JP2020101275A - 車両の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】車両が登坂路を高速走行中である場合における車両の駆動力不足及び変速ハンチングの発生を抑制できる車両の制御装置を提供する。【解決手段】実加速度Aactと基準加速度Astnとの差分である余裕加速度ΔACC(=Aact−Astn)が小さい場合に自動変速機22での高速側ギヤ段への変速を制限する、登坂制御が実施される。しかし、車両10が所定車速Vth以上である高速走行中においては、前記登坂制御に替えて、実駆動力Pactと走行抵抗RLとの差分である余裕駆動力ΔP(=Pact−RL)が小さく且つ変速ハンチングが生じていると判定された場合、自動変速機22での高速側ギヤ段への変速が制限される。これにより、車両10が高速走行中であっても駆動力不足及び変速ハンチングの発生が抑制される。【選択図】図3
Description
本発明は、車両が登坂路(上り坂)を高速走行中である場合における車両の駆動力不足及び変速ハンチングの発生を抑制できる車両の制御装置に関する。
実加速度と基準加速度との比較により登坂路走行中であるか否かを判定し、登坂路走行中であると判定した場合には自動変速機の高速側ギヤ段への変速(アップシフト)を制限する車両の制御装置が知られている。例えば、特許文献1に記載のものがそれである。
特許文献1に記載の車両の制御装置では、車速に対応した自動変速機の出力軸の回転速度が回転速度センサにより検出され、その検出された回転速度に対する演算により実際の車両加速度(実加速度)が算出される。ところで、車両が高速走行中である場合には、上記回転速度センサで検出される回転速度に基づく実加速度の演算処理の負荷が増加し、実加速度の検出精度が低くなってしまう。特に登坂路走行中の場合には、実加速度の検出精度の低下による誤判定に基づいて自動変速機の高速側ギヤ段への変速の制限が解除されてしまうと、車両が駆動力不足となったり、変速ハンチングが発生したりするおそれがある。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、車両が登坂路を高速走行中である場合における車両の駆動力不足及び変速ハンチングの発生を抑制できる車両の制御装置を提供することにある。
本発明の要旨とするところは、実加速度と基準加速度との差分である余裕加速度が小さい場合に自動変速機での高速側ギヤ段への変速を制限する登坂制御を実施する車両の制御装置において、所定車速以上の走行においては、前記登坂制御に替えて、実駆動力と走行抵抗との差分である余裕駆動力が小さく且つ変速ハンチングが生じている場合、前記高速側ギヤ段への変速を制限することにある。
本発明によれば、所定車速以上の走行においては、前記登坂制御に替えて、実駆動力と走行抵抗との差分である余裕駆動力が小さく且つ変速ハンチングが生じている場合、前記高速側ギヤ段への変速が制限される。このように実加速度の検出精度が低くなる所定車速以上の走行においては、余裕駆動力が小さく且つ変速ハンチングが生じている場合、自動変速機の高速側ギヤ段への変速が制限される。これにより、車両が高速走行中であっても駆動力不足及び変速ハンチングの発生が抑制される。
以下、本発明の実施例について図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、本発明が適用される車両10の概略構成を説明する図であると共に、車両10における制御機能の要部を説明する機能ブロック図である。
まず図1に基づいて、車両10の概略構成を説明する。車両10は、エンジン12、動力伝達装置14、一対の駆動輪32、油圧制御回路40、及び電子制御装置90を備える。
エンジン12は、車両10の駆動源であり、例えばガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関にて構成されている。
