以下、本発明に係る口栓構造、ノズルの第1実施形態を、図面に基づいて説明する。 図1は、本実施形態における閉塞状態を示す斜視図(a)、開放状態を示す斜視図(b)であり、図2は、本実施形態における口栓構造を示す断面図であり、図3〜図11は、本実施形態における口栓構造、ノズルまたは口栓構造の動作を示す断面図であり、図12は、本実施形態における内筒部を示す斜視図であり、図13は、本実施形態における、ノズルを示す断面図であり、図において、符号10は、口栓構造である。
本実施形態に係る口栓構造10は、図1〜図3に示すように、外筒部20と、内筒部30と、を有し、ノズルNによって開閉動作可能なものとされる。
本実施形態に係る口栓構造10において、図1〜図3に示すように、外筒部20は両端が開口して容器11を貫通する円筒状に形成されている。この外筒部20内側には、外筒部20と同軸状に位置し、外筒部20の軸方向Aに摺動可能に内筒部30が挿入されている。
内筒部30には、容器11における外筒部20の内側となる一端から前記軸方向Aに離間するように外筒部20の開口部(開口)21を閉塞可能な蓋部31が一体として接続されている。
本実施形態に係る口栓構造10において、外筒部20および内筒部30は、クロージャー(閉栓部材)および充填後に外筒部20と内筒部30とで閉塞するスパウト等の開栓部材としての使用可能である。あるいは、ノズルNとの連結部材として使用可能である。
外筒部20および内筒部30は、射出成形などの適切な成形により一体のプラスチック部材として製造される。プラスチックとしては、熱可塑性プラスチック、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなど可撓性を有するものが適している。ノズルNは金属、プラスチックを部材として製造され、減圧脱気用バキュームノズル、充填用ノズル、点滴等医薬品の接続部などとされることができる。
外筒部20は、図1〜図3に示すように、例えば円筒状とされ、液状体・粉体・粘性流体などが充填される容器11の開口位置に固定されるとともに、容器(袋体)11の内側から外側まで貫通する導通路となっている。外筒部20は、一端(内側端)の開口部21から他端(外側端)の開口部(開口)22まで、内筒部30の外径とほぼ等しい径寸法を有して略同径の円筒部20aを有するものとされている。
外筒部20において、一端側の開口部(開口)21には、その内周が拡径された拡径部23が設けられ、また、他端側の開口部(開口)22には、その内周が拡径された拡径部24が設けられている。
外筒部20の外周側には、図1,図2に示すように、容器(液状体用袋体)11に融着や接着等の適宜固定手段で固定される基部20Aが開口21側に設けられ、基部20Aの他端側に接する第1フランジ20bとその上部の第2フランジ20cが設けられ、第2フランジ20cの他端側外周には、充填工程後に密閉するためのキャップ(図示せず)を螺合する螺旋の突条20dが断続的に設けられている。外筒部20における螺旋の突条20dよりも一端側の外周には、図示しないキャップを締めた際に当接するリブ20eおよび、この図示しないキャップに係合する複数の凸部20fが設けられている。
外筒部20の開口部21には、図1〜図3に示すように、蓋部31が密着して密閉可能なように、蓋部31の外径と対応した内径寸法を有する拡径部23が設けられており、この拡径部23の他端側には、径方向に延在して蓋部31の表面と当接する円環状の閉塞面25がその全周にわたって設けられる。閉塞面25は開口21から開口22に向かって(内端側から外端側に向かって)縮径するように傾斜されていることもできる。拡径部23の内周面には、蓋部31のOリング等とされるシール用の周設された凸条に対応する凹部等とされるシール部23aが設けられている。
内筒部30は、図1(b),図2,図12に示すように、例えば円筒状の通路部30aを有するものとされ、この通路部30aが外筒部20の内側位置に同軸状として摺動可能に配置されるとともに、通路部30aが、袋体11の内側から外側まで貫通する導通路の内表面をなしている。
内筒部30には、円筒状とされた通路部30aの一端側の先端に2本の剛性を有する蓋支持部32,32が設けられ、この蓋支持部32,32を介して蓋部31が一体として接続される。
内筒部30には、後瑞(他端)30c側位置で係合部36よりも先端(一端)30b側とされる側面部外周位置に、外筒部20に対して摺動した場合でも密閉性を維持するシール部30fが周設される。なお、シール部30fは、外筒部20の内周面側に設けることもできる。
蓋部31は、図1(b),図2,図12に示すように、外筒部20の袋体11の内側に存する導通路の一端である開口部21の拡径部23に着脱自在に係合して閉鎖しうるものとされ、その周面31aには、シール部23aに対応するOリング等とされるシール突条31bが周設されている。また、周面31aの他端側(外側)には、閉塞面25に対応して傾斜した閉塞面31cが設けられる。
蓋支持部32,32は、図1(b),図2,図12に示すように、円筒状とされた通路部30aの一端側(内側)の先端30bに対向位置に2本延設され、通路部30aにおける円筒を軸方向に部分的に延長した形状とされている。蓋支持部32,32は、軸方向にほぼ均等な幅寸法を有するものとされ、また、幅寸法、つまり、通路部30aの周方向の寸法は内部流量を増大するためにも、なるべく小さくなるように設定されることができる。
また、通路部30aにおいては、図1(b),図2,図12に示すように、その先端30bと蓋部31の他端側(外側)表面31dとが、蓋支持部32,32部分以外では軸方向に離間しているように形成され、これら通路部30aの先端30bと蓋部31表面31dとの間が、袋体11の内側から外側まで貫通する導通路の内側に対する開口部分となっている。したがって、この通路部30aの先端30bと蓋部31表面31dとの距離寸法、および、蓋支持部32,32の幅寸法を設定することで、通路部30aの内断面積の値を最大値として流路断面を設定することが可能となる。
通路部30aにおいては、図1(b),図2,図12に示すように、その内側の先端30b付近で、それぞれの蓋支持部32,32の基端位置には、円筒状の通路部30a内表面から径方向中心向きに突出する当接部33,33が設けられる。
