JP2020100573A - 肌貼付用フィルム、および、転写シート - Google Patents

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【課題】肌貼付用フィルムの貼付部分が目立つことを抑えるとともに、ソフトフォーカス性を高めることのできる肌貼付用フィルム、および、転写シートを提供する。【解決手段】肌貼付用フィルム10は、第1面11Fと、第1面11Fとは反対側の面である第2面11Rとを有し、第2面11Rが肌に貼り付けられる。肌貼付用フィルム10は、0.1g/m2以上4.0g/m2以下の平均質量を有し、肌貼付用フィルム10のヘイズは7%以上65%以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、肌貼付用フィルム、および、肌貼付用フィルムを肌に貼り付けるための転写シートに関する。
数nm〜数μm程度の厚さを有するフィルムは、皮膚の表面に対する接着性を有する。そのため、こうしたフィルムを、スキンケアの補助や、ベースメイクを含むメイクアップの補助のために肌に貼り付けるフィルムとして利用可能であることが報告されている。例えば、特許文献1には、肌貼付用のフィルムとして、ヒアルロン酸ナトリウムを担持したポリ乳酸薄膜が記載されている。また、こうした肌貼付用のフィルムに種々の粒子を含有させることで、フィルムに機能を付加したり、フィルムの機能を強化したりすることも提案されている。例えば、特許文献2には、金属酸化物等から構成される粒子をフィルムに含有させることで、フィルムに紫外線遮蔽機能を付与することが記載されている。また、特許文献3には、酸化チタンやポリメタクリル酸メチル等の粒子をフィルムに含有させることで、フィルムの貼付によって皺等の瑕疵を隠蔽する効果を高められることが記載されている。
国際公開第2014/058066号 特開2014−227389号公報 特開2013−1661号公報
上記フィルムは、膜状であって表面と裏面とを有するため、クリーム状や粉末状の化粧料では起こり難い、各面に対する光の作用に起因した問題が生じる。具体的には、表面での光の反射に起因したテカリや、表面および裏面からの反射光の干渉による干渉色が視認され、その結果、フィルムの貼付部分が目立ちやすい。
また、スキンケアやメイクアップの補助に用いられるフィルムには、高いソフトフォーカス性が望まれている。ソフトフォーカス性とは、フィルムの貼付部分において、肌の存在は認識される一方で、肌表面の細部がぼやけて小皺やシミやソバカス等が目立たなくなる特性である。
本発明は、フィルムの貼付部分が目立つことを抑えるとともに、ソフトフォーカス性を高めることのできる肌貼付用フィルム、および、転写シートを提供することを目的とする。
上記課題を解決する肌貼付用フィルムは、第1面と、前記第1面とは反対側の面である第2面とを有し、前記第2面が肌に貼り付けられる肌貼付用フィルムであって、0.1g/m以上4.0g/m以下の平均質量を有し、ヘイズが7%以上65%以下である。
上記構成によれば、ヘイズが7%以上であることにより、肌貼付用フィルムにおける光の散乱効果が十分に得られるため、テカリや干渉色が抑えられて肌における肌貼付用フィルムの貼付部分が目立つことが抑えられるとともに、ソフトフォーカス性が高められる。また、ヘイズが65%以下であるため、肌貼付用フィルムが曇って見えることにより肌貼付用フィルムの貼付部分が目立つことも抑えられる。
上記構成において、前記第1面および前記第2面の少なくとも一方のDOIが、1%以上85%以下であってもよい。
上記構成によれば、テカリや干渉色が視認されることが的確に抑えられ、また、良好なソフトフォーカス性が得られる。
上記構成において、全光線透過率が45%以上95%以下であってもよい。
上記構成によれば、ヘイズを適切な大きさに制御しやすく、また、肌貼付用フィルムの貼付部分にてフィルム越しに肌が認識されて、貼付部分の外観が自然に見えやすい。
上記構成において、前記第1面および前記第2面の少なくとも一方の算術平均粗さRaが、0.15μm以上4.00μm以下であってもよい。
上記構成によれば、肌貼付用フィルムの表面での光の散乱効果が的確に得られ、ヘイズを適切な大きさに制御しやすい。その結果、テカリや干渉色が視認されることが的確に抑えられ、また、良好なソフトフォーカス性が得られる。
上記課題を解決する転写シートは、上記肌貼付用フィルムと、前記肌貼付用フィルムを支持する支持基材と、を備える。
上記構成によれば、転写シートの保管時や移動時に、肌貼付用フィルムの変形が抑えられる。また、支持基材に支持されていることにより、肌貼付用フィルムが取り扱いやすくなる。
本発明によれば、肌貼付用フィルムの貼付部分が目立つことを抑えるとともに、ソフトフォーカス性を高めることができる。
肌貼付用フィルムの一実施形態について、第1形態の肌貼付用フィルムの断面構造を示す図。 肌貼付用フィルムの一実施形態について、第2形態の肌貼付用フィルムの断面構造を示す図。 肌貼付用フィルムの一実施形態について、第3形態の肌貼付用フィルムの断面構造を示す図。 一実施形態の転写シートの断面構造を示す図。
図面を参照して、肌貼付用フィルム、および、転写シートの一実施形態を説明する。
[肌貼付用フィルムの構成]
図1が示すように、肌貼付用フィルム10は、第1面11Fと、第1面11Fとは反対側の面である第2面11Rとを有する。第2面11Rは、肌に貼り付けられる面である。第1面11Fは、肌貼付用フィルム10が肌に貼り付けられたときに外気に曝される面である。肌貼付用フィルム10は、単一の層から構成されていてもよいし、複数の層から構成されていてもよい。
