以下に、添付の図面に基づいて本発明の実施例を説明する。図1は、本発明を適用したクランプオン型超音波式気体流量計を配管に装着した状態を示す斜視図であり、図2は、図1に図示の気体流量計のセンサ本体の断面図である。図3は、センサ本体から表示部を離した状態で表示部を使用する使用形態を説明するための斜視図である。
実施例のクランプオン型超音波式気体流量計Fmは、圧縮空気、窒素ガスの流量測定に好適に適用されるように設計されている。圧縮空気を例に説明すれば、工場内において圧縮空気を作動源とする作動機器に対して、コンプレッサで圧縮された空気を貯蔵するタンクから各作動機器に供給する配管Pに対して気体流量計Fmが後付けで設置される。
気体流量計Fmは、配管Pに設置されるセンサ本体2と表示部4とを有し、表示部4はセンサ本体2とは別の筐体を有している。すなわち、気体流量計Fmは分離型であり、センサ本体2と表示部4とが別体構造である。そして、表示部4はセンサ本体2に対して脱着可能である。勿論のことであるが、気体流量計Fmは、センサ本体2と表示部4とを例えば一つの筐体で構成した一体型であってもよい。
センサ本体2は、配管Pの中を流れる気体の流量を計測する機能を有し、図2を参照して、超音波を送受信する第1、第2の超音波素子6、8を内蔵している。すなわち、第1、第2の超音波素子6、8は共通の本体筐体10の内部に固定的に配置されている。第1、第2の超音波素子6、8は典型的には圧電素子で構成される。
図2を参照して、クランプオン型超音波式気体流量計Fmは、センサ本体2に内蔵した第1、第2の超音波素子6、8が、配管Pの母線上において、配管Pの軸線Axの方向に離間して配置される。すなわち、センサ本体2は、いわゆるV配置方式あるいは反射配置のクランプオン型流量計である。図中、参照符号Usは、第1、第2の超音波素子6、8間で送受される超音波信号の経路を模式的に表したものである。図示のように、センサ本体2は、配管Pを横断するように超音波を出射するものであってもいが、これに限定されない。配管Pの管壁において、好ましくはLamb波や板波等の配管壁の固有振動モードを生成するものであってもよい。勿論、この場合には、図示の経路Usは模式的に図示したものであると理解されたい。
変形例として、センサ本体2に含まれる第1、第2の超音波素子6、8を配管Pを挟んで互いに対向して配置してもよい。具体的には、配管Pの第1母線上に第1超音波素子6を配置し、第1母線と直径方向に対向する第2母線上に第2超音波素子8を配置する、いわゆるZ配置方式の流量計に対しても本発明を好適に適用可能である。
センサ本体2は、第1超音波素子6に隣接して第1くさび部材12を含み、また、第2超音波素子8に隣接して第2くさび部材14を含んでいる。また、センサ本体2は、第1、第2のくさび部材12、14に、夫々、隣接して、第1、第2のカプラント16、18を好ましくは含み、第1、第2のカプラント16、18で配管Pに対する接触部を構成するのがよい。設置作業性を向上する上で、好ましくは、第1、第2のカプラント16、18を固体のカプラントで構成するのがよい。
図中、参照符号20はダンピング部材を示す。ダンピング部材20は、適度な可撓性を備え且つ、好ましくは、所定の厚みを有するシート状の成形品である。ダンピング部材20は粘弾性を有し、また、金属製の配管Pに対して密着性と剥離性を有しているのが好ましい。ダンピング部材20は、作業者が手でなぞることで配管Pの周囲に沿って容易に変形可能である。
ダンピング部材20は、センサ本体2に隣接して配置され、配管Pに接した状態で且つ配管Pの周囲を取り囲むようにして配置されている。そして、ダンピング部材20は、その外周を包囲するダンピング取付具22によって配管Pに固定され、また、ダンピング取付具22によって配管Pに対して押圧されている。すなわち、ダンピング取付具22は、ダンピング部材20に対する保圧機能を維持し続ける。
センサ本体2に内蔵される第1、第2の超音波素子6、8は、配管Pの軸線Axの方向に例えば1〜15cm、好ましくは2〜6cmの離間距離に固定的に設定されている。
ダンピング部材20及びダンピング取付具22は空所の第1、第2のダンピング窓24、26を有し、この第1、第2のダンピング窓24、26は、第1、第2のカプラント16、18に対応した位置に位置決めされている。
図1、図3を参照して、表示部4は、3本の防水性のケーブル30、32、34が接続される。第1ケーブル30は、表示部4に電源(例えばDC24V)を供給する電源ケーブルと、瞬時流量に対応したアナログ信号を表示部4から外部に供給する第1出力ケーブル、積算流量に対応したパルス信号を表示部4から外部に供給する第2出力ケーブル、しきい値との比較結果であるON/OFF信号を表示部4から外部に供給する第3出力ケーブルを含んでいる。第2ケーブル32は産業送信ケーブルであり、例えばEthernetIP通信ケーブルやEtherCAT(登録商標)通信ケーブル、監視装置、外部PCとの通信ケーブル、対象気体の流量を表示部4から外部に供給するケーブルを含んでいる。第3ケーブル34は、センサ本体2と接続するためのケーブルであり、表示部4を介してセンサ本体2に電源を供給するケーブル、センサ本体2に対して設定情報を提供するケーブル、センサ本体2から測定流量データを表示部2に供給するケーブルを含んでいる。
引き続き図1、図3を参照して、表示部4は、その表示部筐体を構成する防水・防塵ケース36を有し、防水・防塵ケース36は、センサ本体2とは別体である。表示部4は、防水・防塵対策が施された表示デバイスとしてのカラー液晶38、防水処理が施されたメニューボタン40、防水・防塵処理が施された操作ボタン42を更に有し、操作ボタン42は、カラー液晶38に表示されているメニューやアイコンの選択などに用いられる選択機能と決定(SET)機能が与えられている。表示部4は、USBポート44を更に有し、このUSBポート44は図外の蓋を閉めることにより防水・防塵することができる。USBポート44は、モニタ用及び/又は設定用の外部PC46(図4)との接続に用いられる。
表示部4は、図1を参照して、取付具Fを介してセンサ本体2に位置決め固定される。表示部4は、好ましくはその背面に係止孔H(図3)を備えているのがよい。取付具Fは、表示部4に対して脱着可能であり、また、センサ本体2に対して脱着可能である。表示部4をセンサ本体2から離脱させたときに、表示部4を例えば柱などの釘に係止孔Hを使って係止させた状態で使用するのが望ましい。
図4は、センサ本体2及び表示部4の内部構造を説明するための図である。図4を参照して、センサ本体2は、流量計測の制御部を構成するマイクロプロセッサ48、第1、第2の超音波素子6、8の照射を制御する超音波素子駆動回路50を含み、この超音波素子駆動回路50には昇圧回路52から超音波素子6(8)の駆動t電圧が供給される。超音波素子駆動回路50の出力は切替回路54を経由して順次第1、第2の超音波素子6、8に供給される。切替回路54は、第1、第2の超音波素子6、8の照射制御と同期して切替制御される。切替回路54を経由することで、往路送信状態においては、第1の超音波素子4が送信器とし機能し、第2の超音波素子8を受信器として機能する。同様に、復路送信状態においては、第2の超音波素子8が送信器とし機能し、第1の超音波素子6が受信器として機能する。
