JP2020103154A - 細胞培養器材、細胞付細胞培養器材、及び細胞シートの製造方法 - Google Patents

細胞培養器材、細胞付細胞培養器材、及び細胞シートの製造方法 Download PDF

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貴弘 掛川
興治 藤本
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興治 藤本
勲 喜井
Isao Yoshii
勲 喜井
洋美 三好
Hiromi Miyoshi
洋美 三好
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Abstract

【課題】本開示は、細胞外マトリックスの沈着が抑制された細胞シートを製造することが可能な細胞培養器材を提供することを主目的とする。【解決手段】本開示は、基体と、該基体から起立した複数の柱状の突起からなる突起群とを有する細胞培養器材であって、上記突起の高さ(H)が300〜600nmであり、上記突起の直径(D)が200〜500nmであり、隣接する前記突起間の距離(S)が200〜2000nmであり、上記突起の高さと前記突起の直径との比(H/D)が0.6〜3の範囲内であり、かつ、上記突起の高さと隣接する前記突起間の距離との比(H/S)が0.3〜3の範囲内である細胞培養器材を提供することにより、上記目的を達成する。【選択図】図2

Description

本開示は、細胞を培養するために用いられる細胞培養器材、上記細胞培養器材を用いた細胞付細胞培養器材、及び細胞シートの製造方法に関する。
細胞シートとは、細胞間結合で細胞同士が少なくとも単層で連結されたシート状の細胞集合体である。細胞シートは再生医療などで用いられる。細胞シートはシャーレなどの培養皿上で細胞培養を行うことにより得られている。
特許文献1には、支持体表面にナノピラーと呼ばれる極微小の柱を立てて培養器材とし、その上で細胞の培養を行う技術が開示されている。この技術では培養器材と培養材料は非常に小さい面積でしか接着されず、細胞シートの回収剥離が容易でダメージも少ないとされる。
また、従来の培養器材を用いて形成された細胞シート周囲には、細胞自身が分泌する細胞外マトリックスタンパク質が多量に沈着してしまう場合がある。従来は、このような細胞外マトリックスが沈着した状態の細胞シートが作製され、使用されてきた。
特開2004−170935号公報
しかしながら、本発明者らは、従来の細胞外マトリックスが沈着したシートでは細胞外マトリックスの存在によって、例えば、角膜用細胞シートとした場合に透明性が損なわれたり、心筋用細胞シートとした場合に移植後の動きが阻害されたりするなど、治療に用いる際の問題となる可能性があることを知見した。
本開示は、細胞外マトリックスの沈着が抑制された細胞シートを製造することが可能な細胞培養器材を提供することを主目的とする。
上記課題を解決するために本発明者らは鋭意検討した結果、基体と、該基体から起立した複数の柱状の突起とを有する細胞培養器材において、突起の高さ(H)を所定の範囲内としつつ、かつ、突起の高さと突起の直径との比(H/D)、及び突起の高さと隣接する突起間の距離との比(H/S)を所定の範囲内とすることにより、細胞外マトリックスの沈着が抑制された細胞シートを製造することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
上記目的を達成するために、本開示は、基体と、上記基体から起立した複数の柱状の突起からなる突起群とを有する細胞培養器材であって、上記突起の高さ(H)が300〜600nmであり、上記突起の直径(D)が200〜500nmであり、隣接する上記突起間の距離(S)が200〜2000nmであり、上記突起の高さと上記突起の直径との比(H/D)が0.6〜3の範囲内であり、かつ、上記突起の高さと隣接する上記突起間の距離との比(H/S)が0.3〜3の範囲内であることを特徴とする細胞培養器材を提供する。
また、本開示では、上記細胞培養器材の上記突起上に、間葉系細胞を含む細胞が付着したものであることを特徴とする細胞付細胞培養器材を提供する。
