JP2020104786A - 挙動情報推定方法及び挙動情報推定プログラム - Google Patents

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Abstract

【課題】リーン乗物に対し取り付けられた計測装置を用いて、乗物座標系に従う挙動情報を精度良く取得する。【解決手段】挙動情報推定方法は、傾斜状態で走行可能でかつ、傾斜状態で乗物を自立静止するためのスタンド部材を備える乗物に対して取り付けられる3軸加速度センサを用いて、乗物の挙動情報を推定する挙動情報推定方法であって、乗物が直立したまま静止した直立静止状態と、スタンド部材が用いられて乗物が傾斜したまま静止した傾斜静止状態の2つの状態において、3軸加速度センサにより加速度計測値を取得する静止計測値取得工程と、直立静止状態及び傾斜静止状態の加速度計測値に基づいて、乗物の走行状態における3軸加速度センサの加速度計測値を、乗物に対して予め規定される乗物座標系に従う値に変換して挙動情報を推定する挙動推定工程と、を有する。【選択図】図3

Description

本発明は、自動二輪車等の傾斜状態で走行可能な乗物の挙動を推定するための挙動情報推定方法及び挙動情報推定プログラムに関する。
自動二輪車等の傾斜状態で走行可能な乗物、いわゆるリーン乗物について、乗物座標系に従う挙動情報を測定するための方法が種々提案されている。例えば、特許文献1には、自動二輪車のバンク角を測定するために、自動二輪車に装着されるジャイロセンサを用いることが記載されている。
特開2017−65307号公報
車体挙動を測定するための計測装置で得た情報を車体の挙動情報として利用するためには、車体に対する計測装置の相対位置を精度良く把握することが求められる。言い換えると、車体に対する計測装置の取付位置が所定位置からずれると、推定精度が低下してしまう。また車体に予め搭載されているセンサを使用する代わりに、後付けで車体に取り付けた外部装置を使用することも考えられる。この場合、外部装置側で得た情報を車体の挙動情報として利用するためには、車体とそれに取り付けられる外部装置との相対位置を外部装置側で精度良く把握することが求められる。
そこで、本発明は、リーン乗物に対し取り付けられた計測装置を用いて、乗物座標系に従う挙動情報を精度良く取得することができる挙動情報推定方法及び挙動情報推定プログラムを提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明に係る挙動情報推定方法は、傾斜状態で走行可能でかつ、傾斜状態で乗物を自立静止するためのスタンド部材を備える乗物に対して取り付けられる3軸加速度センサを用いて、前記乗物の挙動情報を推定する挙動情報推定方法であって、前記乗物が直立したまま静止した直立静止状態と、前記スタンド部材が用いられて前記乗物が傾斜したまま静止した傾斜静止状態の2つの状態において、前記3軸加速度センサにより加速度計測値を取得する静止計測値取得工程と、前記直立静止状態及び前記傾斜静止状態の前記加速度計測値に基づいて、前記乗物の走行状態における前記3軸加速度センサの加速度計測値を、前記乗物に対して予め規定される乗物座標系に従う値に変換して前記挙動情報を推定する挙動推定工程と、を有する。
乗物の静止状態では、重力による力が加速度(力)として生じているだけである。このことから、直立静止状態の加速度計測値に基づくことで、乗物の直立状態における重力方向(重力ベクトル)、すなわち乗物上下軸の向きを把握することができる。また乗物の傾斜静止状態は、直立静止状態に対して、乗物前後軸回りに角変位した乗物姿勢である。言い換えると傾斜静止状態の乗物前後軸の向きは、直立静止状態の乗物前後軸の向きと同じとなる。このことから直立静止状態の乗物上下軸の向きと、乗物前後軸回りに角変位した傾斜静止状態の乗物上下軸の向きとに基づいて、幾何学的演算によって、乗物前後軸の向き、乗物左右軸の向きを把握することができる。このようにして乗物座標系(乗物前後軸、乗物左右軸、乗物上下軸)を把握できる。また、乗物の走行状態における加速度計測値を乗物座標系に従った値に変換して、走行時の乗物の挙動情報を得ることができる。
直立静止状態では、乗物の自重が乗物の底面で支えられるため、操作者が乗物の自重を支える必要がなく、静止した状態を安定して保つことができる。またスタンド部材を用いた傾斜静止状態では、操作者が乗物を支える必要がなく、静止した状態を安定して保つことができる。このように乗物の静止状態の加速度計測値を取得する際に、操作者の負担を軽減するとともに、乗物を安定して静止させた状態で加速度計測値を取得でき、容易に且つ精度よく、挙動情報を得ることができる。
また、乗物に対する3軸加速度センサの取付位置が予め定まっていない場合や、取付位置が予め定まっている場合でも車体に対する3軸加速度センサの位置や姿勢がずれる場合がある。このような場合でも、静止計測値取得工程を経ることで、車体に対する3軸加速度センサの現在の位置や姿勢を精度良く把握できるため、精度よく挙動情報を得ることができる。
また、上記の挙動情報推定方法において、前記乗物座標系は、互いに直交する前記乗物の前後軸、左右軸及び上下軸からなり、前記3軸加速度センサには、互いに直交するセンサ第1軸、センサ第2軸及びセンサ第3軸からなるセンサ座標系が予め規定され、前記3軸加速度センサは、前記センサ座標系に従った3軸方向の加速度をそれぞれ計測し、前記挙動推定工程は、前記静止計測値取得工程で計測される前記加速度計測値に基づいて、前記センサ座標系を前記乗物座標系に変換する座標変換規則を導出し、記憶する変換規則導出段階と、前記座標変換規則に基づいて、前記乗物の走行状態における前記3軸加速度センサの加速度計測値を前記乗物座標系に従う値に変換する変換段階と、を含んでもよい。この方法によれば、座標変換規則を導出することで、センサ座標系から乗物座標系への変換を数値処理装置を用いて実現することができる。また、座標変換規則を記憶することで、走行のたびに静止計測値取得工程を経る必要がなく、利便性を向上させることができる。
また、上記の挙動情報推定方法において、前記静止計測値取得工程では、前記直立静止状態及び前記傾斜静止状態の各々において、予め定める計測時間にわたって計測される複数の前記加速度計測値を取得し、前記挙動推定工程では、前記直立静止状態及び前記傾斜静止状態の各々の前記複数の加速度計測値に基づいて、前記乗物の走行状態における前記3軸加速度センサの加速度計測値を前記乗物座標系に従う値に変換してもよい。この方法によれば、静止計測値取得工程において予め定める計測時間にわたって計測された複数の加速度計測値に基づいて、走行状態における加速度計測値の変換を行なうため、ノイズや振動などの影響を抑えることができ、挙動情報の推定精度を向上することができる。
また、上記の挙動情報推定方法において、前記静止計測値取得工程では、前記計測時間にわたって計測された前記複数の加速度計測値のばらつき度合が所定の設定値より大きかった場合、新たに予め定める計測時間にわたって計測された複数の加速度計測値を取得してもよい。この方法によれば、挙動情報の推定精度を向上することができる。
また、上記の挙動情報推定方法において、前記静止計測値取得工程は、前記直立静止状態及び前記傾斜静止状態の各々における前記加速度計測値の取得が正常に完了した場合に、前記加速度計測値の取得の完了を報知する報知段階を含んでもよい。この方法によれば、加速度計測値の取得が完了した後の動作への移行を操作者に判断させやすくすることができる。例えば直立静止状態から傾斜静止状態への移行時期を操作者に判断させやすくして、利便性を向上できる。
