JP2020010558A - ステータの製造方法 - Google Patents

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貴俊 加藤
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貴俊 加藤
正樹 斉藤
Masaki Saito
正樹 斉藤
利男 杉山
Toshio Sugiyama
利男 杉山
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Abstract

【課題】ワニスで固める前のステータコイルを適切な位置に支持するための支持治具にワニスが付着し難いステータの製造方法を実現する。【解決手段】ステータの製造方法は、スロット収容部がスロットの内部に配置された状態で、スロット収容部を径方向の内側から支持する支持治具をステータに装着する治具装着工程S2と、治具装着工程S2の後、コイルエンド部の内周部における支持治具に接していない非接触領域をワニスで固める第1固定工程S4と、第1固定工程S4の後、支持治具をステータから取り去る治具取去り工程S5と、治具取去り工程S5の後、スロット収容部をワニスで固める第2固定工程S7と、を実行する。【選択図】図4

Description

本発明は、回転電機に用いられるステータの製造方法に関する。
例えば、下記の特許文献1(特開2013−090365号公報)には、回転電機用ステータの製造方法が開示されている。以下、背景技術の説明において括弧内に示す符号は特許文献1のものである。特許文献1の方法では、筒状のステータコア(12)に巻回されたステータコイル(14)を径方向の内側から支持する環状の支持治具(22)を用いて、ステータコイル(14)を径方向の外側に押し付けることで、ステータコア(12)に対するステータコイル(14)の位置決めを行っている。そして、このようにステータコイル(14)を位置決めした状態から、ステータコイル(14)にワニスを含浸することで、ステータコア(12)とステータコイル(14)とをワニスによって固定している。これにより、特許文献1では、回転電機の完成品においてステータコア(12)とロータとの径方向の距離を十分に確保して、ロータからの磁束に起因してステータコイル(14)で発生する渦電流を低減し、回転電機で発生する損失の低減を図っている。
特開2013−090365号公報
ところで、特許文献1の方法では、支持治具(22)を装着した状態のままでステータコイル(14)の全体にワニスを含浸することから、支持治具(22)にもワニスが付着する。そのため、支持治具(22)の表面に離型剤を塗っておくようにしているが、ワニスの付着状態によっては、ステータコイル(14)から支持治具(22)を容易に取り去れない状態となる場合がある。そのような場合、支持治具(22)をステータコイル(14)から取り去る際に、ステータコイル(14)や支持治具(22)を傷つける可能性があった。また、ワニスが付着した支持治具(22)は、取り去り後に、ワニスを除去するメンテナンス作業が必要となるという課題もあった。
上記実状に鑑みて、ワニスで固める前のステータコイルを適切な位置に支持するための支持治具にワニスが付着し難いステータの製造方法の実現が望まれる。
上記に鑑みたステータの製造方法の特徴構成は、内周面に開口するスロットを有する円筒状のステータコアと、前記スロットの内部に配置されるスロット収容部と前記ステータコアから軸方向の外側に突出するコイルエンド部とを有するステータコイルと、を備えたステータの製造方法であって、前記スロット収容部が前記スロットの内部に配置された状態で、前記スロット収容部を径方向の内側から支持する支持治具を前記ステータに装着する治具装着工程と、前記治具装着工程の後、前記コイルエンド部の内周部における前記支持治具に接していない非接触領域をワニスで固める第1固定工程と、前記第1固定工程の後、前記支持治具を前記ステータから取り去る治具取去り工程と、前記治具取去り工程の後、前記スロット収容部をワニスで固める第2固定工程と、を実行する点にある。
本構成によれば、第1固定工程では、コイルエンド部の内周部における支持治具に接していない非接触領域をワニスで固めるため、支持治具にワニスが付着する可能性を低減しつつ、コイルエンド部の内周部をワニスによって固めることができる。そして、コイルエンド部の内周部がワニスによって固められた後は、当該固められた内周部が支えとなってステータコイルを構成する導体線の移動が規制されるため、支持治具を取り去ってもスロット収容部が径方向の内側に移動することを規制できる。そのため、支持治具を取り去った後であっても、ステータコイルのスロット収容部を適切な位置に維持しつつ当該スロット収容部をワニスで固める第2固定工程を実行することができる。従って、支持治具にスロット収容部を支持する機能を果たさせながらも、当該支持治具にワニスが付着する可能性を低減できる。これにより、支持治具とステータとがワニスよって接着されて支持治具のステータからの取り去りが困難になることを回避できると共に、支持治具に付着したワニスを除去する作業の手間も低減することができる。
本開示に係る技術のさらなる特徴と利点は、図面を参照して記述する以下の例示的かつ非限定的な実施形態の説明によってより明確になるであろう。
ステータを軸方向に沿って切断した断面の模式図 支持治具が装着された状態のステータの一部を示す軸方向視図 支持治具が装着された状態のステータを軸方向に直交する面で切断した一部断面図 ステータの製造工程を示すフローチャート 第1固定工程を示すフローチャート 第2固定工程を示すフローチャート 第1固定工程の具体例を示す説明図 第2固定工程の具体例を示す説明図 第2実施形態に係るステータの製造方法での第1固定工程の具体例を示す説明図 その他の実施形態に係るステータの製造方法での第1固定工程の具体例を示す説明図
1.第1実施形態
第1実施形態に係るステータの製造方法について図面を参照して説明する。本実施形態の製造方法によって製造されるステータ1は、回転電機の電機子として用いられ、特に、界磁としてのロータ(不図示)がステータ1に対して径方向の内側に配置されるインナーロータ型の回転電機に用いられる。なお、本明細書では、「回転電機」は、モータ(電動機)、ジェネレータ(発電機)、及び必要に応じてモータ及びジェネレータの双方の機能を果たすモータ・ジェネレータのいずれをも含む概念として用いている。
