JP2020116634A - ロール金型 - Google Patents

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Hiromichi Nakada
博道 中田
昇 島本
Noboru Shimamoto
昇 島本
拓也 助田
Takuya Sukeda
拓也 助田
晃徳 富岡
Akinori Tomioka
晃徳 富岡
直樹 平位
Naoki Hirai
直樹 平位
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Abstract

【課題】損耗を抑制しつつ非晶質材料を切断可能なロール金型を提供する。【解決手段】ロール金型30は、対象物Oを切断する金型であって、アンビルローラ31と、ダイカッター32と、第1弾性部33と、第2弾性部34と、を備える。アンビルローラ31は、対象物Oを支持して回転する。ダイカッター32は、対象物Oを切断する凸刃32aを有して回転する。第1弾性部33は、アンビルローラ31の外周面に配置され、対象物Oの切断時に対象物Oの裏面に接して弾性変形する。第2弾性部34は、ダイカッター32の外周面に配置され、対象物Oの切断時に対象物Oの表面に接して弾性変形する。第1弾性部33の硬さは、第2弾性部34の硬さよりも硬い。【選択図】図2A

Description

本開示は、非晶質材料のロータリーダイカットに用いられるロール金型に関する。
従来からモータの磁芯などの使用に好適であるFe基ナノ結晶合金薄帯の積層磁芯およびその製造方法に関する発明が知られている(下記特許文献1を参照)。この従来の積層軸芯の製造方法は、アモルファス薄帯を形状加工する形状加工工程と、その形状加工されたアモルファス薄帯を熱処理する熱処理工程と、その熱処理されたアモルファス薄帯を積層する積層工程と、を含む(同文献、請求項1、2等を参照)。
また、金属薄板や金属箔などの、非常に薄い金属部材を、所定の形状にせん断加工にて切断するロータリーカッターに関する発明が知られている(下記特許文献2を参照)。この従来のロータリーカッターは、第1回転部材と、第2回転部材と、弾性体と、を備えている(同文献、請求項1等を参照)。上記第1回転部材は、表面に凸部および凹部の少なくとも一つを有する。上記第2回転部材は、第1回転部材と反対方向に回転可能であって、表面に凸部および凹部の少なくとも一つを有する。上記弾性体は、第1回転部材が有する凸部もしくは凹部により形成されるエッジの段差部分の少なくとも一部に装着される。また、上記弾性体は、第2回転部材が有する凸部もしくは凹部により形成されるエッジの段差部分の少なくとも一部に装着される。
また、ロータリーダイとアンビルロールとを備えた電極製造装置に係る発明が知られている(下記特許文献3を参照)。上記ロータリーダイは、ダイカットロールの周方向に沿って外周面から突出する形状の周方向刃部を含む切刃を備えるとともに、周方向刃部をダイカットロールの軸方向に挟む弾性体をダイカットロールの外周面に備える。上記アンビルロールは、ダイカットロールの外周面に対向して配置される。ダイカットロールとアンビルロールとの離間距離が最も短い箇所での弾性体の圧縮率は、40%以上に設定されている(同文献、請求項1等を参照)。
国際公開第2017/006868号 特許第6037690号公報 特開2017−132019号公報
上記特許文献1に記載されたアモルファス薄帯のような非晶質材料は、硬度が高く延性が低いため、切断が困難である。たとえば、特許文献2に記載されたロータリーカッターのように、第1回転部材のエッジと第2回転部材のエッジの間で非晶質材料をせん断するのは容易ではなく、エッジの摩耗を含むロータリーカッターの損耗が早期に進行しやすい。
また、特許文献3に記載されたロータリーダイとアンビルロールとを用いて非晶質材料を切断すると、ロータリーダイの切刃がアンビルロールに接触して装置の損耗が早期に進行するおそれがある。一方、ロータリーダイの切刃がアンビルロールに接触しないようにすると、ロータリーダイの切刃によって非晶質材料を破断させる十分な応力を付与できず、非晶質材料の切断が困難になる。
