JP2020096482A - モータ - Google Patents
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Abstract
【課題】ロータ内に感温磁性材料の配置を容易にし、温度特性の優れたモータを提供する。【解決手段】コイル13を備えるステータ10と、直方体形状の永久磁石23を備えるロータ20とを含むモータ1であって、モータ1が、ロータ20の空間内のロータ20の表面側に直方体形状の感温磁性材料24を備え、ロータ20の軸側に永久磁石23を配置しており、感温磁性材料24における、100℃〜200℃の温度範囲の飽和磁気分極の温度依存性が0.05%/℃以上であり、かつ100℃〜200℃における飽和磁気分極が0.5T以上であることを特徴とする。【選択図】図1
Description
本発明は、永久磁石を使用するモータに関する。
電気自動車(EV)やハイブリッド車(HV)用のモータは、搭載性を加味すると小型化が必要になる。モータを小型化すると、モータに使用される永久磁石は、厳しい環境条件下、例えば高い温度や高い逆磁界に曝される。
例えば、特許文献1には、ネオジウム系磁石を永久磁石として有するモータ用ロータ及びモータが記載されている。ネオジウム系磁石は高磁束密度、高保磁力な材料であるが、高温で保磁力が低下するために、重希土類金属であるDyやTbを添加・拡散して高温での保磁力を確保している。
DyやTbを添加しない材料からなる永久磁石を使用するモータは、磁束密度が高いためモータの小型化・高トルク化に寄与する。しかしながら、モータの回転速度が速い場合、ロータから発生している磁束により、ステータ側のコイルではその磁束変化により逆起電力が発生してしまう。このような逆起電力が発生するとエンジン主体で高速走行する場合、エンジンの負荷となり、モータの運転効率の悪化、すなわち高速燃費が悪くなる。そのため、ステータから、永久磁石の磁束を低減させるために、磁石回転と同期させて、逆の磁界を掛けて永久磁石の磁束を少なくする必要がある。これを「弱め界磁」という。このような弱め界磁は電力損失(銅損)の増加、モータ発熱等の原因となる恐れがある。特許文献2には、それを回避することのできるモータが記載されている。
特許文献2では、ロータに感温磁性材料を備えるようにしている。モータの回転速度が速い場合に、ロータの温度が上昇するため、感温磁性材料の温度が上昇して透磁率が減少する。感温磁性材料の透磁率が減少することで、ステータのコイルにて交番する永久磁石の磁束が少なくなる。そのため、逆起電力が小さくなり、大電力の弱め界磁電力を印加しなくても、ステータのコイルにおける誘起電力が小さくなるため、ステータにおける発熱が抑制され、モータの運転効率を高めることができる。
特許文献1に記載のモータでは、前記の通り、重希土類金属であるDyやTbを添加・拡散させたネオジウム系磁石が使用されている。重希土類金属の添加・拡散のないネオジウム系磁石では、磁石が減磁しやすくなるが、当該磁石にDyやTbを添加・拡散すると、磁石の室温での保磁力が高くなり、かつ温度係数が小さくなることで、磁石の減磁が抑制される。
しかしながら、DyやTbは希少元素であるため高価格であり、資源リスクも高い。
一方で、特許文献2に記載のモータでは、感温磁性材料により、高価格であるDyやTbを使用することなく、モータの高速回転時での運転効率を高めることができる。使用する感温磁性材料としては、液体であるフェリコロイドや、固定である鉄系の合金が記載されている。
しかしながら、ロータ内に液体である感温磁性材料を配置することは、構成的に容易でない。また、鉄系の合金は、一般にキュリー温度が高く、実際の使用において、必ずしも有効はでない。
また、感温磁性材料の配置位置が、磁石V字配置に対してロータ表面側であり、高温になったときにリラクタンストルクが激減して、モータトルクが低下する、という問題がある。
なお、永久磁石が高温になるのを防ぐために、当該磁石を冷却することで磁石の減磁を抑制する方法もある。
しかしながら、構造が複雑になるため、生産性が悪くなり、コストが高くなる、という問題がある。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、ロータに永久磁石とともに感温磁性材料を配置したロータを備えたモータにおいて、ロータ内への永久磁石及び感温磁性材料の配置が容易であり、かつ高温高速回転時には永久磁石から出る磁束の密度を低減し、高温時にはステータから永久磁石にかかる磁界を低減し、減磁を防止し、低温時にはステータから出る磁束の密度及び永久磁石から出る磁束の密度を高くすることを可能としたモータを提供することを課題とする。
