JP2020127394A - パン用品質改良剤、パン用ドウ組成物、パン、およびパンの製造方法 - Google Patents

パン用品質改良剤、パン用ドウ組成物、パン、およびパンの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】製パン後における改良剤無添加のパンと同程度の食感を長期間維持することができるパン用品質改良剤、そのパン用品質改良剤を含むパン用ドウ組成物、パン、およびパンの製造方法を提供する。【解決手段】メチルセルロースとエキソマルトテトラオヒドロラーゼとを含む、パン用品質改良剤である。【選択図】なし

Description

本発明は、パン用品質改良剤、そのパン用品質改良剤を含むパン用ドウ組成物、パン、およびパンの製造方法に関する。
食パンやフランスパン等のパン類は、主成分であるデンプンの老化等により、その食感を長期間維持することが難しく、数日以内に喫食されるのが一般的である。特に、フランスパン等のハード系と呼ばれるパン類は、硬い食感を特長とするが、当日または翌日までに喫食されるのが一般的である。
通常の食パンにおいては、デンプン分解酵素、糖類、乳化剤等の品質改良剤を配合することにより、デンプンの老化を抑制し、食感を維持する対策等が取られている。これらを配合することで食感を維持することはできるが、改良剤無添加のパンに比べると食感は軟らかく、モッチリした傾向となる。また、デンプン分解酵素や糖類を配合すると、味は甘くなる傾向にあり、乳化剤を配合すると、やや不自然な風味となる傾向がある。
一方、フランスパンは、通常、小麦粉、塩、水、酵母で作られ、デンプン分解酵素、糖類、乳化剤等を配合すると味等への影響が大きく、特に食感が軟らかくなる場合はハード系パン類としての魅力を損なうため、食感を維持する対策を取りにくい。
パン用の品質改良剤としては、例えば、特許文献1には、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含有する、高加水と作業的性に優れたパン用品質改良剤が記載されている。特許文献2には、特定の水溶性ヒドロキシプロピルメチルセルロースと、グルテンを含まない穀粉類と、水とを少なくとも含んでなる、小麦等に対する食物アレルギー患者でも摂取可能なパン等の製造に用いられるドウ組成物が記載されている。
しかし、特許文献1,2の技術では、製パン後における改良剤無添加のパンと同程度の食感を長期間維持するには十分ではない。特に、フランスパン等のハード系のパン類において、製パン後における改良剤無添加のパンと同程度の食感を長期間維持するには十分ではない。
このように、食パンやフランスパン等のパン類において、製パン後において改良剤無添加のパンと同程度の食感を長期間維持することできる品質改良剤が求められている。
特開2013−215158号公報 特開2010−022313号公報
本発明の目的は、製パン後における改良剤無添加のパンと同程度の食感を長期間維持することができるパン用品質改良剤、そのパン用品質改良剤を含むパン用ドウ組成物、パン、およびパンの製造方法を提供することにある。
本発明は、メチルセルロースとエキソマルトテトラオヒドロラーゼとを含む、パン用品質改良剤である。
本発明は、メチルセルロースと、エキソマルトテトラオヒドロラーゼと、穀粉とを含む、パン用ドウ組成物である。
本発明は、メチルセルロースと、エキソマルトテトラオヒドロラーゼと、穀粉とを含む、パンである。
本発明は、メチルセルロースとエキソマルトテトラオヒドロラーゼとを含むパン用品質改良剤、ならびに穀粉を用いてパンを製造する、パンの製造方法である。
本発明により、製パン後における改良剤無添加のパンと同程度の食感を長期間維持することができるパン用品質改良剤、そのパン用品質改良剤を含むパン用ドウ組成物、パン、およびパンの製造方法を提供することができる。
実施例1,2、比較例1〜8におけるフランスパンの硬さ応力(N/m)を示すグラフである。 実施例1,2、比較例1〜8におけるフランスパンの復元性を示すグラフである。 実施例3、比較例9,10における食パンの硬さ応力(N/m)を示すグラフである。 実施例3、比較例9,10における食パンの復元性を示すグラフである。
本発明の実施の形態について以下説明する。本実施形態は本発明を実施する一例であって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
