以下、図面を参照して、X線検出器及びX線CT装置の実施形態について説明する。なお、本願に係るX線検出器及びX線CT装置は、以下に示す実施形態によって限定されるものではない。また、以下の説明において、同様の構成要素には共通の符号を付与するとともに、重複する説明を省略する。
(第1の実施形態)
第1の実施形態では、図1に示すX線CT装置1について説明する。図1は、第1の実施形態に係るX線CT装置1の構成の一例を示すブロック図である。図1に示すように、X線CT装置1は、架台装置10と、寝台装置30と、コンソール装置40とを有する。
図1においては、非チルト状態での回転フレーム13の回転軸又は寝台装置30の天板33の長手方向をZ軸方向とする。また、Z軸方向に直交し、床面に対し水平である軸方向をX軸方向とする。また、Z軸方向に直交し、床面に対し垂直である軸方向をY軸方向とする。なお、図1は、説明のために架台装置10を複数方向から描画したものであり、X線CT装置1が架台装置10を1つ有する場合を示す。
架台装置10は、X線管11と、X線検出器12と、回転フレーム13と、X線高電圧装置14と、制御装置15と、ウェッジ16と、コリメータ17と、DAS18とを有する。
X線管11は、熱電子を発生する陰極(フィラメント)と、熱電子の衝突を受けてX線を発生する陽極(ターゲット)とを有する真空管である。X線管11は、X線高電圧装置14からの高電圧の印加により、陰極から陽極に向けて熱電子を照射することで、被検体Pに対し照射するX線を発生する。例えば、X線管11には、回転する陽極に熱電子を照射することでX線を発生させる回転陽極型のX線管がある。
X線検出器12は、X線を検出する検出素子を複数有する。X線検出器12における各検出素子は、X線管11から照射されて被検体Pを通過したX線を検出し、検出したX線量に対応した信号をDAS18へと出力する。X線検出器12は、例えば、X線管11の焦点を中心とした1つの円弧に沿ってチャンネル方向(チャネル方向、ch方向)に複数の検出素子が配列された複数の検出素子列を有する。X線検出器12は、例えば、チャンネル方向に複数の検出素子が配列された検出素子列が列方向(スライス方向、row方向)に複数配列された構造を有する。
例えば、X線検出器12は、グリッドと、シンチレータアレイと、光センサアレイとを有する間接変換型の検出器である。シンチレータアレイは、複数のシンチレータを有する。シンチレータは入射X線量に応じた光子量の光を出力するシンチレータ結晶を有する。グリッドは、シンチレータアレイのX線入射側の面に配置され、散乱X線を吸収するX線遮蔽板を有する。なお、グリッドはコリメータ(1次元コリメータ又は2次元コリメータ)と呼ばれる場合もある。光センサアレイは、シンチレータからの光量に応じた電気信号に変換する機能を有し、例えば、フォトダイオード等の光センサを有する。なお、X線検出器12は、入射したX線を電気信号に変換する半導体素子を有する直接変換型の検出器であっても構わない。
ここで、本実施形態に係るX線検出器12は、少ない列数で構成されたモジュールが列方向に配列された構造を有する。また、X線検出器12は、少ないチャネル数で構成されたモジュールがチャネル方向に配列された構造を有する。図2は、第1の実施形態に係るX線検出器12の一例を示す図である。ここで、図2においては、チャンネル方向(図中、ch)に4列、列方向(図中、row)に32列の検出素子121を有するX線検出器12の例を示す。例えば、X線検出器12は、図2に示すように、チャネル方向に4列、列方向に4列の検出素子を並べたモジュール120を、列方向に8列並べた構造を有する。なお、図2においては、チャンネル方向に4列、列方向に32列の複数の検出素子121を示しているが、実際には、X線検出器12は、図2に示す複数の検出素子121が、チャンネル方向に複数配列された構造を有する。すなわち、X線検出器12は、チャンネル方向に4列、列方向に4列の検出素子を並べたモジュール120が、列方向に8列、チャンネル方向に複数列、タイル状に並べられた構造を有する。なお、複数の検出素子121を含むモジュール120をタイル状に並べることをタイリングとも呼ぶ。
図1に戻って、回転フレーム13は、X線管11とX線検出器12とを対向支持し、制御装置15によってX線管11とX線検出器12とを回転させる円環状のフレームである。例えば、回転フレーム13は、アルミニウムを材料とした鋳物である。なお、回転フレーム13は、X線管11及びX線検出器12に加えて、X線高電圧装置14やウェッジ16、コリメータ17、DAS18等を更に支持することもできる。更に、回転フレーム13は、図1において図示しない種々の構成を更に支持することもできる。以下では、架台装置10において、回転フレーム13、及び、回転フレーム13と共に回転移動する部分を、回転部とも記載する。
X線高電圧装置14は、変圧器(トランス)及び整流器等の電気回路を有し、X線管11に印加する高電圧を発生する高電圧発生装置と、X線管11が発生するX線に応じた出力電圧の制御を行うX線制御装置とを有する。高電圧発生装置は、変圧器方式であってもよいし、インバータ方式であってもよい。なお、X線高電圧装置14は、回転フレーム13に設けられてもよいし、図示しない固定フレームに設けられても構わない。
制御装置15は、CPU(Central Processing Unit)等を有する処理回路と、モータ及びアクチュエータ等の駆動機構とを有する。制御装置15は、入力インターフェース43からの入力信号を受けて、架台装置10及び寝台装置30の動作制御を行う。例えば、制御装置15は、回転フレーム13の回転や架台装置10のチルト、寝台装置30及び天板33の動作等について制御を行う。一例を挙げると、制御装置15は、架台装置10をチルトさせる制御として、入力された傾斜角度(チルト角度)情報により、X軸方向に平行な軸を中心に回転フレーム13を回転させる。なお、制御装置15は架台装置10に設けられてもよいし、コンソール装置40に設けられてもよい。
ウェッジ16は、X線管11から照射されたX線量を調節するためのフィルタである。具体的には、ウェッジ16は、X線管11から被検体Pへ照射されるX線が、予め定められた分布になるように、X線管11から照射されたX線を透過して減衰するフィルタである。例えば、ウェッジ16は、ウェッジフィルタ(wedge filter)やボウタイフィルタ(bow-tie filter)であり、所定のターゲット角度や所定の厚みとなるようにアルミニウム等を加工したフィルタである。
コリメータ17は、ウェッジ16を透過したX線の照射範囲を絞り込むための鉛板等であり、複数の鉛板等の組み合わせによってスリットを形成する。なお、コリメータ17は、X線絞りと呼ばれる場合もある。また、図1においては、X線管11とコリメータ17との間にウェッジ16が配置される場合を示すが、X線管11とウェッジ16との間にコリメータ17が配置される場合であってもよい。この場合、ウェッジ16は、X線管11から照射され、コリメータ17により照射範囲が制限されたX線を透過して減衰させる。
DAS18は、X線検出器12が有する各検出素子によって検出されるX線の信号を収集する。例えば、DAS18は、各検出素子から出力される電気信号に対して増幅処理を行う増幅器と、電気信号をデジタル信号に変換するA/D変換器(ADC:Analog-to-Digital converter)とを有し、検出データを生成する。DAS18は、例えば、プロセッサにより実現される。
