JP2020111475A - 硫化物固体電解質 - Google Patents

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Abstract

【課題】十分なイオン伝導度を有し、全固体電池に用いられた際に充放電サイクル後の界面抵抗増加率を抑制できる硫化物固体電解質を提供することを目的とする。【解決手段】構成元素としてLi、P、S、Br、及びIを含有し、ラマン分光測定で求められる、P2S6−に帰属されるピーク強度をI1とし、PS4−に帰属されるピーク強度をI2とするとき、比I1/I2が0.11≦I1/I2≦0.17の範囲内である、硫化物固体電解質。【選択図】なし

Description

本開示は、硫化物固体電解質に関する。
液体電解質を固体電解質に変更した全固体リチウム二次電池等の全固体電池は、電池内に可燃性の有機溶媒を用いないので、安全装置の簡素化が図れ、製造コストや生産性に優れると考えられている。
このような全固体電池の電池構成群は、正極、負極、および電解質が全て固体であるため、例えば有機電解液を用いたリチウム二次電池と比較して、電気抵抗が大きくなり、出力電流が小さなものとなる傾向にある。
そこで、全固体リチウム二次電池の出力電流を大きなものとするために、電解質としてはイオン伝導性の高いものが望ましい。硫化物固体電解質は、硫化物イオンが酸化物イオンに比べて分極率の大きなイオンであり、リチウムイオンとの静電的な引力が小さなものであることから、酸化物固体電解質に比べて高いイオン伝導性を示すと考えられている。
特許文献1には、Liイオン伝導性が高い硫化物固体電解質材料を得ることができる硫化物固体電解質材料の製造方法として、CuKα線を用いたX線回折測定において、2θ=20.2°、23.6°にピークを有する硫化物固体電解質材料の製造方法であって、LiS、P、LiI、およびLiBrを少なくとも含有する原料組成物を非晶質化し、硫化物ガラスを得る非晶質化工程と、前記硫化物ガラスを195℃以上の温度で加熱する熱処理工程とを有する製造方法が開示されている。
特許文献2には、LiBr及びLiIを含む原料を用いてイオン伝導性能を高めた硫化物固体電解質を製造することが可能な、硫化物固体電解質の製造方法として、一般式(100−x−y)(0.75LiS・0.25P)・xLiBr・yLiI(ただし、xは0<x<100、yは0<y<100、x+yは0<x+y<100)を主体とする硫化物固体電解質を製造するための原料を容器に投入する投入工程と、前記投入工程後に、前記原料を非晶質化する非晶質化工程と、を有し、前記非晶質化工程で、前記容器内の反応場温度を170℃未満にする、硫化物固体電解質の製造方法が開示されている。
特開2015−011898号公報 特開2015−088226号公報
しかしながら、前記特許文献1及び2の製造方法によって得られる硫化物固体電解質は、イオン伝導度は良好であるものの、全固体電池に用いられた際に活物質との界面反応が進行し易く、界面抵抗増加率が増加してしまうという問題がある。
本開示は、上記実情に鑑み、十分なイオン伝導度を有し、全固体電池に用いられた際に充放電サイクル後の界面抵抗増加率を抑制できる硫化物固体電解質を提供することを目的とする。
本開示は、構成元素としてLi、P、S、Br、及びIを含有し、
ラマン分光測定で求められる、P に帰属されるピーク強度をIとし、PS に帰属されるピーク強度をIとするとき、比I/Iが0.11≦I/I≦0.17の範囲内である、硫化物固体電解質を提供する。
本開示は、十分なイオン伝導度を有し、全固体電池に用いられた際に充放電サイクル後の界面抵抗増加率を抑制できる硫化物固体電解質を提供することができる。
本開示の全固体電池の一例を示す断面模式図である。
本開示は、構成元素としてLi、P、S、Br、及びIを含有し、
ラマン分光測定で求められる、P に帰属されるピーク強度をIとし、PS に帰属されるピーク強度をIとするとき、比I/Iが0.11≦I/I≦0.17の範囲内である、硫化物固体電解質を提供する。
