JP2020132745A - 光拡散性熱硬化型樹脂組成物、及びそれを用いた光拡散板 - Google Patents
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Abstract
Description
特に、光拡散性硬化膜とした場合に、加水分解しやすいポリカーボネート等の基材に対しても、良好な密着力や耐湿熱性を示す光拡散性熱硬化型樹脂組成物(単に、光拡散樹脂組成物等と称する場合もある。)、及びそれを用いた光拡散板(単に、光拡散性硬化膜、光拡散フイルム、あるいは、光拡散シート等と称する場合もある。)に関する。
しかしながら、通常LEDの光源は、点光源により光を発するとともに高輝度であるために、直下型で輝度を上げようとするとLEDの点光源に由来する輝度ムラが見えてしまうことがあり、均一な発光が得られにくくなる。
又、均一な発光を得ようとすると、光拡散版とLEDとの距離を大きくしなければならず、輝度が低下してしまう。
又、輝度を保とうとすればLEDの増設や光量のアップを検討しなければならないが、低消費電力化や、増設スペースの観点から問題があった。
さらに近年では、電源を入れると常にメーターパネルの文字や針が光る自発光式メーターパネルも多く採用されるようになり、高輝度、高コントラストで常時視認性に優れるとともに長期に渡る気候変動にも対応できる耐湿熱性に優れる光拡散板が求められている。
より具体的には、ポリカーボネート樹脂100質量部と、拡散剤0.01〜20質量部、及びトリアジン系紫外線吸収剤0.01〜10質量部を配合した光拡散性ポリカーボネート樹脂組成物である。
より具体的には、主剤としての芳香族ポリカーボネート樹脂と、光拡散剤としての高分子微粒子と、を特定の割合で配合した混合物に、特定のリン系安定剤、トリメチルホスフェート、ヒンダードフェノール及び蛍光増白剤を配合した光拡散性芳香族ポリカーボネート樹脂組成物である。
より具体的には、ポリカプロラクトン樹脂、及びポリカーボネート樹脂等の透明な熱可塑性樹脂に対して、光拡散剤や紫外線吸収剤を所定量含有してなる光拡散性の熱可塑性樹脂組成物である。
そのため、そのような光拡散性熱硬化型樹脂組成物に由来した装飾層を、高温高湿の環境下に長期間、例えば、60℃、95%Rh、500時間等の条件で使用した場合、ポリカーボネート樹脂の加水分解等の影響で、装飾層が着色したり、基材に対する装飾層の密着力が極端に低下したりするという問題が見られた。
そればかりか、ポリカーボネート樹脂を用いた光拡散性熱硬化型樹脂組成物は、所定形状に成形した場合に、伸び性が不足しがちであって、成形性が不十分であるという問題も見られた。
しかしながら、いかんせん、特許文献3の塗料組成物は、熱可塑性樹脂であって、紫外線照射によって、熱可塑性樹脂の色相の黄変や外観不良をもたらすといった問題が見られた。
すなわち、本発明の目的は、加水分解しやすいポリカーボネート等の基材に対しても、良好な耐湿性や表面平滑性を示す、熱硬化系の光拡散性熱硬化型樹脂組成物、及びそれに由来した、成形性に優れた光拡散性硬化膜を備えた光拡散板を提供することを目的とする。
すなわち、所定のアクリルポリオール樹脂と、所定のセルロース系樹脂と、所定のイソシアネート化合物と、所定の光拡散性樹脂粒子と、を所定量配合した光拡散性熱硬化型樹脂組成物であれば、光拡散性硬化膜とした場合に、各種基材に対して、良好な密着力や耐湿熱性を示すことができ、ひいては、耐久性等に優れた光拡散板を提供することができる。
このような(A)アクリルポリオール樹脂であれば、極性の関係で、セルロースエステル樹脂との相溶性が良好であって良好な表面を有し、かつ、透明性に優れた光拡散性硬化膜を得ることができる。
又、このような(A)アクリルポリオール樹脂であれば、基材としてのポリカーボネート樹脂に対して、選択的に接着し、良好な耐湿熱性を得ることもできる。
このような(B)セルロース系樹脂であれば、(A)アクリルポリオール樹脂との相溶性が良好であって、かつ、良好な平滑性や透明性にさらに優れた光拡散性硬化膜を得ることができる。
このような(B)セルロース系樹脂であれば、各種の(A)アクリルポリオール樹脂との相溶性が良好であって、かつ、良好な平滑性や透明性にさらに優れた光拡散性硬化膜を得ることができる。
このような(C)イソシアネート化合物であれば、各種の(A)アクリルポリオール樹脂と反応して、良好な平滑性や透明性にさらに優れた光拡散性硬化膜を得ることができる。
この理由は、このような(D)光拡散性樹脂粒子であれば、透明性が高く、かつ、(A)アクリルポリオール樹脂等への均一分散が容易なためである。
この理由は、このような(E)無機微粒子をさらに含有することにより、光拡散性を精度良く制御し、かつ、ヘイズ値を所定範囲内に制御することが容易になるためである。
(A)アクリルポリオール樹脂 100重量部
(B)セルロース系樹脂 5〜50重量部
(C)イソシアネート化合物 5〜30重量部
(D)光拡散性樹脂粒子 1〜30重量部
すなわち、所定のアクリルポリオール樹脂と、所定のセルロース系樹脂と、所定のイソシアネート化合物と、所定の光拡散性樹脂粒子と、を所定量配合した光拡散性熱硬化型樹脂組成物に由来した光拡散性硬化膜であれば、各種基材に対して、良好な密着力や耐湿熱性、さらには表面平滑性を示すことができ、ひいては、耐久性等に優れた光拡散板を効率的に提供することができる。
第1の実施形態は、(A)アクリルポリオール樹脂100重量部と、(B)セルロース系樹脂5〜50重量部と、(C)イソシアネート化合物5〜30重量部と、(D)光拡散性樹脂粒子1〜30重量部と、を含有することを特徴とする光拡散性熱硬化型樹脂組成物である。
