本発明を実施するための形態を図に示す実施例に基づいて説明する。
[実施例1]
図1は、本実施例1に係るゴンドラ本体部2の斜視図を示し、養生ネットは省略している。図15は、ゴンドラ本体部2を用いた作業用ゴンドラ装置1の斜視図である。この作業用ゴンドラ装置1は、建物における外壁面において、その洗浄、補修、塗装等の作業を行う場合に使用するものである。
作業用ゴンドラ装置1は、図1,図2に示すように、作業者10が乗降できるとともに、作業者10が搭乗して、建物11における外壁面11aの洗浄、補修、塗装等の作業を行うゴンドラ本体部2を有する。
以下において、ゴンドラ本体部2において、建物側を前側A、反対側を後側Bとし、建物11の上階側を上側C、下階側を下側Dとするとともに、図1のX−X方向を前後方向、Y−Y方向を左右方向として説明する。
ゴンドラ本体部2は、作業者10が乗る作業台3を有し、作業台3の前側Aの両側部には、前側支柱4a,4aが並設され、その後側Bの両側部には、後側支柱4b,4bが並設されている。作業台3の下部の4隅にはキャスタ6が設けられている。
左右夫々において、前後に設けた支柱4a,4bの上端間には上横桟7aが架設され、前側支柱4aと4aの間の上端間には上前桟7bが架設され、後側支柱4bと4bの間の上端間には上後桟7cが架設されている。
左右夫々において、前後に設けた支柱4a,4bにおける上下方向の中央部間には中横桟8aが架設され、前側支柱4aと4aにおける上下方向の中央部間には中前桟8bが架設され、後側支柱4bと4bにおける上下方向中央部間には中後桟8cが架設されている。
ゴンドラ本体部2は、図2,図12,図13,図15に示すように、建物11の上部より垂設した昇降用ワイヤ15を駆動部14に係合して、駆動部14の回転により、昇降用ワイヤ15に沿って昇降できるようになっている。
作業を行う建物11の出窓部11bを除く外壁面11aには、図10〜図13に示すように、上下方向に適宜間隔を有して、複数のアイボルトやフック等の取付金具16が、ゴンドラ本体部2の左右両側部に位置するように、2列固設されている。取付金具16の上下方向の取付間隔は、任意に設定することができ、本実施例では、外壁面11aの上下方向において1階毎に等間隔で取付けた。
また、外壁面11aに取付けた取付金具16の挿通穴16aに対して、ガイドワイヤ17が挿通して取付けられている。取付金具16としては、例えば、図4に示すように、建物11の外壁面11aに取付け固定でき、かつ、ガイドワイヤ17を挿通保持できるものを使用する。このように、建物11の外壁面11aに対して、上下方向に適宜間隔で取付金具16を取り付け、この取付金具16の挿通穴16aにガイドワイヤ17を挿通して張設したことにより、ガイドワイヤ17は建物11に対して、位置決めして取り付けられる。
ガイドワイヤ17の上端は、図12に示すように、建物11の屋上に固着され、その下端は、建物11の下部若しくは地上に固着されるとともに、上下の少なくとも一方からウィンチ等により引っ張ることにより、ガイドワイヤ17に張力を付与し、ガイドワイヤ17を外壁面11aに対して張設する。このガイドワイヤ17は、ゴンドラ本体部2と建物11の間に設けられる。
ゴンドラ本体部2の左右方向(Y−Y方向)において、夫々の前後方向に設けられた上横桟7aには、図1に示すように、上側伸縮部材20の筒状部21が、その軸芯が前後方向に位置するようにカシメ等により取り外し可能に取り付けられている。上側伸縮部材20は、図1,図8に示すように、ガイドワイヤ17と干渉しないように、ガイドワイヤ17より左右方向(Y−Y方向)の外側に位置するように配置されている。
上側伸縮部材20は、図1,図3に示すように、筒状部21と伸縮部22を有する。
筒状部21は、図3(a)に示すように、内部に中空部を有する円筒状に形成され、その軸方向に所定の長さの案内溝部21aが、外周面と内周面側が開口するように形成され、案内溝部21aの軸方向には、複数の係合溝21bが、案内溝部21aと略平行となるように適宜間隔で形成され、案内溝部21aと係合溝21bは移動溝21cで連通している。係合溝21bと移動溝21cは、図3(a)に示すように、L字状に形成されている。
伸縮部22は、図3(b)に示すように、円筒状に形成された伸縮本体部22aを有し、伸縮本体部22aは、筒状部21の中空部内に、その軸方向に摺動可能に収納されている。伸縮部22の先部は、図1に示すように、ゴンドラ本体部2の前面から外壁面11a側に突出するように設けられている。
また、伸縮本体部22aの後B側端部には、伸縮本体部22aの外周面から、その軸芯と直交する外側方向に突出する溝係合部22bが取り付けられている。この溝係合部22bを、例えば、図3(b)に示すように、ネジを溶接等で固定して形成したり、伸縮本体部22aに雌ねじ穴を形成し、この雌ねじ穴に対し、蝶ねじを螺合して形成する。
伸縮部22の溝係合部22bは、筒状部21の案内溝部21aと係合溝21bと移動溝21c内を移動できるようになっている。伸縮部22の溝係合部22bを、筒状部21に形成された複数の係合溝21bにおける所望の係合溝21bに係合させることにより、筒状部21に対する伸縮部22の突出量を変更できるとともに、その突出量を保持することができるようになっている。
また、伸縮本体部22aの前側(A側)部には、伸縮本体部22aとは別体で構成された先端部22eを前側(外壁面11a側)に付勢する付勢部22cを有し、付勢部22cとして本実施例ではコイルスプリングを用いた。付勢部22cの先部には、少なくともゴンドラ本体部2の昇降方向に回動できる回動部材22dが設けられ、本実施例では回動部材22dとしてキャスタを用いた。
上記の構造により、筒状部21に対して伸縮部22を進退移動させて上側伸縮部材20を伸縮させ、伸縮部22を所定の位置で保持することができるようになっている。すなわち、上側伸縮部材20は、ゴンドラ本体部2の前面から外壁面11a側への突出量を変更することができるようになっている。
ゴンドラ本体部2の左右それぞれにおいて、前後に設けた支柱4a,4bの下部には、上記上側伸縮部材20と同様の構造を有する下側伸縮部材24がカシメ等により取り外し可能に取り付けられている。下側伸縮部材24は、上記上側伸縮部材20と同様に、図1に示すように、ガイドワイヤ17より左右方向(Y−Y方向)の外側に位置するように配置されている。
また、ゴンドラ本体部2は、図1,図2,図4〜図7に示すように、ガイドワイヤ17に対して、取り外し可能に係合する係合部材30を備えている。係合部材30は、図6,図7に示すように、先部に引掛部31aが形成された引掛部材31と、先部に抜止部32aが形成された抜止部材32を備えている。
