以下、図面を参照しながら本実施形態に係る患者アナウンス装置、放射線治療装置及び患者アナウンス方法を説明する。
図1に示すように、放射線治療システム100は、患者アナウンス装置1、治療計画画像撮影装置2、治療計画装置3、放射線治療情報管理システム(OIS: Oncology Information System)4及び放射線治療装置5を有する。患者アナウンス装置1、治療計画画像撮影装置2、治療計画装置3、放射線治療情報管理システム4及び放射線治療装置5は、互いにネットワークを介して通信可能に接続されている。
患者アナウンス装置1は、放射線治療時において、放射線治療における音声指示を患者に対して実行する。音声指示は、例えば、放射線治療時における患者の動きを制御するために行われる。患者アナウンス装置1は、スピーカと当該スピーカを介して音声指示を出力する処理回路とを少なくとも含む。患者アナウンス装置1の構成等については後述する。
治療計画画像撮影装置2は、治療対象の患者に医用撮像を施して、治療計画に使用する医用画像を生成する。以下、治療計画に使用するための医用画像を治療計画画像と呼ぶ。治療計画画像は、2次元状に配列されたピクセルにより構成される2次元画像でもよいし、3次元状に配列されたボクセルにより構成される3次元画像でもよい。治療計画画像撮影装置2は、治療計画画像を生成可能な如何なるモダリティ装置であってもよい。モダリティ装置としては、例えば、X線コンピュータ断層撮影装置、磁気共鳴イメージング装置、コーンビームCT装置、核医学診断装置等が挙げられる。治療計画画像のデータは、例えば、治療計画装置3に送信される。
治療計画装置3は、CPU(Central Processing Unit)及びGPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサ、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等のメモリ、ディスプレイ、入力インタフェース、通信インタフェースを含むコンピュータを有する。治療計画装置3は、治療計画画像を利用して治療対象の患者の治療計画を作成する。治療計画に含まれるパラメータとしては、フィールド数(照射野数)やフィールド角度(照射角度)、放射線強度、コリメータ開度等が含まれる。治療計画装置3は、治療計画画像に基づいて腫瘍や臓器の位置及び形状を特定し、各種の治療計画パラメータを決定する。この際、腫瘍に照射する線量はできる限り多く、正常組織への線量はできる限り小さくなるような治療計画が作成される。治療計画のデータは、放射線治療情報管理システム4に供給される。
放射線治療情報管理システム4は、治療計画装置3や放射線治療装置5等と連携して放射線治療に関する情報を管理するコンピュータシステムである。放射線治療情報管理システム4は、汎用のコンピュータ又はワークステーションが備えるプロセッサ、メモリ、入力機器、ディスプレイ、通信インタフェース及び記憶装置を備える。例えば、放射線治療情報管理システム4は、治療計画画像撮影装置2により生成された治療計画画像や治療計画装置3により作成された治療計画、患者情報等を管理する。
放射線治療装置5は、治療計画装置3により作成された治療計画に従い患者に放射線を照射して患者を治療する。放射線治療装置5は、治療室に設けられた治療架台と治療寝台とを有する。治療寝台は、患者の治療部位がアイソセンタに略一致するように天板を移動する。治療架台は、回転軸回りに回転可能に照射ヘッド部を支持する。照射ヘッド部は、放射線治療情報管理システム4から供給された治療計画に従い放射線を照射する。具体的には、照射ヘッド部は、多分割絞り(マルチリーフコリメータ)により照射野を形成し、当該照射野により正常組織への照射を抑える。治療部位に放射線が照射されることにより当該治療部位が消滅又は縮小する。なお、治療架台に画像撮影装置が搭載されていてもよい。画像撮影装置は、放射線治療時の位置確認のため患者の体内情報を収集するためのものである。例えば、画像撮影装置は、回転軸を挟んで対向配置されたX線管とX線検出器とを有する。この構成により画像撮影装置は、コーンビームCTを実現し、患者の体内の形態を描出する3次元のCT画像データを生成可能である。
図2に示すように、患者アナウンス装置1は、処理回路11、メモリ12、入力インタフェース13、通信インタフェース14、ディスプレイ15、スピーカ16及びバイタル計測器17を有する。
処理回路11は、CPU及びGPU等のプロセッサを有する。当該プロセッサがメモリ13等にインストールされたプログラムを起動することにより、当該プロセッサは、取得機能111、音声シーケンス構築機能112、アナウンス条件決定機能113、音声出力制御機能114及び表示制御機能115を実現する。なお、各機能111−115は単一の処理回路で実現される場合に限らない。複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより各機能111−115を実現するものとしても構わない。
取得機能111の実現により処理回路11は、種々のデータを取得する。例えば、処理回路11は、通信インタフェース14を介して放射線治療情報管理システム4から受信された治療計画のデータと患者情報とを取得する。また、処理回路11は、バイタル計測器17により計測されたバイタル値のデータを取得する。
