JP2020108328A - 電力変換装置および電力変換装置における電流制御方法 - Google Patents

電力変換装置および電力変換装置における電流制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】フィルタリアクトルの地絡による事故電流および架線電圧急変時の共振電流を抑制する、鉄道車両の駆動装置を提供する。【解決手段】駆動装置1Sは、架線1から供給された直流電力を交流電力に変換する電力変換装置6と、電力変換装置6の架線1側に接続されたフィルタリアクトル9と、フィルタリアクトル9の架線1側に接続されたスイッチング素子Q7と、スイッチング素子Q7に並列に接続された抵抗器101と、スイッチング素子Q7の架線1側に接続され、直流電力を遮断する遮断器11と、架線電圧を検出する電圧検出手段13と、架線電流を検出する電流検出手段12と、制御論理部15と、を有する。制御論理部15は、架線電圧または架線電流に基づいて、スイッチング素子Q7をスイッチング制御してチョッピング動作させる制御と、スイッチング素子Q7をオフ制御した後に遮断器11を解放させて直流電力を遮断する制御とを行う。【選択図】図2

Description

本発明は、電力変換装置および電力変換装置における電流制御方法に関する。
鉄道車両駆動用の電機品である電力変換装置やフィルタリアクトルは、車両の床下に搭載されている。近年では、車両のメンテナンス性を向上するために、レールや架線の劣化および故障を把握するためのモニタリング装置の搭載が検討されている。車両の床下スペースは有限であることから、これらのモニタリング装置を車両に搭載するためには、駆動電機品を小型化する必要がある。
電力変換装置では、電圧駆動型のパワー半導体であるIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)やMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)が適用されている。IGBTやMOSFETをはじめとするパワー半導体は、高速なスイッチング動作によりスイッチング損失を低減できることから、電力変換装置の冷却器を小型化することができる。
電力変換装置は、フィルタリアクトルを有する。フィルタリアクトルの小型化にはそのインダクタンス値を低減することが有効であるものの、電力変換装置の故障やフィルタリアクトルが地絡時に生じる事故電流の傾きは、フィルタリアクトルのインダクタンス値の低減により増加する。このため、変電所をトリップさせないよう事故電流を高速に減流する必要がある。
また、直流架線の鉄道車両では、直流架線の電圧が急激に変動することがある。この架線電圧急変が原因となり、フィルタリアクトルと電力変換装置に搭載されたフィルタキャパシタにより共振電流が生じる。フィルタリアクトルを小型化し、フィルタリアクトルのインダクタンス値を低減すると、この共振電流のピーク値が増加し、変電所の許容電流を超過する恐れがある。そこで、直流架線と電力変換装置の間に半導体素子と抵抗器で構成された装置を搭載することで、上記の事故電流と共振電流を抑制する技術が開発されている。
例えば特許文献1には、「限流抵抗と並列にトランジスタを接続する。電流センサーからの電流検出信号が設定値を越えるとトランジスタをOFFして入力電流を限流し、電流が設定値未満となるとトランジスタをONさせ限流抵抗を短絡する制御回路を設ける。さらに、遮断条件が成立したときトランジスタをオフしかかる後直流遮断器を解放させる遮断順次回路を設ける」ことが開示されている(特許文献1の要約書参照)。
特開平6−70457号公報
しかしながら、特許文献1では、半導体減流装置よりも架線側にフィルタリアクトルが接続されており、電流センサーがフィルタリアクトルより負荷側に接続されているため、フィルタリアクトルの地絡による事故電流は検出できず、当該事故電流を減流することができない。
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、鉄道車両において、フィルタリアクトルの地絡による事故電流および架線電圧急変時の共振電流をともに抑制することを目的とする。
かかる課題を解決するため本発明においては、電力変換装置は、架線から供給された直流電力を交流電力に変換するインバータと、前記インバータの前記架線側に接続されたリアクトルとを有する。また、電力変換装置は、前記リアクトルの前記架線側に接続された半導体素子と、前記半導体素子に並列に接続された抵抗器と、前記半導体素子の前記架線側に接続され、前記直流電力を遮断する遮断器と、前記架線の架線電圧を検出する電圧検出手段と、前記架線を流れる架線電流を検出する電流検出手段とを有する。また、電力変換装置は、前記電圧検出手段により検出された前記架線電圧、または、前記電流検出手段により検出された前記架線電流に基づいて、前記半導体素子をスイッチング制御してチョッピング動作させる第一の制御と、前記半導体素子をオフ制御した後に前記遮断器を解放させて前記直流電力を遮断する第二の制御とを行う制御部を有する。
本発明によれば、鉄道車両において、フィルタリアクトルの地絡による事故電流および架線電圧急変時の共振電流をともに抑制できる。
実施例1における電気車の概略図である。 実施例1における駆動装置の回路図である。 実施例1における事故電流抑制時の駆動装置の動作波形である。 実施例1における共振電流抑制時の駆動装置の動作波形である。 実施例1における架線電圧を用いた場合の駆動装置の処理例を示すフローチャートである。 実施例1における架線電流を用いた場合の駆動装置の処理例を示すフローチャートである。 実施例2における駆動装置の回路図である。 実施例3における駆動装置の回路図である。 実施例3における架線電圧を用いた場合の駆動装置の処理例を示すフローチャートである。 実施例3における架線電流を用いた場合の駆動装置の処理例を示すフローチャートである。 実施例4における駆動装置の回路図である。 実施例4における架線電圧を用いた場合の駆動装置の処理例を示すフローチャートである。 実施例4における架線電流を用いた場合の駆動装置の処理例を示すフローチャートである。 実施例5における駆動装置の回路図である。 実施例6における駆動装置の回路図である。 実施例6におけるフィルタリアクトルの二次巻線の電圧を用いた場合の駆動装置の処理例を示すフローチャートである。 実施例7における鉄道車両(電気車)の駆動装置の構成の一例を示す図である。 実施例7における駆動装置を構成する各機器の制御(駆動装置のインバータ動作中の主回路入力電流(架線電流Is)の急変発生時)を表すタイミングチャートの一例を示す図である。 実施例8における駆動装置を構成する各機器の制御(駆動装置のインバータ動作中の主回路入力電流(架線電流Is)の急変発生時)を表すタイミングチャートの一例を示す図である。 実施例9における鉄道車両(電気車)の駆動装置の構成の一例を示す図である。
以下図面に基づき、本発明の実施例を詳述する。以下の実施例を説明するための各図において、同一の参照番号で同一あるいは類似の機能を有する要素または処理を示し、後出の説明が省略される。また、実施例および変形例のそれぞれは、本発明の技術思想の範囲内および整合する範囲内でその一部または全部を組合せることができる。
<電気車および駆動装置の構成>
図1は、実施例1に示す電気車の概略図である。図2は、実施例1における駆動装置の回路図である。
図1において、電気車100を加速するための力行動作では、電力源の架線1から集電装置7を介して車両8に電力が供給される。図2に示すように、架線1から供給された直流電力は、遮断器11と半導体減流装置10とフィルタリアクトル9と電力変換装置6を介して直流電力から交流電力に変換される。電動機5は、変換された交流電力により駆動される。電動機5の駆動により、車輪3が回転し車両8が前進する。電動機5は、誘導電動機または永久磁石同期電動機のどちらでもよい。
電気車100を減速するための回生動作では、電力の流れが力行動作の逆になる。すなわち、発電機として動作する電動機5が発電した交流電力は、電力変換装置6により直流電力に変換されたのちに、フィルタリアクトル9と半導体減流装置10と遮断器11と集電装置7を介して架線1に回生される。
