JP2020102370A - リチウムイオン二次電池の固体電解質用nasicon型酸化物粒子の製造方法 - Google Patents
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Description
(Ix)リチウム化合物、リン酸化合物及び金属(M)化合物(Mは、Ca、Al、Cu、Co、Fe、Ni、Ga、Cr、Sc、In、Y、La、Zn、Si、Mn、Zr、Ge、Nd、Sr、Sn、Hf、V又はZrを示す)からなる原料化合物の全てと、水とを混合して、25℃におけるpHが5〜9である混合液を調製する工程
(IIx)得られた混合液を100℃以上の水熱反応に付した後、水熱反応生成物を洗浄し、次いで乾燥して、前駆体混合物を得る工程
(IIIx)得られた前駆体混合物を400℃〜1000℃で焼成する工程
を備える、リチウムイオン二次電池の固体電解質用NASICON型酸化物粒子の製造方法を提供するものである。
(Iy)リチウム化合物、リン酸化合物及び金属(M)化合物(Mは、Ca、Al、Cu、Co、Fe、Ni、Ga、Cr、Sc、In、Y、La、Zn、Si、Mn、Zr、Ge、Nd、Sr、Sn、Hf、V又はZrを示す)からなる原料化合物の一部と、水とを混合して、25℃におけるpHが5〜9である混合液を調製する工程
(IIy)得られた混合液を100℃以上の水熱反応に付した後、水熱反応生成物を洗浄し、次いで原料化合物の残部を添加及び混合した後に乾燥して、前駆体混合物を得る工程
(IIIy)得られた前駆体混合物を400℃〜1000℃で焼成する工程
を備える、リチウムイオン二次電池の固体電解質用NASICON型酸化物粒子の製造方法を提供するものである。
本発明のリチウムイオン二次電池の固体電解質用NASICON型酸化物粒子(以下、単に「NASICON型酸化物粒子」とも称する)の製造方法は、次の工程(Ix)〜(IIIx):
(Ix)リチウム化合物、リン酸化合物及び金属(M)化合物(Mは、Ca、Al、Cu、Co、Fe、Ni、Ga、Cr、Sc、In、Y、La、Zn、Si、Mn、Zr、Ge、Nd、Sr、Sn、Hf、V又はZrを示す)からなる原料化合物の全てと、水とを混合して、25℃におけるpHが5〜9である混合液を調製する工程
(IIx)得られた混合液を100℃以上の水熱反応に付した後、水熱反応生成物を洗浄し、次いで乾燥して、前駆体混合物を得る工程
(IIIx)得られた前駆体混合物を400℃〜1000℃で焼成する工程
を備え、これを本発明の製造方法(X)と称する。
また、本発明の製造方法は、次の工程(Iy)〜(IIIy):
(Iy)リチウム化合物、リン酸化合物及び金属(M)化合物(Mは、Ca、Al、Cu、Co、Fe、Ni、Ga、Cr、Sc、In、Y、La、Zn、Si、Mn、Zr、Ge、Nd、Sr、Sn、Hf、V又はZrを示す)からなる原料化合物の一部と、水とを混合して、25℃におけるpHが5〜9である混合液を調製する工程
(IIy)得られた混合液を100℃以上の水熱反応に付した後、水熱反応生成物を洗浄し、次いで原料化合物の残部を添加及び混合した後に乾燥して、前駆体混合物を得る工程
(IIIy)得られた前駆体混合物を400℃〜1000℃で焼成する工程
を備え、本発明の製造方法(Y)と称する。
以下、各々の製造方法について分説する。
したがって、本発明の製造方法(X)における工程(Ix)では、これら原料化合物の全てを用いることから、続く工程(IIx)においても、これら原料化合物の全てをそのまま一括して水熱反応に付すこととなる。
この際、混合液(ax−2)の混合液(ax−1)への滴下速度は、10質量部の混合液(ax−1)に対し、好ましくは0.1質量部/分〜0.4質量部/分であり、より好ましくは0.15質量部/分〜0.4質量部/分であり、さらに好ましくは0.2質量部/分〜0.35質量部/分である。混合液(ax−2)を滴下する際の混合液(ax−1)の撹拌速度は、反応容器内壁面での混合液(ax−1)の流速に換算して、好ましくは10cm/秒〜200cm/秒であり、より好ましくは15cm/秒〜150cm/秒、さらに好ましくは20cm/秒〜100cm/秒である。
なお、混合液(Ax)中において、これらのリチウムリン酸塩並びに金属(M)のリン酸塩及び/又は水酸化物が生成され、混合物として含有されてなることは、X線回折によって確認することができる。
さらに、上記撹拌方法を用いる際に、混合液(Ax)全体において均一に水熱反応を生じさせる観点から、反応容器内に邪魔板を設置したり、撹拌翼の回転方向やポンプの送液方向を間欠的に逆転したりすることによって、混合液(Ax)の流れに擾乱を生じさせるのが有効である。
また、前駆体混合物(Bx)は、好ましくはリン酸三リチウムを含有する混合物であり、この場合、前駆体混合物(Bx)中におけるリン酸三リチウムと、金属(M)のリン酸塩及び水酸化物の混合物との質量比(リン酸三リチウム:金属(M)のリン酸塩及び水酸化物の合計量)は、好ましくは1:3〜2:1であり、より好ましくは1:2.5〜1:1であり、さらに好ましくは1:2〜1:1.2である。
なお、工程(Iy)において用いる金属(M)化合物は、上記製造方法(X)の工程(Ix)と同様である。
また、混合液(Ay)の25℃におけるpHは、5〜9であって、好ましくは5.5〜8.5であり、より好ましくは6〜8である。かかる範囲内となるよう混合液(Ay)のpHを調整するにあたり、必要に応じて製造方法(X)において用い得るpH調整剤と同様のものを用いてもよい。
例えば、混合液(ay−1)と混合液(ay−2)の混合方法は、特に限定されるものではないが、撹拌している混合液(ay−1)に混合液(ay−2)を滴下するのが好ましい。このように、リチウム化合物並びに金属(M)化合物の一部又は全てに、リン酸化合物を含む混合液(ay−2)を滴下して少量ずつ加えることにより、反応生成物の化学組成の均質性を一層高めることができる。
回収された水熱反応生成物の平均粒径は、レーザー回折・散乱法に基づく粒度分布におけるD50値で、好ましくは5nm〜250nmであり、より好ましくは10nm〜200nmである。ここで、粒度分布測定におけD50値とは、レーザー回折・散乱法に基づく体積基準の粒度分布により得られる値であり、D50値は累積50%での粒径(メジアン径)を意味する。
工程(Iy)及び工程(IIy)において用いる原料化合物の好適な態様としては、具体的には、工程(Iy)において水酸化リチウムを用い、工程(IIy)において金属(M)を含有する水酸化物及びリン酸を用いる態様、或いは工程(Iy)において硫酸リチウムを用い、工程(IIy)において金属(M)を含有する硫酸塩及びリン酸アンモニウムを用いる態様が挙げられる。
スラリー中における水熱反応生成物及び原料化合物の合計含有量は、スラリー中に、好ましくは1質量%〜40質量%であり、より好ましくは2質量%〜30質量%であり、さらに好ましくは3質量%〜25質量%である。また、スラリー中における水熱反応生成物と原料化合物との質量比(水熱反応生成物:原料化合物)は、好ましくは10:1〜1:4であり、より好ましくは5:1〜1:3であり、さらに好ましくは3:1〜1:2.5である。
噴霧乾燥により造粒物を得た場合、かかる造粒物の平均粒径は、好ましくは5nm〜250nmであり、より好ましくは10nm〜200nmであり、さらに好ましくは20nm〜170nmである。
さらに、その平均結晶子径は、好ましくは70nm〜300nmであり、より好ましくは70nm〜250nmであり、さらに好ましくは70nm〜200nmである。
ここで、NASICON型酸化物粒子の平均粒径とは、SEM又はTEMの電子顕微鏡を用いた観察における、数十個の粒子の粒径(長軸の長さ)の測定値の平均値を意味する。また、NASICON型酸化物の平均結晶子径とは、Cu−kα線による回折角2θの範囲が10°〜80°のX線回折プロファイルについて、シェラーの式を適用して求めた値を意味する。
Li1+xM2(PO4)3 ・・・(1)
(式(1)中、Mは、Ca、Al、Cu、Co、Fe、Ni、Ga、Cr、Sc、In、Y、La、Zn、Si、Mn、Zr、Ge、Nd、Sr、Sn、Hf、V又はZrから選ばれる1種又は2種以上を示し、xは、0≦x≦4、x+(Mの価数)×2=8を満たす数を示す。)
より具体的には、例えば、LiZr2(PO4)3、Li1.5Al0.5Ge1.5(PO4)3、Li1.2Zr1.9Ca0.1(PO4)3、LiHf2(PO4)3、LiGe2(PO4)3、Li1.5Al0.4Cr0.1Ge1.5(PO4)3が挙げられる。
