JP2020111786A - 浸出液の中和処理方法及びこれを用いたニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法 - Google Patents

浸出液の中和処理方法及びこれを用いたニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 ニッケルと共に不純物を含む浸出液の中和処理後の中和スラリーのpHを一定の範囲内に安定的に制御可能な中和処理方法を提供する。【解決手段】 ニッケル酸化鉱石の高温高圧下での酸浸出処理で得た浸出液に対して中和剤を添加することで生成される中和澱物を含んだ中和スラリーのpHを目標pH値に調整する浸出液の中和処理方法であって、該浸出液からサンプルを採取する第1工程と、該サンプルを中和滴定する第2工程と、該中和滴定の結果に基づいて該目標pH値に到達するために必要な該浸出液の単位体積当たりの必要アルカリ物質量を算出する第3工程と、該必要アルカリ物質量を該中和剤の単位体積に含まれるアルカリ物質量で除して添加比率を算出する第4工程と、該酸浸出処理による該浸出液の生成量に該添加比率を乗じることで該中和剤の添加量を求める第5工程とからなる。【選択図】 図2

Description

本発明は、浸出液の中和処理方法及びこれを用いたニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法に関し、特にニッケル酸化鉱石をHPALプロセスにより浸出処理することで得られる浸出液を中和処理する中和処理方法及びこれを用いたニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法に関する。
ニッケル酸化鉱石の湿式製錬法として、HPAL(High Pressure Acid Leaching)プロセスとも称する高温高圧下で硫酸を用いて浸出処理を行う高圧酸浸出法が知られている。この方法は、従来の一般的なニッケル酸化鉱石の製錬方法である乾式製錬法とは異なり、還元工程や乾燥工程を経ることなく一貫した湿式工程により処理を行うので、エネルギー的及びコスト的に有利であるうえ、低品位のニッケル酸化鉱石からニッケル品位を50質量%程度まで高めたニッケルとコバルトを含む硫化物(以下、ニッケルコバルト混合硫化物とも称する)を製造できるという利点を有している。
上記高圧酸浸出法は、例えば原料としてのニッケル酸化鉱石に水を加えて調製した鉱石スラリーに硫酸を添加し、高温高圧下で浸出処理してニッケル及びコバルトと共に不純物元素を含む浸出液を得る浸出工程と、該浸出液に中和剤を添加することでpH調整を行う中和工程と、該中和工程で得た中和スラリーに中和剤を添加してpH調整を行うと共に、多段洗浄しながら中和澱物を固液分離することでニッケル及びコバルトに加えて不純物を含んだ中和終液を得る浄液工程と、該中和終液に硫化水素ガスを添加することにより主に亜鉛硫化物からなる脱亜鉛残渣を生成し、該脱亜鉛残渣を分離除去してニッケル及びコバルトを含むニッケル回収用母液を得る脱亜鉛工程と、該ニッケル回収用母液に硫化水素ガスを添加することによりニッケル及びコバルトを含む混合硫化物を生成し、該混合硫化物を固液分離により回収するニッケル及びコバルト回収工程とから一般的に構成される。
上記の一連の工程のうち、中和工程では、前工程の浸出工程で得た浸出液を中和槽に導入し、ここに目標のpH値となるように例えば炭酸カルシウムスラリーを添加することで中和澱物を含んだ中和スラリーを生成することが行われている。上記の浸出液には浸出工程で過剰に添加した硫酸の残余物である遊離硫酸(フリー硫酸とも称する)が含まれており、その濃度が大きく変動することがあった。また、該浸出液は、金属イオンの濃度も大きく変動することがあった。そのため、当該中和工程においては、浸出液のpHを一定の範囲内に制御するのが困難であった。