当接部33,33は、図1(b),図2,図12に示すように、通路部30aの周方向となる蓋支持部32,32の幅方向中央位置に配置されて、軸方向に通路部30aの先端付近から蓋部31まで延在する突条として形成されている。当接部33,33の他端側(外側)には、後述するノズルNの先端当接部N1が当接するために通路部30aの軸方向と直交する径方向に延在する当接面33aがそれぞれ設けられている。
当接部33は、ノズルN先端当接部N1が当接面33aに当接した状態で内筒部30に対して充分に軸方向の押圧力を伝達可能であれば流体流路断面を確保するためにも、なるべく小さい方がよい。また、蓋支持部32の強度を増すために、軸方向に通路部30aの先端30b付近から蓋部31まで延在する突条としたが、当接面33a付近だけ径方向中心側突出する構成とすることも可能である。また、当接部33の径方向中心向きへの長さ、つまり、通路部30aの内面から中心軸側への突出寸法は、ノズルN先端当接部N1の肉厚寸法と同程度とすることができる。これにより流体流路断面を充分大きくすることができる。
さらにまた、蓋支持部32,32の幅寸法を小さくして、軸方向に通路部30aの先端30b付近から蓋部31まで延在する当接部33を通路部30aの径寸法と同程度にすることも可能である。この場合には、たとえば、蓋支持部32の幅寸法を通路部30aの肉厚と同程度にして、対向するそれぞれの当接部33の径方向寸法を内筒部30の中心軸まで延長して互いに接続した形状とし、通路部30aの先端30bと蓋部31表面31dとの開口を中心壁となる当接部33により2分割した状態とすることもできる。
内筒部30の他端側(外側)となる後瑞30cは、図1(b),図2,図12に示すように、内筒部30の軸方向と直交する面となるように形成され、この後瑞30cには、内筒部30内側に同軸状に挿入されたノズルNの係合外部N6と係合して、蓋部31が外筒部20の開口21を閉塞する方向に内筒部30を軸方向に移動させるための係合部36が設けられる。
一方の係合部36としては、図2,図12に示すように、後瑞30c付近の内筒部30の内周面に位置して設けられ、軸方向視して、平行な2本の直線状として、通路部30aの中心から径方向同一距離に設けられた2本の切り込み36a,36bによって、後瑞30cが内筒部30の周方向に分離された部分が支持部35とされている。また、この切り込み36aと切り込み36bの間となる支持部35の後瑞30c先端位置には、内筒部30の径方向内側に突出したツメ部37が設けられている。
一方のツメ部37は、図2,図12に示すように、通路部30aの側面部のうち切り込み36aと切り込み36bの間となる部分に沿って延在するとともに通路部30aの径方向に弾性変形可能な支持部35の先端35bで後端部30cの先端内側位置に設けられる。
支持部35は、切り込み36a,36bの軸方向終端位置である一端側の基端35aを支点として、先端側35bが通路部30aの径方向に移動するように弾性変形可能となっている。
同様に、対向する係合部36としては、図2,図12に示すように、切り込み36a,36bに対して径方向に対向する位置とされるとともに、切り込み36a,36bと軸方向視してそれぞれ平行な直線状に形成された切り込み36c,36dによって、後瑞30cの周方向に分離された部分が支持部35とされている。この切り込み36cと切り込み36dの間となる支持部35の後端部30c先端位置には、内筒部30の後瑞30c径方向内側に突出したツメ部37が設けられている。
対向するツメ部37は、図2,図12に示すように、通路部30aの側面部のうち切り込み36cと切り込み36dの間となる部分に沿って延在するとともに通路部30aの径方向に弾性変形可能な支持部35の先端35bで後端部30cの先端内側位置に設けられる。
支持部35は、切り込み36c,36dの軸方向終端位置である一端側の基端35aを支点として、先端側35bが通路部30aの径方向に移動するように弾性変形可能となっている。
対向する係合部36,36は、図4,図12に示すように、後述するノズルNの外側面に設けられた係合外部N6に対して係合可能とされるとともに、支持部35の弾性により係合解除可能とされている。対向位置にある2つの支持部35および支持部35は、後述するように、内筒部30に挿入されたノズルNによって、同時に軸方向外側に拡径するように作用力を受けると、先端側35bが通路部30aの径方向外側に移動するように弾性変形し、ツメ部37およびツメ部37が、いずれも係合外部N6を乗り越えると、支持部35の弾性により、通路部30aの径方向内側に移動するように復元される。
この動作を可能とするために、対向するツメ部37とツメ部37間の径方向距離t2が、図13(a)に示すように、ノズルNにおける係合外部N6となる段差より外側の縮径部N3の径寸法n1と等しくなるように設定され、対向する支持部35と支持部35間の径方向距離t1が、図13(a)に示すように、ノズルNにおける先端当接部N1における外側面である拡径部N2の径寸法n2と等しくなるように設定されることができる。
これにより、もとの径寸法となった係合部36は、ノズルNの係合外部N6と係合して、軸方向外側に移動する際には、ノズルNと内筒部30とが一体として移動するように引っ掛かった状態となる。
なお、支持部35における軸方向外側に拡径する動作は、図4,図5,図12(b)に示すように、支持部35が外筒部20の拡径部24に対応する軸方向位置となるように内筒部30の軸方向位置が設定されているときだけ可能である。それよりも内筒部30が一端側(内側)に入り込んだ軸方向位置であると、支持部35は、外筒部20の円筒部20aに当接して、ツメ部37,37が拡径する方向に移動することができない。これにより、係合部36が、ノズルNの係合外部N6から外れて、ノズルNのみが軸方向外側に移動してしまうことを防止でき、ノズルNと内筒部30とが一体として移動することを維持可能とすることができる。
本実施形態に係るノズルNは、図3,図4,図6,図8,図10,図12,図13(a)に示すように、内筒部30に挿入して摺動可能な概略円筒状とされて、内筒部30における通路部30aの内径と略等しい外径寸法を有する。
