JP2020131857A - 車両駆動トルク制御装置 - Google Patents

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哲平 吉岡
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直人 加藤
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孝吉 河井
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亮祐 池村
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大士 渡辺
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Abstract

【課題】駆動力を車両の駆動輪に伝達するシャフトに生じた捻れ量を応答性良く低減できる車両駆動トルク制御装置を提供する。【解決手段】本発明に係る車両駆動トルク制御装置は、第1トルク伝達系に配設された係合機構を係合完了状態に制御している場合、第1ドライブシャフトの捻れ量を低減するための制振トルクを第1モータから第1トルク伝達系に入力する。一方、本発明に係る車両駆動トルク制御装置は、係合機構を係合解除状態から係合完了状態に移行させている途中においては、第1ドライブシャフトの捻れ量を低減するための制振トルクを第2モータから第2トルク伝達系に入力する。【選択図】図7

Description

本発明は、車両駆動トルク制御装置に関する。
内燃機関と駆動輪との間のシャフトに油圧式クラッチが介装された車両が知られている。こうした車両において、クラッチからシャフトに入力されるトルクの変動によりクラッチ下流のシャフトに捻れが生じることがある。この捻れに起因して車両がその前後方向に振動することがある。そこで、クラッチに印加される油圧を制御してクラッチをスリップさせることにより、クラッチ下流のシャフトに生じる捻れ量を低減し、それにより、前後方向における車両の振動を防止するようにした車両も知られている(例えば、特許文献1を参照。)。
特開2017−137883号公報
クラッチに印加される油圧の制御応答性は、比較的低い。従って、上述したように、クラッチに印加される油圧を制御してクラッチをスリップさせることにより、クラッチ下流のシャフトに生じる捻れ量を低減するようになっている場合、捻れ量を応答性良く低減できない可能性がある。
本発明は、上述した課題に対処するためになされたものである。即ち、本発明の目的の1つは、駆動力を車両の駆動輪に伝達するシャフトに生じた捻れ量を応答性良く低減できる車両駆動トルク制御装置を提供することにある。
本発明に係る車両駆動トルク制御装置は、内燃機関(10)、第1モータ(11)、第2モータ(12)、係合機構(16)、及び、制御手段(90)を備えている。
前記内燃機関(10)は、車両の駆動輪である第1駆動輪(100RL、100RR)に接続された第1ドライブシャフト(41)を含む第1トルク伝達系を介して前記第1駆動輪にトルクを入力することができるように配設されている。
前記第1モータ(11)は、前記内燃機関(10)と前記第1駆動輪(100RL、100RR)との間において前記第1トルク伝達系にトルクを入力することができるように配設されている。
前記第2モータ(12)は、前記第1駆動輪とは異なる前記車両の駆動輪である第2駆動輪(100FL、100FR)に接続された第2ドライブシャフト(42)を含む第2トルク伝達系を介して前記第2駆動輪にトルクを入力することができるように配設されている。
前記係合機構(16)は、前記第1モータ(11)と前記第1駆動輪(100RL、100RR)との間において前記第1トルク伝達系に配設されている。又、前記係合機構(16)は、前記第1トルク伝達系のトルク伝達経路が確立されている係合完了状態と前記トルク伝達経路が遮断されている係合解除状態との何れかの状態に制御される。
前記制御手段(90)は、前記内燃機関(10)の運転状態、前記第1モータ(11)の駆動状態、前記第2モータ(12)の駆動状態及び前記係合機構(16)の作動状態を制御する。
前記制御手段(90)は、前記係合機構(16)を前記係合完了状態に制御している場合(図4のステップ440の処理が行われている場合を参照。)、前記第1ドライブシャフト(41)の捻れ量を低減するための制振トルク(Tdam1)を前記第1モータ(11)から前記第1トルク伝達系に入力する(図6のステップ630の処理を参照。)ように構成されている。
一方、前記制御手段(90)は、前記係合機構(16)を前記係合解除状態から前記係合完了状態に移行させている途中においては(図4のステップ410にて「No」と判定される場合を参照。)、前記第1ドライブシャフト(41)の捻れ量を低減するための制振トルク(Ttrans)を前記第2モータ(12)から前記第2トルク伝達系に入力する(図7のステップ770の処理を参照。)ように構成されている。
係合機構が係合解除状態から係合完了状態に移行する途中にある場合、即ち、係合機構が係合完了状態に制御されていない場合、第1モータから第1トルク伝達系に制振トルクを入力させても、その制振トルクは、第1ドライブシャフトに応答性良く伝達されない。従って、第1ドライブシャフトに生じた捻れを第1モータから第1トルク伝達系への制振トルクの入力により低減させようとしても、第1ドライブシャフトに生じた捻れを応答性良く低減させることができない。
