JP2020128343A - 栄養素複合体 - Google Patents

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Yukinari Uesugi
志成 上杉
智行 古田
Tomoyuki Furuta
智行 古田
元也 西川
Motoya Nishikawa
元也 西川
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【課題】栄養素複合体、及びグルコース取込み阻害活性又はSREBP(ステロール調節エレメント結合タンパク質)阻害活性を有する剤の提供。【解決手段】式(1)(式中、Rは脂肪族基である)によって表される化合物、並びに、前記化合物を含む経口組成物、エネルギー代謝の調節剤、グルコース取込みの阻害剤、SREBPの阻害剤、代謝性疾患の予防、改善及び治療用剤。【選択図】図1A

Description

本開示は、栄養素複合体、及びグルコース取込み阻害活性又はSREBP(ステロール調節エレメント結合タンパク質)阻害活性を有する剤に関する。
炭水化物、脂質、アミノ酸及びビタミンは、生物の生活に不可欠な栄養素の一部である。一方、共有結合的に複合体化した複数の栄養素からなる多数の医薬及び機能性食品が存在する。例えば、臨床的に使用される脂質酸化防止剤であるニコチン酸トコフェロールは、ビタミンE及びBの合成複合体である。別の例は、ビタミンC及びグルコースの複合体であるAA−2Gである。化粧品及びサプリメントの成分として使用される、この長時間作用型プロドラッグは酵素的に代謝され、ビタミンC及びグルコースを徐々に放出する。これら2つの例によって例示される栄養素複合体は、個々の成分の混合物よりも大きな効力、及び完全に非天然の化学物質よりも予測可能な安全性プロファイルを示す傾向がある。多数の栄養素複合体が生物においても自然発生する。例えば、アラキドン酸及びグリシンの複合体であるNA−Glyは、T型カルシウムチャネル及び脂肪酸アミドヒドロラーゼの阻害を含む、親栄養素とは異なる役割を果たす。
分子1の化学構造を示す図である。 分子1の用量応答曲線を示す図である。分子1は、ルシフェラーゼレポーター遺伝子の転写を活性化する内在性SREBPの能力を抑制した。IC50値は、4パラメーターロジスティックモデル適合曲線から5.6μMと推定された。試験濃度の分子1において、β−ガラクトシダーゼ活性は検出可能な変化を示さなかった。 ジペプチド2及び二成分複合体(3〜5)の化学構造を示す図である。 分子1〜分子5のSREBP阻害活性を示す図である。ルシフェラーゼ活性を24時間のインキュベーション後に10μMの濃度で測定した。各々の単一成分(ドコサヘキサエン酸(DHA)、グルコサミン及びジペプチド2)又はそれらの混合物は、分子1より弱い活性を示した。二成分複合体(3〜5)も分子1より弱い活性を示した。 SREBP−2の成熟に対する分子1の影響を示す図である。CHO−K1細胞を、様々な時間にわたって分子1(10μM)又は25−ヒドロキシコレステロール(5μM)で処理し、SREBP−2抗体を用いたウエスタンブロットによって細胞溶解物を分析した。SREBP−2の前駆体型及び成熟型の位置を右側に示す。 SREBP−2の成熟に対する輸送体阻害剤の影響を示す図である。グルコース輸送体(GLUT)阻害剤フロレチン(100μM)又はナトリウム−グルコース輸送タンパク質(SGLT)阻害剤フロリジン(100μM)を、分子1(10μM)の存在下又は非存在下でCHO−K1細胞の培養培地に添加した。24時間のインキュベーション後に、SREBP−2抗体を用いたウエスタンブロットによって細胞溶解物を分析した。SREBP−2の前駆体型及び成熟型の位置を右側に示す。 分子1による細胞グルコース取込みの阻害を示す図である。蛍光標識グルコース類似体2−NBDGの取込みを、ヒトCaco−2細胞を用いて測定した。細胞をNBDG(200μM)及び様々な濃度の分子1(3μM〜30μM)、分子3(3μM〜30μM)又は陽性対照フロレチン(100μM〜500μM)で同時に処理した。十分に洗浄した後、細胞の蛍光を蛍光プレートリーダーにより測定した(励起:490nm;発光:530nm)。 分子1によるAMP活性化プロテインキナーゼ(AMPK)の活性化を示す図である。Hepa 1−6細胞を分子1(10μM)、フロレチン(100μM)又は分子3(10μM)で処理し、ホスホ−Thr172 AMPKに特異的な抗体を用いたウエスタンブロットによって細胞溶解物を分析した。分子1がフロレチンと同様にAMPKリン酸化を活性化することが明白である。 絶食マウスにおけるグルコース負荷試験(分子1及びグルコースの経口同時投与)を示す図である。分子1(6.25μmol)又は分子3(6.25μmol)を、水(250μL)中のグルコース(12.5mg)と同時に絶食マウス(n=3)に同時投与した。 絶食マウスにおけるグルコース負荷試験(グルコース経口投与前の分子1による前処理)を示す図である。分子1(6.25μmol)又は分子3(6.25μmol)を、水(250μL)中のグルコース(12.5mg)の経口投与の10分前に絶食マウス(n=3)に経口投与した。血液サンプルを指定の時点で採取し、血糖自己モニタリングキットによって分析した。
一態様では、本開示は、栄養素複合体を提供する。一実施形態では、本開示は、栄養素複合体を含む、経口組成物、エネルギー代謝の調節剤、グルコース取込みの阻害剤、SREBPの阻害剤、代謝性疾患の予防、改善及び治療用剤を提供する。
一態様では、本開示は、多価不飽和脂肪酸、グルコサミン及び/又はアミノ酸の複合体を提供する。別の態様では、本開示は、経口組成物、エネルギー代謝の調節剤、グルコース取込みの阻害剤、SREBP(ステロール調節エレメント結合タンパク質)の阻害剤、代謝性疾患の予防、改善及び治療用剤を提供する。
