JP2020100729A - 粘着剤組成物、及びそれを用いてなる粘着剤、粘着シート、偏光板用粘着剤並びに粘着剤層付偏光板 - Google Patents

粘着剤組成物、及びそれを用いてなる粘着剤、粘着シート、偏光板用粘着剤並びに粘着剤層付偏光板 Download PDF

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Abstract

【課題】リワーク性に加え、100〜120℃といった高温環境下においても優れた耐久性を有する粘着剤を形成する粘着剤組成物を提供する。【解決手段】アクリル系樹脂(A)及び不飽和基を含有しないアミド化合物(B)を含有する粘着剤組成物とする。【選択図】なし

Description

本発明は、粘着剤組成物に関し、更に詳しくは、高温及び高温高湿環境下での耐久性に優れた粘着剤を得ることができる粘着剤組成物、及びそれを用いてなる粘着剤、粘着シート、偏光板用粘着剤ならびに粘着剤層付偏光板に関するものである。
従来より、アクリル系粘着剤は、各種用途に合わせた設計の自由度が広く粘着物性に優れる点で粘着テープや粘着シートに広く用いられている。なかでも、偏光性が付与されたポリビニルアルコール系フィルム等からなる偏光子の両面または片面が保護フィルムで被覆された偏光板を、2枚のガラス板の間に配向した液晶成分を挟持させた液晶セルの表面に積層するための粘着剤として非常に有用である。
また、近年では、アクリル系粘着剤の透明性や耐久性、耐候性の点で、テレビやモニター等のディスプレイ、スマートフォンやタブレット端末等のモバイル機器の部材貼り合わせ用、調光、断熱を目的としたウインドウフィルム用にも広く用いられるようになってきた。
このような光学部材用に用いられる粘着剤においては、例えば、偏光板(保護フィルム)と液晶セル(ガラス)との貼り合わせに用いられる粘着剤として、高温及び高温高湿環境下において基材から浮いたり剥がれたりしないという耐久性が求められている。また、ディスプレイやモバイル機器、ウインドウフィルムは屋外や車内等様々な状況で使用されるため、過酷な環境下でも耐えうる優れた耐久性が求められる。
かかる耐久性の改善としては、例えば、アミド基含有モノマーを共重合したアクリル系樹脂を含有する粘着剤組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2016−180018号公報
しかしながら、上記特許文献1に開示の技術では、85℃程度の耐久性はある程度改善されるものの、更なる高温環境下、例えば120℃といった高温環境下では発泡や剥離が見られる等の不具合もある。また、アミド基含有モノマーを共重合すると、得られるアクリル系樹脂のガラス転移温度が上がり、ジッピングが発生したりする傾向もある。
そこで、本発明ではこのような背景下において、これまでと同様に、リワーク性(糊残りなく比較的低い粘着力で剥離できる性能。)に加え、100〜120℃といった高温環境下においても優れた耐久性を有する粘着剤を形成する粘着剤組成物を提供することを目的とするものである。
しかるに本発明者等は、かかる事情に鑑み鋭意研究を重ねた結果、アクリル系樹脂を含有する粘着剤組成物において、不飽和基を含有しないアミド化合物を配合することにより、特に高温環境下においても優れた耐久性を有することを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は、アクリル系樹脂(A)及び不飽和基を含有しないアミド化合物(B)を含有する粘着剤組成物を第1の要旨とするものである。
更には、本発明は、上記第1の要旨の粘着剤組成物が架橋剤(D)により架橋されてなる粘着剤を第2の要旨とし、上記第2の要旨の粘着剤からなる粘着剤層を有する粘着シートを第3の要旨とするものである。また、本発明は、上記第2の要旨の粘着剤を用いてなる偏光板用粘着剤を第4の要旨とし、上記第4の要旨の偏光板用粘着剤からなる粘着剤層を有する粘着剤層付偏光板を第5の要旨とするものである。
本発明は、アクリル系樹脂(A)及び不飽和基を含有しないアミド化合物(B)を含有する粘着剤組成物である。そのため、上記粘着剤組成物を用いて得られる粘着剤は、リワーク性に加え、更に、高温及び高温高湿環境下においても耐久性に優れた粘着剤となるものであり、種々の用途、とりわけ偏光板用に好適な粘着剤を得ることができる。
本発明においては、不飽和基を含有しないアミド化合物(B)を配合することにより、アミド基が共重合によりアクリル系樹脂(A)に組み込まれることがないため、高温環境下で懸念されるアクリル系樹脂(A)の劣化による硬化も小さく、耐久性の低下も招くことがなく、優れた耐久性を有するものとなるのである。
以下に、本発明を詳細に説明するが、これらは望ましい実施態様の一例を示すものである。
なお、(メタ)アクリルとはアクリルあるいはメタクリルを、(メタ)アクリロイルとはアクリロイルあるいはメタクリロイルを、(メタ)アクリレートとはアクリレートあるいはメタクリレートをそれぞれ意味するものである。また、アクリル系樹脂とは、少なくとも1種の(メタ)アクリレート系モノマーを含む重合成分を重合して得られる樹脂である。
また、本発明でいう粘着剤とは25℃(室温)でタックを有し、手で押しつける程度の軽い圧力で被着体と接着するものであり、「シート」とは、シート、フィルム、テープを概念的に包含するものである。
本発明の粘着剤組成物は、アクリル系樹脂(A)及び不飽和基を含有しないアミド化合物(B)を必須成分として含有するものである。
<アクリル系樹脂(A)>
本発明で用いられるアクリル系樹脂(A)としては、アルキル(メタ)アクリレート系モノマーを主成分とし、必要に応じて官能基含有モノマーやその他の共重合性モノマーを含有する共重合成分を共重合してなるアクリル系樹脂を挙げることができる。
なお、「主成分とする」とは、共重合成分全体に対して通常50重量%以上含有することを意味する。
上記アルキル(メタ)アクリレート系モノマーとしては、例えば、アルキル基の炭素数が通常1〜24、好ましくは1〜18、特に好ましくは1〜12、更に好ましくは1〜8のモノマーが挙げられ、具体的には、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
これらのなかでも、汎用性、粘着物性の点でメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートが好ましく、メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートが特に好ましい。
アルキル(メタ)アクリレート系モノマーの含有割合は、共重合成分全体に対して、50重量%以上であることが好ましく、特に好ましくは50〜99.9重量%、更に好ましくは55〜99.5重量%、殊に好ましくは60〜99重量%である。アルキル(メタ)アクリレート系モノマーの含有割合が少なすぎると粘着物性が低下する傾向にある。なお、多すぎると後述する架橋剤との反応点が少なくなり耐久性が低下する傾向にある。
上記官能基含有モノマーとしては、例えば、水酸基含有モノマー、カルボキシ基含有モノマー、窒素含有モノマー、その他の共重合性モノマー等が挙げられる。これらの官能基含有モノマーは、単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
本発明においては、アクリル系樹脂(A)の共重合成分として官能基含有モノマーを用いることが、アクリル系樹脂(A)の架橋点となり、凝集力を向上し、基材や被着体との密着性を上昇させる点、耐久性の点で好ましく、特には耐久性の点から水酸基含有モノマーを用いることが好ましい。
