JP2020108941A - 透明導電性フィルム積層体 - Google Patents

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和也 酒井
Kazuya Sakai
和也 酒井
久登 加藤
Hisato Kato
久登 加藤
文彦 河野
Fumihiko Kono
文彦 河野
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Abstract

【課題】透明導電性フィルムの多様な加工に対しても透明導電性フィルムを保護することができ、かつ、カールの発生を抑制できる透明導電性フィルム積層体の提供。【解決手段】透明導電性フィルム積層体1は、キャリアフィルム2および透明導電性フィルム3を厚み方向に順に備え、透明導電性フィルム3は、透明基材8および透明導電層11を厚み方向に順に備え、透明基材8は、シクロオレフィン系フィルムであり、キャリアフィルム2は、第1保護基材4、第2保護基材6および第粘着剤層7を厚み方向に順に備え、第1保護基材4および第2保護基材6は、シクロオレフィン系フィルムであり、第1保護基材4と第2保護基材6とは、剥離可能である。【選択図】図1

Description

本発明は、透明導電性フィルム積層体に関する。
従来から、タッチパネル方式の画像表示装置は、インジウム・スズ複合酸化物(ITO)からなる透明導電層が透明基材上に積層されたタッチパネル用フィルムを備えることが知られている。タッチパネル用フィルムでは、導電性の観点から、ITO層を加熱により結晶化させ、その後、所定のパターンにエッチングする。
ところで、タッチパネル用フィルムでは、偏光板を貼り合わせて使用される場合がある。このような場合、偏光板とタッチパネル用フィルムとの偏光解消を防止するため、タッチパネル用フィルムの透明基材として、一般的に、面内位相差が低いシクロオレフィン系フィルムが用いられる。
しかしながら、シクロオレフィン系フィルムは、脆く、傷が付きやすい。そのため、透明導電性フィルムに、表面保護フィルム(キャリアフィルム)を貼着して、保護することが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2003−205567号公報
ところで、近年、透明導電性フィルムの加工が多種多様化している。一例として、精密なパターニングのため、表面保護フィルムで保護した透明導電性フィルムの積層体をガラス基板上で仮固定した状態でパターニングを実施し、その後、ガラス基板から剥離して、保存する形態が求められている。この工程では、必要に応じて、パターニングの前に、加熱(結晶化)工程が実施される。また、加熱工程を実施した後に、積層体をガラス基板上に仮固定して、パターニングを実施し、その後、ガラス基板から剥離する形態も求められている。
しかしながら、特許文献1の表面保護フィルムを用いた透明導電性フィルムの積層体では、ガラス基板上に仮固定し、その後、剥離すると、表面保護フィルムが、ガラス基板上に残る。そのため、その後の保存の際に、透明導電性フィルムは、表面保護フィルムを備えていないため、傷や破損などが生じやすい。
加えて、表面保護フィルムで保護された透明導電性フィルムの積層体は、加熱前および加熱後の両方の状態で、カールが抑制されていることが求められている。
本発明は、透明導電性フィルムの多様な加工に対しても透明導電性フィルムを保護することができ、かつ、カールの発生を抑制できる透明導電性フィルム積層体を提供する。
本発明[1]は、キャリアフィルムおよび透明導電性フィルムを厚み方向に順に備える透明導電性フィルム積層体であって、前記透明導電性フィルムは、透明基材および透明導電層を厚み方向に順に備え、前記透明基材は、シクロオレフィン系フィルムであり、前記キャリアフィルムは、第1保護基材、第2保護基材および粘着剤層を厚み方向に順に備え、前記第1保護基材および前記2保護基材は、シクロオレフィン系フィルムであり、前記第1保護基材と前記第2保護基材とは、剥離可能である、透明導電性フィルム積層体を含む。
本発明[2]は、前記第1保護基材と前記第2保護基材との剥離力が、前記透明基材と前記第2保護基材との剥離力と同一か、それよりも弱い、透明導電性フィルム積層体を含む。
本発明[3]は、前記透明導電性フィルム積層体を20cm×20cmの平面視矩形状に切断し、140℃で90分間加熱した際に、加熱後の透明導電性フィルム積層体の中央部と四隅部との厚み方向平均距離が20mm以下である、[1]または[2]に記載の透明導電性フィルム積層体を含む。
本発明[4]は、前記透明導電性フィルム積層体を20cm×20cmの平面視矩形状に切断し、前記第1保護基材を剥離した際に、剥離後の透明導電性フィルム積層体の中央部と四隅部との厚み方向平均距離が20mm以下である、[1]または[2]に記載の透明導電性フィルム積層体を含む。
本発明の透明導電性フィルム積層体によれば、キャリアフィルムおよび透明導電性フィルムを備え、キャリアフィルムは、第1保護基材、第2保護基材および粘着剤層を備える。また、第1保護基材と第2保護基材とは剥離可能である。そのため、透明導電性フィルム積層体を基板に仮固定した後、基板から剥離する場合において、第1保護基材のみが基板に残り、第2保護基材は透明導電性フィルムに貼着した状態を維持することができる。よって、透明導電性フィルムを、第2保護基材によって保護することができる。
また、透明導電性フィルムの透明基材、ならびに、キャリアフィルムの第1保護基材および第2保護基材は、シクロオレフィン系フィルム、つまり、全て同一材料である。よって、加熱前および加熱後においても、異種材料の線膨張率差に起因するカールの発生を抑制することができる。また、第1保護基材を剥離した状態においても、カールの発生を抑制することができる。
図1は、本発明の透明導電性フィルム積層体の一実施形態の断面図を示す。 図2A−図2Bは、図1に示す透明導電性フィルム積層体を加熱した試験片を水平台に載置した際の概略図を示し、図2Aは、下側に向かって凸形状となっている形態、図2Bは、上側に向かって凸形状となっている形態を示す。 図3A−図3Dは、図1に示す透明導電性フィルム積層体の用途を示す工程図であって、図3Aは、仮固定工程、図3Bは、パターニング工程、図3Cは、第1剥離工程、図3Dは、第2剥離工程を示す。 図4は、実施例において、剥離力を測定する際の模式図を示す。
<一実施形態>
本発明の透明導電性フィルム積層体の一実施形態である透明導電性フィルム積層体1を、図1を参照しながら以下に説明する。
図1において、紙面上下方向は、上下方向(厚み方向)であって、紙面上側が、上側(厚み方向一方側)、紙面下側が、下側(厚み方向他方側)である。また、図1におい
て、紙面左右方向および奥行き方向は、上下方向に直交する面方向である。具体的には、各図の方向矢印に準拠する。
1.透明導電性フィルム積層体
図1に示すように、透明導電性フィルム積層体1(以下、フィルム積層体1ともいう)は、所定の厚みを有するフィルム形状(シート形状を含む)を有している。フィルム積層体1は、上下方向(厚み方向)と直交する面方向に延び、平坦な上面(厚み方向一方側の表面)および平坦な下面(厚み方向他方側の表面)を有する。フィルム積層体1は、例えば、画像表示装置に備えられるタッチパネル用基材などを作製するための一部品であり、つまり、画像表示装置ではない。すなわち、フィルム積層体1は、LCDモジュールなどの画像表示素子を含まず、部品単独で流通し、産業上利用可能なデバイスである。
具体的には、フィルム積層体1は、キャリアフィルム2と、その上面に配置される透明導電性フィルム3とを備える。すなわち、フィルム積層体1は、キャリアフィルム2と透明導電性フィルム3とを下から順に備える。好ましくは、フィルム積層体1は、キャリアフィルム2および透明導電性フィルム3からなる。以下、各部材を詳述する。
2.キャリアフィルム
