JP2020129852A - ステータの製造方法、回転電機の製造方法、及び回転電機 - Google Patents

ステータの製造方法、回転電機の製造方法、及び回転電機 Download PDF

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Abstract

【課題】ワニスのスロット内充填率を高くすることができる回転電機のステータの製造方法、回転電機の製造方法、及び回転電機を提供する。【解決手段】コイル12が組み付けられたステータコア11の軸線方向の栓部形成領域RPをワニスのゲル化温度以上に加熱し、この加熱を維持した状態で、コイル12にワニスを供給して栓部形成領域RPでワニスの一部をゲル化して栓部を形成し、次に栓部を形成した状態で、更にワニスを供給して充填部形成領域RFを形成すると共に、所定量のワニスを供給した後に、ステータコア11をワニスの硬化温度に加熱し、栓部形成領域RPと充填部形成領域RFのワニスを硬化する。【選択図】図4

Description

本発明は回転電機に係り、特にステータコア及びコイルを熱硬化性樹脂によって固定したステータを備えた回転電機のステータの製造方法、回転電機の製造方法、及び回転電機に関するものである。
例えば、自動車や電車等の車両に搭載される回転電機のステータにおいては、ステータを構成するステータコアとコイルとの間の固定と放熱が必要であり、この固定と放熱のため、熱硬化性樹脂の一種であるワニスをステータコアやコイルとの間の空隙に含浸させて、その後にワニスを加熱して硬化させている。
ワニスは、樹脂材料を溶媒に溶かした溶液であり、このワニスをステータコアやコイルの間の空隙に含浸する方法としては、特開2008−109732号公報(特許文献1)に記載されている方法がある。
この特許文献1においては、ステータコアに装着されたコイルのコイルエンドが上下になる姿勢でステータコアを保持し、ステータコアの全体を前加熱した後に、ステータコアの上側端面から突出する上側コイルエンドの上面からワニスを供給し、所定量のワニスを供給すると、ステータコアの上下位置を反転させて、ステータコアの下側端面から突出する下側コイルエンドの上面から追加のワニスを供給している。
そして、上側コイルエンドの上面からワニスを供給し、上側コイルエンドの上から下へ流下するワニスが、下側コイルエンドの外部に達するより前にワニスがゲル化するようにワニスの供給量が制御されている。
その後、コイルが装着されたステータコアが上下に反転され、ゲル化が始まった付近まで追加のワニスを含浸させてから、追加のワニスのゲル化が始まるように追加のワニスの供給量が制御されている。
したがって、特許文献1においては、コイルエンドの上面からワニスを供給することで、毛細管浸透と重力浸透の効果が得られ、ワニスがコイルエンドを上から下へ向けて速やかに流下することとなる。また、ワニスが順次充填されながらゲル化していくこととなり、これによって安定した含浸状態が得られる。
特開2008−109732号公報
ところで、特許文献1におけるワニスの含浸方法では、ワニスの供給量やステータコアの温度を正確に管理しないと、ワニスがステータコアの下側から流出してしまい、スロット内のワニスの充填率を高い状態に維持できなくなる。このため、ステータコア及びコイルの固定機能、或いは/及び放熱機能が充分に得られないという課題を有している。
更に、特許文献1におけるワニスの含浸方法では、ステータコアを反転させる反転工程が必要であり、ワニスの供給/硬化工程で余分な工程が追加される、といった副次的な課題も有している。
本発明の主たる目的は、スロット内のワニスの充填率を高くすることができる回転電機のステータの製造方法、回転電機の製造方法、及び回転電機を提供することにある。
本発明の第1の特徴は、
ステータコアのスロットにコイルを組み付けた後に、ステータコアの軸線方向でステータコアの一方の第1端部から熱硬化性樹脂であるワニスを供給し、供給されたワニスを硬化させる供給/硬化工程を備え、
この供給/硬化工程は、
コイルが組み付けられたステータコアの軸線方向の所定の特定領域をワニスのゲル化温度以上に加熱する第1工程と、
第1工程での加熱を維持した状態で、コイルにワニスを供給して特定領域でワニスの一部をゲル化して栓部を形成するする第2工程と、
栓部を形成した状態で、更にコイルにワニスを供給して充填部形成領域にワニスの充填部を形成する第3工程と、
所定量のワニスを供給した後に、ステータコアをワニスの硬化温度に加熱し、特定領域と充填部形成領域のワニスを硬化する第4工程とからなる
ステータの製造方法にある。
本発明の第2の特徴は、
ステータコアのスロットにコイルを組み付けた後に、ステータコアの軸線方向でステータコアの一方の第1端部から熱硬化性樹脂であるワニスを供給し、供給されたワニスを硬化させる供給/硬化工程を備え、
この供給/硬化工程は、
コイルが組み付けられたステータコアの軸線方向の所定の特定領域をワニスのゲル化温度以上に加熱する第1工程と、
第1工程での加熱を維持した状態で、コイルにワニスを供給する第2工程と、
所定量のワニスを供給した後に、ステータコアをワニスの硬化温度に加熱する第3工程とからなり、
更に、第1工程乃至第3工程の実施によって製造されたステータとロータとを組み合わせる第4工程とを有する
回転電機の製造方法にある。
本発明の第3の特徴は、
ステータコアに形成されたスロットやコイルの間に形成される空隙に熱硬化性樹脂を供給することによって、ステータコアの軸線方向の所定の特定領域に形成された熱硬化性樹脂の栓部と、
ステータコアの軸線方向において栓部より熱硬化性樹脂が供給される側の充填部形成領域に熱硬化性樹脂を供給することによって形成された熱硬化性樹脂の充填部とを有し、
栓部と充填部の熱硬化性樹脂の充填率は、栓部より充填部の方が高くなっている