本発明に係る車両駆動トルク制御装置によれば、係合機構が係合解除状態から係合完了状態に移行する途中にある場合、第2モータから第2トルク伝達系に制振トルクが入力される。第2モータから第2トルク伝達系に入力された制振トルクは、第2ドライブシャフト及び車両の車体等を介して第1ドライブシャフトに入力される。これにより、第1ドライブシャフトに生じた捻れが低減される。しかも、第2モータの制御応答性は高い。このため、係合機構が係合解除状態から係合完了状態に移行する途中にある場合において、第1ドライブシャフトに生じた捻れを応答性良く低減することができる。
上記説明においては、発明の理解を助けるために、実施形態に対応する発明の構成に対して、実施形態で用いた符号を括弧書きで添えているが、発明の各構成要素は、前記符号によって規定される実施形態に限定されるものではない。本発明の他の目的、他の特徴及び付随する利点は、以下の図面を参照しつつ記述される本発明の実施形態についての説明から容易に理解されるであろう。
図1は、本発明の実施形態に係る車両駆動トルク制御装置が適用される車両を示した図である。 図2は、本発明の実施形態に係る車両駆動トルク制御装置を示した図である。 図3の(A)は、EVモード制御又はHVモード制御が行われているときに第2制振トルクを用いて目標第2モータトルクを設定する処理を説明するための図であり、図3の(B)は、HVモード制御が行われているときに第1制振トルクを用いて目標第1モータトルクを設定する処理を説明するための図であり、図3の(C)は、過渡モード制御が行われているときに過渡制振トルクを用いて目標第2モータトルクを設定する処理を説明するための図である。 図4は、図2に示したECUのCPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。 図5は、図2に示したECUのCPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。 図6は、図2に示したECUのCPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。 図7は、図2に示したECUのCPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態に係る車両駆動トルク制御装置(以下、「実施装置」と称呼する。)について説明する。
実施装置は、図1に示した車両100に適用される。実施装置は、図2に示したように、ECU90を備える。ECUは、エレクトロニックコントロールユニットの略称である。ECU90は、マイクロコンピュータを主要部として備える。マイクロコンピュータは、CPU、ROM、RAM、不揮発性メモリ及びインターフェース等を含む。CPUは、ROMに格納されたインストラクション(プログラム、ルーチン)を実行することにより各種機能を実現するようになっている。
図1に示したように、実施装置は、車両100に適用される。車両100には、内燃機関10、第1モータジェネレータ11、第2モータジェネレータ12、制振ダンパ13、及び、トランスミッション14が搭載されている。
以下、内燃機関10を「機関10」と称呼し、第1モータジェネレータ11を「第1モータ11」と称呼し、第2モータジェネレータ12を「第2モータ12」と称呼する。
機関10は、機関出力シャフト20を介してトランスミッション14に接続されている。制振ダンパ13は、機関出力シャフト20に介装されている。本例において、機関10は、圧縮着火式の内燃機関(いわゆるディーゼルエンジン)であるが、火花点火式の内燃機関(いわゆるガソリンエンジン)であってもよい。
第1モータ11は、制振ダンパ13とトランスミッション14との間において機関出力シャフト20に介装されている。より具体的には、第1モータ11は、そのロータ(図示略)が制振ダンパ13とトランスミッション14との間において機関出力シャフト20に配設される形で機関出力シャフト20に設けられている。
トランスミッション14は、第1プロペラシャフト21及び第1デファレンシャルギア31を介して第1ドライブシャフト41に接続されている。第1ドライブシャフト41は、その一端において車両100の左後輪100RLに接続されており、その他端において車両100の右後輪100RRに接続されている。
<内燃機関>
図2に示したように、機関10は、燃料噴射弁15を備えている。燃料噴射弁15は、ECU90に接続されている。燃料噴射弁15の作動は、ECU90によって制御される。ECU90は、燃料噴射弁15の作動を制御することにより、燃料噴射弁15から噴射される燃料の量を制御し、それにより、機関10から機関出力シャフト20に入力されるトルクを制御することができる。即ち、ECU90は、燃料噴射弁15の作動を制御することにより、機関10の運転状態を制御することができる。
機関10が運転されると、機関10から機関出力シャフト20にトルクが入力される。機関10から機関出力シャフト20に入力されたトルクは、機関出力シャフト20及び制振ダンパ13を介してトランスミッション14に入力される。
以下、燃料噴射弁15から噴射される燃料の量を「燃料噴射量Q」と称呼し、機関10から機関出力シャフト20に入力されるトルク(即ち、機関10から出力されるトルク)を「機関トルクTeng」と称呼する。
<トランスミッション>
トランスミッション14は、変速を行う装置であり、図2に示したように、いわゆるクラッチである係合機構16を内蔵している。係合機構16は、係合解除状態と係合完了状態との何れかの状態に制御されるようになっている。係合機構16は、係合解除状態に制御されている場合、機関出力シャフト20からトランスミッション14にトルクが入力されても、そのトルクを第1プロペラシャフト21には伝達又は入力しない。一方、係合機構16は、係合完了状態に制御されている場合、機関出力シャフト20からトランスミッション14に入力されたトルクを第1プロペラシャフト21に伝達又は入力する。
