JP2020129440A - リチウムイオン二次電池用非水電解液及びリチウムイオン二次電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】電池の内部短絡が起きず、サイクル特性や容量などの電池特性を満足するリチウムイオン二次電池用非水電解液の提供。【解決手段】チオフェン構造を2個有する特定構造の化合物と、有機溶媒と、電解質とを含む、リチウムイオン二次電池用非水電解液。【選択図】なし
Description
本発明はリチウムイオン二次電池用非水電解液に関する。詳しくは、リチウムイオン電池の耐短絡性を向上させるリチウムイオン二次電池用非水電解液に関する。
従来より、リチウムイオン二次電池の電解液として、電解重合性の単量体を含む非水電解液を用いることで、過充電時保護性能と電池のサイクル特性および容量などの電池特性を両立させたもの知られている(例えば特許文献1)。
しかしながら、当該文献で公開されている単量体の重合物は導電性であるため、正極の電位を単量体の酸化電位以上に到達させると正極表面に絶縁性の被膜が形成されて電池の圧壊による正極と負極の物理的な接触による短絡や、充放電によって負極表面で生じたリチウムデンドライドがセパレーターを貫通して正極に達することで起こる内部短絡を防ぐことはできないという問題点がある。
本発明は、二次電池に組み込んだとときに、電池の圧壊によって起こる正極と負極の物理的接触による内部短絡および充放電時に負極表面に生じたリチウムデンドライドを介した電池の内部短絡が起きず、かつ電池のサイクル特性や容量などの電池特性を満足するリチウムイオン二次電池用非水電解液を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の目的を達成するべく検討を行った結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、一般式(1)で表される化合物(a1)及び一般式(2)で表される化合物(a2)からなる群から選ばれる1種以上の化合物(a)と有機溶媒(B)と電解質(C)を含むリチウムイオン二次電池用非水電解液(D);化合物(a1)及び/又は化合物(a2)の(共)重合体(A)と有機溶媒(B)と電解質(C)と正極(E)と負極(F)とを含むリチウムイオン二次電池(G);並びにこの非水電解液(D)と正極(E)と負極と(F)を含む充電前の二次電池(H)を、少なくとも1回は正極電位が4.3V以上(金属リチウム基準)になるまで充電する工程を含むリチウムイオン二次電池(G)の製造方法である。
すなわち、本発明は、一般式(1)で表される化合物(a1)及び一般式(2)で表される化合物(a2)からなる群から選ばれる1種以上の化合物(a)と有機溶媒(B)と電解質(C)を含むリチウムイオン二次電池用非水電解液(D);化合物(a1)及び/又は化合物(a2)の(共)重合体(A)と有機溶媒(B)と電解質(C)と正極(E)と負極(F)とを含むリチウムイオン二次電池(G);並びにこの非水電解液(D)と正極(E)と負極と(F)を含む充電前の二次電池(H)を、少なくとも1回は正極電位が4.3V以上(金属リチウム基準)になるまで充電する工程を含むリチウムイオン二次電池(G)の製造方法である。
[式(1)中のXは単結合、又は酸素原子もしくは窒素原子を含有する官能基で置換されていてもよい2価の炭化水素基を表す。]
[式(2)中のYは2価の炭化水素基を表す。]
本発明のリチウムイオン二次電池用非水電解液を用いた二次電池は、電池の圧壊によって起こる正極と負極の物理的接触による内部短絡および充放電時に負極表面に生じたリチウムデンドライドを介した電池の内部短絡が起きず、かつ電池のサイクル特性や容量などの電池特性を満足することができるという効果を奏する。
本発明のリチウムイオン二次電池用非水電解液(D)は、下記一般式(1)で表される化合物(a1)及び一般式(2)で表される化合物(a2)からなる群から選ばれる1種以上の化合物(a)と有機溶媒(B)と電解質(C)を含む。
[式(1)中のXは単結合、又は酸素原子もしくは窒素原子を含有する官能基で置換されていてもよい2価の炭化水素基を表す。]
[式(2)中のYは2価の炭化水素基を表す。]
上記の一般式(1)で表される化合物(a1)は、2個のチエニル基が、−CH2−X−結合で連結された化合物であり、この−X−は単結合、又は酸素原子もしくは窒素原子を含有する官能基で置換されていてもよい2価の炭化水素基を表す。
そして、炭素数1〜5の酸素原子もしくは窒素原子を含有する官能基で置換されていてもよい2価の炭化水素基のうちの、酸素原子もしくは窒素原子を含有する官能基で置換されていない2価の炭化水素基としては、炭素数1〜5の2価の炭化水素基が挙げられ、具体的にはメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基等が挙げられる。
これらのうち、内部短絡防止効果の観点でメチレン基、エチレン基、プロピレン基が好ましい。
そして、炭素数1〜5の酸素原子もしくは窒素原子を含有する官能基で置換されていてもよい2価の炭化水素基のうちの、酸素原子もしくは窒素原子を含有する官能基で置換されていない2価の炭化水素基としては、炭素数1〜5の2価の炭化水素基が挙げられ、具体的にはメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基等が挙げられる。
これらのうち、内部短絡防止効果の観点でメチレン基、エチレン基、プロピレン基が好ましい。
酸素原子を含有する官能基で置換されている2価の炭化水素基としては、2−ヒドロキシプロピレン基、2−メトキシプロピレン基、2−ヒドロキシブチレン基、2−メトキシブチレン基、2−ヒドロキシペンチレン基、2−メトキシペンチレン基、3−ヒドロキシペンチレン基、3−メトキシペンチレン基、ジエチレンエーテル基等が挙げられ、内部短絡防止効果の観点で2−ヒドロキシプロピレン基、2−メトキシプロピレン基、2−ヒドロキシブチレン基、2−メトキシブチレン基、ジエチレンエーテル基が好ましい。
窒素原子を含有する官能基で置換されている2価の炭化水素基としては、2−アミノプロピレン基、2−(N,N−ジメチルアミノ)プロピレン基、2−アミノブチレン基、2−(N,N−ジメチルアミノ)ブチレン基、2−アミノペンチレン基、2−(N,N−ジメチルアミノ)ペンチレン基、3−アミノペンチレン基、3−(N,N−ジメチルアミノ)ペンチレン基等が挙げられ、内部短絡防止効果の観点で2−アミノプロピレン基、2−(N,N−ジメチルアミノ)プロピレン基、2−アミノブチレン基、2−(N,N−ジメチルアミノ)ブチレン基が好ましい。