以下の説明では、特に区別して明記している場合を除き、「軸方向L」、「径方向R」、及び「周方向C」は、円筒状のコア内周面11F(図3参照)の軸心を基準として定義している。また、本明細書では、各部材についての寸法、配置方向、配置位置等に関する用語は、誤差(製造上許容され得る程度の誤差)による差異を有する状態をも含む概念として用いている。
このステータの製造方法では、ステータ1の対象部分を支持するための支持治具2(図3等参照)と、ステータ1の対象部分を固定するためのワニス30(図7等参照)と、を用いる。
〔ステータの構成〕
まず、本実施形態の製造方法によって製造されるステータ1の構成について、図1〜図3を参照して説明する。なお、図1は、ステータ1の全体の簡易的な断面図を示しており、図2及び図3は、製造途中における、支持治具2が装着された状態のステータ1の一部を示している。
図1〜図3に示すように、ステータ1は、内周面11F(図3参照:以下、コア内周面11Fと称する。)に開口するスロット110を有する円筒状のステータコア11と、スロット110の内部に配置されるスロット収容部120とステータコア11から軸方向Lの外側に突出するコイルエンド部121とを有するステータコイル12と、を備えている。上述のように、ステータ1は、回転電機の電機子として機能する。
〔ステータコア〕
ステータコア11は、磁性体の電磁鋼板を軸方向Lに複数積層して構成され、或いは、磁性材料の粉体を加圧成形してなる圧粉体を主な要素として構成される。
ステータコア11には、軸方向L及び径方向Rに延びるスロット110が、周方向Cに複数分散配置されている。本実施形態では、複数のスロット110は、周方向Cに沿って一定間隔で隣接している。周方向Cに隣接する2つのスロット110の間には、ティース111が形成されている。ティース111は、環状のヨーク部112から径方向Rの内側に突出するように形成されており、周方向Cに沿って複数分散配置されている。
図3に示すように、スロット110の側面部110Aは、ティース111の周方向Cの側面によって構成されている。また、スロット110は、その径方向Rの外側の端部に、底面部110Bを有している。スロット110の底面部110Bは、径方向Rの内側を向く平面となるように形成されており、ヨーク部112の径方向Rの内側の端部によって構成されている。本実施形態では、スロット110は、その周方向Cの両側の側面部110Aがステータコア11のコア内周面11Fまで連続する平面となるように形成された、いわゆるフルオープンスロットとして構成されている。従って、ティース111の径方向Rの内側の端部には、例えばセミオープンスロットの場合に備えられるような周方向Cに突出する突出部は形成されていない。なお、本例では、コア内周面11Fは、複数のティース111の径方向Rの内側の端部同士を繋ぐ円筒状の仮想面とされている。
図2及び図3に示すように、本実施形態では、スロット110には、絶縁シート13が配置されている。絶縁シート13は、電気的絶縁性を有する材料を用いて形成されるシート状部材(絶縁紙)である。絶縁シート13は、スロット110の内部において、ステータコア11とスロット収容部120との間に配置され、両者を電気的に絶縁している。本実施形態では、絶縁シート13は、スロット110における、周方向Cの両側の側面部110Aと底面部110Bとに沿って配置されている。
〔ステータコイル〕
ステータコイル12は、複数の導体線Wから構成される。導体線Wは、導電性を有する材料(例えば、銅やアルミニウム等の金属)を用いて形成され、本例では、延在方向に直交する直交断面の形状が矩形状のいわゆる平角線として構成されている。なお、導体線Wの断面形状について「矩形状」とは、角部に面取り加工が施されているものを含む。図示の例では、四隅にR面取り加工が施されている。導体線Wの表面は、他の導体線Wとの接続部等の一部を除いて、樹脂(例えばエナメル等)等からなる絶縁被膜により被覆されている。
上述のように、ステータコイル12は、スロット収容部120とコイルエンド部121とを有している。ステータコイル12は、部分的にスロット110に挿入されてステータコア11に巻装される。ステータコイル12における、スロット110に挿入されて当該スロット110の内部に配置される部分を、スロット収容部120と称する。また、ステータコイル12は、部分的にステータコア11から軸方向Lの外側に突出する部分を有する。ステータコイル12の当該部分をコイルエンド部121と称する。本実施形態では、コイルエンド部121は、異なるスロット110に配置された一対のスロット収容部120を接続するように周方向Cに延在する渡り部122を備えている。渡り部122とスロット収容部120とは一体的に連続している。図2に示すように、本実施形態では、コイルエンド部121は、複数の渡り部122を有している。
〔支持治具〕
上述のように、ステータの製造方法では、ステータ1の対象部分を支持するための支持治具2を用いる。図2及び図3に示すように、支持治具2は、ステータ1に装着された状態で、スロット収容部120を径方向Rの内側から支持する。本実施形態では、支持治具2は、円筒状に形成されており、その外周面に、径方向Rの外側へ突出すると共に軸方向Lに沿って延びる突条部21が形成されている。突条部21は、スロット110の数と同数設けられ、ステータ1の複数のスロット110の配置間隔に対応する間隔で周方向Cに並んで配置されている。突条部21のそれぞれは、スロット110の径方向Rの内側の開口部における周方向Cの幅未満の周方向Cの幅を有する。突条部21の径方向Rの外側への突出量は、ステータコア11のコア内周面11Fに対する、スロット110内に配置されるスロット収容部120の径方向Rにおける最も内側の端面(以下、内側端面120Aという。)の規定位置に応じて設定されている。具体的には、コア内周面11Fとスロット収容部120の内側端面120Aとの径方向Rの距離が、予め定められた設定距離SD以上となるように、突条部21の突出量が設定されている。なお、「設定距離SD」については後述する。また、突条部21の軸方向Lの長さは、ステータコア11の軸方向Lの長さ以下とされている。そして、支持治具2がステータ1に装着された状態では、複数の突条部21のそれぞれは、対応するスロット110のそれぞれに対して径方向Rの内側から挿入され、スロット110の内部に配置されたスロット収容部120の内側端面120Aに当接する。これにより、支持治具2は、スロット110内に配置されるスロット収容部120の径方向Rの位置が規定範囲内となるように、スロット収容部120を径方向Rの内側から支持する。