キャリアフィルム2は、所定の厚みを有するフィルム形状を有し、面方向に延び、平坦な上面および平坦な下面を有する。キャリアフィルム2は、フィルム積層体1の下側に配置され、具体的には、透明導電性フィルム3の下面全面に、透明導電性フィルム3の下面に接触するように、配置されている。
キャリアフィルム2は、後述する透明導電性フィルム3を搬送、加熱および/または保存する際に、透明導電性フィルム3の傷やシワの発生を抑制するために、透明導電性フィルム3の下面に設けられる保護部材である。キャリアフィルム2は、透明導電性フィルム3を下側から支持する。
具体的には、キャリアフィルム2は、第1保護基材4と、第1保護基材4の上面に配置される第1粘着剤層5と、第1粘着剤層5の上面に配置される第2保護基材6と、第2保護基材6の上面に配置される第2粘着剤層7とを備える。すなわち、キャリアフィルム2は、第1保護基材4と第1粘着剤層5と第2保護基材6と第2粘着剤層7とを下から順に備える。好ましくは、キャリアフィルム2は、第1保護基材4、第1粘着剤層5、第2保護基材6および第2粘着剤層7からなる。
(第1保護基材)
第1保護基材4は、第2保護基材6とともに、キャリアフィルム2の機械的強度を確保し、透明導電性フィルム3を搬送時、加熱時および/または保存時などに生じる傷から保護するための支持基材である。
第1保護基材4は、フィルム形状を有しており、キャリアフィルム2の最下層に配置されている。すなわち、第1保護基材4は、フィルム積層体1の最下層に配置されている。
第1保護基材4は、シクロオレフィン系フィルムである。これにより、加熱前後のフィルム積層体1のカールを抑制することができる。
シクロオレフィン系フィルムは、シクロオレフィン系樹脂から形成されている。
シクロオレフィン系樹脂は、シクロオレフィンモノマーを重合して得られ、主鎖の繰り返し単位中に脂環構造を有する高分子である。シクロオレフィン系樹脂は、好ましくは、非晶質シクロオレフィン系樹脂である。
シクロオレフィン系樹脂としては、例えば、シクロオレフィンモノマーからなるシクロオレフィンホモポリマー、シクロオレフィンモノマーと、エチレンなどのオレフィンなどとの共重合体からなるシクロオレフィンコポリマーなどが挙げられる。
シクロオレフィンモノマーとしては、例えば、ノルボルネン、メチルノルボルネン、ジメチルノルボルネン、エチリデンノルボルネン、ブチルノルボルネン、ジシクロペンタジエン、ジヒドロジシクロペンタジエン、テトラシクロドデセン、トリシクロペンタジエンなどの多環式オレフィン、例えば、シクロブテン、シクロペンテン、シシクロオクタジエン、シクロオクタトリエンなどの単環式オレフィンなどが挙げられる。これらシクロオレフィンは、単独使用または2種以上併用することができる。
第1保護基材4の厚みは、例えば、10μm以上、好ましくは、20μm以上であり、また、例えば、200μm以下、好ましくは、120μm以下、より好ましくは、80μm以下である。第1保護基材4の厚みが範囲内であれば、カール抑制をより一層向上させることができる。
第1保護基材4の厚みは、例えば、マイクロゲージ式厚み計(ミツトヨ社製)で測定することができる。
(第1接着剤層)
第1粘着剤層5は、第1保護基材4を第2保護基材6に貼着させるための層(感圧接着剤層)であって、貼着後においては、第2保護基材6に対して剥離が可能でかつ容易な層(易剥離層)である。
第1粘着剤層5は、フィルム形状を有しており、第1保護基材4の上面全面に、第1保護基材4の上面に接触するように、配置されている。具体的には、第1粘着剤層5は、第1保護基材4と第2保護基材6の間に、第1保護基材4の上面および第2保護基材6の下面に接触するように、配置されている。
第1粘着剤層5は、粘着剤組成物から形成されている。
粘着剤組成物としては、例えば、アクリル系粘着剤組成物、ゴム系粘着剤組成物、シリコーン系粘着剤組成物、ポリエステル系粘着剤組成物、ポリウレタン系粘着剤組成物、ポリアミド系粘着剤組成物、エポキシ系粘着剤組成物、ビニルアルキルエーテル系粘着剤組成物、フッ素系粘着剤組成物などが挙げられる。これら粘着剤組成物は、単独使用または2種類以上を併用することができる。
粘着剤組成物として、粘着性、剥離性などの観点から、好ましくは、アクリル系粘着剤組成物が挙げられる。
アクリル系粘着剤組成物は、例えば、 (メタ)アクリル酸アルキルエステルを含有するモノマー成分を重合して得られるアクリル系ポリマーを、ポリマー成分として含有する。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、アクリル酸アルキルエステルおよび/またはメタクリル酸アルキルエステルであり、具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ネオペンチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルへキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシルなどの、直鎖状または分岐状の、炭素数4〜14のアルキル部分を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどが挙げられる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、単独使用または2種以上併用することができる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとして、好ましくは、炭素数6〜10のアルキル部分を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられル酸アルキルエステルが挙げられ、より好ましくは、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルが挙げられる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルの配合割合は、モノマー成分の総量100モル部に対して、例えば、80モル部以上、好ましくは、85モル部以上であり、また、例えば、99モル部以下、好ましくは、95モル部以下である。(メタ)アクリル酸アルキルエステルの配合割合を調整することにより、第1粘着剤層5の剥離力を調整することができる。
モノマー成分は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに加えて、官能基含有モノマーを含有することができる。
官能基含有モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸などのカルボキシル基含有モノマー、例えば、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸4−ヒドロキシブチルなどのヒドロキシル基含有モノマーなどが挙げられる。官能基含有モノマーは、単独使用または2種以上併用することができる。
官能基含有モノマーは、剥離性などの観点から、好ましくは、ヒドロキシル基含有モノマーが挙げられ、より好ましくは、アクリル酸2−ヒドロキシエチルが挙げられる。
官能基含有モノマーの配合割合は、モノマー成分の総モル部において、例えば、1モル部以上、好ましくは、5モル部量部以上であり、また、例えば、20モル部以下、好ましくは、15モル部以下である。官能基含有モノマーの配合割合を調整することにより、第1粘着剤層5の剥離力を調整することができる。
アクリル系粘着剤組成物は、例えば、溶液重合、塊状重合、光重合などの公知の方法により得ることができる。
粘着剤組成物は、好ましくは、架橋剤を含有する。架橋剤としては、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、メラミン系樹脂、アジリジン誘導体、金属キレート化合物などが挙げられ、好ましくは、イソシアネート系架橋剤が挙げられる。これら架橋剤は、単独使用または2種以上併用することができる。
