JP2020109141A - グラフト共重合体、熱可塑性樹脂組成物および成形品 - Google Patents
グラフト共重合体、熱可塑性樹脂組成物および成形品 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2020109141A JP2020109141A JP2019000767A JP2019000767A JP2020109141A JP 2020109141 A JP2020109141 A JP 2020109141A JP 2019000767 A JP2019000767 A JP 2019000767A JP 2019000767 A JP2019000767 A JP 2019000767A JP 2020109141 A JP2020109141 A JP 2020109141A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- copolymer
- graft
- polyorganosiloxane
- meth
- mass
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Landscapes
- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
- Polymerisation Methods In General (AREA)
- Graft Or Block Polymers (AREA)
- Macromonomer-Based Addition Polymer (AREA)
Abstract
Description
しかし、ASA樹脂は、ABS樹脂に比べて耐衝撃性が劣るという欠点がある。
しかしながら、このASA樹脂でも、耐衝撃性の改良効果は十分ではなく、要求される耐衝撃性を発現させるためには、ゴム成分の配合割合を増やす必要があり、ゴム成分の配合割合を増やすことで剛性が低下してしまい、近年の厳しいニーズに十分応え得るものではなかった。
しかし、この方法で得られる生成物中には、屈折率の低いポリオルガノシロキサンゴムが含有されるため、成形品の外観が低下してしまう。
すなわち、本発明は以下を要旨とする。
また、「(メタ)アクリル酸」は「アクリル酸」と「メタクリル酸」の一方または双方を意味する。「(メタ)アクリレート」、「(メタ)アクリロイル」についても同様である。
また、「成形品」とは、熱可塑性樹脂組成物を成形してなるものを意味する。
まず、本発明に係る共重合体(A)(以下、「本発明の共重合体(A)」と称す場合がある。)について説明する。
本発明の共重合体(A)を製造するミニエマルション重合は、これに限定されるものではないが、例えば、ポリオルガノシロキサン(Aa)と(メタ)アクリル酸エステル(Ab)、疎水性物質、および乳化剤、好ましくは更に開始剤、水を混合する工程、得られた混合物に剪断力を付与してプレエマルション(ミニエマルション)を調製する工程、ならびにこのプレエマルションを重合開始温度まで加熱して重合させる工程を含む。
本発明において、ミニエマルション化の際の水溶媒の使用量は、作業性、安定性、製造性等の観点から、重合後の反応系の固形分濃度が5〜58質量%程度となるように、水以外の混合物100質量部に対して75〜1900質量部程度とすることが好ましい。この水の使用量はより好ましくは80〜1000質量部程度、さらに好ましくは90〜500質量部程度である。
ポリオルガノシロキサン(Aa)は、シリコーンを骨格とする高分子量単量体である。本発明で用いるポリオルガノシロキサン(Aa)は、片方の末端または両方の末端にラジカル重合性基を有する。ラジカル重合性基としては、(メタ)アクリロイル基、スチリル基、アリル基、ビニルベンジル基、ビニルエーテル基、ビニルアルキルシリル基、ビニルケトン基およびイソプロペニル基などが挙げられる。これらのうち、(メタ)アクリル酸エステル(Ab)との反応性の観点から、(メタ)アクリロイル基、すなわち、アクリロイル基およびメタクリロイル基が好ましく、本発明で用いるポリオルガノシロキサン(Aa)としては、少なくとも一つの末端にメタクリロイル基を有するポリオルガノシロキサン(すなわち、メタクリル変性のポリオルガノシロキサン)が、得られる成形品の耐衝撃性が良好であることからより好ましく、両末端にメタクリロイル基を有するポリオルガノシロキサン(両末端メタクリル変性のポリオルガノシロキサン)が特に好ましい。
なお、本発明において、分子構造が実質的に直鎖状とは、ポリオルガノシロキサン(Aa)のケイ素−酸素結合が1本の直鎖状に連結していることを指す。
ポリオルガノシロキサン(Aa)の官能基当量は、ケイ素核磁気共鳴スペクトル(29Si−NMR)分析とプロトン核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR)分析の結果から算出することができる。