トランスミッション14から第1プロペラシャフト21に入力されたトルクは、第1デファレンシャルギア31及び第1ドライブシャフト41を介して左後輪100RL及び右後輪100RRにそれぞれ入力される。これにより、左後輪100RL及び右後輪100RRに回転力が与えられ、それにより、車両100が走行する。従って、左後輪100RL及び右後輪100RRは、それぞれ、車両100の駆動輪である。
以下、トランスミッション14から第1プロペラシャフト21に入力されたトルクを「第1プロペラトルクTps1」と称呼する。
係合機構16は、ECU90に電気的に接続されている。ECU90は、係合機構16を係合解除状態と係合完了状態との何れかの状態に制御することができる。
<第1モータ>
図2に示したように、第1モータ11は、パワーコントロールユニット17を介してバッテリ18に電気的に接続されている。パワーコントロールユニット17は、ECU90に電気的に接続されている。パワーコントロールユニット17は、インバータ(図示略)を備えている。ECU90は、パワーコントロールユニット17のインバータの作動を制御することにより、バッテリ18から第1モータ11に供給される電力量を制御し、それにより、第1モータ11から機関出力シャフト20に入力されるトルクを制御することができる。即ち、ECU90は、パワーコントロールユニット17のインバータの作動を制御することにより、第1モータ11の駆動状態を制御することができる。
第1モータ11が駆動されると、第1モータ11から機関出力シャフト20にトルクが入力される。第1モータ11から機関出力シャフト20に入力されたトルクは、機関出力シャフト20を介してトランスミッション14に入力される。
以下、第1モータ11から出力されるトルクを「第1モータトルクTmg1」と称呼する。
尚、第1モータ11のロータが機関トルクTengにより回転されている状態においては、第1モータ11は、電動機としてではなく、発電機として働く。この場合、第1モータ11は、電力を発生する。第1モータ11が発生した電力は、パワーコントロールユニット17を介してバッテリ18に充電される。
<第1トルク伝達系>
本例においては、機関出力シャフト20、トランスミッション14、第1プロペラシャフト21、第1デファレンシャルギア31及び第1ドライブシャフト41等により、機関トルクTeng及び第1モータトルクTmg1を後輪100RL及び100RRに伝達するための第1トルク伝達系が形成されている。トランスミッション14の係合機構16が係合完了状態に制御されている場合、第1トルク伝達系のトルク伝達経路が確立されている。一方、係合機構16が係合解除状態に制御されている場合、第1トルク伝達系のトルク伝達経路が遮断されている。
<第2モータ>
図1に示したように、第2モータ12は、第2プロペラシャフト22及び第2デファレンシャルギア32を介して第2ドライブシャフト42に接続されている。第2ドライブシャフト42は、その一端において車両100の左前輪100FLに接続されており、その他端において車両100の右前輪100FRにそれぞれ接続されている。
図2に示したように、第2モータ12は、パワーコントロールユニット17を介してバッテリ18に電気的に接続されている。ECU90は、パワーコントロールユニット17のインバータを制御することにより、バッテリ18から第2モータ12に供給される電力量を制御し、それにより、第2モータ12から第2プロペラシャフト22に入力されるトルクを制御することができる。即ち、ECU90は、パワーコントロールユニット17のインバータの作動を制御することにより、第2モータ12の駆動状態を制御することができる。
第2モータ12が駆動されると、第2モータ12から第2プロペラシャフト22にトルクが入力される。第2モータ12から第2プロペラシャフト22に入力されたトルクは、第2デファレンシャルギア32及び第2ドライブシャフト42を介して左前輪100FL及び右前輪100FRそれぞれに入力される。これにより、左前輪100FL及び右前輪100FRに回転力が与えられ、それにより、車両100が走行する。従って、左前輪100FL及び右前輪100FRは、車両100の駆動輪である。
以下、第2モータ12から出力されるトルクを「第2モータトルクTmg2」と称呼し、第2モータ12から第2プロペラシャフト22に入力されたトルクを「第2プロペラトルクTps2」と称呼する。
<第2トルク伝達系>
本例においては、第2プロペラシャフト22、第2デファレンシャルギア32及び第2ドライブシャフト42等により、第2モータトルクTmg2を前輪100FL及び100FRに伝達するための第2トルク伝達系が形成されている。
<センサ>
図2に示したように、車両100には、アクセルペダル19の操作量APを検出するアクセルペダル操作量センサ81が搭載されている。アクセルペダル操作量センサ81は、ECU90に電気的に接続されている。アクセルペダル操作量センサ81は、アクセルペダル19の操作量APを検出し、その検出した操作量APを表す信号をECU90に送信する。ECU90は、その信号に基づいてアクセルペダル19の操作量APをアクセルペダル操作量APとして取得する。
更に、機関10には、そのクランクシャフト(図示略)が所定角度だけ回転する毎にパルス信号を発信するクランク角センサ82が取り付けられている。クランク角センサ82は、ECU90に電気的に接続されている。クランク角センサ82は、パルス信号をECU90に送信する。ECU90は、そのパルス信号等に基づいてクランクシャフトの回転速度を機関回転速度NEとして取得する。
更に、車両100には、第1プロペラシャフト21の回転速度Rps1を検出する第1回転速度センサ91が搭載されている。第1回転速度センサ91は、ECU90に電気的に接続されている。第1回転速度センサ91は、第1プロペラシャフト21の回転速度Rps1を検出し、その検出した回転速度Rps1を表す信号をECU90に送信する。ECU90は、その信号に基づいて第1プロペラシャフト21の回転速度Rps1を第1回転速度Rps1として取得する。
