JP2020129525A - 蓄電モジュールの製造方法、及び、蓄電モジュール - Google Patents
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Abstract
【課題】気密性の低下を抑制可能な蓄電モジュールの製造方法、及び、蓄電モジュールを提供する。【解決手段】この製造方法は、金型28を用いた樹脂の射出成形によって、電極積層体24の外周部に対して第1樹脂部21Aを設けて電池構造体34を作製する第1工程と、電池構造体34を金型29内に配置すると共に、金型29を用いた樹脂の射出成形によって第1樹脂部21Aの外周部に第2樹脂部21Bを形成する第2工程と、を備える。第1工程においては、第1樹脂部21Aとして、電極積層体24の外側面24aを覆うように延びる本体部22Aと、第1方向に沿って本体部22Aから突出する複数の突起部22a,22bと、を形成する。【選択図】図4
Description
本発明は、蓄電モジュールの製造方法、及び、蓄電モジュールに関する。
従来の蓄電モジュールとして、電極板の一方面に正極が形成され、他方面に負極が形成されたバイポーラ電極を備えるバイポーラ電池が知られている(特許文献1参照)。バイポーラ電池は、セパレータを介して複数のバイポーラ電極を積層してなる積層体を備えている。積層体の側面には、積層方向に隣り合うバイポーラ電極間を封止する封止体が設けられており、バイポーラ電極間に形成された内部空間に電解液が収容されている。
積層体に封止体を設ける方法としては、例えば射出成形が考えられる。この場合、積層体の側面を露出するように金型内に積層体を配置し、金型内に樹脂を導入する。これにより、積層体の側面を被覆するように封止体が設けられる。ところで、内部空間の気密性を向上させるために、封止体に対して、積層体の側面から表面及び裏面上に延びるオーバーハング部を設けることが考えられる。
しかしながら、そのような封止体を一度の射出成形にて作製しようとすると、金型内において、積層体の側面、表面の側面側の一部、及び、裏面の側面側の一部が支持されていない(露出されている)状態となる。この状態において金型内に樹脂を導入すると、樹脂の流れによって積層体が撓むことがある。積層体が撓むと、撓んだ側のオーバーハング部が薄くなり、気密性が低下するおそれがある。
本発明は、そのような事情に鑑みてなされたものであり、気密性の低下を抑制可能な蓄電モジュールの製造方法、及び、蓄電モジュールを提供することを目的とする。
本発明に係る蓄電モジュールの製造方法は、第1方向に沿って積層された複数のバイポーラ電極を含む電極積層体と、電極積層体を封止するための第1樹脂部及び第2樹脂部と、を備える蓄電モジュールの製造方法であって、第1金型を用いた樹脂の射出成形によって、電極積層体の外周部に第1樹脂部を形成して電池構造体を作製する第1工程と、第2金型を用いた樹脂の射出成形によって、電池構造体の外周部に第2樹脂部を形成する第2工程と、を備え、第1工程において、第1方向に沿って延びる電極積層体の外側面を覆う第1本体部と、第1本体部における第1方向に交差する面であって、第2工程において第2金型の内面から離間しつつ当該内面に対向する面から第1方向に沿って第1本体部から突出する複数の突起部と、を含む第1樹脂部を形成し、第2工程において、複数の突起部の第1方向の端部が第2金型の内面に当接するように電池構造体を第2金型内に配置した状態において第2金型内に樹脂を導入することにより、第1方向に沿って延びる第1樹脂部の外側面を覆う第2本体部と、第1方向からみて第2本体部から複数の突起部を越えて電極積層体に重なるように延在するオーバーハング部と、を含む第2樹脂部を形成する。
この製造方法においては、まず、射出成形によって、電極積層体の外周部に第1樹脂部を設けて電池構造体を作製する。第1樹脂部は、電池構造体の外側面を覆う第1本体部と、積層方向(第1方向)に沿って第1本体部から突出する複数の突起部と、を含む。複数の突起部は、第1本体部における第1方向に交差する面であって、第2工程において第2金型の内面から離間しつつ当該内面に対向する面(すなわち、第2金型のキャビティ部に臨む面)に形成される。このため、第2工程において、当該複数の突起部の積層方向の端部が金型の内面に当接するように電池構造体を金型内に配置すれば、電池構造体の外周部が第1方向に沿って金型の内面に支持されることとなる。したがって、樹脂の流れによる電池構造体の撓みを抑制しつつ、オーバーハング部を含む第2樹脂部を形成できる。よって、オーバーハング部の薄化が避けられ、気密性の低下が抑制される。