〔ステータの製造方法〕
次に、本実施形態に係るステータの製造方法について説明する。図4に示すように、このステータの製造方法では、スロット収容部120をスロット110に挿入するコイル挿入工程S1と、ステータ1に支持治具2を装着する治具装着工程S2と、コイルエンド部121をワニス30(図7等参照)で固める第1固定工程S4と、ステータ1から支持治具2を取り去る治具取去り工程S5と、スロット収容部120をワニス30で固める第2固定工程S7と、を順番に実行する。
本実施形態では、第1固定工程S4及び第2固定工程S7では、加熱により硬化するワニス30を使用する。更に本例では、第1固定工程S4と第2固定工程S7とで、異なる粘度のワニス30を使用する。詳細には、第1固定工程S4に用いるワニス30の粘度が、第2固定工程S7に用いるワニス30の粘度よりも高い。換言すれば、第1固定工程S4では、第2固定工程S7に比べて流動性が低いワニス30を用いる。ここでは、第1固定工程S4で用いるワニス30を高粘度ワニス31と称し、第2固定工程S7で用いるワニス30を低粘度ワニス32と称する。なお、高粘度ワニス31と低粘度ワニス32とを区別する必要がない場合等には、これらをワニス30と総称する場合がある。これらのワニス30としては、例えば、ポリイミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、又はエポキシ系樹脂を用いたもの等、公知の各種のワニスを用いることができる。
更に、本実施形態では、上記の各工程に加えて、第1固定工程S4の前に、コイルエンド部121を予備的に加熱する第1予備加熱工程S3を実行し、第2固定工程S7の前にスロット収容部120を予備的に加熱する第2予備加熱工程S6を実行する。以下、本実施形態に係るステータの製造方法で実行される各工程について詳細に説明する。
〔コイル挿入工程〕
コイル挿入工程S1は、治具装着工程S2の前に実行する工程である。コイル挿入工程S1では、スロット収容部120をスロット110の内部に径方向Rの内側から挿入する。図3に示すように、本実施形態では、コイル挿入工程S1により、スロット110の内部に、複数の導体線W(本例では6本の導体線W)を径方向Rに並べた状態で配置する。ここでは、スロット110の内部の複数の導体線Wは、互いに径方向Rに接している。上述したスロット収容部120の内側端面120Aは、スロット110の内部に配置される複数の導体線Wのうち径方向Rの最も内側に配置される導体線Wにおける径方向Rの内側を向く面により構成される。この工程では、上記のような構成に限定されることなく、図示の例よりも断面積が小さい多数の導体線Wをスロット110の内部に不規則に配置してもよい。また、スロット110の内部に配置される導体線Wの数は、任意に設定することができる。なお、詳細な説明は省略するが、コイル挿入工程S1の前には、スロット110の内部に絶縁シート13が配置されたステータコア11を準備するコア準備工程を実行する。
〔治具装着工程〕
治具装着工程S2は、支持治具2をステータ1に装着する工程である。治具装着工程S2では、スロット収容部120がスロット110の内部に配置された状態で、スロット収容部120を径方向Rの内側から支持するように支持治具2をステータ1に装着する。図3に示すように、本実施形態では、治具装着工程S2において、支持治具2の複数の突条部21が、それぞれ対応するスロット110内に挿入され、各スロット110内のスロット収容部120の内側端面120Aに当接するように、支持治具2を配置する。本実施形態では、上記のように、コイル挿入工程S1において、ステータコイル12のスロット収容部120を径方向Rの内側からスロット110の内部に挿入しているため、スロット収容部120がスプリングバックによって径方向Rの内側に移動してくる場合がある。そこで、治具装着工程S2では、スロット収容部120を径方向Rの外側に押し付けながら支持治具2をステータ1に装着する。そして、上記のとおり、支持治具2の突条部21の突出量は、コア内周面11Fとスロット収容部120の内側端面120Aとの径方向Rの距離が設定距離SD以上となるように設定されている。従って、支持治具2をステータ1に装着した状態では、コア内周面11Fとスロット収容部120の内側端面120Aとの径方向Rの距離が、予め定められた設定距離SD以上となるように、スロット収容部120が支持治具2によって径方向Rの内側から支持される。
ここで、「設定距離SD」は、ロータ(不図示)からの磁束の変化に起因してスロット収容部120において発生する渦電流に基づいて設定される。より詳しくは、スロット収容部120において発生する渦電流による損失を許容限度以下に抑えることができる限界の距離を許容距離ADとすると、設定距離SDは、許容距離ADよりも大きい値に設定されると良い。この「許容距離AD」は、回転電機のサイズや要求される性能等によって異なり、実験等に基づいて決定される距離である。なお、本実施形態では、設定距離SD及び許容距離ADは、コア内周面11Fを基点として定義される。但し、これに限らず、設定距離SD及び許容距離ADの基点は、任意に設定することができる。例えば、円筒状のステータコア11の軸心位置を基点として、設定距離SD及び許容距離ADを定義してもよい。
〔第1予備加熱工程〕
第1予備加熱工程S3は、コイルエンド部121をワニス30で固める第1固定工程S4の前に実行する工程である。第1予備加熱工程S3では、コイルエンド部121の温度が第1固定工程S4で用いる高粘度ワニス31の第1硬化開始温度T1以上となるように、コイルエンド部121を加熱する。第1硬化開始温度T1は、高粘度ワニス31が硬化し始める温度であり、高粘度ワニス31の物性等により定まる。本実施形態では、第1硬化開始温度T1は、120℃〜140℃の範囲内に設定され、例えば、130℃に設定される。第1予備加熱工程S3によりコイルエンド部121を第1硬化開始温度T1に加熱しておくことで、その後に実行される第1固定工程S4において高粘度ワニス31の硬化を促進することができる。本実施形態では、この第1予備加熱工程S3が、「予備加熱工程」に相当する。なお、加熱方法には、様々な方法を用いることができ、例えば、誘導加熱、熱風加熱、或いは、光加熱などを用いることができる。