ここで、DAS18は、X線検出器12における検出素子群ごとに、X線の信号を逐次収集する。即ち、DAS18は、逐次収集方式のDASである。例えば、DAS18は、検出素子群における各検出素子とスイッチを介して接続され、接続をオンにする検出素子を切り替えながら、各検出素子にて積分された電荷を逐次読み出す。
DAS18が生成したデータは、回転フレーム13に設けられた発光ダイオード(Light Emitting Diode: LED)を有する送信機から、光通信によって、架台装置10の非回転部分(例えば、固定フレーム等。図1での図示は省略している)に設けられた、フォトダイオードを有する受信機に送信され、コンソール装置40へと転送される。ここで、非回転部分とは、例えば、回転フレーム13を回転可能に支持する固定フレーム等である。なお、回転フレーム13から架台装置10の非回転部分へのデータの送信方法は、光通信に限らず、非接触型の如何なるデータ伝送方式を採用してもよいし、接触型のデータ伝送方式を採用しても構わない。
寝台装置30は、撮影対象の被検体Pを載置、移動させる装置であり、基台31と、寝台駆動装置32と、天板33と、支持フレーム34とを有する。基台31は、支持フレーム34を鉛直方向に移動可能に支持する筐体である。寝台駆動装置32は、被検体Pが載置された天板33を、天板33の長軸方向に移動する駆動機構であり、モータ及びアクチュエータ等を含む。支持フレーム34の上面に設けられた天板33は、被検体Pが載置される板である。なお、寝台駆動装置32は、天板33に加え、支持フレーム34を天板33の長軸方向に移動してもよい。
コンソール装置40は、メモリ41と、ディスプレイ42と、入力インターフェース43と、処理回路44とを有する。なお、コンソール装置40は架台装置10とは別体として説明するが、架台装置10にコンソール装置40又はコンソール装置40の各構成要素の一部が含まれてもよい。
メモリ41は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等により実現される。メモリ41は、例えば、投影データや再構成画像データを記憶する。また、例えば、メモリ41は、X線CT装置1に含まれる回路がその機能を実現するためのプログラムを記憶する。なお、メモリ41は、X線CT装置1とネットワークを介して接続されたサーバ群(クラウド)により実現されることとしてもよい。
ディスプレイ42は、各種の情報を表示する。例えば、ディスプレイ42は、処理回路44によって生成された各種の画像を表示したり、操作者から各種の操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)を表示したりする。例えば、ディスプレイ42は、液晶ディスプレイやCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイである。ディスプレイ42は、デスクトップ型でもよいし、コンソール装置40本体と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。
入力インターフェース43は、操作者から各種の入力操作を受け付けて、受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路44に出力する。例えば、入力インターフェース43は、投影データを収集する際の収集条件(撮影条件)の入力操作を操作者から受け付ける。なお、撮影条件については後述する。また、例えば、入力インターフェース43は、CT画像データを再構成する際の再構成条件や、CT画像データから後処理画像を生成する際の画像処理条件等の入力操作を操作者から受け付ける。
例えば、入力インターフェース43は、マウスやキーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチスクリーン、光学センサを用いた非接触入力回路、音声入力回路等により実現される。なお、入力インターフェース43は、架台装置10に設けられてもよい。また、入力インターフェース43は、コンソール装置40本体と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。また、入力インターフェース43は、マウスやキーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、コンソール装置40とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を処理回路44へ出力する電気信号の処理回路も入力インターフェース43の例に含まれる。
処理回路44は、X線CT装置1全体の動作を制御する。なお、処理回路44は、コンソール装置40に含まれる場合に限られない。例えば、処理回路44は、複数の医用画像診断装置にて取得された検出データに対する処理を一括して行なう統合サーバに含まれてもよい。例えば、処理回路44は、システム制御機能441、前処理機能442、生成機能443及び出力機能444を実行する。
システム制御機能441は、入力インターフェース43を介して操作者から受け付けた入力操作に基づいて、X線CT装置1における種々の処理を制御する。例えば、システム制御機能441は、X線CT装置1における寝台駆動装置32、コリメータ17、制御装置15、X線高電圧装置14等を制御して、位置決めスキャンや、本スキャンを実行する。
前処理機能442は、DAS18から送信された検出データに対して、対数変換処理や、オフセット補正、感度補正、ビームハードニング補正等の補正処理を行なうことで、投影データを生成する。そして、前処理機能442は、生成した投影データをメモリ41に格納する。なお、前処理前のデータ(検出データ)および前処理後のデータを総称して投影データと称する場合もある。
生成機能443は、メモリ41によって記憶された投影データから各種画像を生成し、生成した画像をメモリ41に格納する。例えば、生成機能443は、投影データを種々の再構成法(例えば、FBP(Filtered Back Projection)などの逆投影法や、逐次近似法など)によって再構成することでCT画像データを再構成し、再構成したCT画像データをメモリ41に格納する。また、生成機能443は、種々の画像処理を行うことにより、CT画像データからMPR画像などのCT画像を生成して、生成したCT画像をメモリ41に格納する。
出力機能444は、CT画像や、CT画像データ等を出力する。例えば、出力機能444は、CT画像をディスプレイ42に表示させる。また、例えば、出力機能444は、CT画像データを、X線CT装置1とネットワークを介して接続された外部装置(例えば、画像データを保管するサーバ装置等)に出力する。
図1に示すX線CT装置1においては、各処理機能がコンピュータによって実行可能なプログラムの形態でメモリ41へ記憶されている。処理回路44は、メモリ41からプログラムを読み出して実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路44は、読み出したプログラムに対応する機能を有することとなる。
なお、図1においては、システム制御機能441、前処理機能442、生成機能443及び出力機能444の各処理機能が単一の処理回路44によって実現される場合を示したが、実施形態はこれに限られるものではない。例えば、処理回路44は、複数の独立したプロセッサを組み合わせて構成され、各プロセッサが各プログラムを実行することにより各処理機能を実現するものとしても構わない。また、処理回路44が有する各処理機能は、単一又は複数の処理回路に適宜に分散又は統合されて実現されてもよい。