電力変換装置6の負電圧側は、電気的なグラウンドとして、車輪3を介してレール2に接続されている。電動機5は台車4に搭載されており、台車4は車両8を支えている。以下では架線1の電圧は一例として直流1500Vとして説明する。
図2に示す駆動装置1Sは、電力変換装置6と、フィルタリアクトル9と、半導体減流装置10と、遮断器11と、電流検出手段12と、電圧検出手段13と、制御論理部15とを有する。電動機5を駆動する電力変換装置6は、キャパシタ105およびスイッチング素子Q1〜Q6を有する。スイッチング素子Q1、Q2は直列接続されてU相を構成し、スイッチング素子Q3、Q4は直列接続されてV相を構成し、スイッチング素子Q5、Q6は直列接続されてW相を構成する。
電力変換装置6は、例えばインバータである。電力変換装置6のスイッチング素子Q1〜Q6には、ダイオードD1〜D6がそれぞれ逆並列接続される。ここで、スイッチング素子Q1〜Q6がIGBTの場合には、ダイオードD1〜D6を接続する必要がある。スイッチング素子Q1〜Q6がMOSFETなどボディダイオードを有する素子である場合には、ダイオードD1〜D6を接続せずにMOSFETのボディダイオードを利用することができる。また、直列接続されたスイッチング素子もしくはダイオードが同一のパッケージに搭載された2in1素子を用いてもよい。
なお、本実施例では例えばインバータ自体を電力変換装置6と呼ぶが、電力変換装置6とフィルタリアクトル9と半導体減流装置10と遮断器11と電流検出手段12と電圧検出手段13と制御論理部15とを含んだ駆動装置1Sも、電力変換装置と言い得る。
スイッチング素子Q1〜Q6は、MOSFETやIGBTなどの電圧制御型スイッチング素子や、サイリスタなどの電流制御型スイッチング素子でよい。ダイオードD1〜D6は、PNダイオードやSBD(Schottky Barrier Diode)などでよい。スイッチング素子Q1〜Q10およびダイオードD1〜D10の半導体は、Si(シリコン)やSiよりもバンドギャップが広い半導体であるSiC(炭化ケイ素)やGaN(窒化ガリウム)でもよい。
電力変換装置6は、U相、V相、W相のスイッチング素子Q1〜Q6が、例えばPWM(Pulse Width Modulation)制御されることにより、入力された直流電力を変換した交流電力を出力することで、電動機5に交流電力を供給する。PWM制御の指令は、論理部(図示せず)で生成される。ここで、フィルタリアクトル9とキャパシタ105は、フィルタ回路としての機能を有しており、架線1へ流れ出るノイズ電流を低減している。
架線1の直流電圧は電圧センサー等の電圧検出手段13を用いて検出される。また、架線1から電力変換装置6へ流れる電流は電流センサー等の電流検出手段12を用いて検出される。制御論理部15は、電圧検出手段13で検出された架線電圧の値、および/または、電流検出手段12で検出された架線電流の値を用いた演算処理結果に基づいて、半導体減流装置10および遮断器11に制御信号を出力する。なお、制御論理部15は、電力変換装置6の論理部(図示せず)と共通でもよい。
本実施例の駆動装置1Sでは、遮断器11とフィルタリアクトル9の間に半導体減流装置10が接続されている。半導体減流装置10は、スイッチング素子Q7と、ダイオードD7と、抵抗器101とで構成されている。スイッチング素子Q7には冷却器(図示せず)が接続されており、冷却器によりスイッチング素子Q7の発熱が冷却される。
電力変換装置6の動作を説明する。電力変換装置6を駆動するためにはキャパシタ105を初期充電する必要がある。キャパシタ105の初期充電時には、スイッチング素子Q7をオフ状態とし、遮断器11を閉路とする。キャパシタ105の充電電流は、架線1から遮断器11と抵抗器101とフィルタリアクトル9を介して流れる。この充電電流によりキャパシタ105は充電され、キャパシタ105の電圧は架線1の電圧まで上昇する。
キャパシタ105が充電されると、半導体減流装置10のスイッチング素子Q7はオン状態になる。電力変換装置6が動作を開始すると架線1から遮断器11とスイッチング素子Q7とフィルタリアクトル9を介して電力変換装置6に直流電力が供給される。
<実施例1の事故電流の抑制方法>
ここで、フィルタリアクトル9は車両8の床下の搭載されているため雨風等で絶縁性能が低下し、地絡することがある。例えば、フィルタリアクトル9と電力変換装置6の間で地絡が起きた場合、架線1から事故電流が流入する。同様に、電力変換装置6のU相、V相、W相のいずれかの相が短絡状態になると事故電流が流れる。この事故電流は架線1に直流電力を供給している変電所から流れるため、事故電流が変電所の許容電流を超過すると架線1への電力の供給が停止される。すなわち、事故電流は速やかに減流し遮断する必要がある。
図3の動作波形を用いて、本実施例の電力変換装置における事故電流の抑制方法を説明する。図3は、実施例1における事故電流抑制時の駆動装置の動作波形である。時刻t=t11において、フィルタリアクトル9の地絡または電力変換装置6の故障等により、図3の直線301で示すように架線電圧Esが低下し始めると共に、直線302で示すように事故電流が流れ始める。この事故は電流検出手段12もしくは電圧検出手段13を用いて検出する。時刻t=t11(あるいは時刻t=t11と時刻=t12の間)で事故が検出されると、時刻t=t12において半導体減流装置10のスイッチング素子Q7がオフ状態にされる。
スイッチング素子Q7がオフ状態になると架線1と抵抗器101が接続されるため、架線から流入する事故電流は架線1の電圧と抵抗器101の抵抗値の除算で定まる電流に抑制される。例えば、架線1の直流電圧が1500V、抵抗器101の抵抗値が10Ωの場合、150Aとなる。その後、時刻t=t13において遮断器11が解放され、事故電流が0Aまで遮断される。また、半導体減流装置10はフィルタリアクトル9よりも架線1側に接続されているため、電力変換装置6の故障のみならずフィルタリアクトル9の地絡による事故電流も抑制することができる。
<実施例1の共振電流の抑制方法>
一方、架線1の直流電圧は急激に変動することがある。例えば、架線1の直流電圧が1500Vから1800Vに急激に上昇すると、フィルタリアクトル9とキャパシタ105でのLC共振回路が形成され、架線1から共振電流が流れる。フィルタリアクトル9のインダクタンス値を低減すると共振電流の正のピーク値が増加するため、速やかに抑制する必要がある。この架線電圧急変は事故ではないため、電力変換装置6の動作は継続する必要がある。
図4の動作波形を用いて、本実施例の電力変換装置における共振電流の抑制方法を説明する。図4は、実施例1における共振電流抑制時の駆動装置の動作波形である。時刻t=t21において、架線電圧急変が発生し、図4の破線401で示すような共振電流が流れ始める。この共振電流は電流検出手段12もしくは電圧検出手段13を用いて検出する。架線電圧急変が検出されると時刻t=t22において半導体減流装置10のスイッチング素子Q7がチョッピング動作を開始し、時刻t=t23までチョッピング動作を継続する。
チョッピング動作とはスイッチング素子Q7のオン状態およびオフ状態を小刻みに繰り返すことである。スイッチング素子Q7がオン状態の場合、架線1の直流電圧とキャパシタ105の電圧の電位差により架線1からキャパシタ105に向かって電流が流れる。スイッチング素子Q7がオフ状態の場合、架線1とキャパシタ105の間に抵抗器101が接続されるため、架線1からキャパシタ105に流れる電流が減流される。このようにチョッピング動作することで、半導体減流装置10は等価的に抵抗として機能し、図4の実線402で示すように、共振電流の正のピーク値を低減し、共振電流を速やかに抑制することができる。
スイッチング素子Q7のチョッピング動作におけるスイッチング周波数は、商用電源の周波数である50Hzもしくは60Hzの倍数の周波数とする。一例として、スイッチング素子Q7のチョッピング動作におけるスイッチング周波数は、商用電源の周波数が50Hzの場合には300Hzとし、商用電源の周波数が60Hzの場合には360Hzとする。架線1の直流電圧は、交流商用電源を全波整流して生成している。このため、架線1の直流電圧は交流商用電源の周波数の倍数成分を含んでおり、通常、信号設備や通信設備はこれらの周波数を使用していない。すなわち、商用電源の周波数の倍数の周波数でスイッチング素子Q7がチョッピング動作を行うことで、信号設備や通信設備に障害を与えることなく、チョッピング動作により共振電流を抑制できる。