〔第1固定工程〕
第1固定工程S4は、治具装着工程S2の後に実行する工程である。図7に示すように、第1固定工程S4では、コイルエンド部121の内周部121Aにおける支持治具2に接していない非接触領域NRをワニス30で固める。ここでは、「コイルエンド部121の内周部121A」は、図2に示すように、コイルエンド部121における径方向Rの厚さの中間部よりも径方向Rの内側の部分である。また、「非接触領域NR」とは、コイルエンド部121における支持治具2に接触していない領域であり、ここでは図7等に示すように、支持治具2よりも軸方向Lの外側の領域である。本例では、第1固定工程S4において、コイルエンド部121の内周部121Aにおける非接触領域NRのみをワニス30で固める。言い換えると、本例に係る第1固定工程S4では、コイルエンド部121の外周部121B及びスロット収容部120については、ワニス30で固めることはしない。また、本例では存在しないが、コイルエンド部121の内周部121Aに、支持治具2に接触している接触領域が存在する場合には、当該接触領域についても、ワニス30で固めることはしない。
上述のように、第1固定工程S4では、第2固定工程S7で用いる低粘度ワニス32よりも粘度の高い高粘度ワニス31を用いる。高粘度ワニス31は、低粘度ワニス32に比べて流動性が低いため、第1固定工程S4において高粘度ワニス31を用いることで、高粘度ワニス31を非接触領域NRに留め易い。そのため、供給した高粘度ワニス31が供給箇所から離れた位置まで流動して支持治具2に付着することを抑制できる。
この第1固定工程S4では、コイルエンド部121の内周部121Aを構成する複数の導体線Wをワニス30によって相互に固定する。この際、複数の導体線Wのうち径方向Rの最も内側に配置される導体線Wと、当該導体線Wに対して径方向Rに隣接する他の導体線Wとの少なくとも2本(3本以上でもよい)の導体線Wを相互に固定すればよい。これにより、支持治具2によるスロット収容部120の支持が解除された状態となっても、スロット収容部120の内側端面120A(図3参照)の径方向Rの移動を規制することができる。従って、コイル挿入工程S1の後であって治具取去り工程S5の後に、スロット収容部120がスプリングバックによって径方向Rの内側に移動しようとする場合であっても、コア内周面11Fからスロット収容部120の内側端面120Aまでの距離を許容距離AD以上に維持することができる。
本実施形態では、第1固定工程S4において、コイルエンド部121の内周部121Aにおける非接触領域NRをワニス30で固めると共に、コイルエンド部121の外周部121Bにワニス30によって固められない開放領域ORを形成する。ここでは、「コイルエンド部121の外周部121B」は、図2に示すように、コイルエンド部121における径方向Rの厚さの中間部よりも径方向Rの外側の部分である。また、「開放領域OR」は、ワニス30によって固められていないために、ステータコイル12を構成する複数の導体線Wの隙間がワニス30によって埋められずに開放されたままとなっている領域である。この開放領域ORは、スロット110の内部に連通している。
図5に示すように、本実施形態では、第1固定工程S4には、コイルエンド部121にワニス30を含浸させる第1ワニス含浸工程S41と、含浸されたワニス30を加熱する第1加熱工程S42と、が含まれる。
図7の左図に示すように、本実施形態では、第1ワニス含浸工程S41において、ステータコア11の軸方向Lを鉛直方向Vに沿わせるように当該ステータコア11を配置した状態で、コイルエンド部121の内周部121Aに対して上方からワニス30を供給する。図示の例では、ノズル3を用いてワニス30を滴下することによりワニス30を供給している。なお、「ステータコア11の軸方向Lを鉛直方向Vに沿わせるように当該ステータコア11を配置した状態」とは、ステータコア11の軸方向Lが鉛直方向Vに平行となっている状態の他、ステータコア11の軸方向Lが鉛直方向Vに対して傾斜している状態も含む。従って、ステータコア11の軸方向Lが鉛直方向Vに対して例えば45°よりも小さな角度で傾斜した状態で、第1ワニス含浸工程S41を行ってもよい。
そして、第1固定工程S4では、第1加熱工程S42を実行することにより、ワニス30を硬化させる。本実施形態では、第1加熱工程S42により、高粘度ワニス31の第1硬化温度T11まで当該高粘度ワニス31を加熱する。第1硬化温度T11は、高粘度ワニス31が完全に硬化する温度であり、高粘度ワニス31の物性等により定まる。本実施形態では、第1硬化温度T11は、140℃〜160℃の範囲内に設定され、例えば、150℃に設定される。第1加熱工程S42によってワニス30を硬化させることにより、図7の中央図に示すように、コイルエンド部121の内周部121Aにおける非接触領域NRに、ワニス30が硬化したワニス硬化部30Cが形成される。このワニス硬化部30Cによって複数の導体線Wの隙間が埋まり、複数の導体線Wが相互に固定される。なお、加熱方法には、様々な方法を用いることができ、例えば、誘導加熱、熱風加熱、或いは、光加熱などを用いることができる。
本実施形態では、ステータコア11の軸方向Lの一方側に配置されたコイルエンド部121と、軸方向Lの他方側に配置されたコイルエンド部121とに対して、別々に第1固定工程S4を実行する。すなわち、本例では、軸方向Lの一方側に配置されたコイルエンド部121に対して第1固定工程S4を実行した後、図7の右図に示すように、ステータコア11の上下を反転させるコア反転工程を実行する。コア反転工程の実行後は、ワニス硬化部30Cが形成されていない側(軸方向Lの他方側)のコイルエンド部121が、鉛直方向Vの上側に配置される。そして、当該コイルエンド部121に対して、上述と同様に第1固定工程S4を実行する。これにより、軸方向Lの両側のコイルエンド部121の双方にワニス硬化部30Cが形成される。
〔治具取去り工程〕