本発明に係る蓄電モジュールの製造方法においては、第1工程において、第1方向からみて第1本体部の全周にわたって配列される複数の突起部を形成してもよい。この場合、第2工程において、電池構造体の外周部が、全周にわたって金型の内面に支持される。よって、電池構造体の撓みを抑制しつつ、電池構造体の外周部の全体に対して一括して第2樹脂部を形成できる。このため、工数及び設備の削減によりコストを低減可能である。
本発発明に係る蓄電モジュールの製造方法においては、電池構造体は、電解液を注入するための注液口が形成された注液用外側面を含み、第1工程において、第1方向に交差する面において第1本体部における電極積層体の外側面と注液用外側面となる面との間の部分に複数の突起部を形成してもよい。この場合、電池構造体の注液用外側面を含む部分の撓みが確実に抑制される。この結果、注液口の位置精度が向上される。
本発明に係る蓄電モジュールの製造方法においては、第1工程において、第1方向に交差する断面形状が円形状となる複数の突起部を形成してもよい。この場合、第2工程の射出成形の際に、隣り合う突起部の間を通じて樹脂を好適に流通させてオーバーハング部を形成することが可能となる。
本発明に係る蓄電モジュールは、第1方向に沿って積層された複数のバイポーラ電極を含む電極積層体と、電極積層体の外側面を囲う第1樹脂部と、第1樹脂部の外側面を囲う第2樹脂部と、を備え、第1樹脂部は、第1方向に沿って電極積層体の外側面を囲う第1本体部と、第1方向に沿って第1本体部から突出する複数の突出部と、を含み、第2樹脂部は、第1樹脂部の外側面を囲う第2本体部と、第1方向からみて第2本体部から複数の突起部を越えて電極積層体に重なるように延在するオーバーハング部と、を含む。
この蓄電モジュールは、次のように製造することができる。すなわち、まず、射出成形によって、電極積層体の外周部に第1樹脂部を設けて電池構造体を作製する。こ第1樹脂部は、電池構造体の外側面を囲う第1本体部と、積層方向(第1方向)に沿って本体部から突出する複数の突起部と、を含む。このため、後の工程において、当該複数の突起部の積層方向の端部が金型の内面に当接するように電池構造体を金型内に配置すれば、電池構造体の外周部が第1方向に沿って金型の内面に支持されることとなる。したがって、樹脂の流れによる電池構造体の撓みを抑制しつつ、オーバーハング部を含む第2樹脂部を形成できる。よって、オーバーハング部の薄化が避けられ、気密性の低下が抑制される。
本発明によれば、気密性の低下を抑制可能な蓄電モジュールの製造方法、及び、蓄電モジュールを提供できる。
引き続いて、図面を参照しつつ、本実施形態に係る蓄電モジュール、及び、蓄電モジュールの製造方法について説明する。なお、各図の説明においては、同一又は相当する要素同士には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、以下の図には、X軸、Y軸、及びZ軸によって規定される直交座標系を示す場合がある。
図1は、実施形態に係る蓄電モジュールを備える蓄電装置を示す概略断面図である。図1に示される蓄電装置1は、例えばフォークリフト、ハイブリッド自動車または電気自動車等の車両のバッテリとして使用され得る。蓄電装置1は、複数(ここでは3つ)の蓄電モジュール2を備えている。蓄電モジュール2は、例えばニッケル水素二次電池、リチウムイオン二次電池等の二次電池、又は電気二重層キャパシタである。以下の説明では、ニッケル水素二次電池を例示する。
複数の蓄電モジュール2は、金属製の導電板3を介して積層されている。導電板3は、積層方向(例えばZ軸方向)の両端に位置する蓄電モジュール2の外側にも配置されている。蓄電モジュール2及び導電板3は、例えば積層方向から見て矩形状(平面視矩形状)を有している。導電板3は、隣り合う蓄電モジュール2と電気的に接続されている。これにより、複数の蓄電モジュール2が積層方向に直列接続されている。蓄電モジュール2については、後で詳述する。
積層方向の一端(ここでは下端)に位置する導電板3には、正極端子4が接続されている。積層方向の他端(ここでは上端)に位置する導電板3には、負極端子5が接続されている。正極端子4及び負極端子5は、積層方向に交差(直交)する方向(例えばX軸方向)に延在している。このような正極端子4及び負極端子5を設けることにより、蓄電装置1の充放電を実施することができる。