各超音波素子6、8からの出力は上記切替回路54を経由して受信回路56に供給される。受信回路56は電気信号を増幅し、増幅されたアナログ信号はA/D変換器58でデジタル信号に変換されてマイクロプロセッサ48に入力される。マイクロプロセッサ48は、所定のプログラムが記憶されたメモリ60と交信して所定の処理を実行する。
配管Pを流れる流量を演算するために、この演算に必要とされる情報はメモリ60に記憶されている。マイクロプロセッサ48は、典型的には、往路受信波形と復路受信波形とを、それぞれの出射時点の時刻を原点として位置合わせし、この位置合わせした状態から時間方向に相対的に変位させながら波形形状マッチングを行う。マッチング度が極大になる時間シフト量を伝播時間差として決定し、この伝播時間差に基づいて気体の流量を算出する。
表示部4は、センサ本体2とは別体の表示部筐体つまり防水ケース36(図3)の中に収容されたマイクロプロセッサ64を有する。マイクロプロセッサ64は表示を制御する制御部を構成し、所定のプログラム及びアプリケーションが記憶されたメモリ66と交信して所定の処理を実行する。
表示部4は、実時間クロックとして機能するリアルタイムクロック(RTC)68を更に有し、このRTC68は、第1ケーブル30から供給される電源によって常時動作する。変形例として、バックアップバッテリ70を表示部4に搭載して、表示部4への電源供給が停止されても、バックアップバッテリ70でRTC68により実時間の時刻を刻み続けるようにしてもよい。
例えば配管Pに設置した圧力センサ72がUSBポート44を介して接続され、配管Pの内部圧力値がマイクロプロセッサ64に入力される。マイクロプロセッサ64は、センサ本体2から受け取った流量データをロギングメモリ74に格納する。ロギングメモリ74は積算流量及びリーク積算量を少なくとも2年間記録できる容量を備えているのが好ましい。
なお、積算流量は、第1の時点から第2の時点までに配管Pの中を通過した気体の総量を表すもので、通常は、リセット信号が入力された時点から現在までの配管Pの中を通過した気体の総量を表すものである。体積流量をベースとする場合は、積算流量は、配管Pの中を通過した気体の体積であり、その単位は、例えば、立方メートルである。また、質量流量をベースとする場合は、積算流量は、配管Pの中を通過した気体の質量であり、その単位は、例えば、キログラムである。積算流量は、第1の時点から第2の時点までに配管Pの中を通過した気体の総量を表すものであるから、本明細書では、積算流量を使用量と称することもある。
図5は、表示部4の機能ブロック図である。表示部4は、センサ本体2から供給される流量データを受け付ける瞬時流量収集エンジン80を有している。この瞬時流量収集エンジン80は例えば30ミリ秒毎にセンサ本体2からの流量データを取得する。この収集サイクル時間は任意に設定可能であってもよい。
瞬時流量収集エンジン80は、配管Pの内径などの配管条件、環境温度、配管P内部の圧力などの情報に基づいて流量データを補正し、補正後の流量データを瞬時流量データとして瞬時流量バッファ82に供給する。瞬時流量バッファ82で一時的に保持される瞬時流量データは例えば30ミリ秒毎に更新される。この更新サイクル時間は任意に設定可能であってもよい。
出力処理部87は、瞬時流量バッファ82に保持された瞬時流量データに基づいて、第2ケーブル32(図3)を経由して、瞬時流量を示すアナログ信号を外部に向けて出力する。また、出力処理部87は、瞬時流量バッファ82に保持された瞬時流量データと予め設定されたしきい値との比較結果に基づいて、第2ケーブル32を経由して、比較結果を示すオン/オフ信号を外部に向けて出力する。
瞬時流量バッファ82から瞬時流量データが積算流量処理エンジン84に供給され、積算流量処理エンジン84は例えば1ミリ秒毎に瞬時流量データに基づき積算流量を算出する処理を実行する。この積算流量処理エンジン84には外部からのトリガ信号が入力可能であり、積算流量処理エンジン84は、トリガ信号が入力された時点を起点とする積算流量を算出する。つまり、積算流量処理エンジン84は、トリガ信号が入力された時点で積算流量をゼロにリセットし、瞬時流量データに基づく積算処理を実行する。このトリガ信号はリセット信号に相当する。積算流量処理エンジン84により算出された積算流量は積算流量バッファ86で積算流量データとして一時的に保持される。積算流量バッファ86は、外部からのトリガ信号が入力された時点を起点とする積算流量を積算流量データとして保持するものであり、この積算流量バッファ86は例えば1ミリ秒毎に更新される。この更新サイクル時間は任意に設定可能であってもよい。
積算流量処理エンジン84は、外部機器からのトリガ信号の他に、操作部40、42を介して、ユーザからのリセット指示を受け付け、リセット指示を受け付けた時点で積算流量をゼロにリセットし、瞬時流量データに基づく積算処理を実行するようにしてもよい。図5に示すトリガ入力は、操作部40、42を介して、ユーザからのリセット指示や外部機器からのトリガ信号を含む。
出力処理部87は、積算流量バッファ86に保持された積算流量データに基づいて、第2ケーブル32(図3)を経由して、積算流量を示すパルス信号を外部に向けて出力する。また、出力処理部87は、積算流量バッファ86に保持された積算流量データと予め設定されたしきい値との比較結果に基づいて、第2ケーブル32を経由して、比較結果を示すオン/オフ信号を外部に向けて出力する。
総積算流量バッファ88は、時間単位で区分された積算流量(使用量)を算出するための総積算流量を一時的に保持する。総積算流量は、積算流量(使用量)の一種であり、時間単位とは関連のないトリガ入力によってリセットされることのない積算流量(使用量)である。つまり、積算流量処理エンジン84は、総積算流量バッファ88の総積算流量をリセットすることなく、瞬時流量データに基づく積算処理を実行する。なお、積算流量処理エンジン84は、総積算流量バッファ88の総積算流量を時間単位に関連する周期的なトリガ入力によってリセットして、瞬時流量データに基づく積算処理を実行するようにしてもよい。この総積算流量バッファ88は例えば1ミリ秒毎に更新される。この更新サイクル時間は任意に設定可能であるのが好ましい。
総積算流量バッファ88の総積算流量はロギングエンジン90を経由してロギングメモリ74に記憶される。この記憶はロギングメモリ74の例えば1時間単位で区分された領域に且つRTC68からの時刻に対応付けされた状態で記憶される。