回転電機にある。
本発明によれば、コイルにワニスを供給してステータコアに形成したスロットの特定領域のワニスの一部をゲル化して栓部を形成し、栓部を形成した状態で、更に追加のワニスを供給して充填部を形成しているので、スロット内のワニスの充填率を高くすることができる。
ステータを斜め上方から見た斜視図である。 図1に示すステータを上方から見た上面図である。 ステータの第1端部(ツイスト側)側から見た上面図である。 ステータの側面図である。 ステータの第2端部(クラウン側)側から見た底面図である。 本発明の実施形態になる回転電機の製造方法を示す製造フロー図である。 ワニスの粘度と温度の関係を説明する説明図である。 本実施形態になるステータコアの温度管理を説明する説明図である。 ステータコアの軸線方向のワニス充填率を説明する説明図である。 ステータコアの栓部形成領域を加熱する変形例を説明する説明図である。
以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されることなく、本発明の技術的な概念の中で種々の変形例や応用例をもその範囲に含むものである。
本発明の実施形態を説明する前に、本発明が適用される回転電機(特にステータ)の構成について簡単に説明する。そして、図1はステータを斜め上方から見た斜視図であり、図2はステータを上方から見た上面図である。
図1、及び図2において、回転電機のステータ10は、軸線C(図2参照)の方向に両端が開口された円筒形状のステータコア11と、ステータコア11のスロット15に挿入されるコイル12、及び絶縁紙13により構成されている。尚、コイル12、及び絶縁紙13は拡大して描いてある。
ステータコア11は、電磁鋼板を積層して円環状に形成されており、内部に円形状のロータ収納部14が形成されている。このロータ収納部14には図示しないロータが配置され、ロータの回転軸はステータコア11の軸線Cと一致しており、軸線Cを回転軸の中心としてロータが回転される。
ステータコア11には、ロータ収納部14の周面を形成するように複数のスロット15、及びティース16が、周方向に等間隔に位置するように形成されており、夫々のティース16は環状のコアバック17によって一体化されている。
尚、本実施形態で使用されるステータ10は分布巻仕様のステータであり、コイル12には平角線が用いられ、コイル12の外周面は絶縁被膜で覆われている。この平角線からなるコイル12は、複数のスロット15を跨いで離間した二つのスロットに収納されるようにして巻かれている。
コイル12は各スロット15内に収納され、例えば、コイル12の長方形の断面がステータコア11の周方向について長く、径方向について短い形状とされている。また、スロット15の内部に配置される絶縁紙13は、スロット15に挿入されるコイル12の相互の間、及びコイル12とステータコア11の間に配置され、コイル12の間やコイル12とステータコア11の間の絶縁耐圧を向上させている。
また、コイル12、及び絶縁紙13に熱硬化性樹脂が塗布される際、絶縁紙13は熱硬化性樹脂の保持機能を備えることになり、コイル12の間の絶縁、及びコイル12とステータコア11の間の絶縁が強化されると共に、スロット15の内部に配列されているコイル12を決められた位置で固定する機能も備えている。
熱硬化性樹脂は、一般的には不飽和ポリエステル樹脂を主成分とし、耐熱向上剤や反応性希釈剤等を添加した変性ポリエステルが用いられており、以下では「ワニス」と表記して説明を行なう。ワニスは、コイル12のコイルエンド12U(図3B参照)の上側からワニス供給装置(ディスペンサ/図示せず)から供給(滴下)され、供給されたワニスは、主にステータコア11と絶縁紙13の間の空隙、コイル12と絶縁紙13の間の空隙に充填される。
次にステータのワニス付着禁止領域について説明する。ワニス付着禁止領域は、ワニスが付着すると本来の機能が喪失される領域であり、ステータ10においては、ステータコア11の端面、ステータコア11の内周面(ティースの内周面)、ステータコア11の外周面、外部接続端子、及びコイル温度計測部が、代表的なワニス付着禁止領域である。
図3Aは、ステータ10を形成するステータコア11の第1端部18、ここではツイスト側の端面部を示しており、この端部18からツイスト側コイルエンド12U(図3B参照)が露出している。尚、ツイスト側とは、図1に示す「U」字状のコイル12の両端が別のコイル12の両端と金属溶接される側を指している。
そして、この第1端部18にワニスが付着すると、軸線Cの方向の寸法が大きくなって寸法誤差を生じ、組み立てに支障を生じる恐れがある。
図3Bは、ステータ10の外周面を示しており、この外周面にワニスが付着すると、軸線Cに直交する半径方向の寸法が大きくなって寸法誤差を生じ、組み立てに支障を生じる恐れがある。更に、ステータコア11の内周面にワニスが付着すると、軸線Cに直交する半径方向の寸法が小さくなって寸法誤差を生じ、ロータを組み付けた時にロータと干渉する恐れがある。
図3Cは、ステータ10を形成するステータコア11の第2端部19、ここではクラウン側の端面部を示しており、この第2端部19からクラウン側コイルエンド12B(図3B参照)が露出している。尚、クラウン側とは、図1に示す「U」字状のコイル12の中央付近の折り曲げ部分を指している。
そして、この第2端部19の側にワニスが付着すると、コイルの温度を測定する温度センサ20にワニスが付着して正確な温度を計測できない恐れがある。更に、クラウン側には外部接続端子21が設けられており、この外部接続端子21にワニスが付着すると、ワニスによって電気的な導通が絶縁される恐れがある。
