JP2020124187A - 宿主細胞残渣成形体及びその製造方法 - Google Patents

宿主細胞残渣成形体及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、目的タンパク質を製造する際に発生した宿主細胞残渣を用いて成形した宿主細胞残渣成形体及びその製造方法を提供することを目的とする。【解決手段】宿主細胞残渣からなる宿主細胞残渣成形体であって、上記宿主細胞は、組換えタンパク質を発現する組換え細胞であり、上記宿主細胞残渣は上記組換えタンパク質を上記宿主細胞から回収した後の細胞残渣であり、かつ、上記宿主細胞由来の膜タンパク質を含む、宿主細胞残渣成形体。【選択図】なし

Description

本発明は、宿主細胞残渣成形体及びその製造方法に関する。
目的タンパク質を得るために、遺伝子工学的手法を用いて、目的タンパク質をコードする核酸を宿主細胞に導入し、目的タンパク質を発現させたのちに、回収・精製することは一般的に行われている。その際、目的物でない宿主細胞由来の残渣が大量に発生する。この残渣は適切に処理し不活化したのち、ほとんど再利用されずに廃棄されてしまう。
宿主細胞由来の残渣の有効利用について、大腸菌の残渣を用いて、組換え大腸菌を培養し、トレオニンを生産する方法が報告されている。この有効利用は、大腸菌の生育に必要な窒素源と炭素源に着目している。
Blaesen, M., Friehs, K., &Flaschel, E. (2007). Recycling of bacterial biomass in a process of L−threonineproduction by means of a recombinant strain of Escherichia coli. Journal ofbiotechnology, 132(4), 431−437.
本発明者らは、宿主細胞由来のタンパク質に着目し、宿主細胞由来の残渣を有効利用し、成形体とすることを検討してきた。すなわち、本発明は、目的タンパク質を製造する際に発生した宿主細胞残渣を用いて成形した宿主細胞残渣成形体及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、以下の[1]〜[45]を提供する。
[1] 宿主細胞残渣からなる宿主細胞残渣成形体であって、
上記宿主細胞は、目的物質を産生する宿主細胞であり、
上記宿主細胞残渣は上記目的物質を上記宿主細胞から回収した後の細胞残渣であり、かつ、上記宿主細胞由来の膜タンパク質を含む、
宿主細胞残渣成形体。
[2] 宿主細胞残渣からなる宿主細胞残渣成形体であって、
上記宿主細胞は、組換えタンパク質を発現する組換え細胞であり、
上記宿主細胞残渣は上記組換えタンパク質を上記宿主細胞から回収した後の細胞残渣であり、かつ、上記宿主細胞由来の膜タンパク質を含む、
宿主細胞残渣成形体。
[3] 上記宿主細胞残渣は、その乾燥物の総質量に対し、上記宿主細胞の膜タンパク質又はリボソームタンパク質を20質量%以上含む、[1]又は[2]の宿主細胞残渣成形体。
[4] 宿主細胞残渣からなる宿主細胞残渣成形体であって、
上記宿主細胞は、目的物質を産生する宿主細胞であり、
上記宿主細胞残渣は上記目的物質を上記宿主細胞から回収した後の細胞残渣であり、かつ、上記宿主細胞由来の30KDa以上50kDa以下のタンパク質を含む、
宿主細胞残渣成形体。
[5] 上記宿主細胞残渣が、その乾燥物の総質量に対し、上記宿主細胞由来の30kDa以上50kDa以下のタンパク質を20質量%以上含む、[4]の宿主細胞残渣成形体。
[6] 上記宿主細胞残渣は、その乾燥物の総質量に対し、上記宿主細胞由来の30kDa未満のタンパク質を20質量%以上含む、[4]又は[5]の宿主細胞残渣成形体。
[7] 上記宿主細胞残渣は、その乾燥物の総質量に対し、30質量%〜90質量%の総タンパク質含み、かつ、上記組換えタンパク質を10質量%以下含む、[1]〜[6]のいずれかの宿主細胞残渣成形体。
[8] 上記宿主細胞残渣は、さらに上記宿主細胞由来の脂質、糖類、塩類及び/又は核酸を含む、[1]〜[7]のいずれかの宿主細胞残渣成形体。
[9] 上記宿主細胞は、大腸菌、酵母、バチルス属微生物、コリネバクテリウム属微生物、糸状真菌、及び動物細胞からなる群より選択される、[1]〜[8]のいずれかの宿主細胞残渣成形体。
[10] 樹脂、繊維又は糸である、[1]〜[9]のいずれかの宿主細胞残渣成形体。
[11] 組換えタンパク質を発現する宿主細胞を破砕し、組換えタンパク質と宿主細胞残渣とを分離し、宿主細胞残渣を回収する工程と、
上記回収された宿主細胞残渣を成形体に成形する工程と
を含み、上記宿主細胞残渣は上記宿主細胞由来の膜タンパク質を含む、宿主細胞残渣成形体の製造方法。
[12] 上記宿主細胞残渣は、上記宿主細胞の膜タンパク質又はリボソームタンパク質を主成分として含む、[11]の製造方法。
[13] 上記宿主細胞残渣は、その乾燥物の総質量に対し、上記宿主細胞の膜タンパク質又はリボソームタンパク質を20質量%含む、[11]又は[12]の製造方法。
[14]上記宿主細胞残渣を沈殿画分として回収する、[11]〜[13]のいずれかの製造方法。
[15]回収工程は、熱処理、酸凝集又はエタノール類凝集によって、上記宿主細胞残渣を沈殿させることを含む、[11]〜[14]のいずれかの製造方法。
[16] 組換えタンパク質を発現する宿主細胞を破砕し、沈殿画分として、上記組換えタンパク質と分離された宿主細胞残渣を回収し、上記沈殿画分を水溶液で洗浄し、洗浄上清として、宿主細胞残渣を回収する工程と、
上記回収された宿主細胞残渣を成形体に成形する工程と
を含み、上記宿主細胞残渣は上記宿主細胞由来の30KDa以上50kDa以下のタンパク質を含む、宿主細胞残渣成形体の製造方法。
[17] 上記宿主細胞残渣が、その乾燥物の総質量に対し、上記宿主細胞由来の30kDa以上50kDa以下のタンパク質を20質量%含む、[16]の製造方法。
[18] 上記宿主細胞残渣は、その乾燥物の総質量に対し、上記宿主細胞由来の30kDa未満のタンパク質を20質量%以上含む、[16]又は[17]の製造方法。
[19] 上記宿主細胞残渣は、その乾燥物の総質量に対し、30質量%〜90質量%の総タンパク質含み、かつ、上記組換えタンパク質を10質量%以下含む、[11]〜[18]のいずれかの製造方法。
[20] 上記宿主細胞残渣は、さらに上記宿主細胞由来の脂質、糖類、塩類及び/又は核酸を含む、[11]〜[19]のいずれかの製造方法。
[21] 上記宿主細胞は、大腸菌、酵母、バチルス属微生物、コリネバクテリウム属微生物、糸状真菌、及び動物細胞からなる群より選択される、[11]〜[20]のいずれかの製造方法。
[22] 樹脂、繊維又は糸である、[11]〜[21]のいずれかの製造方法。
[23] 膜タンパク質を含む、樹脂成形体。
[24] さらにリボソームタンパク質を含む、[23]の樹脂成形体。
[25] 30kDa以上50kDa以下のタンパク質を含む、樹脂成形体。
[26] さらに30kDa未満のタンパク質を含む、[25]の樹脂成形体。
[27] 30KDa以上50kDa以下のタンパク質を含む複合成形体であって、上記複合成形体は少なくともその表面及び/又は内側に機能付加材を含む、複合成形体。
[28] 上記複合成形体の表面及び内側に機能付加材を含む、[27]の複合成形体。
[29] 上記30KDa以上50KDa以下のタンパク質の主成分が、膜タンパク質である、[27]又は[28]の複合成形体。
[30] さらにリボソームタンパク質、リポタンパク質及び/又は糖タンパク質を含む、[27]〜[29]のいずれかの複合成形体。
[31] さらに30KDa未満のタンパク質を含む、[27]〜[29]のいずれかの複合成形体。
[32] 上記複合成形体の全質量に対し、30KDa未満のタンパク質が10.6質量%超である、[31]の複合成形体。
[33] 上記30KDa未満のタンパク質がリボソームタンパク質である、[31]又は[32]の複合成形体。
[34] 上記機能付加材が、上記複合成形体の全質量対し、5質量%以上である、[27]〜[33]のいずれかの複合成形体。
[35] 上記機能付加材が強度付加材である、[27]〜[34]のいずれかの複合成形体。
[36] 上記強度付加材の耐熱温度が100℃以上である、[35]の複合成形体。
[37] 上記強度付加材がセルロースである、[35]又は[36]の複合成形体。
[38] 上記30KDa以上50KDa以下のタンパク質が、宿主細胞残渣に含まれるタンパク質であり、
上記宿主細胞は、目的物質を産生する宿主細胞であり、
上記宿主細胞残渣は上記目的物質を上記宿主細胞から回収した後の細胞残渣である、[27]〜[37]のいずれかの複合成形体。
[39] 宿主細胞残渣を含む複合成形体であって、
上記複合成形体は少なくともその表面及び/又は内側に機能付加材を含み、
上記宿主細胞は、目的物質を産生する宿主細胞であり、
上記宿主細胞残渣は上記目的物質を上記宿主細胞から回収した後の細胞残渣である、複合成形体。
[40] 宿主細胞残渣を含む複合成形体であって、
上記複合成形体は少なくともその表面及び/又は内側に機能付加材を含み、
上記宿主細胞は、組換えタンパク質を発現する組換え細胞であり、
上記宿主細胞残渣は上記組換えタンパク質を上記宿主細胞から回収した後の細胞残渣である、複合成形体。
[41] 樹脂成形体である、[27]〜[40]のいずれかの複合成形体。
[42] 30KDa以上50kDa以下のタンパク質を含む複合成形体であって、かつ、前記複合成形体は少なくともその表面及び/又は内側に機能付加材を含む複合成形体の製造方法であって、
30KDa以上50KDa以下のタンパク質を含むタンパク質、及び機能付加材を準備する準備工程と、
上記30KDa以上50KDa以下のタンパク質及び上記機能付加材を成形し、少なくとも表面及び/又は内側に機能付加材を含む複合成形体にする成形工程と
を含む、製造方法。
[43] 上記成形体工程が圧縮成形を含む工程である、[42]の製造方法。
[44] 上記圧縮成形の成形温度が150℃以下である、[42]又は[43]の製造方法。
[45]
上記機能付加材が、上記複合成形体の全質量対し、5質量%以上である、[42]〜[44]のいずれかの製造方法。
[46]
宿主細胞残渣を上記30KDa以上50kDa以下のタンパク質として準備することを含み、
上記宿主細胞は、目的物質を産生する宿主細胞であり、
上記宿主細胞残渣は上記目的物質を上記宿主細胞から回収した後の細胞残渣であり、かつ、上記宿主細胞由来の30KDa以上50kDa以下のタンパク質を含む、
[41]〜[45]のいずれかの製造方法。
[47]
宿主細胞残渣を上記30KDa以上50kDa以下のタンパク質として準備することを含み、
上記宿主細胞は、組換えタンパク質を発現する組換え細胞であり、
上記宿主細胞残渣は上記組換えタンパク質を上記宿主細胞から回収した後の細胞残渣であり、かつ、上記宿主細胞由来の30KDa以上50kDa以下のタンパク質を含む、
[41]〜[45]のいずれかの製造方法。
