以下、本発明の実施形態に係るインターポーザ100の構成及びその製造方法について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態は本発明の実施形態の一例であって、本発明はこれらの実施形態に限定して解釈されるものではない。なお、本実施形態で参照する図面において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号または類似の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。また、図面の寸法比率は説明の都合上実際の比率とは異なる場合や、構成の一部が図面から省略される場合がある。
<第1実施形態>
図面を用いて、本実施形態に係るインターポーザ100の構成及び製造方法について詳細に説明する。
[構成]
先ず、本実施形態に係るインターポーザ100の構成について詳細に説明する。図1は、インターポーザ100の構成を説明する断面図である。図1aは、インターポーザ100の概略構成を説明する断面図であり、図1bは、パッケージ基板102に実装したインターポーザ100の表面付近の構成を説明する拡大断面図である。
本実施形態に係るインターポーザ100は、少なくとも多層配線104と、絶縁層106と、第1配線108と、複数の半田バンプ110とを備えている。
多層配線104は、少なくとも一層の配線層が積層されている。配線層の各々は、配線108及び第1絶縁層112を有している。
複数の配線108の各々は、複数種の導電層の積層構造であってもよく、単層構造であってもよい。本実施形態においては、複数の配線108の各々は、第1導電層108a及び第2導電層108bを有する2層構造を有している。
第1導電層108aは、第2導電層108bの上に配置されている。第1導電層108aの材料としては、電気抵抗が低い金属材料が好ましい。例えば、銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)、アルミニウム(Al)などを用いることができる。また、アルミニウム−ネオジウム合金(Al−Nd)やアルミニウム−銅合金(Al−Cu)などのアルミニウム合金を使用することができる。
第2導電層108bは、第1導電層108aの下に配置されている。第2導電層108bの材料としては、密着性や、第1導電層108aに対するバリア性を有する材料を使用することが好ましい。例えば、第1導電層108aとしてCuを使用した場合、第2導電層108bとしては、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)、タンタル(Ta)、窒化タンタル(TaN)、Cr(クロム)等を使用することができる。
複数の第1絶縁層112は、複数の配線108の各々を絶縁している。複数の第1絶縁層112の各々は、複数種の絶縁層の積層構造であってもよく、単層構造であってもよい。複数の第1絶縁層112の各々は、少なくとも有機絶縁層を含む。有機絶縁層としては、例えばポリイミドを用いることができる。本実施形態においては、第1絶縁層112としてポリイミドを用いる。
第2絶縁層106は、多層配線104の少なくとも一方の表面を被覆している。第2絶縁層106は、複数種の絶縁層の積層構造であってもよく、単層構造であってもよい。第2絶縁層106としては、第1絶縁層112が有する有機絶縁層よりもガスの透過率が低く、且つガスの放出率が低い材料を用いる。
ここで言うガスとは、後述する半田バンプ110のリフロー時に有機絶縁層が放出するガスを指す。有機絶縁層から放出されるガスは主に、水分や炭素と酸素の結合化合物である。
有機絶縁層中で発生するガスが半田バンプ110に到達及び拡散すると、半田バンプ110の変形や接合不良が生じ、半導体実装が不安定となり、半導体装置の信頼性が低下してしまうという問題がある。
有機絶縁層よりもガスの透過率が低く、且つガスの放出率が低い材料としては、例えば酸化珪素(SiO2)や窒化珪素(SiN)等の無機絶縁材料、又はテフロン(登録商標)等の有機絶縁材料が挙げられる。本実施形態においては、第2絶縁層106は、第1無機絶縁層106a及び第2無機絶縁層106bの2層構造を有しており、第1無機絶縁層106aは、第2無機絶縁層106bの上に配置されている。第1無機絶縁層106aとしてSiO2、第2無機絶縁層106bとしてSiNを用いている。
このような構成を有することによって、製造工程における半田バンプ110のリフロー時に、有機絶縁層中で発生するガスが半田バンプ110に到達及び拡散することを更に効果的に抑制することができる。