以上、本実施形態に係るX線CT装置1の全体構成について説明した。かかる構成のもと、本実施形態に係るX線CT装置1は、複数の検出素子で構成されるモジュールを用いたX線検出器において、逐次収集を適切に行うことを可能にする。具体的には、X線CT装置1は、複数の検出素子で構成されるモジュールを列方向及びチャネル方向のうち少なくとも1つの方向に並べたX線検出器において、逐次収集を適切に行うことを可能にする。より具体的には、各検出素子の読み出しタイミングに応じて、各モジュール間の読み出しタイミングを調整することで、逐次収集を適切に行うことを可能にする。
ここで、まず、逐次収集方式について説明する。例えば、逐次収集方式では、X線検出器12の列方向に沿って配列された複数の検出素子(例えば、図2においては32個)から成る検出素子群ごとにADCが配置される。すなわち、ADCがチャンネル数分配置される。そして、DAS18が、検出素子群の各々とスイッチを介して接続され、X線管11がX線を発生させている間、検出素子群によって検出されたX線の信号を逐次収集する。
例えば、DAS18が、検出素子群における第1の検出素子との接続をオンにすることで、第1の検出素子にて積分された電荷がX線の信号として読み出される。次に、DAS18が、第1の検出素子との接続をオフにするとともに、第1の検出素子に隣接する第2の検出素子との接続をオンにすることで、第2の検出素子にて積分された電荷がX線の信号として読み出される。なお、DAS18との接続がオフとなることにより、各検出素子では、電荷の積分が開始される。同様に、DAS18は、検出素子群における各検出素子について、各検出素子にて積分された電荷がX線の信号として逐次読み出されるように制御する。
DAS18は、ビューごとに上記した制御を実行することで、ビューごとの検出データを収集する。すなわち、DAS18は、1つのビューにおいて、検出素子群から素子数分の信号を逐次収集する。同様に、DAS18は、次のビューにおいて、素子数分の信号を逐次収集する。
上述したように、逐次収集方式では、列方向に沿った複数の検出素子から逐次収集を行うが、本実施形態のX線検出器12のように複数の検出素子がタイリングされている場合、モジュール間で隣接する2つの検出素子間での読み出しタイミングにギャップが生じてしまい、アーチファクトが発生する場合がある。
以下、図2に示すタイリングされたX線検出器12において、上述した逐次収集を行う場合を例に挙げて説明する。例えば、図2に示すX線検出器12において列方向に逐次収集を行う場合、モジュール120ごとにADCが設けられ、モジュールごとに列方向に逐次収集が実行される。
一例を挙げると、図2における各モジュール120において、列方向を横方向とした場合の右端の検出素子121から左端の検出素子121に向けてそれぞれ逐次収集すると、隣接するモジュール120で隣接する検出素子121の読み出しタイミングに大きなずれが生じることとなる。例えば、図2の左端のモジュール120における右端の検出素子121は、逐次収集の開始のタイミングで読み出されるが、図2の左から2番目のモジュール120における左端の検出素子121は、逐次収集開始から3回目の収集におけるタイミングで読み出されることとなる。
すなわち、各モジュール120において逐次収集を同時に開始すると、右端の検出素子121の読み出しタイミングは最初であり、左端の検出素子121の読み出しタイミングは、モジュール120の列方向の4つの検出素子の最後となる。したがって、右端の検出素子121と、左端の検出素子121とは隣接しているにもかかわらず、読み出しタイミングに大きなずれが生じることとなり、アーチファクトが発生する場合がある。なお、同一のモジュール120に含まれる複数の検出素子121における逐次収集の読み出しタイミングのずれは大きくないため、視認できるアーチファクトが発生することはない。
上述したように、複数の検出素子で構成されるモジュールを列方向に並べたX線検出器12においては、通常の逐次収集を行うとアーチファクトが生じるおそれがある。そこで、第1の実施形態に係るX線CT装置1では、各検出素子の読み出しタイミングに応じて、各モジュール間の読み出しタイミングを調整することで、逐次収集を適切に行うことを可能にする。
図3は、第1の実施形態に係るX線検出器12の回路構成の一例を示す図である。なお、図3においては、列方向に並んだ3つのモジュール120の回路構成について示すが、実際には、図2に示すように、8つのモジュール120が列方向に並んでいる。
例えば、X線検出器12は、図3に示すように、複数のモジュール120と、ADC123aと、ADC123bと、制御回路124とを有する。ここで、モジュール120は、検出アレイの一例である。また、ADC123a及びADC123bは、処理部の一例である。また、制御回路124は、制御部の一例である。
複数のモジュール120は、複数の検出素子121をそれぞれ含む。例えば、複数のモジュール120は、4つの検出素子1211及び4つの検出素子1212をそれぞれ含む。ここで、図3におけるモジュール120に示す検出素子1211及び検出素子1212は、それぞれ列方向に配列された4つの検出素子を示す。すなわち、図3においては、4つの検出素子1211と4つの検出素子1212とが1列に並んでいるが、実際には、4つの検出素子1211と4つの検出素子1212とは、チャンネル方向に配列されている。
例えば、4つの検出素子1211は、図2のモジュールにおいて、列方向を横方向にした場合の最上段のチャンネルにおける4つの検出素子に相当する。また、4つの検出素子1212は、図2のモジュールにおいて、列方向を横方向にした場合の上から2段目のチャンネルにおける4つの検出素子に相当する。
そして、検出素子1211は、スイッチ122とADC123bにそれぞれ接続される。そして、検出素子1211は、制御回路124からスイッチ122に入力されるスタートパルス信号(SP信号)に応じて、電気信号をADC123bに出力する。また、検出素子1212は、スイッチ122とADC123aにそれぞれ接続される。そして、検出素子1212は、制御回路124からスイッチ122に入力されるSP信号に応じて、電気信号をADC123aに出力する。なお、図3においては、各モジュール120が、チャンネル方向に2列分の検出素子群を含むことを示しているが、実際には、チャンネル方向にさらに2列分の検出素子群を含み、各検出素子群は、スイッチとADCにそれぞれ接続される。そして、各検出素子群に対して、以下で説明する内容と同様の制御が実行される。
スイッチ122は、例えば、シフトレジスタ等であり、各モジュール120に配置され、制御回路124からSP信号を受け付けて、各検出素子との接続のオン・オフを切り替える。ここで、本実施形態に係るモジュール120は、制御回路124からのSP信号を受け付けるためのポートをそれぞれ備える。すなわち、各モジュール120は、制御回路124からそれぞれ独自にSP信号を受け付ける。
ADC123aは、各モジュール120にそれぞれ含まれる検出素子1212から逐次出力される電気信号を受け付けて、デジタル信号に変換する。ADC123bは、各モジュール120にそれぞれ含まれる検出素子1211から逐次出力される電気信号をデジタル信号に変換する。なお、図示していないが、ADC123a及びADC123bの前段には、検出素子から出力された電気信号に対して増幅処理を行う増幅器が配置される。また、ADC123a及びADC123bは、検出素子121の後段に設けられた基板に配置される場合でもよく、或いは、DAS18に配置される場合でもよい。