以上より、半導体減流装置10は、事故電流発生時にはスイッチング素子Q7をオフ状態にしたのちに遮断器11を解放することで事故電流を速やかに減流および遮断することができる。また、半導体減流装置10は、架線電圧急変時にはスイッチング素子Q7をチョッピング動作することで共振電流を速やかに抑制することができる。この結果、フィルタリアクトル9のインダクタンス値を低減しても、事故電流および共振電流を変電所の許容電流以下に抑制できる。
<実施例1の架線電圧を用いた駆動装置の処理>
図5を用いてスイッチング素子Q7の動作フローを説明する。図5は、実施例1における架線電圧を用いた場合の駆動装置の処理例を示すフローチャートである。図5は架線の電圧検出手段13を用いてスイッチング素子Q7の動作状態を制御する方法を示す。電圧検出手段13を用いてスイッチング素子Q7の動作状態を制御する方法を用いる場合には、駆動装置1Sにおいて、電流検出手段12を省略可能である。
図5に示すように、先ず、ステップS11では、制御論理部15は、電圧検出手段13を用いて架線1の架線電圧Esを検出する。続いて、ステップS12では、制御論理部15は、ステップS11で検出した架線電圧Esから架線の基準電圧Es0を減算した偏差ΔEs(=Es−Es0)を演算する。例えば、制御論理部15は、一定周期でサンプリングした架線電圧Esと架線の基準電圧Es0との電圧差を偏差ΔEsとする。
続いて、ステップS13では、制御論理部15は、ステップS12で演算した偏差ΔEsが例えば200Vより大であるかを判定する。制御論理部15は、ステップS12で演算した偏差ΔEsが200Vより大である場合(ステップS13:Yes)、ステップS14に処理を移し、偏差ΔEsが200V以下である場合(ステップS13:No)、ステップS15に処理を移す。
ステップS14では、制御論理部15は、スイッチング素子Q7にチョッピング動作を行わせる。ステップS14が終了すると、制御論理部15は、ステップS11に処理を戻す。
他方ステップS15では、制御論理部15は、ステップS12で演算した偏差ΔEsが例えば−200Vより小であるかを判定する。制御論理部15は、ステップS12で演算した偏差ΔEsが−200Vより小である場合(ステップS15:Yes)、ステップS16に処理を移し、偏差ΔEsが−200V以上である場合(ステップS13:No)、ステップS11に処理を戻す。
ステップS16では、制御論理部15は、スイッチング素子Q7をオフ動作させて遮断器11により遮断可能な程度まで事故電流を抑制する。続いて、ステップS17では、制御論理部15は、遮断器11を解放する。ステップS17が終了すると、制御論理部15は、実施例1における架線電圧を用いた場合の駆動装置の処理を終了する。
図3に示すとおり、フィルタリアクトル9の地絡等が生じると架線電圧Esは低下していくため、架線電圧の偏差ΔEsが発生する。この偏差ΔEsにしきい値を設け、例えば偏差ΔEsが−200Vより低くなると地絡の発生を検出し、スイッチング素子Q7をオフ状態にしたのちに遮断器11を解放する。
また、図4に示すとおり、架線電圧急変が生じると架線電圧Esに偏差ΔEsが発生する。制御論理部15は、この偏差ΔEsにしきい値を設け、例えば偏差ΔEsが200Vより高くなると架線電圧急変の発生を検出しスイッチング素子Q7のチョッピング動作を開始する。このように架線電圧Esの偏差ΔEsを検出することで架線電圧急変および地絡を切り分けることができる。
<実施例1の架線電流を用いた駆動装置の処理>
図6は電流検出手段12を用いてスイッチング素子Q7を制御するときの動作フローを示す。図6は、実施例1における架線電流を用いた場合の駆動装置の処理例を示すフローチャートである。図6は、電流検出手段12を用いて架線1から流入する電流を検出する方法を示す。電流検出手段12を用いてスイッチング素子Q7の動作状態を制御する方法を用いる場合には、駆動装置1Sにおいて、電圧検出手段13を省略可能である。
ここで、電流検出手段12を架線1と遮断器11の間に接続することで、フィルタリアクトル9の地絡および電力変換装置6の故障による事故電流を共に検出することができる。例えば、フィルタリアクトル9と電力変換装置6の間に電流検出手段を接続すると、電力変換装置6の故障による事故電流は検出できるが、フィルタリアクトル9の地絡は検出できない。
図6に示すように、先ず、ステップS21では、制御論理部15は、電流検出手段12で架線電流Isを検出する。続いて、ステップS22では、制御論理部15は、ステップS21で検出した架線電流Isの変化率dIs/dtを演算する。
続いて、ステップS23では、制御論理部15は、ステップS22で演算した変化率dIs/dtが例えば10A/msより大であるかを判定する。制御論理部15は、ステップS22で演算した変化率dIs/dtが10A/msより大である場合(ステップS23:Yes)、ステップS24に処理を移す。一方、制御論理部15は、変化率dIs/dtが10A/ms以下である場合(ステップS23:No)、ステップS21に処理を戻す。
ステップS24では、制御論理部15は、スイッチング素子Q7にチョッピング動作を行わせる。続いて、ステップS25では、制御論理部15は、架線電流Isを検出する。
続いて、ステップS25では、制御論理部15は、ステップS25で検出した架線電流Isが例えば1500Aより大であるかを判定する。制御論理部15は、ステップS25で検出した架線電流Isが1500Aより大である場合(ステップS26:Yes)、ステップS27に処理を移し、架線電流Isが1500A以下である場合(ステップS26:No)、ステップS21に処理を戻す。
ステップS27では、制御論理部15は、スイッチング素子Q7にチョッピング動作を行わせる。続いて、制御論理部15は、スイッチング素子Q7のチョッピング動作をオフにする。続いて、ステップS28では、制御論理部15は、遮断器11を解放する。ステップS28が終了すると、制御論理部15は、実施例1における架線電流を用いた場合の駆動装置の処理を終了する。
図4に示す通り、架線電圧急変が生じ架線電圧が上昇すると、架線電流Isが上昇し始める。この電流変化率を検出し、しきい値を越えるとスイッチング素子Q7はチョッピング動作を開始する。電流変化率は制御論理部15で演算され、例えば一定周期でサンプリングした架線電流Isと架線の基準電流Is0との電流差を算出し、その値をサンプリング周期で除算して変化率dIs/dtを求める。ここで、電流変化率のしきい値は架線1のインダクタンス値も考慮して設定することが望ましい。上記のように、例えば、電流変化率が10A/msより大となった場合にスイッチング素子Q7にチョッピング動作を開始させる。
図6において、ステップS23で変化率dIs/dtがしきい値を超えると判定された架線電流Isの変化が、架線電圧急変による共振電流であれば、ステップS24のスイッチング素子Q7のチョッピング動作により低減することができる。一方、ステップS23で変化率dIs/dtがしきい値を超えると判定された架線電流Isの変化が、フィルタリアクトル9の地絡による事故電流であれば、ステップS24のスイッチング素子Q7のチョッピング動作では抑制できず、架線電流Isは増大する。
そこで、図6のステップS25に示すように、ステップS24のスイッチング素子Q7のチョッピング動作開始後も架線1の電流を電流検出手段12で検出する。そして、ステップS26に示すように、架線1の架線電流Isにしきい値を設け、しきい値を越えるとスイッチング素子Q7をオフ状態とする。スイッチング素子Q7がオフ状態になると抵抗器101で事故電流が減流され遮断器11を解放することで事故電流を0Aまで遮断する。