本開示は、損耗を抑制しつつ非晶質材料を切断可能なロール金型を提供する。
本開示の一態様は、対象物を切断するロール金型であって、前記対象物を支持して回転するアンビルローラと、前記対象物を切断する凸刃を有して回転するダイカッターと、前記アンビルローラの外周面に配置され、前記対象物の切断時に前記対象物の裏面に接して弾性変形する第1弾性部と、前記ダイカッターの外周面に配置され、前記対象物の切断時に前記対象物の表面に接して弾性変形する第2弾性部と、を備え、前記第1弾性部の硬さは、前記第2弾性部の硬さよりも硬いことを特徴とするロール金型である。
上記態様のロール金型において、前記ダイカッターと前記アンビルローラとの間の最短距離は、前記凸刃の高さよりも長く、前記凸刃の前記高さと弾性変形前の前記第1弾性部の厚さとの和よりも短くてもよい。
上記態様のロール金型において、弾性変形前の前記第2弾性部の厚さは、前記凸刃の高さよりも厚くてもよい。
上記態様のロール金型において、前記第1弾性部は、非発泡の合成樹脂材料によって構成され、前記第2弾性部は、発泡合成樹脂材料によって構成されていてもよい。
上記態様のロール金型において、前記第1弾性部の硬さは、前記第2弾性部の硬さの3倍以上であってもよい。
上記態様のロール金型において、前記第1弾性部のデュロメータ硬さは、90A以上であってもよい。
上記態様のロール金型において、前記対象物は、非晶質材料の薄帯であってもよい。
上記態様のロール金型において、前記第1弾性部は、前記アンビルローラの前記外周面に配置された第1層と、該第1層の外周に積層された第2層と、を含み、前記第1層の硬さは、前記第2層の硬さよりも硬くてもよい。
上記態様のロール金型において、前記第2層のデュロメータ硬さは、90A以上であり、前記第1層のデュロメータ硬さは、前記第2層のデュロメータ硬さよりも5A以上高くてもよい。
本開示の上記態様によれば、損耗を抑制しつつ非晶質材料を切断可能なロール金型を提供することができる。
本開示の実施形態1に係るロール金型を用いたロータリーダイカッターの模式図。 図1に示すロール金型の模式的な拡大断面図。 図2Aのロール金型が対象物を切断する様子を示す拡大断面図。 図2Aのロール金型が対象物を切断する様子を示す拡大断面図。 図1のロール金型で対象物から切り抜く加工品の一例を示す平面図。 本開示の実施形態2に係るロール金型の模式的な拡大断面図。 図4のロール金型の第1弾性部の反発力を測定する実験の模式図。 図4の第1弾性部の圧縮率と反発力との関係を示すグラフ。 図4のロール金型による対象物の曲げ角度を説明する模式的な断面図。 図4の第1弾性部の第1層と第2層の硬さの差と、対象物の曲げ角度との関係を示すグラフ。
以下、図面を参照して本開示に係るロール金型の実施形態を説明する。
[実施形態1]
図1は、本開示の実施形態1に係るロール金型を用いたロータリーダイカッター1の模式図である。ロータリーダイカッター1は、たとえば、材料供給部10と、搬送部20と、ロール金型30と、材料回収部40とを備えている。
材料供給部10は、ロール金型30によって切断する対象物Oを保持して、ロール金型30へ供給する。この対象物Oは、たとえば、薄いシート状の金属材料である。具体的には、この対象物Oは、たとえば、非晶質材料の薄帯すなわちアモルファス金属薄帯またはアモルファス合金薄帯である。材料供給部10は、たとえば、コイル状に巻いた対象物Oの薄帯を支持する回転軸11を有している。回転軸11は、たとえば、対象物Oの薄帯を巻き出してロール金型30へ供給するように、回転可能に設けられている。
搬送部20は、たとえば、対象物Oを挟んで回転する一対の搬送ローラ21を有している。一対の搬送ローラ21は、回転軸が互いに平行になるように配置され、互いに逆方向に回転することで、対象物Oを間に挟み込んで搬送する。対象物Oの搬送方向において、搬送部20は、たとえば、ロール金型30の前後に配置されている。搬送部20による対象物Oの搬送速度は、特に限定はされないが、たとえば200[m/min]から600[m/min]程度の範囲である。