第1配線108は、最下層の配線層に配置された配線108であり、第2絶縁層106に埋設されている。本実施形態においては、第1配線108の側壁及び上面が第2絶縁層106に被覆されている。更に、第1配線108の上面において、多層配線104の配線層の内、第2絶縁層に隣接する配線層が有する第2配線と電気的に接続されている。
このような構成を有することによって、シリコン基板、ガラス基板等を用いた貫通電極を介さずに、半導体装置の出力信号をパッケージ基板に伝送することができる。これによって、信号の送受信の高速化、及び出力信号の伝送損失の低減が可能になる。
更に、このような構成を有することによって、インターポーザ100及びパッケージ基板102の熱膨張率の差を低減することができ、両者に介在する半田バンプ110内の残留応力が軽減され、半田バンプ110の変形や接合不良を抑制することができる。これによって、安定した半導体実装が可能になる。
従来のインターポーザは、SiO2等の無機材料と配線のみから構成され、パッケージ基板はエポキシ等の有機材料から構成されるため、両者の熱膨張率の差に起因し、両者を介在する半田バンプ内に残留応力が生じて接続強度が低下するという問題があった。これによって、信頼性が低下してしまう。例えばSiO2の熱膨張率は0.5ppm程度であるのに対して、有機材料の熱膨張率は20〜50ppm程度であり、両者は最大で2桁程度異なる。
本実施形態によれば、インターポーザ100の配線層は、有機絶縁層及び無機絶縁層の積層構造を有するため、インターポーザ100全体の熱膨張率としては有機絶縁層の熱膨張率よりも小さくなり、インターポーザ100及びパッケージ基板102の熱膨張率の差が低減される。
本実施形態においては、第1配線108は、第2絶縁層106の外部に露出した表面と同一の平面上に存在する表面を有する。つまり、インターポーザ100の表面のうち、第1配線108が配置された側はほぼ平坦である。尚、インターポーザ100の内部の領域に対して、それ以外の領域を外部という。
このような構成を有することによって、パッケージ基板102への実装が容易になる。
第1配線108は、複数種の導電層の積層構造であってもよく、単層構造であってもよい。本実施形態においては、第1配線108は、第1導電層108a及び第2導電層108bを有する2層構造としている。以下では、特に第2導電層108bをバリア層108bとも呼び、バリア層108bは外部に露出している。これによって第1導電層108aは、第2絶縁層106及びバリア層108bによって表面を被覆され、外部に露出しない構成となっている。
第1導電層108aの材料としては、電気抵抗が低い金属材料が好ましい。例えば、銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)、アルミニウム(Al)などを用いることができる。また、アルミニウム−ネオジウム合金(Al−Nd)やアルミニウム−銅合金(Al−Cu)などのアルミニウム合金を使用することができる。
バリア層108bの材料としては、密着性や、第1導電層108aに対するバリア性を有する材料を使用することが好ましい。例えば、第1導電層108aとしてCuを使用した場合、第2導電層108bとしては、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)、ニッケル(Ni)等の高融点金属を使用することができる。また、Ni/Au等の複数層を有する構成としてもよい。
このような構成を有することによって、第1導電層108aの酸化を防止し、パッケージ基板102との導通部における抵抗の増大を回避することができる。これによって、安定した半導体実装が可能になり、信頼性の改善した半導体装置を提供することができる。
本実施形態に係るインターポーザ100は、複数の半田バンプ110を更に備えてもよい。複数の半田バンプ110の各々は、第1配線108に導通している。
以上、本実施形態に係るインターポーザの構成について説明した。以上のような構成を有することによって、後述する半田バンプ110のリフロー時に、有機絶縁層中で発生するガスが半田バンプ110に到達及び拡散することによる半田バンプ110の変形や接合不良を抑制することができる。これによって、安定した半導体実装が可能になり、信頼性の改善した半導体装置を提供することができる。
[製造方法]
次いで、本実施形態に係るインターポーザ100の製造方法について詳細に説明する。図2乃至図13は、本実施形態に係るインターポーザ100の構成を説明する断面図である。