本発明によれば、目的タンパク質を製造する際に発生した宿主細胞残渣を有効利用することができる。本発明の宿主細胞残渣成形体は、宿主細胞由来のタンパク質を主成分とする。そのため、適宜な強度を有するとともに、生分解性もあるため、日用品から工業製品、ないし医薬分野など幅広い分野において利用され得る。また、従来廃棄される宿主細胞残渣の有効利用により、宿主細胞残渣を廃棄するための不活化等の処理も必要がなくなり、処理コストを低減でき、かつ、排水処理負担の低減による環境保護効果をもたらすこともできる。
試験例1の宿主細胞残渣が固形分として沈殿した状態の写真である。 試験例1の宿主細胞残渣におけるタンパク質の分析結果を示す写真である。 試験例1の宿主細胞残渣を解析ソフ卜Image Labを用いて分子量解析を行った結果を示すグラフである。 実施例1〜5の宿主細胞残渣成形体を示す写真である。 吸水性評価における実施例4の2日目の写真である。 吸水性評価における15日間にわたる実施例1〜5の重量と厚みの測定結果を示すグラフである。 実施例1〜5の生分解性を評価したグラフである。 実施例6及び実施例7の変位(ひずみ)を示すグラフである。 実施例6及び実施例7の透光度を比較した写真である。 実施例6及び実施例7の可視光の反射率を示すグラフである。 紡糸装置の一例を概略的に示す説明図である。 湿式紡糸によって製造された宿主細胞残渣繊維(残渣繊維)を示す写真である。 乾式紡糸によって製造された宿主細胞残渣繊維(残渣繊維)を示す写真である。 試験例2の廃棄遠心上清を、エタノールを含む溶媒で処理する前、処理後、及び一日放置後の状態を示す写真である。 試験例2の宿主細胞残渣におけるタンパク質の分析結果を示す写真である。 試験例3の宿主細胞残渣におけるタンパク質の分析結果を示す写真である。 試験例4の宿主細胞残渣におけるタンパク質の分析結果を示す写真である。 試験例2〜4の宿主細胞残渣を解析ソフ卜Image Labを用いて分子量解析を行った結果を示すグラフである。 宿主細胞残渣樹脂成形体の写真、並びに、外見観察及び樹脂化程度評価の結果を示す表である。 木屑残渣複合樹脂成形体の写真、及び外見観察の結果を示す表である。 木屑残渣複合樹脂成形体の曲げ強度を示すグラフである。 木屑残渣複合樹脂成形体の曲げ試験後の破壊程度、及び外見考察の結果を示す表である。
〔宿主細胞残渣成形体〕
宿主細胞残渣からなる宿主細胞残渣成形体は、宿主細胞残渣を用いて成形することによって得られた成形体である。
一実施形態において、宿主細胞は目的物質を産生する宿主細胞であり、宿主細胞残渣は目的物質を宿主細胞から回収した後の細胞残渣であり、かつ、宿主細胞由来の膜タンパク質を含む。宿主細胞は、組換えタンパク質を発現する組換え細胞であってよく、この場合、宿主細胞残渣は組換えタンパク質を宿主細胞から回収した後の細胞残渣であり、かつ、宿主細胞由来の膜タンパク質を含む。
別の実施形態において、宿主細胞は、目的物質を産生する宿主細胞であり、宿主細胞残渣は目的物質を宿主細胞から回収した後の細胞残渣であり、かつ、宿主細胞由来の30KDa以上50kDa以下のタンパク質を含むものである。宿主細胞は、組換えタンパク質を発現する組換え細胞であってよく、この場合、宿主細胞残渣は組換えタンパク質を宿主細胞から回収した後の細胞残渣であり、かつ、宿主細胞由来の30KDa以上50kDa以下のタンパク質を含む。
(目的物質)
本発明は、目的物質を産生する宿主細胞残渣の有効利用を提供する。宿主細胞が生産する「目的物質」とは、細胞が産生する化合物であれば特に限定はない。有機物でも無機物でもよく、細胞中に保持される物でも細胞外に分泌される物でもよく、合成による物、分解による物の別を問わない。例えば、核酸、アミノ酸、糖、糖タンパク質、脂肪酸、ビタミン、ペプチド、抗体、ホルモン等が挙げられる。目的物質は、好ましくは核酸、アミノ酸、又は組換えタンパク質であり、組換えタンパク質が可溶性であっても、不溶性であってもよい。
(組換えタンパク質)
本実施形態の組換えタンパク質は、目的タンパク質生産系において生産される組換えタンパク質であっても、宿主細胞において目的物質を生産するために必要な組換えタンパク質であってもよく、その種類は特に限定されない。目的タンパク質は例えば、生体構造を構築する構造タンパク質であってもよく、酵素、ホルモン、抗体等の機能タンパク質であってもよい。また、宿主細胞内において発現されるタンパク質であってもよく、宿主細胞外へ分泌されるタンパク質であってもよい。さらに、組換えタンパク質が可溶性であっても、不溶性であってもよい。機能タンパク質として、酵素などの触媒作用を有するタンパク質、ホルモン、神経伝達物質、リプレッサーなどの調節作用を有するタンパク質、抗体、フィブリン等の生体防御作用を有するタンパク質、ヘモグロビン、ミオグロビン、アルブミン等の物質運搬に関与するタンパク質などが挙げられる。目的物質を産生するために必要な組換えタンパク質は、構造タンパク質であっても、機能タンパク質であってもよく、宿主細胞で作用する酵素などが挙げられる。
例えば、構造タンパク質としては、天然に存在するフィブロイン、コラーゲン、レシリン、エラスチン及びケラチン等の天然型構造タンパク質を挙げることができる。天然に存在するフィブロインとして、昆虫及びクモ類が産生するフィブロインが知られている。本実施形態において、構造タンパク質は、天然クモ糸タンパク質及び天然クモ糸タンパク質に由来するポリペプチドからなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
昆虫が産生するフィブロインとしては、例えば、ボンビックス・モリ(Bombyx mori)、クワコ(Bombyx mandarina)、天蚕(Antheraea yamamai)、柞蚕(Anteraea pernyi)、楓蚕(Eriogyna pyretorum)、蓖蚕(Pilosamia Cynthia ricini)、樗蚕(Samia cynthia)、栗虫(Caligura japonica)、チュッサー蚕(Antheraea mylitta)、ムガ蚕(Antheraea assama)等のカイコが産生する絹タンパク質、スズメバチ(Vespa simillima xanthoptera)の幼虫が吐出するホーネットシルクタンパク質が挙げられる。
クモには最大7種類の絹糸腺が存在し、それぞれ性質の異なるフィブロイン(スパイダーシルクタンパク質)を産生する。スパイダーシルクタンパク質は、その源泉の器官にしたがって、高い靭性を有する大瓶状スパイダータンパク質(major ampullate spider protein、MaSp)、高度な伸長力を有する小瓶状スパイダータンパク質(minor ampullate spider protein、MiSp)、並びに鞭状(flagelliform(Flag))、管状(tubuliform)、集合(aggregate)、ブドウ状(aciniform)及びナシ状(pyriform)の各スパイダーシルクタンパク質と命名されている。
天然由来のフィブロインのより具体的な例としては、更に、NCBI GenBankに配列情報が登録されているフィブロインを挙げることができる。例えば、NCBI GenBankに登録されている配列情報のうちDIVISIONとしてINVを含む配列の中から、DEFINITIONにspidroin、ampullate、fibroin、「silk及びpolypeptide」、又は「silk及びprotein」がキーワードとして記載されている配列、CDSから特定のproductの文字列、SOURCEからTISSUE TYPEに特定の文字列の記載された配列を抽出することにより確認することができる。
構造タンパク質は、上記天然型構造タンパク質に由来するポリペプチド、すなわち組換えポリペプチドであってもよい。例えば、組換えフィブロインは、いくつかの異種タンパク質生産系で産生されており、その製造方法として、トランスジェニック・ヤギ、トランスジェニック・カイコ、又は組換え植物若しくは哺乳類細胞が利用されている(Science,2002年,295巻,pp.472−476参照)。
組換えフィブロインは、例えば、クローニングした天然由来のフィブロインの遺伝子配列から(A)モチーフをコードする配列の1又は複数を欠失させることにより得ることができる。また、例えば、天然由来のフィブロインのアミノ酸配列から1又は複数の(A)モチーフが欠失したことに相当するアミノ酸配列を設計し、設計したアミノ酸配列をコードする核酸を化学合成することにより得ることもできる。いずれの場合においても、天然由来のフィブロインのアミノ酸配列から(A)モチーフが欠失したことに相当する改変に加え、更に1又は複数のアミノ酸残基を置換、欠失、挿入及び/又は付加したことに相当するアミノ酸配列の改変を行ってもよい。アミノ酸残基の置換、欠失、挿入及び/又は付加は、部分特異的突然変異誘発法等の当業者に周知の方法により行うことができる。具体的には、Nucleic Acid Res.10,6487(1982)、Methods in Enzymology,100,448(1983)等の文献に記載されている方法に準じて行うことができる。
大吐糸管しおり糸タンパク質の組換えポリペプチドは、例えば、式1:[(A)モチーフ−REP]で表されるドメイン配列を含むタンパク質(ここで、式1中、(A)モチーフは4〜20アミノ酸残基から構成されるアミノ酸配列を示し、かつ(A)モチーフ中の全アミノ酸残基数に対するアラニン残基数が80%以上である。REPは10〜200アミノ酸残基から構成されるアミノ酸配列を示す。mは8〜300の整数を示す。複数存在する(A)モチーフは、互いに同一のアミノ酸配列でもよく、異なるアミノ酸配列でもよい。複数存在するREPは、互いに同一のアミノ酸配列でもよく、異なるアミノ酸配列でもよい。)として表すことができる。
コラーゲンの組換えポリペプチドとして、例えば、式2:[REP2]で表されるドメイン配列を含むタンパク質(ここで、式2中、oは5〜300の整数を示す。REP2は、Gly−X−Yから構成されるアミノ酸配列を示し、X及びYはGly以外の任意のアミノ酸残基を示す。複数存在するREP2は、互いに同一のアミノ酸配列でもよく、異なるアミノ酸配列でもよい。)を挙げることができる。
レシリンの組換えポリペプチドとして、例えば、式3:[REP3]で表されるドメイン配列を含むタンパク質(ここで、式3中、pは4〜300の整数を示す。REP3はSer−J−J−Tyr−Gly−U−Proから構成されるアミノ酸配列を示す。Jは任意のアミノ酸残基を示し、特にAsp、Ser及びThrからなる群から選ばれるアミノ酸残基であることが好ましい。Uは任意のアミノ酸残基を示し、特にPro、Ala、Thr及びSerからなる群から選ばれるアミノ酸残基であることが好ましい。複数存在するREP3は、互いに同一のアミノ酸配列でもよく、異なるアミノ酸配列でもよい。)を挙げることができる。
エラスチンの組換えポリペプチドとして、例えば、NCBIのGenbankのアクセッション番号AAC98395(ヒト)、I47076(ヒツジ)、NP786966(ウシ)等のアミノ酸配列を有するタンパク質を挙げることができる。
ケラチンの組換えポリペプチドとして、例えば、カプラ・ヒルクス(Capra hircus)のタイプIケラチン等を挙げることができる。
