JP2020101086A - トンネル掘削機、及び、コンクリート又はモルタルの吹付け方法 - Google Patents
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Abstract
Description
しかし、TBM工法では、軟弱地盤などの不良地山に遭遇したときに、切羽の崩落などによってカッタヘッドでは掘削できなくなり、また、切羽でコンクリート吹付等の支保作業ができなくなることで、掘進不能になる場合があった。
本願発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、トンネルをTBM工法で掘削するときに、トンネル掘削機のカッタヘッドによる掘削と自走式建設機械などの補助掘削機による補助掘削とを容易に(短時間に)変更でき、これにより不良地山を効率的に突破できる、トンネル掘削機を提供することを目的とする。
また、補助掘削機は、腕体をカッタヘッドの開口部から突き出して掘削を行うことが可能であり、トンネル掘削機のカッタヘッドによる掘削と補助掘削機による補助掘削とを容易に(短時間に)変更できるため、不良地山を効率的に突破できる。
まず、本発明に係るトンネル掘削機の一態様としてのトンネルボーリングマシン(Tunnel Boring Machines:TBM)100を、図1−図8を参照して説明する。
円筒形状をなす胴体110は、前胴111と後胴112とからなり、前胴111の前部にカッタヘッド120がメインベアリング113によって駆動回転可能に取り付けられていている。
そして、カッタヘッド120は、カッタヘッド駆動モータ122によって胴体110の軸心回りに回転駆動される。
カッタヘッド120の後方に延びるメインビーム130の前部には、カッタヘッド120が回転自在に支承されていて、メインビーム130の後部にはグリッパ装置133が前後方向に摺動可能に支持されている。
スラストジャッキ140の一端はグリッパ装置133に連結され、他端はグリッパ装置133よりも前方のメインビーム130に連結されている。
また、後胴112の後部には、支保工161をトンネルの内壁面(坑壁)150に組み付けるエレクタ装置160が設けられている。
更に、TBM100の後ろには、油圧装置、電気設備、排土装置、給水設備などを搭載した後続台車(図示省略)が接続される。
まず、グリッパ132を坑壁に押し当てリヤサポート190を収縮させた状態で、回転駆動されるカッタヘッド120で地山を掘削しながらスラストジャッキ140を伸長させることで、トンネルを掘進する(トンネル掘進工程)。
なお、本実施形態のTBM100は、グリッパ132を坑壁に押し当てた状態でスラストジャッキ140を伸長させることでトンネルを掘進する形態であるが、坑壁がセグメント等により構成された覆工体で覆われている場合は、グリッパ132を覆工体に押し当てた状態でスラストジャッキ140を伸長させることでトンネルを掘進する形態、若しくは、覆工体にスラストジャッキを直接押し当てた状態でスラストジャッキ140を伸長させることでトンネルを掘進する形態とすることができる。
また、図1、図2に示すように、後胴112の周縁部に複数の推進ジャッキ171を周方向に互いに間隔を空けて配置し、推進ジャッキ171のロッド先端をセグメント等により構成された覆工体に当接させた状態で推進ジャッキ171を伸長動作させることにより、掘進反力を得ることができる。つまり、TBM100は、坑壁又は覆工体から推進するための反力を得てトンネルを掘進する。
グリッパ盛替えが終了すると、カッタヘッド120を回転駆動させながらスラストジャッキ140を伸長させてトンネル掘進を再開させ、係るトンネル掘進工程とグリッパ盛替え工程とを繰り返す。
つまり、カッタヘッド120によってトンネルを掘進する標準掘削工程は、グリッパ132によって掘進反力を得ながらスラストジャッキ140を伸長させてカッタヘッド120を切羽に押し当て、回転駆動されるカッタヘッド120によって地山を掘削するトンネル掘進工程と、グリッパ132の坑壁に対する押し当て位置を切羽に近い側に移設するグリッパ盛替え工程とを繰り返すことで、トンネルを掘進する。