<パン用品質改良剤>
本発明の実施の形態に係るパン用品質改良剤は、メチルセルロースとエキソマルトテトラオヒドロラーゼとを含む。
本発明者らは、パン用品質改良剤として、メチルセルロースとエキソマルトテトラオヒドロラーゼとを併用することにより、製パン後における改良剤無添加のパンと同程度の食感を長期間維持することができることを見出した。特に、フランスパンのような硬い食感のパンにおいても、製パン後における改良剤無添加のパンと同程度の食感を長期間維持することができる。また、このパン用品質改良剤は、配合してもパン類の味への影響は少ない。
エキソマルトテトラオヒドロラーゼを配合することにより、デンプンの老化を抑制することで、その食感を維持することができる。エキソマルトテトラオヒドロラーゼは、一般的なデンプン分解酵素よりもデンプン分解のバランスが良く、味への影響も少ないため、好ましい。これは、分解物がほぼマルトテトラオースであるためと考えられる。したがって、メチルセルロースとエキソマルトテトラオヒドロラーゼとを併用することにより、パン類、特にフランスパンのような硬い食感のパンにおいても、食感が軟らかくなり過ぎず、味への影響が少なく、その食感を長期間維持することができる。
メチルセルロースは、多糖類の一種であり、セルロースの−OH基の一部が−OCH基(メトキシ基)に置換された物質である。メチルセルロースは、一般に増粘剤、ゲル化剤等の目的で食品へ添加される物質である。
エキソマルトテトラオヒドロラーゼは、G4アミラーゼとも呼ばれ、デンプンやグリコーゲンを分解する酵素の一種であり、4個のグルコース単位ずつ切断する酵素である。
本実施形態に係るパン用品質改良剤において、エキソマルトテトラオヒドロラーゼの配合量は、例えば、メチルセルロースの重量に対して、0.024%〜0.24%の範囲であり、0.032%〜0.16%の範囲であることが好ましい。エキソマルトテトラオヒドロラーゼの配合量がメチルセルロースの重量に対して0.024%未満であると、食感維持が難しい場合があり、0.24%を超えると、軟らか過ぎて保形が困難になる場合がある。
エキソマルトテトラオヒドロラーゼは、エキソマルトテトラオヒドロラーゼを含む酵素の複合製剤として添加してもよい。エキソマルトテトラオヒドロラーゼを含む酵素の複合製剤としては、例えば、オルガノフードテック社製G4−4150(エキソマルトテトラオヒドロラーゼの他に賦形剤を含む)を用いることができる。エキソマルトテトラオヒドロラーゼを含む複合製剤の配合量は、例えば、メチルセルロースの重量に対して、3%〜30%の範囲であり、4%〜20%の範囲であることが好ましい。エキソマルトテトラオヒドロラーゼを含む複合製剤の配合量がメチルセルロースの重量に対して3%未満であると、食感維持が難しい場合があり、30%を超えると、軟らか過ぎて保形が困難になる場合がある。
本実施形態に係るパン用品質改良剤において、メチルセルロース、エキソマルトテトラオヒドロラーゼの他に、アミラーゼ、デンプンおよびデンプン分解物等の他の成分を含んでもよい。
他の成分の含有量は、例えば、メチルセルロースの重量に対して3%〜30%の範囲であり、4%〜20%の範囲であることが好ましい。
パン類は、小麦粉、ライ麦粉等の穀粉類に水、酵母等を加えて作製したドウ組成物を発酵させた後、焼いた食品であり、例えば、食パン、フランスパン、クロワッサン、ピザ等が挙げられ、本実施形態に係るパン用品質改良剤は、配合のリーン、リッチに関わらず、どのようなパン類に対しても適用することができるが、特にフランスパン等のハード系のパン類に対して好適に適用することができる。
本実施形態に係るパン用品質改良剤は、好ましくは、製パン後のクラム(内相部分)の硬さ応力が10,000〜100,000N/mの範囲であり、より好ましくは、製パン後のクラム(内相部分)の硬さ応力が11,000〜60,000N/mの範囲であるハード系のパン類に対して好適に適用することができる。
本実施形態に係るパン用品質改良剤は、製パン後のパンの復元性を、好ましくは、0.50〜0.90の範囲に、より好ましくは、0.50〜0.80の範囲にすることができる。
本実施形態に係るパン用品質改良剤の形態は特に制限されず、例えば、顆粒状、粉末状、固形状、液体状、ペースト状等のいずれの形態であってもよい。
<パン用ドウ組成物>
本発明の実施の形態に係るパン用ドウ組成物は、メチルセルロースと、エキソマルトテトラオヒドロラーゼと、穀粉とを含む。