このように、ステータ10にはワニス付着禁止領域があるが、特に図3Cにあるように、ワニスがステータコア11の第2端部19の側から流出すると、外部接続端子21の導通不良や温度センサの計測誤差を生じる恐れがある。したがって、ワニスがステータコア11の第2端部19の側から流出しない構成とすることも、本発明の目的の一つである。
次に本発明の具体的な実施形態について、図4乃至図7に基づき詳細に説明するが、図4が本実施形態になる回転電機の製造方法の全体的なフローであり、以下、図4を基礎に説明を進める。
≪製造工程S10≫
製造工程S10においては、図4の(a)に示すように、ステータコア11の第2端部19側から、夫々のスロット15に絶縁紙13とコイル12を挿入、配置する(絶縁紙13とコイル12は、拡大して描いている)。この時、スロット15の内部に配置される絶縁紙13は、スロット15に挿入されるコイル12の相互の間、及びコイル12とステータコア11の間に配置され、コイル12の間やコイル12とステータコア11の間の絶縁耐圧を向上させている。ステータコア11に形成した夫々のスロット15に絶縁紙13とコイル12を挿入、配置すると、製造工程S11に移行する。
≪製造工程S11≫
製造工程S11においては、夫々のスロット15に配置されたコイル12のコイルエンド12U、12Bを、図3Bに示すように捩じり成形して、コイルエンド12U、12Bに捩じり形状を付与する。コイルエンド12U、12Bの捩じり成形が完了すると、製造工程S12に移行する。
≪製造工程S12≫
製造工程S12においては、夫々のスロット15に配置されたコイル12の両端が別のコイル12の両端と金属溶接される。これによって、コイル12のツイスト側コイルエンド12Uが形成される。コイル12の両端の溶接は、TIG溶接を用いて実施することができる。ツイスト側コイルエンド12Uの溶接が完了すると製造工程S13に移行する。
≪製造工程S13≫
製造工程S13においては、図4の(b)に示すように、コイル12が組み付けられたステータコア11の全体を予備的に加熱する「予備加熱処理」を実施する。ここで、コイル12は、ステータコア11に組み付けられて一体化されているが、図4ではその表示を省略している。
また、ステータ11は水平に保持された状態、すなわち、ステータコア11の軸線Cが重力方向の縦向きとなる状態で加熱される。つまり、図3Bに示す状態で、ステータコア11の全体が加熱されるものである。このため、図3Bにあるように、ステータコア11の第1端部(ツイスト側)18から上方へ突出する部分が、ツイスト側コイルエンド12Uであり、ステータコア2の第2端部(クラウン側)19から下方へ突出する部分が、クラウン側コイルエンド12Bである。尚、クラウン側コイルエンド12Bからは、外部接続端子21が横方向へ突出している。
ここで、ツイスト側コイルエンド12Uを重力方向で見て上側に位置するようにした理由は、クラウン側コイルエンド12Bを上側にすると、クラウン側コイルエンド12Bの上部からワニスが供給されるため、温度センサ20や外部接続端子21にワニスが付着して上述した不具合を発生する恐れが生じるからである。
また、ステータコア11が水平に保持される状態とは、ステータコア11に装着されたコイル12のコイルエンド12U、12Bが、重力方向で上下になる姿勢を意味し、特にツイスト側コイルエンド12Uとクラウン側コイルエンド12Bとの間のコイル12が上下に延在するようなステータコア11の姿勢を意味する。言い換えれば、スロット15が重力方向に沿って延びている姿勢を意味する。これによって、ワニスを重力の作用によって効率良く含浸させることができる。
加熱装置として、本実施形態では高周波誘導加熱装置を使用している。高周波誘導加熱は、誘導加熱コイルに交流電流を流してステータコア11の内部(表層も含む)に渦電流を発生させ、これによる発熱を利用してステータコア11を加熱するものである。したがって、図4の(b)に示しているように、ロータ収納部14(図4(a)参照)には、ステータコア11のロータ収納部14の軸線方向の長さとほぼ同じか、それ以上の長さの連続した円環状の誘導加熱コイル体21が配置される。
この誘導加熱コイル体21は、ロータ収納部14に対して移動可能な構成とされており、これによって、後述する製造工程S14で「栓部形成領域」を画定することができる。
そして、誘導加熱コイル体21に交流電流を流すことによって、ステータコア11の全体に渦電流が生じて、ステータコア11が全体的に加熱される。ここで、目標とするステータコア11の予備加熱温度は、65℃〜130℃の範囲に管理されている。このような予備加熱温度に管理する理由は、ワニスの流動性を高めるためである。
図5には3種類のワニスの「温度」と「粘度」を測定してその関係性を示している。この図5からわかるように、ワニスの粘度は65℃〜130℃の範囲で粘度が低下しており、この温度範囲(高速充填範囲)にステータコア11の温度を維持すれば、ワニスの粘度を低くしておくことができる。
したがって、ワニスの粘度が低いため、速い流動速度でワニスを充填することができ、スロット15内のコイル12と絶縁紙13の間の狭い空隙に、毛細管浸透と重力浸透によって、ワニスを短い時間で所定の位置まで充填することができる。ここで、所定の位置とは、後述する栓部が形成される位置である。
このように、高周波誘導加熱装置を使用すれば、短い時間でステータコア11の全体を予備加熱することができ、製造工程の時間短縮を図ることができる。尚、高周波誘導加熱装置の代わりに恒温槽を用いて予備加熱することも可能である。
製造工程S13は、要は、ステータコア11の目標とする予備加熱温度を65℃〜130℃の範囲に管理して、速い流動速度でワニスを充填することができる環境を形成することである。尚、ステータコア11の温度は、放射温度計によって測定して求めても良いし、予備加熱の時間から推測して求めても良い。
そして、所定の時間だけ予備加熱して、ステータコア11の全体の温度が、目標とする予備加熱温度の範囲である65℃〜130℃に達すると、製造工程S14に移行する。
