JP2020120452A - 回転電機システム - Google Patents
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Abstract
【課題】2相以上の検出器が検出不能とみなされる期間にも、3相の電流値に基づいて各スイッチを制御できるようにする。【解決手段】回転電機システム91は、複数組の三相コイル53,54と、インバータ30,40と、制御装置20とを有する。複数組の三相コイル53,54は、ロータの回転方向に互いに所定角度ずらして設置されている。制御装置20は、各インバータ30,40について、2相以上の検出器37,47で電流値を検出可能みなせる第1状態であるか、それ以外の第2状態であるかを判定する。そして、いずれかのインバータ30,40が第2状態であると判定される期間には、その期間に第1状態であると判定される他のインバータ30,40の検出器37,47により検出される電流値を用いて、第2状態であると判定されるインバータ30,40の各スイッチ32,36,42,46をデューティ制御する。【選択図】図1
Description
本発明は、回転電機とそれを制御する制御装置とを備えた回転電機システムに関する。
回転電機システムの中には、例えば特許文献1の装置のように、複数のスイッチング素子(スイッチ)を備えたインバータにより、3相のコイル相を有する3相ブラシレスモータを駆動するものがある。インバータは、ハイサイド(上アーム)の3相それぞれのスイッチング素子(上スイッチ)と、グランド側のローサイド(下アーム)の3相それぞれのスイッチング素子(下スイッチ)とにより、各コイル相を駆動する。ローサイドの各スイッチング素子には,スイッチング素子に流れる電流値を計測するための検出器が接続されている。
各スイッチは、通常、3相の電流値に基づいてデューティ制御される。なお、デューティ制御とは、ある期間全体に対するスイッチをONにしている期間の比であるデューティ比を制御するものである。デューティ比が大きくなれば、スイッチをONに保持する期間であるON期間も長くなり、デューティ比が小さくなれば、ON期間も短くなる。
各下アームには、自身に設けられている下スイッチがONになっている間しか電流が流れない。しかも、下スイッチをONにした直後は、下アーム等の配線が備えるインダクタンスにより、電流にリンギングノイズが発生する。そのため、検出器は、リンギングノイズが収まるまでは、信用のある電流値を検出することができない。
そのため、下スイッチのON期間を充分に確保できないために、下スイッチをONにしてからリンギングノイズが収まるまでのノイズ期間よりも、ON期間の方が十分に長くない場合には、その下スイッチと共に同じ下アームに設けられている検出器は、信用のある電流値を検出することができない。ただし、いずれか1相の検出器で電流値を検出できない場合にも、残り2相の検出器で電流値を検出できる場合には、その検出できる2相の電流値に基づいて、その検出できない1相の電流値を演算することができる。三相コイルに流れ込む電流値の和と三相コイルから流れ出る電流値の和とは等しくなることから、3相の電流値の和は、プラスマイナスゼロになるからである。
よって、インバータがその2相以上の検出器で電流値を検出できるとみなせる第1状態のときには、3相全ての電流値を取得できるため、3相の電流値に基づいて各スイッチを制御できる。他方、インバータが第1状態以外の第2状態のときには、少なくともいずれかの相の電流値を取得することができないため、3相の電流値に基づいて各スイッチを制御することができない。
その点、例えば、過変調制御時等、変調比が大きくなるときには、各スイッチにおいて、デューティ比が極端に大きくなる期間及び極端に小さくなる期間が、長く継続することになる。それにより、各スイッチにおいて、1回のON期間が極端に大きくなる期間及び極端に小さくなる期間が、長く継続することになる。それにより、2相の下スイッチで、一回のON期間が極端に小さくなる期間が重なり、2相の下スイッチで、ON期間を充分に確保できなってしまうおそれがある。それにより、2相の検出器で電流値を検出できなくなり、インバータが上記の第2状態になってしまうおそれがある。他方、インバータが上記の第2状態にならないようにしようとすれば、変調比をあまり大きくすることができないといった制限が加わってしまう。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、インバータが上記の第2状態になる期間にも、3相の電流値に基づいて各スイッチを制御できるようにすることを、主たる目的とする。
本発明の回転電機システムは、回転自在に設けられているロータと、電流が流されることにより前記ロータにトルクを発生させる複数組の三相コイルと、前記三相コイル毎に設けられているインバータと、各前記インバータを制御する制御装置とを有する。複数組の前記三相コイルは、前記ロータの回転方向に互いに所定角度ずらして設置されている。
各前記インバータは、所定電位の上配線と、前記所定電位よりも低電位の下配線とを備えると共に、前記三相コイルのコイル毎に相配線を備えている。各前記相配線は、前記コイルの一端部に接続されている本線と、前記本線を前記上配線に接続している上アームと、前記本線を前記下配線に接続している下アームとを備えている。前記上アーム及び前記下アームの一方である第1アームに第1スイッチが設けられ、前記上アーム及び前記下アームの他方である第2アームに、第2スイッチと電流値を検出する検出器とが設けられている。
前記制御装置は、前記検出器により検出される電流値を用いて、第1及び第2の各前記スイッチをデューティ制御するものである。前記制御装置は、各前記インバータについて、当該インバータ自身の2以上の前記相配線の前記検出器で電流値を検出可能とみなせる第1状態であるか、それ以外の第2状態であるかを判定する判定部を備える。前記制御装置は、いずれかの前記インバータが前記第2状態であると判定される期間には、その期間に前記第1状態であると判定される他の前記インバータの前記検出器により検出される電流値を用いて、前記第2状態であると判定される前記インバータの各前記スイッチをデューティ制御する。