音声シーケンス構築機能112の実現により処理回路11は、放射線治療における音声指示に関する複数の音声要素と対象患者の治療計画とに基づいて、複数の音声要素のうちの対象患者の治療計画に応じた音声要素を時系列に沿って組み合わせた、治療計画に係る放射線治療のための音声シーケンスを構築する。音声要素のデータは、予めメモリ12に記憶されている。記憶される音声要素は、息止照射、頭頸部照射、体幹部照射、回転照射又は定位照射に関する音声要素を含む。
図3は、メモリ12に記憶されている音声要素の一例を示す図である。図3に示すように、放射線治療において利用され得る定型の音声指示が所定単位で複数の音声要素に分割される。例えば、音声指示の種類として、息止に対する制御に関する音声指示、目の動きに対する制御に関する音声指示、深呼吸に対する制御に関する音声指示がある。息止に対する制御に関する音声指示は、息止照射において利用され、例えば、音声要素1「息を吸って」、音声要素2「息を吐いて」、音声要素3「息を止めてください」及び音声要素4「楽にしてください」がある。目の動きに対する制御に関する音声指示は、頭部照射において利用され、例えば、音声要素5「下を」、音声要素6「上を」、音声要素7「右を」、音声要素8「左を」及び音声要素9「見てください」がある。深呼吸に対する制御に関する音声指示は、患者の緊張を緩和するために利用され、例えば、音声要素10「深呼吸してください」、音声要素11「大きく」、音声要素12「ゆっくり」、音声要素13「もっと」及び音声要素14「少し」がある。
放射線治療においては、バイトブロック等のアクセサリが患者や治療寝台等に装着される場合がある。頭部照射において利用される、アクセサリの装着に関する音声指示としては、例えば、音声要素15「バイトブロックを」、音声要素16「噛んでください」等がある。また、患者等が身につけている物の取り外しを指示する必要もある。例えば、頭部照射において利用される、装着物の取り外しに関する音声指示としては、例えば、音声要素17「入れ歯を」、音声要素16「抜いてください」等がある。呼吸に対する他の音声指示として、例えば、音声要素19「腹式で」、音声要素20「呼吸してください」等がある。また、架台や寝台の動きを伴う放射線治療における音声指示として、例えば、音声要素21「架台が」、音声要素22「寝台が」、音声要素23「回転します」、音声要素24「移動します」がある。なお、音声要素は、音声のデータとしてメモリ12に記憶される。
アナウンス条件決定機能113の実現により処理回路11は、患者情報に基づいて音声シーケンスに応じた音声の出力条件(以下、アナウンス条件と呼ぶ)を決定する。アナウンス条件としては、例えば、音声の音量があげられる。
音声出力制御機能114の実現により処理回路11は、アナウンス条件決定機能113により決定されたアナウンス条件に従い、音声シーケンス構築機能112により構築された音声シーケンスに応じた音声を、スピーカ16を介して出力する。
表示制御機能115の実現により処理回路11は、種々の情報をディスプレイ15に表示する。例えば、処理回路11は、音声シーケンスの構築画面を表示する。
メモリ12は、種々の情報を記憶するROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、集積回路記憶装置等の記憶装置である。メモリ12は、上記記憶装置以外にも、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、フラッシュメモリ等の可搬型記憶媒体や、半導体メモリ素子等との間で種々の情報を読み書きする駆動装置であってもよい。また、メモリ12は、放射線治療支援装置1にネットワークを介して接続された他のコンピュータ内にあってもよい。例えば、メモリ12は、プログラムや音声シーケンス、患者情報、治療計画、各種テーブル等のデータを記憶する。
入力インタフェース13は、オペレータからの各種の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路11に出力する。具体的には、入力インタフェース15は、マウス、キーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、タッチパッド及びタッチパネルディスプレイ等の入力機器に接続されている。入力インタフェース13は、当該入力機器への入力操作に応じた電気信号を処理回路11へ出力する。また、入力インタフェース13に接続される入力機器は、ネットワーク等を介して接続された他のコンピュータに設けられた入力機器でもよい。
通信インタフェース14は、放射線治療システム100に含まれる他の装置との間でデータ通信するためのインタフェースである。例えば、通信インタフェース14は、放射線治療情報管理システム4からネットワークを介して、患者情報、治療計画及び治療計画画像のデータを受信する。
ディスプレイ15は、処理回路11の表示制御機能115に従い種々の情報を表示する。例えば、ディスプレイ15は、音声シーケンスの構築画面を表示する。ディスプレイ15としては、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、有機ELディスプレイ(OELD:Organic Electro Luminescence Display)、プラズマディスプレイ又は他の任意のディスプレイが適宜使用可能である。
