JP2020123440A - リチウムイオン二次電池用正極活物質とその製造方法、およびリチウムイオン二次電池 - Google Patents

リチウムイオン二次電池用正極活物質とその製造方法、およびリチウムイオン二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】リチウムイオン二次電池の正極に用いられた場合、高出力化、高耐久性が可能となる正極活物質を提供する。【解決手段】リチウムナトリウムニッケルコバルト複合酸化物を含有する正極活物質であって、リチウムナトリウムニッケルコバルト複合酸化物は、層状の結晶構造を有し、一般式(1):LixNayNi1−a−bCoaMbO2(前記一般式(1)中、0.05≦a≦0.95、0≦b≦0.60、a+b<1、0.96≦x+y≦1.20、0<y≦0.1、元素Mは、Mn、W、Mo、V、Mg、Ca、Al、Ti、Cr、Zr、La及びTaから選択される少なくとも1種の元素)で表され、かつ、リチウムサイトである3aサイトにナトリウムを含む、リチウムイオン二次電池用正極活物質。【選択図】なし

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池用正極活物質とその製造方法、およびリチウムイオン二次電池に関する。
近年、スマートフォン、タブレット端末、デジタルカメラ、ノート型パソコンなどの携帯電子機器の普及に伴い、高いエネルギー密度を有する小型で軽量な非水系電解質二次電池の開発が強く望まれ、また、ハイブリッド自動車をはじめとする電気自動車用の電池として高出力の二次電池の開発も強く望まれている。
このような要求を満たす二次電池として、リチウムイオン二次電池がある。リチウムイオン二次電池は、負極、正極、非水系電解質などで構成され、負極および正極の活物質に、リチウムが脱離および挿入できる材料が用いられている。
リチウムイオン二次電池については、現在研究、開発が盛んに行われているところであるが、中でも、層状またはスピネル型の結晶構造を有するリチウム金属複合酸化物を正極活物質に用いたリチウムイオン二次電池は、4V級の高い電圧が得られるため、高いエネルギー密度を有する電池として実用化が進んでいる。
これまでに提案されている正極活物質としては、合成が比較的容易なリチウムコバルト複合酸化物(LiCoO)や、コバルトよりも安価なニッケルを用いたリチウムニッケル複合酸化物(LiNiO)、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(LiNi1/3Co1/3Mn1/3)などが挙げられる。
例えば、自動車用途における開発では、現状よりも高い耐久性を有し、かつ、高出力が得られる二次電池が要求されており、正極活物質においても、サイクル試験においてより高い放電容量維持率を有し、かつ、低い正極界面抵抗を有するリチウム金属複合酸化物が求められている。
例えば、特許文献1には、正極活物質としてリチウムイオン導電性部材により被覆されたリチウム遷移金属酸化物を含む、リチウムイオン二次電池が提案されている。また、特許文献1の実施例には、ナノ粒子複合化装置を用いて、ニッケルマンガン酸リチウム(LiNi0.5Mn1.5)にリチウムイオン伝導体であるLi1.3Al0.3Ti1.7(PO又はLiPOを被覆した正極活物質が開示されている。特許文献1によれば、このリチウムイオン二次電池において、寿命特性(サイクル特性、耐久性)が向上するとされている。
また、特許文献2には、リチウム金属複合酸化物の一次粒子の表面にリチウムとタングステンを含む化合物が形成された正極活物が提案されている。また、特許文献2には、Li1.03Ni0.82Co1.5Al0.03で表されるリチウム金属複合酸化物粉末を水洗する際にタングステン化合物を添加して混合する正極活物質粉末が提案されている。特許文献2によれば、二次電池において、正極抵抗が低減し、高出力が得られるとされている。
また、特許文献3には、リチウム金属複合酸化物からなる正極活物質の表面に、リチウムイオンが多方向に拡散可能な化合物の被覆層が形成された正極を有し、被覆層はリチウムイオンが多方向に拡散可能な化合物の非晶質を含む、非水系電解質二次電池用正極電極が提案され、被覆層は、タングステン酸リチウムから形成されることが記載される。特許文献3によれば、例えば、パルスレーザー堆積法(PLD法)を用いて、LiCoO上に、LiWOを成膜することで、正極/電解液界面でのリチウム拡散を向上させ、界面抵抗が低下し、アモルファス状態にすることでリチウムの拡散パスが有効的に働き、抵抗低減効果が促進し出力特性が向上するとされている。
また、特許文献4には、一般式:Li(Ni1−yCo1−z(0.98≦x≦1.10、0.05≦y≦0.4、0.01≦z≦0.2、M=Al、Zn、TiおよびMgの1種以上)で表され、リートベルト解析による結晶中LiサイトのLi席占有率が98.5%以上を有し、かつ、メタルサイトのメタル席占有率が95%以上、98%以下である、非水系電解質二次電池用正極活物質が提案されている。特許文献4によれば、この正極活物質は、高容量化と高出力化を同時に達成できるとされている。
特開2016−51566号公報 特開2016−167439号公報 特開2017−63015号公報 特開2008−218122号公報
しかしながら、特許文献1に記載される正極活物質における、出力特性改善については検討されていない。また、特許文献2には、より少量の水分量で正極活物質粉末とタングステン化合物を混合する手法については検討されていない。
また、リチウムイオン二次電池において、耐久性や出力特性のさらなる向上が要求され、正極活物質においても、より高い放電容量維持率や、正極界面抵抗のさらなる低減が求められている。
本発明は係る問題点に鑑み、二次電池に用いられた場合に高い放電容量維持率を有する正極活物質、又は、高い放電容量維持率を有し、かつ、低い正極界面抵抗を有する正極活物質を提供することを目的とする。また、本発明は、このような正極活物質を、工業規模の生産において容易に製造することができる方法を提供することを目的とする。
なお、上記特許文献のいずれも、リチウム金属複合酸化物において、リチウムサイトに他の金属元素が含まれる場合の放電容量維持率の向上や、正極界面抵抗の低減については、一切、記載も示唆もされていない。また、特許文献4には、Li席内に金属原子が欠陥として残留すると、残留した金属原子がLi層内でのLiの拡散を妨害し、抵抗となるため、電池とした際に出力低下を招くことが記載されている。
さらに、上記特許文献には、リチウムサイトに他の金属元素が含まれるリチウム金属複合酸化物に、イオン伝導性酸化物を被覆した場合の効果についても、何ら言及されていない。
本発明の第1の態様では、リチウムナトリウムニッケルコバルト複合酸化物を含有する正極活物質であって、リチウムナトリウムニッケルコバルト複合酸化物は、層状の結晶構造を有し、一般式(1):LiNaNi1−a−bCo(前記一般式(1)中、0.05≦a≦0.95、0≦b≦0.60、a+b<1、0.96≦x+y≦1.20、0<y≦0.1、元素Mは、Mn、W、Mo、V、Mg、Ca、Al、Ti、Cr、Zr、La及びTaから選択される少なくとも1種の元素)で表され、かつ、リチウムサイトである3aサイトにナトリウムを含む、リチウムイオン二次電池用正極活物質が提供される。