酵素としては、例えばポリメラーゼ、グルタミナーゼ等が挙げられ、ホルモンとしては、例えばインシュリン、メラトニンが等挙げられ、抗体としては、例えば免疫グロブリンG、免疫グロブリンM等が挙げられる。
例えば、後述の方法によって、組換えタンパク質をコードする核酸(「組換えタンパク質遺伝子」という場合もある)を宿主細胞に導入することによって、宿主細胞において組換えタンパク質を発現させることができる。
(宿主細胞)
本発明における「宿主細胞」は、目的物質を産生する宿主細胞をいい、「目的物質を産生する」こととは、細胞を培地で培養した際、目的物質を細胞又は培地から回収できる程度に生産する能力を有することをいう。好ましくは、細胞が遺伝子工学的に改変された宿主細胞であり、当該細胞の野生株又は非改変株よりも、多量の目的物質を生産する能力を有することをいう。宿主細胞は好ましくは組換え宿主細胞であり、例えば組換えタンパク質遺伝子が宿主細胞に導入することによって得られる。
宿主細胞は、組換えタンパク質の発現機構を備えている、組換えタンパク質を発現する組換え宿主細胞であってよい。組換えタンパク質の発現機構とは、組換えタンパク質を選択的に発現させるための機構で、周知の組換えタンパク質発現機構を用いることができる。組換えタンパク質発現機構を備えることで、組換えタンパク質を大量に発現させることができる。組換えタンパク質発現機構を備える目的物質生産細胞は、例えば、組換えタンパク質をコードするDNAを有する発現ベクターを細胞に導入することにより得ることができる。
本実施形態の宿主細胞は、外来タンパク質である組換えタンパク質を発現できる細胞であり、遺伝子工学的手法によって、組換えタンパク質遺伝子が宿主細胞に導入することによって得られる。なお、本明細書において、宿主細胞は組換えタンパク質遺伝子によって組み換えられた組換え細胞を指すが、明らかに混同しない場合に限って、組換えタンパク質遺伝子によって組み換えられる前の細胞も宿主細胞という場合がある。
組換えタンパク質をコードする核酸の製造方法は、特に制限されない。例えば、改変フィブロインをコードする核酸の場合、天然のフィブロインをコードする遺伝子を利用して、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)などで増幅しクローニングし、遺伝子工学的手法により改変する方法、又は、化学的に合成する方法によって、所望の核酸を製造することができる。核酸の化学的な合成方法も特に制限されず、例えば、NCBIのウェブデータベースなどより入手したタンパク質のアミノ酸配列情報をもとに、AKTA oligopilot plus 10/100(GEヘルスケア・ジャパン株式会社)などで自動合成したオリゴヌクレオチドをPCRなどで連結する方法によって遺伝子を化学的に合成することができる。この際に、タンパク質の精製及び/又は確認を容易にするため、上記のアミノ酸配列のN末端に開始コドン及びHis10タグからなるアミノ酸配列を付加したアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする核酸を合成してもよい。
調節配列は、宿主細胞における組換えタンパク質の発現を制御する配列(例えば、プロモーター、エンハンサー、リボソーム結合配列、転写終結配列等)であり、宿主細胞の種類に応じて適宜選択することができる。プロモーターとして、宿主細胞中で機能し、組換えタンパク質を発現誘導可能な誘導性プロモーターを用いてもよい。誘導性プロモーターは、誘導物質(発現誘導剤)の存在、リプレッサー分子の非存在、又は温度、浸透圧若しくはpH値の上昇若しくは低下等の物理的要因により、転写を制御できるプロモーターである。
発現ベクターの種類は、プラスミドベクター、ウイルスベクター、コスミドベクター、フォスミドベクター、人工染色体ベクター等、宿主細胞の種類に応じて適宜選択することができる。発現ベクターとしては、宿主細胞において自立複製が可能、又は宿主細胞の染色体中への組込みが可能で、タンパク質をコードする核酸を転写できる位置にプロモーターを含有しているものが好適に用いられる。
遺伝子組換えに用いられる宿主細胞の種類は、遺伝子組換えに用いられるものであれば、特に限定されないが、原核生物、並びに酵母、糸状真菌、昆虫細胞、動物細胞及び植物細胞等の真核生物のいずれも好適に用いることができる。例えば、大腸菌、酵母、バチルス属微生物、コリネバクテリウム属微生物、糸状真菌、及び動物細胞からなる群より選択されてもよい。
原核生物の宿主細胞の好ましい例として、エシェリヒア属、ブレビバチルス属、セラチア属、バチルス属、ミクロバクテリウム属、ブレビバクテリウム属、コリネバクテリウム属及びシュードモナス属等に属する細菌を挙げることができる。エシェリヒア属に属する微生物として、例えば、エシェリヒア・コリ等を挙げることができる。ブレビバチルス属に属する微生物として、例えば、ブレビバチルス・アグリ等を挙げることができる。セラチア属に属する微生物として、例えば、セラチア・リクエファシエンス等を挙げることができる。バチルス属に属する微生物として、例えば、バチルス・サチラス等を挙げることができる。ミクロバクテリウム属に属する微生物として、例えば、ミクロバクテリウム・アンモニアフィラム等を挙げることができる。ブレビバクテリウム属に属する微生物として、例えば、ブレビバクテリウム・ディバリカタム等を挙げることができる。コリネバクテリウム属に属する微生物として、例えば、コリネバクテリウム・アンモニアゲネス等を挙げることができる。シュードモナス(Pseudomonas)属に属する微生物として、例えば、シュードモナス・プチダ等を挙げることができる。
原核生物を宿主細胞とする場合、タンパク質をコードする核酸を導入するベクターとしては、例えば、pBTrp2(ベーリンガーマンハイム社製)、pGEX(Pharmacia社製)、pUC18、pBluescriptII、pSupex、pET22b、pCold、pUB110、pNCO2(特開2002−238569号公報)等を挙げることができる。
真核生物の宿主細胞としては、例えば、酵母及び糸状真菌(カビ等)を挙げることができる。酵母としては、例えば、サッカロマイセス属、ピキア属、シゾサッカロマイセス属等に属する酵母を挙げることができる。糸状真菌としては、例えば、アスペルギルス属、ペニシリウム属、トリコデルマ(Trichoderma)属等に属する糸状真菌を挙げることができる。
真核生物を宿主細胞とする場合、組換えタンパク質をコードする核酸を導入するベクターとしては、例えば、YEp13(ATCC37115)、YEp24(ATCC37051)等を挙げることができる。上記宿主細胞への発現ベクターの導入方法としては、上記宿主細胞へDNAを導入する方法であればいずれも用いることができる。例えば、カルシウムイオンを用いる方法〔Proc. Natl. Acad. Sci. USA,69,2110(1972)〕、エレクトロポレーション法、スフェロプラスト法、プロトプラスト法、酢酸リチウム法、コンピテント法等を挙げることができる。
発現ベクターで形質転換された宿主細胞による核酸の発現方法としては、直接発現のほか、モレキュラー・クローニング第2版に記載されている方法等に準じて、分泌生産、融合タンパク質発現等を行うことができる。
組換えタンパク質は、例えば、発現ベクターで形質転換された宿主細胞を培養培地中で培養し、培養培地中に当該タンパク質を生成蓄積させ、該培養培地から採取することにより製造することができる。宿主細胞を培養培地中で培養する方法は、宿主細胞の培養に通常用いられる方法に従って行うことができる。
宿主細胞が、大腸菌等の原核生物又は酵母等の真核生物である場合、培養培地として、宿主細胞が資化し得る炭素源、窒素源及び無機塩類等を含有し、宿主細胞の培養を効率的に行える培地であれば天然培地、合成培地のいずれを用いてもよい。
炭素源としては、上記形質転換微生物が資化し得るものであればよく、例えば、グルコース、フラクトース、スクロース、及びこれらを含有する糖蜜、デンプン及びデンプン加水分解物等の炭水化物、酢酸及びプロピオン酸等の有機酸、並びにエタノール及びプロパノール等のアルコール類を用いることができる。窒素源としては、例えば、アンモニア、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、酢酸アンモニウム及びリン酸アンモニウム等の無機酸又は有機酸のアンモニウム塩、その他の含窒素化合物、並びにペプトン、肉エキス、酵母エキス、コーンスチープリカー、カゼイン加水分解物、大豆粕及び大豆粕加水分解物、各種発酵菌体及びその消化物を用いることができる。無機塩類としては、例えば、リン酸第一カリウム、リン酸第二カリウム、リン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、硫酸第一鉄、硫酸マンガン、硫酸銅及び炭酸カルシウムを用いることができる。
大腸菌等の原核生物又は酵母等の真核生物の培養は、例えば、振盪培養又は深部通気攪拌培養等の好気的条件下で行うことができる。培養温度は、例えば、15〜40℃である。培養時間は、通常16時間〜7日間である。培養中の培養培地のpHは3.0〜9.0に保持することが好ましい。培養培地のpHの調整は、無機酸、有機酸、アルカリ溶液、尿素、炭酸カルシウム及びアンモニア等を用いて行うことができる。
また、培養中、必要に応じて、アンピシリン及びテトラサイクリン等の抗生物質を培養培地に添加してもよい。プロモーターとして誘導性のプロモーターを用いた発現ベクターで形質転換した微生物を培養するときには、必要に応じてインデューサーを培地に添加してもよい。例えば、lacプロモーターを用いた発現ベクターで形質転換した微生物を培養するときにはイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド等を、trpプロモーターを用いた発現ベクターで形質転換した微生物を培養するときにはインドールアクリル酸等を培地に添加してもよい。
発現させた組換えタンパク質の単離、精製は通常用いられている方法で行うことができる。例えば、当該タンパク質が、宿主細胞内に溶解状態で発現した場合には、培養終了後、宿主細胞を遠心分離により回収し、水系緩衝液に懸濁した後、超音波破砕機、フレンチプレス、マントンガウリンホモゲナイザー及びダイノミル等により宿主細胞を破砕し、無細胞抽出液を得る。該無細胞抽出液を遠心分離することにより得られる上清から、タンパク質の単離精製に通常用いられている方法、すなわち、酵素処理法、溶媒抽出法、硫安等による塩析法、脱塩法、有機溶媒による沈殿法、ジエチルアミノエチル(DEAE)−セファロース、DIAION HPA−75(三菱化成社製)等のレジンを用いた陰イオン交換クロマトグラフィー法、S−Sepharose FF(Pharmacia社製)等のレジンを用いた陽イオン交換クロマトグラフィー法、ブチルセファロース、フェニルセファロース等のレジンを用いた疎水性クロマトグラフィー法、分子篩を用いたゲルろ過法、アフィニティークロマトグラフィー法、クロマトフォーカシング法、等電点電気泳動等の電気泳動法等の方法を単独又は組み合わせて使用し、精製標品を得ることができる。