≪製造工程S14≫
製造工程S14においては、図4の(c)に示すように、コイル12が組み付けられたステータコア11の「栓部形成領域R」をワニスのゲル化温度以上に加熱する「ゲル化加熱処理」を実施する。ここで、栓部形成領域Rとは、ステータコア11の軸線Cに直交する平面が、軸線Cに沿って所定の長さだけ延びて形成された、ステータコア11の環状の領域である。
尚、栓部形成領域Rは、基本的には任意の位置に形成できるので、「特定領域RP」と読み替えることができ、請求項においても「所定の特定領域RP」として取り扱っている。
本実施形態では、図4の(c)にあるように、誘導加熱コイル体21は、軸線Cに沿って重力方向で下側、つまり第2端部19の側(クラウン側)に移動され、上述した栓部形成領域Rを画定する。この栓部形成領域Rは、ステータコア11と誘導加熱コイル体21が互いに重なり合うステータコア11に形成される円環状の領域であり、この円環状の栓部形成領域Rが誘導加熱コイル体21によって新たに加熱される。
尚、本実施形態では、誘導加熱コイル体21は図4の(b)に示したものを移動して使用しているが、これとは別に、ステータコア11の軸線Cの方向の長さより短くした誘導加熱コイル体を使用しても良い。
このように誘導加熱コイル体21を移動可能な構成しているので、栓部形成領域Rの任意位置での位置決めが容易となり、また新たな設備を設ける必要がなく、コンパクトな設備とすることができる。
尚、栓部形成領域Rをワニスのゲル化温度以上に加熱する「ゲル化加熱処理」は、ワニスを供給する前、或いはワニスを供給しながら実施することができる。
ここで、図4の(c)に示す実施形態では、誘導加熱コイル体21は、ステータコア11と互いに重なる位置で栓部形成領域Rを形成するので、栓部形成領域Rはステータコア11の第2端部19の側に形成される。このため、誘導加熱コイル体21の挿入側先端をステータコア11の第2端部19の側に近づけるほど、栓部形成領域Rの軸線Cの方向の長さは短くなる。
また、誘導加熱コイル体21の移動量(ロータ収納部14への挿入量)によって、軸線Cの方向の栓部形成領域Rの長さ(L)を調整することができるが、本実施形態では、ステータコア11の軸線Cの方向の長さの1/3〜1/4の長さに設定されている。この長さ範囲であれば、後述する栓部を充分な強度(後から流下してくる液状のワニスを堰き止めるだけの強度)を備えた栓部とすることができる。
そして、図4の(c)に示す状態で、誘導加熱コイル体21に交流電流を流すことによって、ステータコア11の栓部形成領域R付近に渦電流が生じて、ステータコア11の栓部形成領域Rが更に加熱される。尚、誘導加熱コイル体21に供給する電力を大きくすれば、ゲル化温度に達する時間を更に短くすることができる。このように、高周波誘導加熱を行なうことで、短時間でゲル化温度以上への加熱が可能であり、製造工程の時間短縮によって生産性の向上に寄与することができる。
ここで、目標とするステータコア11の栓部形成領域R付近のゲル化温度は、130℃以上、好ましくは140℃〜170℃の範囲に管理されている。このようなゲル化温度に管理する理由は、ワニスをゲル化して流動性を弱め、次に流れてくるワニスを堰き止める「栓部」を形成するためである。
上述したように、図5には3種類のワニスの「温度」と「粘度」を測定してその関係性を示している。この図5からわかるように、ワニスは130℃付近でゲル化が始まって粘度が急速に大きくなっている。
したがって、ステータコア11の栓部形成領域Rの温度を、このゲル化温度以上に維持すれば、ワニスがゲル化して栓部形成領域Rのワニスの流動が遅延、或いは停止される。この流動が遅延、或いは停止されたゲル化後のワニスが、これに続いて流動してくる液状のワニスを堰き止める栓部として機能する。ゲル化されたワニスによって形成される栓部は、上述の説明からわかるように、夫々のスロット15内に形成されるものである。
そして、栓部より上側で第1端部18に至る領域は、液状、或いはゲル化が抑制されたワニスが流下してくる充填部形成領域Rとなる。したがって、栓部によってワニスは、充填部形成領域Rに流動性を維持した状態で貯留されていくことになる。この充填部形成領域Rに貯留されたワニスの充填部も上述の説明からわかるように、夫々のスロット15内に形成されるものである。
ここで、充填部形成領域Rの軸線Cに沿った長さ(L)は、栓部形成領域Rの長さ(L)より長く設定されている。これによって、スロット15でのワニスの充填率が高い領域を長くすることができる。
尚、本実施形態では、ステータコア11の第2端部19付近に栓部が形成されることになるが、このステータコア11の第2端部19付近に限定されず、任意の箇所に栓部形成領域Rを形成して栓部を形成することもできる。この場合は長さを短くした誘導加熱コイル体を使用して、ロータ収納部14に挿入すれば任意の箇所に栓部形成領域Rを形成して栓部を形成することができる。
ここで、ゲル化温度の範囲は130℃〜170℃に設定されているが、その理由は次の通りである。まず、130℃に設定した理由は、上述した通りワニスをゲル化するための温度であり、170℃に設定した理由は、これ以上の温度に設定すると、ワニスの希釈用溶剤等が揮発して空孔が発生するためである。
空孔が発生すると硬化後のワニスの熱伝導率が小さくなり、放熱機能が阻害される要因となる。
そして、図4の(c)のように誘導加熱コイル体21によって、ステータコア11の栓部形成領域Rをゲル化温度(130℃〜170℃の温度範囲)に加熱した状態で、ワニスWが、ワニス供給装置22からツイスト側コイルエンド12Uの上面に向けて供給される。