ノズルNは、図3,図13(a)に示すように、その先端が当接部33に当接して内筒部30を開放方向に移動可能とする先端当接部N1とされ、その外側面部には前記係合部に係合可能な係合外部N6が設けられている。
係合外部N6は、図3,図13(a)に示すように、ツメ部37が係合されるようにノズルNの外周面に設けられた段差とすることができ、係合外部N6よりも先端当接部N1側が、拡径部N2とされ、係合外部N6の先端当接部N1と逆側が縮径部N3とされている。
ノズルNにおいて、係合外部N6となる段差より外側の縮径部N3では、図13(a)に示すように、その径寸法n1が、内筒部30における対向するツメ部37とツメ部37間の径方向距離t2と等しくなるように設定されることができるとともに、先端当接部N1における外側面である拡径部N2では、図13(a)に示すように、その径寸法n2が、対向する支持部35と支持部35間の径方向距離t1と等しくなるように設定されることができる。
また、ノズルNにおいては、図13(a)に示すように、先端当接部N1における外側面である拡径部N2が係合外部N6となる段差まで連続する構成にかえて、図13(b)に示すように、先端当接部N1付近の拡径部N4が周設された突条であり、その係合外部N6側に縮径部N5が設けられ、さらに、係合外部N6としての突条である拡径部N7が設けられて、縮径部N3に連続する外面形状とすることもできる。この場合には、通路部30aの内面に当接するノズルN表面積を減らして、摩擦を低減することが可能となる。
ここで、縮径部N5では、図13(b)に示すように、その径寸法n1が、内筒部30における対向するツメ部37とツメ部37間の径方向距離t2と等しくなるように設定されることができるとともに、拡径部N4および拡径部N7では、その径寸法n2が、対向する支持部35と支持部35間の径方向距離t1と等しくなるように設定されることができる。
さらに、図13(b)に示した構造において、拡径部N4がなく縮径部N5が先端当接部N1まで連続した構造とすることもできる。
さらに、図13(c)に示しように、縮径部N3よりも挿入規定部N8側が、径寸法n2とされる拡径部N9とされて、縮径部N3部分が周方向に設けられた周溝とされた構造とすることもできる。この構成であると、縮径部N3の溝を周設するだけであるので、ノズルNの製造を簡単に行うことができる。
なお、支持部35と支持部35間の径方向距離t1は、通路部30aにおける径方向距離t1と等しく設定されている。
また、拡径部N2および拡径部N4および拡径部N7における外形寸法n2は、外筒部20における円筒部20aの内径寸法とほぼ等しく設定されている。
ノズルNにおいては、図3,図13に示すように、先端当接部N1と係合外部N6との軸方向寸法が、内筒部30のツメ部37と当接面33aとの軸方向距離よりも小さくなるように設定されている。
ノズルNの係合外部N6よりもさらに外側には、外筒部20の開口22と当接してノズルNの挿入距離を規定するとともに、一体として軸方向に移動する内筒部30の内側への移動距離を規定する、挿入規定部N8が外周面に突出して設けられている。挿入規定部N8の径方向寸法は、外筒部20の開口22の径寸法よりも大きくなるように設定されていればよい。
以下、本実施形態に係る口栓構造、ノズルにおける動作について説明する。
本実施形態においては、まず、口栓構造10が、図2に示すように、閉塞された状態から説明を開始する。
この状態の外筒部20の開口部21においては、図2に示すように、蓋部31の周面31aが拡径部23に密着するとともに、閉塞面31cが閉塞面25に密着することにより密閉されている。このとき、拡径部23および周面31aでは、シール突条31bがシール部23aと協働して開口部21をシールしている。これにより、袋体11の内部は密閉された状態となっている。
例えば、密閉状態とされた袋体11に流体を充填するためには、図3に示すように、ノズルNを口栓構造10に挿入する。すると、先端当接部N1における外側面である拡径部N2が、内筒部30のツメ部37を通過して通路部30aに挿入される。
次に、図4,図5に示すように、通路部30aに挿入された拡径部N2によって、内筒部30のツメ部37が径方向に距離が拡大する方向に押圧される。ここでは、径方向寸法n1とされる対向したツメ部37の先端とツメ部37の先端との間に対し、径方向寸法n1よりおおきな径方向寸法n2として設定された拡径部N2によって、ツメ部37とツメ部37との径方向距離が拡げられることになる。このとき、支持部35,35が基端35aから弾性変形することでツメ部37とツメ部37との径方向距離が寸法n2に等しい間隔まで拡げられる。
また、径方向距離が拡げられたツメ部37とツメ部37とが設けられた支持部35,35は、外筒部20の拡径部24が逃げになることで変形可能となって、係合外部N6が軸方向Aにおいてツメ部37の位置を超えて内側に移動することができるものである。
次に、図6,図7に示すように、係合外部N6の段差がツメ部37を超える位置までノズルNが軸方向Aに挿入されると、支持部35の弾性により対向したツメ部37の先端とツメ部37の先端とが軸中心側に移動して、ツメ部37.37の間の距離は、縮径部N3の径方向寸法n1まで縮小する。
これにより、係合外部N6の段差にツメ部37が係合した係合状態となる。
次に、図6,図7に示すように、ノズルNの先端当接部N1が、内筒部30の当接面33aに当接し、当接部33を軸方向Aに押圧する。これにより、内筒部30が軸方向Aに押圧されて、蓋部31の周面31aと拡径部23との間、およびシール突条31bとシール部23aとの間の係止力に打ち勝って、蓋部31が拡径部23から軸方向Aに移動する。
これにより、開口部21のシールが解除されて、袋体11内部とノズルNの管内とが連通した状態となる。
さらに、図8,図9に示すように、ノズルNの先端当接部N1が、内筒部30の当接部33に対する軸方向Aへの押圧を継続し、内筒部30の軸方向Aへの移動も継続する。すると、挿入規定部N8が外筒部20の開口22と当接することで規定されるノズルNの挿入距離までノズルNが軸方向Aへ移動するとともに、ノズルNと一体として軸方向Aに内筒部30が袋体11内側へ移動する。これにより、蓋支持部32,32に支持された蓋部31が、袋体11内側へ突出し、通路部30aの先端30bと蓋部31表面31dとの間の開口を全開とする。