また、上記の挙動情報推定方法において、前記静止計測値取得工程では、操作者による取得指示があってから予め定める待機時間経過後に計測される前記3軸加速度センサ計測値を取得してもよい。この方法によれば、乗物に対する3軸加速度センサの取り付けや操作者による取得指示のための操作に伴う振動の影響を抑制でき、挙動情報の推定精度を向上することができる。
また、上記の挙動情報推定方法において、前記静止計測値取得工程は、前記乗物が前記直立静止状態及び前記傾斜静止状態のいずれかの状態をとるよう操作者に対して指示する表示画面を表示装置に表示する指示段階を含んでもよい。この方法によれば、操作者に対して静止計測値取得工程の計測に求められる状態に乗物を操作するよう誘導でき、これにより、静止計測値取得工程を円滑に進めることができる。
また、上記の挙動情報推定方法において、前記3軸加速度センサには、互いに直交するセンサ第1軸、センサ第2軸及びセンサ第3軸からなるセンサ座標系が予め規定され、前記3軸加速度センサは、前記センサ座標系における前記センサ第1軸、前記センサ第2軸及び前記センサ第3軸の各々の方向の加速度を計測するとともに、前記センサ第1軸、前記センサ第2軸及び前記センサ第3軸の各々の回りの角速度を計測するように構成されてもよい。この方法によれば、走行状態における加速度計測値と同様に、走行状態における角速度計測値も乗物座標系に従う値に変換できる。これにより、走行状態における乗物の姿勢変化を検出し易くすることができる。
また、上記の挙動情報推定方法において、前記3軸加速度センサは、装着者によって姿勢及び位置の少なくともいずれかかが選択可能に、前記乗物に着脱可能に構成されていてもよい。この方法によれば、3軸加速度センサを操作者の好みの位置及び/又は姿勢で乗物に取り付けることができる。
また、本発明に係る挙動情報推定プログラムは、傾斜状態で走行可能な乗物に対して取り付けられる3軸加速度センサを用いて、前記乗物の挙動情報を推定する挙動情報推定プログラムであって、コンピュータを、前記乗物が直立したまま静止した直立静止状態と、前記乗物が傾斜したまま静止した傾斜静止状態の2つの状態において、前記3軸加速度センサにより加速度計測値を取得する静止計測値取得部、及び、前記直立静止状態及び前記傾斜静止状態の前記加速度計測値に基づいて、前記乗物の走行状態における前記3軸加速度センサの加速度計測値を、前記乗物に対して予め規定される乗物座標系に従う値に変換して前記挙動情報を推定する挙動推定部、として機能させる。なお、本発明は挙動情報推定プログラムを記録した記録可能媒体でもよい。
本発明によれば、リーン乗物に対し取り付けられた計測装置を用いて、乗物座標系に従う挙動情報を精度良く取得することができる。
一実施形態に係る挙動情報推定方法を実行する挙動情報推定システムの全体図である。 図1の挙動情報推定システムの携帯端末の構成を示すブロック図である。 一実施形態に係る挙動情報推定方法の流れの一例を示すフローチャートである。 携帯端末のスクリーンに表示された直立計測画面の一例を示す図である。 携帯端末のスクリーンに表示された傾斜計測画面の一例を示す図である。
以下、図面を参照して実施形態に係る挙動情報推定方法を説明する。本実施形態に係る挙動情報推定方法は、リーン乗物の挙動を推定するための方法である。
図1は、実施形態に係る挙動情報推定方法を実行する挙動情報推定システム1の概略全体図である。図1に示すように、挙動情報推定システム1は、リーン乗物である自動二輪車2と、自動二輪車2に対して取り付けた携帯端末(例えば、多機能携帯電話(スマートフォン))20とを含む。また、図2は、挙動情報推定システム1の一部として機能する携帯端末20の構成を示すブロック図である。図2に示すように、携帯端末20には、加速度センサ25及び角速度センサ26などの計測装置が内蔵されている。挙動情報推定システム1は、携帯端末20に内蔵されたこれらの計測装置を用いて、自動二輪車2の挙動情報を推定できるようにするものである。
なお、挙動情報推定システム1の適用対象となる乗物は、傾斜(リーン)状態で走行可能な乗物であり、車体を左右方向に傾斜させて旋回するリーン車両である。リーン車両は、運転者と乗物とを合わせた移動体全体が遠心力と釣り合う傾斜角で走行することで、車体傾斜状態を維持した旋回走行が可能である。自動二輪車2は、そのリーン車両の一例である。
また、以下で述べる方向は、自動二輪車2に乗車した運転者から見た方向である。車長方向は前後方向に対応し、車幅方向は左右方向に対応する。また、以下の説明では、便宜上、携帯端末20を操作する操作者と自動二輪車2の運転者とを特に区別せずに、いずれも「ユーザ」と呼ぶこととする。ただし、携帯端末20を操作する操作者と自動二輪車2の運転者とは、互いに同一人物であってもよいし、異なる人物であってもよい。
図1に概略的に示されているように、自動二輪車2は、従動輪である前輪3と、駆動輪である後輪4とを備える。自動二輪車2は、ユーザが騎乗可能な車体5を備えており、車体5は、前輪3を操舵するステアリング軸6を回転自在に支持するヘッドパイプ7と、ヘッドパイプ7から後方に延びるフレーム8とを有する。フレーム8には、後輪4を駆動する駆動源として、エンジン(図示略)が搭載されている。
車体5の左下部には、自動二輪車2の駐車時に当該自動二輪車2を支えるスタンド部材(サイドスタンド)9が設けられている。スタンド部材9を下方に揺動すると、スタンド部材9及び前後輪3,4の3点で接地し、車体5が左傾起立する。これによって、車体5は、スタンド部材9によって、直立状態に対して前後軸回りに角変位した傾斜状態を維持した状態で自立静止することが可能となる。
ヘッドパイプ7に支持されたステアリング軸6には、左右方向へ延びるバー型のハンドル10が接続されている。ハンドル10の左側部分に、上述した携帯端末20を保持可能な端末ホルダ11が取り付けられている。端末ホルダ11は、携帯端末20を保持することで、車体5に対して携帯端末20の位置及び姿勢を一定に維持する。端末ホルダ11は、自動二輪車2のハンドル10における任意に選択された位置に着脱可能に構成されている。例えば、端末ホルダ11は、ハンドル10の左側部分ではなく右側部分に着脱することも可能である。
また、本実施例では、端末ホルダ11は、ハンドル10に対する任意に選択した姿勢をとることができるように構成されている。例えば端末ホルダ11は、ハンドル10を保持するマウントと、マウントから延びるアームとを有してもよく、このアームがマウントに対し所定軸回りに回転可能に構成されていてもよいし、アームの先端部がアーム延在方向に対して携帯端末20の主面の角度を調整可能に構成されていてもよい。すなわち、ハンドル10における端末ホルダ11の取り付け位置が同じでも、端末ホルダ11の姿勢を任意に変更して、端末ホルダ11に保持された携帯端末20の向きを変更することが可能となっている。このように端末ホルダ11によって、携帯端末20は、運転者の好み・体格・運転姿勢に応じて、車体5に対する位置及び姿勢(向き)が選択可能に取り付けられる。
自動二輪車2には、乗物座標系Bが予め規定されている。乗物座標系Bは、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸からなる。X軸は、車体5に予め設定される乗物基準位置を通過して自動二輪車2の前後方向に平行であり、本願明細書において前後軸とも称される。Y軸は、前記乗物基準位置を通過して自動二輪車2の左右方向に平行であり、本願明細書において左右軸とも称される。Z軸は、前記乗物基準位置を通過して自動二輪車2の上下方向に平行であり、本願明細書において上下軸とも称される。X軸、Y軸、Z軸は、乗物基準位置で互いに交差する。すなわち、乗物基準位置は、乗物座標系Bの原点である。例えば、乗物基準位置は、車体5の重心位置に設定される。