上記水酸基含有モノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートモノマー、カプロラクトン変性2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のカプロラクトン変性モノマー、ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のオキシアルキレン変性(メタ)アクリレートモノマー、その他、2−アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリルアミド等の1級水酸基含有(メタ)アクリレートモノマー;2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−クロロ2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の2級水酸基含有(メタ)アクリレートモノマー;2,2−ジメチル2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の3級水酸基含有(メタ)アクリレートモノマーが挙げられる。
上記水酸基含有モノマーのなかでも、架橋剤、特には後述の架橋剤(D)との反応性に優れる点、及び耐久性が向上する点で、1級水酸基含有(メタ)アクリレートモノマーが好ましく、更に好ましくは、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートを使用することが、ジ(メタ)アクリレート等の不純物が少なく、製造しやすい点で好ましい。また、酸の不純分が少なく基材の加水分解を抑制する点では4−ヒドロキシブチルアクリレートが好ましい。
なお、本発明で使用する水酸基含有モノマーとしては、不純物であるジ(メタ)アクリレートの含有割合が、0.5重量%以下のものを用いることも好ましく、特には0.2重量%以下、更には0.1重量%以下のものを使用することが好ましい。
上記水酸基含有モノマーの含有割合は、共重合成分全体に対して0.1〜30重量%であることが好ましく、特に好ましくは0.5〜25重量%であり、更に好ましくは1〜20重量%である。かかる含有割合が少なすぎると、耐久性が低下する傾向があり、多すぎると粘着剤とした際の保存安定性が低下したり、リワーク性が低下したりする傾向にある。
上記カルボキシ基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸のダイマー酸等が挙げられ、なかでも、重合時の安定性の点で(メタ)アクリル酸が好ましい。
上記カルボキシ基含有モノマーを共重合成分として得られるアクリル系樹脂は、100℃以上の高温下で硬化しやすく、耐久性が低下する傾向があるため、その含有量は少ないほうが好ましい。
上記カルボキシ基含有モノマーの含有割合は、共重合体成分全体に対して1重量%以下であることが好ましく、特に好ましくは0.8重量%以下、更に好ましくは0.5重量%以下であり、更に好ましくは0.2重量%以下である。かかる含有割合が多すぎると、基材の加水分解を促進したり、耐久性が低下したりする傾向がある。
上記窒素含有モノマーとしては、アミノ基含有モノマーやアミド基含有モノマー等が挙げられる。
アミノ基含有モノマーとしては、例えば、アミノメチル(メタ)アクリレート、アミノエチル(メタ)アクリレート等の1級アミノ基含有(メタ)アクリレート系モノマー;t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の2級アミノ基含有(メタ)アクリレート系モノマー;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の3級アミノ基含有(メタ)アクリレート系モノマー等が挙げられる。
また、アミド基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリルアミド;メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、プロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、イソプロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、n−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等のアルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド系モノマー;ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジエチル(メタ)アクリルアミド等のジアルキル(メタ)アクリルアミド系モノマー;等が挙げられる。
その他の窒素含有モノマーとしては、アクリロイルモルホリン、ビニルイミダゾール等の環状構造を有する窒素含有モノマーが挙げられる。
上記窒素含有モノマーのなかでも、基材の加水分解を抑制できる点でジアルキルアクリルアミドが好ましく、重合性やアミド基濃度が高く、より加水分解を抑制できる点でジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミドが好ましい。
窒素含有モノマーの含有割合は、ジッピングを生じさせないことや、帯電防止性能を低下させないこと等から少ないことが好ましく、その含有割合は、共重合体成分全体に対して5重量%以下であることが好ましく、特に好ましくは3重量%以下であり、更に好ましくは1量%以下である。かかる含有割合が多すぎると、アクリル系樹脂(A)のガラス転移温度が高くなり、リワーク性が低下したり、ジッピングが起こりやすくなったり、帯電防止性能が低下したりする傾向がある。
上記その他の共重合性モノマーとしては、例えば、脂環構造含有モノマー、芳香族モノマー、アルコキシ基含有モノマー等が挙げられる。
上記脂環構造含有モノマーとしては、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニルアクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、2−アダマンチル(メタ)アクリレート等の脂環構造を有する(メタ)アクリレートが挙げられる。
上記芳香族モノマーとしては、例えば、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリプロピレングリコール−(メタ)アクリレート等の芳香環を一つ有する(メタ)アクリレート;フェノキシベンジル(メタ)アクリレート、エトキシ化o−フェニルフェノール(メタ)アクリレート等の芳香環を二つ有する(メタ)アクリレートが挙げられる。
上記アルコキシ基含有モノマーとしては、例えば、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。
上記アクリル系樹脂(A)の重合方法としては、溶液ラジカル重合、懸濁重合、塊状重合、乳化重合等の従来公知の方法を用いることができ、例えば、有機溶媒中に、適宜選択してなる共重合成分、重合開始剤を混合あるいは滴下し所定の重合条件にて重合する方法等があり、なかでも、溶液ラジカル重合、塊状重合が好ましく、特に好ましくは安定的にアクリル系樹脂が得られる点で溶液ラジカル重合である。
上記重合反応に用いられる有機溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ヘキサン等の脂肪族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の脂肪族アルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類等が挙げられる。これらは、単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
これらの有機溶媒のなかでも、重合反応のしやすさや連鎖移動の効果や粘着剤塗工時の乾燥のしやすさ、安全上から、酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸ブチル、トルエン、メチルイソブチルケトンが好ましく、特に好ましくは、酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトンである。