本発明によれば、複数組の三相コイルは、互いに所定角度ずらして設置されているため、各インバータがいずれかの期間に上記の第2状態になるとしても、それらの期間は互いにずれる。そのため、いずれかのインバータが第2状態である期間には、制御装置は、その期間に第1状態である他のインバータの検出器により検出された電流値を用いて、第2状態であるインバータの各スイッチをデューティ制御することができる。
次に本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。ただし、本発明は実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して実施できる。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態の回転電機システム91を示す回路図である。回転電機システム91は、バッテリ10と、制御装置20と、2つのインバータ30,40と、ステータ50と、を有している。
図1は、第1実施形態の回転電機システム91を示す回路図である。回転電機システム91は、バッテリ10と、制御装置20と、2つのインバータ30,40と、ステータ50と、を有している。
制御装置20は、U系制御部23とX系制御部24とを有する。U系制御部23とX系制御部24とは、通信線29により接続されている。2つのインバータ30,40は、U系インバータ30とX系インバータ40とからなる。ステータ50は、U系三相コイル53とX系三相コイル54とを備える。
U系インバータ30は、U系上配線31とU相配線3uとV相配線3vとW相配線3wとU系下配線39とを有する。X系インバータ40は、X系上配線41とX相配線4xとY相配線4yとZ相配線4zとX系下配線49とを有する。U系下配線39は、グランドGNDに接続されている。
U〜Wの各相配線3u〜3wは、上アーム33と本線34と下アーム35とを備えている。各上アーム33には、上スイッチ32が設けられている。各下アーム35には、下スイッチ36と検出器37とが設けられている。
X〜Zの各相配線4x〜4zは、上アーム43と本線44と下アーム45とを備えている。各上アーム43には、上スイッチ42が設けられている。各下アーム45には、下スイッチ46と検出器47とが設けられている。
U系三相コイル53は、U相コイル5uと、V相コイル5vと、W相コイル5wとを備え、それらの一端同士は接続点53cで接続されている。X系三相コイル54は、X相コイル5xと、Y相コイル5yと、Z相コイル5zとを備え、それらの一端同士は接続点54cで接続されている。
バッテリ10は、直流電圧を供給する。U系制御部23は、U系上配線31及びU系下配線39に接続されており、バッテリ10から電力が供給される。X系制御部24は、X系上配線41及びX系下配線49に接続されており、バッテリ10から電力が供給される。両インバータ30,40は、バッテリ10から供給される直流電圧を交流電圧に変換してステータ50に供給する機能と、ステータ50から供給される交流電圧を直流電圧に変換してバッテリ10に供給する機能とを備える。
次にU系インバータ30の詳細について説明する。U系インバータ30は、U系三相コイル53に流す電流を制御するための回路である。U系上配線31は、バッテリ10の高圧側の端子に接続されており、U系下配線39は、バッテリ10の低圧側の端子に接続されている。よって、U系上配線31よりもU系下配線39の方が低電位になっている。
U系インバータ30の各相配線3u〜3wの本線34の一端は、その相のコイル5u〜5wにおける接続点53c側とは反対側の端部に接続されている。本線34の他端は、上アーム33によりU系上配線31に接続されると共に、下アーム35によりU系下配線39に接続されている。検出器37は、下アーム35に流れる電流値Iu〜Iwを検出するものであり、シャント抵抗と、それに流れる電圧を検出する電圧検出器とを有する。
U系インバータ30の上下の各スイッチ32,36は、U系制御部23によりデューティ制御される。詳しくは、上下の各スイッチ32,36は、いずれも半導体スイッチであり、U系制御部23から電流が入力されない時はOFFの状態であり、U系制御部23から電流が入力されるとONになる。各相配線3u〜3wにおける上スイッチ32と下スイッチ36とは、択一的にいずれか一方のみがONになるように制御される。すなわち、上スイッチ32がONになるタイミングで下スイッチ36がOFFになり、上スイッチ32がOFFになるタイミングで下スイッチ36がONになるように制御される。各アーム33,35には、当該アーム自身に設けられているスイッチ32,36がONになってからOFFになるまでのON期間tにのみ電流が流れる。
U〜Wの各相配線3u〜3wの検出器37が検出した電流値Iu〜Iwは、U系制御部23に入力される。U系制御部23は、取得した電流値やそれから演算した演算値等を、通信線29によりX系制御部24に送信可能になっている。
X系インバータ40の詳細についての説明については、上記のU系インバータ30の詳細についての説明と、「U」及び「X」の各方を他方に読み替え、「V」「W」をそれぞれ「Y」「Z」に読み替えると共に、符号を該当するものに読み替えて同様であるため、省略する。
図2は、ステータ50と、それにより駆動されるロータ60とを示す概略図である。ロータ60は、回転自在に設けられており、永久磁石66を備えている。各三相コイル53,54は、電流が流されることによりロータ60にトルクを発生させる。U系三相コイル53とX系三相コイル54とは、ロータ60の回転方向に互いに30度以上、すなわち、30〜90度の所定角度ずらして設置されている。具体的には、X相コイル5xは、U相コイル5uに対して当該所定角度ずらして設置されており、Y相コイル5yは、V相コイル5vに対して当該所定角度ずらして設置されており、Z相コイル5zは、W相コイル5wに対して当該所定角度ずらして設置されている。
