JP2020122064A - リグニンスルホン酸とカチオン性高分子を成分とする接着剤 - Google Patents

リグニンスルホン酸とカチオン性高分子を成分とする接着剤 Download PDF

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Abstract

【課題】二液以上又は二剤以上から成る接着剤は保管・管理の煩雑化や、使用者ごとの混合比・混合法の違いに由来する接着力の不均一化を招くため、安全かつ単一の剤から成るリグニン由来接着剤の開発が望まれている。【解決手段】リグニンスルホン酸ナトリウム等のリグニンスルホン酸塩の水溶液と、ポリ(アリルアミン)またはポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド)等のカチオン性高分子を混合して得られる複合体を一剤系の接着剤として用いて、金属、ガラス、木材などの極性材料だけでなく、ポリプロピレンのような非極性材料を接着可能である。【選択図】図2

Description

本発明は、木質由来のアニオン性高分子であるリグニンスルホン酸をカチオン性高分子と組み合わせてなる接着剤に関するものである。
従来、植物系バイオマスの有効活用を目的として、植物体を構成する主要な成分の一つであるリグニンもしくはその誘導体を、接着剤として利用する試みが広く行われている。例えば特許文献1ではイネ科植物由来のリグニンとホルムアルデヒドから成る接着剤、特許文献2では有機可溶リグニンとフェノール、ホルムアルデヒドの三成分を含む接着剤、特許文献3ではエポキシ化合物を架橋剤として用いた接着剤が記載され、特許文献4では酸化剤を用いた酸化反応でリグニンを架橋して接着剤として用いる例が記載されている。しかし、これらの接着剤で用いられているホルムアルデヒドやエポキシ化合物、酸化剤は高い反応性に由来する毒性や、消防法上の危険物に分類されていることから、作業者の健康・安全面で問題が生じる可能性がある。
リグニン由来の化合物を用いるが、ホルムアルデヒド等の毒性を示す化合物や危険性の高い化合物を用いない接着剤として、例えば特許文献5ではリグニンスルホン酸とケイ酸アルカリから成る接着剤が記載され、非特許文献1ではリグニンスルホン酸とポリ(2-ビニ
ルピリジン)もしくはポリ(4-ビニルピリジン)から成る接着剤が記載されている。
再表98/050467号公報 特表平6-506967号公報 特開2002-053699号公報 特開昭61-62574号公報 特開2008-43313号公報
Journal of Wood Science;2008;54(2);143-152 Green Chemistry;2016;18(20);5607-5620 Progress in Polymer Science;2014;39(7);1266-1290
特許文献5や非特許文献1の接着剤は、リグニンを有効利用した接着剤であり、かつ作業者の健康・安全面を担保可能な技術であるが、使用に際しては二種類以上の成分を独立した状態で保管し、接着の直前に混合又は塗布する必要がある。このような二液以上又は二剤以上から成る接着剤は保管・管理の煩雑化や、使用者ごとの混合比・混合法の違いに由来する接着力の不均一化を招くため、安全かつ単一の剤から成るリグニン由来接着剤の開発が望まれている。
本発明者らは、特願2017-246691号に記載されるように、リグニンスルホン酸に対し、カ
チオン性高分子を組み合わせることで、弾性に富み、かつ、自己修復能を有する成形可能なイオン複合体が得られることを見出した。このイオン複合体は、内部に存在する多数のイオン性官能基が架橋構造を形成することで自立可能な程度の材料強度を示す。
上記イオン複合体は、多数のイオン性官能基を有していることから、金属などの極性材料
表面と強く相互作用して接着能を示すことが期待される。また、上記イオン複合体は、リグニンスルホン酸とカチオン性高分子の混合後も柔軟性を有しており、単一の剤として保管しても固化により硬質な固体になることなく利用可能な、一剤系の接着剤として利用することが期待される。
具体的には、本発明者らは、リグニンスルホン酸ナトリウム等のリグニンスルホン酸塩の水溶液と、ポリ(アリルアミン)またはポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド)等のカチオン性高分子を混合して得られる複合体を一剤系の接着剤として用いて、金属、ガラス、木材などの極性材料だけでなく、ポリプロピレンのような非極性材料を接着可能であることを見出した。
本発明は、本発明者らによるこれらの知見に基づいてなされたものである。
すなわち、この出願は、以下の発明を提供するものである。