また、X線回折によるリートベルト解析から得られる3aサイトのナトリウムのサイト占有率が0%を超え10%以下であることが好ましい。また、リチウムナトリウムニッケルコバルト複合酸化物と、リチウムイオン伝導性酸化物とを含有し、リチウムイオン伝導性酸化物は、リチウムナトリウムニッケルコバルト複合酸化物の表面の少なくとも一部を被覆し、かつ、タングステンを含む化合物からなってもよい。また、リチウムイオン伝導性酸化物は、タングステンとリチウムを含む化合物からなることが好ましい。また、リチウムイオン伝導性酸化物は、LiWO、Li、LiWO、及び、7LiWO・4HOからなる群から選択される少なくとも一つを含むタングステン酸リチウムであることが好ましい。また、リチウムイオン伝導性酸化物に含まれるタングステンの量が、前記正極活物質に含まれるニッケル、コバルト、および、前記元素Mの原子数の合計に対して、0.1原子%以上1.0原子%以下であることが好ましい。
本発明の第2の態様では、リチウムナトリウムニッケルコバルト複合酸化物を含有する正極活物質の製造方法であって、ニッケルコバルト複合酸化物と、リチウム化合物と、ナトリウム化合物と、を混合してリチウム混合物を得る工程と、リチウム混合物を焼成して、リチウムナトリウムニッケルコバルト複合酸化物を得る工程と、を備え、ニッケルコバルト複合酸化物は、ニッケルとコバルトと、任意に元素Mとを含み、それぞれの金属元素の原子数比が、Ni:Co:M=(1−a−b):a:b(0.05≦a≦0.95、0≦b≦0.60、a+b<1、元素Mは、Mn、W、Mo、V、Mg、Ca、Al、Ti、Cr、Zr、La及びTaから選択される少なくとも1種の元素)で表され、リチウム混合物中のリチウムとナトリウムの合計量が、ニッケル、コバルト及び元素Mの合計量に対して、96原子%以上120原子%であり、かつ、ナトリウムの量が、ニッケル、コバルト及び元素Mの合計量に対して、0原子%を超え10原子%以下であり、リチウムナトリウムニッケルコバルト複合酸化物は、層状の結晶構造を有し、かつ、リチウムサイトである3aサイトにナトリウムを含む、リチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法が提供される。
また、焼成は、700℃以上850℃以下、5時間以上15時間以下で行うことが好ましい。また、リチウムナトリウムニッケルコバルト複合酸化物と、タングステンを含む化合物と、水溶液とを混合して、加熱処理する工程を備え、リチウムナトリウムニッケルコバルト複合酸化物の表面を、タングステンを含む化合物からなる導電性酸化物で被覆する、ことが好ましい。また、水溶液は、前記リチウムナトリウムニッケルコバルト複合酸化物に対して、2質量%以上10質量%以下で混合することが好ましい。また、加熱処理は、50℃以上200℃以下の範囲で1時間以上加熱することが好ましい。また、正極活物質に含まれるタングステンの量が、前記正極活物質に含まれるニッケル、コバルトおよび元素Mの原子数の合計に対して、0.1原子%以上1.0原子%以下であることが好ましい。また、タングステンを含む化合物は、LiWO、Li、LiWO、及び、7LiWO・4HOからなる群から選択される少なくとも一つを含むタングステン酸リチウムであることが好ましい。
本発明の第3の態様では、正極と負極と非水系電解質とを備え、を備え、正極は、上記リチウムイオン二次電池用正極活物質を含む、リチウムイオン二次電池が提供される。
本発明の正極活物質は、リチウムナトリウムニッケルコバルト複合酸化物を含む。これにより、二次電池に用いられた場合、高い放電容量維持率を有することができる。また、本発明の正極活物質の他の態様では、リチウムナトリウムニッケルコバルト複合酸化物の表面の少なくとも一部をリチウムイオン伝導性酸化物で被覆する。これにより、二次電池に用いられた場合、高い放電容量維持率し、かつ、低い正極界面抵抗を有することができる。また、本発明の正極活物質の製造方法は、これらの正極活物質を工業規模の生産において容易に製造することができる。
図1(A)は、本実施形態に係る正極活物質の一例を示した図であり、図1(B)は、本実施形態に係る正極活物質の他の例を示した図である。 図2は、本実施形態に係る正極活物質の製造方法の一例を示した図である。 図3は、本実施形態に係るタングステン被覆工程の一例を示した図である。 図4は、本実施形態に係るタングステン被覆工程の一例を示した図である。 図5は、電池特性の評価に使用したコイン型電池の概略断面図である。 図6は、インピーダンス評価に用いたナイキストプロット(上段)と等価回路(下段)の一例を示す図である。
以下、本実施形態について、まず、リチウムイオン二次電池用正極活物質について説明した後、その製造方法、および、該正極活物質を用いたリチウムイオン二次電池について説明する。
1.正極活物質
図1(A)及び図1(B)は、本実施形態に係るリチウムイオン二次電池用正極活物質(以下、「正極活物質」ともいう。)の一例を示した図である。図1(A)及び図1(B)に示すように、正極活物質1A、1Bは、層状の結晶構造を有するリチウムナトリウムニッケルコバルト複合酸化物10を含有する。
正極活物質1A、1Bは、リチウムナトリウムニッケルコバルト複合酸化物10を含むことにより、二次電池に用いた場合、高い放電容量維持率を有し、耐久性を向上させることができる。また、正極活物質1A、1Bは、リチウムサイトのナトリウム含有量を調整することにより、二次電池における正極界面抵抗を低減し、高い出力特性を得ることができる。
図1(A)に示すように、正極活物質1Aは、リチウムナトリウムニッケルコバルト複合酸化物10から構成されてもよい。また、図1(B)に示すように、正極活物質1Bは、リチウムナトリウムニッケルコバルト複合酸化物10と、リチウムイオン伝導性酸化物20とを含んでもよい。リチウムイオン伝導性酸化物20は、タングステンを含む化合物からなり、リチウムナトリウムニッケルコバルト複合酸化物10の表面の少なくとも一部を被覆する。
正極活物質1Bは、リチウムナトリウムニッケルコバルト複合酸化物10の表面の少なくとも一部をリチウムイオン伝導性酸化物20が被覆することにより、正極界面抵抗を低減し、出力特性を向上させるだけでなく、充放電サイクルに伴う容量維持率の低下を抑えることができる。以下、正極活物質1A、1Bを構成する各成分について説明する。
(1)リチウムナトリウムニッケルコバルト複合酸化物
正極活物質1A、1Bは、層状(層状岩塩型)の結晶構造を有するリチウムナトリウムニッケルコバルト複合酸化物10を含有する。リチウムナトリウムニッケルコバルト複合酸化物10は、一般式(1):LiNaNi1−a−bCo(一般式(1)中、0.05≦a≦0.95、0≦b≦0.60、a+b<1、0.96≦x+y≦1.20、0<y≦0.1、元素Mは、Mn、W、Mo、V、Mg、Ca、Al、Ti、Cr、Zr、La及びTaから選択される少なくとも1種の元素である。)で表される。また、リチウムナトリウムニッケルコバルト複合酸化物10は、リチウムサイトにナトリウムを含有する。