また、タンパク質が細胞内に不溶体を形成して発現した場合は、同様に宿主細胞を回収後、破砕し、遠心分離を行うことにより、沈殿画分としてタンパク質の不溶体を回収する。回収したタンパク質の不溶体はタンパク質変性剤で可溶化することができる。該操作の後、上記と同様の単離精製法によりタンパク質の精製標品を得ることができる。当該タンパク質が細胞外に分泌された場合には、培養上清から当該タンパク質を回収することができる。すなわち、培養物を遠心分離等の手法により処理することにより培養上清を取得し、その培養上清から、上記と同様の単離精製法を用いることにより、精製標品を得ることができる。
(宿主細胞残渣)
本実施形態の宿主細胞残渣は、目的物質(目的物質が組換えタンパク質の場合、組換えタンパク質)を宿主細胞から回収した後の細胞残渣である。組換えタンパク質の回収方法は、上述のように、組換えタンパク質の状態(溶解状態か不溶体か)によって、その単離・精製方法が異なる場合があるものの、通常宿主細胞由来の成分、特に宿主細胞由来のタンパク質が不純物として混入されないように、組換えタンパク質と宿主細胞由来のタンパク質とを分離する工程を含む。したがって、組換えタンパク質を回収した後に残った細胞残渣は、宿主細胞由来成分を主成分とし、特に宿主細胞由来の膜タンパク質、リボソームタンパク質等を含む。
宿主細胞由来の膜タンパク質は、特に限定されないがOmpA、OmpC、OmpF、OmpT、LamBなどが挙げられる。膜タンパク質の分子量は、宿主細胞の種類によって異なるが、例えば大腸菌などの場合、約30kDa以上50kDa以下の分子量を有する。リボソームタンパク質は、約30kDa未満の分子量を有する。
一実施形態の宿主細胞残渣は、宿主細胞由来のタンパク質を含み、その主成分が宿主細胞由来の膜タンパク質又はリボソームタンパク質である。宿主細胞の種類や分離工程によって異なるものの、宿主細胞残渣は、宿主細胞残渣の乾燥物の総質量に対し、宿主細胞の膜タンパク質を20質量%以上含み、例えば、30質量%以上、35質量%以上、40質量%以上、50質量%以上含み、また、例えば、90質量%以下、80質量%以下、70質量%以下含むものである。また、一実施形態の宿主細胞残渣は、宿主細胞残渣の乾燥物の総質量に対し、宿主細胞のリポソームタンパク質を20質量%以上含み、例えば、30質量%以上、35質量%以上、40質量%以上、50質量%以上含み、また、例えば、90質量%以下、80質量%以下、70質量%以下含むものである。
別の実施形態の宿主細胞残渣は、宿主細胞由来の50kDa以下のタンパク質を含む。宿主細胞由来の50kDa以下のタンパク質としては、例えば宿主細胞由来の膜タンパク質、リボソームタンパク質、糖タンパク質、リポタンパク質などが挙げられる。該50kDa以下のタンパク質は、宿主細胞残渣の乾燥物の総質量に対し、好ましくは50質量%以上、例えば、60質量%以上、70質量%以上、80質量%以上、90質量%以上含まれる。また、該50kDa以下のタンパク質は、宿主細胞残渣の総タンパク質に対して、好ましくは40質量%以上含み、例えば、50質量%以上、60質量%以上、70質量%以上、80質量%以上、又は90質量%以上含まれる。
別の実施形態の宿主細胞残渣は、30kDa以上50kDa以下の宿主細胞由来のタンパク質を含んでもよく、該30kDa以上50kDa以下のタンパク質としては、膜タンパク質が挙げられる。該30kDa以上50kDa以下のタンパク質は、宿主細胞残渣の乾燥物の総質量に対し、好ましくは20質量%以上、例えば、30質量%以上、35質量%以上、40質量%以上、50質量%以上含まれ、また、例えば、90質量%以下、80質量%以下、70質量%以下、60質量%以下、50質量%以下含まれる。該30kDa以上50kDa以下のタンパク質は、宿主細胞残渣の総タンパク質に対して、好ましくは40質量%以上含み、例えば、50質量%以上、60質量%以上、70質量%以上、80質量%以上、又は90質量%以上含まれる。
別の実施形態の宿主細胞残渣は、また30kDa未満の宿主細胞由来のタンパク質を含んでもよく、該30kDa未満のタンパク質としては、リボソームタンパク質が挙げられる。該30kDa未満のタンパク質は、宿主細胞残渣の乾燥物の総質量に対し、5質量%以上、例えば、10質量%以上、20質量%以上、30質量%以上、40質量%以上含まれ、また、例えば、90質量%以下、80質量%以下、70質量%以下、60質量%以下、50質量%以下含まれる。該30kDa未満のタンパク質は、宿主細胞残渣の総タンパク質に対して、好ましくは40質量%以上含み、例えば、50質量%以上、60質量%以上、70質量%以上、80質量%以上、又は90質量%以上含まれる。
宿主細胞残渣は、宿主細胞残渣の乾燥物の総質量に対し、20質量%〜90質量%の総タンパク質を含み、例えば、30質量%〜85質量%、40質量%〜80質量%、40質量%〜70質量%又は50質量%〜90質量%の総タンパク質を含む。総タンパク質において、宿主細胞由来の膜タンパク質、リボソームタンパク質、糖タンパク質、リポタンパク質などの宿主細胞由来のタンパク質の他、少量に残っている組換えタンパク質を含み得る。
宿主細胞残渣は、宿主細胞残渣の乾燥物の総質量に対し、組換えタンパク質を10質量%以下、5質量%以下含み、例えば、3質量%以下、2質量%以下、1質量%以下又は0.5質量%以下含む。宿主細胞残渣は、組換えタンパク質を0質量%超含み、その含有量が検出限界よりも少ない量であり得る。
宿主細胞残渣は、タンパク質の他に、様々細胞由来成分を含み得る。例えば、宿主細胞由来の脂質、糖類、塩類及び/又は核酸を含み得る。脂質としては、細胞膜由来のリン脂質を主成分として、そのほかに飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸も含み得、さらに脂質の測定方法によって、リポタンパク質も脂質として検出される場合がある。大腸菌の細胞膜中のリン脂質プロフィールは主に三種類であり、ホスファチジルエタノールアミン(PE)0〜60%程度、Phosphatidylglycerol(PG)0〜30%程度、Cardiolipin(CL)0〜17%程度である。この脂質の化学構造は全てグリセリンという可塑剤の成分が含まれている。国際公開WO/2017/047504号で、タンパク質樹脂成形体を製作する際、水の含有率を一定量にコントロールし、可塑剤として働いている。そのため脂質の含有量は、宿主細胞残渣の細胞膜リン脂質(PE、PG、CL)が同じ可塑剤として働き、宿主細胞残渣を含む成形体の成形温度に影響を与える可能性は極めて高いと考えられる。糖類としては、グルコース、フルクトース、リボース、グリセルアルデヒドなどを含み得る。核酸としては、デオキシリボ核酸、リボ核酸を含み得る。宿主細胞残渣は、例えば5質量%〜20質量%の脂質、0.1質量%〜5質量%の糖類、0.1質量%〜5質量%の核酸、0.1質量%〜5質量%の塩類を含み得る。タンパク質以外の宿主細胞残渣由来の核酸類、糖類などは加熱などにより成形体の着色性に影響を与える可能性がある。着色の原理としては、メイラード反応などが考えられる。
(宿主細胞残渣成形体)
宿主細胞残渣からなる宿主細胞残渣成形体は、宿主細胞残渣を用いて成形することによって得られた成形体である。成形体の形態は、成形できれば特に限定されないが、樹脂、繊維、又は糸等が挙げられる。成形体は、後述の成形方法によって得ることができる。宿主細胞残渣成形体は、宿主細胞残渣を、成形体の総質量に対し、5質量%以上、好ましくは10質量%以上、40質量%以上、50質量%以上、60質量%以上、70質量%以上、80質量%以上、90質量%以上、95質量%以上、又は100質量%含む。また、宿主細胞残渣成形体は、宿主細胞由来のタンパク質を、成形体の総質量に対し、5質量%以上、好ましくは10質量%以上、40質量%以上、50質量%以上、60質量%以上、70質量%以上、80質量%以上、90質量%含む。
〔宿主細胞残渣成形体の製造方法〕
本実施形態の宿主細胞残渣成形体の製造方法は、目的物質を産生する宿主細胞を破砕し、目的物質と宿主細胞残渣とを分離し、宿主細胞残渣を回収することを含む。宿主細胞が組換えタンパク質を発現する宿主細胞である場合、該組換えタンパク質を発現する宿主細胞を破砕し、組換えタンパク質と宿主細胞残渣とを分離し、宿主細胞残渣を回収する工程(回収工程)と、回収された宿主細胞残渣を成形体に成形する工程(成形工程)とを含む。
(回収工程)
組換えタンパク質を発現する宿主細胞を作製については、上述のとおりです。組換えタンパク質を発現させるための宿主細胞培養が終了した後、宿主細胞を遠心分離等により回収し、水系緩衝液に懸濁した後、破砕する。破砕方法は特に限定されないが、超音波破砕機、フレンチプレス、マントンガウリンホモゲナイザー及びダイノミル等が挙げられるが、例えば高圧ホモジナイザーが用いてもよい。
得られた破砕物における組換えタンパク質と宿主細胞残渣とを分離する方法は、組換えタンパク質の性質によって異なる。組換えタンパク質が、宿主細胞内に溶解状態した状態で発現される場合は、宿主細胞を破砕した後に得られた無細胞抽出液を遠心分離することによって、組換えタンパク質を含む上清画分と、宿主細胞残渣を含む沈殿画分とに分離する。一方、組換えタンパク質が宿主細胞内に不溶体を形成して発現した場合は、同様に宿主細胞を回収後、破砕した後、遠心分離を行うことにより、組換えタンパク質の不溶体を含む沈殿画分と、宿主細胞残渣を含む上清画分とに分離する。
宿主細胞残渣は、遠心分離によって組換えタンパク質と分離された上清画分又は沈殿画分として回収する。一実施形態において、宿主細胞残渣が、遠心分離によって、上清画分として、沈殿画分の組換えタンパク質と分離される。この場合、組換えタンパク質は不溶性である。得られた上清画分である宿主細胞残渣を熱処理、酸凝集、又はエタノール類凝集によって、宿主細胞残渣を沈殿させて、沈殿画分として回収してもよい。また、沈殿画分として回収されたのち、適宜に洗浄してもよい。回収した宿主細胞残渣は、成形する前にさらに精製してもよい。精製としては、アルカリ又は酸で洗浄等によって行うことが可能です。さらに、保存の観点から、回収された宿主細胞残渣を凍結乾燥粉末としてもよい。
別の実施形態において、宿主細胞残渣が、遠心分離によって、沈殿画分として、上清画分の組換えタンパク質と分離される。この場合、組換えタンパク質は水溶性である。当該沈殿画分をそのまま使用してもよく、沈殿画分を洗浄して、洗浄上清として回収した後、再度沈殿させてもよい。このような回収工程は、例えば、組換えタンパク質を発現する宿主細胞を破砕し、沈殿画分として、組換えタンパク質と分離された宿主細胞残渣を回収し、沈殿画分を水溶液で洗浄し、洗浄上清として、宿主細胞残渣を回収する工程であってよい。組換えタンパク質と宿主細胞残渣との分離は、例えば遠心分離によって行ってよい。得られた沈殿画分を洗浄するときは、水又は水溶液で洗浄してもよく、水溶液は例えば界面活性剤を含む水溶液であってよい。界面活性剤としては、カチオン界面活性、アニオン界面活性剤、中性界面活性剤などが挙げられる。好ましくは、アニオン界面活性である。アニオン界面活性剤としては、カルボン酸型、スルホン酸型、硫酸エステル型、リン酸エステル型などが挙げられ、硫酸エステル型としてラウリル硫酸ナトリウム(SDS)、アルキル硫酸エステル塩(AS)、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩(AES)が挙げられる。好ましくは、硫酸エステル型としてラウリル硫酸ナトリウム(SDS)である。界面活性剤による洗浄は、宿主細胞残渣に含まれるタンパク質以外の成分、例えば脂質の含有量に影響を与え、脂質を部分的に洗浄上清に含めることができる界面活性剤を用いることが好ましい。洗浄上清として回収した後、例えば熱処理、酸凝集、又はエタノール類凝集によって凝集させ、宿主細胞残渣を沈殿画分として回収してもよい。
