JP2020117813A - ニッケル基合金 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた耐粒界腐食性を引き出すことのできるNi基合金を提供する。【解決手段】 以下質量%にて、C:0.005〜0.03%、Si:0.02〜1%、Mn:0.02〜1%、P≦0.03%、S:0.005%以下、Cr:18〜24%、Mo:8〜10%、Nb:2.5〜5.0%、Al:0.05〜0.4%、Ti:1%以下、Fe:5%以下、N:0.02%以下、残部Niおよび不可避的不純物からなり、前記C濃度範囲において、すべての炭化物に対して、(Nb,Ti)C炭化物の割合が90%以上であり、2000×%C+890≦T(温度℃)≦1030にて、前記(Nb,Ti)C炭化物の個数が6000〜100000(個/mm2)であることを特徴とするNi基合金。【選択図】図1

Description

本発明は、化学プラント、天然ガス配管及び容器に代表される各種用途に使用されるNi基合金に関するものである。
Ni基合金、特に、Ni−Cr−Mo−Nb合金は、優れた耐食性を有するため、腐食性の強い過酷な環境で使用される。このようにFe基合金では腐食する危険のある過酷な環境で使用される合金である。そのため、表面の耐食性はとりわけ重要視される。
Ni−Cr−Mo−Nb合金の耐食性を充分に活かすため、不動態皮膜の形成に関する技術が示されている(例えば、特許文献1参照)。耐食性の威力を発揮するのは表面であるので、とりわけ表面の状態は重要である。表面を微視的に見ると、結晶粒で構成されている。結晶粒の表面は、緻密な不動態皮膜によって、十分確保される。しかしながら、結晶粒界は、耐食性に劣る問題があった。その理由は、Ni−Cr−Mo−Nb合金は、熱処理の条件が不適切であると、粒界にCrやMoを含有する析出物が形成されることがある。Ni、Cr、Mo、Oを主成分とする耐食性に有効な不動態被膜は、析出物上には緻密に形成され難いので耐食性の劣化を招く。さらに鋭敏化して耐食性を低下させる。つまり、CrやMoを含有する析出物近傍は、母材のCrやMoが析出物に拡散してしまい、これらの元素の欠乏層が形成される。CrやMoは耐食性に有効な元素であるため、腐食環境において不動態被膜が溶解すると、このCrとMoの欠乏層から腐食が発生し、著しく耐食性が悪化する。
上記の課題に対して、固溶化熱処理を施すことで、炭化物の存在しないNi基合金を提供する技術が開示されている(例えば、特許文献2参照)。実際に、この技術によれば、工場から出荷する段階では優れた耐食性を有している。しかしながら、Ni基合金はパイプライン、化学プラント、反応容器などに加工されて使われるため、これらの加工や溶接の工程を経て熱処理を行う場合もある。その際に、適切でない熱処理を実施してしまうと、粒界にCrやMoを含有する析出物が形成されることがある。そうすると、上述した機構により耐粒界腐食性を損ない、粒界腐食が進行し、最悪の場合は素材を貫通する程の甚大な問題を起こす。このように、耐食性に有効な元素であるCrやMoを含有する炭化物を、結晶粒界に形成させないことは、非常に重要な技術であると言える。
Moを11〜20%含有するNi−Cr−Mo−Nb合金において、CrやMoを含有する炭化物形成を防止する技術が示されている(例えば、特許文献3参照)。すなわち、600〜800℃で1〜200時間の時効熱処理を施すことで、粒界にNbCを析出させることでCrやMoを含有する炭化物形成を防止する技術である。しかしながら、600〜800℃で1〜200時間の長時間時効熱処理が必要であり、パイプライン、化学プラント、反応容器等を組み上げた後に実施するのは非現実的であるという問題があった。つまり、工業的には適用が不可能な方法であった。なおかつ、NbCのサイズと密度に関しては何ら記載が無く、本技術にて安定化されるかについて疑問もあった。