図3は、U相配線3uに流れる電流を示すグラフである。詳しくは、U相配線3uの下アーム35に流れる電流(櫛形電流)を実線で示し、U相配線3uの本線34に流れる電流(略正弦波)を破線で示している。このように、下アーム35には、下スイッチ36がそのON期間tにのみ間欠的にONになることから、間欠的に電流(櫛形電流)が流れる。他方、本線34には、上スイッチ32と下スイッチ36とのいずれかが択一的にONになることから、破線に示すように、常に電流が流れる。なお、V,W,X〜Z相の各相配線3v,3w,4x〜4Zの下アーム35,45及び本線34,44に流れる電流も、図3に示すU相配線3uの場合と、位相をずらして同様である。
図4(a)は、図3に示すIVaの部分を拡大した模式図である。下スイッチ36をONにした直後は、下アーム35等の配線が備えるインダクタンスにより、リンギングノイズが発生する。そのため、下スイッチ36をONにしてからリンキングノイズが収まるまでは、ノイズ期間Nとなる。検出器37は、ON期間t内において、ノイズ期間Nの後に電流を検出する。
図4(b)は、図3に示すIVbの部分を拡大した模式図である。U相配線3uの下スイッチ36のON期間tが、ノイズ期間Nよりも短い場合には、U相配線3uの検出器37は、電流値をノイズ期間Nにしか検出することができない。そのため、信用ある電流値を検出することができない。
図5の上側のグラフは、PWM制御(パルス幅変調制御)時における、U系インバータ30の各相配線3u〜3wの上スイッチ32のデューティ比の時間変化を示すグラフである。上記のとおり、各相配線において上スイッチ32がONの間は、その下スイッチ36はOFFになるため、例えばある相において、上スイッチ32のデューティ比が70%である場合は、その相の下スイッチ36のデューティ比は30%になる。
図5の下側のグラフは、U系インバータ30の各検出器37が、検出可能状態d+であるか検出不能状態d−であるか、及びそれによりU系インバータ30が第1状態D+であるか第2状態D−であるかを示している。
検出可能状態d+は、検出器37が信用のある電流値を検出することができるために、電流値を検出可能とみなされる状態である。他方、検出不能状態d−は、検出器37が信用のある電流値を検出することができないために、電流値を検出不能とみなされる状態である。
上スイッチ32のデューティ比が大きくなり、下スイッチ36のデューティ比が小さくなることにより、下スイッチ36のON期間tがノイズ期間Nに近づくかノイズ期間Nよりも小さくなると、その下スイッチ36と同じ下アーム35にある検出器37が検出不能状態d−になる。他方、検出器37は、検出不能状態d−以外のときは、検出可能状態d+になる。そのため、上スイッチ32のデューティ比が所定の閾値Tよりも小さい間は、その相の検出器37は検出可能状態d+になり、上スイッチ32のデューティ比が閾値Tよりも大きくなると、その相の検出器37は検出不能状態d−になる。
ただし、U〜W相のいずれか1つの相の検出器37が検出不能状態d−である場合にも、残り2つ相の検出器37が検出可能状態d+である場合には、その検出可能状態d+である2相の検出器37で検出された電流値に基づいて、検出不能状態d−である1相の検出器37で検出されるべき電流値を演算することができる。U系三相コイル53に流れ込む電流値の和とU系三相コイル53から流れ出る電流値の和とは等しくなることから、U〜Wの各相配線3u〜3wに流れる電流値の和は、プラスマイナスゼロになるからである。
よって、U系インバータ30は、3相のうちの2相以上の検出器37が検出可能状態d+であれば、3相すべての各電流値Iu〜Iwを取得できる第1状態D+になる。他方、それ以外、すなわち、3相のうちの2相以上の検出器37が検出不能状態d−であれば、U系インバータ30は、少なくともいずれかの相の電流値Iu〜Iwを取得することができない第2状態D−になる。このPWM制御時においては、全ての期間で第1状態D+になる。
図6は、図5と同様のことをX系インバータ40について示すグラフである。この図6についての説明は、上記の図5についての説明と、「U」「V」「W」をそれぞれ「X」「Y」「Z」に読み替えると共に、符号を該当するものに読み換えて同様であるため省略する。上記のとおり、U系三相コイル53とX系三相コイル54とは、ロータ60の回転方向に互いに所定角度ずらして設置されている。そのため、図5に示すU相配線3uの検出器37が検出不能状態d−になる期間に対して、図6に示すX相配線4xの検出器47が検出不能状態d−になる期間がずれている。また、図5に示すV相配線3vの検出器37が検出不能状態d−になる期間に対して、図6に示すY相配線4yの検出器47が検出不能状態d−になる期間がずれている。また、図5に示すW相配線3wの検出器37が検出不能状態d−になる期間に対して、図6に示すZ相配線4zの検出器47が検出不能状態d−になる期間がずれている。
図7は、PWM制時において、各インバータ30,40がそれぞれ第1状態D+であるか第2状態D−であるか、及びそれにより、インバータ30,40が両系状態DuxであるかU系状態DuであるかX系状態Dxであるかを示している。両系状態Duxは、両方のインバータ30,40が第1状態D+である状態である。U系状態Duは、両方のインバータ30,40のうちU系インバータ30のみが第1状態D+である状態である。X系状態Dxは、両方のインバータ30,40のうちX系インバータ40のみが第1状態D+である状態である。このPWM制御時には、全期間で両系状態Duxになる。
図8の上側のグラフは、過変調制御時における、U系インバータ30の各相配線3u〜3wの上スイッチ32のデューティ比の時間変化を示すグラフである。図8の下側のグラフは、U系インバータ30の各検出器37が、検出可能状態d+であるか検出不能状態d−であるか、及びそれによりU系インバータ30が第1状態D+であるか第2状態D−であるかを示している。ここでは、一部の期間で、2相以上の検出器37が検出不能状態d−になることにより、その期間で、U系インバータ30が第2状態D−になる。