架橋剤の配合割合は、ポリマー成分100質量部に対して、例えば、1質量部以上、好ましくは、2質量部以上であり、また、例えば、15質量部以下、好ましくは、10質量部以下である。架橋剤の配合割合を調整することにより、第1粘着剤層5の剥離力を調整することができる。
粘着剤組成物は、さらに、粘着付与樹脂、加工助剤、顔料、難燃剤、充填材、軟化剤、老化防止剤などの公知の添加剤を適宜含有することもできる。
第1粘着剤層5の厚みは、例えば、5μm以上、好ましくは、10μm以上であり、また、例えば、50μm以下、好ましくは、30μm以下である。
第1粘着剤層5の厚みは、例えば、マイクロゲージ式厚み計(ミツトヨ社製)で測定することができる。
(第2保護基材)
第2保護基材6は、第1保護基材4とともに、キャリアフィルム2の機械的強度を確保し、透明導電性フィルム3を搬送時、加熱時および/または保存時などに生じる傷から保護するための支持基材である。
第2保護基材6は、フィルム形状を有しており、第1粘着剤層5の上面全面に、第1粘着剤層5の上面に接触するように、配置されている。具体的には、第2保護基材6は、第1粘着剤層5と第2粘着剤層7の間に、第1粘着剤層5の上面および第2粘着剤層7の下面に接触するように、配置されている。
第2保護基材6は、シクロオレフィン系フィルムである。これにより、加熱前後のフィルム積層体1のカールを抑制することができる。
シクロオレフィン系フィルムは、第1保護基材4で上述したシクロオレフィン系フィルムと同様のものが挙げられる。
第2保護基材6の厚みは、例えば、10μm以上、好ましくは、20μm以上、より好ましくは、30μm以上であり、また、例えば、200μm以下、好ましくは、120μm以下、より好ましくは、80μm以下である。
第1保護基材4に対する第2保護基材6の厚みの比(第2保護基材/第1保護基材)は、例えば、0.1以上、好ましくは、0.5以上であり、また、例えば、10以下、好ましくは、5.0以下である。
透明基材8(後述)に対する第2保護基材6の厚みの比(第2保護基材/透明基材)は、例えば、0.1以上、好ましくは、0.5以上であり、また、例えば、10以下、好ましくは、5.0以下である。
第2保護基材6の厚みが上記範囲であれば、第1保護基材4を剥離した後において、フィルム積層体1のカールの発生を抑制することができる。
第2保護基材6の厚みは、例えば、マイクロゲージ式厚み計(ミツトヨ社製)で測定することができる。
(第2粘着剤層)
第2粘着剤層7は、保護基材(第1保護基材4および第2保護基材6)を透明導電性フィルム3に貼着させるための層(感圧接着剤層)であって、貼着後においては、透明導電性フィルム3に対して剥離が可能でかつ容易な層(易剥離層)である。
第2粘着剤層7は、フィルム形状を有しており、第2保護基材6の上面全面に、第2保護基材6の上面に接触するように、配置されている。具体的には、第2粘着剤層7は、第2保護基材6と透明導電性フィルム3との間に、第2保護基材6の上面および透明導電性フィルム3の下面(具体的には、第2硬化樹脂層9bの下面)に接触するように、配置されている。詳しくは、第2粘着剤層7は、第2硬化樹脂層9bの下面に、感圧接着している。
第2粘着剤層7は、粘着剤組成物から形成されている。
粘着剤組成物としては、第1粘着剤層5で例示する粘着剤組成物と同様のものが挙げられ、好ましくは、アクリル系粘着剤組成物が挙げられる。
好ましくは、第2粘着剤層7で用いる粘着剤組成物は、第1粘着剤層5で用いる粘着剤組成物と同等の剥離力(粘着力)またはそれよりも強い剥離力を有するように、選択される。換言すると、好ましくは、第1粘着剤層5で用いる粘着剤組成物の剥離力は、第2粘着剤層7で用いる粘着剤組成物の剥離力と同一かそれよりも弱い、より好ましくは、それより弱い。
剥離力は、各粘着剤層で用いられる粘着剤組成物の配合割合や厚み、基材材料などを変更することにより調整できる。具体的には、例えば、第2粘着剤層7におけるアクリル系粘着剤組成物に対する官能基含有モノマーの割合を、第1粘着剤層7におけるその割合よりも低くする。また、第2粘着剤層7の厚みを第1粘着剤層7の厚みよりも厚くする。
第2粘着剤層7の厚みは、例えば、5μm以上、好ましくは、10μm以上であり、また、例えば、50μm以下、好ましくは、30μm以下である。
第2粘着剤層7の厚みは、例えば、マイクロゲージ式厚み計(ミツトヨ社製)で測定することができる。
キャリアフィルム2の厚みは、例えば、100μm以上、好ましくは、150μm以上であり、また、例えば、500μm以下、好ましくは、250μm以下である。
3.透明導電性フィルム
透明導電性フィルム3は、所定の厚みを有するフィルム形状を有し、面方向に延び、平坦な上面および平坦な下面を有する。透明導電性フィルム3は、フィルム積層体1の上側に配置され、具体的には、キャリアフィルム2の上面全面に、キャリアフィルム2の上面(具体的には、第2粘着剤層7)に接触するように、配置されている。
透明導電性フィルム3は、例えば、画像表示装置に備えられるタッチパネル用基材などの一部品であり、つまり、画像表示装置ではない。すなわち、透明導電性フィルム3は、画像表示装置などを作製するための部品であり、LCDモジュールなどの画像表示素子を含まず、部品単独で流通し、産業上利用可能なデバイスである。
具体的には、透明導電性フィルム3は、透明基材8と、硬化樹脂層9と、光学調整層10と、透明導電層11とを備える。詳しくは、透明導電性フィルム3は、透明基材8と、透明基材8の上面に配置される第1硬化樹脂層9aと、第1硬化樹脂層9aの上面に配置される光学調整層10と、光学調整層10の上面に配置される透明導電層11と、透明基材8の下面に配置される第2硬化樹脂層9bとを備える。すなわち、透明導電性フィルム3は、第2硬化樹脂層9b、透明基材8、第1硬化樹脂層9a、光学調整層10および透明導電層11を下から順に備える。好ましくは、透明導電性フィルム3は、第2硬化樹脂層9b、透明基材8、第1硬化樹脂層9a、光学調整層10および透明導電層11からなる。
(第2硬化樹脂層)
第2硬化樹脂層9bは、透明導電性フィルム3に擦り傷を生じ難くするための擦傷保護層(ハードコート層)である。また、第2硬化樹脂層9bは、複数のフィルム積層体1を上下方向に積層した場合などに、互いに接触する複数の透明導電性フィルム3の表面に耐ブロッキング性を付与するためのアンチブロッキング層でもある。
第2硬化樹脂層9bは、フィルム形状を有しており、第2粘着剤層7の上面全面に第2粘着剤層7の上面に接触するように、配置されている。具体的には、第2硬化樹脂層9bは、第2粘着剤層7と透明基材8との間に、第2粘着剤層7の上面および透明基材8の下面に接触するように、配置されている。また、第2硬化樹脂層9bは、透明導電性フィルム3の最下層に配置されている。
第2硬化樹脂層9bは、ハードコート組成物から形成されている。
第2硬化樹脂層9bのハードコート組成物は、樹脂を含有し、好ましくは、樹脂および粒子を含有する。
樹脂としては、例えば、硬化性樹脂、熱可塑性樹脂(例えば、ポリオレフィン樹脂)などが挙げられ、好ましくは、硬化性樹脂が挙げられる。
硬化性樹脂としては、例えば、活性エネルギー線(具体的には、紫外線、電子線など)の照射により硬化する活性エネルギー線硬化性樹脂、例えば、加熱により硬化する熱硬化性樹脂などが挙げられ、好ましくは、活性エネルギー線硬化性樹脂が挙げられる。
活性エネルギー線硬化性樹脂は、例えば、分子中に重合性炭素−炭素二重結合を有する官能基を有するポリマーが挙げられる。そのような官能基としては、例えば、ビニル基、(メタ)アクリロイル基(メタクリロイル基および/またはアクリロイル基)などが挙げられる。
活性エネルギー線硬化性樹脂としては、具体的には、例えば、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレートなどの(メタ)アクリル系紫外線硬化性樹脂が挙げられる。
また、活性エネルギー線硬化性樹脂以外の硬化性樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、シロキサン系ポリマー、有機シラン縮合物などの熱硬化性樹脂が挙げられる。