制御回路124は、複数のモジュール120間の検出素子の読み出しタイミングを変えるように制御する。具体的には、制御回路124は、検出素子121の後段に設けられた基板、又は、DAS18に配置され、複数のモジュール120間の検出素子の読み出しタイミングに対して遅延を付加する。より具体的には、制御回路124は、各モジュールに対してそれぞれ独自のSP信号を送信することで、モジュールごとの読み出しタイミングを調整する。例えば、制御回路124は、図3における上段のモジュール120のスイッチ122にSP信号「A」を送信することで、4つの検出素子1211及び4つの検出素子1212について電気信号を逐次収集する。ここで、例えば、スイッチ122は、スイッチ122間の矢印の方向に向かって、1ClockごとにSP信号を送信することで、1Clockごとに接続を切り替えて、1Clockずつ読み出しタイミングをずらした逐次収集を実行させる。
同様に、制御回路124は、図3における中段のモジュール120のスイッチ122にSP信号「B」を送信することで、中段のモジュール120における4つの検出素子1211及び4つの検出素子1212について電気信号を逐次収集する。ここで、SP信号「B」は、SP信号「A」に基づく最後の読み出しから1Clockずれたタイミングで、中段のモジュール120における読み出しが開始されるように制御された信号である。これにより、中段のモジュール120において、上段のモジュール120の検出素子1211及び検出素子1212と隣接する検出素子1211及び検出素子1212の読み出しが、上段のモジュール120における読み出しが終わったのち、1Clock後に開始されることとなる。
また、同様に、制御回路124は、図3における下段のモジュール120のスイッチ122にSP信号「C」を送信することで、下段のモジュール120における4つの検出素子1211及び4つの検出素子1212について電気信号を逐次収集する。ここで、SP信号「C」は、SP信号「B」に基づく最後の読み出しから1Clockずれたタイミングで、下段のモジュール120における読み出しが開始されるように制御された信号である。これにより、下段のモジュール120において、中段のモジュール120の検出素子1211及び検出素子1212と隣接する検出素子1211及び検出素子1212の読み出しが、中段のモジュール120における読み出しが終わったのち、1Clock後に開始されることとなる。
上述したように、第1の実施形態に係るX線検出器12は、モジュールごとにSP信号で読み出しタイミングを制御することで、モジュール間での読み出しタイミングのギャップを無くし、逐次収集を適切に行うことを可能にする。
ここで、制御回路124は、複数のモジュール間の読み出し順及び当該複数のモジュールに含まれる複数の検出素子間の読み出し順に応じた遅延を付加する。すなわち、モジュールごとにSP信号で読み出しタイミングを制御することで、モジュール間での読み出しタイミングのギャップを無くす場合、種々の読み出し順で逐次収集することができる。
以下、読み出し順のバリエーションについて、図4A〜図7Bを用いて説明する。図4A、図5A、図6A、図7Aは、第1の実施形態に係る読み出し順の一例を示す図である。また、図4B、図5B、図6B、図7Bは、第1の実施形態に係るX線検出器の回路構成の一例を示す図である。ここで、図4Bは、図4Aに示す読み出し順を実現するための回路構成を示す。また、図5Bは、図5Aに示す読み出し順を実現するための回路構成を示す。また、図6Bは、図6Aに示す読み出し順を実現するための回路構成を示す。また、図7Bは、図7Aに示す読み出し順を実現するための回路構成を示す。なお、図4B、図5B、図6B、図7Bは、図3と同様に、X線検出器12における一部について示す。
例えば、第1の実施形態に係るX線検出器12では、図4Aに示すように、隣接するモジュール120同士でそれぞれ逆方向に読み出しを行うことができる。ここで、図4Aにおいては、列方向を横方向とした場合に、同一の高さにある矢印は、同一のタイミングで読み出しが開始されることを示す。すなわち、図4Aにおいては、すべての矢印が同じ高さにあることから、各モジュール120において、矢印の始点から終点への方向の読み出し順で、始点の読み出しが同時に開始されることを示す。
図4Aに示す読み出し順の場合、X線検出器12は、例えば、図4Bに示す回路構成を有する。ここで、図4Bは、図4AのX線検出器12において列方向を横方向とした場合の左端から3つのモジュールにおける回路構成を示す。すなわち、図4Aにおけるモジュール120の下端が、図4Bにおけるモジュール120の下端に相当する。例えば、X線検出器12は、図4Bに示すように、上段のモジュール120と、下段のモジュール120におけるSP信号の入力向きが図3と異なる。すなわち、図4Bに示すX線検出器12では、図4Aにおいて矢印の始点で示した読み出し開始側の検出素子から読み出しが開始されるように、スイッチ122にSP信号「A」とSP信号「C」が入力される。
ここで、図4Bに示す制御回路124は、全てのモジュール120において同時に読み出しを開始させるSP信号「A」、「B」、「C」を送信する。すなわち、図4Aに示す読み出し順では、隣接するモジュール120同士でそれぞれ逆方向に読み出しを行うため、モジュールの境界において読み出しタイミングに大きなギャップが生じない。
また、例えば、第1の実施形態に係るX線検出器12では、図5Aに示すように、各モジュール120において、中心に対応する検出素子から外側に向かって読み出しを行うことができる。ここで、図5Aにおいては、すべての双方向矢印が同じ高さにあることから、各モジュール120において、双方向矢印の中心から外側への方向の読み出し順で、中心の読み出しが同時に開始されることを示す。
図5Aに示す読み出し順の場合、X線検出器12は、例えば、図5Bに示す回路構成を有する。ここで、図5Bは、図5AのX線検出器12において列方向を横方向とした場合の左端から3つのモジュールにおける回路構成を示す。すなわち、図5Aにおけるモジュール120の下端が、図5Bにおけるモジュール120の下端に相当する。例えば、X線検出器12は、図5Bに示すように、各モジュール120において中心から左右両側に向かってSP信号が入力されるように構成される点が図3と異なる。すなわち、図5Bに示すX線検出器12では、図5Aにおいて双方向矢印の中心で示した読み出し開始位置に対応する検出素子から読み出しが開始されるように、スイッチ122にSP信号「A」、「B」、「C」が入力される。
ここで、図5Bに示すX線検出器12では、各モジュール120において読み出し開始位置に対応する検出素子から左右両側に向かって読み出される際に、左右の検出素子において読み出し順が重ならないように制御される。例えば、X線検出器12は、4つの検出素子1211の中心から左右の検出素子1211に対して交互にClock信号が入力されるように制御することで、左右交互に検出素子1211の電気信号が読み出される。
また、図5Bに示す制御回路124は、全てのモジュール120において同時に読み出しを開始させるSP信号「A」、「B」、「C」を送信する。すなわち、図5Aに示す読み出し順では、中心に対応する検出素子から外側に向かって読み出しを行うため、モジュールの境界において読み出しタイミングに大きなギャップが生じない。