治具取去り工程S5は、第1固定工程S4の後に実行する工程である。本実施形態では、治具取去り工程S5は、ステータコア11の軸方向Lの両側に配置されたコイルエンド部121の双方に対して第1固定工程S4を実行した後に実行する。治具取去り工程S5では、支持治具2をステータ1から取り去る。本実施形態では、支持治具2を、軸方向Lに沿って移動させ、ステータ1から取り去る。ここで、治具取去り工程S5には、支持治具2を冷却する治具冷却工程が含まれるとよい。これにより、第1固定工程S4における加熱によって膨張していた支持治具2を収縮させることができるため、ステータ1からの支持治具2の取り去りを円滑に行うことができる。従って、支持治具2を取り去る際にステータコイル12を傷つける可能性を低減できる。治具冷却工程では、例えば、支持治具2を常温で冷却してもよいし、冷却媒体(例えば水など)を用いて積極的に冷却してもよい。
〔第2予備加熱工程〕
第2予備加熱工程S6は、スロット収容部120をワニス30で固める第2固定工程S7の前に実行する工程である。第2予備加熱工程S6では、スロット収容部120の温度が第2固定工程S7で用いる低粘度ワニス32の第2硬化開始温度T2以上となるように、スロット収容部120を加熱する。第2硬化開始温度T2は、低粘度ワニス32が硬化し始める温度であり、低粘度ワニス32の物性等により定まる。本実施形態では、第2硬化開始温度T2は、120℃〜140℃の範囲内に設定され、例えば、130℃に設定される。第2予備加熱工程S6によりスロット収容部120を第2硬化開始温度T2に加熱しておくことで、その後に実行される第2固定工程S7において低粘度ワニス32の硬化を促進することができる。本例では、第2硬化開始温度T2と上述の第1硬化開始温度T1とは、同じ温度(或いは略同じ温度)に設定される。但し、第1硬化開始温度T1と第2硬化開始温度T2とは、異なる温度に設定されていてもよい。なお、加熱方法については、上述の第1予備加熱工程S3においてコイルエンド部121を加熱する場合と同様の方法を用いることができる。
〔第2固定工程〕
第2固定工程S7は、治具取去り工程S5の後に実行する工程である。図8に示すように、第2固定工程S7では、スロット収容部120をワニス30で固める。この第2固定工程S7では、スロット収容部120を構成する複数の導体線Wをワニス30によって相互に固定すると共に、複数の導体線Wとスロット110の内面(側面部110A及び底面部110B(図3参照))とをワニス30によって固定する。
本実施形態では、第2固定工程S7において、図8の左図に示すように、開放領域ORからスロット110の内部にワニス30を供給する。上述のように、開放領域ORとスロット110の内部とは連通しているため、開放領域ORにワニス30を供給することによって、当該開放領域ORからスロット110の内部へワニス30を供給可能となっている。また、上述のように、第2固定工程S7では、第1固定工程S4で用いる高粘度ワニス31よりも粘度の低い低粘度ワニス32を用いる。低粘度ワニス32は、高粘度ワニス31に比べて流動性が高いため、開放領域ORを介してスロット110の全体に低粘度ワニス32を含浸させ易い。なお、開放領域ORから供給された低粘度ワニス32は、複数の導体線Wの隙間、並びに、導体線Wとスロット110の内面との隙間を毛細管現象により流動し、スロット110の全体に浸透する。これにより、スロット収容部120をワニス30により適切に固定することができる。
図6に示すように、本実施形態では、第2固定工程S7には、スロット収容部120にワニス30を含浸させる第2ワニス含浸工程S71と、含浸されたワニス30を加熱する第2加熱工程S72と、が含まれる。
図8の左図に示すように、本実施形態では、第2ワニス含浸工程S71において、ステータコア11の軸方向Lを鉛直方向Vに沿わせるように当該ステータコア11を配置した状態で、開放領域ORに対して上方からワニス30を供給する。図示の例では、ノズル3を用いてワニス30を滴下することによりワニス30を供給している。なお、第1ワニス含浸工程S41と同様、第2ワニス含浸工程S71において、ステータコア11の軸方向Lが鉛直方向Vに平行となっていても、鉛直方向Vに対して傾斜していてもよい。
そして、第2固定工程S7では、第2加熱工程S72を実行することにより、ワニス30を硬化させる。本実施形態では、第2加熱工程S72により低粘度ワニス32の第2硬化温度T21まで当該低粘度ワニス32を加熱する。第2硬化温度T21は、低粘度ワニス32が完全に硬化する温度であり、低粘度ワニス32の物性等により定まる。本実施形態では、第2硬化温度T21は、140℃〜160℃の範囲内に設定され、例えば、150℃に設定される。第2加熱工程S72によってワニス30を硬化させることにより、図8の右図に示すように、スロット収容部120の全体に、ワニス30が硬化したワニス硬化部30Cが形成される。本例では、上記第1固定工程S4と第2固定工程S7との実行により、スロット収容部120とコイルエンド部121とを含むステータコイル12の全体に、ワニス硬化部30Cが形成される。なお、本例では、第2硬化温度T21と上述の第1硬化温度T11とは、同じ温度(或いは略同じ温度)に設定される。なお、加熱方法については、上述の第1固定工程S4において高粘度ワニス31を加熱する場合と同様の方法を用いることができる。
以上説明したステータの製造方法によれば、スロット収容部120を径方向Rの適切な位置に支持する支持治具2にワニス30が付着することを抑制しつつ、当該スロット収容部120を径方向Rの適切な位置でステータコア11に対して固定することができる。
2.第2実施形態
次に、第2実施形態に係るステータの製造方法について、図9を参照して説明する。以下では、上記の第1実施形態と異なる点について主に説明する。特に説明しない点については、上記の第1実施形態と同様である。
図9に示すように、本実施形態では、ステータコイル15は、導体線Wの接合部153を複数備えている。接合部153は、複数の導体線Wの端部が互いに接合されることにより形成されている。本実施形態では、接合部153は、一対の導体線Wの端部が互いに溶接された溶接部分である。このような接合部153は、ステータコイル15が複数のコイルユニットを接続して構成される場合において、一対のコイルユニットを電気的に接続するために形成される。
図9に示すように、ステータコイル15は、ステータコア11から軸方向Lの外側に突出するコイルエンド部150を有している。本実施形態では、コイルエンド部150は、ステータコア11から軸方向Lの一方側に突出する第1コイルエンド部151と、ステータコア11から軸方向Lの他方側に突出する第2コイルエンド部152と、を備えており、第1コイルエンド部151と第2コイルエンド部152とは、互いに異なる構成となっている。