このとき、当接部33は、通路部30aの内径に対して、ノズルNの肉厚に相当する径方向距離しか中心軸方向に向けて突出していないので、ノズルNの内部流路断面積に対して、通路部30aの先端30bと蓋部31表面31dとの間の開口断面積が減少せず、ほぼ同等の断面積を維持することが可能となる。
この開放状態で、図8において矢印Pおよび矢印Fで示すように、ノズルNから吐出した流体を袋体11内部に充填する。
袋体11への流体の充填が終了したら、図10に示すように、ノズルNを、図において矢印Bで示すように、軸方向外側に向けて移動させることにより、ノズルNの先端当接部N1が、内筒部30の当接面33aから離間する。次いで、ノズルNを、図において矢印Bで示すように、軸方向外側に向けて移動させることにより、ノズルNの係合外部N6の段差がツメ部37に当接し係合する。この状態で、さらにノズルNを、図において矢印Bで示すように、軸方向外側に向けて移動させることにより、ノズルNの係合外部N6に対してツメ部37によって係合している内筒部30が、図において矢印Bで示すように、軸方向外側に向けてノズルNと一体として移動することになる。
さらに、ノズルNを、図において矢印Bで示すように、軸方向外側に向けて移動させることにより、図10に示すように、蓋部31が開口部21に挿入される。これにより、蓋部31の周面31aが拡径部23に密着するとともに、閉塞面31cが閉塞面25に密着する。このとき、拡径部23および周面31aでは、シール突条31bがシール部23aと協働して開口部21をシールする。これにより、袋体11の内部を蓋部31によって密閉した状態とする。
閉塞状態において、ツメ部37と支持部35,35とが、外筒部20の拡径部24に位置している。この状態で、さらに、ノズルNを、図において矢印Bで示すように、軸方向外側に向けて移動させることにより、ツメ部37とツメ部37とが設けられた支持部35,35は、径方向寸法の拡大に対して逃げとなることができる外筒部20の拡径部24に位置することで変形可能となって、拡径部N2がツメ部37とツメ部37との径方向距離を拡げ、係合外部N6が軸方向Aにおいてツメ部37の位置を超えて外側に移動する。そして、図11に示すように、ノズルNを口栓構造10から抜管する。
本実施形態における口栓構造10およびノズルNにおいては、ノズルNを袋体11の外側から口栓構造10の内筒部30に挿入して袋体11の内側に向けて矢印A方向に移動することで、ノズルN先端当接部N1が接触した当接部33を押圧して、内筒部30を外筒部20に対して軸方向内側に移動させることで、蓋部31と外筒部20開口21とのシールが解除されて、内筒部30一端30aと蓋部31表面31dとの間を介して、外筒部20の両開口21,22が連通可能な開放状態となる。また、口栓構造10内部に挿入されたノズルNを外側に向けて矢印B方向に移動させることで、係合部36がノズルNの係合外部N6と係合して、内筒部30をノズルNと一体として外側に向けて矢印B方向に移動し、蓋部31の周面31aが外筒部20における閉塞面25と当接することにより、外筒部20の開口21が閉塞した閉塞状態となる。このように、ノズルNの挿嵌動作および抜出動作により内筒部30を軸方向に移動させることができ、この往復動作のみで口栓構造10の開放密閉を確実に繰り返して行うことが可能となる。
また、外筒部20を貫通孔として容器11の壁部等に設けることで、再閉塞可能な口栓とすることができる。
口栓構造10は、当接部33が、内筒部30の側面部から径方向内側位置として、かつ、蓋部31の他端側表面から内筒部30の軸方向に所定距離離間した位置として、内筒部30の側面部から径方向内側に突出するように設けられることにより、蓋部31と当接部33との軸方向距離を設定することで、外筒部20からはみ出すように突出した蓋部31と外筒部20の一端側開口21との距離が規定され、これにより、口栓構造10としての流路面積および流量を、内筒の流路断面積および長さに規定される粘性流量とあいまって決定することができる。また、内筒部30の一端30bから蓋部31が離間しているため、内筒部30の端部を蓋支持部32を除いて外筒部20から突出することなく、口栓構造10を開放状態とすることができる。
口栓構造10の内筒部30における側面部の一端30b側には、その軸方向に延在して蓋部31の他端側表面に接続される蓋支持部32が設けられて、蓋部31が外筒部20から離間した状態において、外筒部20の両開口21,22が連通可能とされていることにより、内筒部30を外筒部20の軸線に沿って摺動させることで、蓋支持部32の軸方向寸法を設定することで、外筒部20からはみ出すように突出した蓋部31と外筒部20の一端側開口21との距離が規定され、これにより、口栓構造10としての流路面積および流量を、内筒の流路断面積および長さに規定される粘性流量とあいまって決定することができる。また、内筒部30の一端30bから蓋部31が離間しているため、内筒部30の端部を蓋支持部32を除いて外筒部20から突出することなく、口栓構造10を開放状態とすることができる。このため内筒部30の外周面を流体と接触させることがない。
口栓構造10の内筒部30における側面部に設けられた蓋部31の他端側表面から離間した部分は、その面積が内筒部30の径方向内断面積と同等か大きく設定されていることにより、口栓構造10としての流路面積および流量を、内筒の流路断面積および長さに規定される粘性流量とあいまって決定することができる。また、蓋支持部32を内筒部30側面部が延長された構造とした場合には、内筒部30の軸方向寸法を長くすることで、蓋部31の他端側表面から離間した部分を開口窓形状として設けることができる。
口栓構造10の蓋部31および/または外筒部20には、これらが互いに当接する位置に、シール部が周設されることにより、蓋部31と外筒部20とのアンダーシールを効率的に行うことと容易な開放閉塞動作を可能とし、確実な打栓をおこなうことができる。
口栓構造10の外筒部20の他端側には、蓋部31が外筒部20を閉塞した状態において、係合部36が径方向外側に弾性変形可能なように拡径された拡径部24を有することにより、蓋部31が外筒部20を閉塞した軸方向位置に内筒が位置された状態においては、外筒部20の拡径部24に対応する軸方向位置に内筒部30の係合部36が位置しているために、ノズルNが挿嵌・抜出された際には、係合部36の支持部35が弾性変形してツメ部37の係合・解放をおこなうことができる。これにより、外筒部20の拡径部24に対応する軸方向位置に内筒部30の係合部36が位置している位置では、内筒部30からのノズルNの着脱をおこなうことができる。