エキスカベータ200は、腕体の先端に作業装置を取り付けた掘削機であり、図5−図8を参照して詳細に説明する。
エキスカベータ200は、機械本体部を構成するクランプボックス210、クランプボックス210に対して俯仰及び旋回が可能に支持されるサポートフレーム220、サポートフレーム220に対して摺動可能に支持されるブーム230、ブーム230の先端にチルト可能に取り付けられるバケット240などを含んで構成される。
なお、本実施形態において、補助掘削機としてのエキスカベータ200の腕体は、サポートフレーム220とブーム230とで形成される。
更に、クランプボックス210は、前輪211と後輪212との間でレール135を左右から挟み込む内クランプ213及び外クランプ214の組み合わせを4対備えていて、内クランプ213及び外クランプ214によって、レール135上の任意の位置にクランプボックス210を固定でき、また、クランプボックス210を移動させて停止させるときに制動を作用させることができるよう構成されている。
また、前輪211は、図外の油圧モータで回転駆動される駆動輪であり、前輪211が回転駆動されることで、クランプボックス210はレール135上を自走して前後方向に移動する。
各レール135の外側側面(2つのレール135が相互に対向する面とは反対側の面)
には、溝部136が前後方向に沿って延びるように凹陥形成されていて、溝部136の横断面は底面と開放面とが平行で底面側が開放面側よりも狭い(開放面に向けて拡がる)台形をなす。そして、後輪212は、溝部136の上側傾斜面136aに踏面が接触して回転するよう構成された非駆動輪である。
つまり、後輪押付けジャッキ218を伸長させて上側傾斜面136aに後輪212の踏面が押し付けられる状態で、後輪212の回転軸は、上側傾斜面136aに平行で水平面に対して斜めに交差し、後輪押付けジャッキ218を収縮させると、後輪212の回転軸は、揺動軸回りに外側に向けて揺動し、後輪212の踏面は上側傾斜面136aから離間する。
また、後輪押付けジャッキ218を収縮させることで、後輪212のユニットが外側に退避した状態となり、係る状態で、クランプボックス210のレール135に対する脱着が可能となる。つまり、クランプボックス210を脱着するとき以外は、後輪押付けジャッキ218を伸長させた状態に保持する。
外クランプ214は、溝部136に形状を合わせた台形部214aを有し、左右一対の外クランプ214の組み合わせ毎に設けられる外レールクランプジャッキ215を伸長させることで台形部214aが溝部136に嵌入してレール135に押し付けられる状態になり、逆に外レールクランプジャッキ215を収縮させることで、台形部214aが溝部136から離間するように、クランプボックス210に対し揺動可能に支持されている。
つまり、エキスカベータ200による掘削時などのクランプボックス210の位置を固定したいときには、外レールクランプジャッキ215及び内レールクランプジャッキ216を伸長させて内クランプ213及び外クランプ214をレール135に押し当てることで、摩擦抵抗によりクランプボックス210の前後方向への移動を阻止する。
なお、内クランプ213及び外クランプ214によるクランプ状態では、外クランプ214の台形部214aが溝部136に嵌入することで、クランプボックス210が上下方向に位置決めされ、このとき前輪211,211の踏面がレール135,135の頭部から浮いた状態(非接触状態)になるよう構成されている。
そして、クランプボックス210の前側の左右端部に一端が連結される左右一対の旋回ジャッキ221の他端が、基端部220aの左右側面に連結され、この旋回ジャッキ221の一方を伸ばし他方を縮めることで基端部220aが垂直軸回り(左右方向)に揺動するよう構成されている。
