JP2020113910A - 電子部品、電子部品の製造方法およびノイズ処理方法 - Google Patents

電子部品、電子部品の製造方法およびノイズ処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 本開示の目的は、数kHzから数百kHzまでのターゲット周波数範囲において、大電流に含まれるノイズを減衰させることにある。【解決手段】 電子部品(2)は、磁性体(12−1、12−2)と、該磁性体を一回のみ貫通する導体(14)とを含むインダクタ(4)と、導電性高分子を含み、前記インダクタの前記導体に接続されるコンデンサ(6)とを含む。【選択図】 図1

Description

本開示の技術は、インダクタとコンデンサを有する電子部品に関する。
インダクタとコンデンサを有する電子部品は、たとえばフィルタ回路を形成する。フィルタ回路では、たとえばトロイダルコイルがインダクタとして用いられ(たとえば特許文献1)、たとえばアルミ電解コンデンサがコンデンサとして用いられる。トロイダルコイルは、円環状の磁性体のコアと、コアに巻き付けられた導体を含む。導体の巻き数が増加すると、トロイダルコイルのインダクタンスLが大きくなる。インダクタとコンデンサを有するLCフィルタにおけるカットオフ周波数fは、1/2π√(LC)で表される(Cは、コンデンサの静電容量である)。したがって、トロイダルコイルのインダクタンスLを大きくすると、コンデンサの静電容量Cを小さくすることができる。
特開2006−148023号公報
ところで、車両、移動体、ロボット、医療機器およびコンピュータ機器などの電子機器の複雑化および高性能化に伴い、ノイズフィルタなどの電子部品にとって過酷な環境下での電子部品の設置が要請されている。たとえば、20アンペア以上の大電流が流れる回路にノイズフィルタを設置することが要請されている(以下、「大電流対応の要請」という)。また、メガヘルツ帯の高周波とは異なり、数kHzから数百kHzまでのターゲット周波数範囲において、優れたノイズ減衰性能を有するフィルタが要請されている(以下、「ターゲット周波数対応の要請」という)。このターゲット周波数範囲のノイズが、たとえばラジオ受信機に流れ込むと、このノイズは、中波を用いたラジオ放送の視聴における雑音の原因となる。また、ノイズの抑制は、誤動作の防止などのために重要である。これらの要請に対応するためには、トロイダルコイルおよびアルミ電解コンデンサを用いたLCフィルタの設計思想から脱却して、斬新な電子部品を得る必要がある。
そこで、本開示の目的は、数kHzから数百kHzまでのターゲット周波数範囲において、大電流に含まれるノイズを減衰させることにある。
本開示の第1の側面によれば、電子部品は、磁性体と、該磁性体を一回のみ貫通する導体とを含むインダクタと、導電性高分子を含み、前記インダクタの前記導体に接続されるコンデンサとを含む。
上記電子部品において、少なくとも周波数3.6キロヘルツでの交流信号の減衰率が−40dB/decadeまたは約−40dB/decadeであってもよく、前記電子部品が2次型のローパスフィルタを形成してもよい。
上記電子部品は、導線を含む基板をさらに含んでいてもよい。前記インダクタおよび前記コンデンサは前記基板に固定されていてもよく、前記導線を介して前記コンデンサが前記インダクタの前記導体に接続されていてもよい。
上記電子部品において、無重畳電流時および30アンペアの直流電流が重畳されている時の前記インダクタのインダクタンスが1マイクロヘンリ以上3マイクロヘンリ以下であってもよい。
上記電子部品において、前記コンデンサは、少なくとも周波数3.6キロヘルツの交流信号に対して静電容量として機能していてもよい。
上記電子部品において、前記コンデンサの静電容量は、10マイクロファラド以上1000マイクロファラド以下であってもよい。
上記電子部品において、前記コンデンサは、液状成分をさらに含む導電性高分子ハイブリッドコンデンサであってもよい。
上記電子部品は、前記コンデンサに並列に接続され、前記インダクタと前記コンデンサの共振により生じるピークを抑制する並列回路をさらに含んでいてもよい。
本開示の第2の側面によれば、電子部品の製造方法は、磁性体と、該磁性体を一回のみ貫通する導体とを含むインダクタを形成する工程と、導電性高分子を含むコンデンサを形成する工程と、前記コンデンサを前記インダクタの前記導体に接続する工程とを含む。
本開示の第3の側面によれば、インダクタとコンデンサとを含む電子部品によるノイズ処理方法において、前記インダクタは、磁性体と、該磁性体を一回のみ貫通する導体とを含み、前記電子部品の前記導体を流れる交流信号を減衰させ、前記コンデンサは、導電性高分子を含み、前記交流信号を吸収し、前記交流信号を減衰させる。
本開示によれば、次のいずれかの効果が得られる。
(1) 電子部品の発熱量および電力ロスを抑制することができる。
(2) たとえば0アンペアから30アンペアの電流範囲において、電子部品のインダクタンスを安定させることができる。
(3) たとえば約3kHz〜約300kHzの周波数範囲において、電子部品を構成するインダクタとコンデンサの各々は自己共振を生じていない。そのため、電子部品は、この周波数範囲において、約−40dB/decadeの減衰率を有する2次型LCフィルタとして機能することができる。
(4) たとえば−40℃から+150℃の温度範囲において、電子部品の周波数特性を安定させることができる。