本開示の硫化物固体電解質では、構成元素としてLi、P、S、Br、及びIを含有し、ラマン分光測定で求められる、P に帰属されるピーク強度IとPS に帰属されるピーク強度Iの比I/Iを前記特定値の範囲内にしたことにより、十分なイオン伝導度を有し、全固体電池に用いられた際に充放電サイクル後の界面抵抗増加率を抑制できる。
本開示では、構成元素としてLi、P、S、Br、及びIを含有する、LiS−P−LiI−LiBr系硫化物固体電解質において、基本ユニットである化学安定性の低いPS ユニットに対して、化学安定性の高いP ユニットを、前記比I/Iが前記特定値の範囲内になるように混在させる。これにより、本開示の硫化物固体電解質は、PS ユニットによる良好なイオン伝導度を保持した状態で、混在されたP ユニットによって全固体電池に用いられた際に活物質との界面反応を抑制でき、充放電サイクル後の界面抵抗増加率を抑制できると推定される。
ユニットは、化学安定性は高いものの、イオン伝導度が低く、前記比I/Iの上限値を超えると、イオン伝導性の急激な低下が起こって、実使用上問題がある恐れがある。
一方で、前記比I/Iの下限値を下回ると、全固体電池に用いられた際に硫化物固体電解質と活物質との界面反応を抑制する作用を得難くなるため、充放電サイクル後の界面抵抗増加率を十分に抑制できなくなる。
本開示の硫化物固体電解質では、構成元素としてLi(リチウム)、P(リン)、S(硫黄)、Br(臭素)、及びI(ヨウ素)を含有するが、更にN(窒素)を含有していても良い。
構成元素としてLi、P、S、Br、及びIを含有する硫化物固体電解質としては、LiS−P−LiI−LiBr系硫化物固体電解質が挙げられる。
本開示の硫化物固体電解質としては、例えば、a(cLiI・(1−c)LiBr)・(1−a)((b-b’)LiS・(1−b)P・2/3b’LiN)の組成が挙げられる。なお、aは、LiIとLiBrとLiSとPとLiNの合計モルに対する、LiIとLiBrの合計モルの比に該当する。(b-b’)は、LiSとPとLiNの合計モルに対する、LiSのモルの比に該当し、2/3b’は、LiSとPとLiNの合計モルに対する、LiNのモルの比に該当する。cは、LiIとLiBrの合計モルに対する、LiIのモルの比に該当する。
aとしては、例えば、0.1以上0.3以下であることが挙げられ、更に、0.15以上0.25以下であることが挙げられる。
また、bとしては、例えば、0.72以上0.78以下であることが挙げられ、更に、0.74以上0.76以下であることが挙げられる。
また、b’としては、例えば、0.01以上0.1以下であることが挙げられ、更に、0.01以上0.07以下であることが挙げられる。
また、cとしては、例えば、0.01以上0.99以下であることが挙げられ、更に、0.25以上0.67以下であることが挙げられる。
硫化物固体電解質における各元素のモル比は、原料における各元素の含有量を調製することにより制御できる。また、硫化物固体電解質における各元素のモル比や組成は、例えば、ICP発光分析法で測定することができる。
本開示の硫化物固体電解質は、P とPS とを含む構造を有し、ラマン分光測定で求められる、P に帰属されるピーク強度をIとし、PS に帰属されるピーク強度をIとするとき、比I/Iが0.11≦I/I≦0.17の範囲内である。
前記比I/Iは、顕微レーザラマン分光測定装置(例えば、HORIBA製、LabRAM HR800)を用いて、硫化物固体電解質のラマンスペクトルを測定することにより得ることができる。
前記比I/Iは、具体的には、測定波数を300cm−1〜500cm−1として測定し、338cm−1と469cm−1を基準にベースライン補正を行ったときに、388cm−1±5cm−1に見られるP に帰属されるピークと、419cm−1±5cm−1に見られるPS に帰属されるピークについて、各ピークの極大値のピーク強度を求め、P に帰属されるピーク強度をIとし、PS に帰属されるピーク強度をIとして、比I/Iを算出することにより得ることができる。
本開示における硫化物固体電解質の形状としては特に限定されるものではない。例えば、真球状または楕円球状を挙げることができる。また硫化物固体電解質が粒子形状である場合、その平均粒径は例えば0.1μm〜100μmの範囲内であることが挙げられる。平均粒径は、0.5μm〜20μmの範囲内であっても良く、0.5μm〜10μmの範囲内であっても良い。