上記の一般式(2)で表される化合物(a2)は、2個のチエニル基が、−(C=O)―Y−(C=O)−結合で連結された化合物であり、この−Y−は2価の炭化水素基を表す。
2価の炭化水素基としては、炭素数1〜8の炭化水素基が挙げられ、飽和炭化水素基であっても不飽和炭化水素基であっても良い。
炭素数1〜8の飽和炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基等が挙げられ、内部短絡防止効果の観点でメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基が好ましい。
炭素数1〜8の不飽和炭化水素基としては、1,2−ジメチレンベンゼン基、1,3−ジメチレンベンゼン基、1,4−ジメチレンベンゼン基が挙げられ、内部短絡防止効果の観点で1,3−ジメチレンベンゼン基、1,4−ジメチレンベンゼン基が好ましい。
2価の炭化水素基としては、炭素数1〜8の炭化水素基が挙げられ、飽和炭化水素基であっても不飽和炭化水素基であっても良い。
炭素数1〜8の飽和炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基等が挙げられ、内部短絡防止効果の観点でメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基が好ましい。
炭素数1〜8の不飽和炭化水素基としては、1,2−ジメチレンベンゼン基、1,3−ジメチレンベンゼン基、1,4−ジメチレンベンゼン基が挙げられ、内部短絡防止効果の観点で1,3−ジメチレンベンゼン基、1,4−ジメチレンベンゼン基が好ましい。
本発明のリチウムイオン二次電池用非水電解液(D)の必須成分の有機溶媒(B)は、リチウムイオン二次電池としての機能を発揮させるものであれば特に制限はなく、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等のカーボネート類、γ−ブチロラクトン等のラクトン類;トリメトキシメタン、1,2−ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、2−エトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン等のエーテル類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン等のオキソラン類;アセトニトリル、ニトロメタン、N−メチル−2−ピロリドン等の含窒素化合物類;ギ酸メチル、酢酸メチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、リン酸トリエステル等のエステル類;ジグライム、トリグライム、テトラグライム等のグライム類;アセトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;スルホラン等のスルホン類;3−メチル−2−オキサゾリジノン等のオキサゾリジノン類;1,3−プロパンスルトン、4−ブタンスルトン、ナフタスルトン等のスルトン類等が挙げられる。これらの中で、カーボネート類およびラクトン類が好ましい。また、2種以上を併用してもよい。
本発明のリチウムイオン二次電池用非水電解液(D)の必須成分の電解質(C)は、リチウムイオン二次電池としての機能を発揮させるものであれば特に制限はなく、LiClO4、LiBF4、LiI、LiPF6、LiCF3SO3、LiCF3CO2、LiAsF6、LiSbF6、LiAlCl4、LiCl、LiBr、LiB(C2H5)4、LiCH3SO3、LiC4F9SO3、Li(CF3SO2)2N、Li(F2SO2)2N、Li[(CO2)2]2B等のリチウム塩が挙げられる。
これらの中では、LiPF6、LiBF4、LiClO4、Li(CF3SO2)2N、Li(F2SO2)2N等が好ましい。
また、2種以上を併用してもよい。
これらの中では、LiPF6、LiBF4、LiClO4、Li(CF3SO2)2N、Li(F2SO2)2N等が好ましい。
また、2種以上を併用してもよい。
本発明のリチウムイオン二次電池用非水電解液(D)は、有機溶媒(B)に電解質(C)を溶解した溶液が用いられる。
これらの組み合わせの中では、カーボネート類にLiPF6を溶解した電解液が好ましい。
有機溶媒(B)、電解質(C)の他に、電池性能を向上させることを目的として、ビニレンカーボネート、1,3−プロパンスルトン、メチレンメタンジスルホネート、フルオロエチレンカーボネート等を含有することもできる。
これらの組み合わせの中では、カーボネート類にLiPF6を溶解した電解液が好ましい。
有機溶媒(B)、電解質(C)の他に、電池性能を向上させることを目的として、ビニレンカーボネート、1,3−プロパンスルトン、メチレンメタンジスルホネート、フルオロエチレンカーボネート等を含有することもできる。
本発明のリチウムイオン二次電池(G)は、下記一般式(3)で表される化合物(a1)及び下記一般式(4)で表される化合物(a2)からなる群から選ばれる1種以上の化合物(a)の(共)重合体(A)と有機溶媒(B)と電解質(C)と正極(E)と負極(F)とを含む。
[式(3)中のXは単結合、又は酸素原子もしくは窒素原子を含有する官能基で置換されていてもよい2価の炭化水素基を表す。]
リチウムイオン二次電池に用いられる上記の正極(E)は、特に制限なく公知の電極の製造方法を利用して製造することができる。
例えば、正極活物質、バインダー、及び必要に応じて用いられる導電性材料と溶媒を含む正極スラリーを、正極集電体の表面上に塗布し、次いで溶媒を乾燥により除去し、必要に応じて圧延して正極集電体表面に正極合剤層を形成することにより製造することができる。
例えば、正極活物質、バインダー、及び必要に応じて用いられる導電性材料と溶媒を含む正極スラリーを、正極集電体の表面上に塗布し、次いで溶媒を乾燥により除去し、必要に応じて圧延して正極集電体表面に正極合剤層を形成することにより製造することができる。
リチウムイオン二次電池に用いられる正極活物質としては特に限定はされないが、リチウムイオンをドーピング又はインターカレーション可能な金属酸化物、金属硫化物等の金属化合物及び導電性高分子等を使用することができる。