また、本開示では、上記細胞培養器材を使用して間葉系細胞を培養させて細胞シートを形成し、上記細胞シートを上記細胞培養器材から剥離して細胞シートを製造することを特徴とする細胞シートの製造方法を提供する。
本開示は、細胞外マトリックスの沈着が抑制された細胞シートを製造することができる、といった効果を奏する。そのため、角膜や心筋の治療に用いた際等に、移植後に細胞外マトリックスによる不具合が生じるリスクを低減することができる。
本開示の細胞培養器材の一例を示す概略断面図である。 図1の細胞培養器材の部分拡大断面図である。 本開示の細胞培養器材を製造する工程フロー図である。 (A)従来の細胞培養器材を用いて細胞シートを形成した場合の細胞付細胞培養器材の説明図である。(B)本開示の細胞培養器材を用いて細胞シートを形成した場合の細胞付細胞培養器材の説明図である。 実施例1、2、および比較例1、2で製造した細胞培養器材を用いて製造した細胞シートの蛍光顕微鏡写真である。 実施例1、2、および比較例1、2で製造した細胞培養器材を用いて製造した細胞シートの細胞外マトリックス(フィブロネクチン及びI型コラーゲン)の被覆率の評価結果を示したグラフである。
本開示は、細胞培養器材、細胞付細胞培養器材、及び細胞シートの製造方法に関するものである。
以下、それぞれについて詳細に説明する。なお、本開示は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に例示する実施の態様の記載内容に限定して解釈されるものではない。また、図面は説明をより明確にするため、実施の態様に比べ、各部材の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
本明細書において、ある部材の上に他の部材を配置する態様を表現するにあたり、単に「上に」あるいは「下に」と表記する場合、特に断りの無い限りは、ある部材に接するように、直上あるいは直下に他の部材を配置する場合と、ある部材の上方あるいは下方に、さらに別の部材を介して他の部材を配置する場合との両方を含むものとする。また、本明細書において、ある部材の上に他の部材を配置する態様を表現するにあたり、単に「面に」と表記する場合、特に断りの無い限りは、ある部材に接するように、直上あるいは直下に他の部材を配置する場合と、ある部材の上方あるいは下方に、さらに別の部材を介して他の部材を配置する場合との両方を含むものとする。
A.細胞培養器材
本開示の細胞培養器材は、基体と、上記基体から起立した複数の柱状の突起からなる突起群とを有する細胞培養器材であって、上記突起の高さ(H)が300〜600nmであり、上記突起の直径(D)が200〜500nmであり、隣接する上記突起間の距離(S)が200〜2000nmであり、上記突起の高さと上記突起の直径との比(H/D)が0.6〜3の範囲内であり、かつ、上記突起の高さと隣接する上記突起間の距離との比(H/S)が0.3〜3の範囲内であることを特徴とするものである。
図4(A)に従来の細胞培養器材10を用いて細胞シート40を形成した場合の細胞付細胞培養器材の概略図を示す。従来の細胞培養器材10で細胞を培養した場合、培養面が平面状であるため細胞収縮力が伝達され、フィブロネクチンが球状構造から伸展して結合ドメインが露出し、複合体を成し、繊維を形成し細胞外マトリックス50が形成されていた。従来の細胞シート40には、この細胞外マトリックス50が大量に沈着していた。
このように、培養面が平面状の細胞培養器材を用いた場合は、細胞シートに細胞外マトリックスが沈着した細胞シートが得られ、上述した課題を有するものであった。本発明者等は、この点を鋭意検討した結果、図4(B)に示すように、柱状の突起からなる突起群上で細胞を培養することにより、培養した細胞シートに対し細胞外マトリックスの沈着を減少させることができることを新たに見出したが、この突起群の形状により細胞外マトリックスの沈着を減少させる効果等に影響があることが分かった。