本発明の共重合体(A)を構成する(メタ)アクリル酸エステル(Ab)としては、好ましくは置換基を有していてもよい炭素数1〜11の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸2−エチルヘキシル等のアクリル酸エステル;メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のメタクリル酸エステルが挙げられる。熱可塑性樹脂組成物から得られる成形品の耐衝撃性が向上することから、これらの(メタ)アクリル酸エステル(Ab)の中でも、(メタ)アクリル酸n−ブチル、特にアクリル酸n−ブチルが好ましい。これらの(メタ)アクリル酸エステル(Ab)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の共重合体(A)の製造に際しては、必要に応じてポリオルガノシロキサン(Aa)および(メタ)アクリル酸エステル(Ab)以外に、これらと共重合可能なその他のビニル化合物を用いてもよい。必要に応じて用いられるその他のビニル化合物としては、ポリオルガノシロキサン(Aa)、(メタ)アクリル酸エステル(Ab)と共重合可能であれば特に限定されない。例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−,m−またはp−メチルスチレン、ビニルキシレン、p−t−ブチルスチレン、エチルスチレン等の芳香族ビニル;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル;N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミドなどのマレイミド類や、無水マレイン酸、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート等のアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリブチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、ポリブチレングリコールジメタクリレート等のポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリカーボネードジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエステルジオールジ(メタ)アクリレート、ポリウレタンジオールジ(メタ)アクリレート等、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン等のポリビニルベンゼンや、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリル酸アリル等のアリル化合物などが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明では、ミニエマルションを形成させる際に、炭素数12以上のアルキル基、アルケニル基およびシクロアルキル基から選ばれる炭化水素基を有する疎水性物質を用いることが好ましい。この特定の疎水性炭化水素基を有する疎水性物質を用いることで、ミニエマルションの製造安定性を向上させることができる。
本発明の共重合体(A)を製造する際に用いる乳化剤としては、オレイン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ロジン酸のアルカリ金属塩、アルケニルコハク酸のアルカリ金属塩等で例示されるカルボン酸系の乳化剤、アルキル硫酸エステル、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルスルホコハク酸ナトリウム、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸エステルナトリウムなどの中から選ばれるアニオン系乳化剤等、公知の乳化剤を単独または2種以上を組み合わせて使用することができる。