図9は、図8と同様のことをX系インバータ40について示すグラフである。この図9についての説明は、上記の図8についての説明と、「U」「V」「W」をそれぞれ「X」「Y」「Z」に読み換えると共に、符号を該当するものに読み換えて同様であるため省略する。過変調制御時もPWM制御時と同様に、図8に示すU〜Wの各相配線3u〜3wの検出器37が検出不能状態d−になる期間に対して、図9に示すX〜Zの各相配線4x〜4zの検出器47が検出不能状態d−になる期間が、それぞれずれている。
図10は、各インバータ30,40がそれぞれ第1状態D+であるか第2状態D−であるか、及びそれにより、インバータ30,40が両系状態DuxであるかU系状態DuであるかX系状態Dxであるかを示している。上記のとおり、U系三相コイル53とX系三相コイル54とは、ロータ60の回転方向に所定角度ずれているため、U系インバータ30とX系インバータ40とでは、第2状態D−になるタイミングがずれる。そのため、第2状態D−になるタイミング同士が重なり合わない。ここでは、インバータ30,40が両系状態DuxからU系状態Duになり、次にX系状態Dxになり、再び両系状態Duxになるサイクルを繰り返す。
図11は、U系制御部23及びX系制御部24による制御を示すブロック図である。U系制御部23は、電流演算部23iと、d軸判定部23d及びq軸判定部23qと、減算器231,232と、d軸制御部23D及びq軸制御部23Qと、電圧演算部23vとを備えている。X系制御部24も、同様に、電流演算部24iと、d軸判定部24d及びq軸判定部24qと、減算器241,242と、d軸制御部24D及びq軸制御部24Qと、電圧演算部24vとを備えている。
U系インバータ30については、U相の検出器37がU相電流値Iuを出力し、V相の検出器37がV相電流値Ivを出力し、W相の検出器37がW相電流値Iwを出力する。電流演算部23iは、U系d軸電流値Idu及びU系q軸電流値Iquを出力する。d軸判定部23dは、d軸電流値Idを出力する。q軸判定部23qは、q軸電流値Iqを出力する。減算器231は、d軸電流指令値Id*とd軸電流値Idとの偏差を出力する。減算器232は、q軸電流指令値Iq*とq軸電流値Iqとの偏差を出力する。d軸制御部23Dは、d軸電圧指令値Vd*を出力する。q軸制御部23Qは、q軸電圧指令値Vq*を出力する。電圧演算部23vは、U相電圧指令値Vu*、V相電圧指令値Vv*及びW相電圧指令値Vw*を出力する。
X系インバータ40については、X相の検出器47がX相電流値Ixを出力し、Y相の検出器47がY相電流値Iyを出力し、Z相の検出器47がZ相電流値Izを出力する。電流演算部24iは、X系d軸電流値Idx及びX系q軸電流値Iqxを出力する。d軸判定部24dは、d軸電流値Idを出力する。q軸判定部24qは、q軸電流値Iqを出力する。減算器241は、d軸電流指令値Id*とd軸電流値Idとの偏差を出力する。減算器242は、q軸電流指令値Iq*とq軸電流値Iqとの偏差を出力する。d軸制御部24Dは、d軸電圧指令値Vd*を出力する。q軸制御部24Qは、q軸電圧指令値Vq*を出力する。電圧演算部24vは、X相電圧指令値Vx*、Y相電圧指令値Vy*及びZ相電圧指令値Vz*を出力する。
次に、U系制御部23の詳細について説明する。U系インバータ30のU〜W相の各検出器37は、検出可能状態d+である場合には、検出した電流値Iu〜Iwを、電流演算部23iに入力する。他方、検出不能状態d−である場合には、電流値Iu〜Iwを電流演算部23iに入力しない。
各検出器37が検出可能状態d+であるか検出不能状態d−であるかの判定は、例えば、各検出器37について、それと共に同じ相配線3u〜3wに設けられている下スイッチ36のデューティ比が所定値よりも大きければ、検出可能状態d+と判定し、所定値よりも小さければ検出不能状態d−と判定することにより、行うことができる。また例えば、各検出器37について、それと共に同じ相配線3u〜3wに設けられている上スイッチ32のデューティ比が所定値よりも小さければ、検出可能状態d+と判定し、所定値よりも大きければ検出不能状態d−と判定することにより、行うことができる。また例えば、各検出器37について、その検出器37が設けられている相の電圧指令値Vu*〜Vw*が、所定値よりも小さければ、検出可能状態d+と判定し、所定値よりも大きければ検出不能状態d−と判定することにより、行うことができる。
電流演算部23iは、U〜Wの3相の各電流値Iu〜Iwが入力された場合には、それらに基づいて、U系dq軸電流値(Idu,Iqu)を演算する。また、3相の電流値Iu〜Iwのうちの2相のみの電流値が入力された場合には、その2相の電流値に基づいて残り1相の電流値を演算する。そして、それら3相の電流値Iu〜Iwに基づいて、U系dq軸電流値(Idu,Iqu)を演算する。他方、3相の電流値Iu〜Iwのうちの2相以上の電流値が入力されない場合には、U系dq軸電流値(Idu,Iqu)を演算しない。
U系dq軸電流値(Idu,Iqu)は、U系d軸電流値IduとU系q軸電流値Iquとを成分に含む。U系d軸電流値Iduは、U系三相コイル53に流れる電流におけるd軸磁束を発生させる成分である。U系q軸電流値Iquは、U系三相コイル53に流れる電流におけるq軸磁束を発生させる成分である。d軸磁束は、ロータ60の永久磁石66の磁束と同じ方向の磁束である。q軸磁束は、d軸磁束に直交する方向の磁束である。
電流演算部23iは、U系dq軸電流値(Idu,Iqu)を演算した場合には、U系d軸電流値Iduを、U系制御部23のd軸判定部23dとX系制御部24のd軸判定部24dとに入力すると共に、U系q軸電流値Iquを、U系制御部23のq軸判定部23qとX系制御部24のq軸判定部24qとに入力する。他方、電流演算部23iは、U系dq軸電流値(Idu,Iqu)を演算しない場合には、U系dq軸電流値(Idu,Iqu)を各制御部23,24の各判定部23d,23q,24d,24qに入力することをしない。
d軸判定部23dは、U系d軸電流値Iduが入力されると、U系インバータ30が第1状態D+であると、すなわちインバータ30,40が両系状態Dux又はU系状態Duであると判定する。そして、U系d軸電流値Iduを、d軸電流値Idとして採用して減算器231に入力する。