実施の形態および実施例1に係る電子部品の一例を示す図である。 電子部品の等価回路の一例を示す図である。 インダクタの重畳特性の一例を示す図である。 インダクタの発熱特性の一例を示す図である。 コンデンサおよびアルミ電解コンデンサのインピーダンスおよび等価直列抵抗の特性の一例を示す図である。 電子部品の特性の一例を示している。 図6に示されている電子部品の特性インピーダンス特性、−40dB時の周波数などを示している。 電子部品の特性(理論値)のシミュレーション検証結果の一例を示す図である。 電子部品の製造手順の一例を示す図である。 電子部品の製造手順の一例を示す図である。 電子部品の回路への実装例を示す図である。 実施例2に係る電子部品の等価回路の一例を示す図である。 周波数測定システムの概要を示す図である。 実施例1および実施例2に係る電子部品の周波数特性の測定結果を示す図である。 温度変化による周波数特性の変化を示す図である。 温度変化による周波数特性の変化を示す図である。 電流量変化による周波数特性の変化を示す図である。 比較例1に係る電子部品の周波数特性の測定結果を示す図である。 温度変化による周波数特性の変化を示す図である。 比較例2に係る電子部品に含まれているアルミ電解コンデンサのインピーダンスおよび等価直列抵抗の特性を示す図である。 比較例2に係る電子部品の周波数特性の測定結果を示す図である。 比較例3に係る電子部品の電流量変化による周波数特性の変化を示す図である。
以下、図面を参照して実施の形態および実施例を説明する。

実施の形態
図1は、実施の形態に係る電子部品の一例を示している。図1において、インダクタ4の外装ケース16−1、16−2の前半分、インダクタ4の磁性体12−1の一部、およびコンデンサ6の筐体24の一部を省略している。
電子部品2は、インダクタンスLを有するインダクタ4、静電容量Cを有するコンデンサ6および基板8を含み、LとCを有する電子部品を形成している。電子部品2は、インダクタンスLと静電容量Cを有し、たとえば2次型のローパスフィルタとして用いられる。
インダクタ4は、磁性体12−1、12−2、導体14および外装ケース16−1、16−2を含んでいる。導体14が磁性体12−1、12−2を貫通している。そのため、磁性体12−1、12−2が導体14に鎖交して、インダクタが形成されている。
磁性体12−1、12−2は、たとえば筒形状を有し、円形の断面の中心部分に中空部18を有している。中空部18は磁性体12−1、12−2の筒の両端部に到達し、磁性体12−1、12−2の内部を貫いている。磁性体12−1、12−2は、珪素鋼、軟磁性結晶材、ナノクリスタル材、アモルファス金属またはアモルファス合金などの磁性材料を含む。アモルファス金属は、たとえば鉄系アモルファス材料、コバルト系アモルファス材料であり、ナノクリスタル材は、たとえば鉄系ナノクリスタル材料であり、アモルファス合金は、たとえば鉄−ニッケル系合金、鉄−ケイ素合金である。磁性体12−1、12−2は、複数種類の磁性材料を含んでいてもよい。磁性材料は、たとえばインダクタ4の用途に応じて選択される。
磁性体12−1、12−2は、たとえば帯状の磁性箔を巻くことにより形成される。磁性体12−1、12−2は、磁性材料の焼結体であってもよい。
導体14は、導電性を有する線または棒であり、たとえば銅線または銅棒である。導体14は、中央部に折返し部14−3を有し、折返し部14−3の外側に第1の外側導体14−1および第2の外側導体14−2を有している。第1の外側導体14−1は、たとえば第2の外側導体14−2と平行またはほぼ平行に配置されている。第1の外側導体14−1は磁性体12−1を一回のみ貫通して、磁性体12−1と鎖交し、第2の外側導体14−2は磁性体12−2を一回のみ貫通して、磁性体12−2と鎖交している。そのため、インダクタ4はたとえば1ターン構造のコイルを形成している。第1の外側導体14−1および第2の外側導体14−2の端部は、磁性体12−1、12−2から突出している。
外装ケース16−1、16−2は、磁性体12−1、12−2および導体14を収納する。外装ケース16−1、16−2は、たとえば樹脂で形成され、磁性体12−1、12−2および導体14を保護する。外装ケース16−2は、第1の外側導体14−1、および第2の外側導体14−2に対応する位置に、貫通孔を有する。第1の外側導体14−1および第2の外側導体14−2の端部は、第2の外側導体14−2の貫通孔を通って外装ケース16−2から突出する。インダクタ4は基板8に設置される。
コンデンサ6は、コンデンサ素子20、電解質22、筐体24および封口部材26を含んでいる。コンデンサ素子20は、容量素子の一例であって、積層された陽極箔、セパレータ、および陰極箔を含み、陽極箔に接続されたリード線28−1および陰極箔に接続されたリード線28−2をさらに含む。電解質22は、少なくとも導電性高分子を含む電解質であり、コンデンサ素子20は、電解質22が含浸されて、静電容量が形成される。電解質22は、導電性高分子および液状成分を含むハイブリッド電解質であってもよい。つまり、コンデンサ6は、導電性高分子を含む導電性高分子コンデンサであってもよく、導電性高分子および液状成分を含む導電性高分子ハイブリッドコンデンサであってもよい。筐体24はたとえばアルミニウム缶であって、電解質22を含浸したコンデンサ素子20を収納する。封口部材26は、たとえば封口ゴムであって、筐体24の開口部を封止する。コンデンサ素子20のリード線28−1、28−2は、封口部材26の貫通孔を通って、封口部材26から外側に突出している。コンデンサ6は基板8に設置される。なお、電解質22を含浸したコンデンサ素子20を筐体24に収納し、封口部材26で封止したが、電解質22を含浸したコンデンサ素子20を樹脂で被覆することで封止してもよい。
基板8は、たとえば回路基板であって、導線30を含んでいる。導線30は、インダクタ4の第1の外側導体14−1およびコンデンサ6のリード線28−1に接続して、インダクタ4およびコンデンサ6を電気的に接続する。また第2の外側導体14−2およびリード線28−2は、それぞれ他の導線30に接続され、第2の外側導体14−2またはリード線28−2の接続端が基板8の外側に引き出されている。