肌貼付用フィルム10は、肌に対する接着性を発現する程度の薄さを有する。こうした特性を肌貼付用フィルム10の質量で表すと、肌貼付用フィルム10の単位面積あたりの平均質量は、0.1g/m以上4.0g/m以下である。このときの肌貼付用フィルム10の密度は、例えば、1g/cm以上3g/cm以下である。
上記平均質量は、肌貼付用フィルム10における任意の3箇所の各々を、平面視にて1辺が100mmの正方形形状の膜片に切り出し、3つの膜片の精密天秤で測定した質量の平均値を100倍することにより求められる。
上記平均質量が0.1g/m以上であることにより、肌貼付用フィルム10の強度が十分に確保されるため、肌への貼り付けに際して肌貼付用フィルム10が破れることが抑えられる。上記平均質量が4.0g/m以下であることにより、肌貼付用フィルム10の肌に対する接着性が十分に得られる。そして、肌貼付用フィルム10を肌に貼り付けたときに、肌貼付用フィルム10に皺が発生することや使用者に違和感が生じることが抑えられる。
なお、上記平均質量は、肌貼付用フィルム10が、添加剤として、例えばオイル等の可塑剤として機能する成分や、各種の樹脂成分や、粒子等を含有している場合に大きくなる。添加剤を含有しない場合には、肌貼付用フィルム10の単位面積あたりの平均質量は、0.1g/m以上2.0g/m以下であることが好ましい。
肌貼付用フィルム10のヘイズは、7%以上65%以下である。ヘイズは、肌貼付用フィルム10の全透過光に対する拡散成分の割合を示すパラメータである。ヘイズは、JIS K 7136−2000に準拠した方法により、測定される。当該ヘイズは、透過ヘイズであり、ヘーズ、あるいは、曇り度とも称される。当該ヘイズは、例えば、肌貼付用フィルム10の第1面11Fを積分球に向け、第2面11Rを光源に向けた状態で測定される。
ソフトフォーカス性の向上のためには、肌貼付用フィルム10を透過する光のうち、直進せずに拡散する成分の割合を大きくすることが必要である。すなわち、ヘイズが大きいほど、ソフトフォーカス性が向上する。また、肌貼付用フィルム10の第1面11Fや第2面11Rで光の散乱が生じることにより、肌貼付用フィルム10の表面のテカリや肌貼付用フィルム10の表裏での反射に起因した干渉色が視認されることが抑えられる。
ヘイズが7%以上であることにより、テカリや干渉色が抑えられて肌における肌貼付用フィルム10の貼付部分が目立つことが抑えられるとともに、十分なソフトフォーカス性が得られる。また、ヘイズが65%以下であることにより、肌貼付用フィルム10が曇って見えて肌貼付用フィルム10の貼付部分が目立つことが抑えられる。
ヘイズを上昇させる散乱には、肌貼付用フィルム10の第1面11Fおよび第2面11Rでの表面散乱と、肌貼付用フィルム10における内部散乱とが含まれる。表面散乱の程度は、各面の凹凸形状、および、肌貼付用フィルム10を構成する樹脂の屈折率に応じて変わり、内部散乱の程度は、肌貼付用フィルム10が含有する粒子等の添加物の形状、および、添加物と肌貼付用フィルム10の主成分の樹脂との屈折率差に応じて変わる。表面散乱が大きいほど、テカリや干渉色が視認されることを抑える効果が大きい。
また、ソフトフォーカス性を得つつも肌貼付用フィルム10越しの肌の存在を観察者に認識させ、肌貼付用フィルム10の貼付部分の外観を肌に近い自然な外観に見せるためには、肌貼付用フィルム10の全光線透過率が、45%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましい。なお、肌貼付用フィルム10が有色である場合には、全光線透過率の下限は上記に限られない。また、ヘイズを高めやすくするためには、全光線透過率は95%以下であることが好ましい。全光線透過率は、JIS K 7361−1−1997に準拠した方法で測定される。
ここで、肌貼付用フィルム10における光の散乱に関連する指標として、透過ヘイズである上記ヘイズの他に、光沢度、反射ヘイズ、透過像鮮明度、DOI(DistinctnessOf Image)が挙げられる。
肌貼付用フィルム10の光沢度は、JIS Z 8741−1997(ISO 2813:1994)に準拠した測定方法にて、60°光沢度が5以上50以下であることが好ましい。肌貼付用フィルム10の反射ヘイズは、ASTME430(ISO 13803)に準拠した測定方法で、10HU以上30HU以下であることが好ましい。肌貼付用フィルム10の透過像鮮明度は、JISK 7374−2007に準拠した測定方法で、1%以上95%以下であることが好ましい。DOIは写像性とも言われ、肌貼付用フィルム10のDOIは、ASTMD5767に準拠した測定方法で、1%以上85%以下であることが好ましい。
なお、光沢度、反射ヘイズ、DOIの測定対象面は、第1面11Fと第2面11Rとのいずれであってもよく、例えば、第2面11Rとされる。第1面11Fと第2面11Rとの双方について、光沢度、反射ヘイズ、DOIの各々が、上記の各範囲を満たしていることがより好ましい。透過像鮮明度は、例えば、肌貼付用フィルム10の第1面11Fを積分球に向け、第2面11Rを光源に向けた状態で測定される。
