としては、具体的には、ロジン系樹脂(ロジン、水素添加ロジン、不均化ロジン、重合ロジン等の変性ロジン、変性ロジンのグリセリンエステルやペンタエリスリトールエステル等のロジンエステル等)やテルペン系樹脂(テルペン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、水添テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂)等の天然炭化水素樹脂;石油樹脂、クマロンインデン樹脂、フェノール系樹脂(アルキルフェノール樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、等)、スチレン系樹脂、キシレン系樹脂等の合成炭化水素樹脂が挙げられる。
上記石油樹脂とは、石油ナフサ等の熱分解により副生する不飽和炭化水素モノマーを含有する留分を重合したものを意味し、具体的には、脂肪族系石油樹脂(C5系石油樹脂)、芳香族系石油樹脂(C9系石油樹脂)、脂肪族/芳香族系石油樹脂(C5/C9系石油樹脂)、脂環族系石油樹脂(水添系石油樹脂)に分類される。
脂肪族系石油樹脂(C5系石油樹脂)とは、石油ナフサ分解油のC5留分の精製成分を重合して得られた合成樹脂であり、具体例としては、クイントン100シリーズ(日本ゼオン社製)、エスコレッツ1000シリーズ(エクソンモービル社製)等が挙げられる。
芳香族系石油樹脂(C9系石油樹脂)とは、石油ナフサ分解油のC9留分の精製成分を重合して得られた合成樹脂であり、具体例としては、ペトコール(東ソー社製)、日石ネオポリマー(新日本石油社製)等が挙げられる。
脂肪族/芳香族系石油樹脂(C5/C9系石油樹脂)とは、上記C5留分とC9留分をブレンドした原料を共重合して得られた合成樹脂であり、具体例としては、ペトロタック(東ソー社製)、トーホーハイレジン(東邦化学工業社製)、クイントン100シリーズ(日本ゼオン社製)、エスコレッツ2000シリーズ(エクソンモービル社製)等が挙げられる。
脂環族系石油樹脂には、上記の芳香族系石油樹脂、または脂肪族/芳香族系石油樹脂を水素添加して得られた水添系石油樹脂およびC5留分から抽出されたジシクロペンタジエンを主原料に合成して得られた合成樹脂がある。
中でも上記の芳香族系石油樹脂、または脂肪族/芳香族系石油樹脂を水素添加して得られた水添系石油樹脂が代表的であり、具体例としては、アルコン(荒川化学工業社製)、アイマーブ(出光興産社製)、エスコレッツ5000シリーズ(エクソンモービル社製)等が挙げられる。
かかる水添系石油樹脂の場合には、水添率によって樹脂の極性が異なり、主に水添率90%以上の完全水添型と水添率90%未満の部分水添型に2種類に分類される。前者の具体例としては、アルコンPグレード(荒川化学工業社製)、アイマーブPタイプ(出光興産社製)等が挙げられ、後者の具体例としては、アルコンMグレード(荒川化学工業社)、アイマーブSタイプ(出光興産社製)等が挙げられる。
また、水素添加以外の方法で得られる脂環族系石油樹脂としてはC5留分から抽出されたジシクロペンタジエンを主原料に合成して得られた合成樹脂の具体例としては、クイントン1000シリーズ(日本ゼオン社製),マルカレッツMシリーズ(丸善石油化学社製)が挙げられる。
本発明においては、樹脂組成物の透明性や色調等の外観や無臭性を向上させる点で、石油樹脂を用いることが好ましく、さらには脂環族系石油樹脂を用いることが好ましく、特には水添系石油樹脂を用いることが好ましい。
また、水添系石油樹脂の水添率については、特に限定されないが、極性が低いSEBS、SEPS等の水添された上記極性基を含有しないスチレン系熱可塑性エラストマー(B)との親和性を考慮すると、完全水添型の水添系石油樹脂を用いることが好ましい。
上記炭化水素系樹脂(G)の数平均分子量としては、通常100〜3000、好ましくは300以上1500未満、特に好ましくは400以上1000未満である。数平均分子量が小さすぎる場合、溶融混合の際に原料投入部で液体になりやすく、特に粘度が低い液体になると、混合不良をおこしやすくなり、分散不良によってフィルム透明性が低下するおそれや、上記炭化水素系樹脂(G)が成形品から溶出しやすくなるおそれがある。また、数平均分子量が大きすぎる場合、溶融混練時に流体としてB成分の凝集体内に侵入しにくくなる傾向があり、親油性という上記炭化水素系樹脂(G)の特性から、EVOH(A)と分離しやすくなり、ひいては成形品において、目ヤニやスジ等外観不良の原因となるおそれがある。
上記数平均分子量は、ゲルバーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定で得られるポリスチレン換算値により算出することができる。
上記炭化水素系樹脂(G)の軟化点としては、通常60℃以上170℃未満、好ましくは95℃以上160℃未満、特に好ましくは120℃以上150℃未満である。軟化点が低すぎる場合、溶融混合の際に原料投入部で粘度の低い液状になりやすく、上記炭化水素系樹脂(G)の分散助剤としての役割を充分に果たせない。ひいては、(E)成分の分散不良によって、耐屈曲性、透明性の改善効果が充分得られにくい。また、上記炭化水素系樹脂(G)が成形品から溶出しやすくなるといった問題も生じやすい。軟化点が高すぎる場合は、溶融混合の際に上記炭化水素系樹脂(G)の未溶融部分が残存して、分散助剤としての機能が低下し、充分な耐屈曲性や透明性が得られないおそれがあり、さらには残存した未溶融部分によってフィルム成形物にフィッシュアイ等の異物が発生するおそれがある。
なお、軟化点の測定方法としては、JIS K2207(環球法)に準拠した方法を用いることができる。
上記炭化水素系樹脂(G)の色相としては、ガードナーナンバーが通常3以下、好ましくは2以下、特に好ましくは1以下である。ガードナーナンバーが3を超えると、樹脂組成物の黄色度が強くなり外観特性が低下する恐れがある。
また、水添系石油樹脂の場合には、ハーゼンナンバーが通常200以下、好ましくは150以下、特に好ましくは100以下である。ハーゼンナンバーが200以下のものを用いると、外観特性に優れた無色透明な樹脂組成物を得ることができる。
なお、色相の測定方法としては、JIS K0071−1(ハーゼンナンバー)、JIS K0071−2(ガードナーナンバー)に準拠した方法を用いることができる。
上記炭化水素系樹脂(G)の常温での形態としては、例えば粉末状、塊状、フレーク状、ペレット状(粒状)、液状等が挙げられるが、特に限定しない。混合時の作業性や計量性の観点からは、フレーク状、ペレット状が好ましく、特にペレット状が好ましい。
以上のような上記炭化水素系樹脂(G)は、上記極性基を含有しないスチレン系熱可塑性エラストマー(E)がEVOH(A)の海中に微分散化できるように作用するという効果だけでなく、溶融成形時には液体化しているので、溶融時における組成物の粘度を減少(MFR値を増加)させることも可能となる。このことは、以下のような効果をもたらすと考えられる。すなわち、上記極性基を含有するスチレン系熱可塑性エラストマー(F)に用いた極性基含有化合物、特にカルボキシ基とEVOH(A)中の水酸基とは反応可能であるため、溶融混練過程において、両官能基が反応し、高重合度化物が生成される場合がある。この高重合度化物の生成によって溶融粘度が増加して、押出機内でのせん断発熱が発生しやすくなり、高重合度化物がさらに増加して、フィルム成形物においてスジやフィッシュアイ等の外観不良等を招くおそれがある。しかしながら、上記炭化水素系樹脂(G)の配合により溶融時の組成物の粘度を減少させることが可能になると、せん断発熱の抑制、高重合度化物の生成が抑制され、ひいては品質改善の観点でも有効に寄与できると考えられる。
上記炭化水素系樹脂(G)の含有量は、上記EVOH(A)、酢酸および/またはその塩(B)、脂肪族カルボン酸(C)、脂肪族カルボン酸金属塩(D)、上記極性基を含有しないスチレン系熱可塑性エラストマー(E)、上記極性基を含有するスチレン系熱可塑性エラストマー(F)、上記炭化水素系樹脂(G)の含有量の総和に対して、通常0.5〜30重量%であり、好ましくは1〜10重量%、特に好ましくは1.5〜7.5重量%、殊に好ましくは2〜5重量%である。
分散助剤たる上記炭化水素系樹脂(G)の含有量が少なすぎる場合、上記炭化水素系樹脂(G)の配合効果が得られにくくなる。一方、多すぎる場合、過剰な上記炭化水素系樹脂(G)が排斥されることで、フィルムスジ、目ヤニ等の外観不良が発生するおそれがある。
<ホウ酸および/またはその塩(H)>
本発明のEVOH樹脂組成物は、ホウ酸および/またはその塩(H)を含有することが好ましい。すなわち、本発明のEVOH樹脂組成物は、ホウ酸およびホウ酸塩からなる群より選ばれる少なくとも一種を含有するものであることが好ましい。
上記ホウ酸および/またはその塩(H)としては、通常、ホウ酸、ホウ酸の金属塩、例えば、ホウ酸カルシウム、ホウ酸コバルト、ホウ酸亜鉛(四ホウ酸亜鉛、メタホウ酸亜鉛等)、ホウ酸アルミニウム・カリウム、ホウ酸アンモニウム(メタホウ酸アンモニウム、四ホウ酸アンモニウム、五ホウ酸アンモニウム、八ホウ酸アンモニウム等)、ホウ酸カドミウム(オルトホウ酸カドミウム、四ホウ酸カドミウム等)、ホウ酸カリウム(メタホウ酸カリウム、四ホウ酸カリウム、五ホウ酸カリウム、六ホウ酸カリウム、八ホウ酸カリウム等)、ホウ酸銀(メタホウ酸銀、四ホウ酸銀等)、ホウ酸銅(ホウ酸第2銅、メタホウ酸銅、四ホウ酸銅等)、ホウ酸ナトリウム(メタホウ酸ナトリウム、二ホウ酸ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム、五ホウ酸ナトリウム、六ホウ酸ナトリウム、八ホウ酸ナトリウム等)、ホウ酸鉛(メタホウ酸鉛、六ホウ酸鉛等)、ホウ酸ニッケル(オルトホウ酸ニッケル、二ホウ酸ニッケル、四ホウ酸ニッケル、八ホウ酸ニッケル等)、ホウ酸バリウム(オルトホウ酸バリウム、メタホウ酸バリウム、二ホウ酸バリウム、四ホウ酸バリウム等)、ホウ酸ビスマス、ホウ酸マグネシウム(オルトホウ酸マグネシウム、二ホウ酸マグネシウム、メタホウ酸マグネシウム、四ホウ酸三マグネシウム、四ホウ酸五マグネシウム等)、ホウ酸マンガン(ホウ酸第1マンガン、メタホウ酸マンガン、四ホウ酸マンガン等)、ホウ酸リチウム(メタホウ酸リチウム、四ホウ酸リチウム、五ホウ酸リチウム等)等の他、ホウ砂、カーナイト、インヨーアイト、コトウ石、スイアン石、ザイベリ石等のホウ酸塩鉱物等が挙げられ、なかでもホウ砂、ホウ酸、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、ホウ酸亜鉛、ホウ酸カルシウム、ホウ酸マグネシウムが好ましく、特に好ましくは、ホウ酸、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸亜鉛、殊に好ましくは、ホウ酸である。
上記ホウ酸および/またはその塩(H)のホウ素換算での含有量は、上記EVOH(A)、上記酢酸および/またはその塩(B)、脂肪族カルボン酸(C)、上記脂肪族カルボン酸金属塩(D)、上記極性基を含有しないスチレン系熱可塑性エラストマー(E)、上記極性基を含有するスチレン系熱可塑性エラストマー(F)、上記ホウ酸および/またはその塩(H)の含有量の総和に対して、通常0.0000001〜1重量%であり、好ましくは0.0000001〜0.6重量%であり、より好ましくは0.000001〜0.05重量%、特に好ましくは0.00001〜0.025重量%、殊に好ましくは0.0001〜0.012重量%である。
かかる含有量が少なすぎると、上記ホウ酸および/またはその塩(H)の配合効果が得られにくくなる。一方、多すぎる場合、色調が低下したり、多層製膜時にフィッシュアイが多発する傾向がある。
また、特定量のホウ酸および/またはその塩(H)を用いることによって優れた効果が得られる理由は明らかではないが、EVOH樹脂組成物中に分散したホウ酸および/またはその塩(H)が、EVOH分子鎖と相互作用することでEVOH分子鎖同士の架橋構造を形成し、EVOH樹脂組成物を多層共押出成形した際に、EVOH樹脂組成物の分子配向や結晶構造等の高次構造の形成をより顕著に促進させるため、結果として機械的特性(耐衝撃性)が改善されると推測される。
上記ホウ酸および/またはその塩(H)のホウ素換算での含有量は、公知の分析方法にて測定することができる。例えば、EVOH樹脂組成物を湿式分解後、定容したものを検液とし、誘導結合プラズマ発光分析法(ICP−AES)にてホウ素量を定量することができる。
<他の熱可塑性樹脂>
本発明のEVOH樹脂組成物には、樹脂成分として、EVOH(A)以外に、他の熱可塑性樹脂を、EVOH(A)に対して、通常30重量%以下となるような範囲内で含有してもよい。