スピーカ16は、音声出力制御機能114に従い音声を再生する。スピーカ16としては、マグネチックスピーカ、ダイナミックスピーカ、コンデンサスピーカ又は当技術分野で知られている他の任意のスピーカが適宜利用可能である。スピーカ16は、例えば、治療室に設けられる。
バイタル計測器17は、患者のバイタル情報に関するバイタル値を計測する。バイタル計測器17としては、例えば、血圧を計測する血圧計や体温を計測する体温計、心電図を計測する心電計、脈拍を計測する脈拍計、血中酸素濃度を計測するパルスオキシメータ等が利用可能である。バイタル計測器17は、治療室に設けられた治療寝台に載置された患者のバイタル値をリアルタイムで計測する。バイタル値のデータは、有線又は無線を介して処理回路11に供給される。
以下、患者アナウンス装置1の動作例について説明する。
図4は、患者アナウンス装置1の処理回路11による、放射線治療における患者アナウンスの典型的な流れを示す図である。図4に示す処理は、放射線治療の開始前に開始される。
図4に示すように、処理回路11は、まず、取得機能111の実現により、放射線治療対象患者に関する患者情報と治療計画のデータとを取得する(ステップS1)。患者情報と治療計画のデータとは、例えば、放射線治療情報管理システム4から取得することが可能である。
ステップS1が行われると処理回路11は、アナウンス条件決定機能113の実現により、ステップS1において取得された患者情報に基づいてアナウンス条件を決定する(ステップS2)。例えば、処理回路11は、患者の聴覚に関する情報に基づいて、アナウンス条件の一つである音声の音量を決定する。具体的には、処理回路11は、聴覚の能力を示すクラスと音声の音量とを関連付けたテーブル(LUT:Look Up Table)を用いて、対象患者のための音量を決定する。以下、当該テーブルを聴覚/音量テーブルと呼ぶことにする。聴覚/音量テーブルは、メモリ12に記憶される。
図5は、聴覚/音量テーブルの一例を示す図である。図5に示すように、聴覚/音量テーブルは、聴覚の能力を示すクラスと、当該クラスに適した音量とを関連付けている。クラスとしては、例えば、標準的な聴覚の能力を意味する「標準」、標準よりも低下した能力を意味する「難聴」が設けられる。また、聴覚の能力は加齢に応じて低下することが知られている。そこで、クラスとして「年齢80以上」や「年齢70-79」等が設けられる。音量は、例えば、標準の音量に対する差分値として記録される。例えば、図5に示すように、「標準」以外の各クラスに関連付けられた音量は、クラス「標準」の音量「12」に対する差分により記録される。
ステップS2において処理回路11は、ステップS1において取得された患者情報から、聴覚/音量テーブルのクラスに該当する情報を抽出する。例えば、処理回路11は、患者情報から、難聴の有無又は年齢の情報を抽出する。次に処理回路11は、抽出された情報に、聴覚/音量テーブルにおいて関連付けられた音量を特定する。患者の聴覚の能力に応じたレベルに関連付けられた音量に従い、音声シーケンスに応じた音声が出力される。
ステップS2において処理回路11は、患者の年齢に基づいて、アナウンス条件の一つとして音声の音調を決定してもよい。例えば、高齢者は音調の高い音声を聞き取りにくいので、処理回路11は、高齢の患者の場合、音声の音調を、標準の音調よりも低い音調に決定する。聴覚/音量テーブルの内容は、処理回路11等により、オペレータによる入力インタフェース13を介した指示に基づいて予め生成される。聴覚/音量テーブルの内容は、入力インタフェース13等を介して任意に変更、追加又は削除が可能である。
ステップS2が行われると処理回路11は、音声シーケンス構築機能112の実現により、治療計画の種類に基づいて音声要素を選択する(ステップS3)。ステップS3における治療計画の種類は、放射線治療の種類と同義であり、例えば、息止照射、頭頸部照射、体幹部照射、回転照射及び定位照射等がある。治療計画の種類は、例えば、治療計画に記録されている。処理回路11は、治療計画の種類と音声要素とを関連付けたテーブル(LUT)を用いて、音声要素を選択する。以下、当該テーブルを計画種/要素テーブルと呼ぶことにする。計画種/要素テーブルは、メモリ12に記憶される。
図6は、計画種/要素テーブルの一例を示す図である。図6に示すように、計画種/要素テーブルは、治療計画の種類(治療計画種)と、当該種類に適した音声要素又はその組合せとをシーケンス要素毎に関連付けている。シーケンス要素は、一の音声要素又は複数の音声要素の組合せであり、音声指示としての意味を成す最小又はそれに準ずる単位である。一の治療計画種に対して、当該治療計画種に適したシーケンス要素が複数存在する場合もある。
治療計画種「脳」には、例えば、2つのシーケンス要素が関連付けられる。シーケンス要素1は、音声要素5と音声要素9との組合せであり、その内容は、「下を見てください」である。シーケンス要素2は、音声要素6と音声要素9との組合せであり、その内容は、「上を見てください」である。治療計画種「頭頸部」には、例えば、2つのシーケンス要素が関連付けられる。シーケンス要素1は、音声要素15と音声要素16との組合せであり、その内容は、「バイトブロックを噛んでください」である。シーケンス要素2は、音声要素17と音声要素18との組合せであり、その内容は、「入れ歯を抜いてください」である。治療計画種「回転照射」には、例えば、1つのシーケンス要素が関連付けられる。シーケンス要素1は、音声要素21と音声要素23との組合せであり、その内容は、「架台が回転します」である。治療計画種「定位照射」には、例えば、1つのシーケンス要素が関連付けられる。シーケンス要素1は、音声要素22と音声要素23との組合せであり、その内容は、「寝台が回転します」である。