[1]リグニンスルホン酸、その誘導体、またはそれらの塩と、カチオン性高分子(ただし、ε-ポリリジンは除く)、その誘導体、またはそれらの塩を含む接着剤。
[2]リグニンスルホン酸またはその誘導体の塩が、金属塩である、[1]に記載の接着剤。
[3]前記金属塩が、ナトリウム塩、カルシウム塩、及びマグネシウム塩からなる群から選択される、[2]に記載の接着剤。
[4]前記カチオン性高分子が、1級、2級、3級アミノ基、4級アンモニウム基およびイミノ基からなる群から選択される少なくとも1種の官能基を、その分子中に1つ以上有する
高分子である、[1]〜[3]のいずれかに記載の接着剤。
[5]前記カチオン性高分子が、1級、2級、3級アミノ基、4級アンモニウム基およびイミノ基からなる群から選択される少なくとも1種の官能基を有する単一のモノマーから成る
高分子である、[1]〜[4]のいずれかに記載の接着剤。
[6]一液型接着剤または単一の剤から成る接着剤であることを特徴とする、[1]〜[5]のいずれかに記載の接着剤。
[7]接着後の材料において、その接着部分に吸水させることにより、接着した材料の剥離が可能であることを特徴とする、[1]〜[6]のいずれかに記載の接着剤。
[8]水及び/又は有機溶媒を含有することを特徴とする、[1]〜[7]のいずれかに記載の接着剤。
本発明によれば、リグニンスルホン酸とカチオン性高分子とを、例えば両者の水溶液を混合することにより、両者のイオン複合体を調製し、これを用いて金属をはじめとする種々の材料を接着することができる。
例えば、リグニンスルホン酸ナトリウムとポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド)から形成された複合体においては、粘稠な複合体をステンレス板で挟み、80℃のホットプレスで加熱したのちに溶媒を揮発させることで、約45gのマグネットクリップを保持
できる(実施例2)。この時の接着強度は3.65 MPaであり、市販の両面テープを用いて接
着したサンプルの接着強度0.67 MPaに比べて5倍以上であった(比較例1および実施例13)。
リグニンスルホン酸ナトリウム塩とポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド)から成る複合体の外観の写真図を示す。 リグニンスルホン酸ナトリウム塩とポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド)から成る複合体によるステンレス板の接着直前と接着後のサンプルの写真図を示す。
リグニンスルホン酸は、セルロースなどの多糖類と並んで植物体を構成する主要な成分の一つであるリグニンに由来し、例えば亜硫酸法により植物体からパルプを製造する際に、副産物として、リグニンがスルホン化されることにより生じる。本発明において、リグニンスルホン酸とは、このようにして副生したリグニンスルホン酸自体でよく、または、これを変性し、あるいは部分脱スルホン化した、変性リグニンスルホン酸や部分脱スルホンリグニンスルホン酸でもよく、さらには、水溶性の観点から、これらのリグニンスルホン酸の、ナトリウム塩などの金属塩でもよい。
変性リグニンスルホン酸とは、例えばリグニンスルホン酸を酸やアルカリを用いて処理することで、官能基の含有量を変化させたリグニンスルホン酸などが挙げられる。
部分脱スルホンリグニンスルホン酸とは、リグニンスルホン酸の有するスルホ基(-SO
Hまたは-SO -)の一部が脱スルホン化しているリグニンスルホン酸のことである。イオン複合材料全体におけるリグニンスルホン酸の脱スルホン化が、部分脱スルホン化がなされていないと仮定した場合のイオン複合体材料中の全スルホ基のうちの1%以上の個
数のスルホ基の脱スルホン化であることが好ましい。
本発明において、リグニンスルホン酸の誘導体とは、例えば、非特許文献2に記されているリグニンのヒドロキシル基をポリエチレングリコールで修飾する手法を適用したリグニンスルホン酸誘導体や、非特許文献3に記されているリグニンのカルボキシル基をエポキシ基含有化合物で修飾する手法を適用したリグニンスルホン酸誘導体、または、非特許文献3に記されているリグニンのフェノール性水酸基を脂肪酸や芳香族カルボン酸で修飾する手法を適用したリグニンスルホン酸誘導体でもよい。
本発明において、リグニンスルホン酸またはその誘導体の塩は、金属塩であることが好ましく、さらに水溶性の観点から、この金属塩はナトリウム塩、カルシウム塩、及びマグネシウム塩からなる群から選択されることが好ましい。
本発明に用いられるカチオン性高分子としては、ε-ポリリジンを含まないこと以外に特
に限定されることはないが、例えば、1級、2級、3級アミノ基、4級アンモニウム基およびイミノ基から選択される少なくとも1種の官能基を、その分子中に1つ以上有する高分子を挙げることができる。1級、2級、3級アミノ基、4級アンモニウム基およびイミノ基のうち少なくとも1種以上の官能基を有する単一のモノマーから成る高分子が好ましい。