更に、サポートフレーム220(フレーム部220b)とブーム230との間に設けられる摺動ジャッキ223を伸縮させることで、サポートフレーム220(フレーム部220b)の前端からのブーム230の飛び出し長さ、つまり、クランプボックス210からバケット240までの腕体の長さが可変とされる。
バケットチルトジャッキ224は、一端がブーム230に連結され他端がバケット240に連結され、このバケットチルトジャッキ224を伸縮させることで、バケット240がチルト動作する。
カッタヘッド120の中央の所定領域は開閉可能な開閉扉123をなし、この開閉扉123が開いて開放される開口部123a(図20参照)にサポートフレーム220及びブーム230が挿通できるように構成される。
係る排土コンベア180の突き出しを可能にするために、排土コンベア180を挿通させるための開口部128が、開閉扉123が開いて開放される開口部123aからカッタヘッド120の径方向に連続するようにカッタヘッド120に設けられ(図20参照)、この排土コンベア180を挿通させるための開口部128は、面板の取り外しによって開放されるよう構成されている。
つまり、カッタヘッド120によって掘削させるときには、開閉扉123を閉じ、スクレーパ121b1及び面板127a−127cをカッタヘッド120に取付けた状態とする。
そして、開閉扉123が開いて開放される開口部123aからサポートフレーム220及びブーム230を切羽側に突き出し、スクレーパ121b1及び面板127a−127cが外されて開放される開口部128に排土コンベア180を挿通させて、排土コンベア180の先端をカッタヘッド120の前方下部に突き出す。
また、排土コンベア180をカッタヘッド120に向けて押し出すと、押し出し前は搬送面が略水平に設定される排土コンベア180のうちの先端ユニット180aは、基端側を揺動軸として先端側が下がり、先端ユニット180aの搬送面は前方(切羽側)に向けて下り坂になるように傾斜する。
そして、係る状態(第2位置、エキスカベータ200による掘削時位置)で、スクレーパ121b1及び面板127a−127cが外されて開放する開口部128に先端ユニット180aが挿通し、カッタヘッド120の前方下部に突き出るよう構成される。
図9のフローチャートは、TBM100によるトンネル掘削の基本的な手順を示す。
トンネル掘削において、まずは、カッタヘッド120によってトンネル掘削を行う標準掘削工程(S1)を実施する。
なお、TBM100が、スラストジャッキ140をセグメント等により構成される覆工体に直接押し当てることで推進反力を得る場合は、スラストジャッキ140を覆工体に直接押し当てている状態でスラストジャッキ140を伸長させて掘進し、スラストジャッキ140が伸びきると、スラストジャッキ140を覆工体に押し当てている箇所から離間させた後に収縮させて、その後スラストジャッキ140を再度覆工体に押し当てて(つまり、スラストジャッキ140を押し当てる覆工体の位置を盛替えて)、覆工体から掘進反力を得ながらスラストジャッキ140を伸長させて掘進することを繰り返す(標準掘削工程)。
また、係るカッタヘッド120によるトンネル掘進においては、エレクタ装置160によって支保工161を坑壁150に組み付け、更に、支保工161が設置された坑壁150にコンクリートを吹き付けて補強する。
そして、補助掘削工程によるトンネル掘進で不良地山を突破すると(S5)、カッタヘッド120によってトンネル掘削を行う標準掘削工程に戻す(S6)。
次いで、エキスカベータ200を用いたトンネル掘進(補助掘削工程)を、図11及び図12のフローチャート、更に、図13−図24の工程説明図を参照して説明する。
なお、図11のフローチャートは、補助掘削工程に含まれる各工程を示し、図12のフローチャートは、補助掘削工程に含まれる工程のうちの1つである準備工程に含まれる各工程を示す。
