JP2020116629A - インダイレクトスポット溶接方法 - Google Patents

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【課題】本発明では、個々の溶接ごとの溶接環境のばらつきによって生じる溶接不良を防止することを課題とする。【解決手段】第1の金属板1と第3の金属板3との重合部Pを溶接電極10で加圧すると共に、重合部Pと異なる部位にアース電極20を当接させて両電極間に通電するインダイレクトスポット溶接方法であって、溶接中に、溶接に寄与する有効電流経路C2の抵抗値RAと溶接に寄与しない無効電流経路C1の抵抗値RBとに基づいて設定された有効電流率Kを算出し、当該有効電流率Kに基づいて、その後のステップにおける電流値I4〜I7を変更する。【選択図】図2

Description

本発明は、インダイレクトスポット溶接方法に関する。
自動車の組立工程では、金属板からなる複数の部品をスポット溶接で接合することにより車体が組み立てられる。スポット溶接としては、複数の金属板を一対の電極で挟み込んで通電するダイレクトスポット溶接が多く用いられる。しかし、部品の形状によっては、複数の金属板を一対の電極で挟み込むことができず、ダイレクトスポット溶接を適用することができないことがある。この場合、複数の金属板の重合部を溶接電極で加圧すると共に、重合部と異なる部位にアース電極を当接させた状態で両電極間に通電することにより溶接するインダイレクトスポット溶接が適用される。
しかし、インダイレクトスポット溶接では、溶接電極とアース電極とが離れて配置されることが多く、重合部以外の金属板同士の接触部(例えば、先に溶接された溶接点)を介して流れる電流(無効電流)が生じやすいため、良好なナゲットを形成することが困難であることが問題となっている。
例えば、下記の特許文献1には、金属板に予め座面を設け、この座面を溶接電極で押しつぶしながら加圧することにより、金属板同士の接触面積を小さくして電流密度を高めることで、ナゲットを形成しやすくする方法が示されている。
また、下記の特許文献2には、加圧力及び電流値を制御することにより、ナゲットを安定して得ることができるインダイレクトスポット溶接方法が示されている。
特開2002−239742号公報 特開2010−194609号公報
しかしながら、溶接点におけるナゲットのできやすさを定量的に評価する手法がなかったため、上記のような手法を試しながら試行錯誤を繰り返し、適切なナゲットが形成される溶接条件を探し出すしかなかった。
そこで、本発明者らは、特願2018−122124において、溶接に寄与する有効電流経路の抵抗値と、溶接に寄与しない無効電流経路の抵抗値とに基づいて設定される有効電流率を算出し、溶接点におけるナゲットのできやすさを定量的に評価することを可能にした。また、本発明者らは、電極間の電圧V、溶接部分を流れる電流Ip、溶接部分における金属板同士の接触面積Sとして、D=Ip・V/Sで表される発熱密度Dを算出し、重合部Pにおける両金属板の接触部分の単位面積当たりの発熱エネルギーの大小を定量的に評価することを可能にした。そして、この有効電流率および発熱密度を評価指標として用いることで、溶接位置や通電パターン等の溶接条件を、金属板同士を良好に溶接できる理想的な条件に設定することが可能になった。
ところが実際の溶接時には、個々の溶接ごとに、溶接位置や隣接する既接合点の位置の誤差、溶接する金属板同士の隙間の違い等が生じる。従って、テストピースなどを用いて、良品範囲の有効電流率や発熱密度が得られる理想的な溶接条件を予め設定したとしても、実際の溶接時には有効電流率や発熱密度が良品範囲から外れることがあり、溶接不良を生じてしまうという課題があった。
上記の課題を解決するため、本発明は、複数のワークの重合部を溶接電極で加圧すると共に、前記重合部と異なる部位にアース電極を当接させて両電極間に通電するインダイレクトスポット溶接方法であって、溶接に寄与する有効電流経路の抵抗値と溶接に寄与しない無効電流経路の抵抗値とに基づいて設定された有効電流率を、前記重合部を溶接中に測定あるいは算出されるこれらの抵抗値に基づいて算出し、当該算出された有効電流率に基づいて、当該重合部を溶接時における、その後の溶接条件を変更することを特徴とする。