以下、第1の実施形態の光拡散性熱硬化型樹脂組成物の構成要件等について、具体的に説明する。
光拡散性熱硬化型樹脂組成物は、(A)成分として、アクリルポリオール樹脂を使用することを特徴とする。
この理由は、1個以上の水酸基を有するアクリルモノマーに由来してなるアクリルポリオール樹脂を使用することにより、後述する(B)セルロース系樹脂との関係で、硬化反応を迅速に制御して、基材に対する密着性を保持しつつ、得られる光拡散性硬化膜において、透明性と耐湿熱性が得られるためである。
アクリルポリオール樹脂の種類は、特に制限されるものではないが、1分子中に1個以上の水酸基及びラジカル重合性二重結合を有するモノマー成分と、それ以外のラジカル重合性二重結合を有するアクリルモノマーと、の共重合体であることが好ましい。
したがって、1分子中に1個以上の水酸基を有するラジカル重合性二重結合を有するモノマー成分として、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ビニルフェノール等の少なくとも一つが挙げられる。
又、それ以外のラジカル重合性二重結合を有するアクリルモノマーとしては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリルアミド、スチレン誘導体、塩化ビニル、酢酸ビニル、マレイン酸ジアルキルエステル、フルオロオレフィン、反応性シリル基含有ビニル系化合物等のその他のアクリル系モノマー、又は非アクリル系ビニルモノマ等の少なくとも一つが挙げられる。
すなわち、このようなアクリルポリオール樹脂を用いることで、後述する(B)セルロース系樹脂との相溶性も良好になって、光拡散性硬化膜の透明性と耐湿熱性を維持しながらも、基材に対する密着性や、光拡散性硬化膜の変色(黄変)を長期に渡って防止することができる。
又、(A)アクリルポリオール樹脂の数平均分子量は特に制限されるものではないが、密着性や成形性、透明性が良好なことから、通常、10000〜55000の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる数平均分子量が10000未満の値になると、基材との密着不良を起こしやすくなるとともに光拡散性硬化膜の透明性が低下する場合があるためである。
一方、かかる数平均分子量が55000を超えると、光拡散性硬化膜の表面強度が過度に硬くなって、柔軟性が低下する場合があるためである。
したがって、アクリルポリオール樹脂の数平均分子量を15000〜50000の範囲内とすることよりが好ましく、20000〜45000の範囲内とすることがさらに好ましい。
なお、アクリルポリオール樹脂の数平均分子量は、ゲルパーミエションクロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算の数平均分子量である。
又、アクリルポリオール樹脂の水酸基価を、架橋密度を良好にし、ひいては、耐湿熱性を向上させやすいことから、通常、5mgKOH/g〜100mgKOH/gの範囲内とすることが好ましい。
この理由は、水酸基価が5mgKOH/g未満の値になると光拡散性熱硬化型樹脂組成物の硬化において架橋密度が低くなり、密着性、及び耐湿熱性が得られない場合があるためである。
一方、水酸基価が100mgKOH/gを超えると、架橋密度が過度に高くなり、光拡散性硬化膜に柔軟性が得られにくくなるためである。
したがって、アクリルポリオール樹脂の水酸基価を5mgKOH/g〜50mgKOH/gの範囲内の値とすることが好ましく、5mgKOH/g〜30mgKOH/gの範囲内と値とすることがさらに好ましい。
なお、水酸基価「mgKOH/g」とは、アクリルポリオール中の水酸基量の指標であり、アクリルポリオール1g中の水酸基をアセチル化するために必要な水酸化カリウムのmg数を示す。
又、アクリルポリオール樹脂の配合量(配合割合と称する場合がある。以下、同様である。)を、光拡散性熱硬化型樹脂組成物の全体量に対して、通常、20〜60重量%の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる配合量が20重量%未満になると、基材との密着不良を起こしやすくなるとともに、光拡散性硬化膜の柔軟性が低下する場合があるためである。
一方、かかる配合量が60重量%を超えると、光拡散性硬化膜の柔軟性が低下するとともに、長期に渡る透明性が得られなくなる場合があるためである。
したがって、アクリルポリオール樹脂の配合量を、光拡散性熱硬化型樹脂組成物の全体量に対して、25〜55重量%の範囲内の値とすることが好ましく、30〜50重量%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
光拡散性熱硬化型樹脂組成物は、(B)成分としてセルロース系樹脂を含有することを特徴とする。
この理由は、(B)セルロース系樹脂は、極性が比較的高く、上述した(A)成分としてのアクリルポリオール樹脂に対して、との良好な相溶性を示すためである。
すなわち、(B)セルロース系樹脂を含有することにより、被塗布物に積層して、光拡散性硬化膜を形成した場合に、光拡散性硬化膜の表面に平滑性を与えることができるとともに、耐湿試験において、長期に渡って、変色防止や密着性を得ることができるためである。
(B)セルロース系樹脂の種類としては特に制限されるものでないが、例えば、ニトロセルロース、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネートなどのセルロースエステル樹脂を1種単独、又は2種以上組み合わせることが、より好適な種類として挙げられる。