通常、正極活物質中にリチウムや遷移金属元素とイオン半径が近い異種元素を固溶させることは、カチオンミキシングが生じ、電池特性の劣化を招きやすい。一方、本実施形態に係る正極活物質1A、1Bでは、リチウムナトリウムニッケルコバルト複合酸化物10を含むことにより、二次電池に用いられた場合、放電容量維持率を向上させ、高い耐久性を有することができる。このメカニズムの詳細は不明であるが、リチウムやニッケルよりもイオン半径の大きいナトリウムが、層状型酸化物のリチウム(3a)サイトに含有されることにより、リチウム拡散経路が広がるだけでなく、遷移金属の混入に伴うカチオンミキシングが抑制されるためと考えられる。
また、リチウムナトリウムニッケルコバルト複合酸化物10では、後述するように、リチウムサイトのナトリウムのサイト占有率を調整することにより、二次電池における正極界面抵抗をより低減して、高い出力特性を有することができる。
以下、リチウムナトリウムニッケルコバルト複合酸化物10の組成について説明する。リチウムナトリウムニッケルコバルト複合酸化物10は、一般式(1):LiNaNi1−a−bCo(一般式(1)中、0.05≦a≦0.95、0≦b≦0.60、a+b<1、0.96≦x+y≦1.20、0<y≦0.1、元素Mは、Mn、W、Mo、V、Mg、Ca、Al、Ti、Cr、Zr、La及びTaから選択される少なくとも1種の元素である。)で表される。
[(Li+Na)/T)]
上記一般式(1)中、リチウムの量を示すxと、ナトリウムの量を示すyとの合計(x+y)は、リチウムナトリウムニッケルコバルト複合酸化物10中のニッケル、コバルトおよび元素Mの原子数の和(T)に対する、リチウムおよびナトリウム(Li+Na)の原子数比[(Li+Na)/T)]を示す。また、[(Li+Na)/T)]は、0.96以上1.20以下である。
(Li+Na)/Tが0.96未満である場合、正極活物質1A、1Bを用いたリチウムイオン二次電池における正極の反応抵抗(界面抵抗)が大きくなることにより、二次電池の出力が低くなる。また、(Li+Na)/Tが1.20を超える場合、正極活物質の放電容量が低下するとともに、正極の反応抵抗も増加してしまう。また、より大きな放電容量を得るという観点から、(Li+Na)/Tは、1.10以下とすることが好ましい。また、上記一般式(1)中、リチウムの量を示すxは、1を超えてもよい。
[ナトリウム]
上記一般式(1)中、ナトリウム(Na)の量を示すyは、0<y≦0.1であり、好ましくは0.001≦y≦0.1であり、より好ましくは0.002≦y≦0.05である。
また、ナトリウムは、リチウムサイト(3aサイト)に含まれる。リチウムサイトにおけるナトリウムのサイト占有率は、好ましくは0%を超え10%以下であり、より好ましくは0.1%以上10%以下であり、さらに好ましくは0.1%以上5%以下であってもよい。ナトリウムの量が上記範囲である場合、放電容量維持率を向上させ、かつ、正極界面抵抗を低減することができる。
[ニッケル]
上記一般式(1)中、ニッケル(Ni)の量を示す(1−a−b)は、0<(1−a−b)≦0.95である。ニッケルの量は、要求される電池特性に応じて、適宜、調整することができる。(1−a−b)は、例えば、高い電池容量の観点から、0.5以上であってもよく、0.6以上であってもよい。
[コバルト]
上記一般式(1)中、コバルト(Co)の量を示すaは、0.05≦a≦0.95である。aが0.05以上である場合、サイクル特性や熱安定性に優れる。また、電池容量を向上させる観点から、xは0.5以下であってもよい。
[元素M]
元素Mは、Mn、W、Mo、V、Mg、Ca、Al、Ti、Cr、Zr、La及びTaから選択される少なくとも1種の元素である。上記一般式(1)中、元素Mの量を示すbは、0≦b≦0.60である。元素Mを含む場合(bが0を超える場合)、出力特性、熱安定性などの電池特性を向上させることができる。一方、bが0.60を超える場合、Redox反応に貢献するNiが減少するため、電池容量が低下する。例えば、元素MがAlを含んでもよい。上記一般式(1)において、元素Mに含まれるAlの含有量をb1とする場合、好ましくは0.01≦b1≦0.1である。
なお、リチウムナトリウムニッケルコバルト複合酸化物は、上述した金属元素(Li、Na、Ni、Co、元素M)及び酸素以外の元素を、本発明の効果を阻害しない範囲で少量含んでもよい。また、リチウムナトリウムニッケルコバルト複合酸化物としては、複数の一次粒子が凝集して構成された二次粒子を含むことが好ましい。このような二次粒子を含むことにより、二次電池において電解液との接触面積を多くすることができ、出力特性の向上に有利である。また、リチウムナトリウムニッケルコバルト複合酸化物は二次粒子以外に、単独の一次粒子を少量含んでもよい。また、正極活物質1A、1Bは、上記のリチウムナトリウムニッケルコバルト複合酸化物及びリチウムイオン伝導性酸化物以外の他の化合物を含んでもよい。
(2)リチウムイオン伝導性酸化物
リチウムイオン伝導性酸化物20は、リチウムナトリウムニッケルコバルト複合酸化物10の表面の少なくとも一部を被覆する。
通常、正極活物質の表面が異種化合物により完全に被覆されてしまうと、リチウムイオンの移動(インターカレーション)が大きく制限されるため、結果的に正極活物質の持つ高容量という長所が損なわれてしまう。一方、リチウムイオン伝導率が高い化合物はリチウムイオンの移動を促す効果があるため、正極活物質の表面を、高いリチウムイオン伝導性を有する物質で被覆することにより正極活物質の表面におけるインターカレーションの促進が可能である。
リチウムイオン伝導性酸化物20は、タングステンとリチウムを含む化合物からなり、より好ましくはタングステン酸リチウムである。タングステン酸リチウムは、上記リチウムイオン伝導体としての性質を有するため、正極活物質1Bの界面でのリチウム挿入脱離が促進され、二次電池の出力特性が大幅に向上する。
また、タングステン酸リチウムとしては、LiWO、Li、LiWO、及び、7LiWO・4HOからなる群から選択される少なくとも一つを含むことが好ましい。
また、リチウムイオン伝導性酸化物20に含まれるタングステンの量が、正極活物質1Bに含まれるニッケル、コバルト、および、元素Mの原子数の合計に対して、0.1原子%以上1.0原子%以下であることが好ましく、0.1原子%以上0.5原子%以下であることがより好ましい。タングステンの量が上記範囲である場合、高い出力特性と耐久性を両立することができる。
一方、タングステン量が0.1原子%未満である場合、出力特性の改善効果が十分に得られない場合があり、タングステン量が1.0原子%を超える場合、タングステン酸リチウムが多くなり過ぎて正極活物質1Bと電解液とのLi伝導が阻害され、電池性能が低下することがある。
また、リチウムイオン伝導性酸化物20は、リチウムナトリウムニッケルコバルト複合酸化物10の表面を均一に被覆することが好ましい。リチウムナトリウムニッケルコバルト複合酸化物10の表面をリチウムイオン伝導性酸化物20で不均一に被覆した場合、リチウム金属複合酸化物の粒子間でリチウムイオンの移動が不均一となるため、特定の正極活物質の粒子に負荷がかかり、サイクル特性の悪化や反応抵抗の上昇を招く恐れがある。後述する正極活物質の製造方法を用いることにより、容易に、リチウムナトリウムニッケルコバルト複合酸化物10の表面をリチウムイオン伝導性酸化物20で均一に被覆することができる。