つまり、本実施形態では、複数の接合部153が、第2コイルエンド部152に配置されている。ここで、複数の接合部153は、第2コイルエンド部152の周方向に沿って分散して配置されている(図9では、複数の接合部153のうち一部を示している。)。各接合部153は、第2コイルエンド部152の軸方向Lの端部から径方向Rの外側に向かって突出するように形成されている。第2コイルエンド部152を構成する複数本の導体線Wは、このような接合部153によって径方向R及び周方向Cの相対移動が規制された状態となっている。そのため、本実施形態では、第2コイルエンド部152に対する第1固定工程S4は不要となっている。なお、第2コイルエンド部152における接合部153以外の部分は、異なるスロット110に配置された一対のスロット収容部120を接続するように周方向Cに延在する渡り部(不図示)となっている。
一方、本実施形態では、第1コイルエンド部151には、接合部153は配置されていない。つまり、第1コイルエンド部151は、上記第1の実施形態のコイルエンド部121と同様、複数の渡り部を有して構成されている。
本実施形態では、コイルエンド部150をワニス30で固める第1固定工程S4(図4等参照)は、第1コイルエンド部151に対して実行し、第2コイルエンド部152に対しては実行しない。すなわち、図9の左図に示すように、本実施形態では、第1固定工程S4では、第1コイルエンド部151の内周部151Aにおける支持治具2に接していない非接触領域NRをワニス30で固める。これにより、図9の右図に示すように、第1コイルエンド部151の内周部151Aにおける非接触領域NRに、ワニス30が硬化したワニス硬化部30Cを形成すると共に、第1コイルエンド部151の外周部151Bにワニス30によって固められない開放領域ORを形成する。
このように、本実施形態では、第1コイルエンド部151に対してのみ第1固定工程S4を実行し、第2コイルエンド部152に対しては第1固定工程S4を実行しない。そのため、第1実施形態のように、第1固定工程S4を複数回(2回)実行する必要がなく、またそのためにステータコア11の姿勢を変更するコア反転工程も必要としない。そして、本実施形態でも、第1固定工程S4の実行後は、治具取去り工程S5、必要に応じて第2予備加熱工程S6、及び、第2固定工程S7を実行する。
3.その他の実施形態
次に、ステータの製造方法のその他の実施形態について説明する。
(1)上記の各実施形態では、第1固定工程S4において、ステータコア11の軸方向Lを鉛直方向Vに沿わせるようにステータコア11を配置した状態で、コイルエンド部121の内周部121Aに対して上方からワニス30を供給する例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、例えば図10に示すように、第1固定工程S4では、ステータコア11の軸方向Lを水平方向Hに沿わせるようにステータコア11を配置した状態で、コイルエンド部121の内周部121Aに対して径方向Rの内側からワニス30を供給してもよい。この際、ステータコア11をその軸心周りに回転させながら、コイルエンド部121の内周部121Aに対してワニス30を供給すると好適である。図示の例では、ノズル3を用いてワニス30を滴下することによりワニス30を供給している。なお、「ステータコア11の軸方向Lを水平方向Hに沿わせるように当該ステータコア11を配置した状態」とは、ステータコア11の軸方向Lが水平方向Hに平行となっている状態の他、ステータコア11の軸方向Lが水平方向Hに対して傾斜している状態も含む。従って、ステータコア11の軸方向Lが水平方向Hに対して例えば45°よりも小さな角度で傾斜した状態で、第1固定工程S4を行ってもよい。
(2)上記の各実施形態では、ノズル3を用いてワニス30を滴下することによりワニス30を供給する例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、ワニス30の供給方法には、例えば、塗布、噴霧などの様々な方法を採用することができる。更には、対象箇所の近傍に固体状(例えばシート状)のワニス30を設置して、当該固体状のワニス30を溶融させることにより、溶融したワニス30を対象箇所に供給する(含浸させる)こともできる。このような、固体状のワニス30を用いたワニス供給方法は、ワニス30の供給範囲が限定されている場合に好適であり、例えば、第1固定工程S4を実行する場合に適している。
(3)上記の各実施形態では、第1固定工程S4の前に第1予備加熱工程S3を実行し、第2固定工程S7の前に第2予備加熱工程S6を実行する例について説明した。しかし、第1予備加熱工程S3及び第2予備加熱工程S6は、必須の工程ではなく、これらの工程の一方又は双方を実行しなくてもよい。
(4)上記の各実施形態では、第1固定工程S4において、コイルエンド部121の内周部121Aのみをワニス30で固定する例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、第1固定工程S4において、コイルエンド部121の内周部121Aに加えて、当該内周部121A以外の部分もワニス30で固定してもよく、例えば、コイルエンド部121の内周部121Aと外周部121Bの双方をワニス30で固定してもよい。この場合であっても、コイルエンド部121におけるステータコア11に近接する部分に、ワニス30によって固められない開放領域ORを形成するとよい。これにより、第2固定工程S7を実行する際に、当該開放領域ORを利用して、スロット110へのワニス30の供給を適切に行うことができる。
(5)上記の各実施形態では、第1固定工程S4と第2固定工程S7とで、異なる粘度のワニス30を使用する例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、第1固定工程S4と第2固定工程S7とで同じ粘度のワニス30を使用してもよい。
(6)上記の各実施形態では、加熱により硬化するワニス30を使用する例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、様々な種類のワニス30を用いることができる。例えば、第1固定工程S4及び第2固定工程S7の一方又は双方において、紫外線等の光エネルギーに反応して硬化する光硬化性のワニス30を用いてもよい。また、これらの工程において、例えば、液状の本剤に液状の硬化剤を加えることにより硬化する二液性のワニス30として用いてもよい。