他方、d軸判定部23dは、U系d軸電流値Iduが入力されず、かつ、X系d軸電流値Idxが入力される場合は、U系インバータ30が第2状態D−でありX系インバータ40が第1状態D+であると、すなわちインバータ30,40がX系状態Dxであると判定する。そして、X系d軸電流値Idxを、d軸電流値Idとして採用して減算器231に入力する。
また、d軸判定部23dは、U系d軸電流値Iduが入力されず、かつ、X系d軸電流値Idxも入力されない場合は、両方のインバータ30,40が第2状態D−であると判定する。この場合、前回のd軸電流値Idを保持して、これを減算器231に入力する。
減算器231は、上位ECUから入力されるd軸電流指令値Id*と、d軸判定部23dから入力、すなわちフィードバックされるd軸電流値Idとから、それらの偏差を演算してd軸制御部23Dに入力する。
d軸制御部23Dは、減算器231から入力された偏差から、d軸電圧指令値Vd*を演算して電圧演算部23vに入力する。d軸電圧指令値Vd*は、印加すべきd軸電圧の指令値である。この演算は、比例項と積分項とを用いるフィードバック制御であるPI制御により行う。
q軸判定部23q及びq軸制御部23Qについての説明は、上記のd軸判定部23d及びd軸制御部23Dについての説明と、「d軸」を「q軸」に読み替えると共に、符号を該当するものに読み替えて同様であるため省略する。
電圧演算部23vは、d軸制御部23Dから入力されるd軸電圧指令値Vd*と、q軸制御部23Qから入力されるq軸電圧指令値Vq*とに基づいて、U〜Wの各相の電圧指令値Vu*〜Vw*を演算する。各相の電圧指令値Vu*〜Vw*は、その相に印加すべき電圧の指令値である。それら各相の電圧指令値Vu*〜Vw*に基づいて、U系インバータ30を制御する。詳しくは、各相の電圧指令値Vu*〜Vw*に基づいて、その相の上下の各スイッチ32,36のデューティ比を演算し、そのデューティ比に基づいて上下の各スイッチ32,36をデューティ制御する。
X系制御部24の詳細についての説明は、上記のU系制御部23の詳細についての説明と、「U」及び「X」の各方を他方に読み替え、「V」「W」をそれぞれ「Y」「Z」に読み替えると共に、符号を該当するものに読み替えて同様であるため省略する。
図12は、以上に示したU系制御部23による制御を示すフローチャートである。まず、dq軸の判定部23d,23qが、U系インバータ30が第1状態D+であるか否かを判定する(S101)。U系インバータ30が第1状態D+であると判定した場合(S101:YES)、U系dq軸電流値(Idu,Iqu)をdq軸電流値(Id,Iq)として採用する(S102)。
他方、S101で、U系インバータ30が第2状態D−であると判定した場合(S101:NO)、X系インバータ40が第1状態D+であるか否かを判定する(S105)。X系インバータ40が第1状態D+であると判定した場合(S105:YES)、X系dq軸電流値(Idx,Iqx)をdq軸電流値(Id,Iq)として採用する(S106)。
他方、S105で、X系インバータ40が第2状態D−であると判定した場合(S105:NO)、dq軸電流値(Id,Iq)として前回値を保持する(S107)。
次に、採用されたdq軸電流値(Id,Iq)に基づいて、dq軸の制御部23D,23Qがdq軸の電圧指令値(Vd*,Vq*)を演算する(S108)。次に、演算されたdq軸の電圧指令値(Vd*,Vq*)に基づいて、電圧演算部23vがU〜W相の電圧指令値Vu*〜Vz*を演算する(S109)。
X系制御部24による制御を示すフローチャート及びその説明は、図12のフローチャート及びその説明と、「U」及び「X」の各方を他方に読み替え、「V」「W」をそれぞれ「Y」「Z」に読み替えると共に、符号を該当するものに読み替えて同様であるため省略する。
本実施形態によれば次の効果が得られる。複数の三相コイル53,54は、ロータ60の回転方向に互いに所定角度ずらして設置されているため、各インバータ30,40が所定のタイミングで第2状態D−になるとしても、それらのタイミングは互いにずれる。そのため、U系インバータ30が第2状態D−と判定される期間には、U系制御部23は、X系インバータ40で検出される電流値Ix〜Izに基づくX系dq軸電流値(Idx,Iqx)を用いて、U系インバータ30の各スイッチ32,36を制御することができる。また、X系インバータ40が第2状態D−と判定される期間には、X系制御部24は、U系インバータ30で検出される電流値Iu〜Iwに基づくU系dq軸電流値(Idu,Iqu)を用いて、X系インバータ40の各スイッチ42,46を制御することができる。
また、本実施形態では、U系インバータ30を制御するU系制御部23と、X系インバータ40を制御するX系制御部24とがあるため、各制御部23,24は、自身に対応するインバータ30,40のみを制御すればよく、制御がシンプルになる。
また、本実施形態では、2つの三相コイル53,54が30度以上ずれているため、両方のインバータ30,40が同時に第2状態D−になるといった事態になり難い。そのため、変調比の自由度が上がる。また、各相のスイッチ32,36のデューティ比に基づいて、又は各相に対する電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*に基づいて、その相の検出器37が検出可能状態d+であるか検出不能状態d−であるかを判定することにより、その判定をシンプルに行うことができる。
[第2実施形態]
次に本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態については、第1実施形態のものと同一の又は対応する部材等は、同一の符号を付する。ただし、回転電機システム自体については、第1実施形態のものと異なる符号を付する。本実施形態については、第1実施形態と異なる点のみを説明する。
次に本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態については、第1実施形態のものと同一の又は対応する部材等は、同一の符号を付する。ただし、回転電機システム自体については、第1実施形態のものと異なる符号を付する。本実施形態については、第1実施形態と異なる点のみを説明する。