また、かかるラジカル重合に用いられる重合開始剤としては、例えば、通常のラジカル重合開始剤である2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、4,4'−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2'−アゾビス(メチルプロピオン酸)等のアゾ系開始剤、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロリルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物等が挙げられ、使用するモノマーに合わせて適宜選択して用いることができる。これらの重合開始剤は、単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
かくして本発明で用いられるアクリル系樹脂(A)が得られる。
上記アクリル系樹脂(A)の重量平均分子量は、20万〜250万であることが好ましく、特に好ましくは30万〜220万、更に好ましくは80万〜200万であり、殊に好ましくは100万〜180万である。かかる重量平均分子量が小さすぎると不飽和基を含有しないアミド化合物(B)による可塑効果により、耐久性が低下する傾向にあり、大きすぎると溶液粘度が高くなりすぎて塗工する際に溶剤が大量に必要となり、乾燥時のエネルギーが大きくなる傾向がある。
また、アクリル系樹脂(A)の分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は、15以下であることが好ましく、特に好ましくは10以下、更に好ましくは6以下である。かかる分散度が高すぎると凝集力が低下し耐久性が低下したり、リワーク性が低下したりする傾向がある。なお、分散度の下限は通常1である。
なお、上記のアクリル系樹脂(A)の重量平均分子量は、標準ポリスチレン分子量換算による重量平均分子量であり、高速液体クロマトグラフ(日本Waters社製、「Waters 2695(本体)」と「Waters 2414(検出器)」)に、カラム:Shodex GPC KF−806L(排除限界分子量:2×107、分離範囲:100〜2×107、理論段数:10,000段/本、充填剤材質:スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、充填剤粒径:10μm)を3本直列にして用いて測定されるものであり、数平均分子量も同様の方法で測定することができる。また分散度は重量平均分子量と数平均分子量より求められる。
上述のようにアクリル系樹脂(A)は、高温での耐久性の点から共重合成分としてカルボキシ基含有モノマーが少ないこと、すなわち酸価が低いことが好ましい。
上記アクリル系樹脂(A)の酸価は、10mgKOH/g以下であることが好ましく、より好ましくは5mgKOH/g以下であり、特に好ましくは2mgKOH/g以下である。酸価が高すぎると、粘着剤が高温で硬化しやすくなり耐久性が低下する傾向にある。
上記アクリル系樹脂(A)の酸価は、JIS K 0070に基づき中和滴定により求められるものである。
上記アクリル系樹脂(A)のガラス転移温度(Tg)は、−100〜25℃であることが好ましく、特に好ましくは−80〜0℃、更に好ましくは−60〜−20℃である。かかるガラス転移温度が高すぎるとタックが低下して貼り合わせし難くなったり、離型フィルムや被着体からリワークする際にジッピングが発生したりする傾向があり、低すぎると耐熱性が低下する傾向がある。
なお、上記ガラス転移温度は下記のFoxの式より算出されるものである。
Figure 2020100729
即ち、アクリル系樹脂(A)を構成するそれぞれのモノマーをホモポリマーとした際のガラス転移温度及び重量分率をFoxの式に当てはめて算出した値である。
なお、アクリル系樹脂(A)を構成するモノマーをホモポリマーとした際のガラス転移温度は、通常、示差走査熱量計(DSC)により測定されるものであり、JIS K7121−1987や、JIS K 6240に準拠した方法で測定することができる。
<不飽和基を含有しないアミド化合物(B)>
本発明で用いる不飽和基を含有しないアミド化合物(B)とは、末端にエチレン性不飽和基を含有しないアミド化合物を意味する。従って、上記アクリル系樹脂(A)と共重合することがないため、アクリル系樹脂(A)のガラス転移温度の上昇を抑えることができ、柔軟さを維持することができる。
よって、本発明の粘着剤組成物は、優れたリワーク性を有し、かつ高温環境下で懸念されるアクリル系樹脂(A)の劣化による硬化も小さく、耐久性の低下も招くことがないため、優れた耐久性を有するものとなる。
また、粘着剤組成物が、後述のイオン性化合物(C)を含有する場合、上記アクリル系樹脂(A)と不飽和基を含有しないアミド化合物(B)とは共重合しないため、帯電防止剤を拘束することもなく、帯電防止性能等の低下を防止する効果も奏する。
上記不飽和基を含有しないアミド化合物(B)は、通常、カルボン酸アミドが好ましく用いられるが、スルホンアミドやリン酸アミドを用いてもよい。またアミド結合を複数有する化合物であってもよい。以下、好ましいアミド化合物であるカルボン酸アミドについて、具体的に説明する。
上記カルボン酸アミドとしては、1級カルボン酸アミド化合物、2級カルボン酸アミド化合物及び3級カルボン酸アミド化合物が挙げられる。
上記1級カルボン酸アミド化合物としては、例えば、ブタンアミド、オクタンアミド、デカンアミド等のアルキルアミド化合物や、3−メトキシプロパンアミド、3−ブトキシプロパンアミド、8−メトキシオクタンアミド等のアルキル鎖の一部がアルコキシ基に置換されたアルコキシアルキルアミド化合物等が挙げられる。
上記2級カルボン酸アミド化合物としては、上記1級アミド化合物の窒素原子が水素原子以外の置換基で1つ置換された化合物が挙げられる。
上記3級カルボン酸アミド化合物としては、上記1級アミド化合物の窒素原子が水素原子以外の置換基で2つ置換された化合物が挙げられる。
また、その他上記以外のアミド化合物として、例えば、2,4−ジヒドロキシベンズアミド、3−アミノ−2,2−ジメチルプロピオンアミド、シクロプロパンカルボキサミド、バレルアミド、6−メチルニコチンアミド、2−シアノアセトアミド、エルカ酸アミド、マロンアミド、2−ヨードアセトアミド、ステアリン酸アミド、4−ニトロベンズアミド、3,5−ジヒドロキシベンズアミド、2−アミノ−5−メチルベンズアミド、4−メトキシベンズアミド、2−ヒドロキシイソブチルアミド、3−フェニル−2−プロペンアミド、2−フェニルアセトアミド、4−アミノ−3,5−ジニトロベンズアミド、1−(カルバモイルメチル)シクロヘキサン酢酸、ベンズアミド、2,2−ジブロモ−2−シアノアセトアミド、プロピオン酸アミド、4−アミドベンズアミド、イソ酪酸アミド、2,3−ジブロモプロピオンアミド、ホルムアミド、2−アミノ−N,N−ジメチルアセトアミド等の1級カルボン酸アミド化合物;N−エチルアセトアミド、N,N’−エチレンビスオクタデカンアミド、4−アセチルアミノ−2−エトキシ安息香酸メチル、N−メチルアセトアミド、N,2,3−トリメチル−2−(1−メチルエチル)ブタンアミド、ヘキサヒドロ−3−アミノ−1H−アゼピン−2−オン、N,N−ジメチルエタンジアミド、2’−クロロアセトアニリド、ε−カプロラクタム、N−エチル−p−メンタン−3−カルボアミド、N−(tert−ブトキシカルボニル)−p−トルエンスルホンアミド、4−アミノ−N−メチルベンズアミド、N−[4−[(4−エチル−1−ピペラジニル)メチル]−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−4−メチル−3−(1H−ピロール[2,3−b]ピリジン−4−イルオキシ)−ベンズアミド三塩酸塩、フェナセチン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、3−アミノ−N−メチルベンズアミド等の2級カルボン酸アミド化合物;N−メトキシ−N−メチルアセトアミド、1−メチル−2,5−ピロリジンジオン、N−エチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルプロピオンアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチル−ε−カプロラクタム、N,N−ジエチルドデカンアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルクロロアセトアミド、アセトアミド,2,2’−オキシビス[N,N−ジオクチル−等の3級カルボン酸アミド化合物が挙げられる。