樹脂は、単独使用または2種以上併用することができる。
粒子としては、無機粒子、有機粒子などが挙げられる。無機粒子としては、例えば、シリカ粒子、例えば、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫などからなる金属酸化物粒子、例えば、炭酸カルシウムなどの炭酸塩粒子などが挙げられる。有機粒子としては、例えば、架橋アクリル樹脂粒子などが挙げられる。粒子は、単独使用または2種以上併用することができる。
粒子としては、透明性の観点から、好ましくは、有機粒子、より好ましくは、架橋アクリル樹脂粒子が挙げられる。
粒子の最頻粒子径は、例えば、0.8μm以上、好ましくは、1.0μm以上であり、また、例えば、20μm以下、好ましくは、10μm以下である。粒子径が上記範囲であれば、アンチブロッキング性、耐擦傷性および透明性が優れる。最頻粒子径は、粒子分布の極大値を示す粒径であり、例えば、フロー式粒子像分析装置を用いて測定することができる。
粒子の含有割合は、樹脂100質量部に対して、例えば、0.01質量部以上、好ましくは、0.1質量部以上であり、また、例えば、10質量部以下、好ましくは、5質量部以下である。
第2硬化樹脂層9bの厚みは、例えば、0.1μm以上、好ましくは、0.5μm以上であり、また、例えば、10μm以下、好ましくは、5μm以下である。第2硬化樹脂層9bの厚みが上記範囲内であれば、耐擦傷性、耐ブロッキング性に優れる。硬化樹脂層9の厚みは、例えば、分光エリプソメーターにより測定することができる。
(透明基材)
透明基材8は、透明導電性フィルム3の機械的強度を確保するための透明な基材である。すなわち、透明基材8は、透明導電層11を、硬化樹脂層9および光学調整層10とともに、支持している。
透明基材8は、フィルム形状を有しており、第2硬化樹脂層9bの上面全面に、第2硬化樹脂層9bの上面に接触するように、配置されている。具体的には、透明基材8は、第2硬化樹脂層9bと第1硬化樹脂層9aとの間に、第2硬化樹脂層9bの上面および第1硬化樹脂層9aの下面に接触するように、配置されている。
透明基材8は、シクロオレフィン系フィルムである。これにより、透明導電性フィルム3の面内位相差を低くでき、かつ、透明性に優れる。
シクロオレフィン系フィルムは、第1保護基材4で上述したシクロオレフィン系フィルムと同様のものが挙げられる。
透明基材8の全光線透過率(JIS K 7375−2008)は、例えば、80%以上、好ましくは、85%以上である。
透明基材8の面内位相差は、例えば、20nm以下、好ましくは、10nm以下である。面内位相差Rは、式:R=(nx−ny)×dによって算出される。ここで、nxは面内の屈折率が最大になる方向(すなわち、遅相軸方向)の屈折率であり、nyは面内で遅相軸と直交する方向の屈折率であり、dは透明基材8の厚み(nm)である。屈折率は、例えば、複屈折測量測定システム(アクソメトリックス社製、商品名「アクソスキャン」)を用いて測定することができる。
透明基材8の厚みは、例えば、10μm以上、好ましくは、20μm以上であり、また、例えば、80μm以下、好ましくは、60μm以下である。透明基材8の厚みが上記下限以上であれば、機械的強度に優れる。また、透明基材8の厚みが上記上限以下であれば、透明導電性フィルム3の薄膜化を図るとともに、透明性に優れる。
透明基材8の厚みは、例えば、マイクロゲージ式厚み計(ミツトヨ社製)を用いて測定することができる。
(第1硬化樹脂層)
第1硬化樹脂層9aは、透明導電性フィルム3に擦り傷を生じ難くするための擦傷保護層(ハードコート層)である。
第1硬化樹脂層9aは、フィルム形状を有しており、透明基材8の上面全面に、透明基材8の上面に接触するように、配置されている。具体的には、第1硬化樹脂層9aは、透明基材8と光学調整層10との間に、透明基材8の上面および光学調整層10の下面に接触するように、配置されている。
第1硬化樹脂層9aは、第2硬化樹脂層9bと同様の層であり、例えば、第2硬化樹脂層9bで上記したものと同一のものが挙げられる。
好ましくは、第1硬化樹脂層9aのハードコート組成物は、樹脂を含有し、好ましくは、樹脂からなる。
樹脂としては、上記したハードコート組成物の樹脂と同様のものが挙げられる。
第1硬化樹脂層9aの厚みは、耐擦傷性、パターニング透明導電層11の視認抑制性の観点から、例えば、0.1μm以上、好ましくは、0.5μm以上であり、また、例えば、10μm以下、好ましくは、5μm以下である。
(光学調整層)
光学調整層10は、透明導電層11におけるパターンの視認を抑制しつつ、透明導電性フィルム3に優れた透明性を確保するために、透明導電性フィルム3の光学物性(例えば、屈折率)を調整する層である。
光学調整層10は、フィルム形状を有しており、第1硬化樹脂層9aの上面全面に、第1硬化樹脂層9aの上面に接触するように、配置されている。具体的には、光学調整層10は、第1硬化樹脂層9aと透明導電層11との間に、第1硬化樹脂層9aの上面および透明導電層11の下面に接触するように、配置されている。
光学調整層10は、光学調整用組成物から形成されている。
光学調整層用組成物は、樹脂を含有し、好ましくは、樹脂および粒子を含有する。
樹脂としては、例えば、ハードコート組成物で用いる樹脂と同一のものが挙げられる。好ましくは、硬化性樹脂、より好ましくは、活性エネルギー線硬化性樹脂が挙げられる。
樹脂の含有割合は、光学調整用組成物において、例えば、10質量%以上、好ましくは、25質量%以上であり、また、例えば、95質量%以下、好ましくは、60質量%以下である。
粒子としては、光学調整層10の求める屈折率に応じて好適な材料を選択することができ、無機粒子、有機粒子などが挙げられる。無機粒子としては、例えば、シリカ粒子、例えば、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズなどからなる金属酸化物粒子、例えば、炭酸カルシウムなどの炭酸塩粒子などが挙げられる。有機粒子としては、例えば、架橋アクリル樹脂粒子などが挙げられる。粒子は、単独使用または2種以上併用することができる。
粒子としては、好ましくは、無機粒子、より好ましくは、金属酸化物粒子、さらに好ましくは、酸化ジルコニウム粒子(ZnO)が挙げられる。
粒子の平均粒子径(メジアン径)は、例えば、10nm以上、好ましくは、20nm以上であり、また、例えば、100nm以下、好ましくは、50nm以下である。
粒子の含有割合は、光学調整用組成物に対して、例えば、5質量%以上、好ましくは、40質量%以上であり、また、例えば、90質量%以下、好ましくは、75質量%以下である。
光学調整層10の屈折率は、例えば、1.50以上、好ましくは、1.60以上であり、また、例えば、1.80以下、好ましくは、1.75以下である。屈折率は、例えば、アッベ屈折率計により測定することができる。
光学調整層10の厚みは、例えば、50nm以上、好ましくは、100nm以上であり、また、例えば、800nm以下、好ましくは、300nm以下である。光学調整層10の厚みは、例えば、分光エリプソメーターにより測定することができる。
(透明導電層)
透明導電層11は、エッチングなどの後工程で、電極パターンや配線パターンなどの所望のパターンに形成するための導電層である。
透明導電層11は、フィルム形状を有しており、透明導電性フィルム3の最上層に配置されている。すなわち、透明導電層11は、フィルム積層体1の最上層に配置されている。具体的には、透明導電層11は、光学調整層10の上面全面に、光学調整層10の上面に接触するように、配置されている。
透明導電層11の材料としては、例えば、In、Sn、Zn、Ga、Sb、Ti、Si、Zr、Mg、Al、Au、Ag、Cu、Pd、Wからなる群より選択される少なくとも1種の金属を含む金属酸化物が挙げられる。金属酸化物には、必要に応じて、さらに上記群に示された金属原子をドープしていてもよい。