また、例えば、第1の実施形態に係るX線検出器12では、図6Aに示すように、隣接するモジュール120間で、異なる向きでの読み出しと同じ向きでの読み出しを組み合わせた読み出しを行うことができる。例えば、図6Aに示すように、列方向に8つのモジュールが配列されたX線検出器において、隣接する2つのモジュール120ごとに読み出し向きを反転させた読み出し順を実現することができる。
ここで、図6Aにおいては、異なる高さにある矢印同士は、読み出し開始のタイミングが異なることを示す。また、図6Aにおいては、同じ高さにある矢印同士は、読み出し開始のタイミングが同一であることを示す。例えば、図6Aにおいて隣接するモジュール間で矢印の向きが同じものは、矢印の高さが異なることから、矢印の始点における読み出しは異なるタイミングで開始される。すなわち、高い位置の矢印の始点から読み出しが開始され、高い位置の矢印の終点の読み出し後に低い位置の矢印の始点における読み出しが開始される。また、例えば、図6Aにおいて隣接するモジュール間で矢印の向きが異なるものは、矢印の高さが同じであることから、矢印の始点における読み出しは同一のタイミングで開始される。
図6Aに示す読み出し順の場合、X線検出器12は、例えば、図6Bに示す回路構成を有する。ここで、図6Bは、図6AのX線検出器12において列方向を横方向とした場合の左端から3つのモジュールにおける回路構成を示す。すなわち、図6Aにおけるモジュール120の下端が、図6Bにおけるモジュール120の下端に相当する。例えば、X線検出器12は、図6Bに示すように、上段のモジュール120におけるSP信号の入力向きが図3と異なる。すなわち、図6Bに示すX線検出器12では、図6Aにおいて矢印の始点で示した読み出し開始側の検出素子から読み出しが開始されるように、スイッチ122にSP信号「A」が入力される。
ここで、図6Bに示す制御回路124は、隣接するモジュール120間であり、異なる向きで読み出しが開始されるモジュール120に対して同時に読み出しを開始させるSP信号を送信する。例えば、制御回路124は、上段と中段のモジュール120に対して、同時に読み出しを開始させるSP信号「A」及び「B」をそれぞれ送信する。一方、制御回路124は、隣接するモジュール120間であり、同一の向きで読み出しが開始されるモジュール120に対して、異なるタイミングで読み出しを開始させるSP信号を送信する。例えば、制御回路124は、下段のモジュール120に対して、中段のモジュール120における読み出し終了後、1Clockずれたタイミングで読み出しが開始されるようにSP信号「C」を送信する。
すなわち、図6Aに示す読み出し順では、隣接するモジュール120間において、逆方向に読み出しを行う場合に同一のタイミングで読み出しを開始し、同一方向に読み出しを行う場合に読み出しのタイミングに遅延を付加するため、モジュールの境界において読み出しタイミングに大きなギャップが生じない。
また、隣接するモジュール120間で異なる向きでの読み出しと同じ向きでの読み出しを組み合わせた読み出しを行う場合、例えば、第1の実施形態に係るX線検出器12では、図7Aに示す読み出しを行うことができる。例えば、図7Aに示すように、列方向に8つのモジュールが配列されたX線検出器において、連続する4つのモジュール120を含むモジュール群の境界で読み出し向きを反転させた読み出し順を実現することができる。
ここで、図7Aにおいては、異なる高さにある矢印同士は、読み出し開始のタイミングが異なることを示す。また、図7Aにおいては、同じ高さにある矢印同士は、読み出し開始のタイミングが同一であることを示す。例えば、図7Aにおいて矢印の向きが同一のモジュール間では、それぞれ矢印の高さが異なることから、矢印の始点における読み出しは異なるタイミングで開始される。すなわち、高い位置の矢印の始点から読み出しが開始され、高い位置の矢印の終点の読み出し後に低い位置の矢印の始点における読み出しが開始される。また、例えば、図7Aにおいて矢印の高さが同じモジュール間では、矢印の始点における読み出しは同一のタイミングで開始される。
図7Aに示す読み出し順の場合、X線検出器12は、例えば、図7Bに示す回路構成を有する。ここで、図7Bは、図7AのX線検出器12において列方向を横方向とした場合の左端から3つのモジュールにおける回路構成を示す。すなわち、図7Aにおけるモジュール120の下端が、図7Bにおけるモジュール120の下端に相当する。例えば、X線検出器12は、図7Bに示すように、図3と同一の回路構成により、図7Aに示す読み出し順を実現することができる。
すなわち、図7Aに示す読み出し順の場合、同一方向の読み出しを行うモジュール間で読み出し開始のタイミングに遅延を付加し、隣接するモジュール間であり、異なる方向の読み出しを行うモジュール間で読み出しタイミングを同一にする。これにより、モジュールの境界において読み出しタイミングに大きなギャップが生じない。
上述したように、第1の実施形態によれば、複数のモジュール120は、複数の検出素子121を含む。制御回路124は、複数のモジュール120間の検出素子121の読み出しタイミングに対して遅延を付加する。ADCは、複数の検出素子121からの信号を処理する。従って、第1の実施形態に係るX線CT装置1は、モジュール120の境界において、読み出しタイミングに大きなずれが生じることを抑止し、複数の検出素子121で構成されるモジュール120を列方向に並べたX線検出器12において、逐次収集を適切に行うことを可能にする。その結果、X線CT装置1は、逐次収集の性能を損なうことなく、タイリングによってX線検出器12を構成することができ、検出器の低コスト化と広カバレッジ化を可能にする。
(第2の実施形態)
上述した第1の実施形態では、モジュール120ごとに読み出し開始タイミングを調整する場合について説明した。第2の実施形態では、読み出しタイミングを制御する制御線によってモジュール120間を接続することで、逐次収集を適切に行う場合について説明する。すなわち、第2の実施形態に係るX線検出器12では、モジュール120間をデイジーチェーン接続とする場合について説明する。
図8は、第2の実施形態に係るX線検出器12の回路構成の一例を示す図である。なお、図3においては、列方向に並んだ3つのモジュール120の回路構成について示すが、実際には、図2に示すように、8つのモジュール120が列方向に並んでいる。
第2の実施形態に係るX線検出器12は、図8に示すように、複数のモジュール120と、ADC123aと、ADC123bと、制御回路124aと、制御線125とを有する。ここで、制御線125は、制御線の一例である。以下、第1の実施形態において説明した構成と同様の構成を有する点については、図3と同一の符号を付し、説明を省略する。
制御線125は、例えば、検出素子121の後段に設けられた基板に設けられ、複数のモジュール120間を接続し、複数のモジュール120にそれぞれ含まれる複数の検出素子121の読み出しタイミングを関連付ける。例えば、制御線125は、図8に示すように、各モジュール120におけるスイッチ122間を接続し、モジュール120間でのSP信号を伝送する。
制御回路124aは、検出素子121の後段に設けられた基板、又は、DAS18に配置され、スイッチ122にSP信号を送信することで、X線検出器12の読み出しタイミングを制御する。