このように、架線1の電流の変化率dIs/dtがしきい値以上になるとスイッチング素子Q7にチョッピング動作を開始させ、チョッピング動作後の架線1の架線電流Isがしきい値以上になるとスイッチング素子Q7をオフ状態にして遮断器11を解放させる。これにより、共振電流および事故電流を共に抑制することができる。本実施例は、架線1の電流値をもとにスイッチング素子Q7のチョッピング動作を開始する特許文献1と比較して、架線1の電流変化率に応じてチョッピング動作を開始するので、遅延時間が短く、チョッピング動作に伴うスイッチング素子Q7の損失を低減できる。
本実施例の駆動装置1Sでは、フィルタリアクトル9と、架線1側に接続された遮断器11との間に半導体減流装置10が接続されている。このため、フィルタリアクトル9の地絡による事故電流および架線電圧急変時の共振電流を共に検出して、抑制することができる。
なお、制御論理部15は、ステップS22での架線電流Isの変化率dIs/dtの演算に代えて、基準電流Is0と架線電流Isとの偏差ΔIsを演算し、ステップS23で偏差ΔIsをしきい値判定するとしてもよい。あるいは、制御論理部15は、ステップS22での架線電流Isの変化率dIs/dtの演算を省略し、ステップS23で架線電流Isそのものをしきい値判定するとしてもよい。また、制御論理部15は、架線電流Isの変化率dIs/dtまたは偏差ΔIsに代えて、架線電圧Esの変化率dEs/dtまたは偏差ΔEsを用いて共振電流および事故電流を検出するとしてもよい。
図7は、実施例2における駆動装置の回路図である。実施例2の駆動装置2Sにおける半導体減流装置10Bは、実施例1の駆動装置2Sの半導体減流装置10と比較して、スイッチング素子Q8およびスイッチング素子Q8の逆並列ダイオードD8と、抵抗器102とが追加されている。スイッチング素子Q8と抵抗器102とは、直列に接続されている。また、スイッチング素子Q8と抵抗器102とは、スイッチング素子Q7および抵抗器101に対して並列に接続されている。
電力変換装置6を駆動するためにキャパシタ105を初期充電する際、キャパシタ105の初期充電時にはスイッチング素子Q7、Q8をオフ状態とし、架線1から遮断器11、抵抗器101、フィルタリアクトル9を介してキャパシタ105に充電電流が流れる。すなわち、抵抗器101はキャパシタ105の充電抵抗として動作する。
キャパシタ105の初期充電が完了するとスイッチング素子Q7、Q8をオン状態とする。共振電流を抑制するためにスイッチング素子Q8をオン状態にしたままスイッチング素子Q7をチョッピング動作させる、もしくは、事故電流を抑制するためにスイッチング素子Q8をオン状態にしたままスイッチング素子Q7をオフ状態にする。このとき、抵抗器101、102に電流が流れるため、これらの合成抵抗は抵抗器101、102の並列値となる。
上記のように、実施例2に示す半導体減流装置10Bでは、キャパシタ105の初期充電時の抵抗値と、スイッチング素子Q7がオフ時の抵抗値を切り替えることができる。架線1の直流電圧が例えば1500Vの場合、キャパシタ105を充電するときの抵抗値は充電電流のピーク値を抑制するため10Ω前後である。一方、スイッチング素子Q7をオフにするときの抵抗値はサージ電圧を抑制するために数Ωとする。
このように、抵抗器101と抵抗器102とを切り替える実施例2の半導体減流装置10Bは、キャパシタ105の充電電流を抑制し、スイッチング素子Q7がオフ時のサージ電圧を低減することができる。
なお、実施例2における架線電圧を用いた場合の駆動装置の処理、および、実施例2における架線電流を用いた場合の駆動装置の処理は、それぞれ、図5に示すフローチャート、および、図5に示すフローチャートと同様である。
図8は、実施例3における駆動装置の回路図である。実施例3の駆動装置3Sは、実施例2の駆動装置2Sと比較して、フィルタリアクトル9に二次側巻線を設け第二の電力変換装置14を接続している点が異なる。
第二の電力変換装置14は、架線1を流れるノイズ電流を抑制する機能を有する。このノイズ電流は数A程度であるのに対し、スイッチング素子Q7が共振電流を抑制するためにチョッピング動作を実施すると、架線1には数十A程度のリプル電流が重畳する場合があるが、第二の電力変換装置14は、このリプル電流を抑制する必要はない。そのため、制御論理部15は、第二の電力変換装置14の電力容量を低減するために、スイッチング素子Q7のチョッピング動作時には、第二の電力変換装置14の動作を停止させる。
<実施例3の駆動装置の処理>
図9は、実施例3における架線電圧を用いた場合の駆動装置の処理例を示すフローチャートである。実施例3における架線電圧を用いた場合の駆動装置の処理は、図5に示す実施例1のフローチャートと比較して、ステップS17に続くステップS18において、制御論理部15が、第二の電力変換装置14をオフにする点が異なる。ステップS18が終了すると、制御論理部15は、実施例3における架線電圧を用いた場合の駆動装置の処理を終了する。
また、図10は、実施例3における架線電流を用いた場合の駆動装置の処理例を示すフローチャートである。実施例3における架線電流を用いた場合の駆動装置の処理は、図6に示す実施例1のフローチャートと比較して、ステップS28に続くステップS29において、制御論理部15が、第二の電力変換装置14をオフにする点が異なる。ステップS29が終了すると、制御論理部15は、実施例3における架線電流を用いた場合の駆動装置の処理を終了する。
実施例4の説明に先立ち、半導体減流装置(SHB)とアクティブフィルタ(第二の電力変換装置)を組合せることで、フィルタリアクトル9を低インダクタンス化できる点について述べておく。フィルタリアクトル9は、インダクタンス値を低減して小型化を図ることで、重量軽減や駆動装置の設計容易性を高めるというメリットがある。しかし、フィルタリアクトル9は、事故電流発生時の架線電流の増加速度(時間傾き)の抑制機能と、架線から駆動装置に入り帰線に至るまでの電流経路に流れる帰線電流ノイズの抑制機能の要件充足が求められるため、インタクタンス値の低減に制限がある。
そこで、架線電流の増加速度(時間傾き)の抑制に関しては半導体減流装置(SHB)を用い、帰線電流ノイズの抑制に関してはアクティブフィルタ(第二の電力変換装置)を用いて、フィルタリアクトル9の機能を補助することで、フィルタリアクトル9のインタクタンス値を、例えば従来の半分である4mH以下にできる。このように、フィルタリアクトル9の低インダクタンス化を図るため、駆動装置において半導体減流装置(SHB)とアクティブフィルタ(第二の電力変換装置)を組合せて用いる。
図11は、実施例4における駆動装置4Sの回路図である。実施例4の駆動装置4Sの半導体減流装置10Cは、実施例3の駆動装置3Sの半導体減流装置10Bと比較して、スイッチング素子Q9およびスイッチング素子Q9の逆並列ダイオードD9と、抵抗器103とが追加されている。
本実施例での電力変換装置6の動作を説明する。電力変換装置6を駆動するためにはキャパシタ105を初期充電する必要がある。キャパシタ105の初期充電時には、スイッチング素子Q7、Q8、Q9をオフ状態とし、遮断器11を閉路とする。キャパシタ105の充電電流は、架線1から遮断器11と抵抗器101とフィルタリアクトル9を介して流れる。すなわち、抵抗器101はキャパシタ105の充電抵抗として動作する。この充電電流によりキャパシタ105は充電され、キャパシタ105の電圧は架線1の電圧まで上昇する。
キャパシタ105の初期充電が完了すると、半導体減流装置10Cのスイッチング素子Q7、Q8、Q9をオン状態とする。電力変換装置6が動作を開始すると架線1から遮断器11とスイッチング素子Q7とフィルタリアクトル9を介して電力変換装置6に直流電力が供給される。
ここで、フィルタリアクトル9の地絡や電力変換装置6の故障が発生し、架線電流Isの変化率dIs/dt、架線電圧Esの変化率dEs/dtもしくは偏差ΔEsが閾値を超過したことを検出した場合に、スイッチング素子Q7のチョッピング動作を行い事故電流および架線電圧急変時の共振電流を抑制する。
このスイッチング素子Q7のチョッピング動作時には、架線電流Isと抵抗器101、102、103の合成抵抗の積の電位変動がフィルタリアクトル9の一次側にあらわれる。この電位変動は、フィルタリアクトル9の一次巻線と二次巻線の結合係数に応じて、第二の電力変換装置14に印加され、第二の電力変換装置14は印加された電圧に応じて電流を出力する。第二の電力変換装置14は、架線1に流れるノイズ電流を抑制する機能を有するため、半導体減流装置10Cのスイッチング素子Q7のチョッピング動作による電位変動に対して動作してしまうと、架線1に流れるノイズ電流の抑制を行う機能が損なわれる。