本発明者らは、前記課題を解決するための手段を種々検討した結果、コイルを備えるステータと、直方体形状の永久磁石を備えるロータとからなるモータにおいて、前記ロータの空間内の前記ロータの表面側に直方体形状の感温磁性材料を備え、前記ロータの軸側に前記永久磁石を配置し、さらに前記感温磁性材料として、永久磁石の保磁力が低い温度領域において所定の飽和磁気分極の温度依存性を有し、かつ一定値以上の飽和磁気分極を有する感温磁性材料を使用することにより、高温高速回転時には永久磁石から出る磁束の密度が低減し、低温時にはステータから出る磁束の密度及び永久磁石から出る磁束の密度が高くなることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
(1)コイルを備えるステータと、直方体形状の永久磁石を備えるロータとを含むモータであって、
前記モータが、前記ロータの空間内の前記ロータの表面側に直方体形状の感温磁性材料を備え、前記ロータの軸側に前記永久磁石を配置しており、
前記感温磁性材料における、100℃〜200℃の温度範囲の飽和磁気分極の温度依存性が0.05%/℃以上であり、かつ100℃〜200℃における飽和磁気分極が0.5T以上であることを特徴とするモータ。
(1)コイルを備えるステータと、直方体形状の永久磁石を備えるロータとを含むモータであって、
前記モータが、前記ロータの空間内の前記ロータの表面側に直方体形状の感温磁性材料を備え、前記ロータの軸側に前記永久磁石を配置しており、
前記感温磁性材料における、100℃〜200℃の温度範囲の飽和磁気分極の温度依存性が0.05%/℃以上であり、かつ100℃〜200℃における飽和磁気分極が0.5T以上であることを特徴とするモータ。
本発明によるモータでは、ロータ内に配置する感温磁性材料として、直方体形状の感温磁性材料を用いるため、ロータへの感温磁性材料の組み付けはきわめて容易である。また、ロータに備え直方体形状の永久磁石に接するようにして、直方体形状の感温磁性材料を配置する構成であり、その点からも、ロータの組み付けはきわめて容易である。
さらに、感温磁性材料として特定の材料を用いることにより、高温高速回転時では永久磁石から出る磁束の密度が低減されるため、ステータのコイルにて発生する逆起電力を小さくすることができ、また、低温時ではステータから出る磁束の密度及び永久磁石から出る磁束の密度の低減が抑制され、モータトルクを高い状態で維持することができる。
以下、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。
本明細書では、適宜図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図面では、明確化のために各部の寸法及び形状を誇張しており、実際の寸法及び形状を正確に描写してはいない。それ故、本発明の技術的範囲は、これら図面に表された各部の寸法及び形状に限定されるものではない。なお、本発明のモータは、下記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者が行い得る変更、改良等を施した種々の形態にて実施することができる。
本明細書では、適宜図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図面では、明確化のために各部の寸法及び形状を誇張しており、実際の寸法及び形状を正確に描写してはいない。それ故、本発明の技術的範囲は、これら図面に表された各部の寸法及び形状に限定されるものではない。なお、本発明のモータは、下記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者が行い得る変更、改良等を施した種々の形態にて実施することができる。
図1は、本実施の形態に用いられる内磁型モータ(IPMモータ)の一部を示す横断面図である。図2は、本実施の形態に用いられるモータのロータにおける中心軸方向の断面図である。
モータ1は、中空円柱状のステータ10と、ステータ10の中空部に回転可能に設けられるロータ20とにより構成される。ステータ10には、その中心軸Oの方向に貫通する適数個のスロット11が、ステータ10の周方向に等間隔に形成されている。隣接するスロット11の間にティース12が形成され、ティース12を巻回するように、コイル13が設けられる。