回収又は精製された宿主細胞残渣は、成形しやすい状態にしてもよい。例えば、乾燥粉末、溶液、顆粒、ペレット、フィルム等にしてもよい。乾燥方法としては、凍結乾燥、凍結真空乾燥、熱風乾燥などが挙げられる。凍結乾燥は、例えば、凍結乾燥機 FDU−1200型(EYELA 東京理化器械株式会社)を用いて行うことが可能である。
(成形工程)
樹脂に成形する場合は、例えば国際公開WO/2017/047504号等の方法によって成形することができる。例えば、宿主細胞残渣を加圧・加熱状況において、所望の形状に成形させることが挙げられる。加圧の圧力(成形圧)は特に限定されず、10Pa〜100Paであればよく、例えば20Pa〜80Pa、又は30Pa〜50Paであってよい。加熱温度(成形温度)も特に限定されず、例えば100℃以上、110℃以上、120℃以上、130℃以上であってよく、また、200℃以下、170℃以下、150℃以下であってよく、例えば、110℃〜170℃、又は130℃〜150℃であることが好ましい。
繊維及び糸に成形する場合は、上述した宿主細胞残渣を紡糸したものであり、膜タンパク質又はリボソームタンパク質を主成分とする。宿主残渣繊維は、公知の紡糸方法によって製造することができる。すなわち、例えば、膜タンパク質又はリボソームタンパク質を主成分として含む繊維を製造する際には、まず、上述した方法に準じて製造した宿主細胞残渣をジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ギ酸、又はヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)等の溶媒に、必要に応じて、溶解促進剤としての無機塩と共に添加し、溶解してドープ液を作製する。次いで、このドープ液を用いて、湿式紡糸、乾式紡糸、乾湿式紡糸又は溶融紡糸等の公知の紡糸方法により紡糸して、宿主残渣繊維を得ることができる。好ましい紡糸方法としては、湿式紡糸又は乾湿式紡糸を挙げることができる。
図11は、宿主残渣繊維を製造するための紡糸装置の一例を概略的に示す説明図である。図11に示す紡糸装置10は、乾湿式紡糸用の紡糸装置の一例であり、押出し装置1と、未延伸糸製造装置2と、湿熱延伸装置3と、乾燥装置4とを有している。
紡糸装置10を使用した紡糸方法を説明する。まず、貯槽7に貯蔵されたドープ液6が、ギアポンプ8により口金9から押し出される。ラボスケールにおいては、ドープ液をシリンダーに充填し、シリンジポンプを用いてノズルから押し出してもよい。次いで、押し出されたドープ液6は、エアギャップ19を経て、凝固液槽20の凝固液11内に供給され、溶媒が除去されて、改変フィブロインが凝固し、繊維状凝固体が形成される。次いで、繊維状凝固体が、延伸浴槽21内の温水12中に供給されて、延伸される。延伸倍率は供給ニップローラ13と引き取りニップローラ14との速度比によって決まる。その後、延伸された繊維状凝固体が、乾燥装置4に供給され、糸道22内で乾燥されて、宿主残渣繊維36が、巻糸体5として得られる。18a〜18gは糸ガイドである。
凝固液11としては、脱溶媒できる溶液であればよく、例えば、メタノール、エタノール及び2−プロパノール等の炭素数1〜5の低級アルコール、並びにアセトン等を挙げることができる。凝固液11は、適宜水を含んでいてもよい。凝固液11の温度は、0〜30℃であることが好ましい。口金9として、直径0.1〜0.6mmのノズルを有するシリンジポンプを使用する場合、押出し速度は1ホール当たり、0.2〜6.0ml/時間が好ましく、1.4〜4.0ml/時間であることがより好ましい。凝固した改変フィブロインが凝固液11中を通過する距離(実質的には、糸ガイド18aから糸ガイド18bまでの距離)は、脱溶媒が効率的に行える長さがあればよく、例えば、200〜500mmである。未延伸糸の引き取り速度は、例えば、1〜20m/分であってよく、1〜3m/分であることが好ましい。凝固液11中での滞留時間は、例えば、0.01〜3分であってよく、0.05〜0.15分であることが好ましい。また、凝固液11中で延伸(前延伸)をしてもよい。凝固液槽20は多段設けてもよく、また延伸は必要に応じて、各段 、又は特定の段で行ってもよい。
なお、宿主残渣繊維を得る際に実施される延伸は、例えば、上記した凝固液槽20内で行う前延伸、及び延伸浴槽21内で行う湿熱延伸の他、乾熱延伸も採用される。
湿熱延伸は、温水中、温水に有機溶剤等を加えた溶液中、スチーム加熱中で行うことができる。温度としては、例えば、50〜90℃であってよく、75〜85℃が好ましい。湿熱延伸では、未延伸糸(又は前延伸糸)を、例えば、1〜10倍延伸することができ、2〜8倍延伸することが好ましい。
乾熱延伸は、電気管状炉、乾熱板等を使用して行うことができる。温度としては、例えば、140℃〜270℃であってよく、160℃〜230℃が好ましい。乾熱延伸では、未延伸糸(又は前延伸糸)を、例えば、0.5〜8倍延伸することができ、1〜4倍延伸することが好ましい。
湿熱延伸及び乾熱延伸はそれぞれ単独で行ってもよく、またこれらを多段で、又は組み合わせて行ってもよい。すなわち、一段目延伸を湿熱延伸で行い、二段目延伸を乾熱延伸で行う、又は一段目延伸を湿熱延伸行い、二段目延伸を湿熱延伸行い、更に三段目延伸を乾熱延伸で行う等、湿熱延伸及び乾熱延伸を適宜組み合わせて行うことができる。
最終的な延伸倍率は、その下限値が、未延伸糸(又は前延伸糸)に対して、好ましくは、1倍超、2倍以上、3倍以上、4倍以上、5倍以上、6倍以上、7倍以上、8倍以上、9倍以上のうちのいずれかであり、上限値が、好ましくは40倍以下、30倍以下、20倍以下、15倍以下、14倍以下、13倍以下、12倍以下、11倍以下、10倍以下である。
〔タンパク質樹脂成形体〕
一実施形態の樹脂成形体は、膜タンパク質を含み、好ましくはリボソームタンパク質をさらに含む。タンパク質樹脂成形体は、成形体の総質量に対し、総タンパク質を20質量%〜90質量%含んでよく、また、膜タンパク質を20質量%以上含んでよく、リボソームタンパク質を20質量%以上含んでよい。
別の実施形態の樹脂成形体は、50kDa以下のタンパク質を含み、好ましくは30kDa以上50kDa以下のタンパク質、及び/又は、30kDa未満のタンパク質を含む。タンパク質樹脂成形体は、成形体の総質量に対し、総タンパク質を20質量%〜90質量%含んでよく、また、30kDa以上50kDa以下のタンパク質を20質量%以上含んでよく、30kDa未満のタンパク質を20質量%以上含んでよい。
〔複合成形体〕
本実施形態の複合成形体は、50kDa以下のタンパク質を含む複合成形体であって、上記複合成形体は少なくともその表面及び/又は内側に機能付加材を含む複合成形体である。好ましくは、複合成形体の表面及び内側の両方に機能付加材を含む。ここで、50kDa以下のタンパク質と機能付加材とが混在して、一体となって複合成形体を形成していることが好ましい。複合成形体は好ましくは樹脂成形体である。
一実施形態において、50KDa以下のタンパク質の主成分が、膜タンパク質又はリボソームタンパク質であることが好ましく、さらにリポタンパク質及び/又は糖タンパク質を含んでもよい。
別の実施形態において、50KDa以下のタンパク質の主成分が、30kDa以上50kDa以下のタンパク質、又は30KDa未満のタンパク質であることが好ましく、該30KDa未満のタンパク質がリボソームタンパク質であってもよい。また、複合成形体の全質量に対し、30KDa未満のタンパク質が10.6質量%超であることが好ましい。
さらなる実施形態において、50KDa以下のタンパク質が、宿主細胞残渣に含まれるタンパク質であり、宿主細胞は、組換えタンパク質を発現する組換え細胞であり、宿主細胞残渣は上記組換えタンパク質を上記宿主細胞から回収した後の細胞残渣であることが好ましく、上記宿主細胞残渣が上述の本実施形態の宿主細胞残渣であることが好ましい。複合成形体は、宿主細胞残渣を、成形体の総質量に対し、5質量%以上、好ましくは10質量%以上、40質量%以上、50質量%以上、60質量%以上、70質量%以上、80質量%以上、90質量%以上、95質量%以上、又は100質量%未満含む。
機能付加材とは、複合成形体に機能を付加するための材料であり、上記機能は例えば、強度(特に曲げ強度)を付加するための強度付加剤、保水性・吸水性を付加するための吸水剤、消臭効果を付加するための消臭剤などが挙げられる。機能付加材として具体的に、例えば木屑等のセルロースであってよく、木炭、活性炭、多孔質体などであってよく、多孔質体としては、シリカ、セラミックス(廃材)、炭酸カルシウム(貝殻)、ポーラスコンクリートなどの無機系多孔質体であってよい。機能付加材が強度付加材であることが好ましく、該強度付加剤の耐熱温度が100℃以上であればよく、例えば110℃以上、120℃以上、130℃以上であることが好ましい。機能付加材が、上記複合成形体の全質量対し、5質量%以上、好ましくは10質量%以上、40質量%以上、50質量%以上、60質量%以上、70質量%以上、80質量%以上、90質量%以上、95質量%以上、又は100質量%未満である。
さらなる別の実施形態の宿主細胞残渣を含む複合成形体は、複合成形体は少なくともその表面及び/又は内側に機能付加材を含み、宿主細胞は、組換えタンパク質を発現する組換え細胞であり、宿主細胞残渣は上記組換えタンパク質を上記宿主細胞から回収した後の細胞残渣であってもよい。
〔複合成形体の製造方法〕
一実施形態の、50kDa以下のタンパク質を含み、かつ、前記複合成形体は少なくともその表面及び/又は内側に機能付加材を含む複合成形体の製造方法では、
50KDa以下のタンパク質を含むタンパク質、及び機能付加材を準備する準備工程と、
上記50KDa以下のタンパク質及び上記機能付加材を成形し、少なくとも表面及び/又は内側に機能付加材を含む複合成形体にする成形工程と
を含む。ここで、機能付加材は上述のとおりであり、50kDa以下のタンパク質と機能付加材とが混在して、一体となって複合成形体を形成していることが好ましい。好ましくは、複合成形体の表面及び内側の両方に機能付加材を含む。
上記成形体工程が圧縮成形を含む工程であることが好ましく、上記圧縮成形の成形温度が100℃以上、110℃以上、120℃以上、130℃以上であってよく、また、200℃以下、170℃以下、150℃以下であってよく、例えば、110℃〜170℃、又は130℃〜150℃であることが好ましい。加圧の圧力(成形圧)は特に限定されず、10Pa〜100Paであればよく、例えば20Pa〜80Pa、又は30Pa〜50Paであってよい。
