JP2020110964A - インクジェット記録方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 画像の記録媒体への転写性と記録媒体上に形成された画像の耐擦過性の両方を向上することが可能なインクジェット記録方法を提供する。【解決手段】 転写体上に、インクを増粘せしめる反応液を付与する反応液付与工程と、前記転写体上の前記反応液が付与される領域と少なくとも一部で重なるように、色材を含むインクを付与して第一の中間画像を形成するインク付与工程と、前記第一の中間画像に、熱可塑性樹脂粒子を含む転写補助液を付与して第二の中間画像を形成する転写補助液付与工程と、前記第二の中間画像を、前記転写体から記録媒体に転写する転写工程と、を有するインクジェット記録方法であって、前記転写工程における転写温度は、前記熱可塑性樹脂粒子のガラス転移温度以上であり、前記反応液は、ヒドロキシ酸、及び、ポリオレフィン樹脂で形成された樹脂粒子を含む。【選択図】 図1
Description
本発明は、インクジェット記録方法に関する。
インクジェット記録方式では、色材を含む液体組成物(インク)を紙等の記録媒体上に直接または間接的に付与することで画像を形成している。この時、記録媒体がインク中の液体成分を過剰に吸収することによってカールや、コックリングが生じることがある。
そこで、インク中の液体成分を除去するため、記録媒体を温風や赤外線等の手段を用いて乾燥する方法や、転写体上で画像を形成し、その後転写体上の画像に含まれる液体成分を熱エネルギー等により乾燥した後、紙等の記録媒体に画像を転写する方法がある。
転写方式において、顔料インクの凝集による画像縮みを抑制すべく、凝集剤である2−ピロリドン−5−カルボン酸、ポリオレフィン粒子、及びフッ素系界面活性剤を含有する凝集処理剤と、顔料インクとのインクセットが提案されている(特許文献1)。
また、転写性の向上を目的として、熱可塑性樹脂粒子およびロジン系樹脂粒子を含有する補助液をインク上に付与した後に転写する方式(特許文献2)がある。
特許文献1ではコート層を有するアート紙を記録媒体として検討しているが、上質紙等の非コート系の記録媒体の場合、転写性が不足する場合があった。特許文献1の発明に転写補助液を付与する技術を組み合わせた検討も行ったが、転写補助液を付与することで転写性は向上するものの、特許文献1に示されている反応液では記録媒体上に形成された画像の耐擦過性が不十分となる場合があった。
また、特許文献2では、上質紙等の非コート系の記録媒体に対しても転写性が十分であったが、耐擦過性が不十分であった。この特許文献2の発明に対し、特許文献1の反応液を適用した場合であっても、記録媒体上に形成された画像の耐擦過性が不十分となる場合があった。
したがって、本発明の目的は、画像の記録媒体への転写性と記録媒体上に形成された画像の耐擦過性の両方を向上することが可能なインクジェット記録方法を提供することにある。
本発明に係るインクジェット記録方法は、
転写体上に、インクを増粘せしめる反応液を付与する反応液付与工程と、
前記転写体上の前記反応液が付与される領域と少なくとも一部で重なるように、色材を含むインクを付与して第一の中間画像を形成するインク付与工程と、
前記第一の中間画像に、熱可塑性樹脂粒子を含む転写補助液を付与して第二の中間画像を形成する転写補助液付与工程と、
前記第二の中間画像を、前記転写体から記録媒体に転写する転写工程と、
を有するインクジェット記録方法であって、
前記転写工程における転写温度は、前記熱可塑性樹脂粒子のガラス転移温度以上であり、
前記反応液は、ヒドロキシ酸、及び、ポリオレフィン樹脂で形成された樹脂粒子を含むこと特徴とする。
転写体上に、インクを増粘せしめる反応液を付与する反応液付与工程と、
前記転写体上の前記反応液が付与される領域と少なくとも一部で重なるように、色材を含むインクを付与して第一の中間画像を形成するインク付与工程と、
前記第一の中間画像に、熱可塑性樹脂粒子を含む転写補助液を付与して第二の中間画像を形成する転写補助液付与工程と、
前記第二の中間画像を、前記転写体から記録媒体に転写する転写工程と、
を有するインクジェット記録方法であって、
前記転写工程における転写温度は、前記熱可塑性樹脂粒子のガラス転移温度以上であり、
前記反応液は、ヒドロキシ酸、及び、ポリオレフィン樹脂で形成された樹脂粒子を含むこと特徴とする。
本発明によれば、画像の記録媒体への転写性と記録媒体上に形成された画像の耐擦過性の両方を向上することが可能なインクジェット記録方法を提供することができる。
以下、好適な実施の形態を挙げて、本発明を詳細に説明する。
以下に図面を参照して、本発明の実施形態に係るインクジェット記録方法に用いられるインクジェット記録装置について説明する。
図1は、本実施形態の転写型インクジェット記録装置100の概略構成の一例を示す模式図である。この記録装置は、転写体101を介して中間画像を記録媒体108に転写することで記録物を製造する、枚葉式のインクジェット記録装置である。本実施形態では、X方向、Y方向、Z方向が、それぞれ、インクジェット記録装置100の幅方向(全長方向)、奥行き方向、高さ方向を示している。記録媒体PはX方向に搬送される。
本発明の転写型インクジェット記録装置100は、図1に示すように、支持部材102によって支持された転写体101と、転写体101上にカラーインクと反応する反応液を付与する反応液付与装置103と、反応液が付与された転写体101上に有色のインク、を付与するインクジェットヘッドを備えたインク付与装置104と、転写補助液(以下、単に補助液とも称する)を付与する転写補助液付与装置(不図示)と、転写体上の中間画像から液体成分を除去する液除去装置105と、中間画像を加熱する加熱装置110と、転写体上の中間画像を紙などの記録媒体108上に転写するための転写用の押圧部材106とを有する。また、転写型インクジェット記録装置100は、必要に応じて転写した後の転写体101の表面をクリーニングする転写体クリーニング部材109を有していてもよい。また、転写体101、反応液付与装置103、インク付与装置104のインクジェットヘッド、液除去装置105、加熱装置110および転写体クリーニング部材109は、それぞれ、Y方向において用いられる記録媒体108に対応するだけの長さを有している。
転写体101は支持部材102の回転軸102aを中心として図1の矢印Aの方向に回転する。この支持部材102の回転により、転写体101が移動する。移動する転写体101上に、反応液付与装置103によって反応液、および、インク付与装置104によってインクが順次付与され、第一の中間画像が形成される。さらに、第一の中間画像に補助液が付与され、転写体101上に第二の中間画像が形成される。転写体101上に形成された第二の中間画像は、転写体101の移動により、液体除去装置105が有する液吸収部材105aと接触する位置まで移動される。
転写体101と液体除去装置105は、転写体101の回転に同期して移動する。転写体101上に形成された第二の中間画像はこの移動する液吸収部材105aと接触した状態を経る。この間に液吸収部材105aは転写体上の中間画像から液体成分を除去する。この接触した状態において、液吸収部材105aは、所定の押圧力をもって転写体101に押圧されることが液吸収部材105aを効果的に機能させる点で特に好ましい。
液体成分の除去を異なる視点で説明すれば、転写体上に形成された画像を構成するインクを濃縮するとも表現することができる。インクを濃縮するとは、インクに含まれる液体成分が減少することによって、インクに含まれる色材や樹脂といった固形分の液体成分に対する含有割合が増加することを意味する。
そして、液体成分が除去された液除去後の中間画像は、液除去前の中間画像と比べてインク、補助液が濃縮された状態となり、その後に加熱装置110により所定の温度まで加熱される。
加熱装置110は加熱による蒸発で液体を除去できるので、加熱装置110が液除去装置を兼ねることもできる。
その後、転写体101により、記録媒体搬送装置107によって搬送される記録媒体108と接触する転写部111へ移動される。液除去後の中間画像が記録媒体108と接触している間に、押圧部材106が転写体101を押圧することによって、記録媒体108上に中間画像が転写される。記録媒体108上に転写された転写後中間画像は液除去前の中間画像、および液除去後の中間画像の反転画像である。
なお、本実施形態では転写体上には反応液が付与されてからインク、補助液が付与されて画像が形成されるため、インク、補助液による画像が形成されない非画像領域には反応液がインクと反応することなく残っている。本装置では液吸収部材105aは画像からのみならず、未反応の反応液とも接触し、反応液の液体成分も併せて除去している。
以上では、画像から液体成分を除去すると表現し説明しているが、画像のみから液体成分を除去するという限定的な意味合いではなく、少なくとも転写体上の画像から液体成分を除去していればよいという意味合いで用いている。
なお、液体成分は、一定の形を持たず、流動性を有し、ほぼ一定の体積を有するものであれば、特に限定されるものではない。
例えば、インク、補助液や反応液に含まれる水や有機溶媒等が液体成分として挙げられる。なお、本明細書において、液体成分の除去を液体除去や液除去と呼ぶことがある。
本実施形態の転写型インクジェット記録装置の各構成について以下に説明する。
<転写体>
転写体101は、画像形成面を含む表面層を有する。表面層の部材としては、樹脂、セラミック等各種材料を適宜用いることができるが、耐久性等の点で圧縮弾性率の高い材料が好ましい。具体的には、アクリル樹脂、アクリルシリコーン樹脂、フッ素含有樹脂、加水分解性有機ケイ素化合物を縮合して得られる縮合物等が挙げられる。反応液の濡れ性、転写性等を向上させるために、表面処理を施して用いてもよい。表面処理としては、フレーム処理、コロナ処理、プラズマ処理、研磨処理、粗化処理、活性エネルギー線照射処理、オゾン処理、界面活性剤処理、シランカップリング処理などが挙げられる。これらを複数組み合わせてもよい。また、表面層に任意の表面形状を設けることもできる。
転写体101は、画像形成面を含む表面層を有する。表面層の部材としては、樹脂、セラミック等各種材料を適宜用いることができるが、耐久性等の点で圧縮弾性率の高い材料が好ましい。具体的には、アクリル樹脂、アクリルシリコーン樹脂、フッ素含有樹脂、加水分解性有機ケイ素化合物を縮合して得られる縮合物等が挙げられる。反応液の濡れ性、転写性等を向上させるために、表面処理を施して用いてもよい。表面処理としては、フレーム処理、コロナ処理、プラズマ処理、研磨処理、粗化処理、活性エネルギー線照射処理、オゾン処理、界面活性剤処理、シランカップリング処理などが挙げられる。これらを複数組み合わせてもよい。また、表面層に任意の表面形状を設けることもできる。
また転写体は、圧力変動を吸収する機能を有する圧縮層を有することが好ましい。圧縮層を設けることで、圧縮層が変形を吸収し、局所的な圧力変動に対してその変動を分散し、高速印刷時においても良好な転写性を維持することができる。圧縮層の部材としては、例えばアクリロニトリル−ブタジエンゴム、アクリルゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム等が挙げられる。上記ゴム材料の成形時に、所定量の加硫剤、加硫促進剤等を配合し、さらに発泡剤、中空粒子或いは食塩等の充填剤を必要に応じて配合し多孔質としたものが好ましい。これにより、様々な圧力変動に対して気泡部分が体積変化を伴って圧縮されるため、圧縮方向以外への変形が小さく、より安定した転写性、耐久性を得ることができる。多孔質のゴム材料としては、各気孔が互いに連続した連続気孔構造のものと、各気孔がそれぞれ独立した独立気孔構造のものがある。本発明ではいずれの構造であってもよく、これらの構造を併用してもよい。
さらに転写体は、表面層と圧縮層との間に弾性層を有することが好ましい。弾性層の部材としては、樹脂、セラミック等、各種材料を適宜用いることができる。加工特性等の点で、各種エラストマー材料、ゴム材料が好ましく用いられる。具体的には、例えばフルオロシリコーンゴム、フェニルシリコーンゴム、フッ素ゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、天然ゴム、スチレンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレン/プロピレン/ブタジエンの共重合体、ニトリルブタジエンゴム等が挙げられる。特に、シリコーンゴム、フルオロシリコーンゴム、フェニルシリコーンゴムは、圧縮永久ひずみが小さいため、寸法安定性、耐久性の面で好ましい。また、温度による弾性率の変化が小さく、転写性の点でも好ましい。