ステップS3において処理回路11は、ステップS1において取得された治療計画種に、計画種/要素テーブルにおいて関連付けられたシーケンス要素、換言すれば、一又は複数の音声要素を特定する。複数のシーケンス要素が治療計画種に関連付けられている場合、任意の一つが選択されるとよい。例えば、オペレータによる入力インタフェース13を介した指示に従い任意の一つが選択されてもよいし、治療計画に基づいて自動的に任意の一つが選択されてもよい。計画種/要素テーブルの内容は、処理回路11等により、オペレータによる入力インタフェース13を介した指示に基づいて予め生成される。計画種/要素テーブルの内容は、入力インタフェース13等を介して任意に変更、追加又は削除が可能である。なお、一の治療計画種に複数のシーケンス要素が関連付けられている場合、当該複数のシーケンスのうちの二以上のシーケンス要素が用いられてもよい。
ステップS3が行われると処理回路11は、音声シーケンス構築機能112の実現により、ステップS3において選択された音声要素に基づいて音声シーケンスを構築する(ステップS4)。ステップS4において処理回路11は、ステップS3において選択された音声要素を時系列に沿って組み合わせて音声シーケンスを構築する。各音声要素の再生タイミングは、治療計画に含まれる治療パラメータ等に基づいて自動的に決定されてもよいし、オペレータによる入力インタフェース13を介した指示に従い設定されてもよい。構築された音声シーケンスは、オペレータによる確認のため、ディスプレイ15に表示されてもよい。ディスプレイ15に表示された音声シーケンスは、オペレータによる入力インタフェース13を介した指示に従い修正されてもよい。この場合、修正後の音声シーケンスが、使用する音声シーケンスに設定される。
ステップS4が行われると処理回路11は、音声出力制御機能114の実現により、ステップS2において決定されたアナウンス条件に従い、ステップS4において構築された音声シーケンスに応じた音声を、治療室に設置されたスピーカ16を介して出力する(ステップS5)。放射線治療においては、患者が治療寝台に載置され、患者の治療部位がアイソセンタに一致するよう治療寝台が移動される。その後、放射線治療装置5により治療部位に放射線が照射される。処理回路11は、放射線治療装置5による放射線の照射前、照射中及び照射後において音声シーケンスに応じた音声を出力する。患者は、出力された音声を聞くことにより、音声に応じた動作を適切に実行することができる。
以上により、患者アナウンスが終了する。
上記の患者アナウンスの処理によれば、少なくとも治療計画に基づいて音声シーケンスを構築するので、治療計画種(放射線治療種)に適した音声シーケンスを自動的又は半自動的に構築することができる。そして、音声シーケンスに応じた音声がスピーカ16から出力されるので、オペレータが音声指示を発声する手間を省略でき、また、1回の放射線照射において同内容の発声を繰り返し行う場合であっても、均一且つ正確に発声することができる。
次に、治療計画種が息止照射である場合を例に挙げて音声シーケンスの構築について説明する。息止照射の場合、処理回路11は、治療計画に基づいて1フィールド毎の照射時間を算出し、1フィールド毎の照射時間と1回あたりの所定の息止時間とに基づいて音声シーケンスを構築する。
図7は、息止照射のための音声シーケンスの第1の構築例の典型的な流れを示す図である。図7の処理は、図4のステップS4に含まれる。
図4のステップS3において息止照射の音声要素が選択された場合、処理回路11は、ステップS1において取得された治療計画に基づいて1フィールドの照射時間を算出する(ステップS4A1)。例えば、息止照射がフィールドAについて行われ、フィールドAに対するMU(monitor unit)値が260MU、線量率が500MU/minであるとする。MU値と線量率とは治療計画に治療パラメータとして記録されている。処理回路11は、MU値と線量率とに基づいて、1フィールドの照射時間を算出する。具体的には、1フィールドの照射時間は、MU値/線量率=260/500=0.52min=60×0.52sec≒31secである。
ステップS4A1が行われると処理回路11は、ステップS1において取得された患者情報に基づいて息止時間の候補を決定する(ステップS4A2)。ステップS4A2において処理回路11は、少なくとも、患者の息止の能力を示すクラスと息止時間とを関連付けたテーブル(LUT)を用いて、息止時間の候補を決定する。以下、当該テーブルを息止能力/時間テーブルと呼ぶことにする。息止能力/時間テーブルは、メモリ12に記憶される。