上記不飽和基を含有しないアミド化合物(B)のなかでも、高温時の耐久性に優れる点から、3級カルボン酸アミド化合物が好ましく、より好ましくはジアルキルアミド化合物(b1)である。また、上記不飽和基を含有しないアミド化合物(B)は、単独でもしくは2種以上を併せて用いてもよい。
上記ジアルキルアミド化合物(b1)としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルプロピオンアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチル−ε−カプロラクタム、N,N−ジエチルドデカンアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド、3−ブトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド等が挙げられる。なかでも、高温時の耐久性に優れる点で3−メトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド、3−ブトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミドが好ましく、特に好ましくは、3−ブトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミドである。
また、上記不飽和基を含有しないアミド化合物(B)の分子量は、120以上であることが好ましく、より好ましくは130〜500、特に好ましくは150〜450である。分子量が小さすぎると乾燥中に揮発したり、ブリードアウトしやすくなる傾向がある。また、分子量が大きすぎると相溶性が低下する傾向がある。
上記不飽和基を含有しないアミド化合物(B)の融点は、200℃以下であることが好ましく、より好ましくは100℃以下、特に好ましくは50℃以下、殊に好ましくは25℃以下である。融点が高すぎると、低温で析出しやすくなる傾向がある。
また、上記不飽和基を含有しないアミド化合物(B)の沸点は、通常常圧で200℃以上、より好ましくは210℃以上、更に好ましくは230℃以上である。沸点が低すぎると乾燥中に揮発したり、高温時に発泡する傾向がある。
粘着剤組成物における不飽和基を含有しないアミド化合物(B)の含有量は、アクリル系樹脂(A)100重量部に対して、通常0.1〜20重量部であり、好ましくは0.5〜15重量部であり、特に好ましくは1〜10重量部である。不飽和基を含有しないアミド化合物(B)の含有量が少なすぎると、耐久性が不充分となる傾向があり、含有量が多すぎると、ブリードアウトしやくすなる傾向がある。
<イオン性化合物(C)>
本発明の粘着剤組成物においては、帯電防止性能の点でイオン性化合物(C)を含有することが好ましい。
本発明において、イオン性化合物(C)とはカチオンとアニオンからなる塩である。
上記カチオンとしては、無機カチオン及び有機カチオンから選ばれるカチオンであればよい。
無機カチオンとしては、例えば、ホスホニウムカチオン、スルホニウムカチオン等の非金属無機カチオンや、リチウムカチオン、ナトリウムカチオン、カルシウムカチオン、カリウムカチオン等の金属無機カチオンが挙げられる。
有機カチオンとしては、例えば、4級アンモニウムカチオン、イミダゾリウムカチオン、ピリジニウムカチオン、ピペリジニウムカチオン、ピロリジニウムカチオン等の窒素原子を有するカチオン等が挙げられる。
これらのなかでも、帯電防止性能に優れる点、耐湿熱白化性に優れる点では金属カチオン、特にはアルカリ金属カチオンが好ましく、腐食防止に優れる点、リワーク性に優れる点、粘着力のばらつきが小さい点で、有機カチオン等の非金属カチオンが好ましく、なかでも、4級アンモニウムカチオン、特には非環状4級アンモニウム系カチオン、イミダゾリウム系カチオン、ピリジニウム系カチオン、ピペリジニウム系カチオン、ピリミジニウム系カチオン、ピラゾリウム系カチオン、ピロリジニウム系カチオン等の窒素原子含有カチオン、更には4級アンモニウムカチオンの窒素原子含有カチオンが好ましい。
上記アルカリ金属カチオンとしては、リチウムカチオン、カリウムカチオン、ナトリウムカチオン等が挙げられ、これらのなかでも、粘着剤とした時の耐久性や帯電防止性能、耐湿熱白化性に優れる点でリチウムカチオンが好ましい。
4級アンモニウム系カチオンとして、具体的には、例えば、
テトラメチルアンモニウムカチオン、テトラエチルアンモニウムカチオン、テトラブチルアンモニウムカチオン、テトラペンチルアンモニウムカチオン、テトラヘキシルアンモニウムカチオン、テトラヘプチルアンモニウムカチオン等のアルキル基のアルキル鎖長が全て等しいテトラアルキルアンモニウムカチオン;
トリエチルメチルアンモニウムカチオン、トリブチルエチルアンモニウムカチオン、トリメチルプロピルアンモニウムカチオン、トリメチルデシルアンモニウムカチオン、トリエチルメチルアンモニウムカチオン、トリブチルエチルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−エチル−N−プロピルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−エチル−N−ブチルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−エチル−N−ペンチルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−エチル−N−ヘキシルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−エチル−N−ヘプチルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−エチル−N−ノニルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N,N−ジプロピルアンモニウムカチオン、N,N−ジエチル−N−プロピル−N−ブチルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−プロピル−N−ペンチルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−プロピル−N−ヘキシルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−プロピル−N−ヘプチルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−ブチル−N−ヘキシルアンモニウムカチオン、N,N−ジエチル−N−ブチル−N−ヘプチルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−ペンチル−N−ヘキシルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N,N−ジヘキシルアンモニウムカチオン、トリメチルヘプチルアンモニウムカチオン、N,N−ジエチル−N−メチル−N−プロピルアンモニウムカチオン、N,N−ジエチル−N−メチル−N−ペンチルアンモニウムカチオン、N,N−ジエチル−N−メチル−N−ヘプチルアンモニウムカチオン、N,N−ジエチル−N−プロピル−N−ペンチルアンモニウムカチオン、トリエチルプロピルアンモニウムカチオン、トリエチルペンチルアンモニウムカチオン、トリエチルヘプチルアンモニウムカチオン、N,N−ジプロピル−N−メチル−N−エチルアンモニウムカチオン、N,N−ジプロピル−N−メチル−N−ペンチルアンモニウムカチオン、N,N−ジプロピル−N−ブチル−N−ヘキシルアンモニウムカチオン、N,N−ジプロピル−N,N−ジヘキシルアンモニウムカチオン、N,N−ジブチル−N−メチル−N−ペンチルアンモニウムカチオン、N,N−ジブチル−N−メチル−N−ヘキシルアンモニウムカチオン、トリオクチルメチルアンモニウムカチオン、N−メチル−N−エチル−N−プロピル−N−ペンチルアンモニウムカチオン等のアルキル鎖長が異なるアルキル基を有するテトラアルキルアンモニウムカチオン;
