以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴うち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
<撮像装置>
図1は本発明の実施形態に係る撮像装置10の全体構成を示す図である。撮像装置10は例えばミラーレスカメラである。撮像装置10は、レンズユニット1、シャッタ2及び撮像素子3を備える。レンズユニット1は、被写体からの光を結像させるためのレンズ群及びその駆動機構を備える。撮像素子3はレンズユニット1により結像された被写体像を光電変換する素子であり例えばCMOSイメージセンサである。シャッタ2は、撮影光軸1a上においてレンズユニット1と撮像素子3との間に配置され、羽根群の開閉により撮像素子3に対する露光時間等を調節する羽根駆動装置で
ある。
撮像素子3から出力されるアナログ画像信号はAFE(Analog Front End)4によりデジタル画像信号に変換される。DSP(Digital Signal Processor)5は、AFE4から出力されるデジタル画像信号に対する各種画像処理や圧縮・伸張処理などを行なう。DSP5には記憶媒体5a及びRAM5bが接続されている。RAM5bは例えば画像データを一時的に記憶するために用いられる。記憶媒体5aは例えばメモリカードであり、撮影した画像を保存するために用いられる。ディスプレイ6は、液晶ディスプレイ(LCD)などの電子画像表示装置であり、撮影した画像や各種メニュー画面などを表示する。
CPU7は撮像装置10の全体を制御する。CPU7は各種のセンサ7aの検出結果に基づいて、制御信号を出力し、各種の駆動回路7bを制御する。センサ7aは、例えば、撮像装置10の電源電圧を検出するセンサ、温度を検出するセンサ、レンズユニット1やシャッタ2に備えられた各種のセンサを含む。駆動回路7bは、例えば、撮像素子3に駆動信号を供給するタイミングジェネレータ、レンズユニット1やシャッタ2等に備えられたアクチュエータの駆動回路を含む。
<シャッタ>
本実施形態のシャッタ2はフォーカルプレン式のシャッタである。シャッタ2について図2以下を参照して説明する。各図において、矢印X、Y、Zは互いに直交する方向を示し、Z方向は撮影光軸1aと平行な方向であり、Y方向は羽根の走行方向と平行な方向である。なお、一部の図においてはシャッタ2の構成部品を透過態様で図示していたり、省略している場合がある。
<1.全体構成とレイアウト>
図2〜図6を参照してシャッタ2の全体構成と機構のレイアウトについて説明する。図2はシャッタ2の斜視図、図3及び図4はシャッタ2の内部機構を示す図、図5はシャッタ2の分解斜視図、図6は地板30の斜視図である。
シャッタ2は被写体光を撮像素子3に露光/遮蔽する羽根部20と、羽根を動作させる機構部21とに大別される。羽根部20は機構部21よりも薄型の矩形状を有しており、シャッタ2は、その側面視(Y方向)において全体としてL字状をなしている。機構部21はモータ81の直径相当の厚さを有する直方体形状を有している。逆に言えば、シャッタ2のZ方向の厚さは最大でモータ81の直径程度とされている。羽根部20を薄型化して光軸方向におけるシャッタ2と撮像素子3との配設スペースを削減しつつ、機構部21を羽根部20の側方に位置させることで、撮像装置10内の収容空間を有効に活用することができる。また、シャッタ2は全体として矩形状を有してコンパクトに構成されており、ミラーレスカメラのように内部空間が狭い撮像装置に有利である。
シャッタ2は、板状のベース部材である地板30を基本的な支持体とし、地板30上に各部品が搭載されている。地板30は、羽根部20を構成する開口形成部31と、機構部21を構成する機構支持部32とを一体に有しており、例えば、合成樹脂製の部材である。地板30には、後述する軸320のように複数の軸が立設されているが、これらは特に断わらない限り、軸方向がZ方向である。
開口形成部31には被写体光が通過する開口31aが形成されている。開口形成部31の一方面側はカバー板33で覆われ、開口形成部31とカバー板33との間には仕切板34が配置される。カバー板33及び仕切板34には、開口31aと重なる開口33a、開口34aが形成されている。開口形成部31の他方面側(被写体側)もカバー板36で覆われる。カバー板36にも開口31aと重なる開口36aが形成され、これらによって撮像開口を形成している。これらの開口31a、33a、34a及び36aは、矩形状を有し、その法線方向はZ方向、その面方向がX方向及びY方向である。被写体光は、開口36a、開口31a、開口34a及び開口33aを順に通過して撮像素子3を露光する。開口36a、開口31a、開口34a及び開口33aの光軸は撮影光軸1aである。
仕切板34は、開口形成部31とカバー板33との間の羽根室を先幕用の空間と後幕用の空間とにZ方向に二つに仕切る。シャッタ2には先幕用の羽根機構40と後幕用の羽根機構50が設けられており、羽根室には、先幕を構成する羽根群41(先羽根)と、後幕を構成する羽根群51(後羽根)とが収容されている。図4はカバー板33及び仕切板34が取り外された状態を示している。
機構部21には、羽根機構40及び50を駆動する駆動機構60、羽根群41を開状態に維持可能な係止機構70、駆動機構60に対するチャージ動作を行うチャージ機構80、羽根群51のバウンドを抑止する抑止機構900が配置されている。また、これらの機構を覆うカバー部材を兼用したMG地板35と、MG地板35を覆うカバー部材37が設けられている。図3はMG地板35及びカバー部材37が取り外された状態を示している。MG地板35及びカバー部材37は、駆動機構60、係止機構70、チャージ機構80及び抑止機構900に対するゴミの侵入を防止する。
チャージ機構80は、その駆動源であるモータ81と、モータ81の駆動力によって駆動機構60に対するチャージ動作を行う、先幕用のチャージスライダ82や後幕用の後カムギア855、更にはモータ81の駆動力を伝達するギアトレイン85等を含む。なお、本実施形態の場合、チャージ機構80はモータ81を含むが、モータ81として撮像装置10側に備えられたモータを利用することも可能である。つまり、チャージ機構80は、固有のモータを備えた機構であってもよいし、固有のモータを備えず、他のモータから駆動力を受ける機構であってもよい。
モータ81はその回転軸81aがY方向となるように、X方向における開口31aの側方に配置されている。換言すると、矩形状の開口31aの周縁の一辺に沿って配置されている。シャッタ2の動作速度を向上する場合、モータ81として比較的高出力のモータが必要とされるが、モータのサイズは一般に出力に比例して大きくなる。本実施形態のようにモータ81を配置することで、Y方向で見るとモータ81の胴部81bが、羽根群41及び51の走行・格納範囲Yw(図4参照)に収めることが可能となり、高出力のモータを比較的コンパクトに配置することができる。
モータ81の他の配置態様としては、例えば、回転軸81aがZ方向となるように配置することも考えられるが、本実施形態のようにモータ81の全長が長い場合、シャッタ2がZ方向に長くなる。また、モータ81の他の配置態様としては、回転軸81aがX方向となるように配置することも考えられるが、本実施形態のようにモータ81を、X方向で開口31aの側方に配置した場合は、シャッタ2がX方向に長くなる。また、一般にデジタルカメラはシャッタの上下よりも左右に収容空間を確保し易いことから、モータ81をY方向で開口31aの側方に配置した場合には、撮像装置10に対する収容の点で不利な場合がある。このような他の配置態様も採用可能であるが、本実施形態におけるモータ81の配置態様はシャッタ2の高性能化と小型化を両立する点で有利である。
本実施形態の場合、チャージ機構80は、モータ81の駆動力により、チャージスライダ82を光軸方向(Z方向)と交差する方向(Y方向)に移動させることによって先幕用の駆動部材61に対するチャージ動作を行う。チャージスライダ82はこのチャージ動作のために変位する変位部材である。駆動部材61に対する駆動力の伝達は、カム等の回動部材により行ってもよいが、ギアトレイン85から離れている駆動部材61に対するチャージ動作をチャージスライダ82のY方向の直線移動で行うことで、このようなチャージ用の回動部材を回動させる構成よりもX方向においてシャッタ2の小型化を図れる。また、チャージスライダ82の往復移動範囲は羽根群41及び51の走行・格納範囲Yw(図4参照)内であり、シャッタ2をY方向に大型化するものでもない。
駆動機構60は、羽根機構40及び50を駆動する一方、チャージ機構80によるチャージ動作を受ける。このため、駆動機構60に対して、羽根機構40及び50並びにチャージ機構80が隣接して配置されていることが機構上並びに小型化を図る上で有利である。本実施形態の場合、駆動機構60はモータ81と開口31aとの間の領域Xw(図4参照)に配置され、チャージスライダ82はモータ81と駆動機構60との間に配置されている。このような配置とすることで、駆動機構60が羽根機構40及び50並びにチャージ機構80に隣接して配置され、機構上、有利である。しかも、モータ81の回転軸方向とチャージスライダ82の移動方向がいずれもY方向であることから、X方向において各機構を狭い領域に集中的に収めることができ、シャッタ2の小型化を図れる。
本実施形態の場合、Y方向でモータ81の一方端部側(回転軸81a側)にはギアトレイン85が配置され、他方端部側には係止機構70が配置されている。Y方向におけるモータ81の胴部81bの両側のスペースに係止機構70、ギアトレイン85を対称的に配置することで、シャッタ2のY方向の小型化を図れる。モータ81の回転軸81aにはウォームギア81cが設けられており、ウォームギア81cは、ギアトレイン85のギア850のウォームホイール850aと噛み合っている。この部分で回転軸方向をY方向(モータ81側)からZ方向(ギアトレイン85側)に変換している。ギアトレイン85の各ギアは回転軸がZ方向であるため、シャッタ2の機構部21のZ方向の厚さを薄くすることができる。
<2.羽根機構>
図5、図6及び図7〜図9を参照して羽根機構40及び50の構成について説明する。図7は羽根機構40及び50の説明図であり、図8及び図9は羽根機構40の説明図である。図7において、状態ST1は羽根群41が閉状態で羽根群51が開状態である状態を示し、状態ST2は羽根群41が開状態で羽根群51が閉状態である状態を示している。開状態とは開口31aを覆わない状態であり、閉状態とは開口31aを覆う状態である。
羽根機構40は、羽根群41、主アーム42、副アーム43及びバネ44を含み、先幕を構成する。羽根機構50は、羽根群51、主アーム52、副アーム53及びバネ54を含み、後幕を構成する。本実施形態の場合、羽根群41、51はそれぞれ羽根41a〜41d、51a〜51dから構成されている。しかし、羽根の数は4枚に限られない。各羽根は、例えば、黒色塗料を塗布した樹脂シート(または金属板などの遮光性のある材料もしくは複合材)から形成される。羽根41a〜41dは主アーム42及び副アーム43に連結され、Y方向を羽根の41a〜41dの走行方向とする平行リンク機構を構成する。羽根51a〜51dは主アーム52及び副アーム53に連結され、Y方向を羽根の51a〜51dの走行方向とする平行リンク機構を構成する。