上記各パラメータが上記の各範囲であれば、肌貼付用フィルム10における光の散乱効果が良好に得られる結果、テカリや干渉色が抑えられるとともに、良好なソフトフォーカス性が得られる。特に、DOIは、対象物の表面に映る像の鮮明さを示す指標であり、DOIが小さいほど、肌貼付用フィルム10の表面での光の散乱効果が高いことを示す。DOIは、反射成分の測定によって求められるパラメータであって、透過成分の測定によって求められる透過ヘイズが同等のサンプルであっても、DOIが大きく異なる場合があり得る。透過ヘイズとDOIとの双方を用いて評価することで、テカリや干渉色の抑制とソフトフォーカス性の向上とが可能な肌貼付用フィルム10を、物性によってより的確に規定することができる。
なお、反射成分を測定対象とする光沢度、反射ヘイズ、DOIの測定に際しては、例えば、黒色ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ社製:ルミラーX30 厚さ125μm)に、水を介して肌貼付用フィルム10を貼り付けた後に乾燥させたサンプルを対象として、測定を行う。
また、透過ヘイズ、光沢度、反射ヘイズ、透過像鮮明度、DOIのうち少なくとも1つのパラメータが、上述した好ましい範囲に含まれている肌貼付用フィルム10であれば、テカリや干渉色に起因して肌貼付用フィルム10の貼付部分が目立つことの抑制と、ソフトフォーカス性の向上との少なくとも一方は可能である。
肌貼付用フィルム10における光の散乱効果を高める具体的な構造の例について、第1形態、第2形態、第3形態の3つの形態を説明する。図1は、第1形態の肌貼付用フィルム10Aの断面構造を示す。
図1が示すように、第1形態の肌貼付用フィルム10Aは、表面に凹凸を有している。当該凹凸は、肌貼付用フィルム10Aの表面の成形によって形成されている。凹凸に起因して、肌貼付用フィルム10Aの表面で光が散乱される。
凹凸を有する面である対象面は、第1面11Fであってもよいし、第2面11Rであってもよい。また、第1面11Fと第2面11Rとの双方が対象面であってもよく、すなわち、肌貼付用フィルム10Aは、第1面11Fと第2面11Rとの双方に凹凸を有していてもよい。第1面11Fが凹凸を有していると、肌に貼り付けられた肌貼付用フィルム10Aの観察者から見た表面である第1面11Fでの光の散乱効果が高くなる。そのため、肌貼付用フィルム10Aのテカリを抑える効果が高められる。
対象面の形状は、図1に例示するように、対象面にて突出する複数の凸部12から構成されてもよい。あるいは、対象面の形状は、対象面にて窪む複数の凹部から構成されてもよいし、上記凸部と凹部との混合により構成されてもよい。凸部や凹部の大きさは、一定であってもよいし、一定でなくてもよい。また、凸部や凹部は、規則的に配置されていてもよいし、不規則に配置されていてもよい。
対象面の算術平均粗さRaは、0.15μm以上4.00μm以下であることが好ましい。算術平均粗さRaが上記範囲であれば、対象面での光の散乱効果が的確に得られ、ヘイズを適切な値に制御しやすい。
図2は、第2形態の肌貼付用フィルム10Bの断面構造を示す。図2が示すように、第2形態の肌貼付用フィルム10Bは、粒子13を含有している。
肌貼付用フィルム10Bの内部に粒子13が位置することにより、肌貼付用フィルム10Bの内部で光が散乱される。また、粒子13が肌貼付用フィルム10Bの表面にて突き出ていることによって、分散した粒子13の形状に追従する凹凸が上記表面に形成されている場合には、肌貼付用フィルム10Bの表面でも光が散乱される。粒子13が突き出ている面は、第1面11Fであってもよいし、第2面11Rであってもよいし、第1面11Fおよび第2面11Rの双方であってもよい。粒子13が第1面11Fに突き出ている方が、肌貼付用フィルム10Bのテカリを抑える効果が高められる。
粒子13の突出による肌貼付用フィルム10Bの表面での光の散乱効果を的確に得るためには、粒子13が突き出ている面の算術平均粗さRaは、0.15μm以上4.00μm以下であることが好ましい。
図3は、第3形態の肌貼付用フィルム10Cの断面構造を示す。図3が示すように、第3形態の肌貼付用フィルム10Cは、表面の成形によって形成された凹凸を有するとともに、粒子13を含有している。
凹凸に起因して、肌貼付用フィルム10Cの表面で光が散乱される。なお、粒子13が肌貼付用フィルム10Cの表面にて突き出ている場合には、肌貼付用フィルム10Cの表面の凹凸は、粒子13の突出部分である凸部と、表面の成形によって形成された凸部および凹部の少なくとも一方と、から構成される。また、肌貼付用フィルム10Cの内部に粒子13が位置することにより、肌貼付用フィルム10Cの内部で光が散乱される。
凹凸を有する面である対象面は、第1面11Fであってもよいし、第2面11Rであってもよいし、第1面11Fと第2面11Rとの双方であってもよい。第1面11Fが対象面であると、肌貼付用フィルム10Cのテカリを抑える効果が高められる。
対象面の算術平均粗さRaは、0.15μm以上4.00μm以下であることが好ましい。第1〜第3形態で説明した算術平均粗さRaは、JIS B 0601−1994に準拠した方法で測定される。なお、ヘイズが7%以上65%以下であれば、肌貼付用フィルム10は、第1〜第3形態とは異なる構造を有していてもよい。
[肌貼付用フィルムの材料]