このため、抵抗器101、102、103の合成抵抗を小さくするために抵抗器103の抵抗値を例えば1Ω以下とし、スイッチング素子Q7のチョッピング動作時の電位変動を小さくして、半導体減流装置10Cのスイッチング素子Q7のチョッピング動作時も、第二の電力変換装置14の動作を継続させ、架線1に流れるノイズ電流の抑制機能が損なわれないようにする。スイッチング素子Q7のチョッピング動作後も架線電流Isが増加する場合や架線電圧Esの変化率dEs/dtの抑制ができない場合には、スイッチング素子Q8をオン状態にしたまま、スイッチング素子Q7、Q9をオフし、抵抗器101、102で事故電流を減流した後、遮断器11にて電流を遮断する。
<実施例4の駆動装置の処理>
図12は、実施例4における架線電圧を用いた場合の駆動装置4Sの処理例を示すフローチャートである。実施例4における架線電圧を用いた場合の駆動装置4Sの処理は、図9に示す実施例3のフローチャートと比較して、ステップS16に続くステップS16Bにおいて、制御論理部15が、スイッチング素子Q9をオフにして減流動作を行う点が異なる。ステップS16Bが終了すると、制御論理部15は、事故電流/共振電流を抵抗器101、102に転流し減流動作を行った後、ステップS17で遮断器を開放し、ステップS18で第二の電力変換装置14をオフにして、実施例4における架線電圧を用いた場合の駆動装置の処理を終了する。
図13は、実施例4における架線電流を用いた場合の駆動装置4Sの処理例を示すフローチャートである。実施例4における架線電流を用いた場合の駆動装置4Sの処理は、図10に示す実施例3のフローチャートと比較して、ステップS27に続くステップS27Bにおいて、スイッチング素子Q9をオフにして減流動作を行う点が異なる。ステップS27Bが終了すると、制御論理部15は、事故電流/共振電流を抵抗器101、102に転流し減流動作を行った後、ステップS28で遮断器を開放し、ステップS29で第二の電力変換装置14をオフにして、実施例4における架線電流を用いた場合の駆動装置の処理を終了する。
このように実施例4に示す半導体減流装置10Cでは、キャパシタ105の初期充電時の抵抗値と、チョッピング動作時の抵抗値と、減流時の抵抗値を切り替えることができる。これにより、架線電圧急変時にも第二の電力変換装置14の動作を継続することができ電気車100の運転が継続可能である。
図14は、実施例5における駆動装置5Sの回路図である。実施例5の駆動装置5Sの半導体減流装置10Dは、実施例4の駆動装置4Sの半導体減流装置10Cと比較して、充電抵抗として機能する抵抗器101と減流抵抗として機能する抵抗器102を、充電/減流用の抵抗器104に集約した点が異なる。
本実施例での電力変換装置6の動作を説明する。電力変換装置6を駆動するためのキャパシタ105の初期充電時には、スイッチング素子Q7、Q9をオフ状態とし、遮断器11を閉路とする。キャパシタ105の充電電流は架線1から遮断器11と抵抗器104とフィルタリアクトル9を介して流れる。キャパシタ105の初期充電が完了するとスイッチング素子Q7、Q9をオン状態とする。
共振電流を抑制する際には、スイッチング素子Q9をオン状態にしたままスイッチング素子Q7をチョッピング動作させる。そしてチョッピング動作後、スイッチング素子Q9をオフし、抵抗器104で減流後に遮断器11で電流を遮断する。
このとき、チョッピング動作時は抵抗器104、103に電流が流れるため、これらの合成抵抗は抵抗器104、103の並列値となる。前述のように抵抗器103の抵抗値は1Ω以下であるため、第二の電力変換装置14は電位変動により動作を阻害されない。
また事故電流を減流する場合には、スイッチング素子Q7、Q9を共にオフ状態にする。このとき、抵抗器104に電流が流れ減流される。
本実施例のように、抵抗器101と抵抗器102とを抵抗器104に集約した場合でもスイッチング素子Q7とスイッチング素子Q9を切り替えることで、キャパシタ105の充電時の充電電流の抑制、事故電流および架線電圧急変時の共振電流の抑制、チョッピング動作時の第二の電力変換装置14へ印加される電圧の抑制が可能である。また本実施例によれば、抵抗器101と抵抗器102とを抵抗器104へ集約することによって半導体減流装置10Dの小型化を図ることができる。
なお実施例4では、抵抗器101では充電電流のピーク値を抑制するためその抵抗値を10Ω前後とし、抵抗器102はサージ電圧を抑制するためその抵抗値を数Ωとしていた。本実施例では、抵抗器104の抵抗値を、抵抗器101と同様に10Ω前後とした場合にはサージ電圧によりスイッチング素子Q7を破壊してしまうため、数Ωとする。
また、抵抗器104の抵抗値を数Ωとした場合には、充電電流のピーク値は、実施例4のように抵抗器101を充電抵抗として用いた場合よりも高くなる。充電電流のピーク値が高くなった場合、車両の編成長によってはフィルタコンデンサ(キャパシタ105)の初期充電電流により変電所の遮断器をトリップさせないようにする必要がある。このため、充電電流のピーク値が変電所の遮断器をトリップさせないよう、同一編成内の各車両がフィルタコンデンサを同じタイミングで充電するのではなく、車両ごとに充電タイミングをずらす等の措置が必要となる。
なお実施例5の駆動装置5Sの処理フローは、実施例4と同様であり、架線電圧を用いる場合は図12と同様であり、架線電流を用いる場合は図13と同様である。
図15は、実施例6における駆動装置6Sの回路図である。実施例6の駆動装置6Sは、実施例5の駆動装置5Sと比較して、フィルタリアクトル9の二次巻線の電圧を検出する手段を有している点が異なる。
実施例1〜5に記載のフィルタリアクトル9の地絡事故やインバータの短絡事故を検出する方法は、一定のサンプリング周期にて架線電圧の変動や架線電流の変動を検出するため、事故を検出するまでにサンプリング周期の数倍の時間がかかる。実施例1〜5にかかる主回路構成では、フィルタリアクトルのインダクタンスを低減しているために、地絡事故や短絡事故が発生した際、事故電流の傾きが急峻である。このため、事故電流を検知するまでの時間が長い場合、事故電流を検知した時には既に大きな電流となっていることから事故電流を抑制できず、変電所をトリップさせてしまう可能性がある。
そこで、本実施例では、図15に例示するように、駆動装置6Sは、フィルタリアクトル9の二次巻線の電圧を検出する電圧検出手段16を設けている。このように電圧検出手段16を設けることで、フィルタリアクトル9の地絡事故および電力変換装置6の短絡事故による事故電流を共に高速に検出することができる。例えば、フィルタリアクトル9と電力変換装置6の間に電流検出手段を接続すると、電力変換装置6の短絡事故による事故電流は検出できるが、フィルタリアクトル9の地絡による事故電流は検出できない。
このようにすることで、本実施例では、架線電流Isの変化率dIs/dtや架線電圧Esの変化率dEs/dtといった差分処理に基づく検知と比較して、差分処理を行わずに事故を検知するため、短絡事故や地絡事故を高速に検知し、事故電流や共振電流を抑制することが可能である。
<実施例6の駆動装置の処理>
図16は、実施例6におけるフィルタリアクトルの二次巻線の電圧を用いた場合の駆動装置6Sの処理例を示すフローチャートである。
図16に示すように、先ず、ステップS31では、制御論理部15は、電圧検出手段16でフィルタリアクトル9の二次電圧値(以下、VAFLと称す)を検出する。続いて、ステップS32では、制御論理部15は、ステップS31で検出したVAFLが例えば200Vより大であるかを判定する。制御論理部15は、VAFLが200Vより大である場合(ステップS32:Yes)、ステップS33に処理を移す。一方、制御論理部15は、VAFLが200V以下である場合(ステップS32:No)、ステップS31に処理を戻す。