本発明の溶接方法では、溶接時に測定される実際の抵抗値に基づいて有効電流率を算出し、この有効電流率に基づいて、その溶接サイクル内におけるその後の溶接条件を変更する。これにより、溶接位置の誤差等によって、溶接条件を設定した際の溶接環境(例えば、溶接位置等)と実際の溶接時の溶接環境との間に乖離が生じた場合でも、その溶接サイクル内で実際の溶接環境に合わせて溶接条件を修正することができる。従って、個々の溶接環境に応じた溶接条件の適用が可能になり、溶接品質をより向上させ、溶接不良を防止することができる。
さらに上記のインダイレクトスポット溶接方法では、有効電流率に加えて、溶接時に測定される溶接電極の加圧方向の変位量に基づいて、その後の溶接条件を変更することができる。溶接電極の変位量により、重合部におけるワーク同士の接触状態を加味してその後の溶接条件を変更することができ、溶接品質をより向上させることができる。
さらに上記のインダイレクトスポット溶接方法では、重合部を流れる電流値をIp、一対の電極間の電圧をV、複数のワーク同士の接触面積をSとしたとき、D=Ip・V/Sで表される発熱密度Dが所定の範囲内になるように、溶接条件を変更することができる。これにより、電流値などの溶接条件を適切に変更することができ、溶接品質をより向上させることができる。
本発明によれば、溶接品質を向上させ、溶接不良を防止することができる。
インダイレクトスポット溶接を施す様子を示す断面図である。 上記インダイレクトスポット溶接の溶接中の電流値、加圧力、抵抗値を示すグラフである。 上記インダイレクトスポット溶接の溶接中に流れる電流の経路を示す図で、(A)図が第1のステップにおける図、(B)図がそれ以降のステップにおける図である。 溶接途中に算出される有効電流率により、その後の電流値を変更する例を説明した図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
本実施形態では、自動車の車体の組立工程において行われるインダイレクトスポット溶接方法を示し、具体的には、図1に示すような車体の骨格部品100を溶接する場合を示す。骨格部品100は、紙面直交方向に延びるフレーム状の部品であり、略平板状を成した第1の金属板(ワーク)1と、断面ハット形状を成した第2の金属板2と、第1の金属板1と第2の金属板2とで構成される中空部に配された断面ハット形状を成した第3の金属板(ワーク)3とで構成される。金属板1〜3としては、例えば鋼板が使用され、具体的には軟鋼板、高張力鋼板(引張強度490MPa以上)、超高張力鋼板(引張強度980MPa以上)等が使用される。
第1の金属板1と第2の金属板2のフランジ部2aとは、ダイレクトスポット溶接により予め溶接された既接合点Q1を介して接合されている。第2の金属板2の底部2bと第3の金属板3のフランジ部3aとは、ダイレクトスポット溶接により予め溶接された既接合点Q2を介して接合されている。
そして、第1の金属板1と第3の金属板3の天板部3bとの重合部Pを、インダイレクトスポット溶接により接合する。インダイレクトスポット溶接装置は、溶接電極10及びアース電極20と、溶接電極10を軸線方向に駆動して金属板を加圧する加圧手段(エアシリンダや電動シリンダ等)と、加圧手段による溶接電極10の加圧力及び両電極10,20間の電流値を制御する制御部(図示省略)とを備える。
重合部Pに対するインダイレクトスポット溶接は、以下の手順で行われる。まず、骨格部品100のうち、重合部Pと異なる部位にアース電極20を当接させる。図示例では、第2の金属板2の底部2b、特に、第2の金属板2の底部2bと第3の金属板3のフランジ部3aとの既接合点Q2に、アース電極20を下方から当接させている。この状態で、第1の金属板1と第3の金属板3の天板部3bとの重合部Pを厚さ方向一方側(図中上側)から溶接電極10で加圧しながら、両電極10,20間に通電することにより、重合部Pを溶接する。
本実施形態では、溶接電極10による加圧力及び両電極10,20間の電流値の一方又は双方を変化させながら、溶接が行われる。具体的には、図2に示す加圧通電パターンに従って溶接が行われる。
図2に示すように、まずステップS1では、溶接電極10で重合部Pを極めて小さい加圧力F1で加圧すると共に、電極10,20間に最も小さい電流値I1を通電する。このステップは、後述する有効電流率Kを算出するために設けられたステップであり、重合部Pの溶接に直接寄与しないステップである。