硫化物固体電解質の平均粒径は、例えば、SEM等の電子顕微鏡を用いた画像解析に基づいて測定された値を用いることができる。
本開示の硫化物固体電解質の25℃におけるリチウムイオン伝導度は、例えば、5.2mS/cm以上とすることができる。
[硫化物固体電解質の製造方法]
本開示における硫化物固体電解質の製造方法としては、例えば、ラマン分光測定で求められる、P に帰属されるピーク強度をIとし、PS に帰属されるピーク強度をIとするとき、比I/Iが0.11≦I/I≦0.17となるように、LiS、P、LiI、LiBr及びLiNを含有する原料組成物を非晶質化して固体電解質ガラスを得る工程と、前記固体電解質ガラスを結晶化温度以上で加熱する工程とを備える、製造方法が挙げられる。
原料組成物は、原料としてLiS、P、LiI、LiBr及びLiNを少なくとも含有していることが挙げられ、所望の効果を発揮できる範囲で、これら原料に加えて、その他の原料を含有していてもよい。
原料組成物においては、特にLiNの含有比を調整することで、P に帰属されるピーク強度Iと、PS に帰属されるピーク強度Iの強度比I/Iを調整することができる。具体的には例えば、原料組成物は、LiS、P、LiI、LiBr及びLiNの合計を100mol%として、LiNを0mol%超過3.82mol%以下含有することが挙げられ、更に、0mol%超2.66mol%以下含有することが挙げられる。下限は好ましくは1.13mol%以上である。
また、原料組成物は、LiS、P、LiI、LiBr及びLiNの合計を基準(100mol%)として、LiSを53.01mol%以上56.25mol%以下含有すること、更に53.94mol%以上54.87mol%以下含有することが挙げられ、Pを18.75mol%以上19.00mol%以下含有すること、更に18.86mol%以上18.93mol%以下含有することが挙げられ、LiIを10.00mol%以上10.13mol%以下含有すること、更に10.06mol%以上10.09mol%以下含有することが挙げられ、LiBrを15.00mol%以上15.20mol%以下含有すること、更に15.08mol%以上15.14mol%以下含有することが挙げられる。
原料組成物を非晶質化する方法としては、例えば、メカニカルミリングおよび溶融急冷法等を挙げることができ、中でもメカニカルミリングが好ましい。常温での処理が可能であり、製造工程の簡略化を図ることができるからである。また、溶融急冷法は、反応雰囲気や反応容器に制限がある。一方、メカニカルミリングは、目的とする組成の硫化物固体電解質ガラスを簡便に合成できるという利点がある。
メカニカルミリングは、乾式メカニカルミリングであっても良く、湿式メカニカルミリングであっても良いが、湿式が好ましい。容器等の壁面に原料組成物が固着することを防止でき、より非晶質性の高い硫化物固体電解質ガラスを得ることができるからである。湿式メカニカルミリングに用いられる液体としては、例えばヘプタン等の脂肪族炭化水素類などの非プロトン性液体が挙げられる。
メカニカルミリングは、原料組成物を、機械的エネルギーを付与しながら混合する方法であれば特に限定されるものではないが、例えばボールミル、振動ミル、ターボミル、メカノフュージョン、ディスクミル等を挙げることができ、中でもボールミルが好ましく、特に遊星型ボールミルが好ましい。所望の硫化物固体電解質ガラスを効率良く得ることができるからである。
また、メカニカルミリングの各種条件は、所望の硫化物固体電解質ガラスを得ることができるように設定すればよい。
また、得られた硫化物固体電解質ガラスを更に粉砕して、小粒径ガラスとしても良い。
小粒径ガラスにする場合、前記メカニカルミリングの場合と同様に、容器に得られた硫化物固体電解質ガラスと粉砕用ボールとを加え、所定の回転数および時間で処理を行う。
小粒径ガラスにする場合も、湿式メカニカルミリングとなるように、前記湿式メカニカルミリングに用いられる液体の存在下で、粉砕することが挙げられる。