転写体を構成する各層(表面層、弾性層、圧縮層)の間に、これらを固定・保持するために各種接着剤や両面テープを用いてもよい。また、装置に装着する際の横伸びの抑制や、コシを保つために圧縮弾性率が高い補強層を設けてもよい。また、織布を補強層としてもよい。転写体は前記材質による各層を任意に組み合わせて作製することができる。
転写体の大きさは、目的の印刷画像サイズに合わせて自由に選択することができる。転写体の形状としては、特に制限されず、具体的にはシート形状、ローラ形状、ベルト形状、無端ウェブ形状等が挙げられる。
<支持部材>
転写体101は、支持部材102上に支持されている。転写体の支持方法として、各種接着剤や両面テープを用いてもよい。または、転写体に金属、セラミック、樹脂等を材質とした設置用部材を取り付けることで、設置用部材を用いて転写体を支持部材102上に支持してもよい。
転写体101は、支持部材102上に支持されている。転写体の支持方法として、各種接着剤や両面テープを用いてもよい。または、転写体に金属、セラミック、樹脂等を材質とした設置用部材を取り付けることで、設置用部材を用いて転写体を支持部材102上に支持してもよい。
支持部材102は、その搬送精度や耐久性の観点からある程度の構造強度が求められる。支持部材の材質には金属、セラミック、樹脂等が好ましく用いられる。中でも特に、転写時の加圧に耐え得る剛性や寸法精度のほか、動作時のイナーシャを軽減して制御の応答性を向上するために、アルミニウム、鉄、ステンレス、アセタール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリウレタン、シリカセラミクス、アルミナセラミクスが好ましく用いられる。またこれらを組み合わせて用いるのも好ましい。
<反応液付与装置>
本実施形態のインクジェット記録装置は、転写体101に反応液を付与する反応液付与装置103を有する。図1の反応液付与装置103は、反応液を収容する反応液収容部103aと、反応液収容部103aにある反応液を転写体101上に付与する反応液付与部材103b、103cを有するグラビアオフセットローラの場合を示している。
本実施形態のインクジェット記録装置は、転写体101に反応液を付与する反応液付与装置103を有する。図1の反応液付与装置103は、反応液を収容する反応液収容部103aと、反応液収容部103aにある反応液を転写体101上に付与する反応液付与部材103b、103cを有するグラビアオフセットローラの場合を示している。
反応液付与装置は、反応液を被吐出媒体上に付与できるいかなる装置であってもよく、従来から知られている各種装置を適宜用いることができる。具体的には、グラビアオフセットローラ、インクジェットヘッド、ダイコーティング装置(ダイコータ)、ブレードコーティング装置(ブレードコータ)などが挙げられる。反応液付与装置による反応液の付与は、被吐出媒体上でインクと混合(反応)することができれば、インクの付与前に行っても、インクの付与後に行ってもよい。好ましくは、インクの付与前に反応液を付与する。反応液をインクの付与前に付与することによって、インクジェット方式による画像記録時に、隣接して付与されたインク同士が混ざり合うブリーディングや、先に着弾したインクが後に着弾したインクに引き寄せられてしまうビーディングを抑制することもできる。
<反応液>
反応液は、インクを増粘させることができる。具体的には、インクと接触することにより、インク中のアニオン性基を有する成分(樹脂、自己分散顔料など)を凝集させることによってインクを増粘させることができる。インクを増粘させるために、反応液は反応剤を含有する。
反応液は、インクを増粘させることができる。具体的には、インクと接触することにより、インク中のアニオン性基を有する成分(樹脂、自己分散顔料など)を凝集させることによってインクを増粘させることができる。インクを増粘させるために、反応液は反応剤を含有する。
反応剤としては、ヒドロキシ酸を反応剤として含有することが好ましい。ヒドロキシ酸などの有機酸を含有する反応液は、酸性領域(通常pH7.0未満、好ましくはpH2.0〜5.0)に緩衝能を有することによって、インク中の成分のアニオン性基を効率よく酸型にして凝集させる。ヒドロキシ酸としては、例えば、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、グリコール酸、グリセリン酸、ヒドロキシ酪酸、クエン酸、サリチル酸などを挙げることができる。
反応液中のヒドロキシ酸の含有量(質量%)は、反応液全質量を基準として、12.0質量%以上であることが好ましい。ヒドロキシ酸の含有量が12.0質量%未満であると、ヒドロキシ酸の量が不足して顔料が均一に凝集しにくくなることがある。このため、画像の白抜けの抑制効果や、耐擦過性の向上効果がやや不足する場合がある。反応液中のヒドロキシ酸の含有量(質量%)は、反応液全質量を基準として、50.0質量%以下であることが好ましい。
[樹脂粒子]
反応液は、ポリオレフィン樹脂で形成された樹脂粒子を含有する。この樹脂粒子を形成するポリオレフィン樹脂は、一般的に「ワックス」とも呼ばれる成分である。ポリオレフィン樹脂としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセンなどのα−オレフィンの重合体を挙げることができる。ポリオレフィン樹脂(ワックス)の具体例としては、酸化ポリオレフィンワックス、高密度ポリオレフィンワックス、酸化ポリオレフィンワックスとパラフィンワックスとの混合物、ポリオレフィンとアクリルの共重合体などを挙げることができる。
反応液は、ポリオレフィン樹脂で形成された樹脂粒子を含有する。この樹脂粒子を形成するポリオレフィン樹脂は、一般的に「ワックス」とも呼ばれる成分である。ポリオレフィン樹脂としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセンなどのα−オレフィンの重合体を挙げることができる。ポリオレフィン樹脂(ワックス)の具体例としては、酸化ポリオレフィンワックス、高密度ポリオレフィンワックス、酸化ポリオレフィンワックスとパラフィンワックスとの混合物、ポリオレフィンとアクリルの共重合体などを挙げることができる。
本発明者らの鋭意検討の結果、転写用の補助剤がある場合は耐擦過性が低下することがわかった。それに対し、反応液にヒドロキシ酸の反応液とポリオレフィン樹脂で形成された樹脂粒子を含有することで、十分な耐擦過性が得られることがわかった。
その理由は明らかにはなっていないが、以下と推測している。
反応剤と接触した顔料は凝集するため、インクは局所的に増粘(高粘度化)して流動性が低下し、画像が記録される。一般的な反応剤としては、例えば、多価金属イオン;マロン酸、ピログルタミン酸などのヒドロキシ基を有しない有機酸などがある。本発明のセットを構成する反応液に反応剤として含有させるヒドロキシ酸は、カルボキシ基の近傍に電子吸引性のヒドロキシ基が存在するため、酸性度が比較的高い。また、水性インクに含有させる顔料は、通常、アニオン性基を有する樹脂により分散されるか、その粒子表面に結合したアニオン性基による反発力で分散している。このため、ヒドロキシ基を反応剤として含有する反応液を用いることで、アニオン性基を酸型とすることで分散力を低下させて、顔料の凝集を促進することができ、樹脂粒子の偏在を抑制しながら顔料層を形成することができる。結果として、反応液中のポリオレフィン樹脂粒子も均一に記録物の表面に存在することで、十分な耐擦過性が得られたのだと推測している。
樹脂としてポリオレフィン樹脂粒子が良い理由としては、摩擦係数が低いことで、耐擦過性向上の効果が得られやすいためと推測している。
反応液に含まれるポリオレフィン樹脂粒子は、酸化ポリエチレンワックスを用いることが好ましい。すなわち、ポリオレフィン樹脂は、ポリエチレン樹脂であることが好ましい。
ポリオレフィン樹脂の中でも、ポリプロピレン樹脂と比較し柔軟性があることで、より耐擦過性が向上したと推測される。
また、ノニオン性の乳化剤により乳化(分散)された樹脂粒子を用いると、記録される画像の耐擦過性がさらに向上するため好ましい。イオン性基の作用によって反応液中で安定化している樹脂粒子は、反応剤による顔料の凝集の後にも、樹脂粒子のイオン性基と顔料との反応が徐々に進行して凝集がさらに進むため、形成される顔料層の柔軟性が若干低下することがある。これに対して、乳化剤の作用によって分散(乳化)された樹脂粒子は、上記の場合と比較すると、樹脂粒子と顔料との反応による凝集は進みにくく、顔料層の柔軟性が比較的高い状態で保持されるため、画像の耐擦過性がさらに向上すると推測される。
樹脂粒子の体積分布基準の50%粒子径(D50)は、20nm以上200nm以下であることが好ましい。樹脂粒子の粒子径(D50)が20nm未満であると、粒子径が小さすぎるために耐擦過性の向上効果がやや弱くなることがある。一方、樹脂粒子の粒子径(D50)が200nm超であると、樹脂粒子そのものが大きすぎるために白抜けとして認識されやすくなることがある。樹脂粒子の粒子径(D50)は、例えば、動的光散乱法による粒度分析計などを使用して測定することができる。
反応液中の樹脂粒子の含有量(質量%)は、反応液全質量を基準として、5.0質量%以上であることが好ましい。樹脂粒子の含有量が5.0質量%未満であると、樹脂粒子が不足するため、画像の耐擦過性の向上効果がやや不十分になることがある。反応液中の樹脂粒子の含有量(質量%)は、反応液全質量を基準として、30.0質量%以下であることが好ましい。
反応液中のヒドロキシ酸の含有量(質量%)は、樹脂粒子の含有量(質量%)に対する質量比率で、1.0倍以上8.0倍以下であることが好ましい。上記の質量比率が1.0倍以上であると、樹脂粒子の偏在が効率よく抑制されるため、白抜けをより有効に抑制でき、耐擦過性も特に向上しやすい。一方、上記の質量比率が8.0倍超であると、顔料層中の顔料が多くなり、相対的に樹脂粒子の量が減少する。このため、画像の耐擦過性がやや低下することがある。
[その他の成分]
反応液は、必要に応じて、各種その他の成分を含有してもよい。その他の成分としては、インクに含有させることが可能な後述の水性媒体やその他の成分などと同様のものを挙げることができる。
反応液は、必要に応じて、各種その他の成分を含有してもよい。その他の成分としては、インクに含有させることが可能な後述の水性媒体やその他の成分などと同様のものを挙げることができる。
前述の通り、ヒドロキシ酸を含有する反応液は、酸性領域(通常pH7.0未満、好ましくはpH2.0〜5.0)に緩衝能を有することによって、インク中の成分のアニオン性基を効率よく酸型にして凝集させる。このため、良好な反応性を維持するために、反応液のpHを調整することが好ましい。したがって、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物;水酸化カルシウムなどのアルカリ土類金属の水酸化物などのpH調整剤を反応剤に含有させることができる。
<インクジェットデバイス>
本実施形態のインクジェット記録装置は、転写体101にインク、補助液を付与するインクジェットデバイス104を有する。転写体上では反応液とインク、補助液とが混合され、反応液とインク、補助液とによって中間画像が形成され、さらに、液除去装置105にて中間画像から液体成分が除去される。
本実施形態のインクジェット記録装置は、転写体101にインク、補助液を付与するインクジェットデバイス104を有する。転写体上では反応液とインク、補助液とが混合され、反応液とインク、補助液とによって中間画像が形成され、さらに、液除去装置105にて中間画像から液体成分が除去される。
本実施形態ではインクを付与するインクジェットデバイスとして、インクジェットヘッドを用いる。インクジェットヘッドとしては、例えば電気−熱変換体によりインクに膜沸騰を生じさせ気泡を形成することでインクを吐出する形態、電気−機械変換体によってインクを吐出する形態、静電気を利用してインクを吐出する形態等が挙げられる。本実施形態では、公知のインクジェットヘッドを用いることができる。中でも特に高速で高密度の印刷の観点からは電気−熱変換体を利用したものが好適に用いられる。描画は画像信号を受け、各位置に必要なインク量を付与する。
本実施形態ではインクジェットヘッドはY方向に延設されたフルラインヘッドであり、使用可能な最大サイズの記録媒体の画像記録領域の幅分をカバーする範囲にノズルが配列されている。インクジェットヘッドはその下面(転写体1側)にノズルが開口したインク吐出面を有しており、インク吐出面は微小な隙間(数ミリ程度)を空けて転写体1の表面と対向している。