透明導電層11の材料は、好ましくは、インジウム−スズ複合酸化物(ITO)などのインジウム含有酸化物、例えば、アンチモン−スズ複合酸化物(ATO)などのアンチモン含有酸化物などが挙げられ、より好ましくは、インジウム含有酸化物が挙げられ、さらに好ましくは、ITOが挙げられる。透明導電層11の材料がITOであれば、透明導電層11は、優れた透明性および優れた導電性を両立することができる。
透明導電層11の材料としてITOを用いる場合、酸化スズ(SnO)含有量は、酸化スズおよび酸化インジウム(In)の合計量に対して、例えば、0.5質量%以上、好ましくは、5質量%以上であり、また、例えば、50質量%以下、好ましくは、35質量%以下である。
「ITO」は、少なくともインジウム(In)とスズ(Sn)とを含む複合酸化物であればよく、これら以外の追加成分を含むこともできる。追加成分としては、例えば、In、Sn以外の金属元素が挙げられ、具体的には、Zn、Ga、Sb、Ti、Si、Zr、Mg、Al、Au、Ag、Cu、Pd、W、Fe、Pb、Ni、Nb、Cr、Gaなどが挙げられる。
透明導電層11の厚みは、例えば、10nm以上、好ましくは、20nm以上であり、また、例えば、100nm以下、好ましくは、35nm以下である。透明導電層11の厚みは、例えば、分光エリプソメーターにより測定することができる。
透明導電層11は、結晶質および非晶質のいずれであってもよいが、本発明では、透明導電層11は、好ましくは、非晶質からなり、具体的には、非結晶ITO層である。本発明では、好ましくは、非晶質の透明導電層11を加熱することにより、結晶質の透明導電層11へと転化する際において、フィルム積層体1のカールを抑制する。
透明導電層11が結晶質であることは、例えば、透明導電層11がITO層である場合は、20℃の塩酸(濃度5質量%)に15分間浸漬した後、水洗・乾燥し、15mm程度の間の端子間抵抗を測定することで判断できる。塩酸(20℃、濃度:5質量%)への浸漬・水洗・乾燥後に、15mm間の端子間抵抗が10kΩ以下である場合、ITO層が結晶質とする。一方、15mm間の端子間抵抗が10kΩを超過する場合、ITO層が非晶質とする。
4.透明導電性フィルム積層体の製造方法
フィルム積層体1の製造方法は、例えば、キャリアフィルム2を作製する工程と、透明導電性フィルム3を作製する工程と、透明導電性フィルム3およびキャリアフィルム2を貼着する工程とを備える。フィルム積層体1の製造方法は、好ましくは、ロールトゥロール方式により実施される。
(キャリアフィルムの作製)
キャリアフィルム2を作製するには、まず、第1保護基材4を用意する。例えば、ロールトゥロール方式の場合は、搬送方向に長尺で、ロール状に巻回された第1保護基材4を用いる。
第1保護基材4としては、公知または市販のシクロオレフィン系フィルムを用いることができる。
次いで、第1保護基材4の上面に、第1粘着剤層5を設ける。第1粘着剤層5を設けるには、第1粘着剤層転写フィルムを用意し、第1粘着剤層5を第1保護基材4に転写する。
第1粘着剤層転写フィルムは、離型フィルムおよび第1粘着剤層5を厚み方向に備える。第1粘着剤層転写フィルムは、粘着剤組成物を調製し、粘着剤組成物を離型フィルムに塗布し、乾燥することにより得られる。
次いで、第1粘着剤層5の上面に、第2保護基材6を設ける。第2保護基材6を設けるには、第1粘着剤層5の上面に、第2保護基材6の下面を接触させる。
第2保護基材6は、第1保護基材4と同様に、公知または市販のシクロオレフィン系フィルムを用いることができる。
次いで、第2保護基材6の上面に、第2粘着剤層7を設ける。第2粘着剤層7を設けるには、第2粘着剤層転写フィルムを用意し、第2粘着剤層7を第2保護基材6に転写する。
第2粘着剤層転写フィルムは、離型フィルムおよび第2粘着剤層7を厚み方向に備える。第2粘着剤層転写フィルムは、粘着剤組成物を調製し、粘着剤組成物を離型フィルムに塗布し、乾燥することにより得られる。
これにより、第1保護基材4、第1粘着剤層5、第2保護基材6および第2粘着剤層7を備えるキャリアフィルム2が得られる。
(透明導電性フィルムの作製)
透明導電性フィルム3を作製するには、まず、透明基材8を用意する。例えば、ロールトゥロール方式の場合は、搬送方向に長尺で、ロール状に巻回された透明基材8を用いる。
透明基材8は、公知または市販のシクロオレフィン系フィルムを用いることができる。
次いで、透明基材8の両面に、硬化樹脂層9(第1硬化樹脂層9aおよび第2硬化樹脂層9b)を設ける。例えば、ハードコート組成物を溶媒で希釈した希釈液を調製し、希釈液を透明基材8の下面および上面に塗布して、希釈液を乾燥して、必要に応じてハードコート組成物を硬化させる。これにより、透明基材8の下面に第2硬化樹脂層9b、透明基材8の上面に第1硬化樹脂層9aを形成する。
次いで、第1硬化樹脂層9aの上面に、光学調整層10を設ける。例えば、光学調整層用組成物を溶媒で希釈した希釈液を調製し、光学調整層用組成物の希釈液を第1硬化樹脂層9aの上面に塗布して、希釈液を乾燥して、光学調整層用組成物を硬化させる。これにより、第1硬化樹脂層9aの上面に、光学調整層10を形成する。
次いで、光学調整層10の上面に、透明導電層11を設ける。例えば、乾式方法で、光学調整層10の上面に、透明導電層11を形成する。
乾式方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などが挙げられる。好ましくは、スパッタリング法が挙げられる。この方法によって薄膜の透明導電層11を形成することができる。
これにより、第2硬化樹脂層9b、透明基材8、第1硬化樹脂層9a、光学調整層10および透明導電層11をこの順に備える透明導電性フィルム3が得られる。この透明導電性フィルム3の透明導電層11は、好ましくは、非晶質である。
(貼着)
キャリアフィルム2および透明導電性フィルム3を貼着するには、キャリアフィルム2の上面を透明導電性フィルム3の下面に接触させる。
具体的には、第2粘着剤層7が第2硬化樹脂層9bに接触するように、キャリアフィルム2を透明導電性フィルム3に配置する。すなわち、保護基材(第1保護基材4および第2保護基材6)を、第2粘着剤層7を介して、透明導電性フィルム3に感圧接着する。
これにより、キャリアフィルム2、および、透明導電性フィルム3をこの順に備えるフィルム積層体1が得られる。フィルム積層体1の透明導電層11は、好ましくは、非晶質である。例えば、フィルム積層体1は、ロールトゥロール方式の場合では、ロール状に巻回されたロール体として、得られる。
なお、フィルム積層体1は、バッチ方式(枚葉方式)で製造することもでき、この場合は、例えば、面方向に延びる平面視略矩形状の一枚または複数のシートとして、得られる。
(透明導電性フィルム積層体)
フィルム積層体1において、第1保護基材4と第2保護基材6とは、剥離可能である。具体的には、第1保護基材4と第2保護基材6との間の第1剥離力(キャリアフィルム2内の剥離力)は、例えば、0.01N/50mm以上、好ましくは、0.1N/50mm以上であり、また、例えば、2.0N/50mm以下、好ましくは、1.0N/50mm、より好ましくは、0.2N/50mm以下である。
第2保護基材6と透明導電性フィルム3とは、剥離可能である。すなわち、キャリアフィルム2と透明導電性フィルム3とは、剥離可能である。第2保護基材6と透明導電性フィルム3との間の第2剥離力(キャリアフィルム2と透明導電性フィルム3との間の第2剥離力)は、好ましくは、第1剥離力と同一またはそれよりも強く、より好ましくは、強い。換言すると、第1剥離力は、好ましくは、第2剥離力と同一かそれよりも弱く、より好ましくは、弱い。
具体的には、第2剥離力は、例えば、0.01N/50mm以上、好ましくは、0.1N/50mm以上、より好ましくは、0.2N/50mm超であり、また、例えば、2.0N/50mm以下、好ましくは、1.0N/50mm以下、より好ましくは、0.5N/50mm以下である。