ところで、特許文献1〜3には、上記の中和工程にて生成した中和澱物を含んだ中和スラリーを、後工程の浄液工程においてpH調整及び固液分離する際、固液分離後の中和終液の濁度を制御することが好ましく、これにより、後工程の脱亜鉛工程において固液分離性が向上すると記載されている。すなわち、脱亜鉛工程の始液としての中和終液の濁度の制御方法が開示されており、それらの実施例ではpHを例えば2.0〜3.5程度の所定の範囲内に制御することが好適であることが示唆されている。また、特許文献4には、中和工程において粗硫酸ニッケル水溶液中のフリー硫酸量に対する中和剤添加量を示す中和剤添加比率を指標として、中和剤の添加量を調整する方法が開示されている。
特開2010−037626号公報 特開2014−074233号公報 特開2018−059167号公報 特開2015−214739号公報
従来、中和処理を行う場合におけるpH制御法としては、処理液のpHをpH計によって常時測定し、その測定値に基づいて処理液に添加する中和剤の添加量をフィードバック制御する方法が一般的であるが、この方法は高温酸性の環境下においてはpH計の故障頻度が高くなるうえ、pH計にスケールが生成して測定精度が低下することが問題になっている。
また、HPALプロセスの中和工程では、浸出液のフリー硫酸濃度に変動がなくても、Fe、Al等の金属イオンの濃度や、酸化還元電位(ORP)によって水酸化物生成に要するアルカリ消費量が異なるため、浸出液に対して一定の比率で中和剤を添加しても目的とするpH値に安定的に制御できないことがあった。上記HPALプロセスにおいてニッケル酸化鉱石を酸浸出処理することで得られる浸出液のように、ニッケル及びコバルトと共に不純物元素を含む浸出液に対して、中和剤を添加することで行う中和処理時のpHを所定の範囲内に安定的に制御する方法が求められていた。
本発明は、上記した従来の中和処理を用いたニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法が抱える問題点に鑑みてなされたものであり、ニッケル酸化鉱石に対して例えば浸出工程、中和工程、浄液工程、及びニッケル回収工程を含む一連の湿式処理によりニッケル硫化物を製造するニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法において、該浸出工程で生成されるニッケル及びコバルトのほか不純物元素を含む浸出液の中和処理後に得られる中和スラリーのpHを一定の範囲内に安定的に制御することが可能な中和処理方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る浸出液の中和処理方法は、ニッケル酸化鉱石の高温高圧下での酸浸出処理で得た浸出液に対して中和剤を添加することで生成される中和澱物を含んだ中和スラリーのpHを目標pH値に調整する浸出液の中和処理方法であって、前記浸出液からサンプルを採取する第1工程と、前記サンプルを中和滴定する第2工程と、前記中和滴定の結果に基づいて前記目標pH値に到達するために必要な前記浸出液の単位体積当たりの必要アルカリ物質量を算出する第3工程と、前記必要アルカリ物質量を前記中和剤の単位体積に含まれるアルカリ物質量で除して添加比率を算出する第4工程と、前記酸浸出処理による前記浸出液の生成量に前記添加比率を乗じることで前記中和剤の添加量を求める第5工程とからなることを特徴としている。
本発明によれば、浸出液の中和処理時のpHを所定の範囲内に安定的に制御することができる。
本発明の中和処理方法を好適に適用することが可能な高温高圧酸浸出法(HPALプロセス)の概要のブロックフロー図である。 本発明の実施形態に係る中和処理方法の工程を示すブロックフロー図である。 図2の第2及び第3工程で作成される中和滴定時のアルカリ溶液累積添加量とサンプルのpH値との関係を示すグラフである。 本発明の中和処理方法の実施例を適用して実際にHPALプラントを操業したときの中和スラリーのpH値の変動を示すグラフである。 本発明の中和処理方法の比較例を適用して実際にHPALプラントを操業したときの中和スラリーのpH値の変動を示すグラフである。