上記他の熱可塑性樹脂としては、例えば、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、アイオノマー、エチレン−プロピレン共重合体、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリペンテン等のオレフィンの単独または共重合体、ポリ環状オレフィン、あるいはこれらのオレフィンの単独または共重合体を不飽和カルボン酸またはそのエステルでグラフト変性したもの等の広義のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル、ポリアミド系樹脂、共重合ポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、アクリル系樹脂、ビニルエステル系樹脂、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等が挙げられる。
上記ポリオレフィン系樹脂のα−オレフィンは、バイオエタノールから誘導された植物由来α−オレフィンであっても、非植物由来、すなわち石油由来のα−オレフィンであってもよく、これらを2種併用して使用してもよい。石油由来α−オレフィンとしては多種多様なものが入手可能であるため、これらを用いて製造することにより、ポリオレフィン系樹脂の物性等を容易に調整することができる。植物由来α−オレフィンを用いることにより、最終製品のバイオマス度をより一層高めることができ、環境への負荷を低減する事ができる。
植物由来エチレンおよび植物由来α−オレフィンの製造方法としては、慣用の方法にしたがって、サトウキビ、トウモロコシ、サツマイモ等の植物から得られる糖液や澱粉を、酵母等の微生物により発酵させてバイオエタノールを製造し、これを触媒存在下で加熱し、分子内脱水反応等により植物由来エチレンおよび植物由来α−オレフィン(1−ブテン、1−ヘキセン等)を得ることができる。次いで、得られた植物由来エチレンおよび植物由来α−オレフィンを用いて、石油由来ポリエチレン系樹脂の製造と同様にして、植物由来ポリエチレン系樹脂を製造することができる。
植物由来エチレン、植物由来α−オレフィンおよび植物由来ポリエチレン系樹脂の製造方法については、例えば特表2011−506628号公報等に詳細に記載されている。本発明において好適に使用される植物由来ポリエチレン系樹脂としては、ブラスケム(Braskem S.A.)社製のグリーンPE等が挙げられる。
特に、本発明のEVOH樹脂組成物を用いてなる多層構造体を製造し、これを食品の包装材として用いた場合、上記包装材の熱水処理後に、包装材端部にてEVOH層が溶出することを防止する目的で、ポリアミド系樹脂を配合することが好ましい。ポリアミド系樹脂は、アミド結合がEVOHのOH基およびエステル基の少なくとも一方との相互作用によりネットワーク構造を形成することが可能であり、これにより、熱水処理時のEVOH層の溶出を防止することができる。したがって、レトルト食品やボイル食品の包装材として本発明のEVOH樹脂組成物を用いる場合には、ポリアミド系樹脂を配合することが好ましい。
上記ポリアミド系樹脂としては、公知のものを用いることができる。
具体的には、例えば、ポリカプラミド(ナイロン6)、ポリ−ω−アミノヘプタン酸(ナイロン7)、ポリ−ω−アミノノナン酸(ナイロン9)、ポリウンデカンアミド(ナイロン11)、ポリラウリルラクタム(ナイロン12)等のホモポリマーが挙げられ、なかでもポリカプラミド(ナイロン6)が好ましい。また、共重合ポリアミド系樹脂としては、ポリエチレンジアミンアジパミド(ナイロン26)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン612)、ポリオクタメチレンアジパミド(ナイロン86)、ポリデカメチレンアジパミド(ナイロン108)、カプロラクタム/ラウリルラクタム共重合体(ナイロン6/12)、カプロラクタム/ω−アミノノナン酸共重合体(ナイロン6/9)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重合体(ナイロン6/66)、ラウリルラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重合体(ナイロン12/66)、エチレンジアミンアジパミド/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重合体(ナイロン26/66)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート/ヘキサメチレンジアンモニウムセバケート共重合体(ナイロン66/610)、エチレンアンモニウムアジペート/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート/ヘキサメチレンジアンモニウムセバケート共重合体(ナイロン6/66/610)等の脂肪族ポリアミドや、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド、ポリメタキシリレンアジパミド、ヘキサメチレンイソフタルアミド/テレフタルアミド共重合体、ポリ−P−フェニレンテレフタルアミドや、ポリ−P−フェニレン・3−4'ジフェニルエーテルテレフタルアミド等の芳香族ポリアミド、非晶性ポリアミド、これらのポリアミド系樹脂をメチレンベンジルアミン、メタキシレンジアミン等の芳香族アミンで変性したものやメタキシリレンジアンモニウムアジペート等が挙げられる。あるいは、これらの末端変性ポリアミド系樹脂であってもよく、好ましくは末端変性ポリアミド系樹脂である。
<その他の添加剤>
本発明のEVOH樹脂組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲(例えば、通常、EVOH樹脂組成物の10重量%以下、好ましくは5重量%以下)において、一般的にEVOH樹脂組成物に配合する添加剤、例えば、熱安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、着色剤、紫外線吸収剤、滑剤(例えば、飽和脂肪族アミド(例えば、ステアリン酸アミド等)、不飽和脂肪酸アミド(例えば、オレイン酸アミド等)、ビス脂肪酸アミド(例えば、エチレンビスステアリン酸アミド等)、低分子量ポリオレフィン(例えば、分子量500〜10000程度の低分子量ポリエチレン、または低分子量ポリプロピレン等))、可塑剤(例えば、エチレングリコール、グリセリン、ヘキサンジオール等の脂肪族多価アルコール等)、光安定剤、界面活性剤、抗菌剤、乾燥剤、アンチブロッキング剤、難燃剤、架橋剤、発泡剤、結晶核剤、防曇剤、生分解用添加剤、シランカップリング剤、酸素吸収剤、リン酸および/またはその塩、桂皮酸および/またはその塩、共役ポリエン化合物、エンジオール基含有物質(例えば、没食子酸プロピル等のフェノール類等)、アルデヒド化合物(例えば、クロトンアルデヒド等の不飽和アルデヒド類等)等の公知の添加剤等が含有されていてもよい。これらは単独で、もしくは2種以上併せて用いることができる。
上記リン酸および/またはその塩の具体例としては、例えば、リン酸、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸三カリウム、リン酸一水素カルシウム、リン酸二水素カルシウム、リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸水素マグネシウム、リン酸二水素マグネシウム、リン酸水素亜鉛、リン酸水素バリウム、リン酸水素マンガン等を挙げることができ、これらは単独でもしくは2種類以上併せて用いることができる。なかでも、好ましくはリン酸、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素カルシウム、リン酸二水素マグネシウム、リン酸水素亜鉛であり、特に好ましくはリン酸、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カルシウム、リン酸二水素マグネシウムであり、殊に好ましくはリン酸である。
上記リン酸および/またはその塩のリン換算での含有量は、EVOH(A)、酢酸および/またはその塩(B)、脂肪族カルボン酸(C)、脂肪族カルボン酸金属塩(D)、極性基を含有しないスチレン系熱可塑性エラストマー(E)、極性基を含有するスチレン系熱可塑性エラストマー(F)、リン酸および/またはその塩の含有量の総和に対して、通常900ppm以下が好ましく、より好ましくは0.01〜700ppm、さらにより特に好ましくは0.1〜500ppm、特に殊に好ましくは1〜300ppmである。
上記桂皮酸および/またはその塩の具体例としては、例えば、シス−桂皮酸、トランス−桂皮酸を挙げる事ができ、安定性および価格の観点から、好適にはトランス−桂皮酸が用いられる。また、桂皮酸塩としては、例えば、桂皮酸リチウム、桂皮酸ナトリウム、桂皮酸カリウム等の桂皮酸アルカリ金属塩、桂皮酸マグネシウム、桂皮酸カルシウム、桂皮酸バリウム等の桂皮酸アルカリ土類金属塩等が挙げられる。これら桂皮酸および/またはその塩は、単独でもしくは2種類以上併せて用いることができる。なかでも、トランス−桂皮酸を単独で用いることが好ましい。
上記桂皮酸および/またはその塩の桂皮酸イオン換算での含有量は、EVOH(A)、酢酸および/またはその塩(B)、脂肪族カルボン酸(C)、脂肪族カルボン酸金属塩(D)、極性基を含有しないスチレン系熱可塑性エラストマー(E)、極性基を含有するスチレン系熱可塑性エラストマー(F)、桂皮酸および/またはその塩の含有量の総和に対して、通常1〜1200ppmであり、1〜1000ppmであることが好ましく、より好ましくは10〜800ppm、さらに好ましくは15〜500ppmである。
上記共役ポリエン化合物とは、炭素−炭素二重結合と炭素−炭素単結合が交互に繋がってなる構造であって、炭素−炭素二重結合の数が2個以上である、いわゆる共役二重結合を有する化合物である。共役ポリエン化合物は、2個の炭素−炭素二重結合と1個の炭素−炭素単結合が交互に繋がってなる構造である共役ジエン、3個の炭素−炭素二重結合と2個の炭素−炭素単結合が交互に繋がってなる構造である共役トリエン、あるいはそれ以上の数の炭素−炭素二重結合と炭素−炭素単結合が交互に繋がってなる構造である共役ポリエン化合物であってもよい。ただし、共役する炭素−炭素二重結合の数が8個以上になると共役ポリエン化合物自身の色により成形物が着色する懸念があるので、共役する炭素−炭素二重結合の数が7個以下であるポリエンであることが好ましい。また、2個以上の炭素−炭素二重結合からなる上記共役二重結合が互いに共役せずに1分子中に複数組あってもよい。例えば、桐油のように共役トリエンが同一分子内に3個ある化合物も共役ポリエン化合物に含まれる。
共役ポリエン化合物の具体例としては、イソプレン、ミルセン、ファルネセン、センブレン、ソルビン酸、ソルビン酸エステル、ソルビン酸塩、アビエチン酸等の炭素−炭素二重結合を2個有する共役ジエン化合物;1,3,5−ヘキサトリエン、2,4,6−オクタトリエン−1−カルボン酸、エレオステアリン酸、桐油、コレカルシフェロール等の炭素−炭素二重結合を3個有する共役トリエン化合物;シクロオクタテトラエン、2,4,6,8−デカテトラエン−1−カルボン酸、レチノール、レチノイン酸等の炭素−炭素二重結合を4個以上有する共役ポリエン化合物等が挙げられる。これらの共役ポリエン化合物は、それぞれ単独で用いてもよいし、2種類以上を併用して用いてもよい。
上記共役ポリエン化合物の含有量は、EVOH(A)、酢酸および/またはその塩(B)、脂肪族カルボン酸(C)、脂肪族カルボン酸金属塩(D)、極性基を含有しないスチレン系熱可塑性エラストマー(E)、極性基を含有するスチレン系熱可塑性エラストマー(F)、共役ポリエン化合物の総和に対して、通常0.01〜10000ppmであり、好ましくは0.1〜1000ppm、特に好ましくは0.5〜500ppmである。
上記熱安定剤としては、溶融成形時の熱安定性等の各種物性を向上させる目的で、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ラウリル酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘニン酸等の有機酸類(ただし、上記有機酸類を脂肪族カルボン酸(C)として用いる場合は、熱安定剤には含めない。)または、上記有機酸類のアルカリ金属塩(ナトリウム、カリウム等)、アルカリ土類金属塩(カルシウム、マグネシウム等)等が挙げられる。これらは単独で、もしくは2種以上併せて用いることができる。
<EVOH樹脂組成物の製造方法>
本発明のEVOH樹脂組成物の製造方法は、特に限定するものではないが、例えば、以下の(I)〜(IV)に示す方法等が挙げられる。
(I)EVOH(A)のペレットに、酢酸および/またはその塩(B)、脂肪族カルボン酸(C)、脂肪族カルボン酸金属塩(D)、極性基を含有しないスチレン系熱可塑性エラストマー(E)、極性基を含有するスチレン系熱可塑性エラストマー(F)からなる群より選ばれる少なくとも1種を所定割合で配合して、ドライブレンドする方法(ドライブレンド法)。
(II)EVOH(A)、極性基を含有しないスチレン系熱可塑性エラストマー(E)、極性基を含有するスチレン系熱可塑性エラストマー(F)のペレットからなる群より選ばれる少なくとも1種を、酢酸および/またはその塩(B)、脂肪族カルボン酸(C)、上記脂肪族カルボン酸金属塩(D)からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する溶液に浸漬させた後、ペレットを乾燥させる方法(浸漬法)。