この理由は、セルロースアセテート樹脂等であれば、(A)アクリルポリオール樹脂成分と幅広い範囲で良好に相溶させることができるとともに、基材に対する密着性、又、長期に渡る耐湿熱性、及び無黄変性を維持しやすくなるためである。
この理由は、これらのセルロースアセテートブチレート樹脂等であれば、各種溶剤に均一に溶解させることができるためである。
したがって、後述するエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、イソホロン、シクロヘキサノン重質芳香族系石油ソルベントナフサ等に対しても、同様に適用して溶液化することができ、得られる光拡散性硬化膜において、極めて良好な平滑性を得ることができる。
又、セルロース系樹脂の数平均分子量を、通常10000〜50000の範囲内とすることが好ましい。
この理由は、数平均分子量が10000未満の値になると、基材との密着不良を起こしやすくなるとともに光拡散性硬化膜の透明性が低下する場合があるためである。
一方、数平均分子量が50000を超えると、光拡散性硬化膜の表面強度が過度に硬くなり柔軟性が低下する場合があるためである。
したがって、セルロース系樹脂の数平均分子量を15000〜45000の範囲内とすることよりが好ましく、20000〜40000の範囲内とすることがさらに好ましい。
なお、セルロース系樹脂の数平均分子量は、ゲルパーミエションクロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算の数平均分子量である。
又、(B)セルロース系樹脂の配合量(配合割合と称する場合がある。以下、同様である。)を、(A)アクリルポリオール樹脂100重量部に対して、固形分換算において(以下、同様)、5〜50重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる(B)セルロース系樹脂の配合量が5重量部未満になると、添加効果が発現しない場合があって、基材との密着不良を起こしやすくなったり、光拡散性硬化膜の平滑性が得られにくくなったりする場合があるためである。
一方、かかる(B)セルロース系樹脂の配合量が50重量部を超えると、光拡散性硬化膜の柔軟性が低下するとともに、透明性(例えば、可視光透過率:90%以上)が得られなくなったり、さらには、吸湿して、耐湿熱性が低下する場合があるためである。
したがって、(B)セルロース系樹脂の配合量を、(A)アクリルポリオール樹脂100重量部に対して、8〜40重量部の範囲内の値とすることが好ましく、10〜30重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(1)種類
(C)成分としてイソシアネート化合物を、光拡散性熱硬化型樹脂組成物における熱硬化反応の促進を目的として配合することを特徴とする。
このようなイソシアネート化合物の種類としては特に限定されないが、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート、及び芳香族ジイソシアネートなどのジイソシアネートが好ましく、例えば、脂肪族ジイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート等、脂環族ジイソシアネートとしては、イソホロンジイソシアネート、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、シクロヘキサンジイソシアネート等、芳香族ジイソシアネートとしては、キシレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ビフェニレンジイソシアネート等が挙げられる。又、これらジイソシアネートの二量体、三量体などや、水との反応により生成するビュウレット体が挙げられる。これらは1種、又は2種以上を使用することができる。
(C)成分としてイソシアネート化合物を、(A)アクリルポリオール樹脂100重量部に対して、固形分換算において(以下、同様)、5〜30重量部の範囲内の値とすることを特徴とする。
この理由は、かかる(C)イソシアネート化合物の配合量が5重量部未満では、熱硬化が不十分となって、光拡散性硬化膜を形成することが困難となる場合があるためである。
一方、かかる(C)イソシアネート化合物の配合量が30重量部を超えると、未反応のイソシアネートが残留し、それにより光拡散性硬化膜にタックやブロッキング等の不具合が発生する場合があるためである。
したがって、(C)イソシアネート化合物の配合量を、(A)アクリルポリオール樹脂100重量部に対して10〜25重量部の範囲内とすることが好ましく、15〜20重量部の範囲内とすることがさらに好ましい。
光拡散性熱硬化型樹脂組成物は、(D)成分として光拡散性樹脂粒子を含有することを特徴とする。
この理由は、(D)光拡散性樹脂粒子を含有することによって、図1(a)〜(b)に示すように、形成される光拡散性硬化膜16、16´の表面において、後方に備えられた光源20から出射された光を、外部に広範囲に光拡散させ、装飾層22の情報(文字、数字、記号等)につき、視認者が認識できる光拡散性硬化膜16、16´の視認角を広めることができるためである。
又、光拡散性熱硬化型樹脂組成物に由来して、形成された光拡散性硬化膜16、16´であれば、図2に示すように、光源20の動作(出光)を停止した場合、外光についても適度に反射し、視認者が認識できる光拡散性硬化膜16、16´の視認角を広めることができる。
その上、本発明の光拡散性熱硬化型樹脂組成物であれば、図4に示すように、表面が極めて平滑な光拡散性硬化膜が形成でき、しかも、図3に示すように、保護層13を設けても表面が平滑であるという効果もある。