そして、溶接電極10により、高加圧力F2で重合部Pを加圧しながら、低電流値I2で通電する(ステップS2)。その後、加圧力をF2からF3まで低下させながら、電流値I2よりも低い電流値I3で通電する(ステップS3)。そして、加圧力をF3で維持しながら、段階的に電流値を上げていく。具体的には、電流値I4(ステップS4)、電流値I5(ステップS5)、電流値I6(ステップS6)、そして、電流値I7(ステップS7)と段階的に上げていく。
これらのステップのうち、低加圧力F3で加圧しながら相対的に高い電流値I4〜I7で通電するステップS4〜S7が、ナゲットを成長させるナゲット成長期となる。
このような通電パターンにより、重合部Pを高温で維持してナゲットの成長を促すことができ、金属板1と金属板3の天板部3bとの重合部Pに、所望の大きさ及び形状を有する接合点としてのナゲットを形成し、このナゲットを介して両金属板1,3を接合することができる。
次に、このような通電パターンや加圧のパターンを決定するための、溶接の良否を判定する指標となる有効電流率Kや発熱密度Dについて説明する。
両電極10,20間の通電により流れる電流のうち、溶接に寄与しない電流経路{図3(A)の点線C1参照}の抵抗値をRB、溶接に寄与する電流経路{図3(B)の点線C2参照}の抵抗値をRA、両経路の合成抵抗値を全体抵抗RTとすると、有効電流率Kは、K=RB/RTとして表すことができる。有効電流率Kは、回路全体を流れる電流のうち、重合部Pを流れる電流、つまり溶接に寄与する電流の割合がどれだけかを示す指標であり、この値が大きいほど、重合部Pに流れる電流の割合が大きくなる。
次に、溶接の際中に測定した電流値Iなどにより、各経路の抵抗値を算出して有効電流率Kを算出する方法について、図3(A)および図3(B)を用いて説明する。
図3(A)に示すように、溶接電極10およびアース電極20は、電流供給部としてのトランス4に接続され、この通電経路上に電流測定器5が設けられる。電流測定器5によって測定された電流値Iと、トランス4の二次コイルの電圧値Vにより、抵抗値を算出することができる。この電圧値Vは、トランス4と溶接電極10およびアース電極20とを接続するケーブル等の抵抗値(電圧降下)の影響も受けるが、これらのケーブル等の抵抗値は非常に小さいため、実質的に一対の電極10,20間の電圧値とみなすことができる。
まず、ステップS1で無効電流経路C1の抵抗値を測定する。ステップS1では、溶接電極10の加圧力が小さいため、重合部Pにおいて、第1の金属板1と第3の金属板3とは実質的に接触していない。従って、重合部Pの溶接に寄与しない無効電流経路C1(溶接電極10→第1の金属板1→既溶接点Q1→第2の金属板2→アース電極20という経路)にのみ電流が流れた状態である。このため、上記電流値Iおよび電圧値Vにより、無効電流経路C1の抵抗値RBを算出することができる。
そして、その後のステップS2で、溶接電極10が重合部Pを相対的に大きな加圧力で加圧することにより、第1の金属板1と第3の金属板3とが重合部Pにおいて接触する。これにより、図3(B)に示すように、無効電流経路C1に加えて、重合部Pを介した有効電流経路C2(溶接電極10→第3の金属板3→既溶接点Q2→第2の金属板2→アース電極20という経路)にも電流が流れる。この状態で測定される上記電流値Iおよび電圧値Vにより、無効電流経路C1と有効電流経路C2の合成抵抗である全体抵抗値RTを算出することができる。
以上のようにして算出された各抵抗値に基づいて、有効電流率K(K=RB/RT)を算出することができる。
ステップS1における加圧力F1は、その他のステップの加圧力F2,F3と比較してその大きさが特に小さく、ステップS1は、重合部Pをほとんど加圧しない状態で通電するステップである。このステップS1における重合部Pを「ほとんど加圧しない」状態とは、溶接電極10を第3の金属板3に押し当てて、無効電流経路C1に電流を流せるだけの加圧力で加圧する状態であり、第1の金属板1が変形して第3の金属板3に接触するよりも低い加圧力で、重合部Pを加圧する状態でもある。一例として、本実施形態では、加圧力F1を5[kgf]に設定している。このような加圧力で通電するステップを溶接の初期、つまり、両金属板1,3が溶接電極10によって重合部Pを相当の加圧力で加圧する前の段階であって、両金属板1,3が重合部Pで実質的に接触していない段階で設けることで、無効電流経路C1の抵抗値の算出が可能になる。