前記固体電解質ガラスを結晶化温度以上で加熱する工程において、加熱温度は、結晶化温度以上で適宜選択されれば良い。当該固体電解質ガラスの結晶化温度は、原料組成物に依存し、示差熱分析(DTA)により確認、測定することができる。
前記固体電解質ガラスの加熱温度としては、例えば、215℃以上270℃以下の範囲内で適宜選択されることが挙げられる。
前記固体電解質ガラスの加熱時間は、前記比I/Iが前記特定値の範囲内になる時間であれば特に限定されるものではないが、例えば1分間〜24時間の範囲内が挙げられる。
加熱雰囲気は、不活性ガス雰囲気(例えばArガス雰囲気)または減圧雰囲気(特に真空中)で行うことが好ましい。硫化物固体電解質の劣化(例えば酸化)を防止できるためである。
また、加熱手段は特に限定されるものではなく、種々の加熱手段を採用可能である。例えば、一般的な加熱炉を用いることができる。
本開示の硫化物固体電解質は、全固体電池の材料として好適に用いられる。
図1は、本開示に用いられる全固体電池の一例を示す断面模式図である。
図1に示すように、全固体電池100は、正極層12及び正極集電体14を含む正極16と、負極層13及び負極集電体15を含む負極17と、正極16と負極17の間に配置される固体電解質層11を備える。
本開示の硫化物固体電解質は、具体的には、全固体電池の正極層、負極層、並びに、当該正極層及び負極層の間に配置される固体電解質層からなる群より選ばれる少なくとも一種の層の材料として好適に用いられ、電池特性を向上させる観点から、固体電解質層の材料としてより好適に用いられる。
正極、負極、及び固体電解質層に用いられる材料は、本開示の硫化物固体電解質を含んでいてもよいこと以外は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。
全固体電池としては、負極の反応として金属リチウムの析出−溶解反応を利用したリチウム電池、正負極間をリチウムイオンが移動することによって充放電を行うリチウムイオン電池、ナトリウム電池、マグネシウム電池及びカルシウム電池等を挙げることができる。また、全固体電池は、一次電池であってもよく二次電池であってもよい。
全固体電池の形状としては、例えば、コイン型、ラミネート型、円筒型、及び角型等を挙げることができる。
(比較例1)
(1)比較硫化物固体電解質の製造
LiS(フルウチ化学株式会社)0.5503gとP(アルドリッチ)0.8874gとLiI(日宝化学株式会社)0.2850gとLiBr(株式会社高純度化学研究所)0.2773gとを、5mm径のジルコニアボールの入ったジルコニアポット(45ml)に投入し、その後脱水ヘプタン(関東化学工業株式会社)を4g入れ蓋をした。これを遊星型ボールミル装置(Fritsch製 P−7)にセットし、20時間メカニカルミリングすることで硫化物固体電解質ガラスを得た。
前記硫化物固体電解質ガラス2gを0.3mm径のジルコニアボールの入ったジルコニアポットに再度投入し、ジブチルエーテル(キシダ化学株式会社)を2g、脱水ヘプタン6gを入れ20時間撹拌させることで小粒径ガラスを作製した。
得られた小粒径ガラスを、露点−70℃以下、アルゴン100%雰囲気下のグローブボックス内に設置したホットプレート上で、結晶化温度以上の温度(220℃)で3時間加熱させることによって焼成を行い、比較例1の硫化物固体電解質C1を得た。
(2)全固体リチウムイオン二次電池の製造
(2−1)正極の製造
正極活物質にLiNi1/3Co1/3Mn1/3(日亜化学工業株式会社)を使用した。当該正極活物質にはLiNbOの表面処理を施した。この正極活物質を1.86g、導電材カーボンのVGCF(昭和電工株式会社)を0.028g、固体電解質として前記硫化物固体電解質C1を0.295g、PVDF(ポリフッ化ビニリデン、株式会社クレハ)を5%分散した酪酸ブチル溶液を0.279g、酪酸ブチル(ナカライテスク株式会社)を0.999g、それぞれ秤量し、超音波ホモジナイザー(SMT社製、UH−50)を用いて混合したものを正極合材とした。この正極合材をAl箔(正極集電体)上に塗工し、100℃のホットプレート上で30分間乾燥させることで正極シートを作製し、φ11.28mmに打ち抜いたシートを正極とした。
(2−2)負極の製造