その他、グリシジルトリメチルアンモニウムカチオン、ジアリルジメチルアンモニウムカチオン、ベンジルトリブチルアンモニウムカチオン、N,N−ジエチル−N−メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウムカチオン等の芳香環を有する置換基やエーテル結合を有する置換基を持つアンモニウムカチオンが挙げられる。
イミダゾリウム系カチオンとして、具体的には、例えば、1,3−ジメチルイミダゾリウムカチオン、1,3−ジエチルイミダゾリウムカチオン、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−へキシル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−オクチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−デシル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−ドデシル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−テトラデシル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムカチオン、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムカチオン、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムカチオン、1−へキシル−2,3−ジメチルイミダゾリウムカチオン等が挙げられる。
ピリジニウム系カチオンとしては、具体的には、例えば、1−オクチル−2−メチルピリジニウムカチオン、1−オクチル−3−メチルピリジニウムカチオン、1−オクチル−4−メチルピリジニウムカチオン、1−オクチルピリジニウムカチオン、2−エチルヘキシルピリジニウムカチオン、1−エチルピリジニウムカチオン、1−ブチルピリジニウムカチオン、1−へキシルピリジニウムカチオン、1−ブチル−3−メチルピリジニウムカチオン、1−ブチル−4−メチルピリジニウムカチオン、1−へキシル−3−メチルピリジニウムカチオン、1−ブチル−3,4−ジメチルピリジニウムカチオン、1,1−ジメチルピロリジニウムカチオン、1−エチル−1−メチルピロリジニウムカチオン、1−メチル−1−プロピルピロリジニウムカチオン等が挙げられる。
ピペリジニウム系カチオンとしては、具体的には、例えば、1−メチル−1−エチルピペリジニウムカチオン、1−メチル−1−ブチルピペリジニウムカチオン、1−ブチル−1−ブチルピペリジニウムカチオン、1−オクル−1−オクチルピペリジニウムカチオン、1−ブチル−1−オクチルピペリジニウムカチオン等が挙げられる。
ピリミジニウム系カチオンとしては、具体的には、例えば、1,3−ジメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3−トリメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3,4−テトラメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3,5−テトラメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウムカチオン、1,3−ジメチル−1,4−ジヒドロピリミジニウムカチオン、1,3−ジメチル−1,6−ジヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3−トリメチル−1,4−ジヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3−トリメチル−1,6−ジヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3,4−テトラメチル−1,4−ジヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3,4−テトラメチル−1,6−ジヒドロピリミジニウムカチオン等が挙げられる。
ピラゾリウム系カチオンとしては、具体的には、例えば、1−メチルピラゾリウムカチオン、3−メチルピラゾリウムカチオン、1−エチル−2−メチルピラゾリニウムカチオン等が挙げられる。
ピロリジニウム系カチオンとしては、具体的には、例えば、1−ジメチルピロリジニウム、1−メチル−1−エチルピロリジニウム、1−メチル−1−プロピルピロリジニウム、1−メチル−1−ブチルピロリジニウム、1−メチル−1−ペンチルピロリジニウム、1−メチル−1−ヘキシルピロリジニウム、1−メチル−1−へプチルピロリジニウム、1−エチル−1−プロピルピロリジニウム、1−エチル−1−ブチルピロリジニウム、1−エチル−1−ペンチルピロリジニウム、1−エチル−1−へキシルピロリジニウム、1−エチル−1−へプチルピロリジニウム、1,1−ジプロピルピロリジニウム、1−プロピル−1−ブチルピロリジニウム、1,1−ジブチルピロリジニウム等が挙げられる。
また、窒素含有カチオンとして、その他、1−エチル−2−フェニルインドールカチオン、1,2−ジメチルインドールカチオン、1−エチルカルバゾールカチオン、4−(2−エトキシエチル)−4−メチルモルホリニウムカチオン等が挙げられる。
上記の窒素含有カチオンのなかでも、アクリル系樹脂(A)との相溶性に優れ、耐久性が高い点で、少なくとも一つのアルキル基で置換された窒素原子を有する窒素含有カチオンが特に好ましい。
上記のなかでも、帯電防止性能と耐加水分解性のバランスに優れる点から、アンモニウム系カチオンであることが好ましく、特には4級アンモニウムカチオンが好ましく、更には4つの置換基がそれぞれアルキル基で置換されているテトラアルキルアンモニウムカチオンであることが好ましく、殊にはイオン性化合物の結晶性が低く、アクリル系樹脂との相溶性に優れている点、低温時に粘着剤層から析出しにくい点で、アルキル鎖長が異なるアルキル基を有するテトラアルキルアンモニウムカチオンが好ましい。
上記テトラアルキルアンモニウムカチオンのなかでも、総炭素数が4〜48のテトラアルキルアンモニウムカチオンが好ましく、特には総炭素数が8〜32であるテトラアルキルアンモニウムカチオンが好ましく、更には炭素数が10〜16であるテトラアルキルアンモニウムカチオンが好ましい。かかる総炭素数が多すぎても、少なすぎてもアクリル系樹脂との相溶性が低下する傾向がある。
上記アニオンとしては、例えば、テトラフルオロボレートアニオン〔BF4 -〕、ヘキサフルオロホスフェートアニオン〔PF6 -〕、ヘキサフルオロアーセネートアニオン〔AsF6 -〕、ヘキサフルオロアンチモネートアニオン〔SbF6 -〕、ヘキサフルオロニオベートアニオン〔NbF6 -〕、ヘキサフルオロタンタレートアニオン〔TaF6 -〕、等のフッ素含有無機アニオン;N,N−ビス(フルオロスルホニル)イミドアニオン〔(SO2F)2-〕、N,N−ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン〔(CF3SO22-〕、N,N−ビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミドアニオン〔(C25SO22-〕、等のフッ素含有ビス(パーフルオロアルカンスルホニル)イミドアニオン;(トリフルオロメタンスルホニル)(トリフルオロメタンカルボニル)イミドアニオン〔(CF3SO2)(CF3CO)N-〕、等の上記以外のフッ素含有イミドアニオン;トリフルオロアセテートアニオン〔CF3COO-〕、トリフルオロメタンスルホネートアニオン〔CF3SO3 -〕パーフルオロブタンスルホネートアニオン〔C49SO3 -〕、パーフルオロブタノエートアニオン〔C37COO-〕、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メタニドアニオン〔(CF3SO23-〕、等が挙げられる。
