JP2020115402A - 真皮画像情報処理装置、真皮画像情報処理方法及びプログラム - Google Patents

真皮画像情報処理装置、真皮画像情報処理方法及びプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】皮膚の状態が良くない場合でも、同一人物を別人と誤判定してしまう可能性を低減させる。【解決手段】真皮画像情報処理装置は、乳頭層の画像を示す画像情報を取得する真皮画像情報取得部と、前記取得された画像情報に基づいて、前記乳頭層の損傷を示す特異領域を検出する特異領域検出部とを備える。【選択図】図1

Description

本発明は、真皮画像情報処理装置、真皮画像情報処理方法及びプログラムに関する。
近年、個人を識別するための認証方式の一つとして生体認証が注目されている。指紋等の生体パターンは、年月が経過しても変化しないという特徴があり、認証としての信頼性が高い。一方で、偽指等の偽生体パターンを用いて不正行為が行われる可能性もあり、そのような不正行為を阻止するための技術も開発されている。
例えば、特許文献1に記載された技術は、指の表面に透明な薄膜を付けた偽指を判別しようとする技術である。特許文献1には、撮影した画像に含まれる画素の色を用いて、画像の領域を少なくとも皮膚領域および背景領域を含む複数の領域に分類するとともに、皮膚領域および背景領域のいずれにも分類されない領域の特徴を用いて、指の周辺に異物が存在するか否かを判定する技術が開示されている。この特許文献1の技術によれば、指(生体パターンを有する部位)の周辺の異物を検出することが可能となる。
国際公開第2011/058836号
個人を識別する情報として指紋を用いる場合、指の皮膚の状態が良くないと同一人物を他人と判定してしまう可能性がある。例えば、手荒れ、加齢等による皺、又は、火傷により指紋が不明りょうになっている場合、指紋の同一性判定の精度や異常検出の精度が低下し、同一人物を他人と判定してしまう可能性がある。
本発明の目的の一例は、上述の課題を解決することのできる真皮画像情報処理装置、真皮画像情報処理方法及びプログラムを提供することである。
本発明の第1の態様による真皮画像情報処理装置は、指の乳頭層の画像を取得する真皮画像情報取得部と、前記乳頭層の画像から、真皮隆線の方向特異点を検出し、前記方向特異点の検出結果が、弓状紋、蹄状紋、渦状紋及び変体紋のいずれかの条件を満たすかを判断することで、前記指の乳頭層の損傷を示す特異領域を検出する特異領域検出部とを備える。
本発明の第2の態様による真皮画像情報処理方法は、指の乳頭層の画像を示す画像情報を取得し、前記乳頭層の画像から、真皮隆線の方向特異点を検出し、前記方向特異点の検出結果が、弓状紋、蹄状紋、渦状紋及び変体紋のいずれかの条件を満たすかを判断することで、前記指の乳頭層の損傷を示す特異領域を検出することを含む。
本発明の第3の態様によるプログラムは、コンピュータに、指の乳頭層の画像を示す画像情報を取得する処理、前記乳頭層の画像から、真皮隆線の方向特異点を検出し、前記方向特異点の検出結果が、弓状紋、蹄状紋、渦状紋及び変体紋のいずれかの条件を満たすかを判断することで、前記指の乳頭層の損傷を示す特異領域を検出する処理、を実行させる。
本発明によれば、皮膚の状態が良くない場合でも、同一人物を別人と誤判定してしまう可能性を低減させることができる。
本発明の第1実施形態による真皮画像情報処理システムの機能構成を示す概略ブロック図である。 第1実施形態における特異領域検出部の内部の概略機能構成を示すブロック図である。 第1実施形態における、真皮指紋における異常紋様の例を示す図である。 第1実施形態における、真皮指紋における異常紋様の例を示す図である。 第1実施形態における、真皮指紋における異常紋様の例を示す図である。 第1実施形態における、異常真皮隆線方向を含む真皮指紋画像の例を示す図である。 第1実施形態における、異常真皮隆線方向を含む真皮指紋画像の例を示す図である。 第1実施形態における、異常真皮隆線方向を含む真皮指紋画像の例を示す図である。 第1実施形態における、異常真皮隆線方向パターンのそれぞれに対応するテンプレートを模式的に示した概念図である。 第1実施形態における、異常真皮隆線方向パターンのそれぞれに対応するテンプレートを模式的に示した概念図である。 第1実施形態における、異常真皮隆線方向パターンのそれぞれに対応するテンプレートを模式的に示した概念図である。 第1実施形態における、真皮隆線破壊を含む真皮指紋画像を概念的に表した例を示す図である。 第1実施形態における、図6の真皮指紋画像の例について得られた真皮隆線方向画像データを示す図である。 第1実施形態における、図7の真皮隆線方向画像に対して方向スムース処理を行った結果の画像を示す図である。 第1実施形態における、切り取り加工前の真皮指紋画像の例を示す図である。 第1実施形態における、図9に示した真皮指紋に関して切り取り加工した後の真皮指紋画像の例を示す図である。 本発明の第2実施形態による真皮画像情報処理システムの機能構成を示す概略ブロック図である。 第2実施形態における、Z型手術を施す前の画像を示す図である。 第2実施形態における、Z型手術を施した後の画像を示す図である。 第2実施形態における、修復部の内部の概略機能構成を示すブロック図である。 第2実施形態における、Z型手術真皮指紋復元の方法を説明するための概略図である。 第2実施形態の変形例による修復部の概略機能構成を示すブロック図である。 本発明の第3の実施形態に係る真皮画像情報処理装置の構成を示す概略ブロック図である。
以下、本発明の実施形態を説明するが、以下の実施形態は請求の範囲にかかる発明を限定しない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態による真皮画像情報処理システムの機能構成を示す概略ブロック図である。図1に示すように、真皮画像情報処理システム1は、OCT(オプティカル・コヒーレンシー・トモグラフィ,Optical Coherence Tomography)2と、真皮画像情報処理装置3とを備える。真皮画像情報処理装置3は、真皮画像情報取得部11と、特異領域検出結果取得部12と、特異領域検出部61と、事前登録情報記憶部62と、照合部116と、結果出力部121とを備える。
OCT2と真皮画像情報処理装置3とが一体的に構成されていてもよい。例えば、OCT2が備えるコンピュータが、真皮画像情報処理装置3の機能を実行するようにしてもよい。
OCT2は、観測対象である指に光(レーザ光)を当てて反射される光と、参照光との間の位相差によって生じる相互の干渉を、光の強度のパターンの画像として取得する。OCT2では、光の波長を適宜変えることにより、指の表面の情報だけでなく、表面からある程度の深さ(数百マイクロメートルないしは2000マイクロメートル程度の深さ)までの生体内部のパターンの情報をも取得することができる。特にOCT2は、指の乳頭層の位置情報を取得して乳頭層の画像情報(画像を示すデータ)を生成する。OCT2として一般的なOCTを用いることができる。
OCT2に代えて、OTC以外の装置で乳頭層の画像を得られる装置、例えば超音波による断層映像化装置を用いるようにしてもよい。
乳頭層は、真皮のうち表皮との境界に位置する層である。ヒトの皮膚は、表皮と真皮とが重なって形成されている。表皮は表面側(外側)に存在し、真皮は奥側(内側)に存在する。表皮と真皮とが接する部分に乳頭層が存在する。この乳頭層付近において、真皮側に凹凸が存在している。この凸部が隆線を形成している。隆線の凸部に沿って汗腺孔が並んでいる。この真皮側で形成される隆線のパターンは、そのまま表皮側においても見られる。このパターンが一般的に指紋と呼ばれる。表皮が仮に損傷しても、真皮における隆線構造が維持されている限りは、表皮が再生した際には元の真皮側の隆線構造に基づいたパターンが表皮側においても再現されることとなる。この乳頭層の隆起(凸部)の形状は、隆線の(本来の)形状と同一であると見做すことができる。
以下では、乳頭層にあって隆線を形成する隆起を真皮隆線と称する。また、真皮隆線の紋様を真皮指紋と称する。
真皮画像情報取得部11は、OCT2が生成した乳頭層の画像情報を取得する。
特異領域検出結果取得部12は、真皮画像情報取得部11が取得した画像情報に基づいて検出された、乳頭層の特異領域に関する情報を取得する。
具体的には、特異領域検出結果取得部12は、真皮画像情報取得部11から渡された乳頭層の画像情報を特異領域検出部61に渡すことにより、特異領域の検出を依頼する。そして、この依頼に基づく特異領域検出結果の情報を特異領域検出結果取得部12は受け取る。特異領域検出のための具体的な処理の方法については、後述する。特異領域検出結果取得部12が受け取る検出結果の情報は、渡された乳頭層の画像情報における特異領域の有無の情報と、特異領域が存在する場合にはその場所(座標等)の情報とを含む。
特異領域とは、生体の一部が損傷しているなどの要因で、真皮指紋に特異なパターン(通常のパターンと異なるパターン)が存在する領域である。特異領域を生じさせる生体損傷の原因の例として、切り傷や、火傷や、薬品(例えば、強い酸など)による焼けただれなどのうち、真皮に達する深いものが挙げられる。
