JP2020097186A - ヘッドチップ、液体噴射ヘッド、液体噴射記録装置およびヘッドチップの製造方法 - Google Patents

ヘッドチップ、液体噴射ヘッド、液体噴射記録装置およびヘッドチップの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】信頼性を向上させることが可能なヘッドチップおよびその製造方法、並びに、そのヘッドチップを備えた液体噴射ヘッドおよび液体噴射記録装置を提供する。【解決手段】本開示の一実施の形態に係るヘッドチップは、液体に圧力を印加するアクチュエータプレートを備えており、前記液体を噴射する。前記アクチュエータプレートは、第1面および前記第1面と反対を向く第2面と、前記第1面に設けられた第1開口に連通するとともに、前記第1面から前記第2面に向かう方向に深さ方向を有するチャネルと、前記チャネルの内壁に設けられ、かつ、前記内壁の少なくとも一部を覆う第1密着膜と、前記第1密着膜の前記第1面側の一端から前記第2面側の他端まで覆う第1耐腐食膜とを含む電極とを有している。【選択図】図6

Description

本開示は、ヘッドチップおよびその製造方法、液体噴射ヘッドならびに液体噴射記録装置に関する。
被記録媒体に画像を記録する記録装置として、液体噴射ヘッドを備えた液体噴射記録装置が知られており、その液体噴射ヘッドは、液体を噴射するヘッドチップを含んでいる。この液体噴射記録装置では、ヘッドチップから被記録媒体に液体が噴射されるため、その被記録媒体に画像が記録される。
このヘッドチップは、液体を噴射させるために電気的に駆動されるアクチュエータプレートを含んでいる。アクチュエータプレートには、複数のチャネルが設けられている。このチャネルの内壁には電極が設けられている(例えば、特許文献1参照)。
特開2001−334657号公報
このアクチュエータプレートの電極が腐食すると、ヘッドチップの信頼性が低下するおそれがある。
そこで、信頼性を向上させることが可能なヘッドチップおよびその製造方法、並びに、そのヘッドチップを備えた液体噴射ヘッドおよび液体噴射記録装置を提供することが望まれている。
本開示の一実施の形態に係るヘッドチップは、液体に圧力を印加するアクチュエータプレートを備え、液体を噴射するヘッドチップであって、アクチュエータプレートは、第1面および第1面と反対を向く第2面と、第1面に設けられた第1開口に連通するとともに、第1面から第2面に向かう方向に深さ方向を有するチャネルと、チャネルの内壁に設けられ、かつ、内壁の少なくとも一部を覆う第1密着膜と、第1密着膜の第1面側の一端から第2面側の他端まで覆う第1耐腐食膜とを含む電極とを有するものである。
本開示の一実施形態の液体噴射ヘッドは、液体を噴射するヘッドチップと、そのヘッドチップに液体を供給する供給部と備え、そのヘッドチップが上記した本開示の一実施形態のヘッドチップと同様の構成を有するものである。
本開示の一実施形態の液体噴射記録装置は、被記録媒体に液体を噴射する液体噴射ヘッドと、その液体を収容する収容部とを備え、その液体噴射ヘッドが上記した本開示の一実施形態の液体噴射ヘッドと同様の構成を有するものである。
本開示の一実施形態のヘッドチップの製造方法は、液体に圧力を印加するアクチュエータプレートを備え、液体を噴射するヘッドチップの製造方法であって、アクチュエータプレートを形成する工程は、第1面および第1面と反対を向く第2面を有する圧電基板を準備する工程と、圧電基板の第1面に第1開口を形成するとともに、第1開口に連通させて第1面から第2面に向かう方向に深さ方向を有するチャネルを形成する工程と、チャネルの内壁に、蒸着法を用いて第1密着膜を形成する工程と、蒸着法を用いて、第1密着膜の第1面側の一端から第2面側の他端まで覆う第1耐腐食膜を形成し、第1密着膜および第1耐腐食膜を含む電極を形成する工程とを含むものである。
本開示の一実施形態のヘッドチップ、液体噴射ヘッド、液体噴射記録装置およびヘッドチップの製造方法によれば、アクチュエータプレートのチャネルの内壁に設けられた電極の腐食を抑え、信頼性を向上させることが可能となる。
本開示の一実施形態の液体噴射記録装置の概略構成を表す斜視図である。 図1に示した液体噴射ヘッドの概略構成を表す斜視図である。 図2に示した液体噴射ヘッドチップの概略構成を表す斜視図である。 図2に示した液体噴射ヘッドチップの概略構成を表す他の斜視図である。 図4に示したカバープレートおよびアクチュエータプレートの構成を表す断面模式図である。 図5に示した駆動電極の構成を拡大して表す断面模式図である。 図3等に示した液体噴射ヘッドチップの製造方法の一例を表す流れ図である。 比較例1に係る液体噴射ヘッドチップの要部の構成を拡大して表す断面模式図である。 変形例に係る液体噴射ヘッドチップの概略構成を表す断面模式図である。 図9に示した駆動電極の構成を拡大して表す断面模式図である。 図10に示した駆動電極の構成の他の例を表す断面模式図である。 図9に示した液体噴射ヘッドチップの製造方法の一例を表す流れ図である。 図12に示した液体噴射ヘッドチップの製造方法の一工程を説明するための断面模式図である。 図13Aに続く工程を表す断面模式図である。 図13Bに続く工程を表す断面模式図である。 図13Cに続く工程を表す断面模式図である。 図13Dに続く工程を表す断面模式図である。 図13Eに続く工程を表す断面模式図である。 比較例2に係る液体噴射ヘッドチップの要部の構成を拡大して表す断面模式図である。
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。

1.液体噴射記録装置(ヘッドチップおよび液体噴射ヘッド)
1−1.全体構成
1−2.液体噴射ヘッドの構成
1−3.ヘッドチップの構成
1−4.ヘッドチップの製造方法
1−5.動作
1−6.作用および効果
2.変形例
3.その他の変形例
<1.液体噴射記録装置(ヘッドチップおよび液体噴射ヘッド)>
本開示の一実施形態の液体噴射記録装置に関して説明する。
なお、本開示の一実施形態のヘッドチップおよび液体噴射ヘッドのそれぞれは、ここで説明する液体噴射記録装置のうちの一部である。そこで、ヘッドチップおよび液体噴射ヘッドのそれぞれに関しては、以下で併せて説明する。
ここで説明する液体噴射記録装置は、例えば、被記録媒体に画像を形成するプリンタである。被記録媒体の種類は、特に限定されないが、例えば、紙、フィルム、布およびタイルなどである。
<1−1.全体構成>
最初に、液体噴射記録装置の全体構成に関して説明する。
図1は、液体噴射記録装置(インクジェットプリンタ)の一具体例であるプリンタ1の斜視構成を表している。図1では、筐体10の外縁(輪郭)を破線で示している。
このプリンタ1は、例えば、記録用の液体(インク9)を用いるインクジェットプリンタである。具体的には、プリンタ1は、例えば、図1に示したように、筐体10の内部に、一対の搬送機構2a,2bと、インクタンク3と、インクジェットヘッド4と、供給チューブ50と、走査機構6とを備えている。
[搬送機構およびインクタンク]
搬送機構2a,2bは、プリンタ1に投入された記録紙Pを搬送方向D(X軸方向)に搬送させる機構であり、例えば、いずれもグリッドローラ21およびピンチローラ22を含んでいる。インクタンク3は、インク9を貯蔵する器である。ここで、インクタンク3は、本開示の「収容部」の一実施形態である。ここでは、プリンタ1は、例えば互いに異なる色のインク9を収容する4個のインクタンク3(3Y,3M,3C,3K)を備えており、インクタンク3Y,3M,3C,3Kのそれぞれは、例えば、イエロー(Y)のインク9、マゼンタ(M)のインク9、シアン(C)のインク9およびブラック(K)のインク9のそれぞれを収容している。
[インクジェットヘッドおよび供給チューブ]
インクジェットヘッド4は、供給チューブ50から供給される液滴状のインク9を記録紙Pに噴射する液体噴射ヘッドであり、例えば、エッジシュートタイプのインクジェットヘッドである。エッジシュートタイプのインクジェットヘッド4では、例えば、後述するように、複数のチャネルC1のそれぞれが所定の方向(例えば、Z軸方向)に延在しており、複数のノズル孔H2のそれぞれから複数のチャネルC1のそれぞれの延在方向と同様の方向(Z軸方向)にインク9が噴射される(図3参照)。すなわち、各チャネルC1の延在方向と各ノズル孔H2からインク9が噴射される方向とは、互いに一致している。
ここでは、プリンタ1は、例えば、図1に示したように、互いに異なる色のインク9を噴射する4個のインクジェットヘッド4(4Y,4M,4C,4K)を備えている。なお、インクジェットヘッド4の詳細な構成に関しては、後述する(図2参照)。
[走査機構]
走査機構6は、搬送方向Dと交差する方向においてインクジェットヘッド4を走査させる機構であり、例えば、一対のガイドレール61a,61bと、キャリッジ62と、駆動機構63とを含んでいる。例えば、キャリッジ62は、例えば、基台62aおよび壁部62bを含んでおり、インクジェットヘッド4を支持しながらガイドレール61a,61bに沿って搬送方向Dと交差する方向に移動可能である。駆動機構63は、例えば、一対のプーリ631a,631bと、無端状のベルト632と、駆動モータ633とを含んでおり、そのベルト632は、例えば、キャリッジ62に連結されている。
<1−2.液体噴射ヘッドの構成>
図2は、図1に示したインクジェットヘッド4(4Y,4M,4C,4K)の斜視構成を拡大して表している。
このインクジェットヘッド4は、例えば、図2に示したように、固定板40と、インクジェットヘッドチップ41と、供給機構42と、制御機構43と、ベースプレート44とを備えている。固定板40の一面には、例えば、インクジェットヘッドチップ41と、供給機構42(後述する流路部材42a)と、ベースプレート44とが固定されている。ここで、インクジェットヘッドチップ41は、本開示の「ヘッドチップ」の一実施形態である。
[インクジェットヘッドチップ]
インクジェットヘッドチップ41は、インク9を噴射するインクジェットヘッド4の主要部である。なお、インクジェットヘッドチップ41の詳細な構成に関しては、後述する(図3〜図5参照)。
[供給機構]
供給機構42は、供給チューブ50を介して供給されたインク9をインクジェットヘッドチップ41(後述するインク導入孔410a:図3および図4参照)に供給する。この供給機構42は、例えば、インク連結管42cを介して互いに連結された流路部材42aおよび圧力緩衝器42bを含んでいる。流路部材42aはインク9が流れる流路であり、そのインク9の貯留室を有する圧力緩衝器42bには、例えば、供給チューブ50が取り付けられている。ここで、供給機構42は、本開示の「供給機構」の一実施形態である。
[制御機構]
制御機構43は、例えば、回路基板43aと、駆動回路43bと、フレキシブル基板43cとを含んでいる。回路基板43aは、例えば、インクジェットヘッドチップ41を駆動させる駆動回路43bを含んでおり、その駆動回路43bは、例えば、集積回路(IC:Integrated Circuit)などを含んでいる。フレキシブル基板43cは、駆動回路43bとインクジェットヘッドチップ41(後述する駆動電極Ed:図5参照)とを互いに電気的に接続させている。ここでは図示していないが、フレキシブル基板43cは、例えば、駆動回路43bおよび複数の駆動電極Edのそれぞれに接続された複数の端子を含んでいる。
<1−3.ヘッドチップの構成>
図3では、インクジェットヘッドチップ41の一連の構成要素が互いに組み合わされた状態を示している。一方、図4では、インクジェットヘッドチップ41の一連の構成要素を見やすくするために、その一連の構成要素が互いに離間された状態を示している。図5では、インクジェットヘッドチップ41のXY断面の構成を示している。なお、図5では、複数のノズル孔H2を破線で示している。図3では、フレキシブル基板43cの一部の輪郭だけを破線で示している。
このインクジェットヘッドチップ41は、例えば、図3および図4に示したように、カバープレート410と、アクチュエータプレート411と、ノズルプレート(噴射孔プレート)412と、支持プレート413とを含んでいる。カバープレート410およびアクチュエータプレート411は、互いに重ねられている。ノズルプレート412は、例えば支持プレート413に設けられた嵌合孔413aにカバープレート410およびアクチュエータプレート411が嵌め込まれた状態において、その支持プレート413に当接されている。
カバープレート410は、例えば接着剤を介してアクチュエータプレート411(より具体的には、後述のアクチュエータプレート411の表面411f1)に貼り付けられている。ノズルプレート412は、Z軸方向におけるカバープレート410およびアクチュエータプレート411の一端部に接着剤を介して取り付けられている。
[アクチュエータプレート]
アクチュエータプレート411は、複数のノズル孔H2からインク9を噴射させるために電気的に駆動される部材である。
アクチュエータプレート411は、複数のチャネルC1を画定する複数の駆動壁Wdを含んでいる。ここで、この「チャネルC1」が、本開示の「チャネル」の一具体例に対応し、「駆動壁Wd」が、本開示の「内壁」の一具体例に対応する。
このアクチュエータプレート411は、図5に示したように、例えば、分極方向が互いに異なる2つの圧電基板411p,411mを含んでいる。圧電基板411p,411mは、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)などの圧電材料のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。圧電基板411pの分極方向は、厚み方向(Y軸方向)の一方に沿って設定されており、圧電基板411mの分極方向は、例えば、厚み方向の他方に沿って設定されている。アクチュエータプレート411では、この2つの圧電基板411p,411mが、厚み方向に沿って積層して構成されている(いわゆる、シェブロンタイプ)。ただし、アクチュエータプレート411の構成としては、このシェブロンタイプには限られない。すなわち、例えば、分極方向が厚み方向に沿って一方向に設定されている1つ(単一)の圧電基板によって、アクチュエータプレート411を構成するようにしてもよい(いわゆる、カンチレバータイプまたはモノポールタイプ)。アクチュエータプレート411は、カバープレート410に貼り合わされた表面411f1と、表面411f1と反対を向く裏面411f2とを有している。例えば、表面411f1は圧電基板411pに設けられ、裏面411f2は圧電基板411mに設けられている。ここでは、表面411f1が本開示の「第1面」の一具体例に対応し、裏面411f2が本開示の「第2面」の一具体例に対応する。
各チャネルC1は、例えば、アクチュエータプレート411の表面411f1から裏面411f2に向かう方向(Y軸方向)に深さ方向を有する非貫通溝である。アクチュエータプレート411の表面411f1には、チャネルC1各々に連通する開口M1が設けられている。ここでは、開口M1が本開示の「第1開口」の一具体例に対応する。
複数の吐出チャネル(噴射チャネル)C1eおよび複数のダミーチャネル(非噴射チャネル)C1dは、例えば、X軸方向において交互に配列されている。各吐出チャネルC1eは、各ノズル孔H2に連通されており、インク9に圧力を付与する圧力室として機能する。言い換えると、吐出チャネルC1eにはインク9が充填される一方、ダミーチャネルC1dにはインク9が充填されないようになっている。また、図5に示したように、各吐出チャネルC1eは、後述するノズルプレート412におけるノズル孔H2と連通している一方、各ダミーチャネルC1dはノズル孔H2には連通しておらず、後述するカバープレート410によって上方から覆われている。
複数のチャネルC1のそれぞれは、Z軸方向において、アクチュエータプレート411の一端部(ノズルプレート412に近い側の端部)から他端部(ノズルプレート412から遠い側の端部)に向かって延在している。ただし、複数のダミーチャネルC1dのそれぞれは、例えば、アクチュエータプレート411の他端部まで延在し、他端部で終端している。これに対して、複数の吐出チャネルC1eのそれぞれは、例えば、アクチュエータプレート411の他端部まで延在しておらず、途中(一端部と他端部との間の位置)で終端している。
なお、例えば、図3および図4に示したように、各吐出チャネルC1eを画定する内壁面C1mは、ノズルプレート412から遠い側における各吐出チャネルC1eの端部近傍において切り上がっている。
アクチュエータプレート411は、例えば、一端部側に位置すると共に複数の吐出チャネルC1eおよび複数のダミーチャネルC1dの双方が設けられている第1チャネル形成部分411aと、他端部側に位置すると共に複数の吐出チャネルC1eが設けられておらずに複数のダミーチャネルC1dだけが設けられている第2チャネル形成部分411bとを含んでいる。上記した複数の駆動壁Wdは、複数のチャネルC1(複数の吐出チャネルC1eおよび複数のダミーチャネルC1d)を画定しているため、上記した第1チャネル形成部分411aに設けられている。
複数の駆動壁Wdのそれぞれの側面には、チャネルC1の延在方向(Z軸方向)およびチャネルC1の深さ方向(Y軸方向)にわたって駆動電極Edが設けられている。駆動電極Edは、複数の吐出チャネルC1eを圧力室として機能させるために、駆動壁Wdを電気的に駆動(変形)させる電極である。ここで、駆動電極Edは、本開示の「電極」の一具体例に対応する。
この駆動電極Edは、吐出チャネルC1eを画定する駆動壁Wdの側面に設けられた一対のコモン電極Edcと、ダミーチャネルC1dを画定する駆動壁Wdの側面に設けられた一対のアクティブ電極Edaとを含んでいる。アクティブ電極Edaおよびコモン電極Edcのそれぞれは、例えば、圧電基板411pと圧電基板411mとの境界(接合面)よりも、より深い位置(例えば、図5のY方向プラスの位置)まで延在している。図3および図4のそれぞれでは、複数の駆動電極Edの図示を省略している。
複数の駆動電極Edおよび回路基板43a(駆動回路43b)は、上記したように、フレキシブル基板43cを介して互いに接続されている。例えば、アクチュエータプレート411の他端部側の表面411f1に、駆動電極Edに電気的に接続されたパッド部(図示せず)が設けられている。このパッド部にフレキシブル基板43cが接続されることにより、駆動回路43bからフレキシブル基板43cを介して複数の駆動電極Edに駆動電圧が印加される。コモン電極Edcに接続されたパッド部と、アクティブ電極Edaに接続されたパッド部とは、互いに分離して設けられている。この場合には、例えば、コモン電極Edcおよびアクティブ電極Edaのそれぞれに、互いに極性が異なる駆動電圧が印加される。コモン電極Edcは、例えば接地電位(GND電位)に接続され、アクティブ電極Edaは、所定の電位に接続される。コモン電極Edcは、例えば、マイナスの電位に接続されていてもよい。
図6は、図5に示した駆動電極Edのより具体的な構成を表したものである。駆動電極Edは、密着膜CF1および耐腐食膜CF2を含んでおり、駆動壁Wd側から密着膜CF1および耐腐食膜CF2がこの順に積層されている。密着膜CF1および耐腐食膜CF2は各々、チャネルC1の延在方向およびチャネルC1の深さ方向にわたって設けられている。ここで、密着膜CF1が本開示の「第1密着膜」の一具体例に対応し、耐腐食膜CF2が本開示の「第1耐腐食膜」の一具体例に対応する。
密着膜CF1は、後述するように、例えば蒸着法により成膜されたものである。この密着膜CF1は、例えば、駆動壁Wd(圧電基板411p,411m)に接しており、チャネルC1の深さ方向にわたって駆動壁Wdの少なくとも一部を覆っている。密着膜CF1は、チャネルC1の深さ方向にわたって駆動壁Wdの全部を覆っていてもよい。密着膜CF1は、チャネルC1の深さ方向の上端euおよび下端ebを有している。上端euは表面411f1(開口M1)側に設けられ、下端ebは裏面411f2側に設けられている。密着膜CF1の上端euは、開口M1の外側の表面411f1に設けられていてもよく、あるいは、チャネルC1内に設けられていてもよい。例えば、複数の駆動電極Ed各々の一部では、密着膜CF1の上端euが開口M1の外側の表面411f1に設けられている。ここでは、上端euが本開示の「一端」の一具体例に対応し、下端ebが本開示の「他端」の一具体例に対応する。
密着膜CF1は、耐腐食膜CF2を駆動壁Wdに密着させるためのものであり、圧電基板411p,411mに対して高い密着性を有している。密着膜CF1は、例えば、チタン(Ti),銅(Cu),ニッケル(Ni)およびクロム(Cr)等のうちの少なくとも1つを含んでいる。
耐腐食膜CF2は、後述するように、例えば、密着膜CF1を形成した後、蒸着法により成膜されたものであり、密着膜CF1上に設けられている。即ち、密着膜CF1および耐腐食膜CF2は蒸着膜により構成されている。耐腐食膜CF2は、駆動電極Edの主導電膜として機能する。この耐腐食膜CF2は、インク9に対して高い耐腐食性を有していることが好ましい。耐腐食膜CF2は、例えば、金(Au),白金(Pt)またはパラジウム(Pd)等の貴金属により構成されている。このような耐腐食膜CF2を設けることにより、駆動電極Edの腐食を抑えることができる。
本実施の形態では、この耐腐食膜CF2が、密着膜CF1の上端euから下端ebまでを覆っている。換言すれば、密着膜CF1は、チャネルC1の深さ方向全部にわたって耐腐食膜CF2に覆われており、駆動電極Edには、密着膜CF1が耐腐食膜CF2から露出された部分が設けられていない。詳細は後述するが、これにより、駆動電極Edの腐食に起因したインクジェットヘッドチップ41の信頼性の低下を抑えることが可能となる。例えば、耐腐食膜CF2の厚みT2は、その周辺の密着膜CF1の厚みT1とほぼ同じになっている(T1≒T2)。耐腐食膜CF2では、チャネルC1の深さ方向の上端および下端が、各々、密着膜CF1の上端euおよび下端ebの位置に揃うように配置されており、駆動電極Edの深さ方向全部にわたって、密着膜CF1および耐腐食膜CF2の積層構造が維持されている。なお、密着膜CF1および耐腐食膜CF2はそれぞれ、チャネルC1の深さ方向の位置により厚みT1,T2が変化していてもよいが、密着膜CF1および耐腐食膜CF2それぞれの上端から下端までを比較したとき、耐腐食膜CF2の厚みは、密着膜CF1の厚みとほぼ同じになっている。