肌貼付用フィルム10を構成する材料は、特に限定されない。肌貼付用フィルム10の材料は、毒性、皮膚刺激性、および、皮膚感作性の低い樹脂であることが好ましい。例えば、肌貼付用フィルム10の材料は、ヒアルロン酸、フィブロイン、キトサン等の天然高分子、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン等のエステル樹脂およびそれらの共重合樹脂である。また、肌貼付用フィルム10の材料には、化粧品の皮膜形成剤として使用される樹脂を用いてもよく、こうした樹脂としては、例えば、アクリル樹脂やシリコーンおよびそれらの共重合樹脂、酢酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、酢酸酪酸セルロース等のセルロース誘導体が挙げられる。また、肌貼付用フィルム10の材料には、医療用品の材料としての使用実績が高い樹脂である、ポリカーボネート、シクロオレフィンコポリマー、スチレンブタジエン系エラストマー、ポリイミド、アクリル樹脂、ウレタン樹脂およびそれらの共重合樹脂を用いてもよい。肌貼付用フィルム10の材料における分子量の制限は特になく、肌貼付用フィルム10は、所定の平均分子量を有する1種類の材料から構成されていてもよいし、互いに異なる平均分子量を有する複数種類の材料から構成されてもよい。
肌貼付用フィルム10は、各種の添加剤を含有していてもよい。添加剤としては、例えば、オイル等の可塑剤や、膜強度の向上のための、主成分と相溶性である樹脂、フィラーなどの粒子等が挙げられる。
第2形態および第3形態の肌貼付用フィルム10が含有する粒子13は、例えば、無機フィラーや有機フィラーである。無機フィラーの材料としては、例えば、タルク、シリカ、マイカ、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸カルシウム、金属石鹸、シリコーン等が挙げられる。有機フィラーの材料としては、例えば、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル樹脂、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、セルロース等が挙げられる。肌貼付用フィルム10に内部散乱を生じさせるためには、肌貼付用フィルム10の主成分とは異なる屈折率を有する材料からなる粒子13を用いればよい。粒子13のレーザー回折散乱法による体積平均粒子径は、肌貼付用フィルム10の形成工程にて粒子13の凝集を抑える観点から0.5μm以上であることが好ましく、上記形成工程にて粒子13の沈降を抑える観点から20.0μm以下であることが好ましい。
また、肌貼付用フィルム10は、添加剤として、皮膚において所定の機能を発揮する物質である機能性物質を含有していてもよい。機能性物質は、例えば、保湿クリームや美容液等のスキンケアに用いられる化粧料あるいは化粧料成分、色素、薬剤、顔料、タンパク質、および、酵素等である。肌貼付用フィルム10は、機能性物質を1種類のみ含有していてもよいし、2種類以上を含有していてもよい。
[転写シートの構成]
肌貼付用フィルム10を肌に貼り付けるための転写シート30について説明する。図4が示すように、転写シート30は、肌貼付用フィルム10と、肌貼付用フィルム10を支持する支持基材20とを備えている。なお、図4では、転写シート30が第1形態の肌貼付用フィルム10Aを備える形態を図示しているが、転写シート30は、第2形態の肌貼付用フィルム10B、あるいは、第3形態の肌貼付用フィルム10Cを備えていてもよい。
支持基材20は、肌貼付用フィルム10の第1面11Fに接している。第1面11Fが凹凸を有する場合、支持基材20は上記凹凸を埋めていてもよいし、埋めていなくてもよい。支持基材20は、転写シート30の保管時や、転写シート30の使用に際して肌貼付用フィルム10を肌上へ移動させるときに、肌貼付用フィルム10の変形を抑える機能を有する。支持基材20に支持されていることにより、肌貼付用フィルム10が取り扱いやすくなる。
支持基材20は、多孔質基材であることが好ましい。多孔質基材は、内部に微小な多数の間隙を有する基材であり、液体を浸透あるいは透過させることができる。支持基材20として用いることのできる多孔質基材としては、例えば、不織布、紙、編物、織物等の繊維材料からなるシート、メッシュ状のように間隙を含む構造を有する樹脂シートが挙げられる。これらの基材のなかでも、水分を速やかに吸収して拡散できることから、不織布が好適に用いられる。不織布を構成する繊維は、例えば、綿、麻、羊毛、パルプ等の天然繊維、レーヨン等の半合成繊維、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸等の合成繊維等である。上記の繊維のなかでも、天然繊維、特にパルプが好適に用いられる。不織布は、1種類の繊維から構成されていてもよいし、2種類以上の繊維から構成されていてもよい。
支持基材20として用いる不織布の製造方法は特に限定されず、例えば、スパンレース法、スパンボンド法、ニードルパンチ法、メルトブロー法、エアレイ法、フラッシュ紡糸法、および、樹脂接着法のうちのいずれかによって製造された不織布であればよい。支持基材20として用いる不織布の目付けは、10g/m以上150g/m以下であることが好ましく、肌触り等の使用感に優れることから、20g/m以上50g/m以下であることがより好ましい。
なお、支持基材20は、多孔質基材に限らず、内部に間隙を有さない樹脂シートや金属箔等の基材から構成されてもよい。
転写シート30は、肌貼付用フィルム10の第2面11Rを覆う保護層を備えていてもよい。保護層は、第2面11Rを保護する機能を有する。保護層は、多孔質基材から構成されることが好ましい。保護層を構成する多孔質基材としては、支持基材20を構成する多孔質基材として例示した上記の各材料を用いることができる。保護層と支持基材20とは、同一の種類の多孔質基材から構成されてもよいし、互いに異なる種類の多孔質基材から構成されてもよい。なお、保護層は、多孔質基材に限らず、内部に間隙を有さない樹脂シートや金属箔等の基材から構成されてもよい。