圧縮空気のリークに関し、リーク量は、工場内装置の稼働状況、配管内圧、環境温度などの影響を受けて変動する。リーク量は、例えば、工場内の装置が休止する深夜あるいは休日に測定した流量で規定し、配管の内圧、環境温度などのパラメータを加味して、現在のリーク量が決定される。このリーク量に関し、瞬時流量バッファ82からリーク量処理エンジン92でリーク量を演算し、リーク量処理エンジン92で求めたリーク量はリーク量バッファ94で一時的に蓄積された後、リーク積算量処理エンジン96でリーク量の積算値が求められ、この積算値は総リーク積算量バッファ98で一時的に蓄積された後にロギングエンジン90を経てロギングメモリ74に記憶される。この総リーク積算量の記憶はロギングメモリ74の例えば1時間単位で区分された領域に且つRTC68からの時刻に紐付けされた状態で記憶される。
ロギングメモリ74は、保存フォーマットが時間区切り、つまり1時間単位で予め定められている場合には、1時間毎にログが追加される。表示処理エンジン100は、ロギングメモリ74に記憶されている総積算流量や総リーク積算量に基づいて日時区分毎の使用量や日時区分毎のリーク積算量等の表示画像を生成する。表示処理エンジン100により生成された表示画像が表示デバイスである液晶モニタ38にて表示される。液晶モニタ38は例えば200ミリ秒毎に表示の更新が行われる。この表示更新サイクル時間は任意に設定可能であるのが好ましい。
ロギングメモリ74での表示データ収集について図6を参照して説明すると、ロギングメモリ74において、ロギングメモリ74は例えば1時間毎に区分され且つ時間的に連なる記憶領域M(1)、M(2)、・・・、M(n)を有し、各記憶領域M(n)に、順次、総積算流量や総リーク積算量が保存される。メモリ先頭アドレスの年月日時データ102とRTC68の時刻情報(年月日時情報)とを紐付けした状態で、対応する各記憶領域M(n)に総積算流量及び総リーク積算量が記憶される。そして各記憶領域M(n)は先頭アドレスからアドレスオフセット量と時刻オフセット量が対応付けられている。これにより所望の時刻に対して一意にメモリアドレスが決まるため、時刻検索は不要であるという利点がある。すなわち、ロギングメモリ74に保存されているデータの中から対象データを検索するのではなく、時刻情報の年月日時とアドレスとの対応関係から対象期間のデータを抽出することができる。換言すれば、ロギングメモリ74は、RTC68で実時間の年月日時つまり時刻情報を管理しており、この時刻情報つまり実時間の年月日時と保存データとが一対一で対応していることから、時刻情報とアドレスとの対応関係から対象期間のデータを抽出できるため、ユーザが設定した表示範囲つまり時間幅での履歴を表す情報、つまり積算流量などを生成するのが容易である。
前述したように、表示部4は、実時間クロックとして機能するリアルタイムクロック(RTC)68を有し、この表示部4に接続された第1ケーブル30を経由して電源が常時供給可能であることから、RTC68の時刻情報に関連付けしてロギングメモリ74に切れ目無くデータを記憶させることができる。なお、ロギングメモリ74に記憶されているデータを例えばSDカードのような不揮発性の記録媒体にコピーできるようにしてもよい。
なお、総積算流量バッファ88及び総リーク積算量バッファ98において、バッファの桁数を超えた場合、0(ゼロ)から積算する桁あふれ処理が実行される。また、各区分領域M(n)毎の積算流量は、後に説明するように各時刻における総積算流量の差で求めることができるが、桁あふれの場合、差がマイナスになる。差がマイナスのときは、桁あふれが発生したとみなして総差積算量が算出される。各区分領域M(n)において桁あふれが発生すると、正確な積算流量が算出できなくなるため、最大流量で積算し続けても、また、各区分領域M(n)を大きく設定しても、当該区分領域M(n)において桁あふれが一回以下となるようなバッファサイズ(桁数)に設定するのが好ましい。例えば各区分領域M(n)が1月単位である場合、桁あふれが年単位で一回あるか無いかの程度にバッファのサイズ(桁数)を設定することで、1ヶ月に二回以上桁あふれが発生するのを防止できる。
差分算出及び桁あふれ処理に関して、図7を参照して、1時間毎に総積算流量をロギングする例を例示的に挙げて具体的に説明すると、例えば、2020年12月31日の1時台(1:00:00〜1:59:99)の使用量は、2020年12月31日2時台(2:00:00〜2:59:99)の総積算流量9,999,757から2020年12月31日1時台の総積算流量9,999,312の差を求め、445として算出される。また2020年12月31日2時台に総積算流量の桁あふれ(10,000,000で桁あふれ))が発生しており、3時台で総積算流量が減少しているが、桁あふれ処理により、3時台の総積算流量に10,000,000を加算して差分を求め、460として算出される。また、2020年12月31日の使用量は、2021年1月1日0時台の総積算流量13,424(桁あふれ処理10,013,424)から2020年12月31日0時台の総積算流量9,999,156の差を求め、14,268として算出される。
図8を参照して、表示部4の表示デバイスであるカラー液晶を使った表示の概要を説明する。カラー液晶38は矩形の形状を有し、カラー液晶38の表示画面は、上下方向中央部分にメイン表示領域38aと、その上方のヘッダ表示領域38bと、メイン表示領域38aの下方のフッタ表示領域38cとが設定されている。
図9は、メイン表示領域38aに表示される項目の例を説明するための図である。メイン表示領域38aには、瞬時流量の数値が表示される瞬時流量(現在値)表示の他に、ユーザが設定した表示範囲つまり時間幅の履歴表示や、区間毎の気体使用量のグラフ表示や、区間毎の気体使用量の履歴数値表示が表示可能である。これらの表示項目は、同時に表示してもよいし、ユーザの操作に基づいて選択的に表示されてもよい。現在値と履歴とを同時に表示することで、ユーザは現状を把握しながら過去の履歴を把握することができる。ユーザが表示範囲つまり時間幅の設定を変更したときには、これに対応して直ちに履歴表示が変更される。
図10は、履歴のグラフ表示を説明するための図であり、ロギングメモリ74に格納された時刻に紐づく総積算流量に基づき、表示範囲の各日時区分(図示の例では、1時間)毎に対応する積算流量(使用量)に対応した棒グラフが表示される。図11は、現在を含む表示範囲の場合の各日時区分のグラフ表示を説明するための図である。現在の日時区分で表示される棒グラフは、総積算流量バッファ88で保持された総積算流量とロギングメモリ74に格納された時刻に紐づく総積算流量のうち最新の総積算流量とに基づき表示されるもので、総積算流量バッファ88で保持された総積算流量の更新に応じて時々刻々と伸びていく。つまり、2時から3時までの現在の日時区分に対応する棒グラフだけでなく、ロギングメモリ74に格納された時刻に紐づく総積算流量により0時から2時までの過去の日時区分に対応する棒グラフが表示できる。周期性や規則性の高い日時区分で表示されるため、過去の状態との比較が容易になる。これにより、正常状態における使用量の正確な値を把握していなかったとしても、過去の状態との定量的な比較が容易になるため、例えば圧縮空気等の気体の管理が容易になる。