特異領域を検出するための具体的方法については後述する。
照合部116は、真皮画像情報取得部11が取得した真皮画像情報のうち特異領域以外の領域における真皮画像情報と、事前登録情報記憶部62に事前に登録された事前登録画像情報との照合処理を行う。照合部116は、特異領域の有無や特異領域の位置(範囲)に関する情報を、特異領域検出結果取得部12から取得する。照合部116は、上記の照合処理を行う際に、位置ずれを許容する度合いである位置ずれ許容度と、不一致を許容する度合いである不一致許容度との、少なくともいずれか一方を可変とすることができる。特異領域検出結果取得部12が取得した情報により、特異領域が有ることが判明した場合に、照合部116が、上記許容度のいずれか一方または両方を、許容度が大きくなる方向に(つまり、多少の違いがあっても一致しているとみなす度合いが大きくなる方向に)、変えるような調整を行っても良い。
照合部116による照合処理自体は、既存技術を用いて行うことができる。真皮指紋の照合を行う処理の概略は次の通りである。照合処理のために、照合部116は、入力される真皮指紋画像の特徴を抽出する。その特徴の例は、真皮指紋の真皮隆線の方向や、その方向の分布に関する統計値や、真皮隆線のつながり方や、真皮隆線の方向特異点(後で説明する真円状コアや、半円状コアや、デルタといった方向特異点)の種類ごとの個数や、方向特異点の相互の位置関係や、複数の方向特異点を結ぶ直線の向きや、それら直線が互いに成す角度などを含む。照合部116は、複数の真皮指紋画像(または指紋画像と比較してもよい)についての上記のような特徴同士を、特徴空間における近さおよびまたは遠さで評価することにより、それら複数の真皮指紋画像が同一の指紋に由来するか否かを判定する。一例では、照合部116は、予めデータベースに登録しておいた真皮指紋画像(または指紋画像でもよい)と、新たに入力された真皮指紋画像について、その特徴を比較し、両者が一致するか否かを判定する。
このような照合処理において、上述の位置ずれ許容度とは、例えば指紋画像における特徴点の位置の誤差をどの程度許容するかという度合いを表す値である。また、上述の不一致許容度とは、比較対象の2つの指紋画像が完全には一致しないときに、特徴の不一致がどの程度まであっても一致しているとみなすかという度合いを表す値である。不一致許容度は、例えば、特徴空間において適宜定義される距離で表しても良いし、その距離に応じて与えられるペナルティの重さの度合いで表しても良い。
結果出力部121は、照合部116による照合結果を出力する。結果出力部121が、照合結果を画面に表示するようにしてもよいし、照合結果を他の機器へ送信するようにしてもよい。
結果出力部121が、照合部116による照合結果に加えて、あるいは代えて、特異領域検出部61が検出した特異領域を示す情報を出力するようにしてもよい。特異領域を示す情報の出力についても、結果出力部121が、特異領域を画面に表示するようにしてもよいし、特異領域を示す情報を他の機器へ送信するようにしてもよい。
特異領域検出部61は、特異領域検出結果取得部12から渡された乳頭層の画像情報を分析する処理を行い、乳頭層の画像に特異領域が含まれているか否かを判定する。特異領域検出部61は、判定結果として、特異領域の有無の情報を出力する。また、特異領域検出部61は、乳頭層の画像の中に特異領域が含まれていた場合には、その位置の情報(領域の範囲を示す位置情報)を出力する。特異領域検出部61による判定処理の詳細については、後述する。
事前登録情報記憶部62は、生体パターン情報として予め登録された指紋画像情報または乳頭層の画像情報を記憶する。事前登録情報記憶部62は、生体パターン情報(指紋画像情報または乳頭層の画像情報)と、その個人を識別するための識別情報とを関連付けて保持する。また、事前登録情報記憶部62が、さらに、上記の識別情報と個人の属性情報とを関連付けて保持するようにしても良い。個人の属性情報の具体例は、氏名や、登録された居住地の情報や、個人の法的ステータスに関する情報を含む。事前登録情報記憶部62は、情報を記憶する手段として、例えば、磁気ハードディスク装置や、半導体メモリなどを用いる。
[特異領域検出処理の方法について]
次に、特異領域検出部61の内部の構成と、特異領域検出処理の方法について説明する。
図2は、特異領域検出部61の内部の概略機能構成を示すブロック図である。図2に示すように、特異領域検出部61は、共通機能群と、異常模様検出機能と、異常真皮隆線方向検出機能と、真皮隆線破壊検出機能と、切り取り加工検出機能とを含んでいる。共通機能群は、真皮隆線方向検出部70と、真皮隆線ピッチ検出部71と、真皮隆線強度検出部72と、方向特異点検出部73とを含む。これらの機能を用いた特異領域検出部61の働きについて、以下で説明する。
特異領域検出部61は、まず、真皮指紋画像のデータを特異領域検出結果取得部12から受け取る。
特異領域検出部61は、その共通機能群に含まれる機能を用いて受け取った真皮指紋画像を解析する。具体的には、真皮隆線方向検出部70が、真皮指紋画像内の真皮隆線方向を検出する。真皮隆線ピッチ検出部71が、真皮指紋画像内の真皮隆線ピッチを検出する。真皮隆線強度検出部72が、真皮指紋画像内の真皮隆線強度を検出する。方向特異点検出部73が真皮指紋画像内の方向特異点(singular point)を検出する。特異領域検出部61が、真皮隆線方向、真皮隆線ピッチ、真皮隆線強度、方向特異点のすべてではなく、いずれかのみを検出するようにしても良い。真皮指紋画像から、これら真皮隆線ピッチ、真皮隆線強度、方向特異点を検出する処理自体は、一般的な指紋認証技術における特徴抽出処理と同様であり、既存技術を用いて行うことができる。
真皮隆線方向とは、真皮隆線が向く方向である。真皮隆線ピッチとは、並行する真皮隆線同士の幅(ある真皮隆線からそのある真皮隆線と並行かつ隣接する他の真皮隆線までの距離)である。真皮隆線強度とは、画像から得られる情報として真皮隆線らしさを表す度合いである。方向特異点とは、真皮指紋画像中において、真皮隆線方向が不連続となる部分である。
特異領域検出部61は、最初にガボールフィルター(Gabor filter)を用いて、受け取った真皮指紋画像から、真皮隆線方向、真皮隆線ピッチ、真皮隆線強度を抽出する。具体的には、特異領域検出部61は、真皮指紋画像に含まれる各画素について、方向およびピッチを段階的に変えたガボールフィルターを適用する。特異領域検出部61は、それら適用したガボールフィルターの中で最も高い絶対値が得られるフィルターの方向およびピッチを、その画素における真皮隆線の方向およびピッチとみなす。また、そのときのフィルター適用値の絶対値を、真皮隆線強度として抽出する。
特異領域検出部61は、真皮指紋画像における方向特異点を検出する。方向特異点には、デルタと呼ばれる方向形状と、コアと呼ばれる方向形状とが存在する。このうち、コアについては、さらに、真円状のコアと半円状のコアに分類することができる。真円状のコアとは、方向特異点の周囲で真皮隆線が360度回転するコアである。半円状のコアとは、方向特異点の周囲で真皮隆線が180度回転するコアである。但し、実際に検出する半円状のコアが厳密に180度の回転であるとは限らない。方向特異点を検出する方法としては、特異領域検出部61は、既存技術を用いてもよい。一例として、文献[Asker Michel Bazen,"Fingerprint identification: Feature Extraction, Matching, and Database Search",Twente University Press,2002年]にも、方向特異点を検出する方法が記載されている。特異領域検出部61は、指ごとに、検出した真円状コアと半円状コアとデルタのそれぞれの個数と、またそれら各々の方向特異点の位置(座標)とを、後段での処理のために記憶しておく。特異領域検出部61は、方向特異点におけるパターンの方向(例えば、半円状のコアの場合、真皮隆線が開いている側が指の上側か下側か)を検知して、その情報を後段での処理のために記憶しておく。
特異領域検出部61は、上述した既存技術の例に加えて、さらに、他の方式を用いるようにしても良い。特異領域検出部61は、精度向上のために、真皮隆線方向や真皮隆線ピッチ等の抽出誤りを修正するための別の手段を併用するようにしても良い。
次に、特異領域検出部61は、真皮指紋画像における4種類の特異領域を検知するための処理を行う。その4種類とは、(1)異常模様、(2)異常真皮隆線方向、(3)真皮隆線破壊、(4)切り取り加工である。これら4種類の異常を有する真皮指紋の特徴と、その検出方法について、以下に説明する。
((1)異常模様検出)
特異領域検出部61は、異常模様を検出するための機能として、異常模様検出部74を備えている。異常模様検出部74は、上で検出した方向特異点(デルタ、半円状コア、真円状コア)の個数や位置関係に基づいて、異常模様を検出する。正常な真皮指紋画像は、真皮隆線方向のパターンから、4種類の紋様パターンに分類される。その4種類とは、弓状紋、蹄状紋、渦状紋、変体紋である。これらの紋様パターンごとに、方向特異点の個数や位置関係が定まっている。
