以下、実施形態について図面に従って説明する。尚、各図面における各部材は、各図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各部材毎に縮尺を異ならせて図示している。
(第1の実施形態)
本実施形態では、電子時計と、この電子時計を用いて時刻を修正する、時刻及び時差修正方法との特徴的な例について、図に従って説明する。第1の実施形態にかかわる電子時計について図1〜図16に従って説明する。図1及び図2は、電子時計の使用環境を説明するための模式図である。
図1に示すように、電子時計1に第1の電波2aを送信する複数の人工衛星3が地球の上空の所定の軌道を周回している。この人工衛星3はGPS衛星を示す。人工衛星3が送信する第1の電波2aを衛星信号という。電子時計1は複数の人工衛星3からの衛星信号を受信する機能を備えている。
空港等の建物には電子時計1に第2の電波2bを送信する無線局としてのビーコン4が設置されている。ビーコン4が送信する第2の電波2bをビーコン信号という。電子時計1はビーコン4から近距離無線通信の一種であるBLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)による通信を行う機能を備えている。BLEは低消費電力で通信できるブルートゥースの通信モードである。BLEの通信モードで通信することをBLE通信という。
図2に示すように、操作者5は腕に電子時計1を装着している。この電子時計1は腕時計である。そして、操作者5は飛行機6で移動して空港7に到着した。空港7の壁は鉄筋コンクリートで形成されているので電波を通しにくくなっている。従って、人工衛星3が発信する第1の電波2aを電子時計1は受信することができない。空港7の内部にはビーコン4が設置されている。ビーコン4は、例えば、40mの間隔をあけて配置されている。ビーコン4が発信する第2の電波2bを電子時計1が受信する。電子時計1はビーコン4から30m以内の場所で第2の電波2bを受信することができる。そして、電子時計1はビーコン4から発信された電波を受信して時刻修正を行う機能を備えている。
図3は電子時計の構造を示す模式平面図である。図4は電子時計を12時位置及び6時位置を通過する平面において切断した構成を示す模式側断面図である。図5は電子時計のムーブメントの分解斜視図である。
図3及び図4に示すように、電子時計1は円筒形の外装ケース8を備えている。外装ケース8における円筒形の軸に沿う一端にはカバーガラス9が配置され、他端には裏蓋10が配置されている。電子時計1のカバーガラス9側を表面側あるいは上側とし、裏蓋10側を裏面側あるいは下側として説明する。
外装ケース8は、円筒状の導電性のケース11に、ベゼル12を嵌合させた構成となっている。ケース11には2つの開口がある。これら2つの開口のうち表面側の開口は、ベゼル12を介してカバーガラス9で塞がれており、裏面側の開口は裏蓋10で塞がれている。外装ケース8の側面には、リュウズ13と4つのボタン14が設けられている。ボタン14は第1ボタン14a、第2ボタン14b、第3ボタン14c、第4ボタン14dで構成されている。リュウズ13及び4つのボタン14が指示受付部として機能する。
ケース11及び裏蓋10には、ステンレス鋼、チタン合金、アルミ、真鍮等の金属材料が利用される。ベゼル12には、ジルコニア、炭化チタン、窒化チタン、アルミナ等のセラミックが利用される。セラミックは電波を透過するので、電子時計1は無線通信性能が良い。
ベゼル12の内周側には、プラスチックで形成されたリング状のダイヤルリング15を介して、円形で平板状の文字板16が配置されている。文字板16には時刻を表示するための目盛が配置されている。文字板16は、非導電性を有し、かつ、少なくとも一部の光を透過させる透光性を有するポリカーボネート等のプラスチック材料により構成されている。
文字板16の平面中心位置には中央指針軸17があり、この中央指針軸17には時刻を示す中央秒針18、中央分針21、中央時針22が取り付けられている。以下、秒針、分針及び時針を指針と総称する。中央指針軸17は、中央秒針18、中央分針21及び中央時針22が取り付けられる3つの回転軸で構成されている。
また、文字板16には第1サブダイヤル23、第2サブダイヤル24、第3サブダイヤル25及びカレンダー窓26が配置されている。第1サブダイヤル23は6時位置側に設けられている。第2サブダイヤル24は10時位置側に設けられている。第3サブダイヤル25は2時位置側に設けられている。カレンダーを視認するためのカレンダー窓26は4時位置側に設けられている。
第1サブダイヤル23の中心位置には第1サブ指針軸27がある。この第1サブ指針軸27にはデュアルタイム表示のための指針である第1サブ分針28及び第1サブ時針29が取り付けられている。また、第1サブダイヤル23の外周には第1円環部30が配置され、第1円環部30には時刻を表す数字が表示されている。
第2サブダイヤル24の中心位置には第2サブ指針軸31がある。この第2サブ指針軸31にはモード及び電池残量表示のための第2サブ指針32が取り付けられている。第2サブダイヤル24の外周には第2円環部33が配置されている。第2円環部33において、左半分の9時位置から8時位置には電池残量を示す三日月鎌状の目盛が表示されている。第2サブ指針32により電池残量が表示される。
第2円環部33には衛星信号を用いた測時受信処理を実行中であることを示す「1」や、測位受信処理を実行中であることを示す「4+」のマークが表示されている。そして、測時受信処理や測位受信処理が実行中であることを第2サブ指針32が表示する。さらに、第2円環部33には、BLE通信を実行中であることを示す「BLE」のマークが表示されている。第2サブ指針32はBLE通信を実行中であることを表示する。
測時受信処理は人工衛星3から第1の電波2aを受信して、第1の電波2aから時刻情報を抽出する処理を示す。測時受信処理を行うことを測時受信、測時計測または測時という。測位受信処理は人工衛星3から第1の電波2aを受信して、第1の電波2aから電子時計1の位置を演算する処理を示す。測位受信処理を測位受信、測位計測または測位という。BLE通信はビーコン4から第2の電波2bを受信して、第2の電波2bから電子時計1の位置を演算する処理を示す。BLE通信をビーコンID受信ともいう。
第3サブダイヤル25の平面中心位置には第3指針軸34がある。第3指針軸34には、クロノグラフ表示のための第3サブ指針35が取り付けられている。
文字板16の表面側にはABS(Acrylonitrile、Butadiene、Styrene)樹脂等の非導電性部材である合成樹脂にて形成されたダイヤルリング15が設けられる。ダイヤルリング15は、文字板16の周囲に沿って配置され、内周面が傾斜面とされている。ダイヤルリング15をプラスチックで成形すれば、受信性能も確保でき、かつ、複雑な形状も形成できて意匠性を向上できる。
ベゼル12は同心円状の第1表面領域12aと第2表面領域12bを備えている。第2表面領域12bは第1表面領域12aの外周側に配置されている。第1表面領域12aの図中上側には協定世界時を示す「UTC」の文字が表示されている。そして、協定世界時との時差を表す時差情報が数字で表示されている。さらに、第2表面領域12bにはタイムゾーンの代表都市名を表す都市情報が表示されている。都市情報は、例えば、東京を示す「TYO」のように都市名を三文字のアルファベットで略したスリーレターコードで表示されている。
図4に示すように、文字板16の裏面側の領域にはムーブメント36が収容されている。このムーブメント36は、文字板16から裏蓋10に向かって順次配置された太陽電池パネル37、第1耐磁板38、カレンダー車39、地板41、駆動機構42、輪列受け43、回路基板44、第2耐磁板45、スペーサー46、回路押え板47及び二次電池48を備える。
回路基板44には、人工衛星3から発信された第1の電波2aを受信するための平面アンテナ49が配置されている。平面アンテナ49はパッチアンテナともいう。また、太陽電池パネル37は図示しない裏面保護材を備えている。そして、この裏面保護材はビーコン4から発信された第2の電波2bを受信する近距離無線通信アンテナとして機能する。第2の電波2bの周波数帯は特に限定されないが本実施形態では2.4GHz帯になっている。
カレンダー車39、地板41、輪列受け43及びスペーサー46の材質は、平面アンテナ49や近距離無線通信のアンテナの通信に影響しないように樹脂材料になっている。
次に、図4及び図5を用いてムーブメント36を構成する各要素を文字板16側から裏蓋10に向かう順にしたがって順次説明する。尚、図5では図を見やすくするために第1耐磁板38及び第2耐磁板45の位置のみ矢印で示し図を省略してある。
図4及び図5に示すように、文字板16の中心には中央貫通孔50が配置されている。中央貫通孔50には中央指針軸17が挿入される。第1サブダイヤル23の中心には第1サブ貫通孔51が配置されている。第1サブ貫通孔51には第1サブ指針軸27が挿入される。第2サブダイヤル24の中心には第2サブ貫通孔52が配置されている。第2サブ貫通孔52には第2サブ指針軸31が挿入される。第3サブダイヤル25の中心には第3サブ貫通孔53が配置されている。第3サブ貫通孔53には第3指針軸34が挿入される。他にも、第1サブダイヤル23と第3サブダイヤル25との間にカレンダー窓26が配置されている。
太陽電池パネル37は文字板16の裏側に位置している。そして、太陽電池パネル37は受光して発電する。太陽電池パネル37には表側から見た平面視において、文字板16のカレンダー窓26と重なる開口部54が形成されている。他にも、太陽電池パネル37には中央貫通孔55、第1貫通孔56、第2貫通孔57及び第3貫通孔58が形成されている。中央貫通孔55には中央指針軸17が挿入され、第1貫通孔56には第1サブ指針軸27が挿入される。第2貫通孔57には第2サブ指針軸31が挿入され、第3貫通孔58には第3指針軸34が挿入される。また、太陽電池パネル37には、表面側から見た平面視において、平面アンテナ49と重なる部分に第1切欠部61が形成されている。
太陽電池パネル37は、複数のソーラーセルに分割され、各セルは直列に接続されている。太陽電池パネル37において、分割された各ソーラーセルの受光面積は互いに等しくなっている。そして、太陽電池パネル37は各ソーラーセルが発電する電圧より高い電圧を出力する。
太陽電池パネル37の周辺には第1電極62が突出して配置されている。そして、第1電極62の近くには第2電極63が配置されている。第1電極62及び第2電極63はコイルバネ等の図示しない配線を介して回路基板44の正極用及び負極用の電源端子に導通されている。
第1耐磁板38は外部磁界によるモーターの誤動作を防ぐ。第1耐磁板38の材質は純鉄等高透磁率材である。第1耐磁板38は表面側から見た平面視で駆動機構42のモーターと重なる位置に配置される。第1耐磁板38は、導電性の板であるため電波受信の妨げとなる。そこで、表面側から見た平面視において、第1耐磁板38の平面形状は駆動機構42のモーターと重なり、かつ、平面アンテナ49と重ならない形状になっている。
地板41にはカレンダー車39が配置される。カレンダー車39はリング状に形成され表面に日付が表示されている。カレンダー車39はプラスチック等の非導電性部材により構成されている。表面側から見た平面視において、カレンダー車39は平面アンテナ49の一部と重なっている。しかし、カレンダー車39は非導電性のため、平面アンテナ49による衛星信号の受信に悪影響を与えない。
地板41には中央指針軸17、第1サブ指針軸27、第2サブ指針軸31及び第3指針軸34の各一端が軸支されている。この中央指針軸17、第1サブ指針軸27、第2サブ指針軸31及び第3指針軸34の各他端は、太陽電池パネル37に形成された中央貫通孔55、第1貫通孔56、第2貫通孔57及び第3貫通孔58を各々通過する。
さらに、中央指針軸17、第1サブ指針軸27、第2サブ指針軸31及び第3指針軸34の各他端は、文字板16に設けられた中央貫通孔50、第1サブ貫通孔51、第2サブ貫通孔52及び第3サブ貫通孔53を各々通過して、カバーガラス9側に突出している。そして、文字板16から突出した中央指針軸17に中央秒針18、中央分針21及び中央時針22が取り付けられている。第1サブ指針軸27に第1サブ分針28及び第1サブ時針29が取り付けられている。第2サブ指針軸31に第2サブ指針32が取り付けられている。第3指針軸34に第3サブ指針35が取り付けられている。
駆動機構42は、文字板16に設けられた中央秒針18、中央分針21、中央時針22、第1サブ分針28、第1サブ時針29、第2サブ指針32、第3サブ指針35及びカレンダー車39を駆動するための複数のステップモーター及び複数の輪列を有する。
駆動機構42における各ステップモーターは地板41に取り付けられている。輪列における多くの歯車64の軸は地板41及び輪列受け43間に支えられている。図5に示す歯車64はカレンダー車39を駆動する。表面側から見た平面視において、駆動機構42を構成するモーターや輪列は平面アンテナ49と重ならない領域に設けられている。
回路基板44の表面側にはビーコン通信回路65、制御表示モジュール66、電源制御回路67、平面アンテナ49が配置されている。また、回路基板44の裏面側にはGPS通信回路68が配置されている。
太陽電池パネル37の第1電極62及び第2電極63と回路基板44との間には第1導通部材69が配置されている。そして、太陽電池パネル37が発電した電力は第1導通部材69を介して回路基板44に送電される。また、太陽電池パネル37に設置された裏面保護材と回路基板44との間には第2導通部材70が配置されている。裏面保護材が受信した電波は第2導通部材70を介してビーコン通信回路65に伝送される。
平面アンテナ49は、人工衛星3から送信される1.575GHzの衛星信号を受信する。この平面アンテナ49はセラミックの誘電体基材71に導電性のアンテナ電極72を積層したパッチアンテナである。誘電体基材71は比誘電率が80〜200程度のチタン酸バリウムを成形して焼成したものである。導電性のアンテナ電極72の材質は銀である。
本実施形態における平面アンテナ49において、誘電体基材71は、例えば、表面形状が略正方形状であり、一辺の寸法は約11mmである。アンテナ電極72の表面形状は略正方形であり、一辺の寸法は約8〜9mmである。平面アンテナ49の厚みは3mm〜4mmである。
平面アンテナ49は回路基板44の表面側に実装され、回路基板44の裏面側に実装されたGPS通信回路68と電気的に接続される。さらに、平面アンテナ49の裏面側にはグランド電極が配置されている。回路基板44にはグランドパターンが配置されている。そして、平面アンテナ49のグランド電極と回路基板44のグランドパターンとが導通しているので、回路基板44はグランドプレーンとして機能する。