なお、蓄電装置1においては、積層方向の一端及び他端に蓄電モジュール2が配置されていてもよい。すなわち、蓄電装置1における蓄電モジュール2と導電板3との積層体の最外層(スタック最外層)は、蓄電モジュール2であってもよい。この場合、スタック最外層の蓄電モジュール2に対して、正極端子4及び負極端子5が設けられる。
導電板3は、蓄電モジュール2において発生した熱を放出するための放熱板としても機能し得る。導電板3には、蓄電モジュール2の積層方向と正極端子4及び負極端子5の延在方向とに交差(直交)する方向(例えばY軸方向)に延在した複数の空隙3aが設けられている。これらの空隙3aを空気等の冷媒が通過することにより、蓄電モジュール2からの熱を効率的に外部に放出することができる。
また、蓄電装置1は、蓄電モジュール2及び導電板3を積層方向に拘束する拘束ユニット6を備えている。拘束ユニット6は、蓄電モジュール2及び導電板3を積層方向に挟む1対の拘束プレート7と、これらの拘束プレート7同士を締結する複数組のボルト8及びナット9とを有している。
拘束プレート7は、鉄等の金属で形成されている。各拘束プレート7と導電板3との間には、樹脂フィルム等の絶縁フィルム10がそれぞれ配置されている。拘束プレート7及び絶縁フィルム10は、例えば平面視矩形状を有している。ボルト8の軸部8aが各拘束プレート7に設けられた挿通孔7aを挿通した状態で、軸部8aの先端部にナット9が螺合することで、蓄電モジュール2、導電板3及び絶縁フィルム10に積層方向の拘束荷重が付与される。なお、スタック最外層が蓄電モジュール2である場合には、各拘束プレート7と蓄電モジュール2との間に絶縁フィルム10が介在されることとなる。
次に、蓄電モジュール2の構成について詳細に説明する。図2は、図1に示された蓄電モジュールの内部構成を示す概略断面図である。図2に示されるように、蓄電モジュール2は、電極積層体13と、電極積層体13を封止するための樹脂製の封止体14と、を備えている。電極積層体13は、セパレータ12を介して、積層方向(第1方向、ここではZ軸方向)に沿って積層された複数の電極(複数のバイポーラ電極11、単一の負極終端電極19、及び、単一の正極終端電極18)を含む。
バイポーラ電極11は、電極板15、電極板15の第1面15aに設けられた正極16、電極板15の第1面15aの反対の第2面15bに設けられた負極17を含んでいる。正極16は、正極活物質が電極板15に塗工されることにより形成される正極活物質層である。負極17は、負極活物質が電極板15に塗工されることにより形成される負極活物質層である。電極積層体13において、一のバイポーラ電極11の正極16は、セパレータ12を挟んで積層方向に隣り合う別のバイポーラ電極11の負極17と対向している。電極積層体13において、一のバイポーラ電極11の負極17は、セパレータ12を挟んで積層方向に隣り合うさらに別のバイポーラ電極11の正極16と対向している。
負極終端電極19は、電極板15、及び電極板15の第2面15bに設けられた負極17を含んでいる。負極終端電極19は、第2面15bが電極積層体13の内側(積層方向についての中心側)に向くように、積層方向の一端に配置されている。負極終端電極19の負極17は、セパレータ12を介して、積層方向の一端のバイポーラ電極11の正極16と対向している。正極終端電極18は、電極板15、及び電極板15の第1面15aに設けられた正極16を含んでいる。正極終端電極18は、第1面15aが電極積層体13の内側に向くように、積層方向の他端に配置されている。正極終端電極18の正極16は、セパレータ12を介して、積層方向の他端のバイポーラ電極11の負極17と対向している。
負極終端電極19の電極板15の第1面15aには、導電板3が接触している。また、正極終端電極18の電極板15の第2面15bには、隣接する蓄電モジュール2の導電板3が接触している。拘束荷重は、導電板3を介して負極終端電極19及び正極終端電極18から電極積層体13に付加される。すなわち、導電板3は、積層方向に沿って電極積層体13に拘束荷重を付加する拘束部材でもある。