[肌貼付用フィルムおよび転写シートの製造方法]
肌貼付用フィルム10および転写シート30の製造方法の一例を説明する。なお、上述した構成の肌貼付用フィルム10および転写シート30を形成可能であれば、肌貼付用フィルム10および転写シート30は、下記の製造方法とは異なる方法によって製造されてもよい。
まず、成膜用基材の表面に、肌貼付用フィルム10を形成する。成膜用基材としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、水溶性樹脂、金属酸化物、金属等から構成された基材が用いられる。例えば、成膜用基材は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル樹脂、ポリカーボネート、シクロオレフィン、ポリアミド、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリビニルアルコール等の樹脂からなる基材、こうした樹脂基材に対して延伸加工や離型処理やマット加工が施された基材である。あるいは、成膜用基材として、ガラス、石英、アルミニウム等の無機物からなる基材や、こうした無機物からなる基材に対して離型処理やマット加工を施した基材が用いられてもよい。
肌貼付用フィルム10の材料が溶媒に溶かされた塗液が、成膜用基材の表面に塗布され、その塗膜が乾燥されることによって、肌貼付用フィルム10が形成される。上記溶媒としては、肌貼付用フィルム10の材料の特性に応じて、酢酸エチルや酢酸ブチル等のエステル系溶剤、アセトンやエチルメチルケトン等のケトン系溶剤、トルエンやヘキサン等の非極性溶剤、水やアルコール等の極性溶媒等が用いられる。
塗液の塗布方法は、塗液の塗布量を精密に制御可能な方法であれば特に限定されない。塗布方法としては、例えば、グラビア法、マイクログラビア法、スピンコーティング法、スプレーコーティング法、シルクスクリーン法、ダイコーティング法、および、カーテンコーティング法のいずれかが利用されることが好ましい。
成膜用基材を支持基材20として用いてもよいし、支持基材20とは異なる基材を成膜用基材として用い、成膜用基材上に形成した肌貼付用フィルム10を支持基材20上へ転写してもよい。転写方法としては、吸引による剥離を利用する方法や犠牲膜を利用する方法等、公知の転写方法が用いられればよい。
肌貼付用フィルム10の第1面11Fや第2面11Rに凹凸を形成する方法としては、公知の方法が用いられればよい。例えば、凹凸の形成方法として、下記の4つの方法が挙げられる。第1の方法では、成膜用基材として、予め凹凸が形成された基材、すなわち、マット加工が施された基材を使用する。表面に凹凸を有する成膜用基材を使用することで、成膜用基材上に塗布形成された肌貼付用フィルム10の表面に凹凸が形成される。第2の方法では、成膜用基材への塗液の塗布時に、ランダムなパターンの印刷版を使用して塗膜の表面に凹凸を形成することにより、肌貼付用フィルム10の表面に凹凸を形成する。第3の方法では、塗膜の乾燥前に凹凸のパターンを有する版を塗膜の表面に接触させることにより、肌貼付用フィルム10の表面に凹凸を形成する。第4の方法では、塗膜を乾燥した後、その成膜物の表面に、凹凸のパターンを有する版を加熱して押し当てる、もしくは、成膜物を加熱して、冷却した上記版に押し当てることにより、肌貼付用フィルム10の表面に凹凸を形成する。なお、凹凸の形成に用いる版は、金属製であってもよいし、樹脂製であってもよい。
肌貼付用フィルム10に粒子13を含有させる場合には、塗液に粒子13を分散させればよい。
保護層を備える転写シート30を形成する場合には、肌貼付用フィルム10における支持基材20と接する面とは反対側の第2面11Rに、保護層が積層される。
[肌貼付用フィルムの貼付方法]
肌貼付用フィルム10の貼付方法、すなわち、転写シート30を用いた肌貼付用フィルム10の転写方法を説明する。以下では、支持基材20として多孔質基材を用い、支持基材20を湿潤させて肌貼付用フィルム10を肌に転写する方法について説明する。
まず、肌における肌貼付用フィルム10の貼付箇所に、水等の液体を供給する。供給される液体である供給液は、転写シート30を湿潤可能な液体であればよく、具体的には、水を含む液体、あるいは、マッサージオイル等の油類であればよい。例えば、供給液としては、水や、化粧水等の化粧料を用いることができる。
続いて、転写シート30を、肌貼付用フィルム10の第2面11Rが貼付箇所に接するように、肌上に配置する。そして、支持基材20の上から、転写シート30を指等で押圧することにより、供給液を支持基材20にまで浸透させる。
続いて、肌貼付用フィルム10から支持基材20を剥離する。これにより、肌貼付用フィルム10が肌に貼り付けられる。転写シート30が湿潤することによって、多孔質基材である支持基材20が膨張することや、支持基材20と肌貼付用フィルム10との間まで供給液が浸入すること等に起因して、支持基材20が肌貼付用フィルム10から剥がれやすくなる。
なお、上記転写方法においては、肌上に転写シート30を配置する前に、肌に供給液を供給する方法を例示したが、肌上に転写シート30を配置した後に、供給液が転写シート30に対して供給されてもよい。また、転写シート30を湿潤させずに、支持基材20を肌貼付用フィルム10から剥離してもよい。この場合、支持基材20は多孔質基材でなくてもよい。