ロータ20は、図2の中心軸方向の断面図に示すように、電磁鋼板21の積層体であり、該積層体を中心軸方向に貫通して、中心軸方向に延在する直方体形状の空間22を有している。該空間22には、共に直方体形状でありかつ平板状である永久磁石23と感温磁性材料24とが径方向に積層された状態で挿入されている。
ステータ10のコイル13に所定の駆動周波数の交流電力が供給されると、所定のタイミングで回転磁界を発生する。ステータ10のコイル13により発生する回転磁界が、ロータ20の永久磁石23に作用することにより、コイル13と永久磁石23とが誘引又は反発することで回転駆動力が発生し、ロータ20がステータ固定子10内で回転する。
本実施の形態において、空間22は、3つの空間22a、22b、22cの空間組として形成されており、その空間組の適数個がロータ20の周方向に等間隔に形成されている。それぞれの空間22a、22b、22c内に、前記した直方体形状でありかつ平板状である永久磁石23と感温磁性材料24とが径方向に積層された状態で挿入されている。
図示の例では、空間22aはロータ20の外周縁近くにおいて、ロータ20の中心軸Oからの径方向に延びる直線に直交する方向に形成されている。空間22bと空間22cは、空間22aよりも中心軸Oに近い位置において、空間22aを両側から挟み込むようにして、ステータ10側が開いた逆ハ字状(V字状)に形成されている。
図1に示すように、各空間22a、22b、22cにおいて、永久磁石23と感温磁性材料24との積層体は、感温磁性材料24がステータ10の側(ロータ20の表面側)に面するようにして、空間内に挿入されている。すなわち、感温磁性材料24は、モータ1の運転時において、ステータ10と永久磁石23間での磁束の流れる方向に比較的直交するように永久磁石23の面に接して、かつステータ10側に面して配置されていることとなる。
図3には、空間22aにおいて、永久磁石23と感温磁性材料24との積層体を、感温磁性材料24がステータ10の側(ロータ20の径方向表面側)に面するようにして、空間内に挿入した拡大図を示す。
さらに、図4には、感温磁性材料24の原料25をカットすることにより作製したブロックを永久磁石23と貼り合せて、その後、得られた永久磁石23と感温磁性材料24との積層体をロータスロット22内に挿入して、設置する方法を示す。なお、感温磁性材料24は、紙面と平行方向に積層させてもよい。すなわち、感温磁性材料24は、永久磁石23と同じ形状のものを紙面と同じ面に平行に積み重ねてもよい。
本実施の形態において、感温磁性材料24では、100℃〜200℃の温度範囲における飽和磁気分極の温度依存性が、0.05%/℃以上、好ましくは0.07%/℃以上、より好ましくは0.10%/℃以上、さらにより好ましくは0.12%/℃以上である。なお、感温磁性材料24では、100℃〜200℃の温度範囲における飽和磁気分極の温度依存性の上限値は限定されるものではない。
ここで、100℃〜200℃の温度範囲は、永久磁石23の保磁力が低い温度領域であり、100℃〜200℃の温度範囲における飽和磁気分極(Js)(単位:T)の温度依存性(α)(単位:%/℃)は、以下の計算式により計算される。
α=|{[(Js(200℃)(単位:T)−Js(100℃)(単位:T))/Js(100℃)(単位:T)]/(200(単位:℃)−100(単位:℃))}×100|(単位:%/℃)
(式中、Js(200℃)は、200℃での飽和磁気分極であり、Js(100℃)は、100℃での飽和磁気分極である。)
α=|{[(Js(200℃)(単位:T)−Js(100℃)(単位:T))/Js(100℃)(単位:T)]/(200(単位:℃)−100(単位:℃))}×100|(単位:%/℃)
(式中、Js(200℃)は、200℃での飽和磁気分極であり、Js(100℃)は、100℃での飽和磁気分極である。)
さらに、感温磁性材料24では、100℃〜200℃の温度範囲における飽和磁気分極が、0.5T以上、好ましくは1.0T以上である。感温磁性材料24では、100℃〜200℃の温度範囲における飽和磁気分極の上限値は限定されるものではない。
このような感温磁性材料24としては、当該技術分野で公知な材料を使用することができ、限定されないが、例えばFe−Si−B系アモルファス(Fe:Si:B=78:9:13(原子%))、Co−Fe−Ni系アモルファスが挙げられる。