動力伝達装置14は、非回転部材としてのトランスミッションケース16内において、エンジン12側から順番に、トルクコンバータ18及び自動変速機22等を備える。また、動力伝達装置14は、自動変速機22の出力回転部材である出力軸24に連結されたプロペラシャフト26、プロペラシャフト26に連結されたディファレンシャルギヤ28、及びディファレンシャルギヤ28に連結された一対の車軸30等を備える。
トルクコンバータ18は、周知の流体式動力伝達装置である。トルクコンバータ18において、ポンプ翼車18pはエンジン12に連結され、タービン翼車18tはトルクコンバータ18の出力側部材に相当する入力軸20を介して自動変速機22に連結されている。
自動変速機22は、トルクコンバータ18と一対の駆動輪32との間の動力伝達経路に介在させられて、エンジン12からの動力を一対の駆動輪32側へ伝達する変速機である。自動変速機22は、例えば変速比γ(=入力軸回転速度Nin[rpm]/出力軸回転速度Nout[rpm])が異なる複数のギヤ段が選択的に成立可能な公知の遊星歯車式多段変速機である。例えば、自動変速機22内の各断接装置(クラッチやブレーキの油圧式摩擦係合装置)の断接状態の組合せによって選択されたギヤ段が、自動変速機22において選択的に成立させられる。後述するように、各断接装置は、電子制御装置90からの油圧制御信号Spに基づいて制御される各断接装置に対する油圧アクチュエータによって断接制御される。なお、入力軸回転速度Ninは入力軸20の回転速度であり、出力軸回転速度Noutは出力軸24の回転速度である。
ディファレンシャルギヤ28は、一対の駆動輪32のそれぞれに連結された一対の車軸30に適宜差回転を与えつつ駆動力を伝達する周知のディファレンシャルギヤである。
エンジン12から出力された動力は、トルクコンバータ18、入力軸20、自動変速機22、出力軸24、プロペラシャフト26、ディファレンシャルギヤ28、及び一対の車軸30を介して一対の駆動輪32に伝達される。車両10は、FR(フロントエンジン・リヤドライブ)車である。
電子制御装置90は、例えばCPU、RAM、ROM、入出力インターフェース等を備えた所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、CPUはRAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより車両10の各種制御を実行する。電子制御装置90は、自動変速機22の変速制御(例えば、自動変速機22のギヤ段を選択的に成立させる断接装置の断接制御)等を実行する。なお、電子制御装置90は、本発明における「制御装置」に相当する。
電子制御装置90には、エンジン12のクランク軸に設けられた回転速度センサ50、入力軸20に設けられた回転速度センサ52、出力軸24に設けられた回転速度センサ54、アクセルペダルに設けられたアクセル開度センサ56、スロットルバルブに設けられたスロットル開度センサ58、及び油圧制御回路40に設けられた温度センサ60などの各種センサ等によって、エンジン回転速度Ne[rpm]を表す信号、タービン回転速度Nt[rpm]と同値となる入力軸回転速度Nin[rpm]を表す信号、車速V[km/h]に対応する出力軸回転速度Nout[rpm]を表す信号、運転者による車両10に対する加速要求量としてのアクセルペダルの操作量であるアクセル開度θacc[%]を表す信号、スロットルバルブの開き具合であるスロットル弁開度θth[%]を表す信号、及び自動変速機22の変速制御に用いられる作動油の油温Toil[℃]を表す信号などの各種検出信号がそれぞれ入力される。
電子制御装置90からは、油圧制御回路40に自動変速機22の変速を制御させるための油圧制御信号Spが出力される。
オイルポンプ36は、ポンプ翼車18pに連結された機械式オイルポンプである。オイルポンプ36は、エンジン12により回転駆動されることによって、自動変速機22の変速制御などのための作動油を油圧制御回路40へ圧送する。