図2Aは、図1に示すロール金型30の模式的な拡大断面図である。図2Bおよび図2Cは、図2Aのロール金型30が対象物Oを切断する様子を示す拡大断面図である。詳細については後述するが、本実施形態のロール金型30は、次の構成を特徴としている。
ロール金型30は、対象物Oを切断する金型であって、アンビルローラ31と、ダイカッター32と、第1弾性部33と、第2弾性部34と、を備える。アンビルローラ31は、対象物Oを支持して回転する。ダイカッター32は、対象物Oを切断する凸刃32aを有して回転する。第1弾性部33は、アンビルローラ31の外周面に配置され、対象物Oの切断時に対象物Oの裏面に接して弾性変形する。第2弾性部34は、ダイカッター32の外周面に配置され、対象物Oの切断時に対象物Oの表面に接して弾性変形する。そして、第1弾性部33の硬さは、第2弾性部34の硬さよりも硬い。
以下、本実施形態のロール金型30の各部の構成を詳細に説明する。
アンビルローラ31は、回転軸A1を中心に回転可能に設けられた円柱状の金型であり、外周面に配置された第1弾性部33を介して対象物Oを支持して回転する。アンビルローラ31の外周面は、たとえば、凹凸のない平滑な円筒面である。なお、アンビルローラ31の外周面は、たとえば、第1弾性部33を固定するための凸部や凹部を有してもよい。アンビルローラ31の素材としては、たとえば、日本工業規格JIS4403:2015に規定される冷間金型用の合金工具鋼鋼材(材料記号:SKD)および高速度工具鋼(材料記号:SKH)や、日立金属株式会社製の高速度工具鋼(材料記号:HAP)などを用いることができる。
ダイカッター32は、アンビルローラ31の回転軸A1と平行な回転軸A2を中心に回転可能に設けられた円柱状の金型であり、外周面に対象物Oを切断する凸刃32aを有している。ダイカッター32は、アンビルローラ31と逆方向に回転することで、アンビルローラ31の外周面に配置された第1弾性部33と、ダイカッター32の外周面に配置された第2弾性部34との間に、対象物Oを挟み込んで切断する。ダイカッター32の素材としては、アンビルローラ31と同様の素材を用いることができる。
図3は、ロール金型30によって対象物Oから切り抜かれる加工品Mの一例を示す平面図である。対象物Oは、たとえば非晶質材料の薄帯であり、加工品Mは、ハイブリッド車、電気自動車、または燃料電池車などの車両に搭載されるモータに使用される。より具体的には、加工品Mは、たとえば、通常のモータに使用される電磁鋼鈑の厚さと比較して、10分の1程度の厚さの薄いアモルファス金属薄帯またはアモルファス合金薄帯である。加工品Mは、たとえば、積層されてモータのステータを構成する。
凸刃32aは、ダイカッター32の外周面に沿って延びる閉曲線状の連続的な形状を有している。ダイカッター32の円筒状の外周面を平面に展開した場合に、ダイカッター32の外周面に垂直な方向から見た凸刃32aの平面形状は、たとえば図3に示す加工品Mの輪郭形状におおむね等しい。すなわち、凸刃32aは、ダイカッター32の外周面上で、対象物Oから切り抜かれる加工品Mの形状に対応する閉曲線状の形状を有している。凸刃32aは、ダイカッター32の外周面から突出する高さhを十分に確保する観点から、彫刻刃であることが好ましい。
ダイカッター32は、たとえば、外周面の周方向において、複数の閉曲線状の凸刃32aを有している。また、ダイカッター32は、回転軸A2に平行な方向において、外周面に複数の閉曲線状の凸刃32aを有してもよい。また、図1から図2Cに示す例において、アンビルローラ31の直径は、ダイカッター32の直径よりも大きい。なお、アンビルローラ31の直径は、ダイカッター32の直径以下でもよい。
第1弾性部33は、たとえば、接着、溶着、もしくは機械的接合、またはこれらの組み合わせによってアンビルローラ31の外周面に固定され、アンビルローラ31の外周面に配置されている。第1弾性部33は、たとえば、弾性を有する樹脂材料によって形成され、対象物Oの切断時に対象物Oの裏面に接して弾性変形する。より具体的には、第1弾性部33の素材は、たとえば、ウレタンゴムシートなどの非発泡の合成樹脂材料である。
第2弾性部34は、たとえば、接着、溶着、もしくは機械的接合、またはこれらの組み合わせによってダイカッター32の外周面に固定され、ダイカッター32の外周面に配置されている。第2弾性部34は、たとえば、弾性を有する樹脂材料によって形成され、対象物Oの切断時に対象物Oの表面に接して弾性変形する。より具体的には、第2弾性部34の素材は、たとえば、ウレタンフォームシートまたはウレタンスポンジシートなどの発泡合成樹脂材料である。
第2弾性部34の厚さt2は、たとえば、ダイカッター32の凸刃32aの高さhよりも厚い。より詳細には、第2弾性部34は、弾性変形前の厚さt2が、凸刃32aの高さhよりも厚い。これにより、第2弾性部34の弾性変形前において、第2弾性部34の外表面は、凸刃32aの先端よりも、ダイカッター32の径方向における外側に位置している。ここで、第2弾性部34の厚さt2は、ダイカッター32の径方向に測定した第2弾性部34の寸法である。また、凸刃32aの高さhは、ダイカッター32の外周面に接続された凸刃32aの基端から凸刃32aの先端まで、ダイカッター32の径方向に測定した凸刃32aの寸法である。
第2弾性部34は、たとえば、ダイカッター32の外周面において凸刃32aを露出させる溝34aを有している。すなわち、第2弾性部34は、ダイカッター32の外周面において、凸刃32aが設けられた部分を除く全体に配置されている。換言すると、第2弾性部34は、たとえば、ダイカッター32の外周面において、図3に示すような加工品Mの輪郭形状に対応する閉曲線状の形状を有する凸刃32aの外側の領域だけでなく、凸刃32aの内側の領域にも配置されている。
前述のように、第1弾性部33の硬さは、第2弾性部34の硬さよりも硬い。第1弾性部33の硬さは、後述するように、たとえば、第2弾性部34の硬さの3倍以上であることが好ましい。ここで、第1弾性部33および第2弾性部34の硬さは、たとえば、日本工業規格JIS K 6253−3:2012、または、JIS K 7312:1996に準拠した方法で測定することができる。すなわち、第1弾性部33および第2弾性部34の硬さは、たとえば、デュロメータ硬さのタイプA(ショアA)である。第1弾性部33のデュロメータ硬さは、後述するように、たとえば90A以上であることが好ましい。
ダイカッター32とアンビルローラ31との間の最短距離dは、アンビルローラ31の回転軸A1とダイカッター32の回転軸A2とに直交する直線上におけるダイカッター32の外周面とアンビルローラ31の外周面との間の距離である。この最短距離dは、凸刃32aの高さhよりも長く、凸刃32aの高さhと弾性変形前の前記第1弾性部33の厚さt1との和よりも短い。すなわち、不等式:h<d<(h+t1)が成立している。
材料回収部40は、たとえば、ロール金型30によって加工品Mが切り抜かれた対象物Oの残部を回収する。材料回収部40は、たとえば、対象物Oの残部を回収して支持する回転軸41を有している。回転軸41は、たとえば、対象物Oの残部を巻き取るように、回転可能に設けられている。なお、材料回収部40は、回転軸41を備える構成に限定されない。たとえば、材料回収部40は、対象物Oの残部を切断して回収するように構成されていてもよい。
以下、本実施形態のロール金型30の作用について説明する。
本実施形態のロール金型30は、前述のように、たとえば、図1に示すようなロータリーダイカッター1の金型として使用される。ロール金型30は、たとえば、材料供給部10および搬送部20によって供給される非晶質材料の薄帯である対象物Oから、図3に示すような加工品Mを切り抜く。切り抜かれた加工品Mは回収され、たとえば車載用のモータの材料として使用される。また、加工品Mが切り抜かれた対象物Oの残部は、材料回収部40によって回収される。
ここで、本実施形態のロール金型30は、前述のように、対象物Oを切断する金型であって、次の構成を備えることを特徴としている。対象物Oを支持して回転するアンビルローラ31。対象物Oを切断する凸刃32aを有して回転するダイカッター32。アンビルローラ31の外周面に配置され、対象物Oの切断時に対象物Oの裏面に接して弾性変形する第1弾性部33。ダイカッター32の外周面に配置され、対象物Oの切断時に対象物Oの表面に接して弾性変形する第2弾性部34。そして、第1弾性部33の硬さは、第2弾性部34の硬さよりも硬い。
この構成により、図2Aに示すように、対象物Oの表面に接する第2弾性部34を第1弾性部33よりも容易に弾性変形させて、対象物Oを第1弾性部33と第2弾性部34との間に保持することができる。また、対象物Oの裏面に接する第1弾性部33の弾性変形が第2弾性部34の弾性変形よりも低減され、第1弾性部33によって対象物Oを安定して支持することができる。
さらに、図2Bに示すように、アンビルローラ31とダイカッター32が回転すると、ダイカッター32の外周面に設けられた凸刃32aが、対象物Oの表面に食い込む。このとき、第1弾性部33が弾性変形して対象物Oの切断方向の変形を許容する。また、対象物Oの搬送方向における凸刃32aの前後では、第1弾性部33よりも弾性変形が大きい第2弾性部34によって対象物Oの表面が押さえられ、第2弾性部34よりも弾性変形が小さい第1弾性部33によって対象物Oの裏面が支持される。
これにより、凸刃32aの前後では、第1弾性部33と第2弾性部34との間に対象物Oを保持して、対象物Oの変形とずれを抑制することができる。そのため、凸刃32aが、対象物Oの表面に食い込むことで、第1弾性部33と第2弾性部34との間の対象物Oに対して搬送方向の前後の引張力が作用する。さらにアンビルローラ31とダイカッター32が回転すると、対象物Oは、凸刃32aが食い込んだ部分を起点として、図2Cに示すように破断する。
なお、図2Cに示す例では、凸刃32aの先端が、第1弾性部33に食い込んでいる。しかし、凸刃32aの先端は、第1弾性部33に食い込まなくてもよい。前述のように、対象物Oには、凸刃32aの前後に引張力が作用する。そのため、凸刃32aの先端を対象物Oに食い込ませることができれば、凸刃32aの先端が第1弾性部33に食い込まなくても、対象物Oに凸刃32aが食い込んだ部分を起点として、引張力によって対象物Oを破断することができる。
このように、本実施形態のロール金型30は、プレス金型による抜き加工のようなダイとパンチとの間での対象物Oのせん断ではなく、対象物Oに引張力を作用させて凸刃32aの食い込み部を起点とする亀裂を進展させて対象物Oを破断する。これにより、凸刃32aの損耗を抑制することができるだけでなく、加工品Mのバリや反りを低減し、加工品Mを高精度に成形することができる。
また、本実施形態のロール金型30によって切断する対象物Oは、たとえば非晶質材料の薄帯である。非晶質材料は、従来の電磁鋼鈑などの鋼材と比較して硬度が高い。そのため、プレス金型による抜き加工のように、ダイとパンチのエッジ間で非晶質材料の対象物Oをせん断して、図3に示すような加工品Mの輪郭形状を一括して切り抜くと、金型に作用する荷重が大きくなり、金型の損耗が早期に進行して金型の寿命が短くなる。
一方、本実施形態のロール金型30では、対象物Oから加工品Mを切り抜くときに、図2Aから図2Cに示すように、加工品Mの輪郭形状の切断が、時間の経過とともに逐次進行する。したがって、本実施形態のロール金型30によれば、プレス金型による抜き加工のように、ダイとパンチのエッジ間で加工品Mの輪郭形状を一括してせん断する場合と比較して、対象物Oの切断時の荷重を低減することができる。これにより、ロール金型30の損耗を防止して、ロール金型30の寿命を長くすることができる。