図8は、息止能力/時間テーブルの一例を示す図である。図8に示すように、息止能力/時間テーブルは、息止の能力を示すクラスと、当該クラスに適した息止時間と、当該クラスに適した息止の開放時間とを関連付けている。クラスとしては、例えば、標準的な息止の能力を意味する「標準」、肺機能が標準よりも低下していることを意味する「肺機能低下」が設けられる。また、息止能力は、加齢に応じて低下することが知られている。そこで、クラスとして「年齢80以上」や「年齢70-79」、「年齢60-69」等が設けられる。息止時間及び開放時間は、例えば、それぞれ標準の息止時間及び開放時間に対する差分値として記録される。例えば、図8に示すように、「標準」以外の各クラスに関連付けられた息止時間は、クラス「標準」の息止時間「5sec」に対する差分により記録され、開放時間は、クラス「標準」の息止時間「10sec」に対する差分により記録される。
ステップS4A2において処理回路11は、ステップS1において取得された患者情報から患者の聴覚の能力に関する情報を抽出する。次に処理回路11は、患者の聴覚の能力に関する情報に、息止能力/時間テーブルにおいて関連付けられた息止時間を特定する。以下、息止能力/時間テーブルにより記録された息止時間を標準息止時間と呼ぶ。処理回路11は、特定された標準息止時間と、当該標準息止時間から所定時間増減された1又は複数の息止時間とを息止時間候補に決定する。また、処理回路11は、患者の聴覚の能力に関する情報に、息止能力/時間テーブルにおいて関連付けられた開放時間を特定する。
ステップS4A2が行われると処理回路11は、息止時間候補毎に最後の息止時間と他の息止時間との差分を算出する(ステップS4A3)。ステップS4A3が行われると処理回路11は、差分が最小の息止時間候補を正規の息止時間として選択する(ステップS4A4)。
図9は、ステップS4A3及びS4A4の処理を説明するための図である。以下の例においては、図9に示すように、フィールドAのMU値が260MUであり、線量率が500MU/minであり、1フィールドの照射時間が31secであるとする。処理回路11は、息止時間候補毎に最後の息止時間と最後以外の息止時間との差分を算出する。具体的には、まず、処理回路11は、1フィールドの照射時間と息止時間候補とに基づいて1フィールドあたりの息止回数を算出する。次に処理回路11は、1フィールドの照射時間と息止時間候補と息止回数とに基づいて最後の息止時間を算出する。そして処理回路11は、最後の息止時間と最後以外の息止時間との差分を算出する。
例えば、息止時間候補(標準息止時間)が5secである場合、息止回数は31sec÷5sec=6.2である。実際には息止回数は整数でしか観念できないため、算出された息止回数が小数点以下の数字を含む場合、小数点以下の数字は切り捨てられる。従って上記例の場合、息止回数は6に決定される。最後の息止時間は31sec-(5sec×6回)=1secである。より詳細には、息止時間候補が息止回数だけ時間経過に沿って並べられ、合計時間が1フィールドの照射時間に一致しない場合、端数が最後の息止時間に設定される。例えば、上記例の場合、5+5+5+5+5+5+1となり、最後の息止時間は1となる。最後の息止時間と最後以外の息止時間との差分は、5sec-1sec=4secとなる。
同様に、息止時間候補(標準息止時間-1sec)が4secである場合、息止回数は、31sec÷4sec=7.75であり、最後の息止時間は、31sec-(4sec×7回)=3secであり、最後の息止時間と最後以外の息止時間との差分は、4sec-3sec=1secとなる。息止時間候補(標準息止時間+1sec)が6secである場合、息止回数は、31sec÷6sec=5.16666・・・であり、最後の息止時間は、31sec-(6sec×5回)=1secであり、最後の息止時間と最後以外の息止時間との差分は、6sec-1sec=5secとなる。
最後の息止時間と最後以外の息止時間との差分が大きい場合、患者は最後の息止時間等において自然な呼吸をすることが妨げられることになる。患者が自然な調子で呼吸をするためには、最後の息止時間と最後以外の息止時間との差分が小さい方がよい。そこで、処理回路11は、複数の息止時間候補の中から、差分が最小の息止時間候補を選択する。上記例の場合、最小の差分1secに関する息止時間候補(標準息止時間-1sec)4secが選択される。選択された息止時間候補が正規の息止時間に設定される。
上記例において、差分は、最後の息止時間と最後以外の息止時間との差分であるとした。しかしながら、本実施形態はこれに限定されず、所定順位の息止時間と当該所定順位以外の息止時間との差分であればよい。すなわち、上記例において、息止時間候補が時間経過(順方向)に沿って並べられるとしたが、例えば、逆方向に沿って並べられてもよいし、如何なる順序で並べられてもよい。例えば、息止時間候補が逆方向に沿って並べられる場合、最初の息止時間と最初以外の息止時間との差分が算出されればよい。
ステップS4A4が行われると処理回路11は、正規の息止時間に関する音声シーケンスを構築する(ステップS4A5)。ステップS4A5において処理回路11は、ステップS3において選択された音声要素、ステップS4A4において選択された正規の息止時間、ステップS4A3において決定された息止回数及びステップS4A2において決定された開放時間に基づいて音声シーケンスを構築する。