1.HPALプロセス
先ず、本発明の実施形態の中和処理方法が好適に適用されるHPALプロセスによるニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法について図1を参照しながら説明する。この図1に示すHPALプロセスは、粉砕及び篩別等の前処理により所定の粒度に調整されたニッケル酸化鉱石に水を加えて鉱石スラリーを調製した後、該鉱石スラリーに硫酸を添加して高温高圧下で浸出処理を施す浸出工程S1と、該浸出工程S1で得た浸出スラリーにpH調整剤を添加することで不純物元素を含む中和澱物を生成する中和工程S2と、該中和工程S2で得た中和スラリーを多段洗浄することで、ニッケル及びコバルトのほか不純物として主に亜鉛を含む中和終液を残渣から分離する浄液工程S3と、該中和終液に硫化剤を添加することで亜鉛硫化物を生成し、これを脱亜鉛残渣として分離除去してニッケル及びコバルトを含むニッケル回収用母液を得る脱亜鉛工程S4と、該ニッケル回収用母液に硫化剤を添加することでニッケル及びコバルトを含む混合硫化物を生成した後、固液分離により該混合硫化物を回収するニッケル回収工程S5とを有している。以下、これら工程の各々について説明する。
(1)浸出工程
浸出工程S1では、先ず原料としてのニッケル酸化鉱石に対して粉砕機による粉砕処理及びスクリーンによる分級により粒度を調整すると共に適量の水を加えることで鉱石スラリーを調製した後、得られた鉱石スラリーをオートクレーブと称する圧力容器に硫酸と共に装入し、圧力3〜4.5MPaG程度、温度220〜280℃程度の高温高圧条件下で攪拌しながら浸出処理を施す。これにより、浸出反応及び高温熱加水分解反応が生じ、ニッケル、コバルト等の硫酸塩としての浸出と、浸出された硫酸鉄のヘマタイトとしての固定化が行われ、浸出液と浸出残渣とからなる浸出スラリーが生成される。
この浸出スラリーは、CCD法(Counter Current Decantation)とも称する向流洗浄法により洗浄しながら固液分離することで浸出残渣を除去するのが好ましい。すなわち、向流洗浄法は、直列に連結した複数基のシックナーに上記浸出スラリーと洗浄液とを互いに向流になるように連続的に導入することにより、浸出スラリーを多段洗浄しながら凝集剤を用いた重力沈降により浸出残渣を分離除去して浸出液を回収する固液分離法であり、少ない洗浄液で効率よく浸出液を回収することができる。
上記の原料に用いるニッケル酸化鉱石としては、主としてリモナイト鉱及びサプロライト鉱等のいわゆるラテライト鉱である。ラテライト鉱のニッケル含有量は一般に0.8〜2.5質量%であり、水酸化物又はケイ苦土(ケイ酸マグネシウム)鉱物として含まれている。このニッケル酸化鉱石は、鉄の含有量が10〜50質量%であり、これは主として3価の水酸化物(ゲーサイト)の形態を有しており、一部2価の鉄がケイ苦土鉱物に含まれている。浸出工程S1の原料には、上記のラテライト鉱のほか、ニッケル、コバルト、マンガン、銅等の有価金属を含有する例えば深海底に賦存するマンガン瘤等の酸化鉱石が用いられることがある。
上記オートクレーブに装入する硫酸の添加量には特に限定はないが、上記酸化鉱石中の鉄が良好に浸出されるように過剰に添加するのが好ましい。なお、浸出工程S1では、生成したヘマタイトを含む浸出残渣によって後段の固液分離の分離性が低下することがないように、浸出液のpHを0.1〜1.0に調整することが好ましい。また、この浸出工程S1で得た浸出スラリーは、上記シックナーで固液分離する前に、予備中和処理を行ってフリー硫酸(浸出反応に関与しなかった余剰の硫酸であり、遊離硫酸とも称する)を中和処理してもよい。
(2)中和工程
中和工程S2では、上記浸出工程S1において生成された浸出液に炭酸カルシウム等の中和剤を添加して中和処理することで遊離硫酸を中和すると共に、不純物元素から中和澱物を生成する。この中和工程S2では、処理液のpHが2.0以上4.0以下、好ましくは3.0〜3.5、より好ましくは3.1〜3.2になるように上記pH調整を行うのが好ましく、これにより上記浸出液に含まれる主に3価の鉄イオンやアルミニウムイオンを中和澱物として除去できる。