これに対して、蓋部31が外筒部20の閉塞解除した軸方向位置に内筒が位置された状態においては、外筒部20の拡径部24よりも一端側であり拡径されていない外筒部20に対応する軸方向位置に内筒部30の係合部36が位置しているために、支持部35が拡径する方向に弾性変形できず、係合部36のツメ部37がノズルNの係合外部N6から外れてしまうことがない。これにより、外筒部20の拡径部24よりも一端側で拡径されていない外筒部20に対応する軸方向位置に内筒部30の係合部36が位置している位置では、内筒部30からのノズルNの着脱をおこなうことができない。このため、内筒部30の軸方向移動を確実にノズルNの移動に追従させることが可能となる。
口栓構造10の他端側位置で係合部36よりも一端30b側とされる側面部外周面および/またはこの側面部外周面と摺動可能な外筒部内周面には、これらが互いに当接する位置に、シール部が周設されることにより、内筒部30と外筒部20との摺動面からシールが破れて口栓構造10において密閉が破れてしまうことを防止できる。
ノズルNは、内筒部30に挿入して摺動可能な外径を有するとともに、その先端には当接部33に当接して内筒部30を開放方向に移動可能とする先端当接部が設けられ、その外側面部には係合部36に係合可能な係合外部N6が設けられていることにより、挿嵌・抜出するだけで、解放閉塞を同時におこなうとともに、この動作を繰り返しておこなっても、シールが劣化せず、容易に交換可能で簡単な構造の口栓構造10を安価に利用可能とすることができる。同時に、ノズルNも容易に交換可能で簡単な構造を安価に利用可能とすることができる。
以下、本発明に係る口栓構造、ノズルの第2実施形態を、図面に基づいて説明する。 図14は、本実施形態における閉塞状態を示す斜視図(a)、開放状態を示す斜視図(b)であり、図15は、本実施形態における口栓構造を示す平面図であり、図16は、本実施形態における口栓構造を示す分解断面図であり、図17は、本実施形態における口栓構造を示す断面図であり、図17〜図26は、本実施形態における口栓構造、ノズルまたは口栓構造の動作を示す断面図であり、図において、符号40は、口栓構造である。
本実施形態に係る口栓構造40は、図14〜図17に示すように、外筒部20と、内筒部30と、を有し、ノズルNによって開閉動作可能なものとされる。
本実施形態に係る口栓構造40において、図14〜図17に示すように、外筒部20は両端が開口して容器壁11を貫通する円筒状に形成されている。この外筒部20内側には、外筒部20と同軸状に位置し、外筒部20の軸方向Aに摺動可能に内筒部30が挿入されている。
内筒部30には、容器壁11における外筒部20の内側となる一端から前記軸方向Aに離間するように外筒部20の開口部(開口)21を閉塞可能な蓋部31が一体として接続されている。
本実施形態に係る口栓構造40において、外筒部20および内筒部30は、クロージャー(閉栓部材)および充填後に外筒部20と内筒部30とで閉塞するスパウト等の開栓部材としての使用可能である。あるいは、ノズルNとの連結部材として使用可能である。
外筒部20および内筒部30は、射出成形などの適切な成形により一体のプラスチック部材として製造される。プラスチックとしては、熱可塑性プラスチック、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなど可撓性を有するものが適している。ノズルNは金属、プラスチックを部材として製造され、減圧脱気用バキュームノズル、充填用ノズル、点滴等医薬品の接続部などとされることができる。
外筒部20は、図14〜図17に示すように、例えば円筒状とされ、液状体・粉体・粘性流体などが充填される袋体11の開口位置に設けられるとともに、袋体(容器)11の内側から外側まで貫通する導通路となっている。
外筒部20は、袋体11の導通路41に螺着されたキャップとされ、例えば、袋体11内部に流体を充填した後、導通路41を閉塞するように螺着される。
本実施形態に係る口栓構造40は、例えば、プリンターのインクカートリッジである袋体11に取り付けられることができ、プリンター側に取り付けられたノズルNに装着可能なように再閉塞・再開通することができるようになっている。
外筒部20は、一端(内側端)の開口部21から他端(外側端)の開口部(開口)22まで、内筒部30の外径とほぼ等しい径寸法を有して略同径の円筒部20aを有するものとされている。
外筒部20において、一端側の開口部(開口)21には、その内周が拡径された拡径部23が設けられ、また、他端側の開口部(開口)22には、その内周が拡径された拡径部24が設けられている。
外筒部20の開口部22側には、図14〜図16に示すように、シール部23aに連続してキャップとなる折り返し部20gが設けられ、その内側には、螺条20hが設けられている。
導通路41は略円筒状のスパウトの一部とされて、その内部に外筒部20が同軸状に挿入されて、外部が螺合されるようになっている。
導通路41の外周側には、図14〜図16に示すように、液状体用袋体11に融着や接着等の適宜固定手段で固定される基部40aが内側に設けられ、基部40aの他端側に接する第1フランジ40bとその上部の第2フランジ40cが設けられ、第2フランジ40cの他端側外周には、充填工程後に密閉するためのキャップとなっている外筒部20の螺条20hを螺合する螺旋の突条40dが断続的に設けられている。導通路41における螺旋の突条40dよりも内側の外周には、キャップである外筒部20を締めた際に当接するリブ40eおよび、この図示しないキャップに係合する複数の凸部40fが設けられている。
外筒部20の開口部21には、図14〜図17に示すように、蓋部31が密着して密閉可能なように、蓋部31の外径と対応した内径寸法を有する拡径部23が設けられており、この拡径部23の他端側には、径方向に延在して蓋部31の表面と当接する円環状の閉塞面25がその全周にわたって設けられる。閉塞面25は開口21から開口22に向かって(内端側から外端側に向かって)縮径するように傾斜されていることもできる。拡径部23の内周面には、蓋部31のOリング等とされるシール用の周設された凸条に対応する凹部等とされるシール部23aが設けられている。