具体的なこのようなカチオン性高分子としては、例えば、ポリ(エチレンイミン)、ポリ(アリルアミン)、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド)キトサン、カチオン化セルロース、カチオン化カルボキシメチルセルロース、カチオン化デンプン、カチオン化ヒアルロン酸、カチオン化グアーガム、α-ポリリジン、α-ポリオルニチン、δ-ポ
リオルニチン、リジン含有タンパク質、ポリ(ビニルN-メチルピリジン)、ポリ{[3-(メタクリロイルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウム}、ポリ[(3-アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウム]、ポリ{[2-(メタクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウム}、ポリ{[2-(アクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウム}またはこれらのカチオン性高分子の1級、2級、3級アミノ基を4級アンモニウム化したものを挙げることができ、さらに、ポリアルギニン、ポリ(ヘキサメチレンビグアニド)、ポリヘキサメチレングアニジン、シアノフィシン、アルギニン含有タンパク質などのイミノ基を有するカチオン性高分子を挙げることができる。カチオン性高分子の重量平均分子量は300〜10,000,000であることが好ましい。
また、カチオン性高分子の誘導体とは、例えば、カチオン性高分子同士を架橋や縮合することによって高分子量化したカチオン性高分子が挙げられる。
また、本発明に用いられるカチオン性高分子は、水溶性の観点から、上述のカチオン性高分子の、塩酸塩などの無機酸塩、もしくは、酢酸塩などの有機酸塩でもよい。
「リグニンスルホン酸、その誘導体、またはそれらの塩と、カチオン性高分子またはその
塩を含む」とは、「リグニンスルホン酸、その誘導体、またはそれらの塩と、カチオン性高分子またはその塩」以外のいかなる他の構成要素をもさらに包含することが可能である。また、「リグニンスルホン酸、その誘導体、またはそれらの塩と、カチオン性高分子またはその塩」のみからなることも可能である。
接着剤中における、リグニンスルホン酸、その誘導体、またはそれらの塩と、カチオン性高分子またはその塩との組成割合は、特に限定されることはないが、リグニンスルホン酸とカチオン性高分子の重量比が好ましくは1:10〜10:1、さらに好ましくは1:2〜2:1である。
接着剤中の水分含量は、特に限定されることはないが、通常、0.1〜95重量%、好ましく
は2〜30重量%である。
本発明の接着剤は、一液型接着剤または単一の剤から成る接着剤とすることも可能である。一液型接着剤または単一の剤から成る接着剤とすることで、二液型の接着剤と比較して、接着時の塗りムラが少なく、より安定した強固な接着を行うことができる。
本発明のリグニンスルホン酸、その誘導体、またはそれらの塩とカチオン性高分子またはその塩を含む接着剤は、これらを適宜の方法で混合することにより調製することができる。
例えば、リグニンスルホン酸、その誘導体、またはそれらの塩の水溶液とカチオン性高分子またはその塩を含む水溶液を混合し、あるいは、リグニンスルホン酸、その誘導体、またはそれらの塩の粉末をカチオン性高分子またはその塩を含む水溶液に混合することで調製することができる。
このようにして調製したイオン複合体を含む混合水溶液を、例えばホットプレート上で溶媒を揮発させることにより、粘稠なイオン複合体を得ることができる。
また、このようにして調製したイオン複合体を含む混合水溶液を有機溶媒に加えることで、イオン複合体を沈殿として回収することができる。
接着剤の使用方法は、例えば上記方法で調製したイオン複合体を、接着対象となる基材上に静置、もしくは塗布し、基材同士でイオン複合体を挟み込むことで接着を行うことができる。ここで、基材は特に限定されることはないが、例えばステンレス板、アルミニウム板、ポリプロピレン板、木板等を用いることができる。
好ましくは、さらにホットプレスなどの装置で加熱を行いながら圧力を加えることによって接着を行うことができ、これにより強固な接着をより早期に行うことができる。ホットプレス装置において、加熱温度は、特に限定されることはないが、例えば、50〜110℃で
あることが好ましい。加圧力は、特に限定されることはないが、例えば0.01〜10MPaであ