薬剤の注入による地山改良においては、胴体110内に削孔機280を設置し、この削孔機280によって胴体110周囲の坑壁150の天井部から切羽側に向けて斜めに延びるボーリング孔を複数削孔し、削孔した複数のボーリング孔にウレタン系注入材などの薬液をそれぞれ注入し、薬液の固結によって地山を改良する(図20参照)。
なお、薬剤の注入による地山改良は、必要に応じて実施されるべき工程であり、省略することができる。
そして、グリッパ132が坑壁に押し当てられている状態で、スラストジャッキ140を収縮させることで、カッタヘッド120をカッタヘッド120による掘削面から所定距離だけ後退させ(後退工程:図11のS30、図15参照)、開閉扉123を押し開くための空間をカッタヘッド120前方に確保する。
なお、スラストジャッキ140をセグメント等により構成される覆工体に直接押し当てることで推進反力を得る場合、スラストジャッキ140を収縮させることで、カッタヘッド120をカッタヘッド120による掘削面から所定距離だけ後退させる。
また、スラストジャッキ140が収縮した状態にあり、更に収縮できない場合は、グリッパ132を坑壁から離間させた後に、スラストジャッキ140を伸長させてグリッパ132を後方に押し出し、その後、グリッパ132を坑壁に再度押し当て、グリッパ132によって反力を得ながらスラストジャッキ140を収縮させることで、カッタヘッド120による掘削面から所定距離だけ後退させる。
なお、スラストジャッキ140をセグメント等により構成される覆工体に直接押し当てることで推進反力を得る場合、覆工体への押し当てを解除して離間させた後にスラストジャッキ140を伸長して、再度、別の箇所の覆工体にスラストジャッキを押し当ててスラストジャッキを収縮させることで、カッタヘッド120による掘削面から所定距離だけカッタヘッド120を後退させる。
また、カッタヘッド120を後退させるときに、面板127aが上側になるようにカッタヘッド120を回転させ、面板127a−127cのうちの中央の面板127aを取り外し、面板127aの取り外しによって開口した開口部から坑壁150にコンクリート吹付けを行いながら、カッタヘッド120を後退させ(地山改良工程、吹付工程:図11のS30、図15参照)、後退に伴う坑壁150の崩落を抑制する。
カッタヘッド120を所定位置まで後退させると、エキスカベータ200による掘削を開始するための準備作業(補助掘削準備工程:図11のS40、図12のS41−S45参照)を行う。
前記準備作業(補助掘削準備工程)として、まず、カッタヘッド120を回転させることで、面板127aの取り付け位置を上側から下側に変更し(回転工程:図12のS41、図16参照)、また、エキスカベータ200の移動に障害となるホッパシュート170などの撤去を実施する(撤去工程:図12のS42、図16参照)。
ここで、開閉扉123が後方に向けて引き開けられる構成とすることができるが、開閉扉123を切羽側に向けて押し開く構成であれば、エキスカベータ200による掘削作業を行うときにカッタヘッド120手前の胴体内にスペースを広く確保でき、また、開口部123aからエキスカベータ200の腕体を突き出すことが容易になる。
なお、カッタヘッド120に後方に向けて引き開けられる構成の開閉可能な開口部を設けた場合、不良地山に遭遇したときにカッタヘッド120を後退させることなく、引き開けた開口部からカッタヘッド120前方の地山の状態を目視で確認することができる。
つまり、バケット240と開閉扉123の裏側とを連結材で連結し、クランプボックス210をレール135にクランプさせた状態で、摺動ジャッキ223を伸長させることで開閉扉123をカッタヘッド120前方に向けて押し開き、ラチェット構造を有する固定部材でカッタヘッド120と開閉扉123とを連結させることで押し開き位置を保持させる。
摺動ジャッキ223が伸び切ると、摺動ジャッキ223を収縮させると共にクランプボックス210の位置をより前方に変更して再度クランプさせ、摺動ジャッキ223を伸長させる。係る摺動ジャッキ223の伸縮、及び、クランプボックス210の位置変更を繰り返して、開閉扉123を全開にまで押し開く。