先ず、支持基板としての基板116上にSiO2層118、バリア層108b、及び導電層108cをこの順で成膜する(図2(a))。支持基板としての基板116としては、本実施形態においてはSi基板を用いる。SiO2層118は、プラズマCVD法やスパッタリング法等を用いて成膜することができる。バリア層108bは、スパッタリング法を用いて成膜することができる。導電層108cは、めっき給電のためのシード層であり、スパッタリング法又は無電解めっき法を用いて成膜することができる。本実施形態においては、導電層108cとして銅(Cu)を用いる。
次いで、第1配線108のパターンを形成するために、導電層108c上にフォトレジスト120を塗布し、第1配線108を形成する領域のフォトレジスト120を選択的に露光して除去する(図2(b))。
次いで、電解めっき法により、既に成膜した導電層108cをシード層として、めっき成長させる(図3(a))。
次いで、フォトレジスト120を剥離し、フォトレジスト120に覆われていた領域のバリア層108b及び導電層108cをウェットエッチングにより除去する。以上の工程によって、基板上116に第1配線108のパターンを形成する(図3(b))。
次いで、基板上116に第1配線108のパターンを被覆する第2絶縁層106を成膜する。
第2絶縁層106の成膜は、第2無機絶縁層106bを成膜し、第2無機絶縁層106bを被覆する第1無機絶縁層106aを成膜することを含んでもよい。本実施形態においては、第2絶縁層106は第1無機絶縁層106a及び第2無機絶縁層106bの2層構造を有し、第1無機絶縁層106aとして珪素(SiO2)、第2無機絶縁層106bとして窒化珪素(SiN)を用いる。
このような製造方法によって、後述する半田バンプ110のリフロー時に、有機絶縁層中で発生するガスが半田バンプ110に到達及び拡散することを更に効果的に抑制することができる。
次いで、第2絶縁層106上に有機絶縁層を含む第1絶縁層112を成膜する(図4(a))。第1絶縁層112は、複数種の絶縁層の積層構造であってもよく、単層構造であってもよい。第1絶縁層112は、少なくとも有機絶縁層を含む。本実施形態においては、第1絶縁層112としてポリイミドを用いる。
次いで、第1絶縁層112上に複数の配線層を形成する。以下では、2層目の配線層を形成する工程について説明するが、3層目以降の配線層についても2層目と同様にして形成することができる。
第1絶縁層112上に、プラズマCVD法によってSiO2層119を成膜する。更に、SiO2層119上にフォトレジスト120を塗布し、フォトリソグラフィ工程によって、2層目の配線層が有する第2配線108と第1配線108とを接続するためのビア122についてパターニングを行う(図4(b))。次いで、フォトレジスト120をマスクとしてSiO2層119をプラズマエッチングする(図5(a))。
次いで、第1絶縁層112、第1無機絶縁層106a、第2無機絶縁層106bの順にプラズマエッチングによって除去する(図5(b))。このエッチング工程において、フォトレジスト120は第1絶縁層112のエッチング時に除去される。フォトレジスト120が除去された後は、第1絶縁層112がマスクとなり、第1無機絶縁層106a及び第2無機絶縁層106bがエッチングされる。
尚、第1絶縁層112として感光性の有機材料を用いる場合は、上述のエッチング工程に替えて、第1絶縁層112を露光及び現像してパターニングし、第1絶縁層112をマスクとして第1無機絶縁層106a及び第2無機絶縁層106bをエッチングしてもよい。
次いで、第2配線108及びビア122を以下の手順で形成する。第2配線108が有するバリア層108b及び導電層108cを成膜する。バリア層108bは、第1配線のバリア層108bと同様の材料を用いてよく、スパッタリング法によって成膜することができる。導電層108cは電解めっき法によって成長させるためのシード層であり、最下層の配線108が有する第1導電層108aと同様の材料を用いてよい。導電層108cは、スパッタリング法によって成膜することができる。
次いで、フォトレジスト120を塗布し、第2配線108のパターニングを行う(図6(a))。次いで、電解めっき法により、導電層109cを成長させる(図6(b))。