他の態様では、本開示は、多価不飽和脂肪酸、グルコサミン及びアミノ酸の複合体である栄養素複合体を提供する。本開示は、該栄養素複合体を含む、経口組成物、エネルギー代謝の調節剤、グルコース取込みの阻害剤、SREBP(ステロール調節エレメント結合タンパク質)の阻害剤、代謝性疾患の予防、改善及び治療用剤も提供する。
本開示は以下の実施の形態を含む。
[項目1]
式(1):
Figure 2020128343
(式中、Rは脂肪族基である)によって表される化合物、その塩又は溶媒和物。
[項目2]
Rが脂肪族鎖である、項目1に記載の化合物、その塩又は溶媒和物。
[項目3]
Rが不飽和脂肪族鎖である、項目1若しくは2に記載の化合物、その塩又は溶媒和物。
[項目4]
RがC15〜25不飽和脂肪族鎖である、項目3に記載の化合物、その塩又は溶媒和物。
[項目5]
上記化合物が式(1A):
Figure 2020128343
によって表されるものである、項目1〜4のいずれか一項に記載の化合物、その塩又は溶媒和物。
[項目6]
項目1〜5のいずれか一項に記載の化合物、その塩又は溶媒和物からなる群から選択される少なくとも1種を含む経口組成物。
[項目7]
医薬組成物、食品添加組成物又は食品組成物である、項目6に記載の経口組成物。
[項目8]
項目1〜5のいずれか一項に記載の化合物、その塩又は溶媒和物からなる群から選択される少なくとも1種を含むエネルギー代謝の調節剤。
[項目9]
項目1〜5のいずれか一項に記載の化合物、その塩、水和物及び溶媒和物からなる群から選択される少なくとも1種を含むグルコース取込みの阻害剤。
[項目10]
項目1〜5のいずれか一項に記載の化合物、その塩、水和物及び溶媒和物からなる群から選択される少なくとも1種を含むSREBP(ステロール調節エレメント結合タンパク質)の阻害剤。
[項目11]
項目1〜5のいずれか一項に記載の化合物、その塩、水和物及び溶媒和物からなる群から選択される少なくとも1種を含む代謝性疾患の予防、改善又は治療用剤。
[項目12]
上記代謝性疾患が糖尿病、脂質異常症、高血圧、肥満、脂肪肝及びメタボリックシンドロームからなる群から選択される少なくとも1種である、項目11に記載の剤。
1. 定義
本明細書で使用される場合、「含む」("comprises," "comprising," "includes," "including,")、「含有する」("contains," "containing,")という用語、及びそれらの任意の変化形は、非排他的な包含を含むことを意図するものである。これは、これらの移行語(transitional terms)が包括的又は非限定的(open-ended)であり、付加的な列挙されていない要素又は方法工程を除外しないことを意味する。
本開示の化合物は、上記に一般的に記載されるものを含み、本明細書に開示されるクラス、サブクラス及び種によって更に説明される。
「官能基」又は「置換基」という用語は、本明細書で使用される場合、炭化水素の親鎖上の1つ以上の水素原子に置き換わり、得られる新たな分子の一部分となる原子又は原子団を指す。本明細書全体を通して使用される場合、「部分」又は「成分」という用語は、別の分子と連結している、その活性を保持する機能分子の大部分を指す。本明細書で使用される場合、「官能基」、「置換基」という用語又はそれらの任意の同義語は、その保護形態及び非保護形態を包含することが意図される。
「炭化水素」という用語は、本明細書で使用される場合、共有結合している水素原子及び炭素原子を含む化合物を指す。
本明細書の「炭化水素基」という用語は、1つ以上の水素原子(特定の基に必要とされる)を炭化水素から除去することによって形成される一般化された基を指す。さらに、「炭化水素鎖」という用語は直鎖、分岐鎖又は環式アルキル、アルケニル又はアルキニル基の任意の組合せ、及びそれらの任意の組合せを指す。具体的には、一価の「炭化水素基」という用語は、本明細書で使用される場合、水素原子を炭化水素から除去することによって形成される一価の基を指す。また、二価の「炭化水素基」という用語は、2つの水素原子を炭化水素から(2つの水素原子を1つの炭素原子から又は1つの水素原子を2つの異なる炭素原子の各々から)除去することによって形成される基を指す。
「脂肪族」又は「脂肪族基」という用語は、本明細書で使用される場合、完全に飽和しているか、若しくは1つ以上の不飽和単位を含有する直鎖(すなわち、非分岐)若しくは分岐、置換若しくは非置換の炭化水素鎖、又は完全に飽和しているか、若しくは1つ以上の不飽和単位を含有するが、芳香族ではない単環式炭化水素若しくは二環式炭化水素(本明細書で「炭素環」、「脂環式」又は「シクロアルキル」とも称される)であって、分子の残りの部分に対して単一の付着点を有するものを指す。
「不飽和」という用語は、本明細書で使用される場合、部分が1つ以上の不飽和単位を有することを指す。
「溶媒和物」という用語は、本明細書で使用される場合、溶質及び溶媒によって形成され、溶媒が溶質の生物活性を妨げない様々な化学量論の複合体を指す。好適な溶媒としては、例えばエタノール、酢酸等が挙げられる。「水和物」という用語は、本明細書で使用される場合、溶媒が水である上記で規定される溶媒和物を指す。
本明細書及び対象の特許請求の範囲において使用される場合、数量を指定していない単数形(singular forms "a," "an," and "the")が、文脈上明らかに他の指示がない限り、複数の指示対象を含むことに留意すべきである。
2. 化合物、その塩、水和物又は溶媒和物
一実施形態では、本開示は、式(1):
Figure 2020128343
(式中、Rは脂肪族基である)によって表される化合物、その塩、溶媒和物に関する。