図13は、本実施形態の回転電機システム92を示す回路図である。制御装置20は、U系制御部23及びX系制御部24に分かれていない。制御装置20には、双方のインバータ30,40の各検出器37,47から電流値が入力される。また、制御装置20は、双方のインバータ30,40の各スイッチ32,36,42,46をデューティ制御する。
図14は、制御装置20による制御を示すブロック図である。制御装置20は、U系及びX系の電流演算部23i,24iと、d軸判定・演算部20d及びq軸判定・演算部20qと、減算器201,202と、d軸制御部20D及びq軸制御部20Qと、U系及びX系の電圧演算部23v,24vと、を備えている。
U系の電流演算部23iは、U系dq軸電流値(Idu,Iqu)を演算した場合には、U系d軸電流値Iduをd軸判定・演算部20dに入力すると共に、U系q軸電流値Iquをq軸判定・演算部20qに入力する。他方、電流演算部23iは、U系dq軸電流値(Idu,Iqu)を演算しない場合には、U系dq軸電流値(Idu,Iqu)を各判定・演算部20d,20qに入力することはない。上記以外は、第1実施形態のU系制御部23の電流演算部23iと同様である。
X系の電流演算部24iについての説明は、上記のU系の電流演算部23iについての説明と、「U系」を「X系」に読み替えると共に、符号を該当するものに読み替えて同様であるため、省略する。
d軸判定・演算部20dは、U系d軸電流値IduとX系d軸電流値Idxとの両方が入力される場合には、両方のインバータ30,40が第1状態D+であると、すなわち、インバータ30,40が両系状態Duxであると判定する。そして、U系d軸電流値IduとX系d軸電流値Idxとの平均値(詳しくは相加平均値)を演算する。その平均値をd軸電流値Idとして採用して減算器201に入力する。
他方、d軸判定・演算部20dは、U系d軸電流値Iduが入力され、かつ、X系d軸電流値Idxが入力されない場合には、U系インバータ30が第1状態D+でありX系インバータ40が第2状態D−であると、すなわち、インバータ30,40がU系状態Duであると判定する。そして、U系d軸電流値Iduをd軸電流値Idとして採用して減算器201に入力する。上記以外は、第1実施形態のd軸判定部23d,24dと同様である。
減算器201は、d軸電流指令値Id*と、d軸判定・演算部20dから入力されるd軸電流値Idとから、それらの偏差を演算してd軸制御部20Dに入力する。それ以外は、第1実施形態の減算器231,241と同様である。d軸制御部20Dは、演算したd軸電圧指令値Vd*を、UX系両方の電圧演算部23v,24vに入力する。それ以外は、第1実施形態のd軸制御部23D,24Dと同様である。
q軸判定・演算部20q及びq軸制御部20Qについての説明は、上記のd軸判定・演算部20d及びd軸制御部20Dについての説明と、「d軸」を「q軸」に読み替えると共に、符号を該当するものに読み替えて同様であるため省略する。
図15は、以上に示した制御装置20による制御を示すフローチャートである。まず、dq軸の判定・演算部20d,20qが、U系インバータ30が第1状態D+であるか否かを判定する(S201)。U系インバータ30が第1状態D+であると判定した場合(S201:YES)、X系インバータ40が第1状態D+であるか否かを判定する(S202)。
X系インバータ40が第1状態D+であると判定した場合(S202:YES)、インバータ30,40が両系状態Duxであると判定する。そして、U系dq軸電流値(Idu,Iqu)とX系dq軸電流値(Idx,Iqx)との平均値をdq軸電流値(Id,Iq)として採用する(S203)。他方、S202で、X系インバータ40が第2状態D−であると判定した場合(S202:NO)、インバータ30,40がU系状態Duであると判定する。そして、U系dq軸電流値(Idu,Iqu)をdq軸電流値(Id,Iq)として採用する。
他方、S201で、U系インバータ30が第2状態D−であると判定した場合(S201:NO)、X系インバータ40が第1状態D+であるか否かを判定する(S205)。X系インバータ40が第1状態D+であると判定した場合(S205:YES)、インバータ30,40がX系状態Dxであると判定する。この場合、X系dq軸電流値(Idx,Iqx)をdq軸電流値(Id,Iq)として採用する。他方、S205でX系インバータ40が第2状態D−であると判定した場合(S205:YNO)、両方のインバータ30,40が第2状態D−であると判定する。この場合、dq軸電流値(Id,Iq)を前回値のまま保持する(S207)。
次に、dq軸の制御部20D,20Qが、dq軸電流値(Id,Iq)に基づいてdq軸の電圧指令値(Vd*,Vq*)を演算する(S208)。次に、演算されたdq軸の電圧指令値(Vd*,Vq*)に基づいて、U系の電圧演算部23vがU〜W相の電圧指令値Vu*〜Vw*を演算すると共に、X系の電圧演算部24vがX〜Z相の電圧指令値Vx*〜Vz*を演算する(S209)。
本実施形態によれば、次の効果が得られる。UX系両方のインバータ30,40が、常に共通のdq軸電流値に基づくdq軸電圧指令値(Vd*,Vq*)に基づいて制御されることになる。そのため、インバータ30,40毎にdq軸電圧指令値(Vd*,Vq*)を演算する必要がない。
また、U系dq軸電流値(Idu,Iqu)とX系d軸電流値(Idx,Iqx)とが乖離している場合における制御の乱れを小さく抑えることができる。その理由を以下に説明する。U系インバータ30において、第1実施形態のように、両系状態Dux及びU系状態Duの期間にはU系dq軸電流値(Idu,Iqu)を採用し、X系状態Dxの期間にはX系dq軸電流値(Idx,Iqx)を採用する場合には、例えば、両系状態Dux及びX系状態Dxの一方から他方に移行する際に、採用されるdq軸電流値(Id,Iq)が、U系dq軸電流値(Idu,Iqu)からX系dq軸電流値(Idx,Iqx)に変動することになる。他方、本実施形態のように、両系状態Duxの期間にはU系dq軸電流値(Idu,Iqu)とX系dq軸電流値(Idx,Iqx)との平均値を採用するようにすれば、両系状態Dux及びX系状態Dxの一方から他方に移行する際に、採用されるdq軸電流値(Id,Iq)が、当該平均値からX系dq軸電流値(Idx,Iqx)に変動するのみとなる。そのため、第1実施形態に比べて、採用されるdq軸電流値(Id,Iq)の変動を小さく抑えられ、それにより制御の乱れを小さく抑えることができる。