図10は、音声シーケンスの一例を示す図である。図11は、図10の音声シーケンスに関するパラメータ(以下、アナウンスパラメータと呼ぶ)を示す図である。図10に示すように、ステップS3において選択された音声要素が、息止指示のための音声要素AE1「息を吸って吐いて、止めてください」と、息止の開放指示のための音声要素AE2「楽にしてください」とであるとする。音声要素AE1の再生時間は3secであり、音声要素AE2の再生時間は8secであるとする。音声要素AE2の再生時間は、ステップS4A2において決定された開放時間に対応する。息止時間BH1,BH2は、音声要素AE1と音声要素AE2との間に配置され、患者が音声要素AE1に従い息止を行う期間である。息止時間BH1,BH2は、ステップS4A4において選択された正規の息止時間に対応する。他の息止時間BH1は、ステップS4A3において決定された最後以外の息止時間に対応する。最後の息止時間BH2は、ステップS4A3において決定された最後の息止時間に対応する。S4A4における正規の息止時間において、最後の息止時間と他の息止時間との差分がゼロである場合、最後の息止時間BH2は、他の息止時間BH1に一致する。当該差分がゼロでない場合、最後の息止時間BH2は、他の息止時間BH1から当該差分を減じた時間に一致する。他の息止時間BH1は4secであり、最後の息止時間BH2は3secであるとする。
処理回路11は、音声要素AE1と息止時間BH1と音声要素AE2とを、ステップS4A3において決定された息止回数だけ時間軸に沿って順番に配置する。そして処理回路11は、最後に音声要素AE1と息止時間BH2と音声要素AE2とを配置する。これにより音声シーケンスが構築される。なお、S4A4における正規の息止時間において、最後の息止時間BH2と他の息止時間BH1との差分がゼロである場合、音声要素AE1と息止時間BH1と音声要素AE2とが、ステップS4A3において決定された息止回数だけ時間軸に沿って順番に配置されることにより、音声シーケンスが構築されることとなる。音声シーケンスの構築後、処理回路11は、構築された音声シーケンスに基づいて総治療時間(トータル治療時間)を算出する。トータル治療時間は、音声シーケンスの合計時間を意味する。処理回路11は、音声シーケンスに含まれる全要素の時間の合計をトータル治療時間として算出する。例えば、図10の音声シーケンスのトータル治療時間は、音声要素AE1の合計時間(3sec×8)と息止時間BH1の合計時間(4sec×7)と最後の息止時間BH2の合計時間(3sec×1)と音声要素AE2の合計時間(8sec×8)との合計時間119secとなる。
なお、上記の音声シーケンスは一例であり、種々の変形例が可能である。例えば、最後の息止時間BH2の後に音声要素AE2が設けられなくてもよい。また、音声要素AE1と息止時間BH1又は息止時間BH2との間、息止時間BH1又は息止時間BH2と音声要素AE2との間に、他の音声要素が設けられてもよい。
ステップS4A5において音声シーケンスが構築された場合、処理回路11は、表示制御機能115の実現により、ステップS4A6において構築された音声シーケンスを表示する。
これにより、息止照射のための音声シーケンスの構築が終了する。
音声シーケンスの構築が終了すると放射線治療装置5による息止照射が開始される。放射線照射の開始と共に処理回路11は、音声出力制御機能114の実現により、ステップS4A6において構築された音声シーケンスに応じた音声をスピーカ16を介して出力すると共に、表示制御機能115の実現により、ステップS4A6において構築された音声シーケンスをディスプレイ15に表示する。
図12は、音声シーケンスの表示画面IS1の一例を示す図である。図12に示すように、表示画面IS1には、音声シーケンスIA1の表示欄IR1とアナウンスパラメータの表示欄IR2が設けられる。表示欄IR1には音声シーケンスIA1とバーIB1とが表示される。音声シーケンスIA1は、例えば、時系列に配置された、音声要素や息止時間等の要素を視覚的に表現するグラフィック要素を含む。バーIB1は、音声シーケンスIA1における現時点を示すグラフィック要素である。バーIB1は、進行に合わせて音声シーケンスIA1をスクロールする。音声シーケンスIA1が表示欄IR1内に収まらない場合、バーIB1又は音声シーケンスIA1が進行に合わせて表示欄IR1内において自動的にスクロールされる。表示欄IR2には、トータル経過時間や音声要素の再生経過時間等のアナウンスパラメータが表示される。トータル経過時間は、音声シーケンスの出力開始時点からの経過時間である。音声要素再生経過時間は、現時点で出力されている音声要素の出力開始時点からの経過時間である。例えば、図12の場合、トータル経過時間は16secであり、音声要素再生経過時間は1secである。
音声シーケンスは、オペレータによる確認のために表示されるとよい。そのため、音声シーケンスが表示されるディスプレイ15は、放射線治療時にオペレータが視認可能な位置に設けられるとよい。なお、音声シーケンスは、患者のために表示されてもよい。この場合、オペレータのためのディスプレイ15の他に、患者のためのディスプレイ15が設けられてもよい。患者のためのディスプレイ15は、治療寝台に載置された患者が視認可能な位置に設けられる。
なお、複数フィールドについて息止照射が行われる場合、フィールド毎にステップS4A1−ステップS4A5が行われればよい。