次いで、フォトレジストを除去し、フォトレジストに覆われていたバリア層108b及び導電層108cをウェットエッチングにより除去して第2配線108を形成する(図7)。尚、ウェットエッチングの他に、イオンミリングして除去してもよい。第2配線108を形成した後、2層目の第1絶縁層112を形成する。ここで、最下層の配線層と同様に、2層の第2絶縁層106(第1絶縁層106a及び第2絶縁層106b)及び第1絶縁層112を形成して2層目の配線層としてもよい。また、第2配線108の上に直接第1絶縁層112を形成して2層目の配線層としてもよい。
次いで、2層目の配線層と同様にして、その上に複数の配線層を形成する(図8)。尚、最上層の配線108は、実装用に例えばCu/Ni/Auといった層構造を有していてもよい。また、最上層の配線108に例えばCuピラーを形成してもよい。
次いで、基板116を除去して、第1配線108及び第2絶縁層106を露出させる。基板116を除去する工程としては、先ず、接着剤124を介してインターポーザ100の最上層にサポート基板126を貼り付ける。サポート基板126としては、例えばSi基板を用いることができる。
次いで、支持基板としての基板116の裏面を研磨し、薄膜化する(図9)。ここで、基板116が10μm程度まで薄膜化することが望ましい。尚、本実施形態においては、基板116としてSi基板を用いている。
次いで、SiとSiO2との選択比が5以上となるよう、CF系、CHF系を含む混合ガスを用いたプラズマエッチングによって、残存した基板116を除去してSiO2層118を露出させる(図10)。
尚、ここでのプラズマエッチングにおいて、Cl2、BCl3等の塩素を含むガスを用いてもよい。または、TMAHやKOH等の薬液を用いて、残存した基板116を除去してもよい。
次いで、SiO2層118と第2無機絶縁層106bとの選択比が5以上のCF系、CHF系を含む混合ガスを用いて、プラズマエッチングによってSiO2層118を除去して、第1配線108の表面と第2無機絶縁層106bの表面を露出させる(図11)。または、HF溶液を用いてSiO2層118を除去して第1配線108の表面と第2無機絶縁層106bの表面を露出させても良い。このような製造方法によって、第1配線108の表面と第2無機絶縁層106bの表面とは同一平面上に存在するように仕上がる。
ここで、最下層の配線層が有する第1配線108のバリア層108bをエッチング液で除去しても良い。または、そのままバリア層108bとしてバンプ形成用に用いても良い。
次いで、バリア層108b上にスクリーン印刷を用いてフラックス128を塗布し、メタルマスク130を介して半田ボール110を配置する(図12)。
次いで、半田ボール110をリフローさせて半田バンプ110を形成した後、IPAなどの有機溶剤でフラックス128を除去し、最後にサポート基板126と接着材124を除去する(図13)。この状態で、半田バンプ110を介してパッケージ基板102または、半導体装置を接続することが可能となる。
以上、本実施形態に係るインターポーザの製造方法について説明した。以上のような製造方法によって、シリコン基板、ガラス基板等による貫通電極を用いないインターポーザ100を容易に製造することができる。
更に、このような製造方法によって、有機絶縁層を含む第1絶縁層112が外部に露出しないインターポーザ100を容易に製造することができる。
<変形例>
図面を用いて、本変形例に係るインターポーザ150の構成及び製造方法について詳細に説明する。
[構成]
先ず、本変形例に係るインターポーザ150の構成について詳細に説明する。図14は、インターポーザ150の構成を説明する断面図である。
本変形例に係るインターポーザ150と、第1実施形態に係るインターポーザ100とを比較すると、本変形例に係るインターポーザ150は、最下層の配線層が有する第1配線108に導通する複数のピラー132を更に備えている。ピラー132はパッケージ基板102とインターポーザ100とを電気的に接続する柱状の端子である。
このような構成を有することによって、パッケージ基板102の微細化に伴う電極パッドの狭ピッチ化に対応することができる。
[製造方法]
本変形例に係るインターポーザの製造方法150は、第1実施形態に係るインターポーザ100の製造方法において、図11に示したSiO2層118を除去する工程までは共通するため、その説明は省略する。
図15に示すように、SiO2層118を除去した後、最下層の配線層側からスパッタリング法によりバリア層132b及び導電層132aを成膜する(図示せず)。次いでフォトレジスト120を塗布し、露光、現像してピラー132についてパターンニングする。導電層132aに給電し、電解めっき法により導電層132aを成長させる。