詳細には、車体5が非傾斜状態、言い換えると、車体5の車軸が水平方向に延びる直立状態にあり、かつ水平面に平行な路面に配置された状態を標準状態とする。X軸は、車体5が標準状態にある場合に、前後方向に平行に延びる。またY軸は、車体5が標準状態にある場合に、X軸に対して、直交して延びるとともに、左右方向に平行に延びる。またZ軸は、車体5が標準状態にある場合に、X軸およびY軸の両方に対して、直交して延びるとともに、上下方向に平行に延びる。
例えば本実施形態では、車体5が標準状態にあるときのZ軸の正の向きは、乗物基準位置から鉛直上向きとなる向きに一致する。またX軸の正の向きは、乗物基準位置から前方に向かう向きと一致する。またY軸の正の向きは、乗物基準位置からスタンド部材9側となる左方に向かう向きと一致する。
乗物基準位置は、車体5に固定して設定されるため、車体5外に設定される絶対座標系に対して、車体5の移動に伴って車体5とともに移動する。また乗物座標系Bは、車体5の姿勢変化、例えばリーン走行によって、絶対座標系に対して、車体5とともに姿勢(向き)が変化する。例えば、自動二輪車2が車体5を前後軸回りに傾斜した状態で走行又は停止している場合、乗物座標系BのZ軸も鉛直上向き方向に対し傾斜している。
また、携帯端末20の加速度センサ25は、3軸加速度センサであり、加速度センサ25にはセンサ座標系Sが予め規定されている。センサ座標系Sは、互いに直交するx軸(センサ第1軸)、y軸(センサ第2軸)及びz軸(センサ第3軸)からなる。x軸、y軸、z軸は、加速度センサ25に予め設定されるセンサ基準位置をそれぞれ通過する。言い換えると、x軸、y軸、z軸は、センサ基準位置で互いに交差しており、センサ基準位置は、センサ座標系Sの原点である。例えばセンサ基準位置は、携帯端末20の重心位置に設定される。一例として携帯端末20が直方体板状に形成される場合には、z軸は、携帯端末20の厚み方向に平行に延びる。y軸は、携帯端末20の長手方向に延びる。x軸は、z軸及びy軸に直交して、携帯端末20の短手方向に平行に延びる。
センサ基準位置は、携帯端末20に固定して設定される。したがって乗物座標系Bに対して、センサ基準位置は、携帯端末20の取付位置に応じて変化する。同様に、乗物座標系Bに対して、センサ座標系Sは、携帯端末20の取付姿勢に応じて、その姿勢(向き)が変化する。
加速度センサ25は、センサ座標系Sに従った3軸方向の加速度をそれぞれ計測する。なお、加速度センサ25で計測される加速度は、力、すなわち加速度のほかに慣性力や重力(重力加速度)を含む量である。例えば加速度センサ25は、静止状態であっても重力加速度を計測する。また加速度センサ25は、自動二輪車2が旋回中である場合には、慣性力として遠心力を含んだ量を計測する。例えば、加速度センサ25は、センサに生じる力(加速度)を、3軸のそれぞれの向きの成分に分けた値をそれぞれ計測する。言い換えると、各軸ごとに計測した計測値のベクトル和をすることで、センサ基準位置に生じた力の大きさと向きを演算することができる。また加速度センサ25は、センサ基準位置から各軸に沿って予め定める一方に進む方向を正の向きとし、正の向きと反対に進む方向を負の向きとして計測する。
図2は、挙動情報推定システム1の一部として機能する携帯端末20の構成を示すブロック図である。携帯端末20は、運転者が携帯所有する多用途に利用可能な汎用装置であって、電話機能やインターネット接続機能など、本実施例における挙動情報推定とは異なる用途の機能も実現可能に設けられる。挙動情報推定に用いるためのプログラム(後述の挙動情報推定プログラム41)が記憶されることで、挙動情報推定システムの一部として用いることができる。
携帯端末20は、ハードウェア面において、CPU21、メモリ22、無線通信器23、スクリーン24、加速度センサ25、角速度センサ26、及び位置センサ27を備える。これら各構成物21,22,23,24,25,26,27が、バス28を介して相互にデータ伝送可能に接続されている。
CPU21は、携帯端末20の動作を制御する演算処理装置(Central Processing Unit)である。メモリ22は、携帯端末20を動作させるための各種プログラム及びデータを記憶する。メモリ22は、電源供給が停止されることで記憶する情報を消去する不揮発性メモリであるRAM(Random Access Memory)や、電源供給が停止されても情報記憶を維持する不揮発性メモリとして機能するROM(Read Only Memory)を含む。メモリ22には、挙動情報推定プログラム41、直立静止データ42、傾斜静止データ43、変換規則データ44、走行データ45及び変換済みデータ46が記憶される。例えば、挙動情報推定プログラム41は、ROMに記憶される。メモリ22に記憶されたこれらプログラム41及びデータ42〜46について、詳細は後述する。
無線通信器23は、無線通信によって公衆回線を介してインターネット上のサーバ(図示略)との間でデータ通信を行う。例えば、上述した挙動情報推定プログラム41は、無線通信器23を用いた無線通信によってメモリ22にダウンロードされる。無線通信器23は、車両に設けられる無線通信機と通信可能に構成されてもよい。この場合には、車体に設けられる車両制御装置、車両センサ装置とで相互にデータ通信可能となる。
本実施例では、スクリーン24は、表示部と入力部とを兼ねている。具体的に、スクリーン24は、半透過型のディスプレイ及びバックライトLED(表示部)と、ディスプレイ上に配設されたタッチパネル(入力部)とを含む。なお、他の例として端末装置20は、表示部と入力部とが別々に設けられてもよい。
加速度センサ25は、センサ座標系Sにおけるx軸、y軸、及びz軸の3軸方向のそれぞれに作用する加速度を検出する。角速度センサ(ジャイロセンサ)26は、センサ座標系Sにおけるx軸、y軸、及びz軸のそれぞれの軸回りの角速度を検出する。なお、3軸加速度センサ25と3軸角速度センサ26とは、6軸センサとして一体的に構成されていてもよい。位置センサ27は、GPS(Global Positioning System)などを用いて携帯端末20の現在位置を取得する。
また、図2には、携帯端末20の機能的構成も示されている。携帯端末20は、機能面において、インターフェース制御部31、計測値記憶部32、変換規則導出部33、変換部34、及び挙動推定部35を備える。これら機能部31〜35は、メモリ22に記憶されたアプリケーションプログラムである挙動情報推定プログラム41を、CPU21が実行することにより実現される。
インターフェース制御部31は、スクリーン24の表示画面を制御する。またインターフェース制御部31は、入力部に与えられるユーザ操作を判断することで、ユーザ指令を判断する。
計測値記憶部32は、ユーザの操作に応じて、加速度センサ25の計測値をメモリ22に記憶する。具体的には、計測値記憶部32は、自動二輪車2が直立したまま静止した状態(以下、「直立静止状態」と呼ぶ。)と、スタンド部材9が用いられて自動二輪車2が傾斜したまま静止した状態(以下、「傾斜静止状態」と呼ぶ。)との2つの状態における加速度センサ25の3軸方向の計測値をメモリ22にそれぞれ記憶する。
計測値記憶部32は、自動二輪車2の直立静止状態における加速度センサ25の計測値を、直立静止データ42としてメモリ22に記憶する。また、計測値記憶部32は、自動二輪車2の傾斜静止状態における加速度センサ25の計測値を、傾斜静止データ43としてメモリ22に記憶する。また、計測値記憶部32は、自動二輪車2の走行状態における加速度センサ25及び角速度センサ26の計測値を、走行データ45としてメモリ22に記憶する。