インク付与量は画像濃度(duty)やインク厚みで表現することができるが、本実施形態では各インクドットの質量に付与個数を掛け、印字面積で割った平均値をインク付与量(g/m2)とした。尚、画像領域における最大インク付与量とは、インク中の液体成分を除去する観点より、被吐出媒体の情報として用いられる領域内において、少なくとも5mm2以上の面積において付与されているインク付与量を示す。
インクジェットデバイス104は、被吐出媒体上に各色のカラーインクを付与するために、インクジェットヘッドを複数有していてもよい。例えば、イエローインク、マゼンタインク、シアンインク、ブラックインクを用いてそれぞれの色画像を形成する場合、インクジェットデバイスは上記4種類のインクを被吐出媒体上にそれぞれ吐出する4つのインクジェットヘッドを有することになる。そして、これらのインクジェットヘッドはX方向に並ぶように配置される。
また、インクジェットデバイスは、色材を含有しない、あるいは含有したとしてもその割合が非常に低く、実質的に透明なクリアインクを補助液として吐出するインクジェットヘッドを含む。そしてこのクリアインクを、各機能をもった補助液として反応液、カラーインクとともに中間画像を形成するために利用する。例えば、画像の光沢性を向上させるためにこの補助液を用いることができる。転写後の画像が光沢感を醸すように、配合する樹脂成分を適宜調整し、さらには、補助液の吐出位置を制御するとよい。この補助液は、最終記録物ではカラーインクよりも表層側にある方が望ましいので、転写体型の記録装置では、カラーインクよりも先に転写体101上に付与するようにする。そのためにインクジェットデバイス104と対面する転写体101の移動方向において、補助液用のインクジェットヘッドをカラーインク用のインクジェットヘッドより上流側に配置することができる。
また、本発明では、光沢用とは別に、転写体101上の中間画像から記録媒体への転写性を向上させるために補助液を利用する。例えば、カラーインクよりも粘着性を発現する成分を多く含ませ、これをカラーインクに付与することで転写体101上に付与する転写性向上液として補助液を利用することができる。詳細は後述する。例えば、インクジェットデバイス104と対面する転写体101の移動方向において、転写性向上用の補助液のためのインクジェットヘッドをカラーインク用のインクジェットヘッドより下流側に配置しておく。そしてカラーインクを転写体101に付与した後、カラーインク付与後の転写体上に補助液を付与することで、中間画像の最表面には補助液が存在することになる。転写部での記録媒体への中間画像の転写において、中間画像の表面の補助液はある程度の粘着力で記録媒体108に粘着し、これによって、液除去後の中間画像が記録媒体108へ移動しやすくなる。
<インク>
本実施形態に適用されるインクの各成分について説明する。
本実施形態に適用されるインクの各成分について説明する。
(色材)
本実施形態に適用されるインクに含有される色材として、顔料や染料を用いることができる。インク中の色材の含有量は、インク全質量を基準として、0.5質量%以上15.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以上10.0質量%以下であることがより好ましい。
本実施形態に適用されるインクに含有される色材として、顔料や染料を用いることができる。インク中の色材の含有量は、インク全質量を基準として、0.5質量%以上15.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以上10.0質量%以下であることがより好ましい。
色材として用いることができる顔料の種類は特に限定されない。顔料の具体例としては、カーボンブラック、酸化チタンなどの無機顔料;アゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン、イソインドリノン系、イミダゾロン系、ジケトピロロピロール系、ジオキサジン系などの有機顔料を挙げることができる。これらの顔料は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。顔料の分散方式は特に限定されない。例えば、樹脂分散剤により分散させた樹脂分散顔料、顔料の粒子表面にアニオン性基などの親水性基を直接又は他の原子団を介して結合させた自己分散顔料などを用いることもできる。勿論、分散方式の異なる顔料を組み合わせて使用することも可能である。
顔料を分散させるための樹脂分散剤としては、インクジェット用の水性インクに用いられる公知の樹脂分散剤を使用することができる。中でも本実施形態の態様においては分子鎖中に親水性ユニットと疎水性ユニットとを併せ持つアクリル系の水溶性の樹脂分散剤を用いることが好ましい。樹脂の形態としては、ブロック共重合体、ランダム共重合体、グラフト共重合体、及びこれらの組み合わせなどを挙げることができる。
インク中の樹脂分散剤は、液媒体に溶解した状態であってもよく、液媒体中に樹脂粒子として分散した状態であってもよい。本発明において樹脂が水溶性であることとは、その樹脂を酸価と当量のアルカリで中和した場合に、動的光散乱法により粒子径を測定しうる粒子を形成しないものであることとする。
親水性ユニット(アニオン性基などの親水性基を有するユニット)は、例えば、親水性基を有するモノマーを重合することで形成することができる。親水性基を有するモノマーの具体例としては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸などのアニオン性基を有する酸性モノマー、これらの酸性モノマーの無水物や塩などのアニオン性モノマーなどを挙げることができる。酸性モノマーの塩を構成するカチオンとしては、リチウム、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、有機アンモニウムなどのイオンを挙げることができる。
疎水性ユニット(アニオン性基などの親水性を有しないユニット)は、例えば、疎水性基を有するモノマーを重合することで形成することができる。疎水性基を有するモノマーの具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、ベンジル(メタ)アクリレートなどの芳香環を有するモノマー;エチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートなどの脂肪族基を有するモノマー(すなわち、(メタ)アクリルエステル系モノマー)などを挙げることができる。
樹脂分散剤の酸価は50mgKOH/g以上550mgKOH/g以下であることが好ましく、100mgKOH/g以上250mgKOH/g以下であることがより好ましい。また、樹脂分散剤の重量平均分子量は1,000以上50,000以下であることが好ましい。顔料の含有量(質量%)が、樹脂分散剤の含有量に対する質量比率で(顔料/樹脂分散剤)、0.3倍以上10.0倍以下であることが好ましい。
自己分散顔料としては、カルボン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基などのアニオン性基が、直接又は他の原子団(−R−)を介して顔料の粒子表面に結合しているものを用いることができる。アニオン性基は、酸型及び塩型のいずれであってもよく、塩型である場合は、その一部が解離した状態及び全てが解離した状態のいずれであってもよい。アニオン性基が塩型である場合のカウンターイオンとなるカチオンとしては、アルカリ金属カチオン;アンモニウム;有機アンモニウム;などを挙げることができる。また、他の原子団(−R−)の具体例としては、炭素原子数1乃至12の直鎖又は分岐のアルキレン基、フェニレン基やナフチレン基などのアリーレン基、アミド基、スルホニル基、アミノ基、カルボニル基、エステル基、エーテル基などを挙げることができる。また、これらの基を組み合わせた基としてもよい。
色材として用いることができる染料の種類は特に限定されないが、アニオン性基を有する染料を用いることが好ましい。染料の具体例としては、アゾ系、トリフェニルメタン系、(アザ)フタロシアニン系、キサンテン系、アントラピリドン系などが挙げられる。これらの染料は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。
また分散剤を用いず、顔料自体を表面改質して分散可能としたいわゆる自己分散顔料を用いることも本実施形態において好適である。
(樹脂粒子)
本実施形態に適用されるインクは、樹脂粒子を含有させることができる。樹脂粒子は色材を含むものである必要はない。樹脂粒子は、画像品位や定着性の向上に効果がある場合があり好適である。
本実施形態に適用されるインクは、樹脂粒子を含有させることができる。樹脂粒子は色材を含むものである必要はない。樹脂粒子は、画像品位や定着性の向上に効果がある場合があり好適である。
本実施形態に用いることのできる樹脂粒子の材質としては、特に限定されず公知の樹脂を適宜用いることができる。具体的には、オレフィン系、ポリスチレン系、ウレタン系、アクリル系などの各種の材料で構成される樹脂粒子が挙げられる。樹脂粒子の重量平均分子量(Mw)は、1,000以上2,000,000以下の範囲が好適である。樹脂粒子の動的光散乱法により測定される体積平均粒子径は、10nm以上1,000nm以下であることが好ましく、100nm以上500nm以下であることがより好ましい。インク中の樹脂粒子の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、1.0質量%以上50.0質量%以下が好ましく、より好ましくは2.0質量%以上40.0質量%以下である。
(水性媒体)
本実施形態に用いることのできるインクには、水、又は水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を含有させることができる。水としては、脱イオン水やイオン交換水を用いることが好ましい。水性インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、50.0質量%以上95.0質量%以下であることが好ましい。また、水性インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、3.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。水溶性有機溶剤としては、アルコール類、(ポリ)アルキレングリコール類、グリコールエーテル類、含窒素化合物類、含硫黄化合物類などのインクジェット用のインクに使用可能なものをいずれも用いることができ、1種又は2種以上を含有させることができる。
本実施形態に用いることのできるインクには、水、又は水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を含有させることができる。水としては、脱イオン水やイオン交換水を用いることが好ましい。水性インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、50.0質量%以上95.0質量%以下であることが好ましい。また、水性インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、3.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。水溶性有機溶剤としては、アルコール類、(ポリ)アルキレングリコール類、グリコールエーテル類、含窒素化合物類、含硫黄化合物類などのインクジェット用のインクに使用可能なものをいずれも用いることができ、1種又は2種以上を含有させることができる。
(その他添加剤)
本実施形態に用いることのできるインクには、上記成分以外にも必要に応じて、消泡剤、界面活性剤、pH調整剤、粘度調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、水溶性樹脂など種々の添加剤を含有してもよい。
本実施形態に用いることのできるインクには、上記成分以外にも必要に応じて、消泡剤、界面活性剤、pH調整剤、粘度調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、水溶性樹脂など種々の添加剤を含有してもよい。
<転写補助液>