LiOH・H2Oを12.72gと水40mLを混合して、スラリー(c−1)を得た。得られたスラリー(c−1)を、25℃の温度に保持しながら3分間撹拌しつつ85質量%のH3PO4を11.53g、35mL/分で滴下し、撹拌速度400rpmで1時間撹拌することにより、Li3PO4スラリー(c−2)を得た。次に、得られたLi3PO4スラリー(c−2)全量に対し、CoSO4・7H2Oを21.08g添加して、スラリー(c−3)とした後、これをオートクレーブに投入し、170℃で1時間の水熱反応を行った。オートクレーブ内の圧力は、0.8MPaであった。生成した水熱反応物をろ過し、次いで、水熱反応物1質量部に対して12質量部の水により洗浄した。洗浄した水熱反応物を−50℃で12時間凍結乾燥して、LiCoPO4正極活物質粒子(粒子径100nm)を得た。
水40mLにLiOH・H2O 0.32g、29質量%のNH4OH 1.76g、及びGeO2 0.79gを混合して、混合液(ax−1)1を得た。25℃における混合液(ax−1)1のpHは13.0であった。また、水20mLにAl2(SO4)3・16H2O 0.79g及び85質量%のH3PO4 1.73gを混合して混合液(ax−2)1を得た。
次いで、得られた混合液(ax−1)1を25℃の温度に保持しながら、撹拌速度200rpmで60分間撹拌した後、そのまま撹拌を継続している混合液(ax−1)1に、撹拌速度200rpmで5分間撹拌した混合液(ax−2)1を50mL/分で全量滴下して混合した後、さらに撹拌速度200rpmで30分間撹拌して混合液(Ax)1を得た。かかる混合液(Ax)1の25℃におけるpHは6.0、生成したリチウムリン酸塩及びアルミニウムリン酸塩の合計含有量は2質量%であった。
得られた前駆体混合物(Bx)1を、空気雰囲気下750℃で4時間焼成してNASICON型酸化物粒子A1を得た。得られたNASICON型酸化物粒子A1は、Li1.5Al0.5Ge1.5(PO4)3単相であり、平均粒径は90nm、平均結晶子径は90nm、BET比表面積は26m2/gであった。
得られたNASICON型酸化物粒子A1のSEM写真を図1に、X線回折パターンを図2に示す。
LiOH・H2Oの添加量を0.21gとし、GeO2を用いず、Al2(SO4)3・16H2Oの代わりにZr(SO4)2・4H2O 3.63gを添加した以外、実施例1と同様にしてNASICON型酸化物粒子B1を得た。得られたNASICON型酸化物粒子B1は、LiZr2(PO4)3単相であり、平均粒径は90nm、BET比表面積は26m2/gであった。
得られたNASICON型酸化物粒子B1のSEM写真を図3に示す。
LiOH・H2Oの添加量を0.26gとし、GeO2を用いず、Al2(SO4)3・16H2Oの代わりにZr(SO4)2・4H2O 3.45g及びCa(NO3)2・4H2O 0.12gを添加した以外、実施例1と同様にしてNASICON型酸化物粒子C1を得た。得られたNASICON型酸化物粒子C1は、Li1.2Zr1.9Ca0.1(PO4)3単相であり、平均粒径は90nm、BET比表面積は26m2/gであった。
得られたNASICON型酸化物粒子C1のSEM写真を図4に示す。
LiOH・H2Oの添加量を0.21gとし、GeO2を用いず、Al2(SO4)3・16H2Oの代わりにHfCl4 3.20gを添加した以外、実施例1と同様にしてNASICON型酸化物粒子D1を得た。得られたNASICON型酸化物粒子D1は、LiHf2(PO4)3単相であり、平均粒径は90nm、BET比表面積は26m2/gであった。
得られたNASICON型酸化物粒子D1のSEM写真を図5に示す。
LiOH・H2Oの添加量を0.21gとし、GeO2の添加量を1.05gとした以外、実施例1と同様にしてNASICON型酸化物粒子E1を得た。得られたNASICON型酸化物粒子E1は、LiGe2(PO4)3単相であり、平均粒径は90nm、BET比表面積は26m2/gであった。
得られたNASICON型酸化物粒子E1のSEM写真を図6に示す。
Al2(SO4)3・16H2Oの添加量を0.63gとし、Al2(SO4)3・16H2OとともにCr2(SO4)3 0.20gを添加した以外、実施例1と同様にしてNASICON型酸化物粒子F1を得た。得られたNASICON型酸化物粒子F1は、Li1.5Al0.4Cr0.1Ge1.5(PO4)3単相であり、平均粒径は90nm、BET比表面積は26m2/gであった。