ることが好ましく、0.05〜0.5MPaであることがさらに好ましい。加熱及び加圧の時間は、特に限定されることはないが、例えば、30秒間から3分間であることが好ましい。
さらに、基材同士でイオン複合体を挟み込んだ後、またはホットプレス装置による加温及び加圧を行った後、溶媒を揮発させる操作を行ってもよい。溶媒を揮発させる操作において、温度は特に限定されることはないが、例えば、10〜90℃又は大気温であることが好ましい。湿度は特に限定されることはないが、20〜80%であることが好ましい。溶媒を揮発させる時間は、特に限定されることはないが、1時間以上であることが好ましい。
接着強度試験は、特に限定されることはないが、例えば以下の方法により行うことができる。
リグニンスルホン酸ナトリウム塩とカチオン性高分子の複合体9 mgを、重なり合う面積が1cm2になるように二枚の基材(長さ5cm、幅1cm、厚さ2mm)で挟み込む。この基材を80℃
、0.2 MPaのホットプレスで2分間加熱する。加熱後の基材を大気中で冷ました後、30℃、
湿度50%の恒温恒湿槽で24時間以上溶媒を揮発させる。
得られた接着を行った基材に対して引張試験を行うことで、引張せん断接着強さ(最大応力)を測定し、これを接着強度の指標とすることができる。
本発明に係る接着剤は、接着後の材料において、その接着部分に吸水させることにより、接着した材料の剥離が可能であることを特徴し、接着した材料の剥離が可能であるかは解体性試験により、確認することができる。
解体性試験は、特に限定されることはないが、例えば以下の方法により行うことができる。
リグニンスルホン酸ナトリウム塩とカチオン性高分子の複合体を二枚の基材で挟み込む。この基材を80℃、0.2 MPaのホットプレスで2分間加熱する。加熱後の基材を大気中で冷ました後、30℃、湿度50%の恒温恒湿槽で24時間以上溶媒を揮発させる。リグニンスルホン
酸ナトリウム塩とカチオン性高分子の複合体で接着した基材を、基材全体が完全に水没するように純水に浸す。このサンプルを室温にて24時間静置する。基材同士の接着部位が吸水することにより、二つの基材が手で容易に剥離することができるか、又は接着強度が基材の自重を支えられない程度まで低下した場合に、解体性があると判断することができる。
次に、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1 リグニンスルホン酸ナトリウム塩とポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド)から成る複合体調製
リグニンスルホン酸ナトリウム塩 (東京化成工業) の40重量%水溶液1重量部と、ポリ(ジ
アリルジメチルアンモニウムクロライド) (Sigma Aldrich社、重量平均分子量200,000〜350,000) の20重量%水溶液2重量部を均一に混合した。この混合物をフッ素樹脂製シャーレに移し、150℃のホットプレート上で加熱することにより水分を除去することで粘稠な複
合体を得た。得られた複合体の写真を図1に示す。
実施例2 リグニンスルホン酸ナトリウム塩とポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド)から成る複合体によるステンレス板の接着
実施例1で調製したリグニンスルホン酸ナトリウム塩とポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド)の複合体9 mgを、重なり合う面積が1cm2になるように二枚のステンレス板
(長さ5cm、幅1cm、厚さ2mm)で挟み込んだ。このステンレス板を80℃、0.2 MPaのホットプレスで2分間加熱した。加熱後のステンレス板を大気中で冷ました後、30℃、湿度50%の恒温恒湿槽で24時間以上溶媒を揮発させた。接着前と接着後のサンプルの写真を図2に示
す。図2に示すように、得られたサンプルは約45gのマグネットクリップを保持可能であり、本複合体により二枚のステンレス板同士の接着が可能であることを確認した。
実施例3 リグニンスルホン酸ナトリウム塩とポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド)から成る複合体によるアルミニウム板の接着
実施例1で調製したリグニンスルホン酸ナトリウム塩とポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド)の複合体と、二枚のアルミニウム板(長さ5cm、幅1cm、厚さ2mm)を用いて、実施例2と同様の手順でアルミニウム板の接着を行った。接着後のサンプルは実施例2と同様に約45gのマグネットクリップを保持可能であり、本複合体により二枚のアルミニウ
ム板同士の接着が可能であることを確認した。