更に、車両100には、第2プロペラシャフト22の回転速度Rps2を検出する第2回転速度センサ92が搭載されている。第2回転速度センサ92は、ECU90に電気的に接続されている。第2回転速度センサ92は、第2プロペラシャフト22の回転速度Rps2を検出し、その検出した回転速度Rps2を表す信号をECU90に送信する。ECU90は、その信号に基づいて第2プロペラシャフト22の回転速度Rps2を第2回転速度Rps2として取得する。更に、ECU90は、取得した第2回転速度Rps2等に基づいて車両100の速度Vmを車速Vmとして取得する。
<実施装置の作動の概要>
次に、実施装置の作動の概要について説明する。実施装置は、アクセルペダル操作量AP及び車速Vm等に基づいて第1ドライブシャフト41又は第2ドライブシャフト42に入力されるべきトルクを要求駆動トルクTreqとして取得する。更に、実施装置は、要求駆動トルクTreq等に基づいて第2プロペラシャフト22に入力されるべき第2モータトルクTmg2を要求モータトルクTmg_reqとして取得する。
<EVモード制御>
実施装置は、要求モータトルクTmg_reqが閾値トルクTmg2_th以下である場合、第2モータトルクTmg2のみにより車両100を走行させるEVモード制御を行う。EVモード制御は、車両100を走行させるための走行制御の1つである。
実施装置は、EVモード制御を行う場合、要求モータトルクTmg_reqに等しいトルクを要求第2モータトルクTmg2_reqとして設定する。実施装置は、設定した要求第2モータトルクTmg2_reqから後述する第2制振トルクTdam2を減じて得られるトルクを目標第2モータトルクTmg2_tgt(=Tmg2_req−Tdam2)として取得する。そして、実施装置は、第2モータトルクTmg2が目標第2モータトルクTmg2_tgtとなるように第2モータ12の駆動状態を制御する。
上記閾値トルクTmg2_thは、第2モータ12が出力可能なトルクの上限値Tmg2_limit(以下、「第2モータトルク上限値Tmg2_limit」と称呼する。)よりも所定値ΔTmg2だけ小さいトルクに設定されている。所定値ΔTmg2は、少なくとも、後述する第2制振トルクTdam2として取得される可能性のあるトルクの最大値以上の値である。又、第2モータトルク上限値Tmg2_limitは、車速Vmに応じて変化する値であり、車速Vmが高くなるほど小さくなる。別の言い方をすれば、第2モータトルク上限値Tmg2_limitは、第2モータ12の回転速度Rmg2に応じて変化する値であり、第2モータ12の回転速度Rmg2が大きくなるほど小さくなる。
又、第2制振トルクTdam2は、ゼロよりも大きい値だけでなく、ゼロよりも小さい値をとることもあり、又、ゼロの値をとることもある。第2制振トルクTdam2がゼロよりも大きい値である場合、目標第2モータトルクTmg2_tgtは、要求第2モータトルクTmg2_reqよりも小さい値となる。一方、第2制振トルクTdam2がゼロよりも小さい値である場合、目標第2モータトルクTmg2_tgtは、要求第2モータトルクTmg2_reqよりも大きい値となる。一方、第2制振トルクTdam2がゼロである場合、目標第2モータトルクTmg2_tgtは、要求第2モータトルクTmg2_reqと等しい値となる。
尚、実施装置は、EVモード制御を行う場合、トランスミッション14の係合機構16を係合解除状態に制御している。
又、実施装置は、EVモード制御を行っているときにバッテリ18に電力を充電する必要が生じた場合、係合機構16を係合解除状態に制御した状態で機関10を運転させることにより第1モータ11のロータを回転させ、それにより、第1モータ11に電力を発生させ、その電力をバッテリ18に充電する。
従って、実施装置は、EVモード制御を行う場合、バッテリ18に電力を充電する必要がない限り、機関10の運転を停止させている。
<HVモード制御>
一方、要求モータトルクTmg_reqが閾値トルクTmg2_thよりも大きい場合、実施装置は、第2モータトルクTmg2と機関トルクTengとにより車両100を走行させるHVモード制御を行う。HVモード制御は、車両100を走行させる走行制御の1つである。
本例においては、実施装置は、HVモード制御を行う場合、閾値トルクTmg2_thに等しいトルクを要求第2モータトルクTmg2_reqとして設定する。実施装置は、設定した要求第2モータトルクTmg2_reqから後述する第2制振トルクTdam2を減じて得られるトルクを目標第2モータトルクTmg2_tgt(=Tmg2_req−Tdam2)として取得する。
更に、実施装置は、設定した要求第2モータトルクTmg2_reqに等しいトルクが第2プロペラシャフト22に入力されたときに第2ドライブシャフト42に入力されるトルクを第2ドライブトルクTds2として取得する。実施装置は、取得した第2ドライブトルクTds2を要求駆動トルクTreqから減じて得られるトルクを要求第1ドライブトルクTds1_req(=Treq−Tds2)として取得する。要求第1ドライブトルクTds1_reqは、第1ドライブシャフト41に入力されるべきトルクである。実施装置は、要求第1ドライブトルクTds1_req等に基づいて機関10から出力させるべきトルクTengを目標機関トルクTeng_tgtとして取得する。
実施装置は、第2モータトルクTmg2が目標第2モータトルクTmg2_tgtとなるように第2モータ12の駆動状態を制御する。加えて、実施装置は、機関トルクTengが目標機関トルクTeng_tgtとなるように機関10の運転状態を制御する。より具体的には、目標機関トルクTeng_tgt及び機関回転速度NE等に基づいて目標機関トルクTeng_tgtを達成できる燃料噴射量Qを目標燃料噴射量Qtgtとして取得し、燃料噴射量Qが目標燃料噴射量Qtgtとなるように燃料噴射弁15の作動を制御する。