図8に示すX線検出器12においては、制御回路124aは、図8における上段のモジュール120のスイッチ122にSP信号を送信することで、4つの検出素子1211及び4つの検出素子1212について電気信号を逐次収集するように制御する。ここで、例えば、スイッチ122は、スイッチ122間の矢印の方向に向かって、1ClockごとにSP信号を送信することで、1Clockごとに接続を切り替えて、1Clockずつ読み出しタイミングをずらした逐次収集を実行させる。
そして、上段のモジュール120のスイッチ122は、制御線125を介して、1Clockのタイミングで中段のモジュール120のスイッチ122にSP信号を送信する。これにより、中段のモジュール120における検出素子1211及び検出素子1212において、上段のモジュール120から1Clock読み出しタイミングをずらした逐次収集が実行される。
中段のモジュール120と下段のモジュール120との間においても同様に、制御線125を介してSP信号が伝送されることで、モジュール120間の読み出しタイミングのずれが大きくなることを抑止することができる。図8におけるX線検出器の構成では、例えば、図7Aに示す読み出し順を実現することができる。
また、モジュール120間にデイジーチェーン接続を用いることで、図6Aの読み出し順を実現することもできる。図9は、第2の実施形態に係るX線検出器12の回路構成の一例を示す図である。例えば、図6Aの読み出し順を実現する場合のX線検出器12においては、図9に示すように、上段のモジュール120と中段のモジュール120に対してそれぞれSP信号が入力される。
そして、中段のモジュール120と下段のモジュール120との間で制御線125を介した逐次読み出しが実行される。また、上段のモジュール120とさらに上段のモジュール120(不図示)との間で制御線125を介した逐次読み出しが実行される。
上述したように、第2の実施形態によれば、複数のモジュール120は、複数の検出素子121を含む。制御線125は、複数のモジュール120間を接続し、複数のモジュール120にそれぞれ含まれる複数の検出素子121の読み出しタイミングを関連付ける。ADCは、複数の検出素子121からの信号を処理する。従って、第2の実施形態に係るX線CT装置1は、SP信号によるモジュール120ごとの読み出し制御を行うことなく、モジュール120の境界において、読み出しタイミングに大きなずれが生じることを抑止し、複数の検出素子121で構成されるモジュール120を列方向に並べたX線検出器12において、逐次収集を適切に行うことを可能にする。
(第3の実施形態)
上述した実施形態では、モジュール120ごとに読み出し開始タイミングを調整する場合と、モジュール120間をデイジーチェーン接続とした場合について、それぞれ説明した。第3の実施形態では、モジュール120ごとに読み出し開始タイミングを調整しつつ、モジュール120間をデイジーチェーン接続する場合について説明する。
図10は、第3の実施形態に係るX線検出器12の回路構成の一例を示す図である。なお、図10においては、列方向に並んだ4つのモジュール120の回路構成について示すが、実際には、図2に示すように、8つのモジュール120が列方向に並んでいる。
第3の実施形態に係るX線検出器12は、図10に示すように、複数のモジュール120と、ADC123aと、ADC123bと、制御回路124と、制御線125とを有する。以下、第1及び第2の実施形態において説明した構成と同様の構成を有する点については、図3、図8と同一の符号を付し、説明を省略する。
例えば、第3の実施形態に係るX線検出器12は、図10に示すように、上段のモジュール120と上から2段目のモジュール120とが制御線125によって接続され、上から3段目のモジュール120と下段のモジュール120とが制御線125によって接続される。
そして、制御回路124は、制御線125によって接続されたモジュール群について、複数のモジュール群間の検出素子121の読み出しタイミングに対して遅延を付加する。例えば、制御回路124は、上段のモジュール120に送信するSP信号「A」と、上から3段目のモジュール120に送信するSP信号「B」とにより、制御線125によって接続されたモジュール群間で読み出しタイミングに遅延を付加する。
一例を挙げると、制御回路124は、SP信号「A」に基づく最後の読み出しから1Clockずれたタイミングで、上から3段目のモジュール120における読み出しが開始されるように制御されたSP信号「B」を上から3段目のモジュール120に送信する。これにより、上段のモジュール120における検出素子1211及び1212から下段のモジュール120における検出素子1211及び1212まで順に、電気信号がシームレスに逐次収集される。なお、図10におけるX線検出器12の構成では、例えば、図7Aに示す読み出し順を実現することができる。
上述したように、第3の実施形態によれば、制御線125は、複数のモジュール120間を接続し、複数のモジュール120にそれぞれ含まれる複数の検出素子121の読み出しタイミングを関連付ける。制御回路124は、制御線125によって接続されたモジュール120群について、複数のモジュール120群間の検出素子121の読み出しタイミングに対して遅延を付加する。従って、第3の実施形態に係るX線CT装置1は、モジュール120の境界において、読み出しタイミングに大きなずれが生じることを抑止し、複数の検出素子121で構成されるモジュール120を列方向に並べたX線検出器12において、逐次収集を適切に行うことを可能にする。
(第4の実施形態)
上述した実施形態では、列方向のモジュール120間での読み出しタイミングを調整する場合について説明した。第4の実施形態では、チャネル方向のモジュール間での読み出しタイミングを調整する場合について説明する。すなわち、第4の実施形態では、チャネル方向に沿って配列された複数の検出素子から成る検出素子群ごとにADCが配置される。換言すると、ADCが列数分配置される。そして、DAS18が、検出素子群の各々とスイッチを介して接続され、X線管11がX線を発生させている間、検出素子群によって検出されたX線の信号を逐次収集する。
図11は、第4の実施形態に係るX線検出器12の回路構成の一例を示す図である。なお、図11においては、チャネル方向に並んだ2つのモジュール120の回路構成について示すが、実際には列方向にさらにそれぞれ8つのモジュール120が並んでいる。すなわち、第4の実施形態に係るX線検出器12は、チャネル方向に2列、列方向に8列のモジュール120が配置されている。なお、チャネル方向に並ぶモジュール120の数は2つに限られるものではなく、チャネル方向に3つ以上のモジュール120が並ぶ場合でもよい。
第4の実施形態に係るX線検出器12は、図11に示すように、複数のモジュール120と、ADC123aと、ADC123bと、制御回路124とを有する。以下、上述した実施形態において説明した構成と同様の構成を有する点については、図3、図8と同一の符号を付し、説明を省略する。
複数のモジュール120は、複数の検出素子121をそれぞれ含む。例えば、複数のモジュール120は、検出素子1211〜1214をそれぞれ含む。ここで、図11におけるモジュール120に示す検出素子1211〜1214は、それぞれチャネル方向に配列された4つの検出素子を示す。すなわち、図11においては、4つの検出素子1211〜1214と、4つの検出素子1211〜1214とが1列に並んでいるが、実際には、4つの検出素子1211〜1214と4つの検出素子1211〜1214とは、列方向に配列されている。