図2は、電子部品の等価回路の一例を示している。図2において、等価回路中の配線に沿って付された矢印は、信号が流れる向きを表している。
インダクタ4の一端がコンデンサ6のプラス側のリード線28−1に接続されているので、電子部品2は、たとえばL型LCフィルタを形成する。
電子部品2には交流信号Vノイズが流れ込む。この交流信号Vノイズは、電子部品2に流れる信号の一つであって、たとえば数kHzから数百kHzのターゲット周波数範囲内の周波数を有する交流信号を含んでいる。交流信号はたとえばスイッチング電源で発生するスパイクノイズ、インバータから生じるノイズを含んでいる。この交流信号Vノイズがインダクタ4の導体14内を流れるとき、インダクタ4は、交流信号の通過を阻害させる。また、コンデンサ6は、交流信号Vノイズ中の交流信号Vaを吸収し、取り除く。そのため、電子部品2は、交流信号Vノイズ中の交流信号を減衰させることができる。コンデンサ6は、交流信号Vノイズ中の交流信号Vaを接地線に流してもよい。この交流信号Vノイズには、重畳電流(直流電流)が重畳されていてもよい。
図3は、インダクタ4の重畳特性の一例を示している。図3において、温度−40℃、+25℃、+135℃におけるインダクタ4の重畳特性の一例がそれぞれ実線、一点鎖線、二点鎖線で表され、トロイダルコイルの重畳特性の一例が破線で表されている。図3において、縦軸は、周波数10kHzにおけるインダクタンスLを表し、横軸は重畳電流(直流電流)の電流値を表す。重畳電流が0アンペアの状態は、重畳電流が流れていない状態、つまり無重畳電流状態を表す。
重畳電流が0〜30アンペアの範囲において、トロイダルコイルのインダクタンスLは、インダクタ4のインダクタンスLよりも高い。トロイダルコイルを用いると、大きなインダクタンスLが得られる。たとえば、L型LCフィルタのカットオフ周波数fは次の式(1)で表されるので、インダクタンスLが大きいと、静電容量Cを小さくすることができる。
f=1/{2π√(LC)} ・・・・(1)
そのため、LCフィルタなどのLC電子部品では、トロイダルコイルが一般的に使用され、高い実績を有している。
インダクタ4のインダクタンスLは、トロイダルコイルのインダクタンスLよりも低い。しかしながら、重畳電流が増加するにつれて、トロイダルコイルのインダクタンスLが大きく減少するのに対し、インダクタ4のインダクタンスLの減少は小さい。つまり、インダクタ4は、トロイダルコイルよりも電流依存性が小さく、高い電流安定性を有している。また、30アンペアなどの大きな重畳電流の電流値では、インダクタ4とトロイダルコイルのインダクタンスLの差が比較的小さい。そのため、インダクタ4は、大きな重畳電流を処理する電子部品において、トロイダルコイルとほぼ同等の働きをすることができる。
また、インダクタンスLの変化量は、図3に示すように、−40℃から+135℃の温度範囲において小さい。つまり、インダクタ4は、広い温度範囲において安定したインダクタンスLを提供することができる。
図4は、インダクタの発熱特性の一例を示している。図4において、インダクタ4の発熱特性の一例が実線で表され、トロイダルコイルの発熱特性の一例が破線で表されている。図4において、縦軸は、温度の上昇量を表し、横軸は直流電流(重畳電流)の電流値を表す。なお、温度は、インダクタ4とトロイダルコイルの上部表面の温度である。
導体の巻き数の違いのため、インダクタ4の発熱量は、トロイダルコイルの発熱量よりも少なくなる。たとえば、30アンペアの直流電流がインダクタ4を流れるとき、インダクタ4の直流抵抗は、たとえば0.4ミリオーム(mΩ)であり、電力ロスは、たとえば0.36ワット(W)であり、温度の上昇量は、図4に示すように、たとえば12ケルビン(K)である。これに対し、30アンペアの直流電流がトロイダルコイルを流れるとき、トロイダルコイルの直流抵抗は、たとえば2.4ミリオームであり、電力ロスは、たとえば2.16ワットであり、温度の上昇量は、図4に示すように、たとえば62ケルビンである。その結果、インダクタ4を含む電子部品2の発熱量および電力ロスは、トロイダルコイルを含む電子部品の発熱量および電力ロスよりも少なくできる。インダクタ4とトロイダルコイルとの間の発熱量の差は、電流値が大きくなるにつれて大きくなる。したがって、大電流を処理する場合において、電子部品2は、顕著な低発熱量および低電力ロスの効果を得ることができる。
インダクタ4のインダクタンスLは、1マイクロヘンリ(以下、「μH」と表す)以上が好ましく、1.5μH以上が望ましい。インダクタンスLが1μH以上であると、このインダクタ4に組み合わせられるコンデンサ6の設定の自由度が確保できる。インダクタンスLが1.5μH以上であると、このインダクタ4に組み合わせられるコンデンサ6の設定の自由度が高められる。インダクタンスLが大きくなると、インダクタ4は大きくなり、既述の電流依存性が大きくなり、直流抵抗が大きくなる。そのため、インダクタンスLは、3μH以下が好ましく、2.5μH以下が望ましい。インダクタンスLは、たとえば日本工業規格JIS C 5321 6.17(コイル重畳特性の測定方法)に基づき測定できる。
図5のAは、コンデンサのインピーダンスおよび等価直列抵抗(以下、「ESR」と言う)の特性の一例を示し、図5のBは、電解質として電解液のみを用いたアルミ電解コンデンサのインピーダンスおよびESRの特性の一例を示している。図5のAでは、−40℃におけるインピーダンス(Z)の絶対値およびESRが実線で示され、図5のBでは、−40℃におけるインピーダンスの絶対値およびESRが破線で示されている。図5Aおよび図5のBでは、+20℃におけるインピーダンスの絶対値およびESRが一点鎖線で示され、+135℃におけるインピーダンスの絶対値およびESRが二点鎖線で示されている。図5のAおよび図5のBにおいて、縦軸は、インピーダンスの絶対値およびESRの値を表し、横軸は周波数を表す。