[比表面積]
正極活物質1A、1Bは、比表面積が0.3m/g以上2m/g以下であることが好ましい。比表面積を上記範囲とすることにより、電解液との接触を高めて出力特性や電池容量をより良好なものとするとともに熱安定性安も確保することができる。一方、比表面積が0.3m/g未満である場合、電解液との接触が十分に得られず、出力特性や電池容量が低下することがある。また、比表面積が2m/gを超える場合、電解液の分解が促進され熱安定性が低下するがある。
2.正極活物質の製造方法
本実施形態に係る正極活物質の製造方法は、図2に示すように、ニッケルコバルト複合酸化物と、リチウム化合物と、ナトリウム化合物と、を混合してリチウム混合物を得る、混合工程(S10)と、リチウム混合物を焼成して、リチウムナトリウムニッケルコバルト複合酸化物10を得る、焼成工程(S20)と、を備える。
これらの工程(S10、S20)により、リチウムナトリウムニッケルコバルト複合酸化物10を含む正極活物質1Aを容易に得ることができる。
また、本実施形態に係る正極活物質の製造方法は、図3に示すように、さらに、リチウムナトリウムニッケルコバルト複合酸化物10と、タングステンを含む化合物と、水溶液とを混合して、加熱処理する、タングステン被覆工程(S30)とを備えてもよい。
この工程(S30)により、リチウムナトリウムニッケルコバルト複合酸化物10の表面を、リチウムイオン伝導性酸化物20で被覆した上記の正極活物質1Bを容易に得ることができる。以下、各工程について、説明する。
[混合工程(S10)]
混合工程(S10)は、ニッケルコバルト複合酸化物と、リチウム化合物と、ナトリウム化合物と、を混合してリチウム混合物を得る工程である。
(ニッケルコバルト複合酸化物)
ニッケルコバルト複合酸化物は、ニッケルとコバルトと、任意に元素Mとを含み、それぞれの金属元素の原子数比が、Ni:Co:M=(1−a−b):a:b(0.05≦a≦0.95、0≦b≦0.60、a+b<1、元素Mは、Mn、W、Mo、V、Mg、Ca、Al、Ti、Cr、Zr、La及びTaから選択される少なくとも1種の元素)で表される。
ニッケルコバルト複合酸化物は、公知の製造方法で得ることができ、例えば、晶析により得られたニッケルコバルト複合水酸化物を熱処理して得てもよい。この際の熱処理の温度は、例えば、105℃以上700℃以下である。
(リチウム化合物)
リチウム化合物としては、特に限定されず、リチウムを含む公知の化合物を用いることができ、例えば、炭酸リチウム、水酸化リチウム、硝酸リチウムなどが挙げられる。これらの中でも、残留不純物の影響が少なく、焼成温度で溶解するという観点から、炭酸リチウム、及び、水酸化リチウムの少なくとも一方が好ましい。
(ナトリウム化合物)
ナトリウム化合物としては、ナトリウムを含む化合物を用いることができ、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、過炭酸ナトリウム、フッ化ナトリウム、酸化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、水酸化ナトリウム、硫酸ナトリウムなどが挙げられる。
リチウム混合物中のリチウムとナトリウムの合計量は、ニッケル、コバルト及び元素Mの合計量に対して、96原子%以上120原子%であり、好ましくは100原子%以上原子115%以下である。
また、リチウム混合物中のナトリウムの合計量は、ニッケル、コバルト及び元素Mの合計量に対して、0原子%を超え10原子%以下であり、好ましくは0.1原子%を超え10原子%以下であり、より好ましくは0.1原子%以上5原子%以下である。
ニッケルコバルト複合酸化物と、リチウム化合物と、ナトリウム化合物との混合方法は、特に限定されず、ニッケルコバルト複合酸化物等の形骸が破壊されない程度で、これらの化合物が十分に混合されればよい。混合方法としては、例えば、一般的な混合機を使用して混合することができ、例えばシェーカーミキサーやレーディゲミキサー、ジュリアミキサー、Vブレンダーなどを用いて混合することができる。
[焼成工程(S20)]
焼成工程(S20)は、上記リチウム混合物を、焼成する工程である。リチウム混合物を焼成すると、ニッケルコバルト複合酸化物にリチウム化合物中のリチウム、及び、ナトリウム化合物中のナトリウムが拡散し、層状構造を有するリチウムナトリウムニッケルコバルト複合酸化物を得ることができる。焼成条件は、リチウムナトリウムニッケルコバルト複合酸化物の組成により適宜、調整できる。以下、焼成条件の一例について説明する。
焼成温度は、好ましくは700℃以上900℃以下である。上記温度で焼成する場合、リチウム化合物、及び、ナトリウム化合物の溶融が生じ、ニッケルコバルト複合酸化物へのリチウム及びナトリウムの浸透と拡散が促進される。
焼成時間は、好ましくは5時間以上16時間以下である。焼成時間が十分でない場合、リチウムナトリウムニッケルコバルト複合酸化物の生成が十分に行われないことがある。
[タングステン被覆工程(S30)]
タングステン被覆工程(S30)は、リチウムナトリウムニッケルコバルト複合酸化物10と、タングステンを含む化合物と、水溶液とを混合する工程(S31)と、加熱処理する工程(S32)とを備える。
タングステンを含む化合物は、混合工程(S31)、及び、加熱処理工程(S32)により、リチウムナトリウムニッケルコバルト複合酸化物10の表面に存在するリチウム化合物と反応して、タングステン及びリチウムを含む化合物からなるリチウムイオン伝導性酸化物20を形成する。
[混合工程(S31)]
混合工程(S31)は、図4に示すように、リチウムナトリウムニッケルコバルト複合酸化物10と、タングステンを含む化合物とを撹拌(混合)しながら、さらに、水溶液を噴霧して混合することが好ましい。
リチウムナトリウムニッケルコバルト複合酸化物10とタングステンを含む化合物のみを撹拌した状態では、リチウムナトリウムニッケルコバルト複合酸化物10の表面に存在するリチウム化合物と、タングステンを含む化合物との反応が進行しにくいため、水溶液を噴霧しながら撹拌する。これにより、リチウムイオン伝導性酸化物20を、リチウムナトリウムニッケルコバルト複合酸化物10の表面により均一に被覆させることができる。
(タングステンを含む混合物)
タングステンを含む化合物は、リチウムナトリウムニッケルコバルト複合酸化物10の表面に存在するリチウム化合物と反応して、タングステンとリチウムとを形成できる化合物であればよい。タングステンを含む化合物としては、例えば、酸化タングステン、タングステン酸、パラタングステン酸アンモニウム、タングステン酸ナトリウムなどが挙げられ、中でも、酸化タングステン(WO)またはタングステン酸(WO・HO)が好ましく、酸化タングステンがより好ましい。
タングステンを含む化合物は、得られる正極活物質に含まれるタングステンの量が、正極活物質に含まれるニッケル、コバルトおよび元素Mの原子数の合計に対して、0.1原子%以上1.0原子%以下、好ましくは0.1原子%以上0.5原子%以下となる量で混合することができる。
(水、水溶液)
水又は水溶液としては、タングステンを含む化合物を溶解し、リチウムナトリウムニッケルコバルト複合酸化物10の表面に存在するリチウム化合物と反応させることができる水溶液であればよい。水溶液としては、例えば、水、アンモニア水、苛性Na水溶液などが挙げられる。