(III)EVOH(A)の溶融混練時に、酢酸および/またはその塩(B)、脂肪族カルボン酸(C)、脂肪族カルボン酸金属塩(D)、極性基を含有しないスチレン系熱可塑性エラストマー(E)、極性基を含有するスチレン系熱可塑性エラストマー(F)からなる群より選ばれる少なくとも1種を配合し、その後ペレットを作製する方法(溶融混練法)。
(IV)EVOH(A)、極性基を含有しないスチレン系熱可塑性エラストマー(E)、極性基を含有するスチレン系熱可塑性エラストマー(F)のペレットの少なくとも1種を含有した溶液に、酢酸および/またはその塩(B)、脂肪族カルボン酸(C)、上記脂肪族カルボン酸金属塩(D)からなる群より選ばれる少なくとも1種を添加して混合後、溶液中の溶媒を除去する方法(溶液混合法)。
これらのなかでも(III)のEVOH(A)の溶融混練時に、酢酸および/またはその塩(B)、脂肪族カルボン酸(C)、脂肪族カルボン酸金属塩(D)、極性基を含有しないスチレン系熱可塑性エラストマー(E)、極性基を含有するスチレン系熱可塑性エラストマー(F)からなる群より選ばれる少なくとも1種を配合し、その後ペレットを作製する方法(溶融混練法)が生産性、経済性の点で実用的であり工業上好ましい。なお、上記の方法は複数を組み合わせて用いてもよい。また、上記その他の添加剤を配合する場合も上記(I)〜(IV)の方法に準じることにより、その他の添加剤を含有するEVOH樹脂組成物が得られる。
上記(I)の方法におけるドライブレンドの手段としては、例えば、ロッキングミキサー、リボンブレンダー、ラインミキサー等の公知の混合装置を用いることができる。
上記(I)の方法におけるドライブレンドにあたっては、酢酸および/またはその塩(B)、脂肪族カルボン酸(C)、上記脂肪族カルボン酸金属塩(D)からなる群より選ばれる少なくとも1種の成分の付着性を向上させるために、かかるEVOH(A)、極性基を含有しないスチレン系熱可塑性エラストマー(E)、極性基を含有するスチレン系熱可塑性エラストマー(F)のペレットからなる群より選ばれる少なくとも1種の含水率を0.1〜5重量%(さらには0.5〜4重量%、特には1〜3重量%)に調整しておくことが好ましく、かかる含水率が小さすぎる場合は、酢酸および/またはその塩(B)、脂肪族カルボン酸(C)、上記脂肪族カルボン酸金属塩(D)からなる群より選ばれる少なくとも1種が脱落しやすく付着分布が不均一となりやすい傾向がある。逆に大きすぎる場合、酢酸および/またはその塩(B)、脂肪族カルボン酸(C)、上記脂肪族カルボン酸金属塩(D)からなる群より選ばれる少なくとも1種が凝集して付着分布が不均一となる傾向がある。
なお、ここでいうEVOH(A)、極性基を含有しないスチレン系熱可塑性エラストマー(E)、極性基を含有するスチレン系熱可塑性エラストマー(F)のペレットからなる群より選ばれる少なくとも1種のペレットの含水率については、以下の方法により測定・算出されるものである。
[含水率の測定方法]
EVOH(A)、極性基を含有しないスチレン系熱可塑性エラストマー(E)、極性基を含有するスチレン系熱可塑性エラストマー(F)からなる群より選ばれる少なくとも1種のペレットを電子天秤にて秤量(W1:単位g)後、150℃に維持された熱風オーブン型乾燥器に入れ、5時間乾燥させてから、さらにデシケーター中で30分間放冷させた後の重量を同様に秤量(W2:単位g)して、以下の式から算出する。
[式] 含水率(%)={(W1−W2)/W1}×100
また、上記(I)、(II)の方法では、EVOH(A)、極性基を含有しないスチレン系熱可塑性エラストマー(E)、極性基を含有するスチレン系熱可塑性エラストマー(F)の少なくとも1種のペレットの外側に、酢酸および/またはその塩(B)、脂肪族カルボン酸(C)、上記脂肪族カルボン酸金属塩(D)からなる群より選ばれる少なくとも1種の成分が付着したペレットが得られる。
上記(III)の方法における溶融混練の手段としては、例えば、ニーダー、ルーダー、押出機、ミキシングロール、バンバリーミキサー、プラストミル等の公知の溶融混練装置を使用して行うことができ、通常は150〜300℃(さらには180〜280℃)で、1分〜20分間程度溶融混練することが好ましく、特に単軸または二軸の押出機を用いることが容易にペレットを得られる点で工業上有利であり、また必要に応じて、ベント吸引装置、ギヤポンプ装置、スクリーン装置等を設けることも好ましい。特に、水分や副生成物(熱分解低分子量物等)を除去するために、押出機に1個以上のベント孔を設けて減圧下に吸引したり、押出機中への酸素の混入を防ぐために、ホッパー内に窒素等の不活性ガスを連続的に供給したりすることにより、熱着色や熱劣化が軽減された品質の優れたEVOH樹脂組成物を得ることができる。
また、押出機等の溶融混練装置への供給方法についても特に限定されず、1)EVOH(A)、酢酸および/またはその塩(B)、脂肪族カルボン酸(C)、脂肪族カルボン酸金属塩(D)、極性基を含有しないスチレン系熱可塑性エラストマー(E)、極性基を含有するスチレン系熱可塑性エラストマー(F)をドライブレンドし、一括して押出機に供給する方法、2)EVOH(A)、極性基を含有しないスチレン系熱可塑性エラストマー(E)、極性基を含有するスチレン系熱可塑性エラストマー(F)のペレットからなる群より選ばれる少なくとも1種を押出機に供給して溶融させたところに固体状の、酢酸および/またはその塩(B)、脂肪族カルボン酸(D)、上記脂肪族カルボン酸金属塩(E)を供給する方法(ソリッドサイドフィード法)、3)EVOH(A)、極性基を含有しないスチレン系熱可塑性エラストマー(E)、極性基を含有するスチレン系熱可塑性エラストマー(F)のペレットからなる群より選ばれる少なくとも1種を押出機に供給して溶融させたところに溶融状態の酢酸および/またはその塩(B)、脂肪族カルボン酸(C)、上記脂肪族カルボン酸金属塩(D)を供給する方法(メルトサイドフィード法)等を挙げることができるが、なかでも、1)の方法が装置の簡便さ、ブレンド物のコスト面等で実用的である。
また、溶融混練後にペレットを作製する方法としては、公知の手法を用いることが可能であり、ストランドカット法、ホットカット法(空中カット法、アンダーウォーターカット法)等が挙げられる。工業的生産性の点で、好ましくはストランドカット法である。
上記(IV)の方法における溶液混合法にあたって使用する溶媒は、公知の良溶媒を用いればよく、特にEVOH(A)の代表的な良溶媒として水と炭素数1〜4の脂肪族アルコールとの混合溶媒が用いられ、好ましくは水とメタノールとの混合溶媒である。溶解にあたっては任意に加熱や加圧を行うことが可能であり、濃度も任意である。EVOH(A)、極性基を含有しないスチレン系熱可塑性エラストマー(E)、極性基を含有するスチレン系熱可塑性エラストマー(F)のペレットからなる群より選ばれる少なくとも1種が溶解した溶液またはペーストに酢酸および/またはその塩(B)、脂肪族カルボン酸(C)、上記脂肪族カルボン酸金属塩(D)を配合すればよい。このとき、酢酸および/またはその塩(B)、脂肪族カルボン酸(C)、上記脂肪族カルボン酸金属塩(D)は固体、溶液、分散液等の状態で配合することが可能である。
配合後、均一に撹拌したEVOH樹脂組成物溶液またはペーストは、上記した公知の手法でペレット化する。工業的生産性の点で、好ましくはアンダーウォーターカット法である。得られたペレットは、公知の手法で乾燥する。
上記ペレットの形状は、例えば、球形、オーバル形、円柱形、立方体形、直方体形等任意の形状が採用可能である。通常、オーバル形または円柱形であり、その大きさは、後に成形材料として用いる場合の利便性の観点から、オーバル形の場合は短径が通常1〜6mm、好ましくは2〜5mmであり、長径が通常1〜6mm、好ましくは2〜5mmである。円柱形の場合は底面の直径が通常1〜6mm、好ましくは2〜5mmであり、長さは通常1〜6mm、好ましくは2〜5mmである。
このようにして、本発明のEVOH樹脂組成物を得ることができる。
<多層構造体>
本発明の多層構造体は、上記本発明のEVOH樹脂組成物からなる層を少なくとも1層有するものである。本発明のEVOH樹脂組成物からなる層(以下、単に「EVOH樹脂組成物層」という。)は、他の基材と積層することで、さらに強度を上げたり、他の機能を付与することができる。
上記他の基材としては、EVOH以外の熱可塑性樹脂(以下「他の基材樹脂」という。)が好ましく用いられる。
上記他の基材樹脂としては、例えば、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−プロピレン(ブロックおよびランダム)共重合体、エチレン−α−オレフィン(炭素数4〜20のα−オレフィン)共重合体等のポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン、プロピレン−α−オレフィン(炭素数4〜20のα−オレフィン)共重合体等のポリプロピレン系樹脂、ポリブテン、ポリペンテン、ポリ環状オレフィン系樹脂(環状オレフィン構造を主鎖および側鎖の少なくとも一方に有する重合体)等の(未変性)ポリオレフィン系樹脂や、これらのポリオレフィン類を不飽和カルボン酸またはそのエステルでグラフト変性した不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン系樹脂等の変性オレフィン系樹脂を含む広義のポリオレフィン系樹脂、アイオノマー、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂(共重合ポリアミドも含む)、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ビニルエステル系樹脂、ポリエステルエラストマー、ポリウレタンエラストマー、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等のハロゲン化ポリオレフィン、芳香族または脂肪族ポリケトン類等が挙げられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
これらのうち、疎水性を考慮した場合、疎水性樹脂である、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂が好ましく、より好ましくは、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリ環状オレフィン系樹脂およびこれらの不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂であり、特に好ましくはポリオレフィン系樹脂である。
上記ポリオレフィン系樹脂のα−オレフィンは、バイオエタノールから誘導された植物由来α−オレフィンであっても、非植物由来、すなわち石油由来のα−オレフィンであってもよく、これらを2種併用して使用してもよい。石油由来α−オレフィンとしては多種多様なものが入手可能であるため、これらを用いて製造することにより、ポリオレフィン系樹脂の物性等を容易に調整することができる。植物由来α−オレフィンを用いることにより、最終製品のバイオマス度をより一層高めることができ、環境への負荷を低減する事ができる。
植物由来エチレンおよび植物由来α−オレフィンの製造方法としては、慣用の方法にしたがって、サトウキビ、トウモロコシ、サツマイモ等の植物から得られる糖液や澱粉を、酵母等の微生物により発酵させてバイオエタノールを製造し、これを触媒存在下で加熱し、分子内脱水反応等により植物由来エチレンおよび植物由来α−オレフィン(1−ブテン、1−ヘキセン等)を得ることができる。次いで、得られた植物由来エチレンおよび植物由来α−オレフィンを用いて、石油由来ポリエチレン系樹脂の製造と同様にして、植物由来ポリエチレン系樹脂を製造することができる。
植物由来エチレン、植物由来α−オレフィンおよび植物由来ポリエチレン系樹脂の製造方法については、例えば特表2011−506628号公報等に詳細に記載されている。本発明において好適に使用される植物由来ポリエチレン系樹脂としては、ブラスケム(Braskem S.A.)社製のグリーンPE等が挙げられる。
本発明の多層構造体の層構成は、本発明のEVOH樹脂組成物層をa(a1、a2、・・・)、他の基材樹脂層をb(b1、b2、・・・)とする場合、a/b、a1/a2、b/a/b、a/b/a、a1/a2/b、a/b1/b2、a1/a2/a3、b2/b1/a/b1/b2、b1/b2/a1/a2/a3/b3/b4、b2/b1/a1/b1/a1/b1/b2等、任意の組み合わせが可能である。また、任意のEVOH樹脂組成物層(a)を基準にして、一方の積層方向に積層される層の構成と、他方に積層される層の構成とが互いに同一(対称)であっても、互いに異なっていてもよい(非対称)。さらに、任意のEVOH樹脂組成物層(a)を基準にして、一方の積層方向に積層される層の厚みと、他方に積層される層の厚みとが互いに同一(対称)であっても、互いに異なっていてもよい(非対称)。