この現在を含む表示範囲の表示において、過去の期間範囲における対応する日時区分毎の履歴の棒グラフを対応する日時区分の位置に重畳表示してもよい。この重畳表示において、履歴の棒グラフとの識別を容易にする、例えば色違いや半透明表示態様を採用するのがよい。ユーザが表示範囲つまり時間幅の設定を変更したときには、ロギングメモリ74に格納された時刻に紐づく総積算流量に基づき、直ちに、これに対応したグラフ表示に切り替えられる。
履歴表示に関する表示では、表示期間に対応した日付が表示される。日が選択されていれば年月日、月が選択されていれば年月、年が選択されていれば年が表示される。対象期間の表示項目の選択は、図8を参照して、メニューボタン40と操作部42の上下左右ボタン42aで行うことができ、SETボタン42bで選択した変更を確定することができる。
グラフ表示の表示範囲(時間幅)に対応した区分として、表示範囲として日が選択されていれば、当該日の1時間毎の各区分(0時台〜24時台)の総積算量が好ましくは履歴グラフ表示として棒グラフが表示される。棒グラフに代えて線グラフで表示してもよい。また、棒グラフと線グラフとが選択可能であってもよい。表示範囲として月が選択されていれば当該月の区分つまり1日〜31日の連続した毎日の総積算量が棒グラフで表示される。棒グラフに代えて線グラフで表示してもよい。表示範囲として年が選択されていれば当該年の各区分つまり1月〜12日の連続した毎月の総積算量が好ましくは線グラフで表示される。線グラフに代えて棒グラフで表示してもよい。
グラフ表示に関し、週や半期、午前、午後という表示範囲、限定された時間幅(例えば3時間)を選択可能にしてもよい。表示範囲(時間幅)として週が選択されていれば、当該週の区分として連続した各曜日の総積算量の履歴グラフとして棒グラフが表示される。棒グラフに代えて線グラフで表示してもよい。表示範囲(時間幅)として半期が選択されていれば、当該半期の各区分として各週つまり1〜26週の各週の総積算量が棒グラフで表示される。棒グラフに代えて線グラフで表示してもよい。午前又は午後という表示範囲を選択したときには、区分として例えば30分毎の総積算量が棒グラフで表示される。棒グラフに代えて線グラフで表示してもよい。例えば3時間という表示範囲(時間幅)が選択されたときには、区分として例えば10分毎の総積算量が棒グラフで表示される。棒グラフに代えて線グラフで表示してもよい。
棒グラフを表示するか線グラフを表示するかは選択可能であってもよい。また、グラフ表示するか数値表示するかも選択可能であってもよい。また、グラフ表示と数値表示が切替え表示可能であってもよい。
現在時刻を含む日時区分とそれに連続する1又は複数の過去の日時区分を含む第1の表示範囲と、前記第1の表示範囲よりもの過去の連続する複数の日時区分を含む第2の表示範囲とを、流量測定の運転中に、切替え可能である。この切替え操作後に、各日時区分に対応する積算流量データが直ちにグラフ表示される。この第2の表示範囲の表示後、ユーザが何も操作しない期間が一定期間継続したときには、表示を、第1の表示範囲の表示に自動的に切り替えるようにしてもよい。
ヘッダ表示領域38bには、複数の画面に亘って表示するのが都合の良い情報、図12を参照して、例えば流量測定の安定性(スタビリティ)をグラフ表示又はバー表示、任意の文字列、例えばユーザが設定した文字列の表示、通信状態の表示に用いられる。
フッタ表示領域38cは例えば操作ガイドを表示するのに用いられる。具体的な例を図13に図示してある。例えば、画面設定はSETボタン42bを意味する○形のアイコンが表示され、日付変更や月変更、年変更の操作は上下左右ボタン42aの左右操作を意味する左右に向いた一対の三角形のアイコンが表示される。
図14〜図18は表示に関する具体例を示す。図14は、瞬時流量を表示する表示画面を示す。この表示画面を「シンプル画面」と呼ぶと、シンプル画面表示は、カラー液晶38のメイン表示領域38aに、瞬時流量(現在の流量値)の数値表示、例えば「5,258.71」が表示される。また、メイン表示領域38aには、第1出力用のしきい値H1、L1と、第2出力用のしきい値H2,L2が数値表示される。この表示例では、各出力用のしきい値がH1とL1の2つも設けられているが、一つのしきい値であってもよい。
図示の表示例のようにしきい値がH、Lの2つの場合は、瞬時流量(現在値)がHとLの間のときにONするように設定されてもよく、その逆に、瞬時流量(現在の流量値)がHとLの間のときにOFFするように設定されてもよい。しきい値が1つの場合は、瞬時流量(現在の流量値)がしきい値を超えたときにONするように設定されてもよく、その逆に瞬時流量(現在の流量値)がしきい値を超えたときにOFFするように設定されてもよい。各出力毎にしきい値の設定、つまり2つのしきい値か又は1つのしきい値か、どの状態になったときにONするかの選択、しきい値の設定も可能であるのがよい。これらの選択や設定は、流量測定の運転中、メニューボタン40、操作ボタン42を操作することにより行うことができる。
ここに、測定状態の体積流量(実流量)の他に、標準状態における体積流量(ノルマル流量)や基準温度を20℃としたスタンダード流量などの換算流量を表示するかを選択可能であってもよく、これらの選択はメニューボタン40、操作ボタン42を操作することにより行うことができる。
メイン表示領域38aに、更に、積算流量を数値表示するようにしてもよい。この積算流量を表示するか否かを選択可能であってもよい。ここに、積算流量は、外部からのトリガ入力やボタン入力によりリセット信号が入力された時点からの積算流量である。積算流量の代わりに使用量、リーク量を表示するか否かを選択可能であってもよい。これらの選択はメニューボタン40,操作ボタン42を操作することにより行うことができる。
ヘッダ表示領域38bには、測定安定度(スタビリティ)表示灯を模したグラフ表示110が表示される。グラフ表示110に代えてバー表示であってもよい。このグラフ表示110によって流量測定が安定的にできているかの表示が行われる。
ヘッダ表示領域38bには、更に、「通信A」「通信B」の通信情報112が表示される。通信Aは例えばUSB通信を意味し、通信Bは例えばIO-LINK通信を意味する。
ヘッダ表示領域38bには、更に、ON/OFF出力表示灯114が表示される。図示の例では、第1出力用の表示灯114aと第2出力用の表示灯114bを含み、第1出力用表示灯114aがON状態、第2出力用表示灯114bがOFF状態にある。
各出力毎のしきい値の設定は、フッタ表示領域38cに表示されているアイコン116に従ってメニューボタン42を操作することでサブメニューを呼び出し、このサブメニューの中で設定することができる。