具体的には、弓状紋においては、半円状コアの個数は0もしくは1個であり、デルタの個数も0個である。つまり、真皮隆線のカーブは滑らかである。蹄状紋においては、半円状コアの個数は1個であり、デルタの個数は1個以下である。渦状紋においては、円状コアの個数が1個であってデルタの個数が2個以下であるか、または、半円状コアの個数が2個であってデルタの個数が2個以下であるかのいずれかである。変体紋においては、半円状コアの個数が3個であってデルタの個数が3個以下であるか、または、円状コアが1個で半円状コアが1個で且つデルタの個数が3個以下であるかのいずれかである。正常な真皮指紋画像の場合には方向特異点の位置関係にも所定の制約がある。
正常な真皮指紋画像は上記のパターンを有する。異常模様検出部74は、正常な真皮指紋画像には現れ得ない、異常なパターンの画像を、異常紋様として検出する。具体的には、特異領域検出部61は、下記の(A)〜(F)のいずれかの条件に合う場合に、その真皮指紋画像を異常紋様として検知する。
条件(A):円状のコアが2個以上存在する場合
条件(B):半円状のコアが4個以上存在する場合
条件(C):半円状のコアが2個以上存在し、且つ円状のコアが1個以上存在する場合
条件(D):デルタが4個以上存在する場合
条件(E):コアより上部(指先に近い側)にデルタが存在する場合
条件(F):上側が半円状のコアが2個以上存在する場合
つまり、特異領域検出部61は、真皮指紋画像に含まれる真皮隆線の方向特異点を検出し、方向特異点の種類ごとの個数の条件、または方向特異点の種類間の位置関係の条件に基づいて、特異領域を検出する。
真皮指紋においてこれらのような異常紋様が検出される原因の一つは、指に施される外科的処置である。外科手術で意図的に指紋を変形させる場合、表皮を変形したのみでは、皮膚の新陳代謝に伴って指紋が元にもどってしまうため、真皮も含めて外科手術が行われることがある。このように真皮に外科手術が行われた場合、上記のような異常紋様が検出され得る。
図3A〜3Cは、真皮指紋における異常紋様の例を示す。図3A〜3Cにおいて、丸印で示している箇所は、円状のコアである。また、三角印で示している箇所は、デルタである。図3Aに示す真皮指紋画像の例は、2個の円状コアと、4個のデルタを有している。つまり、この真皮指紋画像は、上記(A)および(D)の条件に該当し、異常紋様を有すると異常模様検出部74によって判定される。図3Bに示す真皮指紋画像の例は、2個の円状コアと4個のデルタを有している。また、図3Bの例においては、2個の円状コアよりも上にデルタが存在している。つまり、この真皮指紋画像は、上記(A)、(D)、および(E)の条件に該当し、異常紋様を有すると異常模様検出部74によって判定される。図3Cに示す真皮指紋画像の例は、2個の円状コアを有している。つまり、この真皮指紋画像は、上記(A)の条件に該当し、異常紋様を有すると異常模様検出部74によって判定される。
異常模様検出部74は、異常な紋様を検知した場合には、その異常の種類(上の(A)から(F)までのいずれか)と、その異常に関する方向特異点の位置や種類を出力する。
また、異常模様検出部74は、異常な紋様を検知しなかった場合には、その旨の情報を出力する。
((2)異常真皮隆線方向検出)
特異領域検出部61は、真皮隆線方向の異常なパターンを検出する。異常な真皮隆線方向にもいくつかのパターンがある。典型的な3種類のパターンを、便宜上、櫛型方向パターン、ω型方向パターン、X型方向パターンと呼ぶ。本実施形態では、特異領域検出部61は、櫛型方向パターン、ω型方向パターン、X型方向パターンの、3種類の異常真皮隆線方向を検出する。このような異常な真皮隆線方向のパターンは、表皮及び真皮の移植手術等を行った場合に、移植した表皮の箇所の境界部分において見られる可能性があることを示す。これらのパターンは、正常な真皮指紋画像では見られない。
図4A〜4Cは、異常真皮隆線方向を含む真皮指紋画像の例を示すものである。
図4Aは、櫛型方向パターンと呼ばれる異常真皮隆線方向を有する真皮指紋画像の例である。この櫛型の異常真皮隆線方向は、表皮及び真皮をメスにより切り取り、位置を変えて張り替えるような手術を行った場合に、移植した表皮の境界付近に発生しやすい真皮隆線方向のパターンである。
図4Bは、ω型方向パターンと呼ばれる異常真皮隆線方向を有する真皮指紋画像の例である。このω型の異常真皮隆線方向もまた、表皮及び真皮をメスにより切り取り、位置を変えて張り替えるような手術を行った場合に、移植した表皮の境界付近に発生しやすい真皮隆線方向パターンである。また、ω型方向パターンは、指紋のアーチ状の部分に刃物等で、真皮に達する深い傷を付けてしまった場合にも発生しやすいパターンである。
図4Cは、X型方向パターンと呼ばれる異常真皮隆線方向を有する真皮指紋画像の例である。このX型の異常真皮隆線方向は、皮膚を手術糸等できつく縛った場合に、その縫合部分に発生しやすい真皮隆線方向パターンである。
図5A〜5Cは、異常真皮隆線方向パターンのそれぞれ(櫛型、ω型、X型)に対応するテンプレートを模式的に示した概念図である。
図5Aは、真皮指紋画像における櫛型方向パターンに対応する。
図5Bは、真皮指紋画像におけるω型方向パターンに対応する。
図5Cは、真皮指紋画像におけるX型方向パターンに対応する。
特異領域検出部61は、上記の各異常方向パターンに対応して、櫛型方向パターン検知部75と、ω型方向パターン検知部76と、X型方向パターン検知部77とを内部に備えている。特異領域検出部61は、前述の方法で既に検出している、真皮隆線方向の情報と、真皮隆線強度の情報を用いて、これら各々の異常方向パターンの検出のための処理を行う。
以下に、各々の異常方向パターンの検出のための処理方法を説明する。
櫛型方向パターン検知部75は、与えられた真皮指紋画像に基づいて予め検出した真皮隆線方向および真皮隆線強度のデータを入力として、その真皮指紋画像の櫛型方向パターンらしさを表す度合を算出し、出力する。
具体的には、櫛型方向パターン検知部75は、予め内部のメモリ内に、図5Aに示したような方向パターンを表す櫛型テンプレートデータを保持しておく。その櫛型テンプレートデータとは、櫛型方向パターンを有する真皮指紋画像を基に得られたデータであり、極座標に対応した2次元の配列に格納される。2次元配列である櫛型テンプレートデータTk(i,j)の第1の指標である「i」は、テンプレートデータの中心の周りの変位角に対応する。「i=1,2,・・・,M」と定義される。この「i」は、真皮指紋画像の中心からの全方向である360度を、(360/M)度ずつに刻んだときの、各方向に対応する指標値である。xy直交座標系のx軸の正の方向を0度とし、反時計回りの方向が変位角の正方向である。また、第2の指標である「j」は、真皮指紋画像の中心からの距離に対応する。「j=1,2,・・・,N」と定義される。この「j」は、テンプレートの中心部からの距離に対応する指標値である。そして、Tk(i,j)の各要素の値は、この極座標で表される部分(小領域)における真皮隆線方向を表す2次元ベクトル(単位ベクトル)値である。
櫛型方向パターン検知部75は、与えられた真皮指紋画像中の任意の画素位置(x,y)に対して、テンプレートの回転角度である「t」を変えながら、テンプレート方向Tk(k,t)と画像の円形内の真皮隆線方向の方向ベクトルの内積の和の最大値を計算する。その最大値は、下の式によるEk(x,y)で表される。
上の式(1)において、Id(x,y)は、真皮指紋画像の座標(x,y)における真皮隆線方向を表す単位ベクトルである。Tk(t,i)は、櫛型テンプレート(回転角がt)のi番目の方向である。dx(i)は、テンプレート内のi番目の要素のx座標変位である。dy(i)は、テンプレート内のi番目の要素のy座標変位である。
つまり、この式(1)によって計算されるEk(x,y)の値は、真皮指紋画像の座標(x,y)において、テンプレートを360度回転させたときに、真皮指紋画像とテンプレートとの相関が最も大きくなるとき(tがそのような角度に対応するとき)のその相関値である。
このとき、真皮隆線方向(変位角)は、X軸の正方向を0度とし、反時計回りに180度までの範囲の数値として表現する。実質的には0度方向と180度方向とを同一の方向とみなす必要があるため、X軸正方向(0度の方向)とのなす角が2倍になるように方向ベクトルの角度を変換した上で内積をとる。
上に示した式で計算されたEk(x,y)の値は、真皮指紋画像とテンプレートとの方向一致性を表す指標となる。さらに、櫛型方向パターン検知部75は、真皮隆線強度を乗じた櫛型評価値Wk(x,y)を計算する。真皮隆線強度は、真皮指紋らしさを表す。
上の式において、Cは適宜設定される閾値である。つまり、閾値Cは、Ek(x,y)の値がC以下である部分を、ノイズとみなして除去する作用を有する。Is(x,y)は、座標(x,y)を中心とし、テンプレートと同一半径内における真皮隆線強度の平均値である。
つまり、評価値Wk(x,y)は、Ek(x,y)の値から閾値Cを引いて(その結果が負になる場合には、0とする)、さらに座標(x.y)の近傍での真皮隆線強度を乗じた値である。
櫛型方向パターン検知部75は、算出されたこのWk(x,y)の値を、櫛型異常度(櫛型評価値)として出力する。この櫛型異常度は、櫛型方向パターンらしさを表す度合である。
ω型方向パターン検知部76は、予め内部のメモリ内に、図5Bに示したような方向パターンを表すω型テンプレートデータを保持しておく。ω型テンプレートデータのデータ構造自体は、櫛型テンプレートデータのそれと同様である。ω型テンプレートデータは、真皮隆線方向を表すテンプレートデータであり、実際のω型方向パターンを有する真皮指紋画像を基に予め作成される。ω型方向パターン検知部76は、上述した櫛型方向パターン検知部75の計算手順と同様の手順を用いて、与えられた真皮指紋画像と上記ω型テンプレートデータとに基づき、ω型異常度Wo(x,y)を算出する。
X型方向パターン検知部77は、予め内部のメモリ内に、図5Cに示したような方向パターンを表すX型テンプレートデータを保持しておく。X型テンプレートデータのデータ構造自体は、櫛型テンプレートデータのそれと同様である。X型テンプレートデータは、真皮隆線方向を表すテンプレートデータであり、実際のX型方向パターンを有する真皮指紋画像を基に予め作成される。X型方向パターン検知部77は、上述した櫛型方向パターン検知部75の計算手順と同様の手順を用いて、与えられた真皮指紋画像と上記X型テンプレートデータとに基づき、X型異常度Wx(x,y)を算出する。
特異領域検出部61は、櫛型方向パターン検知部75が出力する櫛型異常度Wk(x,y)と、ω型方向パターン検知部76が出力するω型異常度Wo(x,y)と、X型方向パターン検知部77が出力するX型異常度Wx(x,y)のそれぞれの最大値が、所定の閾値を超えるか否かにより、異常真皮隆線方向の真皮指紋であるかどうかを判定する。その値が閾値を超える場合には、特異領域検出部61は、真皮指紋画像が異常真皮隆線方向の真皮指紋である(即ち、櫛型方向パターン、ω型方向パターン、またはX型方向パターンに該当する)と判定する。特異領域検出部61は、それ以外の場合には異常真皮隆線方向の真皮指紋ではないと判定する。
別法として、特異領域検出部61は、櫛型方向パターン検知部75が出力する櫛型異常度Wk(x,y)と、ω型方向パターン検知部76が出力するω型異常度Wo(x,y)と、X型方向パターン検知部77が出力するX型異常度Wx(x,y)の各最大値の和が所定の閾値を超えるか否かにより、異常真皮隆線方向指紋であるかどうかを判定してもよい。その値が閾値を超える場合には、特異領域検出部61は、真皮指紋画像が異常真皮隆線方向の真皮指紋であると判定する。特異領域検出部61は、それ以外の場合には異常真皮隆線方向の真皮指紋ではないと判定する。
つまり、特異領域検出部61は、真皮指紋画像に含まれる部分ごとの真皮隆線方向情報を取得する。また、特異領域検出部61は、真皮隆線方向情報と予め保持する異常真皮隆線方向パターン(櫛型方向パターン、ω型方向パターン、X型方向パターンなど)のテンプレートとの相関に基づいて真皮隆線方向情報が異常真皮隆線方向パターンを有する度合いを表す評価値を求める。さらに、特異領域検出部61は、その評価値が所定の閾値以上である場合に当該真皮隆線方向情報に対応する部分を特異領域として検出する。
特異領域検出部61は、異常真皮隆線方向の真皮指紋であると判定した場合には、その特異領域の位置の情報を出力する。
なお、実際の真皮指紋のデータベースに基づいて、上記の各表価値(櫛型異常度、ω型異常度、およびX型異常度)の確率分布で重み付けを行うようにしても良い。これにより、特異領域検出部61による判定精度をさらに高めることができる。
本実施形態では、特異領域検出部61は、櫛型方向パターン検知部75とω型方向パターン検知部76とX型方向パターン検知部77とを内部に備えて、それぞれに対応した異常真皮隆線方向を検出しているが、このような構成に限定されない。これらのうちの一部を省略した構成としても良い。
逆に、その他の方向パターンのテンプレートを備えて、これら3種以外の異常真皮隆線方向を検出するようにしても良い。一例としては、櫛型、ω型、X型の真皮隆線角度を少し変化させたパターンを検出できるような構成としたり、テンプレートの半径を変えたことによる数種類のパターンを検出できるような構成としたりすることも可能である。
前述の、「(1)異常模様検出」として記した、方向特異点の個数や、方向特異点間の位置関係に基づいて特異領域を検出する方法は、真皮指紋全体の鮮明な画像が取れている場合には有効な手法である。それに対して、テンプレートに基づく評価値を用いる本方法((2)異常真皮隆線方向検出)は、真皮指紋のごく一部分のみの画像しか取れていない場合にも特定形状の異常真皮指紋の検知が可能となるという利点がある。
((3)真皮隆線破壊検出)
特異領域検出部61は、また、真皮指紋における真皮隆線の破壊を検出する機能を有する。具体的には、特異領域検出部61は、真皮隆線破壊検出部78を内部に備えている。
そして、特異領域検出部61は、前述の方法で既に検出している、真皮隆線方向の情報と、真皮隆線強度の情報を用いて、これら各々の異常方向パターンの検出のための処理を行う。
図6は、真皮隆線破壊を含む真皮指紋画像を概念的に表した例である。図7に示す真皮指紋画像例においては、本来は連続していた真皮隆線の一部が不連続となり、その部分にぶつぶつの模様が存在している。図7中において、楕円形の枠で示している部分が、真皮隆線破壊を含む部分である。このような真皮隆線破壊は、真皮に達する火傷や、化学薬品による真皮に達する損傷で生じ得る。
真皮隆線破壊検出部78は、前述の方法で取得した真皮隆線方向画像のデータを取得する。この真皮隆線方向画像のデータは、各画素における真皮隆線方向のデータを含む。そして、真皮隆線破壊検出部78は、広い面積で方向スムース処理を実行する。この方向スムース処理は、ノイズ等の理由によって誤検出された真皮隆線方向を含む真皮指紋画像内の部分を、正しい真皮隆線方向に修正する処理である。方向スムース処理自体は、真皮隆線方向画像データの画素値に対する統計的な処理により実現できる。方向スムース処理は、例えば、一定範囲内の領域の方向成分の最頻値を取ったり、一定範囲内の領域の方向ベクトルの平均を取ったりする処理である。
図7および図8は、上記の方向スムース処理の実例を示すための概略図である。図7は、例えば図6の真皮指紋画像の例について得られた真皮隆線方向画像データである。図6において真皮隆線が破壊されている部分に関して真皮隆線方向は不定な状態である。そのような部分についての真皮隆線方向画像データは、ノイズの影響を受けやすい。これは、検出される真皮隆線の方向が安定しないためである。したがって、図7における中央部分において、真皮隆線方向は一定せずランダムである。図8は、上記の図7の真皮隆線方向画像に対して方向スムース処理を行った結果の画像である。真皮隆線破壊検出部78が広い面積で方向スムース処理を行うことにより、図8に示される滑らかに変化する方向画像を得ることができる。
そして、真皮隆線破壊検出部78は、方向画像内の部分ごとに、初期真皮隆線方向とスムース後の真皮隆線方向との間の角度差を求める。角度(方向)が所定量以上変化している場合、即ち上記角度差の絶対値が所定量以上である場合、真皮隆線破壊検出部78は、この部分を真皮隆線破壊候補領域として抽出する。表皮の指紋では、年配者などの皺や傷が細い線状の形状を持っており、隆線破壊候補領域となり得る。これに対し、乳頭層は皺の影響を受けない。また、擦り傷についても通常は真皮までは達しないため影響を受けない。
そして真皮隆線破壊検出部78は、最後に、この真皮隆線破壊候補領域に対して、前述の処理により既に得られている真皮隆線強度の総和を計算することにより、真皮隆線破壊検知のための評価値を求め、出力する。そして、特異領域検出部61は、真皮隆線破壊検出部78が出力した真皮隆線破壊の評価値が所定の閾値以上である場合、真皮隆線破壊痕が存在する真皮指紋と判定する。その他の場合には、特異領域検出部61は、その真皮指紋を、真皮隆線破壊痕がない真皮指紋であると判定する。
つまり、特異領域検出部61は、真皮指紋画像に含まれる部分ごとの真皮隆線方向情報を取得する。また、特異領域検出部61は、真皮隆線方向情報の部分ごとにその部分の周辺の部分の真皮隆線方向情報に基づいた方向スムース処理を行うことによってスムース化真皮隆線方向情報を得る。さらに、特異領域検出部61は、真皮隆線方向情報とスムース化真皮隆線方向情報との間の差(の絶対値)が所定の閾値より大きい場合に、その部分に対応する領域を前記特異領域として検出する。
特異領域検出部61は、真皮隆線破壊痕がある真皮指紋であると判定した場合には、その特異領域の位置の情報を出力する。