第1剥離力と第2剥離力との差は、例えば、0N/50mm以上、好ましくは、0.05N/50mm以上、より好ましくは、0.10N/50mm以上であり、また、例えば、1.00N/50mm以下、好ましくは、0.50N/50mm以下である。
第2剥離力を上記範囲とすることにより、フィルム積層体1から第1保護基材4を剥離する際に、第2保護基材6と透明導電性フィルム3との間で剥離が生じることを抑制することができる。
各剥離力は、長さ150mm×幅50mmの試験片を用いて、剥離角度180度および剥離速度500mm/分の条件で長さ方向に向かって剥離することにより測定することができる。
フィルム積層体1を20cm×20cmの平面視矩形状に切断した際に、フィルム積層体1の中央部12と四隅部13との厚み方向平均距離H(初期のカール量)は、例えば、10mm以下、好ましくは、5.0mm以下、より好ましくは、3.0mm以下である。
フィルム積層体1を20cm×20cmの平面視矩形状に切断し、140℃で90分間加熱した際に、加熱後のフィルム積層体1の中央部12と四隅部13との厚み方向平均距離H(加熱後のカール量)は、例えば、20mm以下、好ましくは、10mm以下、より好ましくは、5.0mm以下である。
フィルム積層体1を厚み0.7mmのガラス基材に両面接着テープで貼着し、20cm×20cmの平面視矩形状に切断し、140℃で90分間加熱した際に、加熱後のフィルム積層体1の中央部12と四隅部13との厚み方向平均距離H(ガラス貼着加熱後のカール量)は、例えば、20mm以下、好ましくは、15mm以下である。
フィルム積層体1を20cm×20cmの平面視矩形状に切断し、第1保護基材4を剥離(除去)した際に、フィルム積層体1の中央部12と四隅部13との厚み方向平均距離(剥離後のカール量)は、例えば、20mm以下、好ましくは、15mm以下である。
なお、厚み方向平均距離(カール量)は、式「H=H1−H2」で算出される平均高さHの絶対値である。H1は、上記測定対象のフィルム積層体1(20cm×20cm)を透明導電層11が上側となるように水平台に載置した際に、四隅部13の水平台からの高さの平均を示す。H2は、その際に、中央部12の水平台からの高さを示す。
なお、Hが正の値である場合は、図2Aに示すように、フィルム積層体1は、下側に向かって凸となる形状となる。一方、Hが負の値である場合は、図2Bに示すように、フィルム積層体1は、上側に向かって凸となる形状となる。
好ましくは、下側に向かって凸となる形状である。これにより、搬送時において、フィルム積層体1の中央部が、上方にある装置などへ接触して、透明導電性フィルム1の中央部が損傷することを抑制できる。
また、加熱を実施した際のカール量の測定は、加熱後に、1時間室温(23℃)で放冷した状態のフィルム積層体1に対して実施する。
このフィルム積層体1によれば、透明導電性フィルム3の透明基材8が、シクロオレフィン系フィルムである。そのため、面内位相差が小さく、光学特性に優れる。
また、キャリアフィルム2は、第1保護基材4、第2保護基材6および第2粘着剤層7を備える。また、第1保護基材4と第2保護基材6とは剥離可能である。そのため、透明導電性フィルム積層体1をガラス基板などに仮固定した後、ガラス基板から剥離する場合において、第1保護基材4のみがガラス基板に残り、第2保護基材6は透明導電性フィルム3に貼着した状態を維持することができる。よって、透明導電性フィルム3を、第2保護基材6によって保護することができる。
また、透明導電性フィルム3の透明基材8、ならびに、キャリアフィルム2の第1保護基材4および第2保護基材6は、全てシクロオレフィン系フィルム、すなわち、全て同一材料である。よって、加熱前および加熱後においても、異種材料の線膨張率差に起因するフィルム積層体1のカールの発生を抑制することができる。また、フィルム積層体1から第1保護基材4を剥離した状態においても、カールの発生を抑制することができる。
以上から、透明導電性フィルム3の多様な加工に対しても、カールの発生を抑制しつつ、透明導電性フィルム3を保護することができる。
5.透明導電性フィルム積層体の用途
フィルム積層体1は、例えば、画像表示装置に備えられるタッチパネル用基材に用いられる。具体的には、図3A〜図3Dに示すように、フィルム積層体1に対して、仮固定工程、加熱工程、パターニング工程、第1剥離工程、および、第2剥離工程を実施する。これにより得られた透明導電性フィルム3が、タッチパネル用基材に用いられる。以下、各工程を詳述する。
(仮固定工程)
仮固定工程では、図3Aに示すように、フィルム積層体1を固定用基板15に仮固定する。具体的には、フィルム積層体1を固定用基板15に接着する。
固定用基板15としては、例えば、ガラス基板などのセラミック基板が挙げられる。
固定用基板15の厚みは、例えば、0.1mm以上、好ましくは、0.5mm以上であり、また、例えば、10mm以下、好ましくは、5mm以下である。
フィルム積層体1の第1保護基材4が接着剤層16を介して固定用基板15と接触するように、フィルム積層体1を第1保護基材4に仮固定する。
固定用基板15に対する接着剤層16の配置としては、公知および市販の両面接着テープ(両面粘着テープを含む)を積層する方法、公知および市販の接着組成物を塗布する方法などが挙げられる。
なお、この際、好ましくは、フィルム積層体1と固定用基板15との剥離力は、第1剥離力および第2剥離力よりも大きくする。
(加熱工程)
加熱工程では、フィルム積層体1を加熱する。
具体的には、例えば、フィルム積層体1を、仮固定した状態で、大気下で加熱する。
加熱処理は、例えば、赤外線ヒーター、オーブンなどを用いて実施することができる。
加熱温度は、例えば、100℃以上、好ましくは、120℃以上であり、また、例えば、200℃以下、好ましくは、160℃以下である。
加熱時間は、加熱温度に応じて適宜決定されるが、例えば、10分以上、好ましくは、30分以上であり、また、例えば、5時間以下、好ましくは、3時間以下である。
これにより透明導電層11が結晶化される。その結果、透明導電層11の抵抗値が低減し、導電性に優れる。
(パターニング工程)
パターニング工程では、図3Bに示すように、透明導電層11をパターニングする。
パターニングは、公知のエッチング方法が用いられる。具体的には、例えば、パターンを形成するためのマスクによって透明導電層11を被覆して、酸などのエッチング液により透明導電層3をエッチングする。
これにより、フィルム積層体1は、固定用基板15によって固定されているため、透明導電層11を精度よく、微細にパターニングすることができる。
パターニングの形状は、所望の電極パターンまたは配線パターンに応じて適宜決定され、例えば、ストライプ状などが挙げられる。
(第1剥離工程)
第1剥離工程では、図3Cに示すように、フィルム積層体1から、固定用基板15を第1保護基材4とともに剥離(除去)する。
具体的には、第1粘着剤層5の上面と第2保護基材6の下面とが離間するように、固定用基板15上に固定されたフィルム積層体1から、第1粘着剤層5、第1保護基材4、接着剤層16および固定用基板15を剥離する。
これにより、第2保護基材6、第2粘着剤層7および透明導電性フィルム3を下から順に備える保護基材付き透明導電性フィルム18が得られる。
この保護基材付き透明導電性フィルム18は、第2保護基材6を備えているため、搬送および保存の際に、透明導電性フィルム3の傷やシワの発生を抑制することができる。そのため、ハンドリング性および保存性に優れる。
(第2剥離工程)
第2剥離工程では、図3Dに示すように、保護基材付き透明導電性フィルム18から第2保護基材6を剥離(除去)する。
具体的には、第2粘着剤層7の上面と第2硬化樹脂層9bの下面とが離間するように、保護基材付き透明導電性フィルム18から、第2粘着剤層7および第2保護基材6剥離する。
これにより、第2硬化樹脂層9b、透明基材8、第1硬化樹脂層9a、光学調整層10、および、結晶化された透明導電層11をこの順に備える透明導電性フィルム3(加熱済み透明導電性フィルム)が得られる。
なお、第2剥離工程は、通常、透明導電性フィルム1の使用直前に実施される。