すなわち、上記突起の直径(D)が大きい、すなわち突起の上面の面積が大きい場合は、平面上で培養した場合のように細胞外マトリックスが沈着してしまう点、また、上記突起の高さ(H)が高すぎる場合は、細胞の培養が難しくなる点、さらには、突起間の距離(S)が広すぎる場合は、細胞が基体と接触してしまい、細胞外マトリックスの生成を抑制する効果が減少してしまう点等があることを知見し、細胞外マトリックスの沈着を防止しつつ、効率的に細胞シートを得るためには、突起の高さ(H)、突起の直径(D)、突起間の距離(S)、突起の高さと突起の直径との比(H/D)、および突起の高さと隣接する突起間の距離との比(H/S)を所定の範囲内とすることが必要であり、これにより細胞外マトリックスの沈着を最小限とした細胞の培養が可能となることを見出し、本発明を完成したものである。
このような本開示の細胞培養器材について図を参照して説明する。図1は、本開示の細胞培養器材の一例を示す概略断面図である。図2は、図1の細胞培養器材の部分拡大断面図である。図1に例示するように、本開示の細胞培養器材1は、基体2と、上記基体2から起立した複数の柱状の突起3からなる突起群33とを有するものである。
以下、本開示の細胞培養器材について、詳細に説明する。
1.突起
本開示は、基体上に配置された複数の柱状の突起からなる突起群を有するものである。
なお、本開示において、下記の突起の高さ(H)、突起の直径(D)及び隣接する柱状突起間の距離(S)は、例えば、原子間力顕微鏡、走査型電子顕微鏡等を用いて測定された値とする。
(a)突起の高さ
上記突起の高さ(H)が300〜600nmであり、上記突起の直径(D)が200〜500nmであり、隣接する上記突起間の距離(S)が200〜2000nmであり、上記突起の高さと上記突起の直径との比(H/D)が0.6〜3の範囲内であり、かつ、上記突起の高さと隣接する上記突起間の距離との比(H/S)が0.3〜3の範囲内である条件を前提とした上で、本開示における上記突起の高さ(H)は、300〜600nmの範囲内であるが、中でも350nm〜550nmの範囲内が好ましく、特に400nm〜525nmの範囲内が好ましい。上記範囲より高さが高い場合は、細胞自体が細胞培養器材に接着できなくなり、細胞の培養が妨げられ、細胞シートを形成することができない可能性がある。一方、上記範囲より高さが低い場合は、細胞が突起間の隙間に入り基体に着地してしまい、結果的に細胞外マトリックスの沈着を抑制することができない可能性が生じる。
なお、上記突起の高さは、図2中(H)で示すように、基体2の表面2Aから柱状の突起3の天面3Aまでの距離である。
(b)突起の直径
上記突起の高さ(H)が300〜600nmであり、上記突起の直径(D)が200〜500nmであり、隣接する上記突起間の距離(S)が200〜2000nmであり、上記突起の高さと上記突起の直径との比(H/D)が0.6〜3の範囲内であり、かつ、上記突起の高さと隣接する上記突起間の距離との比(H/S)が0.3〜3の範囲内である条件を前提とした上で、本開示における上記突起の直径(D)は、200〜500nmの範囲内であるが、中でも200nm〜450nmの範囲内が好ましく、特に200nm〜400nmの範囲内が好ましい。上記範囲より直径が大きい場合は、平面上で培養した場合に近い状態となることから、細胞外マトリックスの生成を抑えることが難しくなる可能性がある。一方、上記範囲より直径が小さい場合は、突起上での細胞の培養効率が低下する可能性がある。
なお、本開示における突起の直径は、図2中(D)で示すように、突起3の天面3Aの寸法であって、天面3Aが略楕円形であればその長径の長さを意味し、天面3Aが略正方形であればその一辺の長さを意味し、天面3Aが略長方形であれば長辺の長さを意味し、天面3Aがその他の形状(例えば六角形等の多角形、不定形等)であれば当該天面3Aの形状の外接円の直径を意味するものとする。
(c)隣接する突起間の距離
上記突起の高さ(H)が300〜600nmであり、上記突起の直径(D)が200〜500nmであり、隣接する上記突起間の距離(S)が200〜2000nmであり、上記突起の高さと上記突起の直径との比(H/D)が0.6〜3の範囲内であり、かつ、上記突起の高さと隣接する上記突起間の距離との比(H/S)が0.3〜3の範囲内である条件を前提とした上で、上記突起群における隣接する上記突起間の距離(S)は、200〜2000nmであるが、中でも200nm〜1000nmの範囲内が好ましく、特に200nm〜500nmの範囲内が好ましい。上記範囲より突起間の距離(S)が大きい場合は、細胞が基体と接触してしまい、細胞外マトリックスの生成を抑制する効果が減少してしまう可能性があり、上記範囲より小さい場合は、平面上で培養した場合に近い状態となることから、細胞外マトリックスの生成を抑えることが難しくなる可能性がある。