真皮隆線破壊の中には、火傷や薬品によるケースだけではなく、長年の経年劣化や手を酷使する肉体労働に従事したことによる真皮隆線破壊のケースも存在する。そのような自然な破壊の場合には、特定の部分だけではなく、真皮指紋の真皮隆線全体が破壊される。そのような真皮隆線全体の自然破壊と火傷や薬品による部分破壊(意図的な破壊を含む)とを区別するため、特異領域検出部61が真皮隆線破壊候補領域以外の真皮指紋部分が高品質な真皮隆線の画像を有するかどうかを判定するようにしても良い。これにより、特定の条件による真皮隆線破壊のみを検出することもできるようになる。
特異領域検出部61が、真皮隆線破壊痕が真皮指紋中心部に存在するか否かをあわせて判定するようにしても良い。真皮指紋中心部は、真皮指紋を用いた指紋照合の判定に大きな影響を及ぼす部分であるため、意図的に真皮隆線破壊が行われる場合もある。これにより、特定の箇所の真皮隆線破壊のみを検出することもできるようになる。
((4)切り取り加工検出)
特異領域検出部61は、また、真皮指紋の切り取り加工を検出する機能を有する。具体的には、特異領域検出部61は、切り取り加工検出部79を備えている。切り取り加工検出部79は、次に説明するように、真皮隆線ピッチの変化に基づいて、入力された真皮指紋画像に関して、切り取り加工の有無を判定する。これは、手術等により切り取り加工された真皮指紋の場合、手術痕周辺の皮膚をひっぱりながら縫合するため、真皮隆線のうちの特定部位のピッチ、また特定方向の真皮隆線のピッチが局所的に変化する場合があるためである。
図9および図10は、真皮指紋の切り取り加工を説明するための概略図である。図9は、切り取り加工前の真皮指紋画像の例を示している。また、図10は、図9に示した真皮指紋に関して切り取り加工した後の真皮指紋画像の例を示している。手術による切り取り加工の一例は、図9の真皮指紋の中央のひし形で示す部分にメスを入れ、内部の表皮及び真皮を切り取り、横方向に、つまり切り取った前記ひし形を閉じるように左右方向に皮膚を引っ張りながら元のひし形の中央部で縫合する方法である。
この図10のような真皮指紋に変形させる切り取り加工手術を実施した場合、図10の左側にあたる、切り取り方向と垂直な方向の真皮隆線(つまり本例では、左右方向に走る真皮隆線。図10内で「A」で指し示す部分。)は、引っ張りによって真皮隆線ピッチは変化しない。一方で、図10の右側にあたる、切り取り方向と平行方向の真皮隆線(つまり本例では、上下方向に走る真皮隆線。図10内で「B」で指し示す部分。)は真皮隆線ピッチが本来のピッチよりも広がるという特徴が観測される。
切り取り加工検出部79による検出処理の方法は次の通りである。
切り取り加工検出部79は、最初に、切り取り加工が施された傷位置の検出を行う。具体的には、画像中の任意の画素から任意の角度で一定長の線分を生成し、その線分上の両側の線分から一定距離範囲(1〜16画素分)の画像部分の、真皮隆線の方向差および真皮隆線のピッチ差を加算していく。その加算値が最大となる座標(x,y)と角度(t)を、傷位置の候補とする。
次に、切り取り加工検出部79は、傷の両側の所定のサイズの長方形の領域(それぞれ、領域R1および領域R2)に対し、2種類の切り取り加工評価値を計算する。第1の評価値Wc1は、傷と同方向の真皮隆線ピッチが広がっているかどうかを見るための指標である。第2の評価値Wc2は、傷の両側で真皮隆線ピッチが異なっているかどうかを見るための指標である。切り取り加工検出部79は、下の各式により、Wc1およびWc2を計算する。
即ち、評価値Wc1は、領域R1とR2のそれぞれに関して、領域内の真皮隆線方向が「t」と一致している度合いと、領域内の真皮隆線ピッチが真皮指紋全体の真皮隆線ピッチよりも広い度合(真皮指紋全体の真皮隆線ピッチよりも狭い場合は0とする)と、領域内の真皮隆線強度との積を求めたときの、その値が大きいほう(領域R1に関する値または領域R2に関する値)の値である。
また、評価値Wc2は、領域R1とR2における真皮隆線ピッチの差が大きい度合と、真皮隆線強度(領域R1とR2のうちの小さいほうの強度)との積である。
上の式におけるにおける平均方向は、真皮隆線方向検出部70が生成する方向データに関して、真皮隆線強度検出部72が生成する真皮隆線強度による重み付けを用いて加重平均を取ることにより算出される。上の式におけるにおける平均ピッチは、真皮隆線ピッチ検出部71が生成するピッチデータに関して、真皮隆線強度検出部72が生成する真皮隆線強度による重み付けを用いて加重平均を取ることにより算出される。
切り取り加工検出部79が算出する評価値Wc1およびWc2による判定は、傷位置が正しく検出された場合に有効である。しかしながら、真皮指紋によっては、切り取り加工の箇所が不鮮明で、傷位置が明確にはわからないケースも存在する。このようなケースに対応するため、切り取り加工検出部79が検出された傷位置を利用せず、真皮指紋全体で不自然な広ピッチ部分が存在するかどうかを検知する方法を併用する。そのため、以下の評価値Wc3およびWc4を指標として使用する。評価値Wc3は、異常な広ピッチ部分が存在するかどうかを見るための指標である。評価値Wc4は、特定方向のピッチが広がっているかどうかを見るための指標である。切り取り加工検出部79は、下の各式により、Wc3およびWc4を計算する。
Wc4の式において、Dmは、平均ピッチが最大となる方向である。
即ち、評価値Wc3は、真皮指紋全体の中で真皮隆線ピッチが広い箇所(真皮指紋全体の平均の1.5倍のピッチを基準においている)の比率を表し、且つ、真皮隆線強度を加味した比率の値である。
評価値Wc4は、真皮指紋全体の中で特定の真皮隆線の方向(平均ピッチが最大となる方向)におけるピッチの広さの比率を表し、且つ、真皮隆線強度を加味した比率の値である。倍率1.5は基準の一例である。
最後に、切り取り加工検出部79は、以上説明した4種類の評価値Wc1、Wc2、Wc3、Wc4を出力する。そして、特異領域検出部61は、これらの評価値Wc1、Wc2、Wc3、Wc4のそれぞれの値が所定の閾値以上であるか否かにより、真皮指紋画像に切り取り加工が含まれているかどうかを判定する。また、特異領域検出部61は、これらの評価値Wc1、Wc2、Wc3、Wc4のそれぞれに予め定めた重みを掛けて、加重平均(重み付き平均)を求め、その加重平均値が所定の閾値以上であるか否かにより、真皮指紋画像に切り取り加工が含まれているかどうかを判定するようにしても良い。
つまり、特異領域検出部61は、真皮指紋画像に含まれる部分ごとの真皮隆線方向情報および真皮隆線ピッチ情報を取得する。また、特異領域検出部61は、真皮隆線方向情報および真皮隆線ピッチ情報に基づいて、真皮指紋画像内において隣接する領域間での真皮隆線方向の差と真皮隆線ピッチの差とが大きいほど大きな値となる評価値を求める。さらに、特異領域検出部61は、評価値が所定の閾値より大きい場合に、隣接する領域が切り取り加工による特異領域であるとして検出する。
特異領域検出部61は、切り取り加工がある真皮指紋であると判定した場合には、その特異領域の位置の情報を出力する。
一般的に、正常な真皮指紋において、真皮指紋下部の末節付近の水平方向(指の短手方向)の真皮隆線のピッチは、他の部位における真皮隆線ピッチよりも広くなる傾向が見られる事が知られている。これに基づき、上述した処理において、真皮指紋の下部であって真皮隆線が水平方向となる領域を、上記の評価値Wc1、Wc2、Wc3、Wc4の計算から除外するようにしても良い。切り取り加工検出部79がこのように評価値を計算することにより、判定精度をより一層高めることが可能となる。
例えば犯罪捜査等のような状況において、指紋を採取される者が本人認証を望まないようなケースでは、意図的に指紋を捻りながら押捺する場合も存在する。このような場合においても、捻りによる引っ張りにより、指紋の特定領域および特定方向のピッチが広がる傾向が見られる。同様に、真皮指紋も特定領域および特定方向のピッチが広がると考えられる。傷位置を用いない評価値Wc3、Wc4は、捻り等の作用が加えられた、認証に適さない状態で押捺された真皮指紋を検出する目的においても使用することができる。
以上のように、特異領域検出部61は、真皮画像情報取得部11が取得した乳頭層の画像情報に基づいて、乳頭層の損傷を示す特異領域を検出する。
これにより、特異領域検出部61は、手荒れ、加齢等による皺、又は、火傷により指紋が不明りょうになっている場合など皮膚の状態が良くない場合でも、特異領域の有無を高精度に判定することができる。これにより、真皮画像情報処理装置3では、特異領域の存在を見落として同一人物を別人と誤判定してしまう可能性を低減させることができる。
また、特異領域検出部61は、乳頭層の画像に含まれる真皮隆線の方向特異点を検出し、方向特異点の種類ごとの個数の条件、または方向特異点の種類間の位置関係の条件に基づいて、特異領域を検出する。
これにより、特異領域検出部61は、真皮指紋画像に存在し得るパターンであっても、その数や位置関係が異常な場合を検出することができる。この点において、特異領域検出部61は、真皮指紋画像の異常を高精度に検出することができる。
また、特異領域検出部61は、乳頭層の画像に含まれる部分ごとの真皮隆線方向情報を取得する。それとともに、特異領域検出部61は、真皮隆線方向情報と予め保持する異常真皮隆線方向パターンのテンプレートとの相関に基づいて真皮隆線方向情報が異常真皮隆線方向パターンを有する度合いを表す評価値を求める。特異領域検出部61は、その評価値が所定の閾値以上である場合にその真皮隆線方向情報に対応する部分を特異領域として検出する。