なかでも、帯電防止性能に優れる点、粘着剤の変質をより抑制できる点、融点が低くなりやすくハンドリングに優れる点で、フッ素含有イミドアニオンが好ましく、特に好ましくはN,N−ビス(パーフルオロアルカンスルホニル)イミドであり、具体的には、N,N−ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミドが好ましい。
本発明に用いられるイオン性化合物(C)は、上記カチオン成分とアニオン成分の組合せから適宜選択することができる。また、上記イオン性化合物(C)は、単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。なかでも、帯電防止性能と基材の加水分解抑制効果のバランスに優れる点から、4級アンモニウムカチオンとフッ素含有イミドアニオンの組合せが好ましい。
さらに、本発明のイオン性化合物(C)の融点は、100℃以下であることが好ましく、より好ましくは0〜90℃、特に好ましくは10〜80℃、更に好ましくは15〜70℃、20〜50℃である。かかる融点が高すぎると、低温でイオン性化合物が析出しやすい傾向がある。融点が低すぎると、粘着剤層中で移動しやすく基材の加水分解を促進したり偏光板用に使用した際に湿熱環境下での偏光度の低下を起こしやすくなったりする傾向がある。
なお、イオン性化合物(C)の融点は、通常、示差走査熱量計(DSC)により測定され、各社のカタログ等に記載されている。
イオン性化合物(C)の含有量は、アクリル系樹脂(A)100重量部に対して、1〜30重量部であることが好ましく、特に好ましくは2〜20重量部、更に好ましくは3〜15重量部、殊に好ましくは3.5〜12重量部である。イオン性化合物(C)の含有量が少なすぎると、充分な帯電防止性能が得られない傾向があり、多すぎると基材の加水分解が起こりやすくなる傾向がある。
本発明において、耐久性やリワーク性をより向上させる点で、更に架橋剤(D)を含有することも好ましい。
上記架橋剤(D)としては、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アジリジン系架橋剤、メラミン系架橋剤、アルデヒド系架橋剤、アミン系架橋剤、金属キレート系架橋剤が挙げられるが、これらのなかでも基材との接着性を向上させる点やアクリル系樹脂(A)との反応性に優れる点で、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、とりわけイソシアネート系架橋剤を用いることが好ましい。
上記イソシアネート系架橋剤としては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート等のトリレンジイソシアネート系架橋剤、1,3−キシリレンジイソシアネート等のキシリレンジイソシアネート系架橋剤、ジフェニルメタン−4,4−ジイソシアネート等のジフェニルメタン系架橋剤、1,5−ナフタレンジイソシアネート等のナフタレンジイソシアネート系架橋剤等の芳香族系イソシアネート系架橋剤;イソホロンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4'−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、イソプロピリデンジシクロヘキシル−4,4'−ジイソシアネート、1,3−ジイソシアナトメチルシクロヘキサン、ノルボルナンジイソシアネート等の脂環族系イソシアネート系架橋剤;ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族系イソシアネート系架橋剤;及び上記イソシアネート系化合物のアダクト体、ビュレット体、イソシアヌレート体等が挙げられる。
これらイソシアネート系架橋剤のなかでも、トリレンジイソシアネート系架橋剤がポットライフと耐久性の点で好ましく、キシリレンジイソシアネート系架橋剤またはイソシアヌレート骨格含有イソシアネート系架橋剤がエージング時間短縮の点で好ましく、非芳香族非含有イソシアネート系架橋剤が耐黄変性の点で好ましい。これらの中で具体的には、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンのアダクト体、及びヌレート体が、耐久性、ポットライフ、架橋速度のバランスに優れている点で好ましい。
上記エポキシ系架橋剤としては、例えば、ビスフェノールA・エピクロルヒドリン型のエポキシ樹脂、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエリスリトール、ジグリセロールポリグリシジルエーテル等が挙げられる。
上記アジリジン系架橋剤としては、例えば、テトラメチロールメタン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、トリメチロールプロパン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、N,N'−ジフェニルメタン−4,4'−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)、N,N'−ヘキサメチレン−1,6−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)等が挙げられる。
上記メラミン系架橋剤としては、例えば、へキサメトキシメチルメラミン、ヘキサエトキシメチルメラミン、ヘキサプロポキシメチルメラミン、ヘキサプトキシメチルメラミン、ヘキサペンチルオキシメチルメラミン、ヘキサヘキシルオキシメチルメラミン、メラミン樹脂等が挙げられる。
上記アルデヒド系架橋剤としては、例えば、グリオキザール、マロンジアルデヒド、スクシンジアルデヒド、マレインジアルデヒド、グルタルジアルデヒド、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド等が挙げられる。
上記アミン系架橋剤としては、例えば、ヘキサメチレンジアミン、トリエチルジアミン、ポリエチレンイミン、ヘキサメチレンテトラアミン、ジエチレントリアミン、トリエチルテトラアミン、イソフォロンジアミン、アミノ樹脂、ポリアミド等が挙げられる。
上記金属キレート系架橋剤としては、例えば、アルミニウム、鉄、銅、亜鉛、スズ、チタン、ニッケル、アンチモン、マグネシウム、パナジウム、クロム、ジルコニウム等の多価金属のアセチルアセトンやアセトアセチルエステル配位化合物等が挙げられる。
上記架橋剤(D)は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記架橋剤(D)の含有量は、アクリル系樹脂(A)100重量部に対して、0.01〜20重量部であることが好ましく、特に好ましくは0.05〜10重量部、更に好ましくは0.1〜5重量部、である。かかる含有量が少なすぎると、耐久性が低下したり、リワーク時に糊残りが発生しやすかったりする傾向があり、多すぎると硬くなりすぎるために密着性が低下して被着体から剥がれやすくなる傾向がある。