一実施形態では、脂肪族基は鎖(直鎖又は分岐鎖)、より好ましくは直鎖である。他の実施形態では、脂肪族基は不飽和炭化水素鎖である。上記のような脂肪族基は15〜25、好ましくは17〜25、より好ましくは17〜23、更により好ましくは19〜23、特に好ましくは21の炭素数を有し得る。脂肪族基の具体例には、カルボキシル基を多価不飽和脂肪酸から除去することによって得られる基が含まれ得る。多価不飽和脂肪酸の具体例としては、n−3脂肪酸、n−6脂肪酸及びn−9脂肪酸が挙げられるが、これらに限定されない。多価不飽和脂肪酸は、n−3脂肪酸であるのが好ましい。n−3脂肪酸は、例えばα−リノレン酸、ステアリドン酸、エイコサテトラエン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサペンタエン酸及びドコサヘキサエン酸である。
一実施形態では、本開示は、式(1A):
Figure 2020128343
によって表される化合物を提供する。
式(1)によって表される化合物には、その立体異性体及び光学異性体が含まれる。一実施形態では、本開示は、式(1B):
Figure 2020128343
(式中、Rは上記で規定される通りである)によって表される化合物を提供する。
式(1)によって表される化合物の塩は、酸性塩であっても又は塩基性塩であってもよい。酸性塩の例としては、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩等の無機酸塩、並びに酢酸塩、プロピオン酸塩、酒石酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、リンゴ酸塩、クエン酸塩、メタンスルホン酸塩及びp−トルエンスルホン酸塩等の有機酸塩が挙げられるが、これらに限定されない。塩基性塩の例としては、ナトリウム塩及びカリウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩及びマグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩;アンモニウム塩;並びにモルホリン、ピペリジン、ピロリジン、モノアルキルアミン、ジアルキルアミン、トリアルキルアミン、モノ(ヒドロキシアルキル)アミン、ジ(ヒドロキシアルキル)アミン及びトリ(ヒドロキシアルキル)アミン等の有機アミン塩が挙げられるが、これらに限定されない。
式(1)によって表される化合物の溶媒和物形態の溶媒の例としては、水及び有機溶媒(例えばエタノール、グリセロール、酢酸)が挙げられるが、これらに限定されない。
式(1)によって表される化合物は、様々な方法によって合成することができる。具体的には、式(1)によって表される化合物は、ウギ反応によって合成することができる。式(1)によって表される化合物は、例えば下記のような「合成例」に従って合成することができる。
3. 使用
本開示の一実施形態は、活性成分(式(1)によって表される化合物、その塩、水和物及び溶媒和物からなる群から選択される少なくとも1種)を含む、組成物又は剤、例えば経口組成物、エネルギー代謝の調節剤、グルコース取込みの阻害剤、SREBP(ステロール調節エレメント結合タンパク質)の阻害剤、代謝性疾患の予防、改善及び治療用剤に関する。これらの使用分野は特定の分野に限定されず、医薬、試薬、食品組成物(健康食品及びサプリメントを含む)、化粧品及び経口組成物として使用することができる。
経口組成物の例としては、医薬組成物、食品添加組成物又は食品組成物が挙げられる。
代謝性疾患の例としては、糖尿病、脂質異常症、高血圧、肥満、脂肪肝及びメタボリックシンドロームが挙げられる。
本開示の組成物又は剤は、活性成分を含有する必要があり、特定の剤に限定されず、別の成分を含有していてもよい。別の成分は特定の成分に限定されず、その例としては、基剤、担体、溶媒、分散剤、乳化剤、緩衝剤、安定剤、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、増粘剤、保湿剤、着色料、香料及びキレート剤が挙げられる。別の成分は、薬理学的に許容可能であるか、又は食品衛生法に基づいて許容可能な成分であり得る。
本開示の組成物又は剤の使用様式は特定の様式に限定されず、種類に応じて適切な使用様式を用いることができる。本開示の剤は、例えばin vitro(例えば、培養細胞を含有する培地に添加することによって)又はin vivo(例えば、動物に給餌又は動物に投与することによって)で使用することができる。
本開示の組成物又は剤の適用対象は特定の対象に限定されず、その例としては、ヒト、サル、マウス、ラット、イヌ、ネコ、ウサギ、ブタ、ウマ、ウシ、ヒツジ、ヤギ及びシカ等の様々な哺乳動物、並びに動物細胞が挙げられる。動物細胞の種類は特定の細胞に限定されず、その例としては、血液細胞、造血幹細胞/前駆細胞、配偶子(精子、卵子)、線維芽細胞、上皮細胞、血管内皮細胞、神経細胞、肝細胞、ケラチノサイト、筋細胞、表皮細胞、内分泌細胞、ES細胞、iPS細胞、組織幹細胞及び癌細胞が挙げられる。
本開示の経口組成物は、本開示の効果が悪影響を受けない限りにおいて、活性成分以外の成分を含有していてもよい。成分の例としては、薬理学的に許容可能な担体及び食品衛生法に基づいて許容可能な担体が挙げられる。
本開示の経口組成物は、好ましくは医薬組成物、食品添加組成物(すなわち、製造、調理又は食事の際に別の食品組成物又は食品材料に添加することによって使用される組成物)又は食品組成物として使用することができる。
本開示の経口組成物が医薬組成物である場合、組成物は活性成分に加えて、薬学的に許容可能な基剤、担体、添加剤(例えば溶媒、分散剤、乳化剤、緩衝剤、安定剤、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤等)等を必要に応じて含有し、通常の手順に従って丸剤、丸錠(round tablets)、散剤、液体、懸濁液、エマルション、顆粒又はカプセル等の医薬製剤へと調製されるのが好ましい。