上述したように、加速度センサ25の計測値は、センサ座標系Sに従う計測値である。すなわち、直立静止データ42、傾斜静止データ43及び走行データ45は、いずれもセンサ座標系Sに従う計測データである。また、自動二輪車2が静止した状態では、加速度センサ25は、重力加速度を計測していることになる。直立静止データ42及び傾斜静止データ43の各々が含む3つの軸方向の加速度計測値は、それぞれ、センサ座標系Sが含む各軸方向の重力加速度ベクトルの成分に対応する。言い換えれば、直立静止データ42は、自動二輪車2が直立静止状態にあるときのセンサ座標系Sにおける重力加速度ベクトル情報であり、傾斜静止データ42は、自動二輪車2が傾斜静止状態にあるときのセンサ座標系Sにおける重力加速度ベクトル情報である。
変換規則導出部33は、センサ座標系Sに従う値を乗物座標系Bに従う値に変換するための変換規則を導出する。変換規則導出部33は、導出した変換規則を、変換規則データ44としてメモリ22に記憶する。
変換部34は、変換規則データ44を用いて、センサ座標系Sに従う走行データ45を乗物座標系Bに従う値に変換し、変換済みデータ46としてメモリ22に記憶する。すなわち、変換済みデータ46は、乗物座標系Bに従うデータである。
挙動推定部35は、変換済みデータ46を用いて、車体5の挙動を推定する。例えば挙動推定部35は、乗物座標系Bでの前後方向、上下方向、左右方向のそれぞれの加速度を推定し、推定結果を出力する。例えば乗物座標系Bにおけるそれら加速度と、位置センサ26で取得した位置情報とを関連づけして表示する。これによってユーザは、走行中に車体5に与えられた加速度を把握することができる。また挙動情報が記憶されたり、記憶情報を導出するための元情報(走行データ45および変換規則データ44)が記憶されたりすることで、走行終了後であっても、ユーザは、走行中に車体5に与えられた加速度を把握することができる。
(挙動情報推定方法の流れ)
次に、本実施形態に係る挙動情報推定方法の流れについて説明する。図3は、本実施形態に係る挙動情報推定方法の流れの一例を示すフローチャートである。
本実施形態に係る挙動情報推定方法は、静止計測値取得工程と挙動推定工程とを含む。静止計測値取得工程は、自動二輪車2の挙動推定に利用される走行データ45を取得する前の準備工程である。静止計測値取得工程では、自動二輪車2の直立静止状態及び傾斜静止状態の2つの状態のそれぞれにおいて、加速度センサ25で計測値を取得する。すなわち、静止計測値取得工程では、上述した直立静止データ42及び傾斜静止データ43を取得する。挙動推定工程では、静止計測値取得工程で取得した計測値に基づいて、自動二輪車2の走行状態における加速度センサ25のセンサ座標系Sに従う計測値を、乗物座標系Bに従う値に変換して挙動情報を推定する。
図3〜5を参照して、挙動情報推定方法の流れについて詳細に説明する。まず事前段階として、携帯端末20は、ユーザから挙動情報推定方法を実行するためのプログラムの記憶指令が与えられる。携帯端末20は、公衆回線などの無線接続またはUSBなどの有線接続によって、情報源から取得した挙動情報推定プログラム41をメモリ22に記憶する。このように挙動情報推定プログラム41の記憶が完了すると、静止計測工程へ進むことが可能となる。
例えば、ユーザが携帯端末20を操作して、アプリケーションプログラムである挙動情報推定プログラム41を実行することにより、CPU21は、保持確認工程であるステップS1に進み、挙動情報推定方法を開始する。ステップS1では、例えばCPU21は、インターフェース制御部31によって、端末ホルダ11によって車体5に保持することを促すための画面を表示させる。CPU21は、入力部に対するユーザによる端末ホルダ11への装着完了を伝える操作があると、携帯端末20が端末ホルダ11に装着されていることを判断して、直立静止計測工程であるステップS2に進む。なお、このような保持確認工程は、挙動推定方法に含まれない場合も本発明に含まれる。
[直立静止計測]
ステップS2では、CPU21は、インターフェース制御部31によって、直立静止操作を促すための直立計測画面をスクリーン24に表示する。
図4は、直立計測画面50の一例を示す図である。直立計測画面50は、車体5を直立させた状態で加速度センサ25による計測(以下、「直立静止計測」と呼ぶ。)を実行するようユーザに促す画面である。直立計測画面50は、指示領域51、車体画像52及び直立計測開始ボタン53を含む。
指示領域51は、正常に直立静止計測が実行されるようにユーザを誘導するための、ユーザに対する操作指示を表示する領域である。指示領域51には、図4に例示するように、ハンドル10を真っ直ぐ前に向けた状態を維持するようユーザに促す指示が表示される(指示段階)。これは、静止計測値取得工程では、センサ座標系Sと乗物座標系Bの位置関係が一定に保たれた状態で計測値を取得する必要があるためである。なお、指示領域51には、このような指示に加えて、センサ座標系Sと乗物座標系Bの位置関係の一定に保つために、車体5に対する携帯端末20の向きを変えないようユーザに促す指示が表示されてもよい。
車体画像52は、車体5を垂直に立てた状態の自動二輪車2の画像である。この車体画像52を見て、ユーザは、車体5をどのような状態にすべきかを直感的に認識することができる。
直立計測開始ボタン53は、ユーザ操作による直立静止データ42の取得指示を受け付けるソフトウェアボタンである。ユーザが直立計測開始ボタン53に対し操作入力することにより、計測値記憶部32は、自動二輪車2の直立静止状態における加速度センサ25の計測値を、直立静止データ42としてメモリ22に記憶する(図3:ステップS2)。すなわち、直立静止状態において加速度センサ25に設定される3軸方向の加速計測値をそれぞれ記憶する。
本実施形態では、計測値記憶部32は、ユーザによる直立静止データ42の取得指示の直後にすぐに直立静止データ42のための計測を開始せず、取得指示があってから予め定める待機時間(例えば5秒間)経過後に、直立静止データ42のための計測を開始する。このように取得指示と計測開始との間に待機時間を設けることで、例えば携帯端末20に対するユーザ操作などに起因する振動の影響を排除して、精度の良い加速度計測値を得ることができる。
また、本実施形態では、計測値記憶部32は、待機時間経過して計測を開始してから予め定める所定の計測時間(例えば5秒間)にわたって加速度センサ25が計測した複数の計測値(センサのアナログ出力をサンプリングしたデジタル値)の平均値を、直立静止データ42として記憶する。このように計測値の平均値を直立静止データ42とすることで、例えば車体5の過剰なゆれやエンジン振動などのノイズ影響を排除して、精度の良い加速度計測値を得ることができる。なお、計測値記憶部32は、複数の計測値の平均値を直立静止データ42として記憶することに限定されない。例えば複数の計測値の中央値(最頻値)を直立静止データ42としたり、周期的な振動成分を除去するフィルタ処理を行ったりした値を記憶してもよい。
このように、ユーザ操作による直立静止データ42の取得指示がされてから直立静止データ42のための加速度計測の終了までの時間(つまり、上述の待機時間と計測時間とを合算した時間)、車体5は直立静止状態に維持される必要がある。このため、図4に例示するように、指示領域51には、直立計測開始ボタン53を押した後、自動二輪車2の直立静止状態を所定の期間(例えば10秒間)維持するようユーザに促す指示が表示される。
また、本実施形態では、計測値記憶部32は、上記計測時間にわたって計測された複数の加速度計測値のばらつき度合が大きいときは、加速度計測のやり直しを行なう。具体的には、計測値記憶部32は、上記計測時間にわたって計測された複数の加速度計測値のばらつき度合が所定の設定値より大きかった場合、新たに予め定める計測時間にわたって計測された複数の加速度計測値を取得する。この場合、インターフェース制御部31は、加速度計測のやり直しを示したり、自動二輪車2の再静止をユーザに促す画面をスクリーン24に表示したりしてもよい。
[傾斜静止計測]