転写体上には、転写補助用の液体である補助液を付与する。そして、補助液は熱可塑性樹脂粒子を含有する。これによって、記録媒体への定着性、転写性が向上する。補助液は水性、非水性のいずれでも良いが、水溶性の熱可塑性樹脂およびワックス粒子、ロジン系の樹脂粒子を含有することが好ましい。
転写体上には、転写補助用の液体である補助液を付与する。そして、補助液は熱可塑性樹脂粒子を含有する。これによって、記録媒体への定着性、転写性が向上する。補助液は水性、非水性のいずれでも良いが、水溶性の熱可塑性樹脂およびワックス粒子、ロジン系の樹脂粒子を含有することが好ましい。
熱可塑性樹脂粒子の材質としては特に限定されず、公知の樹脂を、適宜選択して用いることができる。具体的には、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエーテルポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン、ポリ(メタ)アクリル酸およびその塩、ポリ(メタ)アクリル酸アルキル、ポリジエン等の単独重合物、または、これらを複数組み合わせた共重合物を挙げることができる。熱可塑性樹脂粒子を構成する樹脂の重量平均分子量は、1,000以上2,000,000以下であることが好ましい。
また、インク中における熱可塑性樹脂粒子の含有量は、インク全質量に対して1質量%以上50質量%以下であることが好ましく、2質量%以上40質量%以下であることがより好ましい。
さらに、本実施形態において、樹脂粒子は、溶媒中に分散した樹脂粒子分散体としてインク中に添加することが好ましい。樹脂粒子の分散の手法は特に限定されないが、解離性基を有するモノマーを単独重合、または複数種、共重合させた樹脂を用いて分散させた、いわゆる自己分散型樹脂粒子分散体が好ましい。ここで、上記解離性基としては、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基等を挙げることができ、該解離性基を有するモノマーとしては、アクリル酸やメタクリル酸等を挙げることができる。
熱可塑性樹脂粒子は転写性向上の効果を得る上で、ガラス転移温度(Tg)は、0℃以上180℃以下が好ましく、30℃以上140℃以下がより好ましい。
また、転写温度は補助液の樹脂粒子のガラス転移温度以上であることが好ましい。転写温度が樹脂粒子のガラス転移温度以上であることによって、紙と十分な密着力が発現すると推測される。
また、乳化剤により樹脂粒子を分散させた、いわゆる乳化分散型樹脂粒子分散体も、本実施形態において好適に用いることができる。乳化剤としては、低分子量、高分子量に関わらず、公知の界面活性剤を好適に用いることができる。界面活性剤としては、ノニオン性のもの、または樹脂粒子と同じ電荷を持つものが好適である。樹脂粒子分散体中の樹脂粒子の体積平均粒径(D50)は、10nm以上1000nm以下であることが好ましく、50nm以上500nm以下であることがより好ましい。ここで、体積平均粒径(D50)とは、体積粒径の累積分布関数において累積度数が全体の50%になる時の体積粒径の値である。また、本実施形態に用いる樹脂粒子分散体を作製する際には、分散状態を安定化させるために、各種添加剤を加えることも好ましい。添加剤としては、例えば、n−ヘキサデカン、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ステアリル、クロロベンゼン、ドデシルメルカプタン、オリーブ油、青色染料(ブルーイング剤:Blue70)、ポリメチルメタクリレート等が好適である。
本実施例形態において水溶性の熱可塑性樹脂とは、水中に溶解可能な樹脂のことである。補助液用の水溶性の熱可塑性樹脂の種類は目的とするバインダー機能を得ることができるものであれば、特に限定されない。補助液付与手段の種類によって、水溶性の熱可塑性樹脂の種類を変えることが好適である。例えば、補助液付与手段がインクジェットデバイスの場合には、重量平均分子量が2000以上、20000以下の範囲の水溶性の熱可塑性樹脂が好まし。更に、重量平均分子量が5000以上、10000以下の範囲の水溶性の熱可塑性樹脂がより好ましい。また、補助液付与装置がローラ塗布装置である場合には、重量平均分子量が更に大きな水溶性の熱可塑性樹脂も使用できる。
水溶性の熱可塑性樹脂のガラス転移温度(ガラス転移点:Tg)、ワックス粒子の融点(Tm)は、40℃以上150℃以下が好ましい。なお、軟化点または融点により転写温度の設定を行う場合にも、軟化点または融点が40℃以上150℃以下の範囲のある水溶性の熱可塑性樹脂が好ましい。
水溶性の熱可塑性樹脂としては、具体的には、例えば、スチレン、スチレン誘導体、ビニルナフタレン、ビニルナフタレン誘導体、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸の脂肪族アルコールエステル等、アクリル酸、アクリル酸誘導体、マレイン酸、マレイン酸誘導体、イタコン酸、イタコン酸誘導体、フマル酸、フマル酸誘導体、酢酸ビニル、ビニルアルコール、ビニルピロリドン、アクリルアミド、およびその誘導体等から選ばれた少なくとも二つ以上の単量体(このうち少なくとも1つは親水性の重合性単量体)からなるブロック共重合体、あるいは、ランダム共重合体、グラフト共重合体、またはこれらの塩等を挙げることができる。また、ロジン、シェラック、デンプン等の天然樹脂も好ましく使用することができる。これらの水溶性樹脂は、塩基を溶解させた水溶液に可溶なアルカリ可溶型樹脂である。特に好ましくは、水溶性樹脂は疎水部を有することが好ましい。疎水部としては、特に限定はされないが、スチレン基等の不飽和結合を有する官能基を有していることが好ましい。
これらの水溶性樹脂の1種または2種以上の組合せを補助液の成分として用いることができる。
補助液中における水溶性の熱可塑性樹脂の含有量は、補助液の全質量に対して0.1質量%以上20質量%以下の範囲が好ましい。水溶性の熱可塑性樹脂の含有量は、補助液の全質量に対して、0.1質量%以上10質量%以下の範囲がより好ましく、0.1質量%以上5質量%以下の範囲が更に好ましい。水溶性の熱可塑性樹脂の含有量をこれらの範囲とすることによって、インクジェットデバイスから補助液を吐出する場合における吐出安定性、吐出液滴の着弾位置精度等の特性の向上と、ローラ塗布の場合における塗布状態の均一性の向上を図ることができる。
さらに、本実施形態ではロジン系の樹脂粒子を含むことが好ましい。ロジン系樹脂粒子を構成するロジン系樹脂としては、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン等の原料ロジン、当該原料ロジンの不均化物、当該原料ロジンを水素添加処理した安定化ロジン、重合ロジン等のロジン類;当該ロジン類のエステル化物、当該ロジン類のフェノール変性物、不飽和酸変性ロジン類等の各種公知のものが挙げられる。当該ロジン類のエステル化物とは、前記ロジン類と多価アルコール類とのエステル化物をいう。
補助液中にロジン系樹脂粒子を含むことによって、転写性が向上する理由は明らかになってはいないが、ロジン系樹脂粒子と記録媒体に含まれるサイズ剤の相互作用が関係しているものと本発明者らは推測している。一般に、記録媒体として用いられる普通紙、コート紙、一般印刷紙には、万年筆などでの加筆によるインクの滲みを抑制するために、親水性に富む紙繊維のセルロースに対し、疎水性に富むサイズ剤が添加されている。このサイズ剤の影響により記録媒体の表面が疎水性に保たれていることで、同じように疎水性を有するロジン系樹脂粒子と相互作用を強めたと推測している。
多価アルコール類としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコールなどの2価アルコール;グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンなどの3価アルコール;ペンタエリトリトール、ジグリセリンなどの4価アルコール;ジペンタエリトリトールなどの6価アルコール等が挙げられる。これら多価アルコール類は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。当該ロジン類のフェノール変性物としては、前記ロジン類にフェノールやアルキルフェノールなどのフェノール類を付加させたものや、当該ロジン類のフェノール付加物と多価アルコール類とのエステル化物、前記ロジン類にレゾール型フェノール樹脂を反応させた、いわゆるロジン変性フェノール樹脂、およびそのエステル化物等が挙げられる。不飽和酸変性ロジン類としては、前記ロジン類をマレイン酸、フマル酸、(メタ)アクリル酸等の不飽和酸で変性したものや、そのエステル化物などが挙げられる。また、不飽和酸変性ロジンのエステル化物とは、前記不飽和酸変性ロジンと前記多価アルコール類をエステル化反応させたものである。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、ロジン系樹脂粒子を構成するロジン系樹脂の重量平均分子量は、300以上5,000以下であることが好ましい。
ロジン系樹脂粒子は、ロジン系樹脂粒子が液中に分散したロジン系樹脂粒子分散体の形態で補助液の調製に用いることが好ましい。また、ロジン系樹脂粒子は、ロジン系樹脂粒子が乳化剤により分散されて形成されたものであることが好ましい。乳化剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、公知の乳化剤を用いることができる。乳化剤の種類は、補助液中におけるロジン系樹脂粒子の分散状態の安定性を考慮して選択することが好ましい。
乳化剤は、乳化能力を有していれば、低分子化合物および高分子化合物のいずれでもよい。乳化剤の具体例としては、カルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸エステル塩等のアニオン系乳化剤や、ポリオキシエチレンアルキルエーテルを有するノニオン系乳化剤を挙げることができる。また、前記インクに用いる顔料分散剤として例示したものを乳化剤として用いて、ロジン系樹脂粒子を分散させることも可能である。乳化剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。ロジン系樹脂粒子における、ロジン系樹脂と乳化剤との質量比(ロジン樹脂の含有量:乳化剤の含有量)は、1:1〜20:1の範囲内であることが好ましい。
また、室温での記録物同士の張り付きを防止する観点から、ロジン系樹脂粒子を構成するロジン系樹脂のガラス転移温度もしくは融点、または、乳化剤のガラス転移温度もしくは融点の、いずれかもしくは両方が、30℃以上であることが好ましい。
また、ロジン系樹脂粒子を構成するロジン系樹脂の酸価は、記録媒体との疎水性相互作用を増加させる観点から、低いことが好ましい。具体的には、ロジン系樹脂の酸価は、50mgKOH/g以下が好ましく、25mgKOH/g以下がより好ましい。
ロジン系樹脂粒子の体積平均粒径(D50)は、10nm以上1000nm以下が好ましく、50nm以上500nm以下がより好ましい。
ロジン系樹脂粒子の含有量は、補助液の全質量に対して0.1質量%以上10質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上5質量%以下であることがより好ましい。また、補助液に含有される熱可塑性樹脂粒子とロジン系樹脂粒子との質量比(熱可塑性樹脂粒子の含有量:ロジン系樹脂粒子の含有量)は、20:1〜1:2の範囲内であることが好ましく、10:1〜1:1の範囲内であることがより好ましい。熱可塑性樹脂粒子とロジン系樹脂粒子との質量比が上記範囲内であることで、熱可塑性樹脂粒子の添加によりもたらされた補助液層の強度を維持しつつ、良好な転写性を得ることができる。
また、補助液の表面張力は、インクの表面張力よりも低いことが好ましい。これにより、転写体上で補助液が広がって、インクとの接触性を向上させることができる。
また、樹脂粒子のガラス転移温度Tgは、30℃以上150℃以下が好ましい。
また、樹脂粒子のガラス転移温度Tgは、30℃以上150℃以下が好ましい。
補助液は、上記の各成分に加えて、その他、インクに用いる界面活性剤、水溶性有機溶剤調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、水溶性樹脂およびその中和剤、粘度調整剤など種々の添加剤を含有しても良い。
また、補助液には下記式(1)で表される化合物を含むことが好ましい。
(式(1)において、w及びxはそれぞれ2価の有機基である。a及びbは水素原子または1価の有機基である。n及びlはそれぞれ1以上であり、n+lは2以上300以下である。mは1以上70以下である。p及びqはそれぞれ0または1である。)