さらに、本開示の経口組成物が食品添加組成物である場合、組成物は活性成分に加えて、食品衛生法に基づいて許容可能な基剤、担体、添加剤、又は食品添加物として使用される他の既知の成分若しくは材料を含有していてもよい。さらに、食品添加組成物の形態の例としては、凍結乾燥固体、粉末、フレーク、顆粒又はブロック、より具体的には、調味料、香辛料、ふりかけ(ご飯の上に振りかける乾燥食品)、ケーキ又はアイスクリーム等のお菓子、カナッペのトッピング材料、及び飲料添加物(例えば、牛乳に溶解又は分散させる飲料添加物)が挙げられるが、特にこれらに限定されない。これらの食品添加組成物は、通常の手順に従って調製することができる。
さらに、本開示の経口組成物が食品組成物である場合、組成物は、例えば食品衛生法に基づいて許容可能な基剤、担体、添加剤、又は食品として使用される他の成分若しくは材料を、活性成分に加えて組み込むことによって得られる。特に、かかる組成物の例としては、抗肥満(より具体的には、体重増加抑制、脂肪増加抑制等)加工食品、飲料、健康食品(栄養素機能強調表示を有する食品、特定保健用食品等)、サプリメント及び病人食が挙げられる。具体的な食品形態の例としては、錠剤、丸剤、フレーク及びスナック状形態などの圧縮成形食品形態、ソフトカプセル、ハードカプセル、マイクロカプセル又はコーティング固体等のカプセル、ヨーグルト等の乳製品、水等の液体に溶解させる固形飲料、顆粒飲料、粉末飲料、並びに直接食べられる粒状の食品及び薄いフレーク状の食品が挙げられるが、これらに特に限定されない。
本開示の剤の剤形は特定の剤形に限定されず、使用形態に応じて適切な剤形を用いることができる。本開示の剤を動物に投与する際の剤形の例としては、錠剤、カプセル、顆粒、粉末、細粒、シロップ、腸溶剤、徐放性カプセル、チュアブル錠、ドロップ、丸剤、内用液、トローチ剤、徐放性剤及び徐放性顆粒等の経口剤、並びに点鼻剤、吸入剤、肛門坐剤、挿入剤、浣腸剤及びゼリー等の局所剤が挙げられる。加えて、本開示の剤は固体調製物、半固体調製物又は液体のいずれであってもよい。
本開示の組成物又は剤中の活性成分の含量は、例えば使用様式、適用対象及び適用対象の状態に応じて異なり、限定されず、例えば0.0001重量%〜100重量%、好ましくは0.001重量%〜50重量%であり得る。
本開示の組成物又は剤が生体に適用される場合、その適用(例えば投与、摂取、接種)量は、所望の効果を発揮することができる有効量である限りにおいて限定されず、概して活性成分の量として1日当たり0.1mg/kg〜1000mg/kgである。この適用量に関して、本開示の組成物又は剤は、好ましくは1日に1回又は2、3回適用され、適用量を年齢、状態及び症状に応じて適切に増加又は減少させることができる。
以下の項に本開示の技術の例示的な例を詳細に記載する。これらの例示的な例は、読者に本明細書で論考される一般的な主題を紹介するために与えられ、開示の概念の範囲を限定することを意図するものではない。以下の項の詳細な記載及び添付の図面は、本開示の実施例を示すが、本開示の限定に用いられるものではない。
1. 材料及び方法
特に明記しない限り、次の「実験例」の項に記載される細胞培養、アッセイ、試験及び分析は、以下のように行った。
細胞培養
CHO−K1細胞は、加湿5%COインキュベーター内で培地A(100単位/mLペニシリン、100mg/mL硫酸ストレプトマイシン及び5%(v/v)ウシ胎仔血清を添加したハムF−12培地及びDMEMの1:1混合物)中、37℃で維持した。Hepa 1−6細胞は、加湿5%COインキュベーター内で培地B(100単位/mLペニシリン、100mg/mL硫酸ストレプトマイシン及び10%(v/v)ウシ胎仔血清を添加したDMEM)中、37℃で維持した。Caco−2細胞は、加湿5%COインキュベーター内で培地C(100単位/mLペニシリン、100mg/mL硫酸ストレプトマイシン、1%非必須アミノ酸及び10%(v/v)ウシ胎仔血清を添加したDMEM)中、37℃で維持した。
ルシフェラーゼレポーターアッセイ
0日目に、CHO−K1細胞を1ウェル当たり1.0×10細胞で96ウェルプレートの培地A中に添加した。1日目に、細胞に20/1の比率のSRE−1駆動ルシフェラーゼレポータープラスミド(pSRE−Luc)及び構成的活性型アクチンプロモーターを有するβ−galレポータープラスミド(pAc−β−gal)を、FuGENE HD Transfection Reagent(Promega)を製造業者のプロトコルに指示されるように用いて同時トランスフェクトした。12時間のインキュベーション後に細胞をPBSで洗浄し、次いで特定の試験化合物を含有する培地D(100単位/mLペニシリン、100mg/mL硫酸ストレプトマイシン、5%(v/v)脂質除去(lipid-depleted)血清、50μMコンパクチン及び50μMメバロン酸リチウムを添加したハムF−12培地及びDMEMの1:1混合物)中でインキュベートした。DMSO中の各化合物のストック溶液を調製し、培地Aに添加して1000倍(v/v)希釈(0.1%DMSO)とした。24時間のインキュベーション後に、Reporter Lysis Buffer(Promega)を用いた凍結融解により各ウェル内の細胞を溶解させ、アリコートをルシフェラーゼ活性及びβ−gal活性の測定に使用した。ルシフェラーゼ活性はSteady−Glo Luciferase Assay System(Promega)を用いて測定し、β−gal活性はβ−Galactosidase Enzyme Assay System(Promega)を用いて測定した。ルシフェラーゼ活性をβ−gal活性に対して正規化した。