そして、エキスカベータ200の腕体の俯仰及び旋回操作、更に、バケット240のチルト操作により、バケット240によってカッタヘッド120下部の土砂(ズリ)を排土コンベア180に載せて後方に搬出させる(エキスカベータによるズリ排出工程:図11のS60、図17参照)。
そして、エキスカベータ200によってトンネル掘進を行うときに、バケット240によって掘削された土砂をバケット240によってスカート部181上に押し上げて排土コンベア180の搬送面に載せることができるようにし、バケット240を用いた排土作業を容易にする。
そして、先端にスカート部181が取り付けられた排土コンベア180を再度押し出すことで、面板127a−127cの取り外しによって開放された開口部128に排土コンベア180の先端を挿通させてカッタヘッド120の前方にまで突き出し、スカート部181の下端が坑壁150に近接するか又は押し当てられるようにする(スカート部配設工程、コンベア移設工程:図11のS80、図19参照)。
つまり、カッタヘッド120による全断面掘削が困難な不良地山(軟弱地盤)に遭遇し、カッタヘッド120による掘削からエキスカベータ200による掘削に切り替えるときには、カッタヘッド120を後退させてカッタヘッド120の開閉扉123を切羽側に向けて押し開け、次いで、クランプボックス210をメインビーム130に沿って前方に移動させることによってエキスカベータ200のメインビーム130に対する支持位置を退避位置からカッタヘッド120により近いトンネル掘削位置に移設し、開閉扉123が開いて開放された開口部123aからエキスカベータ200の腕体(サポートフレーム220及びブーム230)をカッタヘッド120の前方に突き出す。
そして、クランプボックス210をトンネル掘削位置にクランプすると、バケット240によってカッタヘッド120前方の地山を掘削し、掘削した土砂をバケット240によってスカート部181を介して排土コンベア180の搬送面に押し上げて後方に排出させる作業を行い(掘削工程:図11のS100、図21参照)、摺動ジャッキ223を最大に伸長させてバケット240が届く範囲の地山を掘削する。
上記のように、カッタヘッド120による全断面掘削が困難な不良地山(軟弱地盤)に遭遇したときに、カッタヘッド120に設けた開閉扉123を開いてエキスカベータ200の腕体をカッタヘッド120の前方に突き出してエキスカベータ200による補助掘削を行わせるので、カッタヘッド120による掘削とエキスカベータ200による補助掘削とを容易に(短時間に)変更でき、不良地山を効率的に突破できる。
摺動ジャッキ223を所定の最大長まで伸長させた状態での掘削及び排土が終了し、それ以上の掘進が行えなくなると(図11のS110参照)、グリッパ132を坑壁に押し当てた状態でスラストジャッキ140を伸長させることで、カッタヘッド120による掘進からエキスカベータ200による掘進に移行させるときに後退させた距離だけカッタヘッド120をエキスカベータ200と共に推進させる(推進工程:図11のS120、図23参照)。
胴体112a、112bの相対位置関係が後退前の状態に戻ると、胴体112a、112bを連結させる連結ピン283の取り付けを行い(図23参照)、胴体112a、112bが一体的に移動できるようにし、更に、胴体112bを地山に固定していたアンカー282を取り外し、胴体112a、112bを一体に前進させることができるようにする。
このように、不良地山を突破するための工程として、バケット240による掘削(掘削工程)とTBM100の推進(推進工程)とを含み、バケット240による掘削工程とTBM100の推進工程とを繰り返すことでトンネルの掘進を行う。