ステップS33では、制御論理部15は、スイッチング素子Q7にチョッピング動作を行わせる。続いて、ステップS34では、制御論理部15は、VAFLを検出する。続いて、ステップS35では、制御論理部15は、ステップS34で検出したVAFLが例えば200Vより大であるかを判定する。制御論理部15は、VAFLが200Vより大である場合(ステップS35:Yes)、ステップS36に処理を移す。一方、制御論理部15は、VAFLが200V以下である場合(ステップS35:No)、ステップS31に処理を戻す。
ステップS36では、制御論理部15は、スイッチング素子Q7をオフにする。続いてステップS37では、制御論理部15は、スイッチング素子Q9をオフにし、減流動作を行う。減流動作後のステップS38で、制御論理部15は、遮断器11を開放し、共振電流/事故電流の遮断を行う。
続いて、ステップS39では、制御論理部15は、第二の電力変換装置14をオフにする。ステップS39が終了すると、制御論理部15は、実施例6におけるフィルタリアクトルの二次巻線の電圧を用いた場合の駆動装置の処理を終了する。
なお、駆動装置6Sは、半導体減流装置10Dに代えて、実施例1〜4における半導体減流装置10、10B、10Cを備えても良い。半導体減流装置10Dに代えて半導体減流装置10、10Bを備える場合の駆動装置6Sの処理フローは、図16に示す処理フローからステップS37が省略される。半導体減流装置10Dに代えて半導体減流装置10Cを備える場合の駆動装置6Sの処理フローは、図16に示す処理フローと同様である。
次に、架線電流の急変時に、アクティブフィルタへのサージ電流流入を回避するためにアクティブフィルタの動作を停止させた後、速やかにアクティブフィルタを動作再開させる実施例7について、図17および図18を用いて説明する。
先ず、実施例7における鉄道車両(電気車)の駆動装置7Sの構成について説明する。図17は、実施例7における鉄道車両(電気車)の駆動装置7Sの構成の一例を示す図である。
図17に示すように、駆動装置7Sは、実施例3の駆動装置3Sと比較して、第二の電力変換装置14(AF:アクティブフィルタ)の出力端子を2次巻線52から切り離す交流スイッチ53(ACSW)が設けられている点が異なる。架線電流Isの過電流発生時に交流スイッチ53をオフすることでサージの侵入経路を遮断する。
半導体減流装置10Bは、通常運転時の電流通流動作時には、スイッチング素子Q7(SHBTr1)、スイッチング素子Q8(SHBTr2)を共にオン状態とし、スイッチング素子Q7経由で架線電流を通流する。
また半導体減流装置10Bは、事故電流が発生した場合には、スイッチング素子Q7、スイッチング素子Q8を共にオフ状態とすることで架線電流を抵抗器101に転流する。架線電流は抵抗器101を介して流れるようになるため、事故電流の増加は止まり、減少に転じる。遮断器11の能力で十分に電流遮断可能なレベルまで架線電流が減衰した後に遮断器11をオフすることで、架線電流が遮断される。
第二の電力変換装置14は、図示しない電流センサを用いて架線電流に含まれる帰線電流ノイズを検出し、これを打ち消すために必要な出力を演算し、この演算結果に基づく出力を、交流スイッチ53を介して、主回路のフィルタリアクトル9(FL1)に設けた2次巻線52(FL2)へ供給するノイズ低減動作を行う。第二の電力変換装置14の出力は、フィルタリアクトル9と2次巻線52間の磁気結合を介して架線電流の通過経路に注入され、帰線電流ノイズを低減する。
架線電流の通過経路と第二の電力変換装置14の出力端子は、フィルタリアクトル9と2次巻線52間の磁気結合を介して結合されている。このため架線電流が急峻に変化すると、フィルタリアクトル9の通過電流が急峻に変化するため、第二の電力変換装置14の出力端子にサージ電圧・電流が流れ込み、第二の電力変換装置14の回路を破損する可能性がある。このため、第二の電力変換装置14へのサージ侵入を低減する手段が必要である。
サージの抑制には、複数の手段が考えられる。第二の電力変換装置14側で可能な対策は、次の手段が挙げられる。第一の手段は、第二の電力変換装置14で使用する素子の定格を大きくして耐電圧や耐電流特性を増強することである。第二の手段は、図17に示すように、第二の電力変換装置14の出力端子を2次巻線52から切り離す交流スイッチ53(ACSW)を設け、過電流発生時に交流スイッチ53をオフすることでサージの侵入経路を遮断する。
なお、交流スイッチ53は、アクティブフィルタ減流抵抗54(AFDRe)が並列接続されることが望ましい。アクティブフィルタ減流抵抗54を接続することにより、交流スイッチ53がオフの状態で架線電流が急峻に変化した場合に、交流スイッチ53の両端に印可される電圧を抑制することができ、交流スイッチ53に必要な耐電圧仕様を軽減できる。
アクティブフィルタ減流抵抗54の抵抗値が小さいほど交流スイッチ53の両端に印可される電圧が低減されるが、第二の電力変換装置14の出力端子に流入する電流値が大きくなり、交流スイッチ53のAF保護機能が低下する。このため、アクティブフィルタ減流抵抗54の抵抗値は、第二の電力変換装置14の過電流耐量と交流スイッチ53の過電圧耐量の両方を加味して決定する必要がある。
鉄道車両用の駆動装置は、通常動作時においても1000Aオーダーの架線電流が流れる大電流のシステムであるため、架線電流Isの時間傾き(dIs/dt)が大きい。このため、上述の第一の手段では、第二の電力変換装置14の素子定格増大に伴う質量・コストの上昇が大きく、現実的ではない。
また上述の第二の手段では、交流スイッチ53をオフしている期間中は、過電流から第二の電力変換装置14を保護できるものの、第二の電力変換装置14の本来の機能である帰線電流ノイズの低減が行えないという問題がある。帰線電流ノイズの強度を信号機器の妨害規定値以下に保つため、集電装置7から帰線までの電流経路が導通しているとき、つまり遮断器11と、半導体減流装置10Bを構成するスイッチング素子Q7との両方がオンしているときには、基本的に第二の電力変換装置14が動作している必要がある。やむを得ず第二の電力変換装置14の動作を一時的に停止する場合には、信号機器に影響を与えない時素の時間内に、第二の電力変換装置14の動作を再開する必要がある。
一方で主回路側のサージ抑制手段としては、半導体減流装置10Bを構成するスイッチング素子の動作シーケンスにより、架線電流Isの時間傾き(dIs/dt)を小さくすることができる。急峻な架線電流の変化を検知した場合に、スイッチング素子Q8がオンの状態でスイッチング素子Q7をオフし、架線電流を抵抗器102に転流することで、電流変化を抑制することができる。結果としてフィルタリアクトル9の電流変化が抑制されるため、第二の電力変換装置14に流入する突入電圧・電流の強度も抑制される。
なお、スイッチング素子Q7をチョッピング動作することで、抵抗器101、抵抗器102の並列合成抵抗と0Ωの中間の抵抗値を疑似的に作り出すことができる。架線電流の転流先の抵抗値を連続的に変化させることができ、スイッチング素子Q7オン時の架線電流の変動を抑制できる。抵抗器102への架線電流転流後にスイッチング素子Q7をオンすると、転流先の抵抗値が瞬間的に0Ωに変化するため、スイッチング素子Q7オンの瞬間に電流が急変し、第二の電力変換装置14へのサージ原因となるが、チョッピング動作の通流率を段階的に時間変化させることで転流先の抵抗値を連続的に変化させ、電流の急変が無くサージの抑制が可能である。
<架線電流の急変時の制御>
次に、実施例7における、架線電流の急変時に、第二の電力変換装置14へのサージ電流流入を回避するために第二の電力変換装置14の動作を停止させた後、速やかに第二の電力変換装置14を動作再開させる処理について、図18を用いて説明する。図18は、実施例7における駆動装置7Sを構成する各機器の制御(駆動装置7Sのインバータ動作中の主回路入力電流(架線電流Is)の急変発生時)を表すタイミングチャートの一例を示す図である。なお図示の横軸のtは時刻を表わす。
図18に示すように、定常的な力行動作中(t10〜t11)では架線電流Is>0であり、スイッチング素子Q7(SHBTr1)およびスイッチング素子Q8(SHBTr2)は共にオンである。t10〜t11において、第二の電力変換装置14は、信号機器に影響を与えないように帰線電流ノイズを低減するために動作しており、交流スイッチ53(ACSW)はオン、第二の電力変換装置14の出力を示すAF制御ゲインは100%である。