開始剤とは、前述のポリオルガノシロキサン(Aa)と(メタ)アクリル酸エステル(Ab)と必要に応じて用いられるその他のビニル化合物がラジカル重合するためのラジカル重合開始剤であり、例えば、アゾ重合開始剤、光重合開始剤、無機過酸化物、有機過酸化物、有機過酸化物と遷移金属と還元剤とを組み合わせたレドックス系開始剤等が挙げられる。これらのうち、加熱により重合を開始できるアゾ重合開始剤、無機過酸化物、有機過酸化物、レドックス系開始剤が好ましい。これらは1種のみを用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の共重合体(A)の製造に際して、プレエマルションを作製する工程に他のゴム成分が存在する複合ゴムからなる共重合体(A)を所望の性能を損なわない程度で製造してもよい。この場合、他のゴム成分としては、ポリブタジエン等のジエン系ゴム、ポリオルガノシロキサン(Aa)以外のポリオルガノシロキサンなどが挙げられる。これらのゴム成分の存在下でポリオルガノシロキサン(Aa)と(メタ)アクリル酸エステル(Ab)を重合することで、例えばポリブタジエン等のジエン系ゴムなどを複合してなるジエン/ポリオルガノシロキサン/(メタ)アクリル酸エステル系複合ゴムからなる共重合体(A)が得られる。尚、本発明に係る複合ゴムはこれらに限定されるものではなく、また、複合させるゴム成分は1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の共重合体(A)の製造に際して、プレエマルションを作製する工程に、必要に応じて添加剤を添加していてもよい。この場合、添加剤としては、例えばポリスチレンやポリ(メタ)アクリル酸エステル、無機物質(シリカ、ジルコニア、マイカ、ワラストナイト、タルク等)、フィラー(ガラス繊維、炭素繊維等)、滑材、顔料(カーボンブラック、酸化チタン等)、染料、耐熱剤、酸化劣化防止剤、耐候剤、離型剤、可塑剤、帯電防止剤、難燃剤等が挙げられ、得られる熱可塑性樹脂組成物や成形品の物性を損なわない範囲において配合することができる。
上記のプレエマルションを調製する工程は通常常温(10〜50℃程度)で行われ、ミニエマルション重合の工程は40〜100℃で30〜600分程度行われる。
本発明の共重合体(A)の粒子径は、特に制限はないが、好ましくは体積平均粒子径で100〜1000nm、より好ましくは250〜600nmであり、粒子径のピークが単一でも複数であってもよい。
好ましくは(d84−d16)≦0.8×d50
より好ましくは(d84−d16)≦0.6×d50
さらに好ましくは(d84−d16)≦0.5×d50
本発明の共重合体(A)のゲル含有率は、80%以上、特に85%以上、とりわけ90〜100%であることが好ましい。ここで、ゲル含有率とは、次のようにして求められる値である。
ゲル含有率(%)=Wd/W0×100
ここで、Wdは乾燥したポリマーの質量であり、W0はアセトンに浸漬する前のポリマーの質量である。
本発明の共重合体(A)は、好ましくは300〜1200%、より好ましくは500〜1000%、さらに好ましくは700〜900%の範囲のアセトンによる膨潤度を有する。ここで、アセトンによる膨潤度とは、次のようにして求められる値である。
アセトン膨潤度(%)=(WS−Wd)/Wd×100
ここで、WSは膨潤したポリマーの質量であり、Wdは乾燥したポリマーの質量である。
本発明のグラフト共重合体(B)は、本発明の共重合体(A)に、(メタ)アクリル酸エステル、芳香族ビニル、およびシアン化ビニルから選ばれる少なくとも1種の単量体(以下、「グラフト単量体成分」と称す場合がある。)をグラフト重合させてグラフト層を形成したものである。
なお、グラフト単量体成分は、(メタ)アクリル酸エステル、芳香族ビニル、およびシアン化ビニル以外のその他のビニル化合物を含んでいてもよい。
グラフト共重合体(B)2.5gにアセトン80mLを加え65℃の湯浴で3時間還流し、アセトン可溶分の抽出を行う。残留したアセトン不溶物を遠心分離により分離し、乾燥した後質量を測定する。得られたグラフト共重合体(B)中のアセトン不溶物の質量と、該グラフト共重合体(B)の製造に用いた共重合体(A)の質量から、次の式を用いて、グラフト率を算出する。
グラフト共重合体(B)のラテックスを、凝固剤を溶解させた熱水中に投入し、グラフト共重合体(B)を固化させる。次いで、固化したグラフト共重合体(B)を、水または温水中に再分散させてスラリーとし、グラフト共重合体(B)中に残存する乳化剤残渣を水中に溶出させ、洗浄する。次いで、スラリーを脱水機等で脱水し、得られた固体を気流乾燥機等で乾燥することによって、グラフト共重合体(B)を粉体または粒子として回収する。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、上述した本発明のグラフト共重合体(B)を含有し、通常、本発明のグラフト共重合体(B)と他の熱可塑性樹脂とを混合してなる。本発明の熱可塑性樹脂組成物100質量部中のグラフト共重合体(B)の含有量は、20〜80質量部が好ましく、25〜60質量部がより好ましい。上記範囲内であれば、流動性(成形性)と、成形品の耐衝撃性、剛性、その他の物性バランスが良好となる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、必要に応じて他の熱可塑性樹脂や添加剤を含有していてもよい。
これらの添加剤は、前述の通り、本発明の共重合体(A)の製造に際して、プレエマルションを作製する工程に添加してもよい。