本実施形態に係るパン用ドウ組成物は、小麦粉、ライ麦粉等の穀粉類に水、酵母、上記パン用品質改良剤等を加え、混合して作製したドウ組成物(パン生地)である。
穀粉類としては、植物の種子から得られる穀粉であればよく、特に制限はないが、例えば、強力粉、中力粉、薄力粉、全粒粉等の小麦粉、大麦粉、ライ麦粉、米粉、そば粉等が挙げられ、風味、食感、加工適性、市場の流通量等の点から、小麦粉が好ましい。
酵母としては、パン類の製造用に用いられる酵母であればよく、特に制限はないが、例えば、生イースト、ドライイースト、自家製酵母等が挙げられ、再現性等の点から、生イースト、ドライイーストが好ましい。
水としては、特に制限はないが、水道水、純水、軟水、硬水等が挙げられる。
本実施形態に係るパン用ドウ組成物は、穀粉類、酵母、水の他に、精製塩、粗塩、岩塩等の食塩;グラニュー糖、上白糖、砂糖等の糖類;バター、マーガリン、ショートニング等の油脂類;牛乳、脱脂粉乳等の乳製品;全卵、卵白、卵黄等の卵;澱粉、グルコマンナン、ガラクトマンナン等の多糖類およびその誘導体;炭酸塩、リン酸塩、硫酸塩、ビタミンC等のイーストフード、その他成分を含んでもよい。
フランスパン用ドウ組成物は、例えば、小麦粉に、水、酵母、食塩、上記パン用品質改良剤、必要に応じてバター等の油脂類等を加え、混合して作製したドウ組成物である。
食パン用ドウ組成物は、例えば、小麦粉に、水、酵母、食塩、上記パン用品質改良剤、バター等の油脂類、砂糖等を加え、混合して作製したドウ組成物である。
本実施形態に係るパン用ドウ組成物において、メチルセルロースの配合量は、例えば、穀粉類の重量に対して、0.35%〜35%の範囲であり、2%〜10%の範囲であることが好ましい。メチルセルロースの配合量が穀粉類の重量に対して0.35%未満であると、軟らか過ぎる場合があり、35%を超えると、硬過ぎる場合がある。また、メチルセルロースには食品衛生法で使用基準が設けられているため、食品中2.0%未満であることが望ましい。
本実施形態に係るパン用ドウ組成物において、エキソマルトテトラオヒドロラーゼの配合量は、例えば、穀粉類の重量に対して、8.5ppm〜85ppmの範囲であり、11.4ppm〜57.1ppmの範囲であることが好ましい。エキソマルトテトラオヒドロラーゼの配合量が穀粉類の重量に対して8.5ppm未満であると、食感維持が難しい場合があり、85ppmを超えると、軟らか過ぎて保形が困難になる場合がある。
本実施形態に係るパン用ドウ組成物において、その他の成分の配合量は、各種パン類製造の常法に従えばよく、特に制限はない。
本実施形態に係るパン用ドウ組成物は、上記パン用品質改良剤を用いて作製したものであり、パン用ドウ組成物の作製方法は、各種パン類製造の常法に従えばよく、特に制限はない。
本実施形態に係るパン用ドウ組成物は、好ましくは、製パン後のクラム(内相部分)の硬さ応力が10,000〜100,000N/mの範囲であり、より好ましくは、製パン後のクラム(内相部分)の硬さ応力が11,000〜60,000N/mの範囲であるハード系のパン類に対して好適に適用することができる。
本実施形態に係るパン用ドウ組成物を用いた製パン後のパンの復元性は、好ましくは、0.50〜0.90の範囲であり、より好ましくは、0.50〜0.80の範囲である。
<パン>
本発明の実施の形態に係るパンは、メチルセルロースと、エキソマルトテトラオヒドロラーゼと、穀粉とを含む、パンである。
パンとしては、上述したものが挙げられる。
本実施形態に係るパンは、好ましくは、クラム(内相部分)の硬さ応力が10,000〜100,000N/mの範囲であり、より好ましくは、クラム(内相部分)の硬さ応力が11,000〜60,000N/mの範囲であるハード系のパン類である。
本実施形態に係るパンの復元性は、好ましくは、0.50〜0.90の範囲であり、より好ましくは、0.50〜0.80の範囲である。
<パンの製造方法>
本発明の実施の形態に係るパンの製造方法は、メチルセルロースとエキソマルトテトラオヒドロラーゼとを含むパン用品質改良剤、ならびに穀粉を用いてパンを製造する方法である。
本実施形態に係るパンの製造方法は、上記パン用品質改良剤を用いて作製したパン用ドウ組成物を発酵させた後、焼いて製造する方法であり、パンの製造方法は、各種パン類製造の常法に従えばよく、特に制限はない。