実施例4 リグニンスルホン酸ナトリウム塩とポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド)から成る複合体によるポリプロピレン板の接着
実施例1で調製したリグニンスルホン酸ナトリウム塩とポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド)の複合体と、二枚のポリプロピレン板(長さ5cm、幅1cm、厚さ1mm)を用いて、実施例2と同様の手順でポリプロピレン板の接着を行った。接着後のサンプルは実施
例2と同様に約45gのマグネットクリップを保持可能であり、本複合体により二枚のポリプロピレン板同士の接着が可能であることを確認した。
実施例5 リグニンスルホン酸ナトリウム塩とポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド)から成る複合体による木板の接着
実施例1で調製したリグニンスルホン酸ナトリウム塩とポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド)の複合体と、二枚の木板(長さ4cm、幅0.75cm、厚さ1.5mm)を用いて、実
施例2と同様の手順で木板の接着を行った。接着後のサンプルは実施例2と同様に約45gの
マグネットクリップを保持可能であり、本複合体により二枚の木板同士の接着が可能であることを確認した。
実施例6 リグニンスルホン酸ナトリウム塩とポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド)から成る複合体によるガラス板の接着
実施例1で調製したリグニンスルホン酸ナトリウム塩とポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド)の複合体と、二枚のスライドガラス(長さ7.6cm、幅2.6cm、厚さ1mm)を用いて、実施例2と同様の手順でガラス板の接着を行った。接着後のサンプルは実施例2と同様に約45gのマグネットクリップを保持可能であり、本複合体により二枚のガラス板同士
の接着が可能であることを確認した。
実施例7 リグニンスルホン酸ナトリウム塩とポリ(アリルアミン)から成る複合体調製
リグニンスルホン酸ナトリウム塩 (東京化成工業) の40重量%水溶液3重量部と、ポリ(ア
リルアミン) (Polysciences社、重量平均分子量15,000) の15重量%水溶液8重量部を均一
に混合した。この混合物をフッ素樹脂製シャーレに移し、150℃のホットプレート上で加
熱することにより水分を除去することで実施例1と同様に粘稠な複合体を得た。
実施例8 リグニンスルホン酸ナトリウム塩とポリ(アリルアミン)から成る複合体による
ステンレス板の接着
実施例7で調製したリグニンスルホン酸ナトリウム塩とポリ(アリルアミン)の複合体9 mg
を用いて、実施例2と同様の手順でステンレス板の接着を行った。接着後のサンプルは実
施例2と同様に約45gのマグネットクリップを保持可能であり、本複合体により二枚のステンレス板同士の接着が可能であることを確認した。
実施例9 リグニンスルホン酸ナトリウム塩とポリ(アリルアミン)から成る複合体による
アルミニウム板の接着
実施例7で調製したリグニンスルホン酸ナトリウム塩とポリ(アリルアミン)の複合体9 mg
を用いて、実施例3と同様の手順でアルミニウム板の接着を行った。接着後のサンプルは
実施例2と同様に約45gのマグネットクリップを保持可能であり、本複合体により二枚のアルミニウム板同士の接着が可能であることを確認した。
実施例10 リグニンスルホン酸ナトリウム塩とポリ(アリルアミン)から成る複合体によるポリプロピレン板の接着
実施例7で調製したリグニンスルホン酸ナトリウム塩とポリ(アリルアミン)の複合体9 mg
を用いて、実施例4と同様の手順でポリプロピレン板の接着を行った。接着後のサンプル
は実施例2と同様に約45gのマグネットクリップを保持可能であり、本複合体により二枚のポリプロピレン板同士の接着が可能であることを確認した。
実施例11 リグニンスルホン酸ナトリウム塩とポリ(アリルアミン)から成る複合体による
木板の接着
実施例7で調製したリグニンスルホン酸ナトリウム塩とポリ(アリルアミン)の複合体9 mg
を用いて、実施例5と同様の手順で木板の接着を行った。接着後のサンプルは実施例2と同様に約45gのマグネットクリップを保持可能であり、本複合体により二枚の木板同士の接
着が可能であることを確認した。
実施例12 リグニンスルホン酸ナトリウム塩とポリ(アリルアミン)から成る複合体によるガラス板の接着
実施例8で調製したリグニンスルホン酸ナトリウム塩とポリ(アリルアミン)の複合体9 mg