更に、実施装置は、HVモード制御を行う場合、後述する第1制振トルクTdam1を目標第1モータトルクTmg1_tgtとして取得する。目標第1モータトルクTmg1_tgtは、第1モータ11から機関出力シャフト20に入力するべきトルクである。そして、実施装置は、第1モータトルクTmg1が目標第1モータトルクTmg1_tgtとなるように第1モータ11の駆動状態を制御する。第1制振トルクTdam1は、ゼロよりも大きい値だけでなく、ゼロよりも小さい値をとることもあり、又、ゼロの値をとることもある。
尚、実施装置は、HVモード制御を行う場合、トランスミッション14の係合機構16を係合完了状態に制御している。
又、本例においては、実施装置は、HVモード制御を行う場合、閾値トルクTmg2_thに等しいトルクを要求第2モータトルクTmg2_reqとして設定している。しかしながら、実施装置は、閾値トルクTmg2_thよりも小さいトルクを要求第2モータトルクTmg2_reqとして設定するように構成されてもよい。
<過渡モード制御>
ところで、要求モータトルクTmg_reqが閾値トルクTmg2_th以下の値から閾値トルクTmg2_thよりも大きい値に変化した場合、実施装置は、走行制御をEVモード制御からHVモード制御に切り替える必要がある。このとき、実施装置は、係合機構16を係合解除状態から係合完了状態に移行させる必要がある。実施装置は、走行制御をEVモード制御からHVモード制御に切り替える場合、走行制御をEVモード制御から以下に述べる過渡モード制御に切り替える。そして、その過渡モード制御により係合機構16が係合完了状態になったとき、実施装置は、走行制御を過渡モード制御からHVモード制御に切り替える。
実施装置は、過渡モード制御を行う場合、まず、第2モータトルクTmg2のみにより車両100を走行させている状態で、係合機構16を係合解除状態に維持しつつ機関10を始動させる処理(以下、「機関始動処理」と称呼する。)を行う。この機関始動処理は、第1モータ11を駆動させてその第1モータ11の回転により機関10のクランクシャフト(図示略)を回転させつつ燃料噴射弁15からの燃料の噴射を開始し、機関10を自立運転可能な状態に移行させる処理である。
機関10が自立運転可能な状態になった場合(即ち、機関10の始動が完了した場合)、実施装置は、HVモード制御と同様にして目標機関トルクTeng_tgtを取得し、機関トルクTengが目標機関トルクTeng_tgtとなるように機関10の運転状態を制御する。
更に、機関10が自立運転可能な状態になった場合(即ち、機関10の始動が完了した場合)、実施装置は係合機構16を係合解除状態から係合完了状態に移行させ始める。
実施装置は、係合機構16を係合解除状態から係合完了状態へと移行させ始めるまでは、閾値トルクTmg2_thに等しいトルクを要求第2モータトルクTmg2_reqとして設定する。そして、実施装置は、設定した要求第2モータトルクTmg2_reqから後述する第2制振トルクTdam2を減じて得られるトルクを目標第2モータトルクTmg2_tgt(=Tmg2_req−Tdam2)として取得し、第2モータトルクTmg2が目標第2モータトルクTmg2_tgtとなるように第2モータ12の駆動状態を制御する。
一方、実施装置は、係合機構16を係合解除状態から係合完了状態へと移行させ始めてから、係合機構16が係合完了状態に移行するまでは、閾値トルクTmg2_thに等しいトルクを要求第2モータトルクTmg2_reqとして設定する。そして、実施装置は、設定した要求第2モータトルクTmg2_reqから後述する過渡制振トルクTtransを減じて得られるトルクを目標第2モータトルクTmg2_tgt(=Tmg2_req−Ttrans))として取得し、第2モータトルクTmg2が目標第2モータトルクTmg2_tgtとなるように第2モータ12の駆動状態を制御する。
<制振トルク>
次に、第1制振トルクTdam1、第2制振トルクTdam2及び過渡制振トルクTtransについて説明する。
第1プロペラトルクTps1が変動すると、第1ドライブシャフト41に捻れが生じる。このように第1ドライブシャフト41に捻れが生じると、車両100がその前後方向に振動することがある。同様に、第2プロペラトルクTps2が変動すると、第2ドライブシャフト42に捻れが生じる。このように第2ドライブシャフト42に捻れが生じると、車両100がその前後方向に振動することがある。車両100がその前後方向に振動すると、車両100の運転者に不快感を与えてしまう可能性がある。
そこで、実施装置は、車両100がその前後方向に振動することを防止するために以下に述べるようにして第1制振トルクTdam1、第2制振トルクTdam2及び過渡制振トルクTtransを取得する。
<第2制振トルク>
第2制振トルクTdam2は、第2ドライブシャフト42の捻れに起因する前輪100FL及び100FRの回転速度Rff及びRfrの変動を抑制するために第2プロペラシャフト22に入力されるべきトルクである。
実施装置は、図3の(A)に示したように、目標第2モータトルクTmg2_tgt及び第2回転速度Rps2を入力とし且つ推定第2車輪速Rwh2_estを出力とする状態観測器としてのオブザーバー52を備えている。推定第2車輪速Rwh2_estは、左前輪100FLの回転速度Rflと右前輪100FRの回転速度Rfrとの平均値の推定値である。
以下、オブザーバー52を「第2オブザーバー52」と称呼する。
実施装置は、EVモード制御又はHVモード制御を行っている場合、第2オブザーバー52から出力される推定第2車輪速Rwh2_estを第2回転速度Rps2から減じて得られる値を第2回転速度偏差ΔR2として取得する。第2回転速度偏差ΔR2は、第2ドライブシャフト42の捻れ量を表すパラメータである。