図8に示すように、主アーム42は、軸穴42a、係合穴42bを備える。軸穴42a、係合穴42bは、後述する駆動部材61に主アーム42を装着するための穴である。軸穴42aには駆動部材61を介して地板30の軸320が挿入され、主アーム42は軸320を中心として駆動部材61と共に回動自在である。
副アーム43は、軸穴43aを備える。軸穴43aには地板30の軸324が挿入され、副アーム43は軸324を中心として回動自在である。バネ44(付勢バネ)は、本実施形態の場合、軸324が挿通するねじりコイルバネであり、その一方端部が地板30に係止され、他方端部が副アーム43に係止される。バネ44は、その復元力によって羽根群41を閉状態にする方向に副アーム43を介して後述するアーム部610Bを付勢している。これにより羽根群41のがたつきを抑制できる。
なお、バネ44の他の配置例として、後述するアーム部610Bと地板30との間にバネ44に相当する弾性部材を設けて羽根群41を閉状態にする方向にアーム部610Bを付勢する構成も採用可能である。また、バネ44の更に別の配置例として、後述する本体部610Aとアーム部610Bとの間にバネ44に相当する弾性部材を設けて羽根群41を閉状態にする方向にアーム部610Bを付勢する構成も採用可能である。
バネ44のいずれの構成においても、先幕用の駆動バネ63Aによる本体部610Aの回動方向と反対の回動方向にアーム部610Bを付勢すればよく、これにより羽根群41が閉状態にする方向に付勢され、駆動部材61のアーム部610Bを後述の走行開始位置に向けて付勢することができる。そして、先幕用の駆動バネ63Aにより本体部610Aは、走行完了位置に向けて付勢することができる。
図9は、駆動部材61をチャージスライダ82によって駆動(回動)することで主アーム42および副アーム43を回動し、羽根群41を閉状態にした状態を示している。後述するようにチャージスライダ82は駆動部材61の本体部610Aを押動し、これにより本体部610Aを保持機構66Aに当接させる。アーム部610Bは、その動作に追従するようにバネ44による付勢力によって回動している。なお、図9においてはモータ81や保持機構66Aなどを省略して図示している。
羽根機構50は羽根機構40と同様の構成である。地板30には軸321、軸325が設けられ、主アーム52には主アーム42の軸穴42a及び係合穴42bに相当する軸穴及び係合穴(いずれも不図示)が設けられ、また、副アーム53には副アーム43の軸穴43aに相当する軸穴(不図示)が設けられる。バネ54もバネ44と同様の装着態様で地板30に取り付けられ、バネ54は、羽根群51を開状態にする方向に副アーム53を介して付勢している。これにより羽根群51のがたつきを抑制できる。
<3.駆動機構>
駆動機構60について主に図4、図10〜図16を参照して説明する。図10は駆動機構60の説明図であり、図2のI−I線断面図である。図11は駆動機構60を部分的に分解した斜視図である。図12は二方向から見た後幕用の駆動部材62の分解斜視図である。図13は先幕用の駆動部材61の斜視図である。図14は先幕用の駆動部材61の分解斜視図である。図15(A)〜図16(B)はウォームホイール64Aの周辺の構造を示す斜視図である。
駆動機構60は、羽根機構40を駆動する機構として駆動部材61、駆動バネ63A、ウォームホイール64A、ウォーム65A及び保持機構66Aを備え、羽根機構50を駆動する機構として、駆動部材62、駆動バネ63B、ウォームホイール64B、ウォーム65B及び保持機構66Bを備える。
図12に示す駆動部材62は、本体部材620、アマチャ622、バネ623及びアマチャ軸624を含む。本体部材620は例えば合成樹脂製の部材である。本体部材620はZ方向に延びる筒状部620aを含む。図11、図12に示す筒状部620aには、地板30の軸321が挿通され、駆動部材62は軸321回りに回動自在な回動部材である。駆動部材62(本体部材620)の回動位置は光センサPI2(図2参照)で検知される。光センサPI2はホルダHD2(図3、図5参照)、MG地板35を介して地板30に支持されている。
図12に示す筒状部620aの地板30側の端部は、羽根機構50の主アーム52の軸穴(不図示。羽根機構40の主アーム42の軸穴42aに相当。)を挿通する。筒状部620aの反対側の端部は駆動バネ63Bを挿通する。駆動バネ63Bのさらに先にはウォームホイール64Bが、軸321によって回動自在に支持される。
本体部材620はZ方向に突出するピン基部620cを含む。ピン基部620cには、耐久性向上を目的として金属製で円筒形状のピンカバー621aが装着され、羽根用の駆動ピン621が形成される。駆動ピン621は、羽根機構50の主アーム52の係合穴(不図示。羽根機構40の主アーム42の係合穴42bに相当。)を挿通し、また、地板30に形成された案内溝326B(図11)内を移動する。案内溝326Bにおける駆動ピン621の移動端にはゴムなどの緩衝部材326bが設けられ、駆動ピン621が案内溝326Bの周囲壁に当接するときの衝撃を緩衝する。
図11に示すように、本体部材620は筒状部620aに対して径方向に延出した係合部620bを含む。係合部620bはチャージ機構80によるチャージ動作時に、チャージ機構80に含まれる後カムギア855に設けられたカムから操作力の入力を受ける。換言すると、モータ81の駆動力が伝達される。この操作力により、駆動部材62は軸321を回動中心として図4において反時計回りに回動し、駆動ばね63Bがチャージされる。本実施形態では、係合部620bは図12に示すように本体部620に立設した軸部620eとその軸に回動自在に保持される回転体(ローラー)625からなっている。回転体625を用いることで後カムギア855の回動にしたがって、円滑に駆動力を伝達できる。
本体部材620は、また、アマチャ支持部620dを含む。アマチャ支持部620dにはバネ623を介してアマチャ622がアマチャ軸624によって取り付けられる。アマチャ622は保持機構66Bの磁力によって保持機構66Bに解放可能に保持される。
駆動バネ63Bは、本実施形態の場合、ねじりコイルバネである。駆動バネ63Bは駆動部材62とウォームホイール64Bとの間に設けられており、かつ、駆動バネ63Bの一端が駆動部材62に、他端がウォームホイール64Bに、それぞれ係止されて互いに連結されている。ウォームホイール64Bと噛合するウォーム65Bは、その軸方向をZ方向から所定の角度で傾斜してMG地板35に回動自在に支持されており、軸方向をXY平面方向とする構成よりもシャッタ2をXY平面方向で小型化できる。本実施形態においては、ウォーム65BがZ方向となす角度が小さくなるように傾斜させて支持するために、ウォームホイール64Bの歯溝も斜めに形成している。詳しくは後述する。
ウォーム65Bはウォームホイール64Bと噛み合っており、これによりウォームホイール64Bの回転方向の位置が固定される。チャージ動作により駆動部材62は初期位置からチャージ位置へ軸321回りに回動するが、ウォームホイール64Bはウォーム65Bとの噛み合いによって不動である。このため、駆動バネ63Bが巻き上げられて羽根を駆動する弾性エネルギーが蓄積される。チャージされた駆動バネ63Bは羽根群51が閉状態となる方向に付勢力を発揮する。羽根群51に対する付勢方向が駆動バネ63Bとバネ54とで逆方向となるが、駆動バネ63Bの付勢力の方がバネ54よりも十分に強い力である。
ウォーム65Bをドライバ等で回転させると、軸321に対するウォームホイール64Bの回転方向の位相が変化する。つまり、チャージ時の駆動バネ63Bの弾性変形量が調整され、その付勢力が調整されることで羽根群51の走行速度(幕速)を調整することができる。シャッタ2の完成状態で幕速を調整するためには、ウォーム65Bを回転させる必要があるが、ウォーム65Bの軸がXY平面を向いていると、その配置に制限がかかる。たとえばシャッタ2の完成状態では、ウォーム65Bの軸方向がX方向を向いていると、モータ81側の場合モータが邪魔となり、開口31aの場合光線を遮ってしまうこととなり、量産設備を考えたときドライバ等でウォーム65Bを操作することが困難となる。ウォーム65Bの軸方向を傾けることは設計自由度を増す意味でも効果がある。また、他の構造物の配置自由度が向上することによりシャッタ2のZ方向の小型化にも寄与する。
保持機構66Bは、磁力により駆動部材62をチャージ位置に保持する。図4は駆動部材62がチャージ位置で保持された状態を示している。保持機構66Bは、ヨーク66aとヨーク66aに巻きまわされたコイル66bとを含む電磁石であり、ヨーク66aはMG地板35に支持されている。コイル66bに対する通電と通電遮断により、アマチャ622の吸着と吸着解除が切り替えられる。これにより、チャージ位置での駆動部材62の保持と解放を切り替えることができ、解放によって図7の状態ST2に示すように駆動バネ63Bの付勢力で駆動部材62が時計回りに回動し、羽根群51が閉状態へ走行する。
次に、羽根機構40を駆動する機構について説明する。駆動機構60は、羽根機構40を駆動する機構として、駆動部材61、駆動バネ63A、ウォームホイール64A、ウォーム65A、保持機構66Aを備える。羽根機構40を駆動する機構は、羽根機構50を駆動する機構と基本的に同じであるが、駆動部材61の構造に違いがある。
図13及び図14に示すように、駆動部材61は、本体部材610、アマチャ612、バネ613及びアマチャ軸614を含む。本体部材610は、本体部610Aとアーム部610Bとの2つの回動部材をZ方向に組み合わせた二部材構成であり、いずれも例えば合成樹脂製の部材である。本体部610AはZ方向に延びる筒状部610aを含み、アーム部610Bは筒状部610aと同軸上に、筒状部aが挿通される筒状部610eを含む。筒状部610aは地板30の軸320が挿通され、本体部610A及びアーム部610Bはそれぞれ独立して軸320回りに回動自在である。本体部610Aには駆動バネ63Aが連結され、アーム部610Bには羽根群41が連結される。
駆動部材61(アーム部610B)の回動位置は光センサPI1(図2、図3参照)で検知される。光センサPI1はホルダHD1(図3、図5参照)、MG地板35を介して地板30に支持されている。
筒状部610eは、羽根機構40の主アーム42の軸穴42aを挿通し、筒状部610aは駆動バネ63Aを挿通する。ウォームホイール64Aは、駆動バネ63AよりMG地板35側に配置され、軸320に回転自在に支持される。
アーム部610BはZ方向に突出するピン基部610cを含む。ピン基部610cには、耐久性向上を目的として金属製で円筒形状のピンカバー611aが装着され、羽根用の駆動ピン611が形成される。駆動ピン611は、羽根機構40の主アーム42の係合穴42bを挿通し、また、地板30に形成された案内溝326A(図6参照)内を移動する。案内溝326Aにおける駆動ピン611の移動端にはゴムなどの緩衝部材326aが設けられ、駆動ピン611が案内溝326Aの周囲壁に当接するときの衝撃を緩衝する。
またアーム部610Bは外周面にカム部610iを構成する。カム部610iは後述の係止レバー74のリブ744と当接する形状となっている。