なお、上記層構成において、それぞれの層間には、必要に応じて接着性樹脂層を介してもよい。本発明のEVOH樹脂組成物層の少なくとも一方の面に、接着性樹脂層を介して、他の基材樹脂層(すなわちEVOH以外の熱可塑性樹脂層)を有する多層構造体である場合、本発明の効果がより効果的に得られる傾向がある。
また、上記多層構造体を製造する過程で発生する端部や不良品等を再溶融成形して得られる、本発明のEVOH樹脂組成物と他の基材樹脂もしくは他の基材樹脂と接着性樹脂の混合物を含むリサイクル層をRとするとき、b/R/a、a1/R/a2、b1/R/a/b2、b1/R1/a/R2/b2、b1/R1/b2/a1/a2/a3/b3/R2/b4、b1/a1/R/a2/b2、b1/R1/a1/R2/a2/R3/b2等とすることも可能である。本発明の多層構造体の層数は、のべ数にて通常2〜15層、好ましくは3〜10層である。
本発明の多層構造体における、多層構造の層構成として、好ましくは、本発明のEVOH樹脂組成物層を中間層として含み、その中間層の両外側層として、他の基材樹脂層を設けた多層構造体の単位(b/a/b、またはb/接着性樹脂層/a/接着性樹脂層/b)を基本単位として、この基本単位を少なくとも構成単位として備える多層構造体が好ましい。
上記接着性樹脂層形成材料である接着性樹脂としては、公知のものを使用でき、他の基材樹脂層に用いる熱可塑性樹脂の種類に応じて適宜選択すればよい。代表的には不飽和カルボン酸またはその無水物をポリオレフィン系樹脂に付加反応やグラフト反応等により化学的に結合させて得られるカルボキシ基を含有する変性ポリオレフィン系重合体を挙げることができる。例えば、無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレン、無水マレイン酸グラフト変性ポリプロピレン、無水マレイン酸グラフト変性エチレン−プロピレン(ブロックおよびランダム)共重合体、無水マレイン酸グラフト変性エチレン−エチルアクリレート共重合体、無水マレイン酸グラフト変性エチレン−酢酸ビニル共重合体、無水マレイン酸変性ポリ環状オレフィン系樹脂、無水マレイン酸グラフト変性ポリオレフィン系樹脂等であり、これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
このときの、不飽和カルボン酸またはその無水物の含有量は、接着性樹脂全量に対して、通常0.001〜3重量%であり、好ましくは0.01〜1重量%、特に好ましくは0.03〜0.5重量%である。変性物中の変性量が少ないと、接着性が不充分となる傾向があり、逆に多いと架橋反応を起こし、成形性が悪くなる傾向がある。
これらの接着性樹脂には、EVOH(A)、他のEVOH、ポリイソブチレン、エチレン−プロピレンゴム等のゴム・エラストマー成分、さらにはポリオレフィン系樹脂層の樹脂等をブレンドすることも可能である。特に、接着性樹脂の母体のポリオレフィン系樹脂と異なるポリオレフィン系樹脂をブレンドすることも可能である。
上記他の基材樹脂、接着性樹脂層には、本発明の趣旨を阻害しない範囲内(例えば、30重量%以下、好ましくは10重量%以下)において、本発明で用いる酢酸および/またはその塩(B)、脂肪族カルボン酸(C)、脂肪族カルボン酸金属塩(D)の他、従来公知の可塑剤(例えば、エチレングリコール、グリセリン、ヘキサンジオール等)、フィラー、クレー(例えば、モンモリロナイト等)、着色剤、酸化防止剤、帯電防止剤、滑剤(例えば、炭素数10〜30の高級脂肪酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、高級脂肪酸エステル(例えば、高級脂肪酸のメチルエステル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、オクチルエステル等)、高級脂肪酸アミド(例えば、ステアリン酸アミド、ベヘニン酸アミド等の飽和脂肪族アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド等の不飽和脂肪酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド等のビス脂肪酸アミド等)、低分子量ポリオレフィン(例えば、分子量500〜10000程度の低分子量ポリエチレン、または低分子量ポリプロピレン等))、フッ化エチレン樹脂、核剤、ブロッキング防止剤、紫外線吸収剤、ワックス等を含んでいてもよい。これらは単独で、もしくは2種以上併せて用いることができる。
また、上記接着性樹脂層で用いる樹脂に対し、本発明における酢酸および/またはその塩(B)、脂肪族カルボン酸(C)、脂肪族カルボン酸金属塩(D)の少なくとも1種を配合することも好ましい。特に、本発明の樹脂組成物層と隣接する接着性樹脂層が酢酸および/またはその塩(B)、脂肪族カルボン酸(C)、および脂肪族カルボン酸金属塩(D)を含有する場合、さらに耐衝撃性に優れた多層構造体が得られる。
本発明のEVOH樹脂組成物を他の基材樹脂と積層させて多層構造体を作製する場合(接着性樹脂層を介在させる場合を含む)、その積層方法は公知の方法にて行なうことができる。例えば、本発明のEVOH樹脂組成物からなるフィルム、シート等に他の基材樹脂を溶融押出ラミネートする方法、逆に他の基材樹脂に本発明のEVOH樹脂組成物を溶融押出ラミネートする方法、本発明のEVOH樹脂組成物と他の基材樹脂とを共押出する方法、本発明のEVOH樹脂組成物からなるフィルム(層)および他の基材樹脂(層)を各々作製し、これらを有機チタン化合物、イソシアネート化合物、ポリエステル系化合物、ポリウレタン化合物等の公知の接着剤を用いてドライラミネートする方法、他の基材樹脂上に本発明のEVOH樹脂組成物の溶液を塗工してから溶媒を除去する方法等が挙げられる。これらのなかでも、コストや環境の観点から考慮して共押出する方法が好ましい。
上記多層構造体は、そのまま各種形状のものに使用することができるが、必要に応じて(加熱)延伸処理が施される。延伸処理は、一軸延伸、二軸延伸のいずれであってもよく、二軸延伸の場合は同時延伸であっても逐次延伸であってもよい。また、延伸方法としてはロール延伸法、テンター延伸法、チューブラー延伸法、延伸ブロー法、真空圧空成形法等のうち延伸倍率の高いものも採用できる。延伸温度は、通常40〜170℃、好ましくは60〜160℃程度の範囲から選ばれる。延伸温度が低すぎた場合は延伸性が不良となる傾向があり、高すぎた場合は安定した延伸状態を維持することが困難となる傾向がある。
なお、上記多層構造体に対し、延伸後に寸法安定性を付与することを目的として、熱固定を行なってもよい。熱固定は周知の手段で実施可能であり、例えば、上記延伸した多層構造体(延伸フィルム)を、緊張状態を保ちながら通常80〜180℃、好ましくは100〜165℃で、通常2〜600秒間程度熱処理を行なう。
また、本発明のEVOH樹脂組成物を用いて得られてなる多層延伸フィルムをシュリンク用フィルムとして用いる場合には、熱収縮性を付与するために、上記の熱固定を行わず、例えば、延伸後のフィルムに冷風を当てて冷却固定する等の処理を行なえばよい。
さらに、本発明の多層構造体からカップやトレイ状の多層容器を得ることも可能である。多層容器の作製方法としては、通常絞り成形法が採用され、具体的には真空成形法、圧空成形法、真空圧空成形法、プラグアシスト式真空圧空成形法等が挙げられる。さらに、多層パリソン(ブロー前の中空管状の予備成形物)からチューブやボトル状の多層容器を得る場合はブロー成形法が採用され、具体的には押出ブロー成形法(双頭式、金型移動式、パリソンシフト式、ロータリー式、アキュムレーター式、水平パリソン式等)、コールドパリソン式ブロー成形法、射出ブロー成形法、二軸延伸ブロー成形法(押出式コールドパリソン二軸延伸ブロー成形法、射出式コールドパリソン二軸延伸ブロー成形法、射出成形インライン式二軸延伸ブロー成形法等)等が挙げられる。本発明の多層構造体は必要に応じ、熱処理、冷却処理、圧延処理、印刷処理、ドライラミネート処理、溶液または溶融コート処理、製袋加工、深絞り加工、箱加工、チューブ加工、スプリット加工等を行なうことができる。
本発明の多層構造体(延伸したものを含む)の厚み、さらには多層構造体を構成する樹脂組成物層、他の基材樹脂層および接着性樹脂層の厚みは、層構成、基材樹脂の種類、接着性樹脂の種類、用途や包装形態、要求される物性等により適宜設定される。
本発明の多層構造体(延伸したものを含む)の厚みは、通常10〜5000μm、好ましくは30〜3000μm、特に好ましくは50〜2000μmである。多層構造体の総厚みが薄すぎる場合には、ガスバリア性が低下する傾向がある。また、多層構造体の総厚みが厚すぎる場合には、ガスバリア性が過剰性能となり、不必要な原料を使用することとなるため経済的に好ましくない。そして、上記多層構造体における本発明の樹脂組成物層は、通常1〜500μm、好ましくは3〜300μm、特に好ましくは5〜200μmであり、他の基材樹脂層は通常5〜3000μm、好ましくは10〜2000μm、特に好ましくは20〜1000μmであり、接着性樹脂層は、通常0.5〜250μm、好ましくは1〜150μm、特に好ましくは3〜100μmである。なお、上記の数値は、EVOH樹脂組成物層、接着性樹脂層、他の基材樹脂層のうち少なくとも1種の層が2層以上存在する場合には、同種の層の厚みを総計した値である。
さらに、多層構造体におけるEVOH樹脂組成物層と他の基材樹脂層との厚みの比(樹脂組成物層/他の基材樹脂層)は、各層が複数ある場合は最も厚みの厚い層同士の比にて、通常1/99〜50/50、好ましくは5/95〜45/55、特に好ましくは10/90〜40/60である。また、多層構造体におけるEVOH樹脂組成物層と接着性樹脂層の厚み比(樹脂組成物層/接着性樹脂層)は、各層が複数ある場合は最も厚みの厚い層同士の比にて、通常10/90〜99/1、好ましくは20/80〜95/5、特に好ましくは50/50〜90/10である。
上記のようにして得られたフィルム、延伸フィルムからなる袋およびカップ、トレイ、チューブ、ボトル等からなる容器や蓋材は、一般的な食品の他、マヨネーズ、ドレッシング等の調味料、味噌等の発酵食品、サラダ油等の油脂食品、飲料、化粧品、医薬品等の各種の包装体として有用である。
以下、下記表に示す実施例および比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、例中、「部」とあるのは重量基準を意味する。
[実施例1]
〔EVOH樹脂組成物の製造〕
EVOH(A)として、EVOH(a1)〔エチレン構造単位の含有量29モル%、ケン化度99.7モル%、MFR3.8g/10分(210℃、荷重2160g)〕ペレット、酢酸および/またはその塩(B)として酢酸ナトリウム(b1)、脂肪族カルボン酸(C)としてステアリン酸(c1)、脂肪族カルボン酸金属塩(D)としてステアリン酸亜鉛(d1)、極性基を含有しないスチレン系熱可塑性エラストマー(E)として、SEBS(e1)〔旭化成社製「Tuftec H1041」、スチレン含有量30モル%、MFR5.0g/10分(230℃、荷重2160g)〕ペレット、極性基を含有するスチレン系熱可塑性エラストマー(F)として、無水マレイン酸変性SEBS(f1)〔旭化成社製「Tuftec M1911」、スチレン含有量30モル%、MFR4.5g/10分(230℃、荷重2160g)、酸価2mgCH3ONa/g、極性基含有量1.9×10-2ミリモル/g〕ペレット、炭化水素系樹脂(G)として脂環族系炭化水素樹脂(g1)〔荒川化学工業社製「Arkon P−125」、完全水添型、軟化点125℃、ハーゼンナンバー30、数平均分子量750〕、ホウ酸および/またはその塩(H)としてホウ酸(h1)を用いた。
また、各成分の含有量としては、EVOH(a1)を、EVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、ステアリン酸(c1)、ステアリン酸亜鉛(d1)、SEBS(e1)、無水マレイン酸変性SEBS(f1)の含有量の総和に対して75重量%用い、酢酸ナトリウム(b1)を、EVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、ステアリン酸(c1)、ステアリン酸亜鉛(d1)、SEBS(e1)、無水マレイン酸変性SEBS(f1)の含有量の総和に対して酢酸イオン換算で0.0324重量%用い、ステアリン酸(c1)を、EVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、ステアリン酸(c1)、ステアリン酸亜鉛(d1)、SEBS(e1)、無水マレイン酸変性SEBS(f1)の含有量の総和に対してカルボン酸イオン換算で0.00049重量%用い、ステアリン酸亜鉛(d1)を、EVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、ステアリン酸(c1)、ステアリン酸亜鉛(d1)、SEBS(e1)、無水マレイン酸変性SEBS(f1)の含有量の総和に対して金属イオン換算で0.01重量%用い、SEBS(e1)を、EVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、ステアリン酸(c1)、ステアリン酸亜鉛(d1)、SEBS(e1)、無水マレイン酸変性SEBS(f1)の含有量の総和に対して19重量%用い、無水マレイン酸変性SEBS(f1)を、EVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、ステアリン酸(c1)、ステアリン酸亜鉛(d1)、SEBS(e1)、無水マレイン酸変性SEBS(f1)の含有量の総和に対して3重量%用い、脂環族系炭化水素樹脂(g1)を、EVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、ステアリン酸(c1)、ステアリン酸亜鉛(d1)、SEBS(e1)、無水マレイン酸変性SEBS(f1)、脂環族系炭化水素樹脂(g1)の含有量の総和に対して3重量%用い、ホウ酸(h1)を、EVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、ステアリン酸(c1)、ステアリン酸亜鉛(d1)、SEBS(e1)、無水マレイン酸変性SEBS(f1)、ホウ酸(h1)の含有量の総和に対してホウ素換算で0.0045重量%用いた。