この場合、ワニス供給装置22とステータ10は、軸線Cの周りに示した矢印にあるように相対回転され、全てのスロット15のコイル12にワニスWが供給される。本実施形態では、ステータ10を回転させて全てのスロット15のコイル12にワニスWを供給している。これによって、ステータコア11の端面部18、19を貫通するスロット15に収納されたコイル12に簡単にワニスWを供給することができる。
また、ワニスWが供給される時、ステータコア11には、軸線Cの方向におおまかに2つの温度帯が形成されている。1つは栓部形成領域R付近に形成される栓部温度帯と、もう1つは栓部形成領域Rより上側であるワニス供給装置22側の充填部形成領域R付近に形成される充填部温度帯である。
本実施形態のステータコア11は、電磁鋼板を積層して形成しているので、積層方向の熱伝達率は小さいものとなっている。このため、栓部形成領域R付近で発生した熱は、充填部形成領域Rに熱伝導され難く、結果的におおまかに2つの温度帯が形成される。
そして、栓部形成領域R付近に形成される栓部温度帯は、ゲル化温度である130℃〜170℃の温度範囲に管理され、栓部よりワニス供給装置22側の充填部形成領域R付近に形成される充填部温度帯は65℃〜130℃の温度範囲に管理されている。
したがって、ワニス供給装置22から供給されたワニスWは、充填部温度帯では流動性を高めているので円滑に流下していき、栓部温度帯に至るとワニスWは、ゲル化を開始する。栓部温度帯のワニスWがゲル化すると、ワニスWは下に流れることができず、栓部を形成することになる。
栓部の形成は、基本的には経過時間によって管理することができるので、予め求めた栓部形成目標時間を設定し、この栓部形成目標時間を経過すると栓部が形成されたと見做すことができる。また、誘導加熱コイル体21によって栓部の形成位置が管理できるので、充填部形成領域Rの位置も管理することが可能となる。この栓部が形成されると製造工程S15に移行する。
≪製造工程S15≫
製造工程S15においては、図4の(c)に示すように、コイル12が組み付けられたステータコア11の栓部形成領域Rをワニスのゲル化温度以上に加熱する加熱状態を維持しながら、更に必要な所定量のワニスWが、ワニス供給装置22から追加して供給される。そして、この追加されたワニスWは、栓部形成領域R付近に栓部が形成されているので、充填部形成領域Rに貯留されていくことになる。
したがって、充填部形成領域Rに充分な量のワニスWが存在することになり、スロット15内のワニスの充填率が大きく向上される。また、ワニスのゲル化温度以上に加熱する加熱状態を維持しているので、ゲル化したワニスの硬化を促進し、次の工程の硬化時間を短縮することができる。
一方、ステータコア11の栓部形成領域Rをワニスのゲル化温度以上に加熱する加熱状態を停止し、加熱を停止した状態で必要な所定量のワニスWを、ワニス供給装置22から追加して供給することもできる。この場合も追加されたワニスWは、栓部形成領域R付近に栓部が形成されているので、充填部形成領域Rに貯留されていくことになる。
したがって、充填部形成領域Rに充分な量のワニスWが存在することになり、スロット15内のワニスの充填率が大きく向上される。また、ワニスのゲル化温度以上に加熱する加熱状態を停止するので、ワニスのゲル化温度以上に加熱する加熱時間を短縮して生産性を向上でき、また、エネルギーコストを抑えることができる。
追加のワニスの供給が完了すると製造工程S16に移行する。
≪製造工程S16≫
製造工程S16においては、図4の(d)に示すように、製造工程15によってワニスが充填されたステータコア11を加熱してワニスを硬化させる「硬化加熱処理」を実施する。「硬化加熱処理」においては、図4の(d)にあるように、誘導加熱コイル体21は、軸線Cに沿って重力方向で上側、つまり第1端部18の側(ツイスト側)に移動され、図4の(b)の状態と同様の状態に戻される。
そして、ロータ収納部14には、ステータコア11のロータ収納部14の軸線方向の長さとほぼ同じか、それ以上の長さの連続した円環状の誘導加熱コイル体21が配置されることになる。誘導加熱コイル体21に交流電流を流すことによって、ステータコア11の全体に渦電流が生じて、ステータコア11が全体的に加熱される。
これによって、栓部形成領域Rと充填部形成領域Rに存在するワニスが硬化されることになる。ここで、目標とするステータコア11の硬化温度は、130℃以上であるが、好ましくは140℃〜170℃の範囲に管理されている。
このような硬化温度に管理する理由は、ワニスの硬化時間を短縮するためである。また、製造工程S14と同様の理由で、上限を170℃に設定している。尚、「硬化加熱処理」においては、恒温槽を併用して実施することも可能である。
次に、所定時間に亘ってステータ10を加熱してワニスが硬化したと見做されると、「硬化加熱処理」を完了して冷却を行なう。冷却は自然冷却でも良いし、支障がなければ冷風を吹き付けて強制冷却を行なうことができる。尚、強制冷却を行なうと更に製造時間を短縮することができる。スタータ10が冷却されると製造工程S17に移行する。
≪製造工程S17≫
製造工程S17においては、製造工程S16によってワニスが硬化されたステータコア11のロータ収納部14に、永久磁石が埋設されたロータを組み付けて回転電機を完成させる。このような製造工程によって製作された回転電機においては、コイルの温度を測定する温度センサ20にワニスが付着する恐れが低いので、回転電機の動作時の正確な温度制御が可能となる。
また、充填部形成領域Rのワニスの充填率が大きいので、コイル12とステータコア11の間の熱抵抗を小さくできるため、回転電機の動作時のコイル12の熱をステータコア11に効率良く放熱できる。更に、ステータコア11の共振周波数のばらつきの低減と、その周波数シフトを制御でき、回転電機自体の品質向上を図ることができる。