一実施形態において、上記50kDa以下のタンパク質は、宿主細胞残渣として準備し、上記宿主細胞は、組換えタンパク質を発現する組換え細胞であり、上記宿主細胞残渣は上記組換えタンパク質を上記宿主細胞から回収した後の細胞残渣であり、かつ、上記宿主細胞由来の50kDa以下のタンパク質を含むことが好ましい。上記宿主細胞残渣は、本実施形態の宿主細胞残渣であることが好ましい。
以下、実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明の技術思想を逸脱しない限り、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
<製造例1>
(1)目的構造タンパク質発現株の作製
ネフィラ・クラビペス(Nephila clavipes)由来のフィブロイン(GenBankアクセッション番号:P46804.1、GI:1174415)の塩基配列及びアミノ酸配列をGenBankのウェブデータベースより取得した後、生産性の向上を目的としてアミノ酸残基の置換、挿入及び欠失を施し、さらにN末端に配列番号2で示されるアミノ酸配列(タグ配列及びヒンジ配列)を付加して、配列番号1で示されるアミノ酸配列を有する組換えフィブロイン(以下、「PRT799」ともいう。)を設計した。
次に、PRT799をコードする遺伝子を合成委託した。その結果、遺伝子の5’末端直上流にNdeIサイト、及び3’末端直下流にEcoRIサイトを付加した遺伝子を得た。当該遺伝子をクローニングベクター(pUC118)にクローニングした後、NdeI及びEcoRIで制限酵素処理し、タンパク質発現ベクターpET−22b(+)に組み換えた。
(2)目的構造タンパク質の発現
上記で得られたPRT799をコードする遺伝子を含むpET22b(+)発現ベクターで、大腸菌BLR(DE3)を形質転換した。形質転換された大腸菌を、アンピシリンを含む2mLのLB培地で15時間培養後、同培養液を、表1に示すシード培養用培地100mLに、OD600が0.005となるように添加した。培養液の温度を30℃に保ち、OD600が5になるまでフラスコにて、さらに約15時間培養を行い、シード培養液を得た。
得られたシード培養液を、表2に示す生産培地500mLを添加したジャーファーメンターに、OD600が0.05となるように添加した。培養液の温度を37℃に保ち、pH6.9で一定になるように制御し、培養液中の溶存酸素濃度を溶存酸素飽和濃度の20%に維持するようにして培養した。なお、消泡剤として、アデカノールLG−295S((株)ADEKA製)を使用した。
生産培地中のグルコースが完全に消費された直後に、フィード液(グルコース455g/1L、酵母エキス120g/1L)を1mL/分の速度で添加した。培養液温度を37℃に保ち、pH6.9で一定に制御して培養した。また培養液中の溶存酸素濃度を、溶存酸素飽和濃度の20%に維持するようにし、20時間培養を行った。その後、1Mのイソプロピル−β−チオガラクトピラノシド(IPTG)水溶液を培養液に対して終濃度1mMになるよう添加し、目的のタンパク質を発現誘導させた。IPTG添加後20時間経過した時点で、培養液を遠心分離し、菌体を回収した。IPTG添加前とIPTG添加後の培養液から調製した菌体を用いてSDS−PAGEを行い、IPTG添加に依存した目的とするタンパク質サイズのバンドの出現により、目的とするタンパク質の発現を確認した。
(3)構造タンパク質の精製
IPTGを添加してから2時間後に回収した菌体を20mM Tris−HCl緩衝液(pH7.4)で洗浄した。洗浄後の菌体を約1mMのフェニルメチルスルホニルフルオリド(PMSF)を含む20mM Tris−HCl緩衝液(pH7.4)に懸濁させ、高圧ホモジナイザー(GEA Niro Soavi社)で細胞を破砕した。破砕した細胞を遠心分離し、沈殿物を得た。得られた沈殿物を、高純度になるまで20mM Tris−HCl緩衝液(pH7.4)で洗浄した。洗浄後の沈殿物を100mg/mLの濃度になるように8M グアニジン緩衝液(8Mグアニジン塩酸塩、10mMリン酸二水素ナトリウム、20mM NaCl、1mM Tris−HCl、pH7.0)で懸濁し、60℃で30分間、スターラーで撹拌し、溶解させた。溶解後、透析チューブ(三光純薬株式会社製のセルロースチューブ36/32)を用いて水で透析を行った。透析後に得られた白色の凝集タンパク質を遠心分離により回収し、凍結乾燥機で水分を除き、凍結乾燥粉末を回収した。
(4)目的構造タンパク質を発現した宿主細胞残渣の再精製
破砕細胞溶液の遠心上清から得られた宿主細胞残渣
上記の高圧ホモジナイザー(GEA Niro Saovi社製の「Panda Plus 2000」)で細胞を破砕し、目的タンパク質が沈殿するよう、遠心分離機(クボタ社製の「Model7000」)を用いて、室温で11,000g、10分遠心分離し、宿主細胞残渣を含む遠心上清を回収した。得られた遠心上清を80℃で2時間不活化処理し、宿主細胞残渣が固形分として沈殿した(図1)。固形分を、室温で11,000g、10分で遠心分離によって回収し、イオン交換水に再懸濁し、5N水酸化ナトリウムを用いてpHが7前後となるように中和し、室温で2時間スターラーで撹拌した。その後遠心分離し、固形分をイオン交換水に再懸濁し、3Mクエン酸を用いて、pH3.5に調整し、固形分中のタンパク質を凝集させ、遠心分離機を用いて、室温で11,000g、10分遠心分離し、凝集タンパク質を含む沈殿物を回収した。次にイオン交換水を用いて沈殿物を洗浄し、遠心分離し沈殿物を回収する洗浄工程を3回繰り返した後、凍結乾燥機で水分を除き、試験例1(PRT799)の宿主細胞残渣の凍結乾燥粉末を得た。
(5)宿主細胞残渣の定性及び定量分析
(a)タンパク質関連成分
得られた宿主細胞残渣の凍結乾燥粉末におけるタンパク質の濃度をBCA法にて測定した。なお、BCA法によるタンパク質の測定には、タカラバイオ社製のPierce(登録商標)BCA Protein Assay Kitを用いた。測定した結果、試験例1の宿主細胞残渣の凍結乾燥粉末が、約81.5±3.7質量%のタンパク質を含んでいた。
同時に、試験例1の宿主細胞残渣の凍結乾燥粉末に対してSDS−PAGE電気泳動を行った。Oriole染色によりタンパク質の存在を確認し、解析ソフ卜Image Lab(Bio−RAD Laboratories Inc.)を用いて画像解析することにより、メインバンドは約37kDaのタンパク質であることを確認した(図2)。文献によれば、宿主細胞残渣の主成分である約39kDaのタンパク質(測定条件によって37〜39kDaの間に変動し得る)は、分子量39kDaのOmpF(Outer Membrane Protein F)及び分子量38kDaのOmpC(Outer Membrane Protein C)の膜タンパク質であると推測される。
試験例1の宿主細胞残渣の凍結乾燥粉末に含まれるタンパク質の組成を確認するため、解析ソフ卜Image Labを用いて分子量の解析を行った。その結果を図3に示す。図3の上のグラフは宿主細胞残渣タンパク質Oriole染色のバンドの発光強度の結果を示し、下のグラフはSDS−PAGE電気泳動プロフィールのバンド相対位置を示すに示す。図3から、約39kDaのタンパク質(OmpF/OmpC)は、宿主細胞残渣における全タンパク質の約40質量%を占める一方で、目的構造タンパク質は宿主細胞残渣における全タンパク質の約0.4質量%であったことが確認された。
(b)脂質関連成分
得られた試験例1の宿主細胞残渣の凍結乾燥粉末500mgを秤量し、10mLバイアルに入れた。バイアルにマグネティックスターラーを挿入し、クロロホルム系溶媒6.5mLをガラスピペットで添加した。バイアルの蓋を締め、ヒートブロックで加熱回転させ、Oリング、サポートフィルター、PTFEフィルターの順に重ねクランプし漏斗を組み立て、ゴム管を挿入した100mL濾過瓶に差し込み、真空ポンプを接続し減圧濾過する。その後、バイアルをクロロホルム系溶媒0.5mLで共洗い後、減圧濾過し、濾液を新しい10mLバイアルへデカントした。濾過瓶の内壁を再度クロロホルム系溶媒0.5mLで共洗し、バイアルへデカントした。バイアルを局所排気装置内でヒートブロックにより加熱し濾液を揮発させ、残渣を得た。濾液が揮発したバイアルに石油エーテルを添加し、よく撹拌し、15mLチューブへデカントした。その後、遠心分離し、上清のエーテル層を新しいバイアルへデカントし、蓋を開放した状態で、ヒートブロックで加熱し、石油エーテルを完全に揮発させ、室温まで冷却させた後、得られた純化した脂質関連成分の重さを測定した。その結果、試験例1の宿主細胞残渣の凍結乾燥粉末が約17.7質量%の脂質を含んでいたことが確認された。そのうち、全脂質は11.3%を占め、残りは脂質関連タンパク質(主に、リボソームタンパク質)である。
(c)水分
得られた試験例1の宿主細胞残渣の凍結乾燥粉末1gを秤量し、加熱乾燥式水分計MX−50(エーアンドデイ株式会社)を用いて水分量を測定した。測定した結果、水分率が約3.8%であった。
上記測定した試験例1の宿主細胞残渣の凍結乾燥粉末の組成を表3にまとめた。
(6)宿主細胞残渣成形体(樹脂)の作製
上記で得られた試験例1の宿主細胞残渣の凍結乾燥粉末を0.7g秤量し、サンプルとした。サンプルを、厚みが均等になるように加圧成形機の金型の貫通孔内に導入した。使用された金型は、断面が35mm×15mmの長方形状の貫通孔を有する円柱形状の金型であった。サンプルを貫通孔内に導入した後、金型の加熱を開始するとともに、ハンドプレス機(商品名:NT−100 H−V09、NPaシステム株式会社製)を用いて、上側ピンと下側ピンを貫通孔内に挿入することでサンプルの加圧を行った。この際、サンプルの加圧条件が45kN(約31MPa)となるように制御した。サンプルの温度が130℃になった時点で加熱を中止し、スポットクーラー(商品名:TS−25EP−1、トラスコ中山株式会社製)で、アニール時間が5分で30℃まで冷却した。サンプルを取り出し、バリ取りを行い、35mm×15mm×1mmの直方体形状の宿主細胞残渣成形体を5個(実施例1〜5)得た(図4)。
(7)宿主細胞残渣成形体の吸水性評価
上記得られた実施例1〜5の宿主細胞残渣成形体を、恒温恒湿槽(espec社製、LHL−113)に30℃、93%の条件下で15日静置した。目視で観察した結果、1日目にはすでに表面にひび割れが観察された。実施例4の2日目の写真は図5に示す。図5から、形状がほぼ変わっていないものの、表面に複数の亀裂が発生した。また、15日間にわたる実施例1〜5の重量と厚みを測定し、測定結果は図6に示す。図6から1週間後重さと厚みは環境と動的平衡になったことが分かった。
(8)宿主細胞残渣成形体の生分解性評価