導電性高分子を含むコンデンサ6のインピーダンスの絶対値は、図5のAに示すように、たとえば0〜約200kHzの周波数範囲において、ESRよりも大きい。そのため、コンデンサ6は、たとえば0〜約200kHzの周波数範囲において、静電容量Cを有する。これに対し、導電性高分子を含まないアルミ電解コンデンサのインピーダンスの絶対値は、図5のBに示すように、たとえば7kHz、30kHzまたは70kHzを超える周波数でESRとほぼ同じ値になり、アルミ電解コンデンサがたとえば抵抗として機能する。つまり、アルミ電解コンデンサを含む電子部品は、見かけはコンデンサを含んでいてもたとえば70kHzを超える周波数において、電気的には静電容量Cを喪失する。そのため、コンデンサ6を含む電子部品2は、アルミ電解コンデンサを含む電子部品よりも、広い周波数帯域において、理想的なLC電子部品として機能することができる。
インダクタンスLと静電容量Cを含む2次型のLCフィルタまたはローパスフィルタは、たとえば−40dB/decadeの減衰率を有する。しかしながら、インダクタンスLと抵抗Rを含む1次型のLRフィルタまたはローパスフィルタの減衰率は、たとえば−20dB/decadeである。したがって、コンデンサ6を含む電子部品2は、たとえば70kHzを超える周波数の交流信号を、アルミ電解コンデンサを含む電子部品よりも効率的に減衰させることができる。なお、「dB/decade」は、減衰率の単位であり、たとえば「−40dB/decade」は、周波数が10倍になるごとに信号が40デシベル(以下、「dB」と表す)減衰することを表す。
また、導電性高分子を含むコンデンサ6のインピーダンスの絶対値およびESRは、図5のAに示すように、−40℃から+135℃の温度範囲において、ほとんど変動しない。つまり、コンデンサ6は、広い温度範囲において安定した静電容量Cを提供することができる。これに対し、導電性高分子を含まないアルミ電解コンデンサのインピーダンスの絶対値およびESRは、図5のBに示すように、−40℃から+135℃の温度範囲において、変動する。そのため、アルミ電解コンデンサを含む電子部品は、周囲の温度に応じて、LCフィルタとして機能する周波数範囲が変動する。したがって、コンデンサ6を含む電子部品2は、アルミ電解コンデンサを含む電子部品よりも、温度変化に対し、高い減衰率の安定性を有することができる。
電子部品2は、好ましくは以下の第1の条件から第3の条件を満足し、ターゲット周波数範囲の交流信号を効率的に減衰させてもよい。
・第1の条件: コンデンサ6の共振周波数が、電子部品2において信号の減衰量が−40dBとなる時の信号の周波数の理論値(以下、「−40dB時の周波数」という)に対して一定の尤度を有している。つまり、以下の式(2)で表される尤度が2.0以上である。
尤度=コンデンサ6の共振周波数/−40dB時の周波数 ・・・・(2)
・第2の条件: 電子部品2の特性インピーダンスが電源回路のインピーダンスに対して妥当である。なお、特性インピーダンスとは、コイルとコンデンサからの組み合わせからなるもので、√L/Cで表されるものである。
・第3の条件: −40dB時の周波数が、既述のターゲット周波数範囲内である。
図6は、電子部品の特性の一例を示している。図7は、図6に示されている電子部品の特性インピーダンス特性、−40dB時の周波数などを示している。
インダクタ4のインダクタンスLが2μHであるとき、図6に示すように、10マイクロファラド(以下、「μF」と表す)から1000μFの静電容量Cを有するコンデンサ6を含む電子部品2は、第1の条件および第3の条件を満足する。したがって、コンデンサ6は、10μF以上1000μF以下の静電容量Cを有することが好ましく、電子部品2には、このようなコンデンサ6の中からたとえば第2の条件を満たすコンデンサ6が用いられる。電子部品2の特性インピーダンスは、図7のAに示すように、0.04オームと0.45オームの間に分布しているので、10μF以上1000μF以下の静電容量Cを有するコンデンサ6の中に、第2の条件を満たす電子部品2が存在している。
静電容量Cは、コンデンサ6の小型化および静電容量などの観点から、47μF以上330μF以下の範囲が望ましい。
コンデンサ6は、電子部品2のカットオフ周波数または−40dB時の周波数がターゲット周波数範囲内の特定の周波数になるように選択されてもよい。電子部品2のカットオフ周波数は、図7のAに示すように、3.6kHzと35.6kHzの間に分布しているので、3.6kHzと35.6kHzの範囲で電子部品2のカットオフ周波数を調整することができる。電子部品2の−40dB時の周波数は、図7のBに示すように、35.6kHzと355.9kHzの間に分布しているので、35.6kHzと355.9kHzの範囲で−40dB時の周波数を調整することができる。
静電容量Cは、たとえば日本工業規格JIS C 5101−26 4.4.2(静電容量の測定)に基づき測定できる。図6では、インダクタンスLが2μHであるときの電子部品2の特性が示されている。しかしながら、インダクタンスLが2μHの近傍値、たとえば1μH以上3μH以下であれば、電子部品2は図6に示されている特性とほぼ同様の特性を有し、コンデンサ6の静電容量Cの好ましい範囲は、ほぼ変わらない。