なお、本開示における隣接する柱状突起3間の距離は、図2中(S)で示す通り、一の突起3の中心と、それに隣接する突起3の中心とを結ぶ直線長さLから突起の幅を差し引いた長さ、を意味するものとする。
(d)突起の高さと突起の直径との比(H/D)
上記突起の高さ(H)が300〜600nmであり、上記突起の直径(D)が200〜500nmであり、隣接する上記突起間の距離(S)が200〜2000nmであり、上記突起の高さと上記突起の直径との比(H/D)が0.6〜3の範囲内であり、かつ、上記突起の高さと隣接する上記突起間の距離との比(H/S)が0.3〜3の範囲内である条件を前提とした上で、本開示における突起の高さと突起の直径との比(H/D)は、0.6〜3の範囲内であるが、中でも0.9〜2.4の範囲内が好ましく、特に1〜2.3の範囲内が好ましい。上記範囲内であることにより、細胞の培養に影響を及ぼさない程度の高さとした場合に、細胞接着に必要な足場構造(面積)が適度に限定される。そのため、細胞による細胞外マトリックスの集積力が抑制されるため、細胞外マトリックスの細胞シートへの沈着が抑制される。
(e)突起の高さ(H)と隣接する突起間の距離(S)との比(H/S)
上記突起の高さ(H)が300〜600nmであり、上記突起の直径(D)が200〜500nmであり、隣接する上記突起間の距離(S)が200〜2000nmであり、上記突起の高さと上記突起の直径との比(H/D)が0.6〜3の範囲内であり、かつ、上記突起の高さと隣接する上記突起間の距離との比(H/S)が0.3〜3の範囲内である条件を前提とした上で、本開示における突起の高さ(H)と隣接する突起間の距離(S)との比(H/S)は、0.3〜3の範囲内であるが、中でも0.3〜2.2の範囲内が好ましく、特に0.4〜2の範囲内が好ましい。上記範囲内であることにより、細胞の培養に影響を及ぼさない程度の高さとした場合に、突起間への細胞の侵入や基体への着地を抑制することができる。したがって、細胞外マトリックスの沈着が抑制された細胞シートを製造することができる。
(f)突起の形状
本開示における突起の平面視形状(図2中、突起3の天面3Aの形状)は、特に限定されず、円、楕円、正方形、長方形、および多角形等のいずれでもよい。
上記突起の平面視の形状が、楕円や長方形といった、長辺および短辺を有する形状の場合には、長辺の方向に細胞を培養することができるために、方向性が重要となる筋細胞等の細胞シートを製造するのに有効である。一方、正方形、正六角形、および円等の長辺および短辺が無いような形状の場合は、細胞を均等な方向に成長させる角膜等の細胞シートを製造するのに有効である。
本開示において、柱状の突起は、天面(基体と反対側の面)の面積が底面(基体側の面)の断面積と同じであってもよいし、天面の面積が底面の面積より広い逆テーパー形状や、天面の面積が底面の面積よりも狭いテーパー形状であってもよい。逆テーパー形状であれば、細胞の基体への着地を抑制する効果が期待でき、テーパー形状であれば、強度を向上させる効果が期待できる。
(g)突起群
本開示においては、上記複数の柱状の突起が突起群を形成する。この突起群上において、細胞シートが培養される。
上記突起群の平面視における形状は、最終的に得られる細胞シートの形状等により適宜決定されるものであり、矩形状、円形状等、特に限定されない。また、上記突起群の平面視における面積も、最終的に得られる細胞シートの大きさにより適宜決定されるものであるが、通常は、1.5cm〜55cmの範囲内程度である。また、突起群内に培養液が循環しやすいように、突起間の距離を大きくとった流路が形成されていてもよい。
突起群を形成する各突起の高さは、均一であることが好ましい、各突起の高さが異なる場合は、細胞の効率的な培養を阻害する可能性があるからである。ここで、均一であるとは、±100nm以内で形成されていることをいい、特に好ましくは±25nm以内で形成されたものである。
また、突起群を形成する各突起間の間隔も、均一であることが好ましい。ここで、均一であるとは、±400nm以内で形成されていることをいい、特に好ましくは±100nm以内で形成されたものである。