電極板15は、例えば、ニッケル又はニッケルメッキ鋼板といった金属からなる。一例として、電極板15は、ニッケルからなる矩形の金属箔である。電極板15の周縁部(バイポーラ電極11、負極終端電極19、及び、正極終端電極18の縁部)は、矩形枠状をなし、正極活物質及び負極活物質が塗工されない未塗工領域となっている。正極16を構成する正極活物質としては、例えば水酸化ニッケルが挙げられる。負極17を構成する負極活物質としては、例えば水素吸蔵合金が挙げられる。本実施形態では、電極板15の第2面15bにおける負極17の形成領域は、電極板15の第1面15aにおける正極16の形成領域に対して一回り大きくなっている。
セパレータ12は、例えばシート状に形成されている。セパレータ12としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂からなる多孔質フィルム、ポリプロピレン、メチルセルロース等からなる織布又は不織布等が例示される。セパレータ12は、フッ化ビニリデン樹脂化合物で補強されたものであってもよい。
封止体14は、電極積層体13を取り囲むように配置され、バイポーラ電極11の電極板15の周縁部をそれぞれ保持する複数の1次樹脂シール20と、これらの1次樹脂シール20を取り囲むように配置された2次樹脂シール21と、を有している。1次樹脂シール20は、積層方向に沿って電極板15毎に配置されている。1次樹脂シール20は、枠状を有している。1次樹脂シール20は、電極板15の周縁部に接合(例えば溶着)されている。1次樹脂シール20及び2次樹脂シール21は、例えば、絶縁性の樹脂であって、ポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、又は変性ポリフェニレンエーテル(変性PPE)等から構成され得る。
積層方向に隣り合う電極板15間には、電極板15、正極16、負極17及び1次樹脂シール20によって画成された内部空間Vが設けられている。セパレータ12内を含む内部空間Vには、アルカリ性の電解液が注入されている。アルカリ性の電解液としては、例えば水酸化カリウム水溶液等を含むアルカリ溶液が用いられている。1次樹脂シール20は、内部空間Vを封止するためのものである。蓄電モジュール2における1つのセルは、2つの電極板15、正極16、負極17、セパレータ12及び1次樹脂シール20により構成され、内部空間Vを有している。
すなわち、ここでは、電極積層体13及び1次樹脂シール20は、さらに電極積層体24を構成している。電極積層体24は、バイポーラ電極11の周縁部に1次樹脂シール20を接合(例えば溶着)して構成される電極ユニット25、正極終端電極18の周縁部に1次樹脂シール20を接合(例えば溶着)して構成される電極ユニット26、及び、負極終端電極19に1次樹脂シール20を接合(例えば溶着)して構成される電極ユニット27を、セパレータ12を介して積層することによって構成されている。
この電極積層体24は、積層方向(第1方向)に交差する表面24bと、積層方向に交差すると共に表面24bの反対側の表面24cと、積層方向に沿って表面24bと表面24cとを接続する外側面24aと、を含む。表面24b,24c及び外側面24aは、主に、1次樹脂シール20により提供される。表面24b,24cの周縁部と外側面24aとによって、電極積層体24の外周部が構成されている。2次樹脂シール21は、この電極積層体24の外周部に対して設けられる。
2次樹脂シール21は、角筒状の本体部22と、この本体部22の両端部(下端部及び上端部)から1次樹脂シール20の内側に張り出した上下1対の矩形環状のオーバーハング部23と、を有している。これらのオーバーハング部23は、複数の1次樹脂シール20を積層方向に挟んでいる。2次樹脂シール21にオーバーハング部23を設けることにより、蓄電モジュール2の充放電の繰り返しによる蓄電モジュール2の膨れ上がりを抑えることができる。2次樹脂シール21は、射出成形(後述)により形成されている。2次樹脂シール21は、1次樹脂シール20に接合されている。2次樹脂シール21は、1次樹脂シール20と共に内部空間Vを封止するためのものである。
引き続いて、蓄電モジュール2の製造方法について説明する。図3は、図2に示された蓄電モジュールの製造方法の主要な工程を示すフローチャートである。この製造方法においては、まず、複数のバイポーラ電極11を作製する(工程S101)。なお、工程S101では、バイポーラ電極11の他に、正極終端電極18及び負極終端電極19も作製される。一方で、1次樹脂シール20のための複数の樹脂部材を作製する(工程S102)。これらの工程の順序は問われない。