これにより、特異領域検出部61は、例えば手術にて真皮指紋を変えた場合に生じやすい真皮隆線方向など特異領域に典型的なパターンを、テンプレートを用いることで高精度に検出することができる。特に、特異領域検出部61は、真皮指紋の一部のみの画像しか取れていない場合にも特定形状の異常真皮指紋を検出することができる。
また、特異領域検出部61は、乳頭層の画像に含まれる部分ごとの真皮隆線方向情報を取得するとともに、真皮隆線方向情報の部分ごとに当該部分の周辺の部分の真皮隆線方向情報に基づいた方向スムース処理を行うことによってスムース化真皮隆線方向情報を得る。そして、特異領域検出部61は、真皮隆線方向情報とスムース化真皮隆線方向情報との間の差が所定の閾値より大きい場合に、その部分に対応する領域を特異領域として検出する。
これにより、特異領域検出部61は、例えば真皮に達する火傷など真皮隆線が明確でない場合も、特異領域を検出することができる。
また、特異領域検出部61は、乳頭層の画像に含まれる部分ごとの真皮隆線方向情報および真皮隆線ピッチ情報を取得する。それとともに、特異領域検出部61は、真皮隆線方向情報および前記真皮隆線ピッチ情報に基づいて、乳頭層の画像内において隣接する領域間での真皮隆線方向の差と真皮隆線ピッチの差とが大きいほど大きな値となる評価値を求める。そして、特異領域検出部61は、その評価値が所定の閾値より大きい場合に、隣接する領域が切り取り加工による特異領域であるとして検出する。
これにより、特異領域検出部61は、傷位置が明確にはわからない場合でも特異領域を検出することができる。
また、照合部116は、真皮画像情報取得部11が取得した真皮画像情報のうち特異領域検出部61が検出した特異領域以外の領域における真皮画像情報と、個人を識別する識別情報と関連付けて予め登録された真皮画像情報である事前登録情報との照合処理を行う。
これにより、照合部116は、真皮画像に特異領域が含まれる場合でも、特異領域での真皮指紋の相違によって同一人物を別人と誤判定することを防止し得る。
また、照合部116は、照合処理を行う際に、位置ずれを許容する度合いである位置ずれ許容度と、不一致を許容する度合いである不一致許容度との、少なくともいずれか一方を可変とする。
特に、位置ずれ許容度と、不一致許容度との、少なくともいずれか一方を大きくすることで、照合部116は、同一人物を別人と誤判定する可能性を低減させることができる。
手術や怪我による損傷指紋は、手術や怪我部分を除く領域は元指紋の特徴量を維持している。この部分の一致性を検証する事により、手術や怪我をする前の指紋と照合出来る可能性がある。真皮指紋について同様に手術や怪我部分を除いて、手術や怪我をするまえの真皮指紋または指紋と照合できる可能性がある。
一方、特徴点照合においては、指紋の隣り合う特徴点(真皮隆線の端点およびまたは分岐点)が一定距離差や一定角度差にあるかどうかをもって、同一の指紋であるかの判定を行っている。手術指紋の場合は縫合時の引っ張りによる形状変化により、この許容度を超えてしまう場合も多い。
そこで、損傷指紋と判定された指紋に対しては、照合時の指紋特徴の位置ずれ許容度や不一致許容度などを標準的な値より緩和させる事により、損傷前の本人指と照合出来る事を特徴とする装置を作る事が可能となる。
照合許容度を緩和した場合、誤って異なる人物を本人と同定してしまうリスクが増大するデメリットが存在する。しかしながら、最終的に同一人物かどうかの判定を、オペレーター等が指紋以外の顔写真等を用いて別途最終確認を行う運用環境においては、このような他人誤一致のリスクを低減する事が出来る。
上述した構成により、真皮画像情報処理装置3は、特異領域検出結果取得部12が取得した情報に基づき、特異領域の有無に応じた照合処理を行うことが可能となる。また、特異領域の位置に応じた照合処理を行うことが可能となる。
[第2実施形態]
次に第2実施形態について説明する。なお、前述の実施形態と共通の事項については説明を省略する場合があり、以下では第2実施形態に特有の事項を中心に説明する。
図11は、第2実施形態による真皮画像情報処理システムの機能構成を示す概略ブロック図である。図11に示すように、真皮画像情報処理システム4は、OCT2と、真皮画像情報処理装置5とを備える。真皮画像情報処理装置3は、真皮画像情報取得部11と、特異領域検出結果取得部12と、特異領域検出部61と、事前登録情報記憶部62と、照合部116と、結果出力部121と、修復部214とを備える。
特異領域検出部61と事前登録情報記憶部62とは、それぞれ独立の装置の機能として実現しても良いし、他の装置の一部分の機能として実現しても良い。特異領域検出部61と事前登録情報記憶部62のいずれか一方または両方を、真皮画像情報処理装置3の内部の機能として実現しても良い。OCT2と真皮画像情報処理装置3とが一体的に構成されていてもよい。例えば、OCT2が備えるコンピュータが、真皮画像情報処理装置3の機能を実行するようにしてもよい。
真皮画像情報取得部11、特異領域検出結果取得部12、照合部116、結果出力部121のそれぞれは、第1の実施形態における各機能と同様の機能を有する。第2の実施形態による真皮画像情報処理装置5は、修復部214を備えている。
修復部214は、真皮画像情報取得部11が取得した真皮画像情報のうち特異領域を含む真皮画像について、その特異領域で生じた真皮画像の損傷を修復する。
第2の実施形態における照合部116は、修復部214によって修復された真皮画像情報については、特異領域以外の領域であるとみなして、照合処理を行う。
次に、修復部214による処理の詳細について説明する。修復部214は、「Z型手術」と呼ばれる手術によって生じた特異領域の真皮指紋を修復する処理を行う。Z型手術とは、表皮及び真皮にZ字状にメスを入れ、そのZ状の切断によって生じた2つの三角形部分の皮膚(表皮及び真皮)を入れ替えた上で再び縫合する手術である。このような手術が行われた場合、真皮指紋の特徴量の位置的変化が起こるため、そのままでは手術前の真皮指紋との照合が困難ないしは不可能となる。
図12および図13は、Z型手術について説明するための、真皮指紋画像の例を示す概略図である。図12は、Z型手術を施す前の画像を示している。図13は、Z型手術を施した後の画像を示している。上述したような、Z状の切開によって生じる2つの三角形の皮膚を入れ替えて縫合したことにより、図13に示す真皮指紋画像は、通常ではあり得ないパターンを有する。
図13に示す真皮指紋画像は、異常な真皮指紋である。修復部214は、Z型手術によって生じた図13に示すような真皮指紋画像を修復し、即ち画像を加工する処理を行い、元の(手術前の)図12に真皮指紋画像に戻すための処理を行う。
図14は、修復部214の内部の概略機能構成を示すブロック図である。図14に示すように、修復部214は、損傷部位検出部91と、Z型手術真皮指紋復元部92とを内部に含む。
以下、修復部214による処理の方法について説明する。
損傷部位検出部91は、真皮指紋画像から手術が施された痕跡の部分を検知し、その異常度を画像として表した異常度画像を出力する。一例として、異常度画像は、異常度を画像における濃淡で表す。
損傷部位検出部91は、異常度として、前述の特異領域検出部61が算出する櫛型評価値(櫛型異常度)Wk(x,y)や、ω型評価値(ω型異常度)Wo(x,y)や、X型評価値(X型異常度)Wx(x,y)のいずれかを用いる。損傷部位検出部91は、特異領域検出部61からこれら各種の評価値を受け取るようにしても良いし、損傷部位検出部91自身が同様の方法によりこれら各種の評価値を算出するようにしても良い。また、損傷部位検出部91は、その他の評価値(例えば、既に述べた、方向変化やピッチ変化の度合を表す値)を異常度として用いても良い。損傷部位検出部91は、これらの各種評価値にそれぞれ重みを付けて平均をとった加重平均値を異常度として用いても良い。そして、損傷部位検出部91は、ここに述べた異常度のいずれかを用いた異常度画像を作成する。
Z型手術真皮指紋復元部92は、真皮指紋画像と、上記損傷部位検出部91によって作成された異常度画像の2つの画像を入力とし、加工後の真皮指紋復元画像を出力とする。
具体的には、最初にZ型手術真皮指紋復元部92は、異常度画像から直線成分を検出する処理を行う処理部であり、異常度画像に対してハフ変換を適用することで構成できる。このハフ変換により、Z型手術真皮指紋復元部92は、異常度画像中の直線成分を検出する。そして、Z型手術真皮指紋復元部92は、異常度の高い部分(異常度の濃淡画像として表されている場合には濃い部分)が直線状に並んでいる3本の直線成分(第1候補から第3候補まで)を検出する。これら第1候補から第3候補までの3本の直線成分が真皮指紋上で「Z」字状の形状をなす場合、Z型手術真皮指紋復元部92は、その真皮指紋がZ型加工されていると判定する。