各成分の混合順序には特に制限はなく、全ての成分が均一に混合されればよい。
本発明の成形品は、本発明の熱可塑性樹脂組成物を成形してなるものであり、耐衝撃性、剛性、成形外観に優れる。
なお、以下において、「部」は「質量部」、「%」は「質量%」を意味する。
実施例および比較例で製造した共重合体(A−1)〜(A−10)と、グラフト共重合体(B−1)〜(B−10)の体積平均粒子径や分布幅は、日機装社製のNanotrac UPA−EX150を用いて動的光散乱法より求めた。
実施例および比較例で製造した共重合体(A−1)〜(A−10)と、グラフト共重合体(B−1)〜(B−10)のラテックスを100メッシュの金網で濾過し、100メッシュの金網に残った凝塊物を乾燥させて秤量し、各々、共重合体(A−1)〜(A−10)、グラフト共重合体(B−1)〜(B−10)に対する割合(質量%)を求めた。凝塊物量が少ないほど、共重合体(A−1)〜(A−10)、グラフト共重合体(B−1)〜(B−10)ラテックスの製造安定性が良好である。
共重合体(A−1)〜(A−8),(A−10)の製造には、以下に記載する市販のポリオルガノシロキサン(Aa−1)〜(Aa−6),(Aa−8)と、以下の製造例1,2で製造されたオルガノポリシロキサン(Aa−7),(Aa−9)を用いた。
ポリオルガノシロキサン(Aa−2):信越化学工業(株)製「X−22−164A」
ポリオルガノシロキサン(Aa−3):信越化学工業(株)製「X−22−164B」
ポリオルガノシロキサン(Aa−4):信越化学工業(株)製「X−22−164C」
ポリオルガノシロキサン(Aa−5):信越化学工業(株)製「X−22−164E」
ポリオルガノシロキサン(Aa−6):信越化学工業(株)製「KF−2012」
ポリオルガノシロキサン(Aa−8):信越化学工業(株)製「KF−96−100cs」
撹拌装置、温度計、滴下ロート、還流冷却器を取り付けた4つ口フラスコに、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン(8部)、環状オルガノシロキサン混合物(DMC(商品名)、信越シリコーン(株)製)(92部)、メタンスルホン酸(1.4部)を仕込み、85〜90℃に加熱し、8時間重合を行った。反応終了後、炭酸水素ナトリウム(1.7部)を加え、120〜130℃で3時間加熱した。次いで、2Torrの減圧下、120〜130℃で揮発分を留去した後、濾過し、側鎖にメタクリロイル基を有するオルガノポリシロキサン(Aa−7)を得た。
環状オルガノシロキサン混合物(DMC(商品名)、信越シリコーン(株)製)91.0部及び3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン8.0部、テトラメトキシシラン1.0部を混合し、オルガノシロキサン混合物100部を得た。得られたオルガノシロキサン混合物にドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.68部を溶解した純水313部を添加し、ホモミキサーにて10000rpmで5分間攪拌した後、30MPaの圧力でホモジナイザーに2回通し、安定な予備混合エマルションを得た。
別に、温度計、冷却管及び攪拌装置を備えたセパラブルフラスコに、ドデシルベンゼンスルホン酸14部及び純水92部を添加し、ドデシルベンゼンスルホン酸水溶液を調製した。調製したドデシルベンゼンスルホン酸水溶液を85℃に加熱した状態で、得られた予備混合エマルション全量を8時間に亘って滴下した。滴下終了後、温度を2時間維持し冷却した。次いで、得られた反応物を5%水酸化ナトリウム水溶液で中和し、側鎖にメタクリル基を含有したポリオルガノシロキサン(Aa−9)のラテックス(固形分22.0%)を得た。
<合成例I−1:共重合体(A−1)の製造>
以下の配合で共重合体(A−1)を製造した。
〔配合〕
アクリル酸n−ブチル(BA) 97部
メタクリル酸アリル(AMA) 1部
ポリオルガノシロキサン(Aa−1) 2部
流動パラフィン(LP) 2部
アルケニルコハク酸ジカリウム(ASK) 0.2部
ジラウロイルペルオキシド(LPO) 0.6部
蒸留水 400部
用いたポリオルガノシロキサン(Aa)の種類を表2に示す通り変更したこと以外は、合成例I−1と同様にして、それぞれ共重合体(A−2)〜(A−8)のラテックスを得た。比較合成例I−3ではポリオルガノシロキサン(Aa)を使用せず、アクリル酸n−ブチル(BA)とメタクリル酸アリル(AMA)を表2に示す配合量としたこと以外は同様にして共重合体(A−9)のラテックスを得た。
以下の配合で共重合体(A−10)を製造した。
〔配合〕
アクリル酸n−ブチル(BA) 97部
メタクリル酸アリル(AMA) 1部
ポリオルガノシロキサンラテックス(Aa−9) 2部(固形分として)
t−ブチルハイドロペルオキシド 0.25部