回路基板44の裏面側には第2耐磁板45が配置されている。駆動機構42のモーターが外部磁界の影響によって誤動作しないように、第2耐磁板45は外部磁界を遮断する。このように、駆動機構42のモーターを第1耐磁板38及び第2耐磁板45が上下から挟んでいる。そして、第1耐磁板38及び第2耐磁板45がモーターの誤動作を防止する。
回路押え板47には裏蓋導通バネ47aが設置されている。裏蓋導通バネ47aは板バネであり裏蓋10と電気的に接触する。また、回路基板44のグランドパターンは回路押え板47と電気的に接触する。従って、回路基板44のグランドパターンは裏蓋10と接触する。裏蓋10はケース11と電気的に接触する。裏蓋10及びケース11の材質は金属であり導電性を有する。従って、回路基板44のグランドパターンを、回路押え板47を介して金属製のケース11や裏蓋10に導通することで、ケース11や裏蓋10もグランドプレーンとして利用している。裏蓋10やケース11をグランドプレーンとして利用することで、グランドプレーンの面積を大きくとることができ、アンテナ利得が向上してアンテナ特性を向上できる。
回路押え板47の中央には円形の切欠部47bが形成されている。この切欠部47bと対向する場所に二次電池48が配置され、二次電池48は回路基板44と電気的に接触する。
二次電池48は、平面円形に形成されたリチウムイオン電池である。二次電池48は、駆動機構42、ビーコン通信回路65、GPS通信回路68、制御表示モジュール66等に電力を供給する。二次電池48は衛星信号の受信時に10mA以上の電流を流す必要があるため、数十mAhの容量の電池が必要となる。このため、二次電池48の直径は20mmまたは16mm程度と大きい。二次電池48の厚みは2mm以下であり、二次電池48は薄型の電池になっている。
図6は、太陽電池パネルの構造を示す模式側断面図である。図6に示すように、太陽電池パネル37では表面保護材73、表面電極74、アモルファスシリコン半導体薄膜75、裏面電極76、絶縁膜77、裏面保護材78が積層されている。そして、太陽電池パネル37が受光するとき、表面電極74及び裏面電極76間に電圧が発生する。
表面保護材73は透光性を有し光を太陽電池パネル37の内部に透過させる。表面電極74は透明電極からなっている。アモルファスシリコン半導体薄膜75はp型半導体層75p、真性半導体層75i及びn型半導体層75nが積層された構造になっている。裏面電極76の材質はアルミニウムである。絶縁膜77は樹脂フィルムからなる。裏面保護材78はステンレス鋼からなる。そして、裏面保護材78が近距離無線通信アンテナとして使用される。
図7は、平面アンテナを示す模式側断面図である。平面アンテナはパッチアンテナとも言われる。平面アンテナ49は誘電体基材71がアンテナ電極72とグランド電極80に挟まれた構造になっている。グランド電極80は回路基板44上に形成されている。第1の電波2aは平面アンテナ49により受信される。このときの第1の電波2aと電気力線81は図に示す形態となる。パッチアンテナが方形の場合は一辺が半波長である場合に共振し、円形の場合は直径が約0.58波長である場合に共振する。
平面アンテナ49ではアンテナ電極72の縁に沿った強い電界がアンテナ電極72の縁から空間へ向かって放射される。このため、アンテナ近傍では電気力線81が強くなり、アンテナ近傍に位置する金属や誘電体は影響を受けやすい。GPS受信においては、金属製の外装ケース8とアンテナ電極72との距離は少なくとも3mm以上離すのが好ましく、理想的には4mm程度離すと良い。
図8は、電子時計の回路構成を示すブロック図である。電子時計1は、回路基板44に各々配置された制御表示モジュール66、GPS通信回路68、ビーコン通信回路65及び電源制御回路67等を有する。
GPS通信回路68は、平面アンテナ49が人工衛星3から受信した衛星信号を入力して通信する回路である。また、ビーコン通信回路65は、太陽電池パネル37の裏面保護材78により実現される近距離無線通信アンテナが受信した第2の電波2bを入力して近距離無線通信を行う回路である。
平面アンテナ49とSAWフィルター82(Surface Acoustic Wave)とが電気的に接続されている。そして、SAWフィルター82とGPS通信回路68とが電気的に接続されている。平面アンテナ49、SAWフィルター82及びGPS通信回路68により第1受信部としてのGPS受信部83が構成されている。GPS受信部83は時刻情報を含む衛星信号を受信する。衛星信号に含まれる時刻情報をGPS時刻情報とする。GPS受信部83は衛星軌道情報を含む複数の衛星信号を受信する。尚、SAWフィルター82はRFフィルター(Radio Frequency)であればよく特に限定されない。
SAWフィルター82は1.5GHzの衛星信号を通過させるバンドパスフィルターである。SAWフィルター82をGPS通信回路68内に組み込んだ構成としてもよい。
GPS通信回路68は、SAWフィルター82を通過した衛星信号を処理する。GPS通信回路68は第2電波回路84、第2ベースバンド回路85、第2水晶発振器86及び第2記憶部87を備えている。
第2電波回路84は、PLL(Phase Locked Loop)、VCO(Voltage Controlled Oscillator)、LNA(Low Noise AmplIFier)、ミキサー、IF(Intermediate Frequency)アンプ、IF(Intermediate Frequency)フィルター、ADC(Analog Digtal converter)を備えている。
PLL及びVCOは、第2水晶発振器86により発生されるクロックから受信周波数に対応した周波数の局部発振信号を発生する。SAWフィルターを通過した衛星信号は、LNAで増幅された後、ミキサーによってVCOからの局部発振信号とミキシングされ、IF(Intermediate Frequency)帯のIF(Intermediate Frequency)信号にダウンコンバートされる。ミキサーから出力されたIF信号はIFフィルター、IFアンプを通り、ADCによってデジタル信号に変換される。
第2ベースバンド回路85は、DSP(Digital Signal Processor)、CPU(Central Processing Unit)、RTC(Real Time Clock)、SRAM(Static Random Access Memory)を備えている。また、第2ベースバンド回路85は第2水晶発振器86及び第2記憶部87と接続されている。
そして、第2ベースバンド回路85は、第2電波回路84のADCからデジタル信号が入力され、相関処理や測位演算等を行うことにより、GPS時刻情報や測位情報を取得する。発振信号の基となるクロックは、第2水晶発振器86から第2ベースバンド回路85を介して第2電波回路84のPLLに供給される。第2水晶発振器86は温度補償回路付き水晶発振器である。
第2記憶部87はフラッシュメモリーであり電気的に記憶情報を書き換えすることができる。第2記憶部87にはローカルタイム情報からなる時差データベース等が記憶されている。第2記憶部87内の情報は、BLEの近距離無線通信により携帯情報端末やコンピューター等から取得され、第2記憶部87内に格納される。
第2記憶部87にはローカルタイム情報からなる時差データベース、衛星軌道データ、衛星の健康データ、前回起動したときの受信機データ、電離層データが記憶されている。衛星の健康データを参照することにより、使用できない衛星を排除することができる。前回起動したときの受信機データを参照することにより、GPS通信回路68の再起動時の測位の性能を上げることができる。電離層データを参照することにより、より正確な測位を行うことができる。
アンテナとして機能する裏面保護材78とビーコン通信回路65とが電気的に接続されている。そして、裏面保護材78及びビーコン通信回路65により第2受信部としてのビーコン受信部88が構成されている。ビーコン受信部88は屋内に設置された無線局から送信されたビーコン識別情報を有するビーコン信号を受信する。
ビーコン通信回路65は、第1電波回路130、第1ベースバンド回路131、第1信号制御部132及び第1水晶発振器133を備えている。第1水晶発振器133は16MHzのマスタークロックを発生する回路である。
第1電波回路130は裏面保護材78を介して受信される近距離無線通信信号を復調に適したIF(Intermediate Frequency)信号にダウンコンバートする。さらに、第1電波回路130はIF信号をデジタル形式に変換して第1ベースバンド回路131に出力する。さらに、第1電波回路130は第1ベースバンド回路131から入力したデジタル形式の信号をアナログ形式に変換する。そして、第1電波回路130は送信情報により変調されたIF信号を高周波信号にアップコンバートして裏面保護材78に出力する。
第1ベースバンド回路131は、復調部と変調部とを有する。ここで、復調部は、第1電波回路から出力されるデジタル形式のIF信号から受信情報を復調し、第1信号制御部132に供給する。この受信情報はビーコン4から送信された信号に含まれる情報である。また、変調部は第1信号制御部132から供給される送信情報によりキャリアを変調する。さらに、変調部はデジタル形式のIF信号を生成して第1電波回路130に供給する。
第1信号制御部132は第1電波回路130及び第1ベースバンド回路131を制御する。そして、第1信号制御部132はビーコン4との間でBLEによる通信を行う。
電源制御回路67は太陽電池パネル37及び二次電池48と電気的に接続されている。電源制御回路67は充電制御回路、電圧検出回路、第1レギュレーター、第2レギュレーター及び電圧検出回路を備えている。
太陽電池パネル37に光が入射して太陽電池パネル37が発電すると、充電制御回路は、この光発電により得られる電力を二次電池48に供給して二次電池48を充電する。二次電池48は第1レギュレーターを介して制御表示モジュール66及びビーコン通信回路65に駆動電力を供給する。さらに、二次電池48は第2レギュレーターを介してGPS通信回路68に駆動電力を供給する。このように太陽電池パネル37、二次電池48及び電源制御回路67によって駆動電力を供給する電源手段が構成されている。
充電制御回路は制御部89からの制御により太陽電池パネル37と二次電池48と間の電気的な接続と切断とを制御する。電圧検出回路が太陽電池パネル37の電圧を検出するときに充電制御回路は太陽電池パネル37と二次電池48とを電気的に切断する。
電圧検出回路は二次電池48の出力電圧をモニターして制御部89に出力する。すなわち、電圧検出回路は電源手段である二次電池48の電池残量を検出する。電圧検出回路で検出された二次電池48の電圧を入力して制御部89は受信処理を制御する。
電圧検出回路は、太陽電池パネル37の発電電圧を検出する。発電電圧は制御部89に入力される。太陽電池パネル37の発電電圧に基づいて、制御部89は電子時計1が屋外に配置されているか否かを判定する。
制御表示モジュール66は、制御部89と駆動機構42を駆動する駆動回路90とを備えている。そして、制御部89はプロセッサーとして各種の演算処理を行うCPU91(Central Processing Unit)、各種情報を記憶する記憶部としての第1記憶部92及び計時回路93を備えている。他にも、制御部89は入出力インターフェイス94及びデータバス95を備えている。計時回路93、駆動回路90、ビーコン通信回路65及びGPS通信回路68が入出力インターフェイス94及びデータバス95を介してCPU91に接続されている。
計時回路93は水晶発振器を備え、水晶発振器から出力される基準信号を用いて時刻を計時する。計時回路93はRTC(Real Time Clock)とも言われる。計時回路93が計時する時刻を時刻データとする。
第1記憶部92は書き換え可能の不揮発性メモリーを備えている。詳しくは、第1記憶部92には不揮発性メモリーであるフラッシュメモリーやROMが用いられている。不揮発性メモリーは電力を消費せずに記憶を維持することができる。第1記憶部92にはCPU91により実行される各種プログラムが記憶される。他にも、第1記憶部92にはGPS通信回路68から出力されるGPS時刻情報や測位情報が記憶される。
他にも、第1記憶部92には測位情報に対応する時差情報が記憶される。他にも、第1記憶部92にはビーコン通信回路65から出力される所定のビーコン識別情報とビーコン識別情報に対応する時差情報が記憶される。他にも、第1記憶部92は時刻修正の動作の制御手順や時刻修正の演算手順が記述されたプログラムを記憶する。第1記憶部92は書き換え可能なので、利用するビーコンの識別情報に対応する時差情報を変更することができる。
図9は、CPUの機能の構成を示すブロック図である。CPU91の機能は第1記憶部92に記憶されたプログラムを実行することにより実現される機能である。図9に示すようにCPU91の機能には第1時刻修正部及び第2時刻修正部としての時刻情報修正部96が含まれる。時刻情報修正部96はGPS通信回路68を起動して衛星信号を受信し、受信した衛星信号からGPS時刻情報を取得して時刻を修正する。このように、時刻情報修正部96はGPS受信部83で受信したGPS時刻情報を用いて時刻を修正する。他にも、受信した衛星信号から位置情報を取得して、時刻データを修正する。他にも、時刻情報修正部96はビーコン受信部88で受信したビーコン信号と第1記憶部92に記憶された時差情報とを用いて時差を修正する。
他にも、CPU91の機能には表示制御部97が含まれる。通常モードにおいて表示制御部97が時刻データに基づいて駆動回路90を制御することにより、中央時針22、中央分針21及び中央秒針18がローカルタイムの時刻を表示する。さらに、表示制御部97は第1サブ時針29、第1サブ分針28にホームタイムの時刻を表示させる。さらに、電子時計1をストップウオッチとして利用するときに表示制御部97は第3サブ指針35に秒の経過を表示させる。また、表示制御部97は第2サブ指針32に電池残量や受信制御状態を表示させる。
他にも、CPU91の機能には電圧検出制御部98が含まれる。電圧検出制御部98は電源制御回路67に二次電池48の電圧つまり電池残量や、太陽電池パネル37の発電量を検出する指示信号を出力する。そして、電源制御回路67は一定時間間隔で電圧を検出し、電圧検出制御部98に出力する。このように、電圧検出制御部98は、電源制御回路67の動作を制御する。