[カバープレート]
カバープレート410は、アクチュエータプレート411を被覆する部材である。アクチュエータプレート411に対向してカバープレート410が設けられている。
具体的には、カバープレート410は、例えば、図3〜図5に示したように、複数のスリット410bが設けられた窪み状のインク導入孔410aを有している。各スリット410bは、例えば、各チャネルC1の延在方向(Z軸方向)と同様の方向に延在する貫通溝である。
各スリット410bの位置は、各吐出チャネルC1eの位置に対応しているため、インク導入孔410aは、各スリット410bを介して各吐出チャネルC1eに連通されている。これにより、各吐出チャネルC1eに各スリット410bを介してインク9が供給されるため、その複数の吐出チャネルC1eにインク9が充填される。
[ノズルプレート]
ノズルプレート412は、貫通口である複数のノズル孔H2を有しており、アクチュエータプレート411に対向している。複数のノズル孔H2は、例えば、X軸方向において間隔を隔てながら配列されており、ノズル孔H2の開口形状、すなわちZ軸方向から見たノズル孔H2の形状は、例えば、円形である。ノズル孔H2の内径は、例えば、インク9が噴射される方向において次第に小さくなっている。これにより、インク9の噴射速度および直進性が向上するからである。ノズルプレート412は、例えば、ポリイミドなどの絶縁性材料のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。ノズルプレート412は、例えば、ステンレス鋼(SUS)などの導電性材料のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいてもよい。
[支持プレート]
支持プレート413は、例えば、図4に示したように、X軸方向に延在する嵌合孔413aを有しており、この嵌合孔413aには、例えば、カバープレート410およびアクチュエータプレート411が互いに積層された状態で嵌め込まれている。
<1−4.ヘッドチップの製造方法>
図7は、インクジェットヘッドチップ41の製造方法の一例を工程順に表したものである。ここでは、図7を用いて、主にアクチュエータプレート411の製造工程を説明する。
まず、PZT等の圧電材料からなる圧電基板411p,411mを形成する(ステップS1)。次いで、この圧電基板411p,411mの表面411f1(例えば、圧電基板411pのうち、圧電基板411mに接合された面と反対の面)にレジスト膜のパターンを形成する(ステップS2)。レジスト膜は、感光性樹脂材料を表面411f1に塗布して形成するようにしてもよく、あるいは、表面411f1にレジストフィルムを貼り合わせるようにしてもよい。このレジスト膜のパターンは、例えば、フォトリソグラフィ法を用いて形成する。
次いで、この圧電基板411p,411mに複数のチャネルC1を形成する(ステップS3)。チャネルC1は、例えばダイサーを用いて、圧電基板に研削加工を行うことにより形成する。このチャネルC1の形成工程では、複数のチャネルC1とともに、表面411f1に複数の開口M1が形成される。
圧電基板411p,411mに複数のチャネルC1を形成した後、表面411f1およびチャネルC1の内壁面に密着膜CF1および耐腐食膜CF2をこの順に形成する(ステップS4,S5)。密着膜CF1および耐腐食膜CF2は、例えば斜方蒸着法を用いて形成する。斜方蒸着法では、蒸着方向を圧電基板の表面に対する法線方向から傾けるようにするので、チャネルC1の内壁面の広い範囲にわたって密着膜CF1および耐腐食膜CF2を形成することができる。
このとき、例えば、表面411f1に形成される耐腐食膜CF2の厚みT2が、表面411f1に形成される密着膜CF1の厚みT1と同じなるようにして斜方蒸着法を行う。これにより、密着膜CF1の上端euから下端ebまでが耐腐食膜CF2により覆われやすくなる。これは、蒸着法を用いて密着膜CF1および耐腐食膜CF2を形成するとき、表面411f1に形成される密着膜CF1および耐腐食膜CF2の厚み(厚みT1,T2)と、チャネルC1の深さ方向に形成される密着膜CF1および耐腐食膜CF2の大きさとが、所定の範囲内で相関関係を有するためである。つまり、表面411f1に形成される密着膜CF1および耐腐食膜CF2の厚みを大きくするに連れて、チャネルC1の深さ方向に形成される密着膜CF1および耐腐食膜CF2の大きさも大きくなる。なお、蒸着法では、蒸着方向に応じてチャネルC1の深さ方向に形成される密着膜CF1および耐腐食膜CF2の大きさの限度が決まる。この限度内で、表面411f1に形成される密着膜CF1および耐腐食膜CF2の厚みと、チャネルC1の深さ方向に形成される密着膜CF1および耐腐食膜CF2の大きさとが相関関係を有する。
チャネルC1の内壁面に密着膜CF1および耐腐食膜CF2を形成した後、表面411f1のレジスト膜のパターンを除去する(ステップS6)。レジスト膜とともに、レジスト膜に付着した密着膜CF1および耐腐食膜CF2も除去される。このレジスト膜の除去工程は、いわゆる、リフトオフ法である。これにより、吐出チャネルC1eの内壁面に形成された密着膜CF1および耐腐食膜CF2と、ダミーチャネルC1dの内壁面に形成された密着膜CF1および耐腐食膜CF2とが電気的に分離される。即ち、吐出チャネルC1eにはコモン電極Edc、ダミーチャネルC1dにはアクティブ電極Eda、表面411f1にはパッド部が各々形成される。
このようにしてアクチュエータプレート411を完成させた後、アクチュエータプレート411と他のプレート(例えば、カバープレート410およびノズルプレート412等)との組み立てを行う(ステップS7)。これにより、図3および図4等に示したインクジェットヘッドチップ41が完成する。
<1−5.動作>
[プリンタの動作]
このプリンタ1では、搬送方向Dに記録紙Pが搬送されると共に、搬送方向Dと交差する方向においてインクジェットヘッド4が往復移動しながら記録紙Pにインク9を噴射する。これにより、記録紙Pに画像が記録される。
[インクジェットヘッドの動作]
このインクジェットヘッド4では、例えば、以下の手順により、せん断(シェア)モードを用いて記録紙Pにインク9が噴射される。
インクジェットヘッド4では、駆動回路43bがアクチュエータプレート411(複数のアクティブ電極Eda)に駆動電圧を印加する際に、その駆動回路43bがノズルプレート412に対応電圧を印加する。この場合には、圧電厚み滑り効果を利用して各駆動壁WdがY軸方向において屈曲変形する。これにより、各吐出チャネルC1eの容積が増大するため、各吐出チャネルC1eにインク9が誘導される。こののち、駆動電圧がゼロ(0V)になると共に、対応電圧もゼロ(0V)になると、各駆動壁Wdが元の状態に戻るように変形する。これにより、各吐出チャネルC1eの容積が減少することに起因して、各吐出チャネルC1eに誘導されたインク9が加圧されるため、各ノズル孔H2から記録紙Pにインク9が噴射される。
<1−6.作用および効果>
本実施の形態のインクジェットヘッドチップ41、インクジェットヘッド4およびプリンタ1では、アクチュエータプレート411の駆動電極Edが密着膜CF1および耐腐食膜CF2を含んでおり、耐腐食膜CF2が密着膜CF1の上端euから下端ebまでを覆っている。これにより、駆動電極Edの腐食に起因したインクジェットヘッドチップ41の信頼性の低下を抑えることができる。以下、比較例(比較例1)を用いて、この作用効果について説明する。
図8は、比較例1に係るインクジェットヘッドチップ141の要部の構成を拡大して表したものである。図8は、インクジェットヘッドチップ41を表す図6に対応している。インクジェットヘッドチップ141では、インクジェットヘッドチップ41と同様に、駆動電極Edが密着膜CF1および耐腐食膜CF2を含んでいる。しかし、インクジェットヘッドチップ141では、この駆動電極Edに、密着膜CF1が耐腐食膜CF2から露出された部分が設けられている。具体的には、耐腐食膜CF2が密着膜CF1よりも浅く形成されており、耐腐食膜CF2は密着膜CF1の下端eb側の一部を覆っていない。このように駆動電極Edの一部で密着膜CF1が耐腐食膜CF2から露出されていると、密着膜CF1がインク9に触れやすくなる。密着膜CF1は、耐腐食膜DF2に比べて耐腐食性が低いので、インク9と密着膜CF1とが接触する部分では腐食が生じやすい。これにより、駆動電極Edの不具合が発生し、インクジェットヘッドチップ141の信頼性が低下する。
これに対し、インクジェットヘッドチップ41の駆動電極Edでは、耐腐食膜CF2が密着膜CF1の上端euから下端ebまでを覆っている。したがって、駆動電極Edのいずれの部分においても密着膜CF1が耐腐食膜CF2により覆われており、密着膜CF1とインク9との接触を抑えることができる。
また、チャネルC1の深さ方向では、耐腐食膜CF2の大きさが密着膜CF1の大きさと略同じであり、耐腐食膜CF2の下端の位置が密着膜CF1の下端ebの位置に揃っていることが好ましい。このとき、例えば、耐腐食膜CF2の厚みT2は、その周辺の密着膜CF1の厚みT1と同じになっている(T1≒T2)。仮に、チャネルC1の深さ方向で、耐腐食膜CF2の大きさを密着膜CF1の大きさよりも大きくすると、耐腐食膜CF2の下端側の一部は密着膜CF1を介さずに駆動壁Wdに設けられる。この場合、耐腐食膜CF2の下端側から剥がれが生じ、駆動電極Edの剥がれに起因した異物混入(コンタミネーション)が発生するおそれがある。チャネルC1の深さ方向において、耐腐食膜CF2の下端の位置を密着膜CF1の下端ebの位置に揃えることにより、このような駆動電極Edの剥がれに起因した異物混入の発生を抑えることができる。
以上のように本実施の形態のインクジェットヘッドチップ41では、密着膜CF1がチャネルC1の深さ方向にわたって耐腐食膜CF2で覆われているので、密着膜CF1とインク9との接触に起因した駆動電極Edの腐食が抑えられる。よって、インクジェットヘッドチップ41、インクジェットヘッド4およびプリンタ1の信頼性を向上させることが可能となる。
<2.変形例>
図9は、変形例に係るインクジェットヘッドチップ41Aの要部の模式的な断面構成を表している。図9は、上記実施の形態に係るインクジェットヘッドチップ41を表す図5に対応している。変形例に係るインクジェットヘッドチップ41Aでは、複数のチャネルC1各々がアクチュエータプレート411の表面411f1から裏面411f2まで貫通している。即ち、複数のチャネルC1各々は、アクチュエータプレート411の表面411f1に設けられた開口M1に連通するとともに、アクチュエータプレート411の裏面411f2に設けられた開口M2に連通している。これにより、チャネルC1の内壁面に、アクチュエータプレート411の表面411f1側から形成する蒸着膜(後述の密着膜CF3および耐腐食膜CF4)と、裏面411f2側から形成する蒸着膜(後述の密着膜CF1および耐腐食膜CF2)とを含む駆動電極Edを形成することが可能となる。
ここでは、裏面411f2が本開示の「第1面」の一具体例に対応し、表面411f1が本開示の「第2面」の一具体例に対応する。また、開口M2が本開示の「第1開口」の一具体例に対応し、開口M1が本開示の「第2開口」の一具体例に対応する。
インクジェットヘッドチップ41Aは、アクチュエータプレート411およびカバープレート410に加えて、アクチュエータプレート411の裏面411f2に貼り合わされた封止プレート415を含んでいる。即ち、複数のアクチュエータプレート411の裏面411f2に設けられた複数の開口M2各々は、封止プレート415により閉塞されている。この封止プレート415は、アクチュエータプレート411を間にしてカバープレート410に対向している。封止プレート415は、例えばPZTまたはシリコン等により構成されている。
図10は、図9に示した駆動電極Edのより具体的な構成を表したものである。駆動電極Edは、アクチュエータプレート411の表面411f1から裏面411f2側に延在する密着膜CF3および耐腐食膜CF4と、裏面411f2から表面411f1側に延在する密着膜CF1および耐腐食膜CF2とを含んでいる。表面411f1側(開口M1側)では、駆動壁Wd側から密着膜CF3および耐腐食膜CF4がこの順に積層され、裏面411f2側(開口M2側)では、密着膜CF1および耐腐食膜CF2がこの順に積層されている。密着膜CF3および耐腐食膜CF4の少なくとも一方は、密着膜CF1および耐腐食膜CF2の少なくとも一方に接続されている。後述するように、アクチュエータプレート411の表面411f1側から密着膜CF3および耐腐食膜CF4を形成した後、裏面411f2側から密着膜CF1および耐腐食膜CF2を形成する。
ここでは、密着膜CF3が本開示の「第2密着膜」の一具体例に対応し、耐腐食膜CF4が本開示の「第2耐腐食膜」の一具体例に対応する。
密着膜CF3は、後述するように、例えば蒸着法により成膜されたものである。この密着膜CF3は、例えば、駆動壁Wd(圧電基板411p,411m)に接している。密着膜CF3は、密着膜CF1よりも開口M1側に設けられ、開口M1側から駆動壁Wdの少なくとも一部を覆っている。密着膜CF3は、例えば、開口M1側の駆動壁Wdの一部を覆っているが、開口M1から開口M2まで全ての駆動壁Wdを覆っていてもよい。密着膜CF3は、チャネルC1の深さ方向(図10のY方向)の上端eu3および下端eb3を有している。上端eu3は表面411f1(開口M1)側に設けられ、下端eb3は裏面411f2側(開口M2)に設けられている。例えば、複数の駆動電極Ed各々の一部では、密着膜CF3の上端euが開口M1の外側の表面411f1に設けられている。ここでは、上端eu3が本開示の「第2密着膜の一端」の一具体例に対応し、下端eb3が本開示の「第2密着膜の他端」の一具体例に対応する。この密着膜CF3は、耐腐食膜CF4を駆動壁Wdに密着させるためのものであり、圧電基板411p,411mに対して高い密着性を有している。密着膜CF3は、例えば、チタン(Ti),銅(Cu),ニッケル(Ni)およびクロム(Cr)等のうちの少なくとも1つを含んでいる。
耐腐食膜CF4は、後述するように、例えば、密着膜CF3を形成した後、蒸着法により成膜されたものであり、密着膜CF3上に設けられている。即ち、密着膜CF3および耐腐食膜CF4は蒸着膜により構成されている。例えば、チャネルC1の深さ方向では、耐腐食膜CF4の大きさが密着膜CF3の大きさよりも小さくなっており、耐腐食膜CF4の下端は密着膜CF3の下端eb3よりも表面411f1側に設けられている。耐腐食膜CF4は、インク9に対して高い耐腐食性を有していることが好ましい。耐腐食膜CF4は、例えば、金(Au),白金(Pt)またはパラジウム(Pd)等の貴金属により構成されている。
密着膜CF1は、例えば、開口M2近傍で駆動壁Wd(圧電基板411p,411m)に接しており、開口M2側から駆動壁Wdの少なくとも一部を覆っている。密着膜CF1は、例えば、開口M2側の駆動壁の一部を覆っているが、開口M2から開口M1まで全ての駆動壁Wdを覆っていてもよい。密着膜CF1の下端ebは裏面411f2(開口M2)側に設けられ、上端euは表面411f1(開口M1)側に設けられている。密着膜CF1の下端ebは、開口M2の外側の裏面411f2に設けられていてもよく、あるいは、チャネルC1内に設けられていてもよい。ここでは、下端ebが本開示の「第1密着膜の一端」の一具体例に対応し、上端euが本開示の「第1密着膜の他端」の一具体例に対応する。
耐腐食膜CF2は、密着膜CF1の下端ebから上端euまでを覆っており、駆動電極Edには、密着膜CF1が耐腐食膜CF2から露出された部分が設けられていない。上記実施の形態で説明したのと同様に、これにより、駆動電極Edの腐食に起因したインクジェットヘッドチップ41の信頼性の低下を抑えることが可能となる。例えば、耐腐食膜CF2の厚みT2は、その周辺の密着膜CF1の厚みT1とほぼ同じ、あるいは、耐腐食膜CF2の厚みT2は、その周辺の密着膜CF1の厚みT1よりも大きくなっている(T1≦T2)。例えば、チャネルC1の深さ方向では、耐腐食膜CF2の大きさが密着膜CF1の大きさよりも大きくなっており、耐腐食膜CF2の上端は密着膜CF1の上端euよりも表面411f1側に設けられている。チャネルC1の深さ方向での耐腐食膜CF2の大きさは、密着膜CF1の大きさ以上であればよく、耐腐食膜CF2の上端の位置が密着膜CF1の上端euの位置に揃っていてもよい。例えば、耐腐食膜CF2の下端の位置は、密着膜CF1の下端ebの位置に揃っている。上記実施の形態で説明したのと同様に、密着膜CF1および耐腐食膜CF2はそれぞれ、チャネルC1の深さ方向の位置により厚みT1,T2が変化していてもよい。密着膜CF1および耐腐食膜CF2それぞれの上端から下端までを比較したとき、耐腐食膜CF2の厚みは、密着膜CF1の厚み以上になっている。
密着膜CF1の上端euは耐腐食膜CF4上に設けられ、密着膜CF1の少なくとも一部が耐腐食膜CF4に重なっていることが好ましい。換言すれば、駆動電極Edは、密着膜CF1と耐腐食膜CF4とが重なる重なり部OPを有していることが好ましい。これにより、上記のように、密着膜CF3の下端eb3側の一部が耐腐食膜CF4から露出されていても、この密着膜CF3の露出部分が耐腐食膜CF2に覆われる。したがって、密着膜CF3とインク9との接触に起因した駆動電極Edの腐食を抑えることができる。また、駆動電極Edが重なり部OPを有することにより、以下のような理由により、密着膜CF1の剥がれを抑えることができる。
例えば、重なり部OPを有さない駆動電極Edでは、密着膜CF1の上端euが、より裏面411f2側に配置されており、密着膜CF1が密着膜CF3および耐腐食膜CF4のうち、密着膜CF3にのみ重なる。この場合、密着膜CF1と密着膜CF3との密着性が低く、密着膜CF1の剥がれが生じるおそれがある。また、駆動電極Edの抵抗が高くなり易い。これらは、密着膜CF1の表面に形成される不動態膜に起因している。一方、耐腐食膜CF4の表面には不動態膜が形成されにくい。したがって、駆動電極Edが重なり部OPを有することにより、重なり部OPでは耐腐食膜CF4に密着膜CF1が密着するので、密着膜CF1の剥がれを抑えることができる。また、駆動電極Edの抵抗を下げることが可能となる。このような重なり部OPでは、駆動壁Wd側から、密着膜CF1、耐腐食膜CF2、密着膜CF3および耐腐食膜CF4がこの順に積層されている。
図11は、図10に示した駆動電極Edの構成の他の例を表している。このように、耐腐食膜CF2が密着膜CF1の下端ebから上端euまでを覆い、かつ、耐腐食膜CF4が密着膜CF3の上端eu3から下端eb3までを覆っていてもよい。これにより、重なり部OPを形成しやすくなり、より効果的に密着膜CF1の剥がれを抑えることができる。また、駆動電極Edの抵抗もより下げることができる。このとき、例えば、耐腐食膜CF4の上端および下端の位置は各々、密着膜CF3の上端から下端の位置に揃っており、耐腐食膜CF4の厚みT4は、その周辺の密着膜CF3の厚みT3とほぼ同じになっている。
次に、図12〜図13Fを用いてインクジェットヘッドチップ41Aの製造方法について説明する。図12は、インクジェットヘッドチップ41Aの製造方法の一例を工程順に表したものであり、図13A〜図13Fは、図12に示した各工程について説明するための断面図を表している。
まず、上記インクジェットヘッドチップ41の製造方法(図7参照)で説明したのと同様に、圧電基板の形成(ステップS1)およびレジスト膜のパターン形成(ステップS2)をこの順に行う。圧電基板の形成工程(ステップS1)では、図13Aに示したように、厚さ方向(Y軸方向)に分極処理された2枚の圧電基板(圧電基板411pZおよび圧電基板411mZ)を用意し、各々の分極方向が逆向きとなるようにそれらを積層する。そののち、必要に応じて圧電基板411pZに対し研削加工を行い、圧電基板411pZの厚さを調整する。これにより圧電基板411pおよび表面411f1が形成される。次に、この表面411f1にレジスト膜のパターン(図13BのパターンRP1)を形成する。このレジスト膜のパターンRP1は、表面411f1にコモン電極Edc、アクティブ電極Eda各々に電気的に接続されたパッド部(図示せず)と、コモン電極Edcおよびアクティブ電極Edaをパッド部に接続するための配線とを形成するためのものである。
続いて、図13Bに示したように、複数のチャネルC1それぞれを形成する位置に、トレンチC1Uを形成する(ステップS3)。この複数のトレンチC1Uにより、複数のチャネルC1が形成される。トレンチC1Uは、例えば、表面411f1から、ダイシングブレード等を用いて研削加工を行うことにより形成する。これにより、複数のトレンチC1Uとともに、表面411f1には複数のトレンチC1U各々に連通された複数の開口M1が形成される。
圧電基板411Zに複数のトレンチC1Uを形成した後、図13Cに示したように、例えば蒸着法により、密着膜CF3および耐腐食膜CF4をこの順に形成する(ステップS12,S13)。密着膜CF3および耐腐食膜CF4は、複数のトレンチC1Uの内壁面および表面411f1に形成する。この密着膜CF3および耐腐食膜CF4の形成工程(ステップS12,S13)では、斜方蒸着法を用いることが好ましい。上記実施の形態で説明したのと同様に、これにより、トレンチC1Uの深さ方向(図13CのY軸方向)にわたって広く密着膜CF3および耐腐食膜CF4を形成することができる。このとき、密着膜CF3の下端(図10の下端eb3)側の一部は耐腐食膜CF4から露出されていてもよく(図10参照)、あるいは、トレンチC1Uの深さ方向にわたって密着膜CF3が耐腐食膜CF4により覆われていてもよい(図11参照)。
密着膜CF3および耐腐食膜CF4を形成した後、レジスト膜のパターンRP1を除去する(ステップS14)。これにより、レジスト膜のパターンRP1に付着した密着膜CF3および耐腐食膜CF4も除去され(リフトオフ法)、トレンチC1Uの内壁面の密着膜CF3および耐腐食膜CF4と、表面411f1の選択的な領域に設けられた密着膜CF3および耐腐食膜CF4とが残る。例えば、表面411f1の選択的な領域に設けられた密着膜CF3および耐腐食膜CF4により、駆動電極Edに電気的に接続された配線およびパッド部(図示せず)が形成される。
この後、図13Dに示したように、レジスト膜のパターンRP1が除去された表面411f1に、カバープレート410を貼り合わせる(ステップS15)。続いて、図13Eに示したように、圧電基板411mZに裏面(圧電基板411pと反対側の面)から研削加工を行う(ステップS16)。この研削工程(ステップS16)では、裏面411f2に複数のトレンチC1Uを露出させ、裏面411f2に複数のチャネルC1各々に連通した開口M2を形成する。これにより、圧電基板411mZの厚みが調整され、圧電基板411mが形成される。
裏面411f2に複数の開口M2を形成した後、図13Fに示したように、裏面411f2にレジスト膜のパターンRP2を形成する(ステップS17)。
裏面411f2にレジスト膜のパターンRP2を形成した後、例えば蒸着法により、密着膜CF1および耐腐食膜CF2をこの順に形成する(ステップS18,S19)。密着膜CF1および耐腐食膜CF2は、複数のチャネルC1の内壁面とレジスト膜のパターンRP2とを覆うように形成する。この密着膜CF1および耐腐食膜CF2の形成工程(ステップS18,S19)では、斜方蒸着法を用いることが好ましい。上記実施の形態で説明したのと同様に、これにより、チャネルC1の深さ方向にわたって広く密着膜CF1および耐腐食膜CF2を形成することができる。このとき、密着膜CF1は、耐腐食膜CF4に重なるように形成する(図10,図11の重なり部OP)。また、裏面411f2に形成される耐腐食膜CF2の厚みT2は、裏面411f2に形成される密着膜CF1の厚みT1と同じ、あるいは裏面411f2に形成される密着膜CF1の厚みT1よりも大きくなるようにして斜方蒸着法を行う。これにより、密着膜CF1の下端ebから上端euまでが耐腐食膜CF2により覆われる。
密着膜CF1および耐腐食膜CF2を形成した後、レジスト膜のパターンRP2を除去する(ステップS20)。これにより、裏面411f2に形成された密着膜CF1および耐腐食膜CF2のうち、不要な部分が除去される(リフトオフ法)。したがって、チャネルC1の内側面を覆う密着膜CF1,CF3および耐腐食膜CF2,CF4により駆動電極Edが形成されるとともに、吐出チャネルC1eのコモン電極Edcと、ダミーチャネルC1dのアクティブ電極Edaとが電気的に分離される。
このようにしてアクチュエータプレート411を形成した後、レジスト膜のパターンRP2が除去された裏面411f2に、封止プレート415を貼り合わせる(ステップS21)。最後に、これらカバープレート410、アクチュエータプレート411および封止プレート415と、他のプレート(例えば、ノズルプレート412等)との組み立てを行う(ステップS7)。これにより、図9等に示したインクジェットヘッドチップ41Aが完成する。
本変形例に係るインクジェットヘッドチップ41Aにおいても、チャネルC1の深さ方向にわたって、耐腐食膜CF2が密着膜CF1の下端ebから上端euまでを覆っている。これにより、駆動電極Edの腐食に起因したインクジェットヘッドチップ41Aの信頼性の低下を抑えることができる。以下、比較例(比較例2)を用いて、この作用効果について説明する。
図14は、比較例2に係るインクジェットヘッドチップ141Aの要部の構成を拡大して表したものである。図14は、インクジェットヘッドチップ41Aを表す図10に対応している。インクジェットヘッドチップ141Aは、インクジェットヘッドチップ41Aと同様に密着膜CF1,CF3および耐腐食膜CF2,CF4を含む駆動電極Edを有している。しかし、この駆動電極Edの一部では、密着膜CF1が耐腐食膜CF2から露出されている。具体的には、耐腐食膜CF2が密着膜CF1よりも浅く形成されており、耐腐食膜CF2は密着膜CF1の上端eu側の一部を覆っていない。これにより、上記比較例1で説明したのと同様に、駆動電極Edの不具合が発生し、インクジェットヘッドチップ141Aの信頼性が低下する。
これに対し、インクジェットヘッドチップ41Aの駆動電極Edでは、耐腐食膜CF2が密着膜CF1の下端ebから上端euまでを覆っている。また、駆動電極Edは、密着膜CF1と耐腐食膜CF4とが重なる重なり部OPを有している。これにより、駆動電極Edのいずれの部分においても密着膜CF1,CF3が耐腐食膜CF2または耐腐食膜CF4により覆われる。したがって、密着膜CF1,CF3とインク9との接触を抑え、インクジェットヘッドチップ41Aの信頼性を向上させることが可能となる。
また、インクジェットヘッドチップ41Aでは、駆動電極Edが表面411f1側から形成された密着膜CF3および耐腐食膜CF4と、裏面411f2側から形成された密着膜CF1および耐腐食膜CF2とを含んでいるので、表面411f1側または裏面411f2側のどちらか一方のみから駆動電極Edを形成する場合に比べて、よりチャネルC1の内壁(駆動壁Wd)に広く駆動電極Edを形成することができる。これにより、複数のチャネルC1間での駆動電極Edの形成面積のばらつきが小さくなる。したがって、インクジェットヘッドチップ41Aでは、駆動電極Edの形成面積のばらつきに起因した吐出量のばらつきを抑えることが可能となる。
<3.その他の変形例>
以上、実施の形態および変形例を挙げながら本開示に関して説明したが、本開示の態様は上記した実施の形態等において説明された態様に限定されず、種々の変形が可能である。
具体的には、例えば、1個の液体噴射ヘッド(液体噴射ヘッドチップ)が1色の液体(インク)を噴射せずに、その1個の液体噴射ヘッドが互いに異なる複数色(例えば、2色など)の液体を噴射してもよい。
また、例えば、液体噴射ヘッドは、上記したエッジシュートタイプの液体噴射ヘッドに限定されず、サイドシュートタイプの液体噴射ヘッドでもよい。このサイドシュートタイプの液体噴射ヘッドでは、アクチュエータプレートに設けられた各チャネルが特定の方向に延在している場合において、ノズルプレートに設けられた各ノズル孔から各チャネルの延在方向と交差する方向にインクが噴射される。
また、例えば、液体噴射ヘッドは、インクジェットヘッド4とインクタンク3との間の循環機構により、インク9が循環される循環式の液体噴射ヘッドであってもよく、非循環式の液体噴射ヘッドであってもよい。
また、上記実施の形態等では、リフトオフ法を用いて密着膜CF1,CF3および耐腐食膜CF2,CF4のパターニングを行う場合について説明したが、密着膜CF1,CF3および耐腐食膜CF2,CF4のパターニングは、例えば、レーザ照射等の他の方法を用いて行うようにしてもよい。
また、上記実施の形態等では、蒸着法を用いて密着膜CF1,CF3および耐腐食膜CF2,CF4の形成する場合について説明した。ここでの蒸着法は、いわゆる物理蒸着法であり、真空蒸着法、スパッタリング法およびイオンプレーティング法等を含んでいる。
また、例えば、上記実施の形態等では、ノズル孔H2の開口形状が円形状である場合について説明したが、ノズル孔H2の開口形状は、例えば、楕円形状や、三角形状等の多角形状、星型形状など他の形状であってもよい。