引掛部31aは、図7に示すように、開口部31bを有する円弧状に形成されており、ガイドワイヤ17に引掛部31aを、開口部31bを通じて引っ掛け、ゴンドラ本体部2側から引っ張った際に、引掛部31aの一部がガイドワイヤ17より外壁面11a側に位置することにより、ガイドワイヤ17から容易に外れないようになっている。また、引掛部31aを斜め前方に移動させることで、開口部31bからガイドワイヤ17を容易に取り外すことができるようになっている。
抜止部材32は、引掛部31aの基部に設けた回転軸31cを中心として、引掛部材31に対して回動可能に連結されている。
抜止部32aは、図6〜図7に示すように、開口部を有する円弧状に形成されている。抜止部材32は、回転軸31cを中心として回動することにより、抜止部32aは、引掛部31aの開口部31bを、開閉することができるようになっている。抜止部32aは、ガイドワイヤ17に引掛部31aを引っ掛け、開口部31bを閉状態とした状態において、引掛部31aのガイドワイヤ17からの抜け外れを抑制する。
抜止部材32の軸方向における奥部側、すなわち、回転軸31cを中心とする抜止部32aの反対側には、その外面にのこぎり刃状の保持部32bが形成され、図6に示すように、抜止部32aにより引掛部31aの開口部31bを閉じた状態(閉口状態)で、引掛部材31のゴンドラ本体部2側部に回動可能に設けたコ字状のロック部31eを、抜止部材32の保持部32bに係合させることで、図6に示すように、その閉状態を保持することができるようになっている。
また、図6に示すように、抜止部32aにより引掛部31aの開口部31bを閉じた状態では、ガイドワイヤ17は、その軸方向における一部の外周全体が、抜止部32aと引掛部31aで覆われているとともに、抜止部32aと引掛部31aにより挟圧保持されている。
係合部材30は、図4,図5に示すように、1本のガイドワイヤ17に対して2個設けられている。一の係合部材30における引掛部材31のゴンドラ本体部2側部と、他の係合部材30の引掛部材31のゴンドラ本体部2側部同士は、Y字状の第1連結部材35を介して連結され、第1連結部材35と引掛部材31は、少なくとも引掛部材31の軸芯を中心として回動可能に連結され、本実施例においては、いずれの方向にも回動可能な自在継手(ユニバーサルジョイント)36を用いて連結した。
第1連結部材35は、いずれの方向にも回動可能な自在継手(ユニバーサルジョイント)37を介して第2連結部材38と連結されている。第2連結部材38は、先端部の連結部38a以外は、曲折可能なワイヤ39で構成されている。このワイヤ39は、図1,図2に示すように、距離調整部材40で、ワイヤ39を巻き取ったり、緩めたりすることで、巻き取られていないワイヤ39の長さを調節することができるようになっている。
この距離調整部材40はカシメ等により、左右夫々の中横桟8aに取り外し可能に取り付けられている。距離調整部材40は、ワイヤ39を巻き取ったり、緩めたりすることができれば任意の部材を用いることができ、例えば、ウィンチ、ラチェット付巻き取り器などを用いることができ、本実施例はウィンチを用いた。
このように、距離調整部材40は、ゴンドラ本体部2に対する係合部材30の引掛部31aの離間距離を調節することができるとともに、ガイドワイヤ17に係合部材30を係合させた状態で、ワイヤ39を巻き取ることにより、係合部材30に対して、ゴンドラ本体部2側へ引っ張る力を付与し、その反力によりゴンドラ本体部2をガイドワイヤ17側に引っ張り、ゴンドラ本体部2に対し、建物11側方向への力を常に付与し、すなわち、ゴンドラ本体部2は、建物11の外壁面11a側に付勢される。
また、ゴンドラ本体部2は、その前側の下部に、その左右方向(Y−Y方向)全体に亘って下側飛散抑制部材41が配設されている。
下側飛散抑制部材41は、図8,図9に示すように、左右方向(Y−Y方向)に少なくとも3つに分割して形成され、本実施例においては、3分割の下側構成体41a,41b,41cで構成し、中央に位置する下側構成体41bの横方向の幅は、図9に示すように、建物11の出窓部11bの横幅と略同じに設定した。
各下側構成体41a,41b,41cは、夫々が任意の場所で曲折可能なシート状に形成されたシート状部材43を有し、シート状部材43の左右方向(Y−Y方向)の両側部には、前後方向(X−X方向)に伸縮可能な伸縮部材42が固設され、その後側端部が、左右方向(Y−Y方向)に配置され、かつ、回転可能な回転軸44に固定され、ゴンドラ本体部2に対して上下方向に回動可能に取り付けられている。伸縮部材42は、その軸方向に伸縮できれば任意の構造を用いることができ、本実施例では、上側伸縮部材20と同様の構造に構成し、その回動部材22dが外壁面11aと出窓部11bの外面11cに対して当接するようになっている。
シート状部材43において、ガイドワイヤ17が位置する部分には、図8に示すように、切り欠き部43aが形成され、シート状部材43とガイドワイヤ17が干渉しないようになっている。
これにより、夫々の下側構成体41a,41b,41cのシート状部材43は、夫々、独立して前後方向(X−X方向)に伸縮することができるようになっている。例えば、図9に示すように、出窓部11bが位置する中央に配置された下側構成体41bを、左右の下側構成体41a,41cに対して、前後方向の長さを短くすることができるようになっている。
また、夫々の下側構成体41a,41b,41cの伸縮部材42は、その後側端部が、左右方向(Y−Y方向)に設けられた同一の回転軸44に固定され、ゴンドラ本体部2に対して、3分割された下側飛散抑制部材41は一体として回動し、ゴンドラ本体部2の前面に対する下側構成体41a,41b,41cの傾斜角度は、すべて同じになるようになっている。
ゴンドラ本体部2には、下側飛散抑制部材41の前端が、後端より上側に位置し、かつ、下側飛散抑制部材41が、そのゴンドラ本体部2の前面に対する傾斜角度が鋭角の所定角度より大きくなる方向へ回動することを抑制する下側ストッパ部52が設けられている。
下側ストッパ部52は任意の構造を用いることができるが、本実施例では図1,図14に示すように、ゴンドラ本体部2の前側の下部に取付支柱49を固設し、この取付支柱49に、左右方向(Y−Y方向)に軸受穴を有する軸受け49aが固定されている。この軸受け49aの軸受穴に、回転軸44が回転可能に挿通されている。軸受け49aには、その周方向に長孔49bが形成され、この長孔49b内には、回転軸44に固設した突出ピン49cが、移動可能に設けられている。これにより、下側飛散抑制部材41は、ゴンドラ本体部2の前面に対して所定の角度以上となるように、下側方向へ回動することが抑制されている。回転軸44、軸受け49a、長孔49b、突出ピン49cで下側ストッパ部材52を構成する。