例えば、鉄、コバルト、ニッケル、バナジウム、マンガン等の遷移金属の酸化物、リチウムとの複合酸化物、遷移金属硫化物等の無機化合物等が挙げられる。
具体的には、MnO、V2O5、V6O13、TiO2等の遷移金属酸化物粉末、層状構造のニッケル酸リチウム、コバルト酸リチウム、マンガン酸リチウム、スピネル構造のマンガン酸リチウム等のリチウムと遷移金属との複合酸化物粉末、オリビン構造のリン酸化合物であるリン酸鉄リチウム系材料等が挙げられる。
例えば、鉄、コバルト、ニッケル、バナジウム、マンガン等の遷移金属の酸化物、リチウムとの複合酸化物、遷移金属硫化物等の無機化合物等が挙げられる。
具体的には、MnO、V2O5、V6O13、TiO2等の遷移金属酸化物粉末、層状構造のニッケル酸リチウム、コバルト酸リチウム、マンガン酸リチウム、スピネル構造のマンガン酸リチウム等のリチウムと遷移金属との複合酸化物粉末、オリビン構造のリン酸化合物であるリン酸鉄リチウム系材料等が挙げられる。
リチウムイオン二次電池に用いられるバインダーとしてはポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリヘキサフルオロプロピレン(PHFP)、アクリルゴム等が挙げられる。
必要に応じて用いられる導電性材料としては本発明の分野で常用されるものを使用できる。具体的には、カーボンブラック、黒鉛、炭素繊維、金属繊維等が挙げられる。
カーボンブラックとしては、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック及びサーマルブラックが挙げられる。
黒鉛としては、例えば、天然黒鉛及び人造黒鉛が挙げられる。炭素繊維としては、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ及び気相成長炭素繊維が挙げられる。
導電性材料は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
カーボンブラックとしては、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック及びサーマルブラックが挙げられる。
黒鉛としては、例えば、天然黒鉛及び人造黒鉛が挙げられる。炭素繊維としては、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ及び気相成長炭素繊維が挙げられる。
導電性材料は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
溶媒としては、一般的にリチウムイオン二次電池用の正極スラリーを作製可能なものであれば特に制限はなく、N−メチルピロリドン(NMP)、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。
正極集電体としては、特に限定されず、公知の集電体を用いることができる。例えば、アルミニウム、銅、チタン、ニッケル、ステンレス鋼(SUS)、これらの合金等が挙げられる。軽量、耐食性、高導電性の観点から、アルミニウム、銅であることが好ましい。
なお、正極と負極に用いる集電体は、同一の材料が用いられてもよいし、異なる材料が用いられてもよい。
正極集電体の厚さは、特に限定されず、例えば1μm〜500μmであることが好ましく、2μm〜100μmであることがより好ましく、5μm〜50μmであることがさらに好ましい。
なお、正極と負極に用いる集電体は、同一の材料が用いられてもよいし、異なる材料が用いられてもよい。
正極集電体の厚さは、特に限定されず、例えば1μm〜500μmであることが好ましく、2μm〜100μmであることがより好ましく、5μm〜50μmであることがさらに好ましい。
正極スラリーの具体的な調整方法としては、分散質が均一に分散できる方法であれば限定されるものではないが、N−メチルピロリドン(NMP)にPVDF等の従来から知られているバインダーを加えて、撹拌・溶解させ、次いで、導電助剤を加えて超音波分散装置を用いて、均一に分散させた後、正極活物質を加え、さらに超音波分散装置を用いて分散させる方法が挙げられる。
正極スラリーの塗布は、例えば、ドクターブレード等を用いて行うことができる。塗布は、対向する電極において、正極容量と負極容量との比率(負極容量/正極容量)が1〜1.2程度になるように行うことが適当である。
正極スラリーの塗布量は、例えば、正極合剤層の乾燥質量として、5g/m2〜500g/m2であることが好ましく、50g/m2〜300g/m2であることがより好ましく、100g/m2〜200g/m2であることがさらに好ましい。塗布量が多い程、容量の大きなリチウムイオン二次電池が得られやすく、塗布量が少ない程、出力の高いリチウムイオン二次電池が得られやすい傾向にある。
正極スラリーの塗布量は、例えば、正極合剤層の乾燥質量として、5g/m2〜500g/m2であることが好ましく、50g/m2〜300g/m2であることがより好ましく、100g/m2〜200g/m2であることがさらに好ましい。塗布量が多い程、容量の大きなリチウムイオン二次電池が得られやすく、塗布量が少ない程、出力の高いリチウムイオン二次電池が得られやすい傾向にある。
溶媒の除去は、例えば、−0.1MPaの減圧下、好ましくは50℃〜150℃、より好ましくは80℃〜120℃で、好ましくは1時間〜2時間、より好ましくは2時間〜3時間乾燥することによって行われる。
圧延は、例えばロールプレス機を用いて行われる。正極合剤層のかさ密度は、例えば、2g/cm2〜5g/cm2であることが好ましく、2.5g/cm2〜4g/cm2であることがより好ましい。
さらに、正極内の残留溶媒、吸着水の除去等のため、例えば、−0.1MPaの減圧下、100℃〜150℃で1時間〜20時間乾燥させてもよい。
さらに、正極内の残留溶媒、吸着水の除去等のため、例えば、−0.1MPaの減圧下、100℃〜150℃で1時間〜20時間乾燥させてもよい。
前記の負極(F)は、リチウムイオン二次電池に用いられる公知の電極の製造方法を利用して製造することができ、例えば、負極活物質、バインダー、及び必要に応じて用いられる導電性材料と溶媒を含む負極スラリーを、負極集電体の少なくとも一方の表面上に塗布し、次いで溶媒を乾燥により除去し、必要に応じて圧延して負極集電体表面に負極合剤層を形成することにより製造することができる。