X系インバータ40においても、上記のU系インバータ30の場合と、「U系」及び「X系」の各方を他方に読み替えると共に、符号を該当するものに読み替えて同様である。
図16は、上記の効果を説明するための図である。図16(a)〜(c)は、第1実施形態において、U系d軸電流値IduとX系d軸電流値Idxとが乖離している場合における各値の時間変化を示すグラフである。詳しくは、図16(a)は、第1実施形態において、U系d軸電流値Iduと、X系d軸電流値Idxと、U系で採用するd軸電流値Idとの時間変化を示すグラフである。図16(b)は、第1実施形態において、U系d軸電流値Iduと、X系d軸電流値Idxと、X系で採用するd軸電流値Idとの時間変化を示すグラフである。図16(c)は、第1実施形態において、U系におけるd軸電圧指令値Vd*とX系におけるd軸電圧指令値Vd*との時間変化を示すグラフである。
第1実施形態のU系の制御においては、図16(a)に示すように、両系状態Dux及びU系状態Duでは、U系d軸電流値Iduがd軸電流値Idとして採用される。他方、X系状態Dxでは、X系d軸電流値Idxがd軸電流値Idとして採用される。そのため、X系状態DxになるときやX系状態Dxが終わるときに、U系で採用するd軸電流値Idが、U系d軸電流値Idu及びX系d軸電流値Idxの一方から他方に変動してしまう。それにより、そのU系で採用するd軸電流値Idに基づき演算される図16(c)に示すU系のd軸電圧指令値Vd*も、X系状態DxになるときやX系状態Dxが終わるときに、変動してしまう。それにより、図16(a)に示すU系d軸電流値Iduも、X系状態DxになるときやX系状態Dxが終わるときに、揺れ動いてしまうといった悪循環に陥るおそれがある。
図16(b)についての説明は、上記の図16(a)についての説明と、「図16(a)」を「図16(b)」に読み替え、「U系」及び「X系」の各方を他方に読み替えると共に、符号を該当するものに読み替えて同様であるため、省略する。
図16(d)(e)は、本実施形態において、U系d軸電流値IduとX系d軸電流値Idxとが乖離している場合における各値の時間変化を示すグラフである。詳しくは、図16(d)は、第2実施形態において、U系d軸電流値Iduと、X系d軸電流値Idxと、採用されるd軸電流値Idとの時間変化を示すグラフである。図16(e)は、第2実施形態において、d軸電圧指令値Vd*の時間変化を示すグラフである。
第2実施形態においては、図16(d)に示すように、両系状態Duxでは、U系d軸電流値Idu及びX系d軸電流値Idxの平均値がd軸電流値Idとして採用される。他方、U系状態Duでは、U系d軸電流値Iduがd軸電流値Idとして採用され、X系状態Dxでは、X系d軸電流値Idxがd軸電流値Idとして採用される。よって、両系状態DuxからU系状態Duになるときのd軸電流値Idの変動が、図16(b)に示す第1実施形態のX系に比べて小さくなる。また、図16(d)に示すX系状態Dxから両系状態Duxになるときのd軸電流値Idの変動が、図16(a)に示す第1実施形態のU系に比べて小さくなる。それにより、そのd軸電流値Idに基づき演算される図16(e)に示すd軸電圧指令値Vd*の変動も、図16(c)に示す第1実施形態に比べて小さくなる。そのため、図16(e)に示すd軸電圧指令値Vd*の変動による、図16(d)に示すU系d軸電流値Idu及びX系d軸電流値Idxの変動も小さくなる。そのため、上記のとおり、制御の乱れを小さく抑えることができる。
なお、図16では、「d軸」についてのみ説明したが、「q軸」についての説明も、上記のd軸についての説明と、「d軸」を「q軸」に読み替えると共に、符号を該当するものに読み替えて同様である。
[他の実施形態]
本実施形態は、次のように変更して実施できる。例えば、三相コイルを3つ以上にしてもよい。また例えば、各検出器37,47を下アーム35,45に設ける代わりに、上アーム33,43に設けるようにしてもよい。また例えば、U系三相コイル53とX系三相コイル54とのずれを30°未満にしてもよい。また例えば、各インバータ30,40を、過変調制御時のみならず、PWM制御時において変調比が大きくなる時にも、第2状態D−になるようにしてもよい。
本実施形態は、次のように変更して実施できる。例えば、三相コイルを3つ以上にしてもよい。また例えば、各検出器37,47を下アーム35,45に設ける代わりに、上アーム33,43に設けるようにしてもよい。また例えば、U系三相コイル53とX系三相コイル54とのずれを30°未満にしてもよい。また例えば、各インバータ30,40を、過変調制御時のみならず、PWM制御時において変調比が大きくなる時にも、第2状態D−になるようにしてもよい。
また例えば、各検出器37,47は、検出可能状態d+及び検出不能状態d−のいずれの場合でも、電流値Iv〜Iw,Ix〜Izを検出して電流演算部23i,24iに入力するようにしてもよい。そして、電流演算部23i,24iが、各検出器37,47が検出可能状態d+であるか検出不能状態d−であるかの判定をするようにしてもよい。
また例えば、第2実施形態において、U系dq軸電流値(Idu,Iqu)とX系dq軸電流値(Idx,Iqx)との相加平均値をdq軸電流値(Id,Iq)として採用するのに代えて、それらの相乗平均値をdq軸電流値(Id,Iq)として採用してもよい。また例えば、平均値を採用するのに代えて、状況に応じて、U系dq軸電流値(Idu,Iqu)とX系dq軸電流値(Idx,Iqx)との重みづけを変えて、例えば、それらの7:3の内分値や4:6の内分値等をdq軸電流値(Id,Iq)として採用してもよい。