また、図示しないが、3つの空間22a、22b、22cは、必須でなく、いずれか1つであってもよく、選択された2つであってもよい。
例として、感温磁性材料24としてのFe−Si−B系アモルファスの特性を、図5を参照して説明する。図5は、Fe−Si−B系アモルファス、電磁鋼板及びキュリー温度(Tc)が150℃である感温磁性材料の飽和磁気分極(Js)と温度の関係を示すグラフであり、横軸に温度(単位:℃)、縦軸に飽和磁気分極(Js)(単位:T)を示している。
一般に、飽和磁気分極の温度依存性はキュリー・ワイスの法則にしたがい、飽和磁気分極は温度の上昇と共に減少する。
キュリー温度が低い材料では、飽和磁気分極の温度依存性が大きい。図5より、Fe−Si−B系アモルファスは、温度依存性が大きい特性、すなわち、低温では磁束が通り易く、高温では磁束が通り難くなる特性を有する。
キュリー温度(Tc)が150℃である感温磁性材料もまた、温度依存性が大きく、低温では磁束が通り易く、高温では磁束が通り難くなる特性を有する。しかしながら、キュリー温度(Tc)が150℃である感温磁性材料は、低温における飽和磁気分極の絶対値が小さく、モータトルクの減少の可能性がある。
一方で、電磁鋼板のキュリー温度は約770℃と高く、図5より、電磁鋼板の温度依存性は小さい。
つまり、図1に示したモータ1では、低温において、ステータ10からの磁束及び永久磁石23からの磁束が感温磁性材料24の部分を通り易く、モータトルクを高い状態で維持でき、高温になると、ステータ10側からの磁界において、磁束が感温磁性材料24の部分を通り難くなり、結果、永久磁石23への逆磁界が小さくなって、永久磁石23の減磁がし難くなる。この性質から、感温磁性材料24は、高温における低保磁力材としても使用可能である。感温磁性材料24を備えない場合には、高温高速回転では、永久磁石からの磁界が大きいため、磁石磁界を弱めるための磁界をステータ10側から同期をとって加えるという、弱め界磁が必要となる。
したがって、本実施の形態でのモータ1では、低温の場合、ステータ10側からの磁界において、ステータ10側からの磁束は、飽和磁気分極の大きい感温磁性材料24を介して、保磁力の高い永久磁石23に掛かるように通り易いが、高温になると、永久磁石23からの磁束は、飽和磁気分極の低減した感温磁性材料24を介して、当該感温磁性材料24から出難くなり、その結果、必要な弱め界磁電流を小さくすることができ、永久磁石23も減磁しにくくなる。したがって、低い保磁力の永久磁石23でも使用可能となる。
次に、本実施の形態のモータ1における、感温磁性材料24の使用による最大逆磁界低減効果について説明する。図6及び図7は、磁石保磁力Hcjと永久磁石23に掛かるステータからの最大逆磁界Hmaxの関係を示すグラフであり、図6は、感温磁性材料24を使用しない場合((1)従来技術の形態のモータ1)のグラフ、図7は、感温磁性材料24としてMn−Zn系のフェライト磁性材を使用した場合、又は前記で説明した本発明における材料を使用した場合(本実施の形態のモータ1)のグラフである。両グラフにおいて、
Hmax(単位:T):温度Tで永久磁石23に掛かる最大逆磁界、
Hcj(単位:T):温度Tでの永久磁石23の保磁力、
Tc:感温磁性材料24のキュリー温度、
T1:従来技術における永久磁石23の使用限界温度、
T2:感温磁性材料24としてMn−Zn系のフェライト磁性材を使用した場合の永久磁石23の使用限界温度、
T3:感温磁性材料24として前記で説明した本発明における材料を使用した場合(本実施の形態のモータ1)の永久磁石23の使用限界温度、
である。なお、Hcjは永久磁石23そのものの磁化がゼロになる印加磁場の強さを示し、永久磁石23の逆磁場に対する真の抵抗力を表す。
Hmax(単位:T):温度Tで永久磁石23に掛かる最大逆磁界、
Hcj(単位:T):温度Tでの永久磁石23の保磁力、
Tc:感温磁性材料24のキュリー温度、
T1:従来技術における永久磁石23の使用限界温度、
T2:感温磁性材料24としてMn−Zn系のフェライト磁性材を使用した場合の永久磁石23の使用限界温度、
T3:感温磁性材料24として前記で説明した本発明における材料を使用した場合(本実施の形態のモータ1)の永久磁石23の使用限界温度、
である。なお、Hcjは永久磁石23そのものの磁化がゼロになる印加磁場の強さを示し、永久磁石23の逆磁場に対する真の抵抗力を表す。