EVOH(a1)ペレット、酢酸ナトリウム(b1)、ステアリン酸(c1)、ステアリン酸亜鉛(d1)、SEBS(e1)ペレット、無水マレイン酸変性SEBS(f1)ペレット、脂環族系炭化水素樹脂(g1)、ホウ酸(h1)を一括でドライブレンドしたあと、φ32mm二軸押出成形装置(L/D=56、成形温度=210℃)で溶融混練して再ペレット化することにより本発明のEVOH樹脂組成物を調製した。
〔多層構造体の製造〕
3種5層多層共押出キャストフィルム製膜装置に、上記で調製したEVOH樹脂組成物、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)〔日本ポリエチレン社製「NOVATEC UF240」、MFR2.1g/10分(190℃、荷重2160g)〕、接着性樹脂(LyondellBasell社製「PLEXAR PX3236」、MFR2.0g/10分〔190℃、荷重2160g〕)を供給して、下記条件で多層共押出成形により、LLDPE層/接着性樹脂層/EVOH樹脂組成物層/接着性樹脂層/LLDPE層の3種5層構造の多層構造体(フィルム)を得た。多層構造体の各層の厚み(μm)は、37.5/5/15/5/37.5であった。成形装置のダイ温度は、全て210℃に設定した。
(多層共押出成形条件)
・中間層押出機(EVOH樹脂組成物):40mmφ単軸押出機(バレル温度:210℃)
・上下層押出機(LLDPE):40mmφ単軸押出機(バレル温度:210℃)
・中上下層押出機(接着性樹脂):32mmφ単軸押出機(バレル温度:210℃)
・ダイ:3種5層フィードブロック型Tダイ(ダイ温度:210℃)
・引取速度:9.0m/分
・ロール温度:80℃
上記で得られたEVOH樹脂組成物に対しては、下記の色調安定性評価試験、伸長粘度評価試験、耐屈曲性評価試験を行い、また、上記で得られた多層構造体に対しては、下記の衝撃強度評価試験を行った。
<EVOH樹脂組成物の色調安定性評価>
上記で製造したEVOH樹脂組成物5gを30mmφアルミカップ(アズワン社製、ディスポディニッシュPP−724)に入れ、空気雰囲気下で210℃×2時間静置したものを試料として色調評価に供した。色調評価は、下記装置および評価方法に基づいて行った。
・使用機器:ビジュアルアナライザーIRISVA400(アルファ・モス・ジャパン社製)
・データ解析用ソフト:Alpha Soft V14.3
・対物レンズ:25mm(Basler社製)
・照明モード:上下照明
・評価方法:色調評価用試料を、上記ビジュアルアナライザーのチャンバー内のトレイにセットし、CCDカメラで色調評価用試料全体の平面画像を撮影した後、データ解析用ソフトを用いて画像処理を行うことで試料のカラーパターンを評価した。得られたカラーパターンのうち、一番存在割合が多かった色(主要色)の明度(L*)から、EVOH樹脂組成物の色調安定性を評価した。なお、色調安定性は、数値が高いほど色調安定性に優れ、逆に数値が低いほど色調安定性に劣ることを意味する。結果を表1−2に示す。
<EVOH樹脂組成物の伸長粘度(Pa・s)評価>
上記で製造したEVOH樹脂組成物の210℃、100S-1での伸長粘度(Pa・s)を、キャピラリー型レオメーターを用いて、Cogswellの式[Polymer Engineering Science、12巻、64−73頁(1972)]、すなわち、以下の式(8)〜(10)に基づいて、下記の条件で測定を行なうことにより評価した。結果を表1−2に示す。
(Cogswell式)
ηe=[9(n+1)20 2]/[32ηs(dγ/dt)2]・・・式(8)
dε/dt=4σs(dγ/dt)/[3(n+1)P0]・・・式(9)
σs=k(dγ/dt)n・・・式(10)
ηe:伸長粘度(Pa・s)
ηs:剪断粘度(Pa・s)
dγ/dt:剪断歪み速度(s-1
dε/dt:伸長歪み速度(s-1
σs:剪断応力(Pa)
k、n:定数
0:圧力損失(Pa)
(伸長粘度測定条件)
測定装置:Gottfert社製RHEOGRAPH 20
測定温度:210℃
予熱時間:10分間
ロングダイ:長さ10mm、直径1mm、流入角180°
ショートダイ:長さ0.2mm、直径1mm、流入角180°
<多層構造体の衝撃強度>
上記で製造した多層構造体の衝撃強度(kgf・cm)を、23℃、50%RHの雰囲気中で、YSS式フィルムインパクトテスター(安田精機製作所社製、型式181)を用いて評価した。測定は計10回行い、その平均値を多層構造体の衝撃強度として評価した。なお、クランプ内径は60mm、衝撃球は半径12.7mmのものを用い、振り子の持ち上げ角度90°とした。なお、多層構造体の衝撃強度は、数値が高いほど衝撃強度に優れ、逆に数値が低いほど衝撃強度に劣ることを意味する。結果を表1−2に示す。
<EVOH樹脂組成物の耐屈曲性>
上記で製造したEVOH樹脂組成物を、φ40mm単層押出成形装置(幅400mmT−ダイ使用、成形温度=210℃)を用いて、厚み30μmのEVOH樹脂組成物の単層フィルムを作製した。上記で作製したEVOH樹脂組成物の単層フィルムを、乾燥状態でA4サイズに切り取り、切り取った単層フィルムを、23℃、50%RHの条件下で、ゲルボフレックステスター(理学工業社製)を用いて、捻じり試験を行った。なお、かかるゲルボフレックステスターの条件は、捻り:440°,3.5インチ、水平方向:2.5インチである。上記捻じり試験を500回(40サイクル/分)加えた後、該単層フィルムの中央部28cm×17cmあたりのピンホール発生数を数えた。かかるテストを5回試行し、その平均値を求めた。結果を表1−2に示す。なお、表中「−*」は試験途中でフィルムが破れた事を意味する。
[実施例2]
実施例1において、ステアリン酸(c1)を、EVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、ステアリン酸(c1)、ステアリン酸亜鉛(d1)、SEBS(e1)、無水マレイン酸変性SEBS(f1)の含有量の総和に対してカルボン酸イオン換算で0.00014重量%用いた以外は同様に行ない、EVOH樹脂組成物および多層構造体を作製した。得られたEVOH樹脂組成物および多層構造体について、実施例1と同様に評価した。
[実施例3]
実施例1において、EVOH(a1)を、EVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、ステアリン酸(c1)、ステアリン酸亜鉛(d1)、SEBS(e1)、無水マレイン酸変性SEBS(f1)の含有量の総和に対して90重量%用い、酢酸ナトリウム(b1)を、EVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、ステアリン酸(c1)、ステアリン酸亜鉛(d1)、SEBS(e1)、無水マレイン酸変性SEBS(f1)の含有量の総和に対して酢酸イオン換算で0.0389重量%用い、SEBS(e1)を、EVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、ステアリン酸(c1)、ステアリン酸亜鉛(d1)、SEBS(e1)、無水マレイン酸変性SEBS(f1)の含有量の総和に対して7.6重量%用い、無水マレイン酸変性SEBS(f1)を、EVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、ステアリン酸(c1)、ステアリン酸亜鉛(d1)、SEBS(e1)、無水マレイン酸変性SEBS(f1)の含有量の総和に対して1.2重量%用い、脂環族系炭化水素樹脂(g1)を、EVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、ステアリン酸(c1)、ステアリン酸亜鉛(d1)、SEBS(e1)、無水マレイン酸変性SEBS(f1)、脂環族系炭化水素樹脂(g1)の含有量の総和に対して1.2重量%用い、ホウ酸(h1)を、EVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、ステアリン酸(c1)、ステアリン酸亜鉛(d1)、SEBS(e1)、無水マレイン酸変性SEBS(f1)、ホウ酸(h1)の含有量の総和に対してホウ素換算で0.0054重量%用いた以外は同様に行ない、EVOH樹脂組成物および多層構造体を作製した。得られたEVOH樹脂組成物および多層構造体について、実施例1と同様に評価した。
[実施例4]
実施例1において、ステアリン酸(c1)を、EVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、ステアリン酸(c1)、ステアリン酸亜鉛(d1)、SEBS(e1)、無水マレイン酸変性SEBS(f1)の含有量の総和に対してカルボン酸イオン換算で0.00097重量%用い、ステアリン酸亜鉛(d1)を、EVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、ステアリン酸(c1)、ステアリン酸亜鉛(d1)、SEBS(e1)、無水マレイン酸変性SEBS(f1)の含有量の総和に対して金属イオン換算で0.02重量%用いた以外は同様に行ない、EVOH樹脂組成物および多層構造体を作製した。得られたEVOH樹脂組成物および多層構造体について、実施例1と同様に評価した。
[実施例5]
実施例1において、ステアリン酸(c1)の代わりにカプリル酸(c2)を、EVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、カプリル酸(c2)、カプリル酸亜鉛(d2)、SEBS(e1)、無水マレイン酸変性SEBS(f1)の含有量の総和に対してカルボン酸イオン換算で0.00138重量%用い、ステアリン酸亜鉛(d1)の代わりにカプリル酸亜鉛(d2)を、EVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、カプリル酸(c2)、カプリル酸亜鉛(d2)、SEBS(e1)、無水マレイン酸変性SEBS(f1)の含有量の総和に対して金属イオン換算で0.01重量%用いた以外は同様に行ない、EVOH樹脂組成物および多層構造体を作製した。得られたEVOH樹脂組成物および多層構造体について、実施例1と同様に評価した。
[実施例6]
実施例5において、ホウ酸(h1)を、EVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、カプリル酸(c2)、カプリル酸亜鉛(d2)、SEBS(e1)、無水マレイン酸変性SEBS(f1)、ホウ酸(h1)の含有量の総和に対してホウ素換算で0.03重量%用いた以外は同様に行ない、EVOH樹脂組成物および多層構造体を作製した。得られたEVOH樹脂組成物および多層構造体について、実施例1と同様に評価した。
[実施例7]
実施例3において、ステアリン酸(c1)の代わりにカプリル酸(c2)を、EVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、カプリル酸(c2)、カプリル酸亜鉛(d2)、SEBS(e1)、無水マレイン酸変性SEBS(f1)の含有量の総和に対してカルボン酸イオン換算で0.00138重量%用い、ステアリン酸亜鉛(d1)の代わりにカプリル酸亜鉛(d2)を、EVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、カプリル酸(c2)、カプリル酸亜鉛(d2)、SEBS(e1)、無水マレイン酸変性SEBS(f1)の含有量の総和に対して金属イオン換算で0.01重量%用いた以外は同様に行ない、EVOH樹脂組成物および多層構造体を作製した。得られたEVOH樹脂組成物および多層構造体について、実施例1と同様に評価した。
[実施例8]