他にも、CPU91の機能には受信制御部99が含まれる。受信制御部99は、受信モード制御部100、衛星信号受信制御部101と、第2時刻修正部としての近距離無線通信制御部102と、受信判定部103とを備える。そして、時刻情報修正部96及び衛星信号受信制御部101により第1時刻修正部104が構成されている。さらに、時刻情報修正部96及び近距離無線通信制御部102により、第2時刻修正部105が構成されている。
受信モード制御部100はリュウズ13及びボタン14による所定の操作を検出する。そして、受信モード制御部100は各種の受信処理の実行を制御する。受信モード制御部100、リュウズ13及びボタン14により指示受付部が構成される。そして、指示受付部は操作者5が操作するビーコン信号の受信指示を受け付ける。他にも、指示受付部は操作者5が操作する衛星信号の測位受信の受信指示を受け付ける。他にも、指示受付部は操作者5が操作する衛星信号の測時受信の受信指示を受け付ける。各ボタン14及びリュウズ13の操作には各種の指示内容が割り当てられている。
衛星信号受信制御部101は測時受信制御部106を備える。測時受信制御部106はGPS通信回路68を起動する。そして、少なくとも1つの衛星信号を測時受信制御部106が受信し、受信した衛星信号から測時受信制御部106はGPS時刻情報を取得する測時受信処理を実行する。GPS時刻情報を用いて時刻情報修正部96が時刻データを修正する。
衛星信号受信制御部101は位置演算部としての測位受信制御部107を備える。測位受信制御部107はGPS通信回路68を起動して複数の人工衛星3から衛星信号を受信する。そして、測位受信制御部107は受信した複数の衛星信号に基づいて測位を行う測位受信処理を実行する。測位受信処理により得られたGPS時刻情報を用いて時刻情報修正部96が時刻データを修正する。詳しくは、GPS通信回路68は3つ以上の人工衛星3から衛星信号を受信する。このように、第1時刻修正部104は複数の衛星軌道情報から受信位置を演算する測位受信制御部107を備える。
近距離無線通信制御部102はビーコン通信回路65に第2の電波2bを受信する指示信号を出力する。ビーコン通信回路65は指示信号を受けて電子時計1の近くのビーコン4が発信する第2の電波2bを受信する。ビーコン通信回路65はビーコン4とBluetooth LEによる近距離無線通信を行う。そして、近距離無線通信制御部102は近距離無線通信によりビーコン4の識別情報を取得して時刻情報修正部96に出力する。
受信判定部103は、GPS時刻情報の受信及び時刻データの修正が成功したか否かを判定する機能を備えている。例えば、測時受信処理時に受信判定部103は受信した衛星信号から取得したGPS時刻情報と、計時回路93が演算する時刻データと、を比較する。このGPS時刻情報はZカウントデータという。衛星信号のGPS時刻情報と計時回路93の時刻データの差が大きい場合は、誤修正防止のための処理を行う。
誤修正防止のための処理ではGPS通信回路68が再度衛星信号を受信し直してGPS時刻情報を取得し直す。他にも、複数の衛星から衛星信号を受信したときには、複数の衛星から取得した衛星信号のGPS時刻情報と計時回路93の時刻データとを比較する。そして、衛星信号のGPS時刻情報と計時回路93の時刻データの差が小さい場合には、時刻情報修正部96が時刻修正を行う。
次に、GPS通信回路68が受信する衛星信号について説明する。GPSでは、衛星信号により航法メッセージを伝達する。図10〜図12は、航法メッセージの構成を説明するための図である。図10に示すように、航法メッセージは、全ビット数1500ビットのメインフレーム108を1単位とするデータとして構成される。メインフレーム108は、それぞれ300ビットの第1サブフレーム108a、第2サブフレーム108b、第3サブフレーム108c、第4サブフレーム108d、第5サブフレーム108eの5つのサブフレームに分割されている。1つのサブフレームのデータは、各人工衛星3から6秒で送信される。したがって、1つのメインフレームのデータは、各人工衛星3から30秒で送信される。
第1サブフレーム108aには週番号データや衛星健康状態を含む衛星補正データが含まれている。週番号データは、現在のGPS時刻情報が含まれる週を表す情報である。GPS時刻情報の起点は、協定世界時における1980年1月6日00:00:00であり、この日に始まる週は週番号0になっている。協定世界時はUTC(Universal Time, Coordinated)とも表示される。週番号データは、1週間単位で更新される。衛星健康状態は、その衛星に異常があるか否かを示すコードである。このコードを確認することにより、GPS受信部83は異常がある衛星の信号を利用しないようにする。
第2サブフレーム108b及び第3サブフレーム108cは各衛星に固有の情報を含んでいる。第2サブフレーム108b及び第3サブフレーム108cでは人工衛星3は毎回同じ内容を繰り返し送信する。具体的には、送信している衛星自身のクロック補正情報や軌道情報が含まれている。衛星自身の軌道情報をエフェメリスという。第4サブフレーム108d及び第5サブフレーム108eには全衛星の軌道情報や電離層補正情報が含まれる。全衛星の軌道情報をアルマナックという。これらはデータ数が多いためにページ1〜ページ25のページに分割される。そして、全衛星の軌道情報は各サブフレームに収容される。すべてのページの内容を送信するには25フレームを必要とするため、航法メッセージの全情報を受信するには12分30秒の時間を要する。
さらに、第1サブフレーム108a〜第5サブフレーム108eには先頭から30ビットのTLM(Telemetry Word)データが格納されたTLMワードと30ビットのHOW(Hand Over Word)データが格納されたHOWワードが含まれている。したがって、TLMワードやHOWワードは、人工衛星3から6秒間隔で送信されるのに対し、週番号データ等の衛星補正データ、エフェメリスパラメーター、アルマナックパラメーターは30秒間隔で送信される。
図11に示すように、TLMワードには、プリアンブルデータ、TLMメッセージ、Reservedビット、パリティデータが含まれている。
図12に示すように、HOWワードには、TOW(Time of Week)というGPS時刻情報が含まれている。TOWは「Zカウントデータ」ともいう。Zカウントデータは毎週日曜日の0時からの経過時間が秒で表示され、翌週の日曜日の0時に0に戻るようになっている。つまり、Zカウントデータは、週の初めから一週間毎に示される秒単位の情報である。このZカウントデータは、次のサブフレームデータの先頭ビットが送信されるGPS時刻情報を示す。例えば、第1サブフレーム108aのZカウントデータは、第2サブフレーム108bの先頭ビットが送信されるGPS時刻情報を示す。また、HOWワードには、サブフレームのID(Identification)を示す3ビットのデータも含まれている。サブフレームのIDをIDコードという。すなわち、図10に示す第1サブフレーム108a〜第5サブフレーム108eのHOWワードには、それぞれ「001」、「010」、「011」、「100」「101」のIDコードが含まれている。なお、GPS測時受信であれば1つの衛星信号のTOWのみ取得すればよく、条件が良い環境であればGPS時刻情報の受信時間は3秒程度である。以下、TOW及びZカウントデータをGPS時刻情報とする。
次に、ビーコン通信回路65が受信するビーコン信号について説明する。ビーコン4では、BLEによる通信を行う。BLEにて通信を行うときビーコン4がアドバタイズパケットという信号を発信する。図13〜図15は、アドバタイズパケットの構成を説明するための図である。
図13に示すように、アドバタイズパケットはアドバタイズヘッダーとアドバタイズデータを有している。アドバタイズデータにはIDコード等の複数の情報が格納されている。図14に示すように、アドバタイズデータはデータヘッダー、製造者特有情報、データフッターで構成されている。製造者特有情報にはIDコード等の各種情報が格納されている。
図15に示すように、製造者特有情報には情報ヘッダー、会社ID、ビーコンヘッダー、UUID(Universally Unique Identifier)、Major値、Minor値、TxPowerの情報が格納されている。ある建物にビーコン4を設置するとき、ビーコン識別情報としてのUUIDは建物の識別情報になっている。Major値は何階かを示す識別情報であり、Minor値は部屋を示す識別情報になっている。TxPowerは信号強度を示す。TxPowerとビーコン通信回路65が受信する第2の電波2bの強度から電子時計1とビーコン4との距離を検出することができる。近距離無線通信制御部102はアドバタイズパケットに格納されたUUIDの情報を利用する。UUIDを用いることにより電子時計1がどの建物の中にあるかを認識できる。
図16はタイムゾーンデータを説明するための図である。図16に示すように、タイムゾーンデータはGPS位置情報のタイムゾーンデータ及びビーコン情報のタイムゾーンデータを備えている。タイムゾーンデータは第1記憶部92に記憶されている。
GPS位置情報のタイムゾーンデータは時刻情報修正部96がGPS位置情報を用いて時刻修正するときに使用するデータである。GPS位置情報のタイムゾーンデータにはブロック番号、緯度情報、経度情報、時差情報が含まれる。ブロック番号は各タイムゾーンに割り振られた番号である。緯度情報及び経度情報は地上の特定の場所を示す緯度と経度の情報である。そして、時差情報は協定世界時に対する時差を示している。例えば、ブロック番号が1の場所では協定世界時に対する時差が9時間あることを示している。
GPS位置情報のタイムゾーンデータは世界の主要都市におけるデータに加えて操作者5が訪れる可能性の高い場所のデータを記憶するのが好ましい。データ数を限定することにより第1記憶部92の記憶容量を減らすことができる。
ビーコン情報のタイムゾーンデータは時刻情報修正部96がビーコン信号のUUIDを用いて時刻修正するときに使用するデータである。ビーコン情報のタイムゾーンデータにはビーコン番号、UUID、時差情報が含まれる。ビーコン番号は各建物のビーコンに割り振られた番号である。UUIDはビーコン信号に含まれるUUIDの情報である。UUIDは12桁のアルファベットと数字とで構成されている文字列である。そして、時差情報は協定世界時に対する時差を示している。例えば、ビーコン番号が1の場所では協定世界時に対する時差が3時間あることを示している。
ビーコン情報のタイムゾーンデータは操作者5が訪れる可能性の高い建物のデータを記憶するのが好ましい。また、ビーコン情報のタイムゾーンデータには操作者5が訪れることが確定している建物のデータだけを記憶しても良い。このように、第1記憶部92はUUIDとUUIDに対応する時差情報とを記憶する。時刻情報修正部96はビーコン受信部88からビーコン信号に含まれるUUIDを入力する。そして、時刻情報修正部96はビーコン情報のタイムゾーンデータを用いてビーコン4に対応する時差情報を得る。次に、時刻情報修正部96はビーコン受信部88で受信したビーコン信号のUUIDと第1記憶部92に記憶された時差情報とを用いて時刻を修正する。
次に、上述した電子時計1の時刻及び時差修正方法について図17〜図20にて説明する。図17〜図20は、時刻及び時差修正方法のフローチャートである。時刻及び時差修正方法は電子時計1で実行される。図17のフローチャートにおいて、ステップS1は蓄電量が判定値以上か否かを判定する工程である。ステップS1において、電源制御回路67が60秒間隔で二次電池48の蓄電量を検出する。二次電池48の蓄電量は二次電池48の電圧と相間があるので、電源制御回路67は二次電池48の電圧を測定して蓄電量を推定する。そして、電圧検出制御部98は二次電池48の蓄電量を第1判定値と比較する。
第1判定値には、GPS受信部83が衛星信号の受信処理を行っても制御部89がシステムダウンしない蓄電量が設定されている。本実施形態では、例えば、第1判定値の蓄電量は電圧に換算して3.6Vである。蓄電量が第1判定値以上のとき、電圧検出制御部98は判定結果を「Yes」としてステップS5へ移行する。蓄電量が第1判定値未満のとき、制御部89は判定結果を「No」としてステップS2へ移行する。
ステップS2は自動受信条件ありか否かを判定する工程である。この工程では、自動受信条件が充足されているか否かを受信モード制御部100が判定する。自動受信条件とは指定された時刻に自動的に時刻修正を行う設定がされており、設定された時刻修正の時刻が到来している条件を示す。他にも、自動受信条件には屋外にて太陽電池パネル37が発電を開始したときに自動的に時刻修正する設定がされており、太陽電池パネル37が発電を開始している条件を示す。
受信モード制御部100が自動受信条件ありと判定したとき、受信モード制御部100は判定結果を「Yes」としてステップS11へ移行する。受信モード制御部100が自動受信条件を充足していないと判定したとき、受信モード制御部100は判定結果を「No」としてステップS3へ移行する。
ステップS3は第1所定操作があるか否かを判定する工程である。第1所定操作は第1ボタン14aが押される操作を示す。操作者5が第1ボタン14aを押すとき、第1ボタン14aが押されたことを駆動回路90が検出する。そして、駆動回路90は第1ボタン14aが押されたことを示す信号をCPU91に出力する。
第1ボタン14aが押されたことを示す信号をCPU91が駆動回路90から入力したとき、CPU91は第1所定操作の有無の判定結果を「Yes」としてステップS11へ移行する。第1ボタン14aが押されたことを示す信号をCPU91が駆動回路90から入力しないとき、CPU91は第1所定操作の有無の判定結果を「No」としてステップS4へ移行する。
ステップS4は通常運針継続工程である。この工程は、制御部89が通常運針を継続する工程である。次に、ステップS1に移行する。そして、制御部89はステップS1〜ステップS4の処理を所定時間間隔で繰り返し実行する。
ステップS5は第2所定操作があるか否かを判定する工程である。第2所定操作は第2ボタン14bが押される操作を示す。操作者5が第2ボタン14bを押すとき、第2ボタン14bが押されたことを駆動回路90が検出する。そして、駆動回路90は第2ボタン14bが押されたことを示す信号をCPU91に出力する。
第2ボタン14bは「機内モード」を解除するボタンである。「機内モード」は飛行機の機内に電子時計1が位置することを示すモードであす。操作者5は飛行機の外に出たときに第2ボタン14bを操作する。「機内モード」を解除するとき、ビーコン受信部88がビーコン信号を受信するので、第2ボタン14bはビーコン信号の受信指示を行う指示受付部になっている。
第2ボタン14bが押されたことを示す信号をCPU91が入力したとき、CPU91は第2所定操作の有無の判定結果を「Yes」としてステップS6へ移行する。第2ボタン14bが押されたことを示す信号をCPU91が入力しないとき、CPU91は第2所定操作の有無の判定結果を「No」としてステップS2へ移行する。
ステップS6は受信中を指針で表示する工程である。この工程は、第2サブ指針32が「4+」を指示する工程である。第2サブ指針32が「4+」を指示するのは測位計測を行うことを示す。次に、ステップS7に移行する。
ステップS7は第1GPS測位受信開始工程である。この工程は、測位受信制御部107がGPS受信部83に制御信号を出力して測位受信処理を開始させる工程である。測位受信処理開始が指示されると、GPS受信部83は人工衛星3が発信する衛星信号をサーチする処理を行う。次に、ステップS8に移行する。
ステップS8はGPS衛星捕捉が行えたか否かを判定する工程である。この工程では、測位受信制御部107がGPS受信部83から衛星信号の信号強度のデータを入力する。そして、複数の衛星信号の信号強度が判定値以上の場合に、測位受信制御部107は、人工衛星3が送信する衛星信号を捕捉できたものと判断する。そして、測位受信制御部107は測位を行うために必要な所定数以上の衛星信号を捕捉できたかを判断する。この所定数は最低3つであるが、通常は4つに設定されている。
測位を行うために必要な所定数以上の衛星信号を捕捉できたとき、測位受信制御部107は衛星信号の捕捉の判定結果を「Yes」としてステップS9へ移行する。測位を行うために必要な所定数以上の衛星信号を捕捉できないとき、測位受信制御部107は衛星信号の捕捉の判定結果を「No」としてステップS10へ移行する。
ステップS9は第2GPS測位受信開始工程である。この工程は、3つ以上の衛星信号を受信して電子時計1の位置を測定する工程である。次に、ステップS1に移行する。ステップS10はGPS測位受信停止、BLE通信開始工程である。この工程は、GPS測位受信を停止して、BLE通信を開始する工程である。
このように、GPS受信部83が複数の衛星信号を受信できないときにはGPS受信部83を停止してビーコン受信部88がビーコン信号を受信する。また、ビーコン受信部88は第2ボタン14bが受信指示を受け付けたときにビーコン信号を受信する。次に、ステップS1に移行する。
ステップS11は受信中を指針で表示する工程である。この工程は、第2サブ指針32が「1」を指示する工程である。第2サブ指針32が「1」を指示するのは測時計測を行うことを示す。次に、ステップS12に移行する。
ステップS12はGPS測時受信開始工程である。この工程は、1つの衛星信号を受信して時刻の情報を受信する工程である。次に、ステップS1に移行する。
図18はステップS12のGPS測時受信開始工程を示すフロー図である。図18において、ステップS21は通常運針工程である。この工程は、制御部89が通常運針をする工程である。次に、ステップS22に移行する。
ステップS22は所定の条件になっているか否かを判定する工程である。所定の条件は衛星信号を受信可能な条件になっているか否かの条件である。この条件には電子時計1が屋外に位置するか否かの条件が含まれる。電子時計1が屋外に位置するとき太陽電池パネル37が発電する。電源制御回路67は太陽電池パネル37が発電する電圧を検出して測時受信制御部106に出力する。測時受信制御部106は太陽電池パネル37が発電する電圧が判定値より高いとき電子時計1が屋外に配置されていると判定する。そして、測時受信制御部106は太陽電池パネル37が発電する電圧が判定値より低いとき電子時計1が屋内に配置されていると判定する。
測時受信制御部106は電子時計1が屋内に配置されていると判定するとき、判定結果を「No」としてステップS21に移行する。測時受信制御部106は電子時計1が屋外に配置されていると判定するとき、判定結果を「Yes」としてステップS23に移行する。
ステップS23は受信開始工程である。この工程は、測時受信制御部106がGPS受信部83に制御信号を出力して測時受信処理を開始させる工程である。次、にステップS24に移行する。
ステップS24は衛星情報読出し、衛星サーチ工程である。この工程では、GPS受信部83が衛星信号のサーチを開始する。第2ベースバンド回路85は、前回の受信時に捕捉した人工衛星3の衛星情報を第2記憶部87から読出し、前回捕捉した人工衛星3のサーチを開始する。そして、GPS受信部83が時刻情報を含む衛星信号を受信する。次に、ステップS25に移行する。
ステップS25は衛星捕捉したか否かを判定する工程である。この工程では、衛星信号の受信開始に伴い平面アンテナ49で受信された衛星信号は、SAWフィルター82で抽出された後、第2電波回路84に供給される。第2電波回路84は、衛星信号を中間周波数帯のデジタル信号に変換し第2ベースバンド回路85に出力する。
第2電波回路84から受け取った中間周波数帯のデジタル信号を用いて、第2ベースバンド回路85は人工衛星3を捕捉できたか否かを判定する。そして、第2ベースバンド回路85は判定結果を測時受信制御部106に送信する。第2ベースバンド回路85が衛星信号を捕捉できないとき、判定結果を「No」としてステップS26に移行する。第2ベースバンド回路85が衛星信号を捕捉したとき、判定結果を「Yes」としてステップS28に移行する。
ステップS26はタイムアウトか否かを判定する工程である。この工程では、測時受信開始からの経過時間と判定時間とを測時受信制御部106が比較する。判定時間は、例えば、15秒に設定されている。測時受信開始からの経過時間が判定時間以内のとき、測時受信制御部106は判定結果を「No」としてステップS25に移行する。測時受信開始からの経過時間が判定時間を越えたとき、測時受信制御部106は判定結果を「Yes」としてステップS27に移行する。
ステップS27は受信終了工程である。この工程では、測時受信制御部106がGPS受信部83による受信を終了する工程である。次に、ステップS1に移行する。
ステップS28は衛星情報を更新記憶する工程である。この工程は、第2ベースバンド回路85が捕捉した衛星信号に関するデータを第2記憶部87に格納する工程である。第2ベースバンド回路85は捕捉できた人工衛星3の衛星信号に含まれる衛星情報を、第2電波回路84を介して受信する。そして、第2ベースバンド回路85は、第2記憶部87に記憶されている衛星情報を、新たに受信した衛星情報に更新する。第2記憶部87には、過去の受信時に捕捉した衛星データが、受信時間帯を示す情報とともに記憶されている。ステップS28では、測時受信制御部106が新たに捕捉した衛星データに更新する。
第2記憶部87に記憶された衛星データは、ステップS24で利用される。一般的に人工衛星3は、略12時間で地球を一周しており、地球も自転をしている。同じ場所で24時間後に位置情報衛星を探索すれば、前回捕捉した人工衛星3の信号と同一の人工衛星3の信号を捕捉できる可能性が高い。第2電波回路84は衛星信号の受信履歴を参照することにより、衛星信号を受信する時間を短くしている。次、にステップS29に移行する。
ステップS29はGPS時刻情報取得をできたか否かを判定する工程である。この工程では、第2ベースバンド回路85が受信した衛星信号からGPS時刻情報を取得できたか否かを判断する。第2ベースバンド回路85が捕捉した衛星信号からGPS時刻情報を取得できないとき、第2ベースバンド回路85は判定結果を「No」としてステップS30に移行する。第2ベースバンド回路85が捕捉した衛星信号からGPS時刻情報を取得できるとき、第2ベースバンド回路85は判定結果を「Yes」としてステップS31に移行する。
ステップS30はタイムアウトか否かの判定工程である。この工程では、ステップS29に移行してからの経過時間と判定時間とを第2ベースバンド回路85が比較する。本実施形態では例えば、判定時間が60秒に設定されている。ステップS29に移行してからの経過時間が判定時間以内のとき、第2ベースバンド回路85は判定結果を「No」としてステップS29に移行する。ステップS29に移行してからの経過時間が判定時間を越えたとき、第2ベースバンド回路85は判定結果を「Yes」としてステップS27に移行する。衛星信号からGPS時刻情報を取得できないとき、GPS時刻情報の取得を停止して消費電力を低減する。
なお、第2ベースバンド回路85が複数の人工衛星3から衛星信号を捕捉できている場合には、衛星信号の信号強度が高い衛星信号から時刻データを取得してもよい。複数の人工衛星3からそれぞれGPS時刻情報を取得し、GPS時刻情報の整合性を確認してGPS時刻情報の取得状態を判定してもよい。
ステップS31はGPS時刻情報整合性ありか否かを判定する工程である。この工程では、第2ベースバンド回路85が捕捉したGPS時刻情報の整合性を受信判定部103が確認する工程である。詳しくは、第2ベースバンド回路85は衛星信号を捕捉した時に、計時回路93が演算する時刻データとGPS時刻情報とを受信判定部103が比較する。そして、GPS受信部83が取得したGPS時刻情報と計時回路93が演算する時刻データとの差が判定値以内であるか否かで整合がとれているかを受信判定部103が確認する。本実施形態では例えば、判定値を5秒に設定している。第2ベースバンド回路85が捕捉したGPS時刻情報と計時回路93が演算する時刻データとの差が判定値より大きい場合には、GPS時刻情報と時刻データとの整合が取れていないと受信判定部103が判定する。
GPS時刻情報と時刻データとの整合が取れていないとき、受信判定部103は判定結果を「No」としてステップS30に移行する。GPS時刻情報と時刻データとの整合が取れているとき、受信判定部103は判定結果を「Yes」としてステップS32に移行する。
他にも、第2電波回路84は6秒間隔の複数のサブフレームを受信して第2ベースバンド回路85に出力する。そして、第2ベースバンド回路85が第2電波回路84から複数のGPS時刻情報を入力して受信判定部103に出力する。複数のGPS時刻情報同士の整合が取れている場合には、取得したGPS時刻情報は正確であると受信判定部103が判定する。そして、受信判定部103は判定結果を「Yes」としてステップS32に移行する。
第2ベースバンド回路85が取得したGPS時刻情報と計時回路93が演算する時刻データとの整合がとれていないと判定された場合、第2ベースバンド回路85はステップS30、S29、S31の処理を繰り返す。したがって、第2ベースバンド回路85が取得したGPS時刻情報と計時回路93が演算する時刻データとの整合がとれていない場合には、第2ベースバンド回路85は、次の6秒後のサブフレームに含まれるGPS時刻情報を取得する。
ステップS32は受信終了工程である。この工程では、第2ベースバンド回路85が測時受信処理を終了する。次に、ステップS33に移行する。
ステップS33は時刻修正工程である。衛星信号を受信した場合に、取得したGPS時刻情報を用いて計時回路93が演算する時刻データを時刻情報修正部96が修正する。時刻情報修正部96が時刻データを修正すると、表示制御部97は、修正した時刻データに基づいて、駆動回路90を介して中央秒針18、中央分針21及び中央時針22の表示を修正する。そして、表示制御部97は通常運針を行う。さらに、表示制御部97は電池残量を表示する場所に第2サブ指針32を移動する。このように、衛星信号波を受信した場合に、時刻情報修正部96は時刻情報を用いて時刻を修正する。
以上により、ステップS12のGPS測時受信開始工程を終了する。ステップS12が終了すると、次に、ステップS1に移行する。ステップS12のGPS測時受信開始工程は、5〜15秒程度の受信時間でGPS時刻情報を取得することができる。また、ステップS12では1つの衛星だけを捕捉することができればよいので省電力であり、かつ、感度良く受信することができる。
GPS受信部83は衛星信号を受信し、時刻情報修正部96は衛星信号を用いて時刻を修正する。衛星信号は地球上の屋外で受信可能である。従って、屋外であれば地球上のすべての場所で時刻を修正することができる。
図19はステップS9の第2GPS測位受信開始工程を示すフロー図である。図19において、ステップS41は通常運針工程である。この工程では、制御部89が通常運針をする。次に、ステップS42に移行する。
ステップS42は所定の条件になっているか否かを判定する工程である。ステップS42ではステップS22と同様の方法を用いて所定の条件になっているか否かを判定する。ステップS22と同様なので詳細の説明を省略する。
測位受信制御部107は電子時計1が屋内に配置されていると判定するとき、判定結果を「No」としてステップS42に移行する。測位受信制御部107は電子時計1が屋外に配置されていると判定するとき、判定結果を「Yes」としてステップS43に移行する。
ステップS43は受信開始工程である。この工程では、測位受信制御部107がGPS受信部83に制御信号を出力して測位受信処理を開始させる。次に、ステップS44に移行する。
ステップS44は衛星情報読出し、サーチ衛星順決定工程である。この工程では、第2ベースバンド回路85が前回の受信時に捕捉した人工衛星3の衛星情報を第2記憶部87から読み込む。そして、第2ベースバンド回路85は前回捕捉した人工衛星3を、人工衛星3のサーチ順を示す優先サーチ順序の先頭に設定する。このとき、サーチ順序として、少なくとも4つ以上の人工衛星3が設定される。
人工衛星3は約12時間で地球を一周し、その軌道はほぼ24時間周期で繰り返される。このため、第2ベースバンド回路85は、捕捉し易い人工衛星3を概ね把握できる。そして、第2ベースバンド回路85は人工衛星3のサーチ順を決定する。このとき、把握し易い人工衛星3をサーチ順序の先頭に設定することで、第2ベースバンド回路85は効率良く衛星信号を捕捉することができる。
ステップS45は衛星サーチ工程である。この工程では、GPS受信部83が衛星信号のサーチを開始する。ステップS44で設定したサーチ順に従って第2ベースバンド回路85は人工衛星3のサーチを開始する。次に、ステップS46に移行する。
ステップS46は衛星捕捉したか否かを判定する工程である。この工程では、ステップS25と同様の方法を用いて、測位を行うために必要な所定数以上の衛星信号を第2ベースバンド回路85が捕捉したか否かを判断する。測位を行うために必要な所定数は3個以上であり、通常は4個である。