20…制御装置、20d…d軸判定・演算部、20q…q軸判定・演算部、23d…d軸判定部、23q…q軸判定部、24d…d軸判定部、24q…q軸判定部、32…上スイッチ、33…上アーム、34…本線、35…下アーム、36…下スイッチ、37…検出器、42…上スイッチ、43…上アーム、44…本線、45…下アーム、46…下スイッチ、47…検出器、53…U系三相コイル、54…X系三相コイル、60…ロータ、91…回転電機システム、92…回転電機システム、D+…第1状態、D−…第2状態、Iu…U相電流値、Iv…V相電流値、Iw…W相電流値、Ix…X相電流値、Iy…Y相電流値、Iz…Z相電流値。
Claims (9)
- 回転自在に設けられているロータ(60)と、電流が流されることにより前記ロータにトルクを発生させる複数組の三相コイル(53,54)と、前記三相コイル毎に設けられているインバータ(30,40)と、各前記インバータを制御する制御装置(20)とを有し、
複数組の前記三相コイルは、前記ロータの回転方向に互いに所定角度ずらして設置され、
各前記インバータは、所定電位の上配線(31,41)と、前記所定電位よりも低電位の下配線(39,49)とを備えると共に、前記三相コイルのコイル毎に相配線(3u〜3w,4x〜4z)を備え、
各前記相配線は、前記コイルの一端部に接続されている本線(34,44)と、前記本線を前記上配線に接続している上アーム(33,43)と、前記本線を前記下配線に接続している下アーム(35,45)とを備え、前記上アーム及び前記下アームの一方である第1アームに第1スイッチ(32,42)が設けられ、前記上アーム及び前記下アームの他方である第2アームに、第2スイッチ(36,46)と電流値を検出する検出器(37,47)とが設けられ、
前記制御装置は、前記検出器により検出される電流値(Iu〜Iw,Ix〜Iz)を用いて、第1及び第2の各前記スイッチをデューティ制御するものであり、
前記制御装置は、各前記インバータについて、当該インバータ自身の2以上の前記相配線の前記検出器で電流値を検出可能(d+)とみなせる第1状態(D+)であるか、それ以外の第2状態(D−)であるかを判定する判定部(20d,20q,23d,23q,24d,24q)を備え、
前記制御装置は、いずれかの前記インバータが前記第2状態であると判定される期間には、その期間に前記第1状態であると判定される他の前記インバータの前記検出器により検出される電流値を用いて、前記第2状態であると判定される前記インバータの各前記スイッチをデューティ制御する、
回転電機システム。 - 前記制御装置は、前記インバータ毎に設けられている複数の制御部(23,24)を備え、
各前記制御部は、自身に対応する前記インバータが前記第1状態であると判定される期間には、自身に対応する前記インバータの前記検出器により検出される電流値を用いて、自身に対応する前記インバータの各前記スイッチをデューティ制御し、自身に対応する前記インバータが前記第2状態であると判定される期間には、前記第1状態であると判定される前記インバータの前記検出器により検出される電流値を用いて、自身に対応する前記インバータの各前記スイッチをデューティ制御する、
請求項1に記載の回転電機システム。 - 前記制御装置は、前記第1状態であると判定される前記インバータの前記検出器により検出される電流値に基づいて、複数の前記インバータに対して共通のdq軸電圧指令値(Vd*,Vq*)を演算し、前記共通のdq軸電圧指令値を用いて、複数の前記インバータの各前記スイッチをデューティ制御する、請求項1に記載の回転電機システム。
- 前記制御装置は、前記第1状態であると判定される前記インバータ毎に、当該インバータ自身の前記検出器により検出される電流値に基づいて、所定のdq軸電流値(Idu,Iqu,Idx,Iqx)を演算する第1演算部(23i,24i)と、前記インバータ毎に演算された複数の前記dq軸電流値に基づいて、複数の前記インバータに対して共通のdq軸電流値(Id,Iq)を演算する第2演算部(20d,20q)と、前記共通のdq軸電流値を用いて前記共通の電圧指令値を演算する第3演算部(20D,20Q)とを備える、請求項3に記載の回転電機システム。
- 前記共通のdq軸電流値は、前記複数の前記dq軸電流値の平均値である、請求項4に記載の回転電機システム。
- 前記所定角度は30度以上である請求項1〜5のいずれか1項に記載の回転電機システム。
- 前記制御装置は、各前記検出器について、当該検出器と共に同じ前記相配線に設けられている前記スイッチの前記デューティ制御におけるデューティ比に基づいて、電流値を検出可能とみなせる(d+)か否かを判定する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の回転電機システム。
- 前記制御装置は、前記三相コイルの相毎に、印加すべき電圧の指令値である電圧指令値(Vu*〜Vw*,Vx*〜Vz*)を演算し、各前記スイッチを、当該スイッチに対応する相に対する前記電圧指令値に基づいて、デューティ制御するものであり、
前記制御装置は、各前記検出器について、当該検出器に対応する相に対する前記電圧指令値に基づいて、電流値を検出可能とみなせる(d+)か否かを判定する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の回転電機システム。 - 前記制御装置は、前記検出器により検出される電流値に基づいて、所定のdq軸電流値(Idu,Iqu,Idx,Iqx)を演算する演算部(23i,24i)を備え、いずれかの前記インバータが前記第2状態であると判定される期間には、その期間に前記第1状態であると判定される他の前記インバータの前記検出器により検出される電流値に基づく前記dq軸電流値を用いて、前記第2状態であると判定される前記インバータの各前記スイッチをデューティ制御する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の回転電機システム。
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