実施装置は、第2回転速度偏差ΔR2に予め定められた第2ゲインを適用して第2制振トルクTdam2を取得する。
先に述べたように、実施装置は、EVモード制御を行っている場合、要求第2モータトルクTmg2_reqから第2制振トルクTdam2を減じて得られるトルクを目標第2モータトルクTmg2_tgt(=Tmg2_req−Tdam2)として取得する。そして、実施装置は、第2モータトルクTmg2が目標第2モータトルクTmg2_tgtとなるように第2モータ12の駆動状態を制御する。
これにより、EVモード制御又はHVモード制御が行われているときに第2ドライブシャフト42の捻れに起因する前輪100FL及び100FRの回転速度Rfl及びRfrの変動を抑制するためのトルク(即ち、第2制振トルクTdam2)が第2ドライブシャフト42に入力される。このため、第2ドライブシャフト42の捻れを低減することができ、その結果、車両100の前後方向における振動を小さくすることができる。
<第1制振トルク>
第1制振トルクTdam1は、第1ドライブシャフト41の捻れに起因する後輪100RL及び100RRの回転速度Rrl及びRrrの変動を抑制するために機関出力シャフト20に入力されるべきトルクである。
実施装置は、図3の(B)に示したように、目標機関トルクTeng_tgt、目標第1モータトルクTmg1_tgt及び第1回転速度Rps1を入力とし且つ推定第1車輪速Rwh1_estを出力とする状態観測器としてのオブザーバー51を備えている。推定第1車輪速Rwh1_estは、左後輪100RLの回転速度Rrlと右後輪100RRの回転速度Rrrとの平均値の推定値である。
以下、オブザーバー51を「第1オブザーバー51」と称呼する。
実施装置は、HVモード制御を行っている場合、第1オブザーバー51から出力される推定第1車輪速Rwh1_estを第1回転速度Rps1から減じて得られる値を第1回転速度偏差ΔR1(=Rps1−Rwh1_est)として取得する。第1回転速度偏差ΔR1は、第1ドライブシャフト41の捻れ量を表すパラメータである。
実施装置は、第1回転速度偏差ΔR1に予め定められた第1ゲインを適用して第1制振トルクTdam1を取得する。
先に述べたように、実施装置は、HVモード制御を行っている場合、第1制振トルクTdam1を目標第1モータトルクTmg1_tgtとして取得する。そして、実施装置は、第1モータトルクTmg1が目標第1モータトルクTmg1_tgtとなるように第1モータ11の駆動状態を制御する。
これにより、HVモード制御が行われているときに第1ドライブシャフト41の捻れに起因する後輪100RL及び100RRの回転速度Rrl及びRrrの変動を抑制するためのトルク(即ち、第1制振トルクTdam1)が第1ドライブシャフト41に入力される。このため、第1ドライブシャフト41の捻れを低減することができ、その結果、車両100の前後方向における振動を小さくすることができる。
<過渡制振トルク>
過渡制振トルクTtransは、第1ドライブシャフト41の捻れに起因する後輪100RL及び100RRの回転速度Rrl及びRrrの変動を抑制するために第2プロペラシャフト22に入力されるべきトルクである。
実施装置は、図3の(C)に示したように、第1プロペラトルクTps1、目標第2モータトルクTmg2_tgt及び第1回転速度Rps1を入力とし且つ推定第1車輪速Rwh1_estを出力とする状態観測器としてのオブザーバー53を備えている。
以下、オブザーバー53を「過渡オブザーバー53」と称呼する。
実施装置は、過渡モード制御を行っている場合、過渡オブザーバー53から出力される推定第1車輪速Rwh1_estを第1回転速度Rps1から減じて得られる値を第1回転速度偏差ΔR1(=Rps1−Rwh1_est)として取得する。先に述べたように、第1回転速度偏差ΔR1は、第1ドライブシャフト41の捻れ量を表すパラメータである。
過渡制振トルクTtransは、第2モータ12から第2プロペラシャフト22に入力されるトルクであって、第1ドライブシャフト41の捻れを低減させるためのトルクである。ここで、第2モータ12から第2プロペラシャフト22に入力された過渡制振トルクTtransが第1ドライブシャフト41に入力されるまでには、一定の時間を要する。そこで、過渡制振トルクTtransが第1ドライブシャフト41の捻れを有効に低減することができるように、実施装置は、第1回転速度偏差ΔR1に位相補償処理を施す。そして、実施装置は、位相補償処理を施した第1回転速度偏差ΔR1に予め定められた過渡ゲインを適用して過渡制振トルクTtransを演算する。
先に述べたように、実施装置は、過渡モード制御を行っている場合、要求第2モータトルクTmg2_reqから過渡制振トルクTtransを減じて得られる値を目標第2モータトルクTmg2_tgt(=Tmg2_req−Ttrans)として取得する。そして、実施装置は、第2モータトルクTmg2が目標第2モータトルクTmg2_tgtとなるように第2モータ12の駆動状態を制御する。
尚、過渡モード制御が行われているときの第1制振トルクTdam1は、ゼロである。
係合機構16が係合解除状態から係合完了状態に移行されている途中においては、第1ドライブシャフト41の捻れ量を低減するために第1制振トルクTdam1を機関出力シャフト20に入力しても、係合機構16が係合完了状態になっていないため、第1ドライブシャフト41の捻れ量を応答性良く低減することができない。
一方、実施装置によれば、係合機構16の作動状態が係合解除状態から係合完了状態に移行している途中においては、第1ドライブシャフト41の捻れ量を低減するために過渡制振トルクTtransが第2プロペラシャフト22に入力される。第2プロペラシャフト22に入力された過渡制振トルクTtransは、第2デファレンシャルギア32、第2ドライブシャフト42、前輪100FL及び100FRに設けられたサスペンション(図示略)、車両100の車体、及び、後輪100RL及び100RRに設けられたサスペンション(図示略)を介して第1ドライブシャフト41に入力される。
従って、第1ドライブシャフト41の捻れ量を低減することができる。そして、第2モータトルクTmg2の制御応答性が高いことから、第1ドライブシャフト41の捻れ量を応答性良く低減することができる。
<実施装置の具体的な作動>
次に、実施装置の具体的な作動について説明する。実施装置のECU90のCPUは、図4にフローチャートにより示したルーチンを所定時間の経過毎に実行するようになっている。従って、所定のタイミングになると、CPUは、図4のステップ400から処理を開始してステップ410に進み、過渡フラグXtransの値が「0」であるか否かを判定する。
過渡フラグXtransの値は、走行制御をEVモード制御からHVモード制御に切り替える必要が生じたときに「1」に設定され、走行制御がEVモード制御からHVモード制御に切り替えられたとき(即ち、係合機構16が係合解除状態から係合完了状態に移行したとき)に「0」に設定される。
過渡フラグXtransの値が「0」である場合、CPUは、ステップ410にて「Yes」と判定してステップ420に進み、要求モータトルクTmg_reqが閾値トルクTmg2_thよりも小さいか否かを判定する。
要求モータトルクTmg_reqが閾値トルクTmg2_thよりも小さい場合、CPUは、ステップ420にて「Yes」と判定してステップ430に進み、図5にフローチャートにより示したルーチンを実行することにより、先に述べたEVモード制御を行う。
従って、CPUは、ステップ430に進むと、図5のステップ500から処理を開始し、以下に述べるステップ510乃至ステップ530の処理を順に行う。その後、CPUは、ステップ540に進む。
ステップ510:CPUは、先に述べたようにして第2制振トルクTdam2を取得する。
ステップ520:CPUは、先に述べたようにして第2制振トルクTdam2を用いて目標第2モータトルクTmg2_tgtを取得する。
ステップ530:CPUは、第2モータトルクTmg2が目標第2モータトルクTmg2_tgtとなるように第2モータ12の駆動状態を制御する。
CPUは、ステップ540に進むと、係合解除フラグXreleaseの値が「0」であるか否かを判定する。係合解除フラグXreleaseの値は、係合機構16が係合解除状態になっているときに「1」に設定され、係合機構16が係合解除状態になっていないときに「0」に設定される。
係合解除フラグXreleaseの値が「0」である場合、CPUは、ステップ540にて「Yes」と判定し、以下に述べるステップ550の処理を行う。その後、CPUは、ステップ595を経由して図4のステップ495に進み、本ルーチンを一旦終了する。
ステップ550:CPUは、係合機構16の作動状態が係合解除状態となるように係合機構16の作動状態を制御する係合解除処理を行う。
CPUが図4のステップ420の処理を実行する時点において要求モータトルクTmg_reqが閾値トルクTmg2_th以上である場合、CPUは、ステップ420にて「No」と判定してステップ440に進み、図6にフローチャートにより示したルーチンを実行することにより、先に述べたHVモード制御を行う。
従って、CPUは、ステップ440に進むと、図6のステップ600から処理を開始し、以下に述べるステップ610乃至ステップ630の処理を順に行う。その後、CPUは、ステップ695を経由して図4のステップ495に進み、本ルーチンを一旦終了する。尚、CPUが図6に示したルーチンを行うときには、係合機構16は、係合完了状態に制御されている。
ステップ610:CPUは、先に述べたようにして第2制振トルクTdam2を取得すると共に第1制振トルクTdam1を取得する。
ステップ620:CPUは、先に述べたようにして第2制振トルクTdam2を用いて目標第2モータトルクTmg2_tgtを取得する。更に、CPUは、先に述べたようにして目標機関トルクTeng_tgtを取得する。加えて、CPUは、先に述べたようにして第1制振トルクTdam1を用いて目標第1モータトルクTmg1_tgtを取得する。
ステップ630:CPUは、第2モータトルクTmg2が目標第2モータトルクTmg2_tgtとなるように第2モータ12の駆動状態を制御する。更に、CPUは、機関トルクTengを目標機関トルクTeng_tgtとすることができる燃料噴射量Qを目標燃料噴射量Qtgtとして取得し、燃料噴射量Qが目標燃料噴射量Qtgtとなるように燃料噴射弁15の作動を制御する。加えて、CPUは、第1モータトルクTmg1が目標第1モータトルクTmg1_tgtとなるように第1モータ11の駆動状態を制御する。
CPUが図4のステップ410の処理を実行する時点において過渡フラグXtransの値が「1」である場合、CPUは、ステップ410にて「No」と判定してステップ450に進み、図7にフローチャートにより示したルーチンを実行することにより、先に述べた過渡モード制御を行う。
従って、CPUは、ステップ450に進むと、図7のステップ700から処理を開始してステップ710に進み、機関始動完了フラグXstartの値が「0」であるか否かを判定する。機関始動完了フラグXstartの値は、機関10の始動が完了したときに「1」に設定され、機関10の始動が完了していないときに「0」に設定される。
機関始動完了フラグXstartの値が「0」である場合、CPUは、ステップ710にて「Yes」と判定し、以下に述べるステップ720乃至ステップ740の処理を順に行う。その後、CPUは、ステップ795を経由して図4のステップ495に進み、本ルーチンを一旦終了する。