上記吸水性評価を行った後、実施例1〜5の宿主細胞残渣成形体を25mLのイオン交換水に浸漬し、1日目、7日目、14日目、29日目、及び64日目において、500μLずつサンプリングし、アンモニウムイオンとリン酸イオン濃度を測定した。測定結果は図7に示す。実施例1〜5の試験片は、生分解性を有し、かつ、経時的に環境に窒素とリン素を徐放していたことが分かった。本発明の成形体が肥料などの植物の栄養源として、利用可能性が示唆された。
(9)宿主細胞残渣成形体の曲げ強度試験
(6)と同じ作製方法で、断面が35mm×25mmの長方形、厚みが1.75mmの宿主細胞残渣成形体(実施例6及び実施例7)を作成した。サンプルの加圧条件が73kN(約50MPa)であり、加熱温度(成形温度)はそれぞれ130℃(実施例6)及び150℃(実施例7)であった。
実施例6及び7の宿主細胞残渣成形体を、オートグラフ(島津製作所株式会社製、AG−X)で籠治具を用いて、三点曲げ試験を行った。使用したロードセルは50kNであった。この際、三点曲げの支点間距離を27mmに固定し、測定速度を1mm/分とした。また、モールド成形体のサイズをマイクロノギスで測定し、治具に設置し測定を行った。曲げ弾性率は0.05〜0.25%までの変位(ひずみ)から求めた。その結果を図8に示す。実施例6の最大応力は24.01MPaであり、実施例7の最大応力は18.54MPaであった。
(10)宿主細胞残渣成形体の透光度
実施例6及び実施例7の宿主細胞残渣成形体の透光度は、強い光源(LEDプッシュライト DOP−905L(エルパ[ELPA]朝日電器株式会社製))で観察した(図9)。実施例6と実施例7とを比較すると、加熱温度が低い場合、透光度が高い。同時に、分光測色計CM−5(コニカミノルタ株式会社)を利用し、波長360nmから740nm(可視域)の反射率を測定した。測定を二回繰り返しし、それぞれ実施例6−1及び実施例6−2、実施例7−1及び実施例7−2として記録した。その結果を図10に示す。実施例6の宿主細胞残渣成形体は、可視域の中央部での反射はほぼないため、実施例7と比べて、実施例6の宿主細胞残渣成形体が光を通りやすい性質を有すると認められた。
(11)宿主細胞残渣成形体(糸)の作製
上記で得られた試験例1の宿主細胞残渣の凍結乾燥粉末を用いて、ドープ液(紡糸原液)を作成した。凍結乾燥粉末の濃度が20質量%(湿式紡糸)、24質量%(乾式紡糸)になるように、凍結乾燥粉末にギ酸を添加した。ローテーターで14時間溶解した後、ゴミと泡を取り除いた。これをドープ液(紡糸原液)とした。
公知の図11に示す紡糸装置を使用し、エアポンプでドープ液(ドープ液中のタンパク質濃度:20質量%)を、凝固液(メタノール)へ吐出させた。湿式紡糸条件は下記に示すとおりとした。これにより、宿主細胞残渣成形体として、宿主細胞残渣繊維(残渣繊維)を得た(図12)。
湿式紡糸条件
ドープ液温度:25℃
ホットローラー(HR)温度:60℃
延伸倍率:2(実施例8)、3倍(実施例9)
公知の図11に示す紡糸装置を使用し、エアポンプでドープ液(ドープ液中のタンパク質濃度:28質量%)を、空中に吐出させた(凝固液なし)。乾式紡糸条件は下記に示すとおりとした。これにより、宿主細胞残渣成形体として、実施例10の宿主細胞残渣繊維(残渣繊維)を得た(図13)。
乾式紡糸条件
ドープ液温度:25℃
ホットローラー(HR)温度:60℃
延伸倍率:1(実施例10)
<製造例2>
(1)目的タンパク質発現株の作製
ネフィラ・クラビペス(Nephila clavipes)由来のフィブロイン(GenBankアクセッション番号:P46804.1、GI:1174415)の塩基配列及びアミノ酸配列をGenBankのウェブデータベースより取得した後、生産性の向上を目的としてアミノ酸残基の置換、挿入及び欠失を施し、さらにN末端に配列番号2で示されるアミノ酸配列(タグ配列及びヒンジ配列)を付加して、配列番号1で示されるアミノ酸配列を有し、不溶性タンパク質である組換えフィブロイン(PRT799)を設計した。同様に、生産性の向上を目的としてアミノ酸残基の置換、挿入及び欠失を施し、さらにN末端に配列番号5で示されるアミノ酸配列(タグ配列)を付加して、配列番号3で示されるアミノ酸配列を有し、可溶性タンパク質である組換えインターフェロンγ(以下、「PRT662」ともいう。)、及び、生産性の向上を目的としてアミノ酸残基の置換、挿入及び欠失を施し、さらにN末端に配列番号2で示されるアミノ酸配列(タグ配列及びヒンジ配列)を付加して、配列番号4で示されるアミノ酸配列を有し、不溶性タンパク質である組換えフィブロイン(以下、「PRT643」ともいう。)を設計した。次に、PRT799、PRT662及びPRT643をコードする遺伝子をそれぞれ合成委託し、製造例1の(1)と同様にタンパク質発現ベクターpET−22b(+)に組み換えた。
(2)目的タンパク質の発現
上記で得られたPRT799、PRT662又はPRT643をコードする遺伝子を含むpET22b(+)発現ベクターで、大腸菌BLR(DE3)を形質転換した。製造例1の(2)と同様に培養し、シード培養液を得た。さらに、得られたそれぞれのシード培養液を製造例1の(2)と同様に維持培養し、さらに発現誘導し、目的とするタンパク質の発現を確認した。
(3)目的タンパク質の精製
IPTGを添加してから2時間後に回収した菌体を20mM Tris−HCl緩衝液(pH7.4)で洗浄した。洗浄後の菌体を約1mMのフェニルメチルスルホニルフルオリド(PMSF)を含む20mM Tris−HCl緩衝液(pH7.4)に懸濁させ、高圧ホモジナイザー(GEA Niro Soavi社)を用いて菌体を繰り返し破砕した。破砕した細胞を遠心分離機(クボタ社製の「Model7000」)で遠心分離(11,000g、10分、室温)し、沈殿物を得た。得られた沈殿物を、高純度になるまで20mM Tris−HCl緩衝液(pH7.4)、又は、界面活性剤である3w/v%SDSで洗浄した。洗浄後の沈殿物を100mg/mLの濃度になるように8M グアニジン緩衝液(8Mグアニジン塩酸塩、10mMリン酸二水素ナトリウム、20mM NaCl、1mM Tris−HCl、pH7.0)で懸濁し、60℃で30分間、スターラーで撹拌し、溶解させた。溶解後、透析チューブ(三光純薬株式会社製のセルロースチューブ36/32)を用いて水で透析を行った。透析後に得られた白色の凝集タンパク質を遠心分離により回収し、凍結乾燥機で水分を除き、凍結乾燥粉末を回収した。
(4)目的タンパク質を発現した宿主細胞残渣の抽出及び再精製
(a)洗浄廃液から得られた宿主細胞残渣
PRT643をコードする遺伝子で形質転換された大腸菌について、上記の破砕した細胞沈殿物(PRT643を含むの沈殿物)を洗浄する際、3%界面活性剤を用いた。洗浄した細胞を遠心分離機で遠心分離(11,000g、10分、室温)により、廃棄遠心上清を得た。この洗浄廃棄遠心上清を80℃で2時間不活化処理し、さらに同体積のクリンソルブP−7(日本アルコール販売(株))を加えて、一日放置し、タンパク質を含めた沈殿物を得た(図14)。その後遠心分離機を用いて、室温で11,000g、10分遠心分離し、凝集タンパク質を含む沈殿物を回収した。次にイオン交換水を用いて沈殿物を洗浄し、遠心分離し沈殿物を回収する洗浄工程を3回繰り返した後、凍結乾燥機で水分を除き、試験例2(PRT643)の宿主細胞残渣の凍結乾燥粉末を得た。
(b)細胞破砕液の遠心上清から得られた宿主細胞残渣
PRT662、PRT799に組み換えられた宿主細胞について、上記の高圧ホモジナイザー(GEA Niro Saovi社製の「Panda Plus 2000」)で細胞を破砕し、目的タンパク質が沈殿するよう、遠心分離機(クボタ社製の「Model7000」)を用いて、室温で11,000g、10分遠心分離し、宿主細胞残渣を含む遠心上清を回収した。得られた遠心上清を80℃で2時間不活化処理し、宿主細胞残渣が固形分として沈殿した(図1)。固形分を、室温で11,000g、10分で遠心分離によって回収し、イオン交換水に再懸濁し、5N水酸化ナトリウムを用いてpHが7前後となるように中和し、室温で2時間スターラーで撹拌した。その後遠心分離し、固形分をイオン交換水に再懸濁し、3Mクエン酸を用いて、pH3.5に調整し、固形分中のタンパク質を凝集させ、遠心分離機を用いて、室温で11,000g、10分遠心分離し、凝集タンパク質を含む沈殿物を回収した。次にイオン交換水を用いて沈殿物を洗浄し、遠心分離し沈殿物を回収する洗浄工程を3回繰り返した後、凍結乾燥機で水分を除き、試験例3(PRT662)の宿主細胞残渣の凍結乾燥粉末、及び試験例4(PRT799)の宿主細胞残渣の凍結乾燥粉末を得た。
(5)宿主細胞残渣の定性及び定量分析
得られた試験例2〜4の宿主細胞残渣の凍結乾燥粉末におけるタンパク質の濃度をBCA法にて測定した。なお、BCA法によるタンパク質の測定には、タカラバイオ社製のPierce(登録商標)BCA Protein Assay Kitを用いた。測定した結果、試験例2の宿主細胞残渣の凍結乾燥粉末は約61.5±1.5質量%のタンパク質、試験例3の宿主細胞残渣の凍結乾燥粉末は約57.2±5.0質量%のタンパク質を、試験例4の宿主細胞残渣の凍結乾燥粉末は約81.5±3.7質量%のタンパク質を含んでいた。
同時に、試験例2〜4の凍結乾燥粉末に対してSDS−PAGE電気泳動を行った。Oriole染色によりタンパク質の存在を確認し、解析ソフ卜Image Lab(Bio − RAD Laboratories Inc.)を用いて画像解析することにより、メインバンドは約39kDaのタンパク質であることを確認した(図15:試験例2、図16:試験例3、図17:試験例4)。文献(例えば、Meuskens, I.ら、A new strain collection for improved expression of outer membrane proteins. Frontiers in cellular and infection microbiology,7,464(2017))によれば、宿主細胞残渣の主成分である約39kDaのタンパク質は、分子量約39kDaのOmpF (Outer Membrane Protein F)及びOmpC(Outer Membrane Protein C)の膜タンパク質であると推測される。他の可能の膜タンパク質、例えばLamB(<49kDa)、OmpA(<35kDa)なども推測される。一方で、宿主細胞残渣の他の成分である、分子量約4〜30kDaのタンパク質は、宿主細胞のリボソームタンパク質であると推測される。
試験例2〜4の宿主細胞残渣に含まれるタンパク質の組成と分布を確認するため、解析ソフ卜Image Labを用いて分子量分布の解析を行った。その結果を図18に示す。図18の(a)は試験例2、(b)は試験例3、(c)は試験例4の宿主細胞残渣の分子量分布百分率と発光強度の結果を示す。図18から、試験例2の中、約39kDaのタンパク質(OmpF/OmpC)は、宿主細胞残渣における全タンパク質の約38質量%を占める一方で、分子量約4〜30kDaのタンパク質(リボソームタンパク質)は、宿主細胞残渣における全タンパク質の約56質量%であったこと、並びに、目的タンパク質は宿主細胞残渣における全タンパク質の2質量%以下であったことが確認された。試験例3の中、約39kDaのタンパク質(OmpF/OmpC)は、宿主細胞残渣における全タンパク質の約75質量%を占める一方で、分子量約4〜30kDaのタンパク質(リボソームタンパク質)は、宿主細胞残渣における全タンパク質の約19質量%であったこと、並びに、目的タンパク質は宿主細胞残渣における全タンパク質の1質量%以下であったことが確認された。試験例4の中、約39kDaのタンパク質(OmpF/OmpC)は、宿主細胞残渣における全タンパク質の約35質量%を占める一方で、分子量約4〜30kDaのタンパク質(リボソームタンパク質)は、宿主細胞残渣における全タンパク質の約57質量%であったこと、並びに、目的タンパク質は宿主細胞残渣における全タンパク質の1質量%以下であったことが確認された。