(3)浄液工程
浄液工程S3では、上記した浸出工程S1の場合と同様に、向流洗浄法による多段洗浄により中和澱物を除去するのが好ましい。これにより、有価金属としてのニッケル及びコバルトのほか主に亜鉛からなる不純物元素を含む中和終液が得られる。最下流のシックナー底部から抜き出される残渣スラリーは、一部が抜き出されて浄液工程S3に繰り返され、残りは必要に応じて無害化処理を行った後、系外に排出される。なお、上記洗浄液にはpH1.0〜3.0程度の水溶液を用いることが好ましく、後工程のニッケル回収工程S5から排出される貧液はこの条件を満たすので、該貧液を上記洗浄液として利用するのが好ましい。
(4)脱亜鉛工程
脱亜鉛工程S4では、微加圧された反応槽内に上記浄液工程S3で得た中和終液を導入し、該容器の気相中への硫化水素ガスの吹き込みなどによる硫化剤の添加により硫化処理を施す。これにより、ニッケル及びコバルトに対して亜鉛を選択的に硫化して亜鉛硫化物を生成させることができる。この亜鉛硫化物を脱亜鉛残渣として分離除去することで、ニッケル及びコバルトを含む硫酸水溶液からなるニッケル回収用母液が得られる。
(5)ニッケル回収工程
ニッケル回収工程S5では、上記脱亜鉛工程S5の反応槽よりも高い圧力に加圧された反応槽に上記ニッケル回収用母液を導入し、このニッケル回収用母液に対して硫化水素ガス等の硫化剤を添加する。これにより、硫化反応を生じさせてニッケル及びコバルトを含む硫化物(ニッケルコバルト混合硫化物)を生成させる。このニッケルコバルト混合硫化物は、ろ過などの固液分離により回収することができ、その際、液相側に貧液が排出される。なお、上記のニッケル回収用母液にはFe、Al、Mn等の不純物金属イオンが各々数g/L程度含まれる場合があるが、これら不純物成分はニッケル及びコバルトに比べて硫化物としての安定性が低く、よって上記ニッケルコバルト混合硫化物にはほとんど分配されない。
2.浸出液の中和処理方法
上記したように、ニッケル酸化鉱石を高温高圧下で浸出処理することにより生成されるニッケル及びコバルトのほか不純物元素を含む浸出液に対して、中和工程S2において中和剤を添加して中和処理する際、該中和処理により生成した中和スラリーのpHが3.5以上になると、後工程である浄液工程S3において、例えばオートテック社製のシックナーを用いて固液分離をする際に、オーバーフロー液として排出される中和終液の濁度が上昇することがある。この場合、浄液工程S3の次工程である脱亜鉛工程S4において、固液分離に用いたろ過機に目詰まりが生じやすくなり、該ろ過機における単位ろ過面積当たりの流束が速い段階で低下し、HPALプラント全体としての生産性が低下する。
一方で、脱亜鉛工程S4の始液となる中和終液のpHを上昇させることにより、該脱亜鉛工程S4において亜鉛濃度を所定の濃度以下に低下させるために必要な硫化水素の添加量が減少するため、硫化水素ガスの消費コストが削減する。すなわち、上記中和スラリーのpHを上昇させることにより、浄液工程S3での中和剤添加量を減少させ、ひいては浄液工程S3での沈殿物の発生量を低減させるため、中和終液のpH上昇を容易にし、脱亜鉛工程S4での硫化水素ガス使用コスト削減に寄与する。
よって、中和スラリーのpH制御は、pH2.0以上4.0以下の範囲内の制約の下、後段でのろ過性を悪化させないようにできるだけ高く維持するという高精度の制御が求められる。そこで、本発明の実施形態の中和方法では、上記浸出液を一部採取して得た浸出液サンプルを中和滴定し、その結果に基づいて該中和剤の添加量を決定しており、これにより中和スラリーのpHを所定の目標pH値に対して±0.25の範囲内に制御することが可能になる。