また、以上のようにして算出される溶接時の有効電流率Kを用いて、溶接時の発熱密度Dを算出することができる。発熱密度Dは、抵抗溶接の原理原則を考慮して、金属板1,3同士の接触部の発熱状態に影響を及ぼす複数の動的な因子(具体的には、重合部Pを流れる電流値Ipと、温度に依存して変化する抵抗値と、金属板の硬さや電極の加圧力に依存して変化する接触面積S)を一本化したパラメータである。発熱密度Dにより、重合部Pにおける両金属板1,3の接触部分の単位面積当たりの発熱エネルギーの大小を定量的に評価することができる。
発熱密度Dは、溶接時の重合部Pに流れる電流をIP、電圧をV、重合部Pにおける第1の金属板1と第3の金属板3との接触面積をSとすると、D=V・IP/Sとして算出することができる。なお、電圧Vは、前述したトランス4の二次コイルの電圧値を用いることができる。
重合部Pに流れる電流値IPは、抵抗RB、RTから有効電流経路C2の抵抗値RAを算出することにより、IP=V/RAにより求めることができる。なお、抵抗値RAは、RA=RT・RB/(RB―RT)により求めることができる。
接触面積Sは、溶接電極10の基準位置からの変位量xとの相関関係を用いて算出することができる。つまり、予め上記の板組みを溶接する際の、各時刻における金属板1,3同士の接触面積Sと、そのときの溶接電極10の基準位置からの変位量xとの相関関係を取得する。そして、実際の溶接時の溶接電極10の各時刻における変位量xから、上記の相関関係を用いて、各時刻における接触面積Sを取得することができる。
このようにして算出された各値により、実際の溶接時における発熱密度Dを算出することができる。
以上で算出した有効電流率Kおよび発熱密度Dは、溶接の良否を判定するための重要な指標となる。つまり、有効電流率Kが小さすぎると、重合部Pに十分な電流が流れず、ナゲットが成長しないため、溶接不良を生じてしまう。一方で、有効電流率Kが高すぎると、重合部Pに過剰な電流が流れて、重合部Pにおける第1の金属板1や第3の金属板3の溶け落ちや割れの原因となってしまう。また、ナゲット成長期において発熱密度Dが小さすぎると、溶接の後半でナゲットが十分に成長せずに、溶接不良を生じてしまう。一方で、ナゲット成長期において発熱密度Dが大きすぎると、重合部Pに投入されるエネルギーが過大になって、溶け落ちなどの溶接不良を生じてしまう。従って、有効電流率Kおよび発熱密度Dが良品範囲になるように、溶接位置や電流値などの溶接条件を調整することで、良品が得られる理想的な溶接条件を設定することができる。例えば、本実施形態では、図2に示す各ステップにおける電流値や加圧力が、このようにして設定された溶接条件である。
しかし、良品範囲の有効電流率Kや発熱密度Dが得られるように各溶接条件を設定したとしても、溶接条件の設定時と実際の個々の溶接時とでは、溶接位置の誤差等によって溶接環境が変化するため、上記の有効電流率Kや発熱密度Dにも誤差が生じ、溶接不良を生じてしまうおそれがある。
そこで本実施形態では、上記の測定方法により溶接時の電流Iや溶接電極10の変位量x等の各パラメータを測定し、その溶接時における有効電流率Kや、ナゲット成長期における発熱密度Dの予測値を溶接途中に算出する。そして、溶接途中に測定される変位量xや算出される有効電流率Kに基づいて、以降の溶接条件(具体的には電流値)を変更する。以下、この溶接条件の具体的な変更方法について図4を用いて説明する。
まず、図2に示す溶接条件が設定された際に、各ステップにおける、有効電流率Kと変位量xの許容範囲が設定されている。例えば、ステップS2とステップS3における、それぞれの有効電流率Kや変位量xの許容範囲が設定されている。そして、実際の溶接時に、ステップS2、S3で測定あるいは算出された変位量xや有効電流率Kが許容範囲を超えた場合には、ステップS4〜S7における電流値を変更する。
例えば、図4(A)は、溶接の途中で算出される有効電流率Kが想定よりも大きい場合である。図4(A)の例では、図2の場合と比較すると、ステップS1で算出される抵抗値(すなわち、抵抗値RB)が大きく、ステップS2で算出される抵抗値(すなわち、抵抗値RT)にはほとんど変化がない。つまり、想定されたよりも無効電流経路C1の抵抗値RBが大きく、有効電流経路C2に過大な電流が流れることになる。この場合、図2のようにナゲット成長期における各電流値I4〜I7を設定すると、重合部Pに流れる電流が過大になり、金属板の溶け落ちなどの溶接不良を生じてしまうことが予想される。