上記突起群の上面(細胞を培養する面)は、突起間の距離および突起を構成する材料等を調整することにより、適度な撥水性を有するものであることが好ましい。細胞培養を効果的に行うことができるからである。
本開示においては、上記突起群の表面の撥水性が、純水の接触角として、65°〜110°の範囲内が好ましく、特に84°〜109°の範囲内が好ましい。なお、上記接触角は、JIS R3257に準じた方法により測定することができる。
(h)材料
本開示において、上記突起を形成する材料としては、生体親和性を有する材料であれば特に限定されず、例えば、ポリスチレン、COP(シクロオレフィンポリマー)、アクリル樹脂、オレフィン系樹脂、シリコン、ガラス、または液状ガラス(SOG)が挙げられる。上記材料であれば、細胞培養器材を形成容易なものとすることができるからである。本開示においては特に、液状ガラス、シリコンが好ましい。
2.基体
本開示の細胞培養器材において、上述した柱状の突起は、平板状の基体の一方の表面側に形成されている。図1に示すように、上記基体2は、柱状の突起3と一体に形成されていてもよく、別体で形成されていてもよいが、製造工程上、通常は一体に形成されていることが好ましい。
基体を構成する材料は、特に限定されるものではないが、通常は上記柱状の突起と同様の材料で構成される。また、基体の平面視における大きさは、上記突起群の平面視における大きさとほぼ同様となる。
上記基体の突起が形成されていない部分の膜厚は、後述するシャーレ等の基材に貼り付けることができる程度の強度を有する膜厚であれば、特に限定されないが、通常は、0.1mm〜0.2mmの範囲内である。
3.その他
a)基材
本開示の細胞培養器材は、上述した基体上に柱状の突起が形成されたものを有するものであれば特に限定されないが、培養液を保持するための基材を有することが好ましい。
細胞を培養する場合は、培養液に細胞を接触させて培養することから、本開示の細胞培養器材は、培養液を保持する基材内に上記基体および柱状の突起が配置されているものであることが好ましい。
このような基材としては、特に限定されないが、シャーレや培養液を流すことができる流路状のもの、フラスコ形状のもの等を挙げることができる。
なお、上記基体が基材の機能を有するもの、すなわち上記基体が培養液を保持する機能を有するものであってもよい。
このような基材の大きさは、作製しようとする細胞シートの大きさによって適宜選択することができ、特に限定されないが、例えば、直径14mm以上とすることができる。
b)用途
本開示の細胞培養器材により培養できる細胞は、特に限定されるものではないが、例えば、間葉系細胞であることが好ましい。
「間葉系細胞」とは、主として中胚葉に由来する結合織に存在し、組織で機能する細胞の支持構造を形成する結合織細胞であるが、間葉系細胞への分化運命が決定しているが、まだ間葉系細胞へ分化していない細胞も含む概念である。間葉系細胞は、主としてヒト由来のものを用いるが、ヒト以外の動物、例えば、マウス、ラット、イヌ、ブタ、サルなどの動物由来の間葉系細胞を用いてもよい。
本開示の細胞培養器材によれば、細胞以外の異物である、細胞外マトリックスの沈着が抑制された細胞シートを形成することができる。そのため、特に、透明性が高いことが要求される角膜用の細胞シートや、収縮を妨げないことが要求される心筋用の細胞シートを製造するために好適に用いられる。
c)製造方法
本開示の細胞培養器材は、公知の様々な高精細パターンを形成するための加工技術を用いて製造することができ、例えば、ナノインプリント法やエッチング法等が挙げられる。
図3は、ナノインプリント法により本開示の細胞培養器材を製造する工程フロー図である。図3(A)に示すように、まず、細胞培養器材の材料組成物を支持体11上に塗布して細胞培養器材用組成物膜12を形成する。
次いで、上記細胞培養器材用組成物膜12に、対応するホール状パターンを有するモールド13を押し付けてパターンを転写する(図3(B))。ここで用いるモールド13としては、例えば、製造後の細胞培養器材の突起の高さ(H)、直径(D)、間隔(S)が上記値となるように製造可能なホールパターンを有するものであれば特に限定されない。
その後、モールド13を膜12より剥離することにより、基体2と突起群33とを有する本開示の細胞培養器材1を製造することができる(図3(C))。