水溶液の混合量(噴霧量)は、リチウムナトリウムニッケルコバルト複合酸化物10に対して、好ましくは2質量%以上10質量%以下である。
(リチウム化合物)
また、混合工程(S32)では、さらに、リチウムイオン伝導性酸化物20を形成するリチウム源として、リチウム化合物を添加してもよい。リチウム化合物を添加することにより、リチウムイオン伝導性の高いLiWOからなるリチウムイオン伝導性酸化物20を容易に形成することができる。リチウム化合物としては、炭酸リチウム、水酸化リチウムなどを用いることができる。
撹拌(混合)には、一般的な攪拌機を使用することができ、例えば、ヘンシェルミキサーやドラムミキサーなどを用いることができる。混合・撹拌は、リチウムナトリウムニッケルコバルト複合酸化物10の形骸が破壊されない程度で、タングステンを含む化合物を十分に撹拌(混合)すればよい。
[加熱処理工程(S32)]
加熱処理工程(S32)は、混合工程(S31)で得られた混合物を、加熱処理する工程である。加熱処理は、50℃以上200℃の範囲で1時間以上加熱処理を行うことが好ましく、100℃以上200℃以下の温度で1時間以上行うことがより好ましい。
加熱処理工程(S32)を行うことにより、タングステンを含む化合物と、リチウムナトリウムニッケルコバルト複合酸化物10の表面に存在するリチウム化合物とが十分に反応してタングステン及びリチウムを含む化合物を形成することができる。
形成されるタングステン及びリチウムを含む化合物としては、タングステン酸リチウムであることが好ましく、LiWO、Li、LiWO、及び、7LiWO・4HOからなる群から選択される少なくとも一つを含むことがより好ましい。これらのタングステン酸リチウムで、リチウムナトリウムニッケルコバルト複合酸化物10の表面を被覆した場合、二次電池において正極界面抵抗を低減し、出力特性を向上させることができる。
なお、タングステン及びリチウムを含む化合物を被覆することにより得られる効果は、本実施形態に係るリチウムコバルトアルミニウム複合酸化物だけでなく、一般的に使用されるリチウム二次電池用正極活物質にも適用できる。
3.リチウムイオン二次電池
本実施形態に係るリチウムイオン二次電池(以下、「二次電池」ともいう。)は、上述した正極活物質を含む正極と、負極と、非水系電解質とを備える。二次電池は、例えば、正極、負極、及び非水系電解液を備える。また、二次電池は、例えば、正極、負極、及び固体電解質を備えてもよい。また、二次電池は、リチウムイオンの脱離及び挿入により、充放電を行う二次電池であればよく、例えば、非水系電解液二次電池であってもよく、全固体リチウム二次電池であってもよい。なお、以下に説明する実施形態は例示にすぎず、本実施形態に係る二次電池は、本明細書に記載されている実施形態を基づいて、種々の変更、改良を施した形態に適用してもよい。
[構成部材]
(正極)
まず、上記の正極活物質、導電材および結着剤を混合し、さらに必要に応じて活性炭や、粘度調整などの目的の溶剤を添加し、これを混練して正極合材ペーストを作製する。その際、目的とする二次電池の性能に応じて、正極合材ペースト中のそれぞれの混合比は、適宜、調整することができる。例えば、溶剤を除いた正極合材の固形分を100質量部とした場合、正極活物質の含有量を60質量部以上95質量部以下、導電材の含有量を1質量部以上20質量部以下とし、結着剤の含有量を1質量部以上20質量部以下としてもよい。
導電材としては、例えば、黒鉛(天然黒鉛、人造黒鉛および膨張黒鉛など)や、アセチレンブラックやケッチェンブラックなどのカーボンブラック系材料を用いることができる。
結着剤は、活物質粒子をつなぎ止める役割を果たすもので、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ素ゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、スチレンブタジエン、セルロース系樹脂およびポリアクリル酸を用いることができる。
必要に応じ、正極活物質、導電材および活性炭を分散させ、結着剤を溶解する溶剤を正極合材に添加してもよい。溶剤としては、具体的には、N−メチル−2−ピロリドンなどの有機溶剤を用いることができる。また、正極合材には、電気二重層容量を増加させるために、活性炭を添加してもよい。
得られた正極合材ペーストを、例えば、アルミニウム箔製の集電体の表面に塗布し、乾燥して、溶剤を飛散させる。必要に応じ、電極密度を高めるべく、ロールプレスなどにより加圧することもある。このようにして、シート状の正極を作製することができる。シート状の正極は、目的とする電池に応じて適当な大きさに裁断などをして、電池の作製に供することができる。なお、正極の作製方法は、上記の方法に限られることなく、他の方法によってもよい。
(負極)
負極として、金属リチウムやリチウム合金などを用いてもよい。また、負極として、リチウムイオンを吸蔵および脱離できる負極活物質に、結着剤を混合し、適当な溶剤を加えてペースト状にした負極合材を、銅などの金属箔集電体の表面に塗布し、乾燥し、必要に応じて電極密度を高めるべく圧縮して形成したものを用いてもよい。
負極活物質としては、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛およびフェノール樹脂などの有機化合物焼成体、およびコークスなどの炭素物質の粉状体を用いることができる。この場合、負極結着剤としては、正極同様、PVDFなどの含フッ素樹脂を用いることができ、これらの活物質および結着剤を分散させる溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドンなどの有機溶剤を用いることができる。
(セパレータ)
正極と負極との間には、必要に応じてセパレータを挟み込んで配置する。セパレータは、正極と負極とを分離し、電解質を保持するものであり、ポリエチレンやポリプロピレンなどの薄い膜で、微少な孔を多数有する膜を用いることができる。
(非水系電解質)
非水系電解質としては、非水系電解液を用いることができる。非水系電解液は、例えば、支持塩としてのリチウム塩を有機溶媒に溶解したものを用いてもよい。また、非水系電解液として、イオン液体にリチウム塩が溶解したものを用いてもよい。なお、イオン液体とは、リチウムイオン以外のカチオンおよびアニオンから構成され、常温でも液体状を示す塩をいう。
有機溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネートおよびトリフルオロプロピレンカーボネートなどの環状カーボネート、また、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネートおよびジプロピルカーボネートなどの鎖状カーボネート、さらに、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフランおよびジメトキシエタンなどのエーテル化合物、エチルメチルスルホンやブタンスルトンなどの硫黄化合物、リン酸トリエチルやリン酸トリオクチルなどのリン化合物などから選ばれる1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いることができる。