前記式(1)で示される化合物が含まれることで転写性が向上する理由は明らかにはなっていないが、前記式(1)で示される化合物は界面活性剤であり、他の化合物と水素結合を形成することで生じる分子間相互作用が関係しているものと推測している。この分子間相互作用により、中間画像が増粘し、その結果記録媒体との密着性が増加するためと考えられる。
前記式(1)で示される化合物が含まれることで転写性が向上する理由は明らかにはなっていないが、前記式(1)で示される化合物は界面活性剤であり、他の化合物と水素結合を形成することで生じる分子間相互作用が関係しているものと推測している。この分子間相互作用により、中間画像が増粘し、その結果記録媒体との密着性が増加するためと考えられる。
上記化合物の例としては、アデカプルロニックL−31(商品名、株式会社アデカ製)、アデカプルロニックL−34(商品名、株式会社アデカ製)があげられる。
補助液が非水性の場合に用いる液媒体としては既知の有機溶剤を使用すればよいが、メタノール、エタノール等のアルコール系の有機溶剤が好ましい。
<液除去装置>
液除去装置105で液体を除外する方法は、従来から用いられている各種手法、例えば、加熱による方法、低湿空気を送風する方法、減圧する方法等を用いることができる。
液除去装置105で液体を除外する方法は、従来から用いられている各種手法、例えば、加熱による方法、低湿空気を送風する方法、減圧する方法等を用いることができる。
加熱による方法を用いる場合は、短時間で効率的に加熱できることから赤外線ヒーターを用いることが好ましい。なお、液除去装置105にて加熱による方法を用いる場合は、加熱装置110を兼ねることもでき、その逆もまた可能である。
また、上記手法以外に、多孔質体を含む液吸収部材を押し当てることで液体を除去する手段を用いることが好ましい。液吸収部材による液体除去を用いた場合、耐擦過性が向上する。これは加熱による液体除去の場合は不揮発性の溶剤が残るが、液吸収部材を用いた液体除去の場合は、不揮発性の溶剤も除去されるため、耐擦過性が向上するのだと推測している。
本実施形態において、液除去装置105は、液吸収部材105a、および液吸収部材105aを転写体101上の中間画像に押し当てる液吸収用の押圧部材105bを有する。
なお、液吸収部材105aおよび押圧部材105bの形状については特に制限がない。例えば、図1に示すように、押圧部材105bが半円柱形状であり、液吸収部材105aがベルト形状であって、半円柱形状の押圧部材105bでベルト形状の液吸収部材105aを転写体101に押し当てる構成であってもよい。また、押圧部材105bが円柱形状であり、液吸収部材105aが円柱形状の押圧部材105bの周面上に形成された円筒形状であって、円柱形状の押圧部材105bで円筒形状の液吸収部材105aを転写体に押し当てる構成であってもよい。
本実施形態において、インクジェット記録装置内でのスペース等を考慮すると、液吸収部材105aはベルト形状であることが好ましい。
また、このようなベルト形状の液吸収部材105aを有する液除去装置105は、液吸収部材105aを張架する張架部材を有していてもよい。図1において、105cは張架部材としての張架ローラである。図1において、押圧部材105bは半円柱形状としているが、これに限定されるものではなく、張架ローラと同様に回転するローラ部材としても良い。液除去装置105では、多孔質体を有する液吸収部材105aを押圧部材105bによって中間画像に押し当てて接触させることで、中間画像に含まれる液体成分を液吸収部材105aに吸収させ、液体成分を減少させる。中間画像中の液体成分を減少させる方法として、液吸収部材を接触させる本方式に加え、その他従来から用いられている各種手法、例えば、加熱による方法、低湿空気を送風する方法、減圧する方法等を組み合わせても良い。また、液体成分を減少させた液除去後の中間画像にこれらの方法を適用してさらに液体成分を減少させてもよい。
<液吸収部材>
本実施形態では、液除去前の中間画像から液体成分の少なくとも一部を、多孔質体を有する液吸収部材と接触させて吸収することで除去し、中間画像中の液体成分の含有量を減少させる。液吸収部材の中間画像との接触面を第一の面とし、第一の面に多孔質体が配置される。このような多孔質体を有する液吸収部材は、被吐出媒体の移動に連動して移動し、中間画像と接触した後、所定の周期で別の液除去前の中間画像に再接触する循環して液吸収が可能な形状を有するものが好ましい。例えば、無端ベルト状やドラム状などの形状が挙げられる。
本実施形態では、液除去前の中間画像から液体成分の少なくとも一部を、多孔質体を有する液吸収部材と接触させて吸収することで除去し、中間画像中の液体成分の含有量を減少させる。液吸収部材の中間画像との接触面を第一の面とし、第一の面に多孔質体が配置される。このような多孔質体を有する液吸収部材は、被吐出媒体の移動に連動して移動し、中間画像と接触した後、所定の周期で別の液除去前の中間画像に再接触する循環して液吸収が可能な形状を有するものが好ましい。例えば、無端ベルト状やドラム状などの形状が挙げられる。
(多孔質体)
本実施形態に係る液吸収部材の多孔質体は、第一の面側の平均孔径が、第一の面と対向する第ニの面側の平均孔径よりも小さい物を使用することが好ましい。インク中の色材が多孔質体へ付着することを抑制するため、孔径は小さいことが好ましく、少なくとも画像と接触する第一の面側の多孔質体の平均孔径は、10μm以下であることが好ましい。なお、本実施形態において平均孔径とは第一の面または第二の面の表面での平均直径のことを示し、公知の手段、例えば水銀圧入法や、窒素吸着法、SEM画像観察等で測定可能である。
本実施形態に係る液吸収部材の多孔質体は、第一の面側の平均孔径が、第一の面と対向する第ニの面側の平均孔径よりも小さい物を使用することが好ましい。インク中の色材が多孔質体へ付着することを抑制するため、孔径は小さいことが好ましく、少なくとも画像と接触する第一の面側の多孔質体の平均孔径は、10μm以下であることが好ましい。なお、本実施形態において平均孔径とは第一の面または第二の面の表面での平均直径のことを示し、公知の手段、例えば水銀圧入法や、窒素吸着法、SEM画像観察等で測定可能である。
また、均一に高い通気性とするために多孔質体の厚みを薄くすることが好ましい。通気性はJIS P8117で規定されるガーレ値で示すことができ、ガーレ値は10秒以下であることが好ましい。
但し、多孔質体を薄くすると、液体成分を吸収するために必要な容量を十分に確保できない場合があるため、多孔質体を多層構成とすることが可能である。また、液吸収部材は、中間画像と接触する層が多孔質体であればよく、中間画像と接触しない層は多孔質体でなくてもよい。
次に、多孔質体を多層構成とする場合の実施形態について説明する。ここでは中間画像に接触する側の第一の層、第一の層の中間画像との接触面と反対の面に積層される層を第二の層として説明する。さらに多層の構成についても順次第一の層からの積層順で表記する。なお、本明細書において、第一の層を「吸収層」、第二の層以降を「支持層」ということがある。
本実施形態において、第一の層の材料は特に限定されることはなく、水に対する接触角が90°未満の親水性材料と、接触角が90°以上の撥水性の材料のいずれも使用することができる。
親水性材料としては、セルロースやポリアクリルアミドなどの単一素材、またはこれらの複合材料などから好ましく選択される。また、下記の撥水性材料の表面を親水化処理して用いることもできる。親水化処理としては、スパッタエッチング法、放射線やH2Oイオン照射、エキシマ(紫外線)レーザー光照射などの方法が挙げられる。
親水性材料の場合、水に対する接触角が60°以下であることがより好ましい。親水性材料の場合、毛管力により液体、特に水を吸い上げる効果がある。
一方、色材の付着を抑制するため及びクリーニング性を高くするため、第一の層の材料は、表面自由エネルギーの低い撥水性材料、特にフッ素樹脂であることが好ましい。フッ素樹脂としては、具体的に、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、パーフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、エチレン・四フッ化エチレン共重合体(ETFE)、エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)等が挙げられる。これらの樹脂は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができ、第一の層の中に複数の膜が積層された構成でもよい。撥水性材料の場合、毛管力により液体を吸い上げる効果が殆どなく、初めて画像と接触する際に液体の吸い上げに時間を要することがある。このため、第一の層中に第一の層との接触角が90°未満である液体をしみ込ませておくことが好ましい。この液体は、液吸収部材の第一面から塗布することで第一の層中にしみ込ませておくことができる。この液体は、水に界面活性剤や第一の層との接触角の低い液体を混合して調製することが好ましい。
本実施形態において、第一の層の膜厚は、50μm以下であることが好ましい。膜厚は、30μm以下がより好ましい。本実施形態の実施例において、膜厚は、直進式のマイクロメーターOMV_25(ミツトヨ製)で任意の10点の膜厚を測定し、その平均値を算出することで得た。
第一の層は、公知の薄膜多孔質膜の製造方法により製造することができる。例えば、樹脂材料を押出成形などの方法でシート状物を得た後、所定の厚みに延伸することで得ることができる。また、押出成形時の材料にパラフィン等の可塑剤を添加し、延伸時に加熱などにより可塑剤を除去することで多孔質膜として得ることができる。孔径は添加する可塑剤の添加量、延伸倍率などを適宜調整することで調節することができる。
[第二の層]
本実施形態において、第二の層は通気性をもつ層であることが好ましい。このような層は樹脂繊維の不織布でもよいし、織布でも良い。第二の層の材料としては、特に限定されないが、第一の層側へ吸収した液体が逆流しないように、第一の層に対して第一の液体との接触角が同等かそれよりも低い材料であることが好ましい。具体的には、ポリオレフィン(ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)など)、ポリウレタン、ナイロンなどのポリアミド、ポリエステル(ポリエチレンテレフタラート(PET)など)、ポリスルフォン(PSF)などの単一素材、またはこれらの複合材料などから好ましく選択される。また、第二の層は第一の層よりも孔径の大きな層であることが好ましい。
本実施形態において、第二の層は通気性をもつ層であることが好ましい。このような層は樹脂繊維の不織布でもよいし、織布でも良い。第二の層の材料としては、特に限定されないが、第一の層側へ吸収した液体が逆流しないように、第一の層に対して第一の液体との接触角が同等かそれよりも低い材料であることが好ましい。具体的には、ポリオレフィン(ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)など)、ポリウレタン、ナイロンなどのポリアミド、ポリエステル(ポリエチレンテレフタラート(PET)など)、ポリスルフォン(PSF)などの単一素材、またはこれらの複合材料などから好ましく選択される。また、第二の層は第一の層よりも孔径の大きな層であることが好ましい。
[第三の層]
本実施形態において、多層構造の多孔質体は3層以上の構成であってもよく、限定されない。三層目(第三の層ともいう)以降の層としては剛性の観点から不織布が好ましい。材料としては第二の層と同様なものが用いられる。
本実施形態において、多層構造の多孔質体は3層以上の構成であってもよく、限定されない。三層目(第三の層ともいう)以降の層としては剛性の観点から不織布が好ましい。材料としては第二の層と同様なものが用いられる。
[その他の材料]
液吸収部材には、上記の積層構造の多孔質体以外に、液吸収部材の側面を補強する補強部材を有してもよい。また、長尺のシート形状の多孔質体の長手方向端部を繋いでベルト状の部材とする際の接合部材を有してもよい。このような材料としては非孔質のテープ材などを用いることができ、画像と接触しない位置あるいは周期に配置すればよい。
液吸収部材には、上記の積層構造の多孔質体以外に、液吸収部材の側面を補強する補強部材を有してもよい。また、長尺のシート形状の多孔質体の長手方向端部を繋いでベルト状の部材とする際の接合部材を有してもよい。このような材料としては非孔質のテープ材などを用いることができ、画像と接触しない位置あるいは周期に配置すればよい。