実施例5において、SEBS(e1)を、EVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、カプリル酸(c2)、カプリル酸亜鉛(d2)、SEBS(e1)、無水マレイン酸変性SEBS(f1)の含有量の総和に対して21重量%用い、無水マレイン酸変性SEBS(f1)を、EVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、カプリル酸(c2)、カプリル酸亜鉛(d2)、SEBS(e1)、無水マレイン酸変性SEBS(f1)の含有量の総和に対して4重量%用い、脂環族系炭化水素樹脂(g1)を用いなかった以外は同様に行ない、EVOH樹脂組成物および多層構造体を作製した。得られたEVOH樹脂組成物および多層構造体について、実施例1と同様に評価した。
[実施例9]
実施例8において、酢酸ナトリウム(b1)を、EVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、カプリル酸(c2)、カプリル酸亜鉛(d2)、SEBS(e1)、無水マレイン酸変性SEBS(f1)の含有量の総和に対して酢酸イオン換算で0.01重量%用いた以外は同様に行ない、EVOH樹脂組成物および多層構造体を作製した。得られたEVOH樹脂組成物および多層構造体について、実施例1と同様に評価した。
[実施例10]
実施例8において、SEBS(e1)を、EVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、カプリル酸(c2)、カプリル酸亜鉛(d2)、SEBS(e1)、無水マレイン酸変性SEBS(f1)の含有量の総和に対して15重量%用い、無水マレイン酸変性SEBS(f1)を、EVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、カプリル酸(c2)、カプリル酸亜鉛(d2)、SEBS(e1)、無水マレイン酸変性SEBS(f1)の含有量の総和に対して10重量%用いた以外は同様に行ない、EVOH樹脂組成物および多層構造体を作製した。得られたEVOH樹脂組成物および多層構造体について、実施例1と同様に評価した。
[実施例11]
実施例8において、SEBS(e1)を、EVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、カプリル酸(c2)、カプリル酸亜鉛(d2)、SEBS(e1)、無水マレイン酸変性SEBS(f1)の含有量の総和に対して5重量%用い、無水マレイン酸変性SEBS(f1)を、EVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、カプリル酸(c2)、カプリル酸亜鉛(d2)、SEBS(e1)、無水マレイン酸変性SEBS(f1)の含有量の総和に対して20重量%用いた以外は同様に行ない、EVOH樹脂組成物および多層構造体を作製した。得られたEVOH樹脂組成物および多層構造体について、実施例1と同様に評価した。
[実施例12]
実施例5において、カプリル酸(c2)を、EVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、カプリル酸(c2)、カプリル酸亜鉛(d2)、SEBS(e1)、無水マレイン酸変性SEBS(f1)の含有量の総和に対してカルボン酸イオン換算で0.00276重量%用い、カプリル酸亜鉛(d2)を、EVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、カプリル酸(c2)、カプリル酸亜鉛(d2)、SEBS(e1)、無水マレイン酸変性SEBS(f1)の含有量の総和に対して金属イオン換算で0.02重量%用いた以外は同様に行ない、EVOH樹脂組成物および多層構造体を作製した。得られたEVOH樹脂組成物および多層構造体について、実施例1と同様に評価した。
[実施例13]
実施例1において、ステアリン酸(c1)の代わりにラウリン酸(c3)を、EVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、ラウリン酸(c3)、ラウリン酸亜鉛(d3)、SEBS(e1)、無水マレイン酸変性SEBS(f1)の含有量の総和に対してカルボン酸イオン換算で0.00036重量%用い、ステアリン酸亜鉛(d1)の代わりにラウリン酸亜鉛(d3)を、EVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、ラウリン酸(c3)、ラウリン酸亜鉛(d3)、SEBS(e1)、無水マレイン酸変性SEBS(f1)の含有量の総和に対して金属イオン換算で0.01重量%用いた以外は同様に行ない、EVOH樹脂組成物および多層構造体を作製した。得られたEVOH樹脂組成物および多層構造体について、実施例1と同様に評価した。
[実施例14]
実施例3において、ステアリン酸(c1)の代わりにラウリン酸(c3)を、EVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、ラウリン酸(c3)、ラウリン酸亜鉛(d3)、SEBS(e1)、無水マレイン酸変性SEBS(f1)の含有量の総和に対してカルボン酸イオン換算で0.00036重量%用い、ステアリン酸亜鉛(d1)の代わりにラウリン酸亜鉛(d3)を、EVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、ラウリン酸(c3)、ラウリン酸亜鉛(d3)、SEBS(e1)、無水マレイン酸変性SEBS(f1)の含有量の総和に対して金属イオン換算で0.01重量%用いた以外は同様に行ない、EVOH樹脂組成物および多層構造体を作製した。得られたEVOH樹脂組成物および多層構造体について、実施例1と同様に評価した。
[実施例15]
実施例13において、ラウリン酸(c3)を、EVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、ラウリン酸(c3)、ラウリン酸亜鉛(d3)、SEBS(e1)、無水マレイン酸変性SEBS(f1)の含有量の総和に対してカルボン酸イオン換算で0.00071重量%用い、ラウリン酸亜鉛(d3)を、EVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、ラウリン酸(c3)、ラウリン酸亜鉛(d3)、SEBS(e1)、無水マレイン酸変性SEBS(f1)の含有量の総和に対して金属イオン換算で0.02重量%用いた以外は同様に行ない、EVOH樹脂組成物および多層構造体を作製した。得られたEVOH樹脂組成物および多層構造体について、実施例1と同様に評価した。
[実施例16]
実施例1において、ステアリン酸(c1)の代わりにベヘン酸(c4)を、EVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、ベヘン酸(c4)、ベヘン酸亜鉛(d4)、SEBS(e1)、無水マレイン酸変性SEBS(f1)の含有量の総和に対してカルボン酸イオン換算で0.00057重量%用い、ステアリン酸亜鉛(d1)の代わりにベヘン酸亜鉛(d4)を、EVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、ベヘン酸(c4)、ベヘン酸亜鉛(d4)、SEBS(e1)、無水マレイン酸変性SEBS(f1)の含有量の総和に対して金属イオン換算で0.01重量%用いた以外は同様に行ない、EVOH樹脂組成物および多層構造体を作製した。得られたEVOH樹脂組成物および多層構造体について、実施例1と同様に評価した。
[実施例17]
実施例3において、ステアリン酸(c1)の代わりにベヘン酸(c4)を、EVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、ベヘン酸(c4)、ベヘン酸亜鉛(d4)、SEBS(e1)、無水マレイン酸変性SEBS(f1)の含有量の総和に対してカルボン酸イオン換算で0.00057重量%用い、ステアリン酸亜鉛(d1)の代わりにベヘン酸亜鉛(d4)を、EVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、ベヘン酸(c4)、ベヘン酸亜鉛(d4)、SEBS(e1)、無水マレイン酸変性SEBS(f1)の含有量の総和に対して金属イオン換算で0.01重量%用いた以外は同様に行ない、EVOH樹脂組成物および多層構造体を作製した。得られたEVOH樹脂組成物および多層構造体について、実施例1と同様に評価した。
[実施例18]
実施例5において、カプリル酸(c2)を、EVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、カプリル酸(c2)、カプリル酸亜鉛(d2)、SEBS(e1)、無水マレイン酸変性SEBS(f1)の含有量の総和に対してカルボン酸イオン換算で0.05381重量%用いた以外は同様に行ない、EVOH樹脂組成物および多層構造体を作製した。得られたEVOH樹脂組成物および多層構造体について、実施例1と同様に評価した。
[実施例19]
実施例13において、ラウリン酸(c3)を、EVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、ラウリン酸(c3)、ラウリン酸亜鉛(d3)、SEBS(e1)、無水マレイン酸変性SEBS(f1)の含有量の総和に対してカルボン酸イオン換算で0.07097重量%用いた以外は同様に行ない、EVOH樹脂組成物および多層構造体を作製した。得られたEVOH樹脂組成物および多層構造体について、実施例1と同様に評価した。
[比較例1]
実施例1において、ステアリン酸(c1)およびステアリン酸亜鉛(d1)を用いなかった以外は同様に行ない、EVOH樹脂組成物および多層構造体を作製した。得られたEVOH樹脂組成物および多層構造体について、実施例1と同様に評価した。
[比較例2]
実施例8において、カプリル酸(c2)およびカプリル酸亜鉛(d2)を用いなかった以外は同様に行ない、EVOH樹脂組成物および多層構造体を作製した。得られたEVOH樹脂組成物および多層構造体について、実施例1と同様に評価した。
[比較例3]
実施例5において、カプリル酸(c2)を、EVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、カプリル酸(c2)、カプリル酸亜鉛(d2)、SEBS(e1)、無水マレイン酸変性SEBS(f1)の含有量の総和に対してカルボン酸イオン換算で0.00014重量%用い、カプリル酸亜鉛(d2)を、EVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、カプリル酸(c2)、カプリル酸亜鉛(d2)、SEBS(e1)、無水マレイン酸変性SEBS(f1)の含有量の総和に対して金属イオン換算で0.001重量%用いた以外は同様に行ない、EVOH樹脂組成物および多層構造体を作製した。得られたEVOH樹脂組成物および多層構造体について、実施例1と同様に評価した。
[比較例4]
実施例5において、カプリル酸(c2)を、EVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、カプリル酸(c2)、カプリル酸亜鉛(d2)、SEBS(e1)、無水マレイン酸変性SEBS(f1)の含有量の総和に対してカルボン酸イオン換算で0.00828重量%用い、カプリル酸亜鉛(d2)を、EVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、カプリル酸(c2)、カプリル酸亜鉛(d2)、SEBS(e1)、無水マレイン酸変性SEBS(f1)の含有量の総和に対して金属イオン換算で0.06重量%用いた以外は同様に行ない、EVOH樹脂組成物および多層構造体を作製した。得られたEVOH樹脂組成物および多層構造体について、実施例1と同様に評価した。
[比較例5]
実施例7において、カプリル酸(c2)を、EVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、カプリル酸(c2)、カプリル酸亜鉛(d2)、SEBS(e1)、無水マレイン酸変性SEBS(f1)の含有量の総和に対してカルボン酸イオン換算で0.00828重量%用い、カプリル酸亜鉛(d2)を、EVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、カプリル酸(c2)、カプリル酸亜鉛(d2)、SEBS(e1)、無水マレイン酸変性SEBS(f1)の含有量の総和に対して金属イオン換算で0.06重量%用い、ホウ酸(h1)を、EVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、ステアリン酸(c1)、ステアリン酸亜鉛(d1)、SEBS(e1)、無水マレイン酸変性SEBS(f1)、ホウ酸(h1)の含有量の総和に対してホウ素換算で0.0045重量%用いた以外は同様に行ない、EVOH樹脂組成物および多層構造体を作製した。得られたEVOH樹脂組成物および多層構造体について、実施例1と同様に評価した。
[比較例6]