なお、エキスカベータ200による補助掘削工程での推進工程においてスラストジャッキ140が伸び切ると、グリッパ132の坑壁に対する押し当て位置を切羽により近い側に移設するグリッパ盛替えを行い、エキスカベータ200の支持位置、換言すれば、TBM100を更に前方に推進させることができるようにする。このように、補助掘削工程での推進工程は、スラストジャッキ140の伸長、収縮とグリッパ盛替えとを繰り返す構成であり、カッタヘッド120による標準掘削工程での推進工程と同様にして実施される。
スラストジャッキ140をセグメント等により構成される覆工体に直接押し当てて推進反力を得る場合は、スラストジャッキ140の伸長、収縮と、スラストジャッキ140を押し当てる覆工体の箇所(位置)の盛替えとを繰り返すことで、TBM100を前方に推進させることができる。
そして、不良地山を突破するまでは、バケット240による掘削工程とTBM100の推進工程とを繰り返し(図11のS130→S90)、不良地山を突破した後は、エキスカベータ200及び排土コンベア180を後退させ、また、面板127a−127cをカッタヘッド120に取り付け、更に開閉扉123を閉じて、TBM100の構成をエキスカベータ200による掘削作業状態(補助掘削工程)からカッタヘッド120による掘削作業状態に戻し、カッタヘッド120による掘削(標準掘削工程)を再開させる(図9のS5→S6、図11のS130→終了)。
なお、バケット240による掘削工程とTBM100の推進工程とを繰り返すときに、掘削工程と推進工程との間で地山改良工程などの別の工程を実施することができる。
このように、エキスカベータ200による掘削途中で、又はカッタヘッド120の前方で、コンクリート吹付等の支保作業を行うことが可能であり、係る支保作業により不良地山の更なる崩壊等を防止することができる。
図24は、エキスカベータ200を用いたコンクリート吹付けを実施するための構成の一態様を示す。
吹付角度変更機構291は、回転軸291a、回転軸291aに直交する揺動軸PS回りに揺動可能に回転軸291a先端に支持されるホルダ部材291b、回転軸291aを回転可能に支持する本体部291c、などを含んで構成される。
ホルダ部材291bの揺動角度は、例えば、回転軸291aの軸線方向と吹付けノズル290の軸線とが略平行になる角度位置と、回転軸291aの軸線方向と吹付けノズル290の軸線とが略直交する角度位置との間の角度に設定されている。但し、ホルダ部材291bの揺動角度は、上記設定に限定されるものではなく、任意に設定できる。
なお、図24に示した構造において、吹付けノズル290は、吹付角度変更機構291を介してバケット240に取り付けられるが、吹付けノズル290を直接バケット240に取り付ける構成とすることができる。吹付けノズル290を直接バケット240に取り付ける場合は、例えばバケット240の回転機構を設けることで、当該回転機構を含むバケット240を変位させる機構が吹付角度変更機構として機能する。
ブーム230の先端に取り付ける作業装置はバケット240に限定されず、油圧ブレーカなどの打撃装置を用いることができる。
また、TBM100の腕体を切羽側に突き出すための開口部と、排土コンベア180を切羽側に突き出すための開口部とが桟部で仕切られた相互に独立した開口部とすることができる。
また、エキスカベータ200による掘削を行わせるときに、カッタヘッド120による掘削時に用いられる排土コンベア180の切羽側端部にコンベアユニットを継ぎ足し、継ぎ足したコンベアユニットがカッタヘッド120から切羽側に突き出るよう構成することができる。
また、上記実施形態では、エキスカベータ200による掘削を行わせるときに、レール135のカッタヘッド120側の端部に延長用レール138を継ぎ足すが、延長用レール138を継ぎ足す代わりに、胴体110内でレール135を切羽側(カッタヘッド120側)に移動させる構成とすることができる。
なお、特願2016−191833号の出願当初の請求項は以下の通りであった。
〔請求項1〕
胴体の前部にカッタヘッドが駆動回転可能に装着され、坑壁又は覆工体から推進するための反力を得るトンネル掘削機によってトンネルを掘削する方法であって、