油圧制御回路40は、例えば電子制御装置90から入力された油圧制御信号Spに基づいて、自動変速機22内に設けられた断接装置であるクラッチやブレーキを断接させる制御油圧を生成して、各断接装置のアクチュエータにそれぞれ出力する。
つぎに、電子制御装置90の制御機能の要部を以下に説明する。電子制御装置90は、車速判定部90a、加速度判定部90b、駆動力判定部90c、ハンチング判定部90d、及び変速制御部90eを機能的に備える。
車速判定部90aは、車両10が中低速走行中であるか否かを判定する。例えば、車速判定部90aは、車速Vが所定車速Vth[km/h]未満であるか否かに基づいて、車速Vが所定車速Vth未満である場合には車両10が中低速走行中であると判定し、車速Vが所定車速Vth以上である場合には車両10が中低速走行中ではない、すなわち高速走行中であると判定する。所定車速Vthは、後述する実際の車両加速度Aact[m/s2]の検出精度が低く許容範囲外とされる車速Vの下限値として予め実験的に或いは設計的に定められた閾値である。
ここで、車速Vの算出方法について説明する。図2は、図1に示す自動変速機22の出力軸24に設けられた回転速度センサ54の波形成形された検出信号Snoutの一例である。検出信号Snoutは、車速Vに対応する出力軸回転速度Noutを表す信号として電子制御装置90の車速判定部90aに入力されている。検出信号Snoutの検出信号レベルの立ち下がりタイミングによるパルス間隔T(図2では、例えばTi−4、Ti−3、Ti−2、Ti−1、Ti、Ti+1)は、車速Vに応じて時間t[ms]の経過とともに変化する。車速判定部90aは、所定の時間Ts[ms](例えば、数十ms)毎にサンプルパルス数tNSM分の最新のパルス間隔Tを取り込む。所定の時間Tsは、高速走行中における車速Vであっても、サンプルパルス数tNSM分のパルス間隔Tを取り込める時間として予め設計的に定められている。サンプルパルス数tNSMは「1」以上であれば良い。
例えば、サンプルパルス数tNSMが「5」であって、図2に示すようにパルス間隔Tiの直後のパルス間隔Ti+1の期間中において所定の時間Tsのタイミングとなった場合、車速判定部90aは、5パルス分の最新のパルス間隔TとしてTi−4、Ti−3、Ti−2、Ti−1、及びTiを取り込む。例えば、検出信号Snoutの1周期が出力軸24の1回転に要する時間に相当する場合には、出力軸24の5回転に要する時間が取り込まれた最新のパルス間隔Tの合計値(=Ti−4+Ti−3+Ti−2+Ti−1+Ti)であるから、これにより出力軸24における出力軸回転速度Noutや車速Vが算出される。すなわち、所定の時間Ts毎に取り込まれる検出信号Snoutのパルス間隔Tに基づいて車速Vが算出される。なお、パルス間隔Tは、検出信号Snoutの検出信号レベルの立ち下がりタイミングに限らず、立ち上がりタイミングによって定められても構わない。
車両10が中低速走行中であると車速判定部90aにより判定されると、加速度判定部90bは、実際の車両加速度Aact(以下、「実加速度Aact」と記す場合がある。)及び基準加速度Astn[m/s2]を算出して比較する。
加速度判定部90bは、例えば、予め定められ記憶されている関係から、車両状態(例えば、スロットル弁開度θth(出力関連値)、自動変速機22の変速比γ、及び車速Vなど)に基づいて基準加速度Astnを算出する。基準加速度Astnは、上記車両状態で平坦路走行中である場合の車両10の実加速度Aactに相当する値である。
加速度判定部90bは、例えば車速Vに対応する出力軸回転速度Noutの時間tに対する変化率に基づいて、車両10の実加速度Aactを算出する。前述したように、所定の時間Ts毎に取り込まれた検出信号Snoutの最新のパルス間隔Tに基づいて車速Vが算出される。加速度判定部90bは、算出された車速Vの所定の時間Tsに対する変化率から、車両10の実加速度Aactを算出する。
図1に戻り、加速度判定部90bは、実加速度Aactと基準加速度Astnとを比較し、実加速度Aactと基準加速度Astnとの差分である余裕加速度ΔACC[m/s2](=Aact−Astn)が零以上の場合には、余裕加速度ΔACCが大きいと判定する。加速度判定部90bは、余裕加速度ΔACCが零未満の場合には、余裕加速度ΔACCが小さいと判定する。一般的に、登坂路走行中は、降坂路(下り坂)走行中に比較して余裕加速度ΔACCが小さくなりやすい。
余裕加速度ΔACCが大きいと加速度判定部90bにより判定されると、変速制御部90eは、後述のような自動変速機22での高速側ギヤ段への変速の制限をすることなく、変速線に基づいて変速制御を行う。例えば、変速マップにおいて、車速V及びアクセル開度θaccを変数とする二次元座標上に、自動変速機22の変速が判断されるための変速線を有する所定の関係が表され、実際の車速Vおよびアクセル開度θaccによって車両状態を示す点が変速線を横切ることで成立させるべきギヤ段の変更が判断される。なお、変速線には、変速ハンチングの発生を抑制するために、所定のヒステリシスを有するアップシフト線(アップシフトが判断される変速線)とダウンシフト線(ダウンシフトが判断される変速線)とがある。この変速線に基づいて判断されたギヤ段を成立させるように自動変速機22の変速制御が実行される。変速マップの変数については、車速Vに替えて自動変速機22の出力軸回転速度Noutなどが用いられても良いし、アクセル開度θaccに替えてスロットル弁開度θthなどが用いられても良い。
余裕加速度ΔACCが小さいと加速度判定部90bにより判定されると、変速制御部90eは、自動変速機22での高速側ギヤ段への変速を制限する。例えば、変速制御部90eは、自動変速機22の変速比γの下限値γlowを設定し、変速線に基づいた成立させるべきギヤ段として変速比γが下限値γlow未満のギヤ段(高速側ギヤ段)が判断された場合であっても、変速比γが下限値γlow以上のギヤ段を成立させるように自動変速機22の高速側ギヤ段への変速を禁止する。下限値γlowは、車両10が登坂路を中低速走行中であっても駆動力不足とならない変速比γとして予め実験的に或いは設計的に定められた値である。なお、余裕加速度ΔACCが小さいとの判定による自動変速機22での高速側ギヤ段への変速を制限する制御は、本発明における「登坂制御」に相当する。この「登坂制御」により、車両10が登坂路を中低速走行中である場合における車両10の駆動力不足が抑制される。
ところで、上述した加速度判定部90bによる余裕加速度ΔACCが大きいか否かの判定結果によって高速側ギヤ段への変速が制限されなかったり制限されたりする制御は、車両10が中低速走行中である場合であった。もし、車両10が高速走行中である場合においてこれと同様の制御が実行されると、自動変速機22での高速側ギヤ段への変速の制限やその変速の制限の解除が誤った判定の下に行われてしまうおそれがある。その理由は以下の通りである。
車両10が高速走行中である場合においては、中低速走行中である場合に比較して回転速度センサ54の検出信号Snoutが高周波となるため、演算処理の負荷が増加して実加速度Aactの検出精度が低下しやすい。実加速度Aactの検出精度が低下すると、余裕加速度ΔACCが大きいか否かについて誤判定されやすくなるからである。例えば、余裕加速度ΔACCが小さいにもかかわらず、実加速度Aactの検出精度の低下に伴って余裕加速度ΔACCが大きいと誤判定され、自動変速機22での高速側ギヤ段への変速の制限の解除が行われてしまうと、車両10が駆動力不足となってしまうおそれがある。例えば、実際の車速Vおよびアクセル開度θaccが変化していないにもかかわらず、実加速度Aactの検出精度の低下に伴って余裕加速度ΔACCが大きいか否かの判定が変動し、その結果、自動変速機22での高速側ギヤ段への変速の制限及びその変速の制限の解除が繰り返されてしまって変速ハンチングが発生してしまうおそれがある。
車両10が中低速走行中ではない、すなわち高速走行中であると車速判定部90aにより判定されると、駆動力判定部90cは、実際の駆動力Pact[N](以下、「実駆動力Pact」と記す場合がある。)及び走行抵抗RL[N]を算出して比較する。
駆動力判定部90cは、例えば予め記憶されているエンジン回転速度NeとエンジントルクTe[Nm]との関係を表すエンジン性能曲線から、エンジン回転速度Neに基づいてエンジントルクTeを算出する。駆動力判定部90cは、算出したエンジントルクTeに自動変速機22の変速比γを含むエンジン12から一対の駆動輪32までの動力伝達経路におけるギヤ比を乗ずることにより実駆動力Pactを算出する。
走行抵抗RL[N]は、ころがり抵抗Fr[N]、空気抵抗Fa[N]、勾配抵抗Fs[N]、及び加速抵抗Fac[N]を含む。駆動力判定部90cは、例えば周知の一般的な関係式により、ころがり抵抗係数μ、空気抵抗係数Cd、空気密度ρ[kg/m3]、重力加速度g[m/s2]、車両10の前面投影面積A[m2]、車両10の車両重量W[kg]、車両10の動力伝達機構における回転部分の慣性相当重量Wi[kg]、車速V、路面の勾配角θrd[rad]、及び実加速度Aact[m/s2]に基づいて、ころがり抵抗Fr、空気抵抗Fa、勾配抵抗Fs、及び加速抵抗Facを算出する。
ころがり抵抗係数μ、空気抵抗係数Cd、空気密度ρ、重力加速度g、前面投影面積A、車両重量W、慣性相当重量Wiが略一定と見なせれば、ころがり抵抗Fr、空気抵抗Fa、勾配抵抗Fs、及び加速抵抗Facは専ら車速V、勾配角θrd、及び実加速度Aactに基づいて算出される。これら算出されたころがり抵抗Fr、空気抵抗Fa、勾配抵抗Fs、及び加速抵抗Facが合算されて走行抵抗RLが算出される。なお、勾配角θrdは、車両10の進行方向における路面と水平面との角度であって、平坦路では零であり、登坂路では正の値であり、降坂路では負の値である。例えば、勾配角θrdは、実加速度Aactと基準加速度Astnとの差分である余裕加速度ΔACCと勾配角θrdとの関係マップが電子制御装置90内に予め記憶されており、この関係マップから余裕加速度ΔACCに基づいて算出される。
駆動力判定部90cは、実駆動力Pactと走行抵抗RLとを比較し、実駆動力Pactと走行抵抗RLとの差分である余裕駆動力ΔP[N](=Pact−RL)が零以上の場合には、余裕駆動力ΔPが大きいと判定する。駆動力判定部90cは、余裕駆動力ΔPが零未満の場合には、余裕駆動力ΔPが小さいと判定する。
余裕駆動力ΔPが大きいと駆動力判定部90cにより判定されると、変速制御部90eは、前述のような自動変速機22での高速側ギヤ段への変速の制限をすることなく、変速線に基づいて変速制御を行う。
ハンチング判定部90dは、変速制御において変速ハンチングが発生しているか否かを判定する。変速ハンチングとは、自動変速機22において高速側ギヤ段への変速(アップシフト)及び低速側ギヤ段への変速(ダウンシフト)が短期間に繰り返されることである。例えば、自動変速機22においてダウンシフト直後のアップシフトやアップシフト直後のダウンシフトのような変速がされた場合も変速ハンチングに含まれ得る。変速ハンチングが発生すると、ドライバビリティが低下する。
例えば、ハンチング判定部90dは、所定の期間Th[s]内における自動変速機22のダウンシフトの回数とアップシフトの回数とがそれぞれ所定の設定回数Nh(≧1)以上である場合に、変速ハンチングが発生していると判定する。なお、所定の期間Th及び所定の設定回数Nhは、それぞれ自動変速機22のギヤ段の変更が短期間に繰り返される変速ハンチングが発生しているとして予め実験的に或いは設計的に定められた値である。所定の設定回数Nhは、例えば自動変速機22のギヤ段を成立させる断接装置の断接制御を行う作動油の油温Toilに応じて定められても良い。変速ハンチングが発生しているとの判定により後述するように高速側ギヤ段への変速(アップシフト)が制限されると自動変速機22の出力軸24の回転速度である出力軸回転速度Noutが高くなって作動油の油温Toilが上がりやすくなる。そのため、油温Toilが低いほど、高速側ギヤ段への変速が制限されても作動油の油温Toilの上昇に対して余裕があるため、変速ハンチングの検出感度を上げるように所定の設定回数Nhが少なく定められても良い。
変速ハンチングが発生しているとハンチング判定部90dより判定されると、変速制御部90eは、前述の「登坂制御」と同様に、自動変速機22での高速側ギヤ段への変速を制限する。
余裕駆動力ΔPが小さいと駆動力判定部90cにより判定され且つ変速ハンチングが発生していないとハンチング判定部90dより判定されると、変速制御部90eは、前述のような自動変速機22での高速側ギヤ段への変速の制限をすることなく、変速線に基づいて変速制御を行う。
図3は、図1に示す電子制御装置90の制御作動を説明するフローチャートの一例である。図3のフローチャートは、例えば車両10が走行状態にある場合、所定の時間毎に繰り返して実行される。
まず、車速判定部90aに対応するステップS10において、車両10の車速Vが所定車速Vth未満であるか否かが判定される。ステップS10の判定が肯定される場合は、ステップS20が実行される。ステップS10の判定が否定される場合は、ステップS40が実行される。
加速度判定部90bに対応するステップS20において、実加速度Aact及び基準加速度Astnが算出されて比較される。そしてステップS30が実行される。
加速度判定部90bに対応するステップS30において、実加速度Aactと基準加速度Astnとの差分である余裕加速度ΔACCが大きいか否かが判定される。ステップS30の判定が肯定される場合は、ステップS70が実行される。ステップS30の判定が否定される場合は、ステップS80が実行される。
駆動力判定部90cに対応するステップS40において、実駆動力Pact及び走行抵抗RLが算出されて比較される。そしてステップS50が実行される。
駆動力判定部90cに対応するステップS50において、実駆動力Pactと走行抵抗RLとの差分である余裕駆動力ΔPが大きいか否かが判定される。ステップS50の判定が肯定される場合は、ステップS70が実行される。ステップS50の判定が否定される場合は、ステップS60が実行される。
ハンチング判定部90dに対応するステップS60において、変速ハンチングが発生しているか否かが判定される。ステップS60の判定が肯定される場合は、ステップS80が実行される。ステップS60の判定が否定される場合は、ステップS70が実行される。
変速制御部90eに対応するステップS70において、高速側ギヤ段への変速の制限をすることなく、変速線に基づいて変速制御が行われる。そしてリターンとなる。
変速制御部90eに対応するステップS80において、自動変速機22での高速側ギヤ段への変速が制限される。そしてリターンとなる。
本実施例の電子制御装置90によれば、実加速度Aactと基準加速度Astnとの差分である余裕加速度ΔACCが小さい場合に自動変速機22での高速側ギヤ段への変速を制限する「登坂制御」が実施される。しかし、車両10が所定車速Vth以上の走行においては、前記「登坂制御」に替えて、実駆動力Pactと走行抵抗RLとの差分である余裕駆動力ΔPが小さく且つ変速ハンチングが生じている場合、自動変速機22での高速側ギヤ段への変速が制限される。このように実加速度Aactの検出精度が低くなる車両10が所定車速Vth以上の高速走行中においては、余裕駆動力ΔPが小さく且つ変速ハンチングが生じている場合、自動変速機22での高速側ギヤ段への変速が制限される。これにより、車両10が高速走行中であっても実加速度Aactの検出精度の低下に伴う駆動力不足及び変速ハンチングの発生が抑制される。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
前述の実施例では、車両10はFR車であったが、これに限らない。例えば、車両10はFF(フロントエンジン・フロントドライブ)車であっても良い。
前述の実施例では、走行用の電動機を備えない車両10であったが、これに限らない。例えば、車両10はエンジン12とともに走行用の電動機を備えたハイブリッド車両であっても良い。