実施例13において、ラウリン酸(c3)を、EVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、ラウリン酸(c3)、ラウリン酸亜鉛(d3)、SEBS(e1)、無水マレイン酸変性SEBS(f1)の含有量の総和に対してカルボン酸イオン換算で0.00004重量%用い、ラウリン酸亜鉛(d3)を、EVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、ラウリン酸(c3)、ラウリン酸亜鉛(d3)、SEBS(e1)、無水マレイン酸変性SEBS(f1)の含有量の総和に対して金属イオン換算で0.001重量%用いた以外は同様に行ない、EVOH樹脂組成物および多層構造体を作製した。得られたEVOH樹脂組成物および多層構造体について、実施例1と同様に評価した。
[比較例7]
実施例13において、ラウリン酸(c3)を、EVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、ラウリン酸(c3)、ラウリン酸亜鉛(d3)、SEBS(e1)、無水マレイン酸変性SEBS(f1)の含有量の総和に対してカルボン酸イオン換算で0.00214重量%用い、ラウリン酸亜鉛(d3)を、EVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、ラウリン酸(c3)、ラウリン酸亜鉛(d3)、SEBS(e1)、無水マレイン酸変性SEBS(f1)の含有量の総和に対して金属イオン換算で0.06重量%用いた以外は同様に行ない、EVOH樹脂組成物および多層構造体を作製した。得られたEVOH樹脂組成物および多層構造体について、実施例1と同様に評価した。
[比較例8]
実施例14において、ラウリン酸(c3)を、EVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、ラウリン酸(c3)、ラウリン酸亜鉛(d3)、SEBS(e1)、無水マレイン酸変性SEBS(f1)の含有量の総和に対してカルボン酸イオン換算で0.00828重量%用い、ラウリン酸亜鉛(d2)を、EVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、ラウリン酸(c3)、ラウリン酸亜鉛(d3)、SEBS(e1)、無水マレイン酸変性SEBS(f1)の含有量の総和に対して金属イオン換算で0.06重量%用いた以外は同様に行ない、EVOH樹脂組成物および多層構造体を作製した。得られたEVOH樹脂組成物および多層構造体について、実施例1と同様に評価した。
[比較例9]
実施例1において、ステアリン酸(c1)を、EVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、ステアリン酸(c1)、ステアリン酸亜鉛(d1)、SEBS(e1)、無水マレイン酸変性SEBS(f1)の含有量の総和に対してカルボン酸イオン換算で0.00005重量%用い、ステアリン酸亜鉛(d1)を、EVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、ステアリン酸(c1)、ステアリン酸亜鉛(d1)、SEBS(e1)、無水マレイン酸変性SEBS(f1)の含有量の総和に対して金属イオン換算で0.001重量%用いた以外は同様に行ない、EVOH樹脂組成物および多層構造体を作製した。得られたEVOH樹脂組成物および多層構造体について、実施例1と同様に評価した。
[比較例10]
実施例1において、ステアリン酸(c1)を、EVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、ステアリン酸(c1)、ステアリン酸亜鉛(d1)、SEBS(e1)、無水マレイン酸変性SEBS(f1)の含有量の総和に対してカルボン酸イオン換算で0.00292重量%用い、ステアリン酸亜鉛(d1)を、EVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、ステアリン酸(c1)、ステアリン酸亜鉛(d1)、SEBS(e1)、無水マレイン酸変性SEBS(f1)の含有量の総和に対して金属イオン換算で0.06重量%用いた以外は同様に行ない、EVOH樹脂組成物および多層構造体を作製した。得られたEVOH樹脂組成物および多層構造体について、実施例1と同様に評価した。
[比較例11]
実施例3において、ステアリン酸(c1)を、EVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、ステアリン酸(c1)、ステアリン酸亜鉛(d1)、SEBS(e1)、無水マレイン酸変性SEBS(f1)の含有量の総和に対してカルボン酸イオン換算で0.00828重量%用い、ステアリン酸亜鉛(d1)を、EVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、ステアリン酸(c1)、ステアリン酸亜鉛(d1)、SEBS(e1)、無水マレイン酸変性SEBS(f1)の含有量の総和に対して金属イオン換算で0.06重量%用いた以外は同様に行ない、EVOH樹脂組成物および多層構造体を作製した。得られたEVOH樹脂組成物および多層構造体について、実施例1と同様に評価した。
[比較例12]
実施例5において、EVOH(a1)を、EVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、カプリル酸(c2)、カプリル酸亜鉛(d2)、SEBS(e1)の含有量の総和に対して77重量%用い、酢酸ナトリウム(b1)を、EVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、カプリル酸(c2)、カプリル酸亜鉛(d2)、SEBS(e1)の含有量の総和に対して0.0333重量%用い、SEBS(e1)を、EVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、カプリル酸(c2)、カプリル酸亜鉛(d2)、SEBS(e1)の含有量の総和に対して20重量%用い、ホウ酸(h1)を、EVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、カプリル酸(c2)、カプリル酸亜鉛(d2)、SEBS(e1)、ホウ酸(h1)の含有量の総和に対してホウ素換算で0.0046重量%用い、無水マレイン酸変性SEBS(f1)を用いなかった以外は同様に行ない、EVOH樹脂組成物および多層構造体を作製した。得られたEVOH樹脂組成物および多層構造体について、実施例1と同様に評価した。
[比較例13]
実施例5において、無水マレイン酸変性SEBS(f1)を、EVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、カプリル酸(c2)、カプリル酸亜鉛(d2)、無水マレイン酸変性SEBS(f1)の含有量の総和に対して25重量%用い、SEBS(e1)および脂環族系炭化水素樹脂(g1)を用いなかった以外は同様に行ない、EVOH樹脂組成物および多層構造体を作製した。得られたEVOH樹脂組成物および多層構造体について、実施例1と同様に評価した。
[比較例14]
実施例5において、EVOH(a1)を、EVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、カプリル酸(c2)、カプリル酸亜鉛(d2)の含有量の総和に対して100重量%用い、酢酸ナトリウム(b1)を、EVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、カプリル酸(c2)、カプリル酸亜鉛(d2)の含有量の総和に対して0.0432重量%用い、ホウ酸(h1)を、EVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、カプリル酸(c2)、カプリル酸亜鉛(d2)、ホウ酸(h1)の含有量の総和に対してホウ素換算で0.0059重量%用い、SEBS(e1)、無水マレイン酸変性SEBS(f1)および脂環族系炭化水素樹脂(g1)を用いなかった以外は同様に行ない、EVOH樹脂組成物および多層構造体を作製した。得られたEVOH樹脂組成物および多層構造体について、実施例1と同様に評価した。
[比較例15]
実施例5において、EVOH(a1)を、EVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、カプリル酸(c2)、カプリル酸亜鉛(d2)、SEBS(e1)、無水マレイン酸変性SEBS(f1)の含有量の総和に対して52.5重量%用い、酢酸ナトリウム(b1)を、EVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、カプリル酸(c2)、カプリル酸亜鉛(d2)、SEBS(e1)、無水マレイン酸変性SEBS(f1)の含有量の総和に対して酢酸イオン換算で0.0227重量%用い、SEBS(e1)を、EVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、カプリル酸(c2)、カプリル酸亜鉛(d2)、SEBS(e1)、無水マレイン酸変性SEBS(f1)の含有量の総和に対して13.3重量%用い、無水マレイン酸変性SEBS(f1)を、EVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、カプリル酸(c2)、カプリル酸亜鉛(d2)、SEBS(e1)、無水マレイン酸変性SEBS(f1)の含有量の総和に対して32.1重量%用い、脂環族系炭化水素樹脂(g1)を、EVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、カプリル酸(c2)、カプリル酸亜鉛(d2)、SEBS(e1)、無水マレイン酸変性SEBS(f1)、脂環族系炭化水素樹脂(g1)の含有量の総和に対して2.1重量%用い、ホウ酸(h1)を、EVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、カプリル酸(c2)、カプリル酸亜鉛(d2)、SEBS(e1)、無水マレイン酸変性SEBS(f1)、ホウ酸(h1)の含有量の総和に対してホウ素換算で0.0031重量%用いた以外は同様に行ない、EVOH樹脂組成物および多層構造体を作製した。得られたEVOH樹脂組成物および多層構造体について、実施例1と同様に評価した。
[比較例16]
実施例1において、ステアリン酸(c1)を、EVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、ステアリン酸(c1)、ステアリン酸カルシウム、SEBS(e1)、無水マレイン酸変性SEBS(f1)の含有量の総和に対してカルボン酸イオン換算で0.00038重量%用い、ステアリン酸亜鉛(d1)の代わりにステアリン酸カルシウムを、EVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、ステアリン酸(c1)、ステアリン酸カルシウム、SEBS(e1)、無水マレイン酸変性SEBS(f1)の含有量の総和に対して金属イオン換算で0.01重量%用いた以外は同様に行ない、EVOH樹脂組成物および多層構造体を作製した。得られたEVOH樹脂組成物および多層構造体について、実施例1と同様に評価した。
[比較例17]
実施例1において、ステアリン酸(c1)を、EVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、ステアリン酸(c1)、ステアリン酸マグネシウム、SEBS(e1)、無水マレイン酸変性SEBS(f1)の含有量の総和に対してカルボン酸イオン換算で0.00308重量%用い、ステアリン酸亜鉛(d1)の代わりにステアリン酸マグネシウムを、EVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、ステアリン酸(c1)、ステアリン酸マグネシウム、SEBS(e1)、無水マレイン酸変性SEBS(f1)の含有量の総和に対して金属イオン換算で0.01重量%用いた以外は同様に行ない、EVOH樹脂組成物および多層構造体を作製した。得られたEVOH樹脂組成物および多層構造体について、実施例1と同様に評価した。
[比較例18]
実施例1において、ステアリン酸(c1)を、EVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、ステアリン酸(c1)、ステアリン酸ナトリウム、SEBS(e1)、無水マレイン酸変性SEBS(f1)の含有量の総和に対してカルボン酸イオン換算で0.00067重量%用い、ステアリン酸亜鉛(d1)の代わりにステアリン酸ナトリウムを、EVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、ステアリン酸(c1)、ステアリン酸ナトリウム、SEBS(e1)、無水マレイン酸変性SEBS(f1)の含有量の総和に対して金属イオン換算で0.01重量%用いた以外は同様に行ない、EVOH樹脂組成物および多層構造体を作製した。得られたEVOH樹脂組成物および多層構造体について、実施例1と同様に評価した。
[比較例19]
実施例1において、ステアリン酸(c1)を、EVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、ステアリン酸(c1)、ステアリン酸亜鉛(d1)、SEBS(e1)、無水マレイン酸変性SEBS(f1)の含有量の総和に対してカルボン酸イオン換算で0.09671重量%用いた以外は同様に行ない、EVOH樹脂組成物および多層構造体を作製した。得られたEVOH樹脂組成物および多層構造体について、実施例1と同様に評価した。
[比較例20]
実施例1において、ステアリン酸(c1)を、EVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、ステアリン酸(c1)、ステアリン酸亜鉛(d1)、SEBS(e1)、無水マレイン酸変性SEBS(f1)の含有量の総和に対してカルボン酸イオン換算で0.00008重量%用いた以外は同様に行ない、EVOH樹脂組成物および多層構造体を作製した。得られたEVOH樹脂組成物および多層構造体について、実施例1と同様に評価した。
[比較例21]
実施例1において、ステアリン酸亜鉛(d1)の代わりにグルコン酸亜鉛三水和物を、EVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、ステアリン酸(c1)、グルコン酸亜鉛三水和物、SEBS(e1)、無水マレイン酸変性SEBS(f1)の含有量の総和に対して金属イオン換算で0.01重量%用いた以外は同様に行ない、EVOH樹脂組成物および多層構造体を作製した。得られたEVOH樹脂組成物および多層構造体について、実施例1と同様に評価した。
[比較例22]
実施例1において、ステアリン酸亜鉛(d1)の代わりにクエン酸亜鉛二水和物を、EVOH(a1)、酢酸ナトリウム(b1)、ステアリン酸(c1)、クエン酸亜鉛二水和物、SEBS(e1)、無水マレイン酸変性SEBS(f1)の含有量の総和に対して金属イオン換算で0.01重量%用いた以外は同様に行ない、EVOH樹脂組成物および多層構造体を作製した。得られたEVOH樹脂組成物および多層構造体について、実施例1と同様に評価した。
Figure 2020132858
Figure 2020132858
脂肪族カルボン酸(C)と脂肪族カルボン酸金属塩(D)を含有しない比較例1,2は、衝撃強度が低いものであった。
極性基を含有しないスチレン系熱可塑性エラストマー(E)または/および極性基を含有するスチレン系熱可塑性エラストマー(F)を含有しない比較例12〜14は、耐屈曲性または色調安定性が低いものであった。
本発明で規定する式(1)を満たさない比較例4,7,10では、色調安定性が低いものであった。
本発明で規定する式(3)を満たさない比較例3,5,6,8,9,11,15では、衝撃強度または色調安定性が低いものであった。本発明で規定する式(2)を満たさない比較例19,20では、衝撃強度が低いものであった。
さらに、脂肪族カルボン酸金属塩(D)の金属種が、長周期型周期表第4周期dブロックに属する元素から選ばれる1種ではない比較例16〜18においても衝撃強度が低いものであった。
そして、脂肪族カルボン酸(C)と脂肪族カルボン酸金属塩(D)のアニオン種が同一種でない比較例21および22では、衝撃強度、色調安定性、耐屈曲性が低いものであった。
これに対し、本発明の特徴的構成を有するEVOH樹脂組成物(実施例1〜19)では、衝撃強度に優れながらも耐屈曲性が低下せず優れた値を示した。さらに色調安定性も低下しないものであった。
上記で得られた各実施例の多層構造体を用いて包装体を製造した。得られた包装体は、いずれも耐衝撃性と耐屈曲性に優れるものであった。
上記実施例においては、本発明における具体的な形態について示したが、上記実施例は単なる例示にすぎず、限定的に解釈されるものではない。当業者に明らかな様々な変形は、本発明の範囲内であることが企図されている。
本発明のEVOH樹脂組成物は、耐衝撃性および耐屈曲性に優れる。そのため、上記EVOH樹脂組成物からなる層を含有する多層構造体は、一般的な食品の他、マヨネーズ、ドレッシング等の調味料、味噌等の発酵食品、サラダ油等の油脂食品、飲料、化粧品、医薬品等の各種の包装体の原料として有用である。

Claims (18)

  1. エチレン−ビニルアルコール系共重合体(A)、酢酸および/またはその塩(B)、酢酸以外の脂肪族カルボン酸(C)、上記脂肪族カルボン酸(C)の金属塩である脂肪族カルボン酸金属塩(D)、極性基を含有しないスチレン系熱可塑性エラストマー(E)、極性基を含有するスチレン系熱可塑性エラストマー(F)を含有する樹脂組成物であって、上記脂肪族カルボン酸金属塩(D)の金属種が、長周期型周期表第4周期dブロックに属する元素から選ばれる少なくとも1種であり、上記酢酸および/またはその塩(B)、上記酢酸以外の脂肪族カルボン酸(C)、上記脂肪族カルボン酸(C)の金属塩である脂肪族カルボン酸金属塩(D)、上記極性基を含有するスチレン系熱可塑性エラストマー(F)の各種含有量が、重量基準で下記式(1)〜(3)を満たすことを特徴とするエチレン−ビニルアルコール系共重合体樹脂組成物。
    [式]0.001≦((D)金属イオン換算含有量/(B)酢酸イオン換算含有量)≦1.30・・・(1)
    [式]0.11≦((D)金属イオン換算含有量/(C)カルボン酸イオン換算含有量)≦100・・・(2)
    [式]30≦((F)含有量/(D)金属イオン換算含有量)≦2900・・・(3)
  2. 上記極性基を含有しないスチレン系熱可塑性エラストマー(E)が、芳香族ビニルモノマー単位からなるポリマーブロック(e1)と、不飽和炭化水素化合物を重合してなるポリマーブロックおよび/またはその水素添加ブロック(e2)とを有するブロック共重合体であり、極性基を含有するスチレン系熱可塑性エラストマー(F)が、芳香族ビニルモノマー単位からなるポリマーブロック(f1)と、不飽和炭化水素化合物を重合してなるポリマーブロックおよび/またはその水素添加ブロック(f2)とを有するブロック共重合体で、且つ極性基を含有する変性ブロック共重合体であることを特徴とする請求項1記載のエチレン−ビニルアルコール系共重合体樹脂組成物。
  3. 上記エチレン−ビニルアルコール系共重合体(A)、上記極性基を含有しないスチレン系熱可塑性エラストマー(E)、上記極性基を含有するスチレン系熱可塑性エラストマー(F)の各種含有量が、重量基準で下記式(4)を満たすことを特徴とする請求項1または2に記載のエチレン−ビニルアルコール系共重合体樹脂組成物。
    [式]0.001≦((F)含有量/(A+E+F)含有量)≦0.2・・・(4)
  4. 上記エチレン−ビニルアルコール系共重合体(A)、上記極性基を含有しないスチレン系熱可塑性エラストマー(E)、上記極性基を含有するスチレン系熱可塑性エラストマー(F)の各種含有量が、重量基準で下記式(5)を満たすことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のエチレン−ビニルアルコール系共重合体樹脂組成物。
    [式]1≦((A)含有量/(E+F)含有量)≦99・・・(5)
  5. 上記極性基を含有しないスチレン系熱可塑性エラストマー(E)、上記極性基を含有するスチレン系熱可塑性エラストマー(F)の各種含有量が、重量基準で下記式(6)を満たすことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のエチレン−ビニルアルコール系共重合体樹脂組成物。
    [式]0.01≦((F)含有量/(E)含有量)≦10・・・(6)
  6. 上記(E)成分における芳香族ビニル含有率が5〜50重量%であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のエチレン−ビニルアルコール系共重合体樹脂組成物。
  7. 上記(F)成分の極性基の含有量が、1.0×10-3〜1ミリモル/gであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のエチレン−ビニルアルコール系共重合体樹脂組成物。
  8. 上記(F)成分の極性基がカルボキシ基であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のエチレン−ビニルアルコール系共重合体樹脂組成物。
  9. 上記(F)成分のカルボキシ基の含有量が20mgCH3ONa/g以下であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のエチレン−ビニルアルコール系共重合体樹脂組成物。
  10. 上記脂肪族カルボン酸金属塩(D)の金属イオン換算での含有量が、上記エチレン−ビニルアルコール系共重合体(A)、上記酢酸および/またはその塩(B)、上記脂肪族カルボン酸(C)、上記脂肪族カルボン酸金属塩(D)、上記極性基を含有しないスチレン系熱可塑性エラストマー(E)、上記極性基を含有するスチレン系熱可塑性エラストマー(F)の含有量の総和に対して、0.0001〜0.05重量%であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載のエチレン−ビニルアルコール系共重合体樹脂組成物。
  11. 上記脂肪族カルボン酸(C)のカルボン酸イオン換算での含有量が、上記エチレン−ビニルアルコール系共重合体(A)、上記酢酸および/またはその塩(B)、上記脂肪族カルボン酸(C)、上記脂肪族カルボン酸金属塩(D)、上記極性基を含有しないスチレン系熱可塑性エラストマー(E)、上記極性基を含有するスチレン系熱可塑性エラストマー(F)の含有量の総和に対して、0.0000001〜0.095重量%であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載のエチレン−ビニルアルコール系共重合体樹脂組成物。
  12. 上記酢酸および/またはその塩(B)の酢酸イオン換算での含有量が、上記エチレン−ビニルアルコール系共重合体(A)、上記酢酸および/またはその塩(B)、上記脂肪族カルボン酸(C)、上記脂肪族カルボン酸金属塩(D)、上記極性基を含有しないスチレン系熱可塑性エラストマー(E)、上記極性基を含有するスチレン系熱可塑性エラストマー(F)の含有量の総和に対して、0.001〜0.2重量%であることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載のエチレン−ビニルアルコール系共重合体樹脂組成物。
  13. 上記脂肪族カルボン酸(C)のカルボン酸イオン換算での含有量に対する上記酢酸および/またはその塩(B)の酢酸イオン換算での含有量比(酢酸および/またはその塩(B)の酢酸イオン換算含有量/脂肪族カルボン酸(C)のカルボン酸イオン換算含有量)が、重量基準で0.0001〜10000であることを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載のエチレン−ビニルアルコール系共重合体樹脂組成物。
  14. 上記エチレン−ビニルアルコール系共重合体樹脂組成物の210℃、100S-1での伸長粘度が、下記式(7)を満たすことを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一項に記載のエチレン−ビニルアルコール系共重合体樹脂組成物。
    [式]500≦伸長粘度[Pa・s]≦47000・・・(7)
  15. さらに、数平均分子量が100〜3000であり且つ60℃以上170℃未満の軟化点を有している炭化水素系樹脂(G)を含有するエチレン−ビニルアルコール系共重合体樹脂組成物であって、上記炭化水素系樹脂(G)が、上記エチレン−ビニルアルコール系共重合体(A)、上記酢酸および/またはその塩(B)、上記脂肪族カルボン酸(C)、上記脂肪族カルボン酸金属塩(D)、上記極性基を含有しないスチレン系熱可塑性エラストマー(E)、上記極性基を含有するスチレン系熱可塑性エラストマー(F)、上記炭化水素系樹脂(G)の含有量の総和に対して、0.5〜30重量%であることを特徴とする、請求項1〜14のいずれか一項に記載のエチレン−ビニルアルコール系共重合体樹脂組成物。
  16. さらに、ホウ酸および/またはその塩(H)を含有するエチレン−ビニルアルコール系共重合体樹脂組成物であって、上記ホウ酸および/またはその塩(H)のホウ素換算で含有量が、上記エチレン−ビニルアルコール系共重合体(A)、上記酢酸および/またはその塩(B)、上記脂肪族カルボン酸(C)、上記脂肪族カルボン酸金属塩(D)、上記極性基を含有しないスチレン系熱可塑性エラストマー(E)、上記極性基を含有するスチレン系熱可塑性エラストマー(F)、上記ホウ酸および/またはその塩(H)の含有量の総和に対して、ホウ素換算で0.0000001〜0.05重量%含有することを特徴とする、請求項1〜15のいずれか一項に記載のエチレン−ビニルアルコール系共重合体樹脂組成物。
  17. 請求項1〜16のいずれか一項に記載のエチレン−ビニルアルコール系共重合体樹脂組成物からなる層を有することを特徴とする多層構造体。
  18. 上記請求項17記載の多層構造体からなることを特徴とする包装体。
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