<オゾンガス利用システムの概要>
オゾンガス利用システムは、酸素ガスを含んだ原料ガスを受け、オゾンガスを発生するオゾンガス発生装置と、上記オゾンガス発生装置より得たオゾンガスを受け、オゾンガスを用いて、後に詳述するオゾンガス分解処理及び整流ガス生成処理を実行するオゾンガス利用装置との組合せにより構成される。以下、オゾンガス利用システムの態様について説明する。
オゾン利用システムとして、具体的には、以下の態様(1)〜態様(2)が考えられる。
態様(1)は、小型のオゾンガス発生装置と小ガス流量のオゾンガスを用いた半導体製造装置をオゾンガス利用装置とした態様である。態様(1)の半導体製造装置として、例えば、酸化膜を成膜する製造装置が考えられる。態様(1)を発展させることにより、半導体製造装置は、小流量なオゾンガスを用いて低圧力環境下で酸化膜成膜処理を行うことができる。
態様(2)は、高濃度オゾンガスを発生するオゾンガス発生装置と、態様(1)よりもさらに小ガス流量、低圧力下でのオゾンガスを利用したガス噴出機能を備えたオゾンガス利用装置との組合せからなる態様である。態様(2)を発展させて、宇宙等の特殊環境下におけるオゾンガスによる推進力を得る推進装置としてオゾンガス利用装置を用いることができる。すなわち、宇宙衛星用の推進力を得るエンジンとしてオゾンガス利用装置を用いることができる。
態様(1)に該当するのが以下で述べる実施の形態1のオゾンガス利用システム1であり、態様(2)に該当するのが以下で述べる実施の形態2のオゾンガス利用システム2である。
<実施の形態1>
(概要)
実施の形態1のオゾンガス利用システム1におけるオゾンガス発生装置は、光源式オゾン発生セルを内部に有し、この光源式オゾン発生セルは、点灯時に、所定範囲の波長を有する照射光を照射する光源部であるLED光源と、LED光源と対向して設けられ、LED光源からの照射光を受け、吸収する光触媒膜とを含み、光触媒膜とLED光源との間に形成される空間は原料ガスが通過するオゾン生成空間として規定されている。オゾン生成空間において、光を吸収した光触媒膜と通過する原料ガスとの触媒化学反応が生じる。
LED光源は、減圧下においてもオゾン発生ができる特定波長の光を発することができる。光触媒膜はこの特定波長の光を吸収することができる。
以下で述べる実施の形態1のオゾンガス利用システム1は、オゾンガスの分解熱を利用して酸素ガスを噴出する酸素ガス噴出装置をオゾンガス利用装置に用いている。
上述した酸素ガス噴出装置は、内部において、減圧下で供給したオゾンガスを分解させ、高温酸素ガスもしくは、オゾン、活性酸素、酸素原子が含まれる高温酸素ガスにして、その高温酸素ガスを処理チャンバーに噴出させている。処理チャンバーは酸素ガス噴出装置内の圧力よりも減圧雰囲気に設定されている。このため、上述した酸素ガス噴出装置は、熱酸化法あるいはCVD法を用いて被対象物である半導体ウェハーへの酸化膜の形成に適用することができる。
(具体的構成)
図1は、この発明の実施の形態1であるオゾンガス利用システムの構成を示す説明図である。図1にXYZ直交座標系を示している。オゾンガス発生装置として、上述した光源式オゾン発生セルを有する光源式オゾンガス発生装置を採用し、オゾンガス利用装置として酸素ガス噴出装置を採用している。以下、図1を参照して、実施の形態1の基本構成について説明する。
図1において、オゾンガス利用装置である酸素ガス噴射装置8001は、後述する整流ガス利用部を含む酸化処理チャンバー8200の一部に組み込まれる態様で、酸化処理チャンバー8200と一体的に構成されている。
酸素ガス噴射装置8001はマイクロ波共振チャンバー8100と整流ガス噴出ブロック8010とを主要構成部として含んでいる。
マイクロ波共振チャンバー8100は、噴出ガス反射板8120と共振チャンバー筒管8140とを主要構成として含み、噴出ガス反射板8120と共振チャンバー筒管8140との組合せにより、内部にオゾンガスを収容する収容部810を実現している。後に詳述するように、マイクロ波共振チャンバー8100は、収容部810内でマイクロ波加熱を実行することにより、オゾンガスを分解して、所定の運動エネルギーを有する分解酸素ガスを生成し、この分解酸素ガスを整流ガス噴出ブロック8010に向けて出力するオゾンガス分解処理を実行する。
整流ガス噴出ブロック8010は、内部に複数のガス噴出管8011(少なくとも一つのガス噴出管)を有し、複数のガス噴出管8011はそれぞれ出力方向(図中+Z方向)に従い細くなる円錐状を呈している。整流ガス噴出ブロック8010は、マイクロ波共振チャンバー8100より分解酸素ガスを受け、複数のガス噴出管8011それぞれ内に分解酸素ガスを通過させることにより、複数のガス噴出管8011から複数の整流ガス(少なくとも一つの整流ガス)を複数の噴射酸素ガス809として得る整流ガス生成処理を実行する。なお、複数の噴射酸素ガス809はそれぞれ+Z方向(所定方向)の速度ベクトルを有している。
マグネトロン発振器8002は、導波路管8003を介して酸素ガス噴射装置8001の収容部810内にマイクロ波エネルギーを発している。導波路管8003はマグネトロン発振器8002から発するマイクロ波エネルギーを送るために設けられる。
オゾンガス発生装置8004はオゾン発生器8005a及びオゾン用電源8005bから構成され、オゾン発生器8005aは上述した光源式オゾン発生セルを有しており、オゾン用電源8005bは、オゾン発生器8005a内の光源式オゾン発生セルに駆動電圧を供給するLED光源用の電源(オゾン電源)である。
高濃度オゾンガス供給配管808に設けられる圧力調整用バルブ808aはオゾン発生器9005a内の圧力調整用バルブである。
オゾン発生器8005aは、酸素ガス供給配管807を介して酸素ガス推進器(酸素ガスボンベ)8006から酸素ガスを原料ガスとして供給している。
オゾン発生器8005a内の光源式オゾン発生セルを構成する光触媒膜は、光源部(LED光源)と対向して設けられ、光源部との間にオゾン生成空間を形成し、原料ガスが通過する流路面となる。そして、光触媒膜は、所定範囲の波長を有する照射光を光源部から受けることにより、光を吸収することにより光触媒状態に活性化される。
その結果、活性化された光触媒膜によって、原料ガスに含まれる酸素分子が効率良く酸素原子に解離され、解離した酸素原子と酸素分子との衝突結合作用でほぼ同時にオゾンが生成される。この光触媒膜によるオゾン生成能力が高いため、このオゾン発生器8005aは、放電を伴わないオゾン発生器であるが、高濃度なオゾンガスが取り出せ、かつ、従来の光源式オゾン発生器に比べ比較的大容量で出力することができる効果を奏する。また、放電を伴わないオゾン発生のため、オゾン発生器8005a内のガス圧力やギャップ空間の制約条件を比較的緩い制約で製作することができる効果を奏する。
圧力調整用バルブ808aは、オゾン発生器8005aのガス出力部に設けられたオゾン発生器8005a用の圧力調整用バルブである。オゾン発生器8005aで発生したオゾンガスは、圧力調整用バルブ808aから高濃度オゾンガス供給配管808を介して酸素ガス噴射装置8001に所定流量のオゾンガスが供給されるように、原料ガス流量調整器807aにて制御されている。
断熱材8007は、酸素ガス噴射装置8001のマイクロ波共振チャンバー8100部分を断熱させるための断熱材である。したがって、断熱材8007は、収容部810、導波路管8003、及び後述する中継部材(接続フランジ)8160を含むように全体に亘って形成されている。
断熱材8007は、酸素ガス噴射装置8001の収容部810内をマイクロ波加熱した熱エネルギーが、熱として酸素ガス噴射装置8001の外壁から熱が伝導や放射熱として逃げることを防ぐために施されている。図1では、主としてマイクロ波共振チャンバー8100部分に断熱材を設ける構造を示しているが、整流ガス噴出ブロック8010にも断熱材を設けて、酸素ガス噴射装置8001の下方の酸素ガス噴出口以外の全面を断熱材で覆う構成にしている。なお、整流ガス噴出ブロック8010に設ける断熱材は、真空の酸化処理チャンバー8200内に設ける断熱材であるため、断熱材8007とは異なる材質を用いることが望ましい。整流ガス噴出ブロック8010側に設ける断熱材の図示は、図1では省略する。
このように、酸素ガス噴射装置8001は全面が断熱材8007等を含む断熱材により覆われている。
マイクロ波共振チャンバー8100には、オゾン発生器8005aから発生したオゾンガスを受けるオゾンガス供給口811とマグネトロン発振器8002から発せられるマイクロ波エネルギーを受けるマイクロ波エネルギー供給口812が設けられている。
さらに、マイクロ波共振チャンバー8100の収容部810は前述したように噴出ガス反射板8120と共振チャンバー筒管8140との組合せにより構成される。
噴出ガス反射板8120の内部壁面のうち、複数の噴射酸素ガス809の噴射方向(図中+Z方向)と反対方向側となる−Z方向側に形成される背面側壁面形状を凹面形状(凹レンズ形状)にしている。さらに、噴出ガス反射板8120の背面側壁面は鏡面仕上げされている。また、共振チャンバー筒管8140と酸化処理チャンバー8200との境界領域に、中央に開口部を有する中継部材(接続フランジ)8160が配置される。
さらに、マイクロ波共振チャンバー8100の噴出ガス反射板8120及び共振チャンバー筒管8140の前面(+Z側の面)、すなわち、収容部810の開口部側に設けられた中継部材(接続フランジ)8160の開口領域において、マイクロ波を閉じ込めるために網状のマイクロ波防止板8150が設けられる。マイクロ波防止板8150は、共振チャンバー8100内のマイクロ波が漏れるのを防ぐ。そのため、噴出ガス反射板8120、共振チャンバー筒管8140、中継部材(接続フランジ)8160及びマイクロ波防止板8150で囲まれた空間がマイクロ波共振ガス加熱空間(マイクロ波キャビーティ)となる。収容部810内のこのマイクロ波共振ガス加熱空間でマイクロ波ガス加熱が成される。