NbCを析出させない条件、すなわち、固溶化熱処理を行い、試験片を作製した後、歪を与えながら耐粒界腐食試験で評価して開発した耐粒界破壊性に優れるNi基合金が提案されている(例えば、特許文献4参照)。上述した通り、炭化物が固溶化した状態であると、パイプライン、化学プラント、反応容器などに組み上げた後、適切でない熱処理を実施してしまうと、粒界にCrやMoを含有する析出物が形成されることがあり、実用性に欠ける問題があった。
また、1000〜1100℃で固溶化熱処理を行い、200℃/秒以上の急冷により炭化物を固溶させる技術が開示されている(例えば、特許文献5参照)。確かに、その状態が実現できれば、耐食性は確保できると言える。しかし、実際に、パイプライン、化学プラント、反応容器等を組み上げた後に当該熱処理と急冷を行うことは非現実的であり、実用性に欠ける問題があった。
特開2015−183290号公報 特開昭57−9861号公報 特開平7−11404号公報 特開平5−255787号公報 特開平5−140707号公報
上記した従来技術に鑑み、まずNi基合金のCrやMoを含有する析出物を制御するために、C量が炭化物の析出挙動に与える影響を明確にし、優れた耐粒界腐食性を引き出すことのできるNi基合金を提供することを目的とする。
発明者らは、上記問題を解決するために、鋭意研究を行った。実際に実機で製造した製品を評価した。すなわち、連続鋳造機で製造したスラブを熱間圧延し、6mm厚の熱間圧延板を得て、その後冷間圧延を行い4mmの冷延板を製造した。その冷延板から20×25mmの試験片を採取し、NbCの割合、M6C(Mは、主にMo、Ni、Cr、Siである)の割合、M23C6(Mは主にCr、Mo、Feである)の割合、NbCの密度、サイズの因子と耐粒界腐食試験結果の相関関係から、本願発明を完成させた。つまり、M6CとM23C6の析出を抑制し、NbCを効果的に析出させる事で耐粒界腐食性を高く維持できることを見出した。この発明は、Ni−Cr−Mo−Nb系の多元系合金の平衡状態図を詳細に解析することによって定量的にC濃度と温度の関係を明確にすることで、より正確な制御を可能にした。
特に本合金において、Nbの添加効果は極めて重要で強度を高めるだけでなく、耐粒界腐食性を劣化させる鋭敏化状態を防止するにあたっても極めて重要である。その理由は、耐粒界腐食性を良好な状態に保つために重要な元素であるCr、Moを固溶状態に保つためにCがNbと結合し、NbCを形成することに基づく。本発明は、上記の知見に基づき開発されたものである。
すなわち、本発明のNi基合金は、以下質量%にて、C:0.005〜0.03%、Si:0.02〜1%、Mn:0.02〜1%、P≦0.03%、S:0.005%以下、Cr:18〜24%、Mo:8〜10%、Nb:2.5〜5.0%、Al:0.05〜0.4%、Ti:1%以下、Fe:5%以下、N:0.02%以下、残部Niおよび不可避的不純物からなり、前記C濃度範囲において、すべての炭化物に対して、(Nb,Ti)C炭化物の割合が90%以上であり、2000×%C+890≦T(温度℃)≦1030にて、(Nb,Ti)C炭化物の個数が6000〜100000(個/mm )であることを特徴とする。
本発明のNi基合金においては、前記T(温度℃)の範囲は、2000×%C+890≦T(温度℃)≦980であることを好ましい態様とする。
本発明のNi基合金においては、N:0.002〜0.02%であることを好ましい態様とする。
本発明のNi基合金においては、(Nb,Ti)C炭化物の大きさが0.03〜3μmであることを好ましい態様とする。
本発明のNi基合金においては、ASTM G28 Method A試験において腐食度が1.5mm/y未満であることを好ましい態様とする。
本発明のNi基合金においては、500〜800℃、1〜20hにおいて熱処理を施した後、ASTM G28 Method A試験において腐食度が1.5mm/y未満であることを好ましい態様とする。
(Nb,Ti)C炭化物を形成する事でCrやMoの炭化物の析出を抑えることができる。それによって、耐粒界腐食性を良好な状態に維持する事ができるので、合金の出荷先で実施される熱処理によっても耐粒界腐食性の低下が抑制され、極めて厳しい環境で使用する素材を提供する事が可能となる。