Z型手術真皮指紋復元部92は、第1候補から第3候補までの3本の直線成分が「Z」字状の形状をなすか否かについて判定するため、下記の条件1から条件(3)までを用いる。「Z」字状であると判定されるための条件は、下記の条件(1)から条件(3)までがすべて成り立つことである。ただし、条件(1)から条件(3)では、第1候補から第3候補である3本の直線成分を、直線(線分)A,B,Cと表す。
条件(1):互いの向き(角度)が最も近い2本の直線A,Bが並行に近い。具体的には、直線Aと直線Bの向きの差が15度以内であって、且つ、直線AとBとが画像範囲内において交差しない。なお、前記の15度は値の一例である。
条件(2):A,B以外の直線Cが、画像範囲内において、直線AおよびBのそれぞれと、向き(角度)の差が20度以上且つ60度以下で交わる。
条件(3):直線(線分)A,B,C上の異常度画像の画素値の平均値が、各線分とも(3本とも)、所定の閾値以上である。
図15は、Z型手術真皮指紋復元の方法を説明するための概略図である。入力された真皮指紋画像がZ型手術による真皮指紋であると判定された場合、Z型手術真皮指紋復元部92は、以下に述べる方法(過程(1)から過程(6)まで)により、手術前の画像を復元し、得られた手術前画像を出力する。図15上では、上記の判定の際に検出した異常値画像内の直線成分の3本の候補(直線A,B,C)を示している。また図15は、下記の復元手順において用いる点D,E,F,Gを示している。
過程(1):直線Aと直線Cの交点をDとし、直線Cと直線Bの交点をEとする。
過程(2):上記交点Eから直線A上におろした垂線の足(その垂線と直線Aとの交点)を点Fとする。
過程(3):上記交点Dから直線B上におろした垂線の足(その垂線と直線Bとの交点)を点Gとする。
過程(4):入力画像のうち三角形FDE(第1多角形)に囲まれる部分を、出力画像の三角形FGE上に、アフィン変換により複写する。
過程(5)入力画像のうち三角形DEG(第2多角形)に囲まれる部分を、出力画像の三角形DFG上に、アフィン変換により複写する。
過程(6)上記の過程(4)および(5)で複写した部分以外の領域は、入力画像から出力画像にそのまま複写する。
つまり、修復部214は、真皮指紋画像に含まれる部分ごとの真皮隆線方向情報と、予め保持する異常真皮隆線方向パターンのテンプレートとの相関に基づいて真皮隆線方向情報が異常真皮隆線方向パターンを有する度合いを表す評価値を前記部分ごとに求め、真皮指紋画像内における評価値の直線成分を抽出する。また、修復部214は、それら直線成分に基づいて定まる第1多角形および第2多角形に含まれる真皮指紋画像を相互に入れ替える(ただし、入れ替え先の多角形の形状が元の多角形の形状と異なる場合には、適宜、アフィン変換等により形状を調整する)ことにより損傷を修復する。
上記の手法において用いた点FおよびGは、必ずしも実際の手術における切り取り部分と完全に一致する保証はないが、上記過程(4)および(5)でそれぞれ用いた2つの三角形FGE上および三角形DFG上の真皮指紋画像の特徴量は、手術前の真皮指紋の位置に近づくことが期待できる。つまり、修復部214のこの修復処理により、照合部116における事前登録情報との照合が成功する可能性が高まる。
また、修復部214は、加工部分が鮮明な手術真皮指紋(手術後の真皮指紋)を扱う場合においては、変形部分の線分DFと線分DEの境界で画像マッチング(真皮隆線同士のマッチング)を行う事により、加工の起点となる点Fの座標位置を補正するようにしても良い。同様に、変形部分の線分EGと線分EDの境界で画像マッチングを行う事により、加工の起点となる点Gの座標位置を補正してもよい。
[修復部の変形例1]
修復部214の処理を、次のような変形例で実施しても良い。
前述の切り取り加工検出部79によって計算される評価値Wc1およびWc2に基づいて、入力される真皮指紋画像が切り取り加工損傷を含むものであると判定された場合について説明する。この場合、修復部214は、検出された傷の広ピッチ側のサイドで、広ピッチとなっている矩形領域を検出し、その領域幅と矩形内ピッチ変化差分との積を算出し、これを切り取り部分の幅であると推定する。これにより図10の画像の検出矩形領域内に対して、図9の中心部のひし形状の領域を空白部分として挿入するような画像変形を施すことにより、ひし形外部の真皮指紋周辺部を復元することが可能となる。
[修復部の変形例2]
修復部214のさらなる変形例として、下に説明する修復部214aを用いるようにして実施しても良い。本変形例による修復部214aは、変形等によって手術前の真皮指紋を復元するのではなく、真皮指紋の加工が行われている部分を除外し、加工が行われていない部分のみを抽出し、抽出された結果を復元画像として出力する。つまり、修復部214aは、手術等によって加工されていない部分を切り出す。
図16は、本変形例による修復部214aの概略機能構成を示すブロック図である。図17に示すように、本変形例による修復部214aは、損傷部位検出部93と、損傷部位除去部94とを含む。
損傷部位検出部93が有する機能の一例は、上で述べた損傷部位検出部91の機能と同様である。損傷部位検出部93がさらに、異常広ピッチ領域を検出する機能を備えたり、真皮隆線損傷領域を検出する機能(前述の真皮隆線破壊検出部78と同様の機能)を備えたりするようにしても良い。これらにより、異常度画像の情報を加味して損傷部位を検出することができる。
損傷部位除去部94は、損傷部位検出部93により生成された異常度画像を元に、下に列挙する方式(方式(1)から方式(4)まで)のいずれかにより、損傷部位として除外する除外領域を決定する。さらに、損傷部位除去部94は、真皮指紋画像の中における除外領域を背景色で塗りつぶした上で、その画像を出力する。
方式(1):異常度が所定の閾値以上の領域と、その近傍の16画素以内(この「16」という値を別の値に設定変更できるようにしても良い)を、除外領域とする。
方式(2):異常度が所定の閾値以上の領域を抽出し、画像の膨張収縮処理により異常領域の内部の領域も含めて除外領域とする。
方式(3):異常度が所定の閾値以上の領域を異常領域とし、その異常領域から最も距離の離れた真皮指紋位置を検出する。また、その位置から真皮隆線方向および真皮隆線ピッチが連続的に変化する(異常な不連続がない)所定距離以内の領域を有効領域とする。そして、その有効領域以外の部分を除外領域とする。
方式(4):異常度が所定の閾値以上の領域を異常領域とし、その異常領域から最も距離が離れた真皮指紋位置を検出する。また、その位置を中心とする円であってその位置から異常領域までの距離を半径する円の外を除外領域とする。
つまり、修復部214aは、特異領域に基づいて定められる除外領域の真皮指紋画像の情報を全体の真皮指紋画像から除去することによって損傷を修復する。ここでは損傷部分を無視あるいは評価の対象外としているだけであるが、照合可能な画像に修正するという意味を含めて、修復という用語を用いている。
上記の方式(1)から(4)までのうちの方式を採用するかは、例えば、外部から与えるパラメーターにより制御可能とする。別法として、方式(4)を最優先で適用し、その結果として照合処理に必要な真皮指紋画像の領域(広さ)を得られない場合には方式(3)を適用し、以下同様に、方式(2)、方式(1)の順で適用するようにしても良い。
Z型手術真皮指紋復元部92による処理は特定の方法の手術による損傷真皮指紋のみに対応しているが、はっきりした手術痕が見られない場合には元の手術前真皮指紋を復元できない可能性がある。そのような場合においても、損傷部位除去部94を用いた方法で真皮指紋の加工が行われている部分を除外する事により、加工前の本人真皮指紋(あるいは、加工前の本人指紋)と照合できるという利点がある。
本変形例による場合にも、修復部214aは、損傷部の情報を除去するという意味において、真皮画像情報取得部11が取得した真皮画像情報のうち特異領域に含まれる真皮画像情報について、その特異領域で生じた真皮画像情報の損傷を修復する場合の一例である。
修復部214(またはその変形例)による処理(Z型手術真皮指紋の手術前の状態への復元や、損傷部位を除外する処理)は、必ずしも手術前の真皮指紋を正確に復元することを保証しない。例えば、手術履歴のない指の正常な真皮指紋を、誤判定により手術ありと判定してしまい、加工してしまう場合もあり得る。しかし、例えば、修復部214(またはその変形例)による加工前の真皮指紋画像と加工後の真皮指紋画像の両方を、照合部116が事前登録情報記憶部62(指紋データベース)と照合することにより、認証率低下のリスクを低くすることが可能である。加工前後の両方の真皮指紋画像を事前登録情報記憶部62と照合する場合には、どちらか一方の真皮指紋画像が事前登録された真皮指紋画像(または指紋画像)と一致した場合に、事前登録された画像との一致と見なせる。
また、修復部214(またはその変形例)による処理の結果、復元処理後の真皮指紋画像が、他人の真皮指紋と一致してしまうリスクも存在する。しかし、その一致のみをもって最終判断とせず、オペレーター等が真皮指紋以外の手段(一例として、顔写真等)用いて別途の確認を行うように運用すれば、そのような他人誤一致のリスクも低くすることができる。