リチウムイオン二次電池に用いられる負極活物質としては、具体的には、例えば、金属リチウム、リチウム合金、金属化合物、炭素材料、金属錯体、及び有機高分子化合物が挙げられる。負極活物質は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、負極活物質としては、炭素材料が好ましい。炭素材料としては、天然黒鉛(鱗片状黒鉛等)、人造黒鉛等の黒鉛、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック等のカーボンブラック、非晶質炭素、炭素繊維、シリコン、一酸化ケイ素などが挙げられる。
これらの中でも、負極活物質としては、炭素材料が好ましい。炭素材料としては、天然黒鉛(鱗片状黒鉛等)、人造黒鉛等の黒鉛、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック等のカーボンブラック、非晶質炭素、炭素繊維、シリコン、一酸化ケイ素などが挙げられる。
バインダーとしては特に限定はされないが、リチウムイオン二次電池の分野で通常使用されるものを用いることができる。
具体的には、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリヘキサフルオロプロピレン(PHFP)、スチレンブタジエンゴム(SBR)及びアクリルゴムが挙げられる。
具体的には、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリヘキサフルオロプロピレン(PHFP)、スチレンブタジエンゴム(SBR)及びアクリルゴムが挙げられる。
必要に応じて用いられる導電性材料としては、正極で用いられるものと同じ導電性材料を用いることができる。
溶媒としては、正極スラリーの製造に用いられるものと同じ有機溶媒に加えて、水を用いることができる。
負極集電体としては特に限定されず、公知の集電体を用いることができる。例えば、アルミニウムを除く正極集電体と同じものを用いることができる。
負極スラリーの具体的な調整方法としては、正極と同様の方法で調整することができる。
負極スラリーの塗布は、塗布量の設計以外は、正極スラリーの塗布と同様の操作で行うことができる。
負極スラリーの塗布量は、例えば、負極合剤層の乾燥質量として、5g/m2〜300g/m2であることが好ましく、25g/m2〜200g/m2であることがより好ましく、50g/m2〜150g/m2であることがさらに好ましい。塗布量が多い程、容量の大きなリチウムイオン二次電池が得られやすく、塗布量が少ない程、出力の高いリチウムイオン二次電池が得られやすい傾向にある。
溶媒の除去は、正極の場合と同様の方法で行うことができる。
負極スラリーの塗布は、塗布量の設計以外は、正極スラリーの塗布と同様の操作で行うことができる。
負極スラリーの塗布量は、例えば、負極合剤層の乾燥質量として、5g/m2〜300g/m2であることが好ましく、25g/m2〜200g/m2であることがより好ましく、50g/m2〜150g/m2であることがさらに好ましい。塗布量が多い程、容量の大きなリチウムイオン二次電池が得られやすく、塗布量が少ない程、出力の高いリチウムイオン二次電池が得られやすい傾向にある。
溶媒の除去は、正極の場合と同様の方法で行うことができる。
圧延は、例えばロールプレス機を用いて行われ、負極合材層のかさ密度の設計以外は正極と同様の方法で行うことができる。
負極合剤層のかさ密度は、例えば、1g/cm2〜2g/cm2であることが好ましく、1.2g/cm2〜1.8g/cm2であることがより好ましく、1.4g/cm2〜1.6g/cm2であることがさらに好ましい。
負極合剤層のかさ密度は、例えば、1g/cm2〜2g/cm2であることが好ましく、1.2g/cm2〜1.8g/cm2であることがより好ましく、1.4g/cm2〜1.6g/cm2であることがさらに好ましい。
本発明のリチウムイオン二次電池用非水電解液(D)で必須の化合物(a1)及び化合物(a2)からなる群から選ばれる1種以上の化合物(a)は、充電過程で正極電位が化合物(a1)及び/又は化合物(a2)の反応電位に達することで電解重合が進行し、(共)重合体(A)が生成するが、本発明のリチウムイオン二次電池(G)は、この(共)重合体(A)と有機溶媒(B)と電解質(C)と正極(E)と負極(F)とを含む。
上記の(共)重合体(A)は、リチウムイオン二次電池(G)の正極電位が4.3V(金属リチウム基準)以上の電位に達した場合に一般式(1)で表される化合物(a1)及び/又は一般式(2)で表される化合物(a2)が正極表面で電解重合することで生成する。
(共)重合体(A)は、一般式(1)で表される化合物(a1)及び一般式(2)で表される化合物(a2)からなる群から選ばれる1種以上の化合物(a)は単独で用いても良いし、2種以上を併用してもよく、2種以上の化合物を併用する場合、(共)重合体(A)は共重合物として得られるが、重合形態はランダム重合体であってもブロック重合体であってもよい。
すなわち、(共)重合体(A)は、化合物(a1)のホモポリマー、一般式(2)で表される化合物(a2)のホモポリマー、化合物(a1)と化合物(a2)の共重合体が挙げられ、化合物(a1)と化合物(a2)の共重合体の場合の化合物(a1)と化合物(a2)とのモル比は特に限定されない。
(共)重合体(A)は、二次電池(G)の短絡抑制効果の観点から、少なくとも1回は正極の電位が4.3V(金属リチウム基準)以上に達するまで充電することが必要であり、正極の電位が15分間以上4.3V以上に維持することが望ましい。
すなわち、(共)重合体(A)は、化合物(a1)のホモポリマー、一般式(2)で表される化合物(a2)のホモポリマー、化合物(a1)と化合物(a2)の共重合体が挙げられ、化合物(a1)と化合物(a2)の共重合体の場合の化合物(a1)と化合物(a2)とのモル比は特に限定されない。
(共)重合体(A)は、二次電池(G)の短絡抑制効果の観点から、少なくとも1回は正極の電位が4.3V(金属リチウム基準)以上に達するまで充電することが必要であり、正極の電位が15分間以上4.3V以上に維持することが望ましい。
(共)重合体(A)体積抵抗率は二次電池(G)の短絡抑制効果の観点から1MΩ・cm以上が好ましく、さらに好ましくは3MΩ・cm以上、より好ましくは5MΩ・cm以上である。この場合の(共)重合体(A)の抵抗率は、実際に使用された化合物(a1)のホモポリマー、一般式(2)で表される化合物(a2)のホモポリマー、化合物(a1)と化合物(a2)の共重合体そのものの抵抗率を指す。
本発明の二次電池(G)は、上記の正極(E)と負極(F)と電解液(D)以外にセパレーターを含むこともある。