本発明のNi基合金における平衡状態図を示すグラフであり、温度と炭素含有量(mass%)の関係を示す。 本発明のNi基合金における(Nb,Ti)C炭化物の個数(個/mm)と熱処理温度の関係を示すグラフである。
以下、本願発明の成分範囲を限定した理由を説明する。なお、%はすべてmass%(質量%)である。
C:0.005〜0.03%
Cは合金の強度を保つために有用な元素である。そのため、0.005%は必要である。しかしながら、熱処理過程や溶接時における熱影響部等において、CrやMoと結合し炭化物を析出する。Cr、Moは耐食性を維持するために有効な元素であり、析出物の周囲では欠乏層が生じてしまい、耐粒界腐食性を損なう。そのため、Cは0.03%以下と定めた。したがって、0.005〜0.03%と定めた。好ましくは0.007〜0.028%、さらに好ましくは0.01〜0.02%、より好ましくは、0.011〜0.018%である。
Si:0.02〜1%
Siは脱酸のために有効な元素であり、0.02%は必要である。しかしながら、M6CとM23C6の形成を助長して、耐粒界腐食性を低下させる元素でもあるので、1%以下に抑える必要がある。したがって、0.02〜1%と定めた。
Mn:0.02〜1%
Mnは脱酸のために有効な元素であり、0.02%は必要である。しかしながら、1%を超えるとMnSを形成し易くなり、耐孔食性を悪化させるため、0.02〜1%と定めた。
P≦0.03%
Pは、熱間加工性に有害な元素であり、極力低減することが望ましい。したがって、0.03%以下と定めた。
S:0.005%以下
Sは、Pと同様に熱間加工性に有害な元素であり、極力低減することが望ましい。したがって、0.005%以下と定めた。
Cr:18〜24%
Crは、不動態皮膜を構成して耐食性を維持するために重要な元素である。母材のCr
濃度は18%以上含有する必要がある。しかしながら、過剰な含有はM23C6(Mは主にCr、Mo、Fe)を析出し易くする。24%を超えるとこの傾向が顕著となり、耐食性を低下させるため18〜24%と規定した。好ましくは20〜23%、さらに好ましくは21〜22.8%である。
Mo:8〜10%
Moは不導態皮膜を構成して耐食性を維持するために重要な元素である。母材のMo濃度は8%以上含有する必要がある。しかし、過剰な含有はM6C(Mは、主にMo、Ni、Cr、Si)を析出し易くなることに加え、強度が高くなり加工性が悪化するため8〜10%と規定した。好ましくは8.1〜9.0%、さらに好ましくは8.2〜8.7%である。
Nb:2.5〜5.0%
Nbは強度を高める元素である。さらに、炭素と結合しNbCを形成するため、Mo、Crと炭素の結合を防ぐ重要な効果を示す。そのため、耐粒界腐食性を高める役割もある。しかしながら、5%以上では延性発現温度が低下してしまい、熱間加工ができなくなってしまう。そのため、2.5〜5.0%の範囲に定めた。好ましくは3〜4.8%、さらに好ましくは3.5〜4.5%である。
Al:0.05〜0.4%
Alは脱酸および脱硫のために重要な元素である。脱酸、脱硫を行い、本発明の範囲であるS:0.005%以下を満足するために0.05%は必要である。0.4%を超えての添加は、アルミナクラスターを形成してしまう危険性がある。そのため、0.05〜0.4%と規定した。好ましくは0.1〜0.35%、さらに好ましくは0.15〜0.33%である。
Ti:1%以下
Tiは強度を高めるため有効な元素であるとともに、Nbと同様にTiは炭素と結合しTiCを形成して、Cr、Moの炭化物の形成を防ぐ。そのため、耐粒界腐食性を高める性質を持つため、1%以下の範囲で添加する。
Fe:5%以下
Feは製造コストを低減させるために添加されることがあるが、不動態皮膜中のFe濃度が高くなると耐食性を低下させるために5%以下と定めた。好ましくは4.8%以下、さらに好ましくは4.7%以下である。
N:0.02%以下
Nは、クラスター化して表面欠陥をもたらすTiNを形成するために極力低く抑える必要がある。したがって、0.02%以下と定めた。一方、強度および耐食性を発現させるために最低限度の添加が好ましく、0.002%以上添加すると好ましい。さらに好ましくは0.002〜0.015%である。なお、N濃度はAODまたはVODにおいて、窒素ガス吹き込みあるいは窒化フェロクロムの添加により、精緻に制御した。