ここで、架線電圧の急変等が発生(t11)すると、架線電流Isが大きな時間変化(dIs/dt)で増加する(t11〜t12)。この架線電流Isが所定閾値を超える時間傾きで時間変化したことが検知されると(t12)、交流スイッチ53(ACSW)がオフにされることで第二の電力変換装置14への突入電流経路が遮断され、第二の電力変換装置14のAF制御ゲインが0%にされることで第二の電力変換装置14は動作を停止し保護される。同時にスイッチング素子Q7(SHBTr1)がオフにされ、架線電流Isを抵抗器102に転流する。ここで、抵抗値の大小関係は抵抗器101>抵抗器102であるため、転流される架線電流Isは抵抗器102を優先的に流れる。架線電流Isは、抵抗器102を介して流れるため、架線電流Isの時間傾きは所定範囲内へ収束してゆく。
第二の電力変換装置14を動作させても第二の電力変換装置14が破損しないレベルの範囲内まで架線電流Isの時間傾きが収束したことが検知されると(t13)、交流スイッチ53(ACSW)がオンにされる。t13以降、第二の電力変換装置14のAF制御ゲインが0%から徐々に上げられ、100%まで復帰する。
t13からさらに時間経過し、スイッチング素子Q7(SHBTr1)をチョッピング動作させても第二の電力変換装置14が破損しないレベルの範囲内まで架線電流Isの時間傾きが収束すると(t14)、スイッチング素子Q7(SHBTr1)のチョッピング動作を行う(t14〜t15)。チョッピング動作開始後、スイッチング素子Q7(SHBTr1)の通流率は徐々に上昇され、100%つまり定常的なオン状態まで復帰される。
スイッチング素子Q7(SHBTr1)が定常オン状態に戻ると(t16)、駆動装置7Sは、t10と同一の状態に復帰したことになり、通常力行状態に復帰する。なお、スイッチング素子Q7(SHBTr1)が定常オン状態に戻るタイミングは、第二の電力変換装置14のAF出力ゲインが信号機器に影響を与えないように帰線電流ノイズを低減するために必要な値まで上昇したタイミングと同一であっても良い。
なお、図18に示すシーケンスにおいて、架線電流Isの時間傾き(dIs/dt)が所定閾値を超過したことが検知されると(t13)、直ちにチョッピング動作を行わず、抵抗器102への転流を先に行うのは、時間傾き(dIs/dt)が所定範囲内へ収束する前にチョッピング動作を行うと、チョッピング周波数の大振幅電流振動が架線電流Isとして流れ、第二の電力変換装置14を破損させる可能性があるためである。抵抗転流により架線電流Isの時間変化が十分に収束してからスイッチング素子Q7(SHBTr1)のチョッピング動作を行うことで、第二の電力変換装置14を破損させることなく、滑らかにスイッチング素子Q7(SHBTr1)を定常オン状態に戻すことができる。
本実施例によれば、架線電流急変を検知した際に半導体減流装置10B(SHB)を動作状態とし第二の電力変換装置14(AF)を停止状態としてから、第二の電力変換装置14の動作再開までの時間を、信号機器が誤動作を起こさない時素以上とすることなく、架線電流変動による第二の電力変換装置14へのサージ電流流入を抑制することができる。
実施例7では、交流スイッチ53(ACSW)オンおよびAF制御ゲインの立ち上げ開始後に、スイッチング素子Q7(SHBTr1)のチョッピング動作を開始するとしたが、これに限らず、スイッチング素子Q7(SHBTr1)のチョッピング動作を開始後に、交流スイッチ53(ACSW)のオンおよびAF制御ゲインの立ち上げ開始を行ってもよい。この場合を実施例8として、図19を参照して説明する。
図19は、実施例8における駆動装置7Sを構成する各機器の制御(駆動装置7Sのインバータ動作中の主回路入力電流(架線電流Is)に急変発生時)を表すタイミングチャートの一例を示す図である。実施例8では、実施例7との相違点を主に説明し、実施例7との共通点については説明を省略または簡略する。なお、実施例8の駆動装置の構成は、実施例7の駆動装置7Sと同様である。
架線電流Isの急峻な時間傾き(dIs/dt)が発生し(t31)、この架線電流Isの時間傾きが所定閾値を超過したことが検知されると(t32)、交流スイッチ53(ACSW)がオフ、第二の電力変換装置14のAF制御ゲインが0%にされることで、第二の電力変換装置14が保護される。同時にスイッチング素子Q7(SHBTr1)がオフにされ、架線電流Isを抵抗器102に転流する。
架線電流Isの時間傾きが、第二の電力変換装置14の動作を再開できる所定範囲内に収束していないが、スイッチング素子Q7(SHBTr1)のチョッピング動作を行っても第二の電力変換装置14に影響を与えないレベルの範囲内まで収束すると、スイッチング素子Q7(SHBTr1)のチョッピング動作を開始する(t33)。第二の電力変換装置14の動作を再開しても第二の電力変換装置14に損傷を与えないレベルの範囲内まで架線電流Isの時間傾きが収束すると(t34)、交流スイッチ53(ACSW)をオンし、AF制御ゲインを100%に向かって徐々に戻してゆく。AF制御ゲインが100%まで上昇かつスイッチング素子Q7(SHBTr1)のチョッピング動作が終了し定常的なオン状態となった時点で(t35)、駆動装置7Sは、t30と同一の状態に復帰となる。
スイッチング素子Q7(SHBTr1)のチョッピング動作は、半導体減流装置10B(SHB)の両端から見た抵抗値を、スイッチング素子Q7(SHBTr1)オフにより架線電流Isを転流した抵抗器の抵抗値と0Ωとの間で連続的に変化させる効果を持つ。そのため、チョッピング動作中は、半導体減流装置10B(SHB)の結線位置に等価的に抵抗が挿入されている形となる。スイッチング素子Q7(SHBTr1)の通流率が高い領域では、半導体減流装置10B(SHB)の等価的な抵抗値が下がるが、信号機器の時素よりも短くなる周期となるようにチョッピングの周波数を設定することで、信号機器への妨害を防止することができる。以上から、本シーケンスの通り、第二の電力変換装置14(AF)がオンになる前にスイッチング素子Q7(SHBTr1)のチョッピング動作を行っても問題無い。
実施例2、3、7、8における半導体減流装置の構成方法の変形例として、図20に示す半導体減流装置10Iの構成(第2の構成)が考えられる。図20は、実施例9における鉄道車両(電気車)の駆動装置9Sの構成の一例を示す図である。
半導体減流装置10Iは、図7、図8、図17に記載の半導体減流装置10Bの構成(第1の構成)との差異として、スイッチング素子Q7(SHBTr1)と並列に接続されているスイッチング素子Q8(SHBTr2)と2つの抵抗器の配置が異なる。第1の構成では、スイッチング素子Q8(SHBTr2)による抵抗器101、102の合成抵抗の切り替えが抵抗の並列接続により行われるのに対し、第2の構成では、直列接続された2つの抵抗器101a、102aのうち1つの抵抗器101aの両端を短絡することで抵抗値の切り替えを行う。
図20の形態においても、実施例7〜8で示したタイミングチャート(図18、図19参照)の通り各要素を動作させることで、実施例7〜8で述べた同様の効果が得られる。
上記の実施例1〜9の駆動装置1S〜7S、9Sを電気車に適用することで、電気車における事故電流や共振電流を抑制することが可能となる。また、上記の実施例1〜9の駆動装置1S〜7S、9Sを自動車や建機などの車両や、エレベータ装置に適用した場合にも、同様の効果を得ることができる。
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例を含む。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換・統合・分散をすることが可能である。また実施例で示した各処理は、処理効率または実装効率に基づいて適宜分散または統合してもよい。
1S,2S,3S,4S,5S,6S,7S,9S:駆動装置、1:架線、2:レール、5:電動機、6:電力変換装置、7:集電装置、8:車両、9:フィルタリアクトル、10,10B,10C,10D,10I:半導体減流装置、11:遮断器、12:電流検出手段、13:電圧検出手段、14:第二の電力変換装置、15:制御論理部、16:電圧検出手段、52:2次巻線、53:交流スイッチ、54:アクティブフィルタ減流抵抗、100:電気車、101,101a,102,102a,103,104:抵抗器、105:キャパシタ