かかる本発明の実施形態の中和方法について、該中和剤の添加量の決定手順を示す図2を参照しながら具体的に説明する。先ず、第1工程において、中和処理対象となる浸出液のサンプルを採取する。その際、HPALプラントのように連続的に浸出液を中和処理することが行われるプロセスでは、中和処理を行う中和反応槽の滞留時間より短い間隔で定期的にサンプルを採取するのが望ましい。
次に、第2工程において、上記にて採取したサンプルを、例えば平沼産業株式会社製COM−1700を用いて所定の規定度を有するアルカリ溶液で中和滴定する。その際、浸出液の単位体積当たりの該アルカリ溶液の滴下量(例えば、サンプル1Lに対する0.1NのNaOH水溶液の滴下量)と、各滴下時に到達するサンプルのpH値とを記録しながら中和滴定を行う。
次に、第3工程において、上記第2工程の中和滴定結果から、中和スラリーの目標pH値に対して少なくとも+0.25程度及び−0.25程度のpH値に到達するまでにそれぞれ要する単位体積の浸出液当たりのアルカリ溶液滴下量のデータを取得し、これらを図3に示すように、中和滴定時のアルカリ溶液滴下量及びその時のサンプルのpHをそれぞれ横軸及び縦軸とするグラフにプロットする。
そして、これらプロットしたデータから、例えば最小二乗法により滴定時の該サンプルのpHとそのpHに到達するまでに要したアルカリ溶液滴下量との関係を表す一次式以上の関数を求める。この関数を用いることで、中和スラリーを所定の目標pH値に到達するために必要な単位体積の浸出液当たりのアルカリ溶液滴下量を求めることができ、この滴下量を該滴定に用いたアルカリ溶液の濃度で換算することで、単位体積の浸出液を所定の目標pH値に到達させるために必要な水酸化物イオンのモル量(以降、必要アルカリ物質量とも称する)を算出することができる。
次に、第4工程において、上記第3工程で求めた単位体積の浸出液当たりに必要な水酸化物イオンのモル量(必要アルカリ物質量)を、中和工程S2において実際に使用している中和剤の単位体積に含まれる水酸化物イオンのモル量(以降、単にアルカリ物質量とも称する)で除することで、単位体積の浸出液当たりに必要な中和剤の添加量、すなわち浸出液に対する中和剤の体積基準の添加比率を求める。
最後に第5工程において、浸出工程S1において実際に生成される中和処理対象としての浸出液の単位時間当たりの体積基準の生成量に、上記第4工程で求めた添加比率を乗じる。これにより、中和工程S2において単位時間に添加する中和剤の添加量を求めることができる。
上記の第1〜第5工程に沿って中和工程S2における中和剤の添加量を求めることにより、該中和工程S2の後工程の浄液工程S3において生成される中和終液の濁度の制御性が向上するため、該浄液工程S3の後工程の脱亜鉛工程S4での固液分離性を高めることができる。その結果、例えば該固液分離に用いるろ過装置において、ろ布の交換頻度を低減させたり、ろ過流束を増大させたりすることが可能になるので、その工業的価値は極めて高い。
連続的に浸出液を中和するプロセスに上記の第1〜第5工程を適用する場合は、中和処理の対象となる浸出液の生成量が変化する度に最新のサンプルを採取し、このサンプルに基づいて上記第2〜第4工程に沿って算出した中和剤の添加比率を用いて、中和剤の添加量を算出することが望ましい。また、浸出液の組成が連続的に変化する場合は、目標pH値に到達させるために必要な中和剤添加量の精度を向上させるため、第1工程のサンプル採取から第5工程の中和剤の添加量の決定までを45分以内で終えることが好ましく、30分以内で終えることがより好ましい。次に、本発明の実施例及び比較例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例によってなんら限定されるものではない。
(実施例)
図1に示すようなHPALプロセスの浸出工程S1において生成した浸出液を、中和工程S2において攪拌機を有する中和反応槽に連続的に供給し、ここに中和剤としての炭酸カルシウムスラリーを連続的に添加して中和処理した。その際、該中和処理により得られる中和スラリーのpHを目標pH値の2.75に調整するため、図2に示す第1〜第5工程に沿って該炭酸カルシウムスラリーの添加量を決定した。