支持塩としては、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiN(CFSO、およびそれらの複合塩などを用いることができる。さらに、非水系電解液は、ラジカル捕捉剤、界面活性剤および難燃剤などを含んでいてもよい。
また、非水系電解質としては、固体電解質を用いてもよい。固体電解質は、高電圧に耐えうる性質を有する。固体電解質としては、無機固体電解質、有機固体電解質が挙げられる。
無機固体電解質として、酸化物系固体電解質、硫化物系固体電解質等が挙げられる。
酸化物系固体電解質としては、特に限定されず、酸素(O)を含有し、かつ、リチウムイオン伝導性と電子絶縁性とを有するものであれば用いることができる。酸化物系固体電解質としては、例えば、リン酸リチウム(LiPO)、LiPO、LiBO、LiNbO、LiTaO、LiSiO、LiSiO−LiPO、LiSiO−LiVO、LiO−B−P、LiO−SiO、LiO−B−ZnO、Li1+XAlTi2−X(PO(0≦X≦1)、Li1+XAlGe2−X(PO(0≦X≦1)、LiTi(PO、Li3XLa2/3−XTiO(0≦X≦2/3)、LiLaTa12、LiLaZr12、LiBaLaTa12、Li3.6Si0.60.4等が挙げられる。
硫化物系固体電解質としては、特に限定されず、硫黄(S)を含有し、かつ、リチウムイオン伝導性と電子絶縁性とを有するものであれば用いることができる。硫化物系固体電解質としては、例えば、LiS−P、LiS−SiS、LiI−LiS−SiS、LiI−LiS−P、LiI−LiS−B、LiPO−LiS−SiS、LiPO−LiS−SiS、LiPO−LiS−SiS、LiI−LiS−P、LiI−LiPO−P等が挙げられる。
なお、無機固体電解質としては、上記以外のものを用いてよく、例えば、LiN、LiI、LiN−LiI−LiOH等を用いてもよい。
有機固体電解質としては、イオン伝導性を示す高分子化合物であれば、特に限定されず、例えば、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、これらの共重合体などを用いることができる。また、有機固体電解質は、支持塩(リチウム塩)を含んでいてもよい。なお、固体電解質を用いる場合は、電解質と正極活物質の接触を確保するため、正極材中にも固体電解質を混合させてもよい。
(電池の形状、構成)
二次電池の構成は、特に限定されず、上述したように正極、負極、セパレータ、非水系電解質などで構成されてもよく、正極、負極、固体電解質などで構成されもよい。また、二次電池の形状は、特に限定されず、円筒形や積層形など、種々の形状にすることができる。
例えば、二次電池が非水系電解液二次電池である場合、正極および負極を、セパレータを介して積層させて電極体とし、得られた電極体に、非水系電解液を含浸させ、正極集電体と外部に通ずる正極端子との間、および、負極集電体と外部に通ずる負極端子との間を、集電用リードなどを用いて接続し、電池ケースに密閉して、二次電池を完成させる。
(特性)
本実施形態に係るリチウムイオン二次電池は、正極活物質1A及び/又は正極活物質1Bを正極に含むことにより、高出力で高い耐久性を有することができる。好ましい形態で得られた正極活物質1A、1Bを、例えば、実施例で用いたような2032型コイン型電池の正極に用いた場合、低い正極界面抵抗(正極抵抗)と、サイクル試験後の高い放電容量維持率を得ることができる。
以下に、実施例及び比較例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例によってなんら限定されるものではない。なお、実施例及び比較例に用いた各評価方法は、以下の通りである。
(組成の分析)
誘導結合プラズマ(ICP)発光分析法による定量分析により測定した。また、ICP発光分光分析装置には、株式会社島津製作所製のICPE−9000を用いた。
(サイト占有率)
リチウムサイトのナトリウムのサイト占有率は、X線回折のリートベルト解析から求めた。また、X線回折装置(XRD)には、スペクトリス株式会社製のX‘PertPROを、リートベルト解析には、米国MDI社製のJADE−XRD解析ソフトウェアを用いた。
(正極活物質の比表面積)
窒素吸着によるBET法により測定した。また、比表面積測定装置には、株式会社マウンテック製のマックソーブ1200シリーズ(流動式窒素ガス吸着法)を用いた。
(二次電池の作製)
得られたリチウムイオン二次電池用正極活物質の電池特性の評価は、以下のように図5に示す評価用コイン型電池CBAを作製して行った。
得られた正極活物質52.5mg、アセチレンブラック15mg、およびポリテトラフッ化エチレン樹脂(PTFE)7.5mgを混合し、100MPaの圧力で直径11mm、厚み100μmにプレス成形して、正極(評価用電極)PEを作製した。
次に作製した正極PEを真空乾燥機中120℃で12時間乾燥した。乾燥した正極PEと、負極NE、セパレータSEおよび電解液とを用いて、図5に示すコイン型電池CBAを、露点が−60℃に管理されたAr雰囲気のグローブボックス内で作製した。
負極NEには、直径14mmの円盤状に打ち抜かれた平均粒径20μm程度の黒鉛粉末とポリフッ化ビニリデンが銅箔に塗布された負極シートを用い、電解液には、1MのLiPFを支持電解質とするエチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)の等量混合液(宇部興産株式会社製)を用いた。セパレータSEには、膜厚25μmのポリエチレン多孔膜を用いた。また、コイン型電池CBAは、ガスケットGAとウェーブワッシャーWWを有し、正極缶PCと負極缶NCとでコイン状の電池に組み立てられた。
(正極界面抵抗)
正極界面抵抗(正極抵抗)は、コイン型電池CBAを用いて、以下の方法で評価した。まず、コイン型電池CBAを充電電位4.0Vで充電して、周波数応答アナライザおよびポテンショガルバノスタット(ソーラトロン社製、1255B)を使用して交流インピーダンス法により測定して図6に示すインピーダンススペクトル(ナイキストプロット)を得た。得られたナイキストプロットには、高周波領域と中間周波領域とに2つの半円が観測され、低周波領域に直線が観察される。このナイキストプロットに基づき、図6に示す等価回路モデルを用いてフィッティング計算して、正極界面抵抗を算出した。なお、図6における、Rsはバルク抵抗、R1は正極被膜抵抗、Rctは電解液/正極界面抵抗(界面のLi+移動抵抗)、Wはワーブルグ成分、CPE1、CPE2は定相要素を示す。なお、表1、2中、正極界面抵抗は、比較例1を1(基準)とした場合の相対値を示す。
(放電容量維持率)
放電容量維持率は、コイン型電池CBAを用いて、充放電サイクル試験後の容量維持率により評価した。充放電サイクル試験は、60℃の環境下で3.0−4.2Vの電圧範囲で、充電と放電を100サイクル繰り返し行った。100サイクル目の放電容量を測定して、1サイクル目の放電容量(初期放電容量)に対する100サイクル目の放電容量の百分率を容量維持率(%)として求めた。
(実施例1)