ここで、導波路管8003から送られたマイクロ波エネルギーによるマイクロ波加熱は、初期のガスを加熱してオゾンを分解させるまでの初期時間の供給だけで十分である。つまり、マイクロ波エネルギーを供給し、一旦オゾンガス分解処理工程に達すると、オゾンガスの分解熱で、エンジン内は高温状態を保つため、所定量のオゾンガスを供給しておれば、エンジン内の高温酸素ガスが持続して得られることになる。
このような構成のマイクロ波共振チャンバー8100には、高濃度のオゾンガスが数L/min程度の流量で収容部810内のマイクロ波共振ガス加熱空間に供給される。共振ガス加熱空間に供給されたオゾンガスは、導波路管8003から送られたマイクロ波エネルギーによってマイクロ波加熱され、オゾンガス自身が分解する温度まで加熱される。
ここで、酸素ガス噴射装置8001のマイクロ波共振ガス加熱空間内には、オゾン、活性酸素、酸素原子が含まれる高温酸素ガスと酸化物粒子を形成するためのプリカーサガスも同時に供給されるが、図1には、プリカーサガスを供給する配管の記載については、省略している。
マイクロ波共振チャンバー8100のマイクロ波共振ガス加熱空間をマイクロ波で共振加熱することにより、数L/minのガス流量で供給されているオゾンガスを熱分解させるオゾンガス分解処理を実行している。
オゾンガスが分解する際、さらに発生するオゾン分解熱で、マイクロ波共振チャンバー8100内のガスは、供給したプリカーサガスを酸化物粒子化したガスを含んだ高温・高圧状態の酸素ガスになる。この高温・高圧状態の酸素ガスは、言い換えれば、全方向(X,Y,Z方向)に大きな運動エネルギーを有した酸素ガスである。
この高温・高圧状態の酸素ガスをZ方向成分のみになるようにするため、酸素ガス噴射装置8001の全内面、すなわち、マイクロ波共振ガス加熱空間を構成する噴出ガス反射板8120、共振チャンバー筒管8140、中継部材(接続フランジ)8160の内部壁面は全て鏡面仕上げすることで、Z方向成分以外のガスについては、内部壁面の鏡面で運動エネルギーが失わないように反射されている。
さらに、内部壁面温度がガス温度より低い状態であれば、ガスの運動エネルギーは熱エネルギーとして壁面から逃げる。この熱エネルギー損出を防止するために、酸素ガス噴射装置8001の全面を断熱材8007等で覆っている。
このように、酸素ガス噴射装置8001の内部壁面を鏡面化し、かつ、酸素ガス噴射装置8001を断熱材8007等で覆うことにより、マイクロ波共振チャンバー8100でオゾン分解して得られた高温・高圧状態の酸素ガス(分解酸素ガス)がエネルギーを失わず所定方向に出力され、酸化処理チャンバー8200の整流ガス噴出ブロック8010に供給される。
整流ガス噴出ブロック8010は複数のガス噴出管8011を含んで構成される。複数のガス噴出管8011の円状の底面の開口部が、マイクロ波共振チャンバー8100の分解酸素ガス出力用の開口領域に対応するように設けられる。なお、複数のガス噴出管8011それぞれ内部壁面は鏡面化されている。
複数のガス噴出管8011はX方向に沿って所定間隔毎に直線的に並べられ、かつY方向に沿って複数列となるように配置される。この際、複数のガス噴出管8011全てにおいて円錐の底面が−Z側になるように配置される。
したがって、マイクロ波共振チャンバー8100によるオゾンガス分解処理によって得られた高温酸素ガス(分解酸素ガス)は、複数個の円錐状のガス噴出管8011を通過することにより、複数の噴射酸素ガス809が複数の整流ガスとして下方(+Z方向)に向けて噴射される。すなわち、複数の噴射酸素ガス809はそれぞれ+Z方向(所定方向)の速度ベクトルを有している。
このように、複数のガス噴出管8011を主要構成部として有する整流ガス噴出ブロック8010は、高温酸素ガスから複数の噴射酸素ガス809を得る整流ガス生成処理を実行している。
酸化処理チャンバー8200は約数Pa未満程度に減圧されている。酸化処理チャンバー8200の底面上にテーブル用基台8204が設けられ、テーブル用基台8204上にウェハーテーブル8202が設けられ、ウェハーテーブル8202上にシリコンを構成材料としてウェハー8201が配置される。また、ウェハーテーブル8202は内部に加熱ヒータ8203を有している。
ウェハー8201は表面が整流ガス噴出ブロック8010から出力される複数の噴射酸素ガス809を受けるように配置されている。また、ウェハー8201は拡大図に示すように深い溝部(高アスペクト比の溝部)を有している。
酸化処理チャンバー8200内において、整流ガス生成処理を実行する整流ガス噴出ブロック8010から高温の複数の噴射酸素ガス809が+Z方向を速度成分として噴出される。その結果、ウェハー8201の全表面に高速度の複数の噴射酸素ガス809がそれぞれビーム状ガスとして、X方向に沿ったライン状の均一なガスとして噴射される。
被対象物であるウェハー8201を配置したウェハーテーブル8202を所定速度で回転させることで、ライン状に噴出されたガスは、ウェハー8201の表面全面に複数の噴射酸素ガス809が噴射されることになる。
また、ウェハー8201の表面には、複数の噴射酸素ガス809が噴射されるとともに、真空の加熱ヒータ8203によって約数百度〜千度程度に加熱されており、噴射されたガスと加熱された温度との熱反応によりウェハー8201の表面に酸化物の堆積が進行する、もしくは、噴射された噴射酸素ガス809が熱拡散する熱酸化が進行することにより、ウェハー8201の表面に良質な酸化膜を形成することができる。
ここで、酸素ガス噴射装置8001内でマイクロ波加熱とオゾンガスの分解熱で得た高温酸素ガスは、マイクロ波共振チャンバー8100内のマイクロ波共振ガス加熱空間の全方向に向かった運動エネルギーで加速する。この際、噴出ガス流れ方向(+Z方向)以外のガスに対して、酸素ガス噴射装置8001全体を断熱材8007で覆うことにより熱が外部壁から逃げるのを防止している。
さらに、酸素ガス噴射装置8001のマイクロ波共振ガス加熱空間の内部壁面を鏡面化させている。このため、高温の高速度酸素ガスは鏡面化された内部壁面に衝突した運動エネルギーを内部壁面に吸収されることなく反射させることにより、高温酸素ガスの向きを効率良くガス噴射方向に変化させている。その結果、最終的に、整流ガス噴出ブロック8010から+Z方向を噴射方向としたビーム状ガスとして噴射酸素ガス809を噴射させることができる。
また、マイクロ波共振チャンバー8100の反射板8120の内部壁面を凹面形状(凹レンズ形状)の鏡面にすることにより、噴出ガス反射板8120の内部壁面に衝突して反射する酸素ガスを並行反射させることができる。このように、噴出ガス反射板8120は、噴射ガス流れ方向に矯正させるべく、マイクロ波共振ガス加熱空間の一部として機能している。
これらの対策を施したマイクロ波共振ガス加熱空間において、高温酸素ガスの流れを矯正し得られた高温酸素ガスは、マイクロ波共振チャンバー8100の前面の網状のマイクロ波防止板8150を介して、整流ガス噴出ブロック8010内の複数個の円錐状のガス噴出管8011に導かれる。
その結果、各々が円錐状の複数のガス噴出管8011それぞれから整流ガスとなる高温な噴射酸素ガス809が+Z方向を速度成分として噴射される。つまり、マイクロ波共振チャンバー8100から噴射された高温の高温酸素ガスは、内面を鏡面化した円錐状のガス噴出管8011を通すことで、高温酸素ガスを円錐状のガス噴出管8011の内壁に弾性衝突を繰り返しながら口径が小さい噴出口に向かうに従い整流化され、複数のガス噴出管8011それぞれから噴射酸素ガス809が指向性の良いビーム状のガスとしてウェハー8201の表面に注がれる。
実施の形態1のオゾンガス利用システムは、小流量の高濃度オゾンを発生できる光源式のオゾンガス発生装置8004が発生するオゾンガスを酸素ガス噴射装置8001に供給している。
そして、酸素ガス噴射装置8001内のマイクロ波共振チャンバー8100にてマイクロ波エネルギーを送ることで、供給したオゾンガスを減圧雰囲気にてマイクロ波加熱して、ガス温度を300度以上になるように加熱している。供給したオゾンガスを300℃以上にすると、オゾンガスが分解し、その際、分解熱も加味され高温の運動エネルギーを発し、酸素ガス噴射装置8001内の酸素ガスを高温酸素ガス(分解酸素ガス)に変換させる。このように、マイクロ波共振チャンバー8100はオゾンガス分解処理を実行して高圧化して高温酸素ガスを得ている。
さらに、オゾン分解による高温酸素ガスを整流ガス噴出ブロック8010内の複数の円錐状のガス噴出管8011に通すことで、より良質な整流ガス(噴射酸素ガス809)にして約数Pa未満程度の環境下の酸化処理チャンバー8200に配置されたウェハー8201の表面に向けて高速度で噴射させている。
酸化処理チャンバー8200内に配置されたウェハーテーブル8202、加熱ヒータ8203、及びテーブル用基台8204は整流ガス(噴射酸素ガス)利用部として機能する。すなわち、酸化処理チャンバー8200内の上記整流ガス(噴射酸素ガス)利用部のウェハーテーブル8202上に配設されたウェハー8201の表面に対し、各々が円錐状の複数のガス噴出管8011は所定間隔で複数個の管を直線配列(X本)するとともに、その直線配列(X本)した円錐状のガス噴出管8011を数列(Y列)に並べ配置される。
この(X・Y)本からなる複数のガス噴出管8011の噴出口がX方向に沿って所定間隔に配置され、Y方向の列間ではちどり間隔で配設される。すなわち、Y方向に隣接する列間において、X方向の位置が少しずれるように配置される。なお、ガス噴出管8011の配列を示す構造の図示は省略する。