[多孔質体の製造方法]
第一の層と第二の層を積層して多孔質体を形成する方法は、特に限定されることはない。重ね合わせるだけでもよいし、接着剤ラミネートまたは熱ラミネートなどの方法を用いて互いに接着してもよい。通気性の観点から、本実施形態においては熱ラミネートが好ましい。また、例えば、加熱により、第一の層または第二の層の一部を溶融させて接着積層してもよい。また、ホットメルトパウダーのような融着材を第一の層と第二の層の間に介在させて加熱により互いに接着積層してもよい。第三の層以上を積層する場合は、一度に積層させてもよいし、順次積層させてもよく、積層順に関しては適宜選択される。
第一の層と第二の層を積層して多孔質体を形成する方法は、特に限定されることはない。重ね合わせるだけでもよいし、接着剤ラミネートまたは熱ラミネートなどの方法を用いて互いに接着してもよい。通気性の観点から、本実施形態においては熱ラミネートが好ましい。また、例えば、加熱により、第一の層または第二の層の一部を溶融させて接着積層してもよい。また、ホットメルトパウダーのような融着材を第一の層と第二の層の間に介在させて加熱により互いに接着積層してもよい。第三の層以上を積層する場合は、一度に積層させてもよいし、順次積層させてもよく、積層順に関しては適宜選択される。
加熱工程では、加熱されたローラで多孔質体を挟み込んで加圧しながら、多孔質体を加熱するラミネート法が好ましい。
以下、液除去装置105における、各種条件と構成について詳細に述べる。
(前処理)
本実施形態において、多孔質体を有する液吸収部材105aを中間画像に接触させる前に、液吸収部材に処理液を付与する前処理手段(図1および図2では不図示)によって前処理を施すことが好ましい。本実施形態に用いる処理液は、水及び水溶性有機溶剤を含有することが好ましい。水は、イオン交換等により脱イオンした水であることが好ましい。また、水溶性有機溶剤の種類は特に限定されず、エタノールやイソプロピルアルコール等の公知の有機溶剤をいずれも用いることができる。本実施形態に用いる液吸収部材の前処理において、付与方法は特に限定されないが、浸漬や液滴滴下が好ましい。
本実施形態において、多孔質体を有する液吸収部材105aを中間画像に接触させる前に、液吸収部材に処理液を付与する前処理手段(図1および図2では不図示)によって前処理を施すことが好ましい。本実施形態に用いる処理液は、水及び水溶性有機溶剤を含有することが好ましい。水は、イオン交換等により脱イオンした水であることが好ましい。また、水溶性有機溶剤の種類は特に限定されず、エタノールやイソプロピルアルコール等の公知の有機溶剤をいずれも用いることができる。本実施形態に用いる液吸収部材の前処理において、付与方法は特に限定されないが、浸漬や液滴滴下が好ましい。
(加圧条件)
転写体上の中間画像に対して接触するときの液吸収部材の圧力が2.9N/cm2(0.3kgf/cm2)以上であれば、中間画像中の液体成分をより短時間に固液分離でき、中間画像中から液体成分を除去できるため好ましい。尚、本明細書における液吸収部材の圧力とは、被吐出媒体と液吸収部材との間のニップ圧を示しており、面圧分布測定器(「I−SCAN」、新田株式会社製)を用いて面圧測定を行い、加圧領域における加重を面積で割り、値を算出したものである。
転写体上の中間画像に対して接触するときの液吸収部材の圧力が2.9N/cm2(0.3kgf/cm2)以上であれば、中間画像中の液体成分をより短時間に固液分離でき、中間画像中から液体成分を除去できるため好ましい。尚、本明細書における液吸収部材の圧力とは、被吐出媒体と液吸収部材との間のニップ圧を示しており、面圧分布測定器(「I−SCAN」、新田株式会社製)を用いて面圧測定を行い、加圧領域における加重を面積で割り、値を算出したものである。
(作用時間)
中間画像に液吸収部材105aを接触させる作用時間は、中間画像中の色材が液吸収部材へ付着することをより抑制するために、50ms以内であることが好ましい。尚、本明細書における作用時間とは、上述した面圧測定における、被吐出媒体の移動方向における圧力感知幅を、被吐出媒体の移動速度で割って算出される。以降、この作用時間を液吸収ニップ時間と称す。
中間画像に液吸収部材105aを接触させる作用時間は、中間画像中の色材が液吸収部材へ付着することをより抑制するために、50ms以内であることが好ましい。尚、本明細書における作用時間とは、上述した面圧測定における、被吐出媒体の移動方向における圧力感知幅を、被吐出媒体の移動速度で割って算出される。以降、この作用時間を液吸収ニップ時間と称す。
このようにして、転写体101上には、液体成分が吸収され、液体成分の減少した中間画像が形成される。この液除去後の中間画像は次に転写部111において記録媒体108上に転写される。転写時の装置構成及び条件について説明する。
<加熱装置>
加熱装置110で画像を加熱する方法は、従来から用いられている各種手法、例えば温風による方法、赤外線を用いた方法、輻射熱による方法等を用いることができる。
加熱装置110で画像を加熱する方法は、従来から用いられている各種手法、例えば温風による方法、赤外線を用いた方法、輻射熱による方法等を用いることができる。
また、上述した液除去装置105で加熱している場合、その手法にて代用することもできる。
転写体101上の液除去後の中間画像を記録媒体108に転写するために押圧部材106が転写体101を押圧しているときの転写温度は、補助液に含まれる熱可塑性粒子のガラス転移温度以上とする。それにより、中間画像が柔くなり、十分な紙との密着が得られ良好な転写性が得られる。
また、中間画像の温度を前記ポリオレフィン樹脂で形成された樹脂粒子の融点以上にすることが好ましい。これは転写中の温度ではなく、加熱装置110での最大温度がポリオレフィン樹脂粒子であればよい。
この理由は明らかにはなっていないが、ポリオレフィン樹脂が溶融することで均一に膜化するためだと推測している。
「転写温度」は、中間画像の転写時(中間画像が記録媒体に接触してから中間画像が中間転写体から剥離する前までの間)の、中間転写体上の中間画像の温度を表す。
これら転写温度は、転写用の押圧部材106による加圧前後の中間転写体表面を赤外線放射温度計により測定することによって確認することができる。あるいは、図1の装置における液除去手段105から転写用の押圧部材106での加圧までの搬送時間における中間転写体表面の温度変化を予め予測する。また、転写用の押圧部材106の中間転写体表面への記録媒体108を介した圧接状態における、これらの表面の温度変化を予め測定する。これらの温度変化に基づく温度履歴が、目的とする温度を達成できるように、図1に示す装置の各構成及び操作条件を選択する。このことによって、目的とする転写温度の調整を行うことができる。
<転写用の押圧部材>
本実施形態では、記録媒体搬送手段107によって搬送される記録媒体108上に転写体101上の液除去後の中間画像を、転写用の押圧部材106により記録媒体108に接触させることで転写する。転写体101上の中間画像に含まれる液体成分を除去した後に、記録媒体108へ転写することにより、カールや、コックリング等を抑制した記録画像を得ることが可能となる。
本実施形態では、記録媒体搬送手段107によって搬送される記録媒体108上に転写体101上の液除去後の中間画像を、転写用の押圧部材106により記録媒体108に接触させることで転写する。転写体101上の中間画像に含まれる液体成分を除去した後に、記録媒体108へ転写することにより、カールや、コックリング等を抑制した記録画像を得ることが可能となる。
押圧部材106は記録媒体108の搬送精度や耐久性の観点からある程度の構造強度が求められる。押圧部材106の材質には金属、セラミック、樹脂等が好ましく用いられる。中でも特に、転写時の加圧に耐え得る剛性や寸法精度のほか、動作時のイナーシャを軽減して制御の応答性を向上するために、アルミニウム、鉄、ステンレス、アセタール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリウレタン、シリカセラミクス、アルミナセラミクスが好ましく用いられる。またこれらを組み合わせて用いてもよい。
転写体101上の液除去後の中間画像を記録媒体108に転写するために押圧部材106が転写体を押圧する押圧時間については特に制限はない。転写が良好に行われ、かつ転写体の耐久性を損なわないようにするために、5ms以上100ms以下であることが好ましい。尚、本実施形態における押圧時間とは、記録媒体108と転写体101間が接触している時間を示しており、面圧分布測定器(「I−SCAN」、新田株式会社製)を用いて面圧測定を行い、加圧領域の搬送方向長さを搬送速度で割り、値を算出したものである。
また、転写体101上の液除去後の中間画像を記録媒体108に転写するために押圧部材106が転写体101を押圧する圧力についても特に制限はないが、転写が良好に行われ、かつ転写体の耐久性を損なわないようにする。このために、圧力が9.8N/cm2(1kg/cm2)以上294.2N/cm2(30kg/cm2)以下であることが好ましい。尚、本実施形態における圧力とは、記録媒体108と転写体101間のニップ圧を示しており、面圧分布測定器を用いて面圧測定を行い、加圧領域における加重を面積で割り、値を算出したものである。
転写手段106の形状については特に制限されないが、例えばローラ形状のものが挙げられる。
<記録媒体および記録媒体搬送装置>
本実施形態において、記録媒体108は特に限定されず、公知の記録媒体をいずれも用いることができる。記録媒体としては、ロール状に巻回された長尺物、あるいは所定の寸法に裁断された枚葉のものが挙げられる。材質としては、紙、プラスチックフィルム、木板、段ボール、金属フィルムなどが挙げられる。
本実施形態において、記録媒体108は特に限定されず、公知の記録媒体をいずれも用いることができる。記録媒体としては、ロール状に巻回された長尺物、あるいは所定の寸法に裁断された枚葉のものが挙げられる。材質としては、紙、プラスチックフィルム、木板、段ボール、金属フィルムなどが挙げられる。
また、図1において、記録媒体108を搬送するための記録媒体搬送装置107は、記録媒体繰り出しローラ107aおよび記録媒体巻き取りローラ107bによって構成されているが、記録媒体を搬送できればよく、特にこの構成に限定されるものではない。
<制御システム>
本実施形態における転写型インクジェット記録装置は、各装置を制御する制御システムを有する。図2は図1に示す転写型インクジェット記録装置における、装置全体の制御システムを示すブロック図である。図2において、301は外部プリントサーバー等の記録データ生成部、302は操作パネル等の操作制御部、303は記録プロセスを実施するためのプリンタ制御部、304は記録媒体を搬送するための記録媒体搬送制御部、305は印刷するためのインクジェットデバイスである。
本実施形態における転写型インクジェット記録装置は、各装置を制御する制御システムを有する。図2は図1に示す転写型インクジェット記録装置における、装置全体の制御システムを示すブロック図である。図2において、301は外部プリントサーバー等の記録データ生成部、302は操作パネル等の操作制御部、303は記録プロセスを実施するためのプリンタ制御部、304は記録媒体を搬送するための記録媒体搬送制御部、305は印刷するためのインクジェットデバイスである。
図3は図1の転写型インクジェット記録装置におけるプリンタ制御部のブロック図である。
401はプリンタ全体を制御するCPU、402はCPU401の制御プログラムを格納するためのROM、403はプログラムを実行するためのRAMである。404はネットワークコントローラ、シリアルIFコントローラ、ヘッドデータ生成用コントローラ、モーターコントローラ等を内蔵した特定用途向けの集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)である。405は液吸収部材搬送モータ406を駆動するための液吸収部材搬送制御部であり、ASIC404からシリアルIFを介して、コマンド制御される。407は転写体駆動モータ408を駆動するための転写体駆動制御部であり、同様にASIC404からシリアルIFを介してコマンド制御される。409はヘッド制御部であり、インクジェットデバイス305の最終吐出データ生成、駆動電圧生成等を行う。
なお、本発明で記録した記録物の断面イメージを図4に示す。記録媒体108の上に、熱可塑性粒子を含む補助液203があり、さらにその上にインク202、その上にヒドロキシ酸、及び、ポリオレフィン樹脂で形成された樹脂粒子を含む反応液がある構成となる。