加熱工程、第1剥離工程、および、第2剥離工程などは、ロールトゥロール方式で実施してもよく、バッチ方式で実施してもよい。
透明導電性フィルム3は、例えば、タッチパネル用基材に用いられる。タッチパネルの形式としては、例えば、静電容量方式、抵抗膜方式などの各種方式が挙げられ、特に静電容量方式のタッチパネルに好ましく用いられる。具体的には、タッチパネル用フィルムとしての加熱済み透明導電性フィルム3と、偏光板とを備える静電容量方式のタッチパネルが挙げられる。
<変形例>
変形例において、上記した一実施形態と同様の部材については、同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。
(1)図1に示す一実施形態では、透明導電性フィルム3は、第2硬化樹脂層9b、透明基材8、第1硬化樹脂層9a、光学調整層10および透明導電層11を備えているが、例えば、図示しないが、透明導電性フィルム3は、第2硬化樹脂層9b、第1硬化樹脂層9aおよび光学調整層10の一部または全部を備えていなくてもよい。
好ましくは、透明導電性フィルム3は、第2硬化樹脂層9b、透明基材8、第1硬化樹脂層9a、光学調整層10および透明導電層11をこの順に備える。これにより、透明導電性フィルム3に、アンチブロッキング性、擦傷保護性、パターニング透明導電層11の視認抑制性を付与することができる。
また、例えば、図示しないが、透明導電性フィルム3は、第2硬化樹脂層9bおよび透明基材8の間などに、光学調整層10(第2光学調整層)をさらに設けてもよい。
(2)図1に示す一実施形態では、透明導電層11は、金属酸化物からなる透明導電層11であるが、例えば、図示しないが、透明導電層11は、金属ナノワイヤまたは金属メッシュを備えることもできる。
金属ナノワイヤは、直径がナノメートルサイズ(好ましくは、500nm未満)の針状または糸状の金属である。金属ナノワイヤを構成する金属としては、好ましくは、Au、Ag、Cu、Niなどの導電性金属が挙げられ、導電性の観点から、好ましくは、Auが挙げられる。
金属メッシュは、金属細線が格子状のパターンに形成されてなる。金属メッシュを構成する金属としては、上記金属ナノワイヤを構成する金属と同様のものが挙げられる。
(3)図3A−3Dに示す実施形態では、フィルム積層体1に対して、仮固定工程、加熱工程、パターニング工程、第1剥離工程、および、第2剥離工程を順に実施しているが、順番は限定されず、例えば、仮固定工程、パターニング工程、第1剥離工程、加熱工程および、第2剥離工程の順に実施してもよい。
以下に実施例および比較例を示し、本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は、何ら実施例および比較例に限定されない。以下の記載において用いられる配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなど該当記載の上限値(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限値(「以上」、「超過」として定義されている数値)に代替することができる。また、各例中、部、%はいずれも質量基準である。
<実施例1>
(透明導電性フィルムの作製)
透明導電性フィルムをロールトゥロール方式にて下記に従い製造した。
搬送方向に長尺なシクロオレフィン系フィルム(COPフィルム、厚み40μm、日本ゼオン社製、「ZEONOR」(登録商標)、面内位相差20nm以下)を、透明基材として用意した。
透明基材の上面に、バインダー樹脂からなるハードコート組成物の希釈液を塗布し、透明基材の下面に、バインダー樹脂と複数の粒子を含有するハードコート組成物の希釈液を塗布し、次いで、これらを乾燥した後、両面に紫外線を照射し、ハードコート組成物を硬化させた。これにより、透明基材の上面に、粒子を含有しない第1硬化樹脂層(厚み1μm)、透明基材の下面に、粒子を含有する第2硬化樹脂層(厚み1μm)を形成した。
なお、粒子として、架橋アクリル・スチレン系樹脂粒子(積水樹脂社製、「SSX105」、最頻粒子径3μm)を用いた。バインダー樹脂として、ウレタン系多官能ポリアクリレート(DIC社製、「UNIDIC」)を用いた。
次いで、第1硬化樹脂層の上面に、ジルコニア粒子と紫外線硬化性樹脂とを含有する光学調整層用組成物の希釈液(「オプスターZ7412」、JSR社製、屈折率1.62)を塗布し、乾燥した後、紫外線を照射した。これにより、第1硬化樹脂層の上面に、光学調整層(厚み0.1μm)を形成した。
次いで、平行平板型の巻取式マグネトロンスパッタ装置に、酸化インジウムと酸化スズとを含有する焼結体ターゲットを装着し、上記で得られた積層体を搬送しながら、真空排気を実施した。その後、アルゴンガスおよび酸素ガスの導入量を調整し、光学調整層の上面にDCスパッタリングにより成膜して、非晶質のITO層(厚み25nm)を形成した。これにより、透明導電性フィルムを作製した。
(キャリアフィルムの作製)
キャリアフィルムをロールトゥロール方式にて下記に従い製造した。
溶液重合により、アクリル酸2−エチルヘキシル90molおよびアクリル酸ヒドロキシエチル10molを共重合して、アクリル系共重合体を得た。アクリル系共重合体100質量部(固形分)に対し、イソシアネート系架橋剤(「コロネートL」、日本ポリウレタン工業社製)5質量部を添加して、アクリル系粘着剤を得た。アクリル系粘着剤を、離型フィルム(離型処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム)に塗布し、乾燥させて、厚み11μmのアクリル系粘着剤層(第1粘着剤層)を形成した。これにより、第1粘着剤層転写フィルムを得た。
次いで、搬送方向に長尺なシクロオレフィン系フィルム(COPフィルム、厚み40μm、上記と同様)を、第1保護基材として用意した。この第1保護基材に、第1粘着剤層転写フィルムの第1粘着剤層を貼り合わせ、離型フィルムを剥離して、第1保護基材/第1粘着剤層の積層体を得た。
次いで、搬送方向に長尺なシクロオレフィン系フィルム(厚み40μm、上記と同様)を、第2保護基材として用意した。この第2保護基材を、上記積層体の第1粘着剤層に貼り合わせて、第1保護基材/第1粘着剤層/第2保護基材の積層体を得た。
次いで、溶液重合により、アクリル酸2−エチルヘキシル92molおよびアクリル酸ヒドロキシエチル8molを共重合して、アクリル系共重合体を得た。アクリル系共重合体100質量部(固形分)に対し、イソシアネート系架橋剤(「コロネートL」、日本ポリウレタン工業社製)5質量部を添加して、アクリル系粘着剤を得た。アクリル系粘着剤を、離型フィルム(離型処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム)に塗布し、乾燥させて、厚み11μmのアクリル系粘着剤層(第2粘着剤層)を形成した。これにより、第2粘着剤層転写フィルムを得た。
次いで、上記積層体の第2保護基材に、第2粘着剤層転写フィルムの第2粘着剤層を貼り合わせ、離型フィルムを剥離した。
これにより、第1保護基材、第1粘着剤層、第2保護基材および第2粘着剤層をこの順に備えるキャリアフィルムを得た。
(透明導電性フィルム積層体の製造)
第2硬化樹脂層と第2粘着剤層とが接触するように、透明導電性フィルムおよびキャリアフィルムを貼着して、実施例の透明導電性フィルム積層体を得た(図1参照)。
<実施例2〜6>
第1保護基材、第2保護基材および透明基材の厚みを、表1に示す厚みに変更した。また、第1粘着剤層および第2粘着剤層の配合量および厚みは、表2に示す配合量および厚みに変更して各剥離力を表1に示す剥離力に調整した。これら以外は実施例1と同様にして、各実施例の透明導電性フィルム積層体を得た。
<比較例1〜4>
第1保護基材、第2保護基材および透明基材の材料および厚みを、表1に示す材料および厚みに変更した。また、第1粘着剤層および第2粘着剤層の配合量および厚みは、表2に示す配合量および厚みに変更して、各剥離力を表1に示す剥離力に調整した。これら以外は実施例1と同様にして、各比較例の透明導電性フィルム積層体を得た。