腕体の先端の作業装置によって掘削する補助掘削機を前記胴体内に設置すると共に、前記カッタヘッドに開閉可能な開口部を設け、
開放させた前記開口部から前記腕体を前方に突き出し前記作業装置によって地山を掘削してトンネルを掘進する補助掘削工程を含む、トンネル掘削方法。
〔請求項2〕
前記補助掘削工程は、
前記作業装置によって地山を掘削する掘削工程と、
前記トンネル掘削機を推進させる推進工程と、
を含む、請求項1記載のトンネル掘削方法。
〔請求項3〕
前記腕体が突き出される前記開口部は、前記カッタヘッドの前方に向けて押し開けられる開閉扉によって開閉可能に構成され、
前記補助掘削工程は、前記開閉扉を前記カッタヘッドの前方に向けて押し開ける開放工程を含む、請求項1又は請求項2記載のトンネル掘削方法。
〔請求項4〕
前記補助掘削工程は、前記トンネル掘削機を後退させる後退工程を更に含み、
前記開放工程は、前記トンネル掘削機を後退させた後に前記開閉扉を前記カッタヘッドの前方に向けて押し開ける、請求項3記載のトンネル掘削方法。
〔請求項5〕
前記トンネル掘削機は排土コンベアを備え、
前記補助掘削工程は、開放された前記開口部に前記排土コンベアの先端を挿通させて前記カッタヘッドの前方下部に突き出すコンベア移設工程を含む、請求項1から請求項4のいずれか1つに記載のトンネル掘削方法。
〔請求項6〕
前記コンベア移設工程は、前記カッタヘッドの前方に突出する前記排土コンベアの搬送面上に前記カッタヘッドの前方下部の土砂を案内するスカート部を配設するスカート部配設工程を含む、請求項5記載のトンネル掘削方法。
〔請求項7〕
前記補助掘削工程は、
前記補助掘削機の作業装置に吹付けノズルを取り付ける吹付けノズル取付工程と、
開放させた前記開口部から前記腕体を前方に突き出し前記吹付けノズルから掘削面にコンクリート又はモルタルを吹き付ける吹付工程と、
を含む、請求項1から請求項6のいずれか1つに記載のトンネル掘削方法。
〔請求項8〕
胴体の前部にカッタヘッドが駆動回転可能に装着され、坑壁又は覆工体から推進するための反力を得るトンネル掘削機であって、
腕体の先端の作業装置によって掘削する補助掘削機を前記胴体内に配置すると共に、前記カッタヘッドに開閉可能な開口部を設け、
開放させた前記開口部から前記腕体を前方に突き出し前記作業装置によって地山を掘削してトンネル掘進を行えるよう構成した、トンネル掘削機。
Claims (3)
- 胴体の前部にカッタヘッドが駆動回転可能に装着され、坑壁又は覆工体から推進するための反力を得るトンネル掘削機であって、
腕体の先端の作業装置によって掘削する補助掘削機を前記胴体内に配置可能であり、
前記カッタヘッドに開閉可能な開口部を設け、
開放させた前記開口部から前記腕体を前方に突き出し前記作業装置によって地山を掘削してトンネル掘進を行えるよう構成した、トンネル掘削機において、
掘削面にコンクリート又はモルタルを吹き付けるための吹付けノズルが、前記吹付けノズルの向きを変更するための吹付角度変更機構を介して、前記作業装置に取り付けられる、トンネル掘削機。 - 前記吹付角度変更機構は、
回転軸と、
前記回転軸に直交する揺動軸回りに揺動可能に前記回転軸の先端に支持されるホルダ部材と、
前記回転軸を回転可能に支持する本体部と、
を含んで構成され、
前記本体部が前記作業装置に取り付けられ、
前記吹付けノズルが前記ホルダ部材に取り付けられる、
請求項1に記載のトンネル掘削機。 - 請求項1又は請求項2に記載のトンネル掘削機による地山の掘削によって形成された前記掘削面に前記吹付けノズルからコンクリート又はモルタルを吹き付ける方法であって、
前記吹付角度変更機構による前記吹付けノズルの向きの変更と、前記腕体の俯仰動作及び旋回動作とを組み合わせて実行して、前記掘削面に対するコンクリート又はモルタルの吹付けを行うことを含む、コンクリート又はモルタルの吹付け方法。
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