また、肌貼付用フィルム10は、化粧料が塗布された肌に対して化粧料の上から貼り付けられてもよいし、化粧料が塗布されていない肌に貼り付けられてもよい。さらに、肌貼付用フィルム10が肌に貼り付けられた後に、肌貼付用フィルム10の上から化粧料が塗布されてもよい。肌貼付用フィルム10は、肌の保湿等によりスキンケアを補助し、あるいは化粧下地等としてメイクアップを補助する。
[実施例]
上述した肌貼付用フィルムおよび転写シートについて、具体的な実施例および比較例を用いて説明する。
(実施例1)
DL−ポリ乳酸(BMG社製)を、10wt%となるように酢酸エチルに溶解して、肌貼付用フィルムの形成のための塗液を生成した。成膜用基材として、サンドブラスト加工によって表面に凹凸を形成し、離型処理を施した厚さ1mmの青板ガラスを用い、ワイヤーバーを用いて成膜用基材の表面に上記塗液を塗布して塗膜を形成した。成膜用基材の表面の算術平均粗さRaは0.30μmである。
上記塗膜を、オーブンで加熱して乾燥・固化させることにより、肌貼付用フィルムを形成した。乾燥時の加熱温度は70℃以上120℃以下の範囲から選択した。以上の工程では、肌貼付用フィルムを、乾燥後の平均質量が0.3g/mとなるように形成した。
続いて、肌貼付用フィルムを、成膜用基材から他の基材に転写した後、成膜用基材との接触によって凹凸が形成されている面に、支持基材として不織布(フタムラ化学社製)を積層し、肌貼付用フィルムを支持基材に転写した。不織布の主成分はセルロースであり、目付けは20g/mである。
これにより、実施例1の肌貼付用フィルムおよび転写シートを得た。肌貼付用フィルムにおける成膜用基材に接していた面が、支持基材に接する第1面となる。
(実施例2)
成膜用基材として実施例1とは表面粗さの異なる青板ガラスを用い、乾燥後の平均質量が0.8g/mとなるように肌貼付用フィルムを形成したこと以外は、実施例1と同様の工程によって、実施例2の肌貼付用フィルムおよび転写シートを得た。実施例2で用いた青板ガラスは、表面にサンドブラスト加工によって形成された凹凸を有しており、表面の算術平均粗さRaは3.00μmである。
(実施例3)
成膜用基材として実施例1とは表面粗さの異なる青板ガラスを用い、乾燥後の平均質量が1.1g/mとなるように肌貼付用フィルムを形成したこと以外は、実施例1と同様の工程によって、実施例3の肌貼付用フィルムおよび転写シートを得た。実施例3で用いた青板ガラスは、表面にサンドブラスト加工によって形成された凹凸を有しており、表面の算術平均粗さRaは4.00μmである。
(実施例4)
成膜用基材として実施例1とは表面粗さの異なる青板ガラスを用い、乾燥後の平均質量が1.5g/mとなるように肌貼付用フィルムを形成したこと以外は、実施例1と同様の工程によって、実施例4の肌貼付用フィルムおよび転写シートを得た。実施例4で用いた青板ガラスは、表面にサンドブラスト加工によって形成された凹凸を有しており、表面の算術平均粗さRaは4.50μmである。
(実施例5)
DL−ポリ乳酸(BMG社製)が5wt%、1μmの平均体積粒子径の酸化チタン粒子が10wt%になるように、これらを酢酸エチルに加えて混合し、肌貼付用フィルムの形成のための塗液を生成した。成膜用基材として、厚さが50μmのポリエチレンテレフタレートシートを用い、ワイヤーバーを用いて成膜用基材の表面に上記塗液を塗布して塗膜を形成した。
上記塗膜を、オーブンで加熱して乾燥・固化させることにより、肌貼付用フィルムを形成した。乾燥時の加熱温度は70℃以上120℃以下の範囲から選択した。以上の工程では、肌貼付用フィルムを、乾燥後の平均質量が1.5g/mとなるように形成した。
続いて、肌貼付用フィルムを、成膜用基材から他の基材に転写した後、成膜用基材と接触していた面に、支持基材として不織布(フタムラ化学社製)を積層し、肌貼付用フィルムを支持基材に転写した。不織布の主成分はセルロースであり、目付けは20g/mである。
これにより、実施例5の肌貼付用フィルムおよび転写シートを得た。
(実施例6)
乾燥後の平均質量が2.3g/mとなるように肌貼付用フィルムを形成したこと以外は、実施例5と同様の工程によって、実施例6の肌貼付用フィルムおよび転写シートを得た。
(実施例7)
乾燥後の平均質量が3.1g/mとなるように肌貼付用フィルムを形成したこと以外は、実施例5と同様の工程によって、実施例7の肌貼付用フィルムおよび転写シートを得た。
(実施例8)
DL−ポリ乳酸(BMG社製)が5wt%、1μmの平均体積粒子径の酸化チタン粒子が10wt%になるように、これらを酢酸エチルに加えて混合し、肌貼付用フィルムの形成のための塗液を生成した。成膜用基材として、サンドブラスト加工によって表面に凹凸を形成し、離型処理を施した厚さ1mmの青板ガラスを用い、ワイヤーバーを用いて成膜用基材の表面に上記塗液を塗布して塗膜を形成した。成膜用基材の表面の算術平均粗さRaは0.30μmである。
上記塗膜を、オーブンで加熱して乾燥・固化させることにより、肌貼付用フィルムを形成した。乾燥時の加熱温度は70℃以上120℃以下の範囲から選択した。以上の工程では、肌貼付用フィルムを、乾燥後の平均質量が1.5g/mとなるように形成した。
続いて、肌貼付用フィルムを、成膜用基材から他の基材に転写した後、成膜用基材との接触によって凹凸が形成されている面に、支持基材として不織布(フタムラ化学社製)を積層し、肌貼付用フィルムを支持基材に転写した。不織布の主成分はセルロースであり、目付けは20g/mである。