静電容量Cの好ましい範囲(10μF以上1000μF以下)の説明のために、−40dB時の周波数として理論値を用いた。そこで、この理論値をシミュレーションで検証する。シミュレーションのために、電子部品2に含まれる各部品の特性が測定され、測定の結果に基づき各部品のSPICE(Simulation Program with Integrated Circuit Emphasis)モデルを作成する。作成したSPICEモデルを用いて、SPICEシミュレータで電子部品2の電子回路を形成し、形成した電子回路のたとえば周波数100Hzから1MHzにおける減衰量を得る。SPICEモデルは電子部品2の各部品の特性に基づき作成されかつ電子部品2に含まれている部品の数は少ない。そのため、SPICEシミュレータは、電子部品2の実際の特性に近いシミュレーション結果を出力することができる。
図8のA、図8のB、図8のCおよび図8のDは、それぞれ47μF、100μF、270μF、330μFのコンデンサ6を含む電子部品2の周波数特性の理論値とシミュレーション結果の一例を示している。図8のA、図8のB、図8のCおよび図8のDにおいて、シミュレーション結果が実線で表され、理論値が破線で表されている。図8のA、図8のB、図8のCおよび図8のDにおいて、縦軸は、減衰量を表し、横軸は周波数を表す。
図8のA、図8のB、図8のCおよび図8のDに示すように、理論値がシミュレーション結果にほぼ一致している。つまり、理論値を用いて得た静電容量Cの好ましい範囲は、電子部品2における静電容量Cの好ましい範囲を表している。
図9および図10は、電子部品の製造手順の一例を示している。
図9のAに示すように、導体14の第1の外側導体14−1を磁性体12−1の中空部18に挿入し、第2の外側導体14−2を磁性体12−2の中空部18に挿入する。図9のBに示すように、導体14および磁性体12−1、12−2を外装ケース16−1、16−2に収納し、インダクタ4が得られる。
図10のAに示すように、コンデンサ素子20を形成する。このコンデンサ素子20に電解質22を含浸させる。図10のBに示すように、電解質22を含浸したコンデンサ素子20を筐体24に収納し、筐体24の開口部を封口部材26で封入して、コンデンサ6が得られる。
図10のCに示すように、インダクタ4およびコンデンサ6を基板8に設置する。また、導体14を導線30を介してリード線28−1に接続して、電子部品2が得られる。
図11は、電子部品の回路への実装例を示している。
回路32は電子部品2、電源34および負荷36、配線38を含んでいる。電源34は電子部品2を介して負荷36に接続されている。電源34は、ノイズ発生源の一例であり、たとえばスイッチング電源である。電源34は電力を負荷36に供給する。負荷36は、たとえば自動車の電動モータ、ソレノイドのアクチュエータである。電子部品2は電源34と負荷36の間の配線38上に配置される。電子部品2は、電源34または負荷36から出力される電流に含まれるノイズを減少させ、ノイズが抑制された電流を回路32の配線38に供給する。電子部品2の配置により、負荷36に対するノイズの悪影響が抑制される。
電子部品2、電源34および負荷36の数は一つに限定されない。電子部品2、電源34および負荷36の数は、複数であってもよい。
既述の大電流対応の要請およびターゲット周波数対応の要請に対応するため、トロイダルコイルおよび電解質に電解液のみを用いたアルミ電解コンデンサを用いた既存のLCフィルタの設計思想から脱却して、設計思想の転換を図った。この設計思想の転換には、インダクタンスの特性がトロイダルコイルのインダクタンスの特性とはかなり異なるインダクタ4の採用が含まれる。また、この設計思想の転換には、導電性高分子を含むコンデンサ6の採用が含まれる。この設計思想の転換を通じて創作されたたとえば実施の形態の電子部品2によれば、次の効果が得られる。
(1) インダクタ4の導体14は、磁性体12−1を一回のみ貫通し、磁性体12−2を一回のみ貫通するので、電子部品2の発熱量および電力ロスを抑制することができる。
(2) インダクタ4は導体14を含み、大電流が流れる回路に適合している。また、インダクタ4の導体14は、磁性体12−1を一回のみ貫通し、磁性体12−2を一回のみ貫通するので、たとえば0アンペアから30アンペアの電流範囲において、電子部品2のインダクタンスLを安定させることができる。
(3) コンデンサ6が導電性高分子を含むので、たとえば数百kHz以下の周波数範囲において、静電容量Cを有することができる。そのため、電子部品2は、この周波数範囲において、たとえばLCフィルタとして機能することができる。LCフィルタの減衰率が、たとえば−40dB/decadeであるのに対し、LRフィルタの減衰率は、たとえば−20dB/decadeである。したがって、電子部品2が広い周波数範囲において、LRフィルタよりも優れた減衰率を有するフィルタを形成することができる。
(4) コンデンサ6が導電性高分子を含むので、たとえば−40℃から+135℃の温度範囲、さらに−40℃から+150℃の温度範囲において、電子部品2の静電容量Cの特性を安定させることができる。
(5) インダクタ4は、広い電流範囲および広い温度範囲において、インダクタンスLを安定させることができる。また、コンデンサ6は広い温度範囲において、静電容量Cの特性を安定させることができる。そのため、電子部品2が広い温度範囲および広い電流範囲において安定した特性を得ることができる。したがって、電子部品2が回路に搭載された後に電子部品2の微調整を要請される頻度が抑制され、電子部品2の調整負担が抑制できる。
実施の形態の電子部品2は、以下のように変形されてもよい。