次いで、フォトレジスト120を剥離し、導電層132a及びバリア層132bをウエットエッチングによって除去してピラー132を形成する。次いで、ピラー132上に半田ボール110を配置し、リフローさせることにより半田バンプ110を形成する(図16)。
次いで、サポート基板126と接着剤124とを除去し、図14に示した本変形例に係るインターポーザ150が完成する。この状態で、半田バンプ110を介してパッケージ基板102や半導体装置と接合することができる。
<第2実施形態>
図面を用いて、本実施形態に係るインターポーザ200の構成及び製造方法について詳細に説明する。
[構成]
先ず、本実施形態に係るインターポーザ200の構成について詳細に説明する。図17は、インターポーザ200の構成を説明する断面図である。図17aは、インターポーザ200の概略構成を説明する断面図であり、図17bは、パッケージ基板102に実装したインターポーザ200の表面付近の構成を説明する拡大断面図である。
本実施形態に係るインターポーザ200は、少なくとも多層配線104と、第2絶縁層106と、第1配線108とを備えている。
多層配線104は、少なくとも一層の配線層が積層されて構成されている。配線層の各々は、配線108及び複数の第1絶縁層112を有している。
複数の配線108の各々は、複数種の導電層の積層構造であってもよく、単層構造であってもよい。本実施形態においては、複数の配線108の各々は、第1導電層108a及び第2導電層108bを有する2層構造を有している。第1導電層108a及び第2導電層108bの材料としては、それぞれ第1実施形態において説明した材料を用いることができ、本実施形態においても同様の材料を用いる。
第2絶縁層106は、多層配線104の最下層側の表面及び最上層側の表面の内、少なくとも一方の表面を被覆している。第2絶縁層106は、複数種の絶縁層の積層構造であってもよく、単層構造であってもよい。第2絶縁層106としては、第1絶縁層112が有する有機絶縁層よりもガスの透過率が低く、且つガスの放出率が低い材料を用いる。
ここで言うガスとは、後述する半田バンプ110のリフロー時に有機絶縁層が放出するガスを指す。有機絶縁層から放出されるガスは主に、水分や炭素と酸素の結合化合物である。
有機絶縁層中で発生するガスが半田バンプ110に到達及び拡散すると、半田バンプ110の変形や接合不良が生じ、半導体実装が不安定となり、半導体装置の信頼性が低下してしまうという問題がある。
有機絶縁層よりもガスの透過率が低く、且つガスの放出率が低い材料としては、例えば酸化珪素(SiO2)や窒化珪素(SiN)等の無機絶縁材料、又はテフロン(登録商標)等の有機絶縁材料が挙げられる。本実施形態においては、第2絶縁層106は、第1無機絶縁層106a及び第2無機絶縁層106bの2層構造を有しており、第1無機絶縁層106aは、第2無機絶縁層106bの上に配置されている。第1無機絶縁層106aとしてSiO2、第2無機絶縁層106bとしてSiNを用いている。尚、第2絶縁層106は必ずしもこれらの2層構造を要するわけではなく、SiO2又はSiNのいずれか一方の単層構造でも構わない。
配線108がCuであって、Cuとの密着力を高めたい場合には、SiNをCuと密着させることが好ましい。また、他の絶縁材料として、Siを含有する酸化炭化珪素(SiOC)、炭化珪素(SiC)でも良い。両者ともCuとの密着力が強く、有機材料からの脱ガスを抑える効果もある。
このような構成を有することによって、製造工程における半田バンプ110のリフロー時に、有機絶縁層中で発生するガスが半田バンプ110に到達及び拡散することを更に効果的に抑制することができる。
第1配線108は、第2絶縁層106を貫通している。これに伴い、第1配線108の一部の表面が外部に露出している。本実施形態においては、第1配線108の側壁が第2絶縁層106と接触している。
このような構成を有することによって、シリコン基板、ガラス基板等を用いた貫通電極を介さずに、半導体装置の出力信号をパッケージ基板102に伝送することができる。これによって、信号の送受信の高速化、及び出力信号の伝送損失の低減が可能になる。
本実施形態においては、第1配線108の外部に露出した表面は、第2絶縁層106の外部に露出した表面と同一の平面上に存在する。つまり、インターポーザ100の表面のうち、第1配線108が配置された側は平坦である。
このような構成を有することによって、パッケージ基板102への実装が容易になる。