硫酸第一鉄 0.0002部
ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート 0.33部
エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム 0.0004部
アルケニルコハク酸ジカリウム(ASK) 1部
蒸留水 393部
得られた共重合体(A−10)のゲル含有率は78%、アセトン膨潤度は1300%であった。
<合成例II−1:グラフト共重合体(B−1)の製造>
試薬注入容器、冷却管、ジャケット加熱機および攪拌装置を備えた反応器に、以下の配合で原料を仕込み、反応器内を十分に窒素置換した後、攪拌しながら内温を75℃まで昇温した。
〔配合〕
水(共重合体(A−1)ラテックス中の水を含む) 230部
共重合体(A−1)ラテックス 50部(固形分として)
アルケニルコハク酸ジカリウム(ASK) 0.5部
ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート 0.3部
硫酸第一鉄七水塩 0.001部
エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム 0.003部
〔配合〕
アクリロニトリル(AN) 12.5部
スチレン(ST) 37.5部
t−ブチルハイドロペルオキシド 0.2部
次いで、1.5%硫酸水溶液100部を80℃に加熱し、該水溶液を撹拌しながら、該水溶液にグラフト共重合体(B−1)ラテックス100部を徐々に滴下し、グラフト共重合体(B−1)を固化させ、さらに95℃に昇温して10分間保持した。
次いで、固化物を脱水、洗浄、乾燥し、粉末状のグラフト共重合体(B−1)を得た。
共重合体(A−1)のラテックスの代りに、共重合体(A−2)〜(A−10)のラテックスをそれぞれ用いたこと以外は、合成例II−1と同様にして、それぞれグラフト共重合体(B−2)〜(B−10)を得た。
<実施例1〜6、比較例1〜4:熱可塑性樹脂組成物の製造>
グラフト共重合体(B−1)〜(B−10)と、懸濁重合法によって製造したアクリロニトリル(AN)−スチレン(ST)共重合体(テクノUMG(株)製「UMG AXS レジン S102N」)とをヘンシェルミキサーを用いて混合し、この混合物を240℃に加熱した押出機に供給し、混練してペレット1を得た。
またペレット1の100部とカーボンブラック0.8部とをヘンシェルミキサーを用いて混合し、この混合物を240℃に加熱した押出機に供給し、混練して黒色ペレット2を得た。
上記熱可塑性樹脂組成物のペレット1を用い、各々、4オンス射出成形機(日本製鋼所(株)製)にて、シリンダー温度240℃、金型温度60℃、射出率20g/秒の条件で成形して、長さ80mm、幅10mm、厚み4mmの棒状の成形体1を得た。
また、同様にして、熱可塑性樹脂組成物の黒色ペレット2をシリンダー温度240℃、金型温度60℃、射出率20g/秒の条件で射出成形して、長さ100mm、幅100mm、厚み3mmの板状の成形体2を得た。
(シャルピー衝撃値の測定)
ISO 179−1:2013年度版に準拠し、試験温度23℃及び−30℃の条件で、それぞれの成形体1(タイプB1、ノッチ有:形状A シングルノッチ)のシャルピー衝撃強度(打撃方向:エッジワイズ)を測定した。シャルピー衝撃強度が高いほど、耐衝撃性に優れることを意味する。
ISO 1133規格に従い、220℃−98Nの条件でペレット1のMVRを測定した。なお、MVRは熱可塑性樹脂組成物の成形性の目安となる。
成形体1について、JIS K7161−1:2014に準じて、引張試験機(株式会社島津製作所製AGS−X)を用いて測定した。なお、引張強度が大きいほど、成形品が固いことを意味し、引張伸びが大きいほど、成形品が応力に対して粘り強い(割れにくい)ことを意味する。
成形体2について、分光測色計(コニカミノルタオプティプス社製「CM−3500d」)を用いて、SCE方式にて明度L*を測定した。測定されたL*を「L*(ma)」とする。L*が低いほど黒色となり、発色性が良好と判定した。
「明度L*」とは、JIS Z 8729において採用されているL*a*b*表色系における色彩値のうちの明度の値(L*)を意味する。
「SCE方式」とは、JIS Z 8722に準拠した分光測色計を用い、光トラップによって正反射光を除去して色を測る方法を意味する。
スガ試験機株式会社製の「デジタル変角光沢計UGV−5D」を用い、JIS K 7105に準拠して、入射角60°、反射角60°における成形体2の表面の反射率(%)を測定した。反射率が高いほど表面外観に優れることを意味する。
本発明の共重合体(A−1)〜(A−6)を用いたグラフト共重合体(B−1)〜(B−6)は、表3に示される通り、凝塊物が少なく、このグラフト共重合体(B−1)〜(B−6)を用いた実施例1〜6の熱可塑性樹脂組成物は、表4に示される通り、耐衝撃性、低温耐衝撃性、流動性(成形性)、引張特性、発色性、光沢に優れるものであることがわかる。