内筒部30は、図14(b),図15,図16に示すように、例えば円筒状の通路部30aを有するものとされ、この通路部30aが外筒部20の内側位置に同軸状として摺動可能に配置されるとともに、通路部30aが、袋体11の内側から外側まで貫通する導通路の内表面をなしている。
内筒部30には、円筒状とされた通路部30aの一端側の先端に2本の剛性を有する蓋支持部32,32が設けられ、この蓋支持部32,32を介して蓋部31が一体として接続される。
内筒部30には、後瑞(他端)30c側位置で係合部36よりも先端(一端)30b側とされる側面部外周位置に、外筒部20に対して摺動した場合でも密閉性を維持するシール部30fが周設される。なお、シール部30fは、外筒部20の内周面側に設けることもできる。
蓋部31は、図14(b),図15,図16に示すように、外筒部20の袋体11の内側に存する導通路の一端である開口部21の拡径部23に着脱自在に係合して閉鎖しうるものとされ、その周面31aには、シール部23aに対応するOリング等とされるシール突条31bが周設されている。また、周面31aの他端側(外側)には、閉塞面25に対応して傾斜した閉塞面31cが設けられる。
蓋支持部32,32は、図14(b),図15,図16に示すように、円筒状とされた通路部30aの一端側(内側)の先端30bに対向位置に2本延設され、通路部30aにおける円筒を軸方向に部分的に延長した形状とされている。蓋支持部32,32は、軸方向にほぼ均等な幅寸法を有するものとされ、また、幅寸法、つまり、通路部30aの周方向の寸法は内部流量を増大するためにも、なるべく小さくなるように設定されることができる。
また、通路部30aにおいては、図14(b),図15,図16に示すように、その先端30bと蓋部31の他端側(外側)表面31dとが、蓋支持部32,32部分以外では軸方向に離間しているように形成され、これら通路部30aの先端30bと蓋部31表面31dとの間が、袋体11の内側から外側まで貫通する導通路の内側に対する開口部分となっている。したがって、この通路部30aの先端30bと蓋部31表面31dとの距離寸法、および、蓋支持部32,32の幅寸法を設定することで、通路部30aの内断面積の値を最大値として流路断面を設定することが可能となる。
通路部30aにおいては、図14(b),図15,図16に示すように、その内側の先端30b付近で、それぞれの蓋支持部32,32の基端位置には、円筒状の通路部30a内表面から径方向中心向きに突出する当接部33,33が設けられる。
当接部33,33は、図14(b),図15,図16に示すように、通路部30aの周方向となる蓋支持部32,32の幅方向中央位置に配置されて、軸方向に通路部30aの先端付近から蓋部31まで延在する突条として形成されている。当接部33,33の他端側(外側)には、後述するノズルNの先端当接部N1が当接するために通路部30aの軸方向と直交する径方向に延在する当接面33aがそれぞれ設けられている。
当接部33は、ノズルN先端当接部N1が当接面33aに当接した状態で内筒部30に対して充分に軸方向の押圧力を伝達可能であれば流体流路断面を確保するためにも、なるべく小さい方がよい。また、蓋支持部32の強度を増すために、軸方向に通路部30aの先端30b付近から蓋部31まで延在する突条としたが、当接面33a付近だけ径方向中心側突出する構成とすることも可能である。また、当接部33の径方向中心向きへの長さ、つまり、通路部30aの内面から中心軸側への突出寸法は、ノズルN先端当接部N1の肉厚寸法と同程度とすることができる。これにより流体流路断面を充分大きくすることができる。
さらにまた、蓋支持部32,32の幅寸法を小さくして、軸方向に通路部30aの先端30b付近から蓋部31まで延在する当接部33を通路部30aの径寸法と同程度にすることも可能である。この場合には、たとえば、蓋支持部32の幅寸法を通路部30aの肉厚と同程度にして、対向するそれぞれの当接部33の径方向寸法を内筒部30の中心軸まで延長して互いに接続した形状とし、通路部30aの先端30bと蓋部31表面31dとの開口を中心壁となる当接部33により2分割した状態とすることもできる。
内筒部30の他端側(外側)となる後瑞30cは、図14(b),図15,図16に示すように、内筒部30の軸方向と直交する面となるように形成され、この後瑞30cには、内筒部30内側に同軸状に挿入されたノズルNの係合外部N6と係合して、蓋部31が外筒部20の開口21を閉塞する方向に内筒部30を軸方向に移動させるための係合部36が設けられる。
一方の係合部36としては、図12,図15〜図17に示すように、後瑞30c付近の内筒部30の内周面に位置して設けられ、軸方向視して、平行な2本の直線状として、通路部30aの中心から径方向同一距離に設けられた2本の切り込み36a,36bによって、後瑞30cが内筒部30の周方向に分離された部分が支持部35とされている。また、この切り込み36aと切り込み36bの間となる支持部35の後瑞30c先端位置には、内筒部30の径方向内側に突出したツメ部37が設けられている。
一方のツメ部37は、図15,図16,図17に示すように、通路部30aの側面部のうち切り込み36aと切り込み36bの間となる部分に沿って延在するとともに通路部30aの径方向に弾性変形可能な支持部35の先端35bで後端部30cの先端内側位置に設けられる。
支持部35は、切り込み36a,36bの軸方向終端位置である一端側の基端35aを支点として、先端側35bが通路部30aの径方向に移動するように弾性変形可能となっている。
同様に、対向する係合部36としては、図12,図15〜図17に示すように、切り込み36a,36bに対して径方向に対向する位置とされるとともに、切り込み36a,36bと軸方向視してそれぞれ平行な直線状に形成された切り込み36c,36dによって、後瑞30cの周方向に分離された部分が支持部35とされている。この切り込み36cと切り込み36dの間となる支持部35の後端部30c先端位置には、内筒部30の後瑞30c径方向内側に突出したツメ部37が設けられている。