また、モータに使用される非晶質材料の薄帯の厚さは、従来からモータに使用されている電磁鋼鈑の厚さの10分の1程度である。そのため、たとえば、従来の電磁鋼鈑に代えて非晶質材料の薄帯である対象物Oから切り抜かれた加工品Mをモータに使用する場合、対象物Oから加工品Mを切り抜くのに要する時間を、従来の電磁鋼鈑と比較して大幅に短縮する必要がある。
ここで、本実施形態のロール金型30は、アンビルローラ31とダイカッター32を連続的かつ高速に回転させることで、対象物Oを連続的かつ高速に供給し、加工品Mを連続的かつ高速に加工することができる。したがって、プレス金型による抜き加工と比較して、対象物Oから加工品Mを切り抜くのに要する時間を大幅に短縮することができ、加工品Mの生産性を向上させることができる。これにより、モータに非晶質材料の加工品Mを使用することができ、モータの損失を低減して消費電力を低減することができる。
また、本実施形態のロール金型30において、ダイカッター32とアンビルローラ31との間の最短距離dは、凸刃32aの高さhよりも長く、凸刃32aの高さhと弾性変形前の第1弾性部33の厚さt1との和よりも短い。
この構成により、図2Aおよび図2Bに示すように凸刃32aを対象物Oの表面に食い込ませた後に、第1弾性部33をアンビルローラ31の外周面へ向けて、さらに弾性変形させることができる。具体的には、たとえば、第1弾性部33の弾性変形前の厚さt1の半分程度まで、アンビルローラ31の外周面へ向けて対象物Oを第1弾性部33に押し込んだ状態で、図2Cに示すように対象物Oを破断することができる。これにより、対象物Oに対して十分な引張力を作用させ、対象物Oに凸刃32aが食い込んだ部分を起点として、対象物Oをより確実に破断することができる。
また、本実施形態のロール金型30において、弾性変形前の第2弾性部34の厚さt2は、ダイカッター32の凸刃32aの高さhよりも厚い。
この構成により、凸刃32aを対象物Oの表面に食い込ませる前に、第2弾性部34を対象物Oの表面に接触させ、第2弾性部34をダイカッター32の径方向の内側へ向けて弾性変形させることができる。これにより、第2弾性部34から対象物Oの表面に対してダイカッター32の径方向の外側へ向けて弾性力を作用させ、対象物Oを第1弾性部33に押し付けることができる。その結果、凸刃32aを対象物Oの表面に食い込ませるときに、対象物Oの搬送方向における凸刃32aの前後で、対象物Oを第1弾性部33と第2弾性部34の間にしっかりと保持して対象物Oのずれを抑制し、対象物Oに引張力を作用させることができる。
また、本実施形態のロール金型30において、第1弾性部33は、非発泡の合成樹脂材料によって構成され、第2弾性部34は、発泡合成樹脂材料によって構成されている。
この構成により、第2弾性部34を第1弾性部33よりも弾性変形しやすくすることができ、第1弾性部33の硬さを第2弾性部34の硬さよりも硬くすることができる。また、第1弾性部33の硬さと第2弾性部34の硬さの差を大きくして、第1弾性部33の硬さを第2弾性部の硬さの3倍以上にすることができる。
また、本実施形態のロール金型30において、第1弾性部33の硬さは、第2弾性部34の硬さの3倍以上である。
この構成により、第2弾性部34から対象物Oを介してアンビルローラ31の径方向内側へ向かう弾性力を受ける第1弾性部33を、より弾性変形しにくくすることができる。これにより、硬い第1弾性部33によって対象物Oの裏面を支持して、対象物Oの変形やずれを抑制することができる。また、軟らかい第2弾性部34によって、対象物Oの表面に十分な弾性力を付与して、対象物Oの変形やずれを抑制することができる。
また、本実施形態のロール金型30において、第1弾性部33のデュロメータ硬さは、90A以上である。
この構成により、十分な硬さを有する第1弾性部33によって対象物Oの裏面を支持して、対象物Oの変形やずれをより確実に抑制することができる。また、第1弾性部33が十分な硬さを有することで、第1弾性部33の耐衝撃性、耐摩耗性、および耐久性を向上させることができる。
以上説明したように、本実施形態によれば、損耗を抑制しつつ非晶質材料を切断可能なロール金型30を提供することができる。
[実施形態2]