ステップS2において直立静止データ42の取得が完了すると、傾斜静止計測工程であるステップS3に進む。ステップS3では、CPU21は、インターフェース制御部31によって、スクリーン24に傾斜静止操作を促すための傾斜計測画面を表示する。
図5は、傾斜計測画面60の一例を示す図である。傾斜計測画面60は、スタンド部材9が用いられて自動二輪車2が傾斜静止された状態で加速度センサ25による計測(以下、「傾斜静止計測」と呼ぶ。)を実行するようユーザに促す画面である。傾斜計測画面60は、指示領域61、車体画像62及び傾斜計測開始ボタン63を含む。
指示領域61は、正常に傾斜静止計測が実行されるようにユーザを誘導するための、ユーザに対する操作指示を表示する領域である。指示領域61には、図5に例示するように、直立静止画面50と同様、ハンドル10を真っ直ぐ前に向けた状態を維持するようユーザに促す指示が表示される。
静止計測値取得工程では、センサ座標系Sを乗物座標系Bの関係が一定に保たれた状態で計測値を取得する必要がある。このため、図5に例示するように、指示領域61には、ハンドル10を真っ直ぐ前に向けた状態を維持するようユーザに促す指示が表示されている。なお、指示領域61に、このような指示に加えて、車体5に対する携帯端末20の向きを変えないようユーザに促す指示が表示されてもよい。また、指示領域61に、車体5に対する携帯端末20の位置及び向きが、直立静止計測と傾斜姿勢計測との間で変更しないようユーザに促す指示が表示されてもよい。
車体画像62は、車体5をスタンド部材9で立てた自動二輪車2の画像である。この車体画像62を見て、ユーザは、車体5をどのような状態にすべきかを直感的に認識することができる。
傾斜計測開始ボタン63は、ユーザ操作による傾斜静止データ43の取得指示を受け付けるソフトウェアボタンである。ユーザが傾斜計測開始ボタン63に対し操作入力することにより、計測値記憶部32は、自動二輪車2の傾斜静止状態における加速度センサ25の計測値を、傾斜静止データ43としてメモリ22に記憶する(図3:ステップS3)。すなわち、傾斜静止状態において加速度センサ25に設定される3軸方向の加速計測値をそれぞれ記憶する。
傾斜静止計測でも直立静止計測と同様に計測を実行する。すなわち計測値記憶部32は、ユーザによるデータ取得指示があってから予め定める待機時間(例えば5秒間)経過後に、傾斜静止データ43のための計測を開始する。また、計測値記憶部32は、待機時間経過して計測を開始してから予め定める所定の計測時間(例えば5秒間)に加速度センサ25が計測した複数の計測値の平均値を、傾斜静止データ43として記憶する。また直立静止計測と同様に、ノイズを除去するための処理を実行してもよい。
計測値記憶部32は、上記計測時間にわたって計測された複数の加速度計測値のばらつき度合が所定の設定値より大きかった場合、新たに予め定める計測時間にわたって計測された複数の加速度計測値を取得する。また、指示領域61には、傾斜計測開始ボタン63を押した後、自動二輪車2の傾斜静止状態を所定の期間(例えば10秒間)維持するようユーザに促す指示が表示される。
本実施形態では、インターフェース制御部31は、指示領域61に、直立静止状態での加速度計測値の取得、つまり直立静止計測が完了したことをユーザに報知するための通知を含めて傾斜計測画面60を表示している(報知段階)。すなわち、傾斜計測画面60は、直立静止計測が完了したことをユーザに報知する報知画面を兼ねる。これにより、加速度計測値の取得が完了した後の動作への移行をユーザに判断させやすくすることができる。例えば直立静止状態から傾斜静止状態への移行時期を操作者に判断させやすくして、利便性を向上できる。ただし、インターフェース制御部31は、直立静止計測が完了した場合に、傾斜計測画面60とは別に、直立静止計測の完了を報知する報知画面を表示してもよい。また、インターフェース制御部31は、傾斜静止計測が完了した場合にも同様に、傾斜静止計測の完了を報知する報知画面を表示してもよい。
[座標変換規則の導出(変換規則導出段階)]
直立静止計測(S2)及び傾斜静止計測(S3)の両方が完了すると(言い換えれば図3のステップS2及びS3の後)、CPU21は、座標変換規則の導出工程であるステップS4に進む。ステップS4では、CPU21は、変換規則導出部33によって、直立静止データ42及び傾斜静止データ43に基づいて、センサ座標系Sを乗物座標系Bに変換する座標変換規則を求めてメモリ22に記憶する(ステップS4)。具体的には、変換規則導出部33は、メモリ22に記憶された直立静止データ42及び傾斜静止データ43を用いて、センサ座標系Sを乗物座標系Bに変換するための回転行列を導出し、変換規則データ44としてメモリ22に記憶する。
本実施例では、座標変換規則の導出に、直立静止状態と、直立静止状態に対して前後軸回りだけ角変位した傾斜静止状態での計測結果を用いる。この場合、スタンド部材9を用いた姿勢変化の影響に起因して、センサ座標系Sで得られる重力加速度の向きの変化が生じる。加えてスタンド部材9を用いたために車体5の傾斜の向きが予め既知である。このことから2つの静止状態での計測結果から、センサ座標系Sに対する乗物座標系Bの姿勢を幾何学的演算によって把握できる。言い換えると、ユーザによる追加の操作や、他の情報を受け取る必要がなく、センサ座標系Sを乗物座標系Bに変換するための回転行列を演算することができる。このように新たなユーザの追加操作を不要とすることで、挙動情報の推定における利便性を高めることができる。なお回転行列の具体的な導出方法の一例については、後述する。
このようにして回転行列に関する情報を取得すると、座標変換規則の導出工程を終了する。そして、運転者による走行計測指示があった場合や、車両走行を判断すると、走行計測工程であるステップS5に進む。
[走行計測]
ステップS5では、CPU21は、計測値記憶部32によって、自動二輪車2の走行状態における加速度センサ25及び角速度センサ26の計測値を、センサ座標系Sに従う計測データである走行データ45としてメモリ22に記憶する(ステップS5)。CPU21は、走行データ45を記憶すると、座標変換工程であるステップS6に進む。
[座標変換(変換段階)]
ステップS6では、CPU21は、変換部34によって、メモリ22に変換規則データ44として記憶された回転行列Rbsを用いて、センサ座標系Sに従う走行データ45を、乗物座標系Bに従うデータに変換して変換済みデータ46として取得する(ステップS6)。すなわち、走行データ45に含まれる加速度センサ25の計測値が座標変換されることで、走行状態における自動二輪車2の乗物座標系Bに従う加速度が得られる。また、走行データ45に含まれる角速度センサ26の計測値が座標変換されることで、走行状態における自動二輪車2の乗物座標系Bに従う角速度が得られる。CPU21は、変換済みデータ46を取得すると、挙動推定工程であるステップS7に進む。
[挙動推定]
ステップS7では、CPU21は、変換済みデータ46を取得した後、挙動推定部35は、変換済みデータ46を用いて、車体5の挙動を推定する(ステップS7)。変換済みデータ46に含まれる加速度値及び角速度値は、乗物座標系Bに従う値であるため、従来の自動二輪車の車体の予め搭載される計測装置で取得した計測値と同じように、車体の種々の挙動情報の推定に利用可能である。このため、挙動推定部35は、従来の自動二輪車の車体に予め搭載される計測装置で取得した計測値に基づく従来の挙動情報推定手法を採用する。
自動二輪車2の挙動情報としては、乗物座標系Bにおける3軸方向のそれぞれの加速度、3軸まわりの角速度であってもよい。またそれらの情報から得られる他の情報、例えば走行速度、走行距離、走行方向、車体の姿勢情報(例えばバンク角)であってもよい。また例えば、3軸方向の加速度および角速度に加えて、車両の重量、前後長さ、重心位置などの固有の車両特有の情報を加味して演算可能な自動二輪車の車輪と路面との間に働く車輪力(タイヤ力)であって、前後方向にかかる縦力、左右方向にかかる横力、鉛直方向にかかる垂直抗力などが挙げられる。