さらに、本発明の粘着剤組成物には、本発明の効果を損なわない範囲において、その他の成分として、アクリル系樹脂以外の樹脂成分、アクリルモノマーや、シランカップリング剤、重合禁止剤、酸化防止剤、腐食防止剤、ラジカル発生剤、過酸化物、ラジカル捕捉剤等の各種添加剤、金属及び樹脂粒子等を配合することができる。上記その他の成分は、単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。また、上記の他にも、粘着剤組成物の構成成分の製造原料等に含まれる不純物等が少量含有されたものであってもよい。これらの中でも、酸化防止剤と重合禁止剤を使用することもアクリル樹脂の硬化を抑制できる点で好ましい。
上記その他の成分の含有量は、アクリル系樹脂(A)100重量部に対して5重量部以下であることが好ましく、特に好ましくは1重量部以下、更に好ましくは0.5重量以下である。かかる含有量が多すぎるとアクリル系樹脂(A)との相溶性が低下し、耐久性が低下する傾向がある。
かくして本発明の粘着剤組成物を得ることができる。
本発明の粘着剤組成物は、架橋剤(D)で架橋させることにより粘着剤とすることができ、更に、かかる粘着剤からなる粘着剤層をプラスチックフィルム等の基材に積層形成することにより、粘着シートを得ることができる。
上記粘着シートには、粘着剤層の基材フィルムとは逆の面に、さらに離型フィルムを設けることが好ましい。
上記粘着シートの製造方法としては、〔1〕基材フィルム上に、粘着剤組成物を塗工、乾燥した後、離型シートを貼合し、常温または加温状態でのエージングの少なくとも一方による処理を行う方法、〔2〕離型シート上に、粘着剤組成物を塗布、乾燥した後、基材フィルムを貼合し、常温または加温状態でのエージングの少なくとも一方による処理を行う方法等がある。
これらのなかでも、上記〔2〕の方法で、常温(23℃)状態でエージングする方法が、熱により基材フィルムを痛めない点、基材フィルムと粘着剤層との密着性に優れる点で好ましい。
かかるエージング処理は、粘着剤の化学架橋の反応時間として、粘着物性のバランスをとるために行うものであり、エージングの条件としては、温度は通常常温〜70℃、時間は通常1〜30日間であり、具体的には、例えば23℃で1〜20日間、23℃で3〜10日間、40℃で1〜7日間等の条件で行えばよい。
上記粘着剤組成物の塗工に際しては、この粘着剤組成物を溶剤で希釈して塗工することが好ましい。希釈濃度としては、加熱残分が5〜60重量%であることが好ましく、特には10〜30重量%であることが好ましい。
また、上記溶剤としては、粘着剤組成物を溶解させるものであれば特に限定されることなく、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等のエステル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤、メタノール、エタノール、プロピルアルコール等のアルコール系溶剤を用いることができる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いてもよい。これらのなかでも、溶解性、乾燥性、価格等の点から酢酸エチル、メチルエチルケトンが好適に用いられる。
また、上記粘着剤組成物の塗工に関しては、例えば、ロールコーティング、ダイコーティング、グラビアコーティング、コンマコーティング、スクリーン印刷等の慣用の方法により行われる。
また、得られる粘着シートにおける粘着剤層の厚みは、5〜100μmが好ましく、特には10〜50μmが好ましく、更には10〜30μmが好ましい。かかる粘着剤層が薄すぎると、厚み精度が低下したり粘着力が低くなる傾向があり、厚すぎると粘着シートをロール状にした際に端からはみ出したりする傾向がある。
上記方法により製造される粘着剤層のゲル分率については基材との密着性、リワーク性、保持力の点から30〜99重量%であることが好ましく、特に好ましくは40〜95重量%であり、更に好ましくは55〜90重量%である。ゲル分率が低すぎると凝集力が低くなりリワークする際に糊残りしたり、保持力が低くなる傾向にあり、高すぎると粘着力が低くなりすぎるため剥がれやすくなる傾向がある。
上記ゲル分率は、架橋度(硬化度合い)の目安となるもので、例えば、以下の方法にて算出される。すなわち、基材に粘着剤層が形成されてなる粘着シートから粘着剤をピッキングにより採取し、粘着剤を200メッシュのSUS製金網で包み酢酸エチル中に23℃×24時間浸漬し、酢酸エチル浸漬前の粘着剤の重量に対する、金網中に残存した不溶解の粘着剤成分の重量百分率をゲル分率とする。
上記方法により製造される粘着剤層は、指で触れたときに程好いタック感がある方が、実際に被着体に貼る際に濡れ性が良いため、作業性が上がる傾向があり好ましい。タックはJIS Z0237(2009年)に規定された傾斜角30°の時のボールタックにより測定される。ボールタックは1以上が好ましく、3以上がより好ましい。かかるボールタックが低すぎると、粘着シートを被着体に貼り合わせる際に密着しにくくなる傾向にある。
上記粘着シートは、無アルカリガラスに粘着シートを2kgローラーにて貼り合せた後、オートクレーブ処理(0.5MPa×50℃×20分間)を行い、23℃×50%RHの環境下で1日静置し、その後、引き剥がし角度180°、300mm/分の剥離速度で引き剥がした時の粘着力が15N/25mm以下であることが好ましく、さらには10N/25mm以下であることが好ましい。なお、粘着力の下限は、通常0.001N/25mmである。
上記粘着剤層の表面抵抗率としては、1.0×1012Ω/cm2未満である事が好ましく、特に好ましくは1×1011Ω/cm2未満であり、更に好ましくは5.0×1010Ω/cm2未満である。かかる表面抵抗率が高すぎると、離型フィルムを剥離した際や被着体から粘着シートを剥離した際に、帯電しやすく粘着剤層のほこり等が付着したり、粘着シートを液晶セルに使用した場合、液晶に影響がでて表示不良を起こしたりする傾向がある。
本発明の粘着シートは、直接あるいは離型シートを有するものは離型シートを剥がした後、粘着剤層面を被着体表面に貼合して使用される。
本発明の粘着剤組成物から得られる粘着剤は、優れたリワーク性を有し、更に高い耐久性を有するものである。従って、表面保護フィルム、表示ラベル、養生テープ、タッチパネル用粘着剤、ITO等のセンサー用粘着剤、車載用粘着剤、光学フィルム、偏光板等、各種部材の粘着剤として好適に用いることができるが、光学部材の貼り合せに用いる光学部材用粘着剤として用いることが好ましく、特には、偏光板とガラスの貼り合せに好適であり、偏光板用粘着剤として用いることが好ましい。
偏光板を構成する保護フィルムとしては、トリアセチルセルロース系フィルム、アクリル系フィルム、ポリエチレン系フィルム、ポリプロピレン系フィルム、シクロオレフィン系フィルム等が挙げられ、本発明はいずれの保護フィルムを用いた偏光板に対しても好適に用いられるが、特には、トリアセチルセルロース系フィルム、ポリエステル系フィルムを積層された偏光板が本発明の効果が得られやすい点で好ましい。
以下、実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、例中、「部」、「%」とあるのは、重量基準を意味する。
また、下記実施例中におけるアクリル系樹脂(A)の重量平均分子量、分散度、粘着剤層のゲル分率は、前述の方法に従って測定した。
アクリル系樹脂(A)のガラス転移温度については前述のFoxの式を用いて算出し、アクリル系樹脂(A)を構成するモノマーのホモポリマーとした際のガラス転移温度は通常DSCにより測定されてなる文献値及びカタログ記載値を用いた。
<アクリル樹脂(A)の調製>
〔アクリル系樹脂(A−1)〕
還流冷却器、撹拌器、窒素ガスの吹き込み口及び温度計を備えた4ツ口丸底フラスコに、n−ブチルアクリレート76部、メチルアクリレート20部、4−ヒドロキシブチルアクリレート4部、酢酸エチル76部、アセトン13.5部、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.012部を仕込み、内温を沸点まで上昇させて反応を開始させた。次いでAIBNを0.04%含む酢酸エチル溶液を30部滴下し、還流温度で3.25時間反応後、酢酸エチルにて希釈してアクリル系樹脂(A−1)(重量平均分子量163万、分散度3.1、ガラス転移温度−44.7℃、酸価1mgKOH/g以下)溶液(固形分18.2%、粘度7,290mPa・s/25℃)を得た。