ゴンドラ本体部2の前側の下部で、かつ、下側飛散抑制部材41よりも上側に位置して、上側飛散抑制部材45が、図10,図11に示すように、左右方向(Y−Y方向)の略全体に亘って配設されている。
上側飛散抑制部材45は、取付部材46を有する。取付部材46は、左右方向(Y−Y方向)に少なくとも3つに分割して形成され、本実施例においては、8分割の上側構成体46a〜46hで構成した。
上側構成体46a〜46hの後端部は、左右方向(Y−Y方向)に設けられ、かつ、ゴンドラ本体部2に対して回転可能に設けた同一の回転軸48に固定され、ゴンドラ本体部2に対して、上側構成体46a〜46hは一体として上下方向に回動でき、ゴンドラ本体部2の前面に対する上側構成体46a〜46hの傾斜角度は、すべて同じになるようになっている。
夫々の上側構成体46a〜46hには、図1に示すように、軸方向に可撓性を有する多数の長尺の毛状部材47が、取り外し可能に取り付けられている。毛状部材47として任意の部材を用いることができるが、本実施例では、刷毛に用いられる毛状部材を用いた。
毛状部材47として、その前後方向(軸方向)の長さが異なる複数種類を用意し、ゴンドラ本体部2と対向する建物11の外面の凹凸、出窓部11bの有無などに応じて、夫々の上側構成体46a〜46hに対して、長さの異なる毛状部材47を付け替え、洗浄、塗装等の作業を行うようになっている。
ゴンドラ本体部2には、上側構成体46a〜46hの前端が、後端より上側に位置し、かつ、上側構成体46a〜46hが、そのゴンドラ本体部2の前面に対する傾斜角度が鋭角の所定角度より大きくなる方向へ回動することを抑制する上側ストッパ部58が設けられている。上側ストッパ部58は、任意の構造を用いることができるが、本実施例では、下側飛散抑制部材41に設けた上記下側ストッパ部52と同様に構成した。
ゴンドラ本体部2を配置する外壁面11aには、図8,図15に示すように、左右のガイドワイヤ17,17の左右方向(Y−Y方向)の夫々の外側に位置し、かつ、上下方向に適宜間隔を有して、養生ネット用取付金具50,50が複数固設されている。養生ネット用取付金具50の上下方向の取付間隔は、任意に設定することができ、等間隔に設置してもよいし、上方に向かうほど間隔を狭く、下方ほどに向かうほど間隔を広くするようにしてもよい。
外壁面11aに取付けた養生ネット用取付金具50には、ワイヤ挿通穴50aが形成され、図15に示すように、ワイヤ挿通穴50aに養生ネット用ガイドワイヤ51が挿通されている。養生ネット用ガイドワイヤ51の上端は、建物11の屋上に固着され、その下端は、建物11の下部若しくは地上に固着されるとともに、上下の少なくとも一方からウィンチ等で引っ張ることにより、養生ネット用ガイドワイヤ51に張力が付与されるようになっている。
ゴンドラ本体部2における左右の上横桟7a,7aには、図15に示すように、夫々、側部昇降養生ネット53,53の上端部53a,53aが固着されている。側部昇降養生ネット53の下端は、ゴンドラ本体部2の下端より下方に延設され、建物11の下部に設置した仮足場54や地面等に少なくとも一部が固定されている。
側部昇降養生ネット53の前端(建物側端)53bには、図15に示すように、フック、カラビナ等の係合金具55が、上下方向に適宜間隔を有して複数取付けられている。各係合金具55は、養生ネット用ガイドワイヤ51に対して取り外し可能に取り付けられている。係合金具55の上下方向の取付間隔は、任意に設定することができる。側部昇降養生ネット53の後端53cは、ゴンドラ本体部2の後端に位置している。側部昇降養生ネット53は、ゴンドラ本体部2の左右両側に設けられ、ゴンドラ本体部2の周方向の側面において、その後端から養生ネット用ガイドワイヤ51にかけての開口部全体が覆われている。
ゴンドラ本体部2の上後桟7cには、図15に示すように、後部昇降養生ネット56の上端56aが固着され、その両側端は、ゴンドラ本体部2の両側端に位置し、その下端は、ゴンドラ本体部2の下端より下方に延設され、建物11の下部に設置した仮足場54や地面等に少なくとも一部が固定されている。これにより、ゴンドラ本体部2の後側開口全体は、後部昇降養生ネット56により覆われている。
また、図2,図8に示すように、ゴンドラ本体部2における建物11側の面には、搭乗した作業者10が、建物11の外壁面11a、出窓部11bなどに対して、洗浄、補修、塗装などの作業を行うための作業用開口部59が形成されている。作業用開口部59におけるゴンドラ本体部2の周方向の両側端部(左右Y−Y方向の両側端部)には、図8に示すように、側部昇降養生ネット53,53が位置するようになっている。なお、ゴンドラ本体部2における建物11側の面に、作業用開口部59が形成されていればよく、作業用開口部59を、その横方向全体に亘って形成しても、横方向の一部に形成してもよい。
ゴンドラ本体部2の周方向(側面方向)において、作業用開口部59を有する建物11側面以外の側面は、側部昇降養生ネット53,53と後部昇降養生ネット56により、建物11側の面以外はコ字状に覆われている。側部昇降養生ネット53と後部昇降養生ネット56は、通気性を有し、塗料等の外部への飛散を抑制できるものであれば任意のものを用いることができる。
また、作業用開口部59と、両側の側部昇降養生ネット53,53と、建物11で囲まれた作業空間60が形成され、作業空間60内での外壁面11a等への洗浄、補修、塗装等の作業により生じる塗料等の外部への飛散は、側部昇降養生ネット53と後部昇降養生ネット56により抑制される。
仮足場54の上部には、下側養生部材57が横方向に設けられ、下側養生部材57により、少なくとも、左右の側部昇降養生ネット53,53の下端と後部昇降養生ネット56の下端と建物11で囲まれた部分は覆われている。下側養生部材57としては、塗料等の飛散を抑制できる部材であれば、養生シートや木板など任意の部材を用いることができる。なお、下側養生部材57は状況に応じて設けなくてもよい。
側部昇降養生ネット53、後部昇降養生ネット56の上端は、ゴンドラ本体部2の昇降に追従して昇降するようになっている。
次に、ゴンドラ本体部2を用いた作業方法について説明する。