そして、バイポーラ電極11の電極板15の周縁部に1次樹脂シール20を溶着することにより、複数の電極ユニット25を作製する(工程S103)。より具体的には、この工程S103においては、工程S102で作製された複数(例えば4つ)の樹脂部材を、枠状となるようにバイポーラ電極11の周縁部に配置すると共に溶着する。これにより、樹脂部材同士、及び樹脂部材とバイポーラ電極11とが溶着され、バイポーラ電極11の周縁部に設けられた1次樹脂シール20が作製されると共に、1次樹脂シール20を含む電極ユニット25が作製される。
このように、ここでは、1次樹脂シール20を被溶着部材に溶着するとは、1次樹脂シール20の元となる部材の溶着によって、結果的に被溶着部材に溶着された1次樹脂シール20が形成される場合を含む。ただし、1次樹脂シール20を被溶着部材に溶着するとは、枠状の1次樹脂シール20を予め形成しておき、それを被溶着部材に直接的に溶着する場合もある。
なお、工程S103では、電極ユニット25の他に、電極ユニット26,27も作製される。次いで、複数の電極ユニット25及び電極ユニット26,27をセパレータ12を介して積層することにより、電極積層体24を作製する(工程S104)。工程S101〜S104は、電極積層体13及び複数の1次樹脂シール20を有する電極積層体24を作製する工程である。
続く工程においては、金型を用いた樹脂の射出成形によって、2次樹脂シールを作製する(工程S105:第1工程、第2工程)。この工程S105について、より詳細に説明する。図4の(a)は、金型(第1金型)28の内部に電極積層体24を配置した状態を示す部分的な断面図である。
図4の(a)に示されるように、金型28は、下金型30と上金型31とを有している。下金型30には、電極積層体24が収容される収容用凹部32が設けられている。収容用凹部32は、金型28の上下方向Hに垂直に切った断面で矩形状を有している。電極積層体24が収容用凹部32に収容された状態において、電極積層体24の外側面24aに臨む空間、つまり電極積層体24の外側面24aと収容用凹部32の側面32aとの間の空間は、樹脂が充填されるキャビティ部33を構成している。
また、下金型30の収容用凹部32の底面のキャビティ部33に臨む部分には、複数の凹部30aが形成されている。また、上金型31のキャビティ部33に臨む面には、複数の凹部31aが形成されている。なお、凹部30aと凹部31aとは、上下方向Hに沿って互いに対向していてもよい。すなわち、上下方向Hからみて、凹部30aと凹部31aとは、少なくとも部分的に(一例として全体的に)重複していてもよい。凹部30a及び凹部31aの形状は限定されないが、例えば、互に同一の柱形状(一例として円柱形状)である。凹部30a,31aは、キャビティ部33に開口している。これにより、凹部30a,31aは、キャビティ部33に対して凸状の空間33a,33bを形成する。
この工程S105においては、電極積層体24がセットされた(収容された)下金型30と上金型31とを閉じることで、電極積層体24を積層方向に拘束する。これにより、下金型30及び上金型31によって電極積層体24の周縁部が全周にわたって押さえられて積層方向に拘束された状態となる。
そして、図4の(b)に示されるように、その状態で、下金型30もしくは上金型31に設けられた樹脂通路(図示せず)から樹脂をキャビティ部33及び空間33a,33bに充填して射出成形を行う。すなわち、ここでは、金型28を用いた樹脂の射出成形によって、電極積層体24の外周部に対して第1樹脂部21Aを設けて電池構造体34を作製する(第1工程)。第1樹脂部21Aは、2次樹脂シール21の一部である。
この第1工程においては、電極積層体24の外側面24aを覆う(囲う)本体部(第1本体部)22Aと、積層方向(第1方向)に沿って本体部22Aから突出する複数の突起部22a,22bと、を含む第1樹脂部21Aを形成する。本体部22Aは、2次樹脂シール21の本体部22の一部である。本体部22Aは、キャビティ部33に充填された樹脂によって構成され、突起部22a,22bは、空間33a,33bに充填された樹脂によって構成される。したがって、本体部22Aと突起部22a,22bとは、互に連続して一体に形成される。
図5は、図4に示された電池構造体を金型から取り出した状態を示す斜視図である。図5に示されるように、突起部22aは、電極積層体24の積層方向(第1方向)に本体部22Aから突出している。また、突起部22bは、積層方向の反対方向(Z軸負方向)に本体部22Aから突出している。また、突起部22a,22bは、積層方向に交差する方向(例えばX軸方向及びY軸方向)に沿って互いに離間して配列されている。突起部22a,22bの配列間隔は、例えば一定である。