基本的に本発明の合金はNi基合金である。その理由は、次の通りである。Niは貴金属であるから、Feより耐食性に優れている。不動態皮膜中においてはFeのように水酸化物Fe(OH)を生成しないため、不動態皮膜は緻密かつ保護作用も高い。また、Ni基合金はFe基合金に比べて固溶できる合金元素の含有量が高いため、CrやMo等の耐食性を高める元素をより多く含有できる。そのため優れた耐食性を有する保護皮膜を母材表面に形成させるためにはNi基合金である必要がある。また、本発明で言う不可避的不純物とは、Cu、Co、W、Ta、V、B、Hである。
上記のC濃度範囲(C:0.005〜0.03%)において、すべての炭化物に対して、(Nb,Ti)C炭化物の割合が90%以上必要である理由を説明する。M6CとM23C6の析出する割合を10%未満に抑えないと、ASTM G28 Method A試験において腐食度が1.5mm/y未満を達成できないためである。
2000×%C+890≦T(温度℃)≦1150にて、−30×T+37220≦(Nb,Ti)C炭化物の個数(個/mm)≦−7.7×T+15700×T−7866000の割合で含む原理は、実験的に検証され、なおかつ平衡状態図との整合性から導き出されたものである。条件を満たせば(Nb,Ti)C炭化物の割合が90%以上となり、さらにASTM G28 Method A試験において腐食度が1.5mm/y未満を達成できるためである。さらに、10×C%+950の境界より30℃高い温度の範囲では、M6CやM23C6が固溶し、NbCが一部残存するため、歪取焼鈍後のASTM G28 Method A試験において1.5mm/y未満を達成できるためである。
上記の(Nb,Ti)C炭化物の個数分布を正しく求めることは、極めて重要な事である。まず、当該温度で熱処理した後に、速やかに冷却してその温度での状態を維持する必要がある。したがって、50℃/秒以上で冷却する。そのようにして製造した4mm厚の冷延板を10×10mmのサイズに切断した。圧延方向に垂直な断面を湿式研磨後、さらに電解研磨を行い、FE−SEMを用いて観察し、求めたものである。さらに、炭化物の組成は定量分析することにより、特定した。
PRE値=Cr%+3.3Mo%+16N%が50以上である必要性を説明する。表面に緻密な不導態皮膜を形成するためにPRE値は50以上と定めた。なお、特に限定はしないが、緻密な不動態皮膜をえるために、大気中で4日間放置するか、不動態化処理をするのが好ましい。
(Nb,Ti)C炭化物の大きさが0.03〜3μmである必要性を説明する。0.03μmよりも細かく分散すると、ピン止め効果により結晶粒が細かくなってしまうため、冷間加工性を低下させてしまう。一方、3μmを超えて大きいと、析出物上には緻密な不動態皮膜が形成しないため、腐食の起点になってしまい、すきま腐食を誘発する危険性がある。そのため0.03〜3μmとした。より好ましくは、0.1〜2μmである。
上記の発明の範囲を満足することにより、ASTM G28 Method A試験において腐食度が1.5mm/y未満を満足することができる。場合によっては、加工や溶接時に導入された歪を取り除くために、本合金を500〜800℃、1〜20h熱処理をすることがある。上記の発明の範囲を満足することにより、ASTM G28 Method A試験において腐食度が1.5mm/y未満を満足することができる。好ましくは1.3mm/y未満、より好ましくは1.2mm/y未満、さらに好ましくは1mm/y未満である。
10×C%+950〜2000×%C+890℃において熱間圧延を施せば、上述した通り、(Nb,Ti)C炭化物をより効果的に析出させることができるため、10×C%+950〜2000×%C+890℃において熱間圧延することと規定した。