上記の息止照射のための音声シーケンスの第1の構築例によれば、当該息止照射及び当該患者に適した音声シーケンスを自動的又は半自動的に構築することができる。そして、音声シーケンスに応じた音声がスピーカ16から出力されるので、オペレータが音声指示を発声する手間を省略でき、また、1回の放射線照射において同内容の発声を繰り返し行う場合であっても、均一且つ正確に発声することができる。また、音声シーケンスの息止時間や開放時間等が治療対象の患者の患者情報に基づいて決定されるので、当該患者は、音声シーケンスによる音声指示に従い自然の調子で呼吸を行うことができる。
放射線治療時において処理回路11は、患者の緊張度合いを示すバイタル値に応じてリアルタイムで音声シーケンスを再構成することが可能である。放射線治療時においてバイタル計測器17は、患者のバイタル値をリアルタイムで計測し、バイタル値のデータを処理回路11にリアルタイムで送信している。このようなバイタル値としては、血圧や体温、心拍、脈拍、血中酸素濃度がある。バイタル値の供給を受けると処理回路11は、音声出力制御機能114の実現により、バイタル値を予め設定された閾値に対して比較する。そして処理回路11は、バイタル値が閾値を上回った又は下回ったことを基準として、緊張の緩和を促すための音声をスピーカ16を介して出力する。緊張の緩和を促すための音声としては、例えば、「深呼吸をして下さい」等がある。
緊張の緩和を促すための音声の出力タイミングとしては種々考えられる。例えば、処理回路11は、バイタル値が閾値を上回った又は下回った時点が音声要素の中途である場合、当該音声要素の再生を停止して、緊張の緩和を促すための音声を出力する。停止された音声要素は破棄され、音声シーケンスにおける次の音声要素に応じた音声が出力されるとよい。あるいは、停止された音声要素は破棄されず、停止された音声要素の停止時点から音声が出力されてもよいし、停止された音声要素の最初から再び音声が出力されてもよい。
例えば、患者が緊張することにより呼吸の間隔が短くなることが想定される。上記処理により患者に深呼吸を促すことにより、緊張が緩和され、呼吸の間隔を正常に戻すことができる。これにより、音声シーケンスにおいて計画された通りの呼吸の間隔に近づけることができ、呼吸指示を正確に行うことができる。
次に、治療計画種が息止照射である場合を例に挙げて、音声シーケンスの構築の他の流れについて説明する。図13は、息止照射のための音声シーケンスの構築の他の流れを示す図である。図13の処理は、図4のステップS4に含まれる。
図4のステップS3において息止照射の音声要素が選択された場合、処理回路11は、ステップS1において取得された治療計画に基づいて1フィールドの照射時間を算出する(ステップS4B1)。ステップS4B1の処理は図7のステップS4A1と同様である。
ステップS4B1が行われると処理回路11は、ステップS1において取得された患者情報に基づいて息止時間の候補を決定する(ステップS4B2)。ステップS4B2の処理は図7のステップS4A2と同様である。
ステップS4B2が行われると処理回路11は、息止時間候補毎に最後の息止時間と他の息止時間との差分を算出する(ステップS4B3)。ステップS4B3の処理は図7のステップS4A3と同様である。
ステップS4B3が行われると処理回路11は、表示制御機能115の実現により、息止時間候補毎の差分を表示する(ステップS4B4)。ステップS4B4において処理回路11は、息止時間候補毎の差分を含む表示画面IS2をディスプレイ15に表示する。
図14は、差分の表示画面IS2の一例を示す図である。図14に示すように、表示画面IS2には、息止時間候補毎に差分表示欄IRSと選択ボタンBOとが設けられる。差分表示欄IRSには最後の息止時間と他の息止時間との差分が表示される。差分表示欄IRSには、オペレータによる選択の判断材料に供するため、差分のみではなく、息止回数、最後の息止時間及びこれらの導出過程も表示されるとよい。選択ボタンBOは、対応する息止時間候補を正規の息止時間として選択するためのGUI(Graphical User Interface)である。例えば、図14に示すように、標準息止時間、標準息止時間-1及び標準息止時間+1が息止時間候補として設定されているものとする。この場合、標準息止時間のための差分表示欄IRS1及び選択ボタンBO1と、標準息止時間-1のための差分表示欄IRS2及び選択ボタンBO2と、標準息止時間+1のための差分表示欄IRS3及び選択ボタンBO3とが表示される。
オペレータは、差分表示欄IRS1、IRS2及びIRS3を見て正規の息止時間に適した息止時間候補を判断する。典型的には、差分が最小の息止時間が正規の息止時間であると判断される。しかしながら、当該患者の体質や当該オペレータの技量等に応じ、その都度柔軟な基準により判断されればよい。例えば、差分が最小でなくてもトータル治療時間が短い息止時間が正規の息止時間であると判断されてもよい。
ステップS4B4が行われると処理回路11は、正規の息止時間を選択する(ステップS4B5)。具体的には、オペレータは、図14の表示画面IS2のうち、正規の息止時間に適した息止時間候補に対応する選択ボタンBOを、入力インタフェース13を介して押下する。処理回路11は、押下された選択ボタンBOに対応する息止時間候補を正規の息止時間を選択する。
ステップS4B5が行われると処理回路11は、正規の息止時間に関する音声シーケンスを構築する(ステップS4B6)。ステップS4B6の処理は図7のステップS4A5と同様である。