公知の技術で得られたニッケルを主成分とする水酸化物を600℃で加熱して得られたニッケルコバルト酸化物と、リチウム化合物として水酸化リチウムと、ナトリウム化合物として炭酸ナトリウムと、を混合してリチウム混合物を得た。なお、炭酸ナトリウムは、リチウム混合物中、ナトリウムの量がニッケルコバルト酸化物に含まれるニッケル、コバルトおよびアルミニウムの原子数の合計に対して、1原子%となるように混合した。上記リチウム混合物を750℃で12時間焼成して、リチウムナトリウムニッケルコバルト複合酸化物を得て、正極活物質とした。
得られたリチウムナトリウムニッケルコバルト複合酸化物の組成は、Li1.04Na0.01Ni0.82Co0.15Al0.03であり、比表面積は、0.5m/gであった。正極活物質における、リチウムサイト(3aサイト)中のナトリウム含有量(ナトリウムのサイト占有率)は0.95%であった。また、得られた正極活物質を用いて電池特性を評価した。評価結果を表1、2に示す。
(実施例2)
得られたリチウムナトリウムニッケルコバルト複合酸化物がLi1.03Na0.02Ni0.82Co0.15Al0.03となるように、リチウム混合物中のリチウム化合物及びナトリウム化合物の混合量を調整したこと以外は、実施例1と同様にして、正極活物質を作製した。正極活物質におけるリチウムサイト中のナトリウム含有量は1.9%であった。また、得られた正極活物質を用いて電池特性を評価した。評価結果を表1に示す。
(実施例3)
得られたリチウムナトリウムニッケルコバルト複合酸化物がLi1.00Na0.05Ni0.82Co0.15Al0.03となるように、リチウム混合物中のリチウム化合物及びナトリウム化合物の混合量を調整したこと以外は、実施例1と同様にして、正極活物質を作製した。正極活物質におけるリチウムサイト中のナトリウム含有量は正極活物質を作製した。正極活物質におけるリチウムサイト中のナトリウム含有量は1.9%であった。また、得られた正極活物質を用いて電池特性を評価した。評価結果を表1に示す。
(実施例4)
得られたリチウムナトリウムニッケルコバルト複合酸化物がLi0.95Na0.10Ni0.82Co0.15Al0.03となるように、リチウム混合物中のリチウム化合物及びナトリウム化合物の混合量を調整したこと以外は、実施例1と同様にして、正極活物質を作製した。正極活物質におけるリチウムサイト中のナトリウム含有量は正極活物質を作製した。正極活物質におけるリチウムサイト中のナトリウム含有量は9.0%であった。得られた正極活物質を用いて電池特性を評価した。評価結果を表1に示す。
(実施例5)
実施例1で得られたリチウムナトリウムニッケルコバルト複合酸化物(母材)と酸化タングステンとを混合攪拌機を用いて、十分に撹拌しながら、これらの粉末表面に水をリチウムナトリウムニッケルコバルト複合酸化物に対して8質量%噴霧した。その後、得られたタングステン混合物を150℃で1時間加熱処理を行ない、母材の表面にタングステンを含む化合物(W化合物)の被覆を行い、正極活物質を得た。
得られた正極活物質中のWの含有量をICP法により分析したところ、ニッケル、コバルトおよびアルミニウムの原子数の合計に対して0.1原子%であることを確認した。また、被覆されたW化合物の形態をXRDで分析したところ、LiWOが形成されていることを確認した。得られた正極活物質を用いて電池特性を評価した。評価結果を表2に示す。
(実施例6)
正極活物質中のWの含有量を0.25原子%とした以外は実施例5と同様にして正極活物質を作製した。また、被覆されたW化合物の形態は、LiWOであった。得られた正極活物質を用いて電池特性を評価した。評価結果を表2に示す。
(実施例7)
正極活物質中のWの含有量を0.50原子%とした以外は実施例5と同様にして正極活物質を作製した。また、被覆されたW化合物の形態は、LiWOであった。得られた正極活物質を用いて電池特性を評価した。評価結果を表2に示す。
(実施例8)
正極活物質中のWの含有量を0.95原子%とした以外は実施例5と同様にして正極活物質を作製した。また、被覆されたW化合物の形態は、LiWOであった。得られた正極活物質を用いて電池特性を評価した。評価結果を表2に示す。
(実施例9)
加熱処理温度を50℃とした以外は実施例7と同様にして正極活物質を作製した。また、被覆されたW化合物の形態は、(LiWO)・4HOであった。得られた正極活物質を用いて電池特性を評価した。評価結果を表2に示す。
(実施例10)
加熱処理温度を25℃とした以外は実施例7と同様にして正極活物質を作製した。また、被覆されたW化合物の形態は、WOであった。得られた正極活物質を用いて電池特性を評価した。評価結果を表2に示す。
(実施例11)
噴霧する水分量を0.1質量%とし、熱処理温度を100℃とした以外は実施例7と同様にして正極活物質を作製した。また、被覆されたW化合物の形態は、WOであった。得られた正極活物質を用いて電池特性を評価した。評価結果を表2に示す。
(実施例12)
リチウムナトリウムニッケルコバルト複合酸化物(母材)と酸化タングステンとを混合する際に、水酸化リチウムを添加したこと以外は実施例7と同様にして正極活物質を作製した。また、被覆されたW化合物の形態は、LiWOであった。得られた正極活物質を用いて電池特性を評価した。評価結果を表2に示す。
(比較例1)
公知の技術で得られたニッケルを主成分とする水酸化物を600℃で加熱して得られたニッケルコバルト酸化物と、リチウム化合物として水酸化リチウムとを混合し、750℃で12時間焼成し、リチウムニッケル複合酸化物(正極活物質)を得た。得られた正極活物質の組成は、Li1.05Ni0.82Co0.15Al0.03であった。このリチウムニッケル複合酸化物の比表面積は、0.5m/gであった。
(比較例2)
比較例1のリチウムニッケル複合酸化物(正極活物質)を用いて、正極活物質中のWの含有量を0.50質量%とした以外は実施例5と同様にして正極活物質を作製した。また、被覆されたW化合物の形態は、LiWOであった。得られた正極活物質を用いて電池特性を評価した。評価結果を表2に示す。
(比較例3)
熱処理温度を25℃とした以外は比較例2と同様にして正極活物質を作製した。また、被覆されたW化合物の形態は、WOであった。得られた正極活物質を用いて電池特性を評価した。評価結果を表2に示す。
Figure 2020123440
Figure 2020123440
(評価)
表1に示されるように、リチウムサイトにナトリウムを含有するリチウムナトリウムニッケルコバルト複合酸化物からなる実施例1〜4の正極活物質は、ナトリウムを含有しない比較例1と比較して、放電容量維持率が向上した。特に、ナトリウムのサイト占有率が5%以下である実施例1〜3の正極活物質では、正極界面抵抗が低減し、かつ、高い放電容量維持率を示した。
また、表2に示されるように、実施例5〜9、12の正極活物質は、比較例1〜3の正極活物質と比較して、正極界面抵抗が低く、かつ、高い放電容量維持率を有し、優れた電池特性を有することが確認された。特に、タングステン化合物を混合する際に、リチウム化合物を添加した実施例12の正極活物質は、良好な正極界面抵抗を有する。