さらに、ここでは、突起部22a,22bは、積層方向からみて電極積層体24の外周部(本体部22A)の全周にわたって配列されている(図示は一部のみとしている)。ここでは、電極積層体24は、積層方向からみて矩形状を呈しており、突起部22a,22bは、電極積層体24のそれぞれの辺部分(すなわち本体部22A)に対して、全体にわたって分散して配置されている。また、上述した凹部30a,30bの互いの関係から、突起部22aと突起部22bとは、積層方向からみて少なくとも部分的に(一例として全体的に)重複していてもよい。さらに、突起部22a,22bの形状は、例えば、互に同一の柱形状(一例として円柱形状)である。
このように、上述した第1工程においては、第1樹脂部21Aとして、積層方向に本体部22Aから突出する複数の突起部22aと、積層方向の反対方向に本体部22Aから突出する複数の突起部22bと、を形成することができる。また、上記第1工程においては、電極積層体24の外周部(本体部22A)の全周にわたって配列される複数の突起部22a,22bを形成することができる。さらに、上記第1工程においては、積層方向に交差する断面形状が円形状となる複数の突起部22a,22bを形成することができる。
引き続き工程S105について説明する。図6の(a)は、金型(第2金型)29の内部に電池構造体34を配置した状態を示す部分的な断面図である。図6の(a)に示されるように、金型29は、下金型35と上金型36とを有している。下金型35には、電池構造体34が収容される収容用凹部37が設けられている。収容用凹部37は、金型29の上下方向Hに垂直に切った断面で矩形状を有している。収容用凹部37の周縁部には、金型29の上下方向Hに垂直に切った断面で矩形環状の段差部38が設けられている。上金型36には、段差部38に対応して矩形環状の段差部39が設けられている。
電池構造体34が収容用凹部37に収容された状態において、電極積層体24の表面24bに臨む空間40a、電極積層体24の表面24cに臨む空間40b、及び空間40a,40bをつなぐ空間40cは、樹脂が充填されるキャビティ部41を構成している。このため、キャビティ部41は、金型29の上下方向Hに平行に切った断面でU字状を有している。電極積層体24の表面24bに臨む空間40aは、段差部38の空間である。電極積層体24の表面24cに臨む空間40bは、段差部39の空間である。空間40a,40bをつなぐ空間40cは、積層方向に沿って延びる電池構造体34の外側面34a(すなわち、第1樹脂部21Aの外側面)に臨む空間、つまり電池構造体34の外側面34aと収容用凹部37の側面37aとの間の空間である。
この工程S105においては、引き続いて、電池構造体34がセットされた下金型35と上金型36とを閉じた状態で、下金型35もしくは上金型36に設けられた樹脂通路(図示せず)から樹脂をキャビティ部41に充填して射出成形を行う。すなわち、ここでは、電池構造体34を金型29内に配置すると共に、金型29を用いた樹脂の射出成形によって、電極積層体24の外周部及び第1樹脂部21Aの外周部(すなわち、電池構造体34の外周部)に対して第2樹脂部21Bを形成する(第2工程)。第2樹脂部21Bは、2次樹脂シール21の一部である。ここでは、2次樹脂シール21は、第1樹脂部21Aと第2樹脂部21Bとによって形成される。
より具体的には、この第2工程においては、まず、複数の突起部22a,22bの積層方向の端部が金型29の内面に当接するように、電池構造体34を金型29内に配置する。ここでは、突起部22aが、段差部39の表面39sに当接され、突起部22bが段差部38の表面38sに当接される。つまり、上述した第1工程においては、本体部22Aにおける積層方向に交差する面であって、第2工程において金型29の内面(表面38s,39s)から離間しつつ当該内面に対向する面から積層方向に沿って突出する複数の突起部22a,22bを含む第1樹脂部21Aを形成することとなる。これにより、電池構造体34の外周部が、樹脂圧によって、上下方向Hに変形(移動)することが規制される。このように、第2工程においては、複数の突起部22a,22bの両方が、積層方向に沿って金型29の内面に当接するように、電池構造体34を金型29内に配置してもよい。