より具体的には、第2ベースバンド回路85は、軌道情報とGPS時刻情報とを取得したか否かを判断する。なお、以下では、説明の簡略化のため、この判断を、軌道情報を取得したか否かの判断として説明する。そして、第2ベースバンド回路85は判定結果を測位受信制御部107に送信する。第2ベースバンド回路85が衛星信号を捕捉できないとき、判定結果を「No」としてステップS47に移行する。第2ベースバンド回路85が衛星信号を捕捉したとき、判定結果を「Yes」としてステップS49に移行する。
ステップS47はタイムアウトか否かの判定工程である。この工程では、測位受信開始からの経過時間と判定時間とを測位受信制御部107が比較する。判定時間は、例えば、120秒に設定されている。測位受信開始からの経過時間が判定時間以内のとき、測位受信制御部107は判定結果を「No」としてステップS46に移行する。測位受信開始からの経過時間が判定時間を越えたとき、測位受信制御部107は判定結果を「Yes」としてステップS48に移行する。
ステップS48は受信終了工程である。この工程では、測位受信制御部107がGPS受信部83による受信を終了する。次に、ステップS1に移行する。
ステップS49は衛星軌道情報取得ができたか否かの判定工程である。この工程では、捕捉した人工衛星3の各々から軌道情報を取得できたか否かを判断する。具体的には、第2ベースバンド回路85が衛星信号から軌道情報とGPS時刻情報とを取得できたか否かを判断する。なお、以下では、説明の簡略化のため、この判断を、軌道情報を取得できたか否かの判断として説明する。第2ベースバンド回路85が衛星軌道を取得できないとき、判定結果を「No」としてステップS50に移行する。第2ベースバンド回路85が衛星軌道を取得したとき、判定結果を「Yes」としてステップS51に移行する。
ステップS50はタイムアウトか否かの判定工程である。この工程では、ステップS46の終了後からの経過時間と判定時間とを測位受信制御部107が比較する。判定時間は、例えば、120秒に設定されている。ステップS46後からの経過時間が判定時間以内のとき、測位受信制御部107は判定結果を「No」としてステップS49に移行する。ステップS46の終了後の経過時間が判定時間を越えたとき、測位受信制御部107は判定結果を「Yes」としてステップS48に移行する。
ステップS51は測位計算完了か否かの判定工程である。この工程では、第2ベースバンド回路85が軌道情報及びGPS時刻情報を用いた測位計算を実行する。そして、第2ベースバンド回路85は測位計算が完了したか否かを判定する。測位計算が完了しないとき、第2ベースバンド回路85は判定結果を「No」としてステップS50に移行する。測位計算が完了したとき、第2ベースバンド回路85は判定結果を「Yes」としてステップS52に移行する。
ステップS52は受信完了工程である。この工程は、第2ベースバンド回路85が衛星信号の受信を終了する工程である。次に、ステップS53に移行する。
ステップS53は時差情報読出し工程である。この工程では、時刻情報修正部96が第2ベースバンド回路85から測位計算の結果を入力する。測位計算の結果には緯度情報及び経度情報が含まれている。そして、時刻情報修正部96は第1記憶部92から緯度情報及び経度情報に対応する時差情報を入力する。次に、ステップS54に移行する。
ステップS54は時差修正工程である。この工程では、時刻情報修正部96が時差情報を用いて時刻データを修正する。次に、表示制御部97が修正後の時刻データに基づいて駆動回路90を介して中央秒針18、中央分針21及び中央時針22の表示を修正する。以上の処理により時差修正が行われる。そして、表示制御部97は通常運針を行う。さらに、表示制御部97は電池残量を表示する場所に第2サブ指針32を移動する。以上でステップS9の第2GPS測位受信開始工程が終了する。次に、ステップS1に移行する。
図20はステップS10のGPS測位受信停止、BLE通信開始工程を示すフロー図である。図20において、ステップS61は受信中表示工程である。この工程では、表示制御部97が近距離無線受信中を表示する場所に第2サブ指針32を移動する。文字板16には「BLE」と表示されている場所があり、この場所が近距離無線受信中を表示する場所になっている。次に、ステップS62に移行する。
ステップS62はBLEスキャン開始工程である。この工程では、衛星信号受信制御部101がGPS受信部83を停止させる。そして、近距離無線通信制御部102が、ビーコン受信部88を駆動させてビーコン4が発信するビーコン信号をスキャンする。このように、ステップS5にて第2ボタン14bがビーコン識別情報を含むビーコン信号の受信指示を受け付けるときにビーコン受信部88がビーコン信号を受信する。次に、ステップS63に移行する。
ステップS63はビーコンID受信をしたか否かを判定する工程である。この工程では、第1ベースバンド回路131がビーコン信号に含まれるUUIDを受信したか否かを第1信号制御部132が判定する。第1ベースバンド回路131がUUIDを受信できないとき、第1信号制御部132は判定結果を「No」としてステップS64に移行する。第1ベースバンド回路131がUUIDを受信したとき、第1信号制御部132は判定結果を「Yes」としてステップS65に移行する。
ステップS64はタイムアウトか否かの判定工程である。この工程では、ステップS62を開始してからの経過時間と判定時間とを近距離無線通信制御部102が比較する。判定時間は、例えば、60秒に設定されている。ステップS62を開始してからの経過時間が判定時間以内のとき、近距離無線通信制御部102は判定結果を「No」としてステップS63に移行する。ステップS62を開始してからの経過時間が判定時間を越えたとき、近距離無線通信制御部102は判定結果を「Yes」としてステップS70に移行する。
ステップS65はビーコン情報読出し工程である。この工程では、時刻情報修正部96がビーコン受信部88からUUIDを入力する。そして、時刻情報修正部96は第1記憶部92からUUIDに対応する時差情報を検索する。次に、ステップS66に移行する。
ステップS66はID一致の有無を判定する工程である。この工程では、ビーコン受信部88がビーコン信号に含まれるUUIDと一致するUUIDが第1記憶部92に有るか無いか時刻情報修正部96が判定する。第1記憶部92に一致するUUIDがないとき、時刻情報修正部96は判定結果を「No」としてステップS70に移行する。第1記憶部92に一致するUUIDがあるとき、時刻情報修正部96は判定結果を「Yes」とする。そして、時刻情報修正部96はUUIDに対応する時差情報を第1記憶部92から入力する。次に、ステップS67に移行する。
ステップS67は通信終了工程である。この工程では、ビーコン受信部88がビーコン信号の受信を終了する。次に、ステップS68に移行する。
ステップS68はID検出の履歴記録を更新する工程である。この工程では、ビーコン受信部88が受信したビーコン信号のUUIDを第2記憶部87に格納する。第2記憶部87には、過去に受信したビーコン信号のUUIDデータが記憶されている。過去に受信したUUIDのビーコン信号は再度受信できる可能性が高い。第2記憶部87に記憶された情報を整理するときに履歴記録を活用することができる。
ステップS69は運針早送り、時刻修正工程である。この工程では、時刻情報修正部96が時差情報を用いて時刻データを修正する。次に、表示制御部97が修正後の時刻データに基づいて駆動回路90を介して中央秒針18、中央分針21及び中央時針22を早送りして表示を修正する。このように、ビーコン信号を受信した場合に、ビーコン信号に含まれるUUIDに基づいて第1記憶部92に記憶された時差情報を用いて時刻情報修正部96が時差を修正する。次に、ステップS70に移行する。
ステップS70は受信中非表示工程である。この工程では、表示制御部97が「BLE」と表示されている場所から電池残量を表示する場所に第2サブ指針32を移動する。次に、ステップS71に移行する。
ステップS71は通常運針工程である。この工程は、制御部89が通常運針をする工程である。以上でステップS10のGPS測位受信停止、BLE通信開始工程が終了する。次に、ステップS1に移行する。
上述したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)本実施形態によれば、電子時計1ではGPS受信部83が衛星信号を受信する。そして、第1時刻修正部104が衛星信号を用いて時刻を修正する。従って、衛星信号が受信可能なときには精度良く時刻を修正することができる。
さらに、ビーコン受信部88がビーコン信号を受信する。第1記憶部92にはUUIDとUUIDに対応する時差情報とが記憶されている。そして、第2時刻修正部105がビーコン信号と時差情報とを用いて時差を修正する。従って、ビーコン信号を受信可能なときには時差を修正することができる。
ボタン14がビーコン信号の受信指示を受け付けるとき、ビーコン受信部88はビーコン信号を受信する。飛行機6等にて長距離移動して空港7等の建物内に到着したときに、空港7の屋内では衛星信号の電波が弱いので衛星信号を受信し難い。このとき、操作者5がボタン14を操作してビーコン信号の受信指示を行って、電子時計1に時差修正を行わせる。操作者5が時刻修正を行うと予想される空港7等の特定の場所を操作者5はあらかじめ知っている。従って、電子時計は第1記憶部92に特定の場所のUUIDとUUIDに対応する時差情報とを記憶しておけば良い。
操作者5が受信指示を行う可能性が低い場所に設置されたUUIDとUUIDに対応する時差情報とを第1記憶部92に記憶させるときには第1記憶部92に膨大な記憶容量が必要となる。本電子時計1では操作者5がビーコン信号の受信指示を行うので、操作者5が受信指示を行う可能性が高い場所に設置されたUUIDとUUIDに対応する時差情報とが第1記憶部92に記憶されていれば良い。従って、第1記憶部92の記憶容量が少なくても電子時計1は時差を修正することができる。
(2)本実施形態によれば、GPS受信部83は複数の衛星信号を受信する。そして、GPS受信部83が複数の衛星信号を受信できるときには、測位受信制御部107が受信位置を演算する。ステップS8にてGPS受信部83が複数の衛星信号を受信できないときにはステップS10にてGPS受信部83が停止する。次に、ビーコン受信部88がビーコン信号を受信する。そして、時刻情報修正部96が時刻を修正する。このように、GPS受信部83とビーコン受信部88とは並行して作動しない為、消費電力のピークを低減することができる。
(3)本実施形態によれば、GPS受信部83は衛星信号を受信する。衛星信号は地球上の屋外で受信可能である。従って、屋外であれば地球上のすべての場所で精度良く時刻を修正することができる。
(4)本実施形態によれば、第1記憶部92は書き換え可能の不揮発性メモリーを備えている。不揮発性メモリーは電力を消費せずに記憶を維持することができる。また、第1記憶部92は書き換え可能なので、利用するビーコンのUUIDを変更することができる。
(5)本実施形態における時刻及び時差修正方法では時刻情報を含む衛星信号が受信される。そして、時刻情報を用いて時刻が修正される。従って、衛星信号が受信可能なときに精度良く時刻が修正される。
さらに、操作者5がボタン14を操作してビーコン信号の受信指示を行う操作をするとき、ボタン14がビーコン信号の受信指示の操作を受け付ける。そして、ビーコン信号が受信される。このビーコン信号にはUUIDが含まれる。第1記憶部92にはUUIDとUUIDに対応する時差情報とが記憶されている。そして、時刻情報修正部96によりビーコン信号と時差情報とを用いて時刻が修正される。従って、ビーコン信号を受信可能なときには時差を修正することができる。
飛行機6等にて長距離移動して空港7等の建物内に到着したときに、空港7の屋内では衛星信号の電波が弱いので衛星信号を受信し難い。このとき、操作者5がボタン14を操作してビーコン信号の受信指示を行って、電子時計1に時刻修正を行わせる。時刻修正を行うと予想される空港等の特定の場所を操作者5はあらかじめ知っている。従って、操作者5は第1記憶部92に特定の場所のUUIDとUUIDに対応する時差情報とを記憶しておけば時差を修正することができる。
操作者5の受信指示を行う可能性が低い場所に設置されたUUIDとUUIDに対応する時差情報とを第1記憶部92に記憶させるときには第1記憶部92に膨大な記憶容量が必要となる。電子時計1では操作者5がビーコン信号の受信指示を行うので、操作者5が受信指示を行う可能性が高い場所に設置されたUUIDとUUIDに対応する時差情報とが第1記憶部92に記憶されていれば良い。従って、第1記憶部92の記憶容量が少なくてもビーコン信号を用いて電子時計1は時差を修正することができる。
(6)本実施形態によれば、ビーコン受信部88はビーコン信号を受信しているが、BLEリンクを確立してはいない。従って、ビーコン受信部88はビーコン4との通信上の認証を行う必要がないので、短時間で通信処理を行うことができる。そして、短時間に通信処理が行えるので、電子時計1は消費電力を抑制できる。
(第2の実施形態)
次に、電子時計の一実施形態について図21から図24を用いて説明する。本実施形態が第1の実施形態と異なるところは、衛星信号の代わりに標準電波を利用する点にある。尚、第1の実施形態と同じ点については説明を省略する。
図21は標準電波信号の受信エリアを示す図である。図21に示すように、世界において特定のエリアのみで標準電波が受信できる。標準電波が受信できるエリアにはJJY40、JJY60、BPC、WWVB、MSF及びDCF77等の名前が付けられている。JJY40及びJJY60は日本を中心とするエリアある。BPCは中国を中心とするエリアである。WWVBはアメリカを中心とするエリアである。MSFはイギリスを中心とするエリアである。DCF77はドイツを中心とするエリアである。標準電波はGPS衛星信号に比べて受信信号の強度が100倍位強く低い周波数の信号である。従って、標準電波はGPS衛星信号に比べて受信し易い電波である。そして、標準電波の受信はGPS衛星信号の受信に比べて少ない電力で行うことができる。
図22はJJYのタイムコードフォーマットを示す図である。長波標準電波信号の時刻情報は、各国毎に所定の時刻情報フォーマットに合わせて構成されている。時刻情報はタイムコードともいい、時刻情報フォーマットはタイムコードフォーマットともいう。
図22に示すように、JJY40、JJY60のタイムコードフォーマットでは、1秒ごとに1つの信号が送信され、60秒で1レコードとして構成されている。1レコードを1フレームともいう。つまり、1フレームは60ビットのデータである。また、データ項目として現時刻の分、時、現在年の1月1日からの通算日、年、曜日及び「うるう秒」等が含まれている。年は西暦下2桁を示すデータになっている。各項目の値は、ビット毎に割り当てられた数値の組み合わせによって構成されている。この数値の組み合わせが信号の種類から判断される。
通算日のビット列と年のビット列の間には、時に対応する第1パリティビットPA1と、分に対応する第2パリティビットPA2が設定されている。図中第1パリティビットは「PA1」と表示されている。図中第2パリティビットは「PA2」と表示されている。
図中「M」で示されるのは正分に対応するマーカーである。正分は毎分の0秒の時を示す。「P1〜P5」で示されるのはポジションマーカーである。ポジションマーカーは予めその位置が定められている信号である。各項目において「1」を表す信号は約0.5秒のパルス幅の信号である。「0」を表す信号は約0.8秒のパルス幅の信号である。各マーカーを示す信号「P」は約0.2秒のパルス幅の信号である。標準電波信号のタイムコードフォーマットや各信号のパルス幅は長波標準電波信号の種類に応じて設定されている。
図23は電子時計の回路構成を示すブロック図である。電子時計111は、表示制御モジュール112、ビーコン受信部88、第1受信部としての標準電波受信部113及び電源制御回路67等を有する。ビーコン受信部88及び電源制御回路67は第1の実施形態と同じ回路になっている。ビーコン受信部88は屋内に設置されたビーコン4から送信されたビーコン識別情報を有するビーコン信号を受信する。第1の実施形態と同じく受信モード制御部100、リュウズ13及びボタン14により指示受付部が構成される。そして、指示受付部は操作者5が操作するビーコン信号の受信指示を受け付ける。
標準電波受信部113はバーアンテナ114及び標準電波受信回路115を備えている。バーアンテナ114は長波標準電波を受信する。以下、長波標準電波を「標準電波」または「標準電波信号」という。バーアンテナ114は受信した標準電波を標準電波受信回路115に出力する。標準電波受信回路115は、バーアンテナ114にて受信した標準電波の受信信号を復調して、タイムコード出力信号として、表示制御モジュール112に出力する。タイムコード出力はTCO(Time Code Out)信号ともいう。
標準電波受信回路115は標準電波を受信する一般的な回路である。標準電波受信回路115は標準電波受信用IC116及びフィルター用水晶117を備えている。標準電波受信用IC116は同調回路、増幅回路、ミキサー回路、中間周波数増幅回路、包絡線検波回路、自動利得制御回路、二値化回路、PLL(phase locked loop)回路及び、VCO(Voltage Controlled Oscillator)を備えて構成されている。フィルター用水晶117は中間周波数増幅回路に用いられている。自動利得制御回路はAGC(AutoGain Control)回路ともいう。
同調回路はコンデンサーを備える。同調回路及びバーアンテナ114が並列共振回路を構成する。この同調回路は、「JJY40」、「JJY60」、「WWVB」、「DCF77」、「MSF」、「BPC」の各標準電波を選択して受信する。同調回路は受信信号を増幅回路に出力する。
増幅回路は、同調回路から入力する受信信号を一定の振幅に増幅してミキサー回路に出力する。ミキサー回路は増幅された受信信号とVCOが出力する信号とを入力してミキシングする。そして、ミキサー回路は増幅された受信信号を中間周波数の信号にダウンコンバートして中間周波数増幅回路に出力する。中間周波数増幅回路はミキサー回路から入力した受信信号をさらに増幅して包絡線検波回路に出力する。包絡線検波回路は整流器及びローパスフィルターを備える。包絡線検波回路は入力した受信信号を整流し低周波成分を抽出することにより包絡線信号を得る。包絡線検波回路は自動利得制御回路及び二値化回路に包絡線信号を出力する。
包絡線信号に基づいて増幅回路が受信信号を増幅する際のゲインを決定する信号を自動利得制御回路が増幅回路に出力する。増幅回路は自動利得制御回路から入力する信号に応じてゲインを調整する。二値化回路は包絡線信号と基準電圧とを比較して二値化信号を形成する。この二値化信号がタイムコード出力信号である。そして、二値化回路は表示制御モジュール112にタイムコード出力信号を出力する。タイムコード出力信号に標準電波の時刻情報が含まれている。このように、標準電波受信部113は時刻情報を含む標準電波を受信する。
表示制御モジュール112は制御部118を備えている。制御部118はCPU121、記憶部としての第3記憶部122、計時回路93、入出力インターフェイス94及びデータバス95等を備えている。第3記憶部122は第1の実施形態における第1記憶部92と同様に不揮発性メモリーにより構成されている。第3記憶部122には、制御部118で実行される各種プログラムが記憶されている。他にも、第3記憶部122には標準電波受信部113から出力されるタイムコード出力信号が記憶される。第3記憶部122にはビーコン通信回路65から出力される所定のビーコン識別情報とビーコン識別情報に対応する時差情報が記憶される。
図24は、CPUの機能の構成を示すブロック図である。CPU121の機能は第3記憶部122に記憶されたプログラムを実行することにより実現される機能である。図24に示すようにCPU121の機能には第1時刻修正部及び第2時刻修正部としての時刻情報修正部123が含まれる。時刻情報修正部123は標準電波受信部113で受信したタイムコード出力信号を用いて時刻を修正する。他にも、時刻情報修正部123はビーコン受信部88で受信したビーコン信号と第3記憶部122に記憶された時差情報とを用いて時刻を修正する。
他にも、CPU121の機能には表示制御部97及び電圧検出制御部98が含まれる。表示制御部97及び電圧検出制御部98の機能は第1の実施形態と同じであり、説明を省略する。
他にも、CPU121の機能には受信制御部124が含まれる。受信制御部124は受信モード制御部125、標準電波信号制御部126、近距離無線通信制御部102及び受信判定部103を備える。そして、時刻情報修正部123及び標準電波信号制御部126により第1時刻修正部127が構成されている。第1時刻修正部127は標準電波受信部113で受信した標準電波の時刻情報を用いて時刻を修正する。
さらに、時刻情報修正部123及び近距離無線通信制御部102により、第2時刻修正部105が構成されている。第2時刻修正部105はビーコン受信部88で受信したビーコン信号と第3記憶部122に記憶された時差情報とを用いて時刻を修正する。
受信モード制御部125は、リュウズ13及びボタン14による所定の操作を検出して、各種の受信処理の実行を制御するものである。受信モード制御部125、リュウズ13及びボタン14により指示受付部が構成される。そして、指示受付部は操作者5が操作するビーコン信号の受信指示を受け付ける。他にも、指示受付部は操作者5が操作する標準電波の受信指示を受け付ける。
標準電波信号制御部126は標準電波受信部113を起動する。そして、標準電波信号制御部126は標準電波受信部113からタイムコード出力信号を入力する。標準電波信号制御部126はタイムコード出力信号から時刻情報を抽出して時刻情報修正部123に出力する。時刻情報修正部123は時刻情報を用いて計時回路93が演算する時刻データを修正する。
近距離無線通信制御部102及び時刻情報修正部123は第1の実施形態と同じくビーコン受信部88で受信したビーコン信号と第3記憶部122に記憶された時差情報とを用いて時刻を修正する。近距離無線通信制御部102及び時刻情報修正部123の詳しい説明を省略する。
受信判定部103は、標準電波の受信及び時刻データの修正が成功したか否かを判定する機能を備えている。例えば、受信判定部103は受信した標準電波から取得した時刻情報と、計時回路93が演算する時刻データとを比較する。標準電波の時刻情報と計時回路93の時刻データの差が大きい場合は、誤修正防止のための処理を行う。
誤修正防止のための処理では標準電波受信部113が再度標準電波を受信し直して時刻情報を取得し直す。そして、受信判定部103は取得した標準電波の時刻情報と計時回路93の時刻データとを比較する。そして、標準電波の時刻情報と計時回路93の時刻データの差が小さい場合は、時刻情報修正部123が時刻修正を行う。
次に上述した電子時計111の時刻及び時差修正方法について図25〜図26にて説明する。時刻及び時差修正方法は電子時計111で実施される。図25〜図26は、時刻及び時差修正方法のフローチャートである。図25のフローチャートにおいて、ステップS81は蓄電量が判定値以上か否かを判定する工程である。ステップS81において、電源制御回路67が60秒間隔で二次電池48の蓄電量を検出する。二次電池48の蓄電量は二次電池48の電圧と相間があるので、電源制御回路67は二次電池48の電圧を測定して蓄電量を検出する。そして、電圧検出制御部98は二次電池48の蓄電量を第1判定値と比較する。
第1判定値には、標準電波受信部113が標準電波の受信処理を行っても制御部118がシステムダウンしない蓄電量が設定されている。本実施形態では、例えば、第1判定値の蓄電量は電圧に換算して3.6Vである。蓄電量が第1判定値以上のとき、電圧検出制御部98は判定結果を「Yes」としてステップS85へ移行する。蓄電量が第1判定値未満のとき、電圧検出制御部98は判定結果を「No」としてステップS82へ移行する。
ステップS82は定時受信時刻になったか否かを判定する工程である。計時回路93で計時している時刻の時刻データが、予め設定された標準電波定時受信時刻であるかを標準電波信号制御部126が判定する。標準電波定時受信時刻は、ノイズが少ない時間帯である午前2時や午前4時等に設定されている。また、標準電波定時受信時刻は、午前2時、午前3時、午前4時のように、複数の時刻を設定してもよい。この場合、午前2時で受信処理に失敗した場合には、午前3時でも受信処理を行い、午前3時も受信処理に失敗した場合には、午前4時に受信処理を行うようにすればよい。
時刻データが標準電波の定時受信時刻ではなかった場合には、標準電波信号制御部126は判定結果を「No」としてステップS83へ移行する。一方、時刻データが時受信時刻になった場合には標準電波信号制御部126は判定結果を「Yes」としてステップS90へ移行する。
ステップS83は第3所定操作があるか否かを判定する工程である。第3所定操作は第3ボタン14cが押される操作を示す。操作者5が第3ボタン14cを押すとき、第3ボタン14cが押されたことを駆動回路90が検出する。そして、駆動回路90は第3ボタン14cが押されたことを示す信号をCPU121に出力する。第3ボタン14cは標準電波の受信指示を受け付けるボタンである。
第3ボタン14cが押されたことを示す信号をCPU121が入力したとき、CPU121は第3所定操作の有無の判定結果を「Yes」としてステップS90へ移行する。第3ボタン14cが押されたことを示す信号をCPU121が入力しないとき、CPU121は第3所定操作の有無の判定結果を「No」としてステップS84へ移行する。
ステップS84は通常運針継続工程である。この工程は、制御部118が通常運針を継続する工程である。次に、ステップS81に移行する。そして、制御部118は、ステップS81〜ステップS84の処理を所定時間間隔で繰り返し実行する。
ステップS85は第2所定操作があるか否かを判定する工程である。第2所定操作は第2ボタン14bが押される操作を示す。操作者5が第2ボタン14bを押すとき、第2ボタン14bが押されたことを駆動回路90が検出する。そして、駆動回路90は第2ボタン14bが押されたことを示す信号をCPU121に出力する。
第2ボタン14bは「機内モード」を解除するボタンである。「機内モード」は飛行機の機内に電子時計111が位置することを示すモードであす。操作者5は飛行機の外に出たときに第2ボタン14bを操作する。「機内モード」を解除するとき、ビーコン受信部88がビーコン信号を受信する処理を行うので、第2ボタン14bはビーコン信号の受信指示を行う指示受付部になっている。
第2ボタン14bが押されたことを示す信号をCPU121が入力したとき、CPU121は第2所定操作の有無の判定結果を「Yes」としてステップS86へ移行する。第2ボタン14bが押されたことを示す信号をCPU121が入力しないとき、CPU121は第2所定操作の有無の判定結果を「No」としてステップS82へ移行する。
ステップS86は受信中を指針で表示する工程である。この工程では、表示制御部97が近距離無線受信中を表示する場所に第2サブ指針32を移動する。文字板16には「BLE」と表示されている場所があり、この場所が近距離無線受信中を表示する場所になっている。次に、ステップS87に移行する。
ステップS87はBLEスキャン開始工程である。この工程では、近距離無線通信制御部102が、ビーコン受信部88を駆動させてビーコン4が発信するビーコン信号をスキャンする。このように、ステップS85にて第2ボタン14bがビーコン識別情報を含むビーコン信号の受信指示を受け付けるときにビーコン受信部88がビーコン信号を受信する。次に、ステップS88に移行する。
ステップS88はビーコンID受信したか否かを判定する工程である。この工程では、ビーコン受信部88がビーコン信号に含まれるUUIDを受信したか否かを第1信号制御部132が判定する。ビーコン受信部88がUUIDを受信できないとき、判定結果を「No」としてステップS84に移行する。ビーコン受信部88がUUIDを受信したとき、判定結果を「Yes」としてステップS89に移行する。
ステップS89はBLE通信開始工程である。この工程は、ビーコン信号を用いて時刻修正をする工程である。この工程には第1の実施形態のステップS65〜ステップS70が行われる。その後、ステップS81に移行する。
ステップS90は運針停止工程である。この工程では表示制御部97が駆動回路90に指示信号を出力して中央秒針18、中央分針21及び中央時針22等の運針を停止させる。そして、駆動機構42のステップモーターの駆動時に発生するノイズが、標準電波の受信に悪影響を与えることを抑制する。次に、ステップS91に移行する。
ステップS91は標準電波受信処理工程である。この工程は、標準電波受信処理を行って時刻データを修正する工程である。次に、ステップS81に移行する。
図26は標準電波受信処理を示すフローチャートであり、ステップS91を詳しく示している。図26においてステップS101は定時受信時刻であるか否かを確認する工程である。ステップS82で定時受信時刻であると判定しているため、通常、ステップS101においても定時受信時刻であると判定される。なお、本実施形態では、標準電波の定時受信時刻であるかを、ステップS82とステップS101とで判定しているが、ステップS82のみで判定し、ステップS101の判定処理を省略してもよい。
時刻データが標準電波の定時受信時刻ではなかった場合には、標準電波信号制御部126は判定結果を「No」としてステップS101へ移行する。一方、時刻データが定時受信時刻になった場合には標準電波信号制御部126は判定結果を「Yes」としてステップS102へ移行する。
ステップS102は受信開始、受信回路起動工程である。この工程では、標準電波信号制御部126が標準電波受信回路115を起動させる。そして、標準電波受信回路115が標準電波の受信処理を開始する。次に、ステップS103に移行する。
ステップS103は受信局選択工程である。この工程では、標準電波信号制御部126が受信局を選択する。そして、受信する標準電波の種類が決定される。前回の受信処理に成功している場合には、前回の受信局が設定される。次に、ステップS104に移行する。
ステップS104は秒同期成功か否かを判定する工程である。この工程では、標準電波信号制御部126が二値化回路から出力されるタイムコード出力信号に基づいて秒同期処理を行う。標準電波は1秒毎に変化する信号である。秒同期処理ではタイムコード出力信号の立ち上がりタイミングが1秒間隔になったかを確認する。タイムコード出力信号の立ち上がりタイミングが1秒間隔になっているときには通信が正しく行われていることを示す。タイムコード出力信号の立ち上がりタイミングが1秒間隔になるとき、標準電波信号制御部126は判定結果を「Yes」としてステップS108へ移行する。所定の時間経過してもタイムコード出力信号の立ち上がりタイミングが1秒間隔にならないとき、標準電波信号制御部126は判定結果を「No」としてステップS105へ移行する。
ステップS105はすべての局の受信を終了したか否かを判定する工程である。この工程では、標準電波信号制御部126はすべての局の受信を標準電波受信部113が終了したかを判定する。「すべての局」とは、電子時計111において受信可能な標準電波のすべてでもよい。例えば、JJY40、JJY60、WWVB、BPC、DCF77、MSFを受信可能に設定されている場合、これらのすべての局を対象にしても良い。他にも、操作者5が指定する局のみでもよい。例えば、電子時計111の位置がロンドンであれば、MSFと、DCF77の2つの局を対象にしても良い。標準電波受信部113が受信してない局があるときには判定結果を「No」としてステップS103へ移行する。すべての局の受信を標準電波受信部113が行ったとき、標準電波信号制御部126は判定結果を「Yes」としてステップS106へ移行する。
ステップS106は受信終了工程である。この工程では、標準電波信号制御部126が標準電波を受信できる状態ではないと判断し、受信を終了する。次に、ステップS107に移行する。
ステップS107は通常運針工程である。この工程では、ステップS90で停止した運針を再開し、通常運針に戻る。次に、ステップS81に移行する。
ステップS108はマーカー取得工程である。この工程では、時刻情報修正部123がタイムコードの0秒位置を示すマーカーを取得してフレーム同期を行う。例えば、日本の標準電波JJYでは、P0及びMのマーカーが連続する部分がタイムコードの開始時点になっている。従って、P0及びMのマーカーが連続する部分を時刻情報修正部123が検出してフレームの同期を確立できるようにする。次に、ステップS109に移行する。
ステップS109はタイムコード取得工程である。この工程では、時刻情報修正部123は標準電波受信用IC116から出力されるタイムコード出力信号をデコードしてタイムコードを取得する。次に、ステップS110に移行する。
ステップS110は所定時間の経過を判定する工程である。この工程では、ステップS102で標準電波の受信を開始してから所定時間経過したかを標準電波信号制御部126が判断する。この工程における所定時間は特に限定されないが本実施形態では例えば5分に設定されている。標準電波の受信を開始してから所定時間が経過していないときには標準電波信号制御部126が判定結果を「No」としてステップS111へ移行する。標準電波の受信を開始してから所定時間が経過しているとき、受信処理を継続しても標準電波を受信できる状態ではないと標準電波信号制御部126が判定する。そして、標準電波信号制御部126は判定結果を「Yes」としてステップS106へ移行する。そして、電力の消費を抑制する。
ステップS111は時刻情報の整合がOKか否かを判定する工程である。この工程では、時刻情報が整合するかを時刻情報修正部123が判定する。詳しくは、時刻情報修正部123がパリティビットによる時刻情報のチェックを行う。他にも、時刻情報に示された時刻が存在しない時刻になっていないか等のチェックを行う。
時刻情報が整合しないと時刻情報修正部123が判定したときには時刻情報修正部123が判定結果を「No」としてステップS109へ移行する。時刻情報が整合すると時刻情報修正部123が判定したときには時刻情報修正部123が判定結果を「Yes」としてステップS112へ移行する。
ステップS112は3フレームデータが一致するか否かを判定する工程である。この工程では時刻情報修正部123が3つの連続するタイムコードを入力する。そして、各タイムコードから得られた時刻情報が1分間隔である場合、3つのフレームデータが一致すると判定する。
3つのフレームデータが一致しないと時刻情報修正部123が判定したときには時刻情報修正部123が判定結果を「No」としてステップS109へ移行する。3つのフレームデータが一致すると時刻情報修正部123が判定したときには時刻情報修正部123が判定結果を「Yes」としてステップS113へ移行する。
ステップS113は受信終了工程である。この工程では、標準電波信号制御部126が標準電波受信部113に標準電波の受信動作を終了させる工程である。次に、ステップS114に移行する。
ステップS114は時刻修正工程である。この工程では、標準電波受信部113から取得した時刻情報を用いて計時回路93が演算する時刻データを時刻情報修正部123が修正する。時刻情報修正部123が時刻データを修正すると、修正した時刻データに基づいて、中央秒針18、中央分針21及び中央時針22の表示を表示制御部97が駆動回路90を介して修正する。次に、表示制御部97は通常運針を行う。このように、標準電波受信部113は時刻情報を含む標準電波を受信する。そして、標準電波を受信した場合に、時刻情報修正部123は時刻情報を用いて時刻を修正する。
ステップS107は通常運針工程である。この工程では、ステップS90で停止した運針を動かして通常運針に戻る。以上のステップによりステップS91が終了する。次に、ステップS81に移行する。
上述したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)本実施形態によれば、電子時計111では標準電波受信部113が標準電波を受信する。そして、第1時刻修正部127が標準電波を用いて時刻を修正する。従って、標準電波が受信可能なときには精度良く時刻を修正することができる。
さらに、ビーコン受信部88がビーコン信号を受信する。ビーコン信号を受信可能なときには時差を修正することができる。ボタン14がビーコン信号の受信指示を受け付けるとき、ビーコン受信部88はビーコン信号を受信する。電子時計111は第3記憶部122に特定の場所のUUIDとUUIDに対応する時差情報とを記憶している。
操作者5が受信指示を行う可能性が低い場所に設置されたUUIDとUUIDに対応する時差情報とを第3記憶部122に記憶させるときには第3記憶部122に膨大な記憶容量が必要となる。本電子時計111では操作者5がビーコン信号の受信指示を行うので、操作者5が受信指示を行う可能性が高い場所に設置されたUUIDとUUIDに対応する時差情報とが第3記憶部122に記憶されていれば良い。従って、第3記憶部122の記憶容量が少なくても電子時計111は時差を修正することができる。
(2)本実施形態によれば、標準電波受信部113は標準電波を受信する。標準電波は衛星信号に比べて電波が強い。従って、衛星信号を受信するときに比べて、標準電波の受信で消費する電力を低減することができる。
(3)本実施形態の時刻及び時差修正方法によれば、時刻情報を含む標準電波が受信される。そして、時刻情報を用いて時刻が修正される。従って、標準電波が受信可能なときに精度良く時刻が修正される。
さらに、ビーコン受信部88がビーコン信号を受信する。ビーコン信号を受信可能なときには時差を修正することができる。ボタン14がビーコン信号の受信指示を受け付けるとき、ビーコン受信部88はビーコン信号を受信する。電子時計111は第3記憶部122に特定の場所のUUIDとUUIDに対応する時差情報とを記憶している。
操作者5が受信指示を行う可能性が低い場所に設置されたUUIDとUUIDに対応する時差情報とを第3記憶部122に記憶させるときには第3記憶部122に膨大な記憶容量が必要となる。本電子時計111では操作者5がビーコン信号の受信指示を行うので、操作者5が受信指示を行う可能性が高い場所に設置されたUUIDとUUIDに対応する時差情報とが第3記憶部122に記憶されていれば良い。従って、第3記憶部122の記憶容量が少なくても電子時計111は時差を修正することができる。
(第3の実施形態)
次に、電子時計の一実施形態について図27の時刻及び時差修正方法のフローチャートを用いて説明する。本実施形態が第1の実施形態と異なるところは、GPS測位受信と並行してBLE通信を行う点にある。尚、第1の実施形態と同じ点については説明を省略する。
図27において、ステップS1〜ステップS6、ステップS11及びステップS12は第1の実施形態と同じ内容のステップであるので説明を省略する。ステップS6の次にステップS7の第1GPS測位受信開始工程とステップS121のBLE通信開始工程とが並行して行われる。
ステップS7の第1GPS測位開始工程は第1の実施形態のステップS7と同じ工程である。この工程は、測位受信制御部107がGPS受信部83に制御信号を出力して測位受信処理を開始させる工程である。測位受信処理開始が指示されると、GPS受信部83は人工衛星3が発信する衛星信号をサーチする処理を行う。次に、ステップS122に移行する。
ステップS122のGPS衛星捕捉が行えたかを判定する工程は第1の実施形態のステップS8と同じ工程である。この工程では、測位受信制御部107がGPS受信部83から衛星信号の信号強度のデータを入力する。そして、複数の衛星信号の信号強度が判定値以上の場合に、人工衛星3が送信する衛星信号を捕捉できたと測位受信制御部107が判断する。そして、測位を行うために必要な所定数以上の衛星信号を捕捉できたかを測位受信制御部107が判断する。
測位を行うために必要な所定数以上の衛星信号を捕捉できたとき、測位受信制御部107は衛星信号の捕捉の判定結果を「Yes」としてステップS9へ移行する。測位を行うために必要な所定数以上の衛星信号を捕捉できないとき、測位受信制御部107は衛星信号の捕捉の判定結果を「No」としてステップS1へ移行する。
ステップS9の第2GPS測位受信開始工程は第1の実施形態のステップS9と同じ工程である。この工程は、3つ以上の衛星信号を受信して電子時計1の位置を測定する工程である。詳しくは、ステップS41〜ステップS54が行われる。GPS受信部83が衛星軌道情報を含む複数の衛星信号を受信する。そして、第1時刻修正部104の測位受信制御部107が複数の衛星軌道信号から受信位置を演算する。さらに、第1時刻修正部104が衛星信号の受信位置に合わせて時刻を修正する。次に、ステップS1に移行する。
ステップS121はBLE通信開始工程である。この工程では、GPS測位受信と並行してBLE通信を開始する。詳しくは、ステップS61〜ステップS71が行われる。ビーコン受信部88がビーコン信号を受信する。そして、第2時刻修正部105がビーコン信号の受信位置に合わせて時刻を修正する。次に、ステップS1に移行する。
このように、ステップS7とステップS121とが並行して行われる。そして、GPS受信部83とビーコン受信部88とが並行して作動する。そして、GPS受信部83が3つ以上の衛星信号を受信して、測位受信制御部107が受信位置を特定する。さらに、ビーコン受信部88がビーコン信号を受信して、第2時刻修正部105が受信位置を特定する。従って、GPS受信部83と測位受信制御部107とが受信位置を特定する手段と、ビーコン受信部88と第2時刻修正部105とが受信位置を特定する手段とが並行して行われる。
2つの受信位置特定手段は人口衛星やビーコンの状況により受信できる可能性や受信にかかる時間がことなる。2つの手段のうち一方のみを行うときに比べて、2つの手段を並行して行っているので受信位置を特定できる確率が高くなる。また、2つの手段がともに受信位置を特定できる状況では、2つの手段を1つずつ行うときに比べて、短時間に受信位置を特定することができる。
尚、ステップS7とステップS121とのうち一方が時刻を修正しており、他方が処理中であるときには、処理中のステップを中止しても良い。処理の実行にともなって消費する電力を低減することができる。
他にも、ステップS7及びステップS121の各処理を終了するまで行ってもよい。そして、2つのステップでそれぞれ演算した修正時刻を比較して各修正時刻の差を判定値と比較しても良い。そして、各修正時刻の差が少ないときに時刻を修正するようにしてもよい。時刻修正の誤動作を抑制することができる。
(第4の実施形態)
次に、電子時計の一実施形態について図28の時刻及び時差修正方法のフローチャートを用いて説明する。本実施形態が第1の実施形態と異なるところは、GPS測位受信を行わずにGPS測時通信及びBLE通信を行う点にある。尚、第1の実施形態と同じ点については説明を省略する。
図28において、ステップS1〜ステップS6、ステップS11及びステップS12は第1の実施形態と同じステップであり説明を省略する。ステップS6の次にステップS131の第1BLE通信開始工程が行われる。
ステップS131は第1の実施形態におけるステップS62と同様の工程である。この工程では、近距離無線通信制御部102が、ビーコン受信部88を駆動させてビーコン4が発信するビーコン信号をスキャンする。このときにも、ステップS5にて第2ボタン14bがビーコン識別情報を含むビーコン信号の受信指示を受け付けるときにビーコン受信部88がビーコン信号を受信する。次に、ステップS132に移行する。
ステップS132はビーコン信号を受信したか否かを判定する工程である。ステップS132は第1の実施形態におけるステップS63と同様の工程である。この工程では、ビーコン受信部88がビーコン信号に含まれるUUIDを受信したか否かを第1信号制御部132が判定する。ビーコン受信部88がUUIDを受信できないとき、判定結果を「No」としてステップS4に移行する。ビーコン受信部88がUUIDを受信したとき、判定結果を「Yes」としてステップS133に移行する。