(D)光拡散性樹脂粒子の種類としては特に制限されるものでないが、例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ウレタン系樹脂、ナイロン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、シリコーン系樹脂、オレフィン系樹脂などからなる光拡散性樹脂粒子の1種単独、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
これらの(D)光拡散性樹脂粒子の種類のうち、光透過性が特に高く、輝度性能を向上させやすい観点から、アクリル系樹脂粒子、特に、MMA樹脂を用いることが好ましい。
すなわち、(D)光拡散性樹脂粒子は、未架橋であっても良いが、架橋剤によって架橋されていることにより、取り扱いが容易になって、耐久性や耐湿熱性等がさらに良好になることから、架橋剤によって架橋されてなるMMA樹脂等であることがさらに好ましい。
より具体的には、後述する(F)有機溶剤と混合した場合に、膨潤や溶解などの影響を受けにくくなるとともに、(A)(B)、及び(C)成分と均一混合することで、耐久性や耐湿熱性等に優れ、長期間にわたって良好な光透過性や光拡散性に優れた光拡散性硬化膜が得られるためである。
この理由は、シード乳化重合法により得られる微粒子は、粒度分布が単分散となり、得られる微粒子の粒度分布の変動係数が小さくなり、すなわち、粒度分布が非常に狭くなって、微粒子の品質、及び粒子径が略均一となるためである。
したがって、本発明に使用する光拡散性樹脂粒子の体積基準粒度分布における最大ピークの頻度が70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましい。
なお、粒度分布及びそれに基づく平均粒子径の測定は、レーザー回折散乱式粒度分布計によって測定することができる。
又、(D)光拡散性樹脂粒子の平均粒子径を0.1〜6μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、このような微細な粒子径の光拡散性樹脂粒子を使用することで光拡散性硬化膜とした場合の光漏れを防ぐことができるためである。
したがって、光拡散性樹脂粒子の平均粒子径を0.5〜5μmの範囲内の値とすることが好ましく、0.8μm〜3.5μmの範囲内とすることがさらに好ましい。
なお、光拡散性樹脂粒子の平均粒子径は、JIS Z 8827−1(2008)に準拠し、レーザー回折散乱式粒度分布計によって測定することができるし、さらには、画像解析装置を用いて算出することもできる。
又、(D)光拡散性樹脂粒子の屈折率を1.30〜1.70の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる屈折率を所定範囲内の値とすることにより、光拡散性熱硬化型樹脂組成物を塗工した場合に、光拡散性硬化膜による過度な光の反射を抑制することができ、さらには、光拡散性硬化膜に透過性を与えることができるためである。
したがって、光拡散性樹脂粒子の屈折率を1.40〜1.60の範囲内の値とすることがより好ましく、1.42〜1.55の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、光拡散性樹脂粒子の屈折率は、JIS K 7142(2008)に準拠して、測定することができる。
又、(D)光拡散性樹脂粒子の配合量を、(A)アクリルポリオール樹脂100重量部に対して、1〜30重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、(D)光拡散性樹脂粒子の配合量を1重量部未満となると、得られる光拡散性硬化膜による光拡散性が著しく低下し、視野角が有効に広がらない場合があるためである。
一方、(D)光拡散性樹脂粒子の配合量が30重量部を超えると、得られる光拡散性硬化膜におけるヘイズの値が過度に大きくなって、視認性が著しく低下する場合があるためである。
したがって、(D)光拡散性樹脂粒子の配合量を、(A)アクリルポリオール樹脂100重量部に対して5〜25重量部の範囲内の値とすることが好ましく、10〜20重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(1)種類1
光拡散性熱硬化型樹脂組成物には、(E1)無機微粒子(光拡散性無機微粒子と称する場合がある。)と、(D)光拡散性樹脂粒子とが相まって、得られる光拡散性硬化膜におけるヘイズ調整剤や光透過率調整剤として機能することができる。
このような無機微粒子としては、酸化ケイ素微粒子、酸化チタン微粒子、酸化アルミニウム微粒子、酸化ジルコニウム微粒子などの金属酸化物微粒子、ケイ酸アルミニウム微粒子、ケイ酸マグネシウム微粒子などのケイ酸化合物微粒子、炭酸カルシウム微粒子、炭酸バリウム微粒子などの炭酸金属塩微粒子、窒化チタン微粒子、窒化ケイ素微粒子などの窒化物微粒子、石膏微粒子、クレー微粒子、タルク微粒子、天然雲母微粒子の少なくとも1つが挙げられる。
そして、無機微粒子として、酸化ケイ素微粒子である含水のシリカ微粒子、又は無水のシリカ微粒子を、より好適に使用することができる。
この理由は、このような微細な粒子径の無機微粒子を使用することにより、光拡散性樹脂粒子と相まって、得られる光拡散性硬化膜におけるヘイズ調整剤や透明性調整剤として機能するためである。
したがって、(E)無機微粒子の平均粒子径を0.05〜4.0μmの範囲内の値とすることが好ましく、0.1μm〜3.0μmの範囲内とすることがさらに好ましい。
なお、(E)無機微粒子の平均粒子径は、JIS Z 8827−1(2008)に準拠し、画像解析装置を用いて測定することができる。
又、酸化ケイ素系微粒子の市販品としては、例えばKE−S100、P10、P30、P50、P100、P150、P250、S30、S50、S100、S150、S250(日本触媒株式会社製)などが挙げられる。
又、(E1)無機微粒子の一部としてのヒュームドシリカ(凝集粒子、一次粒子径:5〜50nm)をチクソトロピー剤として、配合することも好ましい。
したがって、垂直方向に存在する被着体に対しても、光拡散性熱硬化型樹脂組成物の垂れ防止を図りながら、均一な厚さに塗布することもできる。
なお、これらチクソトロピー剤として配合するシリカ微粒子の市販品としては、例えば、アエロジル50、90G、150、200、300、380等の親水性シリカ、R972、R974、R976、R9200、R9765、NX90G、RX200、RX300、RY200S、RY200、RY200L、R812、R8200、R200H等の疎水性シリカ(日本アエロジル株式会社製)などが挙げられる。
又、無機微粒子を配合する場合、その配合量を、(A)アクリルポリオール樹脂100重量部に対して、1〜4重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
光拡散性熱硬化型樹脂組成物は、(F)成分として有機溶剤を含有することが好ましい。
この理由は、有機溶剤を含有することにより、光拡散性熱硬化型樹脂組成物の粘度を塗工方法などに応じて適切に調整し、取扱い性を向上させるためである。
したがって、例えば、スクリーン印刷にて塗工した場合においては、光拡散性熱硬化型樹脂組成物の粘度が適当範囲(例えば、1000〜15000mPa・s(25℃測定))であれば、いわゆる版抜けを良好にするとともに、基材に対する密着性を付与することができる。
又、有機溶剤の種類としては、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、イソホロン等のケトン系溶剤、トルエン、キシレン、ミネラルスピリット、コールタールナフサ等の炭化水素系溶剤、メタノール、エタノール、ブタノール、イソプロピルアルコール(IPA)等のアルコール系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(ブチルセロアセ)、3−メトキシ−3−メチルブチルアセテート(ソルフィットAC)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルカルビトール)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PMA)等のエステル系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル(メチルセロソルブ)、エチレングリコールモノエチルエーテル(エチルセロソルブ)、エチレングリコールモノノルマルブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(セロソルブアセテート)等のエーテル系溶剤の一種単独又は二種以上の組合せが挙げられる。
又、より好ましくは3種以上の有機溶剤の組み合わせであり、さらには3種〜8種の組み合わせであることが好ましい。
又、有機溶剤の配合量を、(A)アクリルポリオール樹脂100重量部に対して90〜170重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる配合量が90重量部未満では光拡散性熱硬化型樹脂組成物の粘度が高くなりすぎて、取扱い性が低下する場合があるためである。
一方、かかる配合量が170重量部を超えると、逆に、粘度が過度に低下して取扱い性が低下するとともに、光拡散性硬化膜の密着性、耐擦傷性についても低下する場合があるためである。
したがって、有機溶剤の配合量を、(A)アクリルポリオール樹脂100重量部に対して100〜160重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、110〜150重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
又、有機溶剤の沸点(大気圧下)を100℃以上の値とすることが好ましい。
この理由は、所定沸点を有する有機溶剤の混合物を使用することによって、(A)アクリルポリオール樹脂、(B)セルロース系樹脂、及び(C)樹脂微粒子等を適当に混合させる効果が得られるとともに、印刷時には適当な乾燥条件、例えば、90℃、10〜60分の範囲を採用できるためである。
したがって、有機溶剤の沸点を100℃〜300℃の範囲内の値とすることがより好ましく、130℃〜270℃の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
又、本発明の光拡散性熱硬化型樹脂組成物には粘度、及び印刷適正を調整する目的に、(G)他の配合成分として、着色剤、蛍光剤、界面活性剤、表面調整剤、消泡剤、レベリング剤(シランカップリング剤等をふくむ。)、硬化促進剤、分散剤、光安定剤、流動調整剤、重合禁止剤、帯電防止剤、酸化重合防止剤等の少なくとも一種の添加剤を使用することも好ましい。
これら添加剤の配合量は、添加剤の種類等によって適宜調整されるが、例えば(A)アクリルポリオール樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部の範囲内の値とすることが好ましく、1〜5重量部の範囲内の値とすることがより好ましい。
すなわち、例えば、光拡散性熱硬化型樹脂組成物の同様の(A)アクリルポリオール樹脂、(B)セルロース系樹脂、(C)イソシアネート化合物、(F)有機溶剤、(G1)消泡剤、(G2)レベリング剤、(G3)表面調整剤等を配合してなる保護層用樹脂を準備して、光拡散性硬化膜の再表面に、光拡散性硬化膜の一部として、保護層13を、図3に示すように、再表面に設けることも好ましい。
なお、保護層13の厚さとしては、0.01〜5μmの範囲内の値とすることが好ましく、0.1〜2μmの範囲内の値とすることがより好ましく、0.5〜1μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(1)光沢度
又、光拡散性硬化膜(例えば、厚さ10μm、以下同様である。)の光沢度を80%以上の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる光沢度の値を所定範囲内に制御することにより、光拡散性硬化膜を所定角度において視覚した場合であっても、適当な光透過性、及び光拡散性からなる散乱光が得られやすくなるためである。
より具体的には、かかる光拡散性硬化膜の光沢度が80%未満の値になると、透明性が低下するとともに、光拡散性が過度に低下する場合があって、視野角が狭くなるためである。
したがって、光拡散性硬化膜の光沢度を82〜99%の範囲内の値とすることがより好ましく、85〜98%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、かかる光拡散性硬化膜の光沢度は、後述する実施例1に示すように、グロスメーターを用いて60°入射の鏡面光沢度測定法により測定することができる。
又、かかる光拡散性硬化膜(例えば、厚さ10μm、以下同様である。)のヘイズ(Hz)を30%未満の値とすることが好ましい。
この理由は、光拡散性硬化膜のヘイズが30%以上の値になると、いわゆる拡散透過率が高くなり、透過光の光量が低下したり、点光源に由来する輝度ムラが発生しやすくなったりする場合があるためである。
但し、光拡散性硬化膜のヘイズが過度に小さくなると、光拡散性が過度に低下したり、視野角が狭くなったりする場合がある。
したがって、光拡散性硬化膜のヘイズ(Hz)を0.1〜25%の範囲内の値とすることがより好ましく、3〜20%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、ヘイズはJIS K 7361−1(1997)に準拠し、ヘイズメーターを用いて測定を行うことができる。
第2の実施形態は、第1の実施形態の光拡散性熱硬化型樹脂組成物に由来した光拡散性硬化膜を、表面に備えてなる光拡散板の製造方法である。
即ち、図5に、記号S1〜S5で示すように、所定の光拡散性熱硬化型樹脂組成物に由来した光拡散性硬化膜を、表面に備えてなる光拡散板の製造方法であって、下記工程(a)〜(c)を含むことを特徴とする。
工程(a):光拡散性熱硬化型樹脂組成物の準備工程
工程(b):光拡散性熱硬化型樹脂組成物の塗布工程
工程(c):光拡散性熱硬化型樹脂組成物の加熱乾燥工程
以下、本発明の第2の実施形態について、図5に適宜言及しつつ、具体的に述べる。
図5の記号S1で示される光拡散性熱硬化型樹脂組成物の準備工程(製造方法)において、例えば、本発明の光拡散性熱硬化型樹脂組成物の(C)イソシアネート化合物を除いて、(A)アクリルポリオール樹脂、及び(B)セルロース系樹脂、及び(D)成分を準備する。
次いで、図5の記号S2で示されるように、それら(A)〜(C)成分と、有機溶剤(F)の一部とをあらかじめ混合する工程である。
したがって、混合装置として、バタフライミキサー、プラネタリーミキサー、ディゾルバーなどの撹拌機を用いて、撹拌、混合することにより、製造することができる。
次いで、ビーズミル、3本ロールミルなどの分散機を用いて、さらに均一に分散することによって、均一な特性を有する、(C)イソシアネート化合物を含まない光拡散性熱硬化型樹脂組成物を製造することができる。
又、かかる混合工程の最後に、濾過工程を含めて、それを実施することも好ましい。すなわち、濾過工程を実施することによって、粗粒子や異物を除去することができることから、さらに均一、高品質な光拡散性熱硬化型樹脂組成物とすることができる。
次いで、(C)イソシアネート化合物は、比較的反応性が高いため、図5の記号S3で示されるように、光拡散性熱硬化型樹脂組成物の塗工直前に配合、及び撹拌を行うことが好ましい。
次いで、図5の記号S4で示されるように、得られた光拡散性熱硬化型樹脂組成物を基材上に積層(塗布)する工程である。
ここで、積層する方法について、特に制限されるものではないが、公知な印刷方法、例えば、スピンコート法、スプレー法、スライドコート法、ディップ法、バーコート法、ロールコーター法、スクリーン印刷法等を適用することが可能である。
なお、スクリーン印刷法を採用した場合には印刷作業性の観点からさらに有機溶剤を加えて適性粘度(例えば、1000〜9000mPa・s(25℃測定))に調整することが好ましい。
又、光拡散性熱硬化型樹脂組成物を積層するに当たっては、必要に応じて、コロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理、フレーム処理、プライマー塗布処理等の易接着処理を行ってもよい。又、基材フイルム層と光拡散性硬化膜との間に他の層(例えば接着層)を有していてもよい。
かかる着色層は、例えば十条ケミカル(株)製4200シリーズPF、8000シリーズPC、及び8100シリーズSNAP等のインキを好適に用いて、スクリーン印刷等によって、形成することができる。
そして、通常、着色層の厚さを1〜50μmの範囲内の値とすることが好ましく、5〜32μmの範囲内の値とすることがより好ましい。
次いで、図5の記号S5で示されるように、工程(c)として、加熱硬化工程を設けることが好ましい。
かかる加熱硬化工程は、例えば、熱風乾燥、及び赤外線乾燥等の加熱乾燥方法を選択し、積層された光拡散性熱硬化型樹脂組成物を加熱乾燥して、光拡散性硬化膜とする工程である
又、乾燥時の加熱温度は、光拡散性熱硬化型樹脂組成物を塗工する基材の耐熱性に応じて適宜設定されるが、例えば、60℃〜150℃の範囲内が好ましく、70℃〜120℃の範囲内がより好ましい。
又、乾燥時の加熱時間は、加熱温度等にもよるが、通常、10〜120分の範囲であって、20〜100分であることがより好ましく、30〜90分であることがさらに好ましい。
そして、かかる乾燥工程の前、即ち、光拡散性熱硬化型樹脂組成物の積層厚さを、通常、10〜100μmの範囲内の値とすることが好ましく、15〜50μmの範囲内の値とすることがより好ましく、20〜30μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
この理由は、光拡散性硬化膜の厚さが1μm未満になると、光拡散性が低下したり、成形加工を施した場合に、塗膜が途切れることなく追従することが困難となる場合があるためである。
一方、光拡散性硬化膜の厚さが30μmを超えると、光透過性が著しく低下したり、均一な厚さに硬化させることが困難となる場合があるためである。
したがって、光拡散性熱硬化型樹脂組成物に由来した光拡散性硬化膜の厚さを3〜25μmの範囲内の値とすることがより好ましく、5〜23μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、光拡散性硬化膜の厚さを、通常、8〜20μmの範囲内の値にすると、均一な光拡散を得るうえで、より好ましいと言える。
1.光拡散性熱硬化型樹脂組成物の作成
(A)成分100重量部に対して、所定量の(B)〜(G)成分((C)成分を除く)を配合し、プロペラ攪拌装置を用いて20分間の均一になるまで混合撹拌を行い、次いで、3本ロールミルを用いて混錬を行って、(C)成分を除く樹脂組成物とした。
(A)アクリルポリオール樹脂 100重量部
(B)セルロース系樹脂 9重量部
(C)イソシアネート化合物 20重量部
(D)光拡散性樹脂粒子 21重量部
(E)無機微粒子 2.7重量部
(F)有機溶剤 128重量部
(G1)消泡剤 2.4重量部
(G2)レベリング剤 1.1重量部
(G3)表面調整剤 3.7重量部
なお、表1中に示す、(A)〜(F)成分の詳細は、以下のとおりである。
(A)アクリルポリオール樹脂:亜細亜工業株式会社製、エクセ−ル673
(B)セルロースアセテートブチレート樹脂:数平均分子量30000
(C)イソシアネート化合物:HDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)
(D)アクリル樹脂微粒子:平均粒子径2.2μm
(E)シリカ微粒子:平均粒子径0.1μm
(F)イソホロン(ケトン系溶剤、沸点215℃)/プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(エステル系溶剤、沸点146℃)/芳香族系石油ソルベントナフサ(沸点175℃〜200℃)=重量比40/30/30の混合物
なお、表1中に、実施例1等の配合成分を記載するが、(G1)、(G2)、(G3)成分については、それぞれ記載を省略する。
(1)光拡散性硬化膜の表面平滑性
得られた光拡散性熱硬化型樹脂組成物を、スクリーン版(ポリエステルメッシュ:300)を用いて、厚さ0.5mmのポリカーボネート板の表面にスクリーン印刷をした。
次いで、オーブンを用いて、90℃、30分間の加熱処理を行い、厚さ10μmの光拡散性硬化膜を作成した。
以下の基準で、ポリカーボネート板上の光拡散性硬化膜の表面状態から、図4に示すように、ハイブリッドレーザーマイクロスコープ(Lasertec社製、80倍)を用いて、光拡散性硬化膜の表面平滑性を視覚的に評価した。
◎:光拡散性硬化膜の表面が極めて均一である。
○:光拡散性硬化膜の表面がほぼ均一である。
△:光拡散性硬化膜の表面に若干凹凸が見られる。
×:光拡散性硬化膜の表面に堅調な凹凸が見られる。
得られたポリカーボネート板上の光拡散性硬化膜のヘイズを、JIS K 7361−1(1997)に準拠し、ヘイズメーターを用いて測定を行い、以下の基準に沿って評価した。
◎:ヘイズが10%以下の値である。
○:ヘイズが30%以下の値である。
△:ヘイズが50%以下の値である。
×:ヘイズが50%を超えた値である。
得られたポリカーボネート板上の光拡散性硬化膜の光沢度につき、JIS Z 8741(1997)に準拠して、グロスメーターを用いて60°入射の鏡面光沢度測定法により測定を行い、以下の基準に沿って評価した。
◎:グロスが90%以上の値である。
○:グロスが85%以上の値である。
△:グロスが80%以上の値である。
×:グロスが80%未満の値である。
JIS−K5600−5−6(1999)に準拠した付着性クロスカット法に準じ、得られたポリカーボネート板に上の光拡散性硬化膜の密着性の評価を行った。
即ち、得られたポリカーボネート板上の光拡散性硬化膜に、1mm幅で10×10(合計100個)の碁盤目をカッターで形成した。
次いで、碁盤目部分にセロハンテープ(登録商標)を貼着し、さらに引き剥がした後、碁盤目の剥離個数から、以下の基準で密着性を評価した。
◎:碁盤目の剥離が0/100個である。
○:碁盤目の剥離が1〜10/100個である。
△:碁盤目の剥離が11〜71/100個である。
×:碁盤目の剥離が70/100以上である。
得られたポリカーボネート板上の光拡散性硬化膜を、恒温恒湿槽に、60℃、95%RH、500時間の条件で裁置した後に、得られた光拡散性硬化膜の色変化を目視で評価した。
◎:特に色変化が観察されない。