このセパレーターは、正極及び負極間を電子の移動は絶縁しつつもイオン透過性を有し、かつ、正極側における酸化性及び負極側における還元性に対する耐性を備えるものであれば特に制限はない。このような特性を満たすセパレーターの材料(材質)としては、樹脂、無機物等が用いられる。
このセパレーターは、正極及び負極間を電子の移動は絶縁しつつもイオン透過性を有し、かつ、正極側における酸化性及び負極側における還元性に対する耐性を備えるものであれば特に制限はない。このような特性を満たすセパレーターの材料(材質)としては、樹脂、無機物等が用いられる。
セパレーターを含む二次電池(G)は、例えば以下の方法で得ることができる。
上記の方法で作製した負極と正極、及びセパレータ(ポリエチレン製の微多孔質膜)を準備し、所定の寸法に切断する。
続いて、正極、負極、及びセパレーターをこの順序でずれないようにテープで固定して積層する。
正極及び負極には、それぞれ、外部引き出し端子としてアルミニウム箔(幅4mm、長さ40mm、厚み100μm)、ニッケル箔(幅4mm、長さ40mm、厚み100μm )を超音波溶接する。外部端子と外装体とのシール性を向上させるために、この外部引き出し端子に、無水マレイン酸をグラフト化したポリプロピレンフィルムを巻き付け熱接着させた。正極、負極及びセパレーターを積層した電池要素を封入する電池外装体はアルミニウムラミネート材料からなり、その構成は、ポリエチレンテレフタレート(厚さ12μm)/アルミニウム(厚さ40μm)/ポリプロピレン(厚さ50μm)のものを用意した。この時、ポリプロピレンが内側となるように製袋した。
この外装体の中に前記電池要素を挿入し電解液(D)を適当量添加し、外装体を真空密封することでリチウムイオン二次電池(G)を得る。
上記の方法で作製した負極と正極、及びセパレータ(ポリエチレン製の微多孔質膜)を準備し、所定の寸法に切断する。
続いて、正極、負極、及びセパレーターをこの順序でずれないようにテープで固定して積層する。
正極及び負極には、それぞれ、外部引き出し端子としてアルミニウム箔(幅4mm、長さ40mm、厚み100μm)、ニッケル箔(幅4mm、長さ40mm、厚み100μm )を超音波溶接する。外部端子と外装体とのシール性を向上させるために、この外部引き出し端子に、無水マレイン酸をグラフト化したポリプロピレンフィルムを巻き付け熱接着させた。正極、負極及びセパレーターを積層した電池要素を封入する電池外装体はアルミニウムラミネート材料からなり、その構成は、ポリエチレンテレフタレート(厚さ12μm)/アルミニウム(厚さ40μm)/ポリプロピレン(厚さ50μm)のものを用意した。この時、ポリプロピレンが内側となるように製袋した。
この外装体の中に前記電池要素を挿入し電解液(D)を適当量添加し、外装体を真空密封することでリチウムイオン二次電池(G)を得る。
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下、特に定めない限り、%は重量%、部は重量部を示す。
製造例1 <(a1−2)の製造>
温度調節装置、バキューム攪拌翼、窒素流入口及び流出口を備えた反応容器に、撹拌装置、加熱冷却装置、温度計及び窒素導入管を備えた反応容器中に削り状マグネシウム(和光純薬工業製)1.2部を投入し、脱水したテトラヒドロフラン(THF)5部を投入後、撹拌しながら2−ブロモチオフェン(東京化成製)1.6部を加えて、激しく撹拌した。発熱し始めたことを確認した後、2−ブロモチオフェンを5.6部と脱水THF45部をさらに投入して30分撹拌を続けた。
次いで、反応容器内の反応溶液が30℃に保たれるよう制御しながら、1,2−ジブロモエタン(東京化成製)9.4部を30分かけて滴下した。滴下終了後、反応溶液を50℃に昇温させ、30分撹拌した後、0℃まで冷却した。撹拌しながら飽和塩化アンモニウム水溶液15部を投入し、次いでジエチルエーテル10部を投入し、分液操作によって有機層と水層に分け、水層をさらにジエチルエーテルで3回抽出した。
抽出した有機層を併せて溶媒を減圧留去して残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、1,2−ジ(チオフェン−2−イル)エタン(a1−2)を9.0部得た。
温度調節装置、バキューム攪拌翼、窒素流入口及び流出口を備えた反応容器に、撹拌装置、加熱冷却装置、温度計及び窒素導入管を備えた反応容器中に削り状マグネシウム(和光純薬工業製)1.2部を投入し、脱水したテトラヒドロフラン(THF)5部を投入後、撹拌しながら2−ブロモチオフェン(東京化成製)1.6部を加えて、激しく撹拌した。発熱し始めたことを確認した後、2−ブロモチオフェンを5.6部と脱水THF45部をさらに投入して30分撹拌を続けた。
次いで、反応容器内の反応溶液が30℃に保たれるよう制御しながら、1,2−ジブロモエタン(東京化成製)9.4部を30分かけて滴下した。滴下終了後、反応溶液を50℃に昇温させ、30分撹拌した後、0℃まで冷却した。撹拌しながら飽和塩化アンモニウム水溶液15部を投入し、次いでジエチルエーテル10部を投入し、分液操作によって有機層と水層に分け、水層をさらにジエチルエーテルで3回抽出した。
抽出した有機層を併せて溶媒を減圧留去して残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、1,2−ジ(チオフェン−2−イル)エタン(a1−2)を9.0部得た。
製造例2 <(a1−3)の製造>
1,2−ジブロモエタンに代えてα,α’−ジブロモ−p−キシレン(東京化成製)2.6部および11部を用いること以外は、製造例1と同様の方法で1,4−ビス(チオフェン−2−イルメチル)ベンゼン(a1−3)13部を得た。
1,2−ジブロモエタンに代えてα,α’−ジブロモ−p−キシレン(東京化成製)2.6部および11部を用いること以外は、製造例1と同様の方法で1,4−ビス(チオフェン−2−イルメチル)ベンゼン(a1−3)13部を得た。
製造例3 <(a2−1)の製造>
温度調節装置、バキューム攪拌翼、窒素流入口及び流出口を備えた反応容器に、撹拌装置、加熱冷却装置、温度計及び窒素導入管を備えた反応容器中に塩化アルミニウム(東京化成製)7.9部と1,2−ジクロロエタン40部を投入した。反応溶液を0℃に冷却して撹拌しながらマロニルクロリド(東京化成製)6.8部を15分かけて滴下した。
続いて、チオフェン(東京化成製)3.1部を30分かけて滴下した。滴下後、反応溶液を50℃に昇温して30分撹拌した。別の反応容器にイオン交換水50部を投入し、0℃に冷却した。ここに反応溶液を撹拌しながら滴下して反応を停止させた。
この溶液を分液操作によって水層と有機層に分け、水層をジエチルエーテル40部で3回抽出し、有機層を併せて溶媒を減圧留去することで得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、1,3−ジ(チオフェン−2−イル)プロパン−1,3−ジオン(a2−1)を83部得た。
温度調節装置、バキューム攪拌翼、窒素流入口及び流出口を備えた反応容器に、撹拌装置、加熱冷却装置、温度計及び窒素導入管を備えた反応容器中に塩化アルミニウム(東京化成製)7.9部と1,2−ジクロロエタン40部を投入した。反応溶液を0℃に冷却して撹拌しながらマロニルクロリド(東京化成製)6.8部を15分かけて滴下した。
続いて、チオフェン(東京化成製)3.1部を30分かけて滴下した。滴下後、反応溶液を50℃に昇温して30分撹拌した。別の反応容器にイオン交換水50部を投入し、0℃に冷却した。ここに反応溶液を撹拌しながら滴下して反応を停止させた。
この溶液を分液操作によって水層と有機層に分け、水層をジエチルエーテル40部で3回抽出し、有機層を併せて溶媒を減圧留去することで得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、1,3−ジ(チオフェン−2−イル)プロパン−1,3−ジオン(a2−1)を83部得た。
製造例4 <非水電解液(D−1)の製造>
ジ(チオフェン−2−イル)メタン(a1−1)(東京化成製)2部とエチレンカーボネート51部とジエチルカーボネート37部とLiPF612部を混合し、非水電解液(D−1)を得た。
ジ(チオフェン−2−イル)メタン(a1−1)(東京化成製)2部とエチレンカーボネート51部とジエチルカーボネート37部とLiPF612部を混合し、非水電解液(D−1)を得た。
製造例5〜7 <非水電解液(D−2)〜(D−4)の製造>
製造例4において化合物(a1−1)に代えて、それぞれ化合物(a1−2)、(a1−3)、(a2−1)を用いること以外は、同様な操作を行い、非水電解液(D−2)〜(D−4)を得た。
製造例4において化合物(a1−1)に代えて、それぞれ化合物(a1−2)、(a1−3)、(a2−1)を用いること以外は、同様な操作を行い、非水電解液(D−2)〜(D−4)を得た。
比較製造例1
製造例4において化合物(a1−1)を用いないこと以外は、同様な操作を行い、比較例1に用いる非水電解液(D’−1)を得た。
製造例4において化合物(a1−1)を用いないこと以外は、同様な操作を行い、比較例1に用いる非水電解液(D’−1)を得た。
比較製造例2
製造例4において化合物(a1−1)に代えて、チオフェン(a’−1)(東京化成製)を用いること以外は同様な操作を行い、比較例2に用いる非水電解液(D’−2)を得た。
製造例4において化合物(a1−1)に代えて、チオフェン(a’−1)(東京化成製)を用いること以外は同様な操作を行い、比較例2に用いる非水電解液(D’−2)を得た。
表1に製造例4〜7及び比較製造例1、2で得られた非水電解液を示す。
<リチウムイオン二次電池の作製>
以下の手順で、負極電極、リチウムイオン二次電池(G)を作製した。
以下の手順で、負極電極、リチウムイオン二次電池(G)を作製した。
<負極電極の作製>
負極活物質として平均粒径10μmの天然黒鉛系カーボン(三菱ケミカル社製)95部、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)5部および分散媒としてN−メチルピロリドン(NMP)40部を、ポリプロピレン製容器内に入れた。
この容器を、超音波分散装置(エスエムテー社製UH−50)を用いて30秒間撹拌し、次いで震盪機(柴田化学社製TTM−1)を用いて30分間震盪することによって負極スラリーを得た。負極電極スラリーを、アプリケーターを使用して、ブレード法によって、集電体としての銅箔上に塗工した。得られた塗工したCu箔を−0.1MPaの減圧下、120℃に加熱して2時間乾燥させて負極電極を得た。
負極活物質として平均粒径10μmの天然黒鉛系カーボン(三菱ケミカル社製)95部、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)5部および分散媒としてN−メチルピロリドン(NMP)40部を、ポリプロピレン製容器内に入れた。
この容器を、超音波分散装置(エスエムテー社製UH−50)を用いて30秒間撹拌し、次いで震盪機(柴田化学社製TTM−1)を用いて30分間震盪することによって負極スラリーを得た。負極電極スラリーを、アプリケーターを使用して、ブレード法によって、集電体としての銅箔上に塗工した。得られた塗工したCu箔を−0.1MPaの減圧下、120℃に加熱して2時間乾燥させて負極電極を得た。
<正極電極の作製>
正極活物質として、LiNi0.33/Co0.33/Mn0.33/O2(シグマアルドリッチ社製)90部、バインダーとしてPVDF5部、導電助剤としてアセチレンブラック(DENKA BLACK Liグレード Li−100、デンカ社製)5部、分散媒としてNMP43部を、ポリプロピレン製容器内に入れた。
上記の正極活物質、分散媒等が入っている容器を、超音波分散装置(UH−50、エスエムテー社製)を用いて30秒間撹拌し、次いで震盪機(TTM−1、柴田化学社製)を用いて3分間震盪した。更に、この容器を、超音波分散装置を用いて30秒間撹拌し、次いで震盪機を用いて3分間震盪することによって、正極スラリーを得た。
得られた正極電極スラリーを、震盪機(TTM−1、柴田化学社製)を用いて3分間震盪した後、アプリケーターを使用して、ブレード法によって集電体としてのアルミニウム箔上に塗工した。
塗工したアルミニウム箔を−0.1MPaの減圧下、120℃で加熱して2時間乾燥させて正極電極を得た。
正極活物質として、LiNi0.33/Co0.33/Mn0.33/O2(シグマアルドリッチ社製)90部、バインダーとしてPVDF5部、導電助剤としてアセチレンブラック(DENKA BLACK Liグレード Li−100、デンカ社製)5部、分散媒としてNMP43部を、ポリプロピレン製容器内に入れた。