得られたNASICON型酸化物粒子F1のSEM写真を図7に示す。
水40mLにLiOH・H2O 0.64g及びGeO2 1.58gを混合して、混合液(az−1)2を得た。得られた混合液(az−1)2に、Al2O3 0.26g及び85質量%のH3PO4 3.46gを混合し、180℃で12時間恒温乾燥して前駆体混合物(Bz)2を得た。得られた前駆体混合物(Bz)2を、空気雰囲気下750℃で12時間焼成してNASICON型酸化物を得た。得られたNASICON型酸化物を、遊星ボールミルを用いて450rpmで10時間粉砕してNASICON型酸化物粒子A2を得た。得られたNASICON型酸化物粒子A2は、Li1.5Al0.5Ge1.5(PO4)3単相であり、平均粒径は400nm、平均結晶子径は300nm、BET比表面積は8m2/gであった。
得られたNASICON型酸化物粒子A2のSEM写真を図8に、X線回折パターンを図9に示す。
実施例1〜6及び比較例1で得られたNASICON型酸化物粒子A1〜F1及びA2を用い、全固体リチウムイオン二次電池を作製した。
具体的には、正極に製造例1で得られたLiCoPO4正極活物質粒子を用い、正極活物質:固体電解質(質量比)を75:25の配合割合で混合した後、プレス用冶具に投入して正極活物質層とした。さらに、その層上に固体電解質粒子のみをさらに投入して固体電解質層として積層させた後、ハンドプレスを用いて16MPaで2分間プレスして、φ14mmの円盤状の正極を得た。次いで、負極としてリチウム箔を固体電解質層側に取り付けることで、全固体リチウムイオンリチウムイオン二次電池を作製した。
Claims (5)
- 次の工程(Ix)〜(IIIx):
(Ix)リチウム化合物、リン酸化合物及び金属(M)化合物(Mは、Ca、Al、Cu、Co、Fe、Ni、Ga、Cr、Sc、In、Y、La、Zn、Si、Mn、Zr、Ge、Nd、Sr、Sn、Hf、V又はZrを示す)からなる原料化合物の全てと、水とを混合して、25℃におけるpHが5〜9である混合液を調製する工程
(IIx)得られた混合液を100℃以上の水熱反応に付した後、水熱反応生成物を洗浄し、次いで乾燥して、前駆体混合物を得る工程
(IIIx)得られた前駆体混合物を400℃〜1000℃で焼成する工程
を備える、リチウムイオン二次電池の固体電解質用NASICON型酸化物粒子の製造方法。 - 次の工程(Iy)〜(IIIy):
(Iy)リチウム化合物、リン酸化合物及び金属(M)化合物(Mは、Ca、Al、Cu、Co、Fe、Ni、Ga、Cr、Sc、In、Y、La、Zn、Si、Mn、Zr、Ge、Nd、Sr、Sn、Hf、V又はZrを示す)からなる原料化合物の一部と、水とを混合して、25℃におけるpHが5〜9である混合液を調製する工程
(IIy)得られた混合液を100℃以上の水熱反応に付した後、水熱反応生成物を洗浄し、次いで原料化合物の残部を添加及び混合した後に乾燥して、前駆体混合物を得る工程
(IIIy)得られた前駆体混合物を400℃〜1000℃で焼成する工程
を備える、リチウムイオン二次電池の固体電解質用NASICON型酸化物粒子の製造方法。 - 原料化合物として用いる金属(M)化合物が、ハロゲン化物、硫酸塩、有機酸塩、水酸化物、塩化物、硫化物、酸化物、又はこれらの水和物である、請求項1又は2に記載のリチウムイオン二次電池の固体電解質用NASICON型酸化物粒子の製造方法。
- 工程(IIx)又は工程(IIy)において水熱反応生成物を洗浄するにあたり、水熱反応生成物の乾燥質量1質量部に対して5質量部〜50質量部の水を用いる、請求項1〜3のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池の固体電解質用NASICON型酸化物粒子の製造方法。
- 工程(IIIx)又は工程(IIIy)における焼成を、大気雰囲気下、不活性ガス雰囲気下又は還元条件下で行う、請求項1〜4のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池の固体電解質用NASICON型酸化物粒子の製造方法。
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