第1配線108は、複数種の導電層の積層構造であってもよく、単層構造であってもよい。本実施形態においては、第1配線108は、第1導電層108a及び第2導電層108bを有する2層構造としている。以下では、特に第2導電層108bをバリア層108bとも呼び、バリア層108bは外部に露出している。これによって第1導電層108aは絶縁層106及びバリア層108bによって表面を被覆され、外部に露出しない構成となっている。
このような構成を有することによって、第1導電層108aの酸化を防止し、パッケージ基板102との導通部における抵抗の増大を回避することができる。これによって、安定した半導体実装が可能になり、信頼性の改善した半導体装置を提供することができる。
本実施形態に係るインターポーザ200は、複数の半田バンプ110を更に備えてもよい。複数の半田バンプ110の各々は、第1配線108に導通している。
以上、本実施形態に係るインターポーザ200の構成について説明した。以上のような構成を有することによって、半田バンプ110のリフロー時に、有機絶縁層中で発生するガスが半田バンプ110に到達及び拡散することによる半田バンプ110の変形や接合不良を抑制することができる。これによって、安定した半導体実装が可能になり、信頼性の改善した半導体装置を提供することができる。
[製造方法]
次いで、本実施形態に係るインターポーザ200の製造方法について詳細に説明する。図18乃至図24は、本実施形態に係るインターポーザ200の構成を説明する断面図である。
先ず、支持基板としての基板116上にSiO2層118、第2絶縁層106、第1絶縁層112としての有機絶縁層をこの順で成膜する(図18)。支持基板としては例えばSi基板を用いることができる。SiO2層118は、プラズマCVD法やスパッタリング法等を用いて成膜することができる。
第2絶縁層106の成膜は、第2無機絶縁層106bを成膜し、第2無機絶縁層106bを被覆する第1無機絶縁層106aを成膜することを含んでもよい。本実施形態においては、第2絶縁層106は第1無機絶縁層106a及び第2無機絶縁層106bの2層構造を有し、第1無機絶縁層106aとして酸化珪素(SiO2)、第2無機絶縁層106bとして窒化珪素(SiN)を形成する。
このような製造方法によって、後述する半田バンプ110のリフロー時に、有機絶縁層中で発生するガスが半田バンプ110に到達及び拡散することを更に効果的に抑制することができる。
次いで、第2絶縁層106上に有機絶縁層を含む第1絶縁層112を成膜する。第1絶縁層112は、複数種の絶縁層の積層構造であってもよく、単層構造であってもよい。第1絶縁層112は、少なくとも有機絶縁層を含む。本実施形態においては、第1絶縁層112としてポリイミドを用いる。
次いで、第1絶縁層112及び第2絶縁層106を貫通する開口パターンを形成する。当該開口パターンの形成として、本実施形態においては、第1絶縁層112上にプラズマCVD法によってSiO2層119を成膜する。更に、SiO2層119上にフォトレジスト120を塗布し、フォトリソグラフィ工程によって、第1配線108についてパターニングを行う(図19)。次いで、フォトレジスト120をマスクとしてSiO2層119をプラズマエッチングする(図20)。
次いで、第1絶縁層112、第1無機絶縁層106a、第2無機絶縁層106bの順にプラズマエッチングし、開口部を形成する(図21)。このエッチング工程において、フォトレジスト120は第1絶縁層112のエッチング時に除去される。フォトレジスト120が除去された後は、第1絶縁層112がマスクとなり、第1無機絶縁層106a及び第2無機絶縁層106bがエッチングされる。
尚、第1絶縁層112として感光性の有機膜を用いる場合は、第1絶縁層112を露光及び現像してパターニングし、第1絶縁層112をマスクとして第1無機絶縁層106a及び第2無機絶縁層106bをエッチングしてもよい。
次いで、最下層の配線層が有する第1配線108を形成するために、基板116上にバリア層108b、導電層108cをこの順で成膜する。バリア層108bは、スパッタリング法を用いて成膜することができる。導電層108cは、めっき給電のためのシード層であり、スパッタリング法又は無電解めっき法を用いて成膜することができる。本実施形態においては、導電層108cとして銅(Cu)を用いている。
次いで、2層目の配線層が有する第2配線109のパターンを形成するために、基板116上にフォトレジスト120を塗布し、第2配線108を形成する領域のフォトレジスト120を選択的に露光して除去する(図22(a))。