ステップS133は第2BLE通信開始工程である。ステップS133では第1の実施形態におけるステップS65〜ステップS71と同様の工程が行われる。この工程では、時刻情報修正部96がビーコン受信部88からUUIDを入力する。そして、時刻情報修正部96は第1記憶部92からUUIDに対応する時差情報を検索する。第1記憶部92に一致するUUIDがあるとき、時刻情報修正部96はUUIDに対応する時差情報を第1記憶部92から入力する。
次に、時刻情報修正部96が時差情報を用いて時刻データを修正する。次に、表示制御部97が修正後の時刻データに基づいて駆動回路90を介して中央秒針18、中央分針21及び中央時針22を早送りして表示を修正する。このように、ビーコン信号を受信した場合に、ビーコン信号に含まれるUUIDに基づいて第1記憶部92に記憶された時差情報を用いて時刻情報修正部96が時刻を修正する。
本実施形態では、GPS測位受信を行わずにBLE通信を行って時差情報を取得している。GPS測位受信は微弱な衛星信号を複数回受信するので、時刻修正で消費する電力が大きい。BLE通信ではビーコン受信部88が強い強度の電波を受信するので、時刻修正で消費する電力が小さい。従って、時差に対応した時刻修正で消費する電力を低減することができる。
尚、本実施形態は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で当分野において通常の知識を有する者により種々の変更や改良を加えることも可能である。変形例を以下に述べる。
(変形例1)
前記第1の実施形態では、ビーコン4から建物の識別情報を得た。他にもWiFi(登録商標)のアクセスポイントから建物の識別情報を得ても良い。WiFiにおける電波の周波数帯は2.4GHz帯であり、太陽電池パネルの裏面保護材で受信可能になっている。アクセスポイントのMACアドレス(Media Access Control address)またはSSID(Service Set Identifier)を第2の電波2bから抽出しアクセスポイントを認識しても良い。そして、第1記憶部92にアクセスポイントのMACアドレスまたはSSIDに対応する時差情報を記憶しておく。
電子時計1がWiFiの電波を受信したとき、WiFiの電波からMACアドレスまたはSSIDを抽出する。そして、第1記憶部92からMACアドレスまたはSSIDに対応する時差情報を入力して時刻情報修正部96が時刻を修正しても良い。このとき、WiFiのアクセスポイントが無線局に対応する。MACアドレスまたはSSIDがビーコン識別情報に対応する。WiFiの電波を検出する方法には近接情報認識技術であるWiFiAwareを利用してもよい。無線LAN(Local Area Network)の接続をせずにMACアドレスまたはSSIDを抽出することができる。
前記第1の実施形態では、BLEやWiFiなどの2.4GHz帯の近距離無線通信アンテナとして太陽電池パネルの裏面保護材を使用した。太陽電池パネルの裏面保護材以外にもセラミック誘電体基材を利用したチップアンテナを使ってもよい。チップアンテナは汎用品であり入手し易い。さらに、チップアンテナの形状及び寸法が既知であるのでアンテナ設計の時間を短縮できる。
以下に、実施形態から導きだされる内容を記載する。
電子時計は、衛星信号を受信する第1受信部と、前記第1受信部で受信した前記衛星信号に含まれる時刻情報を用いて時刻を修正する第1時刻修正部と、屋内に設置された無線局から送信されたビーコン識別情報を有するビーコン信号を受信する第2受信部と、所定の前記ビーコン識別情報と前記ビーコン識別情報に対応する時差情報とを記憶する記憶部と、前記第2受信部で受信した前記ビーコン信号と前記記憶部に記憶された前記時差情報とを用いて時差を修正する第2時刻修正部と、前記ビーコン信号の受信指示を受け付ける指示受付部と、を備え、前記第2受信部は前記指示受付部が前記受信指示を受け付けたときに前記ビーコン信号を受信することを特徴とする。
この構成によれば、電子時計は第1受信部が衛星信号を受信する。そして、第1時刻修正部が衛星信号を用いて時刻を修正する。従って、屋外であれば地球上のすべての場所で時刻を修正することができる。
さらに、第2受信部がビーコン信号を受信する。記憶部にはビーコン識別情報とビーコン識別情報に対応する時差情報とが記憶されている。そして、第2時刻修正部がビーコン信号と時差情報とを用いて時差を修正する。従って、ビーコン信号を受信可能なときには時差を修正することができる。
指示受付部がビーコン信号の受信指示を受け付けるとき、第2受信部はビーコン信号を受信する。飛行機等にて長距離移動して空港等の建物内に到着したときに、空港の屋内では電波が弱いので衛星信号を受信し難い。このとき、操作者がビーコン信号の受信指示を行って電子時計に時差修正を行わせる。操作者が時刻修正を行うと予想される空港等の特定の場所はあらかじめ知られている。従って、電子時計は記憶部に特定の場所のビーコン識別情報とビーコン識別情報に対応する時差情報とを記憶しておけば良い。
操作者が受信指示を行う可能性が低い場所に設置されたビーコン識別情報とビーコン識別情報に対応する時差情報とを記憶部に記憶させるときには記憶部に膨大な記憶容量が必要となる。本電子時計では操作者がビーコン信号の受信指示を行うので、操作者が受信指示を行う可能性が高い場所に設置されたビーコン識別情報とビーコン識別情報に対応する時差情報とが記憶部に記憶されていれば良い。従って、記憶容量が少なくても電子時計は時差を修正することができる。
電子時計は、標準電波を受信する第1受信部と、前記第1受信部で受信した前記標準電波に含まれる時刻情報を用いて時刻を修正する第1時刻修正部と、屋内に設置された無線局から送信されたビーコン識別情報を有するビーコン信号を受信する第2受信部と、所定の前記ビーコン識別情報と前記ビーコン識別情報に対応する時差情報とを記憶する記憶部と、前記第2受信部で受信した前記ビーコン信号と前記記憶部に記憶された前記時差情報とを用いて時差を修正する第2時刻修正部と、前記ビーコン信号の受信指示を受け付ける指示受付部と、を備え、前記第2受信部は前記指示受付部が前記受信指示を受け付けたときに前記ビーコン信号を受信することを特徴とする。
この構成によれば、電子時計は第1受信部が標準電波を受信する。そして、第1時刻修正部が標準電波を用いて時刻を修正する。従って、標準電波が受信可能なときには精度良く時刻を修正することができる。そして、衛星信号を受信するときに比べて標準電波は強度が強いので受信で消費する電力を低減することができる。
さらに、第2受信部がビーコン信号を受信する。記憶部にはビーコン識別情報とビーコン識別情報に対応する時差情報とが記憶されている。そして、第2時刻修正部がビーコン信号と時差情報とを用いて時差を修正する。従って、ビーコン信号を受信可能なときには時差を修正することができる。
指示受付部がビーコン信号の受信指示を受け付けるとき、第2受信部はビーコン信号を受信する。飛行機等にて長距離移動して空港等の建物内に到着したときに、空港の屋内では電波が弱いので衛星信号を受信し難い。このとき、操作者がビーコン信号の受信指示を行って電子時計に時差修正を行わせる。操作者が時刻修正を行うと予想される空港等の特定の場所はあらかじめ知られている。従って、電子時計は記憶部に特定の場所のビーコン識別情報とビーコン識別情報に対応する時差情報とを記憶しておけば良い。
操作者が受信指示を行う可能性が低い場所に設置されたビーコン識別情報とビーコン識別情報に対応する時差情報とを記憶部に記憶させるときには記憶部に膨大な記憶容量が必要となる。本電子時計では操作者がビーコン信号の受信指示を行うので、操作者が受信指示を行う可能性が高い場所に設置されたビーコン識別情報とビーコン識別情報に対応する時差情報とが記憶部に記憶されていれば良い。従って、記憶容量が少なくても電子時計は時差を修正することができる。
上記の電子時計では、前記第1受信部は衛星軌道情報を含む複数の前記衛星信号を受信し、前記第1時刻修正部は複数の前記衛星軌道情報から受信位置を演算する位置演算部を備え、前記第1受信部が複数の前記衛星信号を受信できないときには前記第1受信部が停止して前記第2受信部が前記ビーコン信号を受信することが好ましい。
この構成によれば、第1受信部は複数の衛星信号を受信する。そして、第1受信部が複数の衛星信号を受信できるときには、位置演算部が受信位置を演算する。第1受信部が複数の衛星信号を受信できないときには第1受信部が停止する。次に、第2受信部がビーコン信号を受信する。そして、第2時刻修正部が時刻を修正する。このように、第1受信部と第2受信部とは並行して作動しない為、消費電力のピークを低減することができる。
上記の電子時計では、前記第1受信部は衛星軌道情報を含む複数の前記衛星信号を受信し、前記第1時刻修正部は複数の前記衛星軌道情報から受信位置を演算する位置演算部を備え、前記第1受信部と前記第2受信部とが並行して作動することが好ましい。
この構成によれば、第1受信部と前記第2受信部とが並行して作動する。そして、第1受信部が4つの衛星信号を受信して、位置演算部が受信位置を特定する。さらに、第2受信部がビーコン信号を受信して、第2時刻修正部がビーコン設置位置を特定する。ビーコン設置位置は第2受信部がビーコン信号を受信した位置を略同じ位置である。従って、第1受信部と位置演算部とが受信位置を特定する処理と、第2受信部と第2時刻修正部とが受信位置を特定する処理とが並行して行われる。2つの受信位置特定手段は人口衛星やビーコンの状況により受信できる可能性や受信にかかる時間がことなる。2つの手段のうち一方のみを行うときに比べて、2つの手段を並行して行っているので受信位置を特定できる確率が高くなる。また、2つの手段がともに受信位置を特定できる状況では、2つの手段を1つずつ行うときに比べて、短時間に受信位置を特定することができる。
上記の電子時計において前記記憶部は書き換え可能の不揮発性メモリーを備えることが好ましい。
この構成によれば、記憶部は書き換え可能の不揮発性メモリーを備えている。不揮発性メモリーは電力を消費せずに記憶を維持することができる。また、記憶部は書き換え可能なので、利用するビーコンの識別情報を変更することができる。
時差修正方法は、ビーコン識別情報と前記ビーコン識別情報に対応する時差情報とを記憶する記憶部と、指示受付部と、を備える電子時計で実行される時差修正方法であって、時刻情報を含む衛星信号を受信することと、前記衛星信号を受信した場合に、前記時刻情報を用いて時刻を修正することと、前記指示受付部が前記ビーコン識別情報を含むビーコン信号の受信指示を受け付けるときに前記ビーコン信号を受信することと、前記ビーコン信号を受信した場合に、前記ビーコン信号に含まれる前記ビーコン識別情報に基づいて前記記憶部に記憶された前記時差情報を用いて時差を修正することと、を実行することを特徴とする。
この構成によれば、時刻修正では第1受信部が時刻情報を含む衛星信号を受信する。そして、時刻情報を用いて時刻が修正される。従って、衛星信号が受信可能なときに精度良く時刻が修正されている。
さらに、操作者がビーコン信号の受信指示を行う操作をするとき、指示受付部が受信指示を受け付ける。そして、第2受信部がビーコン信号を受信する。記憶部にはビーコン識別情報とビーコン識別情報に対応する時差情報とが記憶されている。そして、制御部がビーコン信号と時差情報とを用いて時刻を修正する。従って、ビーコン信号を受信可能なときには時差を修正することができる。
飛行機等にて長距離移動して空港等の建物内に到着したときに、空港の屋内では電波が弱いので衛星信号または標準電波を受信し難い。このとき、操作者がビーコン信号の受信指示を行って電子時計に時刻修正を行わせる。操作者が時刻修正を行うと予想される空港等の特定の場所はあらかじめ知られている。従って、記憶部は特定の場所のビーコン識別情報とビーコン識別情報に対応する時差情報とを記憶しておけば良い。
操作者の受信指示を行う可能性が低い場所に設置されたビーコン識別情報とビーコン識別情報に対応する時差情報とを記憶部に記憶させるときには記憶部に膨大な記憶容量が必要となる。本電子時計では操作者がビーコン信号の受信指示を行うので、操作者が受信指示を行う可能性が高い場所に設置されたビーコン識別情報とビーコン識別情報に対応する時差情報とが記憶部に記憶されていれば良い。従って、記憶容量が少なくても電子時計は時差を修正することができる。
時差修正方法は、ビーコン識別情報と前記ビーコン識別情報に対応する時差情報とを記憶する記憶部と、指示受付部と、を備える電子時計で実行される時差修正方法であって、時刻情報を含む標準電波を受信することと、前記標準電波を受信した場合に、前記時刻情報を用いて時刻を修正することと、前記指示受付部が前記ビーコン識別情報を含むビーコン信号の受信指示を受け付けるときに前記ビーコン信号を受信することと、前記ビーコン信号を受信した場合に、前記ビーコン信号に含まれる前記ビーコン識別情報に基づいて前記記憶部に記憶された前記時差情報を用いて時差を修正することと、を実行することを特徴とする。
この構成によれば、時刻修正では第1受信部が時刻情報を含む標準電波を受信する。そして、時刻情報を用いて時刻が修正される。従って、標準電波が受信可能なときに精度良く時刻が修正されている。
さらに、操作者がビーコン信号の受信指示を行う操作をするとき、指示受付部が受信指示を受け付ける。そして、第2受信部がビーコン信号を受信する。記憶部にはビーコン識別情報とビーコン識別情報に対応する時差情報とが記憶されている。そして、制御部がビーコン信号と時差情報とを用いて時刻を修正する。従って、ビーコン信号を受信可能なときには時差を修正することができる。
飛行機等にて長距離移動して空港等の建物内に到着したときに、空港の屋内では電波が弱いので衛星信号または標準電波を受信し難い。このとき、操作者がビーコン信号の受信指示を行って電子時計に時刻修正を行わせる。操作者が時刻修正を行うと予想される空港等の特定の場所をあらかじめ知られている。従って、記憶部は特定の場所のビーコン識別情報とビーコン識別情報に対応する時差情報とを記憶しておけば良い。
操作者の受信指示を行う可能性が低い場所に設置されたビーコン識別情報とビーコン識別情報に対応する時差情報とを記憶部に記憶させるときには記憶部に膨大な記憶容量が必要となる。本電子時計では操作者がビーコン信号の受信指示を行うので、操作者が受信指示を行う可能性が高い場所に設置されたビーコン識別情報とビーコン識別情報に対応する時差情報とが記憶部に記憶されていれば良い。従って、記憶容量が少なくても電子時計は時差を修正することができる。