ウエスタンブロット分析
インキュベーションの終了後に細胞を冷PBSで3回洗浄し、バッファーA(50mM Tris−HCl(pH7.5)、150mM NaCl、1%(v/v)Nonidet P−40、0.5%(w/v)デオキシコール酸ナトリウム、8M尿素及びプロテアーゼ阻害剤カクテル(ナカライテスク株式会社))を用いて溶解させた。細胞溶解物を25Gニードルに20回通し、7000×gにて4℃で10分間遠心分離した。上清を新たなチューブに移した。得られた溶解物を0.20体積の6×SDSサンプルバッファー(ナカライテスク株式会社)と混合し、室温で1時間インキュベートした。サンプルを4%〜15%Tris−HClプレキャストSDS PAGEゲル(BIO-RAD)上で分離し、特異抗体を用いてブロットした。特定のバンドを、ImageQuant LAS 500(GE Healthcare)上で増強化学発光(ECL Prime Western Blotting Detection Reagent、GE Healthcare)を用いて可視化した。
グルコース取込みアッセイ
グルコース取込みを、Glucose Uptake Cell−Based Assay Kit(Cayman Chemical)を用いて決定した。0日目に、Caco−2細胞を1ウェル当たり1.0×10細胞で96ウェルプレートの培地C中に添加した。培地を1、2日に1回交換し、培養を21日間行った。次いで、細胞を培地E(100単位/mLペニシリン、100mg/mL硫酸ストレプトマイシンを添加したグルコース不含DMEM)中で60分間飢餓状態にした。細胞をPBSで洗浄した後、特定の試験化合物(1000倍希釈、0.1%DMSO)及び2−NBDG(200 M)を含有する培地E中で3時間インキュベートした。冷Cell−Based Assay Buffer(Cayman Chemical)で3回十分に洗浄した後、蛍光強度をマイクロプレートリーダー(MTP−880)によって490nm励起及び530nm発光で測定した。グルコース取込みをDMSO対照に対して%で定量化した。
マウスグルコース負荷試験
試験前に雄性ICRマウスを24時間絶食させた。分子1又は分子3をグルコースの経口投与と同時に又はその前に経口投与した。(i)同時投与:分子1又は分子3(6.25μmol)を伴う又は伴わない蒸留水(250μL)中のD−グルコース12.5mgをマウスに経口投与した。(ii)前処理:蒸留水(250μL)中の分子1又は分子3(6.25μmol)を、蒸留水(250μL)中のD−グルコース(12.5mg)の投与の10分前に経口投与した。D−グルコース投与の5分後、15分後、30分後、60分後、90分後及び120分後に尾から採血し(5μL)、血糖自己モニタリングキット(エーディア株式会社)を用いてグルコースレベルについて評価した。2つの例の間の連続変数の変化を、対応のあるt検定を用いて評価した。
2. 実験例
2.1. 栄養素指向(Nutrient Oriented)化学ライブラリーの構築
共有結合栄養素複合体のコンビナトリアル化学合成が、独特の比較的安全な生物活性分子を含む可能性がある重点的な(focused)化学ライブラリーをもたらすと仮定した。かかるライブラリーを構築するために、ケトン又はアルデヒド、アミン、イソシアニド及びカルボン酸が関与し、ビスアミドを形成する四成分反応であるウギ反応を用いた(スキーム1)。
スキーム1. 栄養素指向化学ライブラリーの構築
Figure 2020128343
ウギ反応を化学ライブラリー構築に用いることは、新しくはない。多数の他の研究で化学ライブラリーが多成分ワンポット反応により生成されている。それにもかかわらず、栄養素複合体のライブラリーの構築にウギ反応が用いられたことはない。反応成分は主に、総合ビタミン剤に含まれることが多い栄養素又はその前駆体から選ばれた:カルボン酸成分としての20個の脂肪酸及び3個のビタミン;アミン成分としてのグルコサミン及びビタミン、2個のモノアミン、4個のアミノ酸及び2個の生物活性ペプチド(VPP及びカルノシン);グリシン、バリン、フェニルアラニンに相当する3個のアルデヒド;並びにグリシンエステル末端を形成するイソシアノ酢酸エチル。
2.2. ライブラリー化合物の合成例
ライブラリー化合物の合成の典型的な手順は、以下のようにまとめられる。EtOH(0.5mL)及び飽和NaHCO水溶液(0.1mL)中のアミン(0.14mmol)、カルボン酸(0.14mmol)及びアルデヒド(0.14mmol)の溶液に酢酸イソシアノエチル(isocyanoethylacetate)(0.14mmol)を添加し、2時間撹拌した。反応混合物をPTLCプレートに置き、CHCl−MeOHを用いて分離した。
例えば、代表的な化合物(分子1):
Figure 2020128343
は、以下のように合成した。
水(5mL)及びEtOH(0.5mL)中のD−(+)−グルコサミン塩酸塩(150mg)、DHA(245μL)、フェニルアセトアルデヒド(phenylacetoaldehyde)(82μL)及びLiOH・HO(30mg)の溶液にイソシアノ酢酸エチル(77μL)を添加した。2時間撹拌した後、反応混合物をシリカゲルカラムに投入し、CHCl/MeOH(100:0→80:20)で溶出させて、分子1(25.8mg、収率5.1%)を得た。
H−NMR(600MHz,CDCl)δ: 7.39〜7.26(5H,m)、6.71〜6.46(1H,m)、5.63〜5.29(12H,m)、4.74〜4.67(1H,m)、4.23〜4.13(2H,m)、4.05〜3.98(1H,m)、3.97〜3.96(1H,m)、3.90〜3.88(2H,m)、3.80〜3.72(2H,m)、3.62〜3.59(1H,m)、3.47〜3.39(1H,m)、2.86〜2.80(10H,m)、2.53〜2.30(4H,m)、2.07(2H,quintet of doublet,J=1.2,0.6Hz)、1.26(3H,dt,J=22.8,7.2Hz)、0.97(3H,t,J=7.2Hz)。