を用いて、実施例6と同様の手順でガラス板の接着を行った。接着後のサンプルは実施例2と同様に約45gのマグネットクリップを保持可能であり、本複合体により二枚のガラス板
同士の接着が可能であることを確認した。
比較例1 両面テープによるステンレス板の接着
両面テープ(ニチバン社製、型番NW-40)を長さ1cm、幅1cmの大きさに切り、重なり合う
面積が1cm2になるように二枚のステンレス板(長さ5cm、幅1cm、厚さ2mm)で挟み込んだ
。このステンレス板を室温、0.2 MPaのホットプレスで2分間加圧し、接着を行った。接着後のステンレス板を用いて引張試験 (大気中、引張速度 10 mm/min) を行い、引張りせん断接着強度を測定したところ、その値は0.67±0.16 MPa(3回の平均値)であった。
実施例13 リグニンスルホン酸ナトリウム塩とポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロ
ライド)から成る複合体の接着強度試験
実施例2において、リグニンスルホン酸ナトリウム塩と(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド)の複合体で接着したステンレス板を用いて、引張試験 (大気中、引張速度 10 mm/min) を行い、引張りせん断接着強さ(最大応力)を測定したところ、その値は3.65±0.97 MPa(3回の平均値)であり、比較例1よりも優れた接着強度、すなわち比較例1と比較して5倍以上の接着強度を示した。
実施例14 リグニンスルホン酸ナトリウム塩とポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロ
ライド)で接着したステンレス板の水中における解体性試験
実施例2において、リグニンスルホン酸ナトリウム塩と(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド)の複合体で接着したステンレス板をサンプル全体が完全に水没するように純水
に浸した。このサンプルを室温にて24時間静置した結果、ステンレス板の接着強度が自重を支えられない程度まで低下し、吸水により接着部位の解体が可能であることを確認した。
また、実施例3〜6において、リグニンスルホン酸ナトリウム塩とポリ(ジアリルジメチル
アンモニウムクロライド)の複合体で接着したアルミニウム板、ポリプロピレン板、木板
、及びガラス板を用いて、ステンレス板と同様に解体性試験を行ったところ、アルミニウム板では接着強度が自重を支えられない程度まで低下し、ポリプロピレン板、木板、及びガラス板では基材同士を手で容易に剥離可能な程度まで接着強度が低下し、吸水により接着部位の解体が可能であることを確認した。
本発明による接着剤は、多様な形状に成形でき、弾性に富み、かつ、優れた自己修復能を有するので、このような特性が必要とされる各種の用途の成形品の素材として利用可能である。

Claims (8)

  1. リグニンスルホン酸、その誘導体、またはそれらの塩と、カチオン性高分子(ただし、ε-ポリリジンは除く)、その誘導体、またはそれらの塩を含む接着剤。
  2. リグニンスルホン酸またはその誘導体の塩が、金属塩である、請求項1に記載の接着剤。
  3. 前記金属塩が、ナトリウム塩、カルシウム塩、及びマグネシウム塩からなる群から選択される、請求項2に記載の接着剤。
  4. 前記カチオン性高分子が、1級、2級、3級アミノ基、4級アンモニウム基およびイミノ基からなる群から選択される少なくとも1種の官能基を、その分子中に1つ以上有する高分子
    である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の接着剤。
  5. 前記カチオン性高分子が、1級、2級、3級アミノ基、4級アンモニウム基およびイミノ基からなる群から選択される少なくとも1種の官能基を有する単一のモノマーから成る高分子
    である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の接着剤。
  6. 一液型接着剤または単一の剤から成る接着剤であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の接着剤。
  7. 接着後の材料において、その接着部分に吸水させることにより、接着した材料の剥離が可能であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の接着剤。
  8. 水及び/又は有機溶媒を含有することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の接着剤。
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