対向するツメ部37は、図15,図16,図17に示すように、通路部30aの側面部のうち切り込み36cと切り込み36dの間となる部分に沿って延在するとともに通路部30aの径方向に弾性変形可能な支持部35の先端35bで後端部30cの先端内側位置に設けられる。
支持部35は、切り込み36c,36dの軸方向終端位置である一端側の基端35aを支点として、先端側35bが通路部30aの径方向に移動するように弾性変形可能となっている。
係合部36は、図15,図12,図18に示すように、後述するノズルNの外側面に設けられた係合外部N6に対して係合可能とされるとともに、支持部35の弾性により係合解除可能とされている。対向位置にある2つの支持部35および支持部35は、後述するように、内筒部30に挿入されたノズルNによって、同時に軸方向外側に拡径するように作用力を受けると、先端側35bが通路部30aの径方向外側に移動するように弾性変形し、ツメ部37およびツメ部37が、いずれも係合外部N6を乗り越えると、支持部35の弾性により、通路部30aの径方向内側に移動するように復元される。
この動作を可能とするために、対向するツメ部37とツメ部37間の径方向距離t2が、第1実施形態で説明した図13(a)に示すように、ノズルNにおける係合外部N6となる段差より外側の縮径部N3の径寸法n1と等しくなるように設定され、対向する支持部35と支持部35間の径方向距離t1が、第1実施形態で説明した図13(a)に示すように、ノズルNにおける先端当接部N1における外側面である拡径部N2の径寸法n2と等しくなるように設定されることができる。
これにより、もとの径寸法となった係合部36は、ノズルNの係合外部N6と係合して、軸方向外側に移動する際には、ノズルNと内筒部30とが一体として移動するように引っ掛かった状態となる。
なお、支持部35における軸方向外側に拡径する動作は、図18,図19,図20に示すように、支持部35が外筒部20の拡径部24に対応する軸方向位置となるように内筒部30の軸方向位置が設定されているときだけ可能である。それよりも内筒部30が一端側(内側)に入り込んだ軸方向位置であると、支持部35は、外筒部20の円筒部20aに当接して、ツメ部37,37が拡径する方向に移動することができない。これにより、係合部36が、ノズルNの係合外部N6から外れて、ノズルNのみが軸方向外側に移動してしまうことを防止でき、ノズルNと内筒部30とが一体として移動することを維持可能とすることができる。
本実施形態に係るノズルNは、図14,図18,図19,図21,図23,図25に示すように、内筒部30に挿入して摺動可能な概略円筒状とされて、内筒部30における通路部30aの内径と略等しい外径寸法を有する。
ノズルNは、図21に示すように、その先端が当接部33に当接して内筒部30を開放方向に移動可能とする先端当接部N1とされ、その外側面部には前記係合部に係合可能な係合外部N6が設けられている。
係合外部N6は、図18〜図25に示すように、ツメ部37が係合されるようにノズルNの外周面に設けられた段差とすることができ、係合外部N6よりも先端当接部N1側が、拡径部N2とされ、係合外部N6の先端当接部N1と逆側が縮径部N3とされている。
ノズルNにおいて、係合外部N6となる段差より外側の縮径部N3では、図13(a)に示したように、その径寸法n1が、内筒部30における対向するツメ部37とツメ部37間の径方向距離t2と等しくなるように設定されることができるとともに、先端当接部N1における外側面である拡径部N2では、図13(a)に示したように、その径寸法n2が、対向する支持部35と支持部35間の径方向距離t1と等しくなるように設定されることができる。
また、ノズルNにおいては、図13(a)に示したように、先端当接部N1における外側面である拡径部N2が係合外部N6となる段差まで連続する構成にかえて、図13(b)に示したように、先端当接部N1付近の拡径部N4が周設された突条であり、その係合外部N6側に縮径部N5が設けられ、さらに、係合外部N6としての突条である拡径部N7が設けられて、縮径部N3に連続する外面形状とすることもできる。この場合には、通路部30aの内面に当接するノズルN表面積を減らして、摩擦を低減することが可能となる。
ここで、縮径部N5では、図13(b)に示したように、その径寸法n1が、内筒部30における対向するツメ部37とツメ部37間の径方向距離t2と等しくなるように設定されることができるとともに、拡径部N4および拡径部N7では、その径寸法n2が、対向する支持部35と支持部35間の径方向距離t1と等しくなるように設定されることができる。
さらに、図13(b)に示した構造において、拡径部N4がなく縮径部N5が先端当接部N1まで連続した構造とすることもできる。
なお、支持部35と支持部35間の径方向距離t1は、通路部30aにおける径方向距離t1と等しく設定されている。
また、拡径部N2および拡径部N4および拡径部N7における外形寸法n2は、外筒部20における円筒部20aの内径寸法とほぼ等しく設定されている。
ノズルNにおいては、図18〜図25,図13に示すように、先端当接部N1と係合外部N6との軸方向寸法が、内筒部30のツメ部37と当接面33aとの軸方向距離よりも小さくなるように設定されている。
ノズルNの係合外部N6よりもさらに外側には、外筒部20の開口22と当接してノズルNの挿入距離を規定するとともに、一体として軸方向に移動する内筒部30の内側への移動距離を規定する、挿入規定部N8が外周面に突出して設けられている。挿入規定部N8の径方向寸法は、外筒部20の開口22の径寸法よりも大きくなるように設定されていればよい。
以下、本実施形態に係る口栓構造、ノズルにおける動作について説明する。
本実施形態においては、まず、口栓構造10が、図17に示すように、閉塞された状態から説明を開始する。
この状態の袋体11はキャップとなった口栓構造40がない状態で内部に必要な流体を充填し、その後、蓋部31が閉塞状態とされた口栓構造40を、導通路41に螺合して密閉したものである。