13C−NMR(150MHz,CDCl)δ: 176.20、174.38、173.32、172.71、170.29、170.27、137.89、137.44、132.06、129.48、129.20、129.18、129.14、129.02、128.95、128.59、128.53、128.31、128.30、128.27、128.26、128.24、128.23、128.21、128.16、128.11、127.90、127.89、127.48、127.39、127.03、93.97、93.10、75.37、71.82、71.68、71.26、71.12、68.71、65.18、62.71、62.49、62.18、62.03、61.77、61.66、58.39、42.06、41.78、35.56、35.20、34.14、34.10、25.68、25.67、25.66、25.64、25.63、25.54、22.68、22.58、20.57、14.29、14.11、14.10。
HRMS(FAB,m/z,[M+Na])算出値C4158Na:745.4040、実測値745.4043。
ケトン又はアルデヒド、アミン、イソシアニド及びカルボン酸のコンビナトリアル並行ウギ反応により308個の栄養素複合体が得られた。所望の生成物の純度をLC−MSによって確認し、反応収率は2.7%〜83%の範囲であった。
2.3. 分子1のSREBP阻害活性
これらの栄養素複合体に期待される生物活性の1つは、哺乳動物細胞におけるエネルギー代謝の調節であった。概念実証のために、脂質生成のマスター転写因子であるステロール調節エレメント結合タンパク質(SREBP)のレポーター遺伝子を用いてライブラリーをスクリーニングした。SREBPは、哺乳動物エネルギー代謝経路のはるか下流に位置するため、SREBPレポーター遺伝子活性が無数の細胞代謝変化の指標となる。チャイニーズハムスター卵巣(CHO)−K1細胞に、ホタルルシフェラーゼの発現が3つのSREBP結合部位によって制御されるSREBPレポーター遺伝子をトランスフェクトした。構成的活性型β−Galレポーター遺伝子も正規化を目的として同時トランスフェクトした。10μMの化合物で初期スクリーニングを行い、24時間のインキュベーション後に、SREBPの既知の内在性阻害剤である25−ヒドロキシコレステロール(HC)よりも高いSREBP阻害を示すスクリーニングヒットを選択した。繰り返し実験により、明らかな用量依存性を示す5個の複合体を特定した。5個の複合体のうち、最も強力な分子はDHA、グルコサミン及びフェニルアラニン−グリシンジペプチドから構成される分子1であった(図1A)。したがって、分子1の更なる調査に全力を注いだ。
SREBPレポーター遺伝子に対する分子1のIC50値は、5.6μMと推定されたが、β−Galレポーター遺伝子に対するその影響は、30μMまで検出不可能であった(図1B)。10μMでのSREBPを阻害する各成分(DHA、グルコサミン(GlucN)及びフェニルアラニン−グリシンジペプチド2)の能力を検査した(図1D)。DHAは、以前に報告されているように僅かに活性があることが見出されたが、他の2つは本質的に不活性であった。重要なことには、3つの成分の混合物の活性は、DHAと同程度に低かった。
2.4. 比較化合物の合成及びそのSREBP阻害活性
分子1の3つの部分構造を、成分の2つを組み合わせることによって化学合成した(分子3〜分子5)(図1C)。
分子3:
Figure 2020128343
は、以下のように合成した。
DMF(1mL)中のDHA(35μL)、DL−フェニルアラニルグリシンエチルエステル2(30mg)及びHATU(42mg)の溶液にDIEA(80μL)を添加した。1時間撹拌した後、反応混合物を水(5mL)でクエンチし、EtOAc(2mL×3)によって抽出した。有機層を飽和NaCl水溶液で洗浄し、NaSOで乾燥させ、真空濃縮して粗生成物を得た。粗生成物を、n−ヘキサン/EtOAc(95:5→80:20)を用いたフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、3(36.4mg、収率61%)を得た。
H−NMR(600MHz,DMSO−d6)δ: 8.46〜8.38(1H,m)、8.09(1H,d,J=8.4Hz)、7.18〜7.17(5H,m)、5.36〜5.17(12H,m)、4.58〜4.48(1H,m)、4.09(2H,q,J=7.2Hz)、3.88〜3.78(2H,m)、3.03(2H,dd,J=13.8,4.2)、2.85〜2.68(10H,m)、2.52〜2.00(6H,m)、1.19(3H,t,J=7.2Hz)、0.91(3H,t,J=7.8Hz)。
13C−NMR(150MHz,DMSO−d6)δ: 171.84、171.29、169.56、137.88、131.44、129.03、128.99、128.00、127.96、127.91、127.87、127.82、127.79、127.78、127.76、127.73、127.62、127.58、126.03、60.31、53.43、40.63、37.49、34.89、25.10、25.09、25.08、25.00、25.00、22.85、19.92、14.00、13.94。
HRMS(ESI,m/z,[M+Na])算出値C3548Na:583.35063、実測値583.35008。
分子4:
Figure 2020128343
は、以下のように合成した。