図15以降の表示画面に説明において、共通の表示に関しては同じ参照符号を付すことによりその説明を省略する。図15は、使用量の棒グラフと数値を同時に表示する画面を示す。ヘッダ表示領域38bには、使用量の表示範囲(期間範囲)118が年月日で表示される。図15に図示の画面は、「日」単位の場合を示している。ここに「2018」は年を意味し、「10」は10月を意味し、「12」は12日を意味している。表示が「月」単位の場合は「2018/10」と表示され、「年」単位の場合は「2018」と表示される。例えば、「週」単位の場合「2018/35-36週」のように表示するのがよい。この表示範囲(期間範囲)の設定つまり時間幅の設定は、フッタ表示領域38cに表示のサブメニューのアイコン116に従ってメニューボタン40を操作することによりサブメニューを選択し、これにより表示されるサブメニューの中から設定することができる。この設定変更は、流量測定の運転中に行うことができ、表示範囲の設定変更は積算流量のグラフ表示に直ちに反映される。サブメニューにおいて、例えば、「日」「月」「年」の選択肢が表示され、その3つの選択肢から1つを選択させるようにしてもよい。また、サブメニューにおいて、表示言語を複数の選択肢から一つを選択させるようにしてよい。
図15の表示画面は、上述したように表示範囲が「日」単位であり、区分は「時間」単位の場合を表示している。したがって棒グラフの各グラフは、時間単位で表示される。表示範囲内の各区分における使用量のうち最大の使用量に応じて棒グラフの目盛幅はオートスケーリングされる。
表示範囲が「月」単位の場合は、区分が「日」単位であり、表示範囲が「年」単位の場合は、区分が「月」単位となる。「週」単位の場合は、区分は「日」単位である。これら表示範囲つまり時間幅は、流量測定の運転中においても変更可能である。
図15に図示の表示画面は、表示範囲の積算使用量(0時から現在時刻まで積算された流量)が数値表示される。すなわち、棒グラフで表示されている使用量の棒グラフで表示されている各使用量の総計が数値表示される。表示範囲が「月」単位であればその月の使用量総計が数値表示される。「年」単位であればその年の総使用量が数値表示される。表示範囲に現在時刻が含まれる場合には、使用量は(瞬時)流量に応じて、その数値は刻々と増えることになる。
メイン表示領域38aに表示される使用量とは、各区分における流量の積算値(積算流量)を意味する。図14を参照して説明した、「積算流量」はリセット信号入力時からの積算値である。図15は、18時台の状態を示しており、18時台の棒グラフは、瞬時流量(現在の使用量)に応じて棒グラフが刻々と伸びる。他方、0時台から17時台の棒グラフ(0時から18時まで)は、過去の状態(使用量の履歴)を示すものである。好ましくは、履歴値と現在値(18時台の使用量)は色分けして表示するのがよい。
フッタ表示領域38cには、日付変更のアイコン120が表示される。このアイコン120は左右に向いた一対の三角形で構成され、この一対の三角形のアイコン120が意味する操作ボタン42の上下左右ボタン42aの左右を操作することにより表示範囲(期間範囲)の日付を変更することができる。例えば、前日「2018/10/11」に変更すると、0時台から23時台まで(0時から24時まで)の全てにおいて過去の状態(使用量の履歴)が表示されることになる。
メイン表示領域38aには、使用量以外に、使用量+リーク量同時表示、リーク量表示などを選択することができる。この表示内容の選択は、サブメニューを選択し、サブメニューの中から表示項目を選択することにより行うことができる。
図16に図示の表示画面は使用量を数値表示する。メイン表示領域38aには、区分使用量と、表示範囲の積算使用量(0時から現在時刻まで積算された流量)とが共に数値表示される。
図17に図示の表示画面は、第1表示範囲の使用量と第2表示範囲の使用量とを重畳表示した使用量比較グラフと、使用量比率の数値とが同時に表示される。使用量比較グラフは線グラフで表示され、比較対象となる線グラフの表示範囲において、現在時刻を含む表示範囲の場合には、まさにその日、その月、その年であるため、必ずしも表示しなくてよい。表示範囲の設定は、サブメニューを選択し、サブメニューの中から設定することができる。
この設定変更は、流量測定の運転中にユーザが操作部42を操作しても、これが受け付けられて、表示範囲の設定変更が行われる。そして、これに対応したグラフ表示に変更される。そして、その後、ユーザの操作が無い期間が一定時間継続すると、元の表示範囲に自動的に切替えるようにしてもよい。
更に、第1表示範囲から第2表示範囲への設定の切替えの後に、ユーザの操作によって、第3表示範囲に切り替えられたとき、第1の表示範囲に対応する使用量グラフと、第3の表示範囲に対応する使用量グラフとを表示範囲の表示位置を揃えて比較表示するようにしてもよい。
使用量比較グラフにおいて、過去の特定の表示範囲における履歴使用量の線グラフと、現在時刻を含む表示範囲における使用量の線グラフとが重畳して表示される。すなわち、共通の軸に揃えて2種類の線グラフが表示される。比較対象となる線グラフをゴースト表示してもよい。使用量比較グラフは、表示範囲の開始から当該時刻までの使用量(0時から当該時刻まで積算された流量)を示すもので、区分使用量を積算したものに相当する。好ましくは、現在の位置を示す縦破線を表示するのがよい。また、各線グラフ上で現在の位置を示す縦破線と交差する点に○印を表示してもよい。
変形例として、異なる表示範囲の同一区分(同一相対区分:例えば18時台)を比較表示するようにしてもよい。また、操作ボタン42を操作することにより、比較対象となる日付を変更することができるようにしてもよい。この場合にあっては、現在時刻を含む表示範囲と、変更後の比較対象との比較表示が行われることになる。
使用量比率は、異なる表示範囲の同一区分(同一相対区分:例えば18時台)の比率を表示できる。比較対象の同一区分における使用量を100としたときの現在使用量(0時から現在時刻まで積算された流量)を百分率で表示される。変形例として、比較対象の表示範囲におけるトータルの使用量(24時における使用量)を100とした時の現在使用量を百分率で表示してもよい。
この図17の表示画面では使用量に関連した表示が行われるが、ユーザの操作によって(サブメニュー)、リーク量に関連した表示に切り替えることができる。このリーク量の表示においては、リーク量履歴比較グラフと、リーク量比率の数値とが同時に表示されることになる。
図18の表示画面では、例えばループ配管におけるプラス方向マイナス方向の使用量の棒グラフと、その数値が同時に表示される。ここに、プラス方向の使用量の棒グラフ、図示の例では1時間の区分毎の積算使用量が棒グラフは、配管Pの軸線Axに沿って第1の方向をプラス、第1の方向と逆方向をマイナスと定義して、プラス方向とマイナス方向とを別々に流量を積算したもののうちプラス方向の流量を意味し、マイナス方向の使用量の流量はマイナス方向の使用量の棒グラフで表示される。図示の表示例では、横軸(時間軸)に対して上方に位置する棒グラフはプラス方向の各時間毎の積算使用量を示し、下方に位置する棒グラフはマイナス方向の各時間毎の積載使用量を示す。
図18の表示画面のメイン表示領域38aに表示の使用量の数値表示に見られる「+」はプラス方向において表示範囲での使用量総計つまり使用量の積算値であり、「−」はマイナス方向において表示範囲での使用量総計つまり使用量の積算値である。