本実施形態に係るパンの製造方法は、好ましくは、クラム(内相部分)の硬さ応力が10,000〜100,000N/mの範囲であり、より好ましくは、クラム(内相部分)の硬さ応力が11,000〜60,000N/mの範囲であるハード系のパン類の製造に対して好適に適用することができる。
本実施形態に係るパンの製造方法により得られるパンの復元性は、好ましくは、0.50〜0.90の範囲であり、より好ましくは、0.50〜0.80の範囲である。
本実施形態に係るパン用品質改良剤、そのパン用品質改良剤を含むパン用ドウ組成物、パン、およびパンの製造方法によって、製パン後のパンの硬さ応力に対して、2〜9℃での冷蔵4日後の硬さ応力が±80%以内、好ましくは±30%以内とすることができる。また、本実施形態に係るパン用品質改良剤、そのパン用品質改良剤を含むパン用ドウ組成物、パン、およびパンの製造方法によって、製パン後のパンの凝集性(復元性)に対して、2〜9℃での冷蔵4日後の凝集性(復元性)が±30%以内、好ましくは±25%以内とすることができる。
以下、実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
パン用品質改良剤として、メチルセルロース(MC)とエキソマルトテトラオヒドロラーゼ(G4アミラーゼ)とを用い、表1に示す材料を各配合量で配合して、ストレート法でフランスパン用ドウ組成物を作製し、下記の工程でフランスパンを製造した。エキソマルトテトラオヒドロラーゼ(G4アミラーゼ)としては、G4アミラーゼを含む酵素の複合製剤であるG4アミラーゼ製剤(オルガノフードテック社製、G4−4150)を用いた。このG4アミラーゼ製剤は、主成分であるG4アミラーゼの他に賦形剤を含む。
[パン製造工程]
ホームベーカリー(パナソニック社製、ホームベーカリー SD−BT102)のフランスパンモードで製パンした(ストレート法、約7時間)。得られたフランスパンを20mm厚でスライスした(サンプル「D+0」とする)後、−20℃で16時間以上冷凍し、冷凍したパンを2〜9℃で16時間冷蔵解凍した。冷蔵解凍から24時間冷蔵保管(2〜9℃)した後のサンプルを「D+1」として、冷蔵解凍から96時間冷蔵保管した後のサンプルを「D+4」とした。
[評価方法]
(クリープ測定)
得られた各サンプルのクラム(内相部分)についてクリープ測定を実施した。クリープメータ(山電製、クリープメータ RE2−33005C)を用い、圧縮率:70%、速度:1mm/sec、プランジャー:φ20mmの条件で測定を行い、硬さ応力(N/m)および凝集性(復元性)を求めた。凝集性(復元性)は、下記式により求めた。結果を図1、図2に示す。
復元性=(2回目圧縮時の硬さ応力)/(1回目圧縮時の硬さ応力)
<実施例2>
パン用品質改良剤として、メチルセルロースとG4アミラーゼとを用い、表1に示す材料を各配合量で配合した以外は、実施例1と同様にして、フランスパンを製造し、評価を行った。結果を図1,2に示す。
<比較例1>
パン用品質改良剤を用いずに、表1に示す材料を各配合量で配合した以外は、実施例1と同様にして、フランスパンを製造し、評価を行った。結果を図1,2に示す。
<比較例2>
パン用品質改良剤として、エキソマルトテトラオヒドロラーゼ(G4アミラーゼ)を用い、表1に示す材料を各配合量で配合した以外は、実施例1と同様にして、フランスパンを製造し、評価を行った。結果を図1,2に示す。
<比較例3>
パン用品質改良剤として、メチルセルロースを用い、表1に示す材料を各配合量で配合した以外は、実施例1と同様にして、フランスパンを製造し、評価を行った。結果を図1,2に示す。
<比較例4>
パン用品質改良剤として、カルボキシメチルセルロース(CMC)と、エキソマルトテトラオヒドロラーゼ(G4アミラーゼ)とを用い、表1に示す材料を各配合量で配合した以外は、実施例1と同様にして、フランスパンを製造し、評価を行った。結果を図1,2に示す。
<比較例5>
パン用品質改良剤として、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)と、エキソマルトテトラオヒドロラーゼ(G4アミラーゼ)とを用い、表1に示す材料を各配合量で配合した以外は、実施例1と同様にして、フランスパンを製造し、評価を行った。結果を図1,2に示す。
<比較例6>
パン用品質改良剤として、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)と、α−アミラーゼとを用い、表1に示す材料を各配合量で配合した以外は、実施例1と同様にして、フランスパンを製造し、評価を行った。結果を図1,2に示す。