第2工程では、この状態において、キャビティ部41に樹脂を充填する。これにより、第2工程においては、電池構造体34(第1樹脂部21A)の外側面34aを覆う(囲う)本体部(第2本体部)22Bと、積層方向からみて本体部22Bから複数の突起部22a,22bを越えて電極積層体24に重なるように延在するオーバーハング部23と、を含む第2樹脂部21Bを形成する。ここでは、本体部22Bから表面24b上に延びるオーバーハング部23と、本体部22Bから表面24c上に延びるオーバーハング部23と、を形成する。なお、キャビティ部41に導入された樹脂は、互に隣り合う突起部22a,22bの間を通じて、空間40a,40bと空間40cとの間を流通できる。これにより、電池構造体34に対して封止体14が構成される。
その後、封止体14に設けられた注液口を介して電極積層体24(電極積層体13)の内部空間Vに電解液を注入したり、その後に注液口を封止したりする工程等を経て、蓄電モジュール2が製造される。
以上のように製造される蓄電モジュール2は、互に積層された複数のバイポーラ電極11を含む電極積層体24と、電極積層体24の外周部に設けられ、電極積層体24を封止するための第1樹脂部21Aと、第1樹脂部21Aの外周部に設けられ、第1樹脂部21Aと共に電極積層体24を封止するための第2樹脂部21Bと、を備えている。また、第1樹脂部21Aは、電極積層体24の外側面24aを覆う(囲う)本体部22Aと、積層方向に沿って本体部22Aから突出する複数の突起部22a,22bと、を含む。第2樹脂部21Bは、第1樹脂部21Aの外側面を囲う本体部22Bと、積層方向からみて本体部22Bから複数の突起部22a,22bを越えて電極積層体24に重なるように延在するオーバーハング部23と、を含む。
以上説明したように、本実施形態に係る蓄電モジュール2の製造方法においては、まず、射出成形によって、電極積層体24の外周部に第1樹脂部21Aを設けて電池構造体34を作製する。このとき、第1樹脂部21Aとして、電極積層体24の外側面24aを覆う本体部22Aと、積層方向(第1方向)に沿って本体部22Aから突出する複数の突起部22a,22bと、を形成する。複数の突起部22a,22bは、本体部22Aにおける積層方向に交差する面であって、第2工程において金型29の内面(表面38s,39s)から離間しつつ当該内面に対向する面(すなわち、金型29のキャビティ部41に臨む面)に形成される。
このため、第2工程において、当該複数の突起部22a,22bが積層方向に沿って金型29の内面に当接するように電池構造体34を金型29内に配置すれば、電池構造体34の外周部が積層方向に沿って金型29の内面に支持されることとなる。したがって、樹脂の流れによる電池構造体34の撓みを抑制しつつ、オーバーハング部23を含む第2樹脂部21Bを形成できる。よって、オーバーハング部23の薄化が避けられ、気密性の低下が抑制される。
また、本実施形態に係る蓄電モジュール2の製造方法においては、第1工程においては、積層方向からみて電極積層体24の外周部の全周(すなわち、本体部22Aの全周)にわたって配列される複数の突起部22a,22bを形成してもよい。この場合、第2工程において、電池構造体34の外周部が、全周にわたって金型29の内面に支持される。よって、電池構造体34の撓みを抑制しつつ、電池構造体34の外周部の全体に対して一括して第2樹脂部21Bを形成できる。このため、工数及び設備の削減によりコストを低減可能である。
また、本実施形態に係る蓄電モジュール2の製造方法においては、第1工程においては、第1方向に交差する断面形状が円形状となる複数の突起部22a,22bを形成してもよい。この場合、第2工程の射出成形の際に、隣り合う突起部22a,22bの間を通じて樹脂を好適に流通させることが可能となる。
以上の実施形態は、本発明に係る蓄電モジュールの製造方法及び蓄電モジュールの一実施形態を説明したものである。したがって、本発明は、上述した蓄電モジュール2及び蓄電モジュール2の製造方法に限定されず、任意に変更したものとすることができる。
例えば、電池構造体34は、内部空間Vに電解液を注入するための注液口が形成された注液用外側面を含む場合がある。この場合、第1工程においては、積層方向に交差する面において本体部22Aにおける電極積層体24の外側面24aと注液用外側面となる面との間の部分に複数の突起部22a,22bを形成してもよい。この場合、電池構造体34の注液用外側面を含む部分の撓みが確実に抑制される。この結果、注液口の位置精度が向上される。