(1) 上記実施の形態では、インダクタ4およびコンデンサ6が基板8に設置され、基板8の導線30がインダクタ4をコンデンサ6に接続している。しかしながら、基板8を用いることなく、インダクタ4がコンデンサ6に接続線で接続されていてもよく、インダクタ4がコンデンサ6に直接接続されていてもよい。
(2) インダクタ4およびコンデンサ6の数は、一つに限定されず、複数であってもよい。インダクタ4またはコンデンサ6の数が複数であると、たとえば電子部品2のインダクタンスLまたは静電容量Cを微調整することができ、インダクタンスLまたは静電容量Cの調整の自由度を高めることができる。
(3) 上記実施の形態では、インダクタ4は、二つの磁性体12−1、12−2を含んでいる。しかしながら、磁性体の数は、一つでもよく、三つ以上でもよい。
(4) 上記実施の形態では、導体14を磁性体12−1、12−2の中空部18に挿入して、インダクタ4が形成されている。しかしながら、たとえば導体14の周りに帯状の磁性箔を巻き付けて、磁性体12−1、12−2が形成されていてもよい。導体14の周りに帯状の磁性箔を巻き付ける場合、導体14の側面と磁性体の内側表面との間に隙間を設ける必要がない。そのため、インダクタ4を小さくすることができる。
(5) 電子部品2は、Qダンプ抵抗などの他の電子素子を含み、電子部品2がクオリティ・ファクタQの低減などの効果を得てもよい。
実施例1に係る電子部品2は、実施の形態と同様に、図1に示されている電子部品2と同様の構成を有する。実施例1に係る電子部品2の等価回路は、図2に示されている等価回路で表される。実施例1に係る電子部品2のインダクタ4およびコンデンサ6の特性などは、以下のとおりである。
〔インダクタ4〕
導体14の材料: 銅を含む棒
磁性体12−1、12−2の材料: 帯状の鉄系アモルファス箔を巻くことにより得られた鉄系アモルファス材料
直流抵抗(DCR):約0.4ミリオーム
重畳特性: 図3において実線、一点鎖線および二点鎖線で示されている重畳特性と同一の特性
発熱特性: 図4において実線で示されている発熱特性と同一の特性
〔コンデンサ6〕
種別 : 導電性高分子ハイブリッドアルミ電解コンデンサ
電解質 : 導電性高分子及び液状成分
静電容量: 100μF
特性 : 図5のAにおいて示されているインピーダンスおよびESRの特性と同一の特性
実施例2に係る電子部品42は、実施例1に係る電子部品2を含み、コンデンサ6に並列に接続された並列回路44をさらに含む。電子部品42の等価回路は、図12に示されている等価回路で表される。
並列回路44は、直列に接続されたコンデンサ44−1および抵抗44−2を含み、Qダンプ抵抗を形成し、クオリティ・ファクタQを低減する。コンデンサ44−1は直流電流の通過を防止し、抵抗44−2はクオリティ・ファクタQを低減する。クオリティ・ファクタQの好ましい範囲は、たとえば0.5〜0.7であり、抵抗44−2の抵抗値は、たとえばクオリティ・ファクタQと√(L/C)との積により決定される。コンデンサ44−1および抵抗44−2の特性などは、以下のとおりである。
〔コンデンサ44−1〕
種別: アルミ電解コンデンサ
静電容量: 4700μF
〔抵抗44−2〕
抵抗値: 0.1オーム
コンデンサ44−1および抵抗44−2の特性などは、クオリティ・ファクタQが小さくなるように調整されている。
実施例1および実施例2に係る電子部品2、42の周波数特性を図13に示す周波数測定システム52で評価した。図13は、周波数測定システムの概要を示している。図13に示す周波数測定システムは、実施例1に係る電子部品2に接続して、電子部品2を測定しているが、実施例2に係る電子部品42に接続して、電子部品42を測定してもよい。
周波数測定システム52は、周波数分析器(FRA: Frequency Response Analyzer)54、DC電流重畳ユニット56、安定化電源58、可変負荷抵抗60、回路配線62を含む。周波数分析器54は、信号を電子部品2、42などの測定対象に与え、測定対象からの応答信号を用いて測定対象の周波数特性を分析する。DC電流重畳ユニット56は、安定化電源58および回路配線62に接続し、信号の有無に関わらず、安定化電源58のDC電流を回路配線62に重畳する。電子部品2および可変負荷抵抗60は、回路配線62上に配置される。可変負荷抵抗60の抵抗値を変更すると、回路配線62を流れる直流電流(重畳電流)の量を変更することができる。また、可変負荷抵抗60を回路配線62から取り外すと、直流電流の量が0アンペアの状態、すなわち無重畳電流状態を作り出すことができる。周波数測定システム52は、周波数測定システム52に含まれる電子部品が周波数特性の分析に影響しないように調整されている。
図14は、実施例1および実施例2に係る電子部品の周波数特性の測定結果を示している。図14において、実施例1に係る電子部品2の周波数特性が一点鎖線で表され、実施例2に係る電子部品42に係る周波数特性が実線で表されている。
実施例1および実施例2に係る電子部品2、42は、ターゲット周波数範囲に関連する少なくとも10kHzから200kHzの範囲(この範囲には100kHzが含まれている)において、−40dB/decade、または約−40dB/decadeの減衰率を有し、2次型のLCローパスフィルタとして十分な性能を有している。また、電子部品2、42は、200kHz以上数百kHzの範囲において、−40dB以下の減衰量を維持し、ターゲット周波数範囲の交流信号を高い割合で減衰している。
並列回路44を含む電子部品42は、カットオフ周波数におけるピーク46を消失させている。このため、電子部品42は、カットオフ周波数における交流信号の増大を妨げることができ、たとえばカットオフ周波数以上のノイズを含む回路に適用できる。