このように挙動情報を推定することができる。以下に挙動情報を推定するために、センサ座標系Sを乗物座標系Bに変換するための回転行列Rbsの導出方法の一例を説明する。
乗物座標系Bに従うベクトルをXb、センサ座標系Sに従うベクトルをXs、センサ座標系Sを乗物座標系Bに変換するための回転行列をRbsとして示すと、下記の式1が成り立つ。
Figure 2020104786
本実施形態では、センサ座標系Sに対する乗物座標系Bの姿勢を、z−y−x系のオイラー角φ,θ,ψで表現する。すなわち、オイラー角φ,θ,ψは、センサ座標系Sと乗物座標系Bとが原点を共有すると考えたときに、z軸回りにψだけセンサ座標系Sを回転させ、回転後のセンサ座標系Sをy軸回りにθだけ回転させ、回転後のセンサ座標系Sをx軸回りにφだけ回転させると、回転後のセンサ座標系Sが乗物座標系Bと一致することを意味する。具体的には、回転行列Rbsは、オイラー角φ,θ,ψを用いて下記の式2のように示される。
Figure 2020104786
なお、以下の説明では、回転行列Rbsにおけるオイラー角φ,θ,ψを、それぞれ、相対ロール角φbs、相対ピッチ角θbs、相対ヨー角ψbsとも呼ぶこととする。
まず変換規則導出部33は、直立静止データ42を用いて、オイラー角φbs,θbs,ψbsのうちの相対ロール角φbs及び相対ピッチ角θbsを求める。直立静止データ42が含む3軸方向の加速度計測値を成分とするセンサ座標系SのベクトルをXs1とし、ベクトルXs1を回転行列Rbsにより乗物座標系Bに変換したベクトルをXb1とすると、式1から下記式3が成り立つ。
Figure 2020104786
上記式3において、ベクトルXb1は、乗物座標系Bに従う重力加速度ベクトルである。直立静止状態では、車体5の上下軸と鉛直方向とが互いに平行であるため、より詳しくは、乗物座標系BのZ軸の正の向きが鉛直上向きに一致するため、ベクトルXb1のZ軸成分の大きさは|g|であり(ただし、gは重力加速度)、それ以外のX軸及びY軸の成分の大きさは0である。ベクトルXb1の各成分の値と式3を展開して、下記式4及び5のように相対ロール角φbs及び相対ピッチ角θbsが求められる。
Figure 2020104786
Figure 2020104786
なお、上記式4及び5において、ax1,ay1,az1は、ベクトルXs1の各成分であり、それぞれ直立静止状態で計測されたx軸、y軸、及びz軸方向の加速度計測値である。
次に変換規則導出部33は、傾斜静止データ43を用いて、オイラー角φbs,θbs,ψbsのうちの残りの相対ヨー角ψbsを求める。傾斜静止データ43が含む3軸方向の加速度計測値を成分とするセンサ座標系SのベクトルをXs2とし、ベクトルXs2を回転行列Rbsにより乗物座標系Bに変換したベクトルをXb2とすると、式1から下記式6が成り立つ。
Figure 2020104786
上記式6において、ベクトルXb2は、乗物座標系Bに従う重力加速度ベクトルである。傾斜静止状態は、直立静止状態に対して自動二輪車2の前後軸に沿った軸回りに角変位した乗物姿勢である。言い換えると傾斜静止状態の乗物前後軸の向きは、直立静止状態の乗物前後軸の向きと同じとなり、ベクトルXb2のX軸成分の大きさは、ベクトルXb1と同様に0である。従って、直立静止状態から傾斜静止状態となる際の自動二輪車2の前後軸に沿った軸回りの変位角度(鉛直上向き方向に対する傾斜静止状態の車体5の傾斜角)をαbsとすると、式6を展開して、下記式7及び8のように傾斜角αと相対ヨー角ψbsとが求まる。
Figure 2020104786
Figure 2020104786
なお、上記の式7及び式8において、ax2,ay2,az2は、ベクトルXS2の各成分であり、それぞれ傾斜静止状態で計測されたx軸、y軸、及びz軸方向の加速度計測値である。また、傾斜角αbsは、車体前方を向いて右側に傾けたときを正とした、−90°<α<0°を満たす角度である。
以上のように、直立静止状態では車体5の上下軸と鉛直方向とが互いに平行であり、かつ、傾斜静止状態が直立静止状態から乗物前後軸に平行な軸回りに回転させた状態にあるという条件に基づき、相対ロール角φbs、相対ピッチ角θbs、相対ヨー角ψbsが導出される。従って、直立静止データ42及び傾斜静止データ43により座標変換規則としての回転行列Rbsが求められる。なお、上記の座標変換規則の導出方法は一例であり、本発明の座標変換規則の導出方法は上述の方法に限定されるものではない。例えば、上記の座標変換規則の導出方法では、センサ座標系Sに対する乗物座標系Bの姿勢を、z−y−x系のオイラー角で表現したが、z−x−z系やz−y−z系など別のオイラー角で表現(定義)してもよい。また、センサ座標系S及び乗物座標系Bは、左手座標系で定義されてもよいし、右手座標系で定義されてもよい。また、センサ座標系Sに対する乗物座標系Bの姿勢を、オイラー角で表現しなくてもよく、別の姿勢表現法(例えばクォータニオン表現など)を用いて表現してもよい。
また走行データ45の取得前に毎回静止計測工程を行なう必要はない。例えば、過去に導出した変換規則データ44がメモリ22に記憶されており、かつ、端末ホルダ20の車体固定状態が維持されて車体5に対する携帯端末20の位置や向きが、変換規則データ44を導出したときのものと同じである場合には、過去の変換規則データ44を利用して挙動情報の推定を行なうことが可能である。この場合、静止計測工程は、変換規則データ44を校正する目的で適時に行えばよい。
またバラつきが多いなどで、静止計測工程を所定回数以上、繰り返しても適正な範囲の計測値が得られない場合には、測定異常であることを表示して挙動推定方法を終了してもよい。
以上に説明したように、本実施形態に係る挙動情報推定方法によれば、自動二輪車2に取り付けられた携帯端末20を用いて、自動二輪車2の乗物座標系Bに従う挙動情報を精度良く取得することができる。
詳しく説明すれば、自動二輪車2の静止状態では、重力による力が加速度(力)として生じているだけである。このことから、直立静止状態の加速度計測値に基づくことで、自動二輪車2の直立状態における重力方向(重力ベクトル)、すなわち自動二輪車2の上下軸の向きを把握することができる。また自動二輪車2の傾斜静止状態は、直立静止状態に対して、上下軸まわりおよび左右軸まわりのそれぞれ角変位させずに、前後軸回りだけを角変位した姿勢である。言い換えると傾斜静止状態の自動二輪車2の前後軸の向きは、直立静止状態の自動二輪車2の前後軸の向きと同じとなる。加えてスタンド部材9を用いたために、傾斜静止状態において、前後軸回りに傾斜する向き、スタンド部材9側として予め既知である。このことから直立静止状態の自動二輪車2の上下軸の向きと、自動二輪車2の前後軸回りに角変位した傾斜静止状態の自動二輪車2の上下軸の向きと、それらの2とおりの静止状態における重力方向とに基づいて、幾何学的演算によって、センサ座標系Sに対する乗物座標系Bの姿勢、すなわち自動二輪車2の前後軸の向き、自動二輪車2の左右軸の向きを把握することができる。これによって、ユーザによる追加の操作や、他の情報を受け取る必要がなく、センサ座標系Sを乗物座標系Bに変換するための回転行列Rbsを演算することができる。また回転行列Rbsを得ることで、自動二輪車2の走行状態における加速度計測値を乗物座標系Bに従った値に変換して、走行時の自動二輪車2の挙動情報を得ることができる。