ステップ720:CPUは、先に述べたようにして第2制振トルクTdam2を取得する。
ステップ730:CPUは、先に述べたようにして第2制振トルクTdam2を用いて目標第2モータトルクTmg2_tgtを取得する。更に、CPUは、目標燃料噴射量Qtgt及び目標第1モータトルクTmg1_tgtを取得する。尚、このときに取得される目標燃料噴射量Qtgt及び目標第1モータトルクTmg1_tgtは、それぞれ、機関10を始動させるために必要な燃料噴射量Q及び第1モータトルクTmg1である。
ステップ740:CPUは、第2モータトルクTmg2が目標第2モータトルクTmg2_tgtとなるように第2モータ12の駆動状態を制御する。更に、CPUは、燃料噴射量Qが目標燃料噴射量Qtgtとなるように燃料噴射弁15の作動を制御すると共に第1モータトルクTmg1が目標第1モータトルクTmg1_tgtとなるように第1モータ11の駆動状態を制御する。
一方、機関始動完了フラグXstartの値が「1」である場合、CPUは、ステップ710にて「No」と判定し、以下に述べるステップ750乃至ステップ780の処理を順に行う。その後、CPUは、ステップ795を経由して図4のステップ495に進み、本ルーチンを一旦終了する。
ステップ750:CPUは、先に述べたようにして過渡制振トルクTtransを取得する。
ステップ760:CPUは、先に述べたようにして過渡制振トルクTtransを用いて目標第2モータトルクTmg2_tgtを取得する。更に、CPUは、先に述べたようにして目標機関トルクTeng_tgtを取得する。
ステップ770:CPUは、第2モータトルクTmg2が目標第2モータトルクTmg2_tgtとなるように第2モータ12の駆動状態を制御する。更に、CPUは、機関トルクTengを目標機関トルクTeng_tgtとすることができる燃料噴射量Qを目標燃料噴射量Qtgtとして取得し、燃料噴射量Qが目標燃料噴射量Qtgtとなるように燃料噴射弁15の作動を制御する。
ステップ780:CPUは、係合機構16の作動状態が係合解除状態から係合完了状態に移行するように係合機構16の作動状態を制御する係合処理を行う。
以上が実施装置の具体的な作動である。実施装置が図4及び図7に示したルーチンを実行することにより、係合機構16の作動状態が係合解除状態から係合完了状態に移行している途中において、第1ドライブシャフト41に生じた捻れ量が第2モータ12から第2プロペラシャフト22に入力される過渡制振トルクTtransにより低減される。従って、第1ドライブシャフト41に生じる捻れ量を応答性良く低減することができる。
尚、本発明は、上記実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。
例えば、左前輪100FLの回転速度Rfl及び右前輪100FRの回転速度Rfrをそれぞれ検出する車輪速センサが車両100に搭載されている場合、第2オブザーバー52から出力される推定第2車輪速Rwh2_estに代えて、車輪速センサによって検出される左前輪100FLの回転速度Rflと右前輪100FRの回転速度Rfrとの平均値を用いてもよい。
同様に、左後輪100RLの回転速度Rrl及び右後輪100RRの回転速度Rrrをそれぞれ検出する車輪速センサが車両100に搭載されている場合、第1オブザーバー51又は過渡オブザーバー53から出力される推定第1車輪速Rwh1_estに代えて、車輪速センサによって検出される左後輪100RLの回転速度Rrlと右後輪100RRの回転速度Rrrとの平均値を用いてもよい。
10…内燃機関、11…第1モータジェネレータ、12…第2モータジェネレータ、14…トランスミッション、16…係合機構、20…機関出力シャフト、21…第1プロペラシャフト、22…第2プロペラシャフト、31…第1デファレンシャルギア、32…第2デファレンシャルギア、41…第1ドライブシャフト、42…第2ドライブシャフト、90…ECU、100…車両、100FL…左前輪、100FR…右前輪、100RL…左後輪、100RR…右後輪

Claims (1)

  1. 車両の駆動輪である第1駆動輪に接続された第1ドライブシャフトを含む第1トルク伝達系を介して前記第1駆動輪にトルクを入力することができるように配設された内燃機関、
    前記内燃機関と前記第1駆動輪との間において前記第1トルク伝達系にトルクを入力することができるように配設された第1モータ、
    前記第1駆動輪とは異なる前記車両の駆動輪である第2駆動輪に接続された第2ドライブシャフトを含む第2トルク伝達系を介して前記第2駆動輪にトルクを入力することができるように配設された第2モータ、
    前記第1モータと前記第1駆動輪との間において前記第1トルク伝達系に配設される係合機構であって、前記第1トルク伝達系のトルク伝達経路が確立されている係合完了状態と前記トルク伝達経路が遮断されている係合解除状態との何れかの状態に制御される係合機構、並びに、
    前記内燃機関の運転状態、前記第1モータの駆動状態、前記第2モータの駆動状態及び前記係合機構の作動状態を制御する制御手段、
    を備えた、車両駆動トルク制御装置において、
    前記制御手段は、
    前記係合機構を前記係合完了状態に制御している場合、前記第1ドライブシャフトの捻れ量を低減するための制振トルクを前記第1モータから前記第1トルク伝達系に入力し、
    前記係合機構を前記係合解除状態から前記係合完了状態に移行させている途中においては、前記第1ドライブシャフトの捻れ量を低減するための制振トルクを前記第2モータから前記第2トルク伝達系に入力する、
    ように構成された、
    車両駆動トルク制御装置。

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