前述の実施例では、自動変速機22は遊星歯車式多段変速機であったが、これに限らない。例えば、自動変速機22は変速比γが無段階に連続的に変化させられる公知の無段変速機であっても良い。
前述の実施例では、余裕加速度ΔACCが大きいか否かは、余裕加速度ΔACC(=Aact−Astn)が零以上であるか否か、すなわち実加速度Aactが基準加速度Astn以上であるか否かで判定されたが、これに限らない。例えば、余裕加速度ΔACCが所定加速度Amgn[m/s2](零以上の値)以上である場合に余裕加速度ΔACCが大きいと判定され、そうでない場合に余裕加速度ΔACCが小さいと判定されても良い。また、前述の実施例では、余裕駆動力ΔPが大きいか否かは、余裕駆動力ΔP(=Pact−RL)が零以上であるか否か、すなわち実駆動力Pactが走行抵抗RL以上であるか否かで判定されたが、これに限らない。例えば、余裕駆動力ΔPが所定駆動力Pmgn[N](零以上の値)以上である場合に余裕駆動力ΔPが大きいと判定され、そうでない場合に余裕駆動力ΔPが小さいと判定されても良い。所定加速度Amgn及び所定駆動力Pmgnは、それぞれ自動変速機22での高速側ギヤ段への変速の制限がされなくとも車両10における駆動力不足や変速ハンチングの発生が許容範囲内であるとして予め実験的に或いは設計的に定められた閾値である。
前述の実施例では、出力軸回転速度Noutの時間tに対する変化率に基づいて実加速度Aactが算出されていたが、これに限らない。例えば、車速Vに対応したプロペラシャフト26の回転速度の時間tに対する変化率から実加速度Aactが算出されても良い。要するに、車速Vに対応した動力伝達経路上の回転軸やギヤなどの回転速度の時間tに対する変化率から実加速度Aactが算出されても良い。
前述の実施例では、流体式動力伝達装置としてトルクコンバータ18が用いられていたが、トルク増幅作用のない流体継手などの他の流体式動力伝達装置が用いられても良い。また、トルクコンバータ18は必ずしも設けられなくても良い。
尚、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
10:車両
22:自動変速機
90:電子制御装置(制御装置)
Aact:実加速度
Astn:基準加速度
Pact:実駆動力
RL:走行抵抗
Vth:所定車速
ΔACC:余裕加速度
ΔP:余裕駆動力
22:自動変速機
90:電子制御装置(制御装置)
Aact:実加速度
Astn:基準加速度
Pact:実駆動力
RL:走行抵抗
Vth:所定車速
ΔACC:余裕加速度
ΔP:余裕駆動力
Claims (1)
- 実加速度と基準加速度との差分である余裕加速度が小さい場合に自動変速機での高速側ギヤ段への変速を制限する登坂制御を実施する車両の制御装置において、
所定車速以上の走行においては、前記登坂制御に替えて、実駆動力と走行抵抗との差分である余裕駆動力が小さく且つ変速ハンチングが生じている場合、前記高速側ギヤ段への変速を制限する
ことを特徴とする車両の制御装置。
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ID=71139179
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2018241783A Pending JP2020101275A (ja) | 2018-12-25 | 2018-12-25 | 車両の制御装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2020101275A (ja) |
-
2018
- 2018-12-25 JP JP2018241783A patent/JP2020101275A/ja active Pending
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