〔アクリル系樹脂(A−2)〕
アクリル系樹脂(A−1)において、n−ブチルアクリレート78部、メチルアクリレート20部、4−ヒドロキシブチルアクリレート2部とした以外は、同様にしてアクリル系樹脂(A−2)(重量平均分子量148万、分散度3.7、ガラス転移温度−45.2℃、酸価1mgKOH/g以下)溶液(固形分19%、粘度6,700mPa・s/25℃)を得た。
<不飽和基を含有しないアミド化合物(B)>
以下の不飽和基を含有しないアミド化合物(B)を用意した。
(B−1):3−ブトキシ−N,Nジメチルプロパンアミド(KJケミカルズ社製「KJCBPA−100」、分子量173、融点−17℃、沸点252℃)
<イオン性化合物(C)>
イオン性化合物(C)として以下のものを用意した。
(C−1):トリブチルメチルアンモニウムN,Nビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(スリーエム社製「FC−4400」)
<架橋剤(D)>
架橋剤(D)として以下のものを用意した。
(D−1):トリレンジイソシアネートトリメチロールプロパンのアダクト体(東ソー社製「コロネートL55E」)
<実施例1、2及び比較例1>
上記のようにして調製、準備した各配合成分を下記表1の通りに配合し、これを酢酸エチルにて固形分濃度を12.5%に調液し、粘着剤組成物を得た。
得られた粘着剤組成物を用いて、以下の評価を行った。
〔粘着剤層付き偏光板[I]の作製〕
得られた粘着剤組成物を厚み38μmの軽剥離シート(東レ社製「セラピールWZ」)に乾燥後の厚みが20μmとなるように塗布し、100℃で3分間乾燥したのち、トリアセチルセルロース(TAC)フィルムを両面に積層した偏光板の一方のTACフィルム表面に、離型シートと反対側の粘着剤層面を貼り合わせ、23℃×50%RHの環境下で7日間エージングし、粘着剤層付き偏光板[I]を得た(層構成:離型シート/粘着剤層/TACフィルム1/偏光子/TACフィルム2)。
〔両面セパレーター粘着シート[II]の作成〕
得られた粘着剤組成物を厚み38μmの軽剥離シート(東レ社製「セラピールWZ」)に乾燥後の厚みが20μmとなるように塗布し、100℃で3分間乾燥したのち、軽剥離シートと反対面の粘着剤面に38μmの重剥離シート(三井東セロ社製「ルミラーSP 03BU」)を貼り合わせ両面セパレーター付きの粘着シート[II]を得た。
〔リワーク性〕
上記で得られた粘着剤層付き偏光板[I]を25mm幅にカットし、離型シートを剥離して粘着剤層面を無アルカリガラス(コーニング社製「イーグルXG」:厚み1.1mm)に押しつけ、2kgローラーにて貼り合わせ、オートクレーブ処理(0.5MPa×50℃×20分間)を行った後、23℃×50%RHの環境下で1日静置し、その後、引き剥がし角度180°、300mm/分の剥離速度で引き剥がした時の粘着力を測定し、下記評価基準にて評価した。
[評価基準]
〇・・・10N/25mm未満
×・・・10N/25mm以上もしくは糊残りが発生
〔耐久性〕
得られた粘着剤層付き偏光板[I]を16cm×9.5cmにカットし、離型シートを剥離して粘着剤層面を無アルカリガラス(コーニング社製「イーグルXG」:厚み1.1mm)に押しつけ2kgローラーにて2往復して貼り合わせたのち、オートクレーブ処理(0.5MPa×50℃×20分間)を行い、耐久性試験用のサンプルを作製した。
得られたサンプルについて、(1)耐熱性(120℃×250時間及び、105℃×250時間)、(2)耐湿熱性(85℃×85%RH)の条件で暴露した後の偏光板について、下記評価基準にて評価した。
[評価基準]
(1)耐熱性
○・・・浮きが見られない。
×・・・端部あるいは全面に浮きが見られる。
(2)耐湿熱性
○・・・浮きが見られない。
×・・・端部あるいは全面に浮きが見られる。
〔帯電防止性(表面抵抗率)〕
上記粘着剤層付き偏光板[I]を23℃×50%RHの雰囲気下で24時間静置した後、粘着剤層の離型シートを外し表面抵抗率測定装置(三菱化学アナリテック社製、装置名「Hiresta−UP MCP−HT450」)を用い粘着剤層の表面抵抗率(Ω/cm2)を測定し、下記の評価基準にて評価した。
[評価基準]
○・・・10×1011Ω/cm2未満
×・・・10×1011Ω/cm2以上
〔ゲル分率〕
得られた粘着剤シート[II]の離型シートを剥離し、粘着剤層面から粘着剤をピッキングしSUS製の200メッシュ金網で包んだ後、23℃に調整した酢酸エチルに24時間浸漬し、酢酸エチル浸漬前の粘着剤の重量に対する、金網中に残存した不溶解の粘着剤成分の重量百分率をゲル分率(%)とした。
上記実施例及び比較例の評価結果について、表1に示す。
Figure 2020100729
不飽和基を含有しないアミド化合物(B)を添加している実施例1及び2は、高温高湿環境下のみならず、120℃という高温環境下といった過酷な環境においても耐久性に優れていることがわかる。
一方で、不飽和基を含有しないアミド化合物(B)を使用していない比較例1は120℃で偏光板に浮きが生じており、高温での耐久性に劣るものであった。
これは、120℃という過酷な環境ではアクリル系樹脂(A)の側鎖が切れ、カルボキシ基が生成したり、官能基がエステル化したり、ラジカルによる水素引き抜きが起きたりすることで、アクリル系樹脂が硬化してしまい、剥がれが生じる結果となったのに対して、不飽和基を含有しないアミド化合物(B)によってこれらの現象が抑制されていると考えられる。
また、アクリル系樹脂(A)と不飽和基を含有しないアミド化合物(B)とは共重合していないため、帯電防止剤を拘束することもなく、アクリル系樹脂のガラス転移温度の上昇も防げるため、帯電防止性能やリワーク性にも優れると考えられる。
本発明の粘着剤組成物は、優れたリワーク性及び耐久性を示しめすため、ディスプレイやそれを構成する光学部品を貼り合せるための光学部材用粘着剤、特に、偏光板と液晶セルのガラス基板、導電層を備えた基板等を貼り合わせるための偏光板用粘着剤として有用である。

Claims (11)

  1. アクリル系樹脂(A)及び不飽和基を含有しないアミド化合物(B)を含有することを特徴とする粘着剤組成物。
  2. 上記不飽和基を含有しないアミド化合物(B)が、ジアルキルアミド化合物(b1)であることを特徴とする請求項1記載の粘着剤組成物。
  3. 上記不飽和基を含有しないアミド化合物(B)の分子量が120以上であることを特徴とする請求項1または2記載の粘着剤組成物。
  4. 上記アクリル系樹脂(A)の酸価が、10mgKOH/g以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の粘着剤組成物。
  5. 上記不飽和基を含有しないアミド化合物(B)の融点が200℃以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の粘着剤組成物。
  6. 更に、イオン性化合物(C)を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の粘着剤組成物。
  7. 更に、架橋剤(D)を含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の粘着剤組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の粘着剤組成物が、架橋剤(D)により架橋されてなることを特徴とする粘着剤。
  9. 請求項8記載の粘着剤からなる粘着剤層を有することを特徴とする粘着シート。
  10. 請求項8記載の粘着剤を用いてなることを特徴とする偏光板用粘着剤。
  11. 請求項10記載の偏光板用粘着剤からなる粘着剤層を有することを特徴とする粘着剤層付偏光板。
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