例えば、検出素子1211は、図2のモジュールにおいて、列方向を横方向にした場合の最上段のチャンネルにおける検出素子に相当する。また、検出素子1212は、図2のモジュールにおいて、列方向を横方向にした場合の上から2段目のチャンネルにおける検出素子に相当する。また、検出素子1213は、図2のモジュールにおいて、列方向を横方向にした場合の上から3段目のチャンネルにおける検出素子に相当する。また、検出素子1214は、図2のモジュールにおいて、列方向を横方向にした場合の上から4段目のチャンネルにおける検出素子に相当する。
そして、各列における検出素子群1211〜1214は、スイッチ122とADC123b、或いは、スイッチ122とADC123aにそれぞれ接続される。そして、各列における検出素子群1211〜1214は、制御回路124からスイッチ122に入力されるスタートパルス信号(SP信号)に応じて、電気信号をADC123a又はADC123bに出力する。なお、図11においては、各モジュール120が、列方向に2列分の検出素子群を含むことを示しているが、実際には、列方向にさらに2列分の検出素子群を含み、各検出素子群は、スイッチとADCにそれぞれ接続される。そして、各検出素子群に対して、以下で説明する内容と同様の制御が実行される。
制御回路124は、各モジュールに対してそれぞれ独自のSP信号を送信することで、モジュールごとの読み出しタイミングを調整する。例えば、制御回路124は、図11における左側のモジュール120のスイッチ122にSP信号「A」を送信することで、検出素子群1211〜1214について電気信号を逐次収集する。ここで、例えば、スイッチ122は、スイッチ122間の矢印の方向に向かって、1ClockごとにSP信号を送信することで、1Clockごとに接続を切り替えて、1Clockずつ読み出しタイミングをずらした逐次収集を実行させる。
同様に、制御回路124は、図11における右側のモジュール120のスイッチ122にSP信号「B」を送信することで、右側のモジュール120における検出素子群1211〜1214について電気信号を逐次収集する。ここで、SP信号「B」は、SP信号「A」に基づく最後の読み出しから1Clockずれたタイミングで、右側のモジュール120における読み出しが開始されるように制御された信号である。これにより、右側のモジュール120において、検出素子1211の読み出しが、左側のモジュール120における検出素子1214の読み出しが終わったのち、1Clock後に開始されることとなる。
上述したように、第4の実施形態に係るX線検出器12は、モジュールごとにSP信号で読み出しタイミングを制御することで、モジュール間での読み出しタイミングのギャップを無くし、逐次収集を適切に行うことを可能にする。
なお、上述した実施形態では、チャネル方向に配列したモジュール120間で読み出し開始タイミングを調整する例について説明した。しかしながら、チャネル方向での読み出しタイミングの調整は、デイジーチェーン接続によって実現することもできる。かかる場合には、チャネル方向に配列したモジュール120間を制御線によって接続する。例えば、図8で示した列方向のデイジーチェーン接続と同様の接続をチャネル方向に行うことで、チャネル方向での読み出しタイミングの調整を行うことが可能となる。
また、チャネル方向での読み出しタイミングの調整は、モジュール120ごとに読み出し開始タイミングを調整しつつ、モジュール120間をデイジーチェーン接続することによって実現することもできる。例えば、図10に示した列方向の接続及び制御と同様の接続及び制御をチャネル方向に行うことで、チャネル方向での読み出しタイミングの調整を行うことが可能となる。
上述したように、第4の実施形態によれば、複数のモジュール120は、チャネル方向に配列される。制御回路124は、チャネル方向に配列された複数のモジュール120間の検出素子121の読み出しタイミングを変えるように制御する。従って、第4の実施形態に係るX線CT装置1は、モジュール120の境界において、読み出しタイミングに大きなずれが生じることを抑止し、複数の検出素子121で構成されるモジュール120をチャネル方向に並べたX線検出器12において、逐次収集を適切に行うことを可能にする。
(第5の実施形態)
上述した実施形態では、列方向又はチャネル方向のモジュール120間での読み出しタイミングを調整する場合について説明した。第5の実施形態では、列方向及びチャネル方向のモジュール間での読み出しタイミングを調整する場合について説明する。
図12は、第5の実施形態に係るX線検出器12の回路構成の一例を示す図である。なお、図12においては、列方向に3つ、チャネル方向に2つのモジュール120が並んだ回路構成について示すが、実際には、8つのモジュール120が列方向に並んでいる。また、チャネル方向には3つ以上のモジュール120が並ぶ場合でもよい。
第5の実施形態に係るX線検出器12は、図12に示すように、モジュール120a〜120fと、ADC123a〜123dと、制御回路124aと、制御線125とを有する。以下、上述した実施形態において説明した構成と同様の構成を有する点については、図3、図8と同一の符号を付し、説明を省略する。
ADC123aは、モジュール120a、モジュール120c、及び、モジュール120eにそれぞれ含まれる検出素子1212から逐次出力される電気信号を受け付けて、デジタル信号に変換する。ADC123bは、モジュール120a、モジュール120c、及び、モジュール120eにそれぞれ含まれる検出素子1211から逐次出力される電気信号を受け付けて、デジタル信号に変換する。ADC123cは、モジュール120b、モジュール120d、及び、モジュール120fにそれぞれ含まれる検出素子1212から逐次出力される電気信号を受け付けて、デジタル信号に変換する。ADC123dは、モジュール120b、モジュール120d、及び、モジュール120fにそれぞれ含まれる検出素子1211から逐次出力される電気信号を受け付けて、デジタル信号に変換する。
図12に示すX線検出器12においては、制御回路124aは、モジュール120aのスイッチ122にSP信号を送信することで、モジュール120aにおける4つの検出素子1211及び4つの検出素子1212について電気信号を逐次収集するように制御する。ここで、例えば、スイッチ122は、スイッチ122間の矢印の方向に向かって、1ClockごとにSP信号を送信することで、1Clockごとに接続を切り替えて、1Clockずつ読み出しタイミングをずらした逐次収集を実行させる。
そして、モジュール120aのスイッチ122は、制御線125を介して、1Clockのタイミングでモジュール120bのスイッチ122にSP信号を送信する。これにより、モジュール120bにおける検出素子1211及び検出素子1212において、モジュール120aから4Clock読み出しタイミングをずらした逐次収集が実行される。
さらに、モジュール120bのスイッチ122は、制御線125を介して、1Clockのタイミングでモジュール120cのスイッチ122にSP信号を送信する。これにより、モジュール120cにおける検出素子1211及び検出素子1212において、モジュール120aから4Clock読み出しタイミングをずらした逐次収集が実行される。
そして、同様のSP信号の送信が、モジュール120d、モジュール120e、モジュール120fの順に実行される。これにより、列方向のモジュール間、及びチャネル方向のモジュール間で、それぞれ4Clock読み出しタイミングをずらした逐次収集が実行される。