この第2実施形態の構成により、真皮画像情報処理装置5は、特異領域検出結果取得部12が取得した情報に基づき、修復部214(またはその変形例)が乳頭層の画像の修復を行うため、修復後の情報を用いた照合処理を行うことが可能となる。
以上のように、修復部214は、真皮画像情報取得部11が取得した真皮画像情報のうち特異領域に含まれる真皮画像情報について、その特異領域における真皮画像情報の損傷を修復する。そして、照合部116は、修復部214によって修復された真皮画像情報については、特異領域以外の領域のものであるとみなして照合処理を行う。
このように、修復部214が真皮画像情報の損傷を修復することで、照合部116が行う照合処理の精度を高めることができる。
また、修復部214は、特異領域に基づいて定められる除外領域を乳頭層の画像から除外することによって損傷を修復する。
これにより、修復部214は、はっきりした手術痕が見られない場合など手術前の真皮指紋を復元できない場合でも、手術によって真皮指紋が変形した部分を除外しての照合をすることができる。これにより、照合部116が行う照合処理の精度を高めることができる。
また、修復部214は、乳頭層の画像に含まれる部分ごとの真皮隆線方向情報と、予め保持する異常真皮隆線方向パターンのテンプレートとの相関に基づいて真皮隆線方向情報が異常真皮隆線方向パターンを有する度合いを表す評価値を部分ごとに求め、乳頭層の画像内における評価値の直線成分を抽出する。さらに、修復部214は、それら直線成分に基づいて定まる第1多角形および第2多角形に含まれる乳頭層の画像を相互に入れ替えることにより前記損傷を修復する。
これにより、修復部214は、Z型手術の真皮指紋画像など手術によって真皮を部分的に入れ替えた真皮指紋画像から、手術前の真皮指紋画像を復元することができる。
次に、図17を参照して本発明の第3の実施形態の構成について説明する。
図17は、本発明の第3の実施形態に係る真皮画像情報処理装置の構成を示す概略ブロック図である。図17に示す真皮画像情報処理装置301は、真皮画像情報取得部302と、特異領域検出部303とを備える。
かかる構成にて、真皮画像情報取得部302は、乳頭層の画像情報を取得する。また、特異領域検出部303は、真皮画像情報取得部302が取得した乳頭層の画像情報に基づいて、乳頭層の損傷を示す特異領域を検出する。
これにより、特異領域検出部303は、手荒れ、加齢等による皺、又は、火傷により指紋が不明りょうになっている場合など皮膚の状態が良くない場合でも、特異領域の有無を高精度に判定することができる。これにより、真皮画像情報処理装置301では、特異領域の存在を見落として同一人物を別人と誤判定してしまう可能性を低減させることができる。
真皮画像情報処理装置3、5の全部または一部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより各部の処理を行ってもよい。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含む。
「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
この出願は、2015年6月15日に出願された日本国特願2015−120660を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
本発明は、真皮画像情報処理装置、真皮画像情報処理方法及びプログラムに適用してもよい。
1、4 真皮画像情報処理システム
2 OCT
3、5、301 真皮画像情報処理装置
11、302 真皮画像情報取得部
12 特異領域検出結果取得部
61、303 特異領域検出部
62 事前登録情報記憶部
70 真皮隆線方向検出部
71 真皮隆線ピッチ検出部
72 真皮隆線強度検出部
73 方向特異点検出部
74 異常模様検出部
75 櫛型方向パターン検知部
76 ω型方向パターン検知部
77 X型方向パターン検知部
78 真皮隆線破壊検出部
79 切り取り加工検出部
91、93 損傷部位検出部
92 Z型手術真皮指紋復元部
94 損傷部位除去部
116 照合部
121 結果出力部
214、214a 修復部

Claims (11)

  1. 指の乳頭層の画像を示す画像情報を取得する真皮画像情報取得部と、
    前記乳頭層の画像から、真皮隆線の方向特異点を検出し、前記方向特異点の検出結果が、弓状紋、蹄状紋、渦状紋及び変体紋のいずれかの条件を満たすかを判断することで、前記指の乳頭層の損傷を示す特異領域を検出する特異領域検出部と、
    を備える真皮画像情報処理装置。
  2. 前記特異領域検出部は、前記乳頭層の画像に含まれる複数の部分それぞれに対応する複数の真皮隆線方向情報を取得し、
    前記特異領域検出部は、前記複数の真皮隆線方向情報各々と、予め保持する異常真皮隆線方向パターンのテンプレートとの相関に基づき、前記複数の真皮隆線方向情報各々ごとに、異常真皮隆線方向パターンを有する度合いを表す評価値を求め、
    前記特異領域検出部は、前記評価値が所定の閾値以上である真皮隆線方向情報に対応する部分を前記特異領域として検出する、
    請求項1に記載の真皮画像情報処理装置。
  3. 前記特異領域検出部は、前記乳頭層の画像に含まれる複数の部分それぞれに対応する複数の真皮隆線方向情報を取得し、
    前記特異領域検出部は、前記複数の真皮隆線方向情報ごとに、前記真皮隆線方向情報に対応する領域の周辺に位置する領域に対応する真皮隆線方向情報に基づいて方向スムース処理を行うことによってスムース化真皮隆線方向情報を得て、
    前記特異領域検出部は、前記真皮隆線方向情報と前記スムース化真皮隆線方向情報との間の差が所定の閾値より大きい前記真皮隆線方向情報に対応する領域を前記特異領域として検出する、
    請求項1に記載の真皮画像情報処理装置。
  4. 前記特異領域検出部は、前記乳頭層の画像に含まれる複数の領域それぞれに対応する複数の真皮隆線方向情報および複数の真皮隆線ピッチ情報を取得し、
    前記特異領域検出部は、前記複数の真皮隆線方向情報および前記複数の真皮隆線ピッチ情報に基づいて、前記乳頭層の画像内において隣接する領域間での真皮隆線方向の差と真皮隆線ピッチの差とが大きいほど大きな値となる評価値を求め、
    前記特異領域検出部は、前記評価値が所定の閾値より大きい場合に、前記隣接する領域が切り取り加工による前記特異領域であるとして検出する、
    請求項1に記載の真皮画像情報処理装置。
  5. 前記取得された真皮画像情報のうち、前記検出された特異領域以外の領域に対応する真皮画像情報と、個人を識別する識別情報と関連付けて予め登録された前記乳頭層の画像情報である事前登録情報とを照合する照合部、
    をさらに備える請求項1から4のいずれか一項に記載の前記真皮画像情報処理装置。
  6. 前記照合部は、前記照合を行う際に、位置ずれを許容する度合いである位置ずれ許容度と、不一致を許容する度合いである不一致許容度との、少なくともいずれか一方を可変とする、
    請求項5に記載の真皮画像情報処理装置。
  7. 前記取得された真皮画像情報のうち前記特異領域に対応する真皮画像情報の損傷を修復する修復部をさらに備え、
    前記照合部は、前記修復された真皮画像情報に対応する領域が前記特異領域以外の領域であるとみなして、前記照合を行う、
    請求項5または請求項6に記載の真皮画像情報処理装置。
  8. 前記修復部は、前記特異領域に基づいて定められる除外領域を前記乳頭層の画像から除外することによって前記損傷を修復する、
    請求項7に記載の真皮画像情報処理装置。
  9. 前記修復部は、前記乳頭層の画像に含まれる複数の部分ごとに、真皮隆線方向情報と、予め保持する異常真皮隆線方向パターンのテンプレートとの相関に基づいて真皮隆線方向情報が異常真皮隆線方向パターンを有する度合いを表す評価値を求め、
    前記修復部は、前記乳頭層の画像内における前記評価値の直線成分を抽出し、
    前記修復部は、前記抽出された直線成分に基づいて定まる第1多角形および第2多角形に含まれる乳頭層の画像を相互に入れ替えることにより前記損傷を修復する、
    請求項7に記載の真皮画像情報処理装置。
  10. 指の乳頭層の画像を示す画像情報を取得し、
    前記乳頭層の画像から、真皮隆線の方向特異点を検出し、前記方向特異点の検出結果が、弓状紋、蹄状紋、渦状紋及び変体紋のいずれかの条件を満たすかを判断することで、前記指の乳頭層の損傷を示す特異領域を検出する、
    真皮画像情報処理方法。
  11. コンピュータに、
    指の乳頭層の画像を示す画像情報を取得する処理、
    前記乳頭層の画像から、真皮隆線の方向特異点を検出し、前記方向特異点の検出結果が、弓状紋、蹄状紋、渦状紋及び変体紋のいずれかの条件を満たすかを判断することで、前記指の乳頭層の損傷を示す特異領域を検出する処理、
    を実行させるプログラム。
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