この状態の外筒部20の開口部21においては、図17に示すように、蓋部31の周面31aが拡径部23に密着するとともに、閉塞面31cが閉塞面25に密着することにより密閉されている。このとき、拡径部23および周面31aでは、シール突条31bがシール部23aと協働して開口部21をシールしている。これにより、袋体11の内部は密閉された状態となっている。
例えば、密閉状態とされた袋体11から流体を放出するためには、図18に示すように、ノズルNを口栓構造10に挿入する。すると、先端当接部N1における外側面である拡径部N2が、内筒部30のツメ部37を通過して通路部30aに挿入される。
次に、図19,図20に示すように、通路部30aに挿入された拡径部N2によって、内筒部30のツメ部37が径方向に距離が拡大する方向に押圧される。ここでは、径方向寸法n1とされる対向したツメ部37の先端とツメ部37の先端との間に対し、径方向寸法n1よりおおきな径方向寸法n2として設定された拡径部N2によって、ツメ部37とツメ部37との径方向距離が拡げられることになる。このとき、支持部35,35が基端35aから弾性変形することでツメ部37とツメ部37との径方向距離が寸法n2に等しい間隔まで拡げられる。
また、径方向距離が拡げられたツメ部37とツメ部37とが設けられた支持部35,35は、外筒部20の拡径部24が逃げになることで変形可能となって、係合外部N6が軸方向Aにおいてツメ部37の位置を超えて内側に移動することができるものである。
次に、図21,図22に示すように、係合外部N6の段差がツメ部37を超える位置までノズルNが軸方向Aに挿入されると、支持部35の弾性により対向したツメ部37の先端とツメ部37の先端とが軸中心側に移動して、ツメ部37.37の間の距離は、縮径部N3の径方向寸法n1まで縮小する。
これにより、係合外部N6の段差にツメ部37が係合した係合状態となる。
次に、図21,図22に示すように、ノズルNの先端当接部N1が、内筒部30の当接面33aに当接し、当接部33を軸方向Aに押圧する。これにより、内筒部30が軸方向Aに押圧されて、蓋部31の周面31aと拡径部23との間、およびシール突条31bとシール部23aとの間の係止力に打ち勝って、蓋部31が拡径部23から軸方向Aに移動する。
これにより、開口部21のシールが解除されて、袋体11内部とノズルNの管内とが連通した状態となる。
さらに、図23,図24に示すように、ノズルNの先端当接部N1が、内筒部30の当接部33に対する軸方向Aへの押圧を継続し、内筒部30の軸方向Aへの移動も継続する。すると、挿入規定部N8が外筒部20の開口22と当接することで規定されるノズルNの挿入距離までノズルNが軸方向Aへ移動するとともに、ノズルNと一体として軸方向Aに内筒部30が袋体11内側へ移動する。これにより、蓋支持部32,32に支持された蓋部31が、袋体11内側へ突出し、通路部30aの先端30bと蓋部31表面31dとの間の開口を全開とする。
このとき、当接部33は、通路部30aの内径に対して、ノズルNの肉厚に相当する径方向距離しか中心軸方向に向けて突出していないので、ノズルNの内部流路断面積に対して、通路部30aの先端30bと蓋部31表面31dとの間の開口断面積が減少せず、ほぼ同等の断面積を維持することが可能となる。
この開放状態で、図23に示すように、図において矢印F1および矢印P1で示すように、袋体11内部に充填してあった流体をノズルNから吐出する。
袋体11からの流体の放出が終了したら、図25に示すように、ノズルNを、図において矢印Bで示すように、軸方向外側に向けて移動させることにより、ノズルNの先端当接部N1が、内筒部30の当接面33aから離間する。次いで、ノズルNを、図において矢印Bで示すように、軸方向外側に向けて移動させることにより、ノズルNの係合外部N6の段差がツメ部37に当接し係合する。この状態で、さらにノズルNを、図において矢印Bで示すように、軸方向外側に向けて移動させることにより、ノズルNの係合外部N6に対してツメ部37によって係合している内筒部30が、図において矢印Bで示すように、軸方向外側に向けてノズルNと一体として移動することになる。
さらに、ノズルNを、図において矢印Bで示すように、軸方向外側に向けて移動させることにより、図25に示すように、蓋部31が開口部21に挿入される。これにより、蓋部31の周面31aが拡径部23に密着するとともに、閉塞面31cが閉塞面25に密着する。このとき、拡径部23および周面31aでは、シール突条31bがシール部23aと協働して開口部21をシールする。これにより、袋体11の内部を蓋部31によって密閉した状態とする。
閉塞状態において、ツメ部37と支持部35,35とが、外筒部20の拡径部24に位置している。この状態で、さらに、ノズルNを、図において矢印Bで示すように、軸方向外側に向けて移動させることにより、ツメ部37とツメ部37とが設けられた支持部35,35は、径方向寸法の拡大に対して逃げとなることができる外筒部20の拡径部24に位置することで変形可能となって、拡径部N2がツメ部37とツメ部37との径方向距離を拡げ、係合外部N6が軸方向Aにおいてツメ部37の位置を超えて外側に移動する。そして、図26に示すように、ノズルNを口栓構造10から抜管する。
本実施形態における口栓構造10およびノズルNにおいては、ノズルNを袋体11の外側から口栓構造10の内筒部30に挿入して袋体11の内側に向けて矢印A方向に移動することで、ノズルN先端当接部N1が接触した当接部33を押圧して、内筒部30を外筒部20に対して軸方向内側に移動させることで、蓋部31と外筒部20開口21とのシールが解除されて、内筒部30一端30aと蓋部31表面31dとの間を介して、外筒部20の両開口21,22が連通可能な開放状態となる。また、口栓構造10内部に挿入されたノズルNを外側に向けて矢印B方向に移動させることで、係合部36がノズルNの係合外部N6と係合して、内筒部30をノズルNと一体として外側に向けて矢印B方向に移動し、蓋部31の周面31aが外筒部20における閉塞面25と当接することにより、外筒部20の開口21が閉塞した閉塞状態となる。このように、ノズルNの挿嵌動作および抜出動作により内筒部30を軸方向に移動させることができ、この往復動作のみで口栓構造10の開放密閉を確実に繰り返して行うことが可能となる。
また、外筒部20を貫通孔として容器11の壁部等に設けることで、液体充填用の容器11に設けて再閉塞可能な口栓とすることができる。