なお、上述した実施形態では、列方向及びチャネル方向のモジュール間での読み出しタイミングの調整を、デイジーチェーン接続によって実現する場合について説明した。しかしながら、列方向及びチャネル方向のモジュール間での読み出しタイミングの調整は、モジュール120間で読み出し開始タイミングを調整することによって実現することもできる。かかる場合には、例えば、図3と同様に、モジュール120a〜120fが、制御回路124とそれぞれ接続され、各モジュールのスイッチ122に対して、タイミングを調整したSP信号を送信することで、列方向及びチャネル方向のモジュール間での読み出しタイミングの調整を行うことが可能となる。
また、列方向及びチャネル方向のモジュール間での読み出しタイミングの調整は、モジュール120ごとに読み出し開始タイミングを調整しつつ、モジュール120間をデイジーチェーン接続することによって実現することもできる。例えば、モジュール120aと、モジュール120cと、モジュール120eとを、図8と同様にデイジーチェーン接続する。さらに、モジュール120bと、モジュール120cと、モジュール120eとを、図8と同様に、デイジーチェーン接続する。そして、制御回路124が、モジュール120aのスイッチ122に対してSP信号を送信するとともに、1Clockずれたタイミングでモジュール120bにおける読み出しが開始されるように制御されたSP信号を、モジュール120bのスイッチ122に対して送信する。
上述したように、第5の実施形態によれば、制御回路124は、列方向に配列されたモジュール120間の検出素子121の読み出しタイミング、及び、チャネル方向に配列されたモジュール120間の検出素子121の読み出しタイミングをそれぞれ変えるように制御する。従って、第5の実施形態に係るX線CT装置1は、モジュール120の列方向及びチャネル方向の境界において、読み出しタイミングに大きなずれが生じることを抑止することを可能にする。
(第6の実施形態)
上述した実施形態では、ADCが列ごと又はチャネルごとに配置される場合について説明した。第6の実施形態では、ADCがモジュール120ごとに配置される場合について説明する。
図13A及び図13Bは、第6の実施形態に係るX線検出器12の回路構成の一例を示す図である。なお、図13A及び図13Bにおいては、1つのモジュール120の回路構成について示すが、実際には、X線検出器12に含まれる全てのモジュール120が同様の構成を有する。以下、上述した実施形態において説明した構成と同様の構成を有する点については、図3と同一の符号を付し、説明を省略する。
第6の実施形態に係るX線検出器12は、例えば、図13Aに示すように、モジュール120ごとに、ADC123aとADC123bとを有する。なお、ADC123a及びADC123bは、モジュール120ごとに備えられていればよく、配置は任意である。また、図示していないが、ADC123a及びADC123bは、制御回路124と接続され、信号処理のタイミングが制御される。
第6の実施形態に係る制御回路124は、検出素子121から信号を出力するタイミング及びADCにおいて信号を処理するタイミングを変えるように制御する。すなわち、第6の実施形態では、モジュール120ごとにADCが設けられているため、制御回路124は、読み出しタイミングを調整する際に、スイッチ122の切り替えタイミングと、ADCによる変換のタイミングとを制御する。例えば、制御回路124は、送信したSP信号に応じて各検出素子から出力される電気信号をそれぞれデジタル信号に変換するように、ADC123a及びADC123bに制御信号を送信する。
また、第6の実施形態に係るX線検出器12は、例えば、図13Bに示すように、検出素子1211及び検出素子1212に対して1つのADC123aを備えるようにしてもよい。かかる場合には、モジュール120は、8つの検出素子に対応する8つのスイッチ122を有する。
上述したように、第6の実施形態によれば、ADCは、モジュールごとに配置される。また、制御回路124は、検出素子121から信号を出力するタイミング及びADCにおいて信号を処理するタイミングを変えるように制御する。従って、第6の実施形態に係るX線CT装置1は、モジュール120ごとにADCを配置した場合でも、適切な逐次収集を可能にする。
(その他の実施形態)
これまで第1〜第6の実施形態について説明したが、上述した第1〜第6の実施形態以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。
上述した実施形態では、X線検出器12が、列方向に32列の検出素子121を有する場合について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではなく、X線検出器12は、列方向にタイリングを行うことが可能な列数であれば、任意の列数の検出素子121を有することができる。
また、上述した実施形態では、モジュール120が、チャンネル方向に4列、列方向に4列である場合について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではなく、モジュール120は、任意の列数で構成することができる。
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU、GPU(Graphics Processing Unit)、あるいは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは、メモリ41又はメモリ53に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。
なお、図1においては、単一のメモリ41が各処理機能に対応するプログラムを記憶するものとして説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、複数のメモリ41を分散して配置するとともに、処理回路44が個別のメモリ41から対応するプログラムを読み出す構成としても構わない。また、メモリ41にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。
また、処理回路44は、ネットワークを介して接続された外部装置のプロセッサを利用して、機能を実現することとしてもよい。例えば、処理回路44は、メモリ41から各機能に対応するプログラムを読み出して実行するとともに、X線CT装置1とネットワークNWを介して接続された外部のワークステーションやクラウドを計算資源として利用することにより、図1に示す各機能を実現する。
上述した実施形態に係る各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。即ち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。更に、各装置にて行われる各処理機能は、その全部又は任意の一部が、CPU及び当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現されうる。
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、複数の検出素子で構成されるモジュールを用いたX線検出器において、逐次収集を適切に行うことができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。