これにより、息止照射のための音声シーケンスの構築が終了する。このように、息止照射のための音声シーケンスの第2の構築例によれば、オペレータが正規の息止時間を選択することにより、音声シーケンスの構築に際しオペレータの判断を介入させることが可能になる。
上記の患者アナウンス例においては、処理回路11が治療計画種に応じて自動的又は半自動的に音声シーケンスを構築するものとした。しかしながら、本実施形態はこれに限定されない。例えば、オペレータが選択した音声要素に応じた音声を逐次出力してもよい。音声要素の選択画面は、処理回路11による表示制御機能115の実現により、ディスプレイ15に表示される。
図15は、音声要素の選択画面IS3を示す図である。図15に示すように、選択画面IS3には、種々の音声要素に応じたアイコンIIが表示される。例えば、音声要素「治療を開始します」のためのアイコンII1、音声要素「息を吸って」のためのアイコンII2、音声要素「息を吐いて」のためのアイコンII3、音声要素「息を止めてください」のためのアイコンII4、音声要素「楽にしてください」のためのアイコンII5、音声要素「もっと息を吸ってください」のためのアイコンII6、音声要素「もっと息を吐いてください」のためのアイコンII7、音声要素「動かないでください」のためのアイコンII8、音声要素「残り半分です」のためのアイコンII9、音声要素「もう少しです」のためのアイコンII10、音声要素「治療が終了しました」のためのアイコンII11、音声要素「そのままお待ち下さい」のためのアイコンII12がある。また、図15に示すように、表示欄IR5と表示欄IR6とが設けられる。表示欄IR5には、患者に対する音声の言語種や聴覚能力に関係するパラメータが表示されるとよい。表示欄IR6には、音声の再生速度が表示される。表示欄IR5及びIR6の内容は、入力インタフェース13を介して適宜変更可能である。
処理回路11は、入力インタフェース13を介して選択されたアイコンII1−II12に対応する音声を、スピーカ16を介して即時的に出力する。例えば、放射線治療時においてオペレータは、息止照射の進行及び患者の呼吸の調子に合わせて、入力インタフェース13を介して任意のアイコンII1−II12を押下する。処理回路11は、押下されたアイコンII1−II12に応じた音声をスピーカ16を介して出力する。
本実施例によれば、オペレータが声を発することなく音声指示を行うことができる。よって同内容の発声を繰り返す必要がないため、音声指示に関するオペレータの手間を削減することができる。また、オペレータがアイコンを押下することを契機として即時に音声が出力されるので、オペレータのタイミングで患者に音声指示を行うことも可能である。
なお、上記例においては、アイコンの押下に起因して当該アイコンに対応する音声が即時的に出力されるものとした。しかしながら、本実施例はこれに限定されない。例えば、処理回路11は、押下されたアイコンに対応する音声要素に基づいて音声シーケンスを構築してもよい。これにより、音声シーケンスの構築に用いる音声要素を柔軟に選択することが可能になる。
上記の通り、本実施形態に係る患者アナウンス装置1は、メモリ12と処理回路11とを含む。メモリ12は、放射線治療における音声指示に関する複数の音声要素を記憶する。処理回路11は、複数の音声要素と対象患者の治療計画とに基づいて、複数の音声要素のうちの対象患者の治療計画に応じた音声要素を時系列に沿って組み合わせた、治療計画に係る放射線治療のための音声シーケンスを構築する。
上記の構成によれば、音声シーケンスに応じた音声を出力することができるので、オペレータが音声指示を発声する手間を省略でき、また、1回の放射線照射において同内容の発声を繰り返し行う場合であっても、均一且つ正確に発声することができる。
なお、上記実施例においては、放射線治療時における患者アナウンスを例に挙げたが、本実施形態に係る患者アナウンスは、治療計画画像撮影装置2等の医用画像撮影装置による画像撮影時においても利用可能である。
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、放射線治療における患者の動きの制御を容易且つ正確に実行することができる。
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU、GPU、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC))、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは記憶回路に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、記憶回路にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。また、プログラムを実行するのではなく、論理回路の組合せにより当該プログラムに対応する機能を実現しても良い。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、図1及び図2における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。