複数のガス噴出管8011の出力部からそれぞれ高温な噴射酸素ガス809が噴射され、噴射酸素ガス809はウェハー8201の表面において、所定間隔でX方向に沿って均一に注がれる。配設されたウェハー8201を一定速度で回転させることにより、ウェハー8201に向けて噴射された噴射酸素ガス809ウェハー8201の全面に注がれる。
さらに、配設されたウェハー8201は、加熱ヒータ8203によって、注がれた高温酸素ガスを酸化膜形成に十分な温度まで加熱されるため、ウェハー8201の表面に酸化物を堆積して得られる酸化膜、もしくは、噴射された噴射酸素ガス809が熱拡散して形成される酸化膜が得られることにより、ウェハー8201の表面に良質な酸化膜を形成することができる。
さらに、複数の円錐状のガス噴出管807から出力された複数の噴射酸素ガス809はそれぞれ+Z方向に高速度成分を有しているため、ウェハー8201が深い溝部(高アスペクト比の溝部)まで高温酸素ガスを供給することができ、ウェハー8201面に均一で良質な酸化物を堆積させた堆積酸化膜もしくは熱酸化膜を可能にすることができる。
実施の形態1の酸素ガス噴射装置8001では、酸素ガス噴射装置8001に酸化粒子ガスを供給するプリカーサガスを用いた枚葉型のCVD法の酸化膜装置に適用した酸素ガス噴出装置について説明したが、プリカーザガスを供給しない熱酸化の酸化膜装置に適用した酸素ガス噴出装置でも良い。
実施の形態1のオゾンガス利用システムでは、酸素ガス噴射装置8001に酸化処理チャンバー8200を組合せることにより、噴射酸素ガス809を酸化膜製造用に適用している。実施の形態1では、指向性のある高温の噴射酸素ガス809を高速でウェハー8201の表面に注ぐようにしているため、微細で、深い溝(高アスペクト比の溝)を有するシリコンウェハーの表面上に酸化膜を形成する際においても、均一な酸化膜の形成が可能になり、品質の高い酸化膜を成膜できる効果を奏する。
酸素ガス噴射装置8001では、枚葉型の成膜装置を適用対象にしているため、オゾンガス流量としては、数L/min以下の小流量で高濃度のオゾンガスが望ましく、小型のオゾンガス発生装置が望ましい。そのため、従来の高純度酸素ガスや水蒸気を供給した成膜装置と比較して、成膜品質の高い膜が形成される効果だけでなく、供給するオゾンガスのオゾンガス発生装置のコストの安く、コンパクトな成膜装置が望まれる。そのため、小流量のオゾンガス発生装置としては、放電式のオゾンガス発生装置よりも、格段に小さく、安価なオゾンガス発生装置が望まれる。
図2は、この発明の実施の形態1のオゾンガス発生装置8004として適用可能な光源式オゾンガス発生装置900の実施構成例を示す説明図である。なお、光源式オゾン発生装置900についての説明は後に詳述する。
図2で示した、特定波長の光を発するLED光源と特定波長の光エネルギーを吸収して光触媒化する光触媒物質を対向配置してオゾンガスを発生させることのできる特性を有する光源式オゾンガス発生装置900の方が、発生器構造がシンプルで、小型化でき、かつ安価に実現できる。
図3は、図2のオゾン利用システムの態様(1)や態様(2)用の光源式オゾン発生器901内の構成部となるLED光源群1b及びLED点灯用電源7002の内部構成を示す説明図である。なお、図3についての構成及び動作の説明は後述する。
オゾン発生用電源も光を発するLED光源の点灯電源で良く、駆動電圧が低く、高電圧に昇圧する必要もなく、非常に小さなオゾン発生用電源できる。そのため、実施の形態1のオゾンガスを用いた酸素ガス噴射装置8001では、図3で示した光源式オゾンガス発生装置900のような光源式オゾンガス発生装置で発生したオゾンガスを使用したものが望ましい。
高濃度オゾンガスを出力するオゾンガス発生装置として、放電式のオゾンガス発生装置では、放電でオゾンガスを発生させるため、発生器内の原料ガス圧力は、大気圧以上が必要であった。また、放電で生成した電子やイオンが放電面に塗布した光触媒材に衝突することで、光触媒面が劣化しやすいなどの問題点もあった。
図2で示した光源式オゾンガス発生装置900では、光を光触媒に照射させた方式でオゾンガスを発生させているため、光触媒面の粒子衝突による劣化はほとんどなく、光源式オゾン発生器901内の原料ガス圧力は、大気圧以下の減圧状態でも良い。
また、光源式オゾン発生器901内のガス圧力を下げると、光源式オゾン発生器901で発生したオゾンのガス圧力によるオゾンガス自己分解も少なくなり、光源式オゾン発生器901から取出せるオゾン濃度をより高濃度にできる。このため、実施の形態1のオゾンガス発生装置8004として、図2で示した光源式オゾンガス発生装置900を使用することが望ましい。
特に、図2で示した光源式オゾンガス発生装置900では、出力できるオゾン濃度やガス流量の制約はあるが、発生器内のガス圧力Pは、負圧である数千Pa〜加圧の0.15MPaの範囲でオゾンを発生できる特徴がある。
このオゾンガスを用いた酸素ガス噴射装置8001の内圧として、酸化膜を成膜するための整流ガス利用部となる酸化処理チャンバー8200内の雰囲気圧は約数Pa未満程度であるため、酸素ガス噴射装置8001の内圧は、13kPa(100Torr)以下の負圧力にしたものが望ましい。
<実施の形態2>
(概要)
実施の形態2のオゾンガス利用システム2は、オゾンガス利用装置を人工衛星用の駆動エンジンに適用させている。
オゾンエンジンは、装置内で加熱することでオゾンガスの分解熱エネルギーで得た高温の酸素ガス熱運動エネルギーXavを、一定方向に流れる整流ガスに変換することで、酸素ガスを噴出させ、所定の推力を得るエンジンである。
オゾンエンジンを実現するため、従来の衛星に搭載した宇宙航行用のイオンエンジンの推力10mNのエンジンを参考にした。図4に示す衛星用のオゾンガスを用いた駆動エンジン装置における動作作用とエンジン推力を得るためのオゾン分解エネルギー量等について説明する。
一般に現在用いられている人工衛星用の駆動エンジンとして、小出力で高性能を有するイオンエンジンが多く採用されている。このイオンエンジンの特徴としては、宇宙での太陽電池からの電気エネルギーで容易に駆動ができ、推進剤として小流量の希ガスを流し、この希ガスを電離させてイオン化し、電界加速させたエンジンとしている。このイオンエンジンは制御性や小原料ガスによる反作用なく運動エネルギーに変換できるメリットがある。
イオンエンジンの原理について説明する。推進剤として希ガスで、比較的質量の大きいキセノンガスを10mL/minという極小流量のガスとして、マイクロ波キャビティとなるマイクロ波チャンバー内に供給する。マイクロ波チャンバー内の圧力は数十mPaの低気圧下においてマイクロ波電力32Wを投入して、キセノンガスの一部の粒子をイオン化させ、イオン化させたキセノンガスを加速させて一定方向のビーム状の運動エネルギーを得ることができる。運動エネルギーを高めるために、イオン化させた起点部と網状のグリッド電極間に約1.5kVの加速電圧を印加させて、イオン化したキセノンガスによるビーム電流を百mA、加速電力を約数百W投入し、キセノンガスに約十数mNの推力を約30分〜1時間程度の連続推力が得られるようにしている。
イオンエンジンは、電気エネルギーの動力源を用いて一部のイオン化したキセノン粒子を推進剤として加速してエンジンの推進力を得ている電気動力源であることから、推進力は小さいが、宇宙空間においては、ほぼ長時間の連続運転のエンジン駆動(加速)源として有効な手段である。
このように、小さなマイクロ波電力でイオン化のみをさせて、イオン化したガスのみを加速電圧印加で加速するため、加速したイオンは、ほとんど反作用なく、一定方向の運動推力が得られることになる。
宇宙では、ガスが存在しないため、運動エネルギーを得るための推進剤を衛星に搭載しなければならなく、推進剤使用量で衛星重量と衛星寿命に大きく影響する。また、宇宙での衛星自身は、自重が非常に小さいため、搭載した推進剤による推力が大きいエンジンであっても、エンジンを駆動して、反作用が大きければ、衛星を所定方向に誘導させる制御は難しく、結果として衛星用のエンジンとしては、利するエンジンとは言えない。
しかしながら、供給したキセノンガス粒子数に比べ、推進剤となりうる電離したキセノンイオン粒子数は極わずかである。すなわち、今用いられているイオンエンジンの推力は、一部のイオン化したキセノン粒子から推進力を得ていることから、キセノンガス粒子に与える運動エネルギーは、せいぜい数十mNである。今後、イオンエンジンの特徴を損なわずにイオンエンジンの推力よりも高い推力の動力源として電気エネルギーで得られれば、より早い制御が可能になるだけでなく、衛星用(宇宙航行用)エンジンでの消費電力の削減や推進剤の低減されるメリットが生じる。その第1候補として、電気から生成できる小型の光源式オゾンガス発生装置とこの光源式オゾンガス発生装置から取り出したオゾンガスを推進材としたオゾンエンジンとからなる実施の形態2のオゾンガス利用システムが期待される。
衛星用の駆動エンジン装置に利用される光源式のオゾンガス発生装置は、オゾンガスを得るための原料ガスは酸素ガスであり、オゾンガス生成には、電気エネルギーを用いた特定波長範囲の波長を有する照射光であるLED光を照射するLED光源とこのLED光源から照射するLEDを吸収する光触媒膜との組合せで構成される。光学式のオゾンガス発生装置の上記構成は、後述するように小型化が図られており、極小原料酸素ガス流量で高濃度オゾンが出力できる特徴を有しており、図2で示した光源式オゾンガス発生装置900に代表される。
我々は光触媒放電面を用いた小型の放電式のオゾンガス発生装置において、放電電力に対する光触媒放電面におけるオゾン生成効率ρdは3.3x10−5(g/J)と非常に高いオゾン生成能力を有する手段であることを既に認識している。
放電式オゾンガス発生装置の放電形態の場合で、数百μm未満の極短ギャップ間に誘電体バリア放電を発生させて、誘電体バリア放電光(エキシマ放電光)を発すると、この発したエキシマ放電光が放電面に塗布した光触媒材に照射され、光触媒材に光エネルギーが吸収することで光触媒材面が活性化し、この活性化した光触媒材面と原料酸素ガスが接触することによる酸素解離とオゾン生成効果(つまり光触媒効果との相互反応作用)で、非常に高いオゾン生成能力でオゾンが生成されることが明らかにされている。この極短ギャップ間における誘電体バリア放電光の発光効率のエネルギー比ηLは約30%以上と云われている。
つまり、この誘電体バリア放電光に代わり、それ相当の光波長の光を発するLED光源の光よるオゾン生成効率ρ0を求めると、以下の式(1)となる。
ρ0=ρd/ηL=1.1・10−4(g/J)…(1)
次に、オゾンガスの持つエネルギーの利用を目的とした場合における、発生したオゾンガスの有するオゾンガスの分解の熱エネルギーについて考察する。
例えば、オゾンガス発生装置から生成したオゾンガスは、以下の式(2)に示すように、外部から加熱によって、オゾンガス粒子を300℃以上に上げれば、オゾンガスは酸素ガスに容易に分解でき、その分解熱である熱エネルギーのランダムな運動エネルギーは1モル当たり393kJと非常に大きい。
3O3(g)+加熱→3O2(g)+393(kJ)…(2)
このオゾン分解の熱エネルギーを有効に利用できる衛星用の駆動エンジン装置を検討すると、この駆動エンジン装置の衛星に搭載する推進剤となるオゾンガスを得るための光源式のオゾンガス発生装置として、例えば、酸素ガス流量Qを10mL/min程度とし、取出せるオゾン濃度Ctを400g/m3の高濃度オゾンガスを目標とした。この高濃度オゾンをガス目標とした場合のオゾンガス発生装置の消費電力であるLED光源の電力を算出すると、出力オゾン量Ytは以下の式(3)で求められる。
Yt=Q・Ct=6.67・10−5(g/s)…(3)
オゾン発生器で生成するオゾン量Ysに対する取出せるオゾン量Ytの比を0.6(=Yt/Ys)とすれば、オゾン発生器で生成するオゾン量Ysは以下の式(4)で求められる。
Ys=Yt/0.6=1.11・10−4(g/s)…(4)
式(1)で求めたように、オゾン生成効率ρ0を「1.1・10−4(g/J)」とすると、光触媒膜に吸収させる有効な光エネルギーEは、以下の式(5)で求められ、光エネルギーEは、1W程度となる。
E=Ys/ρ0=1.0(J/s)…(5)
LED光源の発光効率のエネルギー比ηLEDを約20%とすると、LED光源に供給する光源の電力Pは、以下の式(6)で求められる。
P=E/ηLED=5.0(J/s)…(6)
P=5.0(J/s)は、5.0(W)のLED光源で十分、酸素10mL/minの酸素流量Qで、十分なオゾン量が生成でき、光源式のオゾン発生器の構成や動作ガス圧力を工夫し、オゾン発生器内で生成したオゾンガスを限りなく分解させずに取り出せるようにすれば、取出せるオゾン濃度Ctが400g/m3となる高濃度オゾンガスが生成できることを示している。
この5.0(W)のLED光源としては、発光ダイオード素子として、数個のLED素子で十分であり、数個のLED素子からなるLED光源を点灯させるための印加電圧も数十Vで、LED光源も非常に小さいものとなる。
次に、酸素ガス流量Qを10mL/minを供給して、光源式オゾンガス発生装置から得た400g/m3(186700ppm)のオゾンガスを駆動エンジン装置のマイクロ波共振チャンバー内で、ガス自身をマイクロ波加熱させてオゾンガスを熱分解させた場合の分解熱エネルギーX0を算出する。
このオゾンが分解した分解熱エネルギーX0が、供給している全酸素ガス10mL/min自身に与えられ、エンジン内の酸素ガスがより高温・高圧下状態に維持される。この高温・高圧下状態になった酸素ガスを駆動エンジン装置全体に断熱材を覆うことで、熱が外部へ逃げる熱ロスを防止することで、ガスエネルギーを有したエンジンとなる。この駆動エンジン装置内の状況で、複数の円錐状のガス噴出管を介して高温酸素ガスを宇宙空間に連続して噴出させるようにすれば、円錐状のガス噴出管において、所定方向の酸素ガスに整流した噴出ガスになり、良質な推力を有するエンジンとなる。このように、オゾンエンジンは、酸素ガス運動エネルギーを利用している。
駆動エンジン装置に供給するオゾンガス流量Qが10mL/minは、0.167cm3/sに相当するから、そのガス流量に占めるオゾンの全オゾンガス流量QO3は、オゾン濃度400g/m3(186700ppm)として、以下の式(7)から求められる。
QO3=Q・0.1867=0.0311(cm3/s)…(7)
また、1モルのオゾン分解熱である393(kJ)を1cm3当たりの分解熱に換算すると、17.54(J/cm3)となり、0.0311cm3/sの全オゾンガス流量QO3がオゾンの分解で得た熱エネルギー量X0は、以下の式(8)から求められる。
X0=17.54・0.0311=0.545(W)…(8)
算出したオゾンガスの分解熱エネルギー量X0=0.545(W)は、供給された酸素流量に分散され、以下の式(9)で求められる酸素ガスの平均運動エネルギーXav(W)として、マイクロ波共振チャンバー内を噴出することになる。
Xav(W)=0.1867・X0=0.102(W)…(9)
この平均運動エネルギーXav=0.102(W)は、マイクロ波共振チャンバー内の全方向に噴出する熱運動エネルギーであるため、駆動エンジン装置全体を断熱させ熱の外部への伝達を防ぎ、この平均運動エネルギーXavを所定方向に加速できる高温酸素ガスの噴出エネルギーに変換できれば、高出力の推力が得られるオゾンエンジンを実現できる。ちなみに、1Nの推力を有する物体を1m動かすエネルギーが1Jであるため、10mL/minで400g/m3のオゾンガスを分解させたオゾンエンジンの推力は、おおよそ0.102(N)相当になる。
(具体的構成)
図4は、この発明の実施の形態2であるオゾンガス利用システムの構成を示す説明図である。図4にXYZ直交座標系を示している。上述したように、オゾンガス利用装置としてオゾンガスを用いた駆動エンジン装置(オゾンエンジン)を実現している。
図4において、特に、オゾンガスの分解熱エネルギーで得た酸素ガスが噴出する運動エネルギーXav=0.102(W)を一定方向に流れる整流ガスに変換することを工夫した構造のオゾンエンジン構成と整流噴出させる動作作用について説明する。
図4において、駆動エンジンであるオゾンエンジン9001(オゾンガス利用装置)は、導波路管9003を介してマグネトロン発振器9002から発せられるマイクロ波エネルギーを受ける。導波路管9003はマグネトロン発振器9002から発するマイクロ波エネルギーを送るための導波路管である。
衛星用の光源式オゾンガス発生装置9004は、衛星用に小型化したオゾンガス発生装置であり、例えば、図3で示す光源式オゾンガス発生装置900が代表例として考えられる。光源式オゾンガス発生装置9004は、内部に光源式オゾン発生器9005aとLED光源電源9005bとを有している。
駆動エンジンであるオゾンエンジン9001(オゾンガス利用装置)の断熱材9007はオゾンエンジン9001全体を覆って形成されている。したがって、断熱材9007によってオゾンエンジン9001全体を断熱させることができる。この断熱材9007は、エンジン内をマイクロ波加熱した熱エネルギーが熱としてエンジンの外壁から熱が伝導や放射熱として逃げることを防ぐために施されている。
高濃度オゾンガス供給配管908に設けられる圧力調整用バルブ908aは光源式オゾン発生器9005a内の圧力調整用バルブであり、酸素ガス供給配管907に設けられるガス流量調整器907aは、供給される原料酸素流量を所定ガス流量値になるように制御するマスフローコントローラ等のガス流量調整器である。
光源式オゾン発生器9005aは、酸素ガス供給配管907を介して酸素ガス推進剤9006から所定の酸素ガスを原料ガスとして供給し、後述するが、実施の形態1のオゾン発生器8005aと同様な原理でオゾンガスを発生している。光源式オゾン発生器9005aから発生したオゾンガスは、ガス流量調整器907aと圧力調整用バルブ908a及び高濃度オゾンガス供給配管908を介してオゾンエンジン9001に所定流量で供給される。
オゾンガス利用装置であるオゾンエンジン9001は、酸素ガスを整流した複数の整流ガスを噴出させるための複数個の円錐状のガス噴出管9011で構成した整流ガス噴出ブロック9010とマイクロ波共振チャンバー9100とを主要構成要素として含んでいる。複数のガス噴出管9011はそれぞれ出力方向(+X方向側に配置された噴射酸素ガス909に向かう方向)に従い細くなる円錐状を呈している。
マイクロ波共振チャンバー9100に、光源式オゾンガス発生装置9004から発生したオゾンガスを供給するためのオゾンガス供給口41と導波路管9003に繋がるマイクロ波エネルギー供給口45が設けられている。
また、マイクロ波共振チャンバー9100の背面(−X方向側の面)にはオゾン分解熱で得たガスエネルギーの反作用力を緩衝させるための緩衝材9110を有している。マイクロ波共振チャンバー9100は、さらに、緩衝材9110と連結するように、凹面形状(凹レンズ形状)噴出ガス反射板9120と、ベロー管9130、共振チャンバー筒管9140及び中継部材9160とをさらに有している。なお、緩衝材9110として、発泡性を有するポリエチレン材、ウレタン材もしくは空気等のガスを閉じ込めて形成した袋材(エアーギャップ材)等が考えられる。また、緩衝材9110は断熱機能を兼ね備えた材料が望ましい。
噴出ガス反射板9120、共振チャンバー筒管9140及びベロー管9130を主要構成として収容部910が構成される。蛇腹構造を有するベロー管9130は収容部910の開口部側(+X方向側)に設けられる。このように、噴出ガス反射板9120、共振チャンバー筒管9140及びベロー管9130の組合せにより、内部にオゾンガスを収容する収容部910を実現している。
噴出ガス反射板9120、共振チャンバー筒管9140及びベロー管9130はそれぞれ内部壁面が鏡面加工される。すなわち、マイクロ波共振チャンバー9100は、収容部910の内部壁面を全面的に鏡面加工している。
マイクロ波共振チャンバー9100は、その前面部(+X方向側の部位)には、マイクロ波共振チャンバー9100内のマイクロ波を閉じ込めるために、網状のマイクロ波防止板9150が設けられる。マイクロ波防止板9150は、共振チャンバー8100内のマイクロ波が漏れるのを防ぐ。そのため噴出ガス反射板9120、共振チャンバー筒管9140、及びベロー管9130中継部材9160及びマイクロ波防止板9150で囲まれた空間がマイクロ波共振ガス加熱空間(マイクロ波キャビーティ)となる。収容部910内のこのマイクロ波共振ガス加熱空間でマイクロ波ガス加熱が成される。
このマイクロ波共振チャンバー9100には、光源式オゾンガス発生装置9004から、高濃度のオゾン濃度400g/m3のオゾンガスが約10mL/minの流量で供給される。そして、マイクロ波共振チャンバー9100は、供給されたオゾンガスに対し、導波路管9003から送られたマイクロ波エネルギーでマイクロ波加熱され、オゾンガスが分解する温度までオゾンガスを加熱させて、オゾンガスの分解熱も加味され、圧力を高めた高温酸素ガスを得るオゾンガス分解処理を実行している。
ここで、導波路管9003から送られたマイクロ波エネルギーによるマイクロ波加熱は、初期のガスを加熱してオゾンを分解させるまでの初期時間の供給だけで十分である。つまり、マイクロ波エネルギーを供給し、一旦オゾンガス分解処理工程に達すると、オゾンの分解熱で、エンジン内は高温状態を保つため、所定量のオゾンガスを供給しておれば、エンジン内の高温酸素ガスが持続して得られることになる。よって、マイクロ波エネルギーの供給は初期のみとなり、マイクロ波電力の節約やマイクロ発生装置の小容量化、軽量化の効果をもたらす。
マイクロ波共振チャンバー9100における収容部910は全内面(全内部壁面)を鏡面仕上げしており、動作開始時にマイクロ波で加熱することで、ガス流量10mL/minで供給されているオゾンガスはオゾンガスの分解熱で、マイクロ波共振チャンバー9100内は常に運動エネルギーXav=0.102(W)を持った高温酸素ガスになり、エンジンの運転維持をする。このように、マイクロ波共振チャンバー9100は実施の形態1のマイクロ波共振チャンバー8100と同様にオゾンガス分解処理を行って高温酸素ガスを得ている。また、エンジンの運転の出力制御は、供給するオゾンガス流量を制御することで行え、エンジンの運転停止は供給したオゾンガス流量を止めることで行える。
そして、整流ガス噴出ブロック9010は、高温酸素ガスを複数個の円錐状のガス噴出管9011を通過させることにより、各々が集約管911に向かう方向(所定方向)を速度ベクトルとした複数の整流ガスを得る整流ガス生成処理を実行している。
整流ガス噴出ブロック9010は、さらに、複数の整流ガスが集約管911を介することにより集約された一の噴射酸素ガス909として、例えば宇宙空間に噴出して、所定の推力を持つオゾンエンジン機能を有するようにしている。
ここで、オゾンガスの分解熱で得た運動エネルギーXavは、熱分解によるガスの運動エネルギーになるため、高温の酸素ガスはマイクロ波共振チャンバー9100の全方向に向かった運動エネルギーで加速する。そして、噴出ガス流れ方向以外のガスに対しては、1つは、オゾンエンジン9001全体を断熱材9007で覆うことにより熱が外部壁から逃げるのを防止し、かつ、チャンバー内面を鏡面化させることで、壁面に衝突した運動エネルギーを壁面にできるだけ吸収させずに反射させることで、高温の酸素ガスの向きをガス噴射方向に向きを変えさせる。また、マイクロ波共振チャンバー9100の反射板9120を凹面形状(凹レンズ形状)の鏡面にすることで、反射面に衝突した高温酸素ガスは、できるだけ並行反射されて噴射ガス流れ方向に矯正させるようになる。さらに、高温酸素ガスをチャンバー9100の内面で衝突させることにより、噴射推進方向と逆方向の反作用の推進力については、衛星自身に影響を与えないようにしている。加えて、マイクロ波共振チャンバー9100自身で吸収すべく、マイクロ波共振チャンバー9100の背面に緩衝材9110の設置とベロー管9130を設け、逆方向の推力の低減化を図っている。
これらの対策をしたマイクロ波共振チャンバー9100内の運動流れが矯正された噴射酸素ガスをマイクロ波共振チャンバー9100の前面の網状のマイクロ波防止板9150を介して複数個の円錐状のガス噴出管9011に導いている。その結果、マイクロ波共振チャンバー9100は、円錐状のガス噴出管9011から複数の整流ガスを生成する整流ガス生成処理を実行することができる。
その結果、集約管911を介して、複数の整流ガスが集約した噴射酸素ガス909が所定推力を有する推進用噴射ガスとして噴射される。以下、このメカニズムを詳述する。
マイクロ波共振チャンバー9100のオゾンガス分解処理により得られた高温酸素ガスは、内面を鏡面化した円錐状のガス噴出管9011を通すことで、噴出酸素ガスを円錐状のガス噴出管9011の内壁に弾性衝突を繰り返しながら噴出口径が小さくなり、複数のガス噴出管9011から複数の整流ガスとして得られる。さらに、複数の整流ガスが集約管911内で集約され、集約管911から宇宙空間に噴射酸素ガス909を推進用噴射ガスとして噴射させることにより、オゾンエンジン9001は安定した推力を得ることができる。
以上、実施の形態2のオゾンガス利用システムのオゾンガス利用装置として用いられるオゾンエンジン9001は、電気動力源からLED光源を介して小流量の高濃度オゾンを発生できる衛星用の光源式オゾンガス発生装置9004から受けるオゾンガスを推進剤としている。そして、オゾンガスの分解熱で得た熱運動エネルギーを供給した酸素ガスを高温酸素ガスの運動エネルギーに変換させ、マイクロ波共振チャンバー9100で加熱した高温酸素ガスによる噴出ガスの運動エネルギーの反作用力を緩衝材9110で吸収させ、さらに、この高温噴出酸素ガスを円錐状の複数のガス噴出管9011及び集約管911に通すことにより、噴射酸素ガス909を得ている。この噴射酸素ガス909は、良質な推進用噴射ガスであるため、噴射酸素ガス909を宇宙空間に噴射させることにより、オゾンエンジン9001は、指向性の良い、安定した推力を得ることができる。
このオゾンエンジン9001では、一部を電離したイオン粒子を電界加速させたイオンエンジンではなく、イオン粒子密度よりはるかに高密度で、かつ高エネルギーを有する高濃度なオゾンガスを推進剤として、オゾンの分解熱を利用した高温酸素ガスの噴出で推進力を得ている。このため、オゾンエンジン9001は、より高濃度のオゾンガスが供給できれば、より高推力のエンジンとなる。また、オゾンエンジン9001が高推力のエンジンになれば、推進剤の消費量も得られ高寿命なエンジンにできる。
イオンエンジンでは、付帯装置としては、常にマイクロ波電源(マグネトロン発振器9002)からガス粒子をイオン化させるマイクロ波エネルギーを与え、かつ、電離したイオン粒子を電界加速させるための高電圧印加させる装置が必要であったが、このオゾンエンジン9001では、小ガス流量の高濃度オゾンを発生できるオゾンガス発生装置と供給したオゾンガスを加熱させるための初期加熱するエネルギー供給のみで良い。そのため、マイクロ波電源の運転は、オゾンエンジン9001内のオゾンガス温度を高める運転開始時のみ必要で、マイクロ波電源の常時運転は不要なため、マイクロ波電源の容量は小さく出来、消費電力を低く抑えることができ、軽量なマイクロ波電源(マグネトロン発振器9002)になる。
このオゾンエンジン9001の推進剤はオゾンガスを分解して得られる高温酸素ガスであるため、安価な推進剤である。また、光源式のオゾンガス発生装置の電源容量は小さく、マイクロ波加熱によるオゾンガス加熱エネルギーも数十(W)となるため、イオンエンジンの電気容量が約250(W)であるのに比べ、オゾンエンジン9001は小電力で高推力のエンジンを得られる可能性を持つ。
このオゾンガスを用いた衛星用のオゾンエンジン9001では、高濃度のオゾンガスが望ましく、光源式オゾンガス発生装置9004で高濃度オゾンガスを出力する際、光源式オゾン発生器9005a内のガス圧力を下げれば、生成したオゾンガスが衝突で分解する量は下がる。このため、結果として、光源式オゾン発生器9005a内のガス圧力を下げることにより、高濃度のオゾンガスを取り出せることになる。特に、小流量の高濃度オゾンガスが目的であり、出力側のマイクロ波共振チャンバー9100の内圧も数十mPa程度の負圧であるため、衛星用の光源式オゾンガス発生装置9004の光源式オゾン発生器9005aでは、発生器内圧を負圧力にしたものが望ましい。
(光源式オゾンガス発生装置900の概要)
次に、オゾンガス発生装置8004の具体的構成である実施の形態1のオゾンガス利用システム1(態様(1))に対応と実施の形態2のオゾンガス利用システム2(態様(2))に対応の光源式オゾンガス発生装置900について説明する。
一般的にオゾンガス発生装置は誘電体バリア放電を用いた放電式オゾンガス発生装置が採用される。しかし、放電式オゾンガス発生装置では、放電させるための高周波高電圧の交流電源が必要で、オゾンを発生させるためのオゾン用電源が大きくなる問題点がある。また、オゾン発生器の構造も複雑で大きくなるとともに、オゾン発生部は、大気圧よりも高い加圧状態で放電をさせ、オゾンガスを発生させるため、大気圧よりも低い負圧状態でオゾンガスが生成できないなどの問題点がある。さらに、放電による放電面のスパッタや劣化が大きいなどの問題点もある。
そのため、小流量の酸化剤ガスを用いた熱酸化処理装置や小流量のCVD法を用いた半導体ウェハーの酸化膜形成装置(態様(1))のために用いる小型オゾンガス発生装置や宇宙等の特殊環境下における極小流量・高濃度オゾンガスによる推進力を得る推進装置となるオゾンガス利用装置(態様(2))として、放電式オゾンガス発生装置を採用することは、発生器コストが高くなることや装置が大きくなる等の問題点があり、ガス流量が小流量に対応困難である面があって、メリットがなかった。
そこで、本実施の形態では、小流量のCVD法を用いた半導体ウェハーの酸化膜形成装置(態様(1))や極小流量・高濃度オゾンガスによる推進力を得る推進装置としてオゾンガス利用装置(態様(2))に適した小型オゾンガス発生装置の具体的構成として、光源の光エネルギーを用いた、新タイプの光源式オゾン発生器とオゾン用電源とからなるオゾンガス発生装置を採用している。以下、光源式オゾンガス発生装置について、図2及び図3に従って説明する。
(光源式オゾンガス発生装置900の詳細)
図2は、前述したようにこの発明の実施の形態1のオゾンガス発生装置8004として適用可能な光源式オゾンガス発生装置900の実施構成例を示す説明図である。
図2に示す光源式オゾンガス発生装置900は、オゾン利用システムの態様(1)や態様(2)を用いた酸化膜形成をオゾンガス利用装置で行う場合に適しており、小流量、かつ減圧状態で、高濃度のオゾンガスを発生できる小型の光源式オゾンガス発生器構成例である。
光源式オゾン発生器901は、光源と光触媒の酸素解離能力を組合せた、直接光を発する光源からの光エネルギーを利用したオゾン発生器である。より詳細には、光を発する光源の光波長を、光照射によって光触媒の活性化が可能な特定波長範囲を有する波長の照射光を発することのできるLED光源(LED素子704)を並べる。この並べたLED光源に対向した位置に、光触媒物質(光触媒膜2a)を構成材料とした光触媒膜を配置することで、光触媒膜の光触媒物質を活性化させる、この活性化した光触媒膜の触媒能力によって、酸素ガスを解離させ、解離した酸素原子と酸素分子との衝突結合作用でオゾンガスを生成できるように光源式オゾン発生器901を構成している。
図2において、光源式オゾンガス発生装置900内に、小流量で高濃度のオゾンガスを発生できる小型の光源式オゾン発生器901を有している。この光源式オゾン発生器901が図1のオゾン利用システム1の態様(1)の光源式オゾン発生器9005aに対応する。
さらに、図2で示す光源式オゾン発生器901を、より小ガス流量、低圧力下に対応し、より軽く、かつ小型化したオゾン発生器構成に改善工夫をすれば、オゾン利用システムの態様(2)の光源式オゾン発生器9005aにも適したオゾン発生器構造となる。
また、オゾン利用システム1の態様(1)の光源式オゾン発生器901では、マイクロ波共振チャンバー8100の内圧は、数十Pa〜数千Pa程度の低い負圧(真空圧)であるため、マイクロ波共振チャンバー8100内へ送り込む高濃度オゾンガスの吐出圧力が、マイクロ波共振チャンバー8100の内圧の数百倍以上の数kPa〜数十kPa未満程度の負圧状態で、ガス流量1L/min程度の小流量のオゾンガスを光源式オゾン発生器901から出力できる。
なお、オゾン利用システム2の態様(2)の光源式オゾン発生器901では、マイクロ波共振チャンバー8100の内圧は、数十mPa程度の非常に低い負圧(低真空圧)であるため、マイクロ波共振チャンバー8100内へ送り込む高濃度オゾンガスの吐出圧力が、マイクロ波共振チャンバー8100の内圧の数百倍以上である数Pa以上の負圧状態であっても、ガス流量10mL/minの小流量のオゾンガスを光源式オゾン発生器901から出力できる。
また、オゾン利用システムの態様(1)及び態様(2)におけるオゾン発生器901は、光源式オゾン発生器901の動作圧力が低いほど、生成したオゾンガスの粒子間衝突によるオゾン分解も少なく、高濃度のオゾンガスを取り出せるメリットが生じる。そのため、光源式オゾン発生器901のオゾン生成能力に影響が少ないのであれば、動作圧力が低いほど良く、大気圧以下の負圧でのオゾン発生器の動作圧力が望ましい。
したがって、オゾン利用システム1の態様(1)の光源式オゾン発生器901のガス内圧GPにおいては、出力するガス流量1L/min程度の小流量を十分に吐出できる圧力であればよく、半導体ウェハーの酸化膜装置用の光源式のオゾン発生器901のガス内圧Pは負圧状態(真空条件下)でオゾンを生成しても、十分所定ガス流量が流せることになる。
一方、オゾン利用システム2の態様(2)の光源式オゾン発生器901のガス内圧GPにおいては、より小ガス流量の10mL/minが流せる十分に吐出できる圧力であればよく、光源式オゾン発生器901のガス内圧Pはより負圧状態(真空条件下)でオゾンを生成しても、十分所定ガス流量が流せることになる。
図2で示すオゾン利用システムの態様(1)の光源式オゾン発生器901においては、光源式オゾン発生器901内の圧力GPを13.2kPa(100Torr)の真空容器にした発生器外管703とし、発生器外管703の上流部に発生器外管703内に内管705を、オゾン生成空間3のガスギャップ長を約数mm空けたガス空間用スペーサ1cで支えて配置している。
一方、オゾン利用システム2の態様(2)の光源式オゾン発生器901においては、光源式オゾン発生器901内の圧力GPを3.95kPa(30Torr)の真空容器にした発生器外管703とし、発生器外管703内の上流部703Aに内管705を、オゾン生成空間3のガスギャップ長を約数mm空けたガス空間用スペーサ1cで支えて配置している。そして、発生器外管703の下流部は、円錐状の空間を形成し、円錐状の頂部からオゾン発生器内で生成した高濃度のオゾンガスがオゾン発生器内の圧力調整用バルブ908aを介して高濃度オゾンガス供給配管908へ出力される。したがって、光源式オゾン発生器901は、オゾン利用システム1の態様(1)の酸素噴出装置9001もしくは、オゾン利用システム2の態様(1)の衛星用の酸素ガス噴射装置8001に所定流量の高濃度のオゾンガスを供給することができる。
光源式オゾン発生器901において、原料ガスである酸素ガスは、酸素ガス供給配管907からオゾン発生器内の発生器外管703と内管705間のオゾン生成空間3を通過する。この発生器外管703の上流部803Aには複数個のLED素子704を直並列配置したLED光源群1bで覆われる。
LED光源群1bを構成する複数のLED素子704は、LED点灯用電源902から供給される駆動電圧VDCによって点灯/消灯が制御される。点灯時におけるLED光源群1bからのLED光の照射により、発生器内管705の外面に塗布された光触媒膜2aがLED光の光エネルギーを吸収して、活性化状態である光触媒状態になっている。
この光触媒状態なっている光触媒膜2aを流路面としたオゾン生成空間3内の通過することで、原料ガスである酸素ガスは、酸素原子に解離される。
解離された酸素ガスは、このギャップ間でも酸素ガスとの衝突反応でオゾンガスが生成されるが、オゾン利用システム1の態様(1)においては、オゾン発生器内のガス圧GPが真空状態の13.2kPa(100Torr)と低くなり、また、オゾン利用システム2の態様(2)においては、オゾン発生器内のガス圧GPが真空状態の3.95kPa(30Torr)と非常に低いガス圧力状態となる。したがって、オゾン生成空間3でのオゾン生成反応は低くなり、解離された酸素原子の多くは、発生器外管703の上流部703Aを通過して、発生器外管703の下流部703Bの円錐空間に到達する。
下流部703Bの円錐空間のオゾン生成部では、ガス断面積(図2の上下方向に沿った断面における断面積に相当)が大きくなったことで、ガス流速が遅くなることにより、オゾン生成するための酸素原子と酸素分子との衝突によるオゾン生成反応が促進され、この部分で高濃度のオゾンガスが生成される。
また、通常の放電式オゾン発生器において、オゾンガスの取出し部の圧力は、所定の放電を維持させるために200kPa程度の高圧力であるため、オゾン発生器内で高濃度のオゾンガスが生成されても、オゾン発生器内や取出し配管部でオゾンガスは衝突し、取出しオゾン濃度が低くなる問題点があった。
一方、オゾン利用システムの態様(1)や態様(2)用の光源式オゾン発生器901においては、発生器内の圧力GPを態様(1)においては、ガス流量を1L/min程度の小流量で、13.2kPa(100Torr)程度の真空圧力状態に保ち、態様(2)においては、ガス流量を10mL/minの極小流量で、3.95kPa(30Torr)の真空圧力状態でのオゾン発生が可能にしている。このため、光源式オゾン発生器901内で生成した高濃度のオゾンガスは、ガスとの衝突頻度が非常に小さくなる利点が生じ、その結果、発生器外管703の下流部703Bで生成した高濃度オゾンガスがほとんど分解されずに取り出せる効果が生じる。
図3は、前述したように、図2のオゾン利用システムの態様(1)や態様(2)用の光源式オゾン発生器901内の構成部となるLED光源群1b及びLED点灯用電源7002の内部構成を示す説明図である。LED光源群1bが図2の複数のLED素子704に対応し、LED点灯用電源7002が図2のLED点灯用電源902に対応する。
図3のLED点灯用電源7002は、商用交流電源(AC200V)を一旦、AC−DCコンバータ7007でDC電圧に変換し、DC電圧をパワートランジスタ7006のコレクタに付与している。そして、所定周期のチョパーパルス幅で制御して間欠点灯するための駆動電圧である出力電圧VDCがパワートランジスタ7006のエミッタから付与される。
LED光源群1bの間欠点灯周期は、LED点灯用電源7002内の制御回路7008で可変信号が出力され、その信号がゲート回路7009を介して、パワートランジスタ7006のゲートに付与され、パワートランジスタ7006をON/OFF制御することにより設定することができる。すなわち、パワートランジスタ7006のON時にLED光源群1bは点灯し、OFF時にLED光源群1bは消灯する。
LED光源群1bをできるだけ高周波で間欠点灯させることにより、点灯時に光触媒作用を促進させ、消灯時に分子結合作用(解離した酸素原子と酸素ガスとの衝突でオゾンガスを生成させる作用)のみを促進させるようにすることができる。
制御回路7008では、外部からの間欠点灯パルス幅制御信号PWMを受けて、LED光源群1bの点灯時間を可変制御して、LED光源群1bの出力電力が可変設定される結果、LED光源群1bの発光照度が可変制御される。LED光源群1bの発光照度を制御することにより、光源式オゾン発生器7001からから取出せるオゾンガス濃度も制御することができる。
図3に示すように、LED光源群1bは、複数のLED素子704を直並列接続することにより構成している。
例えば、オゾン利用システム1の態様(1)のLED点灯用電源7002においては、駆動電圧12V,3WのLED素子を数十個(X個)直列に配線し、この直列配列したLED素子を数十個(Y個)並列に配線した構成にした。総LED素子数は数百(X個×Y個)個程度のLED素子704によりLED光源群1bで構成すると、LED点灯用電源7002が出力する出力電圧VDCは約100V〜数百V、出力電流は約十A未満程度、出力電力は数kW未満程度の容量電源となる。
また、オゾン利用システムの態様(2)のLED点灯用電源7002においては、駆動電圧12V,3WのLED素子を数十個(X個)直列に配線し、この直列配列したLED素子を数個(Y個)並列に配線した構成にした。総LED素子数は数十(X個×Y個)個程度のLED素子704によりLED光源群1bで構成すると、LED点灯用電源7002が出力する出力電圧VDCは駆動電圧12VのX倍のDC電圧で十分であり、出力電流は約A未満程度、出力電力は3Wの(X・Y)倍の出力電力は数百W未満程度の極小容量電源となる。
また、LED素子704の最大運転点灯率を70%とすると、オゾン利用システム1の態様(1)のLED点灯用電源7002においては、LED光源群1bには、数百W程度の電力が注入されることになり、オゾン利用システムの態様(2)のLED点灯用電源7002においては、LED光源群1bには、数十W程度の電力が注入されることになる。LED素子の発光効率は、光波長が短い程、低くなる傾向にあり、一般的に620nm以下の可視光〜約300nm程度の特定波長範囲を満足するLED光を照射するLED光源群1bでは、LED素子704の発光効率は25%〜35%程度と言われている。オゾンを生成するための光触媒材に吸収させるLED光の特定波長範囲は、300nm以上600nm以下に設定することが望ましい。
したがって、LED光源群1bで照射される光電力は、LED素子704に投入した電力の25%〜35%が光触媒膜2aを活性化させるのに使われ、65%〜75%の電力が熱ロスとして、光源式オゾン発生器7001の容器、光触媒膜2a及びガスの温度アップ要因になる。そのため、LED光源群1bの熱ロス分の熱(温度上昇)を取り除くためには光源式オゾン発生器7001は、風冷、水冷冷却もしくは伝熱冷却で冷却させることが望ましい。
なお、図2で示す光源式オゾン発生器7001に設置したLED光源群1bの冷却については、オゾン利用システムの態様やLED点灯用電源7002等によって様々な最適な方式がある。そのため、冷却方法や冷却構造についての記載は省略する。
直並列配置したLED光源群1bは、並列に数列で、直列に数段の配置でLED素子704である発光ダイオードが直列配置することで、商用電圧に対応したDC電圧の印加と数Aの電流を間欠運転で流すことで、LED光源群1bを点灯、点滅を高周期で繰り返し、光触媒膜2aを光触媒状態(励起状態)にさせ、連続的に高濃度オゾンガスを出力させることができる。
また、通常の放電式オゾン発生器においては、オゾンガスの取出し部の圧力は、放電させるには高圧力が必要であったが、光源式のオゾン発生器においては、供給するガス圧力が低くてもオゾン発生が可能になったことで、生成した高濃度のオゾンガスは、ガスとの衝突頻度が非常に小さくなる利点が生じ、その結果、オゾン生成部で生成した高濃度オゾンがほとんど分解されずに高濃度のオゾンガスを出力させることができる。
光源式のオゾン発生装置は、小流量の酸素ガスで、LED光源と光触媒膜を対向させたシンプルなオゾン発生器で構成した発生器のため、放電式のオゾン発生器に比べ、非常にコンパクトで、軽いオゾン発生器にできる。また、オゾン発生させるための電源もLED光源の駆動電源であるため、駆動電圧が低く、電源容量も非常に小さい電源になり、電源の制御性も容易に行えるメリットが生じる。
本実施の形態で用いる光源式のオゾン発生装置として、光源式オゾン発生セルの光源部をLED光源とした例を示したが、LED光源部の代わりに光を受光する光ファイバーを設置した光源式オゾン発生セル構成にすれば、光ファイバーで特定波長のレーザ光や太陽光を受光して、光源式オゾン発生セルの光触媒面にそのレーザ光や太陽光を照射して目的のオゾンガスを生成する光源式のオゾン発生装置にすることも可能である。
このレーザ光を採用した光源式のオゾン発生装置では、発光する光波長が特定され、かつ指向性の良い光であるため、効率良く光触媒面に照射でき、効率良いオゾン生成ができるメリットがある。
また、レーザ光のレーザ装置としては、固体レーザ発振器を用いたものが小型化でき、レーザ光の波長選定にも適しており望ましい。
さらに、光を導く手段として、光ファイバーを用いれば、遠隔からオゾン発生器への供給が可能になる。例えば、太陽からの光を直接光ファイバーに受光させて、その太陽光エネルギーからオゾンガスを発生させられることも可能になり、光源式のオゾン発生装置をより小さく、軽くできる効果が生じる。したがって、光ファイバーで太陽光を受光して、光源式オゾン発生セルの光触媒面に太陽光を照射して目的のオゾンガスを生成すれば、宇宙空間で、オゾン発生のためのオゾン電源が不要になり、宇宙航行用の駆動エンジンとしてより適した宇宙航行用の駆動エンジンにできる。
(実施の形態1の効果)
以下、図1〜図3を参照して説明した実施の形態1のオゾンガス利用システム1の効果について説明する。
実施の形態1のオゾンガス利用システム1におけるオゾンガス利用装置である酸素ガス噴射装置8001は、上述したオゾンガス分解処理を実行するマイクロ波共振チャンバー8100と、上述した整流ガス生成処理を実行する整流ガス噴出ブロック8010を主要構成部として有することを特徴としている。
オゾンガス利用システム1は上記特徴を有するため、酸素ガス噴射装置8001は、比較的高濃度で比較的大流量なオゾンガスを受けることにより、複数の噴射酸素ガス809(少なくとも一つの整流ガス)を図1の+Z方向(所定方向)に沿って外部に噴射することができる。
すなわち、オゾンガス利用システム1は、オゾンガス利用装置である酸素ガス噴射装置8001内で発生した分解酸素ガスに基づき、整流ガス噴出ブロック8010は、各々が+Z方向の速度ベクトルと指向性のあるガスである、複数の噴射酸素ガス809を外部に噴射することができる。したがって、複数の噴射酸素ガス809を半導体製造装置のウェハー面に吹き付けることで、ウェハー面の良質なCVD酸化膜形成や熱酸化膜形成等の多様な半導体製造装置として活用することができる。
具体的には、酸素ガス噴射装置8001は、複数の噴射酸素ガス809を受けるようにウェハーテーブル8202(所定の被対象物)を配置する整流ガス利用部を有する酸化処理チャンバー8200をさらに含んでいる。
したがって、オゾンガス利用システム1は、酸素ガス噴射装置8001において発生した分解酸素ガスが、最終的に各々が+Z方向に沿った速度ベクトルを有する複数の噴射酸素ガス809としてウェハー8201に向けて噴射されることにより、ウェハー8201に対する上述した酸化処理を行ったり、ウェハー8201に対する洗浄処理を行ったりすることができる。
なお、上記効果は、一つのガス噴出管8011から一の噴射酸素ガス809を構成でも発揮することができる。すなわち、少なくとも一つのガス噴出管8011から少なくとも一つのの噴射酸素ガス809を噴射する構成であれば、上記効果を達成することができる。
さらに、マイクロ波共振チャンバー8100は収容部810の内部壁面を全面的に鏡面加工している。
したがって、オゾンガス利用システム1は、マイクロ波共振ガス加熱空間でのマイクロ波加熱の実行によってオゾン分解させる際に発生する熱エネルギーを、収容部810の外部に逃がすことなく内部壁面の鏡面で反射させることができる。
このため、オゾンガス利用システム1は、オゾンの分解エネルギーを無駄なく有効に利用して最終的に複数の噴射酸素ガス809を精度良く得ることができる。
さらに、マイクロ波共振チャンバー8100は、収容部810の内部壁面のうち、噴射酸素ガス809の+Z方向(所定方向)と反対方向側の+Z方向側に設けられる背面側壁面の形状を凹面形状(凹レンズ形状)にしている。
このように、オゾンガス利用システム1は、収容部810の内部壁面のうち背面側壁面の形状を凹面形状にしているため、収容部810においてマイクロ波加熱によるオゾンガス分解処理を実行する際に発生する熱エネルギーを外部に逃がすことなく、収容部810の背面で反射させることにより、オゾンの分解エネルギーを有効に利用して、効率的に複数の噴射酸素ガス809を得ることができる。
オゾンガス利用システム1は、オゾンガス利用装置である酸素ガス噴射装置8001の全面を断熱材8007等の断熱材で覆っている。すなわち、マイクロ波共振チャンバー8100の全面を断熱材8007で覆い、整流ガス噴出ブロック8010の全面を図1で図示しない断熱材で覆っている。
このため、オゾンガス利用システム1は、マイクロ波共振ガス加熱空間でのマイクロ波加熱の実行によってオゾン分解させる際に発生する熱エネルギーを、収容部810の壁面から外部に熱伝導や熱放射で熱として逃がすことなく内部壁面の鏡面で反射させることができる。