EtOH(2mL)中のDHA(98μL)、D−グルコサミン塩酸塩(60mg)及びDIEA(53μL)の溶液にDMT−MM(93mg)を添加し、3時間撹拌した。反応混合物をPTLCプレートに置き、CHCl/MeOH(80:20)を用いて分離して、分子4(9.8mg、収率7.2%)を得た。
H−NMR(600MHz,DMSO−d6)δ: 7.57(1H,d,J=8.4Hz)、6.43〜6.38(1H,m)、5.56〜5.25(12H,m)、4.82〜4.77(1H,m)、4.58(1H,d,J=5.4Hz)、4.53(1H,t,J=5.4Hz)、4.43(1H,t,J=4.8Hz)、3.75〜3.66(1H,m)、3.64〜3.55(3H,m)、3.52〜3.44(2H,m)、2.85〜2.77(10H,m)、2.22〜2.28(2H,m)、2.12〜2.19(2H,m)、1.99〜2.06(2H,m)、0.92(3H,t,J=7.8Hz)。
13C−NMR(150MHz,DMSO−d6)δ: 161.78、131.45、129.04、129.00、128.06、128.02、127.81、127.79、127.77、127.75、127.67、127.60、126.84、90.49、71.04、70.34、69.67、64.28、61.02、31.17、25.11、25.10、25.05、25.01、24.37、22.95、21.97、14.02。
HRMS(ESI,m/z,[M+Na])算出値C2843NONa:512.29826、実測値512.29830。
分子5:
Figure 2020128343
は、以下のように合成した。
水(2mL)中のD−グルコサミン塩酸塩(107mg)、ホウ酸(31mg)、フェニルアセトアルデヒド(66μL)及びLiOH・HO(21mg)の溶液にイソシアノ酢酸エチル(40μL)を添加した。2時間撹拌した後、反応混合物をPTLCプレートに置き、CHCl/MeOH(80:20)を用いて分離して、分子5(10.5mg、収率5.3%)を得た。
H−NMR(600MHz,DMSO−d6)δ: 8.76〜8.24,(1H,m)、7.33〜7.16(5H,m)、6.67〜6.09(1H,m)、4.97〜4.91(2H,m)、4.89〜4.74(1H,m)、4.51〜4.30(1H,m)、4.09(2H,q,J=7.2Hz)、3.88〜3.77(2H,m)、3.75〜3.48(1H,m),3.48〜3.20(6H,m,HOピーク重なり)3.09〜2.98(2H,m)、2.98〜2.71(1H,m)、1.21〜1.18(3H,m)。
13C−NMR(200MHz,DMSO−d6)δ: 174.39、174.04、169.86、169.58、137.82、137.67、129.32、129.07、129.04、128.91、128.20、127.93、91.33、89.64、76.70、75.96、73.57、72.11、71.92、71.72、70.63、69.67、69.47、63.08、61.07、60.99、60.41、60.31、40.63、40.57、33.55、33.07、13.95、13.84。
HRMS(ESI,m/z,[M+Na])算出値C1928Na:435.17379、実測値435.17390。
DHAを含有する分子3及び分子5は、DHAと同様の活性を示したが、これらの部分構造は、10μMで明らかな阻害活性を発揮することができなかった(図1D)。これらの結果から、3つ全ての成分の共有結合的複合体化が分子1の強力な活性に必要とされることが示される。
2.5. 分子1の機構分析
作用機構についての洞察を得るために、分子1による処理時のSREBPタンパク質の状態を検査した。新たに合成されたSREBPは、小胞体(ER)膜上に局在化し、そこでSREBPのエスコートタンパク質(escort protein)であるSREBP切断活性化タンパク質(SCAP)に結合する。低レベルの細胞ステロールでは、SREBP−SCAP複合体は、ERからゴルジ装置へと輸送され、そこでSREBPがサイト1プロテアーゼ(S1P)及びサイト2プロテアーゼ(S2P)によって順次に切断され、SREBPのNH末端転写因子ドメインが遊離する。成熟型は核へ移行し、そこで脂肪合成遺伝子を活性化する。SREBPの活性化は、コレステロール及び25−ヒドロキシコレステロール(25−HC)がそれぞれSCAP及びInsig(ERアンカータンパク質)に結合することでSREBP−SCAP複合体がER内に保持されるというネガティブフィードバックループによって厳密に調節される。CHO−K1細胞におけるSREBP−2のウエスタンブロット分析から、分子1が、6時間のインキュベーションまでは、25−HCとよく似て、成熟型の量を減少させ、かつ前駆体型を蓄積させることが示される(図2A)。しかしながら、分子1による長期処理は前駆体の量を減少させたが、25−HCは前駆体の量を減少させず(図2A)、分子1が25−HCとは異なる機構によってSREBP−2を阻害することが示唆された。
分子1の比較的大きな構造(分子量:722.92)から、その膜透過性を推定することにした。並行人工膜透過性アッセイ(PAMPA)により、脂質注入人工膜を介した分子1の限られた透過性(平均Papp:1.19(10−6cm/s))が示された。この低い膜透過性から、分子1が細胞外タンパク質を標的とするか、又は細胞内に能動輸送されるという可能性が高まった。多数の研究から、栄養素及びビタミンの共有結合的複合体化が医薬の能動輸送を増大させることが示されている。