これにより、実施例8の肌貼付用フィルムおよび転写シートを得た。
(実施例9)
成膜用基材として実施例8とは表面粗さの異なる青板ガラスを用い、乾燥後の平均質量が2.3g/mとなるように肌貼付用フィルムを形成したこと以外は、実施例8と同様の工程によって、実施例9の肌貼付用フィルムおよび転写シートを得た。実施例9で用いた青板ガラスは、表面にサンドブラスト加工によって形成された凹凸を有しており、表面の算術平均粗さRaは3.00μmである。
(実施例10)
成膜用基材として実施例8とは表面粗さの異なる青板ガラスを用い、乾燥後の平均質量が3.1g/mとなるように肌貼付用フィルムを形成したこと以外は、実施例8と同様の工程によって、実施例10の肌貼付用フィルムおよび転写シートを得た。実施例10で用いた青板ガラスは、表面にサンドブラスト加工によって形成された凹凸を有しており、表面の算術平均粗さRaは4.50μmである。
(比較例1)
DL−ポリ乳酸(武蔵野化学研究所社製)を、10wt%となるように酢酸エチルに溶解して、肌貼付用フィルムの形成のための塗液を生成した。成膜用基材として、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートシートを用い、ワイヤーバーを用いて成膜用基材の表面に上記塗液を塗布して塗膜を形成した。
上記塗膜を、オーブンで加熱して乾燥・固化させることにより、肌貼付用フィルムを形成した。乾燥時の加熱温度は70℃以上120℃以下の範囲から選択した。以上の工程では、肌貼付用フィルムを、乾燥後の平均質量が0.4g/mとなるように形成した。
続いて、肌貼付用フィルムを、成膜用基材から他の基材に転写した後、成膜用基材と接触していた面に、支持基材として不織布(フタムラ化学社製)を積層し、肌貼付用フィルムを支持基材に転写した。不織布の主成分はセルロースであり、目付けは20g/mである。
これにより、比較例1の肌貼付用フィルムおよび転写シートを得た。
(比較例2)
乾燥後の平均質量が0.8g/mとなるように肌貼付用フィルムを形成したこと以外は、比較例1と同様の工程によって、比較例2の肌貼付用フィルムおよび転写シートを得た。
(比較例3)
成膜用基材として、サンドブラスト加工によって表面に凹凸を形成し、離型処理を施した厚さ1mmの青板ガラスを用い、乾燥後の平均質量が1.5g/mとなるように肌貼付用フィルムを形成したこと以外は、比較例1と同様の工程によって、比較例2の肌貼付用フィルムおよび転写シートを得た。成膜用基材の表面の算術平均粗さRaは5.50μmである。
(評価方法)
<ヘイズ、全光線透過率、表面粗さ>
各実施例および比較例の転写シートにおける肌貼付用フィルムの第2面、すなわち、支持基材と反対側の面を、1mmの厚さの青板ガラスに水を介して貼り付け、支持基材を剥離して1日間乾燥した後、ヘイズ、全光線透過率、第1面の算術平均粗さの各々を測定した。ヘイズおよび全光線透過率は、ヘイズメーター(村上色彩技術研究所社製:HM−150)およびD65光源を用い、肌貼付用フィルムの第1面を積分球の位置する側に向け、第2面を光源の位置する側に向けて測定した。ヘイズはJIS K 7136−2000に準拠して、全光線透過率はJIS K 7361−1−1997に準拠して測定した。算術平均粗さの測定は、表面粗さ形状測定機(東京精密社製:サーフコム130A)を用い、JIS B 0601−1994に準拠して測定した。
<DOI>
各実施例および比較例の転写シートにおける肌貼付用フィルムの第1面を、黒色ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ社製:ルミラーX30 厚さ125μm)に、水を介して貼り付けて、1日間乾燥した後、第2面のDOIを測定した。DOIの測定は、光沢計(コニカミノルタ社製:Rhopoint IQ 20/60/85°)を用いて、ASTM D5767に準拠して測定した。
<肌親和性およびソフトフォーカス性>
各実施例および比較例の転写シートにおける肌貼付用フィルムの第2面を、1mmの厚さの青板ガラスに水を介して貼り付け、支持基材を剥離して乾燥した。そして、ビューラックス社製のバイオスキンの人工シワを有する面に、肌貼付用フィルムが貼り付けられた青板ガラスを、肌貼付用フィルムの第2面がバイオスキンに向けられるように乗せて、肌親和性およびソフトフォーカス性の評価を行った。
肌親和性の評価としては、バイオスキンにおいて、肌貼付用フィルムを配置した部分と、肌貼付用フィルムを配置していない部分とで、外観の差が目立つかを、外観の差が最も目立つ場合を1、外観の差が最も目立たない場合を4として、4段階で評価した。具体的には、肌貼付用フィルムを配置した部分にテカリや干渉色が視認されるか、および、肌貼付用フィルムの曇りが目立つかを観察した。
ソフトフォーカス性の評価としては、バイオスキンに肌貼付用フィルムを配置した部分を観察し、肌貼付用フィルム越しにシワが確認できるかを、シワが最も目立つ場合を1、シワが最も目立たない場合を4として、4段階で評価した。
表1は、各実施例および比較例について、ヘイズ、全光線透過率、算術平均粗さ、DOIの測定結果と、肌親和性およびソフトフォーカス性の評価結果とを示す。肌親和性およびソフトフォーカス性の各々の評価結果は、5人の評価者による4段階評価の平均値である。