Claims (19)

  1. 架線から供給された直流電力を交流電力に変換するインバータと、
    前記インバータの前記架線側に接続されたリアクトルと、
    前記リアクトルの前記架線側に接続された半導体素子と、
    前記半導体素子に並列に接続された抵抗器と、
    前記半導体素子の前記架線側に接続され、前記直流電力を遮断する遮断器と、
    前記架線の架線電圧を検出する電圧検出手段と、
    前記架線を流れる架線電流を検出する電流検出手段と、
    前記電圧検出手段により検出された前記架線電圧、または、前記電流検出手段により検出された前記架線電流に基づいて、前記半導体素子をスイッチング制御してチョッピング動作させる第一の制御と、前記半導体素子をオフ制御した後に前記遮断器を解放させて前記直流電力を遮断する第二の制御とを行う制御部と
    を有することを特徴とする電力変換装置。
  2. 前記電圧検出手段および前記電流検出手段は、前記遮断器の前記架線側に接続されている
    ことを特徴とする請求項1の電力変換装置。
  3. 前記制御部は、
    前記電圧検出手段により検出された前記架線電圧の基準電圧に対する偏差に基づいて、前記第一の制御と前記第二の制御とを行う
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の電力変換装置。
  4. 前記制御部は、
    前記電流検出手段により検出された前記架線電流もしくは該架線電流の変化率に基づいて、前記第一の制御と前記第二の制御とを行う
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の電力変換装置。
  5. 前記半導体素子に対して並列に接続され、第二の半導体素子と第二の抵抗器とが直列に接続された回路をさらに有し、
    前記制御部は、
    前記第二の半導体素子をオン制御した状態で前記第一の制御および前記第二の制御を行う
    ことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の電力変換装置。
  6. 前記リアクトルの二次側に接続されている第二の電力変換装置をさらに有し、
    前記第一の制御の際、前記第二の電力変換装置の動作を停止させる
    ことを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の電力変換装置。
  7. 前記リアクトルの二次側に接続されている第二の電力変換装置をさらに有し、
    前記第一の制御および前記第二の制御の際、前記半導体素子のチョッピング動作に応じて前記リアクトルの一次側に現れる電位変動を抑制することで、前記第二の電力変換装置の動作を継続させる
    ことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の電力変換装置。
  8. 前記半導体素子に対して並列に接続され、第二の半導体素子と第二の抵抗器とが直列に接続された回路と、前記半導体素子に対して並列に接続され、第三の半導体素子と第三の抵抗器とが直列に接続された回路と、をさらに有し、
    前記制御部は、
    前記第二の半導体素子と前記第三の半導体素子をオン制御した状態で前記第一の制御を行い、
    前記第二の半導体素子をオン制御し、前記第三の半導体素子をオフ制御した状態で、前記第二の制御を行う
    ことを特徴とする請求項7に記載の電力変換装置。
  9. 前記第三の抵抗器の抵抗値が、前記抵抗器と前記第二の抵抗器の各抵抗値よりも小さい
    ことを特徴とする請求項8に記載の電力変換装置。
  10. 前記半導体素子に対して並列に接続され、第二の半導体素子と第二の抵抗器とが直列に接続された回路をさらに有し、
    前記制御部は、
    前記第二の半導体素子をオン制御した状態で前記第一の制御を行い、前記第二の半導体素子をオフ制御した状態で前記第二の制御を行う
    ことを特徴とする請求項7に記載の電力変換装置。
  11. 前記抵抗器の抵抗値は、前記インバータを駆動するためにキャパシタを初期充電する際の所定の充電抵抗値よりも小さく、
    前記第二の抵抗器の抵抗値は、前記抵抗器の抵抗値よりも小さい
    ことを特徴とする請求項10に記載の電力変換装置。
  12. 前記リアクトルの二次側電圧検出手段をさらに有し、
    前記制御部は、
    前記二次側電圧検出手段により検出された電圧に基づいて、前記第一の制御と前記第二の制御を行う
    ことを特徴とする請求項7〜11の何れか1項に記載の電力変換装置。
  13. 前記半導体素子のスイッチング動作におけるスイッチング周波数は、前記直流電力を生成する商用電源の電源周波数の倍数の周波数である
    ことを特徴とする請求項1〜12の何れか1項に記載の電力変換装置。
  14. 前記リアクトルの二次側に接続されている第二の電力変換装置をさらに有し、
    前記インバータの動作中において前記架線電流が所定閾値を超える時間傾きで変化した場合に、
    前記半導体素子をオフ状態、かつ、前記第二の電力変換装置を停止状態にし、
    前記半導体素子がオフ状態、かつ、前記第二の電力変換装置の停止状態から、前記第二の電力変換装置の動作を開始後、前記半導体素子を定常的なオン状態にする
    ことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の電力変換装置。
  15. 前記半導体素子がオフ状態、かつ、前記第二の電力変換装置の停止状態から、前記第二の電力変換装置の動作を開始後、前記半導体素子の通流率を段階的に時間変化させて増加させるチョッピング動作を行ったのちに前記半導体素子を定常的なオン状態にする
    ことを特徴とする請求項14に記載の電力変換装置。
  16. 前記半導体素子がオフ状態、かつ、前記電力変換装置の停止状態から、前記半導体素子の通流率を段階的に時間変化させて増加させるチョッピング動作を開始後、前記電力変換装置の動作を開始したのちに前記半導体素子を定常的なオン状態にする
    ことを特徴とする請求項14または15に記載の電力変換装置。
  17. 前記第二の電力変換装置の動作を開始後、信号機器に影響を与えない程度に帰線電流ノイズを低減するために必要な値まで前記第二の電力変換装置の出力制御ゲインが上昇したタイミングで、前記半導体素子を定常的なオン状態にする
    ことを特徴とする請求項14〜16の何れか1項に記載の電力変換装置。
  18. 前記半導体素子を通流率を段階的に時間変化させて増加させるチョッピング動作させても前記第二の電力変換装置が破損しない範囲に前記架線電流の時間傾きが収束したタイミングで、前記半導体素子のチョッピング動作を開始する
    ことを特徴とする請求項14〜17の何れか1項に記載の電力変換装置。
  19. 電力変換装置における電流制御方法であって、
    前記電力変換装置は、
    架線から供給された直流電力を交流電力に変換するインバータと、
    前記インバータの前記架線側に接続されたリアクトルと、
    前記リアクトルの前記架線側に接続された半導体素子と、
    前記半導体素子に並列に接続された抵抗器と、
    前記半導体素子の前記架線側に接続され、前記直流電力を遮断する遮断器と、
    前記架線の架線電圧を検出する電圧検出手段と、
    前記架線を流れる架線電流を検出する電流検出手段と、
    制御部と
    を有し、
    前記制御部が、
    前記電圧検出手段により検出された前記架線電圧、または、前記電流検出手段により検出された前記架線電流に基づいて、前記半導体素子をスイッチング制御してチョッピング動作させる第一の制御と、前記半導体素子をオフ制御した後に前記遮断器を解放させて前記直流電力を遮断する第二の制御とを行う
    ことを特徴とする電流制御方法。
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