図15および図16は、温度変化による周波数特性の変化を示している。図15には、30アンペアの直流電流が重畳されているときの−40℃、+25℃、および+135℃における電子部品42の周波数特性の測定結果が示されている。図16には、0アンペアの直流電流が重畳されているときの−40℃、+25℃、および+135℃における電子部品42の周波数特性の測定結果が示されている。図15および図16において、実線、一点鎖線、二点鎖線は、それぞれ−40℃、+25℃、+135℃における測定結果を表す。
30アンペアの直流電流が重畳されている状態において、図15に示されているように、−40℃、+25℃、および+135℃における周波数特性はほぼ一致している。また、0アンペアの直流電流が重畳されている状態、つまり無重畳電流状態において、図16に示されているように、周波数特性は、温度によってわずかに変化する。この周波数特性の変化は、図3に示されているように、無重畳電流状態におけるインダクタンスLの温度変化が30アンペアの直流電流が重畳されている状態におけるインダクタンスLの温度変化よりもわずかに大きいことに起因する。しかしながら、既述の式(1)で表されるカットオフ周波数fの差はわずか約3kHzであり、周波数110kHzにおいて、ほぼ減衰量−40dBが得られている。したがって、電子部品42によれば、幅広い電流範囲において、周波数特性を温度に寄らず安定させることができる。
図17は、電流量変化による周波数特性の変化を示している。図17には、0アンペア、15アンペア、30アンペアの直流電流が重畳されているときの電子部品42の周波数特性の測定結果が示されている。図17において、実線、一点鎖線、二点鎖線は、それぞれ0アンペア、15アンペア、30アンペアの直流電流が重畳されているときの測定結果を表す。
図17に示されているように、0アンペア、15アンペア、30アンペアの直流電流が重畳されているときの周波数特性はほぼ一致している。つまり、電子部品42によれば、幅広い電流範囲において、周波数特性を安定させることができる。
実施例1に係る電子部品2は、電子部品42と同じインダクタ4およびコンデンサ6を含む。そのため、電子部品2によれば、電子部品42と同様に、幅広い電流範囲において、周波数特性を温度に寄らず安定させることができ、幅広い電流範囲において、周波数特性を安定させることができる。
なお、本実施例1および実施例2においては、100μFのコンデンサを用いており、減衰率が、−40dB/decadeまたは約−40dB/decadeを実現するのは、交流信号のカッオフ周波数が10kHzであって、周波数が100kHzの場合である。しかしながら、コンデンサとしてより高容量のコンデンサを用いた場合、たとえば、1000μFのコンデンサを用いた場合には、図6に記載されているように、交流信号のカットオフ周波数が3.6kHzであって、周波数が35.6kHzの場合に、減衰率が、−40dB/decadeまたは約−40dB/decadeを実現できる。

比較例1
比較例1に係る電子部品は、コンデンサ6を除き、実施例2に係る電子部品42と同様である。比較例1に係る電子部品は、コンデンサ6の代わりに以下に示すアルミ電解コンデンサを含んでいる。
〔アルミ電解コンデンサ〕
電解質 : 電解液
静電容量: 100μF
特性 : 図5のBにおいて示されているインピーダンスおよびESRの特性と同一の特性
直流電流0アンペアのときの+25℃における比較例1に係る電子部品の周波数特性を周波数測定システム52で測定した。図18は、比較例1に係る電子部品の周波数特性の測定結果を示している。図18において、比較例1に係る電子部品の周波数特性が破線で表されている。また図18には、図16に示されている+25℃における電子部品42の周波数特性が実線で示されている。
電子部品42のコンデンサ6は、約200kHzまでコンデンサとして機能している。そのため、電子部品42は、約200kHzまで減衰特性−40dB/decadeを確保できる。しかしながら、比較例1に係る電子部品のアルミ電解コンデンサは、図5のBに示すように約30kHzでインピーダンスの絶対値がESRに一致する。そのため、比較例1に係るアルミ電解コンデンサは約30kHzでコンデンサとしての機能を喪失し、比較例1に係る電子部品は、30kHzを超える周波数で、LRフィルタとして動作している。
図19は、温度変化による周波数特性の変化を示している。図19には、直流電流0アンペアのときの−40℃、+25℃、および+135℃における比較例1に係る電子部品の周波数特性の測定結果が示されている。図19において、破線、一点鎖線、二点鎖線は、それぞれ−40℃、+25℃、+135℃における測定結果を表す。なお、−40℃における測定では、並列回路44が比較例1に係る電子部品から取り外されている。
図19に示されているように、比較例1に係る電子部品の周波数特性は、温度に応じて大きく変化する。実施例1、2に係る電子部品2、42が比較例1に係る電子部品よりも極めて優れていることは明らかである。

比較例2
比較例2に係る電子部品は、コンデンサ6を除き、実施例2に係る電子部品42と同様である。比較例2に係る電子部品は、コンデンサ6の代わりに以下に示すアルミ電解コンデンサを含んでいる。比較例2に係る電子部品は、100kHzの周波数の減衰量が電子部品42の減衰量とほぼ同じになるように調整されている。
〔アルミ電解コンデンサ〕
静電容量: 4700μF
特性 : 図20に示されているインピーダンスおよびESRの特性と同一の特性
直流電流0アンペアのときの+25℃における比較例2に係る電子部品の周波数特性を周波数測定システム52で評価した。図21は、比較例2に係る電子部品の周波数特性の測定結果を示している。図21において、比較例2に係る電子部品の周波数特性が破線で表されている。また図21には、図16に示されている+25℃における電子部品42の周波数特性が実線で示されている。