スクラップ、Ni、Cr、Moなどの原料を電気炉で溶解し、AOD(Argon Oxygen Decarburization)および/またはVOD(Vacuum Oxygen Decarburization)にて酸素吹精して脱炭を行った。その後、Alと石灰石を投入してCr還元を行い、さらに石灰石と蛍石を投入し、溶融合金上にCaO−SiO−Al−MgO−F系スラグを形成して脱酸、脱硫を行った。スラグ中SiO濃度は10%以下に制御した。このようにして精錬した溶融合金を、連続鋳造機にて鋳造しスラブを得た。
その後、スラブをステッケルミルで熱間圧延し、引き続き冷間圧延して板厚4mmの冷延板を製造した。表1に製造した合金の化学成分を、表2に測定条件、評価結果を示す。表1および2において括弧内に示す数値は本発明の範囲外であることを示す。
ここで、評価方法を明記する。
(1)蛍光X線分析により行った。ただし、CとSは燃焼重量法、Oは不活性ガスインパルス融解赤外線吸収法によった。
(2)熱延温度は、ステッケルミルの仕上げ圧延後、水冷前に放射温度計により測温した。
(3)(Nb,Ti)Cの個数分布:(Nb,Ti)C炭化物の個数分布を正しく求めることは、極めて重要な事である。まず、当該温度で熱処理した後に、速やかに冷却してその温度での状態を維持する必要がある。したがって、50℃/秒以上で冷却する。そのようにして製造した4mm厚の冷延板を10×10mmのサイズに切断した。圧延方向に平行な断面を鏡面研磨した後にFE−SEMを用いて観察し、求めたものである。なお、測定に供した領域は1mmである。
(4)炭化物の組成はEDSにより定量分析することにより求めた。
(5)(Nb,Ti)Cのサイズは、上記の通りFE−SEMにより求めた。なお、表2に示したサイズは、平均サイズを代表値として示した。
(6)耐粒界腐食性の評価:ASTM G28 Method A試験により、年間腐食深さ(mm/y)を評価した。
(7)SR(Stress Release)は、歪取焼鈍であり、600度×5hrの熱処理を行った。合金の出荷先で実施され耐粒界腐食性の低下の原因となっている熱処理を再現したものである。
Figure 2020117813
Figure 2020117813
表2に実例を示して、本発明の効果を明確にする。また、図1に本検討結果より作成した平衡状態図を示す。図1の平衡状態図において、請求項5に示した10×C%+950を境界(1)、2000×%C+890を境界(2)とする。また、表2ではASTM G28 Method A試験を試験I、歪取焼鈍後のASTM G28 Method A試験を試験IIと明記する。
発明例であるNo.1〜3は、熱延温度が図1に示す境界(1)と(2)の間であり、(Nb,Ti)Cが析出する領域であるが、焼鈍温度は境界(1)と1150℃の間の領域であるため、試験Iは1.5mm/y未満を満たし良好(〇)である。さらにNo.1と3の焼鈍温度は、境界(1)から30℃高い温度範囲以内で熱処理を行っているため、Cが固溶し易い領域ではあるが、(Nb,Ti)Cが残存するため、試験IIにおいても良好(〇)である。ただし、腐食度の値は範囲内ではあるが、高目であったことが分かる。
No.4〜7は、境界(1)と(2)に挟まれた範囲内で熱間圧延を行い、その後の熱処理も適切であったので、試験IおよびIIの結果ともに良好(〇)である。
No.8は、C量が下限値の0.005%より低いため、強度が低くなってしまった。また、Cr量が下限の18%より低く、Nが0.001%と下限を下回ったため、耐食性が低く、PREは50以下である。また、熱延終了温度および焼鈍温度は境界(1)以上、1150℃以下であるため、Cは固溶状態となる。よって、 M6CとM23C6は固溶するため、(Nb,Ti)Cは95%だが、個数は100個/mmと少ない。よって試験I、IIのどちらも1.5mm/yを上回った。
No.9は、熱延終了温度および焼鈍温度が境界(1)以上であり、さらに焼鈍温度は1150℃を超えているため、(Nb,Ti)Cは完全固溶状態であるので、析出しない。よって試験I、IIのどちらも1.5mm/yを上回った。