負極活物質としてシリコン金属(エルケム)を0.8g、固体電解質として前記硫化物固体電解質C1を0.621g、PVDF5%分散酪酸ブチル溶液(株式会社クレハ)を0.32g、酪酸ブチル(ナカライテスク株式会社)を1.64g、それぞれ秤量し、超音波ホモジナイザー(SMT社製、UH−50)を用いて混合したものを負極合材とした。この負極合材をCu箔(負極集電体)上に塗工し、100℃のホットプレート上で30分間乾燥させることによって負極シートを作製し、φ11.28mmに打ち抜いたシートを負極とした。
(2−3)固体電解質層の製造
固体電解質として前記硫化物固体電解質C1を0.4g、アミン変性ブタジエンゴム(JSR製)を5%分散させたヘプタン溶液0.032g、脱水ヘプタンを0.715g、それぞれ秤量し、超音波ホモジナイザーを用いて混合したものをAl箔上に塗工し、100℃のホットプレート上で30分間乾燥させることで固体電解質シートを作製した。これをφ11.28mmに打ち抜いたシートであってAl箔を剥離したシートを固体電解質層として使用した。当該固体電解質層を2つ作製した。
(2−4)全固体リチウムイオン二次電池の製造
1cmの穴の開いたセラミックス製の型に、前記正極1つと前記固体電解質層を2つと前記負極1つとを、図1のような積層構造になるようにこの順に入れて、各層ごとに仮プレスを実施し、SUSピンではさんだ状態で6t/cm(≒588MPa)の圧力でプレスすることにより電極体を作製した。得られた電極体を拘束治具に入れ、0.2Nで締めて比較例1の全固体リチウムイオン二次電池を製造した。
(実施例1)
比較例1の硫化物固体電解質の製造において、原料組成物を、LiS(フルウチ化学株式会社)0.5360gとP(アルドリッチ)0.8910gとLiI(日宝化学株式会社)0.2861gとLiBr(株式会社高純度化学研究所)0.2785gとLiN(株式会社高純度化学研究所)0.0084gに変更した以外は、比較例1と同様にして、実施例1の硫化物固体電解質1を製造した。
比較例1の全固体リチウムイオン二次電池の製造において、比較例1の硫化物固体電解質C1を用いる代わりに、実施例1の硫化物固体電解質1を用いた以外は、比較例1と同様にして全固体リチウムイオン二次電池を製造した。
(実施例2)
比較例1の硫化物固体電解質の製造において、原料組成物を、LiS(フルウチ化学株式会社)0.5264gとP(アルドリッチ)0.8935gとLiI(日宝化学株式会社)0.2869gとLiBr(株式会社高純度化学研究所)0.2792gとLiN(株式会社高純度化学研究所)0.0140gに変更した以外は、比較例1と同様にして、実施例2の硫化物固体電解質2を製造した。
比較例1の全固体リチウムイオン二次電池の製造において、比較例1の硫化物固体電解質C1を用いる代わりに、実施例2の硫化物固体電解質2を用いた以外は、比較例1と同様にして全固体リチウムイオン二次電池を製造した。
(実施例3)
比較例1の硫化物固体電解質の製造において、原料組成物を、LiS(フルウチ化学株式会社)0.5021gとP(アルドリッチ)0.8996gとLiI(日宝化学株式会社)0.2889gとLiBr(株式会社高純度化学研究所)0.2812gとLiN(株式会社高純度化学研究所)0.0282gに変更した以外は、比較例1と同様にして、実施例3の硫化物固体電解質3を製造した。
比較例1の全固体リチウムイオン二次電池の製造において、比較例1の硫化物固体電解質C1を用いる代わりに、実施例3の硫化物固体電解質3を用いた以外は、比較例1と同様にして全固体リチウムイオン二次電池を製造した。
(比較例2)
比較例1の硫化物固体電解質の製造において、原料組成物を、LiS(フルウチ化学株式会社)0.4526gとP(アルドリッチ)0.9122gとLiI(日宝化学株式会社)0.2929gとLiBr(株式会社高純度化学研究所)0.2851gとLiN(株式会社高純度化学研究所)0.0572gに変更した以外は、比較例1と同様にして、比較例2の硫化物固体電解質C2を製造した。
比較例1の全固体リチウムイオン二次電池の製造において、比較例1の硫化物固体電解質C1を用いる代わりに、比較例2の硫化物固体電解質C2を用いた以外は、比較例1と同様にして全固体リチウムイオン二次電池を製造した。