先ず、図15に示すように、建物11の外壁面11aに対して、任意の方法により、取付金具16,50を取付けるとともに、取付金具16にガイドワイヤ17を取付け、養生ネット用取付金具50に養生ネット用ガイドワイヤ51を取付ける。
次に、ゴンドラ本体部2を、最も下側に位置した状態で、左右の側部昇降養生ネット53,53の上端と後部昇降養生ネット56の上端をゴンドラ本体部2に取付けた後に、ゴンドラ本体部2を、昇降用ワイヤ15と駆動部14により上昇させながら、養生ネット用ガイドワイヤ51に対して、側部昇降養生ネット53の係合金具55を、その下端側から順次、適宜間隔で取付ける。
次に、ゴンドラ本体部2を最も高い位置とした状態で、建物11の出窓部11bを除いた外壁面11aに対して、伸縮部材20,24の軸方向の長さを調節し、図2,図12に示すように、伸縮部材20,24の回動部材22dを外壁面11aに当接させるとともに、ゴンドラ本体部2の外壁面11aに対する離間距離が所望の距離L1となるように調節する。
また、ガイドワイヤ17に係合部材30を、図1,図6に示すように係合させ、距離調整部材40により、係合部材30に対して、ゴンドラ本体部2側への張力を付与し、ゴンドラ本体部2をガイドワイヤ17、すなわち、建物11の外壁面11a側に付勢する。
また、下側飛散抑制部材41の前後方向の長さを調節するとともに、上側飛散抑制部材45に所望の長さの毛状部材47を取付け、下側飛散抑制部材41と上側飛散抑制部材45の先部を、外壁面11aに当接させる。
次に、ゴンドラ本体部2の作業空間60内で、図2に示すように、作業者10が、建物11の外壁面11a等の洗浄、補修、塗装作業等を行う。
次に、係合部材30における引掛部材31のロック部31eと、抜止部材32の保持部32bとの係合を図7に示すように解除し、抜止部材32を、回転軸31cを中心として、引掛部材31に対して回動させ、係合部材30とガイドワイヤ17の係合を挟圧保持した状態を解除し、引掛部31aがガイドワイヤ17に引っ掛かったままの状態で、駆動部14により、ゴンドラ本体部2を所定距離降下させた後に、上記と逆の操作で係合部材30とガイドワイヤ17を係合させ、ゴンドラ本体部2が下方に移動することを抑制する。そして、建物11の外壁面11a等の洗浄、補修、塗装作業等を行う。
ゴンドラ本体部2の降下時においても、係合部材30に対して、ゴンドラ本体部2側への張力は付与され、ゴンドラ本体部2は建物11の外壁面11a側に付勢されるとともに、伸縮部材20,24により、ゴンドラ本体部2の外壁面11aに対する離間距離は所定の距離保たれ、ゴンドラ本体部2は安定して降下させることができる。
このように、ゴンドラ本体部2を順次降下させながら、建物11の外壁面11a等の洗浄、補修、塗装作業等を随時行う。
ゴンドラ本体部2を降下させた際に、図4に示すように、係合部材30が、取付金具16の近傍に位置した際には、上方に位置する一方の係合部材30Aとガイドワイヤ17との挟圧保持を解除した後に、一方の係合部材30Aをガイドワイヤ17から取り外し、自在継手37を中心として、図5に示すように、一方の係合部材30Aを、取付金具16と他方の係合部材30Bより下側に位置するように回動させる。これにより、一方の係合部材30Aは取付金具16を乗り越えることができる。なお、一方の係合部材30Aとガイドワイヤ17との挟圧保持を解除している間は、他方の係合部材30Bがガイドワイヤ17を挟圧保持した状態を維持する。その後、一方の係合部材30Aを、ガイドワイヤ17に対して係合させる。
また、ゴンドラ本体部2を降下させ、他方の係合部材30Bが、取付金具16の近傍に位置した際には、一方の係合部材30Aと同様に、他方の係合部材30Bとガイドワイヤ17との挟圧保持を解除した後に、他方の係合部材30Bをガイドワイヤ17から取り外し、自在継手37を中心として、他方の係合部材30Bを下方向に回動させ、取付金具16及び一方の係合部材30Aより下方に位置するガイドワイヤ17に対して係合させる。これにより、他方の係合部材30Bは取付金具16を乗り越えることができる。なお、他方の係合部材30Bとガイドワイヤ17との挟圧保持を解除している間は、一方の係合部材30Aとガイドワイヤ17は挟圧保持した状態を維持する。
上記のように、一の係合部材30A(30B)とガイドワイヤ17との係合状態を解除している際には、他の係合部材30B(30A)がガイドワイヤ17を挟圧保持した状態を維持するようにしたことで、ゴンドラ本体部2が不用意に下方に移動することを抑制することができる。
また、建物11の外壁面11aに対して、養生ネット用取付金具50を上下方向に適宜間隔を有して複数取付け、この養生ネット用取付金具50に養生ネット用ガイドワイヤ51を挿通し、養生ネット用ガイドワイヤ51に側部昇降養生ネット53に設けた複数の係合金具55を取付けているため、ゴンドラ本体部2を降下させると、図16に示すように、ゴンドラ本体部2の下端部近くに位置する養生ネット用取付金具50の上部に、側部昇降養生ネット53が折り重なって集積してしまう。
このため、適宜、側部昇降養生ネット53の係合金具55を、養生ネット用ガイドワイヤ51から取り外した後に、養生ネット用取付金具50より下側に位置する養生ネット用ガイドワイヤ51に取付けて、集積した側部昇降養生ネット53を、それより下方に移動させて、集積状態を解消できる。
ゴンドラ本体部2が、建物11の高層より低層に位置するほど養生ネット用取付金具50の上部に集積する側部昇降養生ネット53の量は多くなる。そのため、建物11の外壁面11aに対して取付ける養生ネット用取付金具50の上下方向の相互の間隔を、建物11の下方に向かうほど広くすることにより、養生ネット用取付金具50の上部に集積可能な側部昇降養生ネット53の量を、建物11の下方に向かうほど多くできるとともに、集積状態を解消する回数を減らすことができる。なお、養生ネット用取付金具50の上下方向の間隔を、建物11の下方に向かうほど広くしても、養生ネット用ガイドワイヤ51の下側の左右方向への揺れ移動は少なく、塗料等の飛沫の飛散抑制への影響は少ない。
なお、養生ネット用取付金具50をフック等で構成し、外壁面11aに取付けた所定の養生ネット用取付金具50から養生ネット用ガイドワイヤ51を取り外すことができるようにした場合には、養生ネット用取付金具50から養生ネット用ガイドワイヤ51を取り外すのみで、自重で側部昇降養生ネット53の係合金具55を、養生ネット用ガイドワイヤ51に沿って、養生ネット用取付金具50の位置よりも下側に移動させて、集積状態を解消するようにしてもよい。