プラス方向とマイナス方向の双方の使用量を個別に表示するのは、例えば、工場間での圧縮空気の受け渡しや、ループ配管のように正流(プラス方向)と逆流(マイナス方向)が存在し得る場合の管理に用いることができる。図14〜図18を参照して表示部4の表示デバイスつまりカラー液晶38を使って瞬時流量だけでなく、様々な情報をユーザに供給することができる。これによりユーザは表示データ又は情報を加工する必要無しに、カラー液晶38に表示の情報を直接的に活用して合理的な且つ迅速な工場管理を実行することができる。
図14〜図18を参照して例示的に説明した異なる表示画面は、ユーザの選択により切り替えることができる。この表示切り替えに関して図19を参照して説明する。図19において、図6を参照して説明した要素と同じ要素には同じ参照符号が付してその説明を省略する。表示処理エンジン100は、ユーザが操作部42、44を操作することによりカラー液晶38の表示画面を切り替える処理を実行する。ロギングメモリ74は先頭アドレスと実時間の時刻とを紐付けて各区分のデータが記憶されている。このことから、表示切り替えに伴って表示内容を変更する際に、過去のデータは各区分間の総積算流量の差分を演算し、また、現在のデータは、ロギングメモリ74の最新値と総積算流量バッファ88(図5)の値との差分を演算して、表示画面切り替え後の表示データを作成し、これを表示する。
なお、表示部4の操作部42、44の操作によって、外部PCによることなく、容易に日付変更、表示範囲(時間幅)の変更、表示内容(リーク量、比較表示)の変更などを要求することができる。そして、ユーザは、操作部42、44の簡単な操作による設定によって、必要とする情報を表示部4のカラー液晶38に表示させ、例えば使用量の管理などにとって有益な情報を取得することができる。
図20〜図22は、リーク量表示に関連した表示画面の表示例を示す。図20に図示の表示画面ではリーク量がグラフと数値で表示される。具体的には、日時区分毎(図示の例では1時間毎)のリーク積算量が棒グラフ表示され、表示範囲の総リーク積算量が数値表示される。
表示処理エンジン100(図5)は、総リーク積算量バッファ98で保持された総リーク積算量とロギングメモリ74に格納された時刻に紐づく総リーク積算量のうち最新の総リーク積算量とに基づき決定されるリーク積算量を、対応する日時区分の位置にグラフ表示する表示画面を生成する。
総リーク積算量バッファ98(図5)で保持された総リーク積算量は時々刻々と更新され、表示処理エンジン100は、更新された総リーク積算量に基づき、対応する日時区分の位置にグラフ表示する表示画面を生成する。総リーク積算量と表示画面が更新されることで、現在の日時区分で表示されるリーク積算量の棒グラフG1(図20)は、更新に応じて時々刻々と伸びていく。
また、表示処理エンジン100は、ロギングメモリ74に格納された時刻に紐づく総リーク積算量のうち、表示範囲に対応する各日時区分の各総リーク積算量に基づき決定される各日時区分のリーク積算量を、例えば図20の表示グラフの対応する日時区分の位置に棒グラフ表示する表示画面を生成する。この結果、過去の各日時区分に対応する各リーク積算量と、現在の日時区分に対応するリーク積算量とが、規則性高く同時に表示される。
周期性や規則性の高い日時区分で表示されるため、過去の状態との比較が容易になる。これにより、正常状態におけるリーク積算量の正確な値を把握していなかったとしても、過去の履歴の状態との定量的な比較が容易になるため、例えば圧縮空気等の気体の管理が容易になる。
フッタ表示領域38cには、日付変更のアイコン120が表示される。このアイコン120は左右に向いた一対の三角形で構成され、この一対の三角形のアイコン120が意味する操作ボタン42の上下左右ボタン42aの左右を操作することにより表示範囲(期間範囲)の日付を変更することができる。例えば、前日「2018/10/11」に変更すると、0時台から23時台まで(0時から24時まで)の全てにおいて過去の状態(使用量の履歴)が表示されることになる。
つまり、表示処理エンジン100は、ロギングメモリ74に格納された時刻に紐づく総リーク積算量のうち、操作ボタン42を介して指示された表示範囲(期間範囲)に対応する各日時区分の各総リーク積算量に基づき決定される各日時区分のリーク積算量を、対応する日時区分の位置にグラフ表示する表示画面を生成する。
この表示範囲(期間範囲)の設定つまり時間幅の設定は、フッタ表示領域38cに表示のサブメニューのアイコン116に従ってメニューボタン40を操作することによりサブメニューを選択し、これにより表示されるサブメニューの中から設定することができる。この設定変更は、流量測定の運転中に行うことができ、表示範囲の設定変更はリーク積算量のグラフ表示に直ちに反映される。サブメニューにおいて、例えば、「日」「月」「年」の選択肢が表示され、その3つの選択肢から1つを選択させるようにしてもよい。
図21は、表示範囲の使用量と、各日時区分(図示の例では連続した1時間毎)に対応した使用量およびリーク積算量とを同時に表示する表示画面を示す。表示範囲の総使用量はメイン表示領域38aの下部に数値表示される。各日時区分に対応した使用量は、メイン表示領域38aの上部において、各日時区分に対応して、連続する1時間毎のリーク積算量を含む1本の棒グラフで色分けして表示される。表示範囲の使用量の数値は、メイン表示領域38aの上部に表示され、表示範囲の開始から当該時刻まで時間幅での使用量(0時から当該時刻まで積算された流量)を示すものであり、各日時区分に対応した使用量を積算したものに相当し、この使用量の推移は線グラフLGで表示される。
各日時区分に対応した使用量と重畳表示されるリーク積算量は、各日時区分におけるリーク流量の積算値であり、棒グラフで表示される。グラフ表示において、リーク積算量と使用量は共通のグラフ軸に揃えて表示され、好ましくは異なる色で表示される。すなわち、使用量とリーク積算量の重畳表示に関し、表示範囲を共通にしつつ表示範囲の一端の第1の縦軸を共通にして構成されている。
上述したように、表示処理エンジン100は、総積算流量バッファ88で保持された総積算流量とロギングメモリ74に格納された時刻に紐づく総積算流量のうち最新の総積算流量とに基づき決定される使用量を、対応する日時区分の位置にグラフ表示し、総リーク積算量バッファ98で保持された総リーク積算量とロギングメモリ74に格納された時刻に紐づく総リーク積算量のうち最新の総リーク積算量とに基づき決定されるリーク積算量を、対応する日時区分の位置にグラフ表示する表示画面を生成する。
総積算流量バッファ88で保持された総積算流量および総リーク積算量バッファ98で保持された総リーク積算量は時々刻々と更新され、表示処理エンジン100は、更新された総積算流量および総リーク積算量に基づき、対応する日時区分の位置にグラフ表示する表示画面を生成する。総積算流量、総リーク積算量および表示画面が更新されることで、現在の日時区分で表示される使用量およびリーク積算量の棒グラフは、更新に応じて時々刻々と伸びていく。