このように、本実施形態によれば、コイル12が組み付けられたステータコア11の栓部形成領域Rをワニスのゲル化温度以上に加熱した状態で、ワニスがコイルエンド12Uに供給され、スロット15内をワニスが流下していく途中の栓部形成領域R付近、好ましくはステータコア11の第2端部付近で、ワニスがゲル化して栓部を形成する。
そして、栓部を形成したワニスに続く追加のワニスは、栓部より上側の充填部形成領域Rに貯留されることによって、スロット15内におけるワニスの充填率を大きく向上することができる。したがって、ステータコア11及びコイル12の固定機能、或いは/及び放熱機能が充分に得られるようになる。
また、特許文献1におけるワニスの含浸方法では、ステータコアを反転させる反転工程が必要であり、ワニスの供給/硬化工程で余分な工程が追加される、といった課題があるが、本実施形態ではステータコア11の加熱個所と加熱温度を変えるだけの制御なので、一連のワニスの供給/硬化工程の範囲で、ステータコア11及びコイル12の固定機能、或いは/及び放熱機能が充分に得られるようになる。
次に、ステータコア11の温度制御について図6を用いて説明する。図6は、横軸に時間の経過を示し、縦軸にステータコア11の管理温度を示している。管理温度は、基本的には、「予備加熱処理」での管理温度と、「ゲル化加熱処理」での管理温度と、「硬化加熱処理」での管理温度である。
図6において、実線で示す特性は栓部形成領域Rの温度管理特性であり、破線で示す特性は充填部形成領域Rの温度管理特性である。
まず、時刻t0においては、図4の(b)に示す形態で誘導加熱コイル体21に電力を供給して「予備加熱処理」を行なう。この予備加熱によってステータコア11の温度は上昇して、時刻t1で予備加熱温度の温度範囲(65℃〜130℃)まで到達する。この時刻t1で誘導加熱コイル体21への電力の供給が停止される。この状態は、製造工程S13での処理に相当し、ステータコア11の予備加熱温度を65℃〜130℃の範囲に管理して、速い流動速度でワニスを充填することができる環境を形成する。
次に、誘導加熱コイル体21を移動して、時刻t2においては、図4の(c)に示す形態で誘導加熱コイル体21に電力を供給して「ゲル化加熱処理」を行なう。このゲル化加熱によってステータコア11の栓部形成領域Rの温度は上昇して、時刻t3でゲル化温度の温度範囲(130℃〜170°)まで到達する。この時刻t3で誘導加熱コイル21への電力の供給が停止される。
一方、ステータコア11の充填部形成領域Rは加熱されていないので、栓部形成領域Rの温度に影響された分だけ上昇する。しかしながら、上述したようにステータコア11は電磁鋼板を積層したものであるため、軸線方向の熱抵抗が大きいので充填部形成領域Rは予備加熱温度の範囲(65℃〜130℃)に維持されている。
この状態は、製造工程S14での処理に相当し、ステータコア11の栓部形成領域Rの温度を130℃以上の温度範囲で管理して、ワニスによる栓部を形成する環境となる。尚、栓部形成領域Rの温度が管理温度範囲の下限値より低下すると、再び電力が供給されて栓部形成領域Rの温度が管理温度範囲の下限値以上に管理される。
上述した処理と並行して、時刻t2〜時刻t4の間で、ワニス供給装置22から液状のワニスが供給される。供給されたワニスは、充填部形成領域Rを通って栓部形成領域Rに流下していくが、充填部形成領域Rは予備加熱温度の範囲(65℃〜130℃)に維持されているので、ゲル化することはない。
一方で、栓部形成領域Rに流下していくワニスは、栓部形成領域Rの温度が130℃以上に管理されているので、急速にゲル化していき栓部を形成することになる。そして、栓部形成領域Rのワニスがゲル化して栓部が形成されると、後から続いて流下してくるワニスは、充填部形成領域Rに貯留されていくことになる。この状態は、製造工程S15での処理に相当する。
次に時刻t4においては、図4の(d)に示す形態で誘導加熱コイル体21に電力を供給して「硬化加熱処理」を行なう。この硬化加熱によってステータコア11の温度は上昇して、時刻t5で硬化温度範囲(140℃〜170°)まで到達する。この時刻t5で誘導加熱コイル21への電力の供給が停止される。
この状態は、製造工程S16での処理に相当し、ステータコア11の硬化温度を140℃〜170℃の範囲に管理して、充填部形成領域Rと栓部形成領域Rのワニスを硬化させる。また、硬化温度を140℃〜170℃に設定することによって、硬化時間を短縮する環境を形成する。
次に時刻t6でワニスが硬化したと見做されると、強制的に冷風によってステータ10が冷却され、時刻t7で冷却処理が終了される。
このように、本実施形態によれば、コイル12にワニスを供給してステータコア11の栓部形成領域Rでワニスの一部をゲル化して栓部を形成し、栓部を形成した状態で、更に追加のワニスを供給して充填部形成領域Rに充填部を形成しているので、スロット内のワニスの充填率を高くすることができる。
次に本実施形態における、ステータコア11のスロット15内のワニスの充填率について説明する。
図7はステータコア11を軸線Cに沿って4等分して、夫々の部分でのスロット15内のワニスの充填率を評価したものである。尚、ワニスの充填率は、スロット15が延びる方向の単位長さにおける、コイルと絶縁紙を除いた空間の全てにワニスが充填された場合を100%として比較したものである。
図7において、栓部形成領域R(栓部)は、ステータコア11の軸線方向での長さに対して1/4の長さに設定されており、この部分の充填率は50%〜75%の範囲に収まっていた。また、充填部形成領域R(充填部)は、ステータコア11の軸線方向での長さに対して3/4の長さに設定されており、この部分の充填率は75%〜100%の範囲に収まっていた。