次いで、電解めっき法により、既に成膜した導電層108cをシード層として、めっき成長させる(図22(b))。これによって、開口部を導体で充填すると共に第1配線108を形成する。
次いで、フォトレジスト120を剥離し(図23(a))、フォトレジスト120に覆われていたバリア層108b及び導電層108cをウェットエッチングにより除去する。尚、ウェットエッチングの他に、イオンミリングして除去してもよい。以上の工程によって、基板116上に第2配線108を形成することができる(図23(b))。
2層目の配線層が有する第2配線108を形成した後、2層目の配線層が有する第1絶縁層112を形成する。ここで、最下層の配線層と同様に、2層の絶縁層106(第1無機絶縁層106a及び第2無機絶縁層106b)及び第1絶縁層112を形成して2層目の配線層としてもよい。また、第2配線108の上に直接第1絶縁層112を形成して2層目の配線層としてもよい。
次いで、2層目の配線層と同様にして、その上に複数の配線層を形成する。尚、最上層の配線108は、実装用に例えばCu/Ni/Auといった層構造を有していてもよい。また、最上層の配線108に例えばCuピラーを形成してもよい。
次いで、基板116を除去して、第1配線108及び第2絶縁層106を露出させる(図24)。基板116を除去する方法は、第1実施形態で説明した方法と同様の方法を用いることができるため、詳細な説明は省略する。また、本実施形態においても、第1実施形態と同等に、最下層の配線層が有する第1配線108と導通する複数の半田バンプ110を配置することができる。
以上、本実施形態に係るインターポーザ200の製造方法について説明した。このような製造方法によって、シリコン基板、ガラス基板等による貫通電極を用いないインターポーザ200を容易に製造することができる。
更に、このような製造方法によって、有機絶縁層を含む第1絶縁層112が外部に露出しないインターポーザ200を容易に製造することができる。
<第3実施形態>
図面を用いて、本実施形態に係るインターポーザ300の構成及び製造方法について詳細に説明する。
[構成]
先ず、本実施形態に係るインターポーザ300の構成について詳細に説明する。図25は、インターポーザ300の構成を説明する断面図である。
本実施形態に係るインターポーザ300は、第1実施形態に係るインターポーザ100と比較すると、以下の点で異なっている。インターポーザ300の最上層及び最下層の配線層108の表面を、それぞれ第3絶縁層107及び第2絶縁層106が被覆している。更に、最上層と最下層に半田バンプ110が配置されている。
このような構成を有することによって、一方の表面をパッケージ基板に、他方の表面を半導体装置に接続することができる。
[製造方法]
本変形例に係るインターポーザの製造方法300は、第1実施形態に係るインターポーザ100の製造方法において、図7に示した第2配線109を形成する工程までは共通するため、その説明は省略する。
第1実施形態に係るインターポーザ100と同様の製造方法において、2層目の配線層が有する第2配線108を形成した後、最上層の配線層の直下の配線層まで形成する(図26)。
次いで、以下のようにして最上層の配線層を形成する。最上層の直下の配線層が有する配線108を覆う第1絶縁層112、第1無機絶縁層106a、第2無機絶縁層106bをこの順で成膜する(図27)。第1無機絶縁層106a、第2無機絶縁層106b、第1絶縁層112の材料としては、第1実施形態に係るインターポーザ100において用いた材料を用いることができ、それぞれSiN、SiO2、ポリイミドを用いる。
次いで、第2絶縁層106b上にフォトレジスト120を塗布し、露光及び現像してパターニングする。次いで、フォトレジスト120をマスクとして第1無機絶縁層106a、第2無機絶縁層106bをプラズマエッチングする(図28)。次いで、最上層の直下の配線層が有する配線108が露出するまで、第1絶縁層112をプラズマエッチングする(図29)。フォトレジスト120は、第1絶縁層112のプラズマエッチングと共に除去される。
次いで、バリア層109b、導電層109cをこの順で成膜する(図30)。バリア層109bは、スパッタリング法を用いて成膜することができる。導電層109cは、めっき給電のためのシード層であり、スパッタリング法又は無電解めっき法を用いて成膜することができる。本実施形態においては、導電層109cとして銅(Cu)を用いている。