電子部品42のコンデンサ6は、約200kHzまでコンデンサとして機能している。そのため、電子部品42は、約200kHzまで減衰特性−40dB/decadeを確保できる。しかしながら、比較例2に係る電子部品のアルミ電解コンデンサは、図20に示すように約5kHzでインピーダンスがESRに一致する。そのため、比較例2に係るアルミ電解コンデンサは約5kHzでコンデンサとしての機能を喪失し、比較例2に係る電子部品は、ターゲット周波数範囲においてLRフィルタとして動作している。
実施例1、2のコンデンサ6は、比較例2のアルミ電解コンデンサよりも小さい静電容量を有する。そのため、コンデンサ6は、表1に示すように、比較例2のアルミ電解コンデンサよりも小型で軽い。したがって、実施例1、2の電子部品2、42によれば、電子部品を小型化できる。
Figure 2020113910

比較例3
比較例3に係る電子部品は、インダクタ4を除き、実施例2に係る電子部品42と同様である。比較例3に係る電子部品は、インダクタ4の代わりに以下に示すトロイダルコイルを含んでいる。比較例3に係る電子部品は、30アンペアの直流電流が重畳されている時の100kHzの周波数の減衰量が電子部品42の減衰量とほぼ同じになるように調整されている。
〔トロイダルコイル〕
直流抵抗: 約2.4ミリオーム
重畳特性: 図3において破線で示されている重畳特性と同一の特性
発熱特性: 図4において破線で示されている発熱特性と同一の特性
比較例3に係る電子部品の周波数特性は、図22に示されているように、重畳される直流電流の電流量に応じて変化する。
以上説明したように、本開示の最も好ましい実施の形態等について説明したが、本開示は、上記記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載され、または明細書に開示された要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能であることは勿論であり、斯かる変形や変更が、本開示の範囲に含まれることは言うまでもない。
本開示の技術は、車両などの電子機器のノイズ除去などに用いることができ、有用である。
2、42 電子部品
4 インダクタ
6 コンデンサ
8 基板
12−1、12−2 磁性体
14 導体
14−1 第1の外側導体
14−2 第2の外側導体
14−3 折返し部
16−1、16−2 外装ケース
18 中空部
20 コンデンサ素子
22 電解質
24 筐体
26 封口部材
28−1、28−2 リード線
30 導線
32 回路
34 電源
36 負荷
38 配線
44 並列回路
44−1 コンデンサ
44−2 抵抗

Claims (10)

  1. 磁性体と、該磁性体を一回のみ貫通する導体とを含むインダクタと、
    導電性高分子を含み、前記インダクタの前記導体に接続されるコンデンサと、
    を備えることを特徴とする電子部品。
  2. 少なくとも周波数3.6キロヘルツでの交流信号の減衰率が、−40dB/decadeまたは約−40dB/decadeであり、2次型のローパスフィルタを形成することを特徴とする請求項1に記載の電子部品。
  3. 導線を含む基板をさらに備え、
    前記インダクタおよび前記コンデンサは前記基板に固定され、
    前記導線を介して前記コンデンサが前記インダクタの前記導体に接続されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電子部品。
  4. 無重畳電流時および30アンペアの直流電流が重畳されている時の前記インダクタのインダクタンスが1マイクロヘンリ以上3マイクロヘンリ以下であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の電子部品。
  5. 前記コンデンサは、少なくとも周波数3.6キロヘルツの交流信号に対して静電容量として機能することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の電子部品。
  6. 前記コンデンサの静電容量は、10マイクロファラド以上1000マイクロファラド以下であることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の電子部品。
  7. 前記コンデンサは、液状成分をさらに含む導電性高分子ハイブリッドコンデンサであることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の電子部品。
  8. 前記コンデンサに並列に接続され、前記インダクタと前記コンデンサの共振により生じるピークを抑制する並列回路をさらに備えることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の電子部品。
  9. 磁性体と、該磁性体を一回のみ貫通する導体とを含むインダクタを形成する工程と、
    導電性高分子を含むコンデンサを形成する工程と、
    前記コンデンサを前記インダクタの前記導体に接続する工程と、
    を備えることを特徴とする電子部品の製造方法。
  10. インダクタとコンデンサとを含む電子部品によるノイズ処理方法であって、
    前記インダクタは、磁性体と、該磁性体を一回のみ貫通する導体とを含み、前記電子部品の前記導体を流れる交流信号を減衰させ、
    前記コンデンサは、導電性高分子を含み、前記交流信号を吸収し、前記交流信号を減衰させる
    ことを特徴とするノイズ処理方法。
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