また、図8に示すように、出窓部11bがなく、ゴンドラ本体部2と正対する外壁面11aが1つの平面状の場合には、下側飛散抑制部材41における下側構成体41a,41b,41cの前後方向(X−X方向)の長さは、すべて同じ長さに調節する。下側飛散抑制部材41が回転軸44を中心として上下方向に回動できるため、下側飛散抑制部材41の先端部は、自重で建物11の外側面に当接し、隙間を少なくすることができ、下側飛散抑制部材41より下方に、塗料等が飛散することを抑制できる。
また、図9に示すように、出窓部11bがあり、建物11の外側面に凹凸がある場合には、出窓部11bに位置する下側飛散抑制部材41における下側構成体41bの前後方向(X−X方向)の長さを調節し、下側構成体41bと出窓部11bとの隙間が殆どないように調節する。なお、出窓部11bの両側に位置する下側構成体41a,41cの前後方向(X−X方向)の長さを調節するようにしてもよい。
上記のように、下側飛散抑制部材41における中央の下側構成体41bの前後方向(X−X方向)の長さを調節する場合には、下側飛散抑制部材41のゴンドラ本体部2に対する角度は略一定となる。建物11の外側の細かな凹凸や、風等の影響によりゴンドラ本体部2と外壁面11aとの距離が変わった場合にも、下側飛散抑制部材41が回転軸44を中心として上下方向に回動できるため、自重で下側飛散抑制部材41の先端部は、建物11の外側面に当接し、隙間を少なくすることができる。
また、上記のように、下側飛散抑制部材41における左右の下側構成体41a,41cの前後方向(X−X方向)の長さを調節する場合には、下側飛散抑制部材41が回転軸44を中心として上下方向に回動できるため、図12,図13に示すように、下側飛散抑制部材41のゴンドラ本体部2に対する角度を変えながら、出窓部11bの有無に応じて追従できるとともに、建物11の外側の細かな凹凸や、風等の影響によりゴンドラ本体部2と外壁面11aとの距離が変わった場合にも、下側飛散抑制部材41の先端部を常に建物11の外側面に当接させ、隙間を少なくすることができる。
また、図10に示すように、出窓部11bがなく、ゴンドラ本体部2と正対する外壁面11cが1つの平面状の場合には、上側飛散抑制部材45における上側構成体46a〜46hに用いる毛状部材47の前後方向(X−X方向)の長さが、すべて略同じ長さのもので構成されている。これにより、上側飛散抑制部材45が、回転軸48を中心として上下方向に回動できるため、自重で上側飛散抑制部材45の先端部は、建物11の外側面に当接させることができ、上側飛散抑制部材45より下方に、塗料等が飛散することを抑制できる。また、上側飛散抑制部材45は、多数の毛状部材47で構成されているために、細かな凹凸等にも追従できるため、下側飛散抑制部材41よりも、塗料等の下方への飛散をより抑制できる。
また、図11に示すように、建物11の外側面に、出窓部11b等の凹凸がある場合には、図11に示すように、出窓部11bに位置する上側飛散抑制部材45における取付部材46の上側構成体46c〜46fに対して、毛状部材47を、その先端が、出窓部11bに当接する長さのものに付け替える。なお、出窓部11bの両側に位置する上側構成体46a,46b,46g,46hに対して、毛状部材47を、その前後方向(X−X方向)の長さが異なるものに付け替えるようにしてもよい。
上記のように、上側飛散抑制部材45における中央の上側構成体46c〜46fの前後方向(X−X方向)に用いる毛状部材47を付け替える場合には、上側飛散抑制部材45のゴンドラ本体部2に対する角度は略一定となる。建物11の外側の細かな凹凸や、風等の影響によりゴンドラ本体部2と外壁面11aとの距離が変わった場合にも、上側飛散抑制部材45が回転軸48を中心として上下方向に回動できるため、自重で上側飛散抑制部材45の先端部を、建物11の外側面に当接させることができる。
また、上記のように、上側構成体46a,46b,46g,46hに用いる毛状部材47を付け替える場合には、上側飛散抑制部材45が回転軸を中心として上下方向に回動できるため、図12,図13に示すように、上側飛散抑制部材45のゴンドラ本体部2に対する角度を変えながら、出窓部11bの有無に応じて追従できるとともに、建物11の外側の細かな凹凸や、風等の影響によりゴンドラ本体部2と外壁面11aとの距離が変わった場合にも、上側飛散抑制部材45の先端部を常に建物11の外側面に当接させることができる。
ゴンドラ本体部2の上方以外は、外壁面11a、側部昇降養生ネット53,53、後部昇降養生ネット56、下側養生部材57により囲まれているため、塗料等の外部への飛散を抑制できる。
ゴンドラ本体部2の周方向を、図15に示すように、側部昇降養生ネット53,53、後部昇降養生ネット56でコ字状に覆い、側部昇降養生ネット53,53、後部昇降養生ネット56をゴンドラ本体部2の下端より下側で、建物11の下端部まで延在させたことにより、出窓部11bと養生ネット53,56が干渉することなく、本体部2を養生ネット53,56とともに昇降することができる。
ゴンドラ本体部2から下方への塗料等の飛散は、下側飛散抑制部材41と上側飛散抑制部材45と下側養生部材57により三重に抑制される。
このようにして、建物11の下端部まで塗装等を行う。
本実施例1の作業用ゴンドラ装置1は、上記構造、構成を有することにより、上記の記載以外にも、以下の作用、効果を奏する。
建物11の外壁面11aに対して、上下方向に適宜間隔で取付金具16を取り付け、この取付金具16の挿通穴16aにガイドワイヤ17を挿通して張設したことにより、このガイドワイヤ17に係合した係合部材30を、距離調整部材40によりゴンドラ本体部2側に引っ張っても、建物11の下層から上層に至るすべてにおいて、ガイドワイヤ17の撓みは少なく、ガイドワイヤ17の位置が安定し、ゴンドラ本体部2を建物11側に安定して付勢することができる。
また、ゴンドラ本体部2の左右夫々において、係合部材30A,30Bを2本設け、ゴンドラ本体部2を昇降させるとき以外は、常に、何れかの係合部材30A(30B)でガイドワイヤ17を挟圧保持した状態を維持できようにしたことで、ゴンドラ本体部2が不用意に下方に移動することを抑制することができる。
また、距離調整部材40により、ゴンドラ本体部2を建物11の外壁面11a側に付勢するととともに、伸縮部材20,24を、回動部材22dが外壁面11aに当接し、かつ、伸縮部材20,24を伸縮させて、ゴンドラ本体部2の出窓部11bを除く外壁面11aに対する離間距離を所定距離L1となるように調節することにより、ゴンドラ本体部2を建物11における出窓部11bを除く外壁面11aに対して、略一定の押圧力に保つことができる。
また、伸縮部材20,24は、その伸縮部22の先端部を前側(外壁面11a側)に付勢する付勢部22cを有することにより、伸縮部材20,24を伸縮させて、ゴンドラ本体部2の出窓部11bを除く外壁面11aに対する離間距離を所定距離L1となるように調節した後に、外壁面11aにおける小さな凹凸や、風等によりガイドワイヤ17が撓んだりして位置がずれた際にも、付勢部22cによりそのずれを吸収し、ゴンドラ本体部2の出窓部11bを除く外壁面11aに対する離間距離を略一定に保つことができる。
また、伸縮部材20,24を、ゴンドラ本体部2の4隅に設けたことにより、ゴンドラ本体部2の外壁面11aに対する位置を安定させることができる。
また、伸縮部材20,24の先端部を、付勢部22cにより外壁面11a側に付勢するとともに、先部に回動部材22dを設けたことにより、ゴンドラ本体部2が、風で煽られるなどした際に、ゴンドラ本体部2が建物11を損傷させる恐れを低減することができる。
また、側部昇降養生ネット53,53の上端部と後部昇降養生ネット56の上端部を、ゴンドラ本体部2の上端部に固着し、側部昇降養生ネット53と後部昇降養生ネット56の上端をゴンドラ本体部2の昇降に追従して昇降するようにしたことで、上記従来技術と比較して、養生ネット53,56の設置面積を少なくできるとともに、養生ネット53,56を昇降させる装置が不要となり構造を簡素化し、設置コストを低減できる。また、ゴンドラ本体部2を降下させると、養生ネット53,53,56も同時に降下するために、台風の接近等に応じて、養生ネット53,53,56を降下させる必要がない。
養生ネット用取付金具50を、建物11の外壁面11aに複数固定し、養生ネット用取付金具50に養生ネット用ガイドワイヤ51を取付け、養生ネット用ガイドワイヤ51に対して、側部昇降養生ネット53を係合金具55により取付けたことにより、養生ネット53,56が風等に煽られた際にも、側部昇降養生ネット53と建物11の外壁面11aとの隙間を小さく抑えることができ、塗料等の外部への飛散を抑制できる。
なお、ゴンドラ本体部2と、ゴンドラ本体部2を建物11に対して昇降する方法は、上記実施例の構造、構成に限定されず、任意の構造、構成を用いることができる。
また、ゴンドラ本体部2の側部、後部、底部からの飛散抑制方法として、側部昇降養生ネット53、後部昇降養生ネット56、下側養生部材57以外にも任意の方法を用いて行うことができる。
また、下側飛散抑制部材41を構成する下側構成体41a,41b,41cを、一体として上下方向に回動するようにしたが、下側構成体41a,41b,41cを別々に上下方向に回動するようにしてもよい。
また、上側飛散抑制部材45の取付部材46を構成する上側構成体46a〜46hを、一体として上下方向に回動するようにしたが、側構成体46a〜46hを別々に上下方向に回動するようにしてもよい。
また、上記実施例においては、ゴンドラ本体部2の上部を開口するように形成したが、ゴンドラ本体部2の上部を、上側養生ネットで覆うとともに、その上側養生ネットに昇降用ワイヤ15が挿通できる穴を形成するようにしてもよい。
本発明の作業用ゴンドラ装置1は、出窓部11bを有しない建物11の外壁面11aへの洗浄、補修、塗装作業等にも用いることができる。
[実施例2]
上記実施例1においては、下側飛散抑制部材41を、少なくとも3つに分割した下側構成体41a,41b,41cで構成したが、外壁面11aに出窓部11bが形成されていない建物11に対して作業を行う場合には、下側飛散抑制部材41を、一つの下側構成体で、構成するようにしてもよい。
同様に、上記実施例1においては、上側飛散抑制部材45における取付部材46を複数の上側構成体46a〜46hで構成したが、一つの上側構成体で構成するようにしてもよい。
上記以外の構造は、上記実施例1と同様であるため説明を省略する。
また、本実施例2においても、上記実施例1と同様の作用、効果を奏する。
[実施例3]
上記実施例1,2においては、ゴンドラ本体部2を建物11の1つの平面からなる外壁面11aと、外壁面11aから外側に突出し、かつ、外壁面11aと平行な外側面を有する出窓部11bに対して正対するように配置したが、図17に示すように、建物11において、内角αが90°となるように配置された2つの外壁面(入隅面)11a,11cに対して、夫々対峙するようにゴンドラ本体部2を配置してもよい。
例えば、図17に示すように、一方の外壁面11aに対して、ゴンドラ本体部2を上記実施例1,2と同様に形成する。
ゴンドラ本体部2において、他方の外壁面11cと対向する面には、外壁面11cに対して、洗浄、補修、塗装などの作業を行うための第2作業用開口部61が形成され、建物11に対しての作業は、作業用開口部59,61を通じで行う。なお、ゴンドラ本体部2における他方の外壁面11c側の面に、第2作業用開口部61が形成されていればよく、第2作業用開口部61を、その横方向全体に亘って形成しても、横方向の一部に形成してもよい。
全ての作業用開口部59,61において、ゴンドラ本体部2の側面方向(周方向)において最も外側に位置する両端部の外側に位置する外壁面11a,11cには、図17に示すように、上記実施例1と同様に、養生ネット用取付金具50,50が、上下方向に適宜間隔を有して複数設けられ、この養生ネット用取付金具50に養生ネット用ガイドワイヤ51が張設されている。
作業用開口部59における第2作業用開口部61側と反対側の端部には、上記実施例1と同様に、側部昇降養生ネット53が配設され、側部昇降養生ネット53の係合金具55を、養生ネット用ガイドワイヤ51に昇降可能に取付け、その反対側はゴンドラ本体部2の後端に固着され、上端は上横桟7aに固着されている。
作業用開口部61における作業用開口部59側と反対側の端部には、図17に示すように、後部昇降養生ネット56が配設されている。後部昇降養生ネット56の外壁面11c側には、側部昇降養生ネット53に設けた係合金具55と同様の係合金具を用いて、養生ネット用ガイドワイヤ51に昇降可能に取付け、反対側はゴンドラ本体部2の右側端に固着され、上端は上後桟7cに固着されている。
上記の構造により、ゴンドラ本体部2の作業用開口部59,61を設けた面以外の面、及び、作業用開口部59,61の両端部におけるゴンドラ本体部2と養生ネット用ガイドワイヤ51との間は、養生ネット53,56により覆われている。
上記の構成により、作業用開口部59,61、養生ネット53,56、建物11で囲まれた作業空間62がL字状に形成され、作業空間62の周方向は、養生ネット53,56により覆われ、作業空間62内での外壁面11a,11c等への洗浄、補修、塗装等の作業により生じた飛沫の飛散を抑制できる。