<実施例7,8>
AN−ST共重合体の代りにポリカーボネート樹脂(三菱ケミカル社製「ユーピロン S-2000」)又はアクリル樹脂(三菱ケミカル社製「アクリペット VH5」)を用い、実施例4と同様に熱可塑性樹脂組成物の製造と評価を行い、結果を表5に示した。
Claims (11)
- 片方の末端または両方の末端にラジカル重合性基を有するポリオルガノシロキサン(Aa)と(メタ)アクリル酸エステル(Ab)との共重合体(A)に、(メタ)アクリル酸エステル、芳香族ビニルおよびシアン化ビニルから選ばれる少なくとも1種のビニル単量体をグラフト重合して得られるグラフト共重合体(B)。
- ポリオルガノシロキサン(Aa)の分子構造が直鎖状である請求項1に記載のグラフト共重合体(B)。
- ポリオルガノシロキサン(Aa)の官能基当量が500g/mol以上である請求項1または2に記載のグラフト共重合体(B)。
- 共重合体(A)が、ポリオルガノシロキサン(Aa)と(メタ)アクリル酸エステル(Ab)と必要に応じて用いられるその他のビニル化合物の共重合体であり、ポリオルガノシロキサン(Aa)と(メタ)アクリル酸エステル(Ab)と必要に応じて用いられるその他のビニル化合物の合計100質量%中にポリオルガノシロキサン(Aa)を0.1〜20質量%、(メタ)アクリル酸エステル(Ab)を10〜99.9質量%含む請求項1ないし3のいずれか1項に記載のグラフト共重合体(B)。
- 共重合体(A)は、体積平均粒子径が100〜1000nmで、ゲル含有率が80%以上、アセトン膨潤度が300〜1200%である請求項1ないし4のいずれか1項に記載のグラフト共重合体(B)。
- 共重合体(A)10〜90質量%と、(メタ)アクリル酸エステル、芳香族ビニルおよびシアン化ビニルから選ばれる少なくとも1種のビニル単量体90〜10質量%をグラフト重合して得られる、グラフト率10〜90%で、体積平均粒子径100〜1200nmのグラフト共重合体である(ただし、共重合体(A)とビニル単量体との合計で100質量%)請求項1ないし5のいずれか1項に記載のグラフト共重合体(B)。
- 請求項1ないし6のいずれか1項に記載のグラフト共重合体(B)を含む熱可塑性樹脂組成物。
- グラフト共重合体(B)と、他の熱可塑性樹脂との合計100質量部に対してグラフト共重合体(B)を20〜80質量部含む請求項7に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 請求項7または8に記載の熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形品。
- 片方の末端または両方の末端にラジカル重合性基を有するポリオルガノシロキサン(Aa)と、(メタ)アクリル酸エステル(Ab)と、炭素数12以上のアルキル基、アルケニル基およびシクロアルキル基から選ばれる炭化水素基を有する疎水性物質と、乳化剤と、水とを含む混合物からミニエマルションを形成した後、重合してポリオルガノシロキサン(Aa)と(メタ)アクリル酸エステル(Ab)との共重合体(A)を製造する共重合体(A)の製造方法。
- 請求項10に記載の共重合体(A)の製造方法で製造された共重合体(A)に、(メタ)アクリル酸エステル、芳香族ビニルおよびシアン化ビニルから選ばれる少なくとも1種のビニル単量体をグラフト重合してグラフト共重合体(B)を製造するグラフト共重合体(B)の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019000767A JP7251147B2 (ja) | 2019-01-07 | 2019-01-07 | グラフト共重合体、熱可塑性樹脂組成物および成形品 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019000767A JP7251147B2 (ja) | 2019-01-07 | 2019-01-07 | グラフト共重合体、熱可塑性樹脂組成物および成形品 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2020109141A true JP2020109141A (ja) | 2020-07-16 |
JP7251147B2 JP7251147B2 (ja) | 2023-04-04 |
Family
ID=71569904
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2019000767A Active JP7251147B2 (ja) | 2019-01-07 | 2019-01-07 | グラフト共重合体、熱可塑性樹脂組成物および成形品 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP7251147B2 (ja) |
Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH1149961A (ja) * | 1997-07-30 | 1999-02-23 | Mitsubishi Rayon Co Ltd | 熱可塑性樹脂組成物およびそれを含むマスターバッチ |
JP2017222837A (ja) * | 2016-06-14 | 2017-12-21 | エルジー・ケム・リミテッド | アクリル系加工助剤及びこれを含む塩化ビニル系樹脂組成物 |
-
2019
- 2019-01-07 JP JP2019000767A patent/JP7251147B2/ja active Active
Patent Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH1149961A (ja) * | 1997-07-30 | 1999-02-23 | Mitsubishi Rayon Co Ltd | 熱可塑性樹脂組成物およびそれを含むマスターバッチ |
JP2017222837A (ja) * | 2016-06-14 | 2017-12-21 | エルジー・ケム・リミテッド | アクリル系加工助剤及びこれを含む塩化ビニル系樹脂組成物 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP7251147B2 (ja) | 2023-04-04 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US11401351B2 (en) | Method of producing a rubbery polymer | |
JP7310140B2 (ja) | ゴム質重合体、グラフト共重合体および熱可塑性樹脂組成物 | |
JP7318759B2 (ja) | ポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体、熱可塑性樹脂組成物及び成形体 | |
JP7005990B2 (ja) | ゴム質重合体、グラフト共重合体および熱可塑性樹脂組成物 | |
JP7459463B2 (ja) | ゴム質重合体、グラフト共重合体、熱可塑性樹脂組成物および成形品と、その製造方法 | |
WO2019082715A1 (ja) | ゴム質重合体、グラフト共重合体、熱可塑性樹脂組成物および成形品の製造方法 | |
JP7251147B2 (ja) | グラフト共重合体、熱可塑性樹脂組成物および成形品 | |
JP3274147B2 (ja) | 熱可塑性樹脂およびその製造方法 | |
JP7287004B2 (ja) | 共重合体の水分散体、グラフト共重合体、熱可塑樹脂組成物およびその成形品 | |
JP7225542B2 (ja) | 熱可塑性樹脂組成物およびその成形品 | |
JP7079116B2 (ja) | 重合体、グラフト重合体および熱可塑性樹脂組成物 | |
WO2021065721A1 (ja) | 撥水性付与剤、熱可塑性樹脂組成物およびその成形品 | |
JP7106880B2 (ja) | 熱可塑性樹脂組成物およびその成形品 | |
JP6953867B2 (ja) | 複合ゴム質重合体、グラフト共重合体および熱可塑性樹脂組成物 | |
CN110799555A (zh) | 聚合物、接枝聚合物以及热塑性树脂组合物 | |
JP7375431B2 (ja) | 成形品 | |
JP2023085185A (ja) | 樹脂組成物及び成形体 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20210916 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20220902 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20221004 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20221117 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20230221 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20230306 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 7251147 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |