以下、添付図面を参照しながら各実施例について詳細に説明する。
図1Aは、一実施例による車載用表示装置1(車載報知装置の一例)の実装状態を概略的に示す図である。図1Bは、車載用表示装置1を含むシステム2の一例を概略的に示すシステム構成図である。図2は、車載用表示装置1のハードウェア構成の一例を示す図である。図2には、車載用表示装置1に接続される、ECU(Electronic Control Unit)4、外部携帯機器40、及びヘッドセット機器50が、併せて示される。
車載用表示装置1は、図1Aに示すように、車両(図1Aでは自動二輪車)Vに搭載される。以下では、「ユーザ」とは、車載用表示装置1が搭載される車両Vのユーザを指す。車両Vのユーザは、典型的には、車両Vの運転者である。車載用表示装置1が搭載される車両Vは、任意の種類の車両であるが、図1Aに示すように、自動二輪車である場合が好適である。自動二輪車の場合、一般的に、車載用表示装置1上の表示を介して伝達できる情報が、乗用車のメータやディスプレイ上の表示に比べて有意に少なく、その分だけ車載用表示装置1による音声による報知(後述)の重要性が高いためである。
なお、車載用表示装置1が搭載される車両Vは、ユーザにより操作される手動操作部7を備える。手動操作部7は、押しボタンや回転式のスイッチの形態であってもよいし、タッチスイッチの形態であってもよい。タッチスイッチの場合、手動操作部7は、車載用表示装置1の表示部1dにより実現されてもよい。
また、車両Vは、後述する外部携帯機器40やヘッドセット機器50のバッテリを充電可能な充電ポート(図示せず)を備えてもよい。この場合、充電ポートに接続される外部携帯機器40やヘッドセット機器50のバッテリは、車両Vのバッテリからの電力に基づいて充電可能である。
システム2は、図1Bに示すように、車載用表示装置1と、ECU4と、外部携帯機器40と、ヘッドセット機器50とを含む。
車載用表示装置1は、図2に示すように、制御部1aと、無線通信部1bと、音声出力部1cと、表示部1dと、有線通信部1eとを含む。
制御部1aは、車両用メータのマイコン(マイクロコンピュータの略)からなり、入出力インターフェースやCPU、ROM、RAMを有する。制御部1aは、描画処理や音声報知処理を実行する。描画処理は、無線通信部1bと有線通信部1eから入力されたコンテンツ情報や、機器情報、車両情報等を表示部1dに表示させる処理である。音声報知処理は、音声出力部1c又は無線通信部1bを介してヘッドセット機器50に音声出力させる処理である。音声出力の対象は、後述するバッテリ残量情報を含むが、他の任意の情報を更に含んでよい。
無線通信部1bは、Bluetooth(登録商標)やWi−Fiといった無線通信方式を用いて、外部携帯機器40から機器情報を受信する。機器情報は、外部携帯機器40のバッテリ残量を表すバッテリ残量情報を含むが、他の情報を含んでもよい。その他、無線通信部1bは、同様の無線通信方式を用いて、NAVI(ナビゲーション)情報、音楽情報等のコンテンツ情報を受信してよい。また、無線通信部1bは、同様の無線通信方式を用いて、外部携帯機器40に、車両情報等を送信してもよい。
また、無線通信部1bは、同様の無線通信方式を用いて、ヘッドセット機器50より、ヘッドセット機器50の機器情報を受信する。機器情報は、ヘッドセット機器50のバッテリ残量を表すバッテリ残量情報を含むが、他の情報を含んでもよい。その他、無線通信部1bは、同様の無線通信方式を用いて、ヘッドセット機器50より、ユーザからの音声操作情報(例えば発話データ)を受信する。また、無線通信部1bは、同様の無線通信方式を用いて、ヘッドセット機器50に、ユーザへの報知に係る音声データ(例えば、後述のバッテリ残量音声データ)を送信する。なお、ヘッドセット機器50との間の通信は、無線通信部1bに代えて、有線通信部1eが利用されてもよい。
音声出力部1cは、例えば、スピーカーからなり、コンテンツ情報や、機器情報、車両情報等を音声出力する。
表示部1dは、例えば、カラーTFT液晶(Thin−Film−Transistor Liquid−Crystal Display)からなり、コンテンツ情報や、機器情報、車両情報等を表示する。
有線通信部1eは、例えば、ECU4から車両情報を受信する。車両情報は、車両Vの走行状態を表す情報(例えば車速情報)を含んでよい。なお、ECU4は、複数個設けられてもよい。
車載用表示装置1は、外部携帯機器40及びヘッドセット機器50からのバッテリ残量情報に基づいて、外部携帯機器40及びヘッドセット機器50のそれぞれのバッテリ残量を、表示部1dを介して表示するバッテリ残量表示処理を行う。バッテリ残量表示処理は、常時、バッテリ残量情報の取得タイミングごとに更新される態様で実行されてもよいし、ユーザからの要求に応じて実行されてもよい。また、変形例では、バッテリ残量表示処理は、省略されてもよい。例えば、表示部1dに十分な表示スペースがない場合、バッテリ残量表示処理は、省略されてもよい。
また、車載用表示装置1は、外部携帯機器40及びヘッドセット機器50からのバッテリ残量情報に基づいて、外部携帯機器40及びヘッドセット機器50のそれぞれのバッテリ残量を、音声出力部1cを介して音声出力するバッテリ残量音声出力処理を行う。バッテリ残量音声出力処理は、バッテリ残量情報の取得タイミングごとに実行されてもよいし、ユーザからの要求に応じて実行されてもよい。また、変形例では、ヘッドセット機器50が接続された状態においては、音声出力部1cを介したバッテリ残量音声出力処理は省略されてもよい。これは、ヘッドセット機器50が接続された状態では、音声出力部1cから出力される音声は、ヘッドセット機器50で耳が塞がれたユーザには可聴でない可能性が高いためである。
また、車載用表示装置1は、ヘッドセット機器50が接続された状態では、外部携帯機器40及びヘッドセット機器50からのバッテリ残量情報に基づいて、外部携帯機器40及びヘッドセット機器50のそれぞれのバッテリ残量を、ヘッドセット機器50を介して音声出力するバッテリ残量音声出力処理を行う。以下、区別のため、音声出力部1cを介したバッテリ残量音声出力処理を、「通常報知処理」と称し、ヘッドセット機器50を介したバッテリ残量音声出力処理を、「ヘッドセット報知処理」と称する。ヘッドセット報知処理の詳細は後述する。
ECU4は、例えば車両Vの走行に関する各種制御を行う。なお、ECU4は、複数のECUから実現されてもよい。
外部携帯機器40は、スマートフォンや携帯電話、タブレット端末、ウェアラブルデバイス等である。外部携帯機器40は、ユーザにより所持又は付帯され、又は、車両Vの所定箇所(例えばクレイドル)に載置される。外部携帯機器40は、充電可能なバッテリを内蔵し、当該バッテリからの電力に基づいて動作する。外部携帯機器40は、車載用表示装置1との間で、Bluetooth(登録商標)やWi−Fiといった無線通信方式を用いて各種通信を行う。本実施例では、一例として、外部携帯機器40は、上述したように機器情報(外部携帯機器40のバッテリ残量を表すバッテリ残量情報を含む情報)を車載用表示装置1に送信する。機器情報に含まれるバッテリ残量情報の送信タイミングは、任意であるが、例えば所定時間ごとであってもよいし、バッテリ残量が所定残量以下になった場合であってもよい。所定残量は、例えば20%や10%といったように、複数設定されてもよい。
外部携帯機器40が車載用表示装置1に接続された状態では、ユーザは、車載用表示装置1を介して、外部携帯機器40の各種機能を実現できる。例えば、ユーザは、車載用表示装置1を介して、外部携帯機器40にダウンロードしてある音楽アプリケーションを再生できる。この場合、音楽アプリケーションにより再生される音楽データは、車載用表示装置1を介してヘッドセット機器50に送信され、ヘッドセット機器50を介してユーザに聴かれる。また、例えば、ユーザは、車載用表示装置1を介して、外部携帯機器40にダウンロードしてあるナビゲーションアプリケーションを動作させることができる。この場合、ナビゲーションアプリケーションによる経路案内音声データは、車載用表示装置1を介してヘッドセット機器50に送信され、ヘッドセット機器50を介して出力される。また、ナビゲーションアプリケーションによる地図表示データ(車両位置表示を含む地図表示データ)は、車載用表示装置1の表示部1dで出力されてよい。
なお、外部携帯機器40が車載用表示装置1に接続された状態で実現可能な外部携帯機器40の各種機能は、このような音楽再生機能やナビゲーション機能に限られず、任意であり、例えばTV視聴機能、メール機能、通話機能等であってもよい。
なお、図1Bでは、1台の外部携帯機器40のみが示されるが、車載用表示装置1には、複数の外部携帯機器40が接続される場合もある。
ヘッドセット機器50は、ユーザの頭部に装着可能なマイクロフォン(マイク)であり、無線通信機能を有する。ヘッドセット機器50は、ユーザの頭部に装着されるヘルメットに内蔵されてもよい。あるいは、ヘッドセット機器50に代えて、ワイヤレスイヤフォンが利用されてもよい。ヘッドセット機器50は、充電可能なバッテリを内蔵し、当該バッテリからの電力に基づいて動作する。ヘッドセット機器50は、車載用表示装置1との間で、Bluetooth(登録商標)やWi−Fiといった無線通信方式を用いて各種通信を行う。ヘッドセット機器50は、ユーザが音声入力可能な音声入力部(図示せず)を備えてもよい。この場合、音声入力部は、ユーザから入力された音声データ(発話データ)を車載用表示装置1に送信する。
図3は、ヘッドセット報知処理に関連して車載用表示装置1により実現される機能の一例を説明する機能ブロック図である。図4は、バッテリ残量情報記憶部106内のバッテリ残量情報の一例を示す説明図である。
車載用表示装置1は、図3に示すように、機器情報取得部100と、車両情報取得部102と、報知部104と、バッテリ残量情報記憶部106とを含む。機器情報取得部100、車両情報取得部102、及び報知部104は、制御部1aを形成するマイコンのCPU(図示せず)が、同マイコンのROMのような記憶部に記憶されたプログラムを実行することで実現できる。また、バッテリ残量情報記憶部106は、制御部1aを形成するマイコンの記憶部により実現できる。なお、変形例では、機器情報取得部100、車両情報取得部102、報知部104、及びバッテリ残量情報記憶部106の機能の一部又は全部が、他の処理装置(例えばECU4)により実現されてもよい。
機器情報取得部100は、上述したように、車載用表示装置1に接続されている外部携帯機器40及びヘッドセット機器50からそれぞれの機器情報を取得する。機器情報は、外部携帯機器40及びヘッドセット機器50からプッシュ式で供給される態様であってもよいし、機器情報取得部100からの要求に外部携帯機器40及びヘッドセット機器50が応答する態様で取得してもよい。本実施例では、一例として、機器情報取得部100は、所定時間ΔT1毎に、車載用表示装置1に接続されている外部携帯機器40及びヘッドセット機器50からそれぞれの機器情報を取得するものとする。
機器情報取得部100は、車載用表示装置1に接続されている外部携帯機器40及びヘッドセット機器50(これらを「接続機器」とも称する)からそれぞれの機器情報を取得すると、バッテリ残量情報記憶部106内のバッテリ残量情報(図4参照)を更新する。図4では、外部携帯機器40が3つ(図4では、携帯機器A,B,Cと表記)存在し、それぞれのバッテリ残量情報が対応付けられている。なお、図4では、バッテリ残量情報は、残量を%で表すが、他の単位で表す情報であってもよい。
車両情報取得部102は、ECU4から車両情報を取得する。本実施例では、一例として、車両情報取得部102は、車両情報として車速情報を取得する。
報知部104は、上述したヘッドセット報知処理を実行する。具体的には、報知部104は、バッテリ残量情報記憶部106内のバッテリ残量情報に基づいて、バッテリ残量情報記憶部106内の各種バッテリ残量情報のうちの、報知対象のバッテリ残量情報を音声により報知する。
なお、報知部104は、その他、上述したバッテリ残量表示処理や通常報知処理を実行してよい。
報知部104は、報知条件判定部1041と、報知対象決定部1042と、報知処理部1043とを含む。
報知条件判定部1041は、車両Vの走行状態に関する報知条件が満たされたか否かを判定する。報知条件は、報知対象のバッテリ残量情報を音声により報知する際に満たされるべき条件である。車両Vの走行状態に関する報知条件は、好ましくは、車両Vの走行状態が報知に適した状態であること、を含む。車両Vの走行状態が報知に適した状態とは、車両Vの運転を妨げないような状態であり、例えば停止状態や定常走行状態であってよい。この場合、報知条件判定部1041は、車両情報取得部102が取得する車両情報に基づいて、車両Vの走行状態が報知に適した状態であるか否かを判定できる。
報知対象決定部1042は、バッテリ残量情報記憶部106内の各種バッテリ残量情報のうちの、報知対象のバッテリ残量情報を決定する。報知対象のバッテリ残量情報は、バッテリ残量情報記憶部106内の各種バッテリ残量情報の全てであってもよいが、好ましくは、過剰な報知を抑制すべく絞られる。
報知対象のバッテリ残量情報は、好ましくは、所定残量Th1(第1閾値の一例)以下のバッテリ残量を表すバッテリ残量情報である。所定残量Th1は、典型的には、低電力モードへの移行が推奨されるレベルや充電が推奨されるレベルの残量であり、例えば20%や10%といったように、複数設定されてもよい。この場合、ユーザにとって有用なバッテリ残量情報のみを報知できる可能性が高まる。なお、所定残量Th1は、ユーザにより設定(調整)可能とされてもよい。また、所定残量Th1は、外部携帯機器40ごとに異なってもよい。
ただし、好ましくは、バッテリ残量が増加している場合は、所定残量Th1のバッテリ残量を表すバッテリ残量情報であっても、報知対象から除外される。これは、当該バッテリ残量情報に係る外部携帯機器40又はヘッドセット機器50は、充電中の可能性が高いためである。なお、バッテリ残量が増加しているか否かは、バッテリ残量情報の時系列に基づいて判定できる。
また、同様の観点から、報知対象のバッテリ残量情報は、バッテリ残量が所定残量Th2以下となるまでの予測時間が所定時間ΔT3以下である外部携帯機器40に係るバッテリ残量情報であってもよい。この場合、所定残量Th2は、所定残量Th1以下であってよく、例えば0であってもよい。所定時間ΔT3は、所定残量Th2に応じて定められてよく、例えば所定残量Th2が0の場合、所定時間ΔT3は、10分程度であってもよい。所定残量Th1の場合と同様に、所定残量Th2や所定時間ΔT3は、ユーザにより設定(調整)可能とされてもよいし、外部携帯機器40ごとに異なってもよい。
また、報知対象のバッテリ残量情報は、好ましくは、バッテリ残量の減少速度が所定速度(第2閾値の一例)よりも高い外部携帯機器40又はヘッドセット機器50に係るバッテリ残量情報である。所定速度は、例えば通常的な減少速度よりも早い減少速度を検出するための閾値として機能できる値であってよい。この場合、ユーザにとって有用なバッテリ残量情報のみを報知できる可能性が高まる。なお、所定残量Th1の場合と同様に、所定速度は、ユーザにより設定(調整)可能とされてもよいし、外部携帯機器40ごとに異なってもよい。なお、バッテリ残量の減少速度は、バッテリ残量情報が表すバッテリ残量の時間的な変化に基づいて導出できる。あるいは、バッテリ残量の減少速度は、外部携帯機器40側で算出され、バッテリ残量の減少速度情報として車載用表示装置1に送信されてもよい。
報知処理部1043は、報知条件判定部1041により報知条件が満たされたと判定された状態において、報知対象のバッテリ残量情報をヘッドセット機器50を介して報知する(すなわちヘッドセット報知処理を実行する)。
本実施例では、報知処理部1043は、バッテリ残量情報記憶部106内に報知対象のバッテリ残量情報が複数ある場合、複数のバッテリ残量情報をまとめて(集約して)報知する。すなわち、報知処理部1043は、報知条件判定部1041により報知条件が満たされたと判定された状態において、複数の報知対象のバッテリ残量情報が異なるタイミングで機器情報取得部100により取得された場合、それぞれのタイミングで、それぞれの報知対象のバッテリ残量情報を報知するのではなく、当該複数の報知対象のバッテリ残量情報を、まとめて報知する。これにより、それぞれのタイミングで、それぞれの報知対象のバッテリ残量情報を報知する場合に生じる不都合(すなわち音声によるバッテリ残量情報の報知が比較的短い時間間隔で生じることに起因してユーザに与えうる煩わしさ等)を低減できる。
ここで、“まとめて(集約して)報知する”とは、同時に報知する態様を指すが、更に、個別に報知する場合の報知時間が少なくて済む報知時間で報知する態様であってもよい。すなわち、“まとめて(集約して)報知する”とは、表現を変えることで、報知時間を短縮できる態様を含んでよい。例えば、個別に報知する場合は、「携帯機器Aのバッテリ残量が10%です」、「携帯機器Bのバッテリ残量が9%です」、「携帯機器Cのバッテリ残量が15%です」であるのに対して、まとめて(集約して)報知する場合は、「携帯機器A、B,Cのバッテリ残量がそれぞれ10%、9%、15%です」といった具合である。
なお、報知処理部1043は、報知対象のバッテリ残量情報が1つである場合には、報知条件判定部1041により報知条件が満たされると、当該1つのバッテリ残量情報を報知する。
以下では、報知処理部1043が実行するヘッドセット報知処理のうち、複数のバッテリ残量情報をまとめて(集約して)報知する場合の報知処理を、「集約報知処理」とも称する。
集約報知処理を行う際、報知処理部1043は、好ましくは、バッテリ残量が少ない順に報知する。この場合、報知処理部1043は、報知に要する時間が過度に長くなること(又は情報量が過大となること)を防止するために、報知対象のバッテリ残量情報が所定の上限数Nmax以上である場合は、バッテリ残量が少ない順に所定数Mのバッテリ残量情報だけを報知してもよい。これにより、集約報知処理を行うべき報知対象のバッテリ残量情報の数が比較的多い状況下でも、ユーザにとって有用となるバッテリ残量情報をいち早く報知できるとともに、全てを報知する場合に生じうる不都合(報知時間が過度に長くなること)を防止できる。なお、所定の上限数Nmaxや所定数Mは、ユーザにより設定(調整)可能とされてもよい。
あるいは、集約報知処理を行う際、報知処理部1043は、バッテリ残量の減少速度が高い順に報知してもよい。この場合も、報知処理部1043は、バッテリ残量の減少速度が高い順に所定数Mのバッテリ残量情報だけを報知してもよい。これにより、バッテリ残量が少ない順に報知する場合と同様に、報知対象のバッテリ残量情報の数が比較的多い状況下でも、ユーザにとって有用となるバッテリ残量情報をいち早く報知できるとともに、全てを報知する場合に生じうる不都合(報知時間が過度に長くなること)を防止できる。
また、集約報知処理を行う際、報知処理部1043は、バッテリ残量と、バッテリ残量の減少速度の双方を考慮して、報知順を決定してもよい。この場合、報知処理部1043は、基本的には、バッテリ残量が少ない順に報知し、バッテリ残量が略同じである場合はバッテリ残量の減少速度が高い順に報知してもよい。バッテリ残量が“略同じ”とは、10%以上の差がない態様を含む概念であり、例えば5%以内の差である態様である。
なお、報知対象のバッテリ残量情報が所定の上限数Nmax以上である場合、集約報知処理に起因して報知されなくなるバッテリ残量情報は、次回の報知の際に優先的に報知されてもよい。あるいは、報知対象のバッテリ残量情報が所定の上限数Nmax以上である場合、報知処理部1043は、所定数Mから漏れたバッテリ残量情報については、機器名を特定せずに報知してもよい。なお、使用される機器名は、ペアリングの際等にあらかじめ登録されてよい。例えば、図5では、所定数M=2である場合の報知例が示される。図5では、例1の場合、報知対象のバッテリ残量情報が2つであり、そのまままとめて報知される例である。この場合、“接続機器バッテリ残量”として、“スマートフォン10%”“ヘッドセット20%”といった内容の報知が実現される。他方、例2の場合、報知対象のバッテリ残量情報が3つであり、一部が省略される態様でまとめて報知される例である。この場合、“接続機器バッテリ残量”として、“スマートフォン10%”“ヘッドセット20%”“その他1機器のバッテリ残量に注意”といった内容の報知が実現される。
バッテリ残量情報記憶部106には、バッテリ残量情報(図4参照)が記憶される。バッテリ残量情報記憶部106内のバッテリ残量情報は、新たなバッテリ残量情報が取得されるごとに更新される。なお、車載用表示装置1に接続されている機器(外部携帯機器40やヘッドセット機器50)に変化がある場合は、当該変化が反映される態様で、バッテリ残量情報記憶部106内のバッテリ残量情報は更新されてよい。例えば、ある機器が車載用表示装置1に接続されている状態から非接続状態となった場合は、バッテリ残量情報記憶部106内のバッテリ残量情報のうちの、当該機器に係るバッテリ残量情報は削除されてよい。
次に、報知処理部1043によるヘッドセット報知処理を更に詳説する。
図6は、報知処理部1043によるヘッドセット報知処理の一例の説明図である。
図6では、上から順に、3つの外部携帯機器40(図6では、携帯機器A,B,Cと表記)とヘッドセット機器50からの各バッテリ残量情報の例が、取得タイミングを示す矢印とともに示され、その下に、報知条件の成立状態の時系列が示され、更にその下に、報知処理部1043による報知タイミング(すなわちヘッドセット報知処理の実行タイミング)が表記「報知」が付いた矢印とともに示される。報知条件の成立状態は、表記「成立」が、報知条件が成立している状態を表す。
図6では、一例として、報知対象のバッテリ残量情報は、所定残量Th1以下のバッテリ残量を表すものであり、所定残量Th1は、20%であるとする。
また、図6では、一例として、報知処理部1043は、報知対象のバッテリ残量情報が取得されると、所定時間ΔT2だけ待機する。そして、報知処理部1043は、所定時間ΔT2の経過後に報知条件判定部1041により報知条件が満たされたと判定されると、所定時間ΔT2を含むそれまでの期間に取得された全ての報知対象のバッテリ残量情報(最初の報知対象のバッテリ残量情報を含む)をまとめて報知する(集約報知処理)。
具体的には、図6では、まず時点t0(第1タイミングの一例)にて、携帯機器A(外部携帯機器40の1つ)からバッテリ残量=20%を表すバッテリ残量情報が取得される。その後、時点t0から所定時間ΔT2経過するまでの各時点(第2タイミングの一例)で、携帯機器B,C(それぞれ外部携帯機器40の1つ)とヘッドセット機器50から、それぞれ、バッテリ残量=40%、15%、10%を表すバッテリ残量情報が取得される。なお、この場合、報知対象のバッテリ残量情報は、携帯機器A、C及びヘッドセット機器50の各バッテリ残量情報である。
図6では、時点t0においては報知条件が成立している。しかしながら、本実施例では、時点t0で直ちに携帯機器Aのバッテリ残量情報(報知対象)は報知されない。すなわち、本実施例では、上述したように、集約報知処理が実行される。具体的には、時点t0から所定時間ΔT2が経過した時点t1以降、報知可能な状態となり、時点t1以降の時点t2で報知条件が成立すると、同時点t2にて、携帯機器A、C及びヘッドセット機器50の各バッテリ残量情報が報知される。なお、この場合、携帯機器A、C及びヘッドセット機器50の各バッテリ残量情報は、バッテリ残量が少ない順に、ヘッドセット機器50、携帯機器C、及び携帯機器Aの順で、各バッテリ残量情報が報知されてもよい。
また、図6では、時点t2以降の時点t3(第1タイミングの一例)で再び、携帯機器A(外部携帯機器40の1つ)からバッテリ残量=20%を表すバッテリ残量情報が取得される。その後、時点t3から所定時間ΔT2経過するまでの各時点(第2タイミングの一例)で、携帯機器B,C(それぞれ外部携帯機器40の1つ)とヘッドセット機器50から、それぞれ、バッテリ残量=39%、14%、8%を表すバッテリ残量情報が取得される。なお、この場合、報知対象のバッテリ残量情報は、携帯機器A、C及びヘッドセット機器50の各バッテリ残量情報である。
図6では、時点t3から所定時間ΔT2が経過した時点t4では、報知条件が成立している。従って、この場合、時点t4にて、携帯機器A、C及びヘッドセット機器50の各バッテリ残量情報が報知される。なお、この場合、携帯機器A、C及びヘッドセット機器50の各バッテリ残量情報は、バッテリ残量が少ない順に、ヘッドセット機器50、携帯機器C、及び携帯機器Aの順で、各バッテリ残量情報が報知されてもよい。なお、図6では、バッテリ残量の減少速度は、ヘッドセット機器50が最も高いため、バッテリ残量の減少速度を考慮する場合でも、報知順は、ヘッドセット機器50、携帯機器C、及び携帯機器Aの順となる。
このようにして、図6に示す例によれば、報知対象のバッテリ残量情報が取得されるごとに個別に報知対象のバッテリ残量情報を報知することに代えて、複数の報知対象のバッテリ残量情報が取得された後に、当該複数の報知対象のバッテリ残量情報がまとめて報知される。これにより、報知対象のバッテリ残量情報が取得されるごとに個別に報知対象のバッテリ残量情報を報知する場合の不都合を解消できる。すなわち、報知対象のバッテリ残量情報が取得されるごとに個別に報知対象のバッテリ残量情報を報知する比較例では、報知対象のバッテリ残量情報の増加に伴い報知回数が増え、ユーザに煩わしさ与えるおそれがある。特に、近年では、各種端末の多様化に伴って、車載用表示装置1に接続可能な機器の数が増加傾向になる。これに対して、図6に示す例によれば、複数の報知対象のバッテリ残量情報がまとめて報知されるので、上記のような比較例で生じる不都合を解消できる。
なお、図6では、最初の報知対象のバッテリ残量情報の取得タイミングから所定時間ΔT2の経過を時間に係る報知条件としているので、複数の報知対象のバッテリ残量情報が取得された後に、当該複数の報知対象のバッテリ残量情報がまとめて報知されるが、これに限られない。例えば、所定数Mの報知対象のバッテリ残量情報が取得されたタイミングで報知可能な状態となってもよい。この場合、所定数Mの報知対象のバッテリ残量情報が取得されたタイミングで報知条件が成立していると、当該タイミングで、所定数Mの報知対象のバッテリ残量情報がまとめて報知される。また、この場合、所定数Mの報知対象のバッテリ残量情報が取得されたタイミングで報知条件が成立していない場合は、その後に報知条件が成立すると、当該タイミングで、所定数Mの報知対象のバッテリ残量情報がまとめて報知される。
次に、車載用表示装置1の動作例について説明する。
図7は、本実施例による車載用表示装置1の制御部1aの処理動作の一例を示すフローチャートである。図7の処理は、イグニッションスイッチがオンである場合に、所定周期ごとに実行される。
ステップS1において、制御部1aは、無線通信部1bを介して接続機器からバッテリ残量情報を取得する。接続機器とは、車載用表示装置1に接続されている機器であり、本実施例では、外部携帯機器40及び/又はヘッドセット機器50である。
ステップS2において、制御部1aは、接続機器のバッテリ残量情報の単位時間あたりの減少率(バッテリ残量の減少速度に対応)を算出する。
ステップS3において、制御部1aは、バッテリ残量情報の音声通知タイミングか否かを判定する。バッテリ残量情報の音声通知タイミングは、任意であるが、例えば報知対象のバッテリ残量情報が取得されたタイミングから所定時間ΔT2が経過したタイミングであってもよいし、前回の報知から所定時間ΔT4が経過したタイミングであってよい。判定結果が“YES”の場合、ステップS4に進み、それ以外の場合は、今回周期の処理を終了する。
ステップS4において、制御部1aは、車両Vの走行状態に関する報知条件が満たされたか否かを判定する。ここでは、制御部1aは、一例として、車両Vの加減速が加減速設定値以下であるか否かを判定する。車両Vの加減速は、車両情報として取得される車速情報に基づいて算出できる。ただし、他の実施例では、車両情報として車両Vの加減速情報が取得されてもよく、この場合、当該加減速情報に基づいてステップS4の判定を行うことができる。判定結果が“YES”の場合、ステップS6からステップS9までの処理を、接続機器の数に応じて繰り返し、それ以外の場合は、今回周期の処理を終了する。
すなわち、ステップS5において、制御部1aは、接続機器の数に応じてステップS6からステップ9の処理を繰り返す。この際、バッテリ残量の少ない機器から順に処理し、バッテリ残量が同一の機器がある場合は、バッテリ残量の単位時間あたりの減少率が大きい機器から順に処理する。
ステップS6において、制御部1aは、バッテリ残量が所定残量Th1以下であるか否かを判定する。判定結果が“YES”の場合、ステップS7に進み、それ以外の場合は、次の処理対象の機器に関して処理し、次の処理対象の機器がなくなると(ステップS10参照)ステップS11に進む。
ステップS7において、制御部1aは、集約情報に、今回の処理対象の機器に係るバッテリ残量情報を追加すると集約情報量設定値を超えるか否かを判定する。ここで、集約情報とは、集約報知処理で最終的にヘッドセット機器50に送信されることになるバッテリ残量音声データのもとになる情報である。すなわち、集約情報は、最終的に、集約報知処理で報知される情報を形成する。集約情報量設定値は、報知時間が過度に長くならないようにする観点から設定される閾値であり、効率的な報知が実現されるように適合されてよい。集約情報量設定値は、接続機器の数に対する閾値であってもよい。この場合、集約情報量設定値は、上述した所定数Mに対応する。
ステップS8において、制御部1aは、今回の処理対象の機器に係るバッテリ残量情報に基づいて、集約情報(機器名、バッテリ残量)を生成(更新)する。
ステップS9において、制御部1aは、集約情報に“その他XX機器のバッテリ残量に注意”情報を結合する。ここで、“XX”はその他の機器の数に対応する。
ステップS10において、制御部1aは、繰り返し終了と判断されるまでステップ5に戻り処理を行う。
ステップS11において、制御部1aは、無線通信部1bを介してヘッドセット機器50に、最終的な集約情報に基づくバッテリ残量音声データを送信する。この場合、ヘッドセット機器50は、バッテリ残量音声データを出力することで、最終的な集約情報の内容がユーザに報知される。なお、ヘッドセット機器50が接続されていない場合は、制御部1aは、音声出力部1cを介してバッテリ残量音声データを出力する(通常報知処理)。この場合、音声出力部1cを介して最終的な集約情報の内容がユーザに報知される。
図7に示す処理によれば、接続機器が複数存在する場合でも、集約情報量設定値を超えないように生成された集約情報に基づいてバッテリ残量が報知されるので、ユーザの煩わしさを軽減できる。
なお、図7に示す処理では、接続機器が複数存在する場合、バッテリ残量の少ない機器から順に処理し、バッテリ残量が同一の機器がある場合は、バッテリ残量の単位時間あたりの減少率が大きい機器から順に処理するが、これに限られない。例えば、重要度の高い機器が接続機器に含まれる場合、当該重要度の高い機器がまず処理されてもよい。この場合、接続機器が複数存在する場合であっても、重要度の高い機器に関するバッテリ残量を優先的にユーザに報知できる。重要度の高い機器は、ユーザによりあらかじめ指定されてもよいし、自動的に決定されてもよい。例えば、ある接続機器のナビゲーション機能が実行されている場合は、当該ナビゲーション機能を実現している接続機器が、重要度の高い機器として扱われてもよい。
以上説明した本実施例によれば、とりわけ、以下のような優れた効果が奏される。
まず、本実施例によれば、上述したように集約報知処理が実行されるので、複数の接続機器のバッテリ残量情報をユーザに報知可能としつつ、頻繁な報知によりユーザに与えうる煩わしさを低減できる。特に、音声による報知は、表示による報知に比べて煩わしさを生む傾向があるため、本実施例では、上述したように集約報知処理は、バッテリ残量音声出力処理に適用される。
また、特に、自動二輪車では、ヘッドセット機器50を用いて報知が実行される場合があるが、かかるヘッドセット機器50からの音声による報知は、音声出力部1cからの報知に比べて、ノイズ等の影響が少なく聞こえやすい反面、不要な報知による煩わしさが顕著となる。この点、本実施例によれば、集約報知処理は、ヘッドセット報知処理において実現されるので、ユーザに与えうる煩わしさを低減しつつ、ユーザにとって有用となるバッテリ残量情報を報知できる。
また、本実施例によれば、上述したように、集約報知処理は、車両Vの走行状態に応じて、実行タイミングが調整されるので、ユーザの運転への集中を阻害しない適切な走行状態において集約報知処理を実行できる。
また、本実施例によれば、上述したように、報知対象のバッテリ残量情報が複数存在する場合には、全てのバッテリ残量情報に代えて、所定の優先順位(例えばバッテリ残量の少ない順)に従った特定のバッテリ残量情報だけが優先的に報知される。これにより、比較的多くのバッテリ残量情報がユーザに報知されることによる煩わしさを低減しつつ、ユーザにとって有用なバッテリ残量情報を効率的にユーザに報知できる。
以上、各実施例について詳述したが、特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。また、前述した実施例の構成要素を全部又は複数を組み合わせることも可能である。
例えば、上述した実施例では、集約報知処理は、ヘッドセット報知処理において実現されるが、同様の集約報知処理は、音声出力部1cを用いるバッテリ残量音声出力処理(すなわち通常報知処理)において実現されてもよい。また、同様の集約報知処理は、表示部1dを用いるバッテリ残量表示処理において実現されてもよい。ただし、表示は、音声よりも煩わしさが少ない傾向があるため、表示部1dを用いるバッテリ残量表示処理は、報知対象のバッテリ残量情報が取得されるごとに個別に報知対象のバッテリ残量情報が報知される態様で、実現されてもよい。