このように、本実施形態では、スロット15内のワニスの充填率が大きく向上されているので、回転電機の動作時のコイル12の熱を、ステータコア11に効率良く放熱できるようになる。本発明者等の知見によると、スロット15内のワニスの平均充填率が50%以上にすることができれば、回転電機の動作時のコイル12の熱を、ステータコア11に効率良く放熱できるようになる。したがって、図7に示す結果から、本実施形態の製造方法によれば、スロット15内のワニスの平均充填率を50%以上にすることができることは明白である。
次に、コイル12が組み付けられたステータコア11の栓部形成領域Rをワニスのゲル化温度以上に加熱する加熱装置の変形例について説明する。
図4に示す実施形態において、誘導加熱コイル体21はステータコア11のロータ収納部14の内部に挿入される形態であるが、図8示す誘導加熱コイル体23は、ステータコア11の外周からステータコア11を加熱する構成とされている。
誘導加熱コイル体23は、ステータコア11の外周面を外側から覆うように、連続した円環状に形成されており、この誘導加熱コイル体23に電力を供給することによって、ステータコア11を加熱することができる。
また、誘導加熱コイル体23の軸線Cに沿った長さLは任意の長さに決めることができるので、誘導加熱コイル体23とステータコア11が重なり合う栓部形成領域Rの長さLも任意に決めることができる。
更に、誘導加熱コイル体23を軸線Cに沿って移動させれば、栓部形成領域Rの任意の位置に決めることができる。図4に示す実施形態においては、ステータコア11の端部付近にしか栓部形成領域Rを形成できないが、図8の変形例では任意の位置に決めることができる。
以上述べた通り、本発明は、コイルが組み付けられたステータコアの軸線方向の特定領域(栓部形成領域)をワニスのゲル化温度以上に加熱し、この加熱を維持した状態で、コイルにワニスを供給して特定領域(栓部形成領域)でワニスの一部をゲル化して栓部を形成し、次に栓部を形成した状態で、更にワニスを供給して充填部形成領域でワニスが充填された充填部を形成すると共に、ステータコアをワニスの硬化温度に加熱して、栓部形成領域と充填部形成領域のワニスを硬化するようにした、ことを特徴としている。
これによれば、コイルにワニスを供給してステータコアに形成したスロットの特定領域のワニスの一部をゲル化して栓部を形成し、栓部を形成した状態で、更に追加のワニスを供給して充填部を形成しているので、スロット内のワニスの充填率を高くすることができる。
尚、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
10…ステータ、11…ステータコア、12…コイル、12U…ツイスト側コイルエンド、12B…クラウン側コイルエンド、13…絶縁紙、14…ロータ収納部、15…スロット、16…ティース、17…バックコア、18…第1端部(ツイスト側)、19…第2端部(クラウン側)、20…温度センサ、21…誘導加熱コイル体、22…ワニス供給装置、C…ステータコアの軸線、R…充填部形成領域、R…栓部形成領域。

Claims (20)

  1. ステータコア、及びコイルを熱硬化性樹脂によって固着したステータと、前記ステータコアの軸線に沿って形成されたロータ収納部に配置されたロータとを有する回転電機の製造方法であって、
    前記ステータコアのスロットに前記コイルを組み付けた後に、前記ステータコアの軸線方向で前記ステータコアの一方の第1端部から熱硬化性樹脂であるワニスを供給し、供給されたワニスを硬化させる供給/硬化工程を備え、
    前記供給/硬化工程は、
    前記コイルが組み付けられた前記ステータコアの軸線方向の所定の特定領域を前記ワニスのゲル化温度以上に加熱する第1工程と、
    前記第1工程での加熱を維持した状態で、前記コイルに前記ワニスを供給する第2工程と、
    所定量の前記ワニスを供給した後に、前記ステータコアを前記ワニスの硬化温度に加熱する第3工程とからなり、
    更に、前記第1工程乃至前記第3工程の実施によって製造された前記ステータと前記ロータとを組み合わせる第4工程とを有する
    ことを特徴とする回転電機の製造方法。
  2. 請求項1に記載の回転電機の製造方法であって、
    前記第1工程による前記特定領域の加熱は、高周波誘導加熱によって実施される
    ことを特徴とする回転電機の製造方法。
  3. 請求項2に記載の回転電機の製造方法であって、
    前記高周波誘導加熱は誘導加熱コイルにより行なわれ、前記誘導加熱コイルは前記ロータ収納部に挿入可能に構成され、
    前記誘導加熱コイルを前記ロータ収納部の前記特定領域に対応する所定位置に挿入した状態で、前記誘導加熱コイルは前記ステータコアの軸線方向において誘導加熱を実施する
    ことを特徴とする回転電機の製造方法。
  4. 請求項2に記載の回転電機の製造方法であって、
    高周波誘導加熱は誘導加熱コイルにより行なわれ、前記誘導加熱コイルは前記ステータコアの外周囲を囲う環状の形状を有し、前記誘導加熱コイルは前記ステータコアの軸線方向で前記ステータコアより短く形成され、
    前記誘導加熱コイルを前記ステータコアの前記特定領域に対応する所定位置に配置した状態で、前記誘導加熱コイルは前記ステータコアの軸線方向において誘導加熱を実施する
    ことを特徴とする回転電機の製造方法。
  5. 請求項3又は請求項4に記載の回転電機の製造方法であって、
    前記第1工程の前に、前記ステータコアを前記ゲル化温度以下の温度に予備加熱する予備加熱工程を実施する
    ことを特徴とする回転電機の製造方法。
  6. 請求項1に記載の回転電機の製造方法であって、
    前記第2工程は、前記ワニスを供給するワニス供給装置と前記ステータコアとを相対回転させながら、前記ワニス供給装置からから前記ワニスを滴下して行う
    ことを特徴とする回転電機の製造方法。
  7. 請求項6に記載の回転電機の製造方法であって、