また、別の製造方法としては、上記細胞培養器材の材料からなる部材上にレジスト材料等のマスク材料からなる転写パターンを形成した後、当該転写パターンをマスクとして上記部材をエッチングすることにより、基体2と突起群33とを有する本開示の細胞培養器材を製造するエッチングを用いた方法等も挙げられる。エッチング法としては、ドライエッチング、ウェットエッチングのいずれも適用可能である。また、上記材料からなる部材にレーザー等の直接描画によりパターンを形成することにより、本開示の細胞培養器材を製造することもできる。
B.細胞付細胞培養器材
本開示では、上述した細胞培養器材の突起(突起群)上に、間葉系細胞、もしくは間葉系細胞の細胞シートが付着したものであることを特徴とする細胞付細胞培養器材を提供する。
図4(B)に、本開示の細胞培養器材1を用いて間葉系細胞を培養させ、間葉系細胞を含む細胞シート4を形成した場合の細胞シート付細胞培養器材の概略図を示す。
本開示の細胞付細胞培養器材は、上述した細胞培養器材の突起群上に、間葉系細胞が配置されたものであってもよく、間葉系細胞を含む細胞シートが配置されたものであってもよい。すなわち、これから細胞シートと成り得る間葉系細胞が配置されたものであり、これを培養して細胞シートを得るための細胞付細胞培養器材であってもよく、培養することにより細胞シートとなった間葉系細胞を含む細胞シートが配置されたものであってもよい。
本開示に用いられる、細胞培養器材、および間葉系細胞等は、上記「A.細胞培養器材」で説明したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
C.細胞シートの製造方法
また、本開示では、上記細胞培養器材を使用して間葉系細胞を培養させて細胞シートを形成し、上記細胞シートを上記細胞培養器材から剥離して細胞シートを製造することを特徴とする細胞シートの製造方法を提供する。
本開示の細胞シートの製造方法によれば、上述した細胞培養器材を用いて細胞シートを得ることができるので、細胞の培養を効率的に行いつつ、細胞外マトリックスの沈着が抑制された細胞シートを製造することが可能となる。
本開示の細胞シートの製造方法に用いられる細胞培養器材および間葉系細胞等は、上記「A.細胞培養器材」で説明したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
また、上記間葉系細胞を培養する培養法は、特に限定されるものではなく、従来と同様の培養液、培養条件を用いることができる。また、培養された細胞シートの剥離方法についても、従来の方法を用いることが可能であるが、本開示においては、突起群上に細胞シートが培養されていることから、細胞シートの剥離が容易であるとの利点も有する。
なお、本開示は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本開示の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本開示の技術的範囲に包含される。
以下、本開示について実施例および比較例を用いて具体的に説明する。
[実施例1]
まず、ホールの直径:500nm,深さ:500nm,間隔:200nmであるホール状パターンを有する合成石英製のモールドを準備した。
次いで、SOGをスピンコートにより塗布したガラス板を準備し、SOG膜にモールドのホール状パターンを押し付け、その状態で2分間放置した。モールドを剥離した後、加熱することでSOG膜を硬化させた。このようにして、細胞培養器材を製造した。
得られた細胞培養器材の突起の高さHは500nm、直径Dは500nm、間隔Sは200nm、H/Dは1.0、H/Sは2.5であった。
[実施例2]
モールドのホール状パターンのホール直径を200nmに変更した以外は、実施例1と同様にして細胞培養器材を製造した。得られた細胞培養器材の突起の高さHは500nm、直径Dは200nm、間隔Sは200nm、H/Dは2.5、H/Sは2.5であった。
[比較例1]
SOGをガラス板上にスピンコートにより塗布し、加熱することでSOG膜を硬化させ、突起を有さない、表面が平坦な細胞培養器材を製造した。
[比較例2]