そこで、ステップS2で有効電流率Kが算出され、その値が許容範囲を超えていることを溶接装置の制御部が認識すると、図4(B)に示すように、算出された有効電流率Kに基づいて、以降の電流値、より具体的には、ナゲット成長期の電流値I4〜I7(図2参照)を小さくして、電流値I4’〜I7’に変更する。これにより、重合部Pに流れる電流値を修正して過大な電流が流れることを防止し、金属板の溶け落ちを防止することができる。
上記のようにして変更する電流値は、発熱密度Dにより決定することができる。例えば、ステップS2の時点までで算出される各抵抗値や変位量x等に基づいて、ステップS4〜S7において想定される発熱密度Dを算出する。この算出された発熱密度Dが、当初設定された各ステップにおける発熱密度Dの許容範囲に収まるように、電流値I4’〜I7’を決定することができる。
以上のように、本実施形態では、溶接の際中に算出される有効電流率Kに基づいて、その後の溶接条件、特にナゲット成長期における溶接条件を変更することができる。従って、個々の溶接環境に応じたより適切な電流値などの溶接条件を設定することができ、溶接品質を向上させることができる。また、電流値I4〜I7を電流値I4’〜I7’のように小さくして、過大な電流が流れることを防止することで、無駄なエネルギー消費を削減し、製造コストを低減することもできる。
上記の例では、有効電流率Kが大きくなる場合を示したが、これとは逆に小さくなる場合には、電流値I4〜I7を大きくすることで溶接不良を防止することができる。また、電流値を変更するだけでなく、各ステップS4〜S7の溶接時間を変更してもよい。
また上記の例では、溶接途中に算出される有効電流率Kに基づいて、その後の溶接条件を変更する場合を示したが、本実施形態では、溶接電極10の変位量xに基づいて、その後の溶接条件を変更してもよい。例えば、ステップS2やS3における変位量xが小さい場合には、ナゲット成長期において重合部Pにおける両金属板1,3の接触面積が小さくなり、発熱密度Dが過大になることが予想される。このため、ステップS4〜S7における電流値I4〜I7を小さくしてナゲット成長期における発熱密度Dを適正化することで、溶け落ちなどの溶接不良を防止することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。
以上の実施形態では、有効電流率を無効電流経路と有効電流経路との抵抗値に基づいて設定したが、電流値により設定してもよく、例えば、全体の抵抗値に対する有効電流経路を流れる電流値としてもよい。
以上の実施形態では、溶接途中に測定される変位量xや算出される有効電流率Kに基づいて、電流値や各ステップの時間を変更する場合を示したが、本発明が変更する溶接条件はこれに限らない。例えば、有効電流率Kが極端に少なく、後半の電流値I4〜I7を上げても十分な溶接ができないと判断される場合には、溶接のプロセス自体を停止することもできる。
1 第1の金属板(ワーク)
2 第2の金属板
3 第3の金属板(ワーク)
10 溶接電極
20 アース電極
C1 無効電流経路
C2 有効電流経路
P 重合部
Q1,Q2 既接合点

Claims (3)

  1. 複数のワークの重合部を溶接電極で加圧すると共に、前記重合部と異なる部位にアース電極を当接させて両電極間に通電するインダイレクトスポット溶接方法であって、
    溶接に寄与する有効電流経路の抵抗値と溶接に寄与しない無効電流経路の抵抗値とに基づいて設定された有効電流率を、前記重合部を溶接中に測定あるいは算出されるこれらの抵抗値に基づいて算出し、当該算出された有効電流率に基づいて、当該重合部を溶接時における、その後の溶接条件を変更することを特徴とするインダイレクトスポット溶接方法。
  2. 前記有効電流率に加えて、溶接時に測定される前記溶接電極の加圧方向の変位量に基づいて、その後の溶接条件を変更する請求項1記載のインダイレクトスポット溶接方法。
  3. 前記重合部を流れる電流値をIp、前記両電極間の電圧をV、前記複数のワーク同士の接触面積をSとしたとき、D=Ip・V/Sで表される発熱密度Dが所定の範囲内になるように、前記溶接条件を変更する請求項1または2記載のインダイレクトスポット溶接方法。
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