上記測定した試験例2〜4の宿主細胞残渣の凍結乾燥粉末の組成を表4にまとめた。
(6)宿主細胞残渣成形体の製造及び評価
(a)宿主細胞残渣成形体の製造方法
上記で得られた試験例2〜4の宿主細胞残渣の凍結乾燥粉末を0.7g秤量し、サンプルとした。サンプルを、厚みが均等になるように加圧成形機の金型の貫通孔内に導入した。使用された金型は、断面が35mm×15mmの長方形状の貫通孔を有する円柱形状の金型であった。サンプルを貫通孔内に導入した後、金型の加熱を開始するとともに、ハンドプレス機(商品名:NT−100 H−V09、NPaシステム株式会社製)を用いて、上側ピンと下側ピンを貫通孔内に挿入することでサンプルの加圧を行った。この際、サンプルの加圧条件が45kN(約31MPa)となるように制御した。サンプルの温度が図19に示す成形温度になった時点で加熱を中止し、スポットクーラー(商品名:TS−25EP−1、トラスコ中山株式会社製)で、アニール時間が5分で30℃まで冷却した。サンプルを取り出し、バリ取りを行い、35mm×15mm×1mmの直方体形状の実施例11−1、実施例12−1〜12−3、実施例13−1〜13−3の宿主細胞残渣成形体を得た(図19)。
(b)成形温度と樹脂化程度及び透光度との関係
上記得られた宿主細胞残渣成形体の写真、外見考察及び樹脂化程度の評価は図19に示す。なお、樹脂化程度の評価基準は以下のとおりである。
A:均一
B:小さい粉状の塊がある
C:大きい粉状の塊がある
D:大きい粉状の塊が複数ある
図19から、同じ加熱成形温度と外部圧力の実験条件で、実施例11−1の宿主細胞残渣成形体は照明の中央部での反射はほぼないため、実施例12−1と比べて、実施例11−1の宿主細胞残渣成形体が光を通りやすい性質を有すると認められた。実施例12−1、12−2と12−3を比較すると、成形温度が高い場合、樹脂化程度が向上する一方で、透光度が低下することが認められた。実施例12−1、12−2と12−3を比較すると、成形温度が低い場合、透光度が高いことが認められた。
試験例2の宿主細胞残渣の凍結乾燥粉末は不溶性の細胞遠心沈殿物の洗浄廃液から得られた宿主細胞残渣であり、一方で試験例4の宿主細胞残渣の凍結乾燥粉末は細胞破砕液の可溶性遠心上清から得られた宿主細胞残渣である。この二つ凍結乾燥粉末はタンパク質含有率、タンパク質以外の残留物質(脂質、糖類、塩基など)の含有率が異なり、これらの含有率の相違によって、完全樹脂化のための最低成形温度及び透光度の相違がもたらされたことが示唆された。本発明の宿主細胞残渣成形体の最低成形温度、すなわち130℃、公知文献(例えば、WO2017/047504)の一般的なタンパク質成形体の成形温度と比べて、低いことが分かった。宿主細胞残渣の凍結乾燥粉末の添加によると、タンパク質成形体の成形温度を下げられることが示唆された。
試験例3の宿主細胞残渣の凍結乾燥粉末は細胞破砕液の可溶性遠心上清から得られた宿主細胞残渣であるものの、同じ抽出・精製方法によって得られた試験例4の宿主細胞残渣に比べて、タンパク質の分子量分布及び組成が異なることが分かった。30kDa以下の分子量のタンパク質(例えばリボソームタンパク質)が少ない場合、宿主細胞残渣成形体の完全樹脂化のための最低成形温度もしくは外部圧力は高くなることが示唆された。一方で、目的タンパク質の分子量、疎水度なども宿主細胞残渣の組成に影響を与えることが示唆された。
(7)木屑残渣複合成形体の製造及び評価
(a)基材と宿主細胞残渣との混合割合及び成形温度の検討
基材の木屑は一般用ミキサー(岩谷産業ミルサー800DG IFM−800DG)を用いて、5mm×5mm×1cmのヒノキの工作材を破砕することによって準備した。準備した木屑と試験例4の宿主細胞残渣の凍結乾燥粉末とを、図20に示す混合割合にしたがって混ぜ合わせ、(6)の(a)の製造方法に従って、130℃又は150℃の成形温度で、比較例1−1及び比較例1−2の木屑基材圧縮成形体、並びに、実施例14−1、14−2、15−1及び15−2の木屑残渣複合成形体を作製した。得られた成形体の写真及び外見考察は図20に示す。
(b)基材と宿主細胞残渣との混合割合による曲げ強度に対する影響
上記(a)の製造方法にしたがって、外部加圧条件が73kN(約50MPa)、成形温度が130℃で、35mm×25mm×1.75mmの直方体形状の成形体を作製した。成形体における木屑/宿主細胞残渣の割合比率は、それぞれ100/0(比較例1−3)、80/20(実施例14−3)、50/50(実施例15−3)、0/100(実施例13−4)であった。
得られた成形体を、オートグラフ(島津製作所株式会社製、AG−X)で籠治具を用いて、三点曲げ試験を行った。使用したロードセルは50kNであった。この際、三点曲げの支点間距離を27mmに固定し、測定速度を1mm/分とした。また、モールド成形体のサイズをマイクロノギスで測定し、治具に設置し測定を行った。曲げ弾性率は0.05〜0.25%までの変位(ひずも)から求めた。その結果を図21に示す。実施例13−4の宿主細胞残渣成形体の曲げ強度は1単位として、実施例14−3の最大応力は1.43単位であり、実施例15−3の最大応力は1.66単位であった。比較例1−3の木屑基材圧縮成形体の最大応力は1.37単位であった。曲げ試験後の破壊程度及び表面の外観考察は図22に示す。
1…押出し装置、2…未延伸糸製造装置、3…湿熱延伸装置、4…乾燥装置、5…巻糸体、6…ドープ液、7…貯槽、8…ギアポンプ、9…口金、10…紡糸装置、11…凝固液、12…温水、13…供給ニップローラ、14…引き取りニップローラ、19…エアギャップ、20…凝固浴槽、21…延伸浴槽、36…宿主残渣繊維。

Claims (19)

  1. 宿主細胞残渣からなる宿主細胞残渣成形体であって、
    前記宿主細胞は、目的物質を産生する宿主細胞であり、
    前記宿主細胞残渣は前記目的物質を前記宿主細胞から回収した後の細胞残渣であり、かつ、前記宿主細胞由来の膜タンパク質を含む、
    宿主細胞残渣成形体。
  2. 宿主細胞残渣からなる宿主細胞残渣成形体であって、
    前記宿主細胞は、組換えタンパク質を発現する組換え細胞であり、
    前記宿主細胞残渣は前記組換えタンパク質を前記宿主細胞から回収した後の細胞残渣であり、かつ、前記宿主細胞由来の膜タンパク質を含む、
    宿主細胞残渣成形体。
  3. 前記宿主細胞残渣は、その乾燥物の総質量に対し、前記宿主細胞の膜タンパク質又はリボソームタンパク質を20質量%以上含む、請求項1又は2に記載の宿主細胞残渣成形体。
  4. 宿主細胞残渣からなる宿主細胞残渣成形体であって、
    前記宿主細胞は、目的物質を産生する宿主細胞であり、
    前記宿主細胞残渣は前記目的物質を前記宿主細胞から回収した後の細胞残渣であり、かつ、前記宿主細胞由来の30KDa以上50kDa以下のタンパク質を含む、
    宿主細胞残渣成形体。
  5. 前記宿主細胞残渣が、その乾燥物の総質量に対し、前記宿主細胞由来の30kDa以上50kDa以下のタンパク質を20質量%以上含む、請求項4に記載の宿主細胞残渣成形体。
  6. 前記宿主細胞残渣は、その乾燥物の総質量に対し、前記宿主細胞由来の30kDa未満のタンパク質を20質量%以上含む、請求項4又は5に記載の宿主細胞残渣成形体。
  7. 前記宿主細胞は、大腸菌、酵母、バチルス属微生物、コリネバクテリウム属微生物、糸状真菌、及び動物細胞からなる群より選択される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の宿主細胞残渣成形体。
  8. 樹脂、繊維又は糸である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の宿主細胞残渣成形体。
  9. 組換えタンパク質を発現する宿主細胞を破砕し、組換えタンパク質と宿主細胞残渣とを分離し、宿主細胞残渣を回収する工程と、
    前記回収された宿主細胞残渣を成形体に成形する工程と
    を含み、前記宿主細胞残渣は前記宿主細胞由来の膜タンパク質を含む、宿主細胞残渣成形体の製造方法。
  10. 組換えタンパク質を発現する宿主細胞を破砕し、沈殿画分として、前記組換えタンパク質と分離された宿主細胞残渣を回収し、前記沈殿画分を水溶液で洗浄し、洗浄上清として、宿主細胞残渣を回収する工程と、
    前記回収された宿主細胞残渣を成形体に成形する工程と
    を含み、前記宿主細胞残渣は前記宿主細胞由来の50kDa以下のタンパク質を含む、宿主細胞残渣成形体の製造方法。
  11. 膜タンパク質を含む、樹脂成形体。
  12. 30kDa以上50kDa以下のタンパク質を含む、樹脂成形体。
  13. 30KDa以上50kDa以下のタンパク質を含む複合成形体であって、前記複合成形体は少なくともその表面及び/又は内側に機能付加材を含む、複合成形体。
  14. 前記30KDa以上50KDa以下のタンパク質の主成分が、膜タンパク質である、請求項13に記載の複合成形体。
  15. 前記30KDa以上50KDa以下のタンパク質が、宿主細胞残渣に含まれるタンパク質であり、
    前記宿主細胞は、目的物質を産生する宿主細胞であり、
    前記宿主細胞残渣は前記目的物質を前記宿主細胞から回収した後の細胞残渣である、請求項13又は14に記載の複合成形体。
  16. 宿主細胞残渣を含む複合成形体であって、
    前記複合成形体は少なくともその表面及び/又は内側に機能付加材を含み、
    前記宿主細胞は、目的物質を産生する宿主細胞であり、
    前記宿主細胞残渣は前記目的物質を前記宿主細胞から回収した後の細胞残渣である、複合成形体。
  17. 樹脂成形体である、請求項13〜16のいずれか一項に記載の複合成形体。
  18. 30KDa以上50kDa以下のタンパク質を含む複合成形体であって、かつ、前記複合成形体は少なくともその表面及び/又は内側に機能付加材を含む複合成形体の製造方法であって、
    30KDa以上50KDa以下のタンパク質を含むタンパク質、及び機能付加材を準備する準備工程と、
    前記30KDa以上50KDa以下のタンパク質及び前記機能付加材を成形し、少なくとも表面及び/又は内側に機能付加材を含む複合成形体にする成形工程と
    を含む、製造方法。
  19. 前記成形工程が圧縮成形を含む工程である、請求項18に記載の製造方法。
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