また、上記実施形態においては、第1工程において、本体部22Aから積層方向(第1方向:Z軸正方向)に突出する突起部22aと、本体部22Aから積層方向の反対方向(Z軸負方向)に突出する突起部22bと、の両方を形成した。しかし、第1工程においては、突起部22aと突起部22bとの一方のみを形成してもよい。例えば、第2工程において、積層方向に交差する本体部22Aの一対の面のうちの一方の面が金型29の内面に直接に当接すると共に、他方の面が金型29の内面から離間しつつ当該内面に対向する場合には、本体部22Aの他方の面から突出する複数の突起部のみを設ければよい。
2…蓄電モジュール、11…バイポーラ電極、21A…第1樹脂部、21B…第2樹脂部、22A…本体部(第1本体部)、22B…本体部(第2本体部)、22a,22b…突起部、24…電極積層体、28…金型(第1金型)、29…金型(第2金型)、34…電池構造体。
Claims (5)
- 第1方向に沿って積層された複数のバイポーラ電極を含む電極積層体と、前記電極積層体を封止するための第1樹脂部及び第2樹脂部と、を備える蓄電モジュールの製造方法であって、
第1金型を用いた樹脂の射出成形によって、前記電極積層体の外周部に前記第1樹脂部を形成して電池構造体を作製する第1工程と、
第2金型を用いた樹脂の射出成形によって、前記電池構造体の外周部に前記第2樹脂部を形成する第2工程と、
を備え、
前記第1工程において、前記第1方向に沿って延びる前記電極積層体の外側面を覆う第1本体部と、前記第1本体部における前記第1方向に交差する面であって、前記第2工程において前記第2金型の内面から離間しつつ当該内面に対向する面から前記第1方向に沿って突出する複数の突起部と、を含む前記第1樹脂部を形成し、
前記第2工程において、前記複数の突起部の前記第1方向の端部が前記第2金型の前記内面に当接するように前記電池構造体を前記第2金型内に配置した状態において前記第2金型内に樹脂を導入することにより、前記第1方向に沿って延びる前記第1樹脂部の外側面を覆う第2本体部と、前記第1方向からみて前記第2本体部から前記複数の突起部を越えて前記電極積層体に重なるように延在するオーバーハング部と、を含む前記第2樹脂部を形成する、
蓄電モジュールの製造方法。 - 前記第1工程において、前記第1方向からみて前記第1本体部の全周にわたって配列される前記複数の突起部を形成する、
請求項1に記載の蓄電モジュールの製造方法。 - 前記電池構造体は、電解液を注入するための注液口が形成された注液用外側面を含み、
前記第1工程において、前記第1方向に交差する面において前記第1本体部における前記電極積層体の外側面と前記注液用外側面となる面との間の部分に前記複数の突起部を形成する、
請求項1又は2に記載の蓄電モジュールの製造方法。 - 前記第1工程において、前記第1方向に交差する断面形状が円形状となる前記複数の突起部を形成する、
請求項1〜3のいずれか一項に記載の蓄電モジュールの製造方法。 - 第1方向に沿って積層された複数のバイポーラ電極を含む電極積層体と、
前記電極積層体の外側面を囲う第1樹脂部と、
前記第1樹脂部の外側面を囲う第2樹脂部と、
を備え、
前記第1樹脂部は、前記第1方向に沿って前記電極積層体の外側面を囲う第1本体部と、前記第1方向に沿って前記第1本体部から突出する複数の突起部と、を含み、
前記第2樹脂部は、前記第1樹脂部の外側面を囲う第2本体部と、前記第1方向からみて前記第2本体部から前記複数の突起部を越えて前記電極積層体に重なるように延在するオーバーハング部と、を含む、
蓄電モジュール。
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JP2019022626A JP2020129525A (ja) | 2019-02-12 | 2019-02-12 | 蓄電モジュールの製造方法、及び、蓄電モジュール |
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2019
- 2019-02-12 JP JP2019022626A patent/JP2020129525A/ja active Pending
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