モールドのホール状パターンのホール間隔を2000nmに変更した以外は、実施例1と同様にして細胞培養器材を製造した。得られた細胞培養器材の突起の高さHは500nm、直径Dは500nm、間隔Sは2000nm、H/Dは1.0、H/Sは0.25であった。
[比較例3]
シリコンウエハのエッチングにより突起を有する培養器材を製造した。得られた細胞培養器材の突起の高さHは706nm、直径Dは51nm、間隔Sは96nm、H/Dは13.8、H/Sは7.4であった。
[細胞シートの作製]
上記実施例1、2および比較例1、2、3で製造された細胞培養器材の表面に、マウス骨芽細胞(MC3T3−E1)を播種し、培養し、細胞シートを製造した。まず、細胞培養器材を70%エタノール5分間浸漬することで器材を滅菌した。次いで、リン酸緩衝生理食塩水で洗浄することで70%エタノールを除去した。このような細胞培養器材上に1.1×10cells/cmの密度でMC3T3−E1を播種した。1〜2日おきに培養液を交換しながら25日間培養し、細胞シートを製造した。
[評価]
実施例1、2、および比較例1、2で製造された細胞シートにおいて、細胞外マトリックスの形成状態を確認した。なお、比較例3は細胞シートを作製することができなかった。細胞外マトリックス(ECM)の観察は、フィブロネクチン及びI型コラーゲンを蛍光染色することにより行った。具体的には、培養後の細胞を4%パラホルムアルデヒド・リン酸緩衝液で固定し、1次抗体にAnti−Fibronectin antibody(abcam社)、Anti−CollagenI antibody(abcam社)、2次抗体にAlexa Fluor488標識Goat anti−Rabbit IgG抗体、Alexa Fluor546標識Goat anti−Mouse IgG抗体(Thermo Fisher Scientific社)を用いて沈着したフィブロネクチン及びI型コラーゲンを染色した。核染色にDAPI(同仁化学研究所)を用いた。
ECMの蛍光観察は共焦点レーザー顕微鏡で行った。実施例1、2、および比較例1、2で作製した細胞培養器材を使用して製造された細胞シートの共焦点レーザー顕微鏡写真を、それぞれ図5(A)〜(D)に示す。共焦点レーザー顕微鏡写真を画像処理することにより、ECMの主構成成分であるフィブロネクチン、及びI型コラーゲンの被覆率を算出した。算出結果を表1、図6(A)、(B)に示す。
表1、図5、図6から明らかなように、本開示の細胞培養器材を用いて製造した細胞シートは、細胞シート周囲への細胞外マトリックスの沈着が抑制されたものとなった。
1、10 … 細胞培養器材
2 … 基体
2A … 基体表面
3 … 突起
3A … 突起の天面
33 … 突起群
11… 支持体
12… 細胞培養器材組成物膜
13… モールド
4、40 … 細胞シート
5、50 … 細胞外マトリックス

Claims (5)

  1. 基体と、前記基体から起立した複数の柱状の突起からなる突起群とを有する細胞培養器材であって、
    前記突起の高さ(H)が300〜600nmであり、前記突起の直径(D)が200〜500nmであり、隣接する前記突起間の距離(S)が200〜2000nmであり、
    前記突起の高さと前記突起の直径との比(H/D)が0.6〜3の範囲内であり、かつ、前記突起の高さと隣接する前記突起間の距離との比(H/S)が0.3〜3の範囲内である、細胞培養器材。
  2. 前記複数の柱状の突起の高さが均一である、請求項1に記載の細胞培養器材。
  3. 前記基体及び前記突起群の材料は、ポリスチレン、シクロオレフィンポリマー、アクリル樹脂、オレフィン系樹脂、シリコン、ガラス、又は液状ガラスである、請求項1または請求項2に記載の細胞培養器材。
  4. 請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の細胞培養器材の前記突起上に、間葉系細胞を含む細胞が付着したものである、細胞付細胞培養器材。
  5. 請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の細胞培養器材を使用して間葉系細胞を培養させて細胞シートを形成し、前記細胞シートを前記細胞培養器材から剥離して細胞シートを製造する、細胞シートの製造方法。
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