本体部610Aは筒状部610aに対して径方向に延出した係合部610bを含む。係合部610bはチャージ機構80によるチャージ動作時にチャージスライダ82から操作力の入力を受ける。換言すると、モータ81の駆動力が伝達される。この操作力により、本体部610Aは軸320を回動中心として図4において反時計回りに回動する。
本体部610Aは、また、アマチャ支持部610dを含む。アマチャ支持部610dにはバネ613を介してアマチャ612がアマチャ軸614によって取り付けられる。アマチャ612は保持機構66Aの磁力によって保持機構66Aに解放可能に保持される。
駆動バネ63Aは、本実施形態の場合、ねじりコイルバネである。駆動バネ63Aは本体部610Aとウォームホイール64Aとの間に設けられており、かつ、駆動バネ63Aの一端が本体部610Aに、他端がウォームホイール64Aに、それぞれ係止されて互いに連結されている。ウォーム65Aは、その軸方向をZ方向から所定の角度で傾斜してMG地板35に回動自在に支持されており、ウォーム65Aの軸方向をXY平面方向とする構成よりもシャッタ2をXY平面方向で小型化できる。
ウォーム65Aはウォームホイール64Aと噛み合っており、これによりウォームホイール64Aの回転方向の位置が固定される。チャージ動作により駆動部材61(本体部610A)は初期位置からチャージ位置へ軸320回りに回転するがウォームホイール64Aはウォーム65Aとの噛み合いによって不動である。このため、駆動バネ63Aが巻き上げられて羽根を駆動する弾性エネルギーが蓄積される。チャージされた駆動バネ63Aは羽根群41が開状態となる方向に付勢力を発揮する。羽根群41に対する付勢方向が駆動バネ63Aとバネ44とで逆方向となるが、駆動バネ63Aの付勢力の方がバネ44よりも十分に強い力である。
本体部610A及びアーム部610Bはそれぞれ独立して軸320回りに回動自在であるが、バネ44は、副アーム43を介してアーム部610Bを反時計回りに付勢する付勢バネである。アーム部610Bは、本体部610Aのアマチャ支持部610dに当接する係合部610gを含む。バネ44の付勢により、係合部610gがアマチャ支持部610d側に押し付けられるため、チャージされた駆動バネ63Aの付勢力により本体部610Aが時計回りに回動すると、アーム部610Bも本体部610Aによって押動されて一体的に回動して羽根群41が開状態に走行することになる。
本実施形態の場合、ピン基部610cの根元部分に係合部610gが形成されている。ピン基部610cには負荷がかかるため、その根元部分は厚みのある基部とすることが好ましいところ、係合部610gによりこの基部を兼用することで、ピン基部610cの剛性を向上しつつ、部品のコンパクト化を図れる。
ウォーム65Aをドライバ等で回転させると、軸320に対するウォームホイール64Aの回転方向の位相が変化する。つまり、チャージ時の駆動バネ63Aの弾性変形量が調整され、その付勢力が調整されることで羽根群41の走行速度(幕速)を調整することができる。シャッタ2の完成状態で幕速を調整するためには、ウォーム65Aを回転させる必要があるが、ウォーム65Aの軸がXY平面を向いていると、その配置に制限がかかる。たとえばシャッタ2の完成状態では、ウォーム65Aの軸方向がX方向を向いていると、モータ81側の場合モータが邪魔となり、開口31aの場合光線を遮ってしまうこととなり、量産設備を考えたときドライバ等でウォーム65Aを操作することが困難となる。ウォーム65Aの軸方向を傾けることは設計自由度を増す意味でも効果がある。また、他の構造物の配置自由度が向上することによりシャッタ2のZ方向の小型化にも寄与する。
保持機構66Aは、磁力による保持力で駆動部材61(本体部610A)をチャージ位置に保持する。図7の状態ST1は駆動部材61がチャージ位置で保持された状態を示している。保持機構66Aは、ヨーク66aとヨーク66aに巻きまわされたコイル66bとを含む電磁石であり、ヨーク66aはMG地板35に支持されている。
コイル66bに対する通電と通電遮断により、アマチャ612の吸着と吸着解除が切り替えられる。これにより、チャージ位置での駆動部材61の保持と解放を切り替えることができ、解放によって図7の状態ST2に示すように駆動バネ63Aの付勢力で駆動部材61が時計回りに回動し、羽根群41が開状態へ走行する。
<ウォームホイール>
ウォームホイール64Aの構造について、図15(A)〜図16(B)を参照して説明する。なお、ウォームホイール64Bも同様の構造を有している。
本実施形態のウォームホイール64Aは、ギアの歯が周面に形成された周壁を有し、その周壁の一部にスリット状の係止部640が形成されている。駆動バネ63Aの端部はこの係止部640に係止される。なお、本実施形態の場合、ギアの歯筋方向或いは歯溝方向が、ウォームホイール64Aの軸方向と平行ではなく、傾斜している。このように歯溝を斜めに形成することで、ウォーム65AのZ方向に対する傾きの角度をより小さくすることができる(Z方向に近付く)。
シャッタ2の小型化の要請に伴い、それぞれの機構部材は小さく、薄くなる一方だが、駆動バネ63Aの付勢力が小型化に見合うだけ弱くなるわけではない。言い換えると各機構を担う機構部材が小型化することで、駆動バネ63Aの一端を係止しているウォームホイール64Aの係止部640にかかる負荷は相対的に強くなるとも言える。
ウォームホイール64Aの係止部640が駆動バネ63Aの力を受けて変形してしまうことは避けなければならない。係止部640が変形してしまうと安定したバネ力が得られなくなり、露出精度などに影響してしまう。かといって、ウォームホイール64Aの材料を特殊なものとすればコストアップの要因となり、全体として大型化すれば小型化の要請に対応できない。
そこで小型化を維持しつつこの変形を防止するため、本実施形態では、ウォームホイール64Aの周壁の、周方向で係止部640に隣接した部位に、補強部641A、641Bを形成している。補強部641A、641Bを部分的に形成することで、係止部640を必要な範囲で補強でき、ウォームホイール64Aの大型化やコストアップを抑制できる。
補強部641A、641Bのうち、駆動バネ63Aのチャージ時のバネ力を負担するのは補強部641Aである。したがって、補強部641Bを設けない構成も採用可能であるが、係止部640の周方向両側に補強部641A、641Bを設けることで、係止部640の補強性能を向上できる。
補強部641A、641Bは、材料の変更により強度向上を図ってもよいが、ウォームホイール64Aの製造が複雑化する場合がある。本実施形態では、ウォームホイール64Aの周壁の厚さ(径方向の厚さ)を増すことで厚肉部として、周方向で係止部640の一方側に設けられた第一の厚肉部としての補強部641Aと、他方側に設けられた第二の厚肉部としての補強部641Bを形成している。つまりウォームホイール64Aの周壁に形成されていたギア歯面の一部を、ギア歯面としては使えない状態にし、歯溝を埋めることで強度を確保している。補強部641A、641Bは、歯溝部分の肉厚よりも厚ければよいが、本実施形態の場合は歯先部分と同じかそれよりも厚い肉厚としている。具体的には、Z方向における駆動バネ63A側の一端(端部64a側)では、補強部641は歯先部分よりも肉厚であり、駆動バネ63Aとは反対側の他端(端部64b側)では、補強部641は歯先部分と略同等の肉厚である。
本実施形態の場合、係止部640は、ウォームホイール64Aの軸方向の端部64aの側に開口し、反対側の端部64bの側には閉じている。強度的には、端部64aの側が弱くなり易い。本実施形態の場合、補強部641A、641Bの周方向の幅は、端部64a側で広くされており、外観上、三角形状、或いは、台形状を有している。これにより、端部64aの側において、係止部640の周囲の強度を高めることができる。また、補強部641A、641Bの肉厚(径方向の厚さ)も、端部64a側で厚くされている。これにより、端部64aの側において、係止部640の周囲の強度を高めることができる。
一方、補強部641A、641Bを形成したことで、ウォームホイール64Aの周壁には、ウォーム65Aと噛み合えなくなる部分が発生する。つまり、回転自在に支持されているウォームホイール64Aの回転角を360度とすると、ウォーム65Aと噛み合えない角度が、強度を増すためにギア歯面が無くなった角度分発生することになる。
本実施形態では、噛み合えない角度をなるべく小さくするために、言い換えると補強部641Aがウォーム65Aから効果的に逃げられるように、ウォーム65Aに近い補強部641Aを形成している。具体的には、補強部641Aは、周方向で係止部640側の側面641a’と、反対側の側面641aとを有している。側面641a’は係止部640の内側面を形成している。
ウォーム65A側にある側面641aは、ウォームホイール64Aの歯溝と交差する方向に形成されている。これにより、ウォームホイール64Aの軸方向の向きに、側面641aが近くなり、補強部641Aとウォーム65Aとが干渉する範囲を小さくすることができる。側面641aをウォーム65Aの軸方向に沿って傾斜すると、補強部641Aとウォーム65Aとが干渉する範囲をより小さくすることができる。側面641aとウォーム65Aを傾ける角度を合わせることで、小型化を維持しつつ、駆動バネ63Aの負荷に耐えられ、さらになるべくウォーム65Aと噛み合える角度を確保することができるようになる。この点においても、ウォーム65Aを傾けることは効果的である。
一方、ウォーム65Aから遠い補強部641Bは、周方向で係止部640側の側面641b’と、反対側の側面641bとを有している。側面641bは、歯溝に沿って形成されている。これは成形上のメリットがある。すなわち、ウォームホイール64Aを樹脂製とし、射出成形のような型成形で製造する場合、型からウォームホイール64Aを排出する際、歯溝が斜めであるため、ウォームホイール64Aはその軸回りに回転しながら排出される。その際、側面641bが歯溝に沿って形成されていることで、補強部641Bがウォームホイール64Aの排出の妨げにならない。
<4.係止機構及びバウンド抑制機構>
係止機構70及び羽根群41のバウンド抑制機構について説明する。まず、係止機構70と羽根群41のバウンド抑制機構について主に図17及び図18を参照して説明する。図17は係止機構70の分解斜視図である。図18は係止レバー及び抑制レバーを二方向から見た斜視図である。
係止機構70は、本体部610Aをチャージ位置に維持しつつ羽根群41を開状態に維持可能な機構である。上記のとおり、本実施形態では本体部610A及びアーム部610Bはそれぞれ独立して軸320回りに回動可能である。チャージ動作により、駆動部材61をチャージ位置に移動する際、係止機構70でアーム部610Bを係止することで、本体部610Aがチャージ位置に移動する一方、アーム部610Bは初期位置に留めることができ、シャッタを切る直前まで開口31aを開放しておくことができる。係止機構70によるアーム部610Bの係止を解放すると、バネ44の付勢力でアーム部610Bも走行開始位置へ回動し、羽根群41は閉状態となる。チャージ位置に保持されている本体部610Aに対し当接することでアーム部610Bは走行開始位置で停止する。
係止機構70は、ベース部材71、カバー部材72、アクチュエータ73、係止レバー74を含む。係止レバー74には抑制レバー75が係合している。ベース部材71はアクチュエータ73を支持する部材であり、カバー部材72はアクチュエータ73を覆う部材である。ベース部材71は地板30に取り付けられる。
アクチュエータ73は、本実施形態の場合、ロータリソレノイドタイプのアクチュエータであり、回転子730と、電磁石731とを含む。回転子730は円筒状の永久磁石730aと、永久磁石730aに取り付けられたアーム部材730bとを含み、アーム部材730bの端部には駆動ピン730cが一体に設けられている。電磁石731は、ヨーク731aとヨーク731aに巻きまわされたコイル731bとを含む。ヨーク731aはC字型の部分を含み、ここに回転子730が挿入される。コイル731bへの通電により、回転子730がZ方向の軸回りに回動する。コイル731bの通電方向の切り替えにより回転子730の回動方向を切り替えることができる。
係止レバー74は、地板30に設けられた軸323a(図6参照)が挿通する軸穴742を含み、軸323aに回動自在に支持される。係止レバー74の一方端部には、回転子730の駆動ピン730cと係合する係合部740が形成されている。本実施形態の場合、係合部740はC字型を有している。係止レバー74の他方端部には、係止部741が形成されている。係止部741は断面形状がL字型の部分であり、駆動部材61のアーム部610Bの係合部610fと係合してアーム部610Bを係止する。係止部741の裏側にはピン状の連結部743が形成されている。
係止レバー74の軸穴742の周囲の円筒部の一端面にはリブ744が設けられている。リブは円筒の一部が切り欠かれたC字状の形状となっている。切り欠かれた箇所は駆動部材61の逃げ形状となっており、リブ744は駆動部材61と当接する形状となっている。
抑制レバー75は、地板30に設けられた軸323b(図6参照)が挿通する軸穴751を含み、軸323bに回動自在に支持される。抑制レバー75の一方端部には、係止レバー74の連結部743と係合する連結部750が形成されている。本実施形態の場合、連結部750はC字型を有している。抑制レバー75の他方端部には、係止部752が形成されている。係止部752は駆動部材61のアーム部610Bの係合部610hと係合してアーム部610Bのバウンド、つまり、羽根群41のバウンドを抑制する。
係止機構70及び抑制レバー75の動作について図36を参照して説明する。同図はシャッタ2の動作説明図である。状態ST31は回転子730が係止位置にある場合を示し、状態ST32は回転子730が解除位置にある場合を示している。コイル731bへの通電は、基本的に回転子730が係止位置または解除位置に回動すれば終了するように設定されている。
回転子730が係止位置にある場合、係止部741が駆動部材61のアーム部610Bの係合部610fと係合可能となる。状態ST31では本体部610Aはチャージ位置に位置しているが、アーム部610Bは係止レバー74によって初期位置に係止されている。このため、羽根群41は開状態にある。
回転子730が係止位置から解除位置へ回動すると、係止レバー74が軸323aを中心として時計回りに回動して係止部741と係合部610fとの係合が解除される。すると、バネ44の付勢によりアーム部610Bは走行開始位置へ回動し、羽根群41は閉状態となる。
抑制レバー75は係止レバー74に連動して係止レバー74とは逆方向に回動する。すなわち、係止レバー74が、回転子730が係止位置にある係止状態(状態ST31)から回転子730が解除位置にある解除状態(状態ST32)に回動して遷移する間に、軸穴751(軸323b)を中心として反時計回りに回動する。
回転子730が解除位置にある場合、状態ST32に示すように、係止部752はアーム部610Bの係合部610hと係合可能な係合位置へと移動する。この係合は、羽根群41が閉状態から開状態へ向かう方向へのバウンドを抑制する。つまり、羽根群41がバネ44の付勢により開状態から閉状態へ変化したのち、開状態側へバウンドすることが抑制される。
回転子730が解除位置から係止位置へ回動すると、抑制レバー75が軸323bを時計回りに回動して係止部752と係合部610hとの係合が解除される解除位置へ移動する。これにより、駆動バネ63Aの付勢で羽根群41を閉状態から開状態へ走行させることが可能となる。なお、係止部752は、その係合位置において、本体部610Aがチャージ位置に移動する際に、その移動軌跡上に先端が位置するように形成されている。その時に係止部752をアーム部610Bの係合部610hによって滑らかに押し退けることができるように、係止部752における係合部610hとの当接面には曲面が形成されている。
<5.チャージ機構>
チャージ機構80について説明する。まず、地板30によるモータ81の支持構造について主に図19及び図20を参照して説明する。図19及び図20はモータ81の支持構造の説明図であり、図19はモータ81と地板30の分解斜視図であり、図20は図2のII−II線断面図である。
地板30の機構支持部32はモータ81を支持するモータ支持部328を含む。モータ支持部328はモータ81の胴部81bを受け入れる凹部328aと、胴部81bを固定する取付部328bとを含む。取付部328bは凹部328aのY方向の一端部側においてZ方向に突出して、地板30と一体に形成されている。取付部328bは、モータ81の胴部81bの端部を固定する取付穴328d、モータ81の回転軸81aが挿通する穴328eを有している。また、取付部328bには、胴部81bの端面に形成された穴と係合して胴部81bの回転を規制するピン状の係合部328fが設けられている。
モータ81は凹部328a上に配置され、取付部328bに固定される。開口形成部31や機構支持部32の凹部328aの周囲における面30aを基準とすると(図20の線L1参照)、モータ81は地板30にZ方向に一部が埋設された態様で支持されている。埋設度合として、本実施形態の場合、開口31aとモータ81の配置方向(X方向)で見ると、胴部81bと開口31aは重なっている。図17でいうと開口31aの位置は線L1と線L2との間にあり、胴部81bと重なっていることが理解される。こうした配置によって、モータ81としてサイズが大きな高出力のモータを採用した場合であっても、Z方向のシャッタ2の厚さをより薄くでき、シャッタ2の小型化を図れる。また、モータ81の重量が重い場合、撮像装置10を誤って落下させた場合などに、モータ81がモータ支持部328から脱落する場合があるが、凹部328aが脱落防止壁となってモータ81の脱落を防止できる。
凹部328aの肉厚は一定とされ、凹部328a地板30の面30a側ではその周囲から凹む一方、反対側の面30b側では、開口形成部31や機構支持部32の凹部328aの周囲における面30bを基準とすると(図17の線L2参照)、その周囲から凸状に隆起している。地板30の厚さを部位によらず、概ね一定とすることでその重量増を抑制できる。例えば、カバー板36を凹部328aが突出するZ方向の範囲内に設けることによって無駄なスペースを少なくできる。
凹部328aはY方向に延設されており、そのX方向の断面形状は、円柱形状を有するモータ81の胴部81bに合わせた円弧形状を有している。凹部328aが、曲面殻形状を有していることで、軽量化とモータ支持部328の剛性向上を図ることができる。また、凹部328aが胴部81bの外形に沿った形状となることで無駄な空間となる隙間を削減し、モータ81の脱落防止壁としての機能も高めることができる。胴部81bの周面は凹部328aの底面に接していても僅かに離れていてもよいが、いずれの場合も、本実施形態では凹部328aの底壁を貫通するスリット328cを形成したことにより、モータ81の放熱性を向上することができる。
なお、図19に示すようにモータ81におけるY方向の他端部側には、モータ端子81dが設けられている。モータ端子81dは、モータ81の製造時に、モータ端子81dとモータ81との位相を調整しながら加締めるため、出力軸を中心に20度程のバラつきを持って回転して固定されることがある。それに対し、モータ81実装時にはモータ81の端子がZ軸やX軸の正方向側に向くようにすれば、作業性を向上することができる。そのため、本実施形態においては、モータ端子81dと当接し、端子がX軸の正方向側に向くように、モータ端子部材81eを取り付けている。
すなわち、モータ端子部材81eは、その側面に形成された曲面に沿うように設けられた電極部81gがモータ端子81dと接触するようにモータ81の他端側に対して取り付けられ、端子81fがX軸正方向を向くように設けられる。電極部81gは、モータ81の胴部81bの周方向に沿うように所定の長さを有しているため、上述したモータ端子81dのバラつきがあっても、確実に接触させることができるとともに、端子81fがX軸正方向に向くように容易に固定することができる。
モータ端子部材81eは、その中央に形成された穴部が、モータ81の他端側に設けられた凸部に嵌合することで位置決めされる。加えて、モータ端子部材81eにおけるX軸負方向側の端部には、平坦部が設けられており、モータ端子部材81eをモータ81に固定するための固定冶具に設けられた位置決めのための平坦面に対して当接させることで、モータ81に対するモータ端子部材81eの取り付け角度を適正な位置に合わせることができる。
なお、本実施形態では、地板30にモータ支持部328を一体的に設けたが、モータ支持部328が地板30と別の部材であってもよく、例えば、撮像装置10側にモータ支持部328及びモータ81が備えられる構造も採用可能である。
次に、開口31aとモータ81との間には、駆動機構60の機構やチャージ機構80のモータ81以外の機構並びにバウンド抑制機構900等、羽根群41及び51の動作に関わる機構が配置されている。羽根群41及び51の動作に関わる機構と胴部81bとはX方向に密に配置され、シャッタ2のX方向の小型化を図っている。
MG地板35は、胴部81bと羽根群41及び51の動作に関わる機構との隙間を覆うカバー部材としても機能する。図20において、線L3よりも胴部81b側にMG地板35の端部が突出しており、胴部81bとチャージスライダ82の上部との隙間を覆っている。これにより、隙間を介してごみが機構へ侵入することを抑制できる。
線L4は、MG地板35のうち、後述する膨出部35bを除いた地板30からの高さ(Z方向の距離)を示しており、膨出部35bを除くと、MG地板35は胴部81bよりも低い位置に配置される。また、膨出部35bは、線L3で示す胴部81bのX方向の端点からずれた位置で胴部81bの外周面へ突出することで、X方向の小型化を図れる。
MG地板35の上の領域はフレキシブル基板38の配設領域として活用することができる。つまり、胴部81bのZ方向の幅内に各種の機構やフレキシブル基板38等を収めることができ、シャッタ2のZ方向の小型化を図れる。フレキシブル基板38は、シャッタ2が備えるセンサ用の配線やコイル通電用の配線を含むことができる。特に、フレキシブル基板38上に配置されるコンデンサなどの電気部品をフレキシブル基板38のZ軸正方向側に設け、フレキシブル基板38上に配置される電気部品を避けて後述するカバー部材37を設けることでZ方向の厚みを抑えてカバー部材37を設けることができる。
MG地板35の開口31a側にはL字型のカバー部材37が設けられている。カバー部材37はZ方向およびX方向での駆動機構60へのごみの侵入を抑制できる。MG地板35の形状並びにゴミ侵入防止の形状等について図21(A)及び図21(B)を参照して説明する。図21(A)及び図21(B)はMG地板35の周辺の斜視図であり、チャージスライダ82の位置が異なっている。
MG地板35の位置はできるだけ地板30に近づけて配置したいが、チャージスライダ82の上からのごみの進入は防ぎたい。そのためMG地板35は、前述したように、その形状の一部はフレキシブル基板38の配設領域35aを兼ねたカバー部材として使用するが、それと同時にフレキシブル基板38とはZ軸方向で地板30からの距離の異なる高さであるチャージスライダ82の上面を覆えるように膨出部35bを形成している。
ここで、本実施形態では小型化のために、傾けたウォーム65A、65Bをチャージスライダ82と、対応するウォームホイール64A、65Aの間に配置している。更に述べると、ウォーム65A、65Bはその軸方向がZ−Y平面上に含まれ、Z方向に見た場合、
ウォーム65A、65Bは、Y方向に延び、かつ、対応する駆動部材61、62と重なるように配置されている(図10も参照)。こうしたウォーム65A、65Bの配置は、シャッタ2のZ方向の小型化とX方向の小型化に寄与する。
一方、図21に示すように、ウォーム65A、65Bは、型抜き加工及び曲げ加工で形成された、MG地板35のウォーム保持部35c、35cに回転自在に保持されている。このウォーム保持部35c、35cの剛性が弱いと、落下や振動でウォーム65A、65Bと、ウォームホイール64A、64Bの噛み合いが外れてしまい、駆動バネ63A、63Bの弾性エネルギーが解放されてしまう可能性がある。
膨出部35bは、本実施形態の場合、MG地板35の原材料となる板の曲げ加工により、Z方向に膨出しているが、膨出部35bはその一側面がY方向から傾斜した形状を有しており、Z方向で見ると、Y方向に向かって徐々にX方向の幅が変化しており、ギアトレイン85側(ウォーム65B側)で幅広、逆側(ウォーム65A側)で幅狭とされている。換言すると、楔形或いは三角形状若しくは台形状を有している。
膨出部35bをY方向に沿った、X方向の幅が均一の単純な段曲げ形状とした場合、チャージスライダ82の動作範囲を避けるために、膨出部35bが幅広の帯状に形成されることになり、ウォーム保持部35c、35cを形成しづらくなる。また、MG地板35の板金加工の際、ウォーム保持部35c、35cのつなぎ部351の形状が展開できずに切れてしまう場合もあり得る。
ウォーム保持部35c、35cの剛性を増すためにはMG地板35自体の素材の厚みを増やすことや剛性の高い材料を選択する方法もあるが、厚みを増やすと小型化に対して不利となるし、剛性の高い材料に変更するにも限度がある。その場合は形状や加工方法で剛性を確保することになる。たとえばMG地板35に絞り加工を行い、膨出部35bを形成すればつなぎ部351も残るため目的は達成できるが、型の管理が複雑になる上、加工難易度があがってしまう。
そこで本実施形態では、MG地板35の一部をY軸方向から斜めに傾けた直線で曲げることで膨出部35bを形成している。こうすることで、比較的単純な直線での曲げ加工で膨出部35bを作り出すことができ、膨出部35b自体の面積も少なくすることで配設領域35aも広くすることができ、ウォームつなぎ部351も形状が途切れることなく確保することができてウォーム部の剛性も確保できる。
モータ81以外のチャージ機構80の構成について主に図4、図22〜図28を参照して説明する。図22はチャージスライダの案内機構の説明図、図23はチャージスライダ82の斜視図、図24〜図26はチャージ機構80の構造説明図であり、図24は図3のIII−III線断面図、図25は図3のIV−IV線断面図である。図26〜図28はギアトレイン85等の説明図である。
チャージ機構80は、モータ81を駆動源として、駆動機構60に対して駆動バネ63A、63Bのチャージ動作を行う機構である。チャージ機構80は、駆動機構60を操作するチャージスライダ82、先幕用のカムギア854(先カムギア854)、後幕用のカムギア855(後カムギア855)、チャージスライダ82の移動を案内するガイドシャフト83及び84、モータ81の駆動力を先カムギア854や後カムギア855に伝達するギアトレイン85、及び、チャージスライダ82を初期位置へ付勢するコイルバネ86を含む。
チャージ機構80は、駆動バネ63Aのチャージ用の機構と、駆動バネ63Bのチャージ用の機構と、共通の機構とを含む。共通の機構は、モータ81及びギアトレイン85である。駆動バネ63Aのチャージ用の機構は、先カムギア854、チャージスライダ82、ガイドシャフト83及び84等である。ギアトレイン85及び先カムギア854はチャージスライダ82に駆動力を伝達する伝達機構である。駆動バネ63Bのチャージ用の機構は、後カムギア855である。本実施形態では、駆動バネ63Aのチャージ動作はチャージスライダ82の直線往復運動を利用した直動方式とし、駆動バネ63Bのチャージ動作は、後カムギア855の回動運動を利用した回動方式としている。
ガイドシャフト83及び84はいずれもY方向に延設され、かつ、互いにZ方向に離間して配置されている。ガイドシャフト84はガイドシャフト83よりも地板30から遠い位置に配置されている。地板30はガイドシャフト84の両端部を支持する一対の支持部329を含む。支持部329はZ方向に立設された柱状の部材であり、地板30に一体に形成されている。ガイドシャフト83のY方向の長さは、ガイドシャフト84よりも短くされ、その一端部は一対の支持部329の一方に支持され、他端部は地板30に設けられた支持部329とは異なる支持部に支持されている。これらの支持部は、ガイドシャフト83及び84の各端部が嵌合する支持穴を備えている。ガイドシャフト83の各端部が嵌合する支持穴は、Z方向に長い長穴であってもよい。これにより、例えば、製造誤差を吸収できる。
チャージスライダ82は、ガイドシャフト84が挿通する一対の挿通部(ここでは穴)820aと、ガイドシャフト83が挿通する一対の挿通部(ここでは長穴)820bとを含む。穴820a及び長穴820bはガイドシャフト84、83とチャージスライダ82とを係合する係合部である。穴820aは円形に閉じた穴であり、穴820bは一部に直線を伴いつつ閉じた穴である。ガイドシャフト84が一対の穴820aを挿通することで、チャージスライダ82のY方向の直線移動が案内される。ガイドシャフト83が一対の長穴820bを挿通することで、チャージスライダ82のガイドシャフト84回りの揺動が規制される(回り止め)。一対の長穴820bは周囲の部品配置に応じて切欠きとすることもできる。
本実施形態のように、チャージスライダ82の移動をガイドするために2本ガイドシャフトを用いた場合、2本の間隔を固定してしまうと、製造誤差等の影響でチャージスライダ82の動作を妨げることがあるため、上述したように、一方のガイドシャフトの支持穴を長穴にすることで、製造誤差の影響を低減している。一方、チャージスライダ82を移動させる操作力は、入力部821から入力されるが、操作力を受けた入力部821がX方向に移動してしまいチャージスライダ82の直進動作の精度が低下することを、入力部821と隣接するガイドシャフト84の支持穴を穴として、ガイドシャフト84の支持部における変位を規制することによって防いでいる。
また、一対の穴820aと一対の長穴820bをY方向に離間して配置したことで、連続的な穴または長穴とする構成よりも、チャージスライダ82の小型化やスライド時の低摩擦化を図れる。更に、一対の長穴820bとガイドシャフト83の組と、一対の穴820aとガイドシャフト84の組とがZ方向に離間していることで、これらがX方向に離間している構成よりもシャッタ2のX方向の小型化を図れる。
チャージスライダ82は、本体部820、係合部821、操作部822、抑止操作部824を含む。本体部820は例えば合成樹脂により一体的に形成され、上述した穴820a、長穴820bを形成する部分を含む。チャージ動作時の移動方向で見ると、穴820a、長穴820bは係合部821よりも前側に離間して配置されている。
本体部820は、図24に示すように、モータ81の胴部81bに隣接して配置され、かつ、胴部81bを避けるようにX方向に凹んだ凹部82aを有している。凹部82aは、穴820a、長穴820bを形成する部分が胴部81b側へ傾斜していることにより形成されている。本実施形態の場合、本体部820のZ方向の中央部と胴部81bのZ方向の中央部が、地板30の面30aから見て略同じ高さにある。
このため、本体部820のうち、Z方向の中央部はX方向で開口31a側へ寄せ、両端部(つまり穴820a、長穴820bを形成する部分)はX方向でモータ81側に寄せることで、チャージスライダ82をモータ81に近接しつつ、干渉しないように配置している。
図24に示すように、チャージスライダ82のモータ81側の側面形状は、胴部81bと同軸の仮想円C1に概ね沿った湾曲面形状(円弧面形状)とされている。このような配置によりシャッタ2のX方向の小型化を図ることができる。本実施形態では、ガイドシャフト83、84の位置が、線L3よりも開口31a側にあるが、その少なくともいずれか一方を、部分的に、線L3よりもモータ81側に位置させることも可能である。これにより、シャッタ2のX方向の小型化を更に図ることができる。
また、チャージスライダ82は、Z方向でモータ81の胴部81bの幅(直径)W1の範囲内に位置している。シャッタ2のZ方向の厚さを略モータ81の直径に収めることができ、シャッタ2の薄型化を図れる。
コイルバネ86は地板30と本体部820との間に設けられており、チャージスライダ82を初期位置へ付勢する。ガイドシャフト83はコイルバネ86を挿通しており、コイルバネ86の支持軸としても機能している。ガイドシャフト83によりチャージスライダ82の移動の案内とコイルバネ86の支持とを兼用することで部品点数を削減できる。このように、チャージスライダ82は、先カムギア854によって往動し、コイルバネ86の圧縮による付勢力によって復動する。
係合部821は、ギアトレイン85及び先カムギア854を介してモータ81の駆動力が入力される入力部(被押動部)であり、本実施形態の場合、Z方向の軸回りに回転自在に本体部820に支持された金属製のコロである。この係合部821はガイドシャフト83、84とZ方向で一部が重なって配置されている。係合部821は、専用のホルダ823を介して本体部820に支持されているが、本体部820には軸支のみとし、ガイドシャフト84で係合部821を規制してZ方向で30側への移動(脱落)を規制することも可能である。これは、ホルダ823を不要とする点で部品の削減になる。なお、係合部821は本体部820に着脱可能とされている。係合部821であるコロとして、直径の異なるコロを選択的に利用することで、チャージスライダ82の移動ストロークの調整を行うことも可能である。
ここで、図24に示す仮想面VSは、地板30の開口31aを含むX−Y平面上の基準面である。本実施形態の場合、距離H1は仮想面VSから係合部821の地板30側の端点までの距離を示し、距離H2は仮想面VSからガイドシャフト84の係合部821側の端点までの距離を示している。
H1>H2の関係にあり、係合部821はガイドシャフト84よりも仮想面VSから離れた位置に配置されている。このため、Z方向でガイドシャフト84よりも仮想面VS側の空間を他の構成を配置する空間として利用することができる。本実施形態の場合、後カムギア855はガイドシャフト84よりも仮想面VS側に配置されている。そして、この空間に後カムギア855の一部が、その回動動作中に進入可能なレイアウトとされ、回動動作中にガイドシャフト84とZ方向に後カムギア855が重なる。このようにガイドシャフト84と地板30との間の空間を機構部品の配置空間として利用することで例えばY方向におけるシャッタ2の小型化が図れる。また、ガイドシャフト83は、後カムギア855よりも仮想面VSの側に配置されており、本実施形態の場合、ガイドシャフト83とガイドシャフト84の間の空間を後カムギア855の動作空間として利用している。
次に、操作部822は、駆動機構60のうち駆動部材61を操作する部分であり、本実施形態の場合、Z方向の軸回りに回転自在に本体部820に支持された金属製のコロである。この操作部822も係合部821と同様に、ガイドシャフト83、84とZ方向で一部が重なって配置されている。係合部821及び操作部822はモータ81の駆動力を伝達する部位であり、これらを金属製とすることで機構の耐久性を向上することができる。また、係合部821及び操作部822をガイドシャフト83、84と重なるように配置することで、ユニット全体のXY方向での小型化を図ることができる。
係合部821がガイドシャフト84に対して、仮想面VSから遠い位置にあるのに対し、操作部822はガイドシャフト84よりも仮想面VS側に配置されている。これにより、仮想面VSに対する操作部822と後カムギア855の距離を略同じにすることができ、先カムギア854と後カムギア855とがZ方向に異なる位置に配置されながら、駆動部材61、62をZ方向に略同じ位置に配置することができる。
なお、本実施形態の場合、係合部821は1つ設けているが、2つでもよいし、3以上でもよい。操作部822も同様である。
後カムギア855は駆動機構60のうち駆動部材62を操作する。後カムギアには駆動部材62を操作するカム部855aと、ギアトレイン85からの力を受けるギア部855bを含み、たとえば一体で成形された合成樹脂製の部材である。
先カムギア854及び後カムギア855はそれぞれモータ81から連なるギアトレイン85からの力の入力を受け、先カムギア854はチャージスライダ82を介して駆動部材61を、後カムギア855は駆動部材62を操作し、操作力を受けた駆動部材61及び62は回動してそれぞれの駆動バネ63A、63Bをチャージする。
なお、本実施形態においては、ガイドシャフト84に対して仮想面VSから遠い位置にある先カムギア854によって駆動部材61を操作し、ガイドシャフト84よりも仮想面VS側にある後カムギア855によって駆動部材62を操作しているが、これに限られず、ガイドシャフト84に対して仮想面VSから遠い位置にあるカムギアによって駆動部材62を操作し、ガイドシャフト84よりも仮想面VS側にあるカムギアによって駆動部材61を操作するように構成しても良い。
ギアトレイン85は、ギア850〜854を含む。地板30は、これらを回転自在に支持するZ方向の軸327a〜327c及び322を含む(図6等参照)。図27に示すように、ギア850は軸327a上にウォームホイール850aと平ギア850bとを備え、これらが一体に回転する。ウォームホイール850aはモータ81の回転軸81aに取り付けられたウォームギア81cと噛み合う。ここで、駆動力伝達系の回転軸方向をX方向からZ方向へ変換することで、ギア850〜854の直径が大きくてもシャッタ2のZ方向の厚さを薄型化できる。
ギア851は軸327b上に平ギア851a、851b及び851cを備え、これらが一体に回転する。平ギア851aは平ギア850bと噛み合い、平ギア851bは後述する平ギア852と噛み合い、平ギア851cは後カムギア855と噛み合う。上述したように、チャージ機構80は、駆動バネ63Aのチャージ用のチャージ機構と、駆動バネ63Bのチャージ用のチャージ機構とに共通の機構とを含み、具体的には、モータ81及びギアトレイン85である。特に、モータ81は共通の駆動源であり、ギア850、ギア851は共通の駆動ギアである。
ギア852は軸327c上に設けられた平ギアであり、同じ軸上でギア852と一体的に回転するようにギア853と連結されている。先カムギア854はギア部854bとカム部854aを備え、これらが一体に回転可能に軸322上に支持された回動部材である。後カムギア855はギア部855bとカム部854aを備え、これらが一体に回転可能に、先カムギア854と同じ軸322上に支持された回動部材である。
後カムギアは軸322の根元側、先カムギアは軸322の先端側に配置されている。本実施形態の場合、ギア852、ギア853、先カムギア854、後カムギア855の減速比は1である。軸327c上には、また、被検知部材852aが設けられている。被検知部材852aはギア852と一体的に回転する。被検知部材852aの回転位置は光センサPI3(図4においてその配置のみ示している。)により検知される。被検知部材852aの回転位置を検知することで、ギア852の回転位置を検知している。
本実施形態の場合、ギア852とギア853と先カムギア854と後カムギア855の減速比はすべて1であるため、被検知部材852aの回転位置の検知結果を、減速比で換算することなく、先カムギア854及び後カムギア855の回転位置として利用することができる。
先カムギア854及び後カムギア855の回転位置を直接検知するセンサを設けることも可能である。しかし、本実施形態では、機構のレイアウト上、それぞれのカムギアの周辺にセンサの配置スペースを確保することが困難である。そこで、それぞれのカムギアと同期的に回転する被検知部材852aを介して、それぞれのカムギアの回転位置を検知するようにしている。
なお、被検知部材852aのZ方向の位置は、モータ81の胴部81bのZ方向の厚みの範囲内にある。これはシャッタ2のZ方向の小型化に寄与する。
先カムギア854は、チャージスライダ82にモータ81の駆動力を入力する部材である。先カムギア854は、係合部821に当接するカム部854aを含む。本実施形態の場合、本体部820は係合部821がカム部854aの当接による押圧により、チャージスライダ82をY方向に直動させる。
後カムギア855は、駆動機構60の駆動部材62に駆動力を入力する部材である。後カムギア855は駆動部材62の係合部620bに当接するカム面855aを含む。本実施形態の場合、駆動機構60の駆動部材61は、先カムギア854から駆動力の入力を受けたチャージスライダ82の操作部によりチャージ動作を行い、駆動部材62は、後カムギア855から駆動力の入力を直接受けてチャージ動作を行う。
このように、本実施形態においては、駆動部材61を操作するチャージスライダ82に駆動力を入力する先カムギア854と、駆動部材62を操作する駆動力を入力する後カムギア855とを同じ軸上に設けており、すなわち、それぞれの駆動力を入力する入力部を設けるためのスペースをZ方向に重ねることによって省スペース化が可能な構成となっている。
これらのギア850〜855は、最終的にはそれぞれの回転軸先端にMG地板35が組み込まれることでZ方向の規制となる。しかしMG地板35が組み込まれるまでの組立途中では不慮の事故で部品が外れてバラバラになる可能性もある。そこで、本実施形態ではそのようなアクシデントを回避するためMG地板35とは別に、組立上の保安措置として機能する規制を設けている。具体的には、ギア852、ギア851、ギア850の順に、一部を重ねながら配置し、かつギア853の、回転軸先端側にチャージスライダ82の一部を重なるように配置している。また、ガイドシャフト84の端部がギアトレイン85(特にギア850、851))とZ方向に重なるように配置されている。
このように構成することで、ガイドシャフト84を組み込んだ時点で、ギアトレイン85の構成ギアのZ方向の規制をガイドシャフト84とチャージスライダ82で行うことが可能となる。組み込んだギア850〜855は容易には外れなくなり、組立工程の管理も簡易で対応できる。また、これらギア群を押さえるようにガイドシャフト84やチャージスライダ82を配置することで、言い換えれば、ギアの隙間を縫うように配置することで、シャッタ2全体の小型化に貢献している。本実施形態では、平ギア851のZ方向の規制がMG地板35では困難なため、別途ギアカバー部材を配置しているが、この部品も周囲の部品の隙間を埋めるように構成しており、シャッタ2が大きくならないように配慮している。
図29〜図31はチャージ機構80の動作説明図であり、駆動機構60に対するチャージ機構80によるチャージ動作の例を示している。状態ST21は先カムギア854のカム部854aがチャージスライダ82の係合部821に当接し始めた段階を示す。このとき、後カムギア855のカム部855aは、まだ駆動部材62の係合部620bに当接していない。駆動機構60の駆動部材61、62はいずれも初期位置に位置している。
状態ST22は先カムギア854と後カムギア855の回転が進行した状態を示す。カム部854aが係合部821をY方向に押圧することでチャージスライダ82がY方向に移動する。少なくとも状態ST22の段階で先カムギア854はZ方向にガイドシャフト84と重なっている。
チャージスライダ82の移動により、操作部822が駆動部材61を操作する。具体的には、操作部822が駆動部材61の係合部610bに当接してY方向に押圧する。これにより、駆動部材61は反時計回りに回動する。状態ST23では後カムギア855のカム部855aが駆動部材62の係合部620bに当接した状態であり、そのとき駆動部材61はほぼチャージが終了している。状態ST24では、カム部855aが係合部620bを押圧しており、駆動部材62は反時計回りに回動する。なお、図29〜図31の例では係止機構70によるアーム部610Bの係止は行っておらず、駆動部材61の本体部610Aとアーム部610Bとは一体的に回動している。
状態ST25は先カムギア854と後カムギア855の回転が更に進行した状態を示す。先カムギア854のカム部854aによる係合部821の押動は続き、係合部821がカム部854aのカムトップに当接している。また、後カムギア855のカム部855aによる係合部620bの押圧も続き、係合部620bがカム部855aのカムトップに乗っている。これにより、チャージスライダ82の操作部822が駆動部材61を、後カムギア855が駆動部材62を回動させ、駆動部材61、62がチャージ位置に到達する。
その後、保持機構66A、66Bの駆動により、駆動部材61、62がチャージ位置に保持される。先カムギア854及び後カムギア855の回転が更に進行していくと、やがてカム部854aと係合部821、及びカム部855aと係合部620bとの当接もそれぞれ解消され、チャージスライダ82はコイルバネ86の付勢により初期位置に戻り、状態ST26のように駆動機構60はそれぞれの保持機構によって吸着保持された状態となる。少なくとも状態ST26の段階で後カムギア855はZ方向にガイドシャフト84と重なっている。本実施形態では、チャージスライダ82の往復移動範囲が、モータ81の軸方向の全長YM以内である。これによりシャッタ2のY方向の小型化を図れる。
<チャージタイミング>
連写性能を向上する場合、露光動作後に短時間でチャージ動作を完了することが重要である。そのためには先幕と後幕のチャージ動作を同時に行うことが時間短縮の上では有利であるが、一方でチャージ時に先幕と後幕との間に隙間が発生すると撮像素子3へ光が漏れる場合があり、撮影済みの画像へ影響を与える場合がある。本実施形態では、チャージ動作の際、先幕と後幕との間に隙間が発生することを防止する。
図29〜図31を再び参照してチャージ動作における操作部822、後カムギア855と、対応する係合部610b及び係合部620bとの係合タイミング、並びに、駆動部材61及び62の回動量について説明する。
チャージスライダ82が図の下側へ移動するにつれて、まず、状態ST21に示すように操作部822の周面が、対応する係合部610bに当接することで両者が係合する。この段階では後カムギア855と、対応する係合部620bとは係合していない。つまり、本実施形態の場合、操作部822と係合部610bとの係合が、後カムギア855と係合部620bとの係合よりも早いタイミングで生じるように構成されている。このタイミングの調整は、初期位置におけるカム部854aとカム部855aの当接タイミングや、操作部822のY方向位置を変更することで実現している。
操作部822と係合部610bとが係合しつつ、チャージスライダ82の移動が進行すると、駆動部材61が図で反時計回りに回動する。この結果、先幕を構成する羽根群41が、後幕を構成する羽根群51が開状態に移行し始めるよりも先に閉状態に移行し始める。このため、羽根群41と羽根群51の端部を確実に重ねることができ、隙間が生じることを防止できる。
チャージスライダ82の移動がさらに進行すると、状態ST23に示すように、後カムギア855のカム部855aが、対応する係合部620bに当接することで両者が係合する。このため、駆動部材62も同図で反時計回りに回動し始め、後幕を構成する羽根群51が開状態に移行し始める。このときはすでに羽根群41はチャージ終了直前となっている。
チャージスライダ82の移動及び後カムギア855の回転がさらに進行すると、状態ST25に示すように駆動部材61及び62がチャージ位置に到達する。この段階では先幕を構成する羽根群41が閉状態にあり、後幕を構成する羽根群51が開状態にある。
<6.バウンド抑制機構>
次に後幕バウンド抑制機構900について図32及び図33を使い説明する。図32及び図33はバウンド抑制機構900の動作説明図である。
駆動部材62の露光動作(羽根群51の走行動作)の衝撃を適切に緩和できない場合、羽根群51は露光動作を終了した後に駆動部材62の跳ね返りに伴って再露光(後幕バウンド)が発生することになる。この羽根群51のバウンドを抑制するために、本実施形態では後幕バウンド抑止機構900を設けている。
後幕バウンド抑止機構900は、羽根群51のバウンド抑制のために、羽根群51を動作させている駆動部材62のバウンドを抑止する機構であり、ロックレバー910、反転レバー920及びロックばね930を含む。ロックレバー910及び反転レバー920はチャージスライダ82に隣接し、かつ駆動部材62に隣接して配置されており、ロックレバー910はカバー板33にZ方向に立設されたロック軸33bに、反転レバー920はカバー板33にZ方向に立設された反転軸33cに、それぞれ回動自在に支持されている。
ロックレバー910及び反転レバー920は、いずれもY方向で駆動部材61と駆動部材62の間に配置されている。
ロックレバー910は、駆動部材62を介して羽根群51のバウンドを抑制する抑制位置と、抑制を解除する退避位置との間で変位可能な抑止部材であり、本実施形態では、この抑止部材の変位は回動である。ロックレバー910は、チャージスライダ82に設けた抑止操作部824による反転レバー920を介した操作により、抑止位置から退避位置へ変位可能である。すなわち、チャージ動作時のチャージスライダ82の変位を利用してロックレバー910を操作し、駆動部材62の回動抑止を解除する。
露光動作直前の状態においては、図32の状態ST71のようにロックレバー910に設けられた抑止部910aは駆動部材62の作動軌跡内に入り込んでいる。露光動作の際、羽根群51を閉状態へ走行させる駆動部材62の回動によって一度、駆動部材62の作動軌跡外に押しのけられる(状態ST72)。図33の状態ST73のように、駆動部材62が羽根群51の走行完了位置近傍まで回動したときに、ロックバネ930の付勢力により再度、駆動部材62の作動軌跡内に入り込む。つまり、ロックばね930はロックレバー910を抑止位置に付勢する抑止弾性部材である。その後、駆動部材62が跳ね返ってきても、ロックレバー910の抑止部910aが駆動部材62に設けられた被抑止部であるピン基部620cに係合し、バウンドが抑止される。
チャージ時は駆動部材62がチャージされる前にロックレバー910を退避させる必要があるが、図33の状態ST74のようにチャージスライダ82がチャージ方向に移動する途中で、抑止操作部824と反転レバー920の被係合部920aが係合する。反転レバー920が反転軸33cを中心に反時計回りに回転させられることで、反転レバー920の押動部920bがロックレバー910の被押動部910aに当接する。そのまま反転レバー920の回動が進むと、ロックレバー910はロック軸33bを中心に時計回りに回転させられ、抑止部910aが駆動部材62の作動軌跡内から退避する。その後、駆動部材62のチャージが開始される。退避しているロックレバー910は、レリーズ動作開始時のチャージスライダ82が駆動部材61の作動軌跡から退避するタイミングでロックバネ930の付勢力によって退避位置から抑止位置まで戻り、状態ST71の状態に戻る。
本実施形態のように駆動部材62と直接連動していない部材であるチャージスライダ82を使って駆動機構62のバウンドを抑止するロックレバー910と反転レバー920を動作させることで、抑止・退避ともに安定して確実に動作するバウンド抑止機構900を構成することができる。
さらに、駆動部材62をチャージする後カムギア855とは別の、先幕側をチャージする部材であるチャージスライダ82を使うことで、駆動部材62の抑止や退避、先幕・後幕のチャージタイミングなどの、動作と位相を考慮しなければならない項目が減り、設計の自由度が増す。すなわち、チャージタイミングに合わせて、駆動部材62の抑止や退避を確実に行うことができる。
なお、本実施形態では先幕側のチャージ機構が直動方式であるため、直動するチャージスライダ82によりバウンド抑制機構900の操作を行ったが、先幕側のチャージ機構を回動方式としてもよく、その場合、回動する先幕用の駆動部材によりバウンド抑制機構900の操作を行ってもよい。
<7.ガイドシャフトの撓み規制>
ガイドシャフト84を支持する一対の支持部329の距離が離れると、ガイドシャフト84の中間部分において撓みが発生し易くなる。ガイドシャフト84は、チャージ動作毎にチャージスライダ82を介して先カムギア854からの駆動力が作用する。駆動力が繰り返し作用することにより、ガイドシャフト84はモータ81側へ撓む場合がある。また、ユーザが誤って撮像装置10を落下させる場合もある。この場合もガイドシャフト84に衝撃が作用して撓む場合がある。
ガイドシャフト84が撓んだ状態で塑性変形すると、チャージスライダ82の円滑な動作を妨げる要因になる。そこで、本実施形態では、ガイドシャフト84の撓みを規制する構造を有している。図34(A)は地板30の一部の斜視図、図34(B)は地板30の平面図である。図35は図34(B)のV−V線断面図である(但し、地板30が図の下側に位置するように図形を回転している。
地板30には、ガイドシャフト84の撓みを規制する2つの規制部30e、30fが設けられている。規制部30e、30fは地板30と別部材であってもよいが、本実施形態の場合、地板30に一体に形成され、特に、モータ81が取り付けられる取付部328bのX方向の一方端部に一体に形成されている。
規制部30e、30fは、いずれも、一対の支持部329の間の区間に配置され、ガイドシャフト84の周面に対向するように配置されている。規制部30e、30fはガイドシャフト84の周面と接していてもよいが、ガイドシャフト84の周面との間に微小隙間(例えば0.1〜0.3mm程度)を有していてもよい。
規制部30eは、ガイドシャフト84がX方向に撓むことを規制する。本実施形態の場合、X方向で見ると、ガイドシャフト84の一側方に先カムギア854が配置され、反対側の他側方に規制部30eが配置されている。つまり、規制部30eは、先カムギア854からチャージスライダ82を介してガイドシャフト84に作用する駆動力により、ガイドシャフト84がX方向に撓もうとした場合に、ガイドシャフト84の周面に当接して、この撓みを抑えるように配置されている。
規制部30eは、チャージスライダ82の移動区間内に配置されているものの、チャージスライダ82とは干渉しない位置に配置されている。具体的には、規制部30eがチャージスライダ82と最も近づくのは、図32の状態ST71等に示すように、チャージスライダ82がチャージ動作を開始する時の初期位置にある場合である。このとき、規制部30eは、図35に示されるように係合部821の下方に位置しているので干渉しない。チャージスライダ82が図示の位置において規制部30eはチャージスライダ82とZ方向に重なる位置に配設されており、シャッタ2の小型化に寄与する。なお、規制部30eによってチャージスライダ82の動作が妨げられないように、チャージ動作を開始する時のチャージスライダ82の本体部820の位置よりもY軸正方向側かつ係合部821のZ軸負方向側に位置するように規制部30e、30fが設けられている。
先カムギア854の駆動力によるガイドシャフト84の撓み防止の観点から言えば、チャージ動作時における、チャージスライダ82に対する先カムギア854からの駆動力のX方向の分力線上に規制部30eが配置されていることが効果的である。但し、本実施形態の場合、チャージスライダ82が移動するにつれて、チャージスライダ82に対する先カムギア854からの駆動力のX方向の分力線の位置が変化する。これらの点を考慮して、本実施形態の場合、規制部30eは、チャージ動作の開始時における係合部821と係合部821に近い側の挿通部820aとの間の区間(図32の状態ST71の区間SC)においてガイドシャフト84の周面に対向するように配置されている。
規制部30fは、ガイドシャフト84がZ方向に撓むことを規制する。規制部30fは、本実施形態の場合、規制部30eと連続して形成されているが、異なる部位に形成されてもよい。規制部30fもZ方向でチャージスライダ82と重なる位置に配置されおり、シャッタ2の小型化に寄与する。Z方向で見ると、規制部30fはガイドシャフト84よりも地板30側に位置しているため、チャージスライダ82と干渉することもない。