上記の正極活物質、分散媒等が入っている容器を、超音波分散装置(UH−50、エスエムテー社製)を用いて30秒間撹拌し、次いで震盪機(TTM−1、柴田化学社製)を用いて3分間震盪した。更に、この容器を、超音波分散装置を用いて30秒間撹拌し、次いで震盪機を用いて3分間震盪することによって、正極スラリーを得た。
得られた正極電極スラリーを、震盪機(TTM−1、柴田化学社製)を用いて3分間震盪した後、アプリケーターを使用して、ブレード法によって集電体としてのアルミニウム箔上に塗工した。
塗工したアルミニウム箔を−0.1MPaの減圧下、120℃で加熱して2時間乾燥させて正極電極を得た。
<リチウムイオン二次電池の作製>
得られた負極電極の塗工部分を42mm×74mm(10mm×10mmの負極端子付き)に切り取り、負極端子部分にリード体を溶接させた。
また、得られた正極電極の塗工部分を40mm×72mm(10mm×10mmの正極端子付き)に切り取り、正極端子部分にリード体を溶接させた。
セパレーター(「セルガード2500」、旭化成製)を78mm×46mmに切り取って、セパレーターを挟むようにリード体を溶接させた負極と正極の活物質塗工面が対向するようにセットし、これらをアルミニウムラミネート包装材内に収めた。
ついで、包装材中に非水電解液(D−1)〜(D−4)、(D’−1)、(D’−2)を2mLずつ注液して密封して容量5mAhの本発明のリチウムイオン二次電池(G−1)〜(G−4)および比較のためのリチウムイオン二次電池(G’−1)、(G’−2)を得た。
得られた負極電極の塗工部分を42mm×74mm(10mm×10mmの負極端子付き)に切り取り、負極端子部分にリード体を溶接させた。
また、得られた正極電極の塗工部分を40mm×72mm(10mm×10mmの正極端子付き)に切り取り、正極端子部分にリード体を溶接させた。
セパレーター(「セルガード2500」、旭化成製)を78mm×46mmに切り取って、セパレーターを挟むようにリード体を溶接させた負極と正極の活物質塗工面が対向するようにセットし、これらをアルミニウムラミネート包装材内に収めた。
ついで、包装材中に非水電解液(D−1)〜(D−4)、(D’−1)、(D’−2)を2mLずつ注液して密封して容量5mAhの本発明のリチウムイオン二次電池(G−1)〜(G−4)および比較のためのリチウムイオン二次電池(G’−1)、(G’−2)を得た。
実施例1〜4で作成した本発明の非水電解液(D−1)〜(D−4)、および比較例1〜2で作成した比較のための非水電解液(D’−1)〜(D’−2)について、(1)電解重合被膜の体積抵抗率、(2)低温ハイレート充電による内部短絡の有無、(3)4.3Vまで充電後に電池を5MPaで加圧した際の開回路電圧、(4)充放電100サイクル後の初期放電容量に対する放電容量維持率を以下の方法で評価した。その結果を表2に示す。
<4.3V(金属リチウム基準)の電位にした際に生じる電解重合被膜の体積抵抗率の測定方法および測定結果>
(1)アルミ箔電極(作用極)とグラファイト棒電極(対極)と金属リチウム電極(参照極)を用いて電気化学測定用セル(PTC1塗料テストセル、ビー・エー・エス社製)に取り付け、非水電解液を注液して密封した。
(2)アルミ箔電極を金属リチウム電極に対して、VSP電気化学測定システム(バイオロジック社製)を用いて4.3Vで15分間定電位電解させて、アルミ箔電極表面に被膜を形成させた。
(3)セルを解体して、アルミ箔電極にアセトンをかけて洗浄した後、室温で1時間乾燥させた。乾燥後、抵抗計(RM3542−01、日置電機製)を用いて被膜の抵抗を4端子法で測定した。
なお、比較のための非水電解液(D’−1)では被膜を生じなかったため、体積抵抗率は測定できなかった。
(1)アルミ箔電極(作用極)とグラファイト棒電極(対極)と金属リチウム電極(参照極)を用いて電気化学測定用セル(PTC1塗料テストセル、ビー・エー・エス社製)に取り付け、非水電解液を注液して密封した。
(2)アルミ箔電極を金属リチウム電極に対して、VSP電気化学測定システム(バイオロジック社製)を用いて4.3Vで15分間定電位電解させて、アルミ箔電極表面に被膜を形成させた。
(3)セルを解体して、アルミ箔電極にアセトンをかけて洗浄した後、室温で1時間乾燥させた。乾燥後、抵抗計(RM3542−01、日置電機製)を用いて被膜の抵抗を4端子法で測定した。
なお、比較のための非水電解液(D’−1)では被膜を生じなかったため、体積抵抗率は測定できなかった。
<低温ハイレート充電による短絡有無>
(1)リチウムイオン二次電池を、25℃の恒温槽内にてそれぞれ1mA(終始電流条件は0.25mA)で4.3Vまで定電流−定電圧(CC−CV)充電した後、1mA(終始電流条件は0.25mA)で3VまでCC−CV放電させた。
同じ充放電条件で、充放電をさらに4回繰り返した。なお充放電制御装置としては、北斗電工社製「HJ1001SD8」を用いた。
(2)次いで、恒温槽の温度を−20℃に設定し、25mAで4.3VまでCC充電させた。この間、電圧の測定値が0.2V以上の降下が1度でも起こった場合、内部短絡が起こったものと判定した。
(1)リチウムイオン二次電池を、25℃の恒温槽内にてそれぞれ1mA(終始電流条件は0.25mA)で4.3Vまで定電流−定電圧(CC−CV)充電した後、1mA(終始電流条件は0.25mA)で3VまでCC−CV放電させた。
同じ充放電条件で、充放電をさらに4回繰り返した。なお充放電制御装置としては、北斗電工社製「HJ1001SD8」を用いた。
(2)次いで、恒温槽の温度を−20℃に設定し、25mAで4.3VまでCC充電させた。この間、電圧の測定値が0.2V以上の降下が1度でも起こった場合、内部短絡が起こったものと判定した。
<5MPaで加圧した後の電池の開回路電圧と短絡有無>
(1)リチウムイオン二次電池を、25℃の恒温槽内にてそれぞれ1mA(終始電流条件は0.25mA)で4.3VまでCC−CV充電した後、1mA(終始電流条件は0.25mA)で3VまでCC−CV放電させた。
(2)次いで、1mA(終始電流条件は0.25mA)で4.3VまでCC−CV充電した後、恒温槽から電池を取り出し、油圧プレス機(H300−01、アズワン社製)のテーブルにロードセル(iLoad−U、ゾンデックス社製)を載せ、その上に10cm×10cmのSUS板を載せ、さらにその上に電池を載せ、電池の上に直径5mm、高さ1cmの金属棒を載せ、電池の開回路電圧を測定しながら、電池が金属棒から受ける圧力が5MPaになるまで油圧ブレス機で加圧した。
(3)5MPaに到達した時の、電池の開回路電圧を測定した。