また、表示処理エンジン100は、ロギングメモリ74に格納された時刻に紐づく総積算流量のうち、表示範囲に対応する各日時区分の各総積算流量に基づき決定される各日時区分の使用量を、対応する日時区分の位置にグラフ表示し、ロギングメモリ74に格納された時刻に紐づく総リーク積算量のうち、表示範囲に対応する各日時区分の各総リーク積算量に基づき決定される各日時区分のリーク積算量を、対応する日時区分の位置にグラフ表示する表示画面を生成する。この結果、過去の各日時区分に対応する各使用量および各リーク積算量と、現在の日時区分に対応する使用量およびリーク積算量とが、規則性高く同時に表示される。
線グラフLG(図21)表示される表示範囲の使用量は、予め目標となる使用量がユーザにより設定され、その目標の使用量を100とした時の百分率で表示され、一端の第1の縦軸VL1(単位:m3)と他端の第2の縦軸VL2(単位:%)は異なる単位で構成される。目標となる使用量を表示するのが好ましく、この場合、目標使用量を例えば横破線で表示するのがよい。棒グラフで表示される各日時区分の使用量およびリーク積算量も同様に、使用量およびリーク積算量の目標値を横破線で表示してもよい。図21において、Useは、使用量の目標値を示し、Leakはリーク積算量の目標値を示す。
表示範囲の使用量と、各日時区分の使用量およびリーク積算量とでは、単位の異なる2本の縦軸VL1、VL2を参照することになるが、異なる縦軸を参照する目標値を同時に表示してしまうと、どちらの縦軸を参照しているかを一見して把握することが困難となるおそれがある。そこで、百分率で表示される表示範囲の使用量に対する目標使用量は、第2の縦軸VL2の100の表示で代用し、目標使用量を超えたか否かで、表示範囲の使用量を示す線グラフLGの線の色を、目標使用量Useを境に上下で異ならせてもよい。この各日時区分の使用量およびリーク積算量と、各目標値の表示は異なる色を使うのが好ましい。
メイン表示領域38aの下部に数値表示される使用量は、表示範囲のトータルの使用量(0時から現在時刻まで積算された流量)であるのがよい。つまり、上部に表示されている使用量グラフの各使用量の総計が数値表示される。
図22の画面表示はリーク率である。リーク率とは、表示範囲におけるリーク量の使用量又は積算流量に対する割合を意味する。このリーク率は数値表示されると共に、円環状に使用量とリーク量との比を表示するのが好ましい。
リーク量処理エンジン92(図5)によるリーク量の算出は、次の手法により求めることができる。すなわち、流量を測定、測定された流量に基づいて流体不使用期間と流体使用期間とを判別し、流体不使用期間における流量に基づいて当該流体不使用期間のリーク量を決定する。リーク量処理エンジン92は、決定したリーク量をリーク量バッファ94に送り、リーク量バッファ94で保持されるリーク量を更新する。リーク量処理エンジン92は、測定された流量に基づいて流体不使用期間と流体使用期間とを判別し、流体使用期間と判別したときは、リーク量バッファ94で保持されるリーク量を更新しない。
これにより、リーク積算量処理エンジン96(図5)は、流体不使用期間においては順次更新されるリーク量に基づきリーク積算量を求め、流体使用期間においては当該流体使用期間の直前の流体不使用期間におけるリーク量に基づきリーク積算量を求める。つまり、リーク積算量処理エンジン96は、過去の流体不使用期間における流量に基づいて推定し、決定された流体不使用期間におけるリーク量と推定された流体使用期間のリーク量と各々の経過時間とに基づいてリーク積算量を算出する。リーク積算量処理エンジン96は、算出したリーク積算量を総リーク積算量バッファ98に送り、総リーク積算量バッファ98で保持される総リーク積算量を更新する。
リーク量処理エンジン92は、流体不使用期間と流体使用期間とを判別するための第1しきい値を設定することができ、測定された流量と第1しきい値とに基づいて流体不使用期間と流体使用期間とを判別することができる。また、リーク量処理エンジン92は、リーク量が異常に多くなったときに、警報を発するようにしてもよく、警報を発する程のリーク量が発生したことを判別するために第2しきい値を設定するのがよい。
図20を参照して説明した表示画面において、表示範囲のリーク積算量と共にこれを費用に換算したときの金額を同時表示するのが好ましい。すなわち、圧縮空気のリークであれば、総リーク積算量の圧縮空気を生成するのに必要なコンプレッサの駆動電力に支払う経費を総リーク積算量と同時に表示するのがよい。費用に換算して表示することで、ユーザはリアリティを持って経済損失を実感することができ、リークに対する対策を急ぐことになるであろう。
リーク量の決定に関し、例えば工場内の圧縮空気を駆動源とする装置の全てを停止し、その時に配管Pを圧縮空気が流れていれば、それはリークに起因すると推定できる。しかし、全ての装置を意図的に停止できる期間を確保するのは例えば深夜や休日に限られるなど、リーク量の検出及び推定は必ずしも容易でない。
図23は、リーク量処理エンジン92により、一定の条件が成立したときに、基準となるリーク量を決定し、この決定したリーク量に基づいて、リーク積算量処理エンジン96により設備稼働中を含めた期間の総リーク積算量を算出するタイムチャートである。図23を参照して概要を説明すると、一定の条件が成立したときリーク量決定モードに入る。一定の条件として、工場設備が休止状態に入ったとみなすことができるしきい値が設定されている。このリーク量決定モードは、次に工場設備が稼働するまで、つまり、一定の条件が成立しなくなるまで継続される。工場設備が稼働したと判別するための、第2の条件が設定されていてもよく、リーク量処理エンジン92により、第2の条件に基づいて工場設備が稼働したと判別してもよい。リーク量決定モードで求めたリーク量は、リーク量決定モード期間中及びその直後の工場設備の稼働期間中のリーク積算量の算出に用いられる。好ましくは、前述した日時区分毎にリーク積算量を求め、区分毎のリーク積算量が表示される。工場設備の稼働期間中のリーク量として、上記のリーク量が相当するとしてリーク積算量を求めても良いし、工場設備の稼働期間中の配管Pの内圧を検出して、この内圧によって補正した値を使ってリーク積算量を求めてもよい。
変形例として、リーク量処理エンジン92は、リーク量の決定に関し、計測流量がリークしきい値を下回ったときに、圧縮空気が使用されていない状況つまり工場設備が休止状態に入ったと判断して、リークしきい値を下回っている期間(不使用期間)中、例えば所定の期間ごとに、例えば90秒ごとに平均値を求め、この平均値をリーク量として順次更新して、次に、計測流量がリークしきい値を上回ってから下回るまで、最後に更新されたリーク量が発生しているとみなしてもよい。この場合も、リークしきい値に基づいて判別した不使用期間中に求めたリーク量に基づいて、この不使用期間中のリーク積算量及び当該不使用期間から使用期間に以降した後の工場設備の稼働期間中の日時区分毎のリーク積算量が求められ、これらの区分毎のリーク積算量が表示されるリーク量の算出に用いられる。好ましくは、前述した日時区分毎にリーク積算量を求め、区分毎のリーク積算量が表示される。この変形例においても、不使用期間中、所定の異常しきい値よりも順次更新されるリーク量が多くなったときには、何らかの異常が発生したとして、警報を出力するようにしてもよい。
上記の自動的に行われるリーク量決定とは別に、外部からのタイミング入力に基づいてリーク量を決定する第2のリーク量決定モードを有していてもよい。第2のリーク量決定モード中、リーク量処理エンジン92は、測定された流量に基づく流体不使用期間と流体使用期間との判別による自動的なリーク量の更新を中断する。第2のリーク量決定モード中、リーク量処理エンジン92は、外部からのタイミング入力、例えば、外部機器からのトリガ信号(図5のTr)やユーザからの操作部を介したモード変更指示に基づいて、この外部からのタイミング入力があったときに瞬時流量バッファ82から取得した流量をリーク量として、リーク量バッファ94に送り、リーク量バッファ94で保持されるリーク量を更新する。第2のリーク量決定モードを終了すると、リーク量処理エンジン92は、測定された流量に基づく流体不使用期間と流体使用期間との判別による自動的なリーク量の更新を実行する。
上述したリーク量決定モードに関して図23を参照して更に具体的に説明すると、計測した流量としきい値とに基づいて、計測流量がしきい値を下回ると第1リーク量決定モードに入る。計測流量がしきい値を上回ると第1リーク量決定モードが解除される。第1リーク量計測モード期間中、流量を計測し続けて、その平均値を第1リーク量BLa(1)として決定する。第1リーク量決定モードが解除された後の設備稼働第1期間中及び第1リーク計測モード期間中を含む第1リーク量算出期間でのリーク量は第1リーク量BLa(1)に基づいて算出される。以後、この処理が反復的に実行される。
リーク量決定モード中、計測流量が異常に多くなったときには、つまり計測流量が異常検出しきい値を越えたときには警報を出力するようにしてもよい。
図24を参照して、リーク量決定モードでの処理を説明する。上記のしきい値に対して、通常の稼働下で圧縮空気を使用しているときには必ずこれより多い。このことから、通常の稼働下での圧縮空気の流量よりも少ない値をリークとみなすしきい値を設定する。このリークしきい値によって、工場設備が稼働している期間又は非稼働期間であるかに関わりなく、測定した流量に基づいて、圧縮空気が使用されているか否か、つまり工場設備が稼働中である否かを判別することができる。
測定流量がリークしきい値を下回ったときには、圧縮空気が全く使用されていない状態に入った判断して、リーク量決定モードに入る。リーク量決定モードでは、リーク検出ディレー時間以上経過して流量が安定した段階で連続的に計測した複数の流量値を平均化して、この平均値がリーク流量BLaであると決定する。
好ましくは、平均化する期間を予め定めておき、第1平均化時間での第1平均値(図24に図示の「9.5」)をメモリに保存し、第2平均化時間での第2平均値(図24に図示の「9.8」)でメモリ中の第1平均値を更新する。次に、第3平均化時間での第3平均値(図24に図示の「9.6」)でメモリ中の第2平均値を更新する。各時間区分の第1乃至第3期間の第1乃至第3平均値はこれをグラフ化するのに用いることができる。リーク量決定モードが終了したら、リーク量決定モード中、更新し続けた平均値をリーク流量BLa(n)として設定する。リーク流量BLa(n)を時系列で更新し続けることで、現場稼働下の圧縮空気使用量に含まれる最も確からしいリーク量を求めることができる。この稼働中のリーク量は配管内圧や環境温度などで基準リーク流量BLa(n)を補正した値を採用してもよい。
また、好ましくは、リーク流量BLa(n)に基づいてリークしきい値の値を更新してリークしきい値を最適化してもよい。すなわち、基準リーク流量BLa(n)が所定値よりも変化したときには、しきい値変更を指示し、この指示を受け付けたら、メモリに保存されているしきい値を更新してしきい値を変更するようにしてもよい。
図25のフローチャートに基づいて更に具体的に説明すると、ステップS1で瞬時流量つまり現在の流量を取得する。次のステップS2で、この瞬時流量がリークしきい値を下回っているかを判定し、NO(瞬時流量が多い)であれば、ステップS3に進んでディレー時間タイマ、平均流量、平均化時間タイマをリセットする。ステップS2においてYESであれば、瞬時流量が僅かであるとしてステップS4に進み、ディレー時間タイマがセットされているかを判定する。ディレー時間タイマのセット時間を例示すれば1分である。ステップS4においてNOであればステップS5に進んでディレー時間タイマをセットする。ステップS4において、ディレー時間タイマがセットされていれば、ステップS6に進んで、ディレー時間が経過したかを判定し、ディレー時間が経過したら、瞬時流量の値が落ち着いたとみなしてステップS7に進む。
ステップS7において、平均流量がセットされているかを判定し、NOであれば、ステップS8に進んで瞬時流量を平均流量としてセットさせると共に平均化時間タイマをセットする。平均化時間タイマのセット時間を例示すれば1分である。ステップS7において、YESつまり平均流量がセットされていれば、ステップS9に進んで、この平均流量と瞬時流量から新たに平均流量を求め、この求めた平均流量を新たな平均流量としてセットする。次のステップS10において、平均化時間を超えたかを判定し、YESであれば、十分な平均化が実行できたとして、ステップS11に進んで、リーク値が記憶されているかを判定し、NOであれば、ステップS12に進んでリーク値をメモリに記憶する。他方、YESであれば、ステップS14に進んで平均流量を、記憶されたリーク値として更新し、次いでステップS13で平均流量をリセットすると共に平均化時間タイマをリセットする。
上記の処理により、流量が僅かな値で安定しているときに、その平均値をリーク値としてみなし、これを順次更新することで、例えば深夜、確からしいリーク値を自動的に得ることができる。そして、このようにして求めたリーク値を上述した画面表示に使ってもよい。
上記の手順で、リーク量決定モードで最も確からしいリーク値を求める際に、リークしきい値付近で、チャタリングしても自動算出リーク流量の算出は実行されない。また、リーク値検出中にリークしきい値を一瞬超えるような流量が測定されても、再度ディレー時間から算出し直すため、瞬時の流量変動は外乱要素にならない。リーク量決定モードを実行中例えば停電や電源供給が絶たれたとしても、直前の自動算出した平均値つまりリーク流量がメモリに保存されているため、このメモリのリーク流量が継続しているとみなすことができる。なお、リーク値の平均値の代わりに最大値と最小値の中央値を採用してもよい。
以上、本発明をクランプオン型超音波式気体流量計に適用した好ましい実施例を説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、気体流量計は熱式流量計、渦式流量計などが知られている。これらの気体流量計に対しても本発明を好適に適用することができる。