(7)上記の各実施形態では、製造方法の対象とされるステータ1が、ステータコア11に対する軸方向Lの両側にコイルエンド部121を有している例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、ステータの製造方法では、ステータコア11に対する軸方向Lの一方側のみにコイルエンド部121を有するステータ1を対象としてもよい。
(8)なお、上述した各実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。従って、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
4.上記実施形態の概要
以下、上記において説明したステータの製造方法の概要について説明する。
内周面(11F)に開口するスロット(110)を有する円筒状のステータコア(11)と、前記スロット(110)の内部に配置されるスロット収容部(120)と前記ステータコア(11)から軸方向(L)の外側に突出するコイルエンド部(121)とを有するステータコイル(12)と、を備えたステータ(1)の製造方法であって、前記スロット収容部(120)が前記スロット(110)の内部に配置された状態で、前記スロット収容部(120)を径方向(R)の内側から支持する支持治具(2)を前記ステータ(1)に装着する治具装着工程(S2)と、前記治具装着工程(S2)の後、前記コイルエンド部(121)の内周部(121A)における前記支持治具(2)に接していない非接触領域(NR)をワニス(30)で固める第1固定工程(S4)と、前記第1固定工程(S4)の後、前記支持治具(2)を前記ステータ(1)から取り去る治具取去り工程(S5)と、前記治具取去り工程(S5)の後、前記スロット収容部(120)をワニス(30)で固める第2固定工程(S7)と、を実行する。
本構成によれば、第1固定工程(S4)では、コイルエンド部(121)の内周部(121A)における支持治具(2)に接していない非接触領域(NR)をワニス(30)で固めるため、支持治具(2)にワニス(30)が付着する可能性を低減しつつ、コイルエンド部(121)の内周部(121A)をワニス(30)によって固めることができる。そして、コイルエンド部(121)の内周部(121A)がワニス(30)によって固められた後は、当該固められた内周部(121A)が支えとなってステータコイル(12)を構成する導体線(W)の移動が規制されるため、支持治具(2)を取り去ってもスロット収容部(120)が径方向(R)の内側に移動することを規制できる。そのため、支持治具(2)を取り去った後であっても、ステータコイル(12)のスロット収容部(120)を適切な位置に維持しつつ当該スロット収容部(120)をワニス(30)で固める第2固定工程(S7)を実行することができる。従って、支持治具(2)にスロット収容部(120)を支持する機能を果たさせながらも、当該支持治具(2)にワニス(30)が付着する可能性を低減できる。これにより、支持治具(2)とステータ(1)とがワニス(30)よって接着されて支持治具(2)のステータ(1)からの取り去りが困難になることを回避できると共に、支持治具(2)に付着したワニス(30)を除去する作業の手間も低減することができる。
ここで、前記第1固定工程(S4)に用いるワニス(30)の粘度が、前記第2固定工程(S7)に用いるワニス(30)の粘度よりも高いと好適である。
本構成によれば、第1固定工程(S4)においてコイルエンド部(121)の内周部(121A)における非接触領域(NR)をワニス(30)で固める場合に、ワニス(30)が支持治具(2)に到達するまで流動する可能性を低減できる。これにより、支持治具(2)にワニス(30)が付着する可能性を更に低減できる。
また、前記第1固定工程(S4)では、前記コイルエンド部(121)の前記内周部(121A)における前記非接触領域(NR)をワニス(30)で固めると共に、前記コイルエンド部(121)の外周部(121B)にワニス(30)によって固められない開放領域(OR)を形成し、前記第2固定工程(S7)では、前記開放領域(OR)から前記スロット(110)の内部にワニス(30)を供給すると好適である。
本構成によれば、第2固定工程(S7)を実行する場合に、スロット(110)の内部へのワニス(30)の供給を容易に行うことができ、スロット収容部(120)をワニス(30)で固める工程を適切に行うことができる。
また、前記第1固定工程(S4)では、加熱により硬化するワニス(30)を使用し、前記第1固定工程(S4)の前に、前記コイルエンド部(121)を、前記第1固定工程(S4)で用いるワニス(30)の硬化開始温度(T1)以上となるように加熱する予備加熱工程(S3)を実行すると好適である。
本構成によれば、第1固定工程(S4)におけるワニス(30)の硬化を促進できる。従って、ワニス(30)が支持治具(2)に到達するまで流動する可能性を低減でき、支持治具(2)にワニス(30)が付着する可能性を更に低減できる。
また、前記スロット(110)は、その周方向(C)の両側の側面部(110A)が前記ステータコア(11)の前記内周面(11F)まで連続する平面となるように形成され、前記治具装着工程(S2)の前に、前記スロット収容部(120)を前記スロット(110)の内部に径方向(R)の内側から挿入するコイル挿入工程(S1)を実行すると好適である。
このような構成では、コイル挿入工程(S1)の後、ステータコイル(12)のスロット収容部(120)が、スプリングバックによって径方向(R)の内側に移動しようとする。そのため、ステータコイル(12)をワニス(30)によって正しい位置に固定するためには、スロット収容部(120)を径方向(R)の内側から支持する支持治具(2)を用いる必要がある。従って、このようなコイル挿入工程(S1)を行う構成では、上記製造方法を適用することが特に適している。
また、前記第1固定工程(S4)では、前記ステータコア(11)の軸方向(L)を鉛直方向(V)に沿わせるように前記ステータコア(11)を配置した状態で、前記コイルエンド部(121)の前記内周部(121A)に対して上方からワニス(30)を供給すると好適である。