    前記ワニスは、不飽和ポリエステル樹脂を主成分とし、前記ゲル化温度は130℃以上に設定され、前記硬化温度は140℃〜170℃の範囲に設定されている
    ことを特徴とする回転電機の製造方法。
  8. 請求項1に記載の回転電機の製造方法であって、
    前記第1工程の加熱は、前記第2工程で供給した前記ワニスが前記特定領域付近でゲル化した後に、所定量の前記ワニスの供給を終了するまでの間に亘って維持される
    ことを特徴とする回転電機の製造方法。
  9. 請求項1に記載の回転電機の製造方法であって、
    前記第1工程の加熱は、前記第2工程で供給した前記ワニスが前記特定領域付近でゲル化した後に加熱を停止する
    ことを特徴とする回転電機の製造方法。
  10. 請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の回転電機の製造方法であって、
    前記ステータコアに組み付けられた前記コイルのコイルエンドが、重力方向で上下になる姿勢で前記ステータコアが保持され、前記コイルのうち前記ステータコアの上側の端面から突出する上側のコイルエンドの上面から前記ワニスが供給され、前記ワニスは上側の前記コイルエンドから前記スロットを通って下側の前記コイルエンドに流下される
    ことを特徴とする回転電機の製造方法。
  11. ステータコアとコイルを熱硬化性樹脂によって固着した回転電機のステータの製造方法であって、
    前記ステータコアのスロットに前記コイルを組み付けた後に、前記ステータコアの軸線方向で前記ステータコアの一方の第1端部から熱硬化性樹脂であるワニスを供給し、供給されたワニスを硬化させる供給/硬化工程を備え、
    前記供給/硬化工程は、
    前記コイルが組み付けられた前記ステータコアの軸線方向の特定領域を前記ワニスのゲル化温度以上に加熱する第1工程と、
    前記第1工程での加熱を維持した状態で、前記コイルに前記ワニスを供給して前記特定領域で前記ワニスの一部をゲル化して栓部を形成するする第2工程と、
    前記栓部を形成した状態で、更に前記コイルに前記ワニスを供給して充填部形成領域に前記ワニスの充填部を形成する第3工程と、
    所定量の前記ワニスを供給した後に、前記ステータコアを前記ワニスの硬化温度に加熱し、前記特定領域と前記充填部形成領域の前記ワニスを硬化する第4工程とからなる
    ことを特徴とするステータの製造方法。
  12. 請求項11に記載のステータの製造方法であって、
    前記第1工程の加熱は誘導加熱コイルにより行なわれ、前記誘導加熱コイルは前記ステータコアの軸線に沿って形成されロータが配置されるロータ収納部に挿入可能に構成され、
    前記誘導加熱コイルを前記ロータ収納部の前記特定領域に対応する所定位置に挿入した状態で、前記誘導加熱コイルは前記ステータコアの軸線方向において誘導加熱を実施する
    ことを特徴とするステータの製造方法。
  13. 請求項11に記載のステータの製造方法であって、
    前記第1工程の加熱は誘導加熱コイルにより行なわれ、前記誘導加熱コイルは前記ステータコアの外周囲を囲う環状の形状を有し、前記誘導加熱コイルは前記ステータコアの軸線方向で前記ステータコアより短く形成され、
    前記誘導加熱コイルを前記ステータコアの前記特定領域に対応する所定位置に配置した状態で、前記誘導加熱コイルは前記ステータコアの軸線方向において誘導加熱を実施する
    ことを特徴とするステータの製造方法。
  14. 請求項12又は請求項13に記載のステータの製造方法であって、
    前記第1工程の前に、前記ステータコアを前記ワニスのゲル化温度以下の温度に予備加熱する予備加熱工程を実施する
    ことを特徴とするステータの製造方法。
  15. 請求項14に記載のステータの製造方法であって、
    前記第4工程は前記ステータコアの全体を加熱する
    ことを特徴とするステータの製造方法。
  16. ステータコア、及びコイルを熱硬化性樹脂によって固着したステータと、前記ステータコアの軸線に沿って形成されたロータ収納部に配置されたロータとを有する回転電機であって、
    前記ステータコアのスロット内に配置された前記コイルに供給される前記熱硬化性樹脂によって、前記ステータコアの軸線方向の所定の特定領域に形成された前記熱硬化性樹脂からなる栓部と、
    前記ステータコアの軸線方向において、前記栓部より前記熱硬化性樹脂が供給される側の充填部形成領域に前記熱硬化性樹脂を供給することによって形成された前記熱硬化性樹脂からなる充填部とを有し、
    前記栓部と前記充填部の前記熱硬化性樹脂の充填率は、前記栓部より前記充填部の方が高くなっている
    ことを特徴とする回転電機。
  17. 請求項16に記載の回転電機であって、
    前記ステータコアの軸線方向における前記栓部の厚さは、前記ステータコアの軸線方向における前記充填部の厚さより薄く形成されている
    ことを特徴とする回転電機。
  18. 請求項17に記載の回転電機であって、
    前記ステータコアの軸線方向における前記栓部の厚さは、前記ステータコアの軸線方向における前記充填部の厚さに対して1/3以下に形成されている
    ことを特徴とする回転電機。
  19. 請求項16に記載の回転電機であって、
    前記栓部は、前記ステータコアの一方の端部側の前記特定領域に形成され、
    前記充填部は、前記ステータコアの他方の端部まで形成されている
    ことを特徴とする回転電機。
  20. 請求項19に記載の回転電機であって、
    前記栓部と前記充填部の前記熱硬化性樹脂の平均充填率は50%以上である
    ことを特徴とする回転電機。
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