具体的には、上記の中和反応槽での浸出液の滞留時間は約3時間であったので、第1工程において上記浸出液のサンプリングを1時間おきに行い、第2工程において平沼産業株式会社製COM−1700を用いて中和滴定を行った。この中和滴定の分析結果に基づいて、第3及び第4工程においてサンプリングから40分後に上記目標pH値に調整するために必要な炭酸カルシウムスラリーの添加比率を算出し、第5工程において該添加比率から炭酸カルシウムスラリーの添加量を決定した。
そして、この決定した添加量で該炭酸カルシウムスラリーが上記中和反応槽に連続的に供給されるように、該中和反応槽への中和剤供給ラインに設けた自動弁でPI(Proportional−Integral)制御により該炭酸カルシウムスラリーの供給流量を制御しながら中和工程S2の操業を連続4日間行った。その結果、図4に示すように、目標pH値に対するpHの変動幅を±0.25未満に抑えながら操業を継続することができた。
(比較例)
上記した図2の第1〜第5工程に沿って中和剤の添加量を決定する方法に代えて、中和スラリーのpHの目標pH値を2.75に調整するための炭酸カルシウムスラリーの添加量を、従来通り作業者の経験に基づいて決定した以外は上記実施例と同様にして連続操業を行った。具体的には、浸出液を1時間おきにサンプリングし、各サンプリングの20分後に得たサンプルのpH値に基づいて上記目標pH値に調整するために必要な炭酸カルシウムスラリーの添加量を経験に基づいて決定した。
そして、この決定した添加量で該炭酸カルシウムスラリーが上記中和反応槽に連続的に供給されるように、該中和反応槽への中和剤供給ラインに設けた自動弁でPI制御により該炭酸カルシウムスラリーの供給流量を制御しながら中和工程S2の操業を連続4日間行った。その結果、図5に示すように、目標pH値に対するpHの変動幅が±0.25以上になる場合が操業中に発生した。また、PI制御により流量を制御したため、実施例に比べて実流量が設定流量(=計算添加量)に対して大きく変動した。
S1 浸出工程
S2 中和工程
S3 浄液工程
S4 脱亜鉛工程
S5 ニッケル回収工程

Claims (4)

  1. ニッケル酸化鉱石の高温高圧下での酸浸出処理で得た浸出液に対して中和剤を添加することで生成される中和澱物を含んだ中和スラリーのpHを目標pH値に調整する浸出液の中和処理方法であって、前記浸出液からサンプルを採取する第1工程と、前記サンプルを中和滴定する第2工程と、前記中和滴定の結果に基づいて前記目標pH値に到達するために必要な前記浸出液の単位体積当たりの必要アルカリ物質量を算出する第3工程と、前記必要アルカリ物質量を前記中和剤の単位体積に含まれるアルカリ物質量で除して添加比率を算出する第4工程と、前記酸浸出処理による前記浸出液の生成量に前記添加比率を乗じることで前記中和剤の添加量を求める第5工程とからなることを特徴とする浸出液の中和処理方法。
  2. 前記目標pH値を2.0以上4.0以下の範囲内に調整することを特徴とする、請求項1に記載の浸出液の中和処理方法。
  3. 前記中和スラリーのpHの変動が前記目標pH値に対して±0.25以下となるように調整することを特徴とする、請求項2に記載の浸出液の中和処理方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の中和処理方法を行う中和工程と、前記中和スラリーの前記中和澱物を除去して中和終液を得る浄液工程と、前記中和終液に硫化剤を添加することで亜鉛を除去する脱亜鉛工程と、前記亜鉛の除去により得たニッケル回収用母液に硫化剤を添加してニッケルを含む硫化物を生成して回収するニッケル回収工程とからなることを特徴とするニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法。
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