本構成によれば、第1固定工程(S4)においてワニス(30)をコイルエンド部(121)の適切な領域に供給し、当該領域をワニス(30)で固めることができる。
また、前記第1固定工程(S4)では、前記ステータコア(11)の軸方向(L)を水平方向(H)に沿わせるように前記ステータコア(11)を配置した状態で、前記コイルエンド部(121)の前記内周部(121A)に対して径方向(R)の内側からワニス(30)を供給すると好適である。
本構成によれば、第1固定工程(S4)においてワニス(30)をコイルエンド部(121)の適切な領域に供給し、当該領域をワニス(30)で固めることができる。またこの際、供給されたワニス(30)が支持治具(2)に近づく方向に流動し難いため、支持治具(2)にワニス(30)が付着する可能性を更に低減できる。
また、前記ステータコイル(15)は、導体線(W)の接合部(153)を複数備え、前記コイルエンド部(150)は、前記ステータコア(11)から軸方向(L)の一方側に突出する第1コイルエンド部(151)と、前記ステータコア(11)から軸方向(L)の他方側に突出する第2コイルエンド部(152)と、を備え、複数の前記接合部(153)が、前記第2コイルエンド部(152)に配置され、前記第1固定工程(S4)は、前記第1コイルエンド部(151)に対して実行し、前記第2コイルエンド部(152)に対しては実行しないと好適である。
本構成によれば、第2コイルエンド部(152)は、複数の接合部(153)を備えており、当該接合部(153)によって固められた部分が支えとなって、ステータコイル(15)を構成する導体線(W)の移動が規制される。従って、当該第2コイルエンド部(152)に対しては第1固定工程(S4)を実行しなくても、第1コイルエンド部(151)に対して第1固定工程(S4)を実行すれば、支持治具(2)を取り去ってもスロット収容部(120)が径方向(R)の内側に移動することを規制できる。よって、この構成によれば、不要な第1固定工程(S4)を削減でき、製造工程を簡略化することができる。
本開示に係る技術は、回転電機に用いられるステータの製造方法に利用することができる。
1 :ステータ
2 :支持治具
11 :ステータコア
11F :コア内周面(内周面)
12 :ステータコイル
30 :ワニス
31 :高粘度ワニス
32 :低粘度ワニス
110 :スロット
110A :側面部
120 :スロット収容部
121 :コイルエンド部
121A :内周部
121B :外周部
W :導体線
S1 :コイル挿入工程
S2 :治具装着工程
S3 :第1予備加熱工程(予備加熱工程)
S4 :第1固定工程
S5 :治具取去り工程
S6 :第2予備加熱工程
S7 :第2固定工程
C :周方向
L :軸方向
R :径方向
15 :ステータコイル
150 :コイルエンド部
151 :第1コイルエンド部
151A :内周部
151B :外周部
152 :第2コイルエンド部
153 :接合部
NR :非接触領域
OR :開放領域
SD :設定距離
T1 :第1硬化開始温度
T2 :第2硬化開始温度

Claims (8)

  1. 内周面に開口するスロットを有する円筒状のステータコアと、前記スロットの内部に配置されるスロット収容部と前記ステータコアから軸方向の外側に突出するコイルエンド部とを有するステータコイルと、を備えたステータの製造方法であって、
    前記スロット収容部が前記スロットの内部に配置された状態で、前記スロット収容部を径方向の内側から支持する支持治具を前記ステータに装着する治具装着工程と、
    前記治具装着工程の後、前記コイルエンド部の内周部における前記支持治具に接していない非接触領域をワニスで固める第1固定工程と、
    前記第1固定工程の後、前記支持治具を前記ステータから取り去る治具取去り工程と、
    前記治具取去り工程の後、前記スロット収容部をワニスで固める第2固定工程と、を実行する、ステータの製造方法。
  2. 前記第1固定工程に用いるワニスの粘度が、前記第2固定工程に用いるワニスの粘度よりも高い、請求項1に記載のステータの製造方法。
  3. 前記第1固定工程では、前記コイルエンド部の前記内周部における前記非接触領域をワニスで固めると共に、前記コイルエンド部の外周部にワニスによって固められない開放領域を形成し、
    前記第2固定工程では、前記開放領域から前記スロットの内部にワニスを供給する、請求項1又は2に記載のステータの製造方法。
  4. 前記第1固定工程では、加熱により硬化するワニスを使用し、
    前記第1固定工程の前に、前記コイルエンド部を、前記第1固定工程で用いるワニスの硬化開始温度以上となるように加熱する予備加熱工程を実行する、請求項1から3のいずれか一項に記載のステータの製造方法。
  5. 前記スロットは、その周方向の両側の側面部が前記ステータコアの前記内周面まで連続する平面となるように形成され、
    前記治具装着工程の前に、前記スロット収容部を前記スロットの内部に径方向の内側から挿入するコイル挿入工程を実行する、請求項1から4のいずれか一項に記載のステータの製造方法。
  6. 前記第1固定工程では、前記ステータコアの軸方向を鉛直方向に沿わせるように前記ステータコアを配置した状態で、前記コイルエンド部の前記内周部に対して上方からワニスを供給する、請求項1から5のいずれか一項に記載のステータの製造方法。
  7. 前記第1固定工程では、前記ステータコアの軸方向を水平方向に沿わせるように前記ステータコアを配置した状態で、前記コイルエンド部の前記内周部に対して径方向の内側からワニスを供給する、請求項1から5のいずれか一項に記載のステータの製造方法。
  8. 前記ステータコイルは、導体線の接合部を複数備え、
    前記コイルエンド部は、前記ステータコアから軸方向の一方側に突出する第1コイルエンド部と、前記ステータコアから軸方向の他方側に突出する第2コイルエンド部と、を備え、
    複数の前記接合部が、前記第2コイルエンド部に配置され、
    前記第1固定工程は、前記第1コイルエンド部に対して実行し、前記第2コイルエンド部に対しては実行しない、請求項1から7のいずれか一項に記載のステータの製造方法。
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