○:顕著な色変化は無いが、僅かな光沢の低下が観察される。
△:顕著な色変化が観察される。
×:光拡散性硬化膜の顕著な色変化のみならず、光拡散性硬化膜の膨れや剥離等の外観変化が観察される。
得られたポリカーボネート板上の光拡散性硬化膜を、恒温恒湿槽に、60℃、90%RH、500時間の条件で裁置した後に、JIS−K5600−5−6に準拠して、クロスカット法により密着性を評価した。
◎:碁盤目の剥離が0/100個である。
○:碁盤目の剥離が1〜10/100個である。
△:碁盤目の剥離が11〜71/100個である。
×:碁盤目の剥離が70/100以上である。
JIS K5600−5−1:1999に準拠した円筒形マンドレル法に準じ、直径5〜15mmの鉄棒に光拡散性硬化膜が外側になるように折り返して巻きつけ、その巻きつけた部分の光拡散性硬化膜にクラックが生じるか否かを目視で観察し、以下の評価基準で評価した。
◎:5mmの鉄棒であって、クラックが確認されない。
〇:10mmの鉄棒であって、クラックが確認されない。
△:15mmの鉄棒であって、クラックが確認されない。
×:15mmの鉄棒であっても、クラックが確認される。
実施例2〜4、比較例1〜2において、(A)アクリルポリオール樹脂100重量部
に対する(B)セルロース系樹脂の配合割合を表1に示すように変えたほかは、実施例1と同様に光拡散性硬化膜を形成し、評価した。
すなわち、実施例2では、セルロース系樹脂の配合割合を9重量部から、12重量部に増加させた以外は、実施例1と同様に、光拡散性硬化膜を作成し、評価した。
すなわち、実施例3では、セルロース系樹脂の配合割合を9重量部から5重量部に減少させた以外は、実施例1と同様に、光拡散性硬化膜を作成し、評価した。
すなわち、比較例1では、セルロース系樹脂の配合割合を9重量部から、25重量部に増加させた以外は、実施例1と同様に、光拡散性硬化膜を作成し、評価した。
すなわち、比較例2では、セルロース系樹脂の配合割合を9重量部から1重量部に減少させた以外は、実施例1と同様に、光拡散性硬化膜を作成し、評価した。
実施例5〜8、比較例2〜4において、(A)アクリルポリオール樹脂の種類を、アクリット1000シリーズ1DY−028(大成ファインケミカル株式会社製)に変えるとともに、(B)セルロース系樹脂の種類をセルロースアセテートプロピオネート樹脂(数平均分子量:15000)に変え、(C)イソシアネートをXDI(キシレンジイソシアネート)に変えたほかは、実施例1等と同様に光拡散性硬化膜を形成し、評価した。
それに対して、比較例1〜4においては、各種アクリルポリオール樹脂に対して、セルロース系樹脂の配合量が不均一であって、良好な相溶性が得られず、薄膜形成性、光沢度、ヘイズ、密着性、耐湿熱性、耐屈曲性等の各種評価において満足な結果が得られなかった。
したがって、特に、本発明の光拡散性熱硬化型樹脂組成物を自動車やオートバイなどの車両の計器盤に適用した場合であっても、湿熱等の環境変化の影響を受けることなく、常時視認性に優れた計器盤の構成に寄与することが期待される。
Claims (8)
- 配合成分として、下記(A)〜(D)成分を含有することを特徴とする光拡散性熱硬化型樹脂組成物。
(A)アクリルポリオール樹脂 100重量部
(B)セルロース系樹脂 5〜50重量部
(C)イソシアネート化合物 5〜30重量部
(D)光拡散性樹脂粒子 1〜30重量部 - 前記(A)アクリルポリオール樹脂が、1分子中に1個以上の水酸基及びラジカル重合性二重結合を有するモノマー成分と、それ以外のラジカル重合性二重結合を有するアクリルモノマーとの共重合体であることを特徴とする請求項1に記載の光拡散性熱硬化型樹脂組成物。
- 前記(B)セルロース系樹脂が、セルロースエステル樹脂であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光拡散性熱硬化型樹脂組成物。
- 前記セルロースエステル樹脂が、セルロースアセテートブチレート樹脂及びセルロースアセテートプロピオネート樹脂、あるいは、いずれか一方であることを特徴とする請求項3に記載の光拡散性熱硬化型樹脂組成物。
- 前記(C)イソシアネート化合物が、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート、及び芳香族ジイソシアネートの少なくとも一つであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の光拡散性熱硬化型樹脂組成物。
- 前記(D)光拡散性樹脂粒子が、アクリル系樹脂粒子であって、当該アクリル系樹脂粒子の平均粒子径を0.1〜6μmの範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の光拡散性熱硬化型樹脂組成物。
- (E)成分として、無機微粒子を含有し、当該無機微粒子の配合量を、前記(A)アクリルポリオール100重量部に対して、1〜5重量部の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の光拡散性熱硬化型樹脂組成物。
- 配合成分として、下記(A)〜(D)成分を含有する光拡散性熱硬化型樹脂組成物に由来した、厚さ0.1〜50μmの光拡散性硬化膜を基材上に備えた光拡散板であって、
光沢度が80%以上であり、かつ、ヘイズ(Hz)が30%未満であることを特徴とする光拡散板。
(A)アクリルポリオール樹脂 100重量部
(B)セルロース系樹脂 5〜50重量部
(C)イソシアネート化合物 5〜30重量部
(D)光拡散性樹脂粒子 1〜30重量部
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