次に、図1、図2Bおよび図2Cを援用し、図4から図8を参照して、本開示に係るロール金型の実施形態2を説明する。図4は、本実施形態のロール金型30の模式的な拡大断面図である。
本実施形態のロール金型30は、アンビルローラ31の外周面に配置された第1弾性部33の構成が、前述の実施形態1のロール金型30と異なっている。本実施形態のロール金型30のその他の構成は、前述の実施形態1のロール金型30と同様であるため、同様の部分には同一の符号を付して説明を省略する。
図4に示すように、第1弾性部33は、アンビルローラ31の外周面に配置された第1層33aと、その第1層33aの外周に積層された第2層33bとを含んでいる。そして、第1層33aの硬さは、第2層33bの硬さよりも硬い。より具体的には、たとえば、第2層33bのデュロメータ硬さは、90A以上であり、第1層33aのデュロメータ硬さは、第2層33bのデュロメータ硬さよりも5A以上高い。第1層33aおよび第2層33bの素材は、たとえば、ウレタンゴムシートなどの非発泡の合成樹脂材料である。
第1層33aおよび第2層33bの厚さは、対象物Oを適切に破断することができる範囲であれば、特に限定されない。第1層33a厚さと第2層33bの厚さは、それぞれ、対象物Oの厚さの4倍から5倍程度に設定することができる。より具体的には、対象物Oの厚さが20[μm]から30[μm]程度であれば、第1層33a厚さと第2層33bの厚さは、たとえば、80[μm]から150[μm]程度に設定することができる。また、第1層33aの厚さと第2層33bの厚さの比は、たとえば、1:1から2:1程度に設定することができる。すなわち、第1層33aの厚さは、たとえば、第2層33bの厚さ以上、第2層33bの厚さの2倍以下である。
以下、本実施形態のロール金型30の作用について説明する。
図5は、本実施形態のロール金型30が備える二層構造の第1弾性部33の反発力を測定する実験の模式図である。平坦な台座の上に第1層33aと第2層33bの二層構造の第1弾性部33を配置して、その上に対象物Oを配置した。そして、凸刃32aを模した圧子Iに荷重を掛けて対象物Oを第1弾性部33に押し込み、第1弾性部33の圧縮率と反発力を測定した。同様の実験を、実施形態1のロール金型30が備える単層の第1弾性部33においても実施した。
図6は、図5に示す実験で得られた第1弾性部33の圧縮率と反発力との関係を示すグラフである。図6のグラフにおいて、横軸は、第1弾性部33の圧縮率であり、縦軸は、測定された第1弾性部33の反発力である。また、実線は、第1層33aと第2層33bを備えた本実施形態の二層構造の第1弾性部33の結果を示し、破線は、実施形態1と同様の単層の第1弾性部33の結果を示している。
図4に示すように、本実施形態のロール金型30は、ダイカッター32の外周面に配置された第2弾性部34と、アンビルローラ31の外周面に配置された第1弾性部33との間に対象物Oを挟み込み、図2Bおよび図2Cに示すように、対象物Oを搬送しながら破断する。この対象物Oの破断を適切に行うために、第1弾性部33の圧縮率は、たとえば、80%以下にする必要がある。また、対象物Oを適切に破断するためには、第1弾性部33の反発力は、より高いことが好ましい。
図6のグラフに破線で示すように、単層の第1弾性部33は、圧縮率が80%以下の範囲で、反発力が約87[N]以下である。これに対し、図6のグラフに実線で示すように、本実施形態の二層構造の第1弾性部33は、圧縮率が20[%]以上の範囲において、破線で示す単層の第1弾性部33と同じ圧縮率でより高い反発力を生じさせている。
図7は、第1弾性部33の反発力と対象物Oの曲げ角度θとの関係を説明する模式的な断面図である。前述のように、本実施形態のロール金型30において、第1弾性部33は、アンビルローラ31の外周面に配置された第1層33aと、その第1層33aの外周に積層された第2層33bとを含んでいる。そして、第1層33aの硬さは、第2層33bの硬さよりも硬い。