この構成となることで、画像の記録媒体への転写性と記録媒体上に形成された画像の耐擦過性の両方を向上することが可能となると推測している。
以下、実施例及び比較例を用いて本実施形態を更に詳細に説明する。本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。尚、以下の実施例の記載において、「部」とあるのは特に断りのない限り質量基準である。
[顔料の調製]
(ブラック顔料分散体の調製)
以下の各成分を混合し、バッチ式縦型サンドミル(アイメックス製)に仕込んだ。
・カーボンブラック(商品名:モナク1100、キャボット製):10部
・樹脂水溶液(スチレン−アクリル酸エチル−アクリル酸共重合体、酸価:150mgKOH/g、重量平均分子量:8,000、この共重合体(樹脂)の含有量が20.0質量%の水溶液を水酸化カリウム水溶液で中和したもの):15部
・純水:75部
次いで、サンドミル内に0.3mm径のジルコニアビーズを200部充填し、水冷しつつ、5時間分散処理を行った。この分散液を遠心分離して、粗大粒子を除去することにより、顔料(カーボンブラック)の含有量が10.0質量%のブラック顔料分散体を得た。
(ブラック顔料分散体の調製)
以下の各成分を混合し、バッチ式縦型サンドミル(アイメックス製)に仕込んだ。
・カーボンブラック(商品名:モナク1100、キャボット製):10部
・樹脂水溶液(スチレン−アクリル酸エチル−アクリル酸共重合体、酸価:150mgKOH/g、重量平均分子量:8,000、この共重合体(樹脂)の含有量が20.0質量%の水溶液を水酸化カリウム水溶液で中和したもの):15部
・純水:75部
次いで、サンドミル内に0.3mm径のジルコニアビーズを200部充填し、水冷しつつ、5時間分散処理を行った。この分散液を遠心分離して、粗大粒子を除去することにより、顔料(カーボンブラック)の含有量が10.0質量%のブラック顔料分散体を得た。
[熱可塑性樹脂粒子分散体の調製]
(熱可塑性樹脂粒子分散体1の調製)
イオン交換水74部、および過硫酸カリウム0.2部を混合した溶液に、メチルメタクリレート20部、メタクリル酸1.5部、アクアロン(登録商標)KH−05(商品名、第一工業製薬株式会社製)0.3部を混合して乳化した液を1時間かけて滴下しながら、窒素雰囲気下、80℃で撹拌しながら重合反応を行い、さらに2時間撹拌した。室温まで冷却した後、イオン交換水および水酸化カリウム水溶液を添加して、樹脂の含有量が25質量%、pH8.5のアニオン性の熱可塑性樹脂粒子分散体1を得た。得られた熱可塑性樹脂粒子分散体1中の樹脂粒子の体積平均粒径(D50)は220nmであり、Tgは80℃であった。なお、熱可塑性樹脂粒子および後述するロジン系樹脂のガラス転移温度(Tg)は、以下のように測定した。
(熱可塑性樹脂粒子分散体1の調製)
イオン交換水74部、および過硫酸カリウム0.2部を混合した溶液に、メチルメタクリレート20部、メタクリル酸1.5部、アクアロン(登録商標)KH−05(商品名、第一工業製薬株式会社製)0.3部を混合して乳化した液を1時間かけて滴下しながら、窒素雰囲気下、80℃で撹拌しながら重合反応を行い、さらに2時間撹拌した。室温まで冷却した後、イオン交換水および水酸化カリウム水溶液を添加して、樹脂の含有量が25質量%、pH8.5のアニオン性の熱可塑性樹脂粒子分散体1を得た。得られた熱可塑性樹脂粒子分散体1中の樹脂粒子の体積平均粒径(D50)は220nmであり、Tgは80℃であった。なお、熱可塑性樹脂粒子および後述するロジン系樹脂のガラス転移温度(Tg)は、以下のように測定した。
(ガラス転移温度の測定)
熱可塑性樹脂粒子のガラス転移温度は、熱可塑性樹脂粒子分散体1を25℃にて、乾燥固化させた試料を、示差走査熱量計DSC−Q1000(商品名、TAインスツルメントジャパン株式会社製)を用いて測定した。ガラス転移温度は、−70℃〜180℃までの温度サイクル(昇温速度10℃/min)を2回行うことにより求めた。また、ロジン系樹脂粒子分散体を作製する際に用いたロジン系樹脂を試料として用いたこと以外は、熱可塑性樹脂粒子と同様の方法で、ロジン系樹脂のガラス転移温度を求めた。
熱可塑性樹脂粒子のガラス転移温度は、熱可塑性樹脂粒子分散体1を25℃にて、乾燥固化させた試料を、示差走査熱量計DSC−Q1000(商品名、TAインスツルメントジャパン株式会社製)を用いて測定した。ガラス転移温度は、−70℃〜180℃までの温度サイクル(昇温速度10℃/min)を2回行うことにより求めた。また、ロジン系樹脂粒子分散体を作製する際に用いたロジン系樹脂を試料として用いたこと以外は、熱可塑性樹脂粒子と同様の方法で、ロジン系樹脂のガラス転移温度を求めた。
[ロジン系樹脂粒子分散体の調製]
(ロジン系樹脂粒子分散体1の調製)
ロジンエステル樹脂:エステルガムAT(商品名、Tg:−24℃、酸価:5mgKOH/g、荒川化学工業株式会社製)22.5部と、乳化剤:ステアリン酸ナトリウム(富士フイルム和光純薬工業株式会社製)2.5部を、イオン交換水70部中に添加した。得られた溶液を90℃に加熱し、この温度を保持するように温度調整を行いながら、超音波照射機で超音波を1時間照射した。続いて、得られた分散液を急速に冷却し、添加不揮発分量が25質量%であるロジン系樹脂粒子分散体1を得た。ロジン系樹脂粒子分散体1中のロジン系樹脂粒子の体積平均粒径(D50)は250nmであった。なお、ロジン系樹脂の酸価はJIS法(JIS K 0070)により測定した。
(ロジン系樹脂粒子分散体1の調製)
ロジンエステル樹脂:エステルガムAT(商品名、Tg:−24℃、酸価:5mgKOH/g、荒川化学工業株式会社製)22.5部と、乳化剤:ステアリン酸ナトリウム(富士フイルム和光純薬工業株式会社製)2.5部を、イオン交換水70部中に添加した。得られた溶液を90℃に加熱し、この温度を保持するように温度調整を行いながら、超音波照射機で超音波を1時間照射した。続いて、得られた分散液を急速に冷却し、添加不揮発分量が25質量%であるロジン系樹脂粒子分散体1を得た。ロジン系樹脂粒子分散体1中のロジン系樹脂粒子の体積平均粒径(D50)は250nmであった。なお、ロジン系樹脂の酸価はJIS法(JIS K 0070)により測定した。
<インクの調製>
上記で得られたブラック顔料分散体および熱可塑性樹脂粒子分散体1を下記各成分と混合した。
上記で得られたブラック顔料分散体および熱可塑性樹脂粒子分散体1を下記各成分と混合した。
なお、イオン交換水の「残部」とは、インクを構成する全成分の合計が100.0質量%となる量のことである。
・ブラック顔料分散体(顔料の含有量:10.0質量%) 40.0質量%
・熱可塑性樹脂粒子分散体1(樹脂の含有量:25.0質量%) 20.0質量%
・グリセリン 7.0質量%
・プルロニックL−31(商品名、株式会社アデカ製) 3.0質量%
・アセチレノールE100(商品名、川研ファインケミカル株式会社製) 0.5質量%
・イオン交換水 残部
上記の各成分を十分撹拌して分散した後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フイルム株式会社製)にて加圧ろ過を行い、ブラックインクを調製した。
・ブラック顔料分散体(顔料の含有量:10.0質量%) 40.0質量%
・熱可塑性樹脂粒子分散体1(樹脂の含有量:25.0質量%) 20.0質量%
・グリセリン 7.0質量%
・プルロニックL−31(商品名、株式会社アデカ製) 3.0質量%
・アセチレノールE100(商品名、川研ファインケミカル株式会社製) 0.5質量%
・イオン交換水 残部
上記の各成分を十分撹拌して分散した後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フイルム株式会社製)にて加圧ろ過を行い、ブラックインクを調製した。
<補助液の調製>
(補助液1の調製)
上記で得られた熱可塑性樹脂粒子分散体1を下記各成分と混合した。なお、イオン交換水の残部は、補助液を構成する全成分の合計が100.0質量%となる量のことである。
・熱可塑性樹脂粒子分散体1 40.0質量%
・グリセリン 7.0質量%
・水溶性樹脂:スチレン−アクリル酸ブチル−アクリル酸共重合体(酸価:132mgKOH/g、重量平均分子量:7,700、Tg:78℃、固形分:20%、水酸化カリウムにて中和済み) 5質量%
・アセチレノールE100(商品名、川研ファインケミカル株式会社製) 0.5質量%
・イオン交換水 残部
上記の各成分を混合し、十分撹拌して分散した後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フイルム株式会社製)にて加圧ろ過を行い、補助液1を調製した。
(補助液1の調製)
上記で得られた熱可塑性樹脂粒子分散体1を下記各成分と混合した。なお、イオン交換水の残部は、補助液を構成する全成分の合計が100.0質量%となる量のことである。
・熱可塑性樹脂粒子分散体1 40.0質量%
・グリセリン 7.0質量%
・水溶性樹脂:スチレン−アクリル酸ブチル−アクリル酸共重合体(酸価:132mgKOH/g、重量平均分子量:7,700、Tg:78℃、固形分:20%、水酸化カリウムにて中和済み) 5質量%
・アセチレノールE100(商品名、川研ファインケミカル株式会社製) 0.5質量%
・イオン交換水 残部
上記の各成分を混合し、十分撹拌して分散した後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フイルム株式会社製)にて加圧ろ過を行い、補助液1を調製した。
(補助液2の調製)
上記で得られた熱可塑性樹脂粒子分散体1およびロジン系樹脂粒子分散体1を下記各成分と混合した。なお、イオン交換水の残部は、補助液を構成する全成分の合計が100.0質量%となる量のことである。
・熱可塑性樹脂粒子分散体1 40.0質量%
・ロジン系樹脂粒子分散体1 8.0質量%
・グリセリン 7.0質量%
・水溶性樹脂:スチレン−アクリル酸ブチル−アクリル酸共重合体(酸価:132mgKOH/g、重量平均分子量:7,700、Tg:78℃、固形分:20%、水酸化カリウムにて中和済み) 5質量%
・アセチレノールE100(商品名、川研ファインケミカル株式会社製) 0.5質量%
・イオン交換水 残部
上記の各成分を混合し、十分撹拌して分散した後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フイルム株式会社製)にて加圧ろ過を行い、補助液2を調製した。
(補助液3の調製)
上記で得られた熱可塑性樹脂粒子分散体1を下記各成分と混合した。なお、イオン交換水の残部は、補助液を構成する全成分の合計が100.0質量%となる量のことである。
・熱可塑性樹脂粒子分散体1 40.0質量%
・グリセリン 7.0質量%
・水溶性樹脂:スチレン−アクリル酸ブチル−アクリル酸共重合体(酸価:132mgKOH/g、重量平均分子量:7,700、Tg:78℃、固形分:20%、水酸化カリウムにて中和済み) 5質量%
・アデカプルロニックL−31(商品名、株式会社アデカ製) 3.0質量%
・アセチレノールE100(商品名、川研ファインケミカル株式会社製) 0.5質量%
・イオン交換水 残部
上記の各成分を混合し、十分撹拌して分散した後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フイルム株式会社製)にて加圧ろ過を行い、補助液3を調製した。
上記で得られた熱可塑性樹脂粒子分散体1およびロジン系樹脂粒子分散体1を下記各成分と混合した。なお、イオン交換水の残部は、補助液を構成する全成分の合計が100.0質量%となる量のことである。
・熱可塑性樹脂粒子分散体1 40.0質量%
・ロジン系樹脂粒子分散体1 8.0質量%
・グリセリン 7.0質量%
・水溶性樹脂:スチレン−アクリル酸ブチル−アクリル酸共重合体(酸価:132mgKOH/g、重量平均分子量:7,700、Tg:78℃、固形分:20%、水酸化カリウムにて中和済み) 5質量%
・アセチレノールE100(商品名、川研ファインケミカル株式会社製) 0.5質量%
・イオン交換水 残部
上記の各成分を混合し、十分撹拌して分散した後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フイルム株式会社製)にて加圧ろ過を行い、補助液2を調製した。
(補助液3の調製)
上記で得られた熱可塑性樹脂粒子分散体1を下記各成分と混合した。なお、イオン交換水の残部は、補助液を構成する全成分の合計が100.0質量%となる量のことである。
・熱可塑性樹脂粒子分散体1 40.0質量%
・グリセリン 7.0質量%