上記以外の構造は、上記実施例1,2と同様であるため説明を省略する。
また、本実施例3においても、上記実施例1,2と同様の作用、効果を奏する。
また、本実施例3においては、1台のゴンドラ本体部2により、建物11の入隅状の2つの外壁面11a,11cに対して作業を行うことができる。
なお、作業用開口部61と外壁面11aとの間に、上記実施例1の下側飛散抑制部材41と上側飛散抑制部材45と同様の構造を有する下側飛散抑制部材63と上側飛散抑制部材を、上下方向に回動可能に設けてもよい。
[実施例4]
上記実施例1〜3においては、ゴンドラ本体部2を一つ用いて作業用ゴンドラ装置1を構成したが、複数のゴンドラ本体部2を、横方向に直列に連結して作業用ゴンドラ装置を構成してもよい。
例えば、図18〜図22に示すように、上記実施例1乃至3のゴンドラ本体部2と同様に構成した2個のゴンドラ本体部2A,2Bを、左右方向(Y−Y方向)に配設するとともに、この2台のゴンドラ本体部2A,2Bを連結部材65により連結し、図19に示すように、夫々のゴンドラ本体部2A,2Bの連結部材65側面には、中間作業用開口部64を形成してもよい。
次に、一方のゴンドラ本体部2Aと他方のゴンドラ本体部2Bを連結する連結部材65について詳述する。
連結部材65は、図21に示すように、隣接するゴンドラ本体部2A,2B間における前記外壁面と反対側に上下方向に配置した後側連結部66と、隣接するゴンドラ本体部2A,2B間における下部に前後方向に配置した下側連結部67を有する。
後側連結部66における左右方向(Y−Y方向)の両端部には、上下方向に配設した後取付支柱69,69が設けられている。この各後取付支柱69,69を、各ゴンドラ本体部2A,2Bの左右方向(Y−Y方向)における内側に位置する後側支柱4b,4bに取外し可能に取り付けるようになっている。後取付支柱69の上下方向の高さは任意に設定し、本実施例においては、後取付支柱69の上端を、ゴンドラ本体部2A,2Bの上端と略同じに位置するようにした。また、後取付支柱69の下端は、後側支柱4bの下端と略同じに位置するように形成されている。
後取付支柱69と69との間には、その上下方向全体に亘って、幕状に形成した連結後飛散抑制部材70が配設されている。連結後飛散抑制部材70として、塗料等が透過せず、好ましくは、更に撥水性と撥油性を有し、任意の位置で曲折可能な可撓性を有する部材で構成され、例えば、樹脂、ゴム等で構成することができる。連結後飛散抑制部材70として、本実施例では樹脂により幕状に形成した部材で構成した。
連結後飛散抑制部材70には、その上下方向に適宜間隔を有して複数の付勢部材72が、左右方向(Y−Y方向)に設けられている。付勢部材は、左右方向(Y−Y方向)に伸縮できるとともに、収縮する方向に付勢する付勢力を有する任意の部材で構成した。本実施例では、付勢部材として、内部に中空部を有する紐状のゴム72で構成した。
紐状のゴム72を、これを伸長させた状態で、左右方向に適宜間隔を有して、連結後飛散抑制部材70に対して縫着した。これにより、紐状のゴム72が縮小すると、連結後飛散抑制部材70は、図21に示すように、波状(蛇腹状)に曲折される。このように、連結後飛散抑制部材70は、紐状のゴム72により、一方のゴンドラ本体部2Aと他方のゴンドラ本体部2Bが近接・離間する方向において、その両端部間の距離が伸縮できるとともに、常時収縮する方向に付勢されている。
連結後飛散抑制部材70は、紐状のゴム72により、一方のゴンドラ本体部2Aと他方のゴンドラ本体部2Bが近接する方向に収縮するように付勢されるとともに、風等に煽られた際にも一定の形状が保持されるようになっている。
更に、紐状のゴム72は、左右の後取付支柱69,69に固定されるとともに、その両端部が、左右の後取付支柱69,69よりも外側に突出するように形成されている。この紐状のゴム72の両端部を、ゴンドラ本体部2A,2Bの後側支柱4b,4bに縛って、後側連結部66を、ゴンドラ本体部2A,2Bに取付けることができるようになっている。なお、これ以外の方法により、後側連結部66をゴンドラ本体部2A,2Bに対して取付けるようにしてもよい。
下側連結部67は、その左右方向(Y−Y方向)の両端部に、前後方向に配設された下取付支柱75,75が設けられている。下取付支柱75の後端と、後取付支柱69の下端は、連結部材78で連結されている。連結部材78は、任意の部材で構成でき、本実施例では、ゴム、金属等の可撓性を有する部材で構成した。
各下取付支柱75は、図20に示すように、各ゴンドラ本体部2A,2Bの左右方向における内側に位置する下側伸縮部材24,24に取外し可能に取り付けるようになっている。下取付支柱75の前端は、下側伸縮部材24の前端と略同じに位置し、下取付支柱75の後端は、ゴンドラ本体部2A,2Bの後端と略同じに位置するように形成されている。下取付支柱75を、その軸方向に伸縮できるように形成しても、しなくてもよい。
下取付支柱75と75間には、その前後方向(X−X方向)全体に亘って、連結後飛散抑制部材70と同様に構成された連結下飛散抑制部材76が配設されている。連結下飛散抑制部材76と連結後飛散抑制部材70は一体に形成されている。
連結下飛散抑制部材76には、その前後方向(X−X方向)に、適宜間隔を有して複数の付勢部材が設けられている。この付勢部材は、連結後飛散抑制部材70に設けた付勢部材と同様に構成され、本実施例では内部に中空部を有する紐状のゴム77で構成した。
連結下飛散抑制部材76に対する紐状のゴム77の取付方法は、連結後飛散抑制部材70に対する紐状のゴム72と同様に取り付けられ、連結下飛散抑制部材76は、紐状のゴム77により、一方のゴンドラ本体部2Aと他方のゴンドラ本体部2Bが近接、離間する方向において、その両端部間の距離が伸縮できるとともに、常時収縮する方向に付勢されている。
紐状のゴム77は、左右の下取付支柱75,75に固定されるとともに、その両端部は、左右の下取付支柱75,75よりも外側に突出するように形成されている。この紐状のゴム77を、ゴンドラ本体部2A,2Bの下側伸縮部材24,24に縛って、下側連結部67を、ゴンドラ本体部2A,2B取付けることができるようになっている。なお、これ以外の方法により、下側連結部67をゴンドラ本体部2A,2Bに対して取付けるようにしてもよい。
紐状のゴム72,77により、連結部材65をゴンドラ本体部2A,2Bに対して取付け、ゴンドラ本体部2A,2B同士を連結することができるようになっている。