また、例えば、本開示の液体噴射ヘッドチップ、液体噴射ヘッドおよび液体噴射記録装置のそれぞれが適用される用途は、インクジェットプリンタに限定されず、他の用途でよい。他の用途は、例えば、ファクシミリおよびオンデマンド印刷機などの他の装置である。
なお、本明細書中に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものではなく、また、他の効果があってもよい。
また、本開示は、以下のような構成を取ることも可能である。
(1)
液体に圧力を印加するアクチュエータプレートを備え、前記液体を噴射するヘッドチップであって、
前記アクチュエータプレートは、
第1面および前記第1面と反対を向く第2面と、
前記第1面に設けられた第1開口に連通するとともに、前記第1面から前記第2面に向かう方向に深さ方向を有するチャネルと、
前記チャネルの内壁に設けられ、かつ、前記内壁の少なくとも一部を覆う第1密着膜と、前記第1密着膜の前記第1面側の一端から前記第2面側の他端まで覆う第1耐腐食膜とを含む電極とを有する
ヘッドチップ。
(2)
前記第1耐腐食膜の厚みは、前記第1密着膜の厚みと同じまたは前記第1密着膜の厚みよりも大きい
前記(1)に記載のヘッドチップ。
(3)
前記チャネルは、前記第1開口とともに、前記第2面に設けられた第2開口に連通し、
前記電極は、更に、前記第1密着膜よりも前記第2開口側に設けられた第2密着膜と、前記第2密着膜を前記第2面側から前記深さ方向の少なくとも一部にわたって覆う第2耐腐食膜とを有する
前記(1)または前記(2)に記載のヘッドチップ。
(4)
前記電極は、前記第2耐腐食膜および前記第1密着膜の重なる重なり部を有し、
前記重なり部では、前記内壁側から、前記第2密着膜、前記第2耐腐食膜、前記第1密着膜および前記第1耐腐食膜がこの順に積層されている
前記(3)に記載のヘッドチップ。
(5)
前記第2耐腐食膜は、前記第2密着膜の前記第2面側の一端から前記第1面側の他端まで覆っている
前記(4)に記載のヘッドチップ。
(6)
前記第1耐腐食膜は、金(Au),白金(Pt)およびパラジウム(Pd)のうちの少なくとも一つを含む
前記(1)ないし前記(5)のうちいずれか1つに記載のヘッドチップ。
(7)
前記第1密着膜および前記第1耐腐食膜は、蒸着膜である
前記(1)ないし前記(6)のうちいずれか1つに記載のヘッドチップ。
(8)
前記(1)ないし前記(7)のいずれか1つに記載のヘッドチップと、
前記ヘッドチップに前記液体を供給する供給機構と
を備えた液体噴射ヘッド。
(9)
前記(8)に記載の液体噴射ヘッドと、
前記液体を収容する収容部と
を備えた液体噴射記録装置。
(10)
液体に圧力を印加するアクチュエータプレートを備え、前記液体を噴射するヘッドチップの製造方法であって、
前記アクチュエータプレートを形成する工程は、
第1面および前記第1面と反対を向く第2面を有する圧電基板を準備する工程と、
前記圧電基板の前記第1面に第1開口を形成するとともに、前記第1開口に連通させて前記第1面から前記第2面に向かう方向に深さ方向を有するチャネルを形成する工程と、
前記チャネルの内壁に、蒸着法を用いて第1密着膜を形成する工程と、
蒸着法を用いて、前記第1密着膜の前記第1面側の一端から前記第2面側の他端まで覆う第1耐腐食膜を形成し、前記第1密着膜および前記第1耐腐食膜を含む電極を形成する工程と
を含むヘッドチップの製造方法。
1…プリンタ、3…インクタンク、4…インクジェットヘッド、9…インク、41,41A…インクジェットヘッドチップ、42…供給機構、410…カバープレート、411…アクチュエータプレート、411p,411z…圧電基板、411f1…表面、411f2…裏面、412…ノズルプレート、413…支持プレート、415…封止プレート、C1…チャネル、C1d…ダミーチャネル、C1e…吐出チャネル、Ed…駆動電極、CF1,CF3…密着膜、CF2,CF4…耐腐食膜、eu,eu3…上端、ed,ed3…下端、Eda…アクティブ電極、Edc…コモン電極、H2…ノズル孔、P…記録紙、Wd…駆動壁。

Claims (10)

  1. 液体に圧力を印加するアクチュエータプレートを備え、前記液体を噴射するヘッドチップであって、
    前記アクチュエータプレートは、
    第1面および前記第1面と反対を向く第2面と、
    前記第1面に設けられた第1開口に連通するとともに、前記第1面から前記第2面に向かう方向に深さ方向を有するチャネルと、
    前記チャネルの内壁に設けられ、かつ、前記内壁の少なくとも一部を覆う第1密着膜と、前記第1密着膜の前記第1面側の一端から前記第2面側の他端まで覆う第1耐腐食膜とを含む電極とを有する
    ヘッドチップ。
  2. 前記第1耐腐食膜の厚みは、前記第1密着膜の厚みと同じまたは前記第1密着膜の厚みよりも大きい
    請求項1に記載のヘッドチップ。
  3. 前記チャネルは、前記第1開口とともに、前記第2面に設けられた第2開口に連通し、
    前記電極は、更に、前記第1密着膜よりも前記第2開口側に設けられた第2密着膜と、前記第2密着膜を前記第2面側から前記深さ方向の少なくとも一部にわたって覆う第2耐腐食膜とを有する
    請求項1または請求項2に記載のヘッドチップ。
  4. 前記電極は、前記第2耐腐食膜および前記第1密着膜の重なる重なり部を有し、
    前記重なり部では、前記内壁側から、前記第2密着膜、前記第2耐腐食膜、前記第1密着膜および前記第1耐腐食膜がこの順に積層されている
    請求項3に記載のヘッドチップ。
  5. 前記第2耐腐食膜は、前記第2密着膜の前記第2面側の一端から前記第1面側の他端まで覆っている
    請求項4に記載のヘッドチップ。
  6. 前記第1耐腐食膜は、金(Au),白金(Pt)およびパラジウム(Pd)のうちの少なくとも一つを含む
    請求項1ないし請求項5のうちいずれか1つに記載のヘッドチップ。
  7. 前記第1密着膜および前記第1耐腐食膜は、蒸着膜である
    請求項1ないし請求項6のうちいずれか1つに記載のヘッドチップ。
  8. 請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載のヘッドチップと、
    前記ヘッドチップに前記液体を供給する供給機構と
    を備えた液体噴射ヘッド。
  9. 請求項8に記載の液体噴射ヘッドと、
    前記液体を収容する収容部と
    を備えた液体噴射記録装置。
  10. 液体に圧力を印加するアクチュエータプレートを備え、前記液体を噴射するヘッドチップの製造方法であって、
    前記アクチュエータプレートを形成する工程は、
    第1面および前記第1面と反対を向く第2面を有する圧電基板を準備する工程と、
    前記圧電基板の前記第1面に第1開口を形成するとともに、前記第1開口に連通させて前記第1面から前記第2面に向かう方向に深さ方向を有するチャネルを形成する工程と、
    前記チャネルの内壁に、蒸着法を用いて第1密着膜を形成する工程と、
    蒸着法を用いて、前記第1密着膜の前記第1面側の一端から前記第2面側の他端まで覆う第1耐腐食膜を形成し、前記第1密着膜および前記第1耐腐食膜を含む電極を形成する工程と
    を含むヘッドチップの製造方法。
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