なお、実施例11では、ナトリウムを含有しない以外は実施例10と同様に製造された比較例3と比較して、正極界面抵抗が低く、かつ、高い放電容量維持率を有することが確認された。しかし、実施例10、11の正極活物質では、リチウムイオン伝導性が低い酸化タングステンで母材の表面が被覆されているため、比較例1、2と比較して、正極界面抵抗が高く、放電容量維持率も低かった。
以上の結果より、本発明の正極活物質を用いたリチウムイオン二次電池は、正極界面抵抗が低く耐久性も良いものとなり、優れた特性を有した電池となることが確認できた。
本発明のリチウムイオン二次電池は、常に高容量を要求される小型携帯電子機器(ノート型パーソナルコンピュータやスマートフォン、タブレット端末、デジタルカメラなど)の電源に好適であり、高出力、高耐久性が要求される電気自動車用電池にも好適である。
また、本発明のリチウムイオン二次電池は、優れた安全性を有し、小型化、高出力化が可能であることから、搭載スペースに制約を受ける電気自動車用電源として好適である。
なお、本発明は、電気エネルギーで駆動する電気自動車用の電源のみならず、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの燃焼機関と併用するいわゆるハイブリッド自動車やプラグインハイブリッド自動車用の電源としても用いることができる。
1A、1B…正極活物質
10…リチウムナトリウムニッケルコバルト複合酸化物
20…リチウムイオン伝導性酸化物
CBA…コイン型電池(評価用)
PE…正極(評価用電極)
NE…負極
SE…セパレータ
GA…ガスケット
WW…ウェーブワッシャー
PC…正極缶
NC…負極缶

Claims (13)

  1. リチウムナトリウムニッケルコバルト複合酸化物を含有する正極活物質であって、
    前記リチウムナトリウムニッケルコバルト複合酸化物は、
    層状の結晶構造を有し、
    一般式(1):LiNaNi1−a−bCo(前記一般式(1)中、0.05≦a≦0.95、0≦b≦0.60、a+b<1、0.96≦x+y≦1.20、0<y≦0.1、元素Mは、Mn、W、Mo、V、Mg、Ca、Al、Ti、Cr、Zr、La及びTaから選択される少なくとも1種の元素)で表され、かつ、
    リチウムサイトである3aサイトにナトリウムを含む、
    リチウムイオン二次電池用正極活物質。
  2. X線回折によるリートベルト解析から得られる3aサイトのナトリウムのサイト占有率が0%を超え10%以下である、請求項1のリチウムイオン二次電池用正極活物質。
  3. 前記リチウムナトリウムニッケルコバルト複合酸化物と、リチウムイオン伝導性酸化物とを含有し、
    前記リチウムイオン伝導性酸化物は、前記リチウムナトリウムニッケルコバルト複合酸化物の表面の少なくとも一部を被覆し、かつ、タングステン及びリチウムを含む化合物からなる、
    請求項1又は請求項2に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質。
  4. 前記リチウムイオン伝導性酸化物は、LiWO、Li、LiWO、及び、7LiWO・4HOからなる群から選択される少なくとも一つを含むタングステン酸リチウムである、請求項3に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質。
  5. 前記リチウムイオン伝導性酸化物に含まれるタングステンの量が、前記正極活物質に含まれるニッケル、コバルト、および、元素Mの原子数の合計に対して、0.1原子%以上1.0原子%以下である、請求項3又は請求項4に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質。
  6. リチウムナトリウムニッケルコバルト複合酸化物を含有する正極活物質の製造方法であって、
    ニッケルコバルト複合酸化物と、リチウム化合物と、ナトリウム化合物と、を混合してリチウム混合物を得る工程と、
    前記リチウム混合物を焼成して、リチウムナトリウムニッケルコバルト複合酸化物を得る工程と、を備え、
    前記ニッケルコバルト複合酸化物は、ニッケルとコバルトと、任意に元素Mとを含み、それぞれの金属元素の原子数比が、Ni:Co:M=(1−a−b):a:b(0.05≦a≦0.95、0≦b≦0.60、a+b<1、元素Mは、Mn、W、Mo、V、Mg、Ca、Al、Ti、Cr、Zr、La及びTaから選択される少なくとも1種の元素)で表され、
    前記リチウム混合物中のリチウムとナトリウムの合計量が、ニッケル、コバルト及び元素Mの合計量に対して、96原子%以上120原子%であり、かつ、ナトリウムの量が、ニッケル、コバルト及び元素Mの合計量に対して、0原子%を超え10原子%以下であり、
    前記リチウムナトリウムニッケルコバルト複合酸化物は、層状の結晶構造を有し、かつ、リチウムサイトである3aサイトにナトリウムを含む、
    リチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法。
  7. 前記焼成は、700℃以上900℃以下、5時間以上15時間以下で行う、請求項6に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法。
  8. 前記リチウムナトリウムニッケルコバルト複合酸化物と、タングステンを含む化合物と、水又は水溶液とを混合して、加熱処理する工程を備え、
    前記リチウムナトリウムニッケルコバルト複合酸化物の表面を、タングステン及びリチウムを含む化合物からなる導電性酸化物で被覆する、
    請求項6又は請求項7に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法。
  9. 前記水溶液は、前記リチウムナトリウムニッケルコバルト複合酸化物に対して、2質量%以上10質量%以下で混合する、請求項8に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法。
  10. 前記加熱処理は、50℃以上200℃以下の範囲で1時間以上加熱する、請求項8又は請求項9に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法。
  11. 前記正極活物質に含まれるタングステンの量が、前記正極活物質に含まれるニッケル、コバルトおよび元素Mの原子数の合計に対して、0.1原子%以上1.0原子%以下である、請求項8〜請求項10のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法。
  12. 前記タングステン及びリチウムを含む化合物は、LiWO、Li、LiWO、及び、7LiWO・4HOからなる群から選択される少なくとも一つを含むタングステン酸リチウムである、請求項8〜請求項11のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法。
  13. 正極と負極と非水系電解質とを備え、を備え、
    前記正極は、請求項1〜請求項5に記載のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質を含む、リチウムイオン二次電池。
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