飛散抑制部材70,76を、付勢部材である紐状のゴム72,77により、一方のゴンドラ本体部2Aと他方のゴンドラ本体部2Bが近接、離間する方向に伸縮できるようにしたが、付勢部材72を設けず、連結後飛散抑制部材70自体が伸縮できる部材で構成し、一方のゴンドラ本体部2Aと他方のゴンドラ本体部2Bが近接する方向に収縮する部材で構成してもよい。
連結部材65は、図21に示すように、ゴンドラ本体部2A,2Bから取り外し可能の一体のユニットで形成されており、現場でゴンドラ本体部2A,2Bに対して容易に組み付けることができるようになっている。
ゴンドラ本体部2A,2Bは、建物11の形状に応じて任意に配置することができ、図18,図19に示すように、1枚の外壁面11aに対して、2台のゴンドラ本体部2A,2Bが夫々正対するように配置してもよいし、図22に示すように、建物11の角部(出隅部)11dに対して、2台のゴンドラ本体部2A,2BをL字状に配置してもよい。
例えば、図19に示すように、一方のゴンドラ本体部2Aと他方のゴンドラ本体部2Bを左右方向に配置した場合において、夫々のゴンドラ本体部2における外壁面11aと対向する面には、外壁面11aに対して、洗浄、補修、塗装などの作業を行うための作業用開口部59,59が形成され、建物11に対しての作業は、作業用開口部59,59を通じで行う。
上記実施例3と同様に、全ての作業用開口部59,59における両端部の外側に位置する外壁面11aには、図19に示すように、養生ネット用取付金具50,50が、上下方向に適宜間隔を有して複数設けられ、この養生ネット用取付金具50に養生ネット用ガイドワイヤ51が取付けられている。
夫々の作業用開口部59,59における左右方向の外側には、上記実施例1と同様に、側部昇降養生ネット53,53が配設され、側部昇降養生ネット53の係合金具55を、養生ネット用ガイドワイヤ51に昇降可能に取付け、反対側はゴンドラ本体部2の後端に固着され、上端は上横桟7aに固着されている。
ゴンドラ本体部2A,2B及び連結部材65の後部は、その左右方向(Y−Y方向)全体に亘って後部昇降養生ネット56が配設されている。後部昇降養生ネット56の左右両端部は、夫々のゴンドラ本体部2A,2Bの左右方向の外側端に固着され、上端は上後桟7cに固着されている。
上記の構造により、ゴンドラ本体部2A,2Bの作業用開口部59,59を設けた面以外の面、及び、作業用開口部59の両端部におけるゴンドラ本体部2と養生ネット用ガイドワイヤ51との間は、養生ネット53,53,56により覆われている。
作業用開口部59,64、養生ネット53,56、建物11で囲まれた作業空間66がT字状に形成され、作業空間66の周方向は、養生ネット53,56と連結部材65により覆われ、作業空間66内での建物11への洗浄、補修、塗装等の作業により生じる飛沫の飛散を抑制できる。
上記以外の構造は、上記実施例1〜3と同様であるため説明を省略する。
また、本実施例4においても、上記実施例1〜3と同様の作用、効果を奏す。
更に、一方のゴンドラ本体部2Aと他方のゴンドラ本体部2Bとの間を、伸縮できる連結部材65で連結したことにより、一方のゴンドラ本体部2Aの高さと、他方のゴンドラ本体部2Bの高さが異なったり、風などにより夫々の左右方向の軸がずれた場合においても、連結部材65により、一方のゴンドラ本体部2Aと他方のゴンドラ本体部2Bとの間の下端部と後端部が覆われ、塗料等の外部への飛散を抑制できる。
また、図22に示すように、建物11の角部(出隅部)11eに対して、2台のゴンドラ本体部2,2をL字状に配置した場合においても、図22に示すように、連結部材65が三角形状に変形し、一方のゴンドラ本体部2Aと他方のゴンドラ本体部2Bとの間の下端部と後端部を、連結部材65により覆い、塗料等の外部への飛散を抑制できる。
[実施例5]
上記実施例1〜4おいては、外壁面11a,11cの上下方向に適宜間隔を有して取付けた取付金具16に対して、ガイドワイヤ17を取付けたが、取付金具16を設けず、ガイドワイヤ17の上端を建物11の上部に、下端を建物11の下部若しくは地上に固設するようにしてもよい。
上記以外の構造は、上記実施例1〜4と同様であるため説明を省略する。
また、本実施例5においても、上記実施例1〜4と同様の作用、効果を奏する。
[実施例6]
上記実施例1〜5においては、ガイドワイヤ17を、ゴンドラ本体部2と建物11の間に設けたが、ガイドワイヤ17をゴンドラ本体部2の後部に設け、ゴンドラ本体部2をガイドワイヤ17方向へ押すことにより、ゴンドラ本体部2に対し、建物側11方向に移動する方向への力を常に付与し、すなわち、ゴンドラ本体部2を、建物11の外壁面11a,11c側に付勢するようにしてもよい。
上記以外の構造は、上記実施例1〜5と同様であるため説明を省略する。
また、本実施例6においても、上記実施例1〜5と同様の作用、効果を奏する。
[実施例7]
上記実施例1〜6においては、建物11の外壁面11aに、養生ネット用取付金具50を上下方向に適宜間隔を有して取付け、この養生ネット用取付金具50に養生ネット用ガイドワイヤ51を取付けたが、養生ネット用取付金具50を設けず、養生ネット用ガイドワイヤ51の上端を建物11の上部に、下端を建物11の下部若しくは地上に固設するようにしてもよい。
上記以外の構造は、上記実施例1〜6と同様であるため説明を省略する。
また、本実施例7においても、上記実施例1〜6と同様の作用、効果を奏する。
[その他の実施例]
上記実施例1〜6においては、左右夫々において、係合部材30A,30Bを2本設けたが、図23に示すように、作業者10が命綱80を建物11に対して固設するなどして、作業者10の安全を向上させている場合には、左右の係合部材30の数を1本とするようにしてもよい。
上記実施例1〜6においては、係合部材30Aを、ガイドワイヤ17に対して挟圧保持するように係合させたが、係合部材をガイドワイヤ17に対して係合した状態において、ガイドワイヤ17の軸方向における一部の外周全体を、引掛部と抜止部により覆われていれば、任意の構造とすることができ、例えば図24に示すような係合部材81としてもよい。
図24に示す係合部材81は、上記実施例1の引掛部材31の引掛部31aと同様の構造を有する引掛部82aを有し、抜止部82bが、引掛部82aの開口部82cを開閉可能にして設けられ、開口部82cは閉方向に常に付勢されている。
上記実施例1〜6においては、ガイドワイヤ17をゴンドラ本体部2と建物11との間、若しくは、ゴンドラ本体部2の後部に設けたが、このガイドワイヤを設けなくてもよい。