[評価]
(1)ラマン分光測定
実施例および比較例で得られた各硫化物固体電解質のラマンスペクトルを測定し、前記比I/Iを求めた。前記比I/Iは、具体的には、測定波数を300cm−1〜500cm−1として測定し、338cm−1と469cm−1を基準にベースライン補正を行ったときに、388cm−1に見られるP に帰属されるピークと、419cm−1に見られるPS に帰属されるピークについて各強度(ピーク面積)を求め、P に帰属されるピーク強度をIとし、PS に帰属されるピーク強度をIとして、前記強度比I/Iを算出した。
ラマン分光測定の条件は、以下のとおりである。
ラマン分光測定装置:HORIBA製、LabRAM HR800
<ラマン分光測定条件>
レーザー波長:457nm、露光時間:7秒、露光回数:5回
(2)イオン伝導度
実施例および比較例で得られた各硫化物固体電解質100mgを秤量し、ペレット成型機にて28MPaの圧力でプレスを行って、固体電解質ペレットを作製した。次に、当該固体電解質ペレットの両面に厚さ21μmのカーボンコート箔を設置した。当該カーボンコート箔で挟まれた固体電解質ペレットの両面を、更にステンレス(SUS)製のピンで挟んだ状態で、40Mpaの圧力でコールド本プレスし、6Nのトルクでボルト締めして、イオン伝導度測定用セルとした。
イオン伝導度測定用セルを、交流インピーダンス測定装置(商品名:Solatron1260、ソーラトロン社製)にセットし、印加電圧10mV、測定周波数域0.01〜1MHzの条件で、交流インピーダンス測定(25℃)を行った。
イオン伝導度は、交流インピーダンス測定によって得られた抵抗とペレット厚みから算出した。
(3)充放電サイクル後の界面抵抗増加率
実施例および比較例で得られた各全固体電池について、25℃、0.82mAで、4.55V−3.0Vの電圧範囲で定電流−定電圧で1サイクル充放電した後、4.35V−3.0Vの電圧範囲で定電流−定電圧で5サイクル充放電を行った。この後交流インピーダンス測定を行い、初期界面抵抗を測定した。その後、60℃、4.9mAにて、4.35V−3.0Vで300サイクルまでサイクル試験を行い、その後交流インピーダンス測定を行い、サイクル後の界面抵抗を測定した。初期界面抵抗を100%としたときのサイクル後界面抵抗の百分率を算出し、界面抵抗増加率とした。
サイクル後界面抵抗増加率(%)=(サイクル後の界面抵抗)/(初期界面抵抗)×100
[結果]
下記表1は、実施例1〜3、並びに、比較例1及び2のイオン伝導度及び充放電サイクル後の界面抵抗増加率を、硫化物固体電解質の前記比I/I(P /PS )と併せて比較した表である。
Figure 2020111475
表1に示すように、ラマン分光測定で求められる前記比I/Iが、本願で特定した範囲よりも小さい硫化物固体電解質を用いた比較例1では、界面抵抗増加率が高くなってしまった。
一方、ラマン分光測定で求められる前記比I/Iが、本願で特定した範囲よりも大きい硫化物固体電解質を用いた比較例2では、イオン伝導度が低下し、実施例と同様に全固体電池に含有させると抵抗が高すぎて、サイクル後界面抵抗増加率を評価することができなかった。
それに対して、構成元素としてLi、P、S、Br、及びIを含有し、ラマン分光測定で求められる前記比I/Iが、本願で特定した0.11≦I/I≦0.17の範囲内である、硫化物固体電解質を用いた実施例1〜3では、十分なイオン伝導度を有し、且つ、全固体電池に用いられた際に充放電サイクル後の界面抵抗増加率を抑制できることが実証された。
11 固体電解質層
12 正極層
13 負極層
14 正極集電体
15 負極集電体
16 正極
17 負極
100 全固体電池

Claims (1)

  1. 構成元素としてLi、P、S、Br、及びIを含有し、
    ラマン分光測定で求められる、P に帰属されるピーク強度をIとし、PS に帰属されるピーク強度をIとするとき、比I/Iが0.11≦I/I≦0.17の範囲内である、硫化物固体電解質。
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