表中、PETでは、ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み125μm、50μm、藤森工業社製、「HR213−1020」シリーズ)を用い、PCは、ポリカーボネートフィルム(厚み130μm、大倉工業社製、「PC130−KM」)を用いた。
<比較例5>
第1保護基材および第1粘着剤層を設けなかった以外は、実施例1と同様にして、比較例のフィルム積層体を得た。
<比較例6>
第1保護基材および第1粘着剤層を設けなかった以外は、実施例2と同様にして、比較例のフィルム積層体を得た。
<基材の厚み測定>
各実施例および各比較例で用いた第1保護基材、第1粘着剤層、第2保護基材、第2粘着剤層および透明基材などの厚みは、マイクロゲージ式厚み計(ミツトヨ社製)で測定した。結果を表1に示す。
<剥離力の測定>
(1)第1剥離力
第1保護基材と第2保護基材との間の剥離力を、オートグラフ試験機を用いて測定した。
具体的には、各実施例および各比較例で用いたフィルム積層体を、長さ150mm×幅50mmの平面視略矩形状に切断して、試験片を作製した。次いで、第1保護基材/第1粘着剤層からなる積層体20の長さ方向一端部を把持し、第2保護基材、第2粘着剤層/透明導電性フィルムからなる積層体21を、固定テープ22を介して、固定台23に固定した。次いで、第1保護基材/第1粘着剤層からなる積層体20の長さ方向一端部を、剥離角度180度、剥離速度500mm/分の条件で剥離した(図4参照)。結果を表1に示す。
(2)第2剥離力
第2保護基材と透明導電性フィルムとの剥離力を、オートグラフ試験機を用いて測定した。
具体的には、各実施例および各比較例で用いたフィルム積層体を、長さ150mm×幅50mmの平面視略矩形状に切断して、試験片を作製した。次いで、キャリアフィルムの長さ方向一端部を把持し、透明導電性フィルムを、固定テープを介して、固定台に固定した。次いで、キャリアフィルムの長さ方向一端部を、剥離角度180度剥、剥離速度500mm/分の条件で剥離した。結果を表1に示す。
(3)剥離力差
式:「(剥離力差)=(第2剥離力)−(第1剥離力)」により、剥離力差を算出した。結果を表1に示す。
<カール試験>
(1)初期時
各実施例および各比較例のフィルム積層体を、20cm×20cmの平面視略正方形状に切断して、試験片を作製した。この試験片を初期時の試験片として、ITO面が上側となるように、水平台に載置した。
フィルム積層体の四隅部の水平台からの高さの平均H1と、中央部の水平台からの高さH2と測定した。H=H1−H2の式により、中央部の高さをゼロとした際における四隅部の平均高さHを算出した。なお、このHの絶対値が、中央部と四隅部との厚み方向平均距離を示す。
(2)加熱後
上記試験片をITO面が上側となるように、オーブン内の水平台に載置し、140℃90分で加熱した。その後、室温(23℃)で1時間放冷し、これを加熱後の試験片とした。このときの四隅部の平均高さHを上記と同様にして算出した。
(3)ガラス貼着後加熱後
各実施例および各比較例のフィルム積層体を、ガラス基材(厚み0.7mm)に、粘着テープを介して固定し、次いで、20cm×20cmの平面視略正方形状に切断して、試験片を作製した。この試験片をITO面が上側となるよう状態で、オーブン内の水平台に載置し、140℃90分で加熱した。その後、室温(23℃)で1時間放冷し、これをガラス貼着後加熱後の試験片とした。
得られた試験片の四隅部の平均高さHを上記と同様にして算出した。平均高さHの絶対値(厚み方向平均距離)が、20mm以下であった場合を〇と評価し、20mmを超過した場合を×と評価した。
(4)第1保護基材剥離後
各実施例および各比較例のフィルム積層体を、20cm×20cmの平面視略正方形状に切断して、試験片を作製した。この試験片から第1保護基材(最下層基材)を第1粘着剤層とともに剥離し、これを第1保護基材剥離後の試験片とした。なお、比較例5〜6のフィルム積層体においては、第2保護基材(最下層基材)を第2粘着剤層とともに剥離し、これを試験片とした。
得られた試験片の四隅部の平均高さHを上記と同様にして算出した。このとき、平均高さHの絶対値(厚み方向平均距離)が、20mm以下であった場合を〇と評価し、20mmを超過した場合を×と評価した。
<第1保護基材剥離後のハンドリング性>
各実施例および各比較例のフィルム積層体から、第1保護基材(最下層基材)を第1粘着剤層とともに剥離して、サンプルを得た。なお、比較例5〜6のフィルム積層体においては、第2保護基材(最下層基材)を第2粘着剤層とともに剥離して、これをサンプルとした。
実施例1〜6および比較例1〜4のサンプルでは、保護基材(第2保護基材)が残っており、サンプルの透明導電性フィルムが所定の厚さ(50nm以上)を備えるため、その後の搬送や処理工程において、シワが生じにくく、ハンドリング性に優れていた。よって、○と評価した。一方、比較例5〜6のサンプルでは、保護基材が残っていなかったため、その後の搬送や処理工程において、透明導電性フィルムにシワや傷が生じ易かった。よって、×と評価した。
<第1保護基材の剥離容易性>
上記の第1剥離力の測定時において第1保護基材/第1粘着剤層からなる積層体20が、第2保護基材/第2粘着剤層/透明導電性フィルムからなる積層体21からスムーズに剥離できた場合を〇と評価した。上記積層体20に加えて、第2保護基材の一部も剥離された場合を△と評価した。上記積層体20と上記積層体21との界面ではなく、キャリアフィルムと、透明導電性フィルムとの界面で完全に剥離した場合を×と評価した。結果を表1に示す。
Figure 2020108941
Figure 2020108941
1 透明導電性フィルム積層体
2 キャリアフィルム
3 透明導電性フィルム
4 第1保護基材
6 第2保護基材
7 粘着剤層
8 透明基材
11 透明導電層

Claims (4)

  1. キャリアフィルムおよび透明導電性フィルムを厚み方向に順に備える透明導電性フィルム積層体であって、
    前記透明導電性フィルムは、透明基材および透明導電層を厚み方向に順に備え、
    前記透明基材は、シクロオレフィン系フィルムであり、
    前記キャリアフィルムは、第1保護基材、第2保護基材および粘着剤層を厚み方向に順に備え、
    前記第1保護基材および前記2保護基材は、シクロオレフィン系フィルムであり、
    前記第1保護基材と前記第2保護基材とは、剥離可能であることを特徴とする、透明導電性フィルム積層体。
  2. 前記第1保護基材と前記第2保護基材との剥離力が、前記透明基材と前記第2保護基材との剥離力と同一か、それよりも弱いことを特徴とする、請求項1に記載の透明導電性フィルム積層体。
  3. 前記透明導電性フィルム積層体を20cm×20cmの平面視矩形状に切断し、140℃で90分間加熱した際に、加熱後の透明導電性フィルム積層体の中央部と四隅部との厚み方向平均距離が20mm以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載の透明導電性フィルム積層体。
  4. 前記透明導電性フィルム積層体を20cm×20cmの平面視矩形状に切断し、前記第1保護基材を剥離した際に、剥離後の透明導電性フィルム積層体の中央部と四隅部との厚み方向平均距離が20mm以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載の透明導電性フィルム積層体。
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WO2023195446A1 (ja) * 2022-04-07 2023-10-12 日東電工株式会社 保護フィルム付透明導電性フィルム

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