分子1におけるグルコース単位の存在から、分子1の活性に対するグルコース輸送体阻害剤の影響を検査することにした。グルコースは、2種類の輸送体:グルコース輸送体(GLUT)又はナトリウム−グルコース輸送タンパク質(SGLT)によって輸送されることが知られている。CHO−K1細胞におけるSREBP−2のウエスタンブロット分析により、代表的なGLUT阻害剤であるフロレチンとの共インキュベーションが、SREBP−2のタンパク質レベルを減少させる分子1の能力を高めたが、代表的なSGLT阻害剤であるフロリジンでは分子1の能力を高めることができないことが明らかになった(図2B)。重要なことには、フロリジンではなく、フロレチン単独が、CHO−K1細胞におけるSREBP−2の成熟型の量を減少させた(図2B)。これらの結果は、分子1がGLUTによって輸送されるのではなく、GLUTを阻害することによってSREBP−2活性化を弱めることを意味する。
この仮定を支持するために、次にGLUT−2を発現するヒト腸細胞株である分化Caco−2細胞のグルコース取込みを阻止する分子1の能力を検査した。分子1は、蛍光標識グルコース類似体2−NBDG(2−(N−(7−ニトロベンゾ−2−オキサ−1,3−ジアゾール−4−イル)アミノ)−2−デオキシグルコース)の細胞取込みを用量依存的に阻止したが、分子1の糖部分を欠く対照分子(分子3)は、殆ど影響を有しなかった。10μMでの分子1の阻害活性は、高濃度のフロレチンと同程度であった(図2C)。
細胞グルコース取込みの阻害は、通常は細胞内エネルギーの不足を引き起こし、細胞エネルギー及び栄養素状態のセンサーであるAMPKの活性化につながる。AMPKの活性化がSREBPのリン酸化をもたらし、SREBPの活性化が阻止されることも実証されている。ホスホ−AMPKに対する抗体を用いたウエスタンブロット分析から、分子1(10μM)によるHepa1−6細胞の3時間の処理が、フロレチン(100μM)を用いた場合と同程度にAMPKのThr172リン酸化を誘導したが、グルコース取込みの阻害活性を欠く分子3が、AMPKのリン酸化を誘導することができなかったことが示される。分子1がグルコース輸送体を阻害し、AMPKを活性化することでSREBP活性を低下させる可能性が非常に高い(図2D)。
2.6. 絶食マウスにおけるグルコース負荷試験
分子1のグルコース取込み阻害活性をマウスにおいて更に検査した。マウスを24時間絶食させた後、典型的な甘味飲料製品に相当するグルコース溶液の経口投与を行った。分子1の経口同時投与(図3A)又はグルコース投与の10分前のその投与(図3B)は、血糖レベルの上昇を有意に抑制した。対照的に、グルコースセグメントを欠いた分子3は、検出可能な影響を示さなかった。実験の過程でマウスにおける分子1の即時毒性は見られなかった。これらの動物への影響は、培養細胞において観察されたグルコース取込み阻害と一致していた。
2.7. 結論
結論として、複数の栄養素及びビタミンの308個の共有結合複合体の重点的な化学ライブラリーは、in vitro及びin vivoでの新たなグルコース取込みの阻害剤としての分子1の発見につながった。この特定の栄養素複合体がグルコース取込みを阻止する機構は依然として不明である。恐らくは、分子1のグルコース部分は、グルコース輸送体によって認識され得るが、疎水性DHA尾部及び嵩高いジペプチドセグメントが分子全体の輸送を妨げている可能性がある。それにもかかわらず、このような栄養素複合体の合成ライブラリーが、エネルギー代謝を調節する新規の化学ツールの非常に貴重な供給源となることが本研究から示される。

Claims (12)

  1. 式(1):
    Figure 2020128343
    (式中、Rは脂肪族基である)によって表される化合物、その塩又は溶媒和物。
  2. Rが脂肪族鎖である、請求項1に記載の化合物、その塩又は溶媒和物。
  3. Rが不飽和脂肪族鎖である、請求項1若しくは2に記載の化合物、その塩又は溶媒和物。
  4. RがC15〜25不飽和脂肪族鎖である、請求項3に記載の化合物、その塩又は溶媒和物。
  5. 前記化合物が式(1A):
    Figure 2020128343
    によって表されるものである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物、その塩又は溶媒和物。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物、その塩又は溶媒和物からなる群から選択される少なくとも1種を含む経口組成物。
  7. 医薬組成物、食品添加組成物又は食品組成物である、請求項6に記載の経口組成物。
  8. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物、その塩又は溶媒和物からなる群から選択される少なくとも1種を含むエネルギー代謝の調節剤。
  9. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物、その塩、水和物及び溶媒和物からなる群から選択される少なくとも1種を含むグルコース取込みの阻害剤。
  10. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物、その塩、水和物及び溶媒和物からなる群から選択される少なくとも1種を含むSREBP(ステロール調節エレメント結合タンパク質)の阻害剤。
  11. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物、その塩、水和物及び溶媒和物からなる群から選択される少なくとも1種を含む代謝性疾患の予防、改善又は治療用剤。
  12. 前記代謝性疾患が糖尿病、脂質異常症、高血圧、肥満、脂肪肝及びメタボリックシンドロームからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項11に記載の剤。
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