また直立静止状態では、自動二輪車2の自重が自動二輪車2の底面で支えられるため、操作者が自動二輪車2の自重を支える必要がなく、静止した状態を安定して保つことができる。またスタンド部材9を用いた傾斜静止状態では、ユーザが自動二輪車2を支える必要がなく、静止した状態を安定して保つことができる。このように自動二輪車2の静止状態の加速度計測値を取得する際に、ユーザの負担を軽減するとともに、自動二輪車2を安定して静止させた状態で加速度計測値を取得でき、容易に且つ精度よく、挙動情報を得ることができる。
また、自動二輪車2に対する3軸加速度センサ25の取付位置が予め定まっていない場合があったり、取付位置が予め定まっていたとしても車体5に対する3軸加速度センサ25の位置や姿勢がずれる場合があったりする。このような場合でも、静止計測値取得工程を経ることで、車体5に対する3軸加速度センサ25の現在の位置や姿勢を精度良く把握できるため、精度よく挙動情報を得ることができる。
加速度センサ25を車体5に対して後付けで取付けても、挙動情報を精度よく推定することができる。これによって挙動情報を推定可能な機種を増やすことができ、汎用性を高めることができる。また携帯端末20のようなユーザが既に所有している汎用装置を用いて挙動情報を推定できる。これによって挙動情報推定用に新たな装置を準備する必要がない。これによってコストの増加を抑えて挙動情報を取得することができる。
また、本実施形態では、座標変換規則を導出することで、センサ座標系Sから乗物座標系Bへの変換を携帯情報端末20のCPU21(数値処理装置)を用いて実現することができる。また、座標変換規則をメモリ22に記憶することで、走行のたびに静止計測値取得工程を経る必要がなく、利便性を向上させることができる。
また、本実施形態では、静止計測値取得工程において予め定める計測時間にわたって計測された複数の加速度計測値に基づいて、走行状態における加速度計測値の変換を行なう。このため、一度の加速度計測値に基づく場合に比べて、ノイズや振動などの影響を抑えることができ、挙動情報の推定精度を向上することができる。
また、本実施形態では、上記の計測時間にわたって計測された複数の加速度計測値のばらつき度合が所定の設定値より大きかった場合、加速度計測値として用いずに、新たに計測された複数の加速度計測値を取得する。これによって想定範囲を超えた値が加速度計測値として利用されることを防ぐことができ、異常値を用いて挙動情報を推定することが防がれる。
また、本実施形態では、ユーザによる取得指示があってから予め定める待機時間経過後に計測される加速度計測値を取得するため、車体5に対する加速度センサ25の取り付けやユーザによる取得指示のための操作に伴う振動の影響を抑制でき、挙動情報の推定精度を向上することができる。
また、本実施形態では、自動二輪車2が直立静止状態及び傾斜静止状態のいずれかの状態をとるようユーザに対して指示する直立計測画面50及び傾斜計測画面60をスクリーン24に表示するため、ユーザに対して静止計測値取得工程の計測に求められる状態に乗物を操作するよう誘導でき、これにより、静止計測値取得工程を円滑に進めることができる。
また、本実施形態では、携帯端末20の車体5への固定にあたって、センサ座標系Sから乗物座標系Bへ変換する変換規則を導出する。これによって携帯端末20が、自動二輪車2(具体的にはハンドル11)に対して、予め定まった位置・姿勢で姿勢でなくとも、挙動情報の推定が可能である。したがってユーザの趣向、運転姿勢、体格などに応じて、車体5の任意の位置に携帯端末20を取り付けたうえで、挙動情報の推定が可能となる。これによって利便性を向上するとともに、推定精度を向上することができる。
(その他の実施形態)
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
例えば、上記の挙動情報推定方法では、直立静止計測(図3のステップS2)の後に傾斜静止計測(図3のステップS3)を実行したが、直立静止計測と傾斜静止計測との測定順序は特に限定されない。例えば、傾斜静止計測を直立静止計測より先に行うことが好ましい。これによってスタンド部材9を利用した傾斜静止状態から、運転者が車両に跨った直立静止状態への運転操作の流れに沿った順番で計測を行うことができ、準備に掛かる負荷をさらに少なくすることができる。また、例えば、インターフェース制御部31は、スクリーン29に直立静止計測と傾斜静止計測のいずれを先に行うかをユーザが選択できる選択画面を表示してもよい。
また、上記の携帯端末20は、3軸加速度センサ25を備えていればよく、上記実施形態で説明された構成に限定されない。例えば、携帯端末20は、スクリーン24を備えなくてもよく、入力部と表示部とを分離して備えていてもよい。携帯端末20は、角速度センサ26や位置センサ27を備えていなくてもよい。
また、上記の実施形態では、傾斜静止計測において、スタンド部材9が用いられて自動二輪車2が傾斜静止された状態で加速度センサ25による計測を実行したが、これに限らない。例えばスタンド部材を用いず、ユーザが乗物を傾斜させたり、別途他の支持体を用いて乗物を傾斜状態で支えたりすることにより、乗物の傾斜静止状態を実現してもよい。この場合、乗物の傾斜角αが所定の範囲内、例えば−20°〜−10°の範囲に収まっていれば、十分に精度の良い挙動情報を取得可能である。
例えば、乗物を壁などに立てかけて傾斜状態としてもよい。また傾斜状態は、3軸のうち注目する軸回りに傾斜させ、傾斜させる方向がプログラム41に予め情報として与えられていれば、上述する演算式と同様に求めることができる。例えば、傾斜静止状態として、左右軸回りに車体を傾斜させて加速度を計測してもよい。具体的には、センタースタンドを用いたうえで、前輪又は後輪のいずれかを段差の高い位置に配置して傾斜状態を実現してもよい。車体5を傾斜させる傾斜方向を検知するセンサを車体に設けて、傾斜方向を検知してもよい。
本実施例として、携帯端末20によって挙動情報を推定するとしたがこれに限らない。本発明では、挙動情報推定装置は、直立静止状態と傾斜静止状態での3軸方向のそれぞれの加速度計測値を取得可能であって、挙動情報を推定可能な演算装置であればよい。例えば、直立静止状態、傾斜静止状態、走行状態となる各状態でのそれぞれの加速度の情報を取得可能であって、変換規則を導出するプログラムを実行可能であればよい。具体的には、車両に設けられる車両演算装置、例えばエンジン制御装置やメータ制御装置で実現されてもよい。この場合、車両演算装置は、携帯端末に対して、有線又は無線によって情報通信可能に設けれる。そのほか、挙動情報を推定する演算装置として、乗物とは離れて設けられるサーバ装置であってもよい。この場合、サーバ装置は、携帯端末に対して、公衆回線などを介して無線による情報通信可能に設けられる。
車両演算装置またはサーバ装置は、各状態での加速度計測値を情報として取得し、導出プログラムに従って動作実行することで、携帯端末の計測値から乗物座標での加速度情報として推定することができる。また本実施例では、携帯端末20が、各状態での加速度計測値を記憶するとしたが、携帯端末から情報を取得した車両に設けられる記憶装置、サーバに設けられる記憶装置が、各状態での加速度計測値を記憶してもよい。
また携帯端末が挙動情報推定装置として機能するための挙動情報推定プログラムについても本発明に含まれる。挙動情報推定プログラムは、USBメモリやCD−ROMなどの記録可能媒体に記憶されていてもよい。挙動情報推定プログラムは、公衆回線を介してダウロードされるとしたが、USBメモリやCD−ROMなどの記録可能媒体を介して携帯端末に記憶されてもよい。また、挙動情報推定プログラムは、上述したように、車両演算装置、サーバ装置に予め記憶されていてもよい。