表1が示すように、ヘイズが7%以上65%以下である実施例1〜10では、肌親和性とソフトフォーカス性との双方が良好である。詳細には、実施例1〜10と比較して、ヘイズが7%未満の比較例1,2では、テカリや干渉色が観察されて肌親和性が顕著に低くなっているとともに、ソフトフォーカス性も顕著に低くなっている。したがって、ヘイズが7%以上であれば、肌貼付用フィルムにおける光の拡散効果が十分に得られることが示唆される。一方、ヘイズが65%を超える比較例3では、ソフトフォーカス性は高いものの、ヘイズが高すぎて肌貼付用フィルムが白濁して曇って見えることにより、肌貼付用フィルムの貼付部分が目立ち、結果として、肌親和性が低くなっている。以上により、ヘイズが7%以上65%以下であれば、肌親和性とソフトフォーカス性との双方を高めることが可能であることが示された。
また、肌貼付用フィルムの成形による凹凸を表面に設けることによってヘイズを高めている実施例1〜4と、粒子の含有によってヘイズを高めている実施例5〜7とを比較すると、実施例5〜7では、実施例1〜4とヘイズが同等もしくはそれ以上であっても、算術平均粗さRaが低い傾向が確認できる。すなわち、実施例1〜4では、表面散乱が主となってヘイズが高められていることに対し、実施例5〜7では、内部散乱が主となってヘイズが高められていることが示唆される。そして、実施例5〜7では、実施例1〜4と比較して、ソフトフォーカス性は同等であるものの、テカリや干渉色に起因して肌親和性は低い傾向がある。したがって、表面散乱が大きい方が、テカリや干渉色を抑える効果は高いことが示唆される。
実施例1〜10の算術平均粗さRaは0.15以上4.00μm以下の範囲に含まれており、こうした範囲の算術平均粗さRaを有する肌貼付用フィルムであれば、良好な肌親和性とソフトフォーカス性とを得られる程度に、表面での光の散乱効果が得られることが示唆される。また、実施例1〜10において、DOIは1%以上85%以下であり、全光線透過率は80%以上95%以下であり、各パラメータが上記各範囲内であるときに良好な肌親和性とソフトフォーカス性とを得られることが示された。
なお、実施例および比較例の各々と同様に肌貼付用フィルムを作製した後、肌貼付用フィルムの第1面と第2面とが各実施例および比較例とは反対になるように、すなわち、成膜用基材と接していた面が第2面となるように、転写シートを作製し、第2面がバイオスキンに向けられるようにバイオスキン上に肌貼付用フィルムを配置して、外観を観察した。その結果、上記各実施例および比較例の肌貼付用フィルムと外観に大きな差は確認されなかった。したがって、ヘイズを、肌貼付用フィルムの第2面を積分球の位置する側に向けて測定した場合、および、DOIの測定対象面を第1面とした場合にも、表1に示した評価結果と同様の結果が得られることが示唆される。
以上、実施形態および実施例にて説明したように、上記肌貼付用フィルムおよび転写シートによれば、以下に列挙する効果を得ることができる。
(1)肌貼付用フィルム10において、ヘイズが7%以上であることにより、肌貼付用フィルム10における光の散乱効果が十分に得られるため、テカリや干渉色が抑えられて肌貼付用フィルム10の貼付部分が目立つことが抑えられるとともに、ソフトフォーカス性が高められる。また、ヘイズが65%以下であるため、肌貼付用フィルム10が曇って見えることにより肌貼付用フィルム10の貼付部分が目立つことも抑えられる。
(2)肌貼付用フィルム10の第1面11Fおよび第2面11Rの少なくとも一方のDOIが、1%以上85%以下である。これにより、テカリや干渉色が視認されることが的確に抑えられ、また、良好なソフトフォーカス性が得られる。
(3)肌貼付用フィルム10の全光線透過率が45%以上95%以下であることにより、ヘイズを適切な大きさに制御しやすく、また、肌貼付用フィルム10の貼付部分にてフィルム越しに肌が認識されて、貼付部分の外観が自然に見えやすい。
(4)肌貼付用フィルム10の第1面11Fおよび第2面11Rの少なくとも一方の算術平均粗さRaが、0.15μm以上4.00μm以下である。これにより、肌貼付用フィルム10の表面での光の散乱効果が的確に得られ、ヘイズを適切な値に制御しやすい。したがって、テカリや干渉色が視認されることが的確に抑えられ、また、良好なソフトフォーカス性が得られる。
10,10A,10B,10C…肌貼付用フィルム、11F…第1面、11R…第2面、13…粒子、20…支持基材、30…転写シート。

Claims (5)

  1. 第1面と、前記第1面とは反対側の面である第2面とを有し、前記第2面が肌に貼り付けられる肌貼付用フィルムであって、
    0.1g/m以上4.0g/m以下の平均質量を有し、
    ヘイズが7%以上65%以下である
    肌貼付用フィルム。
  2. 前記第1面および前記第2面の少なくとも一方のDOIが、1%以上85%以下である
    請求項1に記載の肌貼付用フィルム。
  3. 全光線透過率が45%以上95%以下である
    請求項1または2に記載の肌貼付用フィルム。
  4. 前記第1面および前記第2面の少なくとも一方の算術平均粗さRaが、0.15μm以上4.00μm以下である
    請求項1〜3のいずれか一項に記載の肌貼付用フィルム。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の肌貼付用フィルムと、
    前記肌貼付用フィルムを支持する支持基材と、
    を備える転写シート。
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