本実施形態においては、規制部30e、30fを、モータ81の胴部81bを固定する取付部328bと一体に設けている。このように構成することで、モータ81を固定する取付部828bの端部を利用してガイドシャフト84の撓みを規制することができ、別途規制部を設ける必要がなく、省スペースに実現することができる。
<8.全体の動作例>
シャッタ2の全体の動作例について図36〜図43を参照して説明する。図36〜図38はシャッタ2の動作説明図であり、主に撮像装置10の単写動作の例を示している。
図36の状態ST31はシャッタ2が待機状態にある段階を示している。シャッタ2は待機状態としてノーマリオープンとノーマリクローズを選択的に選ぶことが可能であるが、ここではノーマリオープンを選択した場合を例示している。羽根群41、51がいずれも開状態にあり、開口31aは開放している。係止機構70の回転子730は係止位置に位置しており、アーム部610Bは係止レバー74によって初期位置に係止されている。駆動部材61、62はチャージ位置に保持されている。係止機構70において、回転子730が係止位置にある状態を係止状態とする。
シャッタ操作を検知して撮像装置10の制御部から制御信号が出力されると、係止機構70を駆動して回転子730が解除位置に回動する。これによりアーム部610Bと係止レバー74との係合が解除され、バネ44の付勢により状態ST32に示すように羽根群41が一旦閉状態に走行する。
回転子730を解除位置に回動したことに伴って、上述したように抑制レバー75がアーム部610Bの係合部610hと係合して羽根群41のバウンドが抑制される。係止機構70において、回転子730が解除位置にある状態を解除状態とする。また、係止機構70の動作と同時にモータ81の駆動により先カムギア854が回転してカム部854bと係合部821との当接が解消され、チャージスライダ82はコイルバネ86の付勢により初期位置に戻る。
これによって駆動機構61の係合部610bと操作部822との当接が解消され、駆動機構61はオーバーチャージ位置から保持機構66Aで保持される位置へ、駆動バネ63Aの付勢力で移動する。同じくモータ81の駆動により、後カムギア855が回転してカム部855bと係合部620bとの当接が解消され、駆動機構62は羽根群51を伴ってオーバーチャージ位置から保持機構66Bで保持される位置へ、駆動バネ63Bの付勢力で移動する。
なお、抑制レバー75は、アーム部610Bの回動によって一度アーム部610Bの作動軌跡内から外れても、係止機構に通電された状態であるため、再度アーム部610Bの作動軌跡内に戻ってきて、アーム部610Bのバウンドを抑制する。待機位置でのアーム部610Bのバウンド抑制時には、アーム部610Bのバウンド動作によって抑制レバー75が付勢されても係合が外れないように、抑制レバー75は先端に傾斜面を有している(アーム部610Bから抑制レバー75を反時計回りに回動させる方向の付勢力が傾斜面に加わる)。
続いて図37の状態ST33に示すように、係止機構70を駆動して回転子730を係止位置に戻す。これにより抑制レバー75は前述した回転軌跡内から外れる。
続いて状態ST34に示すように、保持機構66Aによる駆動部材61の保持が解除され、駆動バネ63Aの付勢により駆動部材61が時計回りに回動し、羽根群41が開状態へ走行することで開口31aが開放され、撮像素子3が露光する。このとき、駆動バネ63Aによって本体部610Aが回動することに伴い、アーム部610Bの係合部610gがアマチャ支持部610dによって押動されて本体部610Aとアーム部610Bとが一体となって回動する。
ここで図39〜図41を用いて駆動部材61と係止レバー74の関係を詳述する。前述のとおり保持機構66Aによる駆動部材61の保持が解除されると、駆動バネ63Aの付勢により駆動部材61が時計回りに回動し、図36の状態ST31のように羽根群41が開口31aを徐々に開放していく。
係止レバー74は、係止位置において、アーム部610Bの走行軌跡内にその先端が侵入するようになっているため、図39の状態ST37のように駆動部材61が時計回りに回動する過程で、アーム部610Bの係合部610fの当接面741bが係止レバー74の係合部741に接触する。
さらに駆動部材61の回動が進むと状態ST38に示すように係合部610fが係止レバー74の係合部741を押しのけ、さらに駆動部材61の回動が進むと状態ST39に示すように係合部741の左側へ通過する。係止レバー74は、当接面741bが曲面となっており、係合部610fによる押下げを円滑なものとする。
押し下げられた係合部741は、回転子730によって反時計回りの回転力を受けているが、この間に駆動部材61の回動がさらに進み、羽根群41が露出走行完了位置に到達すると、図40の状態ST39に示すように、アーム部610B外周面のカム部610iが、係止レバー74のリブ744と当接して、押動する。リブ744は、カム部610iが当接する位置に設けられた面が被押動部となる。そして、駆動部材61の回転のエネルギーによって、係止レバー74は軸穴742を中心として反時計回りに回転する。このようにして、係止レバー74は回転子730による付勢力と係止レバーのリブ744に与えられる駆動部材61の回転による力の2つの力によって係止状態の位置に回転する。ここで、開口31aを全開にした直後の羽根群41の位置を露出走行完了位置としているが、必ずしもこれに限られず、開口31aを全開にする位置から所定量走行した位置を露出走行完了位置としても良い。
さらに駆動部材61の回動が進むと、案内溝326Aに設けられた緩衝部材326aに駆動ピン611が衝突し、緩衝部材326aが潰れていくことで駆動部材61の回転が減速する。図40の状態ST40のようにこの間も駆動部材の外周面のカム部610iが係止レバーのリブ744を押し込んで、係止レバー74を時計回りに回転させる。
駆動部材61が緩衝部材326aに衝突した後、反発力を受けて駆動部材61が跳ね返って(バウンドして)反時計回りに回転を始める。バウンドが発生し駆動部材61が反時計回りに回転すると、図41の状態ST41に示すように駆動部材61のアーム部610Bの係合部610fが係止レバー74の係止部741の係止面741aに引っかかり、それ以上の回転を規制する。これにより羽根群41が地板の開口31aに進入することを規制する。
その後、駆動部材61は駆動バネ63Aの力を受けて再度時計回りに回転し、緩衝部材326aに接触した状態で安定して停止する。
前記のとおり、回転子730による反時計回りの回転力と、アーム部610Bの外周面のカム部610iが係止レバーのリブ744と当接することで発生する回転力とで、係止レバー74が反時計回りに回転する。このため、係止機構70を大型化させることなく、駆動部材61のバウンドが発生して係止レバー74による係止位置まで跳ね返る前に、係止レバー74を係止位置まで回転させることができる。こうして、係止レバー74によって羽根群41の露出走行完了後のバウンドを好適に抑制することが出来る。
ここで、一般的に緩衝部材326aは高温環境では変形しやすく、低温環境では変形しづらくなる。そのため、同じ衝突の力を受けても高温ではつぶれやすく衝突時の駆動部材61の回転量が大きくなり、低温ではつぶれにくく、衝突時の駆動部材61の回転量が小さくなるというように駆動部材61が停止する角度が温度によって影響を受けやすい。本実施形態では図40の状態ST40に示すように、駆動部材61が大きく回転したときに、外周面のカム部610iと係止レバーのリブ744が干渉しないような形状となっている。すなわち、駆動部材61の回転量が大きくなると、カム部610i(の一部)がリブ744から離脱するようになっている。係止レバー74は回転子から時計回りの回転力を受けているため、カム部610iと係止レバーのリブ744の間に隙間が出来て、高温環境中で駆動部材61が大きく回転しても良好な動作を得ることが出来る。
全体の説明に戻る。先羽根群の走行開始後、設定されているシャッタスピードに応じたタイミングで、保持機構66Bによる駆動部材62の保持が解除され、駆動バネ63Bの付勢により駆動部材62が時計回りに回動し、図38の状態ST35に示すように羽根群51が閉状態へ走行する。これにより開口31aが閉鎖され、撮像素子3の露光が終了する。駆動部材62が走行中は、先幕側と同じように、前述したような後幕側のバウンド抑制機構900が機能する。
続いてチャージ動作が実行される。モータ81の駆動により、先カムギア854及び後カムギア855が回転し、先カムギア854によってチャージスライダ82が移動し、駆動バネ63A及び63Bがそれぞれ駆動機構を介してチャージされる。このとき、アーム部610Bと係止レバー74との係合により、羽根群41は開状態が維持され、図38の状態ST36の状態に至る。これは図36の状態ST31と同じ状態である。以上により、一回のシャッタ動作が完了する。
連写撮影におけるチャージ動作は、先幕と後幕を同時にチャージする。この場合、チャージ動作の直前に係止機構70を駆動して回転子730が解除位置に回動することにより、係止レバー74がアーム部610Bから退避され、バネ44の付勢により羽根群41が駆動部材に追従して、地板の開口31aを閉鎖する。図42、図43を用いて詳述する。
図42の状態ST61は、撮像素子3の露光が終了したときのシャッタの状態であり、駆動部材61が時計回りに回転し終わった状態を示す。
状態ST62は係止機構70を駆動して回転子730が解除位置に回動した状態を示す。このとき、アーム部610Bは外周面のカム部610iが、係止レバーのリブ744と当接する。係止レバー74は回転子730の回転力によりアーム部610Bを押し付けるが、駆動部材61に取り付けられた駆動バネ63Aの力が大きいため、アーム部610Bは、係止レバー74によって押し付けられつつ停止する。
その後チャージ機構80によりチャージ動作が実行される。モータ81の駆動により先カムギア854並びに後カムギア855が回動する。先カムギア854からの力を受けてチャージスライダ82が移動し、係合部610bに押圧力を発生することによって、駆動部材61の本体部610Aが反時計回りに回転し、駆動バネ63Aがチャージされる。この時点では後カムギア855は、まだ駆動部材62に当接していない。アーム部610Bは、羽根機構40に取り付けられたバネ44の付勢によって本体部610Aに追従するように回転させられる。係止機構70が解除状態にあるため、アーム部610Bは本体部610Aに追従しながら回転していくことになる。また、チャージスライダ82が移動する途中で、反転レバー920がチャージスライダ82によって回動される。これによりロックレバー910による駆動部材62の抑止を解除し、駆動部材62をチャージ可能な状態にする。
図43のST63は、さらにチャージが進んだ状態である。チャージスライダ82は完全に移動が終わり、駆動部材61はチャージスライダ82によってオーバーチャージ位置で保持されている。後カムギア855は駆動部材62に当接してこれを反時計回りに回動させる。駆動バネ63Bがチャージされ始め、その後、状態ST64(待機位相)に戻る。
以上、本発明の実施形態について述べたが、本発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。