次いで、電解めっき法により、既に成膜した導電層109cをシード層として、めっき成長させる(図33)。
次いで、表面に成長した導電層109c及びバリア層109bを、第2無機絶縁層106bが露出するまでCMP法(Chemical Mechanical Polishing)によって研磨する(図32)。
次いで、表面に露出した導電層109aの表面に、バリア層109dを形成する(図33)。バリア層109dとしては導電層108a側から、例えばNi及びAuの2層構造とし、無電解めっき法を用いて形成することができる。
次いで、Au上に半田バンプ110を形成する(図34)。半田バンプ110の形成は、第1実施形態で説明した方法を用いることができる。
次いで、基板116を除去する。基板116の除去は、第1実施形態で説明した方法を用いることができる。裏面にも半田バンプ116を形成して図25に示した本実施形態に係るインターポーザ300が完成する。
最上層に半導体(Si)チップを搭載した場合、SiとSiO2/SiNの熱膨張率の差が小さいことから、半田バンプを介した接続で、熱サイクル試験などの信頼性が高くなる。Siの熱膨張率は3ppm、SiO2の熱膨張率はは0.5ppm、SiNの熱膨張率は3ppmと比較的近い。有機材料は一般に数十ppmと大きく、搭載したSiチップとの熱膨張差に起因して接続の信頼性が低下する。
以上、本発明の好ましい態様を第1実施形態乃至第3実施形態によって説明した。しかし、これらは単なる例示に過ぎず、本発明の技術的範囲はそれらには限定されない。当業者であれば、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の変更が可能であろう。よって、それらの変更も当然に、本発明の技術的範囲に属すると解されるべきである。
本発明に係るインターポーザと、従来構造のインターポーザを作製し、熱サイクル試験を行った結果について説明する。
図35は、熱サイクル試験に用いたインターポーザの構造を説明する断面図である。この試験では、パッケージ基板とインタポーザを作製し、半田バンプで両者を接続した。
図35の構造を使用して−45〜125℃の温度サイクル試験を行った。1000回の熱サイクル後、パケージ基板とインターポーザ間を図中の点線に沿って通電し、半田バンプ部の接続状態を調べた。半田バンプがパッケージ基板とインターポーザに対して十分な強度で接合をしていないと、接続不良により抵抗値の増加が起こる。
各サンプルの第1配線層の構造を図36にした。図36(a)は、第1実施形態において、配線108を銅の単層とし、第1配線層を有機膜(ポリイミド)の層間絶縁層113で形成した構造(実施例1)である。図36(b)は、第2実施形態の構造において配線を銅の単層とし、第1配線層を有機膜(ポリイミド)の層間絶縁層113で形成した構造(実施例2)である。図36(c)は、第1配線層を有機膜(ポリイミド)の層間絶縁層113で形成した従来構造(比較例1)である。図36(d)は、第1配線層をプラズマCVD法で成膜したSiO2の層間絶縁層112で形成した従来構造(比較例2)である。
上記の実施例及び比較例の構造において、インターポーザの多層配線は4層の配線を有する。最上層の配線層には層間絶縁層を形成せず、配線は露出している。第2〜第3配線層はポリイミドで形成した。
1サンプルで、半田バンプ数1万個を介して通電できる構造となっている。また、サンプル数は100個で不良率を調べた。
熱サイクル試験の後の不良率は、実施例1の構造で0%、実施例2の構造で6%の不良が発生したのに対して、比較例1の構造では65%、比較例2では88%の不良が発生した。
比較例1は、半田ボールのリフロー時、第1配線層で用いた有機膜からの脱ガスにより半田ボールが酸化、あるいは変形によって接続強度が不足しており、熱サイクル試験で高い不良率を示した。比較例2では、第1配線層で用いたSiO2とパッケージ基板を構成するエポキシ材料との熱膨張率の差から、半田バンプ内に残留応力による歪が発生し、接合強度が低下して高い不良率が発生した。
実施例1と実施例2の構造は、第1配線層の有機膜からの脱ガスを第1絶縁層(SiO2)と第2絶縁層(SiO2)が防止して、半田バンプの酸化や変形を抑えた。また、第1配線層のポリイミドとパッケージ基板のエポキシの熱膨張率の差が小さいため、半田ボール内に残留応力が発生しないため、歪による接続強度の低下が起こらず高い強度を保つことができたため、不良率が低くなった。
実施例2の構造は、わずかに不良が発生したことから、実施例1の構造の方が更に強い接合強度を維持できたと考えられる。