この時、電圧が4.3Vを維持していれば短絡しておらず、電圧が4.3V未満に低下した場合は短絡したものと判定した。
(1)リチウムイオン二次電池を、25℃の恒温槽内にてそれぞれ1mA(終始電流条件は0.25mA)で4.3VまでCC−CV充電した後、1mA(終始電流条件は0.25mA)で3VまでCC−CV放電させた。
(2)次いで、1mA(終始電流条件は0.25mA)で4.3VまでCC−CV充電した後、恒温槽から電池を取り出し、油圧プレス機(H300−01、アズワン社製)のテーブルにロードセル(iLoad−U、ゾンデックス社製)を載せ、その上に10cm×10cmのSUS板を載せ、さらにその上に電池を載せ、電池の上に直径5mm、高さ1cmの金属棒を載せ、電池の開回路電圧を測定しながら、電池が金属棒から受ける圧力が5MPaになるまで油圧ブレス機で加圧した。
(3)5MPaに到達した時の、電池の開回路電圧を測定した。
この時、電圧が4.3Vを維持していれば短絡しておらず、電圧が4.3V未満に低下した場合は短絡したものと判定した。
<100サイクル後の容量維持率>
(1)リチウムイオン二次電池を、25℃の恒温槽内にてそれぞれ1mA(終始電流条件は0.25mA)で4.3VまでCC−CV充電した後、1mA(終始電流条件は0.25mA)で3VまでCC−CV放電させた。この時の放電容量を初回放電容量(A0)として記録した。
(2)次いで、2.5mAで4.3VまでのCC充電と2.5mAで3VまでのCC放電100回繰り返した。次に、1mA(終始電流条件は0.25mA)で4.3VまでCC−CV充電した後、1mA(終始電流条件は0.25mA)で3VまでCC−CV放電させ、この時の放電容量を100サイクル後放電容量(A100)として記録した。
(3)100サイクル後の容量維持率を、次の式で算出した。
100サイクル後の容量維持率(%)=A100/A0
(1)リチウムイオン二次電池を、25℃の恒温槽内にてそれぞれ1mA(終始電流条件は0.25mA)で4.3VまでCC−CV充電した後、1mA(終始電流条件は0.25mA)で3VまでCC−CV放電させた。この時の放電容量を初回放電容量(A0)として記録した。
(2)次いで、2.5mAで4.3VまでのCC充電と2.5mAで3VまでのCC放電100回繰り返した。次に、1mA(終始電流条件は0.25mA)で4.3VまでCC−CV充電した後、1mA(終始電流条件は0.25mA)で3VまでCC−CV放電させ、この時の放電容量を100サイクル後放電容量(A100)として記録した。
(3)100サイクル後の容量維持率を、次の式で算出した。
100サイクル後の容量維持率(%)=A100/A0
本発明の実施例1〜4の非水電解液およびこれを用いたリチウムイオン二次電池は電解重合により生じた被膜の体積抵抗率が高く、低温ハイレート充電による短絡が無く、加圧しても短絡が起きず、また100サイクル後の容量維持率も高く、優れた性能を示した。
一方、本発明に必須の化合物が含まない電解液を用いた比較例1のリチウムイオン二次電池(G’−1)は電解重合によって生じる体積抵抗率の高い被膜が形成されないため、低温ハイレート充電および5MPaの加圧による短絡が起きた。また、(a)の代わりにチオフェンを用いた比較例2のリチウムイオン二次電池(G’−2)は電解重合によって生じる被膜の体積抵抗率が小さく、低温ハイレート充電時にリチウムデンドライドの発生のためか短絡した。また、5MPaの加圧時には、セパレーターの破損によるためか短絡した。
一方、本発明に必須の化合物が含まない電解液を用いた比較例1のリチウムイオン二次電池(G’−1)は電解重合によって生じる体積抵抗率の高い被膜が形成されないため、低温ハイレート充電および5MPaの加圧による短絡が起きた。また、(a)の代わりにチオフェンを用いた比較例2のリチウムイオン二次電池(G’−2)は電解重合によって生じる被膜の体積抵抗率が小さく、低温ハイレート充電時にリチウムデンドライドの発生のためか短絡した。また、5MPaの加圧時には、セパレーターの破損によるためか短絡した。
本発明のリチウムイオン二次電池用非水電解液は、短絡防止効果があることと充放電特性に悪影響を及ぼさないことを両立している点が優れているため、リチウムイオン二次電池用の電解液として好適に使用できる。
Claims (6)
- 一般式(2)中のYが、炭素数1〜8の炭化水素基である請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用非水電解液。
- 化合物(a)が電解重合された(共)重合体(A)の体積抵抗率が1MΩ・cm以上である請求項1又は2に記載のリチウムイオン二次電池用非水電解液。
- 請求項1〜3いずれかに記載の非水電解液(D)と正極(E)と負極(F)とを含む充電前の二次電池(H)を、少なくとも1回は正極電位が4.3V以上(金属リチウム基準)に達するまで充電する工程を含むリチウムイオン二次電池(G)の製造方法。
- 充電するにことより化合物(a1)及び/又は化合物(a2)が電解重合された(共)重合体(A)で正極が被覆された請求項5に記載のリチウムイオン二次電池の製造方法。
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JP2019020465A JP2020129440A (ja) | 2019-02-07 | 2019-02-07 | リチウムイオン二次電池用非水電解液及びリチウムイオン二次電池 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2023032799A1 (ja) * | 2021-08-30 | 2023-03-09 | パナソニックIpマネジメント株式会社 | 非水電解質電池およびこれに用いる非水電解質 |
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2019
- 2019-02-07 JP JP2019020465A patent/JP2020129440A/ja active Pending
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WO2023032799A1 (ja) * | 2021-08-30 | 2023-03-09 | パナソニックIpマネジメント株式会社 | 非水電解質電池およびこれに用いる非水電解質 |
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