・水溶性樹脂:スチレン−アクリル酸ブチル−アクリル酸共重合体(酸価:132mgKOH/g、重量平均分子量:7,700、Tg:78℃、固形分:20%、水酸化カリウムにて中和済み) 5質量%
・アデカプルロニックL−31(商品名、株式会社アデカ製) 3.0質量%
・アセチレノールE100(商品名、川研ファインケミカル株式会社製) 0.5質量%
・イオン交換水 残部
上記の各成分を混合し、十分撹拌して分散した後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フイルム株式会社製)にて加圧ろ過を行い、補助液3を調製した。
<反応液用の樹脂粒子の調製>
(樹脂粒子1及び3)
ノニオン性の乳化剤の存在下、酸化ポリエチレンワックス又は酸化ポリプロピレンワックスを乳化させた。乳化の際には、温度及び圧力を適宜調整して所定の粒子径の樹脂粒子となるように制御した。適量の純水を添加して、樹脂粒子(固形分)の含有量が50.0%である樹脂粒子の水分散液を調製した。
(樹脂粒子1及び3)
ノニオン性の乳化剤の存在下、酸化ポリエチレンワックス又は酸化ポリプロピレンワックスを乳化させた。乳化の際には、温度及び圧力を適宜調整して所定の粒子径の樹脂粒子となるように制御した。適量の純水を添加して、樹脂粒子(固形分)の含有量が50.0%である樹脂粒子の水分散液を調製した。
(樹脂粒子2、5、及び6)
下記表1に記載の市販の樹脂粒子の水分散液の濃度を調整して、樹脂粒子(固形分)の含有量が50.0%である樹脂粒子の水分散液を調製した。
下記表1に記載の市販の樹脂粒子の水分散液の濃度を調整して、樹脂粒子(固形分)の含有量が50.0%である樹脂粒子の水分散液を調製した。
(樹脂粒子4)
撹拌機、還流冷却装置、及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、ブチルメタクリレート18.0部、メタクリル酸0.35部、重合開始剤2.0部、及びn−ヘキサデカン2.0部を入れ、反応系に窒素ガスを導入しながら0.5時間撹拌した。重合開始剤としては、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)を用いた。次いで、乳化剤(商品名「NIKKOL BC15」、日光ケミカルズ製)の6.0%水溶液78.0部を滴下し、0.5時間撹拌して混合物を得た。超音波照射機を使用して超音波を3時間照射して混合物を乳化させた後、窒素雰囲気下、80℃で4時間重合反応を行った。25℃まで冷却してろ過し、適量の純水を添加して、樹脂粒子4(固形分)の含有量が50.0%である樹脂粒子4の水分散液を調製した。
撹拌機、還流冷却装置、及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、ブチルメタクリレート18.0部、メタクリル酸0.35部、重合開始剤2.0部、及びn−ヘキサデカン2.0部を入れ、反応系に窒素ガスを導入しながら0.5時間撹拌した。重合開始剤としては、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)を用いた。次いで、乳化剤(商品名「NIKKOL BC15」、日光ケミカルズ製)の6.0%水溶液78.0部を滴下し、0.5時間撹拌して混合物を得た。超音波照射機を使用して超音波を3時間照射して混合物を乳化させた後、窒素雰囲気下、80℃で4時間重合反応を行った。25℃まで冷却してろ過し、適量の純水を添加して、樹脂粒子4(固形分)の含有量が50.0%である樹脂粒子4の水分散液を調製した。
調製した樹脂粒子1〜6の特性を表1に示す。
<反応液の調製>
表2に示す各成分(単位:%)を混合し、十分撹拌した後、ポアサイズ3.0μmのセルロースアセテートフィルター(アドバンテック製)にて加圧ろ過を行い、反応液を調製した。表2中、「ポリアリルアミン」としては、商品名「PAA−HCL−01」(日東紡製)を用いた。
表2に示す各成分(単位:%)を混合し、十分撹拌した後、ポアサイズ3.0μmのセルロースアセテートフィルター(アドバンテック製)にて加圧ろ過を行い、反応液を調製した。表2中、「ポリアリルアミン」としては、商品名「PAA−HCL−01」(日東紡製)を用いた。
<画像記録方法>
図1に示す転写型インクジェット記録装置100を使用して画像を記録した。
図1に示す転写型インクジェット記録装置100を使用して画像を記録した。
転写体101は両面テープにより支持部材102の表面に固定した。厚さ0.5mmのポリエチレンテレフタレート(PET)シートに、シリコーンゴム(商品名:KE12、信越化学工業株式会社製)を0.3mmの厚さでコーティングしたシートを転写体101の弾性層として用いた。さらに、グリシドキシプロピルトリエトキシシランとメチルトリエトキシシランとをモル比1:1で混合し、加熱還流することで得られる縮合物と、光カチオン重合開始剤(商品名:SP150、ADEKA製)との混合物を調製した。前記弾性層表面の水の接触角が10度以下となるように大気圧プラズマ処理を行った。その後、前記混合物を前記弾性層上に付与し、UV照射(高圧水銀ランプ、積算露光量:5000mJ/cm2)、熱硬化(150℃、2時間)により成膜し、前記弾性層上に厚さ0.5μmの表面層が形成された転写体101を作製した。
この転写体に、反応液付与装置103により反応液を0.5g/m2付与した。
反応液が付与された転写体上に、インクジェットデバイス104から、それぞれ上記で調製したインク1および各補助液を付与して、第二の中間画像(5cm×5cmのベタ画像)を中間転写体101上に形成した。この第二の中間画像の記録デューティは200%(インク、補助液の各記録デューティが100%)とした。なお、本実施例で用いた画像記録装置では、解像度1,200dpi×1,200dpiで1/1,200インチ×1/1,200インチの単位領域に3.0n(ナノ)gのインク滴を1滴付与する条件を、記録デューティが100%であると定義される。
実施例5では液体除去手段として、液吸収部材(吸収体)を用いた。本実施例では、液吸収部材105aをエタノール95部、水5部からなる処理液に浸漬させ、浸透させた後、水100部からなる液に置換し、その後液体除去に使用した。
また、転写体101と液吸収部材105aとの間のニップ圧は、平均圧力が2kg/cm2となるよう液吸収部材105bに圧力が印加されている。また、液吸収手段における押圧部材105bはローラ直径φ200mmのものを用いた。
液吸収部材105aは、平均孔径0.4μmのPTFEに不織布HOP(廣瀬製紙株式会社製)を熱ラミネートで積層したものを用いた。この吸収部材105aのガーレは5秒であった。
それ以外の実施例では加熱装置110での赤外線ヒーターによって、液除去を行った。
転写体101の移動速度と同等の速度となるように、記録媒体繰り出しローラ107a及び記録媒体巻き取りローラ107bを駆動させて記録媒体108を搬送した。転写体101と押圧部材106の間で記録媒体108と中間画像を接触させ、中間画像を転写体101から記録媒体108へと転写してベタ画像を記録した。記録媒体108としては、OKプリンス上質紙(商品名、王子製紙株式会社製、坪量127g/m2)を用いた。中間転写体101の表面の温度は、赤外放射温度計を用いて測定した。転写体101と押圧部材106の間のニップ圧は、3kg/cm2に調整した。
各実施例及び各比較例において、反応液、反応液の樹脂粒子、補助液、吸収体による液体除去(液体除去工程)、及び、転写温度をそれぞれ表3に示す組み合わせで評価を行った。
<評価>
本発明においては、下記の各項目の評価基準で、「A」及び「B」を許容できるレベル、「C」を許容できないレベルとした。評価結果を表4に示す。
本発明においては、下記の各項目の評価基準で、「A」及び「B」を許容できるレベル、「C」を許容できないレベルとした。評価結果を表4に示す。
<転写性>
前記画像形成における、本装置の転写性を評価した。画像転写後の記録媒体を目視する
ことにより評価した。評価基準は以下の通りである。
前記画像形成における、本装置の転写性を評価した。画像転写後の記録媒体を目視する
ことにより評価した。評価基準は以下の通りである。
A:100回印字した画像の全てが十分な濃度であった。
B:100回続けて形成した画像のうち、ごく一部の回の画像の濃度がわずかに低く見えたが、問題ない程度であった。
C:100回続けて形成した画像の中に、水準の濃度に満たない画像が含まれていた。
転写が十分行われず、転写体上に画像が残ったことが原因と考えられる。
転写が十分行われず、転写体上に画像が残ったことが原因と考えられる。
<耐擦過性>
記録したベタ画像を切断して25mm幅の2枚の短冊状試験片を作製した。作製した短冊状試験片を学振型試験機(耐摩耗試験機、井本製作所製)の擦過子に設置し、荷重300g、100gの2条件で10回の摩擦試験を行った。摩耗試験後の短冊状試験片を目視及び倍率5倍のルーペで確認し、以下に示す評価基準にしたがって画像の耐擦過性を評価した。
AA:荷重300g、100gの条件においてルーペで確認される擦過痕が生じていなかった。
記録したベタ画像を切断して25mm幅の2枚の短冊状試験片を作製した。作製した短冊状試験片を学振型試験機(耐摩耗試験機、井本製作所製)の擦過子に設置し、荷重300g、100gの2条件で10回の摩擦試験を行った。摩耗試験後の短冊状試験片を目視及び倍率5倍のルーペで確認し、以下に示す評価基準にしたがって画像の耐擦過性を評価した。
AA:荷重300g、100gの条件においてルーペで確認される擦過痕が生じていなかった。
A:荷重100gの条件ではルーペで確認される擦過痕が生じていなかったが、
荷重300gの条件ではわずかにルーペで確認される擦過痕が生じていた。
荷重300gの条件ではわずかにルーペで確認される擦過痕が生じていた。
B:荷重300g、100gの条件の両方において、ルーペで確認される過痕が生じていたが、両方の条件において目視で確認される擦過痕が生じていなかった。
C:荷重300g、100gの条件の両方において目視で確認される擦過痕が生じていた。
100 転写型インクジェット記録装置
101 転写体
102 支持部材
103 反応液付与装置
104 インク付与装置
105 液除去装置
106 転写用の押圧部材
107 記録媒体搬送装置
108 記録媒体
109 転写体クリーニング部材
110 加熱装置
101 転写体
102 支持部材
103 反応液付与装置
104 インク付与装置
105 液除去装置
106 転写用の押圧部材
107 記録媒体搬送装置
108 記録媒体
109 転写体クリーニング部材
110 加熱装置
Claims (7)
- 転写体上に、インクを増粘せしめる反応液を付与する反応液付与工程と、
前記転写体上の前記反応液が付与される領域と少なくとも一部で重なるように、色材を含むインクを付与して第一の中間画像を形成するインク付与工程と、
前記第一の中間画像に、熱可塑性樹脂粒子を含む転写補助液を付与して第二の中間画像を形成する転写補助液付与工程と、
前記第二の中間画像を、前記転写体から記録媒体に転写する転写工程と、
を有するインクジェット記録方法であって、
前記転写工程における転写温度は、前記熱可塑性樹脂粒子のガラス転移温度以上であり、
前記反応液は、ヒドロキシ酸、及び、ポリオレフィン樹脂で形成された樹脂粒子を含むこと特徴とするインクジェット記録方法。 - 前記転写補助液付与工程の後であり、かつ、前記転写工程の前において、前記第二の中間画像が形成された前記転写体に多孔質体を接触させ、前記第二の中間画像に含まれる液体成分の少なくとも一部を除去する液体除去工程を含む請求項1に記載のインクジェット記録方法。
- 前記転写温度を前記ポリオレフィン樹脂で形成された樹脂粒子の融点以上にする請求項1または2に記載のインクジェット記録方法。
- 前記転写補助液は、さらにロジン系樹脂粒子を含有する請求項1〜4のいずれか一項に記載のインクジェット記録方法。
- 前記樹脂粒子が、ノニオン性の乳化剤により乳化されたものである請求項1〜5のいずれか一項に記載のインクジェット記録方法。
- 前記ポリオレフィン樹脂がポリエチレン樹脂を含む請求項1〜6のいずれか一項に記載のインクジェット記録方法。
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---|---|---|---|
JP2019003119A JP2020110964A (ja) | 2019-01-11 | 2019-01-11 | インクジェット記録方法 |
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