<比較例7>
パン用品質改良剤として、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)を用い、表1に示す材料を各配合量で配合した以外は、実施例1と同様にして、フランスパンを製造し、評価を行った。結果を図1,2に示す。
<比較例8>
パン用品質改良剤として、メチルセルロースとα−アミラーゼとを用い、表1に示す材料を各配合量で配合した以外は、実施例1と同様にして、フランスパンを製造し、評価を行った。結果を図1,2に示す。
無添加のパン(比較例1)は、冷蔵保管することで、硬く、復元性の低い(ボロボロと崩れる)食感へと劣化した。G4アミラーゼとメチルセルロース(MC)とを併用(実施例1、実施例2)すると、無添加のパンと同程度の食感を、製パン時のまま、冷蔵保管後も維持することができた。G4アミラーゼ単独の場合(比較例2)、無添加のパンよりも軟らかい食感となり、フランスパンとしての食感を損なう結果となった。ただし、その食感を維持することは可能であった。G4アミラーゼとカルボキシメチルセルロース(CMC)の併用(比較例4)、G4アミラーゼとヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)の併用(比較例5)、およびα−アミラーゼとヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)の併用(比較例6)も、無添加のパンよりも軟らかい食感となり、フランスパンとしての食感を損なう結果となった。メチルセルロース(MC)単独の場合(比較例3)、無添加のパンよりも著しく硬い食感となった。また、その食感は冷蔵保管後に維持されなかった。ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)単独(比較例7)、およびα−アミラーゼとメチルセルロース(MC)とを併用(比較例8)の場合、わずかに食感維持が確認できたが、実施例には及ばなかった。
<実施例3>
パン用品質改良剤として、メチルセルロース(MC)とエキソマルトテトラオヒドロラーゼ(G4アミラーゼ)とを用い、表2に示す材料を各配合量で配合して、ストレート法で食パン用ドウ組成物を作製し、下記の工程で食パンを製造した。
[パン製造工程]
ホームベーカリーの食パンモードで製パンした(ストレート法、約4時間)。得られた食パンを20mm厚でスライスした(サンプル「D+0」)後、冷凍および冷蔵解凍した以外は実施例1と同様にして、サンプル「D+1」、サンプル「D+4」を得た。実施例1と同様にして、評価を行った。結果を図3,4に示す。
<比較例9>
パン用品質改良剤を用いずに、表2に示す材料を各配合量で配合した以外は、実施例3と同様にして、食パンを製造し、評価を行った。結果を図3,4に示す。
<比較例10>
パン用品質改良剤として、エキソマルトテトラオヒドロラーゼ(G4アミラーゼ)を用い、表2に示す材料を各配合量で配合した以外は、実施例3と同様にして、食パンを製造し、評価を行った。結果を図3,4に示す。
G4アミラーゼとメチルセルロース(MC)とを併用すると(実施例3)、無添加のパンと同程度の食感が得られた。G4アミラーゼ単独の場合(比較例8)、無添加のパンよりも軟らかい食感となってしまった。
G4アミラーゼ製剤の配合量は、メチルセルロースの重量に対して、4%〜20%の範囲が好ましいことがわかった。
以上のように、実施例のパン用品質改良剤を用いることにより、製パン後における改良剤無添加のパンと同程度の食感を維持することができた。

Claims (4)

  1. メチルセルロースとエキソマルトテトラオヒドロラーゼとを含むことを特徴とするパン用品質改良剤。
  2. メチルセルロースと、エキソマルトテトラオヒドロラーゼと、穀粉とを含むことを特徴とするパン用ドウ組成物。
  3. メチルセルロースと、エキソマルトテトラオヒドロラーゼと、穀粉とを含むことを特徴とするパン。
  4. メチルセルロースと、エキソマルトテトラオヒドロラーゼとを含むパン用品質改良剤、ならびに穀粉を用いてパンを製造することを特徴とするパンの製造方法。
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