No.10は、C%量が0.032%と高く、境界(1)は1270℃、境界(2)は954℃になる。熱延終了温度が920℃であるため、境界(2)より低いため、熱延後はM6Cが析出する。焼鈍温度は1100℃であり、境界(1)と(2)の間なので、(Nb,Ti)Cが析出し易い。よって、(Nb,Ti)Cの割合は30%程度であり、(Nb,Ti)Cは5,000個/mmと少ない。結果、試験I、IIのどちらも1.5mm/yを上回る。
No.11は、C量は0.005%と下限値であり、境界(1)は1000℃、境界(2)は900℃である。熱延終了温度は1070℃であり、境界(1)以上なので熱延後のC量は固溶状態である。一方、焼鈍温度は780℃であり、M6CやM23C6が析出する。よって(Nb,Ti)Cの割合は5%、(Nb,Ti)Cは200個/mmと少ない。結果、試験I、IIのどちらも1.5mm/yを上回る。また、N値が0.024%と上限値を超えたため、TiNクラスターを生成し、連続鋳造においてノズル閉塞を生じた。
No.12は、C量が下限値の0.005%より低いため、強度が低く、境界(1)は980℃、境界(2)は896℃である。熱延終了温度および焼鈍温度は、どちらも境界(2)より低いので、M6CやM23C6が析出する。(Nb,Ti)Cの割合は5%、(Nb,Ti)Cは200個/mmと少ない。さらにPREも50以下であり、結果、試験I、IIのどちらも1.5mm/yを上回る。
No.13は、C量、Si、Mo量が上限を超えており、M6Cが多く析出し易い成分である。境界(1)は1190℃、境界(2)は938℃、熱延温度が1100℃、焼鈍温度が900℃であり、熱延後にMCが析出し、焼鈍後にM6CやM23C6が析出する。成分と焼鈍条件により、M6Cが多く析出するため、(Nb,Ti)Cの割合が低く、(Nb,Ti)Cの個数も20個/mmと少ない。結果、試験I、IIのどちらも1.5mm/yを上回る。
No.14は、C量が下限値以下で実施例の中で最も低いため、強度が低い。境界(1)は960℃、境界(2)は892℃、熱延終了温度は境界(2)以上で境界(2)から30℃以内、焼鈍温度は境界(2)以下である。(Nb,Ti)Cは析出しない。結果、試験I、IIのどちらも1.5mm/yを上回る。
合金の出荷先で実施される熱処理によっても耐粒界腐食性の低下が抑制され、粒界腐食性の強い過酷な環境下において、長時間に亘って使用することができる高耐粒界腐食性のNi基合金を製造することができ、有望である。

Claims (6)

  1. 以下質量%にて、C:0.005〜0.03%、Si:0.02〜1%、Mn:0.02〜1%、P≦0.03%、S:0.005%以下、Cr:18〜24%、Mo:8〜10%、Nb:2.5〜5.0%、Al:0.05〜0.4%、Ti:1%以下、Fe:5%以下、N:0.02%以下、残部Niおよび不可避的不純物からなり、前記C濃度範囲において、すべての炭化物に対して、(Nb,Ti)C炭化物の割合が90%以上であり、2000×%C+890≦T(温度℃)≦1030にて、前記(Nb,Ti)C炭化物の個数が6000〜100000(個/mm )であることを特徴とするNi基合金。
  2. 前記T(温度℃)の範囲は、2000×%C+890≦T(温度℃)≦980であることを特徴とする請求項1に記載のNi基合金。
  3. N:0.002〜0.02%であることを特徴とする請求項1または2に記載のNi基合金。
  4. 前記(Nb,Ti)C炭化物の大きさが0.03〜3μmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のNi基合金。
  5. ASTM G28 Method A試験において腐食度が1.5mm/y未満であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のNi基合金。
  6. 500〜800℃、1〜20hにおいて熱処理を施した後、ASTM G28 Method A試験において腐食度が1.5mm/y未満であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のNi基合金。
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