図6及び7に示すように、永久磁石23の減磁を起きないようにするためには、磁石保磁力Hcjは各温度環境でのHmaxより大きくなる必要がある。図6に示すように、従来技術、すなわち、感温磁性材料24を用いない場合には、最大逆磁界Hmax(単位:T)は温度に依らず一定なので、従来技術における永久磁石23の使用限界温度であるT1は低くなり、したがって、高保磁力材を用いて永久磁石23の耐熱性を確保することが必要となる。
また、従来技術では、車両各種走行モードでの使用環境からロータ20内の永久磁石23の温度を特殊な試験条件で実測したり、場合により推定できるように膨大な試験にて永久磁石23の減磁が起こらない温度を決定したりする必要がある。
一方で、感温磁性材料24を使用した場合では、図7に示すように、感温磁性材料24を永久磁石23のステータ10側に配置することで、高温での最大逆磁界を低減することが可能となり、使用温度を高める、もしくは、永久磁石23として低保磁力材のものも使用可能になる利点がある。
さらに、感温磁性材料24を使用した場合では、永久磁石23の近傍に感温磁性材料24を設置することで、感温磁性の磁気分極変化により、高温では自発的にステータ磁界を少なくなるよう制御して永久磁石23の減磁を防止することができる。
また、感温磁性材料24を使用した場合では、高温になると感温磁性材料24のJsが小さくなるため、永久磁石23の温度をインダクタンスの変化などで間接的に推定できるので、永久磁石23の減磁の制御を少ないデータ量で容易に行うことができる。
しかしながら、感温磁性材料24としてMn−Zn系のフェライト磁性材を使用した場合では、低温時における当該材料のJsが0.35T程度であるため、低温でトルクに必要な永久磁石23からの磁束が感温磁性材料24に妨げられて少なくなってしまい、トルクが低下してしまう可能性がある。
そこで、感温磁性材料24として前記で説明した本発明における材料、例えば低温時においてはJsが大きいFe-Si-B系アモルファスを使用した本実施の形態のモータ1では、前記の感温磁性材料24を使用した場合の利点に加えて、低温時では、当該材料のJsが大きいため、比較的にトルクの低下が少なく、高温時では、当該材料のJsが低くなるため、ステータ磁界を小さくして、永久磁石23に掛かるHmaxを低減できるので、永久磁石23の減磁を防ぐことができる。
次に、本実施の形態のモータ1における、感温磁性材料24の使用による永久磁石23の磁束密度(B)低減効果について、図8及び9を参照して説明する。図8において、横軸は温度(単位:℃)、縦軸は永久磁石23の磁束密度(B)(単位:T)を示す。図9において、横軸は温度(単位:℃)、縦軸は永久磁石23の磁束量比を示す。なお、モータ1の最大トルクは、永久磁石23の磁束量に比例する。
図8及び9に示すように、従来技術では、永久磁石23の減磁制御をしていないので、Bが高い状態で、モータ1の最大トルクは高くなる。
一方で、感温磁性材料24としてMn−Zn系のフェライト磁性材を使用した場合、永久磁石23の表面に感温磁性材料24が近接しているため、磁束が少なくなり、モータ1の最大トルクが低下してしまう。
そこで、感温磁性材料24として前記で説明した本発明における材料、例えば低温時においてはJsが大きいFe-Si-B系アモルファスを使用した本実施の形態のモータ1では、永久磁石23の減磁が起きないようにするため、高温においてモータ1の最大トルクの低下が起こるものの、その低下度合いを最小に抑えている。
また、弱め界磁は、一般に高速回転時に実施するものである。高速回転では、条件によってモータ損失が大きくなり、高温になる場合がある。あるモータ回転数から弱め界磁を掛ける場合を想定すると、図8及び9に示すように、ある温度Tmでの弱め界磁電流は、Ik<<Ih<Ijになり、ロータ20に感温磁性材料24を配置することで、弱め界磁電流を小さくすることができる。弱め界磁電流による銅損は弱め界磁電流Iの2乗に比例するので、感温磁性材料24を使用した場合は、従来技術に対して、大幅に弱め界磁電流による損失を低減できる。
さらに、特許文献2に記載されるもののように、液体の感温磁性材料を用いるものでは積層する電磁鋼板内に液体感温磁性材料を封入し、回転体内で、かつ温度変化に伴う繰返しの熱膨張収縮の中で、漏れが無いように長期間にわたり封入しておく構造が必要であり、ロータの製造及び保証が容易ではない。
本実施の形態のモータ1では、感温磁性材料24として、直方体形状でありかつ平板状である感温磁性材料24を用いており、さらに、ロータ20に形成した軸方向の空間に直方体形状である永久磁石と感温磁性材料との径方向の積層体を挿入する構造であり、このことからも、ロータ20の製造が容易であり、かつ、長期信頼性の高いロータ構造である。
本実施の形態のモータ1における効果を以下にまとめる。
(1)温度により、永久磁石23に掛かる逆磁界を自発的に制御できるので、永久磁石23が減磁しない使用温度を高温にすることができる。
(2)磁石保磁力に対応した制御ができるので、永久磁石23として使用できる磁石材の選択肢が広がる。
(3)永久磁石23として、Tb・Dyの添加・拡散が少ない、又はTb・Dyの添加・拡散のない、低保磁力、及び高磁束密度の低コスト・資源リスクの少ない磁石材を選択することができる。
(4)IPMモータでは、一般にロータ20内に永久磁石23を配置するが、永久磁石23の温度を検知できないため、温度を推定して永久磁石23の減磁が起きないように制御している。永久磁石23の近傍に感温磁性材料24を設置することで、永久磁石23の温度をインダクタンス変化等で間接的に検知して、永久磁石23に掛かる磁界を自発的に制御することができ(自己温度可変界磁型モータ)、永久磁石23の減磁制御に対する基礎データ等が少なくなり、モータ開発工数が少なくなる。
(5)場合により、簡易な冷却方式、又は冷却なしのモータ1とできる可能性がある。
(6)高温高速回転時での弱め界磁を少なくできる。それにより、高温高速回転時におけるモータ運転効率は向上する。
(1)温度により、永久磁石23に掛かる逆磁界を自発的に制御できるので、永久磁石23が減磁しない使用温度を高温にすることができる。
(2)磁石保磁力に対応した制御ができるので、永久磁石23として使用できる磁石材の選択肢が広がる。
(3)永久磁石23として、Tb・Dyの添加・拡散が少ない、又はTb・Dyの添加・拡散のない、低保磁力、及び高磁束密度の低コスト・資源リスクの少ない磁石材を選択することができる。
(4)IPMモータでは、一般にロータ20内に永久磁石23を配置するが、永久磁石23の温度を検知できないため、温度を推定して永久磁石23の減磁が起きないように制御している。永久磁石23の近傍に感温磁性材料24を設置することで、永久磁石23の温度をインダクタンス変化等で間接的に検知して、永久磁石23に掛かる磁界を自発的に制御することができ(自己温度可変界磁型モータ)、永久磁石23の減磁制御に対する基礎データ等が少なくなり、モータ開発工数が少なくなる。
(5)場合により、簡易な冷却方式、又は冷却なしのモータ1とできる可能性がある。
(6)高温高速回転時での弱め界磁を少なくできる。それにより、高温高速回転時におけるモータ運転効率は向上する。
1…モータ、
10…ステータ、
11…スロット、
12…ティース、
13…コイル、
20…ロータ、
21…電磁鋼板
22(22a、22b、22c)…直方体形状の空間(ロータスロット)、
23…永久磁石、
24…感温磁性材料、
25…感温磁性材料の原料
10…ステータ、
11…スロット、
12…ティース、
13…コイル、
20…ロータ、
21…電磁鋼板
22(22a、22b、22c)…直方体形状の空間(ロータスロット)、
23…永久磁石、
24…感温磁性材料、
25…感温磁性材料の原料
Claims (1)
- コイルを備えるステータと、直方体形状の永久磁石を備えるロータとを含むモータであって、
前記モータが、前記ロータの空間内の前記ロータの表面側に直方体形状の感温磁性材料を備え、前記ロータの軸側に前記永久磁石を配置しており、
前記感温磁性材料における、100℃〜200℃の温度範囲の飽和磁気分極の温度依存性が0.05%/℃以上であり、かつ100℃〜200℃における飽和磁気分極が0.5T以上であることを特徴とするモータ。
Priority Applications (1)
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JP2013126272A (ja) * | 2011-12-13 | 2013-06-24 | Samsung Electronics Co Ltd | モータ |
WO2016157922A1 (ja) * | 2015-03-27 | 2016-10-06 | 日立金属株式会社 | 軟磁性膜および軟磁性膜形成用スパッタリングターゲット |
-
2018
- 2018-12-14 JP JP2018234465A patent/JP2020096482A/ja active Pending
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