加えて、オゾン発生器8005a内の光源式オゾン発生セルは、照射する光の特定波長範囲を300nm以上620nm以下の光波長を含む光源部と上記特定波長範囲を吸収する光触媒膜とを備えた構成により、オゾンを発生させている。このため、オゾンガス発生装置から出力するオゾンガスの出力ガス圧力を低圧力下できるともに小ガス流量で高濃度のオゾンガスを酸素ガス噴射装置8001に供給することができる。また、オゾン発生装置8004をコンパクト化でき、低価格の装置とすることができる。
さらに、光源部から照射する光の所定範囲を「300nm以上600nm以下」の比較的長波長の可視光〜紫外光の波長範囲に設定することにより、光触媒膜を活性化する光強度の照射光を照射する光源部として、通常のLED光を照射するLED光源を比較的容易に用いることができる。
(実施の形態2の効果)
図4で示した実施の形態2のオゾンガス利用システム2の効果について説明する。
実施の形態2のオゾンガス利用システム2におけるオゾンガス利用装置であるオゾンエンジン9001は、上述したオゾンガス分解処理を行うマイクロ波共振チャンバー9100と、上述した整流ガス生成処理を実行する整流ガス噴出ブロック9010を主要構成部として有することを特徴としている。
オゾンガス利用システム2は上記特徴を有するため、オゾンエンジン9001が、比較的高濃度で比較的大流量なオゾンガスを受けることにより、複数のガス噴出管9011を通過して得られる複数の整流ガスはそれぞれ集約管911に向かう方向を所定方向とした速度ベクトルとなる。
すなわち、オゾンガス利用システム2において、オゾンガス利用装置であるオゾンエンジン9001内で発生した分解酸素ガスに基づき、整流ガス噴出ブロック9010は上記所定方向に沿った速度ベクトルを有し指向性のある複数の整流ガスを集約して外部(宇宙空間)に噴出させている。このため、オゾンガス利用システム2自身が宇宙衛星用の推進エンジン等の多様な推進装置として活用することができる。
また、宇宙衛星用の推進エンジン等の多様な推進装置としてのオゾンエンジン9001は、供給したオゾンガスを加熱させるための初期加熱するためのマイクロ波エネルギー供給のみで良い。そのため、マイクロ波電源の運転は、オゾンエンジン9001内のオゾンガス温度を高める運転開始時のみ必要で、マイクロ波電源の常時運転は不要なため、マイクロ波電源の容量は小さく出来、消費電力を低く抑えることができ、軽量なマイクロ波電源(マグネトロン発振器9002)にすることができる。
具体的には、整流ガス噴出ブロック9010において、複数のガス噴出管9011はその出力部が集約管911に連通するように設けられる。すなわち、複数のガス噴出管9011から出力される複数の整流ガスが集約管911内で集約して噴射酸素ガス909として出力させるように、複数のガス噴出管9011及び集約管911は配置される。
したがって、オゾンガス利用システム2は、推進用噴射ガスである噴射酸素ガス909を推進エネルギーとしたオゾンエンジン9001としてオゾンガス利用装置を活用することができる。
さらに、マイクロ波共振チャンバー9100は収容部910(噴出ガス反射板9120+共振チャンバー筒管9140+ベロー管9130)の内部壁面を全面的に鏡面加工している。
したがって、オゾンガス利用システム2は、マイクロ波共振ガス加熱空間でのマイクロ波加熱の実行によってオゾン分解させる際に発生する熱エネルギーを、収容部910の外部に逃がすことなく内部壁面の鏡面で反射させることができる。
このため、オゾンガス利用システム2は、オゾンの分解エネルギーを無駄なく有効に利用して最終的に一つに集約された噴射酸素ガス909(推進用噴射ガス)を精度良く得ることができる。
さらに、マイクロ波共振チャンバー9100は、収容部910の内部壁面のうち、複数のガス噴出管9011を通過する複数の整流ガスが集約管911に向かう+X方向(所定方向)と反対方向側に設けられる背面側壁面の形状を凹面形状(凹レンズ形状)にしている。
このように、オゾンガス利用システム2は、収容部910の内部壁面のうち背面側壁面の形状を凹面形状にしているため、マイクロ波共振ガス加熱空間において、マイクロ波加熱によるオゾンガス分解処理を実行する際に発生する熱エネルギーを外部に逃がすことなく、収容部910の背面で反射させることにより、オゾンガスの分解エネルギーを有効に利用して、効率的に噴射酸素ガス909を得ることができる。
オゾンガス利用システム2は、オゾンガス利用装置であるオゾンエンジン9001の全面を断熱材9007によって覆っている。すなわち、マイクロ波共振チャンバー9100及び整流ガス噴出ブロック9010それぞれの全面を断熱材9007で覆っている。
このため、オゾンガス利用システム2は、マイクロ波共振ガス加熱空間でのマイクロ波加熱の実行によってオゾン分解させる際に発生する熱エネルギーを、収容部910の壁面から外部に熱伝導や熱放射で熱として逃がすことなく内部壁面の鏡面で反射させることができ、効率の良い軽量のオゾンガス利用システム装置自身が宇宙衛星用の推進エンジンとして利用できる。
加えて、マイクロ波共振チャンバー9100は、集約管911を構成する共振チャンバー筒管9140の開口部側に連続して設けられるベロー管9130と、集約管911の収容部の背面の外側(−X側)に設けられた緩衝材9110とをさらに含んでいる。
そのため、オゾンガス利用システム2内で得た高温酸素ガスを反射させた場合に生じるオゾンガス利用システム2の反作用力をベロー管9130と緩衝材9110で吸収することができ、宇宙衛星用の性能が良い推進エンジンとして活用できる。
上述したように、オゾンガス利用システム2は、推進用噴射ガスである噴射酸素ガス909の噴射によって生じるオゾンエンジン9001自身の推力に対する反作用の推力をベロー管9130と緩衝材9110で吸収し抑制することができる。このため、オゾンガス利用システム2は、オゾンエンジン9001を宇宙航行用の駆動エンジンとして用いる場合に適した構造となる。
また、実施の形態2のオゾンエンジン9001の内圧を数十mPa以上、数十kPa以下の大気圧より低い負圧状態に設定している。
このため、オゾンガス利用装置であるオゾンエンジン9001の収容部91内の内圧を大気圧より低い負圧状態にして、光源式オゾン発生装置9004側で供給するオゾンガスが少量になるように制御したり、オゾンガス濃度が所定の濃度になるように制御したりすることにより、宇宙航行用の駆動エンジンとして適したオゾンエンジン9001の推力を得ることができる。なお、光源式オゾン発生装置9004に、オゾンガスの流量制御及び濃度制御の機能を待たせることは、既存技術を利用して比較的容易に行うことができる。
したがって、オゾンガス利用システム2は、オゾンエンジン9001を宇宙航行用の駆動エンジンと用いる際により適したシステムとなる。
また、オゾンガス利用装置であるオゾンエンジン9001が受けるオゾンガスの濃度が100g/m3以上の範囲に設定されるように、光源式オゾン発生装置9004側にて供給するオゾンガス濃度を制御している。前述したように、光源式オゾン発生装置9004に、オゾンガスの濃度制御機能を待たせることは、既存技術を利用して比較的容易に行うことができる。
オゾンエンジン9001は比較的高濃度なオゾンガスを受けることができるため、オゾンガス利用システム2は宇宙航行用の駆動エンジンとして用いる場合に適したシステムとなる。
さらに、オゾンガス利用システム2は、オゾンエンジン9001に供給するオゾンガスの供給圧力を大気圧以下の圧力に設定している。
実施の形態2のオゾンガス利用システム2は、オゾンエンジン9001を大気圧より低い低圧力状態で動作させることができるため、オゾンエンジン9001を宇宙航行用の駆動エンジンとして用いる場合に適したシステムとなる。
加えて、オゾン発生器9005a内の光源式オゾン発生セルに関し、光源部から照射する光の特定波長を300nm以上に設定することにより照射光を受ける光触媒膜が活性化するため、酸素ガス解離処理を支障無く行うことができる。
加えて、オゾン発生器9005a内の光源式オゾン発生セルは、照射する光の特定波長範囲を300nm以上620nm以下の光波長を含む光源部と上記特定波長範囲を吸収する光触媒膜とを備えた構成により、オゾンを発生させている。このため、オゾンガス発生装置から出力するオゾンガスの出力ガス圧力を低圧力下できるともに小ガス流量で高濃度のオゾンガスを利用した宇宙航行用の駆動エンジンに供給することができる。また、オゾンガス発生装置をコンパクト化でき、低価格の装置になる。
さらに、光源部から照射する光の所定範囲を「300nm以上600nm以下」の比較的長波長の可視光〜紫外光の波長範囲に設定することにより、光触媒膜を活性化する光強度の照射光を照射する光源部として、通常のLED光を照射するLED光源を比較的容易に用いることができる。
また、この光源式オゾン発生セルの光源部として、LED光源部の代わりに光を受光する光ファイバーを設置した光源式オゾン発生セル構成にすれば、光ファイバーで、レーザ装置の特定波長にしたレーザ光を受光して、光源式オゾン発生セルの光触媒面に特定波長レーザ光を照射すれば、より効率の良いオゾンガスを生成ができる。
さらに、この光源式オゾン発生セルの光源部として、LED光源部の代わりに光を受光する光ファイバーを設置した光源式オゾン発生セル構成にすれば、光ファイバーで太陽光を受光して、光源式オゾン発生セルの光触媒面に太陽光を照射して目的のオゾンガスを生成すれば、宇宙空間で、オゾン発生のためのオゾン電源が不要になり、宇宙航行用の駆動エンジンとしてより適した宇宙航行用の駆動エンジンにできる。
なお、LED光の代わりにレーザ光あるいは態様光を用いる効果は、実施の形態1のオゾン発生装置8004にも適用することができる。
なお、本発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略したりすることが可能である。