この構成により、図6に示すように、第1弾性部33が第1層33aおよび第2層33bを有しない場合と比較して、対象物Oを支持する第1弾性部33の反発力が増加し、凸刃32aが食い込んだ時の対象物Oの曲げ角度θがより小さくなる。これにより、対象物Oに対してより大きな曲げ応力を発生させて亀裂を生じさせやすくすることができ、凸刃32aの損耗や、加工品Mに対するバリの発生を抑制しつつ、薄い高硬度の非晶質材料を高精度に破断することができる。
図8は、第1弾性部33の第1層33aと第2層33bのデュロメータ硬さの差と、対象物Oの曲げ角度θとの関係を示すグラフである。本実施形態のロール金型30において、第1弾性部33の第2層33bのデュロメータ硬さは、たとえば、90A以上であり、第1弾性部33の第1層33aのデュロメータ硬さは、たとえば、第2層33bのデュロメータ硬さよりも5A以上高い。
この構成により、図8に示すように、凸刃32aが食い込んだ時の対象物Oの曲げ角度θを、たとえば80[deg]以下の鋭角にすることが可能になる。これにより、対象物Oの凸刃32aが食い込んだ部分に、十分な引張応力を作用させ、対象物Oをより容易かつ高精度に破断することが可能になる。したがって、凸刃32aの損耗や、加工品Mに対するバリの発生を抑制しつつ、たとえば、厚さが20[μm]から30[μm]程度でビッカース硬さが900[HV]程度の薄い高硬度の非晶質材料を、高精度に破断することができる。
以上、図面を用いて本開示に係るロール金型の実施形態を詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本開示に含まれるものである。
30 ロール金型
31 アンビルローラ
32 ダイカッター
32a 凸刃
33 第1弾性部
33a 第1層
33b 第2層
34 第2弾性部
d 最短距離
h 凸刃の高さ
O 対象物
t1 第1弾性部の厚さ
t2 第2弾性部の厚さ

Claims (9)

  1. 対象物を切断するロール金型であって、
    前記対象物を支持して回転するアンビルローラと、
    前記対象物を切断する凸刃を有して回転するダイカッターと、
    前記アンビルローラの外周面に配置され、前記対象物の切断時に前記対象物の裏面に接して弾性変形する第1弾性部と、
    前記ダイカッターの外周面に配置され、前記対象物の切断時に前記対象物の表面に接して弾性変形する第2弾性部と、を備え、
    前記第1弾性部の硬さは、前記第2弾性部の硬さよりも硬いことを特徴とするロール金型。
  2. 前記ダイカッターと前記アンビルローラとの間の最短距離は、前記凸刃の高さよりも長く、前記凸刃の前記高さと弾性変形前の前記第1弾性部の厚さとの和よりも短いことを特徴とする請求項1に記載のロール金型。
  3. 弾性変形前の前記第2弾性部の厚さは、前記凸刃の高さよりも厚いことを特徴とする請求項1に記載のロール金型。
  4. 前記第1弾性部は、非発泡の合成樹脂材料によって構成され、
    前記第2弾性部は、発泡合成樹脂材料によって構成されていることを特徴とする請求項1に記載のロール金型。
  5. 前記第1弾性部の硬さは、前記第2弾性部の硬さの3倍以上であることを特徴とする請求項1に記載のロール金型。
  6. 前記第1弾性部のデュロメータ硬さは、90A以上であることを特徴とする請求項1に記載のロール金型。
  7. 前記対象物は、非晶質材料の薄帯であることを特徴とする請求項1に記載のロール金型。
  8. 前記第1弾性部は、前記アンビルローラの前記外周面に配置された第1層と、該第1層の外周に積層された第2層と、を含み、
    前記第1層の硬さは、前記第2層の硬さよりも硬いことを特徴とする請求項1に記載のロール金型。
  9. 前記第2層のデュロメータ硬さは、90A以上であり、
    前記第1層のデュロメータ硬さは、前記第2層のデュロメータ硬さよりも5A以上高いことを特徴とする請求項8に記載のロール金型。
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