また本実施例では、携帯端末20に搭載される3軸加速度センサ25が実現されるとしたが、本発明はこれに限らない。例えば加速度センサとして、電話、ネットワーク接続などの公衆回線への通信機能を有しない装置、具体的には車体に固定されて車体の3軸方向の加速度を計測可能な専用部品であってもよい。この場合であっても、本発明に従えば、加速度センサの取付位置が製造上ばらついたり、搭載車種に応じて取付位置が異なったりする場合であっても、適切に挙動情報を推定することができ、精度向上できるとともに、導出プログラムを共通化することができる。また加速度センサとして、スクリーンを備えていない場合には、静止工程におけるユーザへの表示について、車両に設けられる表示装置、例えば計器メータに操作を促す表示を行うようにしても良い。
また本実施例では、携帯端末20は、加速度センサ25および角速度センサ26を備えるとしたが、それぞれのセンサ25,26に代えて、3軸加速度度及び3軸回りの角速度の一部を、別に取得した情報に基づいて、演算によって出力する場合も、本発明の3軸加速度センサとして用いることができる。例えば3軸加速度センサは、2軸の加速度を検出することで、残りの1軸の加速度を幾何学的に演算する場合も含む。
また本実施例では、端末ホルダ11は、ハンドル10に取り付けられるとした。本発明の端末ホルダ11の車体5への取付位置は、ハンドル10に限定されない。例えば操舵操作に関わらず車体に対して一定姿勢を保つように、車体フレームの一部に取り付けられてもよい。例えば計器板に固定されてもよいし、ヘッドパイプ周辺部材に固定されてもよい。また端末ホルダ11は、車体5に形成される収容部分に設けられてもよい。例えば小物入れスペースが形成される収容部に設けられてもよい。例えば、収容部として、シート下に形成されたり、カウル内に形成されてもよい。すなわち、走行中に運転者が視認できないような位置に配置される場合も含まれる。このように端末ホルダは、携帯端末20を保持することで、車体に対して携帯端末の位置及び姿勢を一定に維持できればよく、位置については、任意に設定可能である。
本発明は、前後軸まわりに角変位した傾斜状態で走行可能なリーン乗物に適用可能である。例えば、本発明は、シートに跨って運転操作される鞍乗型車両のほかに、シート前のステップに足を配置するスクータ型車両でも適用することができる。エンジン駆動車両のほか、電動車両、複数の動量に基づくハイブリッド車両でも適用可能であること。また2輪車以外、例えば三輪以上の車輪を有する車両でも本発明を適用することができる。また、駆動力の一部又は全てを人力によって与える自転車であってもよく、小型滑走艇であってもよい。
1 :挙動情報推定システム
2 :自動二輪車
5 :車体
9 :スタンド部材
10 :ハンドル
11 :端末ホルダ
20 :携帯端末
21 :CPU(処理装置)
22 :メモリ
23 :無線通信器
24 :スクリーン(表示装置)
25 :加速度センサ(3軸加速度センサ)
26 :角速度センサ
32 :計測値記憶部(静止計測値取得部)
35 :挙動推定部
41 :挙動情報推定プログラム
42 :直立静止データ
43 :傾斜静止データ
44 :変換規則データ
45 :走行データ
46 :変換済みデータ

Claims (10)

  1. 傾斜状態で走行可能でかつ、傾斜状態で乗物を自立静止するためのスタンド部材を備える乗物に対して取り付けられる3軸加速度センサを用いて、前記乗物の挙動情報を推定する挙動情報推定方法であって、
    前記乗物が直立したまま静止した直立静止状態と、前記スタンド部材が用いられて前記乗物が傾斜したまま静止した傾斜静止状態の2つの状態において、前記3軸加速度センサにより加速度計測値を取得する静止計測値取得工程と、
    前記直立静止状態及び前記傾斜静止状態の前記加速度計測値に基づいて、前記乗物の走行状態における前記3軸加速度センサの加速度計測値を、前記乗物に対して予め規定される乗物座標系に従う値に変換して前記挙動情報を推定する挙動推定工程と、を有する、挙動情報推定方法。
  2. 前記乗物座標系は、互いに直交する前記乗物の前後軸、左右軸及び上下軸からなり、
    前記3軸加速度センサには、互いに直交するセンサ第1軸、センサ第2軸及びセンサ第3軸からなるセンサ座標系が予め規定され、前記3軸加速度センサは、前記センサ座標系に従った3軸方向の加速度をそれぞれ計測し、
    前記挙動推定工程は、
    前記静止計測値取得工程で計測される前記加速度計測値に基づいて、前記センサ座標系を前記乗物座標系に変換する座標変換規則を導出し、記憶する変換規則導出段階と、
    前記座標変換規則に基づいて、前記乗物の走行状態における前記3軸加速度センサの加速度計測値を前記乗物座標系に従う値に変換する変換段階と、を含む、請求項1に記載の挙動情報推定方法。
  3. 前記静止計測値取得工程では、前記直立静止状態及び前記傾斜静止状態の各々において、予め定める計測時間にわたって計測される複数の前記加速度計測値を取得し、
    前記挙動推定工程では、前記直立静止状態及び前記傾斜静止状態の各々の前記複数の加速度計測値に基づいて、前記乗物の走行状態における前記3軸加速度センサの加速度計測値を前記乗物座標系に従う値に変換する、請求項1又は2に記載の挙動情報推定方法。
  4. 前記静止計測値取得工程では、前記計測時間にわたって計測された前記複数の加速度計測値のばらつき度合が所定の設定値より大きかった場合、新たに予め定める計測時間にわたって計測された複数の加速度計測値を取得する、請求項3に記載の挙動情報推定方法。
  5. 前記静止計測値取得工程は、前記直立静止状態及び前記傾斜静止状態の各々における前記加速度計測値の取得が完了した場合に、前記加速度計測値の取得の完了を報知する報知段階を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の挙動情報推定方法。
  6. 前記静止計測値取得工程では、操作者による取得指示があってから予め定める待機時間経過後に計測される前記3軸加速度センサ計測値を取得する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の挙動情報推定方法。
  7. 前記静止計測値取得工程は、前記乗物が前記直立静止状態及び前記傾斜静止状態のいずれかの状態をとるよう操作者に対して指示する表示画面を表示装置に表示する指示段階を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の挙動情報推定方法。
  8. 前記3軸加速度センサには、互いに直交するセンサ第1軸、センサ第2軸及びセンサ第3軸からなるセンサ座標系が予め規定され、
    前記3軸加速度センサは、前記センサ座標系における前記センサ第1軸、前記センサ第2軸及び前記センサ第3軸の各々の方向の加速度を計測するとともに、前記センサ第1軸、前記センサ第2軸及び前記センサ第3軸の各々の回りの角速度を計測するように構成される、請求項1〜7のいずれか1項に記載の挙動情報推定方法。
  9. 前記3軸加速度センサは、装着者によって姿勢及び位置の少なくともいずれかかが選択可能に、前記乗物に着脱可能に構成されている、請求項1〜8のいずれか1項に記載の挙動情報推定方法。
  10. 傾斜状態で走行可能な乗物に対して取り付けられる3軸加速度センサを用いて、前記乗物の挙動情報を推定する挙動情報推定プログラムであって、
    コンピュータを、
    前記乗物が直立したまま静止した直立静止状態と、前記乗物が傾斜したまま静止した傾斜静止状態の2つの状態において、前記3軸加速度センサにより加速度計測値を取得する静止計測値取得部、及び、
    前記直立静止状態及び前記傾斜静止状態の前記加速度計測値に基づいて、前記乗物に対して予め規定される乗物座標系